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1.

AF合併PCI患者の2剤抗血栓療法、1ヵ月vs.12ヵ月(OPTIMA-AF試験)/Lancet

 心房細動を合併した主に慢性冠症候群を有する患者において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に2剤併用抗血栓療法を1ヵ月行い、その後に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)単剤療法を行った群は、2剤併用抗血栓療法を12ヵ月行った群と比較し、12ヵ月時の死亡または血栓塞栓性イベントに関して非劣性であることが示され、大出血または臨床的に問題となる非大出血(CRNM)は有意に減少した。大阪大学の外海 洋平氏らOPTIMA-AF Investigatorsが、国内75施設で実施した無作為化非盲検実薬対照並行群間試験「OPTIMA-AF試験」の結果を報告した。心房細動患者におけるPCI後の2剤併用抗血栓療法の至適期間は、依然として不明であった。なお著者は、「1ヵ月併用群で全体として臨床的プロファイルが良好であることが示唆されたが、イベント発生率が予想より低かったため有効性に関する解釈には注意が必要である」と述べている。Lancet誌オンライン版2026年7月15日掲載の報告。DOAC+P2Y12阻害薬併用1ヵ月後DOAC単剤vs.併用継続を比較 研究グループは、非弁膜症性心房細動を合併した、CHADS2スコアが1以上で、慢性冠症候群または不安定狭心症に対するPCIの適応があり、PCI施行後にDOACを用いた抗凝固治療継続が予定されている20歳以上の患者で、エベロリムス溶出ステント(XIENCE)留置に成功した適格患者を、1ヵ月併用群と12ヵ月併用群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 1ヵ月併用群では、DOAC+P2Y12阻害薬(クロピドグレル75mg/日またはプラスグレル3.75mg/日)を1ヵ月間併用投与した後、DOAC単剤療法に切り替えた。12ヵ月併用群では、同様の併用療法を12ヵ月間行った後、DOAC単剤療法に切り替えた。 有効性の主要評価項目は、12ヵ月時の全死因死亡または血栓塞栓性イベント(心筋梗塞、確定ステント血栓症、脳卒中または全身性塞栓症)の複合であった。安全性の主要評価項目は、12ヵ月時の国際血栓止血学会(ISTH)の定義による大出血またはCRNMで、盲検下独立委員会の判定に基づいた。 本試験では、有効性主要評価項目に対する非劣性検定を行い(非劣性マージンは絶対群間差の両側95%信頼区間[CI]の上限が5%)、非劣性が示された場合は、安全性の主要評価項目の優越性を検定し、同優越性が示された場合は有効性評価項目の優越性の検定を行う固定順序法が採用された。12ヵ月時の死亡または血栓塞栓性イベントは5.4%vs.4.3%、出血イベントは4.5%vs.8.8% 2019年10月7日~2024年9月3日に、1,101例の適格性評価が行われ、このうち1,088例が無作為化され、試験薬を少なくとも1回投与され事前に規定された基準を満たした1,079例が解析対象集団となった(1ヵ月併用群542例、12ヵ月併用群537例)。 患者背景は、年齢中央値76歳(四分位範囲[IQR]:70~81)、女性225例(21%)、男性854例(79%)、CHADS2スコア中央値は2(IQR:2~3)で、追跡期間中央値は540日(IQR:517~559)であった。 1ヵ月併用群は有効性に関して非劣性基準を満たし、出血リスクに関する優越性も示されたが、有効性に関する優越性は認められなかった。 有効性の主要評価項目のイベントは、1ヵ月併用群で29例、12ヵ月併用群で23例に発生し(Kaplan-Meier推定値5.4%vs.4.3%)、絶対群間差は1.1%(95%CI:-1.5~3.6)、ハザード比(HR)は1.25(95%CI:0.73~2.17)であった。 安全性の主要評価項目の大出血またはCRNMは、1ヵ月併用群で24例、12ヵ月併用群で47例に発生し(Kaplan-Meier推定値4.5%vs.8.8%)、絶対群間差は-4.4%(95%CI:-7.3~-1.4)、HRは0.50(95%CI:0.30~0.81)であった(優越性のp=0.0041)。

2.

診療科別2026年上半期注目論文5選(循環器内科編)

Left Atrial Appendage Closure or Anticoagulation for Atrial FibrillationDoshi SK, et al. N Engl J Med. 2026;394:2083-2094.<CHAMPION-AF試験>:心房細動患者で、左心耳閉鎖デバイスかDOACかの比較試験抗凝固療法適応の心房細動患者で、左心耳閉鎖術と直接経口抗凝固薬(DOAC)療法を比較したRCT試験の3年追跡結果です。左心耳閉鎖術は、心血管死・脳卒中・全身塞栓症の複合エンドポイントに対する有効性で非劣性を達成し、非手技関連出血を有意に減らしました。DOACを内服可能な患者に積極的に左心耳閉鎖術を行うべきか、という課題に応える画期的な研究といえます。ただし、3年間という追跡期間や熟練施設での成績であることを踏まえて解釈する必要があります。 Left Ventricular Unloading in Anterior ST-Segment Elevation Myocardial Infarction Without Shock: The ST-Segment Elevation Myocardial Infarction Door to Unload Randomized Controlled TrialKapur NK, et al. J Am Coll Cardiol. 2026;88:76-90.<STEMI-DTU試験>:前壁STEMI患者にImpellaによる左室アンローディングと再灌流遅延を検証急性心筋梗塞(STEMI)治療では、“Time is muscle”という概念のもと、PCIによる再灌流までの時間短縮が最重要視されてきました。STEMI-DTU試験では、Impellaによる左室アンローディングを先行させ、あえて30分間PCIを遅らせるという戦略が検証されました。この新規治療戦略は、即時PCIの標準治療に対して梗塞サイズを縮小させることはなく、出血・血管合併症は増加しました。Randomized, Placebo-Controlled Trial of Chronic Total Occlusion Percutaneous Coronary Intervention in Stable Angina: The ORBITA-CTO TrialKhan S, et al. J Am Coll Cardiol. 2026;88:4-18.<ORBITA-CTO試験>:CTO-PCIの症状改善効果をシャム手術対照で検証慢性完全閉塞(CTO)による安定狭心症患者を対象とした二重盲検シャム対照RCTです。CTOに対するPCIは、プラセボ効果や期待効果の影響を受けやすいという課題がありました。本試験では、PCI群とシャム手術(偽PCI群)を比較しています。PCI群で有意に改善効果は認めたものの、死亡や心筋梗塞など重篤イベントは差を認めず、効果は主に症状改善に限定されました。CTO-PCIの適応は、症状緩和のための戦略として考慮されるべきと解釈されます。Stem-Cell-Derived Biologic Ventricular Assist Tissue in Heart FailureZimmermann WH, et al. N Engl J Med. 2026;394:1991-2001.<BioVAT-HF試験>:iPS細胞由来“心筋パッチ”による再筋化治療の初期検証試験重症HFrEF患者(LVEF≦35%)に対しiPS細胞由来のシート状の心筋組織(BioVAT)を外科的に移植する第I/II相試験です。心筋壁厚増加、LVEF改善(約+4%)、QOL改善が観察されました。安全性はおおむね許容範囲で、再筋化による心機能改善の可能性が示されました。「心筋再生医療が実用化された」と結論付ける段階ではなく、「心筋再生医療が新たな段階に入った第一歩」と評価すべきです。Predictors of Long-Term Outcomes in Hypertrophic Cardiomyopathy: The NHLBI HCM RegistryHCMR Investigators. JAMA. 2026;335:1959-1969.<NHLBI HCM Registry>:多面的データ統合による肥大型心筋症の予後予測モデル検証研究 NHLBI HCM Registry(HCMR)は、2,700例の肥大型心筋症を前向き登録し平均約7年追跡し、臨床・遺伝子・バイオマーカー・心臓MRI(CMR)を統合して予後予測を検討している試験です。心臓MRI遅延造影とNT-proBNPが有用な予測因子でした。従来の突然死を中心としたモデルより予測精度が向上し、心不全や移植リスクも含めた包括的な有用性が示されました。

3.

手術やPCIはどこまで「本当に効いている」のか?―シャム対照試験とORBITA試験シリーズが示した医療の本質―【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第98回

「効く」とは何か―RCTとプラセボの基本医学において「治療が効く」とは何を意味するのでしょうか。単に「治療後に症状が改善した」という事実だけでは、その治療の有効性を証明したことにはなりません。人間の身体には自然治癒力があり、時間の経過とともに軽快することも多いからです。また、医師の熱心な態度や、最新治療を受けるという期待感が心理的に影響し、実際に痛みを和らげてしまうこともあります。これら、純粋な治療のメカニズム以外で評価を歪めうる要因を、医学では「バイアス」と呼びます。このバイアスを排除するために確立された方法が、無作為化比較試験(RCT)です。患者をランダムに「治療群」と「対照群」に分けることで背景を均等にし、純粋な治療効果をあぶり出そうとします。しかし、この方法の本質は「どう分けるか」ではなく、「比較対象(対照)に何を置くか」にあります。新薬の試験では、見た目がそっくりな「プラセボ(偽薬)」が用いられますが、これは患者の期待感や安心感(プラセボ効果)を制御するためです。つまり、現代医学における真の治療効果とは、「全体の改善度」から「プラセボ効果」を差し引いた、残りの部分を指すのです。侵襲的治療とシャム手術―その意義と歴史では、手術やカテーテル治療のような侵襲的医療ではどうでしょうか。実は、これらの手技は薬以上に強力なプラセボ効果を伴うことが知られています。「手術室に入り、麻酔を受け、専門医の処置を受ける」という強烈な体験は、患者に「治るはずだ」という強固な暗示を植え付けるからです。この影響を排除するために考案されたのが、「シャム手術(sham procedure)」です。これは、皮膚の切開などは行うものの、肝心の手術操作(病変の切除など)はせずに終了する「偽の手術」です。歴史的に見れば、シャム手術はときに医療界の常識を冷酷に覆してきました。その最も古典的な例が、1959年にアメリカのLeonard A. Cobb氏らが発表した内乳動脈結紮術(狭心症の手術)の試験です1)。当時、この手術で多くの患者が「胸の痛みが消えた」と喜び、医師も効果を確信していました。しかし、本物の手術と「切開するだけのシャム手術」を厳密に比較したところ、両群の症状改善度にまったく差がないことが判明したのです。それまで大真面目に行われていた手術の効果は、すべて強力なプラセボ効果でした。しかし、シャム手術の実施には高い壁が立ちはだかります。・倫理的・安全性の問題:効果が期待できないにもかかわらず、患者に麻酔や切開という利益のないリスクを負わせることの是非。・実施の困難さ:完全な盲検化(患者や医師に隠し通すこと)が難しく、また「痛み」のような主観的指標はプラセボ効果が最大化しやすいこと。シャム対照試験は、「科学的な厳密性を追求すればするほど、倫理的なジレンマに直面する」という、臨床研究の超え難い溝を象徴しています。ORBITA試験からORBITA-2へ―PCIのパラドックスこの困難を極限まで乗り越え、現代の循環器内科の領域に激震を走らせたのが、2017年のORBITA試験です2)。対象は、心臓の血管が狭くなる安定狭心症へのカテーテル治療(PCI)です。血管をステントで広げれば胸痛は消える。これは疑いようのない自明の理とされていました。同試験では、患者全員に徹底的な薬物治療を行ったうえで、本物のPCI群とシャムPCI群にランダムに分け、厳密な盲検化のもとで比較しました。結果は衝撃的でした。運動ができる時間の延長や症状の改善において、本物のPCIはシャムPCIに対して有意な差を示せなかったのです。この結果は当時、「PCIは意味がない」という極端な誤解を生みましたが、本質はそこではありません。「血管を物理的に広げる劇的な治療でさえ、その効果の大部分はプラセボ効果、あるいは徹底的な薬物療法の恩恵であった」という事実を証明した点にあります。医療界はこの事実を真摯に受け止め、さらなる検証へと進みました。それが2023年のORBITA-2試験です3)。今度は「抗狭心症薬をあえて中止・最小限にした状態」で比較したところ、PCI群がシャム群に対して症状を明確に改善させることが示されました。ここから、治療の価値とは手技そのものに絶対的に宿るのではなく、「どのような患者に、どのような治療環境のもとで行うか」という、関係性の中で流動的に決まるものだという重要な示唆が得られます。ORBITA-CTOと「医療の真の目的」この考え方は、最も治療難易度が高いとされる慢性完全閉塞(CTO)病変にも適用され、ORBITA-CTO試験が行われました4)。試験の結果、CTO-PCIはシャム群に比べて患者の狭心症症状を減らし、生活の質(QOL)を向上させることが証明されました。その一方で、死亡率や心筋梗塞の発症率といった「予後(寿命)」の改善には明確な差が認められませんでした。この結果は、CTO病変へのカテーテル治療の本質をクリアに定義しました。この治療は「命を延ばすための戦略」ではなく、「患者の日々の苦痛を和らげ、人生の質を豊かにするための戦略」であるということです。医療の目的を、病気の完治や延命だけに置きがちな私たちに、この研究は「いま目の前の患者が求めている利益(ベネフィット)とは何か」という根源的な問いを突きつけています。結びにかえて―シャム猫の瞳が教えてくれること ここで少しだけ、私の個人的な思い出話をさせてください。私は大の猫好きで、かつて美しいサファイアブルーの瞳を持つシャム猫と暮らしていました。そのため、医学の世界で初めて「シャム手術(sham surgery)」という言葉に出会ったとき、胸がチクリと痛んだのを覚えています。私の愛したあの気品ある猫の血統が、「偽物」や「見せかけ」という意味の形容詞として使われているのだろうか、と。しかし調べてみると、すぐに誤解は解けました。医学の “sham” は「欺瞞」「見せかけ」を意味する古い英語に由来し、猫のシャムはタイの旧国名(Siam)に由来する、まったく別の語源だったのです。あの美しい猫が「偽物の象徴」ではないとわかり、ホッと胸をなでおろしました。現代医学は、科学の光によって「本物の効果」と「見せかけの効果(プラセボ)」を冷徹に切り分けようとします。その厳密さは、患者を過剰な医療介入から守るために不可欠なものです。しかしその一方で、日常の中にある大切なもの――かつて私を癒やしてくれたシャム猫のぬくもりや、医師が患者に与える安心感の価値は、そのような科学的な二分法とは無関係な場所に存在しています。医学がどれだけ進歩し、手術の効果が数値化されたとしても、医療の本質には依然として「言葉にできない安心感」というプラセボ効果(=見せかけの優しさ)が満ちています。そして、それらもまた患者を救う大切な医療です。「本物」と「偽物」の狭間で葛藤すること、そしてその両方の価値を認めること。それこそが、医学という不完全で、しかし限りなく人間的な学問を学ぶ本当の意義なのかもしれません。 1) Cobb LA, et al. An evaluation of internal-mammary-artery ligation by a double-blind technic. N Engl J Med. 1959;260:1115-1118. 2) Al-Lamee R, et al. Percutaneous coronary intervention in stable angina (ORBITA): a double-blind, randomised controlled trial. Lancet. 2018;391:31-40. 3) Rajkumar CA, et al. A Placebo-Controlled Trial of Percutaneous Coronary Intervention for Stable Angina. N Engl J Med. 2023;389:2319-2330. 4) Khan S, et al. Randomized, Placebo-Controlled Trial of Chronic Total Occlusion Percutaneous Coronary Intervention in Stable Angina: The ORBITA-CTO Trial. J Am Coll Cardiol. 2026 Mar 29. [Epub ahead of print]

4.

脂肪肝は心血管イベントリスクの上昇と関連

 脂肪性肝疾患(脂肪肝)は、肝臓だけでなく心臓にも悪影響を及ぼす可能性があるようだ。新たな研究で、脂肪肝を有する人では有していない人に比べて、非石灰化冠動脈プラークの量が多く、全死因死亡や心筋梗塞などを含む主要イベントの発生率が約2倍に上昇していることが明らかになった。非石灰化プラークは、石灰化していないため破裂しやすく、血栓形成を通じて心血管イベントを引き起こすリスクが高いとされている。米マス・ジェネラル・ブリガム心臓血管研究所のJan Brendel氏らによるこの研究の詳細は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に5月20日掲載された。Brendel氏は、「われわれの研究結果は、脂肪肝が単なる肝臓の疾患ではなく、心血管疾患リスクの重要な指標でもあることを示している」とニュースリリースで述べている。 研究グループによれば、米国成人の最大40%が脂肪肝を有している。肝臓への脂肪蓄積は、肝線維化および肝がんのリスクを高めるが、専門家の間では、その影響がより広範な健康問題に及ぶ可能性が指摘されている。 今回の研究では、胸痛治療のために受診した患者を対象とする大規模研究(PROMISE試験)参加者のうち、3,637人(平均年齢60.6歳、女性51.4%)を対象に、脂肪肝、冠動脈プラークの定量的構成、および主要心血管イベント(MACE)との関連を検討した。MACEは全死因死亡、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院が対象とされた。脂肪肝はCT画像で肝臓と脾臓の濃度差を比較する方法により判定した。一方、冠動脈はCT血管造影を用い、プラーク、石灰化プラーク、非石灰化プラーク、低濃度プラークの容積およびプラーク負荷(プラークが血管容積に占める比率)を測定して評価した。 対象者の25.5%が脂肪肝を有していた。全体として、脂肪肝患者は非脂肪肝患者と比較して、わずかに若年で、男性が多く、心血管リスク因子をより多く有しており、MACE発生率も高かった(4.1%対2.5%)。臨床的なリスク因子を調整して解析した結果、脂肪肝患者では、総プラークおよび非石灰化プラーク容積がいずれも24%大きく、低濃度プラーク容積が11%大きかった。また、総プラークおよび非石灰化プラーク負荷が15%、低濃度プラーク負荷が6%高かった。さらに、肥満や動脈硬化性心血管疾患リスクスコアなどで調整した後も、脂肪肝は心血管イベントリスクの69%の上昇と関連していた(調整ハザード比1.69)。媒介分析の結果、脂肪肝とMACEとの関連の10.9%は非石灰化プラーク負荷により説明されることが示された。 研究グループは、脂質低下作用を持つスタチンや減量効果を有するGLP-1受容体作動薬が、脂肪肝患者における心血管リスクを低減できるかどうかを今後の研究で検討すべきだと述べている。

5.

冠微小循環障害と予後―CFR・IMRによる評価の妥当性を巡って(解説:野間重孝氏)

 本論文は、虚血性心疾患が疑われ侵襲的冠動脈造影を受けた患者を対象に、冠微小循環障害(coronary microvascular dysfunction:CMD)の有病率と予後的意義を検討した韓国7施設による前向き多施設コホート研究である。著者らは、冠動脈造影に加えて冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)、冠血流予備能(coronary flow reserve:CFR)、微小循環抵抗指数(index of microcirculatory resistance:IMR)を系統的に評価し、CFR<2.0かつIMR≧25をCMDと定義した。その結果、CMDは非閉塞性冠動脈疾患のみならず、閉塞性心外膜冠動脈疾患を有する患者にも認められ、さらに全死因死亡、心筋梗塞、臨床的再血行再建術、または心不全入院から成る主要複合エンドポイントの増加と関連したと報告している。本研究は、心外膜冠動脈狭窄を中心として理解されてきた虚血性心疾患に、冠微小循環評価を組み込もうとする研究であるが、その解釈には後述するようにいくつかの慎重な検討を要する。 CMDとは、冠動脈造影で可視化される心外膜冠動脈狭窄だけでは説明しきれない心筋虚血、胸痛、あるいは予後不良を、細動脈・毛細血管レベルの冠循環異常として捉えようとする概念である。従来、虚血性心疾患は主として心外膜冠動脈狭窄の有無とその重症度によって理解されてきたが、実際の冠循環は心外膜冠動脈から微小循環、さらに心筋灌流へと連続した系として働いている。したがって、冠動脈造影で明らかな高度狭窄を認めない場合、あるいは心外膜冠動脈病変を治療した後にも症状や虚血が残存する場合には、微小循環レベルの異常が関与する可能性が考えられる。ただし、CMDは単一の疾患単位ではなく、構造的微小血管障害、血管反応性異常、内皮機能障害、微小血管攣縮などを含む広い病態概念である。 現時点において、CMDを臨床的に正確かつ直接的に評価する標準的指標は、なお確立されているとは言い難い。そのため実臨床および臨床研究では、CFRやIMRなどの冠循環生理学的指標が、いわば代替的指標として用いられている。CFRは、安静時冠血流に対して最大充血時に冠血流がどの程度増加しうるかを示す指標であり、冠循環全体としての血流予備能を反映する。一方、IMRは、最大充血時の遠位冠動脈圧と平均通過時間から算出され、微小循環抵抗を推定する指標とされる。しかし、CFRは心外膜冠動脈狭窄、びまん性冠動脈硬化、血圧、心拍数、左室拡張末期圧、薬剤などの影響を受け、IMRも測定血管、最大充血の程度、PCI前後の状態、手技条件などに左右される。したがって、CFRやIMRはCMDを考えるうえで有用な生理学的指標ではあるものの、微小循環障害そのものを直接可視化し、その存在を確定的に評価しうるものではない。 本研究の意義は、CMDを非閉塞性冠動脈疾患に限られた病態としてではなく、閉塞性心外膜冠動脈疾患にも併存しうる予後関連因子として、前向き多施設コホートで検討した点にある。従来、CMDは有意な心外膜冠動脈狭窄を認めないにもかかわらず、胸痛や虚血を呈する患者群において注目されることが多かった。しかし本研究では、虚血性心疾患が疑われ侵襲的冠動脈造影を受けた患者を対象にFFR、CFR、IMRを系統的に評価し、CFR<2.0かつIMR≧25と定義されるCMDが、閉塞性心外膜冠動脈疾患を有する患者にも認められること、さらにCMD群において主要複合エンドポイントが高率であったことを示した。 ただし、この結果を解釈する際には、本研究におけるCMDの定義そのものに立ち返る必要がある。考察の冒頭で著者らは、本研究が「CMDが心外膜冠動脈疾患としばしば併存することを示した」と述べている。しかし、本研究におけるCMDはCFR<2.0かつIMR≧25という冠循環生理学的指標に基づく操作的定義であり、微小循環障害そのものを直接証明したものではない。また、閉塞性心外膜冠動脈疾患を有する患者におけるCMDの頻度は21.5%であり、これを「しばしば併存する」と表現すること自体は可能であるとしても、その病態学的意味についてはより慎重な考察が必要であったと思われる。 加えて、本研究ではCMD群がベースラインの時点で高齢であり、高血圧、慢性腎不全、NT-proBNP高値、FFR≦0.80、PCI施行率なども高かったことから、この群がもともとより重い全身性血管障害ないし冠動脈疾患を有する集団であった可能性を否定できない。多変量解析による補正は行われているものの、観察研究である以上、残余交絡を完全に排除することは困難であり、主要エンドポイントの増加をCMDそのものに帰するには慎重であるべきである。 また、CFRおよびIMRという指標そのものの信頼性についても留意が必要である。生理学的評価は抗狭心症薬や血管作動薬の標準的washoutなしに行われており、測定値が薬剤影響下の冠循環反応を反映している可能性がある。さらに、閉塞性冠動脈疾患を有するCMD例の一部ではPCI後のCFR・IMR測定値に基づいてCMDが分類されているが、PCI後のCFRやIMRは手技に伴う微小循環への影響、distal embolisation、slow flow、血管拡張反応の変化などを受けうるため、必ずしもPCI前の微小循環状態をそのまま反映するものではない。加えて、CMDの定義に用いられたCFR<2.0という閾値自体も操作的であり、カットオフ値の設定はCMDの有病率や予後との関連に影響しうる。さらに、CMDには空間的不均一性が存在しうるにもかかわらず、評価は主として限られた冠動脈領域で行われており、その測定値を患者全体の微小循環状態の代表として扱うことにも限界がある。このように見れば、本研究でCMDと分類された群は、微小循環障害そのものを特異的に示す集団というより、より広範な冠動脈疾患重症度や冠循環予備能低下を反映する高リスク集団であった可能性がある。 この点は、主要複合エンドポイントの内訳からも示唆される。主要複合エンドポイントはCMD群で18.8%、非CMD群で10.5%と有意に増加していたが、個別項目では心筋梗塞および心不全入院の明確な増加は認められず、むしろ臨床的再血行再建、とくに非標的血管再血行再建やdeferred vessel revascularisationの増加が目立つ。したがって、本研究の結果を、CMDそのものが直接心筋梗塞や心不全を増加させたことの証明として読むのは適切ではない。むしろ、CFR低下とIMR上昇を併せ持つ患者群が、より広範な冠動脈疾患進展リスク、再評価・再治療リスク、あるいは残余リスクを有する可能性を示したものと解釈するほうが妥当であろう。 本研究は、CMDという病態概念を虚血性心疾患全体の中に位置付け直そうとする意義ある試みである。しかし、著者らがCMDと呼ぶ病態は、CFR<2.0かつIMR≧25という冠循環生理学的指標に基づく操作的定義であり、微小循環障害そのものを直接可視化し、病理学的に確定したものではない。したがって本研究は、CMDそのものの因果的意義を確定した研究というより、本研究で定義されたCMD表現型が、虚血性心疾患患者における残余リスクを識別しうる可能性を示した研究として読むべきであろう。

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高齢者の前立腺がん疑い、本当にすぐに検査すべき?【高齢者がん治療 虎の巻】第9回

講師紹介<今回のPoint>高齢者のPSA高値では、前立腺がんの早期発見という利益だけでなく、前立腺生検の負担や過剰診断の不利益も考える必要がある。PSAが軽度〜中等度に上昇している場合には、PHIなどのバイオマーカーやMRIを活用することで、前立腺生検に進むべきかをより慎重に判断できる可能性がある。高齢者では、期待余命、フレイル、併存疾患、患者の価値観を踏まえたshared decision making(SDM)が重要である。<症例>78歳、男性。検診でPSA 6.9ng/mLを指摘され、クリニックを受診。一昨年に狭心症発作に対して冠動脈ステント留置術を受けており、糖尿病、高血圧の薬に加えて抗血小板薬を内服している。PSA高値について総合病院での精査を提案すると、「症状なんて何にもない。おしっこの悩みもないのに、精密検査は絶対に受けなければならないのか?」と話され、精査については躊躇される気持ちがあった。この患者に対して、すぐに侵襲的な検査である前立腺生検を勧めるべきでしょうか。それとも、患者と相談し、慎重に経過をみることを選択肢に持つべきでしょうか。“PSA高値=すぐ前立腺生検”でよいのか?PSA検査と、それに続く前立腺生検の目的は、前立腺がんを見つけて、必要な患者を根治に導くことです。しかし、高齢男性においては、「がんを見つけること」そのものが、必ずしも患者の利益につながるとは限りません。PSAスクリーニングの有効性を示した代表的な試験として、欧州で行われたERSPC trialがあります1)。この試験では、PSAスクリーニングにより前立腺がん死亡リスクが低下することが示されました。しかし、この16年間の追跡結果では、前立腺がん死を1人減らすためには570人にスクリーニングを行い、18人の前立腺がんを診断する必要があると報告されています。この数字を見ると、PSA検査には確かに意義がある一方で、多くの方が検査や精査の対象となることがわかります。とくに高齢者では、前立腺がんを見つける利益だけでなく、検査による負担や過剰診断の不利益もあわせて考える必要があります。さらに、PSA高値の患者に対して行われる前立腺生検は、決して無害な検査ではありません。血尿は4〜66%、直腸出血は1〜37%、発熱は0.6〜17%に認められると報告されています。多くは軽微ですが、膀胱洗浄を要する血尿は0.4%、処置を要する直腸出血は0.3%、敗血症は0.1〜3.1%とされており2)、まれながら重篤な合併症も起こり得ます。高齢者では、一度の感染や入院をきっかけにADLが低下することもあります。抗血小板薬や抗凝固薬を内服している患者では、出血リスクへの配慮も必要です。したがって、高齢者のPSA高値をみたときには、前立腺生検へ進む前に、その検査によって「本当に患者にとって利益が得られるものなのか」を一度立ち止まって考えることが大切です。高齢者では「見つけること」の不利益も考える前立腺がんには、生命予後にほとんど影響しない、いわゆる“おとなしいがん”が少なくありません。剖検研究では、ラテント前立腺がんの頻度は加齢とともに上昇し、80歳以上では約6割に認められると報告されています3)。高齢者に対するPSA検査や前立腺生検は、このような臨床的に問題とならないがんまで見つけてしまう可能性があります。ここで問題になるのが過剰診断です。過剰診断そのものは患者に症状を起こさないかもしれませんが、いったん「がん」と診断されると、不安や医療機関受診の負担、さらには将来的な過剰治療へつながることがあります。前立腺がん診療では、次回(前立腺がんに対する監視療法)で述べるように過剰治療への懸念もありますが、その前段階として「調べすぎ」「見つけすぎ」も高齢者では重要な課題です。もちろん、これは「高齢者には前立腺生検をすべきではない」という意味ではありません。臨床的に重要な生命予後に関わる前立腺がん(significant cancer)が疑われる患者では、適切な検査を進める必要があります。重要なのは、すべての前立腺がんを早期に見つけることではなく、転移性がんやsignificant cancerを見逃さず、一方で不必要な生検や過剰診断を減らすことです。PSAだけで判断せず、新規バイオマーカーとMRIも活用するこのような利益と不利益のバランスを考えるうえで、PSA値だけで判断するのではなく、PHI(Prostate Health Index)などの新規バイオマーカーやMRIを組み合わせて評価するという考え方もあります。とくにPSAが軽度〜中等度に上昇している高齢者では、すぐに前立腺生検へ進むのではなく、泌尿器科専門医のもとでリスクを段階的に評価し、前立腺生検が本当に必要かを患者と相談しながら判断することが重要です。PHIは、PSA高値患者における臨床的に意義のある前立腺がん、すなわちsignificant cancerのリスク評価に役立つ指標です4)。PHIが27未満の場合、91%が非がんまたはGleason score 6以下であったと報告されています5)。一方で、PHIが36以上ではGleason score 7以上のsignificant cancerのリスクが高まるとされています6)。これらの報告を踏まえると、PSAが軽度に上昇している高齢者、とくに複数の併存疾患を有しているケースでは、PHIが低い場合には慎重なPSAフォローを選択し、PHIが高い場合にはMRIなどの追加評価を検討するという段階的な考え方が成り立ちます。この段階的な評価において、MRIは前立腺生検へ進むべきかを判断するうえで重要な役割を担います。PI-RADSに基づくMRI評価は、significant cancerの検出を高める一方で、生命予後に大きく影響しにくい前立腺がんの過剰診断を減らすことにも役立ちます7)。PROMIS trialでは、significant cancerの検出において、mpMRIの感度は93%、特異度は41%、陰性的中率は89%と報告しています8)。また、MRIを先行することで約27%の患者が前立腺生検を回避でき、生命予後に大きく影響しにくい前立腺がんの診断を減らしながら、significant cancerの検出精度を高められる可能性が示されました。したがって、PSAが軽度〜中等度に上昇している高齢者では、「PSA高値だからすぐ生検」ではなく、PHIなどの新規バイオマーカーでリスクを見積もり、必要に応じてMRIを行い、その結果を踏まえて前立腺生検を検討するという段階的なアプローチも選択肢の1つとなり得ます。高齢者のPSA高値で考えるポイントさらに、高齢者のPSA高値を見たとき、最初に考えるべきことは「前立腺がんがあるか」だけではありません。期待余命はどのくらいかフレイルや認知機能低下はないか併存疾患や内服薬はどうか仮に前立腺がんが見つかった場合、生検やその後の治療に耐えられるか患者本人はどこまで検査や治療を望んでいるかこれらを踏まえたうえで、PHIやMRIを活用し、前立腺生検へ進むべきかを患者と相談しながら判断することが大切です。PSA値に応じて考える、高齢者への段階的アプローチ高齢者にPSA検査を行った後の対応としては、次のような段階的アプローチもあります。<PSA 4ng/mL未満の場合>日本泌尿器科学会の検診ガイドラインの考え方を参考に、PSA値に応じて1〜3年ごとの再検を検討します。ただし、再検を勧める際にも、その時点での期待余命やフレイルを再評価することが大切です。(図1)PSA<4ng/mLのフォローアップ戦略画像を拡大する<PSA 4〜10ng/mL、軽度PSA高値の場合>PHIでリスク層別化を行い、PHI高値であればMRIを検討します。MRIでPI-RADS3以上の病変があれば前立腺生検を考慮し、PI-RADS2以下で臨床的な疑いが低い場合にはPSAフォローを継続する、という流れも一つの選択肢になります。(図2)PSA 4〜10ng/mLに対するフォローアップ戦略画像を拡大する<PSA 10〜20ng/mL、中等度PSA高値の場合>MRIをより積極的に検討し、MRI所見やPSAの推移、患者の全身状態を踏まえて前立腺生検の要否を判断します。(図3)PSA10〜20ng/mLに対するフォローアップ戦略画像を拡大するもちろん、これらはあくまで一つの考え方であり、すべての患者に機械的に当てはめるものではありません。大切なのは、前立腺生検を避けること自体が目的なのではなく、本当に生検が必要な患者を見極めることです。終わりに高齢者の前立腺がん疑いでは、PSA高値をみたときにすぐ前立腺生検へ進むのではなく、期待余命、フレイル、併存疾患、患者の価値観を踏まえて、検査の利益と不利益を慎重に考える必要があります。PHIなどの新規バイオマーカーやMRIを活用し、significant cancerを見逃さず、不必要な前立腺生検や過剰診断を減らすことが重要です。高齢者のPSA高値では、患者と相談しながら、一人ひとりに合った検査戦略を考えることが大切です。 1) Hugosson J, et al. Eur Urol. 2019;76:43-51. 2) 日本泌尿器科学会編. 前立腺がん検診ガイドライン2018年版. 2018. p.111-116. 3) Bell KJL, et al. Int J Cancer. 2015;137:1749-1757. 4) Catalona WJ, et al. J Urol 2011;185:1650-1655. 5) Tosoian JJ, et al. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2017;20:228-233. 6) White J, Shenoy BV, et al. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2018;21:78-84. 7) 高橋 哲. 臨床泌尿器科. 2022;76:770-777. 8) Ahmed HU, et al. Lancet. 2017;389:815-822.

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睡眠時無呼吸症候群、日ごとの重症度変動も心血管リスクに影響

 睡眠時無呼吸症候群(OSA)は心疾患、高血圧、脳卒中のリスクを高めることが知られているが、その重症度が日ごとに大きく異なることも、リスクに影響する可能性がある。新たな研究で、OSAの重症度の日ごとの変動が大きい人では、小さい人に比べて、非致死的な主要心血管・脳血管イベント(MACCE)のオッズが34%高いことが示された。フリンダース大学(オーストラリア)のBastien Lechat氏らによるこの研究の詳細は、「Sleep」に3月26日掲載された。 OSAでは、睡眠中の呼吸停止とそれに伴う覚醒が一晩中繰り返され、睡眠の質に悪影響を及ぼすことが知られている。Lechat氏は、「多くの人は、OSAの症状は一定していると考えがちであるが、実際は、ある夜は他の夜よりも著しく悪化するなど日ごとに大きく異なる。このような重症度の上下の繰り返しは心臓にさらなる負荷をかける可能性がある」とニュースリリースで述べている。 本研究では、米食品医薬品局(FDA)承認の市販のマットレス下センサーを用いてOSAの重症度を連日測定した3,159人の成人(女性19%、平均年齢49±13歳)のデータが解析された。OSAの重症度は、1時間当たりに起こる無呼吸と低呼吸の回数を示す指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)で評価された。非致死的なMACCE(心筋梗塞、脳卒中、狭心症、うっ血性心不全など)の診断の有無について質問票により確認し、これらとOSAの重症度およびその変動との関連を検討した。 その結果、中等度から重度のOSAを有する人は、OSAのない人と比較して、MACCE発生のオッズが45%高い傾向が認められた(オッズ比1.45、95%信頼区間0.93~2.25)。また、OSAの重症度の変動が大きい人(AHIの75パーセンタイル:8.0回/時)は小さい人(AHIの25パーセンタイル:2.8回/時)と比較して、OSAの重症度や他の交絡因子とは独立して、MACCE発生のオッズが34%高かった(オッズ比1.34、95%信頼区間1.04~1.72)。 研究グループによると、OSAの検査は多くの場合、1晩のみの呼吸測定で行われる。Lechat氏は、「1晩の睡眠検査だけでは一部の患者に誤った安心感を与える可能性がある。平均的には軽症であっても、日ごとの変動が大きい場合にはリスクが高い可能性があるためだ」と指摘している。 研究グループは、OSA患者における心血管リスクの予測が困難である理由の一端は、本結果により一部説明可能であるとの見方を示している。論文の上席著者である同大学のDanny Eckert氏は、「身体は酸素レベルの変動や睡眠の分断の繰り返しに適応することが困難である可能性がある。こうした日ごとの変動は、標準的な検査では捉えられないまま、時間をかけて心臓や血管に徐々に負荷をかける」とニュースリリースで述べている。その上で同氏は、医師が糖尿病や血圧と同様に、OSAについても継時的に評価することを検討すべきだと主張している。 一方、Lechat氏は、OSAには対処法が存在することを強調する。「いびきをかく、あるいは睡眠後も疲労感が残る場合には、医療専門職に相談することで、心血管リスクが見つかる可能性がある。そうしたリスクに対する治療の選択肢は多数存在する」と述べている。

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事例47 ニトロペン舌下錠の査定と復活【斬らレセプト シーズン4】

解説診療所の近隣の住民が胸痛と冷汗を主訴に来院され、狭心症を疑ってニトログリセリン(商品名:ニトロペン)舌下錠を緊急投与しましたが、C事由(医学的理由による不適当)が適用されて査定となりました。ニトロペン舌下錠の添付文書を確認しました。効能又は効果に「狭心症等の一時的緩解」とありました。病名が確定している場合に使用される薬剤と捉えられます。しかしながら、緊急時には対症療法として有効な薬剤とも認識されています。今回の査定は、「狭心症が確定していないにも関わらずに使用していることから医学的に適当でない」として査定になったものと推測ができます。医師と相談して、再審査請求を行いました。時系列に来院時の状況からニトロペン舌下錠を緊急的に1錠投与後さらに1錠追加したことや、心電図などにて緊急性はないものと判断したことを記載して再審査請求したところ復活しました。査定対策として、ニトロペン舌下錠の緊急投与には「緊急対症療法」であることを必ずコメント付記して請求することにしています。

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心血管疾患の再発予防には、LDLコレステロール値もthe lower, the better(解説:桑島巖氏)

 LDLコレステロールが心筋梗塞や脳梗塞などの重大なリスク因子であることは議論の余地はないが、その治療目標値においては、各国のガイドラインに差異がみられる。1次予防に関しては、リスクの有無により<120~140mg/dLとされ、各国ガイドラインに差がみられるが、2次予防に関しては、より厳格な管理が有効であるとするエビデンスが相次いで発表されている。日本では標準的2次予防目標値として100mg/dL未満、急性冠症候群、糖尿病、非心原性脳梗塞合併例などの非常に高リスクな場合には、70mg/dL未満が目標値として掲げられている。 今回、韓国から発表されたEz-PAVE研究は、LDLコレステロール値が70mg/dL以上の冠動脈疾患既往歴、脳血管疾患、末梢動脈硬化性疾患の既往歴を有する3,048例を、LDLコレステロール値低下目標値を55mg/dL未満に下げる強化群と70mg/dL未満とする従来群に1:1にランダム化して3年間追跡したランダム化比較研究である。その結果、主要エンドポイント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、血行再建術または不安定狭心症による入院)は、強化群での6.6%が、従来群の9.7%に比べて有意(p=0.002)に抑制率が高かったという結果であった。治療薬としては、スタチンの増量と、エゼチミブの併用、PCSK9併用などが推奨されているが、懸念される筋肉症状などの有害事象の発現率には差がなかったという。 2次予防におけるLDL-C目標値に関して、わが国の動脈硬化学会のガイドライン2022年版では70mg/dL未満としているが、欧州ガイドラインでは超ハイリスク例では55mg/dL未満としている。高カロリー食を好む欧米人では、脳卒中よりも心筋梗塞発症率が高く、米飯食を主食とするアジア人は脳卒中のほうが多いとされてきたが、わが国の食事内容も欧米化している現状を考慮すると、この韓国での本試験の結果は日本人にも適用できる結果であろう。 高血圧と同じく、心血管疾患の再発予防におけるコレステロール管理においては、The lower, the betterを証明したという点で意義のある臨床試験であろう。

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冠動脈中等度狭窄への血行再建、vFFRガイドは有用か/NEJM

 欧米の現行の血行再建ガイドラインでは、中等度の狭窄を呈する冠動脈病変に対する血行再建の必要性を判断するための指針として生理学的評価を推奨しているが、プレッシャーワイヤーや血流増加薬を必要とせずに3次元定量的冠動脈造影から得られる冠血流予備量比(vFFR)に基づく血行再建と、従来のプレッシャーワイヤーを用いた血流予備量比(FFR)に基づく血行再建を比較したデータは十分でないという。オランダ・エラスムス大学医療センターのJoost Daemen氏らは、FAST III試験において、1年後の死亡、心筋梗塞、再血行再建術の複合エンドポイントに関して、vFFRに基づく血行再建はFFRに基づく血行再建に対して非劣性であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年3月29日号に掲載された。欧州7ヵ国の研究者主導型無作為化非劣性試験 FAST III試験は、欧州7ヵ国の37施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化対照比較非劣性試験であり、2021年11月~2024年5月に参加者を登録した(Pie Medical ImagingとSiemens Healthineersの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上の慢性冠症候群、不安定狭心症、または非ST上昇型急性冠症候群で、中等度狭窄(定量的冠動脈造影で血管径の30~80%の狭窄)を呈する少なくとも1つの冠動脈病変を有する患者であった。 被験者を、冠動脈の中等度狭窄病変に対しvFFRガイド下血行再建術またはFFRガイド下血行再建術を施行する群に1対1の比率で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、1年の時点における全死因死亡、心筋梗塞、再血行再建術の複合とした。非劣性マージンは3.0%ポイントに設定し、発生率の群間差の両側95%信頼区間(CI)の上限値がこれを下回った場合に非劣性と判定した。生理学的評価の成功率は高い 2,211例(最大の解析対象集団、平均年齢67歳、女性24.3%)を登録し、vFFR群に1,116例、FFR群に1,095例を割り付けた。全体の18.7%が急性冠症候群、26.6%が糖尿病であった。1例当たりの平均(±SD)病変数は、vFFR群が1.27(±0.55)、FFR群は1.28(±0.55)だった。 完全な生理学的評価の成功率はvFFR群で96.7%、FFR群で99.1%であり、vFFR中央値は0.83、FFR中央値は0.85であった。血行再建の適応閾値(vFFR、FFRとも≦0.80)を満たした病変の割合はそれぞれ40.9%および31.3%で、実際に血行再建術が施行された患者の割合は45.0%および36.0%だった。 このうち経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における施術の平均所要時間は、vFFR群で55.8(±26.8)分、FFR群で60.9(±28.5)分であった(群間差:-5.13分、95%CI:-8.55~-1.71)。対象血管不全、重篤な有害事象の頻度も同程度 1年の時点で、主要エンドポイントのイベントの発生を認めた患者は、vFFR群が80例(Kaplan-Meier推定値7.5%)、FFR群は79例(7.5%)であり(リスク群間差:-0.02%ポイント、95%CI:-2.25~2.21)、vFFRのFFRに対する非劣性が示された(非劣性のp<0.004)。 また、対象血管不全(心臓死、対象血管心筋梗塞、臨床的に適応のある対象血管の再血行再建術)のイベントは、vFFR群で43例(Kaplan-Meier推定値4.0%)、FFR群で49例(4.6%)にみられた(リスク群間差:-0.62%ポイント、95%CI:-2.35~1.10)。 重篤な有害事象の発生は両群で同程度であった。生理学的評価時の経皮的血行再建術関連の手技中の合併症は、vFFR群で3.7%、FFR群で6.0%に発現した。血行再建術の高施行率の意味を探る検討が必要 著者は、「数多くの臨床的妥当性の検証試験の結果が、その高い診断精度を裏付けていることから、本試験の知見は、血行再建の生理学的ガイダンスが適応となる場合には、プレッシャーワイヤーや充血の誘発を必要としない血管造影に基づく手法の使用を支持するものである」としている。 また、「vFFR群ではFFR群よりも血行再建術を受けた患者の割合が高かったこと(45.0%vs.36.0%)が、vFFRのほうが生理学的に意義のある病変をより的確に検出できたことを示すのかなどの疑問点を解決するために、新たな研究が必要である」と指摘している。

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複雑病変への高リスクPCI、IVUSガイドvs.血管造影ガイド/NEJM

 複雑病変に対する高リスク経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、血管内超音波(IVUS)ガイド下PCI(事前に規定されたステント最適化基準に基づく)は血管造影ガイド下PCIと比較し、標的血管不全リスクを低下させなかった。オランダ・Erasmus University Medical CenterのRoberto Diletti氏らIVUS-CHIP Investigatorsが、欧州7ヵ国の37施設で実施した無作為化非盲検比較試験「Intravascular Ultrasound Guidance for Complex High-Risk Indicated Procedures trial:IVUS-CHIP試験」の結果を報告した。IVUSガイド下PCIは、複雑な冠動脈病変を有する患者においてステント最適化の向上および有害事象の減少と関連しているが、欧米諸国における導入率は依然として低い。診療ガイドラインでは、解剖学的な複雑病変に対して冠動脈内イメージングを推奨しているが、現在の欧州における実臨床でのエビデンスは限られていた。NEJM誌オンライン版2026年3月30日号掲載の報告。IVUSガイド下PCI群と血管造影ガイド下PCI群で標的血管不全を評価 IVUS-CHIP試験の対象は、非ST上昇型急性冠症候群または安定虚血性心疾患(安定狭心症または無症候性虚血)を呈し、かつ1ヵ所以上の複雑な冠動脈病変に対するPCIが予定されている18歳以上の患者であった。複雑病変は、血管造影上の重度石灰化、入口部病変、側枝径が2.5mm以上の分岐部病変、左主幹部病変、慢性完全閉塞、ステント内再狭窄、またはlong lesion(推定ステント長28mm超)と定義された。 研究グループは、適格患者をIVUSガイド下PCI群または血管造影ガイド下PCI群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。すべての標的病変に対しプラチナクロム合金製エベロリムス溶出ステントによる治療を行うことが規定され、IVUSガイド下PCI群では事前に規定されたステント最適化基準に基づいて実施された。PCI後は、アスピリンとP2Y12阻害薬による抗血小板薬2剤併用療法を、安定虚血性心疾患患者では6ヵ月以上、急性冠症候群患者では12ヵ月以上実施することが推奨された。 主要エンドポイントは、標的血管不全(心臓死、標的血管心筋梗塞、または臨床的に必要と判断された標的血管再血行再建術の複合と定義)とした。標的血管不全の発生に有意差なし 2021年11月~2023年8月に2,020例が無作為化され、重複して無作為化された1例を除くIVUSガイド下PCI群1,010例および血管造影ガイド下PCI群1,009例が主要解析に組み込まれた。患者背景は、平均年齢69歳、79.4%が男性、27.4%が急性冠症候群であった。 総手技時間の平均値は、IVUSガイド下PCI群88.8分、血管造影ガイド下PCI群66.2分、ステント留置後のバルーン血管形成術による拡張はそれぞれ91.3%および84.5%で実施された。 追跡期間中央値19.0ヵ月(四分位範囲:15.2~23.4)において、標的血管不全はIVUSガイド下PCI群で140例(13.9%)、血管造影ガイド下PCI群で112例(11.1%)に認められ、ハザード比は1.25(95%信頼区間:0.97~1.60、p=0.08)であった。 処置合併症はIVUSガイド下PCI群で11.3%(113/999例)、血管造影ガイド下PCI群で10.2%(102/1,002例)に発生した。有害事象の発現割合は両群で同程度であった。

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心血管疾患2次予防、目標LDL-C値55mg/dL未満でリスク低下/NEJM

 動脈硬化性心血管疾患患者において、目標LDL-C値は55mg/dL未満が70mg/dL未満よりも、3年時点の心血管イベントリスクの低下に結び付いたことを、韓国・延世大学校医科大学のYong-Joon Lee氏らEz-PAVE Investigatorsが行った非盲検無作為化優越性試験の結果で報告した。ガイドラインでは動脈硬化性心血管疾患患者におけるLDL-C値低下を推奨しているが、これらの患者の2次予防のための適切な目標LDL-C値について評価した無作為化試験からのエビデンスは限定的なままであった。NEJM誌2026年4月9日号掲載の報告。主要エンドポイントは、3年時点の心血管死等の複合 研究グループは、19~80歳の動脈硬化性心血管疾患患者(次のいずれか1つ以上の既往または現有で定義:急性冠症候群[心筋梗塞または不安定狭心症]既往、画像検査または機能検査で確認された安定狭心症、冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術、脳卒中または一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患あり)を、目標LDL-C値を55mg/dL(1.4mmol/L)未満とする群(強化群)または70mg/dL(1.8mmol/L)未満とする群(従来群)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要エンドポイントは、3年時点の心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、あらゆる血行再建術、または不安定狭心症による入院の複合であった。安全性も評価した。イベントの累積発生率は強化群6.6%、従来群9.7%で有意な差 2021年1月~2022年7月に韓国17施設で3,048例が無作為化された(強化群1,526例、従来群1,522例)。両群の患者特性はバランスが取れており、平均年齢は64.4±9.0歳、女性が638例(20.9%)で、LDL-C中央値は76mg/dL(四分位範囲[IQR]:61~96)であった。1,694例(55.6%)が急性冠症候群既往で、1,474例(48.4%)が画像検査または機能検査で確認された安定狭心症を、2,049例(67.2%)が冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術を有していた。 追跡期間中央値は3.0年(IQR:3.0~3.0)。試験期間中のLDL-C中央値は、強化群56mg/dL(1.4mmol/L)、従来群66mg/dL(1.7mmol/L)であった。 主要エンドポイントのイベント発生は、強化群100例(推定Kaplan-Meier累積発生率6.6%)、従来群147例(9.7%)であった(ハザード比:0.67、95%信頼区間[CI]:0.52~0.86、p=0.002)。 事前に規定した安全性エンドポイントの発生は、強化群でクレアチニン値上昇の発現割合が有意に低かったこと(1.2%vs.2.7%、群間差:-1.5%ポイント、95%CI:-2.5~-0.5、p=0.004)を除き、両群で同程度であった。

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非保護左冠動脈主幹部病変のPCI、超音波ガイドvs.造影ガイド/NEJM

 非保護の左冠動脈主幹部病変を有する患者に対する冠動脈血行再建術では、近年、解剖学的な複雑性が軽度~中等度の場合は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が、冠動脈バイパス術(CABG)の許容可能な代替法として確立しているが、ステントの適切な拡張、血管壁への圧着、病変の被覆など長期的な転帰に影響を及ぼす可能性のある技術的な課題が残されているという。イタリア・IRCCS Policlinico San DonatoのLuca Testa氏らは「OPTIMAL試験」において、血管内超音波(IVUS)ガイド下PCIは従来の血管造影ガイド下PCIと比較して、良好な臨床アウトカムをもたらすかについて評価した。NEJM誌オンライン版2026年3月30日号掲載の報告。欧州3ヵ国の研究者主導型無作為化優越性試験 OPTIMAL試験は、イタリア、スペイン、英国の28施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化優越性試験(Philips Image Guided Therapy DevicesとBoston Scientificの助成を受けた)。 2020年7月~2023年6月に、年齢18歳以上、50%以上の狭窄を伴う非保護の左冠動脈主幹部病変を有し、PCIの適応とされ、中等度~重度の虚血とともに、ガイドラインに基づく内科的治療を行っても症状を認める患者を登録した。 被験者を、診断目的の冠動脈血管造影で適格性を確認した後、ガイドワイヤー挿入前に、IVUSガイド下PCIまたは血管造影ガイド下PCIを受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、最長の追跡期間における脳卒中、心筋梗塞、血行再建術、全死因死亡から成る患者指向型の複合エンドポイントとした。患者指向型の主要複合エンドポイント、33.7%vs.30.9%で有意差なし 806例(平均[±SD]年齢71.4[±10.7]歳、男性78.4%、糖尿病34.7%)を登録し、IVUSガイド下PCI群に401例、血管造影ガイド下PCI群に405例を割り付けた。原疾患の発生率の内訳は、非ST上昇型心筋梗塞が39.1%、不安定狭心症が10.1%、慢性冠症候群が50.8%であり、平均SYNTAXスコアは29.7(±12.6)点(中等度~高度の解剖学的複雑性)だった。 追跡期間中央値2.9年の時点において、患者指向型複合エンドポイントのイベントは、IVUSガイド下PCI群で135例(33.7%)、血管造影ガイド下PCI群で125例(30.9%)に発生し、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.11、95%信頼区間[CI]:0.87~1.42、p=0.40)。 また、デバイス関連複合エンドポイント(心血管死、標的血管心筋梗塞、臨床的に必要と判断された標的病変の再血行再建術)(IVUSガイド下PCI群22.4%vs.血管造影ガイド下PCI群20.5%、HR:1.10、95%CI:0.82~1.49)、血管関連複合エンドポイント(心血管死、標的血管心筋梗塞、標的血管再血行再建術)(24.2%vs.21.5%、1.14、0.85~1.52)、全死因死亡(15.7%vs.15.1%、1.06、0.74~1.50)は、いずれも両群間に有意差がみられなかった。手技関連・安全性イベントにも差はない 心筋梗塞(IVUSガイド下PCI群11.2%vs.血管造影ガイド下PCI群10.9%、HR:1.04、95%CI:0.68~1.57)、再血行再建術(12.0%vs.11.1%、1.10、0.73~1.65)の発生率も両群で同程度であり、ステント血栓症(definite:0.7%vs.0.2%、3.07、0.32~29.53/probable/definite:2.0%vs.0.7%、2.73、0.72~10.27)の頻度にも有意な差はなかった。 手技関連イベントや全般的な安全性イベント、重篤な有害事象の発生についても、両群間に有意差を認めなかった。熟練施術者に血管内画像は不要の可能性 著者は、「1件の先行試験では、IVUSは施術者の経験が少ないほうが有益性は高いことが示されているが、本試験の参加施設の施術者は豊富な専門知識を持ち、左冠動脈主幹部PCI施行中は、もとよりIVUSに基づいて確立された血管造影アルゴリズムを順守するとともに、厳格な手技基準と最新のステントプラットホームを用いたことが、両群間のアウトカムの潜在的な差異を縮小した可能性がある」としている。 また、「本試験の結果は、左冠動脈主幹部の狭窄にPCIを行う際は、常に冠動脈内の画像によるガイドを使用すべきとの要件に異議を唱えるものであり、症例数の多い施設で熟練のIVUS施術者が処置を行う場合は、血管造影単独でも十分に適切である可能性を示唆する」と指摘している。

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第56回 406万人の命が「食事」で防げる。世界204ヵ国のデータが突きつける、私たちの食卓への警告

先月、Nature Medicine誌に、食事と心臓病の関係を世界規模で解析した大規模研究が発表されました1)。世界204ヵ国からのデータをもとに、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の死亡・障害負担のうち、食事リスクに起因する割合を包括的に推計したものです。虚血性心疾患は、数十年にわたり世界の死因第1位であり続けています。「心臓病は生活習慣病」とよく言われますが、では実際にどの食習慣がどれほどのインパクトを持っているのか。この研究は、その問いに対してこれまでで最も精緻な答えを示しています。年間406万人の命を奪う「食卓のリスク」研究の結果、2023年に世界で食事リスクに起因する虚血性心疾患の死亡者数は約406万人と推計されました。これは虚血性心疾患による全死亡のかなりの割合を占めています。ただし明るい兆しもあります。1990年から2023年にかけて、食事に起因する虚血性心疾患の年齢調整死亡率は約43.9%低下しました。これは世界的な食生活改善や医療の進歩を反映していると考えられます。しかし、人口増加と高齢化の影響で、絶対的な死亡者数は約41.6%増加しており、問題の深刻さが解消されたわけではありません。「足りないもの」が心臓を蝕むこの研究で特に注目すべきは、心臓病リスクを高める食事要因の顔ぶれです。13の食事要因を個別に評価した結果、最も大きな死亡寄与を示したのは、ナッツ・種子類の摂取不足(10万人当たり9.87人の死亡に寄与)、全粒穀物の摂取不足(同9.22人)、果物の摂取不足(同7.25人)、そして食塩の過剰摂取(同7.15人)でした。つまり、「何を摂りすぎているか」よりも「何が足りていないか」のほうが、実は心臓にとってはより大きな脅威となっているようなのです。加工肉や砂糖入り飲料の過剰摂取ももちろんリスクではありますが、それ以上に、ナッツ、全粒穀物、果物、豆類といった「守るための食材」を日常的に食べていないことが、世界中で多くの命を奪っています。「減塩」だけでは不十分うれしいニュースとして、日本を含むアジア太平洋地域は、この研究で食事関連の虚血性心疾患負担が最も低い地域の一つでした(10万人当たり12.20人の死亡)。これは日本の食文化が持つ優位性を示唆するデータと言えるかもしれません。しかし、安心するのは早計です。日本では食塩の過剰摂取が依然として深刻な問題であり、地域別ランキングでも高い順位を占めています。加えて、全粒穀物やナッツ・種子類の摂取量は欧米と比べて少ない傾向にあります。白米中心の食事は日本の食文化の根幹ですが、精白米は全粒穀物の健康効果を享受できないという点では、改善の余地があるでしょう。これまで日本の循環器疾患対策では「減塩」が柱とされてきましたが、このデータは、それだけでは不十分であることを示唆しています。ナッツや全粒穀物、果物、豆類といった「心臓を守る食材」を意識的に食卓に加えていくことが、今後の日本における心疾患予防の新たな柱となる可能性があります。所得格差が「食の格差」を生むこの研究ではさらに、社会開発指標(SDI)の低い国ほど食事関連の虚血性心疾患負担が重いことも示されました。低所得国では、野菜、果物、全粒穀物、ナッツ、豆類といった保護的な食材へのアクセスが限られているために、心疾患のリスクが高くなっています。一方、高所得国では加工食品や砂糖入り飲料の過剰摂取が問題です。つまり、所得水準によってリスクの顔つきが異なるのです。この知見は、日本国内にも当てはまります。経済的に余裕のない世帯では、安価で高カロリーな加工食品に頼りがちになり、新鮮な果物やナッツ、全粒穀物といった食品の摂取が不足する傾向があることは、国内の研究でも指摘されています。食事による健康格差は、決して遠い国の話ではありません。研究の限界と、それでも揺るがない価値もちろん、この研究にも限界はあります。まず、各国の食事データの質にばらつきがあり、一部の国では推計モデルに依存しています。また、ここで示された食事の影響は、因果関係を保証するものではありません。さらに、各食事要因間の複合的な相互作用(たとえば、全粒穀物の摂取が多い人は全体的に食事の質が高い傾向にある、など)を完全には考慮できていません。しかし、204ヵ国を対象に13の食事要因を網羅的に評価し、33年間の推移を追跡したこの研究の規模と包括性は、他に類を見ません。「食事を変えることで心臓病の相当部分を予防できる」というメッセージは、これらの限界を踏まえてもなお、揺るぎないものです。明日から始められること最後に、この研究が示す教訓。それは、「減らす」ことだけでなく「加える」「替える」ことも大切だということです。食塩を減らす、砂糖を減らす、だけではなく、毎日の食事に一握りのナッツを添える、白米の一部を玄米や雑穀米に替える、果物を意識的に増やす。こうした小さな積み重ねが、10年後、20年後の心臓の健康を大きく左右する可能性があります。世界406万人の死というデータは衝撃的ですが、裏を返せば、それだけの命が「食卓を変えること」で守れる余地があるということ。壮大なデータが教えてくれたのは、毎日の食事の力がいかに大きいかということだったのです。 1) GBD 2023 IHD & Dietary Risk Factors Collaborators. Global, regional and national burden of ischemic heart disease attributable to suboptimal diet, 1990-2023: a Global Burden of Disease study. Nat Med. 2026 Mar 30. [Epub ahead of print]

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待機的PCIの実施率、国内で4倍以上の地域格差~J-PCIレジストリ/日本循環器学会

 日本国内における待機的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の実施件数には、依然として地域ごとに4倍以上の大きな格差が存在し、人口、面積当たりのPCI実施可能施設の密度が過剰介入に関連している可能性が、J-PCIレジストリを用いた大規模解析より示唆された。齋藤 佑一氏(千葉大学医学部附属病院 循環器内科)が3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies 4にて報告した。 2013年のDPCデータを用いた先行研究では、急性心筋梗塞(AMI)に対する人口10万人当たりのPCI実施件数は全国で比較的均一であった一方、安定冠動脈疾患(安定狭心症)に対する待機的PCIの実施件数には顕著な地域差があることが示されていた。その後、2018年診療報酬改定によるPCIでの虚血評価の義務化の導入や、2019年のISCHEMIA試験の結果報告1)など、PCIを取り巻く環境が変化している。しかし、最新の臨床現場における地域差の実態やその要因は十分に解明されていなかった。 そこで同氏らは、全国規模のPCIレジストリであるJ-PCIデータを用い、現代の日本におけるPCI実施パターンと地域差の要因を評価。2019年と2023年のPCI症例を対象に、AMIおよび非AMI症例の10万件当たりの実施件数を47都道府県ごとに比較した。さらに、各都道府県のPCI実施施設の密度(人口当たりおよび面積当たり)と、非AMI/AMI実施比率との関連、ならびにPCI施設の地域体制の関連性について検証した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は2019年および2023年に登録された49万4,746件のPCI症例であった。・AMIに対するPCI実施件数は、2019年、2023年ともに全国で比較的均一であった。・一方で、非AMIに対する待機的PCIの実施件数には大きな地域差が認められ、2019年で最大4.0倍、2023年では最大4.2倍の格差が存在していた。2019年の実施件数上位の都道府県は滋賀県、京都府、徳島県で、下位は秋田県、新潟県、岩手県であった。2023年も同様の傾向がみられ、上位は滋賀県、京都府、徳島県、下位は秋田県、岩手県、山梨県であった。・2019年から2023年にかけて、AMIの人口10万人当たりのPCI実施件数は増加傾向にあったが、非AMIのPCI数は減少しており、非AMI/AMI比は有意に低下した(2.99±0.80から2.45±0.69に減少、p<0.001)。・潜在的なメカニズムとして、人口10万人当たりあるいは面積1,000km2当たりのPCI実施可能施設数(施設密度)が高い地域ほど、非AMI/AMI比が高いという正の相関が認められた。 本研究の限界として、AMI後の段階的PCIが非AMI群に含まれている可能性があること、観察研究のため因果関係の特定には限界があることを挙げた。 同氏は、「日本では、緊急を要するAMI治療の提供体制は全国的に比較的均一だが、待機的PCIの実施件数には4倍以上の地域格差が依然として残っている。この格差は、各地域のPCI実施施設の密度に関連している」と指摘。そのうえで、「今後の医療政策は、適切なPCIの実施をさらに促進しつつ、持続可能な心血管治療体制を維持するバランスが求められる」と結論付けた。日本循環器学会(JCS)学術集会まとめページはこちら

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弁疾患と冠動脈疾患の併存、FFRに基づくCABGでアウトカム改善/Lancet

 待機的弁手術が予定されている冠動脈疾患を有する患者において、血管造影によるFFR(冠血流予備量比)に基づく冠動脈バイパス術(CABG)は、冠動脈造影による解剖学的指針に基づくCABGと比較し、周術期複合アウトカムの発生を低下させたことが示された。中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のYunpeng Zhu氏らが、中国の3次医療施設12施設で実施した研究者主導の無作為化三重盲検試験「FAVOR IV-QVAS試験」の結果を報告した。冠動脈疾患を併発している弁手術予定患者に対し、現行ガイドラインでは、冠動脈造影で評価された狭窄の重症度に基づき、解剖学的指針に基づくCABGを行うことが推奨されているが、FFRに基づく戦略がこの患者集団において臨床アウトカムを改善しうるかどうかは検討されていなかった。Lancet誌2026年3月21日号掲載の報告。FFR≦0.80のみCABG実施vs.狭窄率≧50%の血管にCABG実施を評価 FAVOR IV-QVAS試験の対象は、原発性大動脈弁疾患、僧帽弁疾患またはその両方のため待機的弁手術が予定されており、冠動脈造影により直径1.5mm以上で冠動脈バイパス術(CABG)に適した血管において50%以上の狭窄を認める主要冠動脈を1本以上有する18歳以上の成人であった。 研究グループは、適格患者を血管造影によるFFR値が0.80以下の場合のみCABGを実施する群(血管造影FFR群)、または冠動脈造影で狭窄率が50%以上のすべての血管に対してCABGを実施する群(冠動脈造影群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者、フォローアップ担当医師およびアウトカム評価者は割り付けについて盲検化された。 主要アウトカムは、術後30日以内の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外の冠動脈再血行再建術および透析を必要とする新規腎不全の複合であった。重要な副次アウトカムは、1年時および3年時における全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外の冠動脈再血行再建術、不安定狭心症による入院または心不全による入院の複合であった。 主要アウトカムおよび重要な副次アウトカムの主要解析は、無作為化され手術を受け、かつ主要アウトカムのデータが入手可能な患者(修正ITT集団)を対象集団とした。なお、主要アウトカムのデータが欠測率2%以下の場合は完全症例解析、2%を超えた場合は多重代入法を用いて解析することが事前に計画された。主要複合アウトカムの発生は、FFR≦0.80のみCABG実施群で有意に低下 2019年8月4日~2024年8月13日に793例が登録され、396例が血管造影FFR群、397例が冠動脈造影群に無作為に割り付けられた。冠動脈造影群の1例は手術を拒否したため、修正ITT集団から除外された。年齢中央値は65歳(四分位範囲[IQR]:59~70)で、221例(28%)が女性、571例(72%)が男性であった。CABGは、血管造影FFR群で223例(56%)、冠動脈造影群で388例(98%)に施行された。 主要複合アウトカムのイベントは、血管造影FFR群で31例(7.8%)、冠動脈造影群で53例(13.4%)に発生した(絶対群間差:-5.6%ポイント[95%信頼区間[CI]:-9.9~-1.3]、リスク比:0.58[95%CI:0.38~0.89]、p=0.011)。30日全死因死亡は、血管造影FFR群で11例(2.8%)、冠動脈造影群で17例(4.3%)に認められた。 追跡期間中央値27ヵ月(血管造影FFR群28ヵ月[IQR:18~44]、冠動脈造影群27ヵ月[18~42])時点において、重要な副次アウトカムは血管造影FFR群で82例(20.7%)、冠動脈造影群で106例(26.8%)に発生した(ハザード比:0.74、95%CI:0.55~0.98、p=0.036)。

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冠動脈プラーク、女性は男性より少なくても高リスク

 女性は男性よりも動脈硬化の原因となるプラークの形成が少ない傾向にあるが、それは、必ずしも心臓の健康を守ることにつながるとは限らないようだ。冠動脈にプラークが認められる女性の割合は男性より少なく、量も少ない傾向があるにもかかわらず、心筋梗塞や胸痛による入院などの主要心血管イベント(MACE)のリスクは男性とほぼ同程度であることが明らかになった。米ハーバード大学医学大学院放射線医学分野のBorek Foldyna氏らによるこの研究の詳細は、「Circulation: Cardiovascular Imaging」に2月23日掲載された。 心疾患や動脈の詰まりは男性に多いというイメージがあるが、米国心臓協会(AHA)の統計によると、米国における心疾患による死亡の47%は女性が占めている。Foldyna氏は、「女性は冠動脈が男性より細いため、少量のプラークでもより大きな影響を受ける可能性がある」と述べている。 今回の研究では、臨床試験(Prospective Multicenter Imaging Study for Evaluation of Chest Pain;PROMISE)参加者4,267人(平均年齢60.4±8.2歳、女性2,199人)のデータを用いて、冠動脈プラークとMACEとの関連が検討された。これらの参加者は、米国とカナダの193の病院で胸痛の治療を受けており、冠動脈CT検査により総プラーク体積とプラーク負荷(血管体積に占めるプラークの割合)が測定されていた。MACEは、死亡、心筋梗塞、不安定狭心症による入院を対象とした。 解析の結果、冠動脈にプラークが認められた参加者の割合は、女性で55%、男性で75%であり、両群間に統計学的な有意差が認められた(P<0.001)。しかし、MACEの発生率は、女性で2.3%、男性で3.4%とほぼ同等であった。MACEリスク(ハザード比)が1.0を超える、つまりリスクが上昇に転じるプラーク負荷は女性で20%、男性で28%、ハザード比が1.5になるプラーク負荷はそれぞれ32%と42%であった。 これらの結果から研究グループは、「女性の心臓の健康を守るためには、性別に応じたガイドラインが必要になる可能性がある」と指摘している。また、Foldyna氏は、「プラーク量が中程度に増加しただけでも、女性では不釣り合いにリスクが高まる傾向があり、現在の標準的な高リスクの定義では、女性のリスクを過小評価している可能性がある」と述べている。 本研究には関与していないAHAのボランティア会長を務める、米カッツ女性健康研究所のStacey Rosen氏は、ニュースリリースの中で、「これらの知見は、心血管疾患が男女でいかに異なる形で影響を及ぼすかを認識することの重要性を改めて示すものだ」とコメントしている。 さらにRosen氏は、「女性と男性では、病気の現れ方に生物学的に根本的な違いがあるという認識がようやく広がりつつある。こうした違いは、リスク要因から症状、治療に対する反応に至るまで、あらゆる面に影響を及ぼす」と述べている。

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末梢動脈疾患(PAD)の症状改善にメトホルミンは無効(解説:小川大輔氏)

 末梢動脈疾患(Peripheral Artery Disease;PAD)は、動脈に脂肪やコレステロールが蓄積する動脈硬化によって、腹部大動脈から下肢の動脈が狭くなり血流が制限される疾患である。これにより、歩行時の足の痛み(間欠性跛行)などの症状が生じる。症状はゆっくりと現れることが多いが、急激に悪化する場合もある。主な原因は動脈壁への脂肪、コレステロールなどの蓄積、いわゆるアテローム性動脈硬化と考えられている。PADの患者は動脈硬化を原因とする狭心症や脳梗塞を合併することが多いため、下肢だけでなく全身の動脈硬化症の評価も必要となる。 PADの治療としては、禁煙、生活習慣病の管理、運動療法、薬物療法、血行再建術などがある。PADの最大の原因は喫煙であり、禁煙は必須の治療である。糖尿病、高血圧症、脂質異常症があればそれらの治療も行う。運動療法は血流改善や新しい血管(側副血行路)の発達を促すため、痛みが生じない範囲でのウォーキングなどの運動は有効である。血行再建術は、運動療法やシロスタゾールなどの薬物療法で症状の改善が見られない場合や重症の場合に検討される。カテーテル治療(血管内治療)やバイパス手術はPADの部位や患者の状態を考慮して実施される。 PADは歩行障害を引き起こす重篤な循環器疾患であり、効果的な治療法が限られている。そこで今回非糖尿病のPAD患者に対し、2型糖尿病の治療薬であるメトホルミンを6ヵ月間投与し、歩行能力に与える効果を検証したランダム化二重盲検試験が実施された1)。その結果、メトホルミンはPAD患者の歩行能力改善には効果がないと結論付けられた。 メトホルミンは主に肝臓での糖新生を抑制したり、筋肉や脂肪組織でのブドウ糖の取り込みを促進したりすることによって血糖値を下げる効果がある。その他、血管内皮細胞におけるAMP活性化プロテインキナーゼの活性化、酸化ストレスの抑制、内皮型一酸化窒素合成酵素の活性化などの作用も報告されている2)。メトホルミンのこれらの“pleiotropic effects”による血管内皮機能の改善により、PAD患者の血流改善や歩行時間延長を期待され、この試験が実施された。 メトホルミンがPAD患者の歩行能力改善に効果がなかった理由として、喫煙率が約30%と高かったことや、インスリン抵抗性の強くない症例が多かったこと、また観察期間が6ヵ月と短かったことなどが考えられる。その他の可能性として、著者らはPAD患者の骨格筋や血管内皮でAMP活性化プロテインキナーゼがすでに最大活性化されているため、メトホルミンの追加効果が得られなかった可能性を考察している。 いずれにしても今回の研究でPADの歩行障害に対するメトホルミンの効果はないことが示された。今後は異なる作用機序を持つ治療薬の開発や、PADの複雑な病態に対処する新たなアプローチの研究が求められる。またそれ以前に、完全禁煙や肥満の是正、厳格な血圧管理など、現状できることをまずはきちんと行うことが重要である。

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術後の状態管理(術後出血は大丈夫?)【医療訴訟の争点】第19回

症例PCI(経皮的冠動脈形成術)は虚血性心疾患に対する標準的治療として広く行われている一方、穿刺部合併症や後腹膜出血など、まれではあるが致命的となり得る合併症も知られている。本稿では、PCI後に循環動態の破綻を来し、最終的に死亡に至った症例について、出血性ショックの見落としが争われた東京地裁令和6年12月26日判決を紹介する。<登場人物>患者75歳・女性原告患者の夫および子2名(相続人)被告地方自治体(市立病院を開設)被告医師ら循環器内科医(PCI担当医)事案の概要は以下の通りである。平成30年10月24日胸部圧迫感を主訴として被告病院内科外来を受診。労作性狭心症が疑われ、循環器内科へ紹介。10月26日循環器内科の医師1が診察。11月6日冠動脈造影検査および左心室造影検査を実施。その結果、左前下行枝に99%の高度狭窄が認められ、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)によりアスピリンおよびプラスグレルの内服開始。薬物療法のみでは不十分と判断され、PCIが予定。11月13日12時19分本件PCIの開始13時19分本件PCIの終了11月14日5時15分死亡 【本件PCI施行中の経過】平成30年11月13日正午過ぎより、右大腿動脈アプローチによりPCIが開始された。穿刺が2~3回試みられた後、6Frのロングシースが挿入された。手技中、患者は急性冠閉塞を来し、意識レベル低下、血圧測定不能となるなど心原性ショックの状態に陥った。これに対し、被告医師らは酸素投与、輸液負荷、昇圧剤投与を行い、バルーン拡張により冠血流を再開させた。循環動態は一旦改善し、左前下行枝に薬剤溶出性ステントが留置された。最終造影では血流良好であり、穿刺部には止血デバイスが使用され、PCIは終了した。PCI施行中の詳細はこちら 12時19分本件PCIの開始12時25分医師2が本件患者の右鼠径部から右大腿動脈を2、3回穿刺したが血管内に挿入できなかったため、医師3に交代し、医師3が、本件患者の右大腿動脈内に太さ6Frのロングシースを挿入。ヘパリン5,000単位が投与。12時55分本件患者の意識レベルが低下し、声掛けや痛み刺激に反応がなく、血圧は測定不能、SpO2は90%、心拍数は68で、急性冠閉塞を発症し、心原性ショックとなる。12時56分酸素マスクによる4L/分の酸素投与および輸液全開投与を開始し、医師3は、本件患者の左前下行枝7番狭窄部位を2回バルーン拡張。12時59分5mL/時で昇圧剤(塩酸ドパミン注キット)の投与を開始。本件患者は、声掛けに対して反応して会話が成立し、全身に発汗が著明にみられる状態。13時頃心拍数112、血圧84/57mmHg、SpO2は100%。13時3分左前下行枝7番に薬剤溶出性ステントを挿入。13時9分冠動脈造影により左前下行枝7番の血流が良好であり、急性冠閉塞などの所見は認められないことを確認。13時12分大腿動脈穿刺部止血デバイスを挿入して穿刺部を止血。13時18分心拍数90、血圧141/63mmHg、SpO2は100%。13時19分本件PCIの終了【本件PCI後の経過】PCI終了後、患者はHCUへ移動したが、その後、再び頻脈と血圧低下を認めるようになった。心電図ではST低下や虚血性変化が出現し、被告医師らは、急性ステント血栓症やNo reflow(造影剤の流れが血液の代わりに冠動脈中を占拠することによって、実質的には血流がなくなる状態)など、再度の心原性イベントを疑った。この時点でのHb値は明らかな低下を示しておらず、穿刺部にも明らかな血腫や出血所見は確認されなかった。そこで、循環動態不安定の原因精査のため、再度冠動脈造影が行われたが、ステントは開存しており、急性冠閉塞は否定された。さらに、腹部大動脈から腸骨動脈、大腿動脈近位部にかけて血管造影が行われたものの、造影剤の血管外漏出など、明確な出血所見は認められなかった。また、心エコー検査では心嚢液貯留はなく、壁運動も保たれており、心タンポナーデは否定的と評価された。Hb値も午後4時49分時点で12.4g/dLと基準範囲内であった。これらの所見を踏まえ、被告医師らは、出血性ショックよりも、頻脈性不整脈を背景とした心原性ショックの可能性が高いと判断し、循環補助を目的としてIABPを導入した。しかし、IABP導入後も循環動態は安定せず、昇圧剤投与が継続された。夜間以降も頻脈と低血圧は遷延し、翌未明には意識障害が進行、心停止に至った。蘇生処置が行われたものの、平成30年11月14日午前5時15分、死亡が確認された。PCI後の詳細な経過はこちら 11月13日13時19分本件PCIの終了13時29分HCU(高度治療室)に移動し、昇圧剤(塩酸ドパミン注キット)は5mL/時で継続13時42分血圧98/56mmHgであり、13時43分の12誘導心電図検査(ECG)の結果、STの低下14時39分12誘導ECGの結果、心拍数125で洞性頻脈、ST変化、急性心筋梗塞波形および外側心筋障害。医師1は、医師2らと本件患者の血圧低下の原因について検討し、本件施術中に冠動脈に血流低下が生じたことおよびHCU入室後の12誘導ECGの結果ST低下が出現したことから、急性ステント血栓症の可能性があると判断し、同日中に再度、冠動脈造影検査(CAG)を実施し、血圧を調整するために大動脈内バルーンパンピング(IABP)を留置する方針とした。14時56分血圧55/40mmHgであったため、医師1は、昇圧剤を6mL/時に増量し、15時頃には7mL/時に、15時15分頃には8mL/時に増量するとともに、15時10分頃にヘパリンの投与を開始。15時29分12誘導ECGの結果、心拍数156で洞性頻脈、下壁心内膜障害疑い。医師1は、本件患者の心筋虚血が進行している可能性があると判断16時6分心拍数148、血圧69/48mmHg、呼吸数24であり、16時30分頃に3mL/時で昇圧剤(ノルアドレナリン)の投与が開始されたが、16時31分頃には、心拍数155、血圧65/36mmHg、呼吸数20、16時44分頃には、心拍数154、血圧70/49mmHg。16時45分簡易心エコー検査を実施。可視範囲内では心臓壁運動は良好であり、心嚢液の貯留はみられなかった。16時49分Hb値は12.4g/dL。17時30分血圧71/49mmHg、呼吸数24であり、12誘導ECGの結果、心拍数153で洞性頻脈、ST異常、下壁心内膜障害疑い、心筋虚血疑い。医師1は、心タンポナーデや後腹膜出血によるショックの可能性は低く、心エコー検査の結果からすると、ポンプ失調の可能性も低いところ、単に洞性頻脈に伴う血圧低下の可能性もあるが、本件施術後のno flowなどの可能性もあり再検すべきであると考えた。18時12分左冠動脈造影を実施したが、急性冠閉塞の所見は認めず。医師1らは、「本件患者がステント血栓症による心原性ショックを発症したものではない」と判断した。18時15分頃までに右冠動脈、腹部大動脈、腸骨動脈および大腿動脈近位部の造影を行ったところ、活動性のある出血や出血点は確認されなかった。医師1らは、後腹膜出血による出血性ショックを生じているのではなく、頻脈性不整脈による心原性ショックを生じているものと考えた。18時26分IABPを挿入し、駆動を開始。18時40分脈拍152、血圧62/38mmHg、午後6時45分頃には、脈拍155、血圧68/24mmHg、午後6時50分頃には、脈拍153、血圧90/29mmHg。医師1は、頻拍の原因として心房粗動が疑われることから、夜間はrate controlで経過観察とし、頻拍が持続すれば除細動も考慮することとした。19時シース固定部位に少量の出血が認められたが、シース固定部および穿刺部に出血などの異常はみられなかった。19時49分12誘導ECGの結果、心拍数154、洞性頻脈であり、ST異常がみられた。20時Hb値10.921時57分腸骨大腿動脈造影を施行。その結果、造影剤の血管外漏出像は認めず、医師1は、有意なHb値の低下もないため、出血性ショックも否定的であることから、遷延するショックの原因は頻脈以外に挙げることはできないと考えた。22時30分オーグメンテーション圧(IABPバルーン拡張期圧)低下のアラームが鳴り、本件患者は胸部症状がみられ、嘔吐。22時40分心拍数126、血圧72/43mmHg(観血)11月14日3時07分オーグメンテーション圧低下アラームが鳴り、呼吸下顎様となり、意識レベルはJCS 2に低下、心拍数100台、血圧50/29mmHg(観血)へと低下3時16分意識レベルJCS 3(-300:痛み刺激に反応しない状態)3時31分心静止状態となったため心臓マッサージが開始5時15分死亡【病理解剖および医療事故調査・支援センターの評価】本件患者の死後実施された病理解剖では、両側大腿動脈周囲から後腹膜に連続する広範な出血が認められ、明確な血管損傷部位は特定できなかった。医療事故調査・支援センターは、病理検査の結果を踏まえ、微小血管からの持続的出血が抗血栓療法の影響で止血されず、出血性ショックに至ったと評価した。実際の裁判結果本件では、原告らは、本件患者が、本件施術中から穿刺部を中心とした微小出血が持続したことにより平成30年11月13日14時40分頃に出血性ショックを生じ、それ以降死亡に至るまで出血性ショックの状態が遷延していたことを前提とし、被告病院の医師らについて、〔1〕14時40分の時点、〔2〕16時49分の時点、〔3〕18時12分の時点、および〔4〕20時の時点において、本件患者の心原性ショックのみならず、出血性ショックを疑い、CT検査または腹部エコーによる検査で出血の有無を確認し、出血性ショックを診断の上、ヘパリンを中止し、輸液・輸血や出血点の治療を行う義務があったにもかかわらず、これを怠った旨を主張した。裁判所は、以下の点を指摘し、「本件患者が、午後2時40分頃に出血性ショックを生じ、以後、出血性ショックの状態が続いていたと認めることはできない」として原告らの主張はその前提を欠くと判断した。出血性ショックにおいて血圧低下が生じるのは、重度の循環血液量減少(血液量の40%超え)が起きている場合であるから、仮に、14時40分以降の低血圧が、14時40分頃に生じた出血性ショックによるものであるとすれば、本件施術の実施(大腿動脈穿刺を開始した12時25分頃)から14時40分頃までの約2時間前後の間に血液量の40%を超える出血があったことになる。しかし、18時15分頃に行われた腹部大動脈、腸骨動脈および大腿動脈近位部の造影検査の結果、活動性のある出血や出血点は確認されておらず、病理解剖の結果からも、出血部位は同定できず、本件施術による穿刺部や周囲小血管からの微小出血が、施術に伴う抗血栓療法の影響で凝固せずに長時間持続したため、大量出血に至ったと考えられるとされていること本件患者のHb値は、16時49分頃には12.4g/dLとまだ基準値内にとどまっており、20時に至っても10.9と被告病院において設定されている下限値(11.6)をわずかに下回る程度で、急性出血に対する外科的適応として輸血を必要とする値にも達していなかったこと本件患者に約2時間前後の間に重度の循環血液量減少が生じるほどの急激かつ大量の出血が生じたのであれば、出血からHb値の低下までに時間差があるとしてもHb値は急激に低下するはずであるが、本件PCI以降、16時49分頃に12.4g/dL、20時頃に10.9と緩やかに低下しており、14時40分までに出血性ショックを惹起させる大量の出血があったことと整合しないことまた、裁判所は、原告らの主張する各時点における検査義務について、それぞれ以下の点を指摘し、いずれも「CT検査または腹部エコー検査を行うべき義務を負っていたとは認められない」と判断した。1)14時40分の時点について14時40分頃、ショック症状と矛盾しない低血圧および頻脈が出現していたものの、ほかに出血性ショックや後腹膜出血を疑わせる症状はみられていないこと本件PCI中の12時55分頃に急性冠閉塞を発症し、心原性ショックをきたしたことやHCU入室後の12誘導ECGの結果からすると、14時40分頃に生じたショック症状も心原性ショックである可能性は十分にあり得たこと上記のことから、被告医師らが、急性ステント血栓症の可能性があると考えたことが不合理とはいえないこと2)16時49分の時点について16時49分の時点においてもHb値は12.4g/dLと基準値の範囲内であったこと14時40分頃と同様に、低血圧と頻脈以外に出血性ショックや後腹膜出血を疑わせる症状はみられていないこと16時45分頃に簡易心臓エコー検査を行った結果、心タンポナーデの可能性は低いと判断しているものの、未だ急性ステント血栓症の可能性は否定されていないこと3)18時12分の時点について被告医師らは、18時12分の左冠動脈造影検査に引き続いて、18時15分頃までに右冠動脈、腹部大動脈、腸骨動脈および大腿動脈近位部の造影を行っており、同検査で活動性のある出血や出血点は確認されていないこと本件PCIから14時40分頃までの約2時間前後で後腹膜出血により低血圧に陥るほどの重度の出血性ショックに陥ったのであれば、活動性のある出血や出血点が造影検査で確認できないほど微小であるとは考え難いことからすると、医師らが、この造影検査の結果を踏まえて、本件患者が後腹膜出血による出血性ショックを生じているのではないと判断したことは不合理とは言い難いこと4)20時の時点について本件患者のHb値は、20時頃には、基準値をやや下回る10.9となっているが、これ自体は輸血を要するような値ではないこと本件PCI以降、Hb値は16時49分頃に12.4g/dL、20時頃に10.9と緩やかに低下しているものの、低血圧が生じるとされる重度の循環血液量減少が生じていると疑わせるような著しい低下はみられていないこと。むしろ、この時点では、3回の観血的処置による出血や輸液の投与により血液が希釈されたことにより生じたHb値の低下である可能性も否定できないこと18時15分頃の右冠動脈、腹部大動脈、腸骨動脈および大腿動脈近位部の造影検査において、後腹膜出血が生じていることを示す活動性のある出血や出血点は確認されなかったこと同時点までに穿刺部やその周辺に血腫を疑わせる腫脹等の異常がみられず、本件患者が後腹膜出血の症状である頑固な背部痛および腰部痛を訴えていなかったこと上記からすると、医師らが、Hb値の低下が出血性ショックによるものであると判断しなかったことが不合理であるとまでは言い難いこと注意ポイント解説本稿も、第17回と同様にショックが問題となったケースであるが、本判決の特徴は、結果として死因が出血性ショックであったにもかかわらず、診療過程での判断が過失とはされなかった点にある。本件で裁判所が過失と判断しなかったのは、以下の点による。診療当時のHb値が出血性ショックを惹起させる大量出血と整合しない推移であったことPCI後(PCI中の急性冠閉塞を含む)であったこと診療経過に鑑みて心原性のショックであることが十分に疑われる状況であったこと後腹膜出血を疑わせる所見がなかったことこのため、Hb値が出血性ショックを惹起させる大量出血と整合するものであったり、後腹膜出血を疑わせる所見があったりする場合には、異なる結論となり得たことに留意する必要がある。同様に、そもそも診療中に原因を探る検査がほとんど行われていない場合、原因探求のための検査を怠り漫然と対応したとして過失(注意義務違反)が認められる可能性があることにも留意する必要がある。なお、本件では、被告病院の院内調査委員会が詳細な検討を経て作成した報告書において、医師の過失を認める記述がなされており、原告らは、この報告書に基づく被告医師らの過失を主張していた。これについて裁判所は、以下のとおり判示し、この報告書に基づいて過失を認めることはできないとした。「本件報告書は、調査の目的が“医療安全の確保であり、個々の責任を追及するためのものではない”とされているとおり、患者の死亡の原因究明や将来における安全性の高い医療の提供確保の観点から作成されたものであって、被告病院の医師に法的に過失があるか否かという観点から作成されたものではない。本件報告書の内容からしても、後方視的にみて、本件患者の後腹膜出血を疑うべき積極的所見がなくても、Hb値が低下しているのであるからCT検査を行う必要があったとするにとどまるものであり、被告病院の医師らによる診療行為について、その当時の具体的な状況および医療水準に照らし、前方視的にみて注意義務違反があったと評価するものではない。そうである以上、本件報告書の記載をもって被告病院の医師に過失があると認めることはできないことは明らかである」過失については、後方視的に評価するものではなく、診療時点に認識できた事実に基づいて前方視的に評価すべきであるという原則を確認するものであるが、この点が確認されたことは、然るべき事故原因の調査報告がなされ安全性の高い医療提供に寄与する(責任逃れのための調査報告書が作成されることを回避できる)ものであり、意義がある。医療者の視点PCI後の循環動態不安定において、「心原性ショック」と「出血性ショック」の鑑別は実臨床でも常に悩ましい問題です。本件のように術中に急性冠閉塞の既往がある場合、術者はまずステント血栓症などの心原性要因を除外することに全力を注ぎます。抗血栓療法を中断すれば致死的な転帰に直結するため、出血源が特定できない段階での判断は極めて困難です。今回の判決で注目すべきは、裁判所が「急性出血におけるHb値低下のタイムラグ」という生理学的現象を正しく認定した点です。実臨床において、急激な出血であっても直後の採血データには反映されないことは常識ですが、これが司法の場でも認められた意義は大きいです。また、IABP駆動中の不安定な患者をCT室へ搬送するリスクとベネフィットの天秤についても、現場の判断が尊重されました。さらに、院内事故調査委員会が再発防止の観点から「過失」を認める記載をしていても、裁判所はこれを後方視的な評価として法的責任とは切り離しました。これは、医療安全文化の醸成と法的紛争を混同すべきではないという重要なメッセージであり、われわれが萎縮せずに検証を行うための支えとなる判断です。本判決は、結果のみにとらわれず、その時々の臨床判断のプロセスが正当に評価されることを示しており、日々の診療において、なぜその判断に至ったか、という思考過程を記録に残すことの重要性を再認識させてくれます。Take home messagePCI後の循環不全では、心原性ショックと出血性ショックの鑑別が常に問題となる急性出血ではHb低下が遅れることがあるが、その時点の数値と所見に基づく判断の合理性が評価される結果的に重篤な合併症が判明しても、当時の臨床判断が医学的に説明可能であれば、注意義務違反とはされない場合があるキーワードPCI、後腹膜出血、出血性ショック、心原性ショック、Hb値、IABP

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タンジール病〔Tangier disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義タンジール病は、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール(HDL-C)、アポリポ蛋白(アポ)A-I濃度が著しく低下し、オレンジ色の咽頭扁桃腫大、肝脾腫、角膜混濁、末梢神経障害などの種々の臓器にコレステロールエステルが蓄積することに伴う臨床症状を特徴とする常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。なお、血清脂質値は常染色体共優性遺伝。1961年に米国バージニア州タンジール島の5歳の少年から摘出されたオレンジ色の異常扁桃の病理所見で、多数の泡沫細胞が存在し、この少年と姉の血清HDL-Cが極端な低値を示すことが、Fredricksonらによって報告され「タンジール病」と命名された1)。アポA-Iによる細胞からのコレステロール引き抜きに関与するATP-binding cassette transporter A1(ABCA1)の遺伝子異常に起因する極めてまれな疾患で、早発性冠動脈疾患を来すため早期診断が重要である。■ 疫学極めてまれな難病で、世界全体でこれまで約130例程度しか報告がなく2)、有病率はおよそ100万分の1と推定されている。わが国でも報告例は十数家系程度であるが、未診断例も存在する可能性がある。HDL-C値の下位1%未満の集団の10%にABCA1変異が同定されている。■ 病因ABCA1遺伝子は染色体9q31に位置し、その機能喪失型変異によりタンジール病が生じる3)。ABCA1は細胞膜上のコレステロール輸送体で、血中の遊離アポA-IがABCA1に結合し、ABCA1は細胞内から余剰のコレステロールとリン脂質を細胞外へ排出し、アポA-Iに受け渡し、原始HDLである円盤状のpreβ-HDL粒子を形成する役割を担う。本症では、ABCA1の機能喪失によりpreβ-HDL粒子が形成されず、HDL産生が著しく低下する。また、細胞内からのコレステロール搬出が障害された結果、コレステロールエステルが網内系、皮膚、粘膜、末梢神経のシュワン細胞などの細胞内に異常蓄積し、多臓器で泡沫細胞が出現して機能障害や細胞死を引き起こす。骨髄、肝、脾、リンパ節、皮膚、大腸粘膜、平滑筋などに泡沫細胞が認められ、その結果種々の症状を来す。■ 症状1)臓器腫大と機能障害コレステロールエステルの異常沈着は全身の網内系臓器や粘膜に及ぶため、多彩な臓器腫大・障害が生じる。主な所見は以下のとおりである。(1)オレンジ色扁桃腫大:扁桃は分葉・腫大し、明らかなオレンジ色または黄~灰色の表面を持つ。再発性扁桃炎や扁桃摘出の病歴がしばしば認められる(図1)。(2)肝脾腫:肝腫大は約3分の1に認めるが、肝機能障害は通常軽微である。脾腫は約半数で認められ、軽度の血小板低下症と網状赤血球増加を伴う。脾臓・肝臓への脂質沈着により腹部膨満や肝脾腫が身体診察で認められる。(3)その他臓器へのコレステロールエステル蓄積:リンパ節、胸腺、腸管粘膜、皮膚などで、組織学的には泡沫細胞浸潤として確認される。大腸粘膜沈着に起因する難治性の慢性下痢を呈したまれな症例もある。(4)眼病変:角膜へのコレステロール沈着により角膜混濁(角膜の乳白色の濁り)を来す。多くは軽度で視力障害は生じないが、進行すると視力低下を来す可能性がある。網膜にも色素変性様所見(斑点状の色素沈着)が報告されている。(5)血液・骨髄:血中HDL欠損に伴い赤血球形態異常(棘状赤血球や口裂赤血球など)が報告されており、軽度の溶血性貧血を伴う例もある。骨髄生検では泡沫化マクロファージの貯留像を認める。図1 タンジール病患者のオレンジ色扁桃A:舌扁桃 B:咽頭扁桃(文献2より引用)画像を拡大する2)末梢神経障害軽度から重症までさまざまな末梢神経障害が報告されている。知覚障害、運動障害または混合障害が、一過性または持続性に出現する。小児~若年期から発症し、シュワン細胞内へのコレステロール沈着により髄鞘脱落を起こし、多彩な神経症候を呈する。深部知覚や腱反射の低下はまれで、脳神経を含む末梢神経の再発性非対称性障害や下肢に強い対称性の末梢神経障害や脊髄空洞症様の末梢神経障害として出現する。3)早発性の動脈硬化性疾患タンジール病(ABCA1遺伝子変異ホモ接合体)中の20%で狭心症・心筋梗塞などの動脈硬化性心血管病変の症状が認められる。さらに35~65歳の本症患者では約44%と対照群(男性6.5%、女性3.2%)と比較すると著しく高頻度である。ただ、ABCA1のミスセンス変異の機能障害の違いにより、動脈硬化の程度は個々の症例により異なる。したがって、各患者での動脈硬化のリスク評価と画像診断が必要である。血管内超音波法(IVUS:intravascular ultrasound)による冠動脈の観察で、強度のびまん性の石灰化病変を認めた報告4)や、全身性の重症の動脈硬化病変を合併した症例の報告2)がある。4)耐糖能異常・2型糖尿病膵β細胞におけるABCA1欠損はインスリン分泌障害を引き起こすことが示されており、本症の患者で耐糖能異常や2型糖尿病を合併しやすい一因と考えられる。ABCA1欠損により、膵島(とくにβ細胞)へのコレステロール蓄積によるインスリン初期分泌能低下が機序と考えられる5)。耐糖能異常や2型糖尿病の管理は心血管リスク低減のためにも重要である。■ 予後タンジール病そのものは先天的代謝異常であり、生涯にわたりHDL欠損状態が続くため、長期療養と経過観察が必要である。適切な管理により小児~成人期まで比較的良好に経過する症例もあるが、若年~中年期での冠動脈疾患発症や脳卒中により生命予後が短縮するケースもある。予後改善には動脈硬化性合併症の予防と早期介入が最も重要であり、患者のQOL維持のためには症状コントロールと包括的なリスク管理を続ける必要がある。とくに、狭心症、心筋梗塞などの早発性冠動脈疾患の発症に留意し、定期的な動脈硬化性疾患のチェックが重要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 一般検査血液検査で脾機能亢進による血小板減少症(巨大血小板性血小板低下症)や溶血性貧血(間接ビリルビンや網状赤血球増加)が見られることがある。空腹時血糖上昇、経口糖負荷試験(OGTT)で耐糖能異常やインスリン初期分泌能の指標であるinsulinogenic index を評価し、インスリン初期分泌低下が認められることがある。■ 特殊検査1)脂質検査タンジール病(変異ABCA1遺伝子ホモ接合体または複合ヘテロ接合体)患者では、血中HDL-Cは通常5mg/dL以下(同定された症例の平均3±3mg/dL)と正常の約6%に低下しており、アポA-I値も10mg/dL以下に低下する。LDLコレステロール(LDL-C)も平均正常値の約37%に低下している。これはABCA1欠損により末梢から肝へのコレステロール逆転送が低下し、肝細胞のコレステロール不足からLDL受容体発現が亢進してLDL-Cが低下するためと考えられる。軽度の高TG血症を認めることが多く、TGに富むレムナントリポ蛋白の増加を認める。近年の研究で、ABCA1欠損が肝臓由来のangiopoietin-like protein 3(ANGPTL3)の分泌増加を招き、これが本症患者でみられる高TG血症に関与する可能性が報告されている。一方、変異ABCA1遺伝子ヘテロ接合体(キャリア)では血中HDL-CおよびアポA-I値は正常者の約50%程度に低下する。2)眼科検査コレステロール蓄積による角膜混濁を認めることがあり、眼科で角膜検査が必須である。3)耳鼻科検査本症に特徴的なオレンジ色の扁桃腫大を認めることがあり、耳鼻科での目視検査が必要となる。幼少~青年期に扁桃の著明な腫大と黄色~橙色調への変色がしばしば最初の兆候として現れる。扁桃は分葉状に肥大し、独特のオレンジ~黄灰色を呈するため「オレンジ色扁桃」と呼ばれる。小児期に反復する扁桃炎や扁桃摘出術の既往を有する患者も少なくない。4)画像・生検所見腹部超音波検査で肝脾腫を検査する。オレンジ色扁桃や肝脾腫、角膜混濁などの身体所見から本症を疑った場合、組織生検で泡沫細胞沈着を確認する。とくに直腸粘膜生検は侵襲が比較的低く有用とされ、粘膜固有層にコレステロールエステルを蓄積して泡沫化したマクロファージの集積像が認められれば支持所見となる。同様の所見は骨髄、生検可能な皮膚、肝・脾、生検可能なリンパ節などでも検出される。5)神経内科的検査末梢神経障害精査のため神経伝導速度や筋電図検査で神経障害の分布・程度を評価する。6)早発性動脈硬化性疾患の有無の評価早発性動脈硬化性疾患の有無の精査のため、運動負荷心電図、経胸壁心臓超音波検査、頸動脈エコーや冠動脈CTスキャン検査などで、動脈硬化病変のスクリーニングを行う。無症状でも思春期以降は定期的に心血管評価を実施し、動脈硬化性疾患の発症防止と早期発見に努める。家族内発症が疑われる場合は保因者(ヘテロ接合体)に対する脂質検査によるスクリーニングも重要である。■ 確定診断遺伝子診断でABCA1(ATP-binding cassette transporter A1)遺伝子変異(ホモ接合または複合ヘテロ接合体)を認める。常染色体優性遺伝でHDL-Cが著減するfamilial HDL deficiency(ABCA1遺伝子変異のヘテロ接合体やアポA-I遺伝子変異で起こり、早発冠動脈疾患を合併し、タンジール病のような全身性のコレステロール沈着[オレンジ扁桃・肝脾腫・神経障害]は伴わない)との鑑別が必要である。以下に、厚生労働省難治性疾患政策研究事業「原発性脂質異常症に関する調査研究班」による本症の診断基準を示す。難病情報センターのホームページ「タンジール病」より引用した(2026年1月20日)。最新の情報については、当該ホームページまたは厚生労働省「原発性脂質異常症に関する調査研究班」のホームページで確認いただきたい。【タンジール病の診断基準】Definite、Probableを対象とする。A.必須項目1)血清HDLコレステロールが25mg/dL未満2)血中アポA-I濃度20mg/dL未満B.症状1.オレンジ色の特徴的な扁桃腫大2.肝腫大または脾腫3.角膜混濁4.末梢神経障害5.動脈硬化性心血管病変C.鑑別診断以下の疾患を鑑別する。レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症、アポリポタンパクA-I欠損症、二次性低HDLコレステロール血症*1*1:外科手術後、肝障害(とくに肝硬変や重症肝炎、回復期を含む)、全身性炎症疾患の急性期、がんなどの消耗性疾患など、過去6ヵ月のプロブコールの内服歴、プロブコールとフィブラートの併用(プロブコール服用中止後の処方も含む)HDL-C<25mg/dLの場合、低HDL-C血症の診断フローチャート(図2)6)に従って、二次性低HDL血症を除外し、他の原発性低HDL血症である、古典的LCAT欠損症、魚眼病、アポA-I欠損症を鑑別して診断する(表)6)。遊離コレステロールは増加しておらず、アポA-Iが20mg/dL未満であるが検出限界以下ではない場合、タンジール病が強く疑われる。D.遺伝子検査ABCA1遺伝子変異の同定。ABCA1遺伝子解析が2021年4月に保険収載されている。<診断のカテゴリー>Definite必須項目の2項目をすべて満たす例のうち、Bの1項目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外し、Dを満たすもの。Probable必須項目の2項目をすべて満たす例のうち、Bの2項目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの。図2 遺伝性HDL欠損症の診断フローチャート(文献6より引用)表 遺伝性HDL欠損症の臨床所見の比較(文献6より引用)画像を拡大する3 治療HDL-C低値そのものを直接是正する薬剤は存在しない。また、現在のところ、遺伝子治療によるABCA1の補充などの根本的な治療はなく、臨床で利用可能な特異的治療薬は存在しない。過去にナイアシン(ニコチン酸)薬やフィブラート系薬がHDL-C上昇の目的で試みられたが、タンジール病ではABCA1欠損が根本原因のため薬物でのHDL-C正常化は困難であり、有効性を支持する明確なエビデンスはない。粥状動脈硬化性疾患の著しい増加が問題となるので、心血管リスクを下げる目的でHDL-Cを可能な範囲で増加させるための生活習慣の改善が推奨される。具体的には、有酸素運動、適正体重の維持、禁煙に加え、食事では飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換える(地中海食的なアプローチ)ことなどが推奨される。これらによりHDL-Cが僅かに上昇し得るほか、末梢神経症状の改善が報告されている。高TG血症を伴う場合にはフィブラート系薬、選択的PPARαモジュレーターのペマフィブラート(商品名:パルモディア)や魚油製剤の使用を検討する。本症の血清LDL-C値は一般に低いが、もしそうでない場合はスタチンあるいはそのほかの薬でLDL-C値を低下させる。治療目標は症状軽減と動脈硬化危険因子の管理に置かれ、高血圧があれば厳格な降圧、喫煙者には禁煙指導を行い、すべての心血管リスク因子を包括的に管理する。血糖コントロールのための食事・運動療法(必要に応じ経口血糖降下薬やインスリンなど)も糖尿病合併例では重要となる。さらに、合併する早発性動脈硬化性疾患の早期発見と治療も行う。一方、タンジール病に伴う各臓器・組織の症状には、必要に応じて対症的・外科的介入を行う場合がある。扁桃肥大による呼吸・嚥下障害や反復炎症がある場合、扁桃摘出術を検討する。オレンジ色扁桃そのものは病的ではないが、大きさにより気道狭窄や感染温床となる場合がある。角膜混濁が進行し、視力障害を来した場合には角膜移植が考慮されるが、タンジール病の角膜混濁は軽度で視機能に問題はない例が多く、定期フォローに留めることもある。末梢神経障害に対してはリハビリテーションと支持療法を行う。筋力低下や足下垂に対しては装具装着(足関節装具など)や理学療法による歩行補助を行う。痛みやしびれが強い場合は、プレガバリンやデュロキセチンといった神経障害性疼痛の薬物療法を用いることもあるが、エビデンスは症例報告レベルである。なお、本症は2015年から「指定難病 261」として、医療費給付の対象となっている。4 今後の展望(治験中・研究中の診断法や治療薬剤など)将来的な治療法として遺伝子治療が期待されている。たとえば、肝臓におけるABCA1発現をウイルスベクターなどで補充し、HDL産生を回復させる試みが提案されている。ただし、HDL代謝は全身の細胞で営まれるため、肝細胞への遺伝子導入だけでどこまで臨床効果が得られるかは不明である。また、アポA-Iや合成HDLの補充療法、肝X受容体(LXR)作動薬による残存ABCA1の発現誘導なども理論上考えられるが、いずれも現時点では成功していない。総じて現時点では対症療法と合併症予防が中心であり、新規治療法の実現には今後の研究の進歩が必要である。5 主たる診療科(紹介すべき診療科) 患者の予後は主に動脈硬化性疾患の発症に左右されるため、長期的には主に循環器内科で心血管イベント予防に重点を置きつつ、管理を行う。神経障害やその他臓器合併症への対策を継続するために多職種チーム医療が重要であり、循環器内科医、脳神経内科医、眼科医、消化器科医、遺伝カウンセラーなどが連携して患者を包括的にケアする。また、定期フォローアップでは以下の点に留意する。1)早発性動脈硬化性疾患のモニタリング若年期より定期的な循環器内科的評価を行う。具体的には詳細な問診・診察に加え、必要に応じて心電図や心エコー、運動負荷試験、頸動脈エコー、冠動脈CTなどで無症候性の動脈硬化病変のスクリーニングを行う。血清脂質、血糖、血圧、喫煙の有無のチェックも継続し、LDL-C、TGや血圧が管理目標を逸脱していれば治療を行う。2)末梢神経障害の管理神経症状は進行したり寛解したりするため、脳神経内科医による神経学的評価を定期的に行い、筋力低下や感覚障害の変化をモニタリングする。必要に応じてリハビリ計画を見直し、装具の調整や痛みのコントロールを図る。重度の神経障害に対しては日常生活動作のサポート(理学療法士・作業療法士の介入、補助具導入など)も検討する。3)眼合併症の管理眼科検査を定期施行し、角膜混濁の進展や視力変化を評価する。角膜混濁による視力障害が生じれば眼科的介入のタイミングを検討する。4)脾腫・感染症対策脾摘を施行した場合は感染症予防を徹底する。脾腫を温存している場合も、脾臓破裂を防ぐため、激しいスポーツ時のプロテクター装着や事故防止策について指導する。5)家族検査とカウンセリング患者の血縁者に対しては遺伝カウンセリングを提供し、希望があれば保因者検査(ABCA1遺伝子検査や脂質検査)を実施する。ヘテロ接合体では動脈硬化リスクがやや高い可能性もあるため、生活習慣指導を行う。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報、主要な研究グループ、その他参考となるサイト)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性疾患政策研究事業「原発性脂質異常症に関する調査研究」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター タンジール病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版 「低脂血症の診断と治療」 日本動脈硬化学会(2023年6月30日発行)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)大阪大学医学部附属病院循環器内科(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)りんくう総合医療センター循環器内科  (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報) 1) Fredrickson DS, et al. Ann Intern Med. 1961;55:1016-1031. 2) Muratsu J, et al. J Atheroscler Thromb. 2018;25:1076-1085. 3) Brooks-Wilson A, et al. Nat Genet. 1999;22:336-345. 4) Komuro R, et al. Circulation. 2000;101:2446-2448. 5) Koseki M, et al. J Atheroscler Thromb. 2009;16:292-296. 6) 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版. 低脂血症の診断と治療. 日本動脈硬化学会. 2023. 公開履歴初回2026年2月16日

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