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素因遺伝子パネルと膵がんリスクの関連(解説:上村直実氏)-886

 わが国の死因順位をみると悪性新生物による割合が増加し続けているが、最近、肝炎ウイルスやピロリ菌による感染を基盤に発症することが判明した肝臓がんや胃がんによる死亡者数が激減しており、さらに、増加し続けてきた肺がんと大腸がんによる死亡者数もついに低下してきた。このような状況の中、毎年のように死亡者数が増加しているのが膵がんである。 膵がんは、発見された際に手術可能な症例が約30%であり、5年生存率も10%以下で予後の悪いがんの代表とされており、早期に発見できる方法が世界中で模索されている。今回、血液で測定可能ながん素因遺伝子パネルを用いて膵がんリスクを検討した研究結果がJAMA誌に掲載された。 3,030例の膵がん症例と対照5万3,105症例を対象として、素因遺伝子の生殖細胞系列変異の頻度を比較した結果、対照と比較して膵がんと関連すると考えられる6つの素因遺伝子変異(Smad4、p53、ATM、BRCA1、BRCA2、MLH1)が同定され、この変異が全膵がん患者の5.5%にみられたことから膵がんの中には遺伝的な素因を有する患者が少なくないことが示唆される。また、がんの既往歴や乳がんの家族歴がこれらの遺伝子変異と関連性を認めていることも、臨床現場で留意すべき点である。 一方、アンジェリーナ・ジョリーの乳房切除で注目された遺伝性乳がんの原因であるBRCA変異が陽性の場合はプラチナ製剤やPARP阻害薬が奏効する可能性が高く、今後、治療法の選択にも遺伝子変異のチェックをしたほうがよい時代となることが予感された。 近い将来、実際の臨床現場において血液検査で種々の素因遺伝子パネルを用いたリスク分類による膵がんの早期発見が可能となることが期待されるが、膵がんの発症は遺伝的要因と環境要因の相互作用に基づく症例が大部分である。したがって、膵がんに関しては動物実験や腫瘍組織の検討から局所における遺伝子異常の解析が進んでいること、腹部超音波や内視鏡検査の精度も向上していることから、今後、素因遺伝子パネルとともに新たな早期発見方法が期待される。

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ブル【どう頼む?どう分かってもらう?】

今回のキーワード裁判心理学分析力信頼感プレゼンテーション能力社会脳インフォームド・アセントみなさんは、なかなか相手にうまく頼めないと悩んだことはありますか? どうすれば頼み事に応じてもらえるでしょうか? どうすれば自分のことをより分かってもらえるでしょうか? 私たちは、日々、職場や家庭で、相手に頼んだり頼まれたり、一方で応じたり、そして拒んだりしています。できることなら、うまく頼んで応じてもらいたいですよね。今回は、「どう頼む?」をテーマに、アメリカの連続ドラマ「ブル」を取り上げます。ブルは、ちょっと風変わりな心理学者です。彼の心理学的な手法によって、裁判で陪審員の心を動かし、毎回、クライアントを有利に導きます。このドラマで一貫しているのは、ブル側の主張を分かってもらうために、自分たちの視点以上に、相手の陪審員たちの視点に目が向いていることです。この手法は、裁判に心理学を駆使しているという意味で、裁判心理学と呼ばれます。ここから、「どう頼む?」の要素を主に3つに分けて整理してみましょう。それは、「誰に頼む?」、「誰が頼む?」、そして「何を頼む?」ということです。誰に頼む? ―相手をよく知る分析力ブルは、情報収集のチームを組んで、裁判の陪審員候補たちの日々の生活、人間関係、ネット検索履歴などを徹底的に洗い出します。また、陪審員を選別する最初の段階では、例えば「なぜ風邪をひくのでしょう?」等の質問をします。これは、風邪という不確定なものへのコントロール感です。「体調管理を怠ったから」と答える人は、被害者意識が少ないとブルは分析します。その他に「歴史上で尊敬する人は?」「銃を突きつけられたらどうする?」などの質問を通して、陪審員の価値観が理想主義か現実的か、合理主義か感情に流されやすいかを見極めます。これらのプロファイリングをもとに、価値観が不利な陪審員を外し、ブル側になるべく有利な陪審員を残します。1つ目のポイントは、「誰に頼む?」、つまり相手のことをよく知る分析力です。ブルのように、私たちも、この分析力を発揮しましょう。今回は、相手のコミュニケーションのタイプを分析することによって、それぞれの頼み方を考えてみましょう。コミュニケーションのタイプは、大きく3つに分けることができます。(1)ピラミッド型1つ目は、ピラミッド型です。これは、ピラミッドのような力関係を重んじるコミュニケーションタイプです。このような相手には、上下関係を前面に出した頼み方が有効です。例えば、「これはあなたがやるべき仕事です」「これは組織としての命令です」などとシンプルにストレートに伝えることです。注意点としては、相手ができそうなことのみに限って頼むことです。逆に言えば、相手ができそうにないことは初めから頼まないことです。なぜなら、相手に断る余地があまりないので、無理な頼み事を引き受けさせて、相手を追い込んでしまうからです。そうならないために、普段から相手の能力を把握する分析力も必要です。(2)ファミリー型2つ目は、ファミリー型です。これは、ファミリー(家族)のような信頼関係を重んじるコミュニケーションタイプです。このような相手には、親密な人間関係を全面に出した頼み方が有効です。例えば、「やってくれるとうれしい」と気持ちを添えたり、「みんな順番でやってるの。やってないのはあなただけ(次はあなたの番)」と遠回しに伝えることです。人は大多数の人と同じことをしていたいという心理を利用しています(同調性)。また、最初に断られても、「やりたくないの?」「残念だわ」「あなたらしくないのね」「仕方ないわね」と逡巡しながら引き下がるそぶりを見せることです。すると、相手は「引き受けた方が良いかな?」と揺さぶられます。「押してだめなら引いてみる」という発想です。これは、あえて頼みを引き下げることで相手の断ることへの抵抗が出てくる心理を利用しています(心理的抵抗)。さらに、「この仕事とあの仕事、どっちが良い?」「この仕事、いつから始めるのが良い?」などと質問することです。これは、最初から二択に持ち込んだり(二択質問)、引き受けることを前提にしています(前提質問)。ちなみに、二択のうちの対抗選択肢は、「かませ犬」になりますので、引き受けにくそうなものが良いでしょう。注意点としては、「いつも私ばっかり」と思われないように、普段から他のメンバーとの分担のバランスを見極める分析力も必要です。(3)フラット型3つ目は、フラット型です。これは、フラット(対等)な協力関係を重んじるコミュニケーションタイプです。このような相手には、ビジョン(目標)を共有した仲間意識や役割意識を全面に出した頼み方が有効です。例えば、「クライアントの満足度を上げる目標のために、あなたの役割はこれ」「あなただからこそやってほしい」「あなたにしかできない」と情熱的に伝えることです。言い回しとしては、「この仕事をすることは可能?」と確認の形にすることで、相手の対等な関係に配慮していることを伝えられます。また、「クライアントさんの笑顔が目に浮かぶ」など、イメージが浮かびやすい例えを使うのも効果的です。さらに、「こういう仕事があるんだけど、この仕事のメリットって何だと思う?」と尋ねて、まず相手にメリットを聞き出して、その後に「じゃあやってみる?」と誘導することです。これは、良さをあえて考えさせて、良いと思い込ませることで、引き受けやすくなる心理を利用しています(自己説得法)。先ほどの二択質問との合わせ技としては、「この仕事とこの仕事はどっちが自分に合ってそう?」「そう思うのは何か理由がある?」という質問になります。注意点としては、普段から、相手のビジョンや好みをよく知り、ビジョンのすり合わせをしたり、役割意識を見いだす分析力も必要です。誰が頼む? ―相手が耳を傾けたくなる信頼感ブルは、一流のスタイリストをチームのメンバーにしています。そして、クライアントの身だしなみ、髪型、化粧の濃さまで、細かくチェックしています。陪審員の先入観がいかに判決に影響を及ぼすかをブルは熟知しています。また、弁護する代理人は、ある時はテレビで好感度の高い有名人、また別のある時は癒し系の女性が引き受けます。陪審員の好みやケースの内容によって、最も有利な代理人を選んでいます。2つ目のポイントは、「誰が頼む?」、つまり相手が耳を傾けたくなる信頼感です。ブルのように、私たちもこの信頼感を思う存分に発揮しましょう。信頼感は、大きく3つに分けることができます。(1)好意1つ目は、好意、好感度です。相手に「あの人の頼みなら」と思わせることです。相手によく思われている、少なくとも嫌われていないことです。そもそも嫌われているとこちらも分かっていたら、頼みにくいです。まず、自分が相手をよく思うことです。そのために、相手の良いところを探すことです。そして、相手をよく思っていることをアピールすることです。これは、好意を寄せられれば、お返しのように魅力を感じる心理を利用しています(魅力の返報性)。また、親近感を出すことです。そのために、共通点を探すことです。経歴、趣味、人間関係などで相手との共通点を見つけ出し、相手と「近い」ことをアピールすることです。これは、近かったり似ていれば、時間的にも肉体的にも経済的にも負担(コスト)が少なくて済むと感じる心理を利用しています(社会的交換理論)。さらに、相手の自尊心を高めることです。そのために、感謝を探すことです。「悩んでいるから聞いてほしい」とあえてこちらから相談を持ちかけ、「聞いてくれてありがとう」と相手に普段から感謝し、相手を頼りにしていることをアピールすることです。これは、不利な状況の人には助けたい、よくしてあげたいと感じる心理を利用しています(アンダードッグ効果)。(2)恩義2つ目は、恩義です。相手に「お返しをしなければ」「お返しをしたい」と思わせることです。普段から親切に接したり、丁寧に伝えることを通して相手を気に掛けたり心配することです。それが相手のお返しの気持ちにつながります。これは、頼み事をする時に、先に謝礼を出すと承諾が得られやすいことに似ています(事前謝礼法)。さらに、先ほどにも触れたように、こちらからあえて相談を持ちかけたり、小さな頼み事を普段からすることです。そうすることで、逆に相手からの相談や頼み事を引き受けやすくなり、お返しの気持ちを得やすくなります。これは、人は自分の経験や周りの状況を基準にして、行動を起こすかを決めるという心理を利用しています(参照点)。また、小さな頼み事については、相手から毎回承諾を得ることです。そうすることで、相手はそれまでの承諾に引きずられて、より大きな承諾をしやすくなります。これは、人は一貫した態度をとり続けたいという心理を利用しています(一貫性要求)。(3)権威3つ目は、権威です。相手に「上の人や他の人にも頼まれるからにはさすがに」「そこまでするなら」と思わせることです。つまり、「1人でだめなら、2人で押す」ということです。自分だけでなく、さらに上の上司や他の同僚にも協力をしてもらい、人数をかける、人数を増やしていくことです。「誰が頼む?」だけでなく、「誰と頼む?」ということも重要だということです。これは、頼む行為に対して労力(コスト)をかけている、その分大切にされているという心理を利用しています。また、人は大多数の意見に合わせたいという心理も利用しています(同調性)。何を頼む? ―納得できるプレゼンテーション能力ブルは、陪審員のプロフィールから、陪審員たちの知的レベルや知識レベルを分析します。ブル側の代理人には、そのレベルに合わせた言葉や表現をするよう指示します。また、例えば、ある陪審員が料理人なら、その人の前では話を料理に例えます。法廷で、ブルはいつも陪審員の表情やしぐさなどをちらちらと観察しています。例えば、陪審員が専門用語で上の空になっているなら、かみ砕いた言い回しや例えをするよう代理人に仕向けます。そして、オフィスには、本物の裁判の陪審員と同じプロフィールの模擬陪審員を集めて、徹底的にリハーサルとシミュレーションをしています。時には、8歳の子どもの模擬陪審員を集めて、模擬裁判を行い、弁論が子どもたちにも理解できるか確認しています。このように、陪審員の反応に合わせて、最も有利な弁論を展開しています。3つ目のポイントは、「何を頼む?」、つまり相手が納得できるプレゼンテーション能力です。ブルのように、私たちもこのプレゼンテーション能力を思う存分に発揮しましょう。今回は、相手から「この頼みなら」と思われるように、頼み事を限定するプレゼンテーションを考えてみましょう。そのポイントを3つあげてみましょう。(1)いつから1つ目は、いつからと開始日をなるべく遠い先に設定することです。これは、遠い先であればあるほど引き受けやすいからです。逆に、直前であればあるほど引き受けにくくなります。例えば、できるだけ前から頼み事の相談をして、あらかじめ承諾を得ておくことです。または、時間をかけて理解を得ることです。いわゆる根回しとも言えます。これは、遠い先であればあるほど負担(コスト)の見積もりが目減りする心理を利用してます(プロスペクト理論)。(2)いつまで2つ目は、いつまでと期間を限定することです。これは、短期間であればあるほど引き受けやすいからです。逆に、無期限で引き受けて納得が行かなかった場合、不快な思いがずっと続くリスクがあるため、引き受けにくくなります。例えば、「とりあえず1週間」とお試し期間を設けることです。納得が行かなくても、1週間限りであれば、引き受けやすいです。逆に、納得が行けば、その仕事に思い入れも沸いてきて、その後も続けてやりたいと思うでしょう。これは、ちょうどペットの仔犬を売りたい時、1週間だけお試し無料で客に引き渡し、1週間後に客が仔犬に愛着がわいてきたところで正式に購入してもらう販売テクニックに似ています(仔犬契約法)。(3)どれだけ3つ目は、どれだけと内容を限定することです。これは、頼む中身が限られていればいるほど引き受けやすいからです。逆に、曖昧で解釈によって無制限に頼み事が増える可能性があれば、引き受けにくくなります。貧乏くじを引くと思わせないことがポイントです。例えば、「これだけはやってもらう必要がある」と頼み事の内容をシンプルに限定することです(デッドライン・テクニック)。また、「どういう条件だったらできそう?」と逆提案を促し、相手に頼む中身を限定させることです。これは、NOと言い続ける人に対して効果的でしょう。頼むとは?進化心理学的に言えば、人間が、他の動物と決定的に違うことは、相手に頼まれたり頼んだりすることを通して、協力関係を築くこと、つまり社会脳を進化させたことです。そして、高度な社会を築き、文明を発展させました。そのためには、こちらが相手の気持ちを汲んで、信じてもらって、分かりやすく伝えることが重要になります。これが、まさに今回ご紹介した分析力、信頼感、プレゼンテーション能力です。医療の現場では、インフォームド・コンセント(説明と同意)の重要性はますます高まっています。これは、治療について医師が十分な説明をして患者から同意を得ることです。さらに、最近では、インフォームド・アセントも求められています。アセント(assent)とは、コンセント(consent)の同意よりも堅苦しい言い回しで、「合意」が近い訳になるでしょう。これは、同意の対象を、大人だけでなく、子どもにまで広げることです。例えば、小児がん、小児の注意欠如・多動症(ADHD)で、子どもにも分かりやすい説明をして、親だけでなく当事者の子どもからも同意を得ることです。患者の権利(リスボン宣言)だけでなく、子どもの権利(子どもの権利条約) への配慮もますます求められていると言えるでしょう。逆に言えば、医師が専門用語を並び立てて、患者に一方的に治療方針を説き伏せるのはもはや時代遅れであるということです。これは、かつてパターナリズム(父権主義)と呼ばれていました。また、学会、会議、講義の場で、原稿や教科書をロボットのようにただ読み上げることも時代遅れであると言えるでしょう。特に医師をはじめとする医療関係者は、今後ますます説明が求められます。ブルの手法は、裁判だけでなく、医療や教育のコミュニケーションにも、もっと広げて考えれば日常のコミュニケーションにも通じるものがあります。私たちが、誰かと協力して何かをしようとするとき、新しいことや大きなことであればあるほど、頼み事、頼まれ事が増えていくものです。そんな時、スムーズに思いが伝わり人を動かせていることこそ、まさにこのドラマのサブタイトルにある「心を操る」と言えるのではないでしょうか?1)法と心理「心理学は裁判員裁判に何ができるか」:日本評論社、20092)社会心理学:山岸俊男監修、新星出版社、20113)「人たらし」のブラック交渉術:内藤誼人、だいわ文庫、2009

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「旅行にいくと太る」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第19回

■外来NGワード「旅行では食べ過ぎないようにしないと!」(行動を責めてしまう)「そんな旅行をしないようにしなさい!」(患者の楽しみを奪ってしまう)「旅行で太った分、早く痩せないと…」(プレッシャーをかけてしまう)■解説 「旅行にいって太った」という患者さんに対して、「旅行では食べ過ぎないようにしないと!」と指導しても後の祭りです。「旅行にいくと太る」という患者さんには、「旅行くらい羽目を外してもいいだろう」とか、「せっかく旅行に来たんだから食べないと…」という心理が働いています。さらに、旅行では、朝はバイキング、バスの中ではおやつ、夜は豪華な懐石料理など、食の誘惑がたくさんあります。そういった患者さんの行動パターン(食べ放題で食べ過ぎる、バス移動で身体を動かさないなど)を一緒に分析してみましょう。逆に、太らない旅行ができる患者さんもいます。たとえば、遊園地で動き回り、園内の食べ物は高いため、あまり食べないとか。近年は、健康に配慮した旅行プランも提供されています。以前は好き嫌いがある人でも楽しめるよう、夕食は豪華でさまざまなものが出てきましたが、最近では、夕食を量より質で選べるコースがあるようです。そのような情報を患者さんに伝えながら、療養指導を上手に行いましょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師今度、旅行にいかれるのはいつですか?(次回の予定の確認)患者まだ、決めていないんですが、旅行にいくと太ってしまって…。医師そうですか。それでは、今日は旅行しても太らずに帰ってくる方法をお話ししましょうか。患者よろしくお願いします。医師まず、「太りやすい旅行」と「太りにくい旅行」があります。患者えっ、それはどういうことですか?(興味津々)医師太りやすい旅行は、朝からバイキングなどでいろいろなものを食べ過ぎる。患者それ、私です! いつもの朝食は軽めなのに、旅行だとご当地ものとか、ついたくさん食べてしまって…。医師ハハハ…。移動はバスで、仲間同士おやつを交換するとか。患者そうなんです。みんな持ち寄りで…。それと、お土産屋さんでさらに買って…。医師ハハハ…。それほど動いていないのに、昼も食べ放題。夜は豪華なごちそうを堪能する。患者まさに、そのとおりです。どうしたらいいですか?医師先日、旅行にいっても太らず、むしろ痩せて帰ってきた人がいました。患者どんな風にされたんですか?医師その人は…(太らない旅行についての解説が始まる)■医師へのお勧めの言葉「“太る旅行”と“太らない旅行”がありますよ!」■参考資料

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黄色靭帯骨化症〔OLF:ossification of ligamentum flavum〕

1 疾患概要■ 概念・定義脊柱は、脊椎骨が椎間板と椎間関節を介して上下に積み重なって構成されている。前縦靭帯と後縦靭帯が、頸椎から腰椎まで連続して脊椎骨と椎間板を連結し、前後左右にずれることを防いでいる。黄色靭帯は脊柱管内の椎弓の前面にあって、1椎間ごとに上下の脊椎骨を連結する。このうち、黄色靭帯および後縦靭帯が骨化すると、脊髄を圧迫して麻痺の原因となる。無症候性の骨化も多く、画像上骨化を認めるだけでは疾患として認めないという考え方もある。■ 疫学黄色靱帯骨化症(ossification of ligamentum flavum:OLF)は、全脊柱に発生するが、頸椎では組織学的には靱帯骨化症と異なり、靭帯内に石灰が沈着する石灰化症であることが多い。骨化の存在証明には単純X線所見による診断は不正確で、CT検査が必要である。MRI検査では脊髄の圧迫の有無を確認できるが、骨化か石灰化かの区別はしにくい。15歳より高年齢の患者で、撮影済みの胸部CT所見3,013例(男性1,752例、女性1,261例)を調査した結果では、胸椎の黄色靭帯骨化症は1,094例2,051椎間に認められた1)。平均年齢は66歳で、男性の38%、女性の34%に当たり、30歳以後はすべての年代で30~40%の頻度でみられた。また、高位別には第4胸椎/第5胸椎間と第10胸椎/第11胸椎間の二峰性のピークをなす。ただし、これは黄色靭帯骨化が胸椎にみられる頻度を示した研究であり、症状の有無は不明である。厚生労働省の特定疾患の登録者は、平成28年には5,290人であり、頸椎後縦靭帯骨化症の38,039人よりもかなり少ない。■ 病因脊柱靱帯骨化症の一部分症であり、厳密な原因は不明である。遺伝的な背景を持つ全身的な靭帯骨化傾向に、局所的かつ動的な機械的ストレスが加わって生じると考えられている。発症年齢は比較的高齢者に多いが、胸腰椎移行部に投球動作によってストレスが加わりやすい野球のピッチャーでは比較的若年の発症が認められる。病理学的には正常で80%の弾性線維と20%の膠原線維から構成される黄色靭帯において、膠原線維比率が増加し、軟骨組織の出現を認める。軟骨組織は周囲基質の石灰化を伴い、次第に骨化を形成するという内軟骨性骨化を来す。ただ、一部には膜性骨化を認めることもある2)。一方、黄色靭帯石灰化症は、変性した弾性線維内にピロリン酸カルシウムやハイドロキシアパタイトの結晶が腫瘤状に沈着して、脊髄・馬尾障害を生じる病態である3)。■ 症状頸椎黄色靭帯石灰化症や胸椎黄色靭帯骨化症では脊髄障害が出現する。初発症状として上下肢のしびれ、感覚障害のほか、脱力感、痛み、局所痛などが出現する。進行すると下肢のしびれや痙性、筋力低下などによる歩行障害が生じ、日常生活に障害を来す。麻痺が高度になれば横断性脊髄麻痺となり、膀胱直腸障害も出現する。腰椎でも黄色靭帯骨化症が発生すれば、腰部脊柱管狭窄症による間欠跛行と同じように、歩行による下肢痛やしびれの増強がみられる。神経学的には頸椎や胸椎の脊髄障害では下肢腱反射の亢進と感覚障害が生じるが、筋力は比較的保たれることが多い。胸腰椎移行部の脊髄円錐付近で脊髄が圧迫されると、腱反射低下や膀胱直腸障害、筋萎縮を来すことがある。■ 分類骨化は、横断面では多くの場合にはもとの黄色靭帯の表面に沿って発生し、脊柱管を狭める(図1)。まれに正中部にも発生する。矢状面(側面)では黄色靭帯骨化は脊柱管内に大きく突出し、脊髄圧迫を来す(図2)。現時点ではコンセンサスを得ている形態分類はない。画像を拡大する画像を拡大する■ 予後いったん脊髄症状が出現すると自然回復の可能性は低く、進行性に悪化する。転倒などの軽微な外傷で、急に麻痺の発生や増悪を来すことがあり、早急に手術を行う必要がある。しかし、神経症状なしに、たまたま見つかった骨化は経過を観察してもよい。予防手術は一般的に行われることはなく、手術は下肢神経症状が出たときに考慮する。ただし、症状がなくても脊柱靱帯骨化症の一部分の病気と考えられるので頸椎、胸椎、腰椎の画像検査が勧められる。骨化症が存在することが判明すれば、定期的な画像検査を行ったほうがよい。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)指定難病としての診断基準は次のとおりである。診断基準黄色靱帯骨化症1.主要項目1) 自覚症状ならびに身体所見(1)四肢・躯幹のしびれ、痛み、感覚障害(2)四肢・躯幹の運動障害(3)膀胱直腸障害(4)脊柱の可動域制限(5)四肢の腱反射異常(6)四肢の病的反射2) 血液・生化学検査所見一般に異常を認めない。3) 画像所見(1)単純X線側面像で、椎間孔後縁に嘴状・塊状に突出する黄色靱帯の骨化像がみられる。(2)CT脊柱管内に黄色靭帯の骨化がみられる。(3)MRI靱帯骨化巣による脊髄圧迫がみられる。2.鑑別診断強直性脊椎炎、変形性脊椎症、強直性脊椎骨増殖症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊柱奇形、脊椎・脊髄腫瘍、運動ニューロン疾患、痙性脊髄麻痺(家族性痙性対麻痺)、多発ニューロパチー、脊髄炎、末梢神経障害、筋疾患、脊髄小脳変性症、脳血管障害、その他。3.診断画像所見に加え、1.に示した自覚症状ならびに身体所見が認められ、それが靱帯骨化と因果関係があるとされる場合、本症と診断する。4.特定疾患治療研究事業の対象範囲下記の(1)、(2)の項目を満たすものを認定対象とする。(1)画像所見で黄色靭帯骨化が証明され、しかもそれが神経障害の原因となって、日常生活上支障となる著しい運動機能障害を伴うもの。(2)運動機能障害は、日本整形外科学会頸部脊椎症性脊髄症治療成績判定基準(表)の上肢運動機能 Iと下肢運動機能 IIで評価・認定する。頸髄症:I 上肢運動機能、II 下肢運動機能のいずれかが2点以下(ただし、I、IIの合計点が7点でも手術治療を行う場合は認める)胸髄症あるいは腰髄症:II 下肢運動の評価項目が2点以下(ただし、3点でも手術治療を行う場合は認める)表 日本整形外科学会頸部脊椎症性脊椎症治療成績判定基準(抜粋)I 上肢運動機能0.箸又はスプーンのいずれを用いても自力では食事をすることができない。1.スプーンを用いて自力で食事ができるが、箸ではできない。2.不自由ではあるが、箸を用いて食事ができる。3.箸を用いて日常食事をしているが、ぎこちない。4.正常注1きき手でない側については、ひもむすび、ボタンかけなどを参考とする。注2スプーンは市販品を指し、固定用バンド、特殊なグリップなどを使用しない場合をいう。II 下肢運動機能0.歩行できない1.平地でも杖又は支持を必要とする。2.地では杖又は支持を必要としないが、階段ではこれらを要する。3.平地・階段ともに杖又は支持を必要としないが、ぎこちない。4.正常注1平地とは、室内又はよく舗装された平坦な道路を指す。注2支持とは、人による介助、手すり、つかまり歩行の支えなどをいう。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)症状が局所痛など軽い場合は、薬物療法などで経過をみるが、脊髄症状が明らかな症例には手術を勧める。椎弓を切除して骨化を摘出することで、神経組織の圧迫を解除する。骨化を摘出することで椎間関節が失われる場合には、後方固定術を追加する。4 今後の展望後縦靭帯骨化症に関しては、疾患関連遺伝子に関する研究が進んでいるが、黄色靭帯骨化症に限定した遺伝的研究はない。今後は、関連遺伝子の機能解析を進めることにより、骨化形成を阻害する薬剤の開発が望まれる。5 主たる診療科脊椎脊髄病に精通した整形外科または脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 黄色靭帯骨化症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本整形外科学会 後縦靱帯骨化症・黄色靭帯骨化症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Mori K, et al. Spine. 2014;39:394-399.2)吉田宗人. 脊椎脊髄. 1998;11:491-497.3)山室健一ほか. 脊椎脊髄. 2007;20:125-130.公開履歴初回2018年07月10日

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意外と取れてる後発品加算【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第4回

2018年4月の調剤報酬改定から、後発医薬品調剤体制加算の算定基準や点数が変更になりました。ほかの薬局はどのくらい加算が取れているのか気になるところではないでしょうか。改定後の加算状況が報じられましたので、ご紹介します。2018年度調剤報酬改定で数量シェアの基準を引き上げ、2段階から3段階評価に切り替えた、薬局の「後発品調剤体制加算」について、(中略)全国の50%(2万8,923店舗)がいずれかの加算を算定していることがわかった。昨年7月時点では、全国の薬局の約63%(約3万7,000店舗)が算定していたが、その後の伸びも踏まえると、改定前後で約1万店舗が加算算定から“脱落”した格好だ。(2018年6月28日付 RISFAX)前回の算定基準では、加算1と加算2のどちらかを算定している薬局は約63%でしたが、今回の改定によって加算を算定する薬局が50%に減ったということで、この記事では加算から脱落した薬局の多さを強調しています。しかし、私個人としては、思っていたよりも加算を算定することができた薬局が多いなという印象です。17%の薬局が新たに後発医薬品使用割合75%を達成後発医薬品調剤体制加算に求められる後発医薬品使用割合は、2016年改定(2018年3月末まで)では加算1が「65%以上」で18点、加算2が「75%以上」で22点でした。それが2018年度の改定では、点数は同じままで加算1が「75%以上」、加算2が「80%以上」に引き上げられ、さらにその上に加算3として「85%以上」の26点が新設されています。低い基準を打ち切り、高い基準を新設することでより後発医薬品の使用を促進させようという意図がはっきりわかります。この算定基準の引き上げが公表されたとき、かなり厳しいという印象を受けたことを今でも覚えています。前述のとおり、今回75%以上を達成し、1~3のいずれかの加算を算定した薬局は全体の約50%でしたが、前回の算定基準で75%以上の加算2を算定した薬局は33%でした。このことから、その差である約17%の薬局、つまり全国の薬局約5万5,000店舗のうち約9,000超の薬局が後発医薬品の使用割合を増やし、新たに加算を算定できるようになったと考えられます。高いハードルであっても地道な努力によって使用割合を達成した薬局がこれほど多いということは、少し勇気をもらえる事実ではないでしょうか。後発医薬品の使用可否は医師や患者さんの意向も大きく、薬剤師だけではどうしようもないこともあります。しかし、手をこまねいているのではなく、先発医薬品から薬剤の味や使いやすさなどが改良されている後発医薬品もあるので、積極的に患者さんのメリットを紹介してみてはいかがでしょうか。今年4月から病院やクリニックの外来処方箋に対する「外来後発医薬品使用体制加算」も2段階から3段階に改められたのをネタに、医師や事務の方とお話ししてもいいかもしれません。

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近視眼患者の緑内障鑑別にSD-OCTが有益

 韓国・ソウル大学のSung Uk Baek氏らは、近視眼患者における緑内障の診断精度向上のために開発した、スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)の局所パラメータを用いた新しいスコアリングシステムが、近視患者の健康な眼と緑内障の鑑別に有用であることを示した。著者は、「近視眼患者の緑内障発見のため、SD-OCTによるマルチ局所パラメータの使用は意義がある」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、新たに開発したスコアリングシステムの緑内障診断能の検証を目的とした横断研究を行った。対象は、強度近視175眼(等価球面度数[SE]<-6.0Dまたは眼軸長>26.0mm)を含む、計517例(517眼 SE<-1.0Dまたは眼軸長>24.0mm)で、トレーニングテスト群(241眼)とバリデーションテスト群(276眼)の2群に分け検証した。 網膜神経線維層(RNFL)の異常な形態的パターン(大きさ、形、位置、および偏位と厚みマップの一致)、ならびに神経節細胞層+内網状層(GCIPL)の異常な形態的パターン(大きさ、形、位置、色調、マップの一致、step sign)に基づき、RNFLとGCIPLの局所的兆候を抽出した。RNFLおよびGCIPLの異常は、近視眼患者の緑内障における偏位と厚みマップにおいて高い尤度を示したものとした。診断スコアはトレーニングセットを使用し、感度、特異度、陽性尤度比(PLR)それぞれの診断兆候に従って編集された。さらに、ROC曲線下面積(AUC)を用いて、OCTで得られたパラメータとバリデーションテスト群のスコアリングシステムを比較した。 主要評価項目は、AUCで検証した新しいスコアリングシステムの診断精度であった。 主な結果は以下のとおり。・RNFLとGCIPLの全パラメータの中で、診断精度はGCIPLの厚みマップにおける耳側半視野非対称の存在(PLR:5.98)が最も高く、次いでRNFL欠損の位置(PLR:5.79)、GCIPL欠損の色調(PLR:5.04)の順であった。・近視眼における局所スコアリングシステムのAUCは0.979で、下方RNFL厚パラメータ(0.895、p<0.001)および平均RNFL厚パラメータ(0.894、p<0.001)より有意に高かった。・強度近視眼においても、スコアリングシステム(AUC:0.983)はRNFLおよびGCIPLの厚パラメータより診断精度が高いことが示された(すべてp<0.001)。

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乳がん女性、飲酒者で無発症生存率が高い?

 乳がん診断後の女性の飲酒と乳がん無発症生存(breast cancer-free survival)の関連を調べた米国・フロリダ大学のAllison Kowalski氏らの研究で、アジュバントホルモン療法の有無に関係なく、飲酒者で無発症生存率が高いことが報告された。Journal of Breast Cancer誌2018年6月号に掲載。 飲酒は乳がんリスクを増加させるが、乳がん診断後の生存との関連におけるこれまでの知見は一貫していない。さらに、これらの関連がアジュバントホルモン療法の有無によって異なるかどうかは不明である。本研究では、モフィットがんセンターで2007~12年に原発性乳がんと診断された女性1,399例に、診断される前の年の飲酒量を調査した。腫瘍特性や乳がん治療、結果についてはモフィットがん登録から入手した。潜在的な交絡因子の調整後、アジュバントホルモン療法の有無別にCox比例ハザードモデルを用いて関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者でみると、飲酒者において乳がん無発症生存率が有意に高かった(非飲酒者に対するハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.92)。・アジュバントホルモン療法を受けていない女性では、多量飲酒者は非飲酒者より有意に乳がん無発症生存率が高かった(HR:0.63、95%CI:0.43~0.93)。・アジュバントホルモン療法を受けている女性では、飲酒者は非飲酒者より乳がん無発症生存率が高かった(適度な飲酒者のHR:0.69、95%CI:0.51~0.93、多量飲酒者のHR:0.74、95%CI:0.57~0.96、飲酒者すべてのHR:0.71、95%CI:0.57~0.87)。・飲酒とアジュバントホルモン療法との間に、有意な相互作用はなかった(相互作用のp:非飲酒・飲酒での層別解析で0.54、非飲酒・適度な飲酒・大量飲酒での層別解析で0.34)。

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発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ALXN1210」、欧州で承認申請

 米国・アレクシオン ファーマシューティカルズは6月28日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬ALXN1210について、欧州医薬品庁(EMA)へ承認申請を行ったことを発表した。 PNHは、慢性かつ進行性の、生命を脅かす恐れのあるまれな消耗性の血液疾患。免疫系の構成要素である補体の機能が慢性的にコントロールできなくなることで溶血が引き起こされ、その結果、進行性の貧血、疲労、息切れなどが生じることがある。慢性溶血で最も深刻な結果は血栓症で、重要臓器の損傷によって、早期死亡に至ることもある。 ALXN1210は、終末補体カスケードのC5タンパク質を阻害することで作用する長時間作用型抗C5抗体であり、米国と欧州(EU)ではPNH患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を取得している。補体阻害薬の治療経験がないPNH患者と、エクリズマブ(商品名:ソリリス)の治療で安定していたPNH患者を対象とした第III相臨床試験において、8週間隔で静脈内投与するALXN1210は、2週間隔で静脈内投与するエクリズマブに対して非劣性を示し、すべての主要評価項目と主要な副次評価項目の数値においても、ALXN1210でより好ましい結果となったという。 また、ALXN1210は、6月19日に米国食品医薬品局(FDA)に対しても承認申請を行っており、優先審査保証の適用により、8ヵ月の迅速審査に指定されている。日本においても、今年下半期の承認申請を予定している。 なお同剤は、現在、補体阻害薬の治療経験がない非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の患者を対象とした、8週間隔の静脈内投与が行われる第III相臨床試験においても評価が行われている。■参考アレクシオンファーマ合同会社プレスリリース

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統合失調症患者における自殺のリスク因子に関するメタ解析

 統合失調症患者の自殺に関連する生涯リスクは、自殺で5%、自殺企図では25~50%といわれている。米国・テキサス大学健康科学センター ヒューストン校のRyan Michael Cassidy氏らは、統合失調症患者の自殺率に関連するリスク因子を明らかにするため、メタ解析を実施した。Schizophrenia bulletin誌2018年6月6日号の報告。 PubMed、Web of Science、EMBASEより検索を行い、参考文献リストについても併せて検索を行った。自殺念慮または自殺企図を有する統合失調症患者、自殺していない患者との比較を報告した研究を選択基準とした。また、補足分析としてコホート研究のメタ解析も行った。 主な結果は以下のとおり。・分析対象として、96研究、8万488例が抽出された。・自殺念慮を有する統合失調症患者では、抑うつ症状が重く(p<0.0001)、PANSS総スコアが高く(p<0.0001)、精神科入院回数が多かった(p<0.0001)。・自殺企図との関連に最も一致した変数は、以下であった。 ●飲酒歴(p=0.0001) ●精神医学的疾患の家族歴(p<0.0001) ●身体合併症(p<0.0001) ●うつ病歴(p<0.0001) ●自殺の家族歴(p<0.0001) ●薬物使用歴(p=0.0024) ●喫煙歴(p=0.0034) ●白人(p=0.0022) ●抑うつ症状(p<0.0001)・最初の2項目(飲酒歴、精神医学的疾患の家族歴)は、コホート研究のメタ解析においても有意な差が認められた。・自殺との関連に最も一致した変数は、以下であった。 ●男性(p=0.0005) ●自殺企図歴(p<0.0001) ●若年(p=0.0266) ●高い知能指数(p<0.0001) ●治療アドヒアランスの不良(p<0.0001) ●絶望状態(p<0.0001)・最初の3項目(男性、自殺企図歴、若年)は、コホート研究のメタ解析においても有意な差が認められた。 著者らは「本調査結果は、将来の自殺の予防戦略において役立つであろう。今後の研究では、多変量予測分析法を用いて上記の因子を組み合わせることで、統合失調症における自殺率を客観的に層別化することが可能となるであろう」としている。■関連記事日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか日本成人の自殺予防に有効なスクリーニング介入:青森県立保健大

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抗血小板療法を受けていない集団の大出血リスクは?/JAMA

 抗血小板療法を受けていない集団における、大出血および非致死的大出血の推定年間発生リスクを、ニュージーランド・オークランド大学のVanessa Selak氏らが算出した。同国のプライマリケア受診患者を対象とした前向きコホート研究の結果で、著者は「今回の結果を、心血管疾患(CVD)1次予防のための集団レベルのガイドラインに示すことができるだろう」と述べている。アスピリン治療開始の決定には、同治療によるベネフィットと有害性を考慮する必要がある。最も重大な有害性は大出血であるが、至適な地域集団における出血リスクのデータは不十分であった。JAMA誌2018年6月26日号掲載の報告。プライマリケア受診しCVDリスク評価を受けた30~79歳集団を前向きに評価 研究グループは、CVDを有しておらず抗血小板療法を受けていない集団における大出血リスクを調べるため、2002〜15年にニュージーランドのプラリマリケアを受診しCVDリスク評価を受けた30~79歳35万9,166例(ベースライン集団)を対象に前向きコホート研究を行った。被験者の初回大出血イベント日、死亡日、あらゆるベースライン集団除外基準に達した日、あるいは試験終了到達(2015年12月31日)の状況を調べ、1)ベースライン集団(35万9,166例)、2)非ハイリスク集団(出血リスク増大と関連する病状を有する人を除外した集団:30万5,057例)、3)非薬物療法集団(出血リスク増大と関連する他の薬物療法服用者を除外した集団:24万254例)について、性別および10歳単位年齢群(30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳)に分けて、大出血イベント(出血に関連した入院または死亡)、非致死的消化管出血、消化管出血関連の致命率(case fatality)を評価した。ベースライン集団の大出血イベント発生は1.1% 被験者の平均年齢は54歳(SD10)、女性が44%、ヨーロッパ系が57%であった。追跡期間の中央値は2.8年。 ベースライン集団(35万9,166例)において、128万1,896人年のフォローアップ中、大出血イベントの発生は3,976例(集団の1.1%)で、そのうち最も多かったのは消化管出血で2,910例(73%)であった。致死的出血は274例(7%)で、そのうち153例が脳内出血であった。 非致死的消化管出血イベントリスクは、1,000人年当たり、ベースライン集団で2.19(95%信頼区間[CI]:2.11~2.27)、非ハイリスク集団1.77(1.69~1.85)、非薬物療法集団1.61(1.52~1.69)であった。消化管出血イベント関連致命率は、それぞれの集団で3.4%(2.2~4.1)、4.0%(3.2~5.1)、4.6%(3.6~6.0)であった。

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シオノギ、米国におけるオピオイド誘発性便秘症治療薬に関する全権利を再取得

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は2018年7月6日、同社が創製したオピオイド誘発性便秘症治療薬Symproic(一般名:ナルデメジン)について、米国における戦略的提携先のPurdue Pharma社(以下、Purdue社)からすべての権利を再取得したと発表。  これはPurdue社の米国内のビジネスモデルの変革を受けたもの。塩野義製薬とPurdue社は、Symproicの米国における共同販売活動に関するアライアンス活動を終了することで合意している。

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閉経前乳がん術後ホルモン療法は何を選択すべきか-SOFT+TEXT統合解析から(解説:矢形寛氏)-884

 ホルモン受容体陽性乳がんにおいて、ホルモン治療は生存率向上に重要な役割を果たしている。しかし、閉経前ではその治療法にタモキシフェン単独(TAM)、タモキシフェン+卵巣機能抑制(TAM+OFS)、そしてアロマターゼ阻害剤+卵巣機能抑制(AI+OFS)の3通りがあり、どれを選択するかは悩ましい。なぜなら、後者になるにつれて治療効果も上がりそうであるが、一方で、短期的有害事象のみならず、長期的な身体への影響も大きくなりうるからである。したがって、治療効果が高いのでなければ、有害事象の少ない治療法を選択する方向で考えることになる。 本研究では、SOFT試験とTEXT試験を統合解析したもので、今後の臨床に重要な知見を与えてくれるものである。この解釈についてはすでにケアネットの学会報告サン・アントニオ乳がんシンポジウム2017のところで述べたが、再確認しておきたい。 まず治療効果においてとくに重要なのは、遠隔再発と全生存率である。8年間の遠隔再発の差はTAM+OFSとAI+OFSで2%であり、統計学的有意差が認められた。しかし全生存率はまったく差はみられていない。サブ解析も含めてトータルに考えると、いわゆる一般的な予後因子が不良であるほど治療効果の差は開くことになる。40歳未満あるいは40代前半で化学療法を行うようなハイリスクに対して、OFSの上乗せを提案するというスタンスでよいであろう。40代後半では、化学療法によりほぼ閉経状態となり、TAM単独でも問題ないだろう。さらに腫瘍径も大きくリンパ節転移個数が多いとなれば、AI+OFSを選択する根拠となる。明確な選択基準はないが、専門医はバランスよく治療方針を決定するのが賢明である。

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第3回 エラーバーはいつも対称とは限らない【統計のそこが知りたい!】

第3回 エラーバーはいつも対称とは限らない第1回「『標準偏差』と『標準誤差』の使い分けは」で、エラーバー(error bar)についても解説しました。通常よく目にする論文の図表では、エラーバーは代表値を中心に上下あるいは左右対称で同じ長さであることが多いかもしれません。しかし、エラーバーが必ずしも上下(左右)が対称ではなく、非対称、すなわち代表値を中心に同じ長さではない図表を目にすることもあるのではないでしょうか。今回は、どのような場合にエラーバーが上下(左右)非対称となっているのかを解説します。■平均値を示す際、エラーバーでバラツキを示す指標も表示するある試験を行った結果、毎回同じ結果が出るとは限りません。ですからデータをグラフ化する場合には、バラツキを示す指標もエラーバーで表示することが重要です。エラーバーは、データの誤差(エラー)の程度を表すためのもので、±標準偏差(SD)、±標準誤差(SE)、パーセンタイル(percentile)、95%信頼区間(confidence interval:CI)と使い分けられています。今回は純粋にデータのバラツキを示したい、あるいは比べたいというときに用いる標準偏差で説明します。■正規分布の場合と正規分布ではない場合臨床試験データの中には標準的な正規分布に従わない場合もあります。よく知られているのは、図1のようにわが国の各世帯の所得金額の分布は、標準的な正規分布ではなく、片対数正規分布であると言われています。臨床試験の結果がこのように標準的な正規分布ではなく、図2のように片対数正規分布に従うような場合は、エラーバーの上下(左右)は対称ではなく非対称になります。つまり長さが異なることもあります。具体例として学習用の架空のデータで、非対称のエラーバーを見てみましょう。図3は、ある薬剤の薬物動態を表したデータです。薬物投与後の血中濃度の推移を見ています。平均値±標準偏差により算出されるエラーバーの長さ(区間幅)は、片対数軸上では非対称となります。また、このグラフでの24時間値は平均値-標準偏差がマイナス値となるため、グラフに下側のエラーバーを表示することができない場合があります。このため、平均値+標準偏差のように上側のエラーバーのみが表示されることも多くみられますが、上側と下側の長さ(区間幅)が異なることにも注意して、論文の図表を見る必要があります。そして、得られたデータから標準的な正規分布が推定される場合は、上下対称の長さ(区間幅)のグラフを作図するときは、グラフの重なりなどで見にくくなるのを防ぐため、上側と下側どちらかのエラーバーのみを表示しても構いません。いずれの場合においても論文の図表でエラーバーをみた際は、記述をよく読んでエラーバーがどのような定義で作成されているのかを見極めることが大切です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション2 量的データは平均値と中央値を計算せよセクション3 データのバラツキを調べる標準偏差第4回 ギモンを解決! 一問一答質問3 標準偏差と標準誤差の違いは何か?

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「偽造品問題で管理薬剤師に行政処分」は厳しすぎるか?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第3回

2017年1月、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合錠)」の偽造品が、薬局チェーンで発見された事件がありました。業界で大きな話題になったので、まだ記憶に新しいかと思います。この問題を受け、2018年6月、厚生労働省は、患者に偽造品を渡した薬局に勤務していた管理薬剤師に対し、薬剤師の業務停止3ヵ月の行政処分をしたと発表しました。この事件に関しては、別の店舗に勤務する管理薬剤師にも、昨年12月に3ヵ月間の業務停止処分が下されています。今回の処分について、処分理由の詳細な事実はわかりませんが、管理薬剤師が、外箱や添付文書などがない状態の該当薬の分譲を受け、勤務薬剤師に調剤させたことや、薬局開設者に必要な意見を述べなかったことなどが挙げられているようです。この事件については、薬局も以前に処分されていますが、その際の処分理由は以下のとおりでした。1.医薬品の仕入れ段階における検査が不十分であったため、偽造品を仕入れ、販売授与の目的で当該偽造品を貯蔵させた。(医薬品医療機器等法 第55条第2項違反)2.開設者は、薬局業務のうち医薬品の仕入業務や分譲業務について管理者に管理させていなかった。(医薬品医療機器等法 第7条第2項違反)3.仕入れ段階において箱や添付文書がない医薬品について疑義を持たないまま、適切な管理のために必要と認める医薬品の試験検査を管理者に行わせなかった。(医薬品医療機器等法 第9条第1項及び同施行規則 第12条違反)4.管理者は、上記業務があることは認識していたが、管理者として管理監督を行っていなかった。またそのことについて開設者への適切な意見具申を行わなかった。(医薬品医療機器等法 第8条第1項、第2項違反)この際も上記4番のとおり管理薬剤師の義務違反が問題となり、管理者変更命令の処分がされています。責任は管理薬剤師にある管理薬剤師には、以下の義務が医薬品医療機器等法で定められています。医薬品医療機器等法 第8条(管理者の義務)第八条 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない。2 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなければならない。管理薬剤師は、薬局の業務全般を管理しなければならず、問題があれば薬局開設者に意見を述べる義務があります。つまり、薬局開設者からの指示であるからといって、管理薬剤師がその指示に従っていたとしても、法律上では、薬局の管理監督に対する責任は管理薬剤師にあるということです。そのため、薬局開設者には、管理薬剤師の意見を尊重しなければならないという義務があります。医薬品医療機器等法 第9条2項薬局開設者は、第七条第一項ただし書又は第二項の規定によりその薬局の管理者を指定したときは、第八条第二項の規定による薬局の管理者の意見を尊重しなければならない。今回の事件の詳細な実体は明らかにされていないので、判断は難しいかもしれませんが、薬局開設者の指示で仕入れた、または薬局開設者が仕入れてきた医薬品の調剤を監督した管理薬剤師が、このような処分を受けるのは重いと感じる方もいるのではないでしょうか。わが国では、これまで薬局が扱う医薬品において、偽造が問題になったことはほとんどないので、管理薬剤師は、偽造品だと想像すらできなかった可能性があり、そう考えるとなおさらかもしれません。しかし、国はそのように考えていないということです。法律も上記のとおりですから、管理薬剤師にかかる薬局の管理監督に対する責任は重いと言わざるをえないでしょう。そのような意味では、管理薬剤師の重要性と責任の重さが示された処分とも言えるかと思います。実際には、管理薬剤師の意見が尊重されない、意見が言いづらい現場もあるかもしれません。万一そのような薬局があれば、その体制の見直しを検討する必要があります。これを機会に、管理薬剤師の立場・責任の見直しと法令遵守ができる体制の整備が期待されます。参考イーガブ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)

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ribociclib+フルベストラント、閉経後乳がんのPFSを延長(MONALEESA-3)/ASCO2018

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんの閉経期、閉経前、閉経後の女性においては、内分泌療法にCDK4/6阻害薬ribociclibを併用することで、無増悪生存(PFS)が有意に改善することが、2つの第III相試験(MONALEESA-2試験、MONALEESA-7試験)で示されている。また、CDK4/6阻害薬・フルベストラント併用療法は、内分泌療法施行後に病勢が進行したHR陽性乳がん患者における有用性が報告されている。 そこで、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDennis J,Slamon氏らは、未治療または1ラインの内分泌療法を受けたHR陽性HER2陰性進行乳がんの閉経後女性において、ribociclib+フルベストラント併用療法の有用性を評価するプラセボ対照ランダム化第III相試験(MONALEESA-3試験)を実施した。 被験者は、ribociclib(600mg/日、経口、3週投与、1週休薬)+フルベストラント(500mg、28日を1サイクルとし、1サイクル目のDay 1、Day 15、それ以降はDay 1)を施行する群、またはプラセボ+フルベストラントを施行する群に2対1の割合でランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは治験担当医判定によるPFSであり、副次エンドポイントは全生存(OS)、全奏効率(ORR)、臨床的有用性率(CBR、全症例ではCR+PR+[24週以上持続するSD+非CR/非PD]、測定可能病変例ではCR+PR+[24週以上持続するSD])などであった。 2015年6月〜2016年6月の期間に726例(最大の解析対象集団[FAS])が登録され、ribociclib群に484例、プラセボ群には242例が割り付けられた。安全性解析はそれぞれ483例、241例で行われた。データカットオフ日は2017年11月3日であり、追跡期間中央値は20.4ヵ月であった。 ベースラインの年齢中央値は、ribociclib群が63歳、プラセボ群も63歳であった。転移部位は、内臓がそれぞれ60.5%、60.3%、骨のみが21.3%、21.1%であり、未治療が49.2%、53.3%、1ラインの内分泌療法歴ありが48.8%、45.0%であった。 治験担当医判定によるPFS期間中央値は、ribociclib群が20.5ヵ月と、プラセボ群の12.8ヵ月に比べ有意に延長し(ハザード比[HR]:0.593、95%信頼区間[CI]:0.480〜0.732、片側検定:p<0.00000041)、病勢進行(PD)のリスクが約41%低減した。独立評価委員会による盲検下の判定では、PFS期間中央値はribociclib群が未到達、プラセボ群は10.9ヵ月であった(HR:0.492、95%CI:0.345〜0.703)。また、PFSのサブグループ解析では、アジア人を除きribociclib群がプラセボ群よりも良好であったが、これまでに行われた試験では有効性に関して人種差は認めておらず、アジア人は症例数が少ないためと考えられた。さらに、未治療例(未到達 vs 18.3ヵ月、HR:0.577、95%CI:0.415〜0.802)および1ラインの内分泌療法歴ありの例(14.6 vs 9.1ヵ月、0.565、0.428〜0.744)とも、PFSはribociclib群が有意に優れた。 ORRは、全症例ではribociclib群が32.4%、プラセボ群は21.5%(p=0.000912)、測定可能病変を有する患者ではそれぞれ40.9%、28.7%(p=0.003)で、CBRは、全例症例では70.2%、62.8%(p=0.020)、測定可能病変を有する患者では69.4%、59.7%(p=0.015)であり、いずれもribociclib群が有意に良好だった。OSのデータは未成熟であった。 ribociclib群の主な血液毒性として、好中球減少(全Grade:69.6%、Grade 3:46.6%、Grade 4:6.8%)および白血球減少(28.4%、13.5%、0.6%)が認められた。また、非血液毒性としては、悪心(全Grade:45.3%、Grade 3:1.4%)、疲労(31.5%、1.7%)、下痢(29.0%、0.6%)の頻度が高かった。これらの安全性プロファイルは管理可能であり、以前の第III相試験と一致していた。 これらの結果を踏まえ、Slamon氏は、「ribociclib+フルベストラント併用療法は、閉経後のHR陽性/HER2陰性進行乳がんの新たな1次または2次治療となる可能性がある」と結んだ。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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転移のある大腸がんの3次治療、新たなVEGFR阻害薬が有効/JAMA

 転移を有する大腸がんの3次治療の選択肢は少ない。中国・同済大学上海東病院のJin Li氏らは、2ライン以上の化学療法を施行後に病勢が進行した転移を有する大腸がんの治療において、経口血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害薬fruquintinibが、プラセボに比べ全生存(OS)期間を統計学的に有意に延長することを示した(FRESCO試験)。研究の成果は、JAMA誌2018年6月26日号に掲載された。fruquintinibは、高い選択性を持つVEGFR-1、-2、-3の低分子阻害薬であり、腫瘍の増殖と関連する血管新生を抑制する。中国人患者で有効性と安全性をプラセボと比較 FRESCOは、中国の28施設で行われた二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験である(Hutchison MediPharmaなどの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、全身状態(ECOG PS)が0/1で、2ライン以上の前化学療法歴がある、転移を有する大腸がん患者であった。VEGF阻害薬やEGFR阻害薬による前治療は許容されたが、他のVEGFR阻害薬の前投与歴のある患者は除外された。 被験者は、fruquintinib(5mg/日)またはプラセボを1日1回経口投与する群に、2対1の割合でランダムに割り付けられた。治療は、1サイクルを28日として21日間投与後7日間休薬し、病勢進行、耐用不能な毒性の発現、試験脱落となるまで継続された。 主要エンドポイントはOSであった。有効性の副次エンドポイントは、無増悪生存(PFS:ランダム割り付け時から病勢進行または死亡までの期間)、客観的奏効率(ORR:完全奏効[CR]+部分奏効[PR])、病勢コントロール率(DCR:CR+PR+8週以上持続する安定[SD])とし、奏効期間(DOR)、安全性の評価も行った。 2014年12月~2016年5月の期間に、416例(平均年齢54.6歳、女性38.7%)が登録され、fruquintinib群に278例、プラセボ群には138例が割り付けられた。404例(97.1%)が試験を完遂した。OSが約3ヵ月、PFSが約2ヵ月延長、1例でCR ベースライン時に、男性がプラセボ群で多かった(56.8 vs.70.3%)。両群とも、ほとんどの患者が複数の転移巣(95.3 vs.97.1%)を有し、肝転移(66.5 vs.73.9%)を有する患者が多かった。VEGF阻害薬(30.2 vs.29.7%)およびEGFR阻害薬(14.4 vs.13.8%)の投与歴、K-ras変異の頻度(56.5 vs.53.6%)は両群で同等だった。 OS期間中央値は、fruquintinib群が9.3ヵ月と、プラセボ群の6.6ヵ月に比べ有意に延長した(死亡のハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.51~0.83、p<0.001)。OSのサブグループ解析では、ほぼすべてのサブグループでfruquintinib群が良好であった。 PFS期間中央値も、fruquintinib群が3.7ヵ月と、プラセボ群の1.8ヵ月に比し有意に長かった(病勢進行と死亡のHR:0.26、95%CI:0.21~0.34、p<0.001)。PFSのサブグループ解析では、すべてのサブグループでfruquintinib群が優れた。 ORR(4.7 vs.0%、p=0.01)およびDCR(62.2 vs.12.3%、p<0.001)も、fruquintinib群が有意に優れ、同群ではCRが1例、PRが12例に認められた。データカットオフ日に、奏効例のほとんどが病勢進行に至らず治療継続中であり、それゆえDOR中央値には未到達であった(データカットオフ時点でのDORは5.6ヵ月)。 Grade3/4の治療関連有害事象は、fruquintinib群が61.2%、プラセボ群は19.7%に発現した。重篤な有害事象はそれぞれ15.5%、5.8%に認められ、入院または入院の延長を要する重篤な有害事象は14.4%、5.1%にみられた。fruquintinib群で頻度の高いGrade3/4の治療関連有害事象として、高血圧(21.2%)、手足皮膚反応(10.8%)、蛋白尿(3.2%)が認められた。 著者は、「中国以外の地域での有効性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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肥満の2型糖尿病に、デュアルアゴニストが有効/Lancet

 開発中の糖尿病治療薬MEDI0382は、過体重・肥満の2型糖尿病患者に、臨床的に意味のある血糖値の低下と体重減少をもたらすことが、英国・MedImmune社のPhilip Ambery氏らの検討で示された。過体重・肥満の2型糖尿病患者の管理では、減量が重要となるが、臨床的に意味のある体重減少を達成した糖尿病治療薬は少ない。MEDI0382は、GLP-1とグルカゴン受容体のデュアルアゴニストであり、2型糖尿病と肥満の治療薬として開発が進められている。Lancet誌オンライン版2018年6月22日号掲載の報告。ドイツで行われた複数用量漸増と第IIa相の統合試験 本研究は、ドイツの11施設が参加した複数用量漸増(MAD)試験と第IIa相試験を統合した二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(MedImmune社の助成による)。対象は、年齢18~65歳、2型糖尿病がコントロールされ(スクリーニング時のHbA1c:6.5~8.5%)、BMIが27~40の患者であった。 被験者は、MEDI0382またはプラセボを投与する群にランダムに割り付けられた。MAD試験ではコホートA~Cは2対1、コホートDとEは3対1の割合で、第IIa相試験では1対1の割合で割り付けられた。また、MAD試験の5つのコホートでは最大300μgを最長22日間まで、第IIa相試験では最大200μgを最長41日間まで、1日1回皮下注射された。 第IIa相試験の主要エンドポイントは、1)混合食負荷試験(MMTT)後0~4時間血糖値の曲線下面積(AUC0-4h)と、2)ITT集団における体重の、ベースラインから41日目までの変化とした。安全性の解析は、試験薬の投与を受けた全患者で行った。 2015年12月9日~2017年2月24日の間に、MAD試験に61例(MEDI0382群:42例、プラセボ群:19例)、第IIa相試験には51例(25例、26例)が登録された。第IIa相試験では、MEDI0382群の3例、プラセボ群の1例が、有害事象により治療を中止し、それぞれ22例(88%)、25例(96%)が少なくとも1回の投与を受け、ベースラインと41日目の評価を受けた。長期投与で疾患修飾療法となる可能性も ベースラインの人口統計学的因子および背景因子は、MAD試験の各コホートと第IIa試験で、全般によくバランスが取れていた。 第IIa試験におけるMMTT後の血糖値AUC0-4hは、MEDI0382群がプラセボ群に比べ有意に低下した(最小二乗平均値:-32.78%[90%信頼区間[CI]:-36.98~-28.57] vs.-10.16%[-14.10~-6.21]、平均差:-22.62%[-28.40~-16.85]、p<0.0001)。 ITT集団における体重も、MEDI0382群がプラセボ群に比し有意に減少した(最小二乗平均値:-3.84kg[90%CI:-4.55~-3.12] vs.-1.70kg[-2.40~-1.01]、平均差:-2.14kg[-3.13~-1.31]、p=0.0008)。 空腹時血糖値も、MEDI0382群がプラセボ群と比較して有意に低下した(最小二乗平均値:-2.8mmol/L[90%CI:-3.2~-2.4] vs.-1.1mmol/L[-1.4~-0.7]、p<0.0001)。また、ITT集団におけるHbA1cは、MEDI0382群ではベースラインの7.2%から治療終了時には6.3%に低下したが(最小二乗平均値:-0.9%[90%CI:-1.0~-0.8]、プラセボ群(-0.6%[-0.7~-0.5])に比べ有意に良好だった(p=0.0004)。 さらに、肝脂肪もMEDI0382群がプラセボ群よりも有意に低下した(最小二乗平均値:-6.0%[90%CI:-7.7~-4.3] vs.-3.2%[-4.7~-1.7]、p=0.0172)。 治療関連有害事象の割合は、MEDI0382群が88%(22/25例)、プラセボ群も88%(23/26例)であった。MEDI0382群で頻度の高い有害事象として、悪心・嘔吐を主とする消化器障害(72 vs.40%)と食欲減退(20 vs.0%)が認められた。 著者は、「MEDI0382は、比較的短期間の投与で2型糖尿病の代謝に有意なベネフィットをもたらした。血糖コントロール、体重、肝脂肪に対する効果は、本薬の長期投与が2型糖尿病の疾患修飾療法となる可能性を示唆する」と指摘している。

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うつ病に対する不眠症治療効果に関するメタ解析

 不眠症はしばしばうつ病と併発しており、両疾患は相互に関連している。不眠症のための認知行動療法といった不眠症に特有の介入が、うつ病の改善に寄与する可能性がある。米国・ピッツバーグ大学のMarie Anne Gebara氏らは、うつ病と不眠症を併発している患者において、不眠症の治療がうつ病の改善に寄与するかについて、検討を行った。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月21日号の報告。 うつ病と不眠症を併発している患者のうつ症状に対する不眠症治療効果を調査するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・3,815件の研究をレビューし、23件の研究が包括基準を満たした。・すべての研究において、うつ病のアウトカムに対する不眠症治療の臨床効果を示唆していたが、大部分の結果では統計学的に有意な差は認められなかった。・介入方法と集団は多様であったが、メタ解析において、ハミルトンうつ病評価尺度(エフェクトサイズ:-1.29、95%CI:-2.11~-0.47)およびベックうつ病評価尺度(エフェクトサイズ:-0.68、95%CI:-1.29~-0.06)で測定した、うつ症状改善の中~大のエフェクトサイズが得られた。 著者らは「これらの結果は、うつ病患者に対する不眠症治療が、気分症状に良い影響をもたらすことを示唆している。不眠症特有の介入により改善されるうつ病患者のサブタイプを特定し、不眠症治療が気分症状を改善するメカニズムを明らかにするためには、さらなる検討が必要である」としている。■関連記事性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大日本人男性、不眠でうつ病リスクが10倍にも温泉療法でうつや睡眠も改善

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『てんかん診療ガイドライン2018』発刊

 前回のガイドライン発刊から約8年。その間に、新規治療薬の登場や適応追加、改正道路交通法など、てんかんを取り巻く環境は大きく変化している。2018年7月2日、大塚製薬株式会社が主催したプレスセミナー「てんかん診療ガイドライン2018」にて、てんかん診療ガイドライン作成委員会委員長の宇川 義一氏(福島県立医科大学 神経再生医療学講座教授)が登壇し、日本神経学会が監修したガイドラインの主な改訂点について語った。てんかん診療ガイドライン2018はGRADEシステムを採用 本ガイドラインは、2部で構成されている。第1部は診療ガイドライン、第2部では3つのクリニカルクエスチョン(CQ)に対してシステマティック・レビュー(SR)を行っている。また、エビデンスの質の評価は、GRADE working groupが提唱する方法で行い、「高(high)」「中(moderate)」「低(low)」「非常に低(very low)」にグレーディングされている。“けいれん”と“てんかん” “けいれん”とは「全身または一部の骨格筋が、不随意な硬直性または間代性収縮を起こすこと」であり、患者は持続的あるいは断続的なぴくつきを訴える。眼瞼けいれんなど、てんかんと無関係な病態でもけいれんを起こす。一方、“てんかん”とは「大脳神経細胞群の突発的・同期性過剰放電に基づく現象」を示し、けいれんを起こす時も起こさない時もある。宇川氏によると、「“epilepsy”はてんかんという病名を意味し、発作そのものを意味しない。さらに“convulsion”と“spasms”はいずれもけいれんと訳されるが、前者は[てんかんによるけいれん]を指し、後者は[末梢神経由来・筋肉由来のものなど]を指す」と指摘。また、同氏は「てんかんという日本語は、病名として使う場合と症状として使う場合がある。これには英語の概念を日本語訳したことによる混乱が影響している」と日本語訳の解釈について言及した。てんかん診療ガイドラインに薬物開始時期が追加 薬物療法を開始するに当たり、開始時期とその予後についてしばしば議論される。本ガイドラインでは「初回てんかん発作で薬物療法を開始すべきか」というCQにおいて、「初回の非誘発性発作では、ある条件を除き原則として抗てんかん薬の治療は開始しない。ただし、高齢者では初回発作後の再発率が高いため、初回発作後に治療を開始することが多い」と記されるようになった。ただし、「医学的根拠があれば初回発作から開始する場合もある」と同氏は述べている。第2世代薬も第1選択へ 2006年以降、日本において第2世代に分類される薬剤では、11剤が承認・販売された。これらは全般てんかん・部分てんかん、それぞれの新規発症患者だけでなく、高齢発症患者に対しても使用が推奨されるようになった。てんかんとの鑑別に注意が必要な疾患 成人において、てんかんと鑑別されるべき疾患は11項目に上る。なかでも、失神(神経調節性、心原性など)と心因性非てんかん発作(PNES)は突然発症の意識消失で救急外来を訪れる患者の40%を占めるため、これらの患者のてんかんを否定することが必要である。失神発作は発作後に意識変化や疲労、倦怠感を伴わない点が特徴であるため、鑑別には一般の検査(脳波、MRI、CT)だけでなく、心血管性の原因を精査することが重要とされる。それでも鑑別が難しい場合はビデオ脳波同時記録も行う。これらの診断を誤ると「間違って、てんかん患者として抗てんかん薬を服用し続ける原因につながる」と同氏は注意を促している。 そして、てんかんを誘発する原因として、1)脳卒中、2)睡眠不足、3)急性中毒(薬物、アルコール)・薬物離脱・アルコール離脱の3項目が該当する。これについて同氏は「まずは原疾患治療に抗てんかん薬をオンして治療を行っていくが、症状の改善に応じて抗てんかん薬をオフすることが可能」と説明した。てんかん診療ガイドラインの今後の課題 最後に同氏は「毎年は改訂できないが、年に1回の頻度で追補版を学会ホームページに公開している。これからも先生方の意見を基にガイドラインをブラッシュアップしていきたい」と締めくくった。

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オラパリブ・アビラテロン併用で去勢抵抗性前立腺がんのPFS改善/ASCO2018

 既治療の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対して、抗アンドロゲン薬・アビラテロンにPARP阻害薬オラパリブを上乗せする効果を対プラセボで比較した無作為化第II相臨床試験の結果を、英国・The Christie and Salford Royal HospitalのNoel Clarke氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で報告した。 同試験の対象はドセタキセルの前治療を受けたmCRPCで、化学療法施行は2ライン以内、第2世代抗アンドロゲン製剤での治療歴のない患者。登録患者はアビラテロン1日1回経口1,000mg服用をベースに、オラパリブを1日2回300mgを併用したオラパリブ群とプラセボを併用したプラセボ群に割り付けられた。主要評価項目は画像診断上の無増悪生存期間(rPFS)、副次評価項目は相同組み換え修復遺伝子変異(HRRm)別のrPFS、2次治療までの無増悪生存期間(PFS2)、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、末梢血中循環腫瘍細胞陽性転化率、安全性。登録症例は142例で、両群に71例ずつ割り付けられた。 rPFS中央値はオラパリブ群が13.8ヵ月、プラセボ群で8.2ヵ月で、オラパリブ群で有意な延長が認められた(HR:0.65、95%CI:0.44~0.97、p=0.034)。 HRRmは21例(全体の15%)で認められた。HRRm症例でのrPFS中央値はオラパリブ群が17.8ヵ月、プラセボ群が6.5ヵ月(HR:0.74、95%CI:0.26~2.12)、生殖細胞検査と血漿検査のいずれか、あるいは双方で変異がないと診断された野生型(HRRpc)のrPFS中央値はオラパリブ群が13.1ヵ月、プラセボ群が6.4ヵ月(HR:0.67、95%CI:0.40~1.13)、生検腫瘍組織で変異がないと診断された野生型(HRRwt)のrPFS中央値はオラパリブ群が15.0ヵ月、プラセボ群が9.7ヵ月(HR:0.52、95%CI:0.24~1.15)。HRRmの有無とrPFSに相関は認められなかった。 また、PFS2中央値はオラパリブ群が23.3ヵ月、プラセボ群で18.5ヵ月(HR:0.79、95%CI:0.51~1.21、p=0.28)、OS中央値はオラパリブ群が22.7ヵ月、プラセボ群で20.9ヵ月であった(HR:0.91、95%CI:0.60~1.38、p=0.66)。 ORRはオラパリブ群が27%、プラセボ群が32%、末梢血中循環腫瘍細胞陽性転化率はオラパリブ群が50%、プラセボ群が46%であった。 Grade3以上の有害事象発現頻度はオラパリブ群が54%、プラセボ群が28%。オラパリブ群で発現頻度が高かった主な有害事象は悪心、貧血、背部痛、便秘、無力症などで、Grade3以上としては貧血が最も多かった。 Clarke氏は「オラパリブとアビラテロンの併用は、アビラテロン単剤に比べ、有意なrPFS延長効果が得られた一方、有害事象の発現頻度は高まった。この結果を基に第III相試験を計画している」と説明した。※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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