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小児の熱傷面積62%以上で死亡リスクが増大

小児の重度熱傷では、受傷面積が大きくなるほど不良な予後のリスクが増大し、熱傷面積が全体表面積の62%を超えると死亡のリスクが有意に上昇することが、米国・テキサス大学医学部シュライナー小児病院のRobert Kraft氏らの検討で示された。1998年、Ryanらは熱傷患者の予後予測モデルを開発し、不良な予後の予測因子として熱傷面積が全体表面積の40%に及ぶ場合を提唱した。しかし、その後の10年で熱傷治療は大きな発展を遂げ、生存および予後はさらに改善されたという。Lancet誌2012年3月17日号(オンライン版2012年1月31日号)掲載の報告。小児の熱傷面積と合併症罹患率、死亡率の関連を前向きに評価研究グループは、小児における熱傷面積と合併症罹患率、死亡率の関連を評価するために、単施設におけるプロスペクティブな観察コホート試験を実施した。解析には全体表面積の30%以上の熱傷を受けた小児の臨床データを用いた。熱傷面積30~100%の患児を10%ごとに7群に分け、各群の予後を比較した。カットオフ値の算出には、受信者動作特性(ROC)分析を用いた。熱傷面積60%以上の患児は直ちに熱傷専門施設へ1998~2008年までに、テキサス大学医学部シュライナー小児病院(ガルベストン)に952例の重度熱傷患児が入院した。全体の平均年齢は7.3歳で、男児が628例(66%)であった。123例(13%)が死亡し、そのうち熱傷面積30~39%の群の死亡率が3%(5/180例)であったのに対し、90~100%の群は55%(28/51例)と有意に高かった(p<0.0001)。154例(16%)が多臓器不全をきたしたが、熱傷面積30~39%群の6%(10/180例)に比べ90~100%群は45%(23/51例)と有意に高値であった(p<0.0001)。敗血症は9%(89例)が発症し、30~39%群の2%(3/180例)に対し90~100%群は26%(13/51例)と、やはり有意差を認めた(p<0.0001)。死亡に関するROC分析では、熱傷面積が62%を超えると死亡リスクが有意に上昇した(オッズ比:10.07、95%信頼区間:5.56~18.22、p<0.0001)。著者は、「熱傷後の合併症罹患や死亡リスクの受傷面積閾値はおよそ60%であった」とし、「これらの知見に基づき、熱傷面積60%以上の患児は直ちに熱傷専門施設に搬送することが推奨される。さらに、熱傷面積が大きくなると不良な予後のリスクが増大することから、熱傷専門施設では最大限の注意を払って治療を進め、さらなる治療法の改善に努めるべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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開発中のENB-0040酵素補充療法、重篤な低ホスファターゼ症を改善

重篤な低ホスファターゼ症の乳幼児に対し、開発中のENB-0040による酵素補充療法が、肺および身体機能を改善することが報告された。米国・シュライナーズ小児病院(ハワイ州)のMichael P. Whyte氏らによる多国間オープンラベル試験の結果で、治療24週でX線上の所見での骨格改善が認められた。くる病や骨軟化症に至る低ホスファターゼ症は、組織非特異型アルカリホスファターゼアイソザイム(TNSALP)の遺伝子変異により生じる。重篤な乳児では、進行性胸部変形を呈し呼吸機能不全を来し死亡に至ったり、また骨疾患が持続する場合が多いが、承認されている内科的治療法はいまだない。ENB-0040は、骨を標的とする遺伝子組換えヒトTNSALPで、マウス試験で低ホスファターゼ症の症状発現を抑えることが認められていた。NEJM誌2012年3月8日号掲載報告より。重度の低ホスファターゼ症患者11例を対象にオープンラベル試験被験者として応募したのは、生後2週~3歳の生命が危機的状態にあるまた衰弱が激しい低ホスファターゼ症の乳幼児11例(女児7例、男児4例)だった。そのうち10例が6ヵ月のENB-0040治療を完了し(1例は試験同意後撤回)、9例は1年間治療が行われた(1例は治療開始7.5ヵ月後に敗血症により死亡)。試験の主要目的はくる病の治癒とし、X線所見で評価した。運動と認知の発達、呼吸機能、安全性、ENB-0040の薬物動態と薬力学についても評価が行われた。6ヵ月治療でくる病治癒、発達指標と肺機能も改善6ヵ月治療を完了した9例ではくる病の治癒が認められ、発達指標および肺機能の改善も認められた。基線で高値であったTNSALP基質の無機ピロリン酸とピリドキサール5’-リン酸塩値も、ともに低下が認められた。また骨格の治癒とともに、血清副甲状腺ホルモンの上昇が認められ、頻繁に食事性カルシウム・サプリメントを必要とした。低カルシウム血症、異所性石灰化、薬物関連の重大有害事象の所見は認められなかった。4例に低値の抗ENB-0040抗体が出現したが、治療48週時点での明らかな臨床的、生化学的、自己免疫の異常は認められなかった。(朝田哲明:医療ライター)

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術前の貧血は非心臓手術患者の予後を増悪させる

非心臓手術を受ける患者では、術前の貧血はたとえそれが軽度であっても術後30日以内の合併症や死亡のリスクを上昇させることが、レバノンAmerican University of Beirut医療センターのKhaled M Musallam氏らの検討で示された。心臓手術前に貧血がみられた患者は、術後の合併症の罹患率および死亡率が増大することが知られているが、非心臓手術における術前の貧血が予後に及ぼす影響は不明であった。術中の輸血は、少量であっても合併症率、死亡率を上昇させることが報告されており、術前貧血は術中輸血の機会を増大させるためリスク因子とみなされるという。Lancet誌2011年10月15日号(オンライン版10月6日号)掲載の報告。術前貧血が術後アウトカムに及ぼす影響を後ろ向きに評価するコホート試験研究グループは、非心臓手術を受ける患者において、術前の貧血が術後の合併症率、死亡率に及ぼす影響をレトロスペクティブに評価するコホート試験を実施した。「米国外科学会の手術の質改善プログラム(American College of Surgeons’ National Surgical Quality Improvement Program)」のデータベース(世界211病院からプロスペクティブに集められたアウトカムのレジストリー)を用い、2008年に主な非心臓手術を受けた患者のデータについて解析した。30日合併症率および30日死亡率(心臓、呼吸器、中枢神経系、尿路、創傷、敗血症、静脈血栓塞栓症)、人口学的因子、術前・術中のリスク因子に関するデータを収集した。貧血は軽度(ヘマトクリット値が男性29~39%、女性29~36%)および中等度~重度(男女ともヘマトクリット値<29%)に分けた。リスク因子(65歳以上、心疾患、重度COPD、中枢神経疾患、腎疾患、がん、糖尿病、敗血症、肥満)に基づくサブグループにおいて、貧血が術後のアウトカムに及ぼす影響について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。術後30日合併症率、死亡率が有意に上昇非心臓手術を受けた患者22万7,425例のうち6万9,229例(30.44%)に術前の貧血が認められた。術後の30日死亡率は、術前非貧血患者よりも貧血患者で有意に高く(調整オッズ比:1.42、95%信頼区間:1.31~1.54)、この差は軽度貧血(同:1.41、1.30~1.53)および中等度~重度貧血(同:1.44、1.29~1.60)に一致して認められた。術後30日合併症率も、術前非貧血患者に比べ貧血患者で有意に高く(調整オッズ比:1.35、95%信頼区間:1.30~1.40)、死亡率と同様に軽度貧血(同:1.31、1.26~1.36)および中等度~高度貧血(同:1.56、1.47~1.66)で一致していた。著者は、「非心臓手術を受ける患者では、術前の貧血はたとえそれが軽度であっても術後30日以内の合併症や死亡のリスクを上昇させる」と結論し、「この知見は、年齢、性別、手術手技にかかわらず一貫して認められ、貧血が既知のリスク因子と併存すると、リスク因子がアウトカムに及ぼす影響がさらに増大した」としている。(菅野守:医学ライター)

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新生児敗血症への免疫グロブリン静注療法、転帰を改善せず

新生児敗血症に対する免疫グロブリン静注療法は、転帰に対する効果がないことが明らかにされた。国際新生児免疫療法試験(INIS)共同研究グループは、9ヵ国113施設で約3,500例の被験児を対象に行った結果による。新生児の主要な死因であり合併症をもたらす敗血症は、抗菌薬治療に加えた有効な治療が必要とされる。そうした患児に対して免疫グロブリン静注療法は全死因死亡を減らすことがメタ解析の結果、示されていた。しかし解析対象であった試験は小規模で、試験の質もバラバラであったことから、INIS共同研究グループが、国際化多施設共同二重盲検無作為化試験を行った。NEJM誌2011年9月29日号掲載報告より。9ヵ国113施設3,493例を対象に二重盲検無作為化試験試験は、2001年10月~2007年9月に、イギリス、オーストラリア、アルゼンチンなど9ヵ国113施設から、重度感染症が疑われるか、または認められ抗菌薬治療を受けていた新生児合計3,493例が登録され行われた。被験児は無作為に、多価IgG免疫グロブリン静注投与(投与量500mg/kg体重)群(1,759例)か、プラセボ群(1,734例)に割り付けられ追跡された。投与は2回ずつ行われ、1回目と2回目の間隔は48時間だった。主要アウトカムは、2歳時点の死亡または重度障害とした。2歳時点の死亡または重度障害、両群に有意差認められず結果、主要アウトカムの発生率について、両群に有意な差は認められなかった。免疫グロブリン静注群は39.0%(686/1,759例)、プラセボ群は39.0%(677/1,734例)で、相対リスク1.00(95%信頼区間:0.92~1.08)だった。その後の敗血症エピソードの発生率など、副次アウトカムの発生率についても同様に有意差は認められなかった。2歳児フォローアップにおいても、重度・非重度障害または有害事象の発生率に有意差は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

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電子カルテの自由記述から導出した患者安全指標、従来ツールより良好:米国

電子カルテシステム導入が進む中、その自由記述欄から自然言語処理にて導き出した患者安全指標の精度に関する検討が、米国・Tennessee Valley Healthcare SystemのHarvey J. Murff氏らにより行われた。術後合併症を特定するかどうかについて、現状ツールである退院コーディング情報をベースとした指標と比べた結果、感度では優れ、特異度は若干劣ったものの90%以上と非常に高い値が示されたという。電子カルテデータを活用した患者安全特定の方法は、現状では診療データコード(ICD)に依存している。研究グループは、それよりも自由記述から導き出した指標のほうが、高い検出力を示すのではないかと仮定し検討を行った。JAMA誌2011年8月24日号掲載報告より。術後合併症の特定力について、退院コーディング情報ベースの指標と比較Murff氏らは、1999~2006年の3州6ヵ所の退役軍人医療センターで外科的手術を受けた患者2,974例に関する断面調査を行った。電子カルテデータから特定された、透析を要した急性腎不全、深部静脈血栓症、肺塞栓症、敗血症、肺炎または心筋梗塞の術後発生を、VASQIP(VA Surgical Quality Improvement Program)で再評価し、それら合併症を特定する自然言語処理アプローチの感度と特異度を求め、退院コーディング情報をベースとした患者安全指標とのパフォーマンスを比較した。感度、特異度ともに優れる各合併症発生率は、透析を要した急性腎不全2%(39/1,924例)、肺塞栓症0.7%(18/2,327例)、深部静脈血栓症1%(29/2,327例)、敗血症7%(61/866例)、肺炎16%(222/1,405例)、心筋梗塞2%(35/1,822例)だった。急性腎不全例を正確に特定する感度は、従来患者安全指標が38%(95%信頼区間:25~54%)であったのに対し、自然言語処理アプローチは82%(同:67~91%)だった(p<0.001)。深部静脈血栓症(59%vs 46%、p=0.30)、敗血症(89%vs 34%、p<0.001)、肺炎(64%vs 5%、p<0.001)、心筋梗塞(91%vs 89%、p=0.67)についても同様の結果が得られた。特異度は、自然言語処理アプローチが従来患者安全指標よりも低値を示したが、いずれも90%以上と非常に高かった。急性腎不全(94%vs 100%)、深部静脈血栓症(91%vs 98%)、敗血症(94%vs 99%)、肺炎(95%vs 99%)、心筋梗塞(95%vs 99%)だった(すべてp<0.001)。(武藤まき:医療ライター)

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重症感染症児への輸液ボーラス投与、48時間死亡率を上昇

 ショック患者への急速早期の輸液蘇生術は、救急治療ガイドラインに示されており、小児科における生命維持訓練プログラムでも支持されている。しかし、処置法、用量、輸液の種類に留意したエビデンスはなく、集中ケア施設がまず利用できないアフリカのような、医療資源が限られた環境下でのショック患児や生命に関わるような重症感染症児への治療に対する輸液蘇生の役割は確立されていない。そこでケニア中央医学研究所(KEMRI)のKathryn Maitland氏らは、アフリカ東部3ヵ国で輸液蘇生の効果を調べる無作為化試験を行った。NEJM誌2011年6月30日号(オンライン版2011年5月26日号)掲載より。アルブミンボーラス、生食ボーラスと対照群の3群に無作為化し48時間後の転帰を比較 研究グループは、ウガンダ、ケニア、タンザニアで、重症熱性疾患と循環不全で入院した小児を、5%アルブミン溶液20~40mL/kg体重ボーラス投与(アルブミンボーラス群)もしくは0.9%生食液20~40mL/kg体重ボーラス投与(生食ボーラス群)する群か、ボーラス投与しない群(対照群)の3群に無作為に割り付け検討した(A層試験)。このA層試験では、重症低血圧の小児は除外されB層試験にて、いずれかのボーラス投与群に無作為に割り付けられ検討された。 >被験児は全員、ガイドラインに基づく、適切な抗菌薬治療や静脈内維持輸液ならびに生命維持のためのトリアージや救急療法を受けた。なお、栄養失調または胃腸炎の患児は除外された。 主要エンドポイントは、48時間時点の死亡率とし、副次エンドポイントには、肺水腫、頭蓋内圧亢進、4週時点の死亡または神経学的後遺症の発生率などが含まれた。 A層試験は3,600例の登録を計画していたが、3,141例(アルブミンボーラス群1,050例、生食ボーラス群1,047例、対照群1,044例)が登録された時点でデータ安全モニタリング委員会の勧告により補充が停止された。 マラリアの保有率(全体で57%)、臨床的重症度は全群で同程度だった。ボーラス後48時間死亡率が有意に上昇 A層における48時間死亡率は、アルブミンボーラス群10.6%(1,050例中111例)、生食ボーラス群10.5%(1,047例中110例)、対照群7.3%(1,044例中76例)だった。生食ボーラス群 vs. 対照群の相対リスクは1.44(95%信頼区間:1.09~1.90、P=0.01)、アルブミンボーラス群vs.生食ボーラス群の相対リスクは1.01(同:0.78~1.29、P=0.96)、両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.45(同:1.13~1.86、P=0.003)だった。 4週時点の死亡率は、それぞれ12.2%、12.0%、8.7%だった(両ボーラス群vs.対照群の相対リスクは1.39、P=0.004)。神経学的後遺症発生率は、2.2%、1.9%、2.0%だった(同1.03、P=0.92)だった。肺水腫または頭蓋内圧亢進の発生率は、2.6%、2.2%、1.7%だった(同1.46、P=0.17)。 B層では、死亡率がアルブミンボーラス群69%(13例中9例)、生食ボーラス群56%(16例中9例)だった(アルブミンボーラスの相対リスク:1.23、95%信頼区間:0.70~2.16、P=0.45)。 これらの結果は、施設間、サブグループ間(ショック重症度や、マラリア、昏睡、敗血症、アシドーシス、重症貧血の状態に基づく)で一貫して認められた。 研究グループは「医療資源が限られたアフリカでの重症循環不全児に対する輸液ボーラスは、48時間死亡率を有意に高める」と報告をまとめている。

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膵体尾部切除術後のステープル創閉鎖、膵液瘻の予防効果を改善せず:DISPACT試験

膵体尾部切除術後の創閉鎖にステープルを用いても、縫合糸による閉鎖に比べて膵液瘻の発生率は減少しないことが、ドイツ・ハイデルベルク大学のMarkus K Diener氏らの検討で明らかとなった。膵体尾部切除術後の膵液瘻の形成は、主な術後合併症の原因となっており(13~64%)、腹腔内膿瘍、創感染、敗血症、吸収不良、出血などの、さらなる合併症を引き起こすことが、系統的レビューによって示されている。手術手技や施術医の技能が膵液瘻のリスク因子とされ、切除や残存膵閉鎖の手技によって瘻孔形成に差があることが報告されているが、最適な膵断端閉鎖法は確立されていないという。Lancet誌2011年4月30日号(オンライン版2011年4月27日号)掲載の報告。ステープル閉鎖と縫合糸閉鎖を比較する無作為化対照比較試験DISPACT試験の研究グループは、膵体尾部切除術後の膵液瘻の予防における、標準化されたステープルによる創閉鎖と縫合糸による閉鎖の有効性を比較する、多施設共同無作為化対照比較試験を行った。ヨーロッパの21施設から、膵体部および尾部の疾患で膵体尾部切除術の適応とされた患者が登録され、ステープル閉鎖を行う群あるいは縫合糸閉鎖を行う群に無作為化に割り付けられた。主要評価項目は、術後7日までの膵液瘻または死亡の発生率の複合エンドポイントとし、患者および予後評価者には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目:32% vs. 28%2006年11月16日~2009年7月3日までに450例(ステープル閉鎖群:221例、縫合糸閉鎖群:229例)が登録され、そのうち352例(それぞれ177例[女性92例、男性85例、平均年齢59.8歳]、175例[女性99例、男性76例、年齢59.8歳])が評価可能であった。術後7日までの膵液瘻または死亡の発生率は、ステープル閉鎖群が32%(56/177例)、縫合糸閉鎖群は28%(49/175例)であり、両群間に差を認めなかった(オッズ比:0.84、95%信頼区間:0.53~1.33、p=0.56)。縫合糸閉鎖群の1例が術後7日以内に死亡したが、ステープル閉鎖群には死亡例は認めなかった(p=0.31)。重篤な有害事象の発生率は両群に差はなかった(膵液瘻:ステープル閉鎖群20% vs. 縫合糸群22%、膿瘍/膵液貯留:16% vs. 9%、出血:7% vs. 9%、創感染:2% vs. 7%など、p=0.25)。重篤な有害事象による死亡率も同等であった(13% vs. 15%、p=0.69)。著者は、「ステープル閉鎖は、縫合糸閉鎖に比べ膵体尾部切除術後の膵液瘻の発生率を低下させなかった」と結論し、「膵体尾部切除術に伴う有害なアウトカムを抑制するには、革新的な手術手技など新たな治療戦略の開発が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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重度敗血症は高齢者の自立を損なう

重度敗血症を発症し、回復した人は、その後中等度から重度の認知障害を発症するリスクが3倍超に増大することが報告された。また同発症後には、新たに現れる身体機能の制約数も増えるという。米国ミシガン大学医学校内科部門のTheodore J. Iwashyna氏らが、敗血症で入院した高齢者約1,200人について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2010年10月27日号で発表した。重度敗血症の罹患率は高く、また増加傾向にあるものの、その後の長期的な認知能力や身体機能に与える影響については、これまでほとんど調査されていなかった。重度敗血症後の中~重度認知障害リスク、3.34倍に同氏らは、1998~2006年に50歳以上の米国住民を抽出し行われた全米調査「HRS(Health and Retirement Study)」のうち、認知能力や身体機能などに関する情報の得られた9,223人のデータを元に、前向きコホート試験を行った。HRSコホートのうち、重度敗血症で入院した人は1,194人、入院件数は1,520件だった。そのうち、回復した人は516人(入院時の平均年齢は76.9歳)だった。一方、被験者のうち重度敗血症以外で入院した人は、4,517人だった。重度敗血症で入院した人は、中等度から重度の認知障害の罹患率が、発症前6.1%から発症後16.7%へと、10.6ポイント増加していた。多変量回帰分析の結果、重度敗血症は中等度から重度の認知障害リスクを、3.34倍(95%信頼区間:1.53~7.25)増大することがわかった。敗血症以外の入院では認知障害リスクは増大せず同様に身体機能の制約についても、重度敗血症後に新たな制約が高率にみられた。発症前に制約がみられなかった人において、発症後には新たな制約数が平均1.57(95%信頼区間:0.99~2.15)となっていた。また発症前に軽度から中等度の身体機能の制約がみられた人でも平均1.50(同:0.87~2.12)の新たな制約がみられた。一方で、敗血症以外の理由による入院と、中等度から重度の認知障害発症リスクとには関連がみられなかった(オッズ比:1.15、95%信頼区間:0.80~1.67、重度敗血症との差に関するp=0.01)。退院後に現れた身体機能の制約数は、敗血症による入院の場合に比べ少なく、平均値は発症前に制約がなかった人で0.48(p<0.001)、軽度から中等度の制約があった人で0.43(p=0.001)だった。また、認知能力や身体機能の低下は、最低8年間継続していた。著者は、「高齢者における重度敗血症は、新たな認知障害および身体機能障害を引き起こす独立した因子である。そのもたらす障害の影響は大きく、自立した生活能力を損なうことに結びついているようだ」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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鳥谷部俊一先生 [追加記事] 床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!

1979年東北大学医学部卒業。東北大学医学部第二内科、鹿島台町国民健康保険病院内科、慈泉会相澤病院 統括医長、至高会たかせクリニック 顧問を経て、現職に至る。床ずれ治療「ラップ療法」の創案者。追加記事掲載について形成外科専門医の方から「ラップ療法」の危険性について指摘いただきました。<指摘内容>閉鎖療法は簡便なので、医療従事者が取り掛かりやすい。しかし創傷に精通したものでないと症状を悪化させる場合がある。傷の中には感染を伴っている状態のものがあり、これにラップ療法を行ったため、細菌が中で繁殖し、敗血症に陥った例がある。この点に関して、鳥谷部先生からのコメントを追加記事として掲載いたします。鳥谷部先生からのコメント「2010年に、『いわゆる「ラップ療法」に関する日本褥瘡学会理事会見解』が発表されました。http://www.jspu.org/jpn/info/pdf/20100303.pdf『褥瘡の治療にあたっては医療用として認可された創傷被覆材の使用が望ましい。非医療用材料を用いた、いわゆる「ラップ療法」は、医療用として認可された創傷被覆材の継続使用が困難な在宅などの療養環境において使用することを考慮してもよい。ただし、褥瘡の治療について十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで、患者・家族に十分な説明をして同意を得たうえで実施すべきである。』2011年、ラップ療法(食品用ラップまたは穴あきプラスチックフィルムを貼付する処置と標準治療(学会ガイドラインに準拠した処置)を比較したランダム化比較研究が行われ、両群の治療成績が同等であるとの結果が学会誌に発表されました*1。この結果をうけ、近く改訂される日本褥瘡学会ガイドラインでは、「"いわゆる"ラップ療法(食品用ラップや穴あきプラスチックフィルムを貼付する処置)」が推奨度C1の処置法として掲載される見通しです。学会ガイドライン検討委員会は、ラップ療法のリスクが高いことを考慮して「十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで、患者・家族に十分な説明をして同意を得たうえで実施すべきである」との文言を付け加えたようですが、それならばむしろ「医師の目の届きにくい在宅などではなく、病院に入院している患者に限定して行い、入院患者の治療に習熟した医師が在宅患者を治療すべきである」とするべきでしょう。そもそもラップ療法のランダム化試験は大部分が入院患者を対象にした臨床研究です。そのエビデンスを入院患者ではなくあえて在宅患者に限定適用しガイドラインに書き込んだのは、諸般の事情があったのでしょうか。筆者が日本医師会雑誌(2000年)に発表したラップ療法を追試した方々の多くは、それまでの外用剤とガーゼによる処置法で苦労を重ね、創感染治療に習熟した医師たちでした。最初の何例かは慎重を期して入院管理下で行い、医師自ら毎日処置を行いました。創感染など合併症の管理は当然のことでしたが、それでも従来の治療法よりは比較的容易に対処できたと伝え聞いています。ラップ療法が普及するに従い、従来の治療経験なくして最初からラップ療法を行う医師あるいは非医師があらわれたのでしょうか。ラップ療法(ラップや穴あきポリエチレンを貼付)は、素人目には「簡単な治療」に見えるため、ややもすると安易に行われ、医師の目の届かないところで行われているうちに重症感染を併発し、対応が遅れて敗血症のため亡くなった事例があったのではないかと危惧しております。ラップ療法の臨床研究によると、ラップ療法が他の治療法に比べて特別に創感染を起こしやすいという傾向は認められなかったそうです*1。創感染については筆者は以下のように対応していますので参考にしてください。『褥瘡周囲の熱感,浮腫,滲出液増加,疼痛,発熱,白血球増多,CRP上昇を認めた場合は,感染あるいは持続感染と考え,第一,第二世代のセフェム系あるいは合成ペニシリン系抗生剤,マクロライド,アミノグリコシドなどを全身投与する.創面を細菌培養すると,創感染の有無にかかわらず,大腸菌,黄色ブドウ球菌,緑膿菌が検出される.創面より培養された菌の多くは耐性菌で前述の抗生剤は無効と思われるのだが,実際のところ感染兆候は消失し創所見は改善する.感染終息後に細菌培養をすると,これらの耐性菌が検出される.すなわち,創の表面にいる菌は創感染とは無関係であり,起炎菌は創の深部に存在し,その多くは耐性菌ではないのだろう.褥瘡を有する患者が肺炎や尿路感染を起こすと,創感染がなくても創の状態が悪化(浮腫,滲出液の増加,肉芽壊死)することが多い.発熱時は全身状態を評価し,感染を疑った場合は積極的に抗生剤を全身投与して治療してほしい.』褥瘡の治療は、ラップ療法であれ、学会標準治療であれ、いずれの場合でも創傷治療に経験のある医師が十分な注意を払って行うべきものです。褥瘡治療の経験に乏しい医師は、入院患者を対象に、感染のない浅い褥瘡を医療用ドレッシング(モイスキンパッド・白十字)で治療し、経験を積んでください。3度の褥瘡に対しては早期のデブリードマンを行って創感染を未然に防いでください。感染の兆候(発熱、熱感、腫脹、疼痛、膿性浸出液)を認めたら、早期に抗生物質を全身投与して感染の進展を防ぎましょう。感染が深部に及ぶ症例、骨壊死を伴う症例、閉塞性動脈症を伴う足病変は、しかるべき専門医のいる病院に入院させて治療してください。以上の事例に習熟してから、ラップや穴あきポリエチレンを貼付する「"いわゆる"ラップ療法」に挑戦したり、在宅患者の治療をしていただきたい。褥瘡を発症するような患者はもともと重篤な基礎疾患を合併しており、一旦感染が重症化すると敗血症のため亡くなる可能性が高いのはご承知のことと存じます。患者・家族には、褥瘡がしばしば致死的な疾患であることを十分に説明し、同意を得たうえで治療してください。筆者は2002年以来同意書書式例を公開しておりますので、ぜひ活用してください。*1 文献:水原章浩,尾藤誠司,大西山大 ほか:ラップ療法の治療効果~ガイドラインによる標準法との比較検討.褥瘡会誌, 13:134-141,2011. 褥瘡の予防・治療に関する説明書(例)褥瘡(じょくそう)・床ずれとは、ふとんに接触している皮膚が、すれや圧迫によって血のめぐりが悪くなってできる傷です。自力で寝返りを打てない状態になると、一定の部位に力が加わり続け、皮膚には血液が流れなくなり壊死が生じます。これが褥瘡です。○○○病院では褥瘡対策委員会をつくり、病院内のみならず地域での褥瘡の予防と治療および研究に取り組んでいます。最近褥瘡の研究が進み、次のようなことがわかってきました。圧力を分散させるエアマットレスや体位変換などによって褥瘡の発生を減らすことができるが、最大限の努力をしても患者の全身状態が悪ければ発生を免れない。病院を受診する前にできかかっていた褥瘡が受診または入院後に完成して、あたかも受診後(入院後)にできたように見える経過をたどる例がある。褥瘡の治療法はこの数年間で大きく進歩したが、患者の全身状態が悪ければ必ずしも治らない。褥瘡の治療法はいまだ発展途上である。○○○病院では褥瘡の患者さまにラップ療法を実施しております。(鳥谷部俊一,末丸修三:食品包装用フィルムを用いるⅢ-Ⅳ度褥瘡治療の試み,日本医師会雑誌2000;123(10):1605-1611.水原章浩,尾藤誠司,大西山大 ほか:ラップ療法の治療効果~ガイドラインによる標準法との比較検討.褥瘡会誌, 13:134-141,2011.)ラップ療法は、日本褥瘡学会ガイドライン(次回改訂)に掲載が予定されており、すでに多くの施設で実施されておりますが、非医療材料(食品用ラップや穴あきプラスチックフィルム)を用いますので患者さま(ご家族)の同意が必要です。同意をいただけない場合は厚生労働省の承認をうけた医療材料を用いた方法で治療します。また安全性と有効性を確認するための検査、記録をしております。許可いただければ結果を外部に発表させていただきます。発表に際して、個人のプライバシーは十分に保護されるよう配慮されます。どのようなかたちで発表されるかについては、担当医または院長にお尋ねください。発表にご協力いただけるかどうかは全く自由です。同意いただいた後の撤回もいつでも可能です。また、ご協力いただけなくてもあなたの診療に不利益を生ずることはありません。日付   年   月   日○○○病院 院長私は、褥瘡の予防治療に関し口頭及び文書を用いて説明を受け、その内容を十分理解いたしました。本人  氏  名生年月日代理人 氏名 続柄説明者 職名 氏名ラップ療法を実施することについての同意書検査結果、記録などの学術発表についての同意書私は、褥瘡の治療にラップ療法を実施することについて、および○○○病院における診療で得られた検査結果、記録(写真を含む)の学術発表への利用について、口頭及び文書を用いて説明を受け、その内容を十分理解いたしました。私は、次のように判断いたします。私の褥瘡の治療においてラップ療法をおこなうことに、1 同意します。2 同意しません。診療後、検査結果、記録(写真を含む)の学術発表への利用について、1 同意します。2 同意しません。日付   年   月   日○○○病院 院長-------------------------------------※本記事は、追加記事です。ページ下部にある[質問と回答を見る]をクリックすると、前回と同じ「質問と回答ページ」が表示されます。予めご了承ください。質問と回答を公開中!

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2008年の5歳未満の子どもの死亡数、死因:MDG4達成に向けて

2008年の世界193ヵ国における5歳未満の子どもの死亡数は879万5,000人、その死因の68%が感染症であることが、アメリカJohns Hopkins Bloomberg公衆衛生大学院のRobert E Black氏らによる系統的な解析で示された。子どもの死亡率は、社会経済的な発展や子どもへの生存介入が実行された結果として世界的に低下しているが、いまだに毎年880万人が5歳の誕生日を迎えられずに死亡している。ミレニアム開発目標4(MDG4)の目的は、「2015年までに5歳児未満の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する」ことであるが、特に南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカ諸国では達成が難しい状況にあり、その改善には子どもの死因に関する最新情報の収集が重要だという。Lancet誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月12日号)掲載の報告。2008年の193ヵ国における原因別の死亡数を算出研究グループは、5歳未満の子どもの主な死亡原因について、2008年の最新の推定データを報告した。多原因比例死亡モデル(multicause proportionate mortality model)を用いて生後0~27日の新生児、1~59ヵ月の小児の死亡を推定し、死因が予測可能な場合は単一原因死亡モデルを用い、健康状態登録データの解析を行った。中国とインドの新データは、以前に実施されていた統計モデルに基づく予測に代わって、これらの国で使用されている全国データを採用した。193ヵ国における死亡原因を推定し、5歳未満の子どもの国別の死亡率および出生率にこれらの推定値を当てはめることで、国、地域、世界の原因別の死亡数を算出した。死因の68%が感染症、41%が新生児、5ヵ国で49%を占めた2008 年における世界の5歳未満の子どもの死亡数は879万5,000人と推定され、そのうち68%(597万人)は感染症が原因で死亡しており、肺炎が18%(157万5,000人)、下痢が15%(133万6,000人)、マラリアが8%(73万2,000人)であった。死亡した子どもの41%(357万5,000人)が新生児であり、その最も重大な原因として早産合併症が12%(103万3,000人)、出生児仮死が9%(81万4,000人)、敗血症が6%(52万1,000人)、肺炎が4%(38万6,000人)を占めた。5ヵ国(インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、パキスタン、中国)で、5歳未満の子どもの死亡の49%を占めた。著者は、「これら国別の子どもの主な死因の推定値は、国の計画や援助国の支援の焦点をどこに置くべきかを検討するうえで役立つであろう」とまとめ、「MDG4の達成は、妊婦、新生児、小児の健康状態への介入によって多大な死亡数の抑制に取り組むことでのみ可能となる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ショック時の昇圧薬、第一選択はドパミンかノルエピネフリンか?

ショック時における昇圧薬の第一選択薬は、ドパミン、ノルエピネフリンいずれが優れているのか。コンセンサス・ガイドラインでは両剤ともが第一選択薬と推奨されているが、ドパミン使用の方が死亡率が高いとの試験報告がある。しかしノルエピネフリンが優れているとの試験報告はないことから、ベルギー・Erasme大学病院病院集中治療部門のDaniel De Backer氏らの研究グループは、ノルエピネフリンの方が死亡率が低いのかどうかを評価する多施設共同無作為化試験「SOAP II」を行った。NEJM誌2010年3月4日号掲載より。28日後の死亡率を主要転帰に比較試験は2003年12月~2007年10月に、ベルギー、オーストリア、スペインの3ヵ国・8施設で、ショック症状を起こした患者(心原性ショック、敗血症性ショック、乏血性ショック)を対象、血圧を回復・維持するため第一選択の昇圧薬としてドパミン(20μg/体重kg/分)またはノルエピネフリン(0.19μg/体重kg/分)のいずれかを投与するよう割り付けられ行われた。患者は、割り付けられたドパミンまたはノルエピネフリンで血圧が維持できなかった場合は、ノルエピネフリン、エピネフリンまたはバソプレシンを非盲検で追加投与された。試験には1,679例の患者が登録され、そのうち858例がドパミン群に、821例がノルエピネフリン群に割り付けられた。ベースライン時の特性は両グループで同様だった。主要転帰は、無作為化後28日の死亡率。副次エンドポイントには、代用臓器を必要としなかった日数、有害事象の発生などを含んだ。死亡率に差はないが、有害事象はドパミンで有意に増加28日時点の死亡率は、ドパミン群52.5%、ノルエピネフリン群48.5%で、両群間に有意差はみられなかった(ドパミン群のオッズ比:1.17、95%信頼区間:0.97~1.42、P=0.10)。しかし、不整脈性イベントについて、ドパミン群(207件24.1%)の方がノルエピネフリン群(102件、12.4%)より多かった(P

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敗血症ヒドロコルチゾン療法患者への強化インスリン療法、フルドロコルチゾン

敗血症性ショックを起こした患者に行われるヒドロコルチゾン投与(コルチコステロイド療法)に関して、強化インスリン療法を行っても従来インスリン療法の場合と比べて、院内死亡率に有意差はないことが明らかになった。また、フルドロコルチゾン(商品名:フロリネフ)を追加投与しても、同死亡率に有意差はなかった。フランスVersailles大学のDjillali AnnaneらCOIITSS(Corticosteroids and Intensive Insulin Therapy for Septic Shock)研究グループが、約500人の敗血症患者を対象に、無作為化試験によって明らかにしたもので、JAMA誌2010年1月27日号で発表している。敗血症性ショック患者へのコルチコステロイド療法は、高血糖を誘発する可能性が指摘されており、また同療法でフルドロコルチゾンを追加投与するベネフィットは明らかになっていなかった。SOFAスコア8以上の敗血症患者509人を無作為化研究グループは、2006年1月~2009年1月にかけて、フランス11ヵ所の集中治療室(ICU)で、敗血症患者509人について多施設共同2×2無作為化試験を行った。被験者は、重症度評価基準のSequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアで8以上だった。被験者は、(1)ヒドロコルチゾン投与+強化インスリン療法群、(2)ヒドロコルチゾン投与+強化インスリン療法群+フルドロコルチゾン投与群、(3)ヒドロコルチゾン投与+従来インスリン療法群、(4)ヒドロコルチゾン投与+従来インスリン療法群+フルドロコルチゾン投与群に割り付けられた。ヒドロコルチゾンは50mgを6時間毎にボーラス投与にて、フルドロコルチゾンは1日1回50μg経口投与にて、それぞれ7日間行われた。インスリン療法の違い、フルドロコルチゾンの有無いずれも、死亡率に有意差なし院内死亡率は、強化インスリン群が45.9%、従来インスリン群が42.9%だった(相対リスク:1.07、95%信頼区間:0.88~1.30、p=0.50)。重度低血糖(40mg/dL未満)がみられたのは、強化インスリン群の方が従来インスリン群より有意に多く、患者1人当たり平均頻度の差は0.15(95%信頼区間:0.02~0.28、p=0.003)だった。また、フルドロコルチゾン投与群の退院時死亡率は42.9%、同非投与群は45.8%で、有意差はみられなかった(相対リスク:0.94、同:0.77~1.14、p=0.50)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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DNAマイクロアレイを用いた新たな敗血症アッセイの有効性を確認

新たに開発されたDNAマイクロアレイによる敗血症アッセイは、従来のgold standardである血液培養法に比べ、細菌の同定における感受性、特異度が優れるうえに、より迅速に結果が得られることが、フィンランド・ヘルシンキ大学病院検査部のPaivi Tissari氏らが行った観察試験で明らかとなった。細菌性敗血症は生命を脅かす疾患であり、世界的に罹患率、死亡率がともに高く、有効な抗生物質が利用可能な先進国でさえも重要な課題となっている。罹患率や死亡率増大の原因として、原因菌の種類を同定せずに不適切な広域スペクトラムの抗菌薬を使用したり、適切な治療の遅れが挙げられるという。Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。培養陽性の2,107検体を、従来法と新規のアッセイで検査研究グループは、DNAマイクロアレイをプラットフォームとして新たに開発された敗血症アッセイ「Prove-it Sepsis」の感受性、特異度、所要時間の検討を行った。臨床的に敗血症が疑われる患者の3,318の血液検体のうち、血液培養で陽性を示した2,107の検体について、従来の培養法と新規の敗血症アッセイにより細菌の種類の同定を行った。アッセイに用いられた新たなPCR/マイクロアレイ法は、50種類のバクテリアのgyrB、parE、mecA遺伝子を増幅して検出するもの。検査アッセイを取り扱う検査員には培養結果は知らされなかった。臨床・検査標準協会(CLSI)の勧告に基づいて、感受性、特異度、所要時間が算出された。感受性94.7%、特異度98.8%、所要時間は従来法より18時間短縮培養陽性の2,107検体のうち1,807検体(86%)から、アッセイが検出対象とする病原菌が検出された。アッセイの感受性は94.7%、特異度は98.8%であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感受性と特異度はともに100%であった。検出までの所要時間は、従来の培養法が実働日数で1~2日を要するのに対し、アッセイはこれより平均18時間早かった。3,284検体のうち34検体(1.0%)が、技術的な問題や検査員の誤操作のために除外された。著者は、「PCR/マイクロアレイを用いた敗血症アッセイは、細菌種の最終的な同定において高い感受性と特異度を示し、従来法よりも迅速な検査が可能である」と結論し、「本アッセイはプライマリ・ケアの日常診療に容易に導入できる。現在、先進国、開発途上国の双方で、このアッセイが患者の予後やマネジメント、さらに種々の病原菌のルーチンな迅速診断の実行にどの程度貢献するかについて、プロスペクティブな調査を行っている」としている。(菅野守:医学ライター)

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2009新型インフル、治療の実態:アメリカの4~6月の入院患者

本論は、アメリカの「2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルス入院医療調査チーム」からの報告で、米国で2009年4月1日~6月5日にかけて新型インフルに感染し入院治療を受けた患者(生後21日~86歳)の臨床上の特性について解説したものである。NEJM誌2009年11月12日号(オンライン版2009年10月8日号)に掲載された。入院患者272例のうち、ICU入院25%、死亡7%。ICU入院患者年齢中央値は29歳調査チームは患者カルテから、インフルエンザ様疾患で24時間以上入院し、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法によって2009H1N1ウイルス陽性だった、272例の患者に関するデータを集め分析した。調査対象となった272例のうち集中治療室(ICU)に入院したのは67例(25%)、死亡は19例(7%)だった。ICU入院患者の年齢中央値は29歳(範囲:1~86)。またICUに入院した67例のうち42例(63%)が人工呼吸器を装着していた。24例が急性呼吸不全症候群(ARDS)、21例が敗血症と診断されている。ICUで治療を受けた65例のうち抗ウイルス薬治療を受けたのは56例(86%)で、発症から抗ウイルス薬治療開始までの時間の中央値は6日(範囲:0~24)、発症後48時間以内治療開始は23%だった。入院患者には抗ウイルス薬治療の早期開始が有益入院患者272例のうち、18歳未満の子どもは122例(45%)で、65歳以上の高齢者は14例(5%)だった。また、患者198例・73%(子ども60%、成人83%)は1つ以上の基礎疾患(喘息、糖尿病、心疾患、肺疾患、神経疾患、妊娠)を有していた。妊婦は18例(7%)だった。なお2つ以上の基礎疾患を有していたのは32%だった。入院時に胸部X線撮影を受けた249例のうち100例(40%)に、肺炎と同様の所見が見られた。抗ウイルス薬治療に関するデータが入手できた268例のうち、治療を受けたのは200例(75%)で、発症から治療開始までの時間の中央値は3日(範囲:0~29)、発症後48時間以内治療開始は39%だった。研究チームは、「評価期間中に、新型インフルは肺炎や死亡など入院を要する重度疾患を引き起こすこと、患者の約4分の3に1つ以上の基礎疾患があること、65歳以上では重症の報告が少ないことが確認された」と述べるとともに、「入院患者には早期からの抗ウイルス療法が有益なようだ」とまとめている。(医療ライター:朝田哲明)

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出生時超低体重児へのラクトフェリン投与、遅発性敗血症リスクを6~7割低減

イタリアS. Anna HospitalのPaolo Manzoni氏らは無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、出生時体重1,500g未満の乳児に、牛乳中に含まれるラクトフェリンを投与することで、遅発性敗血症リスクを、6~7割低減できることが明らかになったと報告した。ラクトフェリンは、哺乳類の乳に含まれるグリコプロテインで、先天性免疫生体防御系に関連している。JAMA誌2009年10月7日号で発表した。ラクトフェリンを単独もしくはLGGとの併用で、生後30~45日投与Manzoni氏らは2007~2008年にかけて、11ヵ所の新生児集中治療室(NICU)で、合計472例の出生時超低体重児(1,500g未満)について試験を行った。被験者は無作為に3群に分けられ、一群(153例)にはウシ・ラクトフェリン(BLF、100mg/日)を、別の群(151例)にはBLF+共生菌ラクトバチルス・ラムノサスGG(LGG)を、残りの群(168例)にはプラセボを投与した。投与期間は、出生時体重が1000g未満の乳児に対しては生後45日まで、それ以外は生後30日までだった。遅発性敗血症リスク、ラクトフェリン群で0.34倍、併用群で0.27倍にその結果、生後72時間以降に発生した遅発性敗血症の発症率が、プラセボ群では17.3%(168例中29例)だったのに対し、BLF群では5.9%(153例中9例)、BLF+LGG群では4.6%(151例中7例)と、有意に低率だった。同発症に関する、プラセボ群に対するリスク比は、BLF群が0.34(95%信頼区間:0.17~0.70、p=0.002)、BLF+LGG群が0.27(同:0.12~0.60、p

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【書籍紹介】市中感染症診療の考え方と進め方-IDATEN感染症セミナー

日常診療で誰もが遭遇する市中感染症だが、医師は目の前の患者をどう診断し、治療していったらよいのか? 日本における臨床感染症診療と教育の普及・確立・発展を目的として設立された「IDATEN(日本感染症教育研究会)」メンバーが、そのプロセスをわかりやすく解説する。 主な内容第1章 市中感染症へのアプローチ  感染症診療の基本原則(青木 眞)  初期治療に反応しない場合の評価と治療のストラテジー(大野博司) 第2章 臨床でよく出遭う市中感染症のマネジメント  1.肺炎のマネジメント(岩渕千太郎)  2.細菌性髄膜炎のマネジメント(笹原鉄平)  3.皮膚・軟部組織感染症のマネジメント(大曲貴夫)  4.骨・関節・軟部組織感染症のマネジメント(岩田健太郎)  5.感染性心内膜炎のマネジメント(大曲貴夫)  6.胆道系感染症のマネジメント(矢野晴美)  7.急性下痢症のマネジメント(土井朝子)  8.尿路感染症のマネジメント(藤田崇宏)  9.急性腹症のマネジメント(岩田健太郎)  10.STI・骨盤内炎症性疾患のマネジメント(本郷偉元)  11.敗血症のマネジメント(大野博司)  12.急性咽頭炎・急性副鼻腔炎のマネジメント(上田晃弘)  13.深頸部感染症のマネジメント(具 芳明)  14.腹腔内感染症・腸管穿孔のマネジメント(大野博司) 第3章 臨床で重要な微生物  Introduction  グラム陽性球菌(山本舜悟)  グラム陰性桿菌(山本舜悟)  嫌気性菌(岩渕千太郎) 第4章 臨床で重要な抗菌薬  ペニシリン系抗菌薬(大野博司)  セフェム系抗菌薬(大野博司)  マクロライド系抗菌薬(大野博司)  キノロン系抗菌薬(大野博司)  判型 B5 頁 216 発行 2009年08月 定価 3,675円 (本体3,500円+税5%) ISBN978-4-260-00869-3  詳細はこちらへhttp://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=63002

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ケタミンは、迅速気管挿管時の鎮静においてetomidateと代替可能

フェンサイクリジン系麻酔薬であるケタミン(商品名:ケタラール)は、重症患者に対する迅速気管挿管時の鎮静薬として安全に使用でき、etomidateの代替薬となりうることが、フランスParis 第13大学のPatricia Jabre氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。重症患者は緊急の挿管を要することが多いが、鎮静薬として頻用されるetomidateは用量依存的な11βヒドロキシラーゼ阻害により可逆的な副腎の機能不全を引き起こす可能性があり、院内合併症罹患率の上昇を招くおそれがあるという。Lancet誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月1日号)掲載の報告。87施設から655例を登録、最大SOFAスコアを評価研究グループは、重症患者に対する迅速気管挿管時のetomidateとケタミンの単回投与法の安全性と有効性を評価する単盲検無作為化対照比較試験を実施した。2007年4月~2008年2月までに、フランスの12の救急医療施設/病院救急部、および65の集中治療室(ICU)から、迅速気管挿管のために鎮静を要する655例がプロスペクティブに登録され、etomidate 0.3mg/kg(328例)あるいはケタミン2mg/kg(327例)を投与する群に無作為に割り付けられた。患者登録を行った救急医は薬剤の割り付けを知り得た。主要評価項目は、ICU入院から3日目までの臓器不全評価(sequential organ failure assessment:SOFA)の最大スコアとした。病院到着前に死亡した症例やICUを3日以内に退院した症例は除外したうえで、modified intention to treat解析を行った。SOFAスコア、挿管困難度は同等、副腎機能不全はetomidate群で有意に多い解析の対象となったのは、etomidate群が234例、ケタミン群は235例であった。SOFAスコアは、etomidate群が10.3、ケタミン群は9.6で、差の平均値は0.7(95%信頼区間:0.0~1.4、p=0.056)であり、有意差は認めなかった。挿管の状態にも有意な差はなく、挿管困難度スコア(スコアが上がるほど困難度が高くなる)の中央値は両群ともに1であった(p=0.70)。副腎機能不全の発生率は、ケタミン群の48%に比べetomidate群では86%と有意に高かった(オッズ比:6.7、95%信頼区間:3.5~12.7、p<0.0001)。両群とも、重篤な有害事象は認めなかった。著者は、「重症患者の迅速気管挿管時の鎮静薬として、ケタミンは安全に使用でき、有効性もetomidateと同等であることから、その代替薬となりうる」と結論し、「敗血症合併例では、有意差はないもののSOFAスコアおよび死亡率がケタミン群で優れる傾向がみられることから、これらの患者では特にケタミンを考慮すべきであろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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家庭での子どもの抗マラリア薬治療は過剰治療となり、効果も低い

マラリアの治療法として、発熱の見られる子どもに家庭でアルテメテル-ルメファントリン(artemether-lumefantrine)を投薬する方法は、治療の迅速化をうながすものの臨床効果はほとんどないことが、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)のSarah G Staedke氏らがウガンダの都市部で実施した無作為化試験で判明した。マラリアの迅速で効果的な治療法を確立するために、発熱がある子どもに対する家庭での抗マラリア薬による推定治療が提唱されている。Lancet誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。マラリア感染率が低い都市部で実施された無作為化対照比較試験研究グループは、マラリア感染率がきわめて低いウガンダの都市部において、アルテメテル-ルメファントリンの家庭での投薬が抗マラリア治療の施行頻度や臨床転帰に及ぼす影響を評価した。ウガンダの首都カンパラにおいて、325世帯から1~6歳の子ども437例が登録され、発熱性疾患に対する推定治療として家庭でアルテメテル-ルメファントリンの投薬を受ける群(225例)あるいは現在の標準治療を受ける群(212例)に無作為に割り付けられた。無作為割り付けは1ヵ月のパイロット期間ののちに行われた。患児はさらに12ヵ月間のフォローアップを受け、月1回の質問票や世話をする者が記述する日誌から患児の健康状態や治療に関する情報を得た。主要評価項目は治療頻度(/人年)とし、intention-to-treat変法による解析を行った。実質的に過剰治療、臨床効果は標準治療と同等データ収集以前に標準治療群の4例、家庭治療群の8例が除外され、解析の対象となったのはそれぞれ208例、217例であった。抗マラリア治療の施行頻度は、標準治療群の2.53/人年に比し家庭治療群は4.66/人年と約2倍(施行率比:1.72、p<0.0001)であったが、顕微鏡下に確認されたマラリア原虫の検出頻度は標準治療群の1.03/人年に対し家庭治療群は4.66/人年と約5倍に達した(検出率比:5.19、p<0.0001)。試験終了時に解析可能な臨床データが得られたのは、標準治療群176例、家庭治療群189例であり、おもな除外理由は試験地域からの転出あるいはフォローアップの不備であった。最終評価時に血中に原虫が確認された患児は、標準治療群の10%(17例)に対し家庭治療群は2%(4例)と有意に少なかった(p=0.006)が、貧血などの標準的なマラリア侵淫度指数に差はなかった。重篤な有害事象についてレトロスペクティブに調査したところ、両群に1例ずつ死亡例が見られた(標準治療群:呼吸不全と推定される、家庭治療群:重篤な肺炎、おそらく敗血症によると考えられる)。著者は、「家庭におけるマラリア治療は、発熱に対する治療の迅速化をうながすものの臨床効果はほとんどない」と結論し、「実質的に過剰治療となっていたことから、家庭でのアルテメテル-ルメファントリンの投薬は大都市部やマラリア感染率がきわめて低い地域における治療法としては適切でないことが示唆される」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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妊娠39週未満の選択的反復帝王切開の頻度は高いがリスクも増大

新生児の呼吸器合併症発生率が上昇することから、妊娠39週前の選択的帝王切開は胎児の肺熟成が確認されない限り推奨されていない。また反復帝王切開自体もリスクが高いが、正期産(37週以降)妊娠39週未満での選択的反復帝王切開はよく行われており、呼吸器合併症やその他の有害転帰の発生率と関連していることが、アラバマ大学(米国)産婦人科部門のAlan T.N. Tita氏らによって明らかにされた。NEJM誌2009年1月8日号より。正期産で反復帝王切開を受けた妊婦2万4,077例を調査Tita氏らは、Eunice Kennedy Shriver NICHD Maternal-Fetal Medicine Units Networkに参加する19施設で1999~2002年の間に、正期産で反復帝王切開を受けた妊婦2万4,077例について、選択的帝王切開と新生児転帰との関連を調査した。主要評価項目は、死亡、呼吸器合併症、低血糖、敗血症、NICUにて受療を必要としたなど複数の有害事象の複合転帰とした。リスク増大は37週で1.8~4.2倍、1.3~2.1倍対象のうち選択的帝王切開だったのは1万3,258例。そのうち39週例は49.1%で、39週未満例は35.8%(37週6.3%、38週29.5%)だった。なお新生児死亡は1例あった(39週例)。39週例と比較して37週例、38週例での選択的帝王切開は、主要転帰のリスク増加との関連が見られた。37週例の補正オッズ比は2.1(95%信頼区間:1.7~2.5)、38週例は1.5(1.3~1.7)であった(P<0.001)。同様に39週との比較で、呼吸器症状、人工換気、敗血症、低血糖、NICUにて受療、5日以上の入院の発生率が、37週例では1.8~4.2倍、38週例では1.3~2.1倍増大していた。(武藤まき:医療ライター)

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アメリカ医療研究品質機構のノウハウを活用して患者安全指標はつくれそうだ

患者安全は国際的な問題だが、その指標づくりは容易ではない。アメリカには、医療研究品質機構(AHRQ:Agency for Healthcare Research and Quality:http://www.ahrq.gov/)が病院診療データを基に開発した患者安全の指標があり、数ヵ国がその指標を自国の患者安全指標づくりに活用しているがイギリスでも活用できないか。Healthcare Commission(ロンドン)のVeena S Raleigh氏らが、29あるAHRQの指標のうち9つについて症例対照試験を行い有用性を検証した。BMJ誌2008年11月22日号(オンライン版2008年10月17日号)掲載より。「病院エピソード統計」から症例群、対照群を引き出し入院期間、死亡率を比較試験はAHRQの9つの指標で、イギリスの全NHS(国民医療保健サービス)トラストを対象とする「病院エピソード統計」(2003-2004、2004-2005、2005-2006)から患者安全の指標、有害転帰の指標を引き出せるか検証された。9つの指針は、「死亡率が低い疾患医療での死亡数」「医原性気胸」「褥瘡」「医療処置が必要となった待機感染症」「術後股関節骨折」「術後敗血症」、および産科的外傷についての3指針(後産期分娩時器具あり・なし、帝王切開時)。指標を経験していると判定された患者症例群と、対照照合症例群(2005-2006データから、年齢、性、同一医療サービス受療群、主要専門科目、NHSトラストで照合)との入院期間、死亡率を比較し、アメリカのデータ(2000年版)との比較も行われた。コーディング、制度、サービス供給パターンの違いはなお考慮すべき入院期間は、1指標(帝王切開時の外傷)を除き、対照群よりも症例群のほうが長かった(各指標値:0.2~17.1日、P

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