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プレゼン下手の医師なんてもう卒業!【Dr.倉原の“俺の本棚”】第16回

【第16回】プレゼン下手の医師なんてもう卒業!ベテラン中堅医になっても、カンファレンスでプレゼンがヘタクソな人っているんですよ。提示されるのがいつも結核の症例ばかりだから、患者背景をすっ飛ばして、結核菌の感受性からプレゼンし始めて、「あれ、この人どこの国の人?」と聞かれて「あ、フィリピン人です」と答える14年目くらいの医師。……って、オレじゃねぇか!!というわけで、私もイチからプレゼンについて勉強し直すつもりで正座して読みました。結論から書くと、研修医は全員買うべし。カンファレンスやコンサルトの症例プレゼンから学会発表まで、うまくまとめられた本です。とにかく、完成度が高いのです。『あの研修医はすごい!と思わせる 症例プレゼン-ニーズに合わせた「伝わる」プレゼンテーション』松尾 貴公・水野 篤/著. 羊土社. 2019私が感銘を受けたのは、話す速度についてです。「1秒間に5文字」というNHKルールが紹介されていましたが、いやぁ、思ったよりゆっくりなんですね。私は研修医時代、1秒間に20文字くらい話す指導医たち(頭の回転が速すぎる神々)に囲まれていたので、いつの間にか症例プレゼンのスピードが速くなってしまったように思います。アメリカのITベンチャー企業の社長みたいに、ステージで身ぶり手ぶりして歩きながらプレゼンできるようになる必要はありませんが、少なくとも聴衆が退屈にならないようなプレゼンの仕方は本書でマスターできるはずです。この本の面白いところは、ナースや薬剤師などのコメディカルスタッフに対するプレゼンにまで触れている点です。普段から実際にプレゼン相手を意識しておられる方なのだとすぐにわかります。研修医だけでなく、何となくプレゼンを学ばずに成長してきた中堅以上のドクターに読んでもらいたい一冊です。今年、2019年の日本循環器学会では、ツイッターで学会情報を流すという日本初の試みがありましたが、その中心にいらしたのが、本書の著者の1人でいらっしゃる水野先生です。動画を拝見しましたが、話し方も堂々としておられ、ああなりたいなぁとうらやましい限りです。帰宅してから、「僕の話し方ってどこかヘン?」と妻に聞いたところ、「えーっとね、そもそも声がこもってて聞きにくいし、いつも語尾が消える。耳に残らない。あと目を合わせないよね」と1ラウンド開始数秒でノックアウトされました。カンカンカンカン!『あの研修医はすごい!と思わせる 症例プレゼン-ニーズに合わせた「伝わる」プレゼンテーション』松尾 貴公・水野 篤/著出版社名羊土社定価本体3,200円+税サイズA5判刊行年2019年■関連記事JCS2019で日循公式ツイッターが全力発信 #19JCSでタグ付けを■関連動画水野 篤氏のJCS2019告知動画(ツイッター)

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S-1+ドセタキセルが、胃がんアジュバントのスタンダードに(JACCRO GC-07)/JCO

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられる。一方、ドセタキセルは標準化学療法との併用で、進行期および周術期における生存ベネフィットが証明されている。Stage III胃がん患者に対するS-1+ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較した無作為化第III相比較試験JACCRO GC-07(START-2)の中間解析の結果がJournal of Clinical Oncology誌2019年3月29日号で発表された。GC-07試験は1,100例の登録が計画されていたが、第2回中間解析において、効果安全性評価委員会より有効中止が勧告されていた。 対象は20~80歳の治癒切除(R0)を施行したStageIII胃がん患者。S-1+ドセタキセル併用群は、サイクル1(3週間):S-1(1.25m2未満 80mg、1.25以上1.5m2未満 100mg、1.5m2以上 120mg)1日2回day1~14日投与7日間休薬、サイクル2~7(3週間ごと):ドセタキセル(40mg/m2)day1、S-1 day1~14日投与7日間休薬、サイクル8以降(6週間ごと):S-1 day1~28投与14日間休薬。S-1単独群は、S-1 day1~28日投与14日間休薬を手術1年後まで継続した。主要評価項目は3年無再発生存率(RFS)。 主な結果は以下のとおり。・454例がS-1+ドセタキセル併用群に、459例がS-1群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は12.5ヵ月であった。・3年RFSはS-1+ドセタキセル併用群66%、S-1群50%と、S-1+ドセタキセル併用群で有意に延長した(HR:0.632、99.99%CI:0.400~0.998、p<0.001)。 ・RFS中央値はS-1+ドセタキセル併用群は未到達、S-1群は34.5ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象は、S-1+ドセタキセル併用群では58%にS-1群では42%に発現した。とくに好中球減少、白血球減少がS-1+ドセタキセル併用群で多かった。 GC-07試験の結果を受けて、S-1・ドセタキセル併用療法がStageIII胃がんの標準的な術後補助療法の1つとなった。

20203.

第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)開催のご案内

 NPO法人日本血管映像化研究機構は、2019年4月26日(金)・27日(土)に第13回Transcatheter Imaging Forum (TCIF2019)を開催する。本会は当初より、種々の画像診断技術を用いて、動脈硬化性疾患の評価をライブ中継画像を交えながら真摯に議論する集まりとして開催されてきた。近年は、改良された血流維持型血管内視鏡によって観察される大動脈内腔、自然破綻を繰り返す動脈硬化性粥腫(プラーク)に注目し、その診断、病態、治療に関する種々の検討を積み重ねている。 今回は、大阪暁明館病院心臓血管センターから、血流維持型血管内視鏡を用い、上行大動脈から末梢動脈までを観察する症例をライブ中継し、大動脈内腔で起きている病的現象を観察し、共に考え、検討することが企画されている。ことに大動脈内面の微細病変、動脈硬化性粥腫と繰り返し起こっている粥腫(プラーク)破綻、さらに破綻部から放出される多彩な物質が末梢臓器に与える影響を中心に議論を交わしたいと考えている。大動脈内で大量に浮遊し、末梢へと飛散する物質(Debris)が長い時間を経て、老化と密接に関連するであろうとの仮説の下に、本年のテーマは「血管内視鏡がひも解く老化のメカニズム~人は大動脈と共に老いる~」とされている。すべての診療科を超えて老化のメカニズムに迫れるものと考えている。【日程】 2019年4月26日(金)・27日(土)【会場】 大阪国際会議場 グランキューブ大阪12階 特別会議場 大阪市北区中之島5丁目3-51【中継施設】 大阪暁明館病院【テーマ】 血管内視鏡がひも解く老化のメカニズム~人は大動脈と共に老いる~【参加費】 日本血管映像化研究機構の個人正会員:無料(年会費1万円) 非会員:15,000円【主催】 NPO法人日本血管映像化研究機構 〒550-0005 大阪市西区西本町1丁目8番2号 三晃ビル5階 TEL:06-4391-0111 http://npo-jviro.com「第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)」の詳細はこちら。

20204.

コーヒーは5杯未満が有益?日本人の死亡率への影響

 これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示唆されている。今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2019年4月2日号に掲載。 本解析には、日本の8つのコホート研究(JPHC-IとJPHC-IIの多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、三府県大阪コホート研究)における男性14万4,750人、女性16万8,631人のデータを用いた。17年間の平均追跡期間中に5万2,943人が死亡し、うち、がん1万9,495人、心疾患7,321人、脳血管疾患6,387人、呼吸器疾患3,490人、傷害・事故3,382人であった。ランダム効果モデルを用いて、統合ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取が全死因死亡に予防的であり、コーヒー摂取量が最も高いカテゴリー(5杯/日以上)で関連が減弱した。・男性では、がん以外の主な死因による死亡で同様の負の関連が観察された。・女性では、1~2杯/日のカテゴリーでは、コーヒー摂取により心臓病による死亡リスクが減少したが、5杯/日以上のカテゴリーではリスクが増加した。・男女共に、がんはコーヒー摂取とは関連がみられなかった。・男性の現在喫煙者と女性の未喫煙者で結果が類似していた。

20205.

がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。死期が近づいたころの臨床的有用性が限られた薬剤の負担を減らすため、適切な減薬(deprescribing)戦略が必要である」と述べている。Cancer誌オンライン版2019年3月25日号掲載の報告。 研究グループは、スウェーデンのデータベースを用い、2007~13年に死亡した65歳以上の高齢固形がん患者について、患者が死亡する前1年間における予防薬の毎月の使用と費用を解析した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は15万1,201例(平均年齢81.3歳)で、死亡前1年間において、平均投与薬剤数は6.9剤から10.1剤に増加していた。・降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬は、しばしば死亡月まで継続されていた。・1人当たりの薬剤費(中央値)は、1,482ドル(四分位範囲[IQR]:700~2,896ドル)に達し、そのうち213ドル(IQR:77~490ドル)が予防薬であった。・予防薬の費用は、肺がんで死亡した高齢患者(1人当たりの薬剤費[中央値]:205ドル、IQR:61~523ドル)と比較して、膵がん患者(補正後群間差:13ドル、95%CI:5~22ドル)、婦人科系がん患者(補正後群間差:27ドル、95%CI:18~36ドル)で高かった。・死亡前1年間を通して、予防薬の費用に関して減少は認められなかった。

20206.

セファゾリンナトリウム注射用の代替薬

 2019年3月29日、厚生労働省は、事務連絡として「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」を全国の関係機関に発出し、各医学会でも周知が開始された。 セファゾリンナトリウムは、日医工株式会社が製造・供給に大きなシェアをもつ抗菌薬だが、本年2月に製品供給に支障をきたす可能性がある旨の周知があり、現在も供給再開の目途が立っていない。そして、同製品の代替品と考えられる製品の一時的な供給不足も危惧されることから、安定供給が再開されるまでの間の対応として周知された。 利用にあたっては、「抗菌薬の処方に関する最終的な決定は、治療にあたる医師が行う」「一覧の病態・術式に対し本来の推奨薬とは限らない薬剤も含まれるので、個別の患者マネジメントにおいては病態や術式を十分に検討して決定すること」などの諸注意を踏まえ、院内などで情報共有をしつつ、活用してほしいとしている。周術期予防抗菌薬(カッコ内はターゲットとする細菌)・脳神経外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、セフォタキシムなど・耳鼻咽喉科(黄色ブドウ球菌/口腔内嫌気性菌/レンサ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・心臓血管外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、セフォタキシムなど・胸部外科(口腔内嫌気性菌/レンサ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・乳腺外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、クリンダマイシン・上部消化管外科(大腸菌/肺炎桿菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアム・消化器外科(腸内細菌科細菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・婦人科(腸内細菌科細菌、Bacteroides fragilisグループ) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・泌尿器科(腸内細菌科細菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・整形外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、セフメタゾールなど治療用抗菌薬(カッコ内はターゲットとする細菌)・黄色ブドウ球菌菌血症(黄色ブドウ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォタキシム、セフトリアキソンなど・軟部組織感染症[蜂窩織炎、丹毒など](黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォタキシム、セフトリアキソンなど・急性骨髄炎、化膿性関節炎(黄色ブドウ球菌) 代替薬例:セフォタキシム、セフトリアキソン、クリンダマイシンなど・尿路感染症[急性腎盂腎炎](大腸菌) 代替薬例:セフォチアム、セフメタゾール、フロモキセフなど なお上記リストは、同製品の供給不足に伴う影響を最小限にし、かつ抗菌薬適正使用の観点から、既存の診療ガイドラインなどを踏まえ、国立研究開発法人国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターの協力のもと作成された。■参考厚生労働省「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」

20207.

脳卒中リスクを有するAF患者へのアブレーションの有用性/JAMA

 心房細動(AF)患者におけるカテーテルアブレーション戦略は、薬物療法と比較して主要評価項目(死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント)に有意差は認められなかった。米国・メイヨー・クリニックのDouglas L. Packer氏らが、10ヵ国126施設で実施した医師主導型の多施設共同非盲検無作為化試験「The Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation trial:CABANA試験」の結果を報告した。ただし結果について著者は、「予想よりイベント発生率が低く治療のクロスオーバーが行われていることが、カテーテルアブレーションの治療効果に影響を与えている可能性があり、本試験結果の解釈には注意を要する」としている。カテーテルアブレーションは、AFを洞調律に戻すのに有効であるが、死亡や脳卒中のリスクに対する長期的な影響はわかっていなかった。JAMA誌2019年4月2日号掲載の報告。AF患者約2,000例で死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止等の予後を比較 研究グループは、2009年11月~2016年4月の期間に、65歳以上、または脳卒中の危険因子(高血圧、心不全、脳卒中の既往、糖尿病、他の心疾患)を1つ以上有する65歳未満のAF患者2,204例を登録し、カテーテルアブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、2017年12月31日まで追跡した。 カテーテルアブレーション群では、肺静脈隔離術を実施するとともに、医師の裁量で補助的なアブレーションが追加された。薬物療法群では、ガイドラインに従い標準的なリズム/レートコントロール薬が投与された。 主要評価項目は、死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント(intention-to-treat解析)。副次評価項目は13項目あるが、今回は3項目(全死亡、全死亡または心血管入院、AF再発)について報告された。主要評価項目に有意差なし、AF再発はカテーテルアブレーション群で有意に抑制 2,204例の患者背景は、年齢中央値68歳、女性37.2%、発作性AF 42.9%、持続性AF 57.1%で、89.3%が試験を完遂した。カテーテルアブレーション群では90.8%(1,006/1,108例)が施術を受け、薬物療法群では27.5%(301/1,096例)がカテーテルアブレーションも受けた。 追跡期間中央値48.5ヵ月において、主要評価項目の複合エンドポイントの発生率は、アブレーション群8.0%(89例)、薬物療法群9.2%(101例)で、有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.65~1.15、p=0.30)。 副次評価項目については、アブレーション群vs.薬物療法群でそれぞれ、全死亡が5.2% vs.6.1%(HR:0.85、95%CI:0.60~1.21、p=0.38)、全死亡または心血管入院が51.7% vs.58.1%(HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.001)、AF再発が49.9% vs.69.5%(HR:0.52、95%CI:0.45~0.60、p<0.001)であった。

20208.

小児の潰瘍性大腸炎、ステロイドフリー寛解予測因子とは/Lancet

 新たに潰瘍性大腸炎(UC)と診断された小児患者において、52週時のステロイドフリー(メサラジン単独療法)寛解の予測に、初期の臨床的活動性および4週までの治療反応が有用であることが、米国・コネチカット小児医療センターのJeffrey S. Hyams氏らによる検討の結果、明らかにされた。新たに診断された小児UCについては、エビデンスベースのアウトカムデータの不足が、作成された治療計画に不確実性をもたらしている、として問題視されていた。著者は、「個別的な臨床的/生物学的特性を明らかにすることで、確固たるUC治療方針の提示につながることが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年3月29日号掲載の報告。4~17歳の新規UC患者で52週時のステロイドフリー寛解を評価 研究グループは、UC小児患者を対象に、治療前の臨床的因子やトランスクリプトームおよび微生物因子により、疾患経過を予測できるかを検証するため、多施設共同発端コホート研究「The predicting response to standardized pediatric colitis therapy study:PROTECT研究」を行った。 アメリカとカナダの29施設で、新たにUCと診断された4~17歳の小児患者(小児用活動性指標のPUCAIスコア≧10)を登録し、免疫調整薬(チオプリン)/抗TNFα療法へ段階的に切り替えるための事前に決められた基準に従い、メサラジンまたはステロイドを投与する標準治療を行った。また、治療前にRNAシーケンシングにより直腸の遺伝子発現を、16Sシーケンシングを用いて直腸および糞便の微生物叢を調べた。 主要評価項目は、52週時でのステロイドフリー寛解(メサラジン以外の治療なし)とし、ロジスティック回帰モデルを用いて要因と主要アウトカムとの関連性を評価した(per-protocol解析)。4週までの臨床的寛解がステロイドフリー寛解の予測に重要 2012年7月10日~2015年4月21日に467例が登録され、428例が薬物療法を開始した。このうち52週時に評価が可能だったのは400例(93%)で、386例(90%)が試験を完遂した。 52週時のステロイドフリー寛解率は38%(150/400例)で、うち147例(98%)がメサラジンを内服しており、3例(2%)は何も内服していなかった。400例中74例(19%)が免疫調整薬単独投与、123例(31%)が抗TNFα療法、25例(6%)が結腸切除へ治療を変更していた。 ベースラインの臨床的重症度が低く、ヘモグロビン高値、4週時の臨床的寛解が、52週時でのステロイドフリー寛解達成と関連していた(386例、ロジスティックモデルのROC曲線下面積[AUC]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.65~0.75、特異度77%[95%CI:71~82])。 274例の独立コホートでベースライン重症度と4週時の寛解について検証した結果、臨床的な予測因子を調整後、抗菌ペプチド遺伝子シグネチャー(オッズ比[OR]:0.57、95%CI:0.39~0.81、p=0.002)、ルミノコッカス属の存在度(OR:1.43、95%CI:1.02~2.00、p=0.04)、Sutterella(OR:0.81、95%CI:0.65~1.00、p=0.05)が52週時のステロイドフリー寛解と関連することが確認された。

20209.

統合失調症の陰性症状に対する運動療法の効果~メタ解析

 統合失調症患者の陰性症状に対するさまざまな運動療法(PE)の効果を評価するため、オランダ・フローニンゲン大学のJelle Sjoerd Vogel氏らは、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 本研究では、心身運動(mind-body exercise:MBE)、有酸素運動(aerobic exercise:AE)、レジスタンストレーニング(resistance training:RT)について検討を行った。2018年4月26日までの研究をCochrane Library、Medline、Embase、PsycINFOより検索を行った。陰性症状の評価のため、統合失調症患者におけるPE群と任意の対照群を比較したランダム化比較試験を含めた。本メタ解析は、PRISMAガイドラインに従って実施した。研究の方法論的な質の評価には、Cochrane Risk of Bias assessment toolを用いた。モデレーター分析、感度分析、メタ回帰分析を用いて、異質性の分析および研究の質への影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された研究は、22件(1,249例)であった。・全体的な方法論的な質は低かった。・メタ解析(変量効果モデル)では、任意のPEは、任意の対照条件と比較し、中程度の有意な効果が認められた(Hedges’g:0.434、95%CI:0.196~0.671)。・任意の対照群と比較し、MBEでは中程度の有意な効果(Hedges’g:0.461)、AEではわずかに有意な効果(Hedges’g:0.341)が認められた。・RTの効果は、調査できなかった。・全体的に不均一性が高く(I2:76%)、モデレーター分析または感度分析では低減できなかった。 著者らは「PEは、統合失調症患者の陰性症状治療において有望な介入となりうることが示唆された。しかし、抽出された研究の質は低く、異質性が高かったため、明確に推奨することは困難であり、慎重な解釈が求められる」としている。

20210.

いつ降参するべきか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(267)

ニ百六十七の段 いつ降参するべきか?ある日の脳外科外来。患者さんは70歳代の男性。中島「再診予約ですが、3月26日の火曜日はどうですか?」患者「うーん」スマホのカレンダーアプリを見ながら患者さんが返事をします。中島「では、4月9日の火曜日はどうでしょう」患者「ちょっと待ってえな」せかしているつもりは、まったくないのですけど。中島「じゃあ、4月26日の金曜日はどうですか」患者「そうしておいてもらおうかな」中島「MRIを撮影したら、その後、すぐ外来に来てくださいね」患者「うーん」中島「はい、お大事に」患者「4月の…26…」目の前におられる患者さんはスマホ相手に格闘中です。ご自分のスケジュールを見ているのですが、確認も入力も追いつきません。ついつい、こちらも横から患者さんの画面をのぞき込んでしまいました。中島「大変そうですね」患者「そうなんよ、会議やらいろいろあって」「操作が大変そう」という意味で言ったのですけど。患者「毎週火曜日は会社の会議があってな」中島「えっ?」患者「忙しいんや」中島「そう言ってもらったら最初から火曜日以外で探していたのに!」患者「うーん。それもそうやな」スマホは便利だけど、高齢者はサクサクいかないようです。患者「でも、4月9日やったかな。そっちでもエエけどな」中島「さっき4月26日に決めたところじゃないですか!」患者「ほな、やめとくわ」中島「こちらが聞いた時に答えてくださいよ(泣)」外来では「いつまで待たせるんだ」と、よくお叱りを受けます。でも、診察室ではこういう苦労もあるのです。中島「もうね、手帳のほうが速いんじゃないですか」患者「そんなん言わんといてえな」若い人はサッとスマホを出して、すぐにその場で入力します。でも、高齢者はそうはいきません。紙にメモしておいて、診察室を出てからゆっくりスマホに入力していただければいいのですけど。私も年をとって、徐々に新しいデバイスについていけなくなってきました。VPシャントの圧調整なんか、よく分からなくて途方に暮れてしまいます。でも、身分相応、年相応というのは忘れないよう心掛けます。文明の利器が使えなくなったら、潔く降参いたしましょう。最後に1句便利でも 使えないなら 諦めよう

20211.

第20回 抗うつ薬の中止後症状は漸減した場合でも生じる?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 SSRIやSNRIなどの抗うつ薬の中止(とくに突然の中止)により、脳内セロトニン濃度が低下し、中止後症状が生じる可能性があることはご存じの方も多いと思います。それを予防するために、薬剤を急に中止せずに漸減するというのは比較的よく行われている対策ですが、どれほど効果があるのでしょうか? 今回は、SSRIやSNRIによる中止後症状について調査したシステマティックレビューを紹介します。1つ目は、PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明にのっとって書かれたシステマティックレビューです1)。fluoxetine(本邦未発売)、セルトラリン、パロキセチン、citalopram(本邦未発売)、エスシタロプラムなどのSSRIとプラセボまたは他の抗うつ薬を比較したランダム化比較試験15件、オープン試験4件、後ろ向き研究4件、症例報告38件に分けて解析が行われています。CINAHL、Cochrane Library、PubMed、Web of Scienceといったデータベースからの文献調査が2人の研究者によって独立して行われ、意見の不一致が生じた場合は他の研究者も交えて合意を形成しています。ランダム化比較試験において、漸減した場合と急に中止した場合を比較すると、中止後症状が発現する割合は変わらず、漸減が有意に優れているわけではありませんでした。なお、実薬での治療後にさらに実薬を継続した群よりも、プラセボに切り替えた群(急に中止した群)で有意に中止後症状が発現しやすいという結果でした。個人的な感想ですが、脳内セロトニン濃度を急激に下げない漸減は合理的な方法のように思えるのに、中止後症状を防げていないというのが意外でした。中止後症状として観察された症状は多岐にわたり、とくに多かったのがめまい、ふらつき、吐き気、頭痛、倦怠感、混乱などで、報告された症状は下表のとおりでした。中止後症状は、通常は薬剤中止後1~5日で生じ、数週間続いて徐々に治まりますが、長い場合では2ヵ月ほど続くこともあります。いずれのSSRIでも中止後症状が生じる可能性が示されており、とくにパロキセチンにおいてその頻度が高いという結果でした。著者のコメントとして、中止後症状というよりもベンゾジアゼピン系薬剤や抗精神病薬と同じく離脱症状と捉えるべきではないか、ということが書かれています。SNRI漸減でもSSRI同様に中止後症状が発現同じファーストオーサーにより、SNRIの中止後症状に関するシステマティックレビューも2018年に発表されています2)。同じくPRISMA声明にのっとり、PubMed、Cochrane Library、Web of Science、MEDLINEを含むデータベースから、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプラン、SNRIなどのキーワードを用いて文献を調査しています。こちらも調査は独立した2人の研究者によって行われ、各研究者の文献評価で意見相違がある場合は他の研究者を含めて合意をとっています。ランダム化比較試験、オープン試験、前向き研究、後ろ向き研究、症例報告といった研究デザインを含む合計61の報告がレビューに含まれました。いずれも対象患者は18歳以上で、大部分は8週以上の治療期間の研究です。結果として、すべてのSNRI(ベンラファキシン、desvenlafaxine[本邦未発売]、デュロキセチン、ミルナシプラン、levomilnacipran[本邦未発売])で中止後症状が生じる可能性が示されています。その発現率はさまざまですが、ベンラファキシンの中止後が比較的高いことが示唆されています。プラセボ対照試験で見ると、プラセボ群の発現率が12%未満だったのに対し、ベンラファキシン37.5mg/日群で52%、75mg/日群で35%、150mg/日群で78%と有意に高く、とくに150mg/日を急に中止した場合に生じやすいことが報告されています。ランダム化比較試験とオープン試験の中止後症状の発現率は、ベンラファキシン23~78%、デュロキセチン6~55%、ミルナシプラン13~30%、levomilnacipran 9~10%と幅があります。症状として吐き気、めまい、頭痛などが比較的多いのは先の研究と同様です。SSRIのレビューで示唆されていることと同様、漸減の有無によらず多様な中止後症状の報告があり、その内容もSSRIの中止後に見られたものと類似しています。症状の多くは薬剤中止から24~48時間以内に起こり、数週間続く場合もまれにあるという結果でした。中止後症状が発現しやすいタイミング、消失する時期などを医師や患者さんに目安としてお伝えできると安心につながるとは思いますが、研究では幅があり過ぎるため、具体的に伝え過ぎると誤解を招くリスクもありそうです。投与再開または別の抗うつ薬へ切り替えることによって一時的な回復は期待できるかもしれませんが、長期的なメリットについては議論の余地があるところも扱いが難しいですね。1)Fava GA, et al. Psychother Psychosom. 2015;84:72-81.2)Fava GA, et al. Psychother Psychosom. 2018;87:195-203.

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第107回 日本泌尿器科学会総会 会長インタビュー【Oncologyインタビュー】第4回

2019年4月18~21日、名古屋において第107回 日本泌尿器科学会総会が開催される。メインテーマは「技術と心の調和:次世代への胎動」である。会長の千葉大学大学院医学研究院 泌尿器科学 教授 市川 智彦氏に総会の趣旨と見どころについて聞いた。第107回大会のメインテーマ「技術と心の調和:次世代への胎動」にはどのような意味が込められているのでしょうか。生殖医療、ゲノム医療、ロボット手術など泌尿器の分野でも医療技術が進歩しています。しかし、ただ新しいことをやればよいということではなく心も伴っていること、技術と心の調和が必要です。今はそれが混沌として生まれる前の状態、つまり胎動している段階です。技術と心の調和をしっかり理解して、次の世代につなぐ、という意味を込めてこのテーマとしました。今総会の見どころを教えていただきたいと思います。初日の基調講演はゲノムのトピックですね。初日の午前中は、基調講演1として中村 祐輔先生(公益財団法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センター 所長)に「がんプレシジョン医療の現状と展望」、基調講演2として福嶋 義光先生(信州大学医学部 遺伝医学教室 特任教授)に「ゲノム医療と遺伝カウンセリング」と題してお話しいただきます。総会テーマの趣旨をプログラムにも反映させ、中村先生にはゲノム医療の技術進歩について、福嶋先生にはゲノム分析が患者さんの心にもたらす部分も含めてご講演いただきます。会長指定企画「最先端と次世代へのメッセージ」は2日間にわたるセッションですが、その内容について教えていただけますか。ここでは今注目されている11の領域・テーマを、初日の午後と2日目の午前・午後の3回にわたり取り上げます(会長指定企画1:生殖医療における技術の進歩・心の変化、腎移植の将来展望、地域医療と泌尿器科、2:と泌尿器科、泌尿器に対するゲノム医療の実現に向けて、前立腺とAR axis、泌尿器を対象とした臨床研究、3:エンドウロロジーによる泌尿器科手術の進歩、尿路結石診療における研究の未来、LUTS治療、小児泌尿器科手術の現況と明日)。どのテーマも日本の指導的な立場の先生が話されますので、このセッションを聞いていただければ、泌尿器科の最先端の情報がご理解いただけると思います。シンポジウムについてはいかがですか。泌尿器科で注目されているがん免疫療法、そして去勢抵抗性前立腺がんについてもシンポジウムで取り上げます。初日の午後には、シンポジウム1「泌尿器がんに対する免疫療法」を行います。今総会は理解を深めるために、教育講演、海外招請講演など関連テーマとシンポジウムを連続して行いますが、ここでも教育講演1「最新の基礎研究成果から読み解くがん免疫療法」、海外招請講演1 「Immunotherapy for the treatment of urological cancers」をシンポジウムの前に開催し、基礎研究、世界的なトピック、そして日本の先生の総括という流れで理解を深めていただきます。2日目の午後は、去勢抵抗性前立腺がんについて、シンポジウム11「前立腺薬物治療のパラダイムシフト」で取り上げます。こちらも同様に、シンポジウムの前に海外招請講演6「Update in metastatic hormone naive prostate cancer treatment」で、先行する海外の状況をお話しいただいたうえで、薬物療法に理解を深めていただきます。Late-breaking & Encore Sessionについて教えていただけますか。Late-breaking & Encore Sessionは、最新の研究成果をお届けするために行います。当総会の演題締め切り後に結果が出た研究、EAUやASCO-GUといった直近の泌尿器科の学会での発表などを紹介します。今回は初めてweb上で公募する試みを行い、集まった演題の中から9演題を採用しました。そのほかのセッションについてはいかがですか。3日目は土曜日ということもあり、市民も入れるセッションを2つ用意しました。1つは、招請講演1「チバニアンと地磁気逆転」です。千葉大学として千葉に関する話題を岡田 誠先生(茨城大学理学部 教授)にご講演いただきます。もう1つは、会長指定企画4 鼎談「長寿社会の医療を考える」です。1週間後に同じ会場で、第30回 日本医学会総会が、「医学と医療の深化と広がり~健康長寿社会の実現をめざして~」というテーマで開催されますので、それにつなげる意味で企画しました。愛知県の2つの医学部の学長、郡 健二郎先生(名古屋市立大学 学長)と星長 清隆先生(学校法人藤田学園 理事長)に、小出 宣昭氏(中日新聞・東京新聞 顧問)を加え議論していただきます。3日目の午後の招請講演3では「これからの日本の経済社会構造の変化と泌尿器科診療」と題し、医師であり弁護士であり参議院議員でもある古川 俊治先生に、医療経済などと絡めた泌尿器科診療についてお話しいただきます。ケアネット会員の先生方(泌尿器科以外の方も含め)にメッセージをお願いします。泌尿器科領域でも、ゲノム医療、それに伴う遺伝カウンセリングが必要になりつつあります。今回の総会でも、基調講演の2つはゲノム医療と遺伝カウンセリングというテーマで、そこに光を当てています。泌尿器科の先生には総会への参加をお願いするとともに、泌尿器科以外の先生方もプログラムなどで泌尿器科学会に興味を持っていただければと思います。1)第107回 日本泌尿器科学会総会

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災害関連不眠症の長期経過~福島原発所員のフォローアップ調査

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故の災害関連体験と原子力発電所員の不眠症との関連、および各不眠症状への長期的な影響について、順天堂大学の野田(池田) 愛氏らが調査を行った。Sleep誌オンライン版2019年3月11日号の報告。 対象は、2011~14年までの3年間にアテネ不眠尺度を用いたアンケートおよび2011年の災害関連体験に関するアンケート調査に回答した発電所員1,403例。災害関連体験と不眠症との縦断的な関連を調査するため、混合効果ロジスティック回帰モデルを用いた。また、不眠症のサブタイプ(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒)に対する災害関連体験の潜在的な影響について、パス分析を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・家族や同僚の死亡を除くすべての災害関連体験は、不眠症と有意な関連が認められた。・これらの外傷性曝露の大半は、時間に依存せず、不眠症リスクと関連していることが示唆された。・しかし、生命を脅かす危険を経験した影響は、時間とともに減少した。・パス分析では、生命を脅かす危険または爆発の目撃といった経験をした発電所員は、入眠の妨げとなる不安な場面を思い起こすと示唆された。・一方、早朝覚醒は、人生の不安定さと関連している可能性が示唆された。・社会的な差別や中傷が、3つの不眠症サブタイプと関連しており、生命を脅かす危険、財産の喪失、同僚の死亡といった他の経験にも影響されることが認められた。 著者らは「本調査結果より、災害関連体験を有する労働者に対して包括的な心理社会的支援が必要である」としている。■関連記事東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善震災による被害で認知症リスク増加

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PD-L1陽性肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単剤の効果(KEYNOTE-042)/Lancet

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された、PD-L1発現1%以上の進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、Lancet誌オンライン版2019年4月4日号に掲載された。 KEYNOTE-042は32ヵ国、213施設で行われたオープンラベル第III相試験。・対象:PD-L1 TPS1%以上の進行または転移を有するNSCLC患者・試験薬:ペムブロリズマブ200mg/日3週ごと・対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと(治験担当医の選択による)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブ単剤群(n=637)と化学療法群(n=637)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は12.1ヵ月であった。・TPS50%以上のOSは ペムブロリズマブ群20.0ヵ月、化学療法群12.2ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)。・TPS20%以上のOSはペムブロリズマブ群17.7ヵ月、化学療法群13.0ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.77、95%CI:0.64~0.92、p=0.0020)。・TPS1%以上のOSはペムブロリズマブ群16.7ヵ月、化学療法群12.1ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.0018)。・探索的研究でのTPS1~49%のOSはペムブロリズマブ群13.4ヵ月、化学療法群12.1ヵ月であった(HR:0.92、95%CI:0.77~1.11)。・TPS50%以上のPFSは、ペムブロリズマブ群7.1ヵ月に対し化学療法群6.4ヵ月(HR:0.81、p=0.0170)、TPS20%以上では6.2ヵ月対6.6ヵ月(HR:0.94)、TPS1%以上では5.4ヵ月対6.5ヵ月であった(HR:1.07)。・Grade3以上の治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群18%に対して化学療法群41%であった。■参考KEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

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セリンクロの登場がアルコール依存症治療を継続させるきっかけに

 2019年3月28日、大塚製薬株式会社は、同社の製造販売する飲酒量低減薬ナルメフェン(商品名:セリンクロ)が発売されたことを機し、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、アルコール依存症の現状と治療の最新情報が解説された。推定患者数107万のうち受診者はわずか5万人 セミナーでは、「アルコール依存症をとりまく現状と治療 新しい診断治療ガイドラインを踏まえて」をテーマに、樋口 進氏(久里浜医療センター 院長)が講師としてレクチャーを行った。 わが国の飲酒実態とアルコール依存症治療のギャップに触れ、飲酒量全体は横ばいまたは微減となっている中で、アルコール依存症患者は約107万人と推定されているが、実際に治療を受けている患者は、約5万人とかなりの未診療患者がいると指摘した。この治療ギャップを埋めるためにも「医療連携の促進・地域の取り組み・軽症例のプライマリケアでの受診・診療ガイドラインの作成」などの取り組みが必要と同氏は提起する。重症依存症になる前に アルコール依存症の治療目標は、「飲酒を完全に断ち続けることが、最も安全かつ安定的」とされているが、そもそも患者が医療機関を受診しなかったり、治療中断をするために難渋しているという。そうした状況を変える取り組みとして、同氏が所属する久里浜医療センターでは、アルコール依存症手前の患者を対象に「プレアルコホリック外来」が開設されている。同外来では、アルコールの有害使用者を対象に、1ヵ月に1回外来個人精神療法とミーティングを行うもので、まず6ヵ月の断酒に挑戦し、その後断酒または節酒をするか患者に決めてもらうという。また、2017年4月からは「減酒外来」も開設し、この外来には比較的社会機能が保たれている患者が、自分の意思で来院するという。受診理由の多くは男女ともに「ブラックアウト(一時的記憶喪失)」であり、「社会機能が保たれているうちに、介入・進行予防をすることが重要」と同氏は早期治療の必要性を強調する。治療継続に期待できるナルメフェン(商品名:セリンクロ) 軽症例からの早期介入に使える治療薬が、3月より発売されたナルメフェン(商品名:セリンクロ)である。ナルメフェンの効果、安全性について行われた国内第III相試験では、アルコール依存症患者(DSM-IV-TR)と診断された20歳以上の男女666例のうち、ナルメフェン10mg群(180例)、同20mg群(242例)、プラセボ群(244例)に分け、24週、プラセボ対照、無作為化、多施設共同二重盲検並行群間比較試験で行われた。主要評価項目は、12週目におけるHDD(多量飲酒日)数*のベースラインからの変化量である。その結果、ベースラインからの変化量はプラセボ群で-7.91日/月であったのに対し、ナルメフェン10mg群で-12.09日/月、ナルメフェン20mg群で-12.25日/月とナルメフェン群で有意な減少を示した。安全性については、有害事象として悪心、めまい、傾眠などが報告されたが、重篤なものはなかった。以上の結果を受け、「減酒のための治療薬の登場により、患者に治療継続をさせるきっかけができる」と同氏は期待をにじませる。*1日のアルコール消費量が男性60g、女性40gを超えた日の1ヵ月あたりの日数新ガイドラインの重点は「軽依存症患者」「非専門医」に重点 次に2018年に上梓された『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』について触れ、新ガイドラインでは「軽依存症」「有害な使用」に焦点をおいた内容であること、非専門医でも対応できる基準を示していることを説明した。また、アルコール依存症の治療目標に関する推奨事項は「断酒とその継続」としながらも、選択肢の1つとして飲酒量低減を目標にして、失敗時の断酒への切り替え、軽症依存症では飲酒低減も目標になりうるなど柔軟な目標設定をしていることを説明した。そのほか、断酒への薬物治療としては、第1選択薬はアカンプロサートが推奨され、断酒への動機付けなどの第2選択薬としてジスルフィラムやシアナミドが、飲酒量低減を目標にする場合はナルメフェンを考慮すると説明した。 最後に、国は施策として「アルコール健康障害対策基本法」を制定するとともに、依存症拠点機関事業も実施し、アルコール依存症の対策を行っていると説明。「今後、各地域で依存症対策事業も開始されるので、アルコール依存症を非専門の医師が診療する機会も増えると思う。今後関係する学会や研究会も開催されるので、こうした場で知見を吸収してもらいたい」と述べ、セミナーを終えた。

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特売卵のコレステロール量は?/日本動脈硬化学会

 卵1個のカロリーについては取り沙汰されることが多く、ご存じの方も多いだろう。先日、JAMAでも卵の摂取量と心血管疾患の発症や死亡率との相関を示す論文が発表され、話題を集めている。では、われわれが日頃食べている卵には、一体どのくらいのコレステロールが含まれるのだろうか? 2019年3月27日、日本動脈硬化学会が主催するプレスセミナーが開催され、「LDLコレステロールと動脈硬化」をテーマに上田 之彦氏(枚方公済病院診療部長、日本動脈硬化学会広報・啓発委員)が登壇した。卵のコレステロールについての論文に関する学会の見解とは? 卵をいくつ食べても良いとしていたこれまでの報告に、待ったをかける結果が報告された。上田氏によると、卵によるコレステロール摂取量・摂取頻度を研究した論文は豊富だが、その理由として「卵は患者へのコレステロール摂取の聞き取りに使いやすい」とし、「おおよそ、中くらいの卵1個には、200~250mgのコレステロールが含まれている」とコメントした。また、本セミナーに出席していた丸山 千寿子氏(日本女子大学家政学部食物学科教授)によると、「今回発表されたJAMAの論文*で記述されている卵は1個50gで、日本でいうSサイズ。しかし、流通量が多く、セール品として販売されているのは60gのLサイズ。卵のコレステロール摂取量に関する研究データでは、実際よりも過小評価されている可能性がある」とし、「患者には、食べている卵の数だけではなく、大きさの確認も必要かもしれない」と付け加えた。コレステロールの上限値がなくなった訳ではない 2015年2月、米国農務省(USDA)と保健福祉省は、『食事でのコレステロール摂取制限は必要ない』と発表。これは、アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会(ACC/AHA)が、“コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せない”として、「コレステロールの摂取制限を設けない」と見解を出したためだという。時を同じくして、日本人の食事摂取基準(2015年版)では、健常者における食事中コレステロールからの摂取量と血中コレステロール値の相関を示すエビデンスが十分ではないことから、コレステロール制限値を設けなかった。「これらのことから、日本人はコレステロールをいくら摂取しても良いという錯覚に陥ってしまった」と、上田氏は当時の状況を振り返った。この混乱を受け、2015年5月1日、日本動脈硬化学会はコレステロール摂取量に関する声明を発表し、高LDLコレステロール血症患者に当てはまる訳ではないことを注意換気した。 来年は『食事摂取基準(2020年版)』の発表が予定されている。ここでも、“循環器疾患予防の観点から目標量(上限)を設けるのは難しい”とし、記載を避けている。しかし、脂質異常症を有する者やハイリスク者については、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を参考に、コレステロールの摂取を200mg/日未満と記載される予定である。 最後に同氏は「動脈硬化症には、コレステロール摂取量もさることながら、喫煙が一番いけない。今後、禁煙についての話題を提供していく」と締めくくった。

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LVAD使用の重症心不全に同種異系MPCは有益か/JAMA

 重症心不全で補助人工心臓(LVAD)植え込み術を受けた患者に対し、同種異系間葉系前駆細胞(MPC)の心筋内注入は、シャム注入と比較して6ヵ月時点でLVADからの一時的離脱成功率を改善しないことが、カナダ・トロント総合病院のTerrence M. Yau氏らが約160例を対象に行った第II相無作為化試験の結果、示された。LVADは心機能を改善するが、外植片が十分に回復する患者はほとんどいない。そのことが心機能回復を増大するための幹細胞に注意を向けることになっていたが、今回の結果を受けて著者は「所見は、心機能回復を促進するために間葉系幹細胞の心筋内注入は支持しないことを示すものであった」とまとめている。JAMA誌2019年3月26日号掲載の報告。同種異系MPC、1億5,000万個を心筋内注入 研究グループは2015年7月~2017年8月にかけて、北米19ヵ所の医療機関を通じて、重症心不全でLVAD適応となった患者159例を対象に無作為化試験を開始し、1年間追跡した(2018年8月に終了)。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方には同種異系MPC、1億5,000万個を心筋内注入した(106例)。もう一方の群には、シャム処置として凍結保護培地を注入した(53例)。 有効性の主要エンドポイントは、無作為化後6ヵ月間のLVADからの一時的離脱成功率で、3回にわたって計画的に評価を行った。主要エンドポイントはベイズ解析にて評価し、事後確率80%を離脱成功の閾値と事前に定義した。 安全性の主要エンドポイントは1年時に評価し、心筋内注入に関連した有害事象(心筋炎、心筋破裂、新生物、過敏症反応、免疫感作)とした。6ヵ月LVAD一時的離脱成功率、MPC群61%、対照群58% 被験者159例の平均年齢は56歳、女性は11.3%。1年の追跡完遂者は155例(97.5%)だった。ベイズ解析によるMPCがLVAD離脱成功を増す可能性を示す事後確率は69%で、事前に定義した閾値80%には達しなかった。 6ヵ月間のLVADからの一時的離脱成功率は、MPC群が平均61%、対照群が同58%で有意差は示されなかった(率比:1.08、95%信頼区間[CI]:0.83~1.41、p=0.55)。なお、安全性の主要エンドポイントの発生は認められなかった。 1年死亡率は、MPC群14.2%、対照群15.1%で、有意差はなかった(ハザード比:0.89、95%CI:0.38~2.11、p=0.80)。重篤有害事象の発現頻度も有意差はなかった(100患者月当たり70.9 vs.78.7、群間差:-7.89、95%CI:-39.95~24.17、p=0.63)。再入院率も同等だった(0.68 vs.0.75、-0.07、-0.41~0.27、p=0.68)。

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バイオシミラーCT-P13は活動期クローン病に有効か/Lancet

 活動期クローン病患者に対し、インフリキシマブのバイオシミラーCT-P13投与はインフリキシマブ投与に対し、非劣性であることが示された。韓国・蔚山大学校のByong Duk Ye氏らが220例を対象に行った、第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、著者は「バイオシミラーCT-P13は、活動期クローン病の新たな治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。インフリキシマブ・バイオシミラーCT-P13は、強直性脊椎炎と関節リウマチにおいてインフリキシマブとの臨床比較が行われた後に、クローン病での使用が承認された。しかし、そのような形での承認に対して懸念があり、直接比較するため本試験が行われた。Lancet誌2019年3月28日号掲載の報告。バイオシミラーCT-P13とインフリキシマブ投与6週後のクローン病活動指数を比較 試験は2014年8月20日~2017年2月15日に、非生物学的治療が非奏効または忍容性がない活動期クローン病患者を対象に行われた。 被験者を無作為に1対1対1対1に割り付け、30週時点までバイオシミラーCT-P13またはインフリキシマブを投与し、(1)その後もCT-P13を継続(CT-P13継続群)、(2)その後はインフリキシマブに切り替え(CT-P13-インフリキシマブ群)、(3)その後もインフリキシマブを継続(インフリキシマブ継続群)、(4)その後はCT-P13に切り替え(インフリキシマブ-CT-P13群)の4群とした。投与のタイミングは、初回投与後2週、6週後と、その後は8週ごとに54週まで行った。 主要エンドポイントは、クローン病活動指数(CDAI)がベースラインから6週時までに70ポイント以上低下(CDAI-70)を達成した患者の割合だった。 インフリキシマブに対するバイオシミラーCT-P13の非劣性マージンは、両治療群間差の95%信頼区間(CI)両側下限値が、-20%より大きいことと規定した。バイオシミラーCT-P13群のCDAI-70達成率は69%、インフリキシマブ群74% 308例がスクリーニングを受け、適格被験者220例が試験に登録された。そのうち111例が初回投与CT-P13群に(うちCT-P13継続群56例、CT-P13-インフリキシマブ群55例)、109例が初回投与インフリキシマブ群に(うちインフリキシマブ継続群54例、インフリキシマブ-CT-P13群55例)、それぞれ割り付けられた。 6週後のCDAI-70達成例は、初回投与CT-P13群は77/111例(69.4%、95%CI:59.9~77.8)、初回投与インフリキシマブ群は81/109例(74.3%、同:65.1~82.2)だった。群間差は-4.9%(95%CI:-16.9~7.3)で、事前に規定した非劣性マージンに基づきバイオシミラーCT-P13のインフリキシマブに対する非劣性が示された。 なお、試験期間中に1つ以上の治療関連有害事象発生が報告されたのは、全体では147例(67%)で、CT-P13継続群は36例(64%)、CT-P13-インフリキシマブ群は34例(62%)、インフリキシマブ継続群が37例(69%)、インフリキシマブ-CT-P13群が40例(73%)だった。

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資産形成はバーチャルがキーワード【医師のためのお金の話】第19回

資産形成はバーチャルがキーワード私は、レンタルスペース事業を運営していましたが、収益が伸び悩んだため撤退を余儀なくされました。レンタルスペースはBAR仕様の内装で、本物の設備を導入し、ワイングラスなどの消耗品もたくさん置いていました。これらを引き揚げるため、1年ぶりにレンタルスペース内に足を踏み入れました。久しぶりに見るスペース内はかなり荒れていてショックを受けました。2年半ほどたくさんの人が使い倒したので、当初ピカピカだった室内は見る影もありません。たくさんの時間とお金を費やして立ち上げたビジネスが、無残な結果に終わるのはとても悲しいことです。経年劣化しないモノが重要私は少し感傷的になっていましたが、そのことを割り引いても室内の荒れ方はひどく、物質的なものは壊れていくということを改めて認識しました。私は、汚れていたり壊れている物を見るのがあまり好きではありません。雑然としていることが嫌いなので、できるだけ物を所有しない生活を心掛けています。このような性格の人間なので、資産運用に関しても、経年劣化しない投資対象を選好していることに気付きました。具体的には以下のようなモノです。株式通貨不動産(土地)金(ゴールド)これらはすべて経年劣化しない資産です。経年劣化しないので、税金などの費用を除くとメンテナンスフリーです。経年劣化しない理由は、金(ゴールド)を除くと実在するものではなくバーチャルな存在だからです。株式、通貨、不動産(土地)は一応物質としての形はありますが、本質的には人の意識の中にだけ存在します。株式は会社の所有権という形のないものですし、通貨に価値があると思うのは使用する人の共同幻想です。そして、土地は所有権という権利にすぎません。建物はともかく土地に関しては、あくまでバーチャルな存在なのです。土地を例にして、バーチャルなモノは経年劣化しないことを説明します。土地は100年経っても面積や形が変わることはありません。また、土地の面積や形を維持するために、特別な修繕は必要ありません。もちろん、隕石が衝突するなどの大規模な自然災害が発生して土地が消滅したり、戦争が起こって国家体制が変わることで現在の所有権制度が無効になる可能性はあります。しかし、天変地異や国家体制転覆が発生しない限り、通常の環境であれば土地は永遠です。メンテナンスフリーが理想一方、不動産の中でも実物資産である建物に関してはどうでしょうか? 日本のように雨量の多い地域では、建物の損壊が激しいです。屋上防水工事や外壁塗装などの大規模修繕を10年ごとに行わないと建物の劣化が進みます。仮に定期的なメンテナンスを施していても、経年劣化から逃れることはできません。建築から数百年経過している建物もまれに存在しますが、絶え間ないメンテナンスなくして建物が長期間にわたって存続することは不可能です。このように、実物資産の価値を維持するためには、経年劣化との戦いが不可避です。つまり、実物の資産は維持するだけでコストがかかり続けることになります。これに対してバーチャルな資産は、税などを除くと基本的にメンテナンスは不要です。もちろん、会社のビジネスモデルの陳腐化やインフレによる通貨価値の下落などのために、バーチャルな資産の価値が減少することはあります。しかし、これらの要因を除くとバーチャルな資産はメンテナンスフリーであるため、長期保有して資産形成を行ううえでは非常に有利なのです。投資もビジネスもバーチャルを意識しよう!資産形成の方法はさまざまです。一般的に大きな資産を作るためには、ビジネスもしくは投資での成功が必要です。ビジネスにおいても、IT革命以降はバーチャルな要素が大きくなりました。昔のように大規模な設備投資が不要となる業態が多くなっているからです。効率の良い資産形成を考えると、これからの時代はできるだけ実物を伴わないバーチャルな投資対象を選好するとよいでしょう。メンテナンス費用が少ないと、それだけ資産形成のスピードが加速します。投資やビジネスでは物質的な部分を減らして、できるだけバーチャルな要素を増やすことに注力しましょう!

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第14回 発熱の症例・全てのバイタルが異常。何を疑う?-1【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回の症例は、発熱を来した症例です。発熱のため受診される高齢者は少なくありませんが、なかには早期に治療を開始しないと生命にかかわる場合もあります。患者さんDの場合◎経過──191歳、女性。脳梗塞による後遺症のため寝たきりの生活で、施設に入所しています。自力では起き上がることができず、介助により車いすに移乗します。食事も介助を必要とします。自分でトイレに行くことができないのでオムツを使用しています。本日、あなたが施設に薬を届けに行くと、いつもは車いすに座っているのですが、今日はぐったりした様子でベッドに横になっていました。「少し熱があるみたいなんです」と施設の職員が言いました。「そうですか...」あなたは本日嘱託医が処方した内服薬に、解熱鎮痛薬が含まれていることに気が付きました。その日のバイタルサインは、表1のとおりです。体温の調節と発熱私たちの体温は、脳の視床下部にある体温調節中枢で調節されており、病原体に感染したりして侵襲を受けると上昇します。これが発熱です。猛暑のときの高体温(熱中症)とは機序が異なり、治療法も異なることは知っておくべきです。また、体温が1℃上昇すると、脈拍数が約20回/分上昇することも、思い出しておいてくださいね。◎経過──2数日後、たまたま別の用件でその施設を訪れたあなたは、施設の職員に先日発熱していた女性が具合悪そうだと聞きました。昨日の夜から食事も摂れない状態でした。もともと元気のある方ではないのですが、先日よりぐったりして呼びかけても眼を開けません。呼吸は速いように見えます。手をとると体温がとても高いことがすぐにわかりました。手首の動脈(橈骨動脈)を触れると脈は速くて弱く、毛細血管再充満時間(capillary refilling time; CRT)は3秒にまで延長していました。あなたは「ショックの徴候がある...」と考えました。「先生への連絡は?」とあなたが職員に尋ねると、「先ほど連絡しましたから、もうそろそろ着く頃と思うのですが...」と言われました。あなたが確認したバイタルサインは、表2のとおりです。到着した医師・看護師は診察を行い、導尿(尿道に管を入れて尿を排出させること)すると、膿のような濁った尿が排出されました。「尿路感染による(敗血症)だ」医師はそうつぶやくと、職員に家族を呼ぶよう依頼しました。看護師は生理食塩液の点滴を末梢静脈から速い速度で開始しました。

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