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EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、1次治療としてEGFR-TKIが標準療法であるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は1年程度である。サバイバルのため、さまざまな併用療法が試みられている。そのようななか、エルロチニブとベバシズマブの併用は、第II相試験JO25569試験において、EGFR変異陽性NSCLCのPFS中央値を16.0ヵ月と有意に改善した。このエルロチニブ・ベバシズマブ併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験NEJ026の結果を、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科の古谷直樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は、化学療法歴のない術後再発あるいはStageIIIB~IVでPS 0~2のEGFR変異陽性NSCLCで、エクソン19欠失変異あるいはL858R点突然変異を有する患者。無症候性脳転移を有する症例は登録可能とした。患者は、ベバシズマブ3週ごと投与+エルロチニブ連日投与群(BE群)とエルロチニブ単独連日投与群(E群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間、安全性、QOLであった。 2015年6月3日~2016年8月31日に228例の患者が登録された(BE群、E群ともに114例)。追跡期間の中央値は12.4ヵ月で、PFS解析のデータカットオフ日は2017年9月21日。 主要評価項目であるPFS中央値は、BE群が16.9カ月(14.2~21.0ヵ月)、E群が13.3カ月(11.1~15.3ヵ月)で、BE群で有意な延長効果が確認された(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.0157)。 副次評価項目のうち、ORRはBE群が72.3%、E群が66.1%、DCRはBE群が94.6%、E群が96.4%で両群間に有意差はなかった。 Grade3以上の有害事象発現率は、BE群が56.3%、E群が37.7%でBE群のほうが高かった。Grade3以上の有害事象としてはBE群でベバシズマブに関連する高血圧症が22.3%、蛋白尿が7.1%とE群に比べて有意に高い発現率(高血圧症はp<0.001、蛋白尿がp<0.01)だったが、その他はエルロチニブに伴う皮疹(BE群が20.5%、E群が21.1%)などで両群間に差はなかった。また、全GradeではBE群で出血が25.9%と、E群に比べて有意に高い発現率だった(p<0.001)。 これらの結果から、古谷氏は「エルロチニブとベバシズマブの併用療法はエルロチニブ単独に比べ有意にPFSを延長しており、EGFR陽性NSCLCの新たな標準治療と考えられる」との見解を示した。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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閉経乳がんアジュバントに対するデノスマブの生存ベネフィット(ABCSG-18)/ASCO2018

 閉経後乳がんのアジュバントでは、ビスホスフォネートの補助療法が再発率減少や生存率の改善に寄与するとの報告がある。一方、抗RANKLヒト化モノクローナル抗体のデノスマブの補助療法(60mg、半年ごと年2回皮下注投与)は、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者で、プラセボと比較した無作為化二重盲検試験ABCSG-18が実施されている。2015年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2015)での初回報告において、デノスマブ群はプラセボ群に比べて臨床骨折を減少させることが明らかになっている(HR:0.5、p<0.0001)。このABCSG-18の副次評価項目である無病生存期間(DFS)を評価した結果を、オーストリア・ウィーン医科大学のMichael Gnant氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 ABCSG-18試験では、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者3,420例をデノスマブ群1,711例、プラセボ群17,09例に割り付けている。追跡期間中央値73ヵ月。 60ヵ月時点、96ヵ月時点のDFS 率はプラセボ群がそれぞれ 87.3%(85.7~89.0%)、77.5% (74.8~80.2%) に対し、デノスマブ群がそれぞれ 89.2%(87.6~90.7%)、80.6% (78.1~83.1%) で、プラセボ群よりもデノスマブ群で統計学的に有意な改善を示した(HR:0.823、95%CI:0.69~0.98、p=0.026)。 また、有害事象に関してはほとんどがアロマターゼ阻害薬に起因するもので両群間で発現率に有意差は認められなかった。主たる重篤な有害事象の発現頻度は、筋骨格・関節障害がプラセボ群で7.2%、デノスマブ群で7.8%、半月板損傷がプラセボ群で1.4%、デノスマブ群で1.3%、白内障がプラセボ群で1.7%、デノスマブ群で0.9%、手根管症候群がプラセボ群、デノスマブ群ともに0.8%、甲状腺腫がプラセボ群で0.7%、デノスマブ群で1.2%など。 デノスマブでの発現が多いとされる重篤な有害事象の顎骨壊死は確認されておらず、非定型大腿骨骨折を発症したのが1例のみだった。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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過去の“心房細動に対するリズムコントロールは予後を改善しない”という呪縛を解くことはできるのか?(解説:矢崎義直 氏)-880

 心不全症例に心房細動の合併が多いことが知られているが、心不全の病態が心房細動を引き起こし、また心房細動自体が心不全の誘因となりうる。両者は密接に関係しており、心房細動のマネージメントは心不全治療のうえで重要となる。 CASTLE-AF clinical trialは、前向きの無作為比較、多施設共同研究であり、心不全に心房細動を合併した症例において、心房細動に対するカテーテルアブレーション施行群と薬物療法群(リズムコントロールとレートコントロールを含む)を比較し、複合イベント(死亡、心不全の増悪による入院)を1次エンドポイントとした。 対象は、心不全の標準的薬物治療を行ったうえで、EF35%以下、NYHAII~IVの心不全症例だが、NYHAIIの症例が全体の6割を占め比較的軽症例が多い。さらにICDもしくはCRTD植込み症例に限定し、最終的に363例が登録され、無作為にアブレーション群と薬物療法群に1:1に振り分けられた。平均観察期間は約37ヵ月と、約3年のフォローとなった。本試験の特徴として、心房細動の再発などのイベントを通常の定期外来だけでなく、デバイスの遠隔モニタリングを使用していることであり、24時間常にイベントを捉え、早期診断、治療の介入が可能となった。 また、持続性心房細動が7割で、平均左房径が約50mmと拡大しており、カテーテルアブレーション成功率はそう高くない症例が多く含まれている。にもかかわらず、平均1.3回のアブレーション後の60ヵ月時点の洞調律維持は63%と、過去の持続性心房細動に対するアブレーション後の長期成績に比べれば悪くない数字であった。 結果は1次エンドポイント(死亡と心不全入院)はアブレーション群で28.5%と薬物療法群44.6%と比べ有意に少なかった(p=0.007)。全死亡単独でもアブレーション群が低かったが、心血管死のイベントの少なさが寄与している。また、EFの改善率もアブレーション群で8%と薬物療法群の0.2%と比べ有意な改善を認めた(p=0.005)。 過去に多くの臨床試験が行われ、リズムコントロールがレートコントロールに勝るという証明を試みてきた。心房細動を維持するより洞調律化したほうが、心不全患者にとっては良いということは理論的には当然と思えるが、洞調律化による予後改善の強いエビデンスは存在しなかった。本試験は、心房細動合併心不全患者において、アブレーションによるリズムコントロールがハードエンドポイントとしての死亡、心不全入院を改善させた初めての試験となった。カテーテルアブレーションのクオリティ、デバイスの心不全モニタリングシステムの活用法などが大きく予後に影響してくると考えられ、ただ単純にアブレーションが心不全を改善するということだけをメッセージとして捉えるのは危険である。しかし、アブレーション治療が今後、心不全マネージメントのうえで大きなkeyとなりうる可能性が示唆された。

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大阪府北部地震の体験:自宅編【Dr. 中島の 新・徒然草】(227)

二百二十七の段 大阪府北部地震の体験:自宅編大阪府北部地震の体験:病院編はこちら2018年6月18日の大阪府北部地震。私の勤務している大阪医療センターは大阪府の中央部にあるためか、ほとんど被害はありませんでした。救急で来院された患者さんも通常よりはちょっと多いかな、という程度です。ところが北摂にある自宅の方は大変なことになっていました。地震の日は車で出勤していたので、夜になってから車で帰りました。ナビゲーターを見ると大阪市内はどこもかしこも渋滞です。なので、途中まで高速道路を使いました。下に降りてから見た北摂の風景は、やはりどこか普段と違っていました。まずガソリンスタンドに車の列。東日本大震災に学んだのか、皆が早めにガソリンを確保しようとしているようです。自宅に近づくと路上駐車の車が増えてきて、大勢の人が歩いています。どうやら近くの小学校が避難所として開放され、結構な数の人々が利用しているようでした。いよいよ、自宅のドアを開けて現実に直面です。部屋の中には本が散乱しており、洋服掛けなどが倒れ、中にはドアの開かない部屋までありました。幸いなことに本棚やタンス、食器棚はすべて天井との間に転倒防止用突っ張り棒をしていたので、これらは倒れていませんでした。でも、全く無傷というわけでもなく、斜めになったりグニャリと曲がりながら何とか突っ張り棒が本棚を支えているといった状況です。1つだけ突っ張り棒をしていない本棚があって、それは見事に転倒して障害物となり、ドアが開かなくなっていました。痛恨です。教訓1:タンス、本棚、食器棚は転倒する。突っ張り棒で対策を。今回の地震では、転倒した本棚やタンスの下敷きになって亡くなった方がおられましたが、自分の部屋の光景を見ると「確かにこれは命にかかわるなあ」と納得がいきました。突っ張り棒を使えない場合も、本棚の下の方には重いもの、上の方に軽いものを入れることによって少しでも安定を良くした方がいいと思います。また高いところに乗せている荷物も地震の揺れで飛んでくるので、重いものは置くべきではありません。その一方、背の低いタンスやテーブルなどは転倒も移動もしていませんでした。夜遅く帰宅した女房と共にこれらを片づけ、途中でクタクタになって眠りました。ところが、夜中に3回ほど余震で目が覚めました。大阪市内では全く余震を感じなかったのに、北摂ではしばしば余震が起こっているようです。揺れ始めの段階では余震か本震かの区別がつかないので、揺れがおさまるまでの数秒間は恐怖に耐えなくてはなりません。その後、徐々に余震の回数は減っていきました。教訓2:余震は来るものだ。しかも本震と区別がつかない。翌朝、トイレもシャワーも通常の半分程度しか水の勢いがありませんでした。前夜には気づかなかったのですが、付近一帯が断水していたようです。幸い、しばらくして断水は解消しました。地震の翌日、再び車で出勤したのですが、いつもより早く出たはずがいつもより遅く到着しました。通常よりも車の数が多く、渋滞が激しかったのです。一方、前日に運休していた鉄道や地下鉄は始発から復旧しており、電車通勤の人たちは「いつもより空いていた」ということでした。結局、今回の地震は北摂を東西に走る有馬-高槻断層帯が動いた可能性が指摘されました。この断層帯は阪神・淡路大震災の原因となった六甲・淡路島断層帯の東端に位置します。有馬-高槻断層帯と直交する形で大阪府を南北に縦断するのが上町断層帯で、これが動くと大阪医療センターも被害を免れません。ちなみに大阪医療センターの建っている場所は上町台地と呼ばれており、病院の西側に隣接して南北に延々と続く崖があります。この崖はひょっとすると、地表にむき出しになった上町断層帯の一部かもしれません。今後は病院が激しく揺れたときに自室の本棚で押し潰されたりしないよう、こちらの方にも対策をしておきたいと思います。教訓3:自宅だけでなく職場でも本棚やロッカーなどの転倒対策が必要というわけで2回に分けて述べた大阪北部地震の体験談。読者の皆様が御自身の地震対策を考えるキッカケになれば幸いです。最後に1句災害は いつでも来るぞ 日本なら

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第2回 「抜歯したら抗菌薬」は本当に必須か【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 先日、歯科医師の友人から、抜歯後に抗菌薬を処方しなかったことで薬剤師からクレームを受けた、という話を聞きました。次のような経緯だったようです。・某日午前、ある女性患者さんの上顎第3大臼歯(親知らず)の残根を抜歯し、術後疼痛対策としてアセトアミノフェンを処方したが、抗菌薬は処方しなかった。・同日夕方、救急外来にこの女性患者さんの旦那さんである薬剤師からクレームの電話が入り、「抜歯したのになぜ抗菌薬を処方しないのか」と言われた。はたして抜歯をする際は感染症を予防するための抗菌薬は必須なのでしょうか。今回は、抜歯時の抗菌薬の有用性について検討したコクランのシステマティックレビューを紹介します。Antibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.論文では、「抜歯処置を受ける患者さんが、術前あるいは術後に抗菌薬を服用すると、抗菌薬なしまたはプラセボ服用に比べて、感染症の発生リスクが下がるか」という疑問が検討されています。本論文で組み入れられた研究では、主にアモキシシリン(±クラブラン酸)、エリスロマイシン、クリンダマイシンなどが投与されています。なお、日本感染症学会、日本化学療法学会による「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―」でも、歯性感染症ではペニシリン系、リンコマイシン系、マクロライド系などが推奨されています。日本ではルーティンで第3世代セフェム系薬を処方する歯科医師が多いと感じていますが、これらは必ずしも歯性感染症に適するわけではないですし、概して吸収率も高くはありません。抗菌薬を服用すると12例中1例で感染予防さて、システマティックレビューの評価ポイントはいくつかあります。過去の研究を網羅的に集めているか、集めた研究の評価が適切になされているか、それらの研究の異質性は検討されたか、出版バイアスはないか、情報は適切に統合されたか、などの点を確認することが大切です。本論文では1948年~2012年1月25日までにMEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CHSSSといったデータベースに登録されている関連論文を網羅的に集めています。集められた試験のデザインはランダム化比較試験で、うち1件はインターバルが6週間以上のクロスオーバーランダム化比較試験です。クロスオーバーは同じ被験者がウォッシュアウト期間を十分に設けた後に、異なる介入を受けることを意味します。そう何回も抜歯をやるの? という疑問もあるかもしれませんが、スプリットマウスデザインという、同一被験者の口内の左右では条件差がさほどないことを利用して、左右の歯でウォッシュアウト期間をおいて抜歯を行ったものと考えられます。出版バイアスの有無はファンネルプロットを用いて検討されていますが、術後および術前・術後におけるプロットが少ないため判定がやや難しいところです。なお、コクランのハンドブックによれば、一般的にプロットの数が10個以下だとファンネルプロットの左右対称性から出版バイアスを見極めることは難しいとされています。集められた各研究の評価は、2人のレビュアーにより独立して行われ、解釈に食い違いが生じた場合には議論のうえで合意を形成しているため、一定の客観性があると考えてよさそうです。なお、レビュアー名を検索したところ、両名とも歯科医師のようです。最終的に、集められた研究のうち、18件(患者合計2,456例)の研究が採用され、15件がメタ解析されています。システマティックレビューの結果は、通常Summary of Findings(SoF)テーブルとフォレストプロットにまとめられているので、ここを真っ先に見るとよいでしょう。エンドポイントに関する結果を紹介します。抗菌薬を投与した場合、プラセボと比較して抜歯後の局所感染症を約70%減らす(相対リスク:0.29、95%信頼区間:0.16〜0.50)とあり、エビデンスの質としては中程度の確信となっています(p<0.0001)。これは、約12例で抗菌薬を服用すれば、1例は感染症を予防できるという割合です。痛み、発熱、腫れには有意差はありませんでした。有害事象に関しては、抗菌薬投与でほぼ倍増(相対リスク:1.98、95%信頼区間:1.10~3.59)しますが、軽度かつ一時的ということ以外の具体的な内容は本文献ではわかりません。抗菌薬の必要性は侵襲性の程度や患者要因で変わりうるシステマティックレビューは既存の知見を網羅的に集めて質的評価を行い、統計学的に統合することから、しばしばエビデンスの最高峰に位置付けられますが、統合することで対象患者などの細かいニュアンスが省略されるため、その結果を応用する際は外的妥当性を十分に考えねばなりません。本結果を素直に解釈すれば、感染予防のベネフィットがややあるものの、抜歯処置の侵襲性の程度や感染症リスクによっては抗菌薬が処方されないことも十分考えられます。もし服用を検討するのであれば、アレルギーや副作用歴がない限りはペニシリン系やクリンダマイシンなどが比較的妥当な選択となりそうです。現実には下痢の頻度や抗菌薬アレルギーのリスク、冒頭の例であれば歯科医師と患者の関係なども抗菌薬が必要かどうかの考慮事項となりうるでしょう。いずれにせよ、短絡的に抜歯=抗菌薬と断定するのではなく、患者の状態や歯科医師の意図をくみ取ったうえで適切なアクションをとりたいものです。画像を拡大するAntibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.

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ASCO2018レポート 消化器がん

レポーター紹介本年度の米国臨床腫瘍学会年次総会が、2018年6月1日~5日まで例年どおり米国シカゴで開催された。消化器がん領域における注目演題についてレポートする。とくに胃がん領域においては、本邦より2人もの演者がoralで発表されており、日本人として大変誇らしく感じた。JACCRO GC-07 trial本邦の実臨床に最もインパクトがあった演題として、pStageIII胃がんにおけるドセタキセル+S-1(DS)併用療法のS-1療法に対する優越性が証明されたJACCRO GC-07 trialをまずは報告する。本邦では、pStageIII胃がんに対する術後補助化学療法として、S-1療法1年またはCapeOX療法6ヵ月を行うことが標準治療として位置付けられている。しかしながら、ACTS-GC試験のサブグループ解析では、手術単独群に対するS-1療法群の全生存期間におけるHR(ハザード比)がpStageIIIAで0.67、StageIIIBで0.86と報告されており、いずれも効果が不十分と考えられてきた。そこで、根治切除(胃切除+D2郭清)を行ったpStageIII胃腺がんを対象として、S-1療法に対するDS療法の優越性を検証したJACCRO GC-07 trialが行われた。主要評価項目は3年無再発生存(RFS)であり、S-1療法群の3年RFSを62%、HRを0.78とし、両側検定α=5%、検出力80%を確保するために、必要な症例数は1,100例と算出された。2回目の中間解析において(登録患者915例、イベント数216)、3年RFSがS-1療法群49.5%vs.DS療法群65.9%(HR=0.632、p=0.007)と、DS療法群で有意に良好であったことから、2017年9月に効果安全評価委員会において有効中止の勧告がなされた。登録された両群の患者背景には明らかな差が認められず、また明らかな交互作用は観察されなかった。再発部位は、リンパ節、腹膜、血行性転移いずれもDS療法群で少ない傾向であった。有害事象に関しては、白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症がDS療法で多かったもののマネージメントは十分可能な範囲であった。演者らは、本試験の結果をもって、根治切除後のpStageIII胃がんに対して、DS療法は新たな術後補助療法の標準治療として推奨されると結論付けた。会場では、S-1療法群の成績が従来の本邦からの報告よりやや悪いことが指摘されていた。個人的には、本邦で行われた良質な第III相試験であること、昨年公表された欧州での第III相試験でFLOT療法(DTX+5FU+L-OHP)の有効性が示されていること、エビデンスレベルという点からも、術後DS療法は標準治療として位置付けられると考えられ、今後は実地臨床にも広く用いられることになるだろう。また、用量強度やOSのupdate解析などの報告にも注目したい。KEYNOTE-061試験現在、本邦では胃がん領域においても2017年9月から免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが実地臨床で用いられている。また、米国においては、ペムブロリズマブが既治療の胃がんに対してFDAで承認を受けている。本試験は、切除不能進行再発胃がん/食道胃接合部がんにおける2次化学療法として、ペムブロリズマブ療法とパクリタキセル療法をHead-to-Headで比較した第III相試験として実施された。当初は、PD-L1発現の有無にかかわらず患者が登録されたが、登録途中でPD-L1陽性(CPS≧1)のみを登録することに変更となった(CPS:combined positive score、PD-L1陽性の細胞数[腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージ]/全生存細胞数×100)。主要評価項目は、PD-L1陽性例におけるOSとPFSとし、試験全体の片側α=0.025、OSにおける優越性を示すにはp<0.0135を達成する必要がある統計設計で実施された。登録された患者背景に両群で差は認めなかった。PD-L1陽性例における生存期間中央値(MST)は、ペムブロリズマブ療法9.1ヵ月vs.パクリタキセル療法8.3ヵ月、HR 0.82、片側p=0.042であり、両群で有意差はなかった。ただし、解析時点でペムブロリズマブ群では15例が投与継続(パクリタキセル群は0例)されており、実際に12ヵ月生存割合は39.8%vs.27.1%、18ヵ月生存割合は25.7%vs.14.8%とペムブロリズマブ群で長期生存例が多かった。PD-L1発現別の解析では、CPSが高いほどペムブロリズマブの効果が高まることが示された。また、MSI-High例(全体の5%)では、ペムブロリズマブ療法群でOS、奏効割合がともに良好であった(OSは未達、奏効割合46.7%)。主要評価項目であるPD-L1陽性例におけるOSにおいて、統計学的有意差は示せない結果となった。ただし、今後の進行胃がんの化学療法を考えるうえでは、非常に重要かつ示唆に富む結果が得られたと個人的に感じている。具体的には、先のATTRACTION-2試験(ニボルマブとプラセボを比較した、胃がんにおけるSalvage lineの第III相試験)では、PD-L1発現の有無ではニボルマブの効果予測は困難であったが、CPSというPD-L1陽性の定義を用いると免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ができるかもしれない点や、既報と同様にやはりMSI-Hでは胃がんであっても高い奏効割合、治療効果が示される点などである。ディスカッサントからも指摘があったように、今後は、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法や化学療法との併用療法などの結果が注目され、胃がん化学療法の進歩に期待したいところである。なお、本結果は発表同日にLancet誌に掲載され、インパクトあふれる発表であった。PRODIGE 24/CCTG PA.6試験膵がんの術後補助化学療法は、従来はゲムシタビン療法が標準治療として位置付けられていたが、近年、本邦で実施されたJASPAC-01試験の結果から本邦ではS-1療法が、欧米ではゲムシタビン+カペシタビン療法が確立された。また、遠隔転移を有する膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法(5-FU+LV+イリノテカン+L-OHP)が標準治療として用いられている。そこで、切除後膵がんに対する術後補助療法としてのゲムシタビン療法に対するFOLFIRINOX療法の優越性を検証する第III相試験が計画された。本試験で用いられているFOLFIRINOX療法は、毒性の点からmodified FOLFIRINOX療法(mFFX、5-FU 2,400mg/m2+ロイコボリン400mg/m2+イリノテカン180mg/m2+オキサリプラチン85mg/m2、2週ごと、12サイクル)が採用された。主要評価項目は無病生存(DFS)期間として、3年DFS率のHRを0.74、両側α=0.05、検出力80%として必要な症例数は490例と算出された。なお、開始後30例でGrade3以上の下痢を20%に認めたため、以降はイリノテカンの用量が150mg/m2に変更されている。2012年4月~2016年10月までに493例が登録され、2018年2月に効果安全評価委員会において早期結果公表が勧告されたため、今回、データが発表された。登録された患者背景では、リンパ管腫瘍塞栓のみ群間差を認めたがその他は両群に有意な差は認めなかった。DFS期間の中央値は、mFFX療法群21.6ヵ月、ゲムシタビン療法群12.8ヵ月、HR 0.58(p<0.0001)であり、mFFXで有意に良好であった。OSの中央値は、mFFX療法群54.4ヵ月、ゲムシタビン療法群35.0ヵ月、HR 0.64(p=0.003)であった。有害事象として、好中球減少、発熱性好中球減少に差はなかったが、mFFX療法群でG-SCF使用の割合が有意に高かった。また、非血液毒性として、下痢、末梢性感覚ニューロパチー、疲労、嘔吐、口内炎がmFFX群で有意に高かった。以上から、演者らは、mFFX療法は、毒性が増すものの、全身状態が良好な患者における欧米における標準治療と結論付けている。本邦で行われたという点においては、JASPAC-01試験の結果から、毒性の点から、S-1療法は本邦における標準治療としての位置付けは揺るがないだろう。しかしながら、JASPAC-01試験、本試験ともに大規模第III相試験から得られた結果という点では、同等のエビデンスとも考えられ、すでに転移性の膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法は実地診療で行われている。とくに、本試験のサブグループ解析では、mFFX療法でR1切除、N1切除の成績が良好であったことから、予後不良な症例にはmFFXは期待できるのかもしれない。

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不眠症へのスボレキサント切り替えと追加併用を比較したレトロスペクティブ研究

 スボレキサントは、従来のGABA(γ-アミノ酪酸)-A受容体を介さない新規作用機序の睡眠薬である。藤田保健衛生大学の波多野 正和氏らは、ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA)を服用している不眠症患者に対するスボレキサント導入方法の検討を行った。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2018年5月31日号の報告。 本研究は、レトロスペクティブ研究として実施された。スボレキサント処方およびBzRAをすでに使用している患者の臨床データを抽出した。患者は切り替え群と追加併用群に割り当てられた。スボレキサント処方から1ヵ月後の処方中止率を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、切り替え群119例、追加併用群109例に割り当てられた。・追加併用群は、切り替え群よりも、すべての原因による中止率が有意に高かった(オッズ比:2.7、95%CI:1.5~5.0、調整p<0.001)。・追加併用群におけるスボレキサント中止の有意に強いリスク因子は、忍容性であった(22.0% vs.7.6%、p<0.002)。最も一般的な副作用は、過鎮静であった。 著者らは「BzRAを服用している不眠症患者に対しスボレキサントを使用する際には、切り替えよりも追加併用のほうが過鎮静を増加させることが示唆された。しかし、本研究は唯一の予備的レトロスペクティブ研究であるため、本所見を確認するためにはさらなる研究が必要である」としている。■関連記事不眠症患者におけるスボレキサントの覚醒状態軽減効果に関する分析2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは期待の新規不眠症治療薬、1年間の有効性・安全性は

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気管切開の事故防止に向け提言 医療安全調査機構

 気管切開チューブ挿入患者のケアには常に注意を要するが、とくに気管切開術後早期*のチューブ交換時に、再挿入が困難になるリスクが高いことから、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)では、この時期のチューブ逸脱・迷入による事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第4号)を公表している(6月5日)。逸脱を防ぐための移動・体位変換時の注意事項や、逸脱・迷入が生じてしまったときの具体的対応などについて、以下の7つの提言が示された。*本提言では、気管切開孔が安定するまでの時期とし、気管切開術当日からおよそ2 週間程度と定義。そのうえで、「術後 2 週間を過ぎれば生じないということではない」と注意喚起している。 提言1(リスクの把握):気管切開術後早期(およそ 2 週間程度)は、気管切開チューブの逸脱・迷入により生命の危険に陥りやすいことをすべての医療従事者が認識する。 提言2 (気管切開術):待機的気管切開術は、急変対応可能な環境で、気管切開チューブ逸脱・迷入に関する患者ごとの危険性を考慮した方法で実施する。 提言3(気管切開チューブ逸脱に注意した患者移動・体位変換):気管切開術後早期の患者移動や体位変換は、気管切開チューブに直接張力がかかる人工呼吸器回路や接続器具を可能な限り外して実施する。 提言4 (気管切開チューブ逸脱の察知・確認):「カフが見える」「呼吸状態の異常」「人工呼吸器の作動異常」を認めた場合は、気管切開チューブ逸脱・迷入を疑い、吸引カテーテルの挿入などで、気管切開チューブが気管内に留置されているかどうかを確認する。 提言5 (気管切開チューブ逸脱・迷入が生じたときの対応)気管切開術後早期に気管切開チューブ逸脱・迷入が生じた場合は、気管切開孔からの再挿入に固執せず、経口でのバッグバルブマスクによる換気や経口挿管に切り替える。 提言6 (気管切開チューブの交換時期):気管切開術後早期の気管切開チューブ交換は、気管切開チューブの閉塞やカフの損傷などが生じていなければ、気管切開孔が安定するまで避けることが望ましい。 提言7(院内体制の整備):気管切開術後早期の患者管理および気管切開チューブ逸脱・迷入時の具体的な対応策を整備し、安全教育を推進する。 この提言は、医療事故調査制度のもと収集した院内調査結果報告書を整理・分析し、再発防止策としてまとめているもの。これまでに「中心静脈穿刺合併症」、「急性肺血栓塞栓症」、「注射剤によるアナフィラキシー」をテーマとした各号が公表されている。 今回の第4号では、同制度開始の2015年10月から2018年2 月までの期間に、同機構に提出された院内調査結果報告書607件のうち、「気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例」」として報告された5事例を分析。“死亡に至ることを回避する”という視点で、同様の事象の再発防止を目的としてまとめられている。■参考日本医療安全調査機構:医療事故の再発防止に向けた提言 第4号■関連記事注射剤のアナフィラキシーについて提言 医療安全調査機構中心静脈穿刺の事故防止に向けて提言公表 医療安全調査機構

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腹部大動脈瘤スクリーニングは有益か/Lancet

 腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のMinna Johansson氏らによる、スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で明らかにされた。AAA発症およびAAA関連死亡にみられる大幅な減少を、スクリーニングに関する無作為化試験の結果で評価するのは時代遅れではないかとの指摘があったが、今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆されたという。著者は、「ベネフィットは小さく、有益性と有害性のバランスは非常に悪く、スクリーニングの正当性に対する疑念を深める結果であった」とまとめている。Lancet誌2018年6月16日号掲載の報告。スクリーニング群vs.非スクリーニング群の疾患別死亡率、罹患率、手術を比較 研究グループは、スウェーデンにおけるAAAスクリーニングの疾患別死亡率、罹患率、および手術に関する影響を推定する検討を行った。2006~09年にスクリーニングを受けた同国65歳男性コホートを対象に、AAA罹患、AAA死亡、AAA手術に関するデータを集め、年齢で適合した非AAAスクリーニングのデータと比較した。また、ナショナルデータベースを利用して1987年1月1日~2015年12月31日の40~99歳男性に関するデータも分析し、背景傾向を調べた。 交絡因子の調整は、コホート年、婚姻状態、教育レベル、収入、またベースラインでのAAA診断有無に関するロジスティック回帰モデルから得た傾向スコアを用いた重み付け分析法により行った。差異に関する調整も、スクリーニング後6年のコホートに残る逆確率を用いた重み付け分析法で行った。また、一般化推定方程式を用いて、反復測定および重み付けによる分散を調整した。スクリーニング6年後、死亡減少とスクリーニングに有意な関連みられ スウェーデン人男性のAAA死亡率(65~74歳男性10万人当たり)は、2000年初期は36例であったが、2015年には10例に減少していた。死亡率の減少は全国的にみられ、AAAスクリーニング実施の有無に関係していなかった。 スクリーニングの6年後の分析では、AAA死亡率の減少とスクリーニングに有意な関連はみられなかった(補正後オッズ比[aOR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.38~1.51)。この時点で、AAAスクリーニングを受けた男性が回避可能なAAA死亡は、1万人当たり2例(95%CI:-3~7)であった。 スクリーニングは、AAA診断のオッズ増大と関連していた(aOR:1.52、95%CI:1.16~1.99、p=0.002)。また、待機的手術のリスク増大(同:1.59、1.20~2.10、p=0.001)や、過剰診断の恐れとの関連(スクリーニング受診1万人当たり49例[95%CI:25~73例])が認められ、死亡や罹患リスクを増大した回避可能な手術がそのうちの19例(95%CI:1~37)に行われていた。

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ストレス関連障害は、自己免疫疾患のリスク/JAMA

 ストレス関連の障害は、自己免疫疾患発症リスクを有意に増大することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによる、スウェーデンの集団・兄弟姉妹適合コホートを対象とした後ろ向き研究の結果、明らかにされた。生活をするうえでのストレッサーに対する精神医学的な影響は誰にでもみられる。その影響が免疫機能不全をもたらす可能性が示唆されているが、自己免疫疾患のリスクに関与しているかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「さらなる研究を行い、根源的メカニズムを解明することが必要だ」とまとめている。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。ストレス関連障害曝露群を、適合非曝露群および兄弟姉妹群と比較 研究グループは、1981年1月1日~2013年12月31日に、スウェーデン生まれの住民を対象とした集団および兄弟姉妹適合後ろ向きコホート研究を行い、ストレス関連の障害が自己免疫疾患発症と関連しているかを調べた。コホートには、ストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、およびその他のストレス障害)と診断された10万6,464例(曝露群)と、それら診断歴のない適合集団106万4,640例(非曝露群)および曝露群の兄弟姉妹12万6,652例が含まれた。 ストレス関連障害と自己免疫疾患は、全国患者登録で特定した。また、Coxモデルを用いて、ストレス関連障害の診断後1年超で発症が認められた41の自己免疫疾患に関するハザード比(HR)を、多数のリスク因子で調整して、95%信頼区間(CI)とともに算出した。非曝露群と比較した曝露群の自己免疫疾患リスクのハザード比は1.36 ストレス関連障害と診断された年齢中央値は41歳(四分位範囲:33~50)、曝露群の男性の比率は40%であった。 平均追跡期間10年間の自己免疫疾患罹患率は、1,000人年当たり、曝露群9.1、非曝露群6.0、兄弟姉妹群6.5であった。曝露群の、非曝露群に対する絶対率差は3.12(95%CI:2.99~3.25)、兄弟姉妹群に対する同差は2.49(95%CI:2.23~2.76)であった。 非曝露群と比較して、ストレス関連障害患者では、自己免疫疾患のリスクが高かった(HR:1.36、95%CI:1.33~1.40)。また、PTSD患者のHRは、あらゆる自己免疫疾患の発症リスクが1.46(95%CI:1.32~1.61)であり、複数(≧3)の自己免疫疾患のリスクは2.29(95%CI:1.72~3.04)であった。 これらの関連性は、兄弟姉妹ベースの比較においても認められた。 相対リスクの上昇は、若年患者群においてみられることが確認された。HR(95%CI)は、≦33歳群で1.48(1.42~1.55)、34~41歳群1.41(1.33~1.48)、42~50歳群1.31(1.24~1.37)、≧51歳群1.23(1.17~1.30)であった(相互作用のp<0.001)。 なお、PTSD診断後1年間にSSRI薬を服用していた場合、服用継続期間が長いほど自己免疫疾患発症リスクの有意な低下が認められた。HR(95%CI)は、≦179日では3.64(2.00~6.62)、180~319日では2.65(1.57~4.45)、≧320日では1.82(1.09~3.02)であった(傾向のp=0.03)。

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気持ちはわかるがもったいない臨床試験!(解説:後藤信哉氏)-878

 世の中の活動には、税金を使うpublic sectorと個人の投資によるprivate sectorがある。特許が切れていない新薬、医療デバイスなどを用いた試験は、試験の結果により大儲けするスポンサーがあるのでprivate sectorである(日本のAMEDにはpublicとprivateの混同があると筆者は思う)。スポンサーは投資であるから、儲けにつながる結果を得たい。その気持ちはすごくわかる。ランダム化比較試験による仮説検証は、巨大なビジネスであるとともに大切な臨床科学でもある。本試験の仮説は臨床的にきわめて重要である。スポンサーの気持ちもわかるし、試験のルールもわかるけれども、本研究は仮説が魅力的であるだけに最後まで施行してほしかった。 自然発症の心筋梗塞などの血栓イベントは、世界的に減少している。しかし、入院して、心臓とは関係ない臓器の手術を受けた後にはイベントが増える。このメカニズムは現時点ではわからない。「抗血栓薬が非心臓手術後の心筋梗塞を減らす」との仮説は、この領域の研究を本気で始めるべきか否かの判断に影響を与える重要な仮説であった。本研究では、この仮説が正しそうな雰囲気を出したところで止めてしまった。 「血栓イベントを減らし出血イベントを増やさなかった」との宣伝情報ができた時点で止めたい気持ちはわかる。でも最後まで継続してほしかった。private sectorでは損になる投資をするアホはいない。損になりそうな空気が出たら止めるのが、経済的判断としては正しい。臨床試験において医師・研究者グループとスポンサーには多くの共通の利害があるが、本研究のような試験では共通の利害を最後まで継続することが困難なのであろう。医療の標準を決める臨床試験がprivate sectorであるとの欧米の理解よりも、AMEDを作った日本のpublic/private混在モデルのほうが、この研究などにはいいのかもしれない。

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第3回 意識障害 その3 低血糖の確定診断は?【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+10のルールのうち低血糖に注目この症例は前回お伝えしたとおり、左中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症でした。誰もが納得する結果だと思いますが、脳梗塞には「血栓溶解療法(rt-PA療法)」、「血栓回収療法」という時間に制約のある治療法が存在します。つまり、迅速に、そして正確に診断し、有効な治療法を診断の遅れによって逃すことのないようにしなければなりません。頭部CT、MRIを撮影すれば簡単に診断できるでしょ?! と思うかもしれませんが、いくつかのpitfallsがあり、注意が必要です。今回も“10’s Rule”(表1)にのっとり、説明していきます1)。今回は5)からです。画像を拡大する●Rule5 何が何でも低血糖の否定から! デキスタ、血液ガスcheck!意識障害患者を診たら、まずは低血糖を除外しましょう。低血糖になりうる人はある程度決まっていますが、緊急性、簡便性の面からまず確認することをお勧めします。低血糖の時間が遷延すると、低血糖脳症という不可逆的な状況となってしまうため、迅速な対応が必要なのです。低血糖によって片麻痺や失語を認めることもあるため、侮ってはいけません2)。低血糖の診断基準:Whippleの3徴(表2)をcheck!画像を拡大する低血糖と診断するためには満たすべき条件が3つ存在します。陥りがちなエラーとして血糖は測定したものの、ブドウ糖投与後の症状の改善を怠ってしまうことです。血糖を測定し低いからといって、意識障害の原因が低血糖であるとは限りません。必ず血糖値が改善した際に、普段と同様の意識状態へ改善することを確認しなければなりません。血糖低値と低血糖は似て非なるものであることを理解しておきましょう。低血糖の原因:臭いものに蓋をするな!低血糖に陥るには必ず原因が存在します。“Whippleの3徴”を満たしたからといって安心してはいけません。原因に対する介入が行われなければ再度低血糖に陥ってしまいます。低血糖の原因は表3のとおりです。最も多い原因は、インスリンやスルホニルウレア薬(SU薬)など血糖降下作用の強い糖尿病薬によるものです。そのため使用薬剤は必ず確認しましょう。画像を拡大するるい痩を認める場合には低栄養、腹水貯留やクモ状血管腫、黄疸を認める場合には肝硬変(とくにアルコール性)を考え対応します。バイタルサインがSIRS(表4)やqSOFA(表5)の項目を満たす場合には感染症、とくに敗血症に伴う低血糖を考えフォーカス検索を行いましょう(次回以降で感染症×意識障害の詳細を説明する予定です)。画像を拡大する画像を拡大する低血糖の治療:ブドウ糖の投与で安心するな!低血糖の治療は、経口が可能であればブドウ糖の内服、意識障害を認め内服が困難な場合には経静脈的にブドウ糖を投与します。一般的には50%ブドウ糖を40mL静注することが多いと思います。ここで忘れてはいけないのはビタミンB1欠乏です。ビタミンB1が欠乏している状態でブドウ糖のみを投与すると、さらにビタミンB1は枯渇し、ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群を起こしかねません。ビタミンB1が枯渇している状態が考えられる患者では、ブドウ糖と同時にビタミンB1の投与(最低でも100mg)を忘れずに行いましょう。ビタミンB1の成人の必要量は1~2mg/日であり、通常の食事を摂取していれば枯渇することはありません。しかし、アルコール依存患者のように慢性的な食の偏りがある場合には枯渇しえます。一般的にビタミンB1が枯渇するには2~3週間を要するといわれています。救急外来などの初療では、患者の背景が把握しきれないことも少なくないため、アルコール依存症以外に、低栄養状態が示唆される場合、妊娠悪阻を認める患者、さらにはビタミンB1が枯渇している可能性が否定できない場合には、ビタミンB1を躊躇することなく投与した方が良いでしょう。ウェルニッケ脳症はアルコール多飲患者にのみ発症するわけではないことは知っておきましょう(表6)。画像を拡大するそれでは、いよいよRule6「出血か梗塞か、それが問題だ!」です。やっと頭部CTを撮影…というところで今回も時間がきてしまいました。脳卒中や頭部外傷に伴う意識障害は頻度も高く、緊急性が高いため常に考えておく必要がありますが、頭部CTを撮影する前に必ずバイタルサインを安定させること、低血糖を除外することは忘れずに実践するようにしましょう。それではまた次回!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中!. 中外医学社;2015.2)Foster JW, et al. Stroke. 1987;18:944-946.コラム(3) 「くすりもりすく」、内服薬は正確に把握を!高齢者の多くは、高血圧、糖尿病、認知症、不眠症などに対して定期的に薬を内服しています。高齢者の2人に1人はポリファーマシーといって5剤以上の薬を内服しています。ポリファーマシーが悪いというわけではありませんが、薬剤の影響でさまざまな症状が出現しうることを、常に意識しておく必要があります。意識障害、発熱、消化器症状、浮腫、アナフィラキシーなどは代表的であり救急外来でもしばしば経験します。「高齢者ではいかなる症状も1度は薬剤性を考える」という癖を持っておくとよいでしょう。また、内服薬はお薬手帳を確認することはもちろんのこと、漢方やサプリメント、さらには過去に処方された薬や家族や友人からもらった薬を内服していないかも、可能な限り確認するとよいでしょう。お薬手帳のみでは把握しきれないこともあるからです。(次回は7月25日の予定)

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第7回 チーム医療における薬剤師の役割とは・・・【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。参加している緩和ケア委員会からの宿題「チーム医療における薬剤師の必要性」。ずーーーっと悩んでいました。そして当日。遅刻しました...。在宅訪問が長引いてしまい、間に合わないーーー!と電動自転車を飛ばして戻ると、薬局の2階にある無菌室前に委員会メンバーがずらり。そう、今日は薬剤師が主役なのです!薬局で初めて開催されることになった緩和ケア委員会。やっと、やっと、チームのメンバーに薬局内を見てもらえました。まずは... 1. 薬局設備の見学と説明無菌室の説明、無菌調製の流れをiPadで撮影した写真とともに説明していきます。当薬局では原則フィルター使用ですが、その除去率などもお伝えしました。続いて、やってきました!前回委員会に頂いたお題、頭の片隅に常にある思い、そして発表までのもやもやした緊張感...さあ、解放される時です!つぎに... 2.チーム医療における薬剤師の役割について~現状の報告と展望~薬局からは、「外来での緩和ケア関連の対応について」「在宅訪問での対応について」の2テーマを発表しました。具体的には...。外来での緩和ケア関連の対応について限られた投薬時間での、緩和ケア、抗がん薬や医療用麻薬(以下、麻薬)の管理、外来と在宅の連携(訪問専任の私がレスキューのコンプライアンス不良をご自宅に訪問した際に確認し、窓口に薬を取りに来た家族への服薬指導により改善を図った症例)などこの症例は、主治医より服薬指導依頼があったのですが、ご本人から「外来に通えているし、必要ない」、「お金がかかる」と言われ訪問薬剤管理指導は入っていませんでした。しかし、Performance Status と麻薬使用量が合わないなど主治医も違和感をもっており、気にしていました。そんな中、薬局で麻薬の在庫が足りなくなったので、これはチャンス!とお渡しできなかった分の麻薬を持って、お宅に訪問しました。ゆっくりとお話ししたことで、コンプライアンス不良が判明。麻薬の貼付薬を貼ったり貼らなかったり、体調が悪化すると数枚貼ったり...。「医療費が高くて...」と。もちろん主治医に伝えることもなく、「大丈夫」と言い続けた結果、痛みの評価がきちんとできていないこともわかりました。患者さんのコンプライアンス不良の原因、改善案(貼付薬から薬価の低い内服への変更)を主治医に伝えたところ、疼痛管理ノートが開始され、ご家族も認識を深め、のちの外来での指導もうまくいくと感じていました。その後、ご本人の体調が悪化し、奥様と診療所を緊急受診され、主治医に診察室に呼ばれました。介護申請もしていませんでしたので、診療所所属のケアマネさんが呼ばれ、今後の方針などについて、その場で調整、麻薬の処方量調節、そして訪問服薬指導が始まりました。発表しながら当時のことを思い出し、薬局から急いで診療所に向かい、緊張した記憶がよみがえりました。在宅訪問での対応について薬、在宅とは、現在の業務内容と今後取り組むべきこと薬局の外に出て分かったことを中心に発表しました。療養者の生活と服薬できていない現実生活や環境を考慮した服薬管理の重要性を認識したこと上記に基づく処方提案や残薬管理、OTCや栄養も含めた指導(服薬指導の拡大)、療養者や家族と一緒に考える姿勢(協働)を持ち、薬物治療に主体的に関わることチームにフィードバックすることで治療やケアの向上=QOL維持に貢献することができること!参加メンバーは、うんうん、と頷きながら発表を聞いていました。その間も、医師や看護師さんのPHSが鳴り、指示が飛びます。医療介護に休みはなし。ケアマネさんが「色々あるんやね~」とポツリ...。窓口からは見えてこない薬剤師業務をイメージしていただけたようです。お互いの認識を深め、さらなる相乗効果を生み出すための一歩になったかな。最後に、所長より最後に、所長より「現状と問題点の把握」として、外来緩和ケアについての問題提起がありました。外来緩和ケアは患者と医者だけになってしまい、情報共有が難しい。緩和ケア外来などの時間がつくれるか?緩和ケアのためのメーリングリストを開始してみてはどうか?などなど。よりよい医療を提供するための方法をみんなで考えていく...。「じゃあ今日はこれで終わり、その前に...」所長の言葉に皆、注目「今回から、正式に薬局スタッフを緩和ケア委員会のメンバーとします」そう、今まで、オブザーバーとしての参加でした。診療所の受付にオレンジサークル※を見つけたとき、理事長に委員会を見学したい、とお願いしたとき、緩和ケア委員長(所長)がいつでもどうぞ、と迎えてくれた日、カタカナ専門用語が飛びかう中、必死にメモして調べて...。病院薬剤師を経験したことのない私にとって、学びの多い、幸せな日々の連続でした。ぞろぞろ薬局から、病棟、外来・・・と戻って行くメンバーたち。2階の窓からメンバーを見送った後。来月の委員会も気を引き締めて行くぞーっ!と決意を新たにしたのでした。「オレンジサークル」とは、"がんの痛みを取り除くことで、患者さんが、がんそのものと取り組む気力や体力を得る" という考え方を実践する医療チームの活動をサポートするJPAP®(JapanPartners Against Pain®)の取り組みで、医療チームからの登録申し込みに基づきJPAP®が認定している。

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1日1回の牛乳摂取がサルコペニア予防に有効か~鳩山/草津コホート研究

 毎日普通乳を飲む習慣が、高齢者におけるサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。東京都健康長寿医療センター研究所の成田 美紀氏らが、日本の地域在宅高齢者を対象に、牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連を検討したコホート研究により明らかにしたもの。第60回日本老年医学会学術集会(2018年6月14日~16日)において発表された。 本研究の対象は、鳩山コホート研究の2012年追跡調査対象者、および草津町研究の2013年高齢者健診受診者のうち、70歳以上でかつ簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による食品摂取調査を行い、有効回答を得た810例(鳩山405例、草津405例)。牛乳の摂取状況は、普通乳あるいは低脂肪乳について、摂取頻度ごとに3群に分けて評価し、サルコペニアの診断にはAWGSの診断基準を用いた。 牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連性は、多重ロジスティックモデルを用いて解析し、性、年齢、対象地域、総エネルギー摂取量(BDHQから推定)に加え、BMI(21.5未満、21.5以上25.0未満、25.0以上)、生活習慣(飲酒、喫煙および運動の習慣)、食品摂取の多様性スコア(牛乳の摂取頻度以外)および既往症(脊椎系疾患、骨粗鬆症の有無)について調整した。 主な結果は以下のとおり。・サルコペニア罹患者の割合は10.4%であった。・牛乳の摂取頻度(毎日1回以上、毎日1回未満、飲まない)の割合は、普通乳でそれぞれ52.9%、28.5%、18.6%、低脂肪乳で18.1%、16.4%、65.5%であった。・多変量解析の結果、普通乳を「飲まない」群に対する「毎日1回未満」と「毎日1回以上」の摂取群のサルコペニア保有リスク(多変量調整オッズ比)は、それぞれ0.47(95%信頼区間[CI]:0.22~1.03、p=0.059)、0.41(95%CI:0.20~0.83、p=0.013)となり、「毎日1回以上」摂取群で有意に低かった。・同じく低脂肪乳については、オッズ比はそれぞれ0.82(95%CI:0.36~1.85、p=0.627)、0.54(95%CI:0.20~1.47、p=0.225)であった。・サルコペニア罹患と有意な関連がみられたほかの要因は、高年齢1.16(95%CI:1.11~1.22、p<0.001)、BMI低値2.78(95%CI:1.56~4.96、p=0.001)、BMI高値0.41(95%CI:0.17~0.97、p=0.041)および脊椎系疾患の既往2.05(95%CI:1.08~3.91、p=0.029)であった。 発表者の成田氏は、「普通乳を飲む頻度が高い人では、総エネルギー摂取量や体重1kg当たりのタンパク質量が多く、PFC比におけるタンパク質・脂質比が上昇し、炭水化物比が減少している傾向がみられた。縦断研究で検証していく必要があるが、普通乳を毎日1回以上摂取することは、サルコペニア罹患に防御的であることが示唆された。高齢期における乳・乳製品の継続的な摂取は、筋肉量や身体機能の低下を抑制する可能性がある」とまとめた。

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治療抵抗性うつ病の予測因子に関するコホート研究

 うつ病の治療では、しばしばその後の介入が必要となる。抗うつ薬治療により寛解が得られない患者は、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)といわれる。どのような患者がTRDを発症するか予測することは、医療従事者がより効果的な治療を決定するうえで重要である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、医療保険データベースを用いて、実臨床におけるTRDの予測因子の特定を試みた。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月22日号の報告。 本レトロスペクティブコホート研究は、躁病、認知症、精神病の診断のない新たにうつ病と診断された成人患者を対象に、米国医療保険データベースを用いて実施した。抗うつ薬投与日をインデックス日とした。アウトカムはTRDとし、その定義は、インデック日から1年以内に3種類以上の抗うつ薬治療または抗うつ薬治療後の抗精神病薬治療を行った場合とした。予測因子は、年齢、性別、医学的症状、医薬品、インデック日から1年前の対処とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者23万801例のうち、1年以内にTRDが認められた患者の割合は10.4%であった。・ベースライン時のTRD患者は非TRD患者より若い傾向にあり、18~19歳の割合は10.87% vs.7.64%であった(リスク比=1.42、95%CI:1.37~1.48)。・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に不安障害を有する可能性がより高かった(リスク比:1.38、95%CI:1.35~1.41)。・疲労感が、最も高いリスク比を示した(リスク比:3.68、95%CI:3.18~4.25)。・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛がより頻繁に認められた。 著者らは「新規にうつ病と診断され治療を受けた患者の10%において、1年以内にTRDが認められた。TRD患者は、非TRD患者よりも若く、疲労感、物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛をより頻繁に有していた」としている。■関連記事リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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ダビガトランが非心臓手術後心筋障害の合併症リスク抑制/Lancet

 非心臓手術後心筋障害(MINS:myocardial injury after non-cardiac surgery)を呈した患者に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)110mgの1日2回投与が、重大出血の有意な増大を認めることなく主要血管合併症(血管死、非致死的心筋梗塞など)のリスクを抑制することが、カナダ・マックマスター大学のP J Devereaux氏らによる国際無作為化プラセボ対照試験「MANAGE試験」の結果、明らかにされた。ダビガトランは周術期静脈血栓塞栓症を予防するが、MINS患者の血管合併症に有用であるかはこれまで検討されていなかった。MINS患者は世界で年間800万人に上ると推計され、術後2年間に心血管合併症や死亡リスクの増大が認められている。著者は今回の結果を受けて、「ダビガトラン110mgの1日2回投与により、それら患者の多くを助ける可能性が示された」とまとめている。Lancet誌2018年6月9日号掲載の報告。19ヵ国84病院で、ダビガトラン110mgの1日2回経口投与 vs.プラセボ ダビガトランの主要血管合併症の抑制効果を検討するMANAGE試験は、19ヵ国84病院から、45歳以上で非心臓手術後35日以内にMINSを呈した患者を登録して行われた。 被験者を無作為に1対1の割合で、ダビガトラン110mgを1日2回経口投与する群、または適合プラセボ投与を受ける群に割り付け、投与は最長2年間または試験終了までとした。また、MANAGE試験では部分的2×2ファクトリアルデザイン法が用いられ、プロトンポンプ阻害薬の非服用患者を、オメプラゾール20mgを1日1回投与する群、または適合プラセボ投与を受ける群に1対1の割合で割り付け、主要上部消化管合併症への効果の評価も行われた。無作為化は、試験担当者によって中央施設の24時間コンピュータ無作為化システムを利用したブロック無作為化、層別化が行われ、患者、医療従事者、データ収集者、アウトカム判定者は、治療割付をマスキングされた。 主要有効性アウトカムは、主要血管合併症(血管死、非致死的心筋梗塞、非出血性脳卒中、末梢動脈血栓症、下肢切断、症候性静脈血栓塞栓症)の発生で、主要安全性アウトカムは、致命的・重大・重要臓器出血の複合で、intention-to-treat法に基づき解析が行われた。主要血管合併症の発生ハザード比は0.72、ダビガトラン群で有意に減少 2013年1月10日~2017年7月17日に、1,754例がダビガトラン(877例)またはプラセボ(877例)の投与を受けた。平均年齢はともに70歳、男性はそれぞれ52%、51%。MINSの診断基準は、両群とも80%がトロポニン値評価によるものだった。MINSの診断は術後1日、無作為化は診断後5日に行われた。MINS発症前の手術タイプは整形外科が両群とも最も多かった(38%、39%)。 試験薬の投与は、ダビガトラン群401/877例(46%)で、プラセボ群380/877例(43%)で中断となった。投与期間中央値は、ダビガトラン群80日(IQR:10~212)、プラセボ群41日(6~208)。中断とならなかった患者の投与期間中央値は、それぞれ474日(237~690)、466日(261~688)であった。 主要有効性アウトカムの発生は、ダビガトラン群(97/877例[11%])がプラセボ群(133/877例[15%])よりも有意に少なかった(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.55~0.93、p=0.0115)。 主要安全性複合アウトカムは、ダビガトラン群29例(3%)、プラセボ群31例(4%)で発生した(HR:0.92、95%CI:0.55~1.53、p=0.76)。 なお、オメプラゾールに関する割り付けが行われた患者は556例。結果は別途報告される予定という。

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こどもとおとなのワクチンサイトが完成

 2018年6月17日に乳児から高齢者まで、全年齢向けのワクチン・予防接種の総合情報サイト「こどもとおとなのワクチンサイト」(http://vaccine4all.jp/)が公開された。このサイトは、日本プライマリ・ケア連合学会の内部組織であるワクチンプロジェクトチーム(リーダー:中山 久仁子氏[マイファミリークニック蒲郡 理事長・院長 ]、担当理事:岡田 唯男氏[亀田ファミリークリニック館山 院長])に所属するワクチン・予防接種に関心が深い家庭医・総合診療家庭医が中心となり、執筆・編集したもの。 同サイトの設置・公開については、6月16日より開催されていた同学会の第9回学術大会(三重県津市)内で正式に発表された。不足する全世代に渡るワクチン情報を網羅 ワクチンプロジェクトチーム(以下「PT」と略す)は、家庭医・総合診療医で構成され、ワクチンで予防できる病気(ワクチン予防可能疾患:vaccine preventable disease[VPD])を減らすことを目的に、ワクチンと予防接種の普及啓発を行っている。 今回、サイト設置の背景には、先進国並みに近付いたわが国のワクチンの認可数、定期接種数の増加に伴い、臨床現場の医療従事者のみならず保護者や一般市民にとっても深く広いワクチンの知識が求められる時代となったことを指摘。また、定期接種化される前の世代への追加予防接種(キャッチアップ)の必要性、海外渡航前のワクチン接種の重要性など定期接種以外の知識や技能も欠かせないと説明する。 こうした環境の中、全世代のワクチン・予防接種について包括的に網羅した情報源はいまだ乏しいとされ、PT活動の一環として同サイトが設置・公開された。小児のみならず成人のワクチンスケジュール情報も記載 同サイトは、「ワクチンと病気について」「ワクチンのおはなし」「こども、おとな、全年齢での接種スケジュール」「最近のトピックス」で構成され、たとえば「ワクチンと病気について」では、B型肝炎、ロタウイルスをはじめ24種が現在紹介されているほか、詳細なワクチン情報として医療従事者、妊娠可能女性・妊婦、渡航者、特別な状況(HIV感染者など)、年齢で見る・不足しているワクチンの5つに分類して記載されている。 また、同サイトは、次の方針で運営される。・一般市民と医療従事者の双方をターゲットユーザとする・乳児期から高齢世代まで、海外渡航前や妊娠・授乳中など、あらゆる世代や人口集団を対象とした、包括的なワクチン・予防接種の情報源となる・ワクチン・予防接種に関する良質な医学的エビデンスに基づき、科学的に妥当な情報発信を行う・一般市民と医療従事者の、ワクチン・予防接種についての心配や疑問などを軽減ないし解消すべく、ワクチンコミュニケーションに関する情報提供や普及啓発も行う PTでは、このサイトを通じて「一般市民と医療従事者の双方に、全世代向けワクチン・予防接種の的確な情報を幅広く伝え、VPDがさらに減少することを目指し、適切なサイト運営と情報発信を続けていく」とコメントしている。■参考「こどもとおとなのワクチンサイト」

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オゼノキサシン1%クリーム、膿痂疹に有効

 オゼノキサシンは、グラム陽性菌への強い殺菌的な抗菌作用を示す新規局所抗菌薬で、接触感染で広まる皮膚の細菌感染症である膿痂疹に対する治療薬として、1%クリーム剤が開発された。米国・ベイラー医科大学のTheodore Rosen氏らは、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、オゼノキサシン1%クリームが生後2ヵ月以上の膿痂疹患者に有効で、安全性と忍容性も良好であることを報告した。著者は、「オゼノキサシンクリームによる治療は、膿痂疹の新しい治療の選択肢となる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。 研究グループは、膿痂疹におけるオゼノキサシン1%クリームの有効性、安全性および忍容性を評価する目的で、2014年6月2日~2015年5月30日に6ヵ国で登録された患者に対し無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った。この結果は、2015年7月9日~22日に解析された。 対象は、膿痂疹に感染した生後2ヵ月以上の乳幼児を含む小児および成人患者411例(男性210例[51.1%]、平均年齢18.6[SD 18.3]歳)で、オゼノキサシン群とプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、1日2回5日間塗布した。有効性、安全性および忍容性は、Skin Infection Rating Scaleと微生物培養を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。・5日後の臨床的な治療成功率は、オゼノキサシン群がプラセボ群より有意に高かった(206例中112例[54.4%]vs.206例中78例[37.9%]、p=0.001)。・2日後の微生物学的な治療成功率もまた、オゼノキサシン群がプラセボ群より有意に高かった(125例中109例[87.2%]vs.119例中76例[63.9%]、p=0.002)。・オゼノキサシン群は忍容性が高く、206例中8例で有害事象が報告されたが、オゼノキサシンによる治療と関連があったのは1例のみで、重篤な有害事象はみられなかった。

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CABG後もSAPTよりDAPTが優れている?(解説:上田恭敬氏)-879

 SVGを用いた待機的CABG症例を対象とし、術後の抗血小板療法をチカグレロル+アスピリン併用(DAPT)、チカグレロル単独、アスピリン単独の3群に無作為に割り付け、1年後のSVG開存を主要評価項目としたRCTの結果が報告された。SVGの開存はCTあるいはCAGによって評価された。 本試験では、中国の6施設において500症例が、チカグレロル+アスピリン併用(168症例)、チカグレロル単独(166症例)、アスピリン単独(166症例)の3群に割り付けられた。主要評価項目である1年時点でのSVG開存率は、チカグレロル+アスピリン併用群で88.7%とアスピリン単独群の76.5%より有意に高値であったが、チカグレロル単独群の82.8%はアスピリン単独群と統計的に差を認めなかった。 出血性イベントについては、軽度のものまで含めるとチカグレロル+アスピリン併用群で頻度が多いように思われたが、出血性イベントおよびMACE(composite of cardiovascular death, nonfatal myocardial infarction, or nonfatal stroke)を統計的に比較するには症例数が少な過ぎたと結論している。 以上より、本研究で示されたことは、「CABG後1年でのSVG開存率がアスピリン単独群よりもチカグレロル+アスピリン併用群で有意に高かった」ということで、MACEや出血性イベントの違いについては十分評価できなかったということになる。しかし、試験がオープンラベルで行われたこともlimitationとして指摘されており、エビデンスとして確立するためには、今回の結果をより大規模のRCTで検証する必要がある。PCI後の抗血栓療法において、DAPT vs.SAPTが活発に議論されているが、CABG後においても、今後同様の議論が展開されるべきであろう。そのためには、CABG症例を対象としたさまざまなRCTが実施される必要がある。

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015)学会でありがちなこと【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第15回 学会でありがちなことしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆日本皮膚科学会の総会は、毎年6月頃に開催されるので、これに関連して、「学会あるある」を漫画にしてみました☆皮膚科の専門医制度は、ポイント(単位)取得制です。ということで、学会に参加したら「とりあえずビール」ならぬ「とりあえずカード(=参加登録)」は必須任務!!会員証(カード)を機械に通して参加費を払ったら、自動的にポイントが付与される仕組みです。とくに年1回の総会は、参加する先生方も多く(もらえるポイントも1番大きい)、昔馴染みの仲間が集まり、プチ同窓会的なシーンが繰り広げられることも・・・。(しかし、2018年度から新専門医制度への移行があり、カードを「ピッ」するだけで、単位取得が済む時代は終わりつつあります・・・。キビシイィ~!!)学会は何日間か開催されるので、各々で参加する日程はもちろん異なる訳ですが、開催地が、飛行機の本数が少ない地域だったりすると、さぁ大変!帰りは、決して広くない空港ラウンジで、各大学のグループと共に同じ飛行機を待ち、いざ搭乗の際には、並み居る教授の集団(ビジネスクラス)をすり抜けて、エコノミークラスまでたどり着かなければならないという・・・。「全員、皮膚科☆」という安易なテロップが、一瞬頭をよぎります。笑今年の総会は遠方で参加できなかったので、ぜひ、来年は参加したいデルぽんなのでした~☆それでは、また~!

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