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倫敦通信(第2回)~医療と護身術

星槎大学客員研究員インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院客員研究員越智 小枝(おち さえ)2012年11月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。先日一時帰国した際、薩摩の野太刀自顕流の伝承者である島津義秀さんとお話しさせていただく機会がありました。攻撃してくる相手を倒すための実践的なお話を色々聞けたので、「看護学部でも是非教えてあげたいですね」と言ったところ、「そんなに必要ですか?」とすこし驚かれたご様子でした。病院で起こる暴力行為は世間ではまだあまり認識されていないのかな、という印象を受けました。女性のスタッフが増えた昨今、夜間休日の病院で暴力行為に対応する管理職も男性とは限りません。私自身、当直中に病棟からこんな電話を受けたことがあります。「先生、○号室の意識障害の患者さんがボールペンを持って暴れていて…でも担当の先生が帰ってしまって…」確かに問題ですが、女医の私にどうしろと、という状況です。半ばやけくそで「つまり私にとり押さえてほしいってこと?」と聞くと、「はい。」とのお返事。さすがに苦笑しながら病棟まで行き、患者さんからボールペンを取り上げて転落防止を確認した上でご家族へ連絡しました。その後の署名などは全てフェルトペンを使いました。意識障害で病室から走り出してきた患者さんを「膝カックン」で転ばせ、看護師さんが噛みつかれている間にとり押さえたこともありますし、裸で暴れる若い男性を女性看護師と4人がかりでベッドに押し倒した(!)こともあります。この時は妊娠中の看護師さんが危うくお腹を蹴られるところでした。やり返すことは言語道断ですが、力の差がある上に防戦一方、という状況には辛いものがあります。ここで大事なことは、これらはいずれも一般病棟で起こったということ、患者さんは心神喪失状態であり、こちらの態度などで避けられる事件ではなかったということです。救急外来になると喧嘩の負傷者や酔っぱらい患者も多いため、状況はさらに悪化します。私の同僚だけでも救急外来で患者さんに殴られた女医さんが何人かいます。日本看護協会の調査では、身体的暴力・言葉の暴力を合わせると4人に1人の看護師が「暴力を受けたことがある」と回答しており、身体的暴力の96%は患者さんからの暴力だったとのことです(参照1)。英国でも状況は同様です。2000年に英国で行われた職種別の犯罪調査(British Crime Survey)によると、看護師が暴力行為を受ける確率は5.0%で、警備職(11.4%)の約半分のリスク。介護士は2.6%でこれも全職業の平均値の2倍以上となっており、医療関係者のリスクの高さがわかります(参照2)。言葉の暴力にいたると50%の病院職員が経験しており、暴力行為による医療費の喪失は年間6900万ポンドになるそうです(参照3)。英国NHS(参照4)では2001年からNHS Protectというプロジェクトを立ち上げてこれに当たっていますが(参照5)、驚くことに、その英国においても医療機関での迷惑行為が犯罪として認定されたのはつい最近の2009年であり、医療従事者が患者の暴力から保護されていない実情がうかがわれます。ではなぜ医療機関では暴力行為が多いのでしょうか?1つには、患者・医療者両方の精神的ストレスが挙げられます。入院生活や外来での待ち時間は、体調が悪い患者さんにとっては大変な精神的苦痛です。また、医療行為への恐怖が高まった結果、逆に医療に対する過剰な期待が裏切られた結果、暴力行為に至ってしまうこともあるそうです。それに対して医療関係者側でも、長時間勤務の過労状態の時に不適切な発言が増えるため、特に体力のないスタッフが衝突してしまう例が多い、と感じます。もう1つの原因は患者さんの意識状態の変容です。例えば急性アルコール中毒や急性薬物中毒による酩酊状態がこれにあたります。しかしこの「酩酊状態」はなにも中毒でなくとも起こり得ます。例えば痴呆、重症の肝臓疾患や甲状腺機能異常などの患者さんの意識障害は時折みられるケースです。また、24時間外に対して開けている病院という施設では、患者さん以外の方が乱入して暴力をふるう、という事件も起こり得ます。以前の勤務先では患者さんの家族が刃物を持って暴れている所を医師が確保した、などという話も聞きました。ではこのような行為に対して、どのような対策が取られているのでしょうか。多くのガイドラインで提示されているのは・相談窓口、報告システムの設置・警備員による巡回・診察室や待合室の間取りや物の配置・暴力行為を起こさないような環境作りといったものです。しかし、暴力行為の現場でスタッフ自身が身を守る方法については、あまり詳しく述べられていません。護身術の教育が病院単位でなされているところもありますが、学校教育としては導入されていないのが現状です。これについてNHSは「トレーニングと教育は重要だが、どのようなトレーニングが有効かというエビデンスは確立されていない」という大変英国らしいコメントを添えています。要するに費用対効果がよいかどうか分からない、ということでしょう。エビデンスを待つまでもなく、実際の現場では、一人ひとりが身を守る知識を持つことは最低限の職業訓練だと思います。腕や肩をつかまれた時に振り払う方法、暴れている患者さんから危険物(点滴台、置時計、ペンなど)を遠ざけること、横になっている人は額を押さえると暴れにくいこと、など。実践しないまでも、これらを知っているだけでもスタッフ自身の態度が変わります。怯えたり立ちすくむ新任スタッフはどうしても攻撃されることが多いため、これはとても大切なことなのです。また管理職の方は、看護師さんに暴力を振るう患者が、男性や医師(性別に関わらず)の前で急におとなしくなることも多い、ということも知っておく必要があります。これを把握していないと、「スタッフの態度が悪かったのだ」と解釈したり、暴力行為の危険性を低く見積もってしまうことがあるからです。暴力行為の危険は、専門・階級に関わらず、医療者にとって他人事ではありません。中学校では武道が必修化されましたが、医療系の学校でも、武道でなくとも最低限の護身術は教育してほしいな、というのが個人的な感想です。<参照>1.http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/bouryokusisin.pdf2.http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200203/cmselect/cmpubacc/641/641.pdf3.http://www.designcouncil.org.uk/Documents/Documents/OurWork/AandE/ReducingViolenceAndAggressionInAandE.pdf4.NHS:National Health Service。イギリスの国営医療サービス5.http://www.nhsbsa.nhs.uk/Protect.aspx略歴:越智小枝(おち さえ)星槎大学客員研究員、インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院客員研究員。1999年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。国保旭中央病院で研修後、2002年東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科入局。医学博士を取得後、2007年より東京都立墨東病院リウマチ膠原病科医院・医長を経て、2011年10月インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院に入学、2012年9月卒業・MPH取得後、現職。リウマチ専門医、日本体育協会認定スポーツ医。剣道6段、元・剣道世界大会強化合宿帯同医・三菱武道大会救護医。留学の決まった直後に東日本大震災に遭い、現在は日本の被災地を度々訪問しつつ英国の災害研究部門との橋渡しを目指し活動を行っている。

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君も医師として「国際協力師」にならないか?

「医師のキャリアパスを考える医学生の会」主催(代表:秋葉春菜氏〔東京女子医科大学医学部4年〕)の第17回勉強会が、2012年8月19日(日)、東京医科歯科大学・湯島キャンパスにおいて開催された。当日は夏休みの期間中にも関わらず医学生、社会人を中心に約40名超が参加した。今回は医師でNPO法人宇宙船地球号代表の山本敏晴氏を講師に迎え、「海外で、国境を越えて活躍している医療関係者達~宇宙船地球号にご搭乗中の皆様へ~」と題し、講演を行った。国際協力を俯瞰するはじめに山本氏の自己紹介のあと、「国際協力とは何か」と題して、現在の国際協力の種類や体制、これからの展開についてレクチャーが行われた。最も強調されていた内容は、『国際協力』は、無給のボランティアとして行うだけではなく、有給の仕事として行う方法もある、ということだった。その就職場所となる組織は、大きく分けて4つある。〔1〕国際機関(国連(WHO、ユニセフ等)など)、〔2〕政府機関(外務省の国際協力機構(JICA)など)、〔3〕民間のNGO(非政府組織)、〔4〕民間の企業(開発コンサルタント会社など)。以上の、いずれの組織でも、医師などが雇用され、有給の仕事として国際協力を行っている人が多数いるという。〔1〕の国連職員等の場合、アメリカの国家公務員に準じた給与が支払われ、勤務年数と昇進に伴い増額されていく。〔2〕の日本のJICA専門家などの場合、日本の一般的な勤務医と同等か、それ以上の給与が支払われる。〔3〕のNGOの場合、薄給または無給である。例えば、山本氏がかつて所属した「国境なき医師団」の場合は、2012年現在、毎月約13万円程度が支払われる。〔4〕は日本政府の外務省から国際協力事業を受注する「会社」で、医療・公衆衛生分野の事業を実施する場合もある。その場合、医師なども雇用される。〔1〕国連職員等と〔2〕JICA専門家等の場合、国家公務員と同等以上の待遇で途上国等へ派遣されるので、待遇(給与、年金、保険など)は国内並みに安定する。また、国際協力と聞くと、途上国の田舎で、電気も水道もない生活を送ると思っている人が多いが、そのようなことはなく、(〔1〕と〔2〕の場合は)派遣国の首都にいくことが多く、そこにある高級ホテル等に泊まることが多い。業務は派遣先の国の(医療・公衆衛生に関わる)政策立案(及びその政策の実施補助)などが主体であるなどと述べた。一方で、〔3〕のNGOでのボランティアの場合、収入は低いため、仮にそれに参加したとしても、自分や家族の生活費を捻出できないため、持続的な活動を行うことはできず、半年から2年程度で止めてしまう人が多い。このため、継続的に国際協力を行っている人の8割以上は、〔1〕、〔2〕、〔4〕のいずれかの方法で、有給のプロとして国際協力を行っているという。ただし、〔1〕、〔2〕、〔4〕では途上国の保健省(日本の厚生労働省に相当)への政策提言・アドバイスが、主な仕事となるため、医師が自分で患者の診察や治療をすることは、ほぼない。このため、「自分で直接、患者さんを診療するタイプの国際協力」を行いたい場合、お金にはならないが、〔3〕のNGOのボランティアとして行うしかない。中庸案としては、日本赤十字社が日本各地で運営する病院で、普段は勤務をしておき、自然災害が途上国で起きた際に、それに対する(日赤からの)緊急援助として(短期間の間だけ)出動する、という方法もある。いずれにしても、「『なんらかの形で持続的に国際協力に従事している人々』のことを、山本氏は『国際協力師』と呼び、数年前から、その概念を普及しているのだ」と語った。シエラレオネの現実次に「世界で一番いのちが短い国 シエラレオネ」の説明が行われた。銀座・新宿等で多数の写真展を開催している山本氏が、自ら撮影した写真を示しつつ、現地の内戦の様子や「なぜ平均寿命が短いのか?」が語られた。だがまず、山本氏は、同国の「素晴らしさ」について、触れだした。意外なことに、「持続可能な社会」という意味では、日本の方が「途上国」で、シエラレオネの方が「先進国」だと言う。同国の田舎では、日本の江戸時代のような生活をしており、電気などはない。このため、高度な医療はできない。よって、悪く言えば、近代文明から遅れていると言えるが、よく言えば、「(将来枯渇してしまう石油などのエネルギーに依存しないため)持続可能な生活を、ずっと営んでいるのだ」と言う。このためむしろ、「同国に国際協力をしてあげる」というよりも、「日本人が(江戸時代までは行っていたのに)忘れてしまった「持続可能な社会」(未来まで、ずっと続けていける(医療も含めた)生活のスタイル)を思い出させてくれる国であった」と山本氏は言う。次に、山本氏は、シエラレオネが、ボロボロになっていった経緯を説明した。シエラレオネでは、ダイヤモンドが採れる。これを狙って、欧米の営利企業が、その採掘を巡り同国で紛争を起こした。内戦だけでなく、隣国リベリアからの軍事侵攻も発生し、人々の生活は崩壊していった。多くの医療施設が破壊され、多くの医師や看護師が、国外に逃亡してしまった。その結果、乳児死亡率も、5歳までに子どもが死んでしまう割合(5歳未満子ども死亡率)も、ともに「世界最悪」という国になってしまった(2000年頃)。また、5歳まで生き残った子どもたちも、争う軍事組織らのいずれかに「子ども兵」として雇われ、麻薬漬けにされたまま、「戦争の道具」(生きた兵器)として戦場に連れていかれる。こうして、平均寿命34歳(2002年ユニセフの統計で世界最低)という国ができあがってしまった。こうした現状に対し、山本氏は、自らが現地で医療活動を行うだけでなく、自分が日本に帰ってしまった後も、未来永劫、シエラレオネで続けていけるような「医療システム」の構築を目指した。現地で医療機関(病院と診療所、さらにその連携制度など)を創設し、そこで働く医療従事者の人材育成を行った。そして、これからこうした国々へ支援にいこうという聴講者へ「現地の言葉を覚えること」、「現地の文化と伝統医療を尊重すること」、「西洋医学や日本の医療の手法を、一方的に押し付けないこと」など、体験者ならではのアドバイスを送った。アフガニスタンの現実続いてアフガニスタンに赴任した時の話題となり、同地では、(患者を診る医師としてではなく)プロジェクト・リーダー(コーディネーター)として、同国北部領域における母子保健のシステム構築に従事していたことを語った。同国では現在も(政府とタリバーン等の軍閥間での)紛争が続いており、「世界で一番、妊産婦死亡率が高い」ことと、その理由などが述べられた。国際協力師として世界に関わらないか最後に再び、国際協力を行っていく形として、民間NGOの無給のボランティアとして途上国に派遣されるだけでなく、有給のプロとして、例えば、JICAなどの専門家として赴任する選択肢もあることを強調した。また、今後国際協力を行っていこうという聴講生に向けて、(最も医療が遅れているとされる)アフリカ諸国で国際協力をやりたいのであれば、フランス語を習得した方がいいという助言をした。アフリカ諸国は、昔、フランスの植民地だった国が多いためである。さらに、(途上国の病院等の見学ツアーである)「スタディーツアー」や「ワークキャンプ」を一度は体験してみるのもよいと勧めた。その他、公衆衛生分野(予防、水と衛生など)であれば、医師でなくとも参加できるので医師以外の方でも大学院で「公衆衛生学修士」をとって、参加して欲しいと述べた。それに関連して、「世界を見て思ったことは、予防医学こそが究極の医療ではないかと思う」と述べ講演を終えた。質疑応答次のような質問が、山本氏に寄せられ、一つ一つに丁寧に回答されていた。――援助や支援の在り方について国際協力には、(1)地震などの自然災害の直後や、紛争地帯の中に入っていく「緊急援助」と、(2)それらが落ち着き、途上国の政府や地方自治体が、ある程度、正常に機能している時に行う、「開発援助」がある。(1)と(2)では、まったく違うことをする。(1)は、直接的な(狭義の)医療を行うことが多いが、(2)では、途上国政府への政策提言など、医療システムや公衆衛生の構築(広義の医療)をすることが多い。貧しい途上国への開発援助は、昔は、(マラリアや肺炎などに対する)感染症対策と母子保健(乳児死亡率の改善、妊産婦死亡率の改善など)の改善を目的としていた。ところが、(国連が定めたミレニアム開発目標の終わる)2015年以降、WHOは、大きく方針を変える予定だ。今後は、途上国でも、糖尿病、高血圧などの生活習慣病(いわゆる成人病)が増える傾向にあるため、それらに対する対策(治療と予防)が、主流になる可能性が高い。ちなみに、国際協力の世界では、そうした疾患のことを、「非感染性疾患(NCD)」と言う。――現在の山本氏の活動について現在は、直接的な国際協力(狭い意味での国際協力)からは離れ、『国際協力師』を増やすことを主な活動としている。運営しているNPOの活動は3つある。(1)『国際協力師』を直接的に増やすために、本を執筆したり、啓発するためのさまざまなサイト(ホームページ、ブログ、ツイッター等)を制作している。(2)『お絵描きイベント』という、ちょっと変わった活動もしている。世界中の人々に「あなたの大切なものは何ですか?」と質問をし、その絵を描いてもらい、そこから導き出される、その国の『社会背景に眠っている問題点』を洗い出し、各国の問題をわかりやすく説明し、さらにそれに対し各組織が行っている国際協力活動を紹介する事業を行っている。世界の約70ヵ国・地域で実施した。書籍版が4冊(小学館等から)出版されており、またウェブサイトとしても公開している。(3)一般の企業に対して、「企業の社会的責任(CSR)」のランキングを付けている。利益を追求するだけでなく、環境への配慮を行い、社会貢献も実施するような企業を増やしていくためだ。2年に一度、ウェブサイト上で公開している。同様に、「病院の社会的責任(HSR)」に関するランキングも、現在、検討中である。要するに、すべての組織に、「持続可能性」への配慮を行うように啓発をしている。――国連のミレニアム開発目標(MDGs)2015の評価と意義についてMDGsは大体達成できていると思うが、数字的には、妊産婦死亡率の低下と乳児死亡率の低下が達成できていない。これはこれからの課題だと思う。ただ、この目標を定めたことで先進国が巨額のお金を出資し、資金ができ、一定の効果はあったので評価できると思う。――海外の地域医療で役立ったこと、また逆に日本に持ち込んで役立ったことは?アフリカの田舎では、医師がいないか、足りない。このため、看護師(または、普通の村人で、ある程度の研修を受けた人)が、病気を診断したり治療したりしている。看護師や村人では判断できない、難しい症例の場合は、携帯電話のSMS(ショート・メッセージ・サービス)を使って、首都などにいる医師に連絡をする。こうしたことは、途上国で当たり前のように行われている。日本では、医師法があるため、「医師でなければ診断や治療をしてはいけない」ことになっているが、日本の無医村や離島も、アフリカの田舎に近い場合がある。よって、アフリカの真似をして、日本でも、IT機器(携帯電話やパソコン等)を使って、遠隔地医療を「医師でない人が行って、どうしても医師が必要な場合は、医師がIT技術でアドバイスを送る」ということも考えられる。日本では、毎年、医療費が増加しており、国の借金も膨らんでいる。今後、さらに高齢化社会になるため、毎年1兆円ずつ、国の社会保障費(医療・公衆衛生・年金など)が増えていくことがわかっている。その理由の一つが、医者の人件費が高いことである。一般の日本人の平均年収は430万円だが、医師のそれは1,500万円をはるかに超える。このような「高い」人件費を使わずに、今後の日本の医療を実施していく必要がある。「お金をかけないで行う」、あるいは「費用対効果」を考えるということも、これからの医師には必要だ。2000年から導入された介護保険制度は、まさにこれである。高齢化社会を迎え、また国の財政が破綻しかかっている中、医療従事者であっても、「患者さんにその時点で最高の医療を(予算などまったく気にせず)提供する」ことだけを考えるのではなく、なるべく、お金をかけず、環境にも優しく(電気をあまり消費せず、ゴミをあまり出さないように配慮して)医療システムが未来まで続けていけるように配慮することが必要である。最後にスタッフの伊藤大樹氏(東京医科歯科大学医学部4年)が「国際協力の貴重なお話を有難うございました。これからも充実した勉強会を開催していきますのでよろしくお願いします。また、会では協力いただけるスタッフを募集しています。気軽に参加ください」と閉会挨拶をのべ、3時間にわたる勉強会を終了した。■講演者略歴■関連リンクNPO法人「宇宙船地球号」山本敏晴ブログ* * * * * *医師のキャリアパスを考える医学生の会

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鍼灸の現状と問題(2) 保険外併用療養費の考察

北海道鍼灸マッサージ柔整協同組合 理事 健保対策委員長NPO法人 全国鍼灸マッサージ協会 理事 広報/渉外局 健保推進担当渡邊 一哉2012年6月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 鍼灸が現状の健康保険法の87条、療養費の枠組みで健保の支払いが償還払いになって久しい。昭和の30年代には日本鍼灸師会が健保の推進を掲げて運動している事からそれ以前、戦後マッカーサーが鍼灸禁止の発令をしようと、日本の医療者と論議になっているのが昭和25年前後と思われる事から、それから数年で健康保険を使っての鍼灸が始まってる事になる。 現在の日本の鍼灸は医業行為とは呼ばれず、法的には医業類似行為と言われている。これに不服を感じ、医業になるべきだ、医療行為となぜ言われないのか?と鍼灸の業界団体もまた、ここ数年で相次いで設立された鍼灸系の大学などでも、盛んに研究が行われ、EBMの確立に躍起になっている。 おそらく、数年の後にはある程度EBMの確立を生むかもしれない。それはそれで素晴らしい事だし、そうなる事を願ってはいる。鍼灸が病院内医療として行われ、それが患者さんに使われる事で、医療経済の側面からも薬剤や、リハビリテーションと並び、鍼灸は強力な武器にもなる可能性がある。 製薬会社から妨害があるのではないか?とか、薬剤師会と対立するのではないか?と言うような声もあるにはあるが、だとしても医療の選択肢として患者さんが医師と話し合いの上で、もしくは患者の意思を尊重してとなるのであれば、それはそれで問題のある事だとは思えない。 仮にEBMが確立をして医療に参入するとなるとどういう事が起こってしまうのか。病院内で行われる医療行為はすべて医師法に遵守した形で行われている。1.医師法第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない。第18条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。 このように医師に業務独占、名称独占を与えている。今の病院医療は、医師が業務独占があるために、他のメディカルスタッフはすべて医師の処方で業務をこなしている。しかも請求は保険給付である。現物給付と言われる給付の方法で請求は医師が行うのはご承知の通りである。 あまり今のところ、鍼灸の医療参入に関してはせいぜい混合診療の問題が発生しているくらいのもので、鍼灸という業務としての問題を提起する方はいない。 今の時点で鍼灸が健保を適応しているのは制度上は健康保険法の第87条の療養費の部分である。(療養費)第八十七条 保険者は、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下この項において「療養の給付等」という。)を行 うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合におい て、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。 この療養費の87条は療養の給付が困難であると認める時と条文上では書かれている。現在のこの条文に関しての運用は、厚労省から通知がでている。 最新の厚労省の鍼灸に関しての疑義解釈資料(平成24年2月13日発布)によれば、療養の給付等が困難な場合とは慢性病であり、医師による適当な医療手段のないもので主として神経痛、五十肩、腰痛など他類焼疾患となっており、漫然と医療を受け続けても、治癒に至らないものとされている。 この解釈を巡っては様々な論議があるが、今のところは医師の同意書が発行されれば、その条件に関してはあまり言わない保険者が大半を占める。一部、保険医療機関担当規則を持ち出してくる保険者もいるにはいるが、そもそも日本の行政は裁量行政であり、その場その場、時代時代に、条文を無理矢理都合を合わせて行く事が日本の行政であり、そうでないと時代が移行する度に、条文改正や、国会での論議という事になるのは大変な事で、それである程度、幅を持たせて解釈をしている。 時に拡大し過ぎ、飛躍し過ぎという話もあるが、それをある程度調整をつけていくのが医療であれば厚労省の役割でもあろうと思う。 話を戻すが、この療養費は、償還払いが原則で、現物給付は請求権は医師にあるのに対し、償還払いは被保険者請求である。 それを代理請求して鍼灸師、もしくは第3者が行っている現状がある。これはこれで複雑で煩雑な書類を被保険者が行う手間を、慣れている者が行うことでガードが下がり国民の受療が進むというメリットはある。 これがEBMが進み、医療になるとすると、医師以外は医療を行えないという医師法の原則からいくと鍼灸師は医師の処方下でないと鍼灸治療が行えなくなるという現実がある。あくまで条文を条文通りに行くとという事であるが。 事、医師法に関しては、他の法律と違い、かなりコンプライアンスを守らなければいけないし、医師法は日本の医療に関しては統治している法律である。ここの医師以外で医療を行うという部分に鍼灸師が参入する事を医師はおろか、他の医療関連職種も黙っているわけには行かないだろうと思う。 この問題は、くしくもEBMがある程度確立し、日本で鍼灸が認められ、病院内医療として行われ始めると同時に発生する。 この問題をいったいどうしていくのがいいのか。日本の現存の開業鍼灸師は、病院内医療が始まるとどうなるのか?ここに解決の道はないのか。 私案であるが、保険外併用療養費に鍼灸を選定療養としてでも入れる事で、病院内では保険外併用療養費として、病院外では健康保険法87条の療養費払いとして、支払う事が可能になるのであれば、病院医療と開業鍼灸師との共存が可能である。あくまで法律上ではあるが。 保険外併用療養費に鍼灸が認められれば、混合診療問題も鍼灸に関しては除外される事になる。鍼灸が医療参入できないのはひとつには混合診療問題からだと言われている事からそれは問題回避する事ができる。 現在の保険外併用療養費は下記になる。●評価療養(7種類)・先進医療(高度医療を含む)・医薬品の治験に係る診療・医療機器の治験に係る診療 ・薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用・薬事法承認後で保険収載前の医療機器の使用・適応外の医薬品の使用・適応外の医療機器の使用●選定療養(10種類)・特別の療養環境(差額ベッド)・歯科の金合金等・金属床総義歯・予約診療・時間外診療・大病院の初診・小児う触の指導管理・大病院の再診 ・180日以上の入院・制限回数を超える医療行為 この指定は厚労大臣が認定して行う事になっていて、そこに鍼灸が参入というのはもっとも今の法律を変えず、開業鍼灸師も打撃を大きくはうけず、病院医療で行う事からさらにEBMの確立に向けていけると思うし、国民のアクセスのしやすくなる。 医療経済的にどうなのか?と問われれば、やってみないとわからない事が多く、予想としては薬剤やその他の医療と基本的には併用はできない仕組み作りにして行くと経済効果もあるとは思うのだが、厚労省側で、一部地域やもしくは時限的にとかで選定療養としてやってみないと医療経済的にはわからない。 とりあえず、地域を限定してやってみるというのも方法である。その際、開業鍼灸師には、同意書の発行など医師が渋る事のないように便宜をはかる必要があり、あくまで、選択は患者さんが、国民にあるという姿勢で行く事が必要ではないかと思われる。料金的にも保険外併用療養費であれば、はり術きゅう術 電療合わせて1525円になり、開業鍼灸師であれば、その割合負担が患者さんの負担である。厚労省の裁量行政でなんとかなる話なのである。

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第111回日本皮膚科学会総会

2012年6月1日~3日、国立京都国際会館にて、第111回日本皮膚科学会総会が開催された。昨年開催予定だった第110回総会が東日本大震災のために中止となり、2年ぶりの開催となった今回は、「進化する皮膚科:知と技を磨く」というテーマのもと、皮膚科学の様々な疾患をカバーする数多くのセッションが企画された。ここでは、その中からいくつかのセッションをレポートする。レポート教育講演「分子標的薬の現状と展望―副作用対策を含めて―」メーカー紹介株式会社レザック歯科等の炭酸ガスレーザー、フラクショナルCO2レーザーはレザック。グラファ ラボラトリーズ株式会社エビデンスに基づく製品開発を実践します。株式会社サンソリット信頼できるピーリングを。ピーリングのパイオニア サンソリットルートロニックジャパン株式会社Technology for Beauty and Healthアラガン・ジャパン株式会社アイケア、神経科、皮膚科、美容医療、泌尿器科などの専門領域に特化したグローバルヘルスケア・カンパニーサイノシュアー株式会社Be transformed株式会社ファンケル毎日心地よく肌のお手入れができるように。皮膚科専門医との共同研究から生まれた、「無添加FDR」のご紹介キャンデラ株式会社ひとにやさしく、未来につながる技術。株式会社おんでこおんでこ ダーモスコープ エピライトエイト ONDEKO DERMOSCOPE (EPI LIGHT×8) のご紹介パロマジャパン株式会社FROM LIGHT COMES BEAUTYマルホ株式会社敏感肌や乾燥肌のためのスキンケアをサポートする2e(ドゥーエ)。製品に込められた、その想いをお伝えしますマーシュ・フィールド株式会社痣・火傷痕・傷痕・白斑などのカバー専用化粧品、並びに低刺激性スキンケアの企画販売レキットベンキーザー・ジャパン株式会社フットケアの専門ブランド  ドクター・ショール(Dr.Scholl)日本ロレアル株式会社ラ ロッシュ ポゼ 皮膚科医が採用する敏感肌のためのスキンケア株式会社ケイセイ医療機関を対象に化粧品・医薬部外品の企画・開発・販売を実施

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被災地の医療従事者が必要としている情報に、福島と岩手で違いあり

 ファイザーは20日、東日本大震災の被災地に向けた支援のひとつとして、昨年7月から被災者へのPTSD(Post-traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)の治療を支援することを目的として日本トラウマティック・ストレス学会と共同で展開している「東日本大震災 こころのケア支援プロジェクト」活動報告のまとめを発表した。 今回の調査は、岩手県137名、福島県117名の医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護スタッフに、講演会終了時アンケート回収、および聞き取りによって行われた。調査期間は、2011年9月20日~12月14日。各項目について、対象者には「非常に関心がある(3点)」「まあまあ関心がある(2点)」「あまり関心がない(1点)」「まったく関心がない(0点)」の4段階で点数化もらった。 岩手県、福島県で医療従事者が必要としている情報に関して調査を実施したところ、被災地における医療従事者のニーズに違いがあることがわかった。岩手では不眠や認知行動療法など、より具体的なケアに関心が集まり、福島では放射能による影響とストレス、さらに子供のPTSDについて関心が高いという結果であった。 日本トラウマティック・ストレス学会 会長の前田正治氏は、「震災後1年を経過しましたが、今般の震災の規模から考えるとメンタルヘルス上の問題は今なお大きいと考えざるを得ません。特に被災地で働く医療スタッフなど専門職支援者の疲弊も強く、今後はこの面での配慮が必要となります。また原発事故にみまわれた被災地では、より事態が複雑化していると考えられ、長期的なケアが必要となります。」と述べている。

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診療報酬改定セミナーのご案内 3月に4都市で開催(医療経済研究機構)

医療経済研究機構は15日、3月に開催する厚生労働省保険局医療課担当官からの「平成24年 診療報酬改定セミナー」の申し込み受け付けを開始した。開催地は東京、札幌、大阪、福岡の4都市。《平成24年 診療報酬改定セミナー【東京】》 【日 時】平成24年3月7日(水) 13:00 ~ 16:00 (開場12:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・歯科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】ニッショーホール     東京都港区虎ノ門2丁目9番16号     TEL:03-3503-1486     会場地図>>http://www.nissho.or.jp/nissho-hall/kyoukai.html【参加費】会員:2,000円 / 非会員:5,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【札幌】》 【日 時】平成24年3月10日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TKPガーデンシティ札幌 きょうさいサロン 7階 飛鳥     北海道札幌市中央区北四条西1丁目 共済ビル7階     TEL:011-252-3165     会場地図>>http://kyosaisalon.net/access.shtml【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【大阪】》 【日 時】平成24年3月10日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TKP大阪梅田ビジネスセンター 4階 ホール4A     大阪府大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル4階     TEL:06-4797-6610     会場地図>>http://tkpumeda.net/access.shtml【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【福岡】》 【日 時】平成24年3月17日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TTKP天神シティセンター 8階 S-1     福岡県福岡市中央区天神2丁目14番8号 福岡天神センタービル8階     TEL:092-720-8003 会場地図>>http://tkptenjin.net/access/【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円主催:医療経済研究機構申し込みは、医療経済研究機構ホームページ(https://www.ihep.jp/)「各種講演会お申し込み」から受け付ける。その他セミナーに関する問い合わせは、こちらまで。============================================一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構 企画渉外部TEL:03-3506-8529 FAX:03-3506-8528E-mail: info@ihep.jp〒105-0003東京都港区西新橋1-5-11 第11東洋海事ビル2F============================================

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術後輸血戦略は制限的輸血が妥当

術後輸血戦略について、非制限的に行う輸血(自由輸血)が制限的輸血と比較して、術後の死亡率を低下したり回復を促進はしないことが、股関節手術を受けた心血管リスクの高い高齢患者を対象とした無作為化試験の結果、明らかにされた。また被験者の特性の一つでもあった心血管疾患の院内発生率も抑制できなかったことも示された。術後輸血については、ヘモグロビン閾値が論争の的となっている。そこで米国・ニュージャージー医科歯科大学のJeffrey L. Carson氏らは、より閾値の高い輸血者のほうが術後回復が促進されるかどうかについて検証した。NEJM誌2011年12月29日号(オンライン版2011年12月14日号)掲載報告より。術後患者をヘモグロビン閾値8g/dL未満と10g/dLに無作為に割り付け試験は2004年7月~2008年2月の間に、米国とカナダの47の医療機関で被験者を登録して行われた。被験者は、心血管疾患の既往歴またはリスク因子のいずれかを有し、股関節骨折で手術を受け、術後ヘモグロビン値が10g/dL未満の50歳以上の患者2,016例(平均年齢81.6歳、年齢範囲:51~103歳)であった。研究グループは被験者を無作為に、自由輸血戦略群(ヘモグロビン閾値10g/dL)または制限的輸血戦略群(貧血症状があるか医師の裁量でヘモグロビン閾値<8g/dL)に割り付け追跡した。主要転帰は、追跡調査60日後の死亡または人の介助を受けずには部屋の端から端まで歩くことができない(自由歩行不能)の割合とした。副次転帰は、院内心筋梗塞・院内不安定狭心症・すべての院内死亡の複合とした。輸血自由戦略群、いずれの指標も改善できず輸血赤血球単位の中央値は、自由輸血戦略群で2単位、制限的輸血戦略群は0単位であった。主要転帰の発生率は、自由戦略群35.2%、制限戦略群34.7%で、自由戦略群のオッズ比は1.01(95%信頼区間:0.84~1.22、P=0.90)、絶対リスク差は0.5ポイント(95%信頼区間:-3.7~4.7)だった。オッズ比は男女差が認められ(P=0.03)、男性(オッズ比:1.45)が女性(同:0.91)よりも有意であった。追跡調査60日後の死亡率は自由戦略群7.6%、制限戦略群6.6%で(絶対リスク差:1.0%、99%信頼区間:-1.9~4.0)だった。また、副次転帰の発生率は、自由戦略群4.3%、制限戦略群5.2%(絶対リスク差:-0.9%、99%信頼区間:-3.3~1.6)であった。その他の合併症の発生率は両群で同程度だった。結果を踏まえてCarson氏は、「我々の所見は、貧血症状がない場合やヘモグロビン値が8g/dL以下に減少していない場合、さらには心血管疾患やリスク因子を有する高齢患者では、術後患者での輸血は控えることが妥当なことを示唆する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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リウマチ膠原病セミナー

⑦「Lupus for dummies」⑧「免疫抑制剤の使い方と副作用~知っておくべきこと~」⑨「日和見感染症の予防と治療」特典映像「症例検討会」 リウマチ膠原病セミナー臨床に携わるジェネラリストとして知っておかなければならない情報について、あまり難しいことは抜きにして分かりやすく解説します。ループスを疑う患者へのアプローチ法・検査・診断の進め方、そして病態生理にも触れてよりループスの理解が深まるように進めます。また、日常診療で頻度の高い「免疫抑制剤」、免疫抑制剤とは切っても切れない、感染症の中でも特に知っておきたい「日和見感染症」について詳しく解説します。特典映像では症例提示を元に診断・治療戦略をディスカッションします。※本DVDに収録したセミナーは、2009年6月に亀田総合病院にて収録されたものです。⑦「Lupus for dummies」講師 : 高田 和生氏(東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科 講師)⑧「免疫抑制剤の使い方と副作用~知っておくべきこと~」講師 : 萩野 昇氏(帝京大学ちば総合医療センター 血液・リウマチ内科)⑨「日和見感染症の予防と治療」講師 : 細川 直登氏(亀田総合病院 総合診療・感染症科 臨床検査科 部長)

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リピート処方の質と安全に、受付・事務スタッフの創造的判断が貢献

リピート処方(repeat prescribing)、いわゆるDo処方について、受付または事務スタッフが、質および安全性に対して重大な「隠れた」貢献を行っているとの研究結果が報告された。英国・バーツ&ロンドン医科歯科大学校のDeborah Swinglehurst氏らによる。BMJ誌2011年11月12日号(オンライン版2011年11月3日号)掲載報告より。リピート処方をめぐる質・安全への貢献および障壁について調査Swinglehurst氏らは、GP(general practice)におけるリピート処方に関して、組織業務の様子を描出、調査、比較検討することで、質および安全に対する貢献者および障壁を特定する研究を行った。研究対象となったのは、電子患者記録を使用しており、患者への処方が準オートメーション化されている英国4都市の組織形態が多様なGP。395時間にわたって民族誌学的事例研究の手法でスタッフ(医師25人、看護師16人、ヘルスアシスタント4人、マネジャー6人、受付・事務スタッフ56人)を観察し、28の文書と、リピート処方に関わる部分的、全体的な人為的な現象について調べた。主要評価項目は、患者安全や良好な診療の特徴に対する潜在的な脅威とした。研究グループは、医師、受付・事務スタッフがリピート処方について、どのような貢献をしているか、また協同しているかを観察し、処方作業をマッピングすること、組織的実践を描出すること、それらを一緒に話し合って描画しているかなどについて解析した。これらは社会的モデルとして知られるもので、ICT(information and communications technologies)により形成化されているものであった。これからの患者安全の研究は、テクノロジーサポートを研究することが大切調査・解析の結果、リピート処方は複雑で、患者安全に重大な影響を有し、医師とスタッフの協働が求められるテクノロジーサポート・ソーシャルプラクティスであることが明らかになった。リピート処方の半数以上が、受付スタッフによって“例外”と判断されていた。大半は、電子リスト上にあったものと異なる薬、投与量、タイミングなどの理由によるものであった。形式的な処方プロトコルと、リピート処方を書くことにはギャップが存在する。そのギャップを埋める作業として、医師が知らないうちに、受付・事務スタッフの創造的な判断が貢献していた。Swinglehurst氏は、「一見、平凡で、標準的で、自動化されていると見られるテクノロジーサポート・ルーチンワークは、実際には高度な部分的な調整や判断が最前線のスタッフによって求められる。それらを研究することが、患者安全研究の新たなアジェンダになっていくだろう」と結論している。

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医師の専門性認定、患者や同僚医師の評価に基づく判定は慎重に

医師の専門性を患者や同僚医師の評価に基づいて判定する場合、当該医師や評価者の背景因子に起因する組織的バイアスが生じる可能性があるため注意を要することが、英国・ペニンシュラ医科歯科大学のJohn L Campbell氏らの調査で示された。王立医師協会(GMC)は、イギリスの医師が医師免許を継続して保持するには妥当性を再確認する必要があり、そのためには最新かつ実臨床に即した医療を提供可能なことを示すよう提言している。医師による認定の申請を判定するには、患者や他の同僚医師からの多岐にわたる評価がエビデンスの重要な情報源になるという。BMJ誌2011年11月5日号(オンライン版2011年10月27日号)掲載の報告。医師の専門能力評価に影響する予測因子を調査研究グループは、医師の専門性を評価する際にみられる組織的バイアス(多くの個別の条件下で評価が行われるため、実際の価値とはずれが生じること)の原因に関して質問票を用いて横断的に調査し、得られたデータについて解析を行った。調査対象は、イングランドとウェールズのさまざまな専門領域の非研修段階にある医師1,065人と、その同僚医師1万7,031人および患者3万333人であった。GMCによる患者および同僚医師への質問票を用いて当該医師の専門能力を評価し、医師自身と患者、同僚の背景因子に起因する可能性のある予測因子について検討した。多くの情報源からの医師の評価は慎重に解釈すべき医師および患者の背景因子で調整したところ、ヨーロッパ以外の国で学位を取得した医師に対する患者の評価が低いことが示された。すなわち、これらの医師では、1)特に精神科医として診療業務を行っている医師の評価が低い、2)質問票を提出した白人患者が少ない、3)当該医師の診察を「たいへん重要(very important)」とした患者が少ない、4)「かかりつけ医に診てもらう」と回答した患者が少ない、などの傾向が認められた。同僚医師の評価は、イギリスおよび南アジア以外の国で学位を取得した医師において低かった。これらの医師では、1)代理医師として雇用、2)GPあるいは精神科医として診療、3)非専門的職員(staff grade)、準専門医(associate specialist)あるいは他の同等職種として雇用、4)医師と毎日あるいは毎週、専門的な交渉を行っていると答えた同僚が少ない、などの事例が確認された。完全調整後のモデルによる解析では、当該医師の年齢、性別、人種は、患者や同僚医師による評価の独立の予測因子ではなかった。患者や同僚の年齢、性別も、当該医師の評価の予測因子ではなく、同僚の人種も関連はなかった。これらの結果を踏まえ、著者は「医師の専門性に関する患者や同僚医師の評価を考慮する際は注意が必要である。標準化された専門性の評価法がない場合は、多くの情報源からの意見に基づく医師の評価は慎重に解釈すべき」と警告し、「専門家としての医師の評価には、評価者や評価対象医師の背景因子に起因する組織的バイアスが存在する可能性がある。医師としての妥当性の再確認を目的に、GMCの患者/同僚質問票を用いた調査を行う場合、多くの情報源からの評価は少なくとも初期段階においては「形成的評価」として行われるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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内視鏡手術のトレーニング用システム2点を開発 11月の日本神経内視鏡学会にて発表へ

外科医向け精密削開練習用骨モデルを製造・販売する大野興業は14日、内視鏡下における水頭症手術(第3脳室底開窓)および経蝶形骨手術(下垂体腺腫)のトレーニング用システムを開発したことを発表した。同トレーニングシステムは、大平 貴之氏(慶應義塾大学 脳神経外科)監修のもとで行われた。水頭症患者の脳室内形状を軟質素材でリアルに再現した「水頭症手術モデル」は、第三脳室底開窓術トレーニングを可能にした。また、鼻腔内鼻甲介や頭蓋底大脳血管などの器官を硬質軟質各種素材でリアルに再現した「経蝶形骨手術モデル」は、粘膜切開剥離と軟骨折除からトルコ鞍底部骨除去に至る内視鏡トレーニングが可能だという。なお、経鼻内視鏡による手術は、脳神経外科と耳鼻咽喉科によるコラボレーションが一般的なため、鼻腔内の再現については、角田 篤信氏(東京医科歯科大学 耳鼻咽喉頭頸部外科)も監修に加わっている。同社は、これら2点のトレーニングシステムは練習者が内視鏡を用いて患者を施術する感覚を繰り返す練習とより深い手技の理解と習得に役立ち、これから内視鏡手術を学ぶ多くの若いドクターにとっても有効なツールになるのではと述べている。また、今回のシ新モデルの開発については、2011年11月17日・18日に岡山にて開催される第18回 日本神経内視鏡学会で発表される予定。プレスリリースはこちらhttp://www.atpress.ne.jp/view/23744第18回 日本神経内視鏡学会Webサイトhttp://www.congre.co.jp/jsne2011/

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リウマチ膠原病セミナー

⑩関節炎所見から膠原病を見分ける⑪不明熱とスティル病⑫多発性筋炎、皮膚筋炎 リウマチ膠原病セミナー日常診療で最低限の初期診断、フォローアップができるように、リウマチ・アレルギー専門医があまり難しいことは抜きにして、臨床に役立つ情報を提供します。病歴・身体診察は、「8割は診断がつく!」と言われほど重要です。まずは関節炎の症状から日常診療で膠原病を見分けるポイントを伝授します。病態が不明な点が多いスティル病には発熱に特徴があり、その発熱のパターンを覚えておくと診断に役立つでしょう。そして、多発性筋炎、皮膚筋炎の関連疾患情報のアップデートや症状・原因・治療に関する基礎知識について解説します。※本DVDに収録したセミナーは、2010年1月に聖路加看護大学にて収録されたものです。⑩関節炎所見から膠原病を見分ける講師 : 岸本 暢将 氏(聖路加国際病院 アレルギー膠原病科〔成人,小児〕)副医長⑪不明熱とスティル病講師 : 松井 和生 氏(亀田総合病院 リウマチ・膠原病内科)⑫多発性筋炎、皮膚筋炎講師 : 高田 和生 氏(東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科)

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2008年英国NICEの勧告による、歯科治療での抗菌薬予防的投与中止の影響

感染性心内膜炎のリスクが高いと思われる患者に対する抗菌薬の予防的投与は、いまだ多くの国で行われているが、英国国立医療技術評価機構(NICE)は2008年3月に、歯科の侵襲的治療に先立って行われる同抗菌薬予防的投与の完全中止を勧告した。シェフィールド大学臨床歯科学部門のMartin H Thornhill氏らは、このNICEガイドライン導入前後の同処置変化および感染性心内膜炎発生率の変化を調査した。BMJ誌2011年5月21日号(オンライン版2011年5月3日号)掲載より。ガイドライン後、予防的投与は78.6%減少、症例・関連死の増加傾向がストップ英国では全入院患者について、1次的退院診断名と最大12の2次的診断名がデータベース化されている。Thornhill氏らは、そのデータから、1次的退院診断名および2次的診断名として、急性または亜急性の感染性心内膜炎のデータがある患者を対象に、ガイドライン導入前後の比較研究を行った。主要評価項目は、予防的投与に用いられたアモキシシリン(商品名:サワシリンなど)3g単回経口投与またはクリンダマイシン(同:ダラシン)600mg単回経口投与の1ヵ月間の処方数、感染性心内膜炎の毎月の症例数、同疾患関連による病院死または口腔レンサ球菌によると考えられる感染性心内膜炎の症例数とした。結果、NICEガイドライン導入後、抗菌薬予防的投与の処方数は、月平均1万277例(標準偏差:1,068)から2,292例(同:176)と、78.6%(P<0.001)減少という有意に大きな変化がみられた。一方で、ガイドライン導入前にみられていた感染性心内膜炎の普遍的な増加傾向が、導入後は一転してみられなくなっていた(P=0.61)。非劣性試験の結果、ガイドライン導入後、症例増加については9.3%以上、また感染性心内膜炎関連の病院死増加については12.3%以上を削減した可能性が示された。ハイリスク患者への予防的投与についてはさらなる検証をThornhill氏は、「NICEガイドライン導入後、抗菌薬予防的投与の処方は78.6%も減少したにもかかわらず、導入後2年間の感染性心内膜炎の発症例または死亡率の増加を大きく削減していた。このことはガイドライン支持に寄与するが、今後もデータのモニタリングを行い、さらに臨床試験によって、特にハイリスク患者を感染から守るには抗菌薬予防的投与が有用であるのかどうか決定する必要がある」と述べている。

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教授 向井秀樹先生の答え

アトピー性皮膚炎30年間悩まされています。昨年近医にてネオーラル処方され、症状改善し漸減中止しました。が、症状悪化しネオーラル再開(一回50mg一日2回)しました。この量でないと有効でないようで…飲み続けてもいいのでしょうか?皮膚の良い状態がこんなに楽なのもかと思い知り、ステロイドだろうが免疫抑制剤だろうが(副作用が多少あっても)なんでも使いたい!という思いです。 シクロスポリンは使用ガイドラインが出来ており、体重当たり3mg換算とされています。効果があれば12週間を1クールにして、最低2週間以上の休薬とあります。スタンダードな治療法として有用だと思います。但し、極めて重症度の高い方には中止が出来ない、再度内服するという方も少なくありません。さらに高価なお薬のため経済的にも再燃時のショックは大きいのは理解できます。文章からは十分に理解しているとは言えないかも知れませんが、ダラダラと服用しているより、2クール目&3クール目と繰り返すうちに症状が安定する場合も経験します。焦らず頑張って下さい。そして併用している外用剤ですが、内服していると痒くないからといって使用していない、使用量が大幅に減っていないことはありませんか? こんな高級品を使っているのです、今こそ徹底的に改善して寛解状態を得て元を取るぞ!という覚悟で頑張って下さい。そして、悪化時の原因を考え悪化要因の対処法などの工夫、アドバイスを貰うなどの積極性を出すこと!綺麗な肌を取り戻して下さい!発汗異常について手汗がひどく悩んでいる方がいます。来年4月から社会人になりますが事務関係で書類を触るのに用紙がくしゃくしゃになってしまい、仕事に支障がでてしまうのではないかと・・手術以外になにか方法がありませんか?漢方 刑芥蓮ぎょう湯を服用して様子を見ています。程度は個人差がありますが、お悩みのことと推察いたします。大学時代の友人がひどい汗かきで、いつもタオル持参で授業内容を記載していました。現在会って話をすると昔より良くなっているそうですが完治はしていないとのことです。一般的に自律神経を安定させる内服薬を飲み続け、汗を抑える塩化アルミニウム溶液を外用します。漢方薬を試されているようですが、防己黄耆湯や補中益気湯はお飲みになりましたでしょうか?漢方薬は一般的にすぐに効果がでる訳ではありません、最低1~2ヶ月間は内服してみて下さい。手術に関しては現在しない方向です。脇の下の交感神経を切断するは一時流行りました。確かに手の効果はありますが、背中や胸などが代償性に発汗するようになり患者さんの生活の質が低下するので行わない方が良いようと思います。専門に手術する施設が増えましたが、医療問題にまで発展し陰が薄くなりました。発汗を専門とする施設は少ないですが、東京医科歯科大学皮膚科には専門外来があります。塩化アルミニウム溶液を器械で皮膚に導入するイオントフォレーシス法を行っており、それなりの有用性を報告しています。機会があれば受診してみて下さい。まずは、一般初診を受診して専門外来にまわしてくれるそうです。研究分野について東邦大学大橋病院での研究分野について教えてください。どのような研究をされているのでしょうか?ホームページを拝見しましたが、「研究について」のページを見ても、「爪白癬動物モデルを用いた病理組織学的検討」しかなかったので、もう少し情報を頂きたく思います。(後期研修先を探している研修医です)大橋皮膚科はアトピー性皮膚炎の治療を専門にしております。1~2週間の入院療法は、短期間で急速&確実に改善する方法を言えます。しかし、入院期間に多量に使用する極めて強いステロイド外用剤の副腎機能に関する影響に関して、明らかな文献は見当たりません。そこで、入院前後の血中コルチゾール値を測定してみました。その結果は予想に反して、重症例では入院前のステロイド外用量と関係がなく血中コルチゾール値は大幅に低下。この変化は不可逆性で退院時には上昇して正常値に戻るという結果が得られました。そこで次に、血中ACTHや1日尿中コルチゾール値を測定しました。両者とも同様の推移を呈することより、皮疹の重症度に相関して不可逆性の副腎機能抑制状態が生じていることを昨年11月の日本皮膚科学会誌に報告いたしました。これから入院する患者さんにもその結果をお話して、入院で使用するステロイドの安全性を強調する共に検査し確認を取る旨を了承して頂いております。なお、このデータは昨年の第26回日本臨床皮膚科学会で金賞そして学内の柴田奨学助成金をめでたく選考授賞&授与することが出来ました。次に、この入院期間の前後で治療効果を判定できる"短期的な治療マーカー検査"を検討し、昨年日本アレルギー学会で発表しました。皮膚の改善やかゆみの程度で患者さんは退院を希望されます。明らかな検査データを示し改善度を示すことは疾患の理解を更に深めると思います。大橋皮膚科で行っている入院療法の有用性を評価するために、患者さんを対象にしたアンケート調査を行いこの2月に行なわれる東京支部学術大会で発表します。今年度からは重症例に多くみられる睡眠障害に関して研究を始めます。激しい痒みに伴うものと基礎にある心因反応に伴うものに大別できます。そこで、入院前後の睡眠障害を詳細に分析しその違いを見つけ、後者の人に関しては早期に入眠剤や心療内科的アプローチを検討します。さらに、外来患者にも行い重症度の違い、罹患率など調査していく予定です。ホームページにある"爪白癬動物モデルを用いた病理組織学的検討"は、日本真菌学会および国際学会で報告したので掲載したものです。動物モデルを使って、爪に感染後の経過を臨床面と爪の病理組織像を同時に立体的に観察した興味あるデータです。近く真菌専門の英文誌に掲載されますので、機会があればご一読下さい。この他に、帯状疱疹後の神経痛に関する薬剤間の比較、各種皮膚良性腫瘍におけるダーモスコープ所見の検討、炭酸ガスレーザーを用いた難治性皮膚疾患の治療の試みなどいろいろと考えて行っています。化粧品会社や製薬会社の研究所とも連携して研究し、その成果を順次発表しております。大橋皮膚科では目の前にいる患者さんの疾患をみて、その病態を考えどのようなアプローチをすべきか、解明のための臨床研究を積極的に行っています。珍しい疾患の解明ばかりでなく、ありふれた疾患の新しい考え方や治療法なども発信できればと思っています。やる気のある方は大歓迎です、是非とも来て下さい。アトピー性皮膚炎、診断のコツ研修中なので基本的な質問ですみません。アトピー性皮膚炎の診断について、治療ガイドラインの診断基準を見ながら勉強しているのですが、確信を持って診断を下すことができません。診断間違ってステロイドを処方すると悪化する症例もあるので、少し怖くなっています。今は当然ながら自分一人で診察をして診断を下すわけではないのですが、皮膚科を目指しているので、どうにかしたいです。診断のコツや、先生がどのように勉強されてきたか?などアドバイスいただけると幸いです。難しい問題だと思います。でも専門とする私でも治療&診断ガイドラインは講演のときに使う程度で診療の際に見ることはありません。患者さんを見れば検査をしなくとも100%診断が付きます。皮膚科の醍醐味とはそういうもので、見たことがある、本で読んだ、学会で聞いたなどで診断が出来るのです。要するに、長年たくさんの患者さんを見ることで感じ覚えていくのだと思います。とくにアトピーの難しさは年齢によって皮膚症状の好発部位や臨床像も変化します。時期ごとに出やすい部位、臨床像を整理して覚え、鑑別疾患を挙げその違いを頭の中で除外していく必要性があります。アトピー素因の有無は必要です、そして皮膚所見が有用で湿疹病変と分かってもかぶれもありますし,自家感作性皮膚炎や皮脂減少性皮膚炎もあります。年齢や部位などが役立ちます。血清IgEや各種アレルゲン特異抗体価も診断に有用です。症例をたくさん見て、いろいろな鑑別疾患を整理して頭の中に入れることが重要です。疑問があれば上級医を呼んで,診断の決め手や考え方を教えてもらうのも良いと思います。重症のアトピーとして治療していたら皮膚リンフォーマという事例もあります、皮膚生検も時として有用です。よく見てよく考え疾患の特性を理解して下さい。患者さんを診て、患者さんから教えられる、学ぶものです。民間療法との戦いについて皮膚の疾患、特にアトピーなどは民間療法が多くて困っています。全てを否定するわけではないですが、処方した薬を使わなくなったり、通院しなくなったりするので(大体症状が悪化して戻ってきますが…)かなり厄介です。先生も当然同じような状況かと思います。先生のこれまでのご経験から「このように民間療法と戦っている!」「こんな説明をすると有効だ!」というものがあれば是非ご伝授いただきたく思っております。宜しくお願いします。日本皮膚科学会の努力もあり民間療法は20年前に比べるとかなり淘汰された感はあります。随分日常診療でその対策と説明に苦労させられて来ましたし、重症で入院を要する患者さんの半数以上が民間療法経験者でした。皮膚科医以外の医師や医療関係者が行っている場合が多いようです。患者自身が現在の治療法に不満を抱いているのは事実だと思います。頭ごなしに否定することなく、ゆっくり時間を掛けて話をする・聞くことを心掛けています。どうしてもしたいと言ってくるものに関しては、現在の治療を中止せず併用することや部分使用を認めています。専門家の私が冷静に判断してその効果を認めるなら、継続すべきだし、効果が見えない場合にこだわって皮膚が悪化することは避けたいと話します。ただ、使用しているステロイド剤の副作用を強調して中止を強要し高額な治療費を請求するものは絶対的に反対します。ステロイド治療に不満や不安が強い人が多いので、ステロイドの使用法や安全性を十分説明する必要はあると思います。いずれにせよ、本人は悩んでの事ですから、頭ごなしに叱らない、救済方法を残すやり方で指導しております。 電子付加治療は効きますか?患者より、アトピー性疾患治療として電子付加治療というものがあると聞きました。私も調べてみたのですが、日本アトピー治療学会という聞きなれない学会が推奨しているようです。一見理にかなっているようには見えるのですが、実際のところ如何なものでしょうか?もし電子付加治療について何かご存知でしたらご教示お願いします。残念ながら実態は良く分かりません。私の外来では慢性かつ難治性の重症例が多く受診されますが、受診前の治療法としても電子付加治療は初耳です。アトピー性皮膚炎の治療&診断ガイドラインにも電子付加治療などは記載されていません。日本アトピー治療学会と実にもっともそうなネーミングですが、所属会員がどれほどいるのか?我々のような皮膚科専門医、アレルギー専門医や指導医がいるのか疑問です。これでは質問のお返事とはなりません。丁度インフルエンザAに罹患して自宅待機の身ですので、ホームページをしっかりと拝見しました。基本的におかしいのがアトピーの原因を酸化アレルゲンとして一つに括っていることだと思います。この論理はアトピー性皮膚炎診療&治療ガイドラインをご一読されればすぐ分かります。どこにも記載されている言葉ではありません。アトピーの発生機序は、最近北大皮膚科が皮膚の角層に日本特有のフィラグリン遺伝子多型を30%の症例に発見以来、バリア機能の破綻が発症の第一要因とされました。これに伴い、環境にいるダニやハウスダストが経皮的に侵入してアレルギー炎症が生じるのです。但し乳児は卵など食事の関与が強い時期ですし、年齢的&季節的にアレルゲンや増悪因子は変化します。また最近ではフィラグリン遺伝子多型がなく血清IgE値が正常&主に金属アレルギー関与が示唆される内因性という概念も出ていますし、現代人が抱える心理的なストレスも大きな要因の一つです。またいくつかの要因が複雑に絡み合い病態を複雑にしています。酸化が皮膚の老化以外に種々の炎症を起こすことは知られています。同じ論理で四国の方では活性酸素の除去を目的とした外用剤や内服を行っています。理論は同じで酸素の毒を取り除くというもので、当初大した効果はありませんでした。そこでステロイドを外用剤に混ぜるようになりました。アトピーの機序はすでにお話したように実に複雑で、単に酸素の毒を抑えられても寛解できるか疑問です。理論とシェーマと治療前後の臨床写真だけで基礎的な実験データがありません。ところで、以前中国で何にもよく効く漢方薬がネット上で評判になり日本のアトピー患者も購入者が続発しました。とにかくステロイド張りのすごい臨床効果なのです。そこで成分を調査したところ、何と最強のステロイドが入っていたのです。われわれ専門家でも滅多に使用しない最強のステロイド入りとは驚きです。本当に良い薬は正式に承認され薬価が付きます、新薬の欲しい薬品会社がほっとくわけはありません。入院療法の期間アトピー性皮膚炎に対する治療として「入院療法」が紹介されていましたが、入院期間はどの程度必要なのでしょうか?全国で少数ですが入院療法を当科のように展開しているところはあります。ばらばらで決まり残念ながらありません。治療ガイドラインをみても、マニュアル通りの治療で効果のない場合は入院とありますが期間に関する記載はありません。以前私のいた横浜労災病院では徹底的に良くなるまで入院させました。全国から多数の患者さんが来られたので皮膚症状や検査所見の改善、試験外泊で悪化症状のなしを目安にしたところ平均26.5日という入院期間でした。入院後のアンケート結果をみると、退院時の皮膚症状は改善以上の有効率は93.3%で極めて高く、不変や悪化例はいません。また、調査時の皮膚症状に関しても88.1%と高率に症状が改善維持できていることが判明しました。一方で10%の患者さんが入院期間の長さを指摘、33.3%の方が悪化時の再入院を"出来れば外来で頑張りたい"と答えています。確かに仕事を持つ社会人が1ヶ月近く休むということは問題ですし、家庭を任された主婦そして通学、受験や試験などの問題を抱えた学生にとって長すぎます。そこで、東邦大学に来てからは2週間を原則に致しました。1週間で徹底的に皮膚症状を抑え、残りの1週間で安定化を図る。退院後しばらく頑張ればコントロールできると考えたからです。その結果は2月の東京支部学術大会で発表します。退院時の皮膚症状は改善以上の有効率は92%で極めて高く、調査時の皮膚症状に関しても76%の方が改善維持できていました。一方で9%の患者さんが入院期間の長さを指摘、43%の方が悪化時の再入院を"出来れば外来で頑張りたい"と答えています。重症度や対象患者の遠距離度が異なるかも知れませんが、平均年齢は30歳代と同様でした。やはり2週間でも患者さんにとって長すぎるのかもしれません。そこで次の裏付けデータをもとに1週間に減らしています。そのデータとは、質問3でお答えした入院前後で血中のコルチゾール値を測定した結果を参考にしました。重症度と血中コルチゾール値が相関するなら、入院時に正常値以下まで低下したものが何日入院すると正常値に戻るのか?入院期間と血中のコルチゾール値の推移で計算すると4.8日という値が出ました。そこで、約1週間の入院期間で一過性の副腎機能低下状態は改善できると判断しました。現在、極めて治しにくい重症度の極めて高い皮膚症状を有する例を除き、1週間の入院を基本として初診患者に説明しております。TNF-α阻害薬について乾癬の患者さんがTNF-α阻害薬での治療に興味をもっております。乾癬であれば全て有効なのでしょうか?また、感染症の発現が危惧されると聞きましたが、大橋病院さんではどのような体制で望んでいるのでしょうか?差し支えなければ、これまでの成績も含めて教えていただけると大変参考になります。この治療はどこの施設でも自由に行える訳ではありません。副作用として重要な感染症に対して、診療体制のとれる呼吸器内科医や放射線医の常勤が必要で、皮膚科学会に正式に申請してTNF-α阻害薬使用施設として認定される必要があります。TNF-α阻害薬は2種類あり、多少適応疾患が異なります。詳細は大橋病院皮膚科のホームページを参考にして頂くと役立ちます。本剤の副作用の最も多いのが感染症です。潜在的に持っている、感染しやすいものを発症させます。日本は結核が多く、治験段階で最も危惧されたところです。ところが、しっかりとした体制が奏功したのか肺結核はおらず、細菌性肺炎が見られています。致死的な副作用は今のところありません。勿論、私どもの症例も毎回診察していますが副作用はありません。対象は、重症、難治性&治療抵抗性の乾癬および関節症性乾癬の患者さんです。罹患部位が全身で外用剤のみでコントロール不良な症例、ネオーラルやチガソンの内服でも不安定ないしその薬剤の副作用で中止した例、関節症状のコントロール不良例、さらにステロイド外用剤による局所の副作用が生じている例などです。今後あちこちの施設から有用性のデータが報告されると思いますが、有用率90%は全国の諸施設で行った治験結果の驚異的な数字です。私の経験でとくに驚いたのが、関節症性乾癬の患者さん達です。その効果は患者さんのQOL向上に素晴らしいものです。但し、最大の難点が支払い額の高さです。高額療養費制度を用いて医療費が還付されますが、それでも負担金は極めて高く、投与前に概算を示し了解を得ないと継続した治療が受けられなくなります。また、今後判明してくると思いますが予後が問題です。投与中は良いのですが、中止できるのか再燃しやすいのか、検討課題だと思います。また新薬も開発中で楽しみです。ステロイドの安全塗布量、参考文献先生の記事を拝見して「ステロイドのガイドラインとして現在も使用されている安全塗布量は、40年以上前に海外でステロイドを使う必要のない正常な人を対象にして行われたデータで、その後の追試はありません。」ということを初めて知りました。大変びっくりしています。ステロイドの安全塗布量について他に参考になる文献等がありましたらご教示お願いします。本においてステロイド(ス)外用剤は1953年から登場し、現在までに30種類以上の外用剤が開発。薬効の強さから上位からI~V群の5つに分類され使用されています。幅広い皮膚疾患に有効で、従来まで治療法のなかった疾病の治療薬として大いに役立ったことは事実です。全身皮膚が障害し多量の外用を必要とする症例の中で、Cushing様症状、骨粗しょう症や小児の発育遅延など極めて少ない確率ですが起こることが判明。多量にス外用剤を使用例が突然中止すると、皮疹悪化以外に発熱、悪寒、悪心、嘔吐などの全身症状を呈するものを離脱反応、これは一種の副腎クリーゼの状態です。質問5でお答えした民間療法が横行した時期に、ス外用剤を中止してこの反応を起こしQOLが大幅に悪化、私どもの病院に入院した症例を数多く経験しました。外用を再開し症状を改善させました。全身的な副作用を知るには、主に視床下部-下垂体-副腎皮質機能がどの程度抑制されるのかをチェックします。日常で処方される外用量、成人で10~30g/週程度では抑制は起こりません。この全身的な副作用に関しては1960~1970年代に精力的に研究されたのですが、それ以降はほとんど行われていません。薬効ランクⅢ群(リンデロン)を成人入院に1日30g、幼小児に1日13gと大量塗布した結果。1.副腎皮疹機能は一過性に生じるが、中止後1~2日で回復。2.症例によっては継続中でも抑制が回復。その理由は、皮膚が改善して経皮吸収率が低下する。3.密封療法を行うと経皮吸収率が高まり、臨床効果も上がるが抑制は顕著となる。4.小児では成人より抑制は起こりやすいので強い薬効ランクのものは控える。また、外用方法として1日5~10gで開始し、症状に合わせて漸減し3ヶ月間使用しても、一過性&可逆性の抑制は生じても不可逆性の抑制は生じないとされています。私どもの入院を要する重症例では1日12gも投与しましたが、抑制例は2例と少なくしかも正常範囲内で何ら身体的にも問題は起きませんでした。それどころが、正常値以下に抑制された症例の多くが逆に正常に復したという事実は大きな驚きでした。十分な診察もせず漫然と使い続けるのではなく、メリとハリの要領で使用量や部位別に上手に使うことが大切です。最近外来で勧めているのがプロアクティブ治療です。適切な薬剤で十分量の使用で寛解状態を作り、その後すぐに休薬するのではなく、週2回は外用することで再燃効果を大幅に減少することが出来ます。何も全身同時に開始することはありません。顔からでも、腕からでも良くなった場所はスタートO.K !眼に見えない副作用に怯えることなく、上手に使うことが重要なのです。尋常性ざ瘡(にきび)の食事療法について最近、20~30代の女性の患者様から肌に関するちょっとした質問を受けます。医者なので、ある程度はアドバイスしてあげたいのですが、尋常性ざ瘡の方の食事に気をつけることや最近の新しい治療の動向を、他科医師として知っておくべき事はありますでしょうか?御教示よろしくお願いします。一般的によく言われていることですが、甘いものや脂っこいものは避けるべきです。スナック菓子も同様です。ただ、肌に良くないからといって全部やめようと話しても難しいと思います。食べる回数や量を減らすことが大切です。また女性には生理があります。ホルモンバランスの変化する生理前に悪化する例が多く、イライラする精神的なストレス以外にヤケ食いや飲酒など食生活が悪化要因の場合があります。ディフェリンと言う新しいにきび用の外用薬が発売されています。効果は従来品のアクアチムクリームやダラシンゲルより期待出来ます。但し、皮膚のカサツキがでる場合がありますので注意して下さい。基本的なこととして、入浴時の洗顔が大切です。オイリー肌用の石鹸で十分に洗うこと、とくにベタツク&症状の強い部位は2度洗いを勧めます。入浴後、ご自身の肌にあった化粧水を塗るとかさつきは予防できますが、べたつくクリームやローションは毛穴をつぶしてしまうので禁止です。難治性の症例には、このほかピーリングが行なわれています。毛穴が詰まって角質の溜まった白ニキビや炎症の強い赤ニキビに有効です。自費診療になりますが、皮膚科専門医で行なっている施設は少なくありません。総括いろいろとご質問を頂き感謝しております。話すのは自信が多少あるのですが、文章では相手の理解度が伝わりません。また質問があれば聞いて下さい。実は私が大橋病院ホームページ委員会の責任者なのですが、機械音痴と雑用が多く皮膚科ホームページの更新が遅れ気味なのです。時間があるときに更新いたしますので、時々見て下さい。研修希望者に:どんどん大橋皮膚科を見学に来て下さい。大橋病院は歴史的な作りで驚くかもしれませんが、アットホームな環境で仲良く頑張っています。教える体制はしっかりしています。何をしたいのかをはっきり明示してそれが努力に値する仕事なら全面的にサポートします。ただ、まず皮膚科医としての基本を覚えなければいけません。皮膚科は奥が深く、自己完結型の科と言えます。ある程度オールラウンドの皮膚科医を目指し、その上で疑問、難問の解決を同時進行で行うと臨床が100倍楽しくなります。教授 向井秀樹先生「患者さんと真摯に向き合う中から病態は解明される」

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医師の学ぶ意欲、パフォーマンス向上を刺激するのはどんな評価か?

臨床パフォーマンスの評価は重要だが、難しいテーマとされる。これまでは、評価はいわずもがなで標準化しにくい、徒弟制度モデルのような主観的な判断に基づいていた。しかし近年は、コンピテンスやパフォーマンスを評価する新しいシステムによる卒後教育が構築され、ワーク・プレイス・アセスメントも、その一つとされる。では、日々の臨床パフォーマンスを評価するのに用いられるワーク・プレイス・アセスメントが、卒後教育やパフォーマンスにどれほど影響しているのか。イギリス・ペニンシュラ医科歯科大学/プリマス大学のAlice Miller氏らがエビデンスを得るため、システマティックレビューを行った。BMJ誌2010年10月2日号(オンライン版2010年9月24日号)掲載より。ワーク・プレイス・アセスメントの効果を検討した研究をシステマティックレビュー主要なデータソースは、雑誌データベース(Ovid、Medline、Embase、CINAHL、PsycINFO、ERIC)を用い行われた。また、エビデンス・レビューは、Bandolier、Cochrane Library、DARE、HTA Database、NHS EEDおよびHealth Information Resourcesのウェブサイトを活用し行われた。関連研究の参照リストとレビュー記事の文献も当たり、ワーク・プレイス・アセスメントの教育的効果、または医師のパフォーマンスに与えた効果の評価を試みた研究のいずれもが対象に含まれた。対象集団が非メディカルまたは医学生よって行われた研究は除外され、論評記事、解説、レターも同様に除外された。最終的に、実際の臨床経験ではなく模擬患者やモデル利用の研究も除外基準に含まれた。結果、16件の研究が選定された。15件は、非比較の記述・観察研究で、残りは無作為化試験だった。研究の質は混合された。マルチソース・フィードバックがパフォーマンス改善に結びつく8件の研究が、マルチソース・フィードバック(多面的評価)を検討しており、大半の医師が、マルチソース・フィードバックは教育的価値はあるが、実践を変えるほどのエビデンスはないと感じていた。ただし一部のジュニアドクターおよび外科医に、マルチソース・フィードバックに応じて変化することを喜んで受け入れる意思を示す者がいた。家庭医は、より変化に意欲的である可能性が示された。パフォーマンスへの変化が起きやすかったのは、フィードバックが正確で信頼できるものだったり、また自分たちの強みあるいは弱点を特定するのに役立つ指導がもたらされるものである時にみられた。4件の研究は、ミニ臨床評価エクササイズを検討したもので、1件の研究は、技術手順を直接観察したものであり、3件の研究は、手順を多面的に評価したものだった。そして4件とも、ワーク・プレイス・アセスメント・ツールの教育的影響をポジティブに報告していたが、これらのツールによりパフォーマンスが改善されたかを観察したものはなかった。Miller氏は、「パフォーマンス評価の手法としてワーク・プレイス・アセスメントの重要性が強調はされていても、医師の教育やパフォーマンスに与える影響を調査している論文はほとんどない」と述べたうえで、「今回のレビューで、マルチソース・フィードバックは、フィードバックの詳細、内容、促進を促す内容が盛り込まれているかで、パフォーマンス改善に重大な効果があることが明らかになった。それ以外のワーク・プレイス・アセスメント・ツール(ミニ臨床評価エクササイズなど)は、教育に与える影響があることを主観的に報告はしていたが、パフォーマンス改善に結びつくエビデンスは認められなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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鳥谷部俊一先生の答え

ラップ療法の患者家族への説明方法患者さんを自宅で介護している家族の方へ、ラップがガーゼよりも有効である旨を説明するときに上手く伝える方法はあるのでしょうか?また先生のご経験で、このように伝えると上手くいく。というノウハウがございましたら是非教えて頂きたいと考えております。宜しくお願いします。このような場合は、モイスキンパッドをお勧めします。「ガーゼの替わりにバンドエイド、キズパワーパッドを貼るのが時代の先端。治りも早く、痛くない。モイスキンパッドをよく見てください、巨大なバンドエイドですよ」。こんなふうに説明してください。モイスキンパッドで良くなってきたら、床ずれパッドを見せて、「そっくりでしょ。しかも安いんです」とお話しましょう。アトピー性皮膚炎のラップ療法アトピー性皮膚炎でもラップ療法が有効であるとか有効でないとか、賛否両論のようですが、先生はどのようにお考えでしょうか?また、有効である場合に、どのような点に気をつければ宜しいでしょうか?ご教示宜しくお願いします。ラップ療法は、床ずれの治療法です。「アトピー性皮膚炎にドレッシング療法が有効か」という質問にお答えできる立場ではありません。アトピー性皮膚炎に対するドレッシング療法の可能性の問題は興味深く、論議が深まることを期待します。モイスキンパッドはじめまして。日々、「皮膚・排泄ケア認定看護師」とともに床ずれの診療をさせていただいている一皮膚科医です。以前、形成外科の先生が手作りで、「モイスキンパッド」と同様なものを使用されていました。「皮膚・排泄ケア認定看護師」は、あまりいい顔をしていませんでした。実際、ある程度褥瘡は改善するものの、その周囲にかぶれを起こしたり、体部白癬に罹患する患者さんが後を立ちませんでした。結局、ラップ療法を中止することとなりました。これについて、先生はどのようにお考えになりますか?どのようにすれば、こうした皮膚トラブルを避けられますか?改善点はありますでしょうか?ご教示いただけるとありがたいと思います。ご質問ありがとうございます。いろいろ工夫してラップ療法を試みたことに敬服します。ラップ療法や、モイスキンパッド処置では、抗真菌剤を塗布して真菌症を簡単に治療することができます。2000年の医師会雑誌に書いたラップ療法の論文では、合併した「カンジダ症2例を抗真菌剤で治療した」と明記しております。夏など暑い季節には、予防的に抗真菌剤を塗ります。クリーム類がお勧めです。ラップ療法や、モイスキンパッド処置ではドレッシングを絆創膏で固定しないで毎日交換するので、外用薬を毎日塗るのが容易です。真菌は湿潤環境で増殖しますので、吸水力の高いモイスキンパッドを使って皮膚を乾燥させることをお勧めします。手作り「モイスキンパッド」の吸水力についてはデータがありませんのでコメントできません。既成のドレッシングや軟膏ガーゼの治療の場合も真菌感染を生ずるのですが、なぜか話題になることが少ないようです。高齢者の足をみると、ほとんどの方の爪が白く濁って変形しております。白癬症です。爪白癬がある人をよく観察すると、全身に角化した皮疹が見られます。掻痒感があれば、爪で引っかいた痕跡や、体を捩って背中を擦り付ける動作があるでしょう。足ユビ、足底、足背、下腿、膝、臀部、背部、後頭部、手、上肢などをよく調べれば、白癬菌が検出されます。皮膚を湿潤環境にすると、真菌類(カンジダ、白癬)が増殖しやすくなります。抗真菌外用薬(クリーム)を積極的に使用して治療します。基礎疾患が重篤な場合は?現場の知恵を洗練していく先生に敬意を持っております。通常の免疫能がある患者さんにおいては、水道水による洗浄と湿潤環境で軽快するというのはわかりますが、がん治療に伴い免疫不全状態にある患者さん、糖尿病のコントロールがうまくなくこれも免疫不全のある患者さん等、表在の細菌、真菌に弱いと考えられる患者さんにも同様に適応し、効果を期待できるのでしょうか。こうした患者さんにはある程度の消毒なり軟膏治療が必要になるのではないでしょうか。困難な症例に取り組むご様子に敬服します。基礎疾患が重篤な症例に対するラップ療法の有効性は確立しておりません。よって、このような症例には、「ガイドライン」に従った治療をするのが安全であると考えます。ただし、「こうした患者さんに消毒・軟膏治療が有効である」というエビデンスが無いのが現状です。また、「基礎疾患が重篤な患者にこそ、消毒や軟膏による有害事象が生じ易いのではないか」という観点からの検討も必要です。床ずれに対するラップ療法の治癒の機序床ずれはもともと血流障害ですが、これがラップ療法で治癒する機序は何でしょうか。創傷治療の本質に迫るご質問、ありがとうございます。既存の軟膏ガーゼ処置は、「厚い小さなドレッシング」が外力(圧力/ずれ力)を床ずれに加えるため、血流障害をおこして治癒を遷延させます。ラップ療法は、「薄い大きななドレッシング」が外力(圧力/ずれ力)を打ち消すことにより、血流を改善して治癒を促進する湿潤療法です。床ずれの原因は、「外力による血流障害」です。一方、下腿潰瘍などの末梢動脈疾患(PAD)は、「外力によらない血流障害」です。床ずれは、外力(圧力/ずれ力)を取り去ることにより血流が改善して治癒に向かいます。例えば、仙骨部の床ずれは、「腹臥位」で圧迫を防ぐことにより治癒した、という報告があります。要するに、「圧迫さえ無ければ床ずれは普通の切り傷と同じような治り方をする」ということです。圧迫を減らすための工夫が、体圧分散マットレス、体位変換、ポジショニングなどです。ラップ療法は、外力を分散するドレッシング療法・湿潤療法です。感染がある 虚血がある感染症があれば、抗菌作用のパスタ剤や、感受性のある抗菌軟膏やソフラチュールなどは一定期間必要じゃないでしょうか。血流を高めるPG剤も必要では。また、化学的デブリードメントにあたるプロメラインなども必要ではないでしょうか。ラップ療法を実践している医療者の多くは、感染症は抗生剤全身投与で、血流改善は(必要に応じて)PG剤全身投与で治療しております。デブリードメントは、外科的デブリードメントと湿潤療法による自己融解を行なっており、化学的デブリードメント剤は使っておりません。「学会ガイドライン」を参照したところ、ご指摘の外用剤はガーゼとの組み合わせでエビデンスが証明されているようですが、ラップ療法やモイスキンパッドとの組み合わせによるエビデンスはございません。今後、エビデンスが集積されてから併用されることをお勧めします。ラップで治療困難な症例の判別皮膚所見をみた当初から、外科治療、皮弁手術が必要かどうかは、判別可能でしょうか。ある程度ラップしたあとで、考慮するのでしょうか。もちろん他の疾患の管理をし栄養、感染など評価をした場合として。ラップ療法は床ずれの保存療法です。外科治療、皮弁手術を考慮される場合は、「学会ガイドライン」に従った治療をお勧めします。2010年の日本褥瘡学会での議論を拝見した限りでは、外科治療、皮弁手術の適応症例は減っているようでした。感染症に対して抗生剤と抗真菌薬の外用と全身投与について感染症には抗生剤の全身投与は理解できるのですが、表在真菌感染症に抗真菌薬の外用が効くのはどうしてでしょうか?抗生剤の外用はなぜ不適切なのでしょうか?ご教授よろしくお願いします。一部の領域(皮膚科、耳鼻科、歯科など)を除き、細菌感染症の治療は抗生剤全身投与が標準治療です。創感染に対する抗生剤外用は、耐性菌誘発リスクなどの理由から、CDCガイドラインなどは推奨しておりません、「学会ガイドライン」にも推奨の記載が見当たりません。表在真菌感染症は、表皮が感染の舞台なので、抗真菌外用剤がよく効きます。抗生剤の外用は無効です。細菌感染の舞台は真皮や皮下組織、あるいはさらに深部の組織です。閉鎖療法の場合は、創を閉鎖して組織間液が深部組織に逆流する結果抗菌薬が感染部位に到達すると想像されますが、ラップ療法・開放性湿潤療法では、創を開放するので組織間液の逆流は起きず、抗菌剤は感染部位に到達しないと考えます。全身投与された抗生物質は、血流を通じて感染部位に到達します。糖尿病性神経症、ASO合併の下肢壊疽80歳、女性、糖尿病で血液透析の患者です。3年前 右足趾を壊疽で切断。今回は左下足に足趾を中心に踵まで、壊疽、深い、汚染の褥瘡様潰瘍があります、悪臭がします。切断は拒否しています。ラップ療法は有効でしょうか?ラップ療法は、床ずれの治療法です。よって、この症例はラップ療法の適応外です。PADのガイドラインに従った治療をお勧めします。血管治療、デブリドマン後のドレッシング材としてモイスキンパッドが有効であったとの報告があります。このような処置は、ラップ療法とではなく、ドレッシング療法、湿潤療法と呼称すべきです。病院皮膚科形成外科との調整病院内科勤務医です。当院では褥瘡ケアは皮膚科の褥瘡ケアチームが回診しています。形成外科は陰圧吸引療法の高価な機械を使いますが患者の一部費用負担はあるものの病院としては赤字になるようです。どのようにして病院全体の褥瘡ケアを統一改善していったらよいでしょうか。アドバイスをお願い申し上げます。かつて同様の立場にあった内科医として、同情申し上げます。1999年に日本褥瘡学会でラップ療法の発表をして12年になりますが、2009年の学会シンポジウムで「ラップ療法と学会ガイドラインは並立する」と(私が)宣言したことが、「在宅のラップ療法を条件付で容認する」という2010年の学会理事会見解につながったようです。「褥瘡ケアの統一」は、学会ガイドラインで統一するか、ラップ療法で統一するかの選択問題ですが、未だ結論が出ておりません。より多くの方がラップ療法を支持するようになれば、学会がラップ療法を受容する日がいずれ来るでしょう。皆様のお働きを期待申し上げます。総括医学の歴史を紐解くと、新しい考え方が「専門領域の侵害」と受け止められ、いろいろな形で抵抗を受けてきたことが分かります。ゼンメルヴァイスの「消毒法」が医学界で受け入れられたのは、ゼンメルワイスの死後のことです。ラップ療法はインターネットの時代に遭遇して、学会よりも一般社会で先に普及しました。情報化社会では、権威者よりも一般社会が先に一次情報を入手することができます。そうした中にあって、情報の真贋を見抜く力(情報リテラシー)が必要であり、そうした能力が専門家と呼ばれる人々に求められております。MediTalkingという場でラップ療法の議論が深められたのはこうした時代の反映であり、有意義なものと考えます。顧問 鳥谷部俊一先生「床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!」

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歯磨きしないと心血管疾患になる?

劣悪な口腔衛生状態は心血管疾患のリスクを増大させ、軽度炎症のマーカーとも関連することが、イギリスUniversity College London疫学・公衆衛生学科のCesar de Oliveira氏らによるScottish Health Surveyの結果から明らかとなった。過去20年以上にわたり歯科疾患と心血管疾患の関連に対する関心が高まっている。炎症は動脈硬化の病因として重要であり、軽度炎症のマーカーが、高い心血管疾患リスクと関連することが示されており、口腔衛生が劣悪な状態は慢性的な炎症状態である歯周病を起こしやすいという。BMJ誌2010年6月26日号(オンライン版2010年5月27日号)掲載の報告。歯磨きの回数と心血管イベントのリスクの関連を評価研究グループは、自己申告による歯磨きの状況と心血管疾患との関連、および炎症マーカー(C反応性蛋白:CRP)、凝固(フィブリノゲン)との関連について検討した。スコットランドに居住する一般家庭を対象としたScottish Health Surveyに登録された平均年齢50歳の1万1,869人について解析を行った。口腔衛生状態は自己申告による歯磨きの回数で評価した。調査は病院の臨床記録とプロスペクティブに連動させ、Cox比例ハザードモデルを用いて口腔衛生状態に応じた心血管疾患イベントや死亡のリスクを推定した。口腔衛生と炎症、凝固との関連は4,830人において評価した。口腔衛生が劣悪だと心血管疾患イベントのリスクが1.7倍にフォローアップ期間平均8.1年において心血管疾患イベントは555件発生し、そのうち170件が致死的であった。心血管疾患イベントを来した患者の74%(411例)が冠動脈心疾患と診断されていた。完全に補正されたモデルでは、口腔衛生が劣悪な集団(歯を磨かない、または磨くことはまれ)では心血管疾患イベントのリスクが有意に増大していた(ハザード比:1.7、95%信頼区間:1.3~2.3、p<0.001)。これらの集団では、CRPやフィブリノゲンの濃度も上昇していた。著者は、「劣悪な口腔衛生状態は心血管疾患のリスクを増大させ、軽度炎症のマーカーとも関連することが示された。しかし、その因果関係は明らかではない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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一般用医薬品の国内市場は今どうなっている?

富士経済は22日、改正薬事法により変動する国内の一般用医薬品の主要薬効73分野の調査を2010年1月から4月にかけて実施し、分析の結果をまとめたものを発表した。今回は、同社がまとめた報告書「一般用医薬品データブック 2010 No.2」「一般用医薬品データブック 2010 No.3」からの紹介。調査対象は、感冒関連用薬、循環器・血液用薬、泌尿器官用薬、歯科口腔用薬、ドリンク剤、ビタミン剤、その他精神神経用薬、それに漢方薬などの10分野50品目。市場を明らかにすると共に13年に向けて市場を予測した。改正薬事法(2009年6月施行)は、一般用医薬品を副作用リスクの高い順から第1類、第2類、第3類に分け、第1類は薬剤師に取り扱いを限定し、第2類は薬剤師の他に新たに登録販売者の取り扱いも可能としている。第3類は、通信販売も可能となる。ただし、通信販売の取り扱いが第3類に限定されることに対して日本オンラインドラッグ協会や全国伝統薬連絡協議会が反対の姿勢を表明しており、紆余曲折が予想される。また、第1類の取り扱いについてさまざまな課題が明らかになりつつある。2009年は、新型インフルエンザの流行で医療機関受診の傾向が強まり、市場規模の大きい総合感冒薬は562億円と前年から6.6%も落ち込み、感染予防意識の高まりから含嗽剤特需(96億円前年比33%増)が生じた。また、ドリンク剤とミニドリンク剤(一般用医薬品と医薬部外品を合わせた市場)は、2009年はミニドリンク剤が女性用や新コンセプト製品の投入で増加(621億円、前年比1.1%増)したが、冷夏でドリンク剤が低迷(1,039億円前年比3.9%減)して、前年同様、全体では減少という結果になった。改正薬事法は、第1類の取扱店減少や取扱い時間の縮小の影響から大幅に実績が減少する薬効品目も見られた。特に、販売実績が大きかった制酸薬、禁煙補助剤市場では09年は前年比で10%以上の大幅な減少となった。また市場は小規模であるが、新薬効製品として認知途上のしみ治療薬、口唇ヘルペス治療薬、エネルギー代謝改善薬などは、改正薬事法で第1類に分類され売り場の露出が低下して市場は減少した。市場全体では第2類の薬効品目が多いため、2009年の減少は季節要因による需要減退が大きかった。10年1月にはロキソプロフェンナトリウム水和物、エピナスチン塩酸塩、トロキシピドを有効成分とする第1類医薬品が承認されるなど、一般用医薬品市場の停滞状況を打破するために、スイッチOTCを積極的に展開し新規薬効領域開拓や顧客獲得を目指す動きが活発化している。詳細はプレスリリースへhttps://www.fuji-keizai.co.jp/market/10055.html

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中高年の口臭に特有な成分とは?

 ライオン株式会社は、東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野 川口陽子教授と共同で、口臭成分と口腔内状況との関連について研究を行っている。20日、中高年の口臭を調べた結果、特徴的で不快なニオイの原因は、“足の不快なニオイ”で知られている「イソ吉草酸」などの揮発性低級脂肪酸であることを明らかにしたと発表した。さらに、「イソ吉草酸」の量は加齢により増加し、口臭の官能評価値とも有意に関連性があることを臨床試験において確認したと報告した。 研究では、・加齢とともに増加する口腔内細菌は、口臭成分を産生するか・中高年の口臭に特有な原因物質及び原因菌は何か 以上を明らかにするために検討を行った。 臨床試験の結果より、今回初めて、中高年に特徴的な口臭成分は、加齢により口腔内で増加する「プレボテラ属の細菌」や歯周病原因菌「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌」によって産出される「イソ吉草酸」であることを明らかにした。 一般的に中高年になると、酸素を嫌う嫌気性細菌である「プレボテラ属の細菌」が口腔内に生息しやすくなり、揮発性低級脂肪酸が発生しやすくなると考えられるという。その揮発性低級脂肪酸と揮発性硫黄化合物が口腔内で混ざることによって、中高年特有の不快な口臭となるものと考察されるとのこと。

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医療・介護系、理美容系職種の就業に関する意識調査

 株式会社インテリジェンスは27日、同社が運営する求人情報サービス「an」にて、医療・介護系、理美容系の有資格者を対象に行った就業に関する意識調査の結果を発表した。 「医療系」「介護系」「理美容系」職種の有資格者に、仕事を探す際の重視点について聞いた質問では、3職すべてで「やりがいのある仕事であること」が最多となった。「やりがい」を重視した人は、全職種の平均で4.0%なのに対し、「医療系」16.1%、「介護系」15.7%、「理美容系」 21.5%と、いずれも高い割合となっている。また「医療系」「介護系」では、「正社員、または正社員に近い雇用形態であること」が「介護系」13.0%、「医療系」8.7%と、全職種平均(5.2%)を上回っており、正社員志向が強いことがわかった。 仕事を辞める理由について聞いた質問では、「業務内容の割に給与が低いから」が「介護系」(30.5%)、「理美容系」(23.2%)で最多。「医療系」でも20.8%と、「職場や社員の雰囲気が悪いから」(29.0%)に次ぐ多数回答となっていた。 調査対象となった資格は、医療系は看護師、准看護師、助産師、看護助手、臨床検査技師、薬剤師、登録販売者、鍼灸師、作業療法士、理学療法士、柔道整復師、医療事務、歯科衛生士。介護系は、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士(ケアワーカー)、社会福祉士(ソーシャルワーカー)、訪問介護員(ホームヘルパー:1級、2級、3級の区別は問わない)。詳細はプレスリリースへhttp://www.inte.co.jp/corporate/library/survey/20091027.html

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