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薬物治療抵抗性慢性不眠症に対する認知行動療法の有効性~日本における多施設ランダム化比較試験

 不眠症は、夜間の症状と日中の障害によって特徴付けられるのが一般的である。治療では、GABA-A受容体アゴニスト(GABAA-RA)がよく用いられているが、長期使用に関しては、薬物依存や潜在的な認知障害リスクの観点から、リスク-ベネフィット比が低い。精神保健研究所の綾部 直子氏らは、薬物治療抵抗性原発性不眠症患者における認知行動療法(cognitive behavioral therapy for insomnia:CBT-I)を併用したGABAA-RA漸減療法の有効性を評価した。Sleep Medicine誌2018年10月号の報告。 GABAA-RA治療に奏効しない原発性不眠症が持続している患者を対象に、CBT-I療法と通常療法(TAU)を比較したランダム化多施設2アーム並行群研究を実施した。睡眠日誌に基づき、31分以上の睡眠潜時または睡眠開始後の覚醒、3回/週の発生、不眠症重症度指数(Insomnia Severity Index:ISI)総スコア8以上についてスクリーニングを行った。主要アウトカム指標は、不眠症の重症度およびGABAA-RA漸減率とした。 主な結果は以下のとおり。・51例がランダム化され、49例(CBT-I群:23例、TAU群:26例)の分析を行った。・混合効果反復測定モデルでは、CBT-I群のISIスコアは、TAU群と比較し、介入後(10.91 vs.14.33、p<0.05)およびフォローアップ期間中(10.17 vs.14.34、p<0.01)のどちらにおいても、有意な改善が認められた。・CBT-I群におけるGABAA-RA漸減率は、フォローアップ期間中に約30%に達したが、両群間で有意な差は認められなかった。 著者らは「CBT-I併用療法は、GABAA-RA治療抵抗性不眠症患者の症状を改善した。本研究では、CBT-I併用療法によるGABAA-RA漸減率への影響は認められなかったが、プロトコールおよび治療期間を最適化することで、GABAA-RAの減量が可能であろう」としている。■関連記事睡眠薬の長期使用に関する10年間のフォローアップ調査不眠症治療における睡眠衛生教育のメタ解析不眠症におけるデュアルオレキシン受容体拮抗薬とその潜在的な役割に関するアップデート

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オシメルチニブ1次治療における耐性獲得機序(FLAURA)/ESMO2018

 進行EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する第III相FLAURA試験において、オシメルチニブは、標準治療EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)と比較して優れた有効性と安全性を示し、1次治療の適応となった。そのため、オシメルチニブ1次治療における獲得耐性メカニズムについての知見は、今後の治療開発にとって重要な情報である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、上記FLAURA試験実施中に進行した患者における獲得耐性メカニズムに関する中間解析結果が報告された。 ベースライン時および進行・治療中止時の血漿サンプルを有する患者から収集した血漿サンプルを、次世代シークエンス(NGS)Guardant Health Guardant360の73遺伝子パネルまたはOmni 500遺伝子パネルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・オシメルチニブ群では279例中113例/279(41%)、標準治療EGFR-TKI群では277例中159例(57%)でベースラインおよび進行・治療中止時の血漿サンプルを有していた。・このうちベースライン時にEGFR変異(ex19del/L858R)が検出できたのは、オシメルチニブ群では91例、標準治療EGFR-TKI群では129例であった。・標準治療EGFR-TKI群で最も多い耐性メカニズムはT790M変異の47%、そのほかはMET増幅の4%、HER2増幅の2%などであった。・オシメルチニブ群では、EGFR T790M変異は認められず、もっと多い耐性メカニズムはMET増幅の15%、そのほかはC797Sの7%、HER2増幅の2%などであった。 オシメルチニブ1次治療で進行・治療中止した患者のサブグループ解析では、耐性メカニズムは多様性に富むものの、頻度が高いものは、MET増幅およびEGFR C797Sであり、予想外のものは観察されなかった。

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頭部外傷の一番の予後予測因子は中脳周囲槽の所見の有無/脳神経外科学会

 頭部外傷の一番の予後予測因子は、中脳周囲槽の所見の有無である―。千葉大学脳神経外科の本島 卓幸氏らは、頭部外傷データバンク2015のデータを使用して、機械学習を用いた解析を行い、このような結果を導き出した。10月10~12日に仙台市で開催された日本脳神経外科学会で発表した。 頭部外傷データバンク2015には、2015年4月~2016年3月までの期間で33施設が参加。本研究では、その中から来院時グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)が8点以下、もしくは脳外科手術を行った患者について調査した。登録された症例は1,345例で、データ不備を除いた534例を解析。生存か死亡の2群の予後予測因子を機械学習で分析した。 本島氏らが用いた分析方法は、通常のロジスティクス回帰分析と「決定木」と呼ばれる機械学習の手法。決定木は、条件分岐によってグループがなるべく同じ属性で構成されるように分割して分類していくもので、直感的で理解しやすい半面、適切なパラメータを与えないと過学習となってしまうという欠点があるという。 分析の結果、ロジスティック回帰でも決定木でも、p<0.05の説明変数は、中脳周囲槽の有無、Dダイマー値、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、年齢の4項目だった。なお、ICPモニターの有無、血小板数は、単独では有意差がなかったが、中脳周囲槽に所見があった場合に、重要な予後因子になることが決定木分析で明らかになった。 決定木分析では、連続変数であれば、感度・特異度がもっとも高いカットオフ値を算出することができる。それらは、Dダイマーが66.73ng/mL、APTTが39.5秒、年齢が76.5歳だった。 本研究でのaccuracy score(正答率)は、ロジスティック回帰で80.3%、決定木で81.0%といずれも高い値となった。「分析手法にはそれぞれ特徴があり、さまざまなアルゴリズムを用いることで、予後を予測するうえでより精度の高い特徴量を今後も探っていきたい」と本島氏は話している。

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GIP/GLP-1受容体アゴニスト「LY3298176」、有望な効果/Lancet

 2型糖尿病治療薬として開発中のGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニスト「LY3298176」の有効性と安全性を検討した、米国・National Research InstituteのJuan Pablo Frias氏らによる第II相の無作為化プラセボ・実薬対照試験の結果が発表された。LY3298176は、デュラグルチドと比べて血糖コントロールが良好で体重を減少し、有効性および、安全性に関する許容範囲と忍容性プロファイルも有意に良好であった。著者は、「GIPとGLP-1受容体の組み合わせ製剤は、2型糖尿病の治療において新たな治療選択肢を提供するだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年10月4日号掲載の報告。LY3298176、デュラグルチド、プラセボを投与する6群で26週の試験 試験は、2型糖尿病患者を、LY3298176(1mg、5mg、10mg、15mg)、デュラグルチド1.5mg、またはプラセボを投与する6群(いずれも週1回の皮下投与で26週間)に、1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けて行われた。割付では、ベースラインの糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)、メトホルミン服用、BMIによる層別化も行われた。適格としたのは、18~75歳、6ヵ月以上の2型糖尿病(HbA1cが7.0~10.5%)で、食事および運動のみではコントロール不良、またはメトホルミン療法で安定している、BMI 23~50の患者であった。 有効性の主要評価項目は、ベースラインから26週時点でのHbA1cの変化で、修正intention-to-treat(mITT)集団(試験薬を1回以上投与し、ベースライン以降1回以上いずれかのアウトカム評価を受けた全患者)で評価した。副次評価項目は、治療データセット上のmITTで測定した、ベースラインから12週時点でのHbA1cの変化、ベースラインから12週および26週時点での平均体重、空腹時血糖、腹囲、総コレステロール、LDL-C、HDL-C、トリグリセライド、目標HbA1c(≦6.5%および<7.0%)の達成患者割合の変化、ベースラインから26週時点での5%以上および10%以上の体重減少を達成した患者割合などであった。LY3298176のHbA1cの変化における効果は26週時点では用量依存的 2017年5月24日~2018年3月28日に、555例が適格評価を受け、318例が6治療群のいずれか1群に無作為に割り付けられた。2例の患者が割付治療を受けなかったため、mITTおよび安全性解析の集団には316例が包含された。 258例(81.7%)が26週の治療を完了し、283例(89.6%)が試験を完了した。ベースラインの平均値は、年齢57歳(SD 9)、BMI 32.6(5.9)、糖尿病と診断されてからの期間9年(6)、HbA1c 8.1%(1.0)で、男性53%、女性47%であった。 26週時点で、LY3298176のHbA1cの変化における効果は用量依存的であり、プラトーに達しなかった。HbA1cのベースラインからの平均変化は、プラセボ群-0.06%に対して、LY3298176の1mg群-1.06%、5mg群-1.73%、10mg群-1.89%、15mg群-1.94%であった。プラセボと比較した事後平均差(80%信用セット)は、LY3298176の1mg群-1.00%(-1.22~-0.79)、5mg群-1.67%(-1.88~-1.46)、10mg群-1.83%(-2.04~-1.61)、15mg群-1.89%(-2.11~-1.67)であった。 デュラグルチド群のベースラインから26週時点のHbA1cの変化は-1.21%であり、これと比べたLY3298176投与群の事後平均差(80%信用セット)は、1mg群0.15%(-0.08~0.38)、5mg群-0.52%(-0.72~-0.31)、10mg群-0.67%(-0.89~-0.46)、15mg群-0.73%(-0.95~-0.52)であった。 26週時点で、目標HbA1c<7.0%を達成したLY3298176投与群の患者割合は33~90%で(vs.デュラグルチド群52%、プラセボ群12%)、≦6.5%達成患者割合は15~82%であった(vs.デュラグルチド群39%、プラセボ群2%)。また、LY3298176投与群の空腹時血糖値の変化は-0.4~-3.4mmol/L(vs.デュラグルチド群-1.2mmol/L、プラセボ群0.9mmol/L)。同じく体重の変化は-0.9~-11.3kg(-2.7kg、-0.4kg)、5%以上の体重減少達成率は14~71%(22%、0%)、10%以上の体重減少達成率は6~39%(9%、0%)。LY3298176投与群の腹囲の変化は-2.1~-10.2cm(-2.5cm、-1.3cm)、総コレステロール値の変化は0.2~-0.3mmol/L(-0.2mmol/L、0.3mmol/L)、HDL/LDLの変化は対照群と比べて差はなく、トリグリセライド値の変化は0~-0.8mmol/L(-0.3mmol/L、0.3mmol/L)であった。 副次評価項目の12週時点のアウトカムは、すべてが26週時点と類似していた。LY3298176の有害事象で頻度が高かった消化器系イベントも用量依存的 6つの治療群の被験者13/316例(4%)で、23件の重篤な有害事象が発生した。治療により発現した有害事象で最も頻度が高かったのは、消化器系イベント(悪心、下痢、嘔吐)であった。消化器系イベントの発現は、用量依存的(LY3298176の1mg群23.1%、5mg群32.7%、10mg群51.0%、15mg群66.0%、デュラグルチド群42.6%、プラセボ群9.8%)で、大半は軽度~中等度の一過性のものであった。また、2番目に多かった有害事象は食欲減退であった(LY3298176の1mg群3.8%、5mg群20.0%、10mg群25.5%、15mg群18.9%、デュラグルチド群5.6%、プラセボ群2.0%)。 重症低血糖症の報告例はなかった。 プラセボ群の1例が、肺腺がんStageIVから死亡に至ったが、これは試験治療とは無関係であった。

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MSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/治療学会

 マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本治療学会学術集会で発表した。 本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・登録症例は全体で94例(年齢中央値:64歳、24~87歳)、日本人は7例(同:66歳、44~82歳)であった。・2017年4月28日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は全体集団で8.4ヵ月(1~15ヵ月)、日本人集団で6ヵ月(5~13ヵ月)と日本人集団で短かった。・PSは全体集団では0と1が半数ずつに対し、日本人集団では0が5例とPS良好例が多かった。また、日本人集団のほうが治療歴が少ない症例が多かった。・日本人の登録症例は、小腸がん、悪性中皮腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、唾液腺がんが1例ずつ、胃がんが2例であった。・ORRは全体集団では37%(95%CI:28~48)、日本人集団では29%(同:4~71)。日本人ではPRが2例、SDが2例に認められた。病勢コントロール率は全体集団、日本人集団とも約60%であった。・日本人7例中5例で30%を超える腫瘍縮小効果が認められた。・PFS中央値は全体集団で5.4ヵ月(95%CI:3.7~10.0)に対し、日本人集団では4.2ヵ月(同:1.7~NR)、2例で12ヵ月を超える病勢コントロールが得られている。・OS中央値は全体集団、日本人集団とも13.4ヵ月であった。・治療期間中央値は全体集団で6ヵ月(0.03~14ヵ月)、日本人集団で7ヵ月(0~13ヵ月)であった。・治療関連有害事象の発生率は全体集団で62%、日本人集団で71%であった。Grade3以上では全体集団13%に対し、日本人集団で43%とやや高い傾向が認められたが、死亡症例は認められておらず、治療中止は1例のみであった。特徴的な有害事象として、肝機能障害と思われる症例が3例(Grade3/4:ALP増加1例、γ-GTP増加2例)認められた。・免疫関連有害事象は、日本人7例中3例で認められた。1例にGrade3の1型糖尿病が認められたが、血糖コントロールをしながら現在も治療継続中。■「MSI-H」関連記事 いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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SAF方式の遠隔皮膚診断、対面診療よりコスト削減

 store and forward(SAF)方式の遠隔皮膚診断(TD)は、行政・医療サービスが十分ではない集団に対して、タイムリーで高品質なケアへのアクセスが増加できると見込まれている。しかし、そうした集団におけるTDの費用対効果については明らかにされていない。今回、米国・ペンシルベニア大学のXiaoshi Yang氏らは、TDが皮膚科治療のアクセスを高めつつも、コスト削減が可能であると報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月1日号掲載の報告。 研究グループは、行政・医療サービスが十分ではない集団を対象とし、大都市フィラデルフィアの市中にある12診療所において、SAF TDプログラムによるコスト削減の可能性を調べるため、外来患者700例に対するSAF TDの後ろ向き研究を行った。 かかりつけ医は、その治療計画と治療方法を特定する依頼を受けていた。また、解析では、TD診療モデルと従来ケアの各患者ケースでのコストについて比較した。 主な結果は以下のとおり。・TDを活用することで、皮膚科の訪問受診27%(189/700例)、救急救命室(ER)への受診3.29%(23/700例)を減らすことができた。・従来ケアと比較し、TDを活用すると、1診療当たり平均10.00~52.65ドルのコスト削減が期待できる。・感度解析によるシュミレーションでも、コスト削減効果が示された。 なお、今回のコスト分析は、治療コストに関するいくつかの仮説に依存しており、間接的なコストは含まれていなかった。

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古くて新しい残余リスクとしてのLP(a)(解説:平山篤志氏)-937

 これまでリポ蛋白(a)(LP(a))については、動脈硬化疾患と関連するということが知られていて、独立した冠危険因子とされていた、しかし、測定される対象が限られていることと、多くの試験が少数例であったこと、またLP(a)を低下させる薬剤がなかったこともあって、LDL-コレステロール(LDL-C)の陰に隠れた存在であった。 本研究ではこれまで行われたプラセボ対照のスタチン試験においてLP(a)を複数回測定している対象で、心血管イベントとの関連が検討された。LP(a)は遺伝的に決定されているため環境因子に左右されないとされていたように、スタチンの投与でLDL-Cは39%低下したが、LP(a)は変化しなかった。プラセボ群でLP(a)の上昇とともにイベントの上昇が直線的に認められた。これはスタチン治療群でも同様で、さらにプラセボ群より強い関連が認められた。 これらのことから、LP(a)を治療のターゲットとした臨床試験の必要性が述べられている。これまで、HDL-Cの高値が心血管イベントの低下と関連することからHDL-Cを上昇させる薬剤の試験が行われたが、いずれも失敗に終わっている。観察研究で独立因子とされたものでも原因であることを示すには、LP(a)を低下させてイベントが低下することを示さねばならない。ただ、欧州動脈硬化学会でFOURIERのサブ解析が発表され、LP(a)を低下させる効果のあるEvolocmabで、LP(a)値の高値群での効果が顕著にみられたことから考えると、LP(a)が治療のターゲットであることは間違いないであろう。スタチンでLDL-Cを低下させてもLP(a)高値の残余リスクを有する新たな治療の展開が期待される。

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019)外来勤務での腰痛予防【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第19回 外来勤務での腰痛予防しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆長引きがちな皮膚科外来には、長時間椅子に座っていることで起こる腰痛、肩こりがつきものです。若い頃には腰痛など気にしたこともありませんでしたが、最近では地味にメンタルが削られる要因となっております…。腰痛対策どうしよう!?と考えた結果、今心掛けているのが、下記の2つ。腰に負担のかかる姿勢(主に足を診察するときの前傾姿勢)を取らない→足台を高くし、自分が屈むようにする(背筋はまっすぐ伸ばす)。こまめに動く→背中や頭を診察する際は立ち上がるチャンス! その他、こまめに体を動かす。忙しい外来中に小休止してまで、ストレッチを挟むことはできませんが、患者さんから見えない背後などで、地味に体を動かすようにしています。※ただし看護師さんからは見える!(笑)現在は勤務医のため、ハード面の改良までは手が付けられませんが、将来、自分の城を持ったあかつきには、立派な社長椅子と、腰痛対策グッズを買いそろえようと思います☆そして、車椅子用の低反発クッションもオマケにつける…(妄想)。日々、腰痛に悩む皮膚科医の戯言でした~☆それでは、また~!

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乳児血管腫(いちご状血管腫)〔infantile hemangioma〕

1 疾患概要■ 概念・定義乳児血管腫(infantile hemangioma)は、ISSVA分類の脈管奇形(vascular anomaly)のうち血管性腫瘍(vascular tumors)に属し、胎盤絨毛膜の微小血管を構成する細胞と類似したglucose transporter-1(GLUT-1)陽性の毛細血管内皮細胞が増殖する良性の腫瘍である1,2)。出生時には存在しないあるいは小さな前駆病変のみ存在するが、生後2週間程度で病変が顕在化し、かつ自然退縮する特徴的な一連の自然歴を持つ。おおむね増殖期 (proliferating phase:~1.5歳まで)、退縮期(消退期)(involuting phase:~5歳ごろ)、消失期(involuted phase:5歳以降)と呼ばれるが、経過は個人差が大きい1,2)。わが国では従来ある名称の「いちご状血管腫」と基本的に同義であるが、ISSVA分類にのっとって乳児血管腫が一般化しつつある。なお、乳幼児肝巨大血管腫では、肝臓に大きな血管腫やたくさんの細かい血管腫ができると、血管腫の中で出血を止めるための血小板や蛋白が固まって消費されてしまうために、全身で出血しやすくなったり、肝臓が腫れて呼吸や血圧の維持が難しくなることがある。本症では、治療に反応せずに死亡する例もある。また、まったく症状を呈さない肝臓での小さな血管腫の頻度は高く、治療の必要はないものの、乳幼児期の症状が治療で軽快した後、成長に伴って、今度は肝障害などの症状が著明になり、肝移植を必要とすることがある。■ 疫学乳児期で最も頻度の高い腫瘍の1つで、女児、または早期産児、低出生体重児に多い。発生頻度には人種差が存在し、コーカソイドでの発症は2~12%、ネグロイド(米国)では1.4%、モンゴロイド(台湾)では0.2%、またわが国での発症は0.8~1.7%とされている。多くは孤発例で家族性の発生はきわめてまれであるが、発生部位は頭頸部60%、体幹25%、四肢15%と、頭頸部に多い。■ 病因乳児血管腫の病因はいまだ不明である。腫瘍細胞にはX染色体の不活性化パターンにおいてmonoclonalityが認められる。血管系の中胚葉系前駆細胞の分化異常あるいは分化遅延による発生学的異常、胎盤由来の細胞の塞栓、血管内皮細胞の増殖関連因子の遺伝子における生殖細胞変異(germline mutation)と体細胞突然変異(somatic mutation)の混合説など、多種多様な仮説があり、一定ではない。■ 臨床症状、経過、予後乳児血管腫は、前述のように他の腫瘍とは異なる特徴的な自然経過を示す。また、臨床像も多彩であり、欧米では表在型(superficial type)、深在型(deep type)および混合型(mixed type)といった臨床分類が一般的であるが、わが国では局面型、腫瘤型、皮下型とそれらの混合型という分類も頻用されている。superficial typeでは、赤く小さな凹凸を伴い“いちご”のような性状で、deep typeでは皮下に生じ皮表の変化は少ない。出生時には存在しないあるいは目立たないが、生後2週間程度で病変が明らかとなり、「増殖期」には病変が増大し、「退縮期(消退期)」では病変が徐々に縮小していき、「消失期」には消失する。これらは時間軸に沿って変容する一連の病態である。最終的には消失する症例が多いものの、乳児血管腫の中には急峻なカーブをもって増大するものがあり、発生部位により気道閉塞、視野障害、哺乳障害、難聴、排尿排便困難、そして、高拍出性心不全による哺乳困難や体重増加不良などを来す、危険を有するものには緊急対応を要する。また、大きな病変は潰瘍を形成し、出血したり、2次感染を来し敗血症の原因となることもある。その他には、シラノ(ド・ベルジュラック)の鼻型、約20%にみられる多発型、そして他臓器にも血管腫を認めるneonatal hemangiomatosisなど、多彩な病型も知られている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)臨床像などから診断がつくことが多いが、画像診断が必要な場合がある。造影剤を用いないMRIのT1強調画像と脂肪抑制画像(STIR法)の併用は有効で、増殖期の乳児血管腫は微細な顆粒が集簇したような形状の境界明瞭なT1-low、T2-high、STIR-highの病変として、脂肪織の信号に邪魔されずに描出される。superficial typeの乳児血管腫のダーモスコピー所見では、増殖期にはtiny lagoonが集簇した“いちご”様外観を呈するが、退縮期(消退期)になると本症の自然史を反映し、栄養血管と線維脂肪組織の増加を反映した黄白色調の拡がりとして観察されるようになる。病理診断では、増殖期・退縮期(消退期)・消失期のそれぞれに病理組織像は異なるが、いずれの時期でも免疫染色でグルコーストランスポーターの一種であるGLUT-1に陽性を示す。増殖期においてはCD31と前述のGLUT-1陽性の腫瘍細胞が明らかな血管構造に乏しい腫瘍細胞の集塊を形成し、その後内皮細胞と周皮細胞による大小さまざまな血管構造が出現する。退縮期(消退期)には次第に血管構造の数が減少し、消失期には結合組織と脂肪組織が混在するいわゆるfibrofatty residueが残存することがある。鑑別診断としては、血管性腫瘍のほか、deep typeについては粉瘤や毛母腫、脳瘤など嚢腫(cyst)、過誤腫(hamartoma)、腫瘍(tumor)、奇形(anomaly)の範疇に属する疾患でも、視診のみでは鑑別できない疾患があり、MRIや超音波検査など画像診断が有用になることがある。乳児血管腫との鑑別上、問題となる血管性腫瘍としては、まれな先天性の血管腫であるrapidly involuting congenital hemangiomas(RICH)は、出生時にすでに腫瘍が完成しており、その後、乳児血管腫と同様自然退縮傾向をみせる。一方、non-involuting congenital hemangiomas(NICH)は、同じく先天性に生じるが自然退縮傾向を有さない。partially involuting congenital hemangiomas(PICH)は退縮が部分的である。これら先天性血管腫ではGLUT-1は陰性である。また、房状血管腫(tufted angioma)とカポジ肉腫様血管内皮細胞腫(kaposiform hemangioendothelioma)は、両者ともカサバッハ・メリット現象を惹起しうる血管腫であるが、乳児血管腫がカサバッハ・メリット現象を来すことはない。房状血管腫は出生時から存在することも多く、また、痛みや多汗を伴うことがある。病理組織学的に、内腔に突出した大型で楕円形の血管内皮細胞が、真皮や皮下に大小の管腔を形成し、いわゆる“cannonball様”増殖が認められる。腫瘍細胞はGLUT-1陰性である(図1)。カポジ肉腫様血管内皮細胞腫は、異型性の乏しい紡錘形細胞の小葉構造が周囲に不規則に浸潤し、その中に裂隙様の血管腔や鬱血した毛細血管が認められ、GLUT-1陰性である。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)多くの病変は経過中に増大した後は退縮に向かうものの、機能障害や潰瘍、出血、2次感染、敗血症の危険性、また将来的にも整容的な問題を惹起する可能性がある。これらの可能性を有する病変に対しては、手術療法(全摘・減量手術)、ステロイド療法(外用・局所注射・全身投与)、レーザー、塞栓/硬化療法、イミキモド、液体窒素療法、さらにはインターフェロンα、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ビンクリスチン、becaplermin、シロリムス、放射線療法、持続圧迫療法などの有効例が報告されている。しかし、自然消退傾向があるために治療効果の判定が難しいなど、臨床試験などで効果が十分に実証された治療は少ない。病変の大きさ、部位、病型、病期、合併症の有無、整容面、年齢などにより治療方針を決定する。以下に代表的な治療法を述べる。■ プロプラノロール(商品名:ヘマンジオル シロップ)欧米ですでに使われてきたプロプラノロールが、わが国でも2016年に承認されたため、本邦でも機能障害の危険性や整容面で問題となる乳児血管腫に対しては第1選択薬として用いられている3,4)。局面型、腫瘤型、皮下型とそれらの混合型などすべてに効果が発揮でき、表面の凹凸が強い部位でも効果は高い(図2)。用法・容量は、プロプラノロールとして1日1~3mg/kgを2回に分け、空腹時を避けて経口投与する。投与は1日1mg/kgから開始し、2日以上の間隔を空けて1mg/kgずつ増量し、1日3mg/kgで維持するが、患者の状態に応じて適宜減量する。画像を拡大する副作用として血圧低下、徐脈、睡眠障害、低血糖、高カリウム血症、呼吸器症状などの発現に対し、十分な注意、対応が必要である5)。また、投与中止後や投与終了後に血管腫が再腫脹・再増大することもあるため、投与前から投与終了後も患児を慎重にフォローしていくことが必須となる。その作用機序はいまだ不明であるが、初期においてはNO産生抑制による血管収縮作用が、増殖期においてはVEGF、bFGF、MMP2/MMP9などのpro-angiogenic growth factorシグナルの発現調節による増殖の停止機序が推定されている。また、長期的な奏効機序としては血管内皮細胞のアポトーシスを誘導することが想定されており、さらなる研究が待たれる。同じβ遮断薬であるチモロールマレイン酸塩の外用剤についても有効性の報告が増加している。■ 副腎皮質ステロイド内服、静注、外用などの形で使用される。内服療法として通常初期量は2~3mg/kg/日のプレドニゾロンが用いられる。ランダム化比較試験やメタアナリシスで効果が示されているが、副作用として満月様顔貌、不眠などの精神症状、骨成長の遅延、感染症などに注意する必要がある。その他の薬物治療としてイミキモド、ビンクリスチン、インターフェロンαなどがあるが、わが国では本症で保険適用承認を受けていない。■ 外科的治療退縮期(消退期)以降に瘢痕や皮膚のたるみを残した場合、整容的に問題となる消退が遅い血管腫、小さく限局した眼周囲の血管腫、薬物療法の危険性が高い場合、そして、出血のコントロールができないなど緊急の場合は、手術が考慮される。術中出血の危険性を考慮し、増殖期の手術を可及的に避け退縮期(消退期)後半から消失期に手術を行った場合は、組織拡大効果により腫瘍切除後の組織欠損創の閉鎖が容易になる。■ パルス色素レーザー論文ごとのレーザーの性能や照射の強さの違いなどにより、その有効性、増大の予防効果や有益性について一定の結論は得られていない。ただ、レーザーの深達度には限界がありdeep typeに対しては効果が乏しいという点、退縮期(消退期)以降も毛細血管拡張が残った症例ではレーザー治療のメリットがあるものの、一時的な局所の炎症、腫脹、疼痛、出血・色素脱失および色素沈着、瘢痕、そして潰瘍化などには注意する必要がある。■ その他のレーザー炭酸ガスレーザーは炭酸ガスを媒質にしたガスレーザーで、水分の豊富な組織を加熱し、蒸散・炭化させるため出血が少ないなどの利点がある。小さな病変や、気道内病変に古くから用いられている。そのほか、Nd:YAGレーザーによる組織凝固なども行われることがある。■ 冷凍凝固療法液体窒素やドライアイスなどを用いる。手技は比較的容易であるが、疼痛、水疱形成、さらには瘢痕形成に注意が必要で熟練を要する。深在性の乳児血管腫に対してはレーザー治療よりも効果が優れているとの報告もある。■ 持続圧迫療法エビデンスは弱く、ガイドラインでも推奨の強さは弱い。■ 塞栓術ほかの治療に抵抗する症例で、巨大病変のため心負荷が大きい場合などに考慮される。■ 精神的サポート本症では、他人から好奇の目にさらされたり、虐待を疑われるなど本人や家族が不快な思いをする機会も多い。前もって自然経過、起こりうる合併症、治療の危険性と有益性などについて説明しつつ、精神的なサポートを行うことが血管腫の管理には不可欠である。4 今後の展望プロプラノロールの登場で、乳児血管腫治療は大きな転換点を迎えたといえる。有効性と副作用に関して、観察研究に基づくシステマティックレビューとメタアナリシスの結果、「腫瘍の縮小」に関してプロプラノロールはプラセボと比較し、有意に腫瘍の縮小効果を有し、ステロイドに比しても腫瘍の縮小傾向が示された。また、「合併症」に関しては、2つのRCTでステロイドと比し有意に有害事象が少ないことが判明し、『血管腫・血管奇形診療ガイドライン2017』ではエビデンスレベルをAと判定した。有害事象を回避するための対応は必要であるが、今後詳細な作用機序の解明と、既存の治療法との併用、混合についての詳細な検討により、さらに安全、有効な治療方法の主軸となりうると期待される。5 主たる診療科小児科、小児外科、形成外科、皮膚科、放射線科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)『血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017』(医療従事者向けのまとまった情報)日本血管腫血管奇形学会(医療従事者向けのまとまった情報)国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)(医療従事者向けのまとまった情報:英文ページのみ)ヘマンジオル シロップ 医療者用ページ(マルホ株式会社提供)(医療従事者向けのまとまった情報)乳児血管腫の治療 患者用ページ(マルホ株式会社提供)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報混合型脈管奇形の会(患者とその家族および支援者の会)血管腫・血管奇形の患者会(患者とその家族および支援者の会)血管奇形ネットワーク(患者とその家族および支援者の会)1)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班作成『血管腫・血管奇形診療ガイドライン2017』2)国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)3)Leaute-Labreze C, et al. N Engl J Med. 2008;358:2649-2651.4)Leaute-Labreze C, et al. N Engl J Med. 2015;372:735-746.5)Drolet BA, et al. Pediatrics. 2013;131:128-140.公開履歴初回2018年10月23日

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生活保護受給者には後発医薬品使用が原則に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第11回

政府が掲げる後発医薬品使用割合の目標に対する現状の達成状況は厳しく、生活保護を受給している方への後発医薬品使用について長年にわたり議論されてきました。これまでは義務化には至りませんでしたが、2018年10月1日に生活保護法が改正され、生活保護受給者には原則として後発医薬品を使用することになりました。現時点では、先発医薬品を調剤した場合のペナルティは言及されていませんが、自治体の福祉事務所がその調剤への医療扶助の可否を決め、医療機関への支払いを判断することから、実質的には相応の理由や手順なく先発医薬品を調剤すると支払いがなされない、ということがないとは言えません。実際に、不適切な先発医薬品の調剤があった場合は、厚生労働大臣または都道府県知事の行う指導対象となることや、報酬を返納させることがある旨が疑義資料で示されています。では、どういう場合に先発医薬品を調剤することができるのでしょうか。東京都のホームページに生活保護法の指定を受けている薬局向けの下記のような説明があります。医師が後発医薬品への変更不可とした場合医療機関に在庫がない場合後発医薬品が先発品よりも高価、または同額である場合薬剤師の専門的な知見から先発医薬品を調剤する必要があると考え、それを医師に疑義照会し確認が取れた場合(医師が不在の時は福祉事務所に確認)(東京都福祉保健局ホームページより引用、一部改変)医師は引き続き後発医薬品の変更不可の権利を持つことができますが、一般名処方や後発医薬品への変更を不可としていない銘柄名処方が来た場合は、薬剤師は上記の場合を除いては、後発医薬品しか調剤できなくなり、先発医薬品が必要と判断した場合は医師への疑義照会もしくは福祉事務所への確認が必要になります。これまでとは異なり、単に患者さんの希望のみを理由として先発医薬品を調剤することができない、ということも説明文書に記載されています。この生活保護法改正による後発医薬品の使用原則化について、3つほど思うところがあります。まず、この取り組みのインパクトについてです。2017年の医療扶助実態調査において、生活保護受給者の薬剤数量に占める後発医薬品割合(後発医薬品がない薬剤は集計対象外)は調剤では76.0%、2018年1月時点の全患者の使用割合は調剤では71.9%でした。それほど大きく異なるというわけではないため、生活保護法だけを変えても医療費全体でみれば大きな影響はないかもしれません。しかし、今回の法改正で2018年度までの生活保護における後発医薬品使用割合の目標である80%はクリアできるのではないでしょうか。医療費削減という金額的なインパクトというよりも、後発医薬品の使用割合を上げ、生活保護受給者の部分だけでも目標を達成するという目的が見え隠れします。病院も薬局も後発医薬品の数量は上げたいので、そのあたりをうまくついているなと思います。次に、指定薬局の薬剤師がどのように患者さんに説明するか、ということです。生活保護受給者に対して、他の患者さんとは異なる説明をすることもあるでしょう。患者さんのタイプや薬剤師との関係性にもよりますが、かなり注意深い説明や配慮が必要になると思われます。事前にありそうな場面を想定した説明方法を考えておいたほうがいいかもしれません。最後に、この取り組みのスケジュール感についてです。10月1日施行の法改正にもかかわらず、通知が出たのが9月28日でした。29日、30日は土日ですので、施行日の事実上の前日に通知を出すというのは、どういうつもりなのだろうと多少怒りを覚えます。行政の方々もギリギリまで頑張っている、とも取れますが、現場の立場になってもう少し余裕をもって通知を発出したり、条件を開示したりできなかったのかしらと思います。この強行的なスケジュール感と、薬剤師が単独で先発医薬品を選択することができなくなったという点を愚痴らずにはいられないうさこでした。

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ESMO2018 会員レポート

2018年10月19日から23日までESMO2018が開催される。この重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後のがんの診療トレンドを順次紹介していく。現地ミュンヘンからオンサイトレビューレポート一覧レポーター

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うつ病治療と食事パターン

 栄養精神医学の分野は、急速に成長している。当初は、メンタルヘルスにおけるビタミンや微量栄養素の効果について焦点が当てられてきたが、ここ10年間では食事パターンにも焦点が当てられている。うつ病のような最も一般的な精神疾患において、費用対効果の高い食事療法による介入の可能性は、潜在的に大きな影響を及ぼすため見過ごされるべきではない。ポルトガル・コインブラ大学のMariana Jesus氏らは、うつ病における食事パターンの影響について検討を行った。Current Pharmaceutical Biotechnology誌オンライン版2018年9月25日号の報告。うつ病予防に食事パターンが重要な役割を果たす 古典的な文献レビューを実施し、2010~18年のうつ病およびうつ症状における食事パターンの影響に焦点を当てた研究を抽出した。 うつ病と食事パターンの影響について検討した主な結果は以下のとおり。・基準に合致した研究は、10件抽出された。・ほとんどの研究において、健康的な食事パターン(果実、野菜、赤身肉、ナッツ、全粒穀物が豊富、加工食品や糖質食品が少ない)と各年齢層におけるうつ病やうつ症状との間に逆相関関係が認められた(一部の著者は、女性のみ統計学的に有意であると報告している)。・ほとんどの研究は、横断的調査デザインであり、因果関係の推定が困難であったが、ランダム化比較試験においても、同様な結果が得られていた。 著者らは「正確な病因経路は不明であるが、食事パターンとうつ病との関連は、十分に確立されている。伝統的な食事のような健康的な食事パターンによる食事療法は、うつ病および抑うつ症状の予防および補助療法において重要な役割を果たすと考えられる」とし、「高品質の食事パターンとうつ病および抑うつ症状のリスクとの関連性を確認するためには、より大規模なランダム化比較試験を実施する必要性がある」としている。

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nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、nab-パクリタキセルと抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相ランダム化比較試験IMpassion130の結果に基づき、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。同患者対象の1次治療の第III相試験で、免疫療法についてポジティブな結果が出たのは初となる。nab-パクリタキセルとアテゾリズマブ併用を評価 IMpassion130では、ECOG PS 0~1、転移性または切除不能な局所進行TNBC患者を対象に、アテゾリズマブ併用群(28日を1サイクルとして、アテゾリズマブ840mgを1日目と15日目に、nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、タキサン系薬剤による治療、肝転移の有無、PD-L1ステータス。主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1陽性患者におけるPFSと全生存期間(OS)、副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・2018年4月17日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は12.9ヵ月。・全体で902例が組み入れられ、ITT解析対象はnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群/nab-パクリタキセル+プラセボ群ともに451例、うち41%(185例/184例)がPD-L1陽性であった。・年齢中央値はアテゾリズマブ併用群が55歳、プラセボ群が56歳。(ネオ)アジュバント療法歴有は63%(284例/286例)、タキサン系薬剤は51%(231例/230例)、アントラサイクリン系薬剤は54%(243例/242例)であった。・PFS中央値はITT解析対象でnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群7.2ヵ月に対しnab-パクリタキセル+プラセボ群5.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.0025)。PD-L1陽性患者でアテゾリズマブ併用群7.5ヵ月に対し5.0ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)といずれも併用群で有意に改善した。・中間解析時点でのOS中央値はITT解析対象で21.3ヵ月 vs.17.6ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.0840)。PD-L1陽性患者で25.0ヵ月 vs. 15.5ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。・ORRはITT解析対象で56% vs.46%、PD-L1陽性患者で59% vs.43%。完全奏効率はアテゾリズマブ併用群で高く、ITT解析対象で7% vs.2%、PD-L1陽性患者で10% vs.1%であった。・DOR中央値はITT解析対象で7.4ヵ月 vs. 5.6ヵ月、PD-L1陽性患者で8.5ヵ月 vs. 5.5ヵ月であった。・安全性プロファイル(452例/438例が解析対象)について、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは好中球減少症(両群とも8%)、好中球数減少(5%/3%)、末梢神経障害(6%/3%)、倦怠感(4%/3%)、貧血(両群とも3%)であった。 オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMarleen Kok氏は本結果について、「PFSのベネフィットは比較的小さく約2~3ヵ月であったが、PD-L1陽性患者におけるOSを約10ヵ月延長している点が印象的である。抗PD-(L)1抗体とどの化学療法の組み合わせが最適かについて多くの臨床試験が進行中であり、本結果はその疑問に答えを出すのに役立つだろう」と話している。

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尿酸値上昇、食事の影響はわずか/BMJ

 一般集団において血清尿酸値の変化は、遺伝的寄与とは対照的に食事の寄与はわずかであることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のTanya J. Major氏らによる住民ベースコホート研究のメタ解析の結果で、BMJ誌2018年10月10日号で発表された。血清尿酸値は、遺伝的暴露と特定の食品などを含む環境的曝露による影響を受けることが知られている。血清尿酸値と食事内容の関係を統計的に検証 研究グループは、血清尿酸値と食事内容の関係を統計的に検証し、血清尿酸値の集団における変動に対する食事パターンおよび遺伝的変異の相対的な推定寄与を評価した。検討には、米国の断面調査データ(5つのコホート試験)を用いてメタ解析を行った。 解析に包含されたのは、ヨーロッパ系米国人1万6,760例(男性8,414例、女性8,346例)。腎疾患や痛風を有しておらず、尿酸降下薬や利尿薬を服用していない18歳以上を適格とした。全被験者は、血清尿酸測定値、食事調査データ、交絡因子情報(性別、年齢、BMI、平均1日摂取カロリー、教育を受けた年数、運動レベル、喫煙状態、更年期の状態)、ゲノムワイド遺伝子型の情報を有していた。 主要評価項目は、平均血清尿酸値と血清尿酸値の変動で、多変量線形回帰分析からのβ値(95%信頼区間[CI])とボンフェローニ補正p値を、各回帰分析で求めた食品が寄与する部分的R2値とともに用いて、関連性を定量化した。食事は尿酸値上昇と関連するが、影響はわずか 7つの食品(ビール、リキュール、ワイン、ジャガイモ、鶏、清涼飲料水、肉[牛、豚、ラム])が、血清尿酸値上昇と関連していた。一方、8つの食品(卵、ピーナッツ、コールドシリアル、スキムミルク、チーズ、ブラウンブレッド、マーガリン、非柑橘系果物)が、血清尿酸値低下と関連していた。これらは、男性コホート、女性コホートあるいは全コホートにおいて認められた。 健康的な食事ガイドラインに基づいて構築された3つの食事スコア(DASH、Mediterranean、Healthy Eating)は血清尿酸値と逆の相関関係を示し、使用したデータセットの食事パターンに基づくデータドリブンスコアは、血清尿酸値の上昇と正の関連を示したが、いずれも血清尿酸値の変動は0.3%以下であった。対照的に、一般的にみられたゲノムワイド一塩基変異による血清尿酸値の変動は、23.9%であった。

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特発性肺線維症治療の現状について(解説:小林英夫 氏)-935

 特発性肺線維症(IPF)は特発性間質性肺炎(IIPs)の中で最多を占め、現在、完治療法が得られておらず、IPF生存中央値は肺がんと同程度の予後が報告されている。なお特発性間質性肺炎とは、原因不明の間質性肺炎“群”の総称である。20年ほど前までは副腎皮質ホルモン薬や免疫抑制薬などが抗炎症効果を期待して投与されていたが、明確な効果を実感することは難しかった。 そして、約10年前にピルフェニドン(商品名:ピレスパ)、3年前にはニンテダニブ(商品名:オフェブ)の2剤が抗線維化薬として登場してきた。ピルフェニドン開発には日本の臨床データが大きく貢献した。ニンテダニブはマルチチロシンキナーゼ阻害薬で、線維芽細胞の増殖・遊走・形質転換を阻害することで効果を発現する。国際共同試験(INPULSISおよびTOMORROW)により努力肺活量の年間減少を抑制し、IPF死亡リスクを低下させる、などの“可能性”が報告されている(特発性肺線維症へのニンテダニブ、有効性、安全性を確認/NEJM)。 シルデナフィルはバイアグラとして有名だが、肺動脈拡張効果を有するため肺動脈性肺高血圧への有効性や(日本では肺動脈性肺高血圧症でなければ保険適用外である)、IPFに対して酸素化、肺拡散能、呼吸困難などを軽減する可能性も報告されている。しかしシルデナフィルもニンテダニブも単剤での治療効果が万全とは言い難い。 そこでシルデナフィルとニンテダニブ併用投与がIPFにどの程度の効果をもたらすかを検討するため、Boehringer Ingelheim助成による二重盲検試験(INSTAGE)が実施された。本報告での主要エンドポイントはQOL(生活の質)と設定された。なおINPULSIS試験ではニンテダニブによるIPF症例のQOL改善効果は明確ではなかった。試験結果は2剤併用によるQOL改善の上乗せ効果は確認されなかったとのことである。 治療効果を評価する臨床試験では、治癒を目指し生存期間をエンドポイントとすることが一般的となっている。しかし、IPF治療の実状は完治に到達するパワーを発揮する治療は登場していないことから、今回のエンドポイントとしてQOLが選択されている。約35年前の間質性肺疾患研究会において故本間日臣先生が、間質性肺炎の治療は単純に治癒を目指すだけではなく、疾患を安定化させ進行を抑制することも目標にしなければならないと発言され、筆者には思いもよらない発想に大きなインパクトを受けたことがある。現状のIPF臨床研究は残念ながら本間先生の見識を乗り越えられていないが、2018年の米国胸部学会にはオートタキシン阻害薬や遺伝子組み換え型ペントラキシン2といった新薬も発表されており、引き続く臨床研究の展開を強く願いたい。

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第4回 DICへのアンスロビンP500の査定/セロクエル錠処方に伴うHbA1c検査の査定/腫瘍マーカー検査の査定/C型慢性肝炎検査の査定【レセプト査定の回避術 】

事例13 DICへのアンスロビンP500処方の査定アンチトロンビンIII低下を伴うDICで乾燥濃縮人アンチトロンビンIII(商品名:アンスロビンP)500注射用3瓶を点滴静注した。●査定点アンスロビンP500注射用3瓶が査定された。解説を見る●解説アンスロビンP500注射用の添付文書に「アンチトロンビンIII低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)→アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下した場合は、通常成人に対し、ヘパリンの持続点滴静注のもとに、本剤1日1,500単位(又は30単位/kg)を投与する」と記載があります。アンチトロンビンIII検査が先月末に行われ、アンスロビンP500注射用投与時の月にはアンチトロンビンIII検査が施行されていませんでした。このケースでは、アンスロビンP500注射用投与時の月に症状詳記に「〇月〇日+検査数値」を記載することが必要でした。事例14 セロクエル錠処方に伴うHbA1c検査の査定統合失調症で、クエチアピン(商品名:セロクエル錠)を25mg 2T投与し、HbA1cの検査を請求した。●査定点HbA1c検査が査定された。解説を見る●解説セロクエル錠の添付文書の副作用に「著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと」と警告されているため、HbA1c検査を施行しました。しかし、その場合でも、「糖尿病の疑い」の病名がないと査定されます。ここでは処方のつど、病名を追記するよりも、症状詳記での記載が求められます。事例15 腫瘍マーカー検査の査定初診月の病名で胃潰瘍、胃がんの疑いでCEA、CA19-9の検査を請求した。●査定点CEA、CA19-9が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」の腫瘍マーカーに、「診療及び腫瘍マーカー以外の検査の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して、腫瘍マーカーの検査を行った場合に、1回に限り算定する」となっています。他の検査が施行されていない場合でCEA、CA19-9だけを請求すると査定の対象になります。また、他院からの紹介の場合では、「〇〇医療機関から〇月〇日に紹介された」と記載することが求められています。事例16 C型慢性肝炎検査の査定C型慢性肝炎でHCV核酸検出とHCV核酸定量の検査を請求した。●査定点HCV核酸定量が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」の微生物核酸同定・定量検査に、「HCV核酸検出とHCV核酸定量を併せて実施した場合には、いずれか一方に限り算定する」と通知があるため、両検査の請求は認められません。

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第5回 心電図、正しくとれてる?(前編)~鏡の中のマボロシ~【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第5回:心電図、正しくとれてる?(前編)~鏡の中のマボロシ~私たちは心電図の波形を目で見て診断・解釈し、医療行動を施します。でも、もしも不適切な方法で心電図が記録されていたら…患者さんの治療にも影響しかねない一大事です。その見抜き方をDr.ヒロがレクチャーします。症例提示48歳。女性。昨晩からの心窩部痛にて救急受診。以前より血圧高値を指摘されるも受診せず。間欠的に“さしこむような”痛みがあり、発作時には冷汗を伴う。何度か嘔吐もした。労作時症状はなし。昼過ぎに市販の制酸剤を服用したが改善しないため、夕刻に受診、来院時に心電図検査を行った(図1)。喫煙:20-30本/日(18歳~:現在も喫煙中)家族歴:冠動脈バイパス術(父親)身長156cm、体重105kg。体温36.9℃、血圧154/95mmHg、脈拍62/分。(図1)来院時心電図画像を拡大する【問題】心電図所見として正しいものを2つ選べ。1)洞(性)不整脈2)左房調律3)電極の左右つけ間違い(上肢)4)電極の左右つけ間違い(下肢)5)右胸心解答はこちら1)、3)解説はこちら“お決まり”ですが、1問目は心電図の読み方を問います。“型”の通りに読めるようになっていますか?(第1回参照)1)○:R-R間隔どうですか?一見すると整のようですが、よーく見ると不整でしょ。“最短”と“最長”で3目盛り(0.12秒)*以上差がある洞調律を「洞(性)不整脈」と診断します。胸部誘導3~4拍と4~5拍ではR-R間隔の差が4目盛り以上ありそうなので該当しますね。(*:0.16秒以上とする本もあり、その場合は「4目盛り」となる)。2)×:イチニエフ法(第2回参照)を適用しようとすると…アレッ? I誘導から陰性(下向き)でII誘導もなんとも変なカタチ…ということは、「異所性心房調律」?そう思えたアナタは素晴らしい!たしかに、この「左房調律」も代表的な異所性心房調律でI誘導が陰性のことが多いです(正式にはV6誘導の陰性Pをもって定義されます)。ただ、QRS波形の変化は説明不能ですから、これは不適です。3)○:I誘導のP-QRS-Tが“すべて下向き(陰性)”を見たとき、最も頻度が高いのは「左右の上肢電極のつけ間違い」です。aVR誘導が陽性QRS波なのもオカシイですよね。次回、詳しく解説します。4)×:下肢電極(黒・緑)を左右逆にしても、実は心電図波形はほとんど変わりません。黒色はアース電極で、緑色が左右どちらの足でも電極間の引き算という観点では同じなのです。5)×:右手・左手の電極つけ違い(選択肢3)の心電図との鑑別時に問題となる右胸心。肢誘導だけでなく、胸部誘導のR波増高プロセスも異常となりますが、今回はほぼ正常なので、該当しません。“電極つけ間違いのカラクリを理解する”皆さんは自分で心電図を記録することがありますか?研修医の時以来してないな…なんて人もいるかもしれませんね。医師の多くはナースや検査技師さんなどのコメディカルがとってくれた心電図を見るわけですが、「もしかして正しくとれてない?」と、考えたことはありませんか?何の根拠もなく人を疑うべきではありませんが(チーム医療が崩壊してしまいますよね…)、現実には、心電図の記録ミスは頻繁に起きているんです。なかでも今回取り上げる上肢電極(右手・左手)のつけ間違いが代表的です。つまり、右手に黄電極、左手に赤電極をつけてしまうミスです。自分で正しく記録するのは当然ですが、他人の記録ミスにも気づける能力が、デキる医師には大切だと思います。解説でも述べましたが、右足(黒)、左足(緑)を逆につけても波形にはほとんど無影響です。頻度的には手も足も同じくらい間違われているはずですが、波形の解釈が問題となるのは上肢の方。これがなぜなのか説明していきましょう。今回の症例で、電極を正しく貼って記録した心電図を示します(図2)。何のことはない、イチニエフ法と検脈法(第3回参照)を用いて心拍数60/分の正常洞調律と診断、ST変化もありません。(図2)正しく記録した心電図画像を拡大する図1と比較してもわかるように、手足の電極をつけ間違えた場合、当然ながら影響が出るのは肢誘導のみで、胸部誘導は変わりません。ここで、実際の波形を表にし、4つの特徴をまとめました(図3)。(図3)上肢の左右電極つけ間違いと正常の比較画像を拡大する左右電極つけ間違い(右手⇔左手ミス)による心電図の特徴(1)Iが上下逆さま(P-QRS-Tすべてが陰性となるのが典型的)(2)aVRとaVLが入れ換わり(3)IIとIIIが入れ換わり(4)aVFは(ほぼ)不変もちろん、“なんでこうなの?”と、思う人がいるでしょう。右手と左手の電極を逆につけた場合、“肢誘導の世界”でも左右が逆転します。実は、これさえ理解できれば、わざわざ4つの特徴を覚える必要はありません。“肢誘導の世界”とは、I、II、IIIとaVR、aVL、aVFの計6個の電極が乗っている断面のことで、前額断(“おでこに平行”という意味)ないし冠状断と呼ばれます。図示すると、どこかで一度は目にしたことがあろう「円座標システム」となります(図4)。中心に心臓があるイメージです。(図4)肢誘導システム(前額断[冠状断])杉山 裕章. 心電図のみかた、考えかた[基礎編]. 中外医学社;2013.p.171.を改変画像を拡大する真ん中の±90゜の正中線をはさんで、IIとIII、そしてaVRとaVLとが左右対称の位置関係であることがわかりますか?IとaVF以外は、鏡に映したような心電図になってしまうのです。「aVFは不変」というのは、まさに正中線上なので、ひっくり返しようがない(笑)。残るI誘導は心臓から見て真左、角度では「0°」なんですが、左右反転したら「180°(-I誘導)」となるので、刺激興奮をまったく逆の右方向から眺めることになり、心電図波形としては極性、すなわち“上下”が逆となります。フムフム。手電極の左右を間違えると波形がどうなるかはわかったけど、実際にはどうやって見抜けばいいのでしょう?ハイどうぞ、と言わんばかりの試験問題なら簡単かもしれませんが、現実には正常波形を横に準備してくれているわけでないので、ピンッとくる感覚、そんなアンテナのような“気づき”が大事だと思います。“秘伝”というほどのシロモノではないですが、独自のアイディアも交えて皆さんと共有したいと思います。今回は最もスタンダードな点から。まず一つ目。ボクが左右電極のつけ間違いを疑う際に重要と考えるI誘導。I誘導では、正常ならP波もQRS波もT波もすべて上向き(陽性)です。「右軸偏位」ならQRS波は下を向きますが、P波までが陰性になることはありません。もちろん、異所性心房調律にはイチゴロク(I、V5、V6)が陰性Pを呈する「左房調律」もありますし、心房細動のようにP波が存在しないこともあります。ただ、この陰性P±陰性QRS・TがI誘導で一緒に見られる時、とにかくボクは「右手⇔左手ミス」を一番に考え、過去の心電図と比較するようにしています。選択肢にも入れた右胸心ほか、いくつかの鑑別は必要ですが、電極のつけ間違いだけは、こちらが疑わない限り絶対に診断できないのです。なお、後半に述べた“座標”だ“角度”だといった話は、QRS電気軸のところでも登場します。やけに“数学的”で難しくてとても覚えられないという人! 大丈夫。考え方さえ分かれば十分ですよ。今回はここまで。次回は同じ症例で残りのDr.ヒロ流“気づき”ポイントなどを紹介するので、お楽しみに!Take-home Message1)肢誘導電極(右手・左手)のつけ違いを見抜けるようになろう!2)つけ間違いに気づくには、まずI誘導に注目せよ【古都のこと~岩清水八幡宮~】7月の最終土曜、折しも夜半より大型台風が上陸するとされた日、なぜか夕方に愛車を飛ばして八幡市の男山へ。天王山に対峙する国家鎮護の社、国宝でもある岩清水八幡宮をお参りしました。竹の森林浴を楽しんでから、本殿に向かうと、強くなりつつある風が神紋を揺らしていました。門から御社が見えた時、境内には、なんと自分一人のみ。並々ならぬ御加護を頂戴し、帰路を急いだのでした。

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第10回 在宅訪問計画書に何書いてますか?【週刊・川添ラヂオ】

動画解説前回お話したコーチングの「ワクワクするような目標を立てる」というやり方。これを患者さんの人生にも応用できないか?しかし薬剤師が患者さんひとりひとりのコーチになるわけにもいきません。そこでカギになるのが在宅訪問計画書。薬を飲むことがワクワクに変わる夢の計画書をケアマネさんとともに作りましょう!

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