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<先週の動き>1.2024年度診療報酬改定、医療従事者の待遇改善を示す/厚労省2.医師の働き方改革、宿日直体制の維持が困難に/日本医師会3.薬価差6.0%、薬価引き下げで医療費の抑制と賃上げ実現へ/厚労省4.梅毒感染者数、3年連続で過去最多を更新、全国的に急増5.移植医療推進へ、脳死判定から臓器摘出まで医療機関を全面支援/厚労省6.医師免許を含む40資格、マイナンバーで手続き効率化/厚労省1.2024年度診療報酬改定、医療従事者の待遇改善を示す/厚労省厚生労働省は、11月29日に開いた社会保障審議会の医療部会と医療保険部会で、2024年度の診療報酬改定の基本方針の骨子案を示した。骨子案によると、人口構造の変化に伴い、医療の支え手の長期的な不足が見込まれ、人材確保のために医療従事者の賃上げを推進する方針。厚労省は、看護補助者などの給与水準が低い医療従事者の処遇改善が求められており、重点課題の医療分野での働き方改革と人材確保に対処する。看護補助者などのコメディカルの賃上げは、医療分野で他産業に比べて遅れており、人材確保が急務とされ、長時間労働の改善も含まれている。このほか、診療報酬改定の基本方針には、地域包括ケアシステムの深化、医療DXの推進、質の高い医療の提供、医療保険制度の安定性向上などが挙げられている。さらに物価高騰や賃上げの状況を踏まえ、患者が必要とする医療を受けられるよう機動的な対応が強調されている。日本医師会など医療関係団体は、診療報酬の「本体」部分の大幅な引き上げを求めているが、財務省は診療報酬の「本体」部分の引き下げを提案しており、医療機関の経営状況や利益剰余金の活用を根拠にしている。医療従事者の待遇改善は、国の財政に大きな影響を与えるため、引き続き大きな関心を呼ぶとみられる。参考1)診療報酬 引き上げ?引き下げ?来年度改定に向け調整本格化へ(NHK)2)令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案の概要)(厚労省)3)診療報酬改定の基本方針、厚労省が骨子案示す 社保審の医療部会と医療保険部会に(CB News)2.医師の働き方改革で宿日直体制の維持が困難に/日本医師会日本医師会は、11月29日に定例記者会見を開き、医師会が実施した「医師の働き方改革と地域医療への影響」に関する調査の結果を明らかにした。この中で、医師の働き方改革により、約3割の医療機関が将来的に宿日直体制の維持が困難になると回答していたと報告した。調査は、医師の働き方改革の準備状況や医師派遣の動向、宿日直許可の取得状況、および改革が医療提供体制に与える影響を把握するために行われた。調査は全病院および有床診療所を対象にして、1万4,128施設のうち4,350施設から回答を得ていた。調査結果によれば、医師派遣を行う医療機関の約68.1%が派遣を継続する予定であり、医師を受け入れる医療機関の約69.0%も継続を予定している。しかし、約7割以上の医療機関が宿日直許可を取得しているものの、将来的な維持には不安を抱えている。医療機関全体でみると、約54%が「とくに変化なし」と回答しているが、約30.0%が宿日直体制の維持が困難、約25.1%が派遣医師の引き上げ、約14.4%が救急医療の縮小・撤退を懸念している。地域医療提供体制に関しては、約37.7%が「とくに変化なし」と回答している一方で、約30.0%が救急医療体制の縮小・撤退、約19.9%が専門的な医療提供体制の縮小・撤退を懸念している。この調査結果を受け日本医師会の城守常任理事は、医師の派遣・受け入れについて、現時点で縮小や未定が約3割も存在し、今後の派遣状況によっては地域医療の提供体制に大きな影響が出る可能性があると指摘している。また、医師の働き方改革が将来の地域医療提供体制に及ぼす影響を「把握できていない」と回答した割合も高かったことを危惧している。今後、都道府県別に集計したデータを都道府県医師会にフィードバックし、行政と共有して地元の医療機関支援への検討材料にする計画であり、来年2月に再度調査を行う意向を示している。なお、厚生労働省は今月に入り、「医師の働き方改革」特設サイトを開設し、働き方改革について医療機関や医療従事者だけでなく、患者さんに対しても情報発信を進めている。参考1)「医師の働き方改革」特設サイト(厚労省)2)医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査結果について(日本医師会)3)「宿日直体制の維持が困難」3割 日本医師会、働き方改革調査(共同通信)3.薬価差6.0%、薬価引き下げで医療費の抑制と賃上げ実現へ/厚労省厚生労働省は、12月1日に開いた中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2023年の医薬品価格調査の速報結果を報告し、市場実勢価格の平均乖離率が約6.0%であったことを明らかにした。薬価の乖離率は、2022年度と比較して1.0ポイント低下し、過去30年間で最も価格差が小さかった。この結果を受けて、政府は2024年度の診療報酬改定で薬価を引き下げる方針を示している。また、後発医薬品の数量シェアは約80.2%に上昇しており、政府の目標を上回っていた。厚労省は薬価の引き下げにより、国費ベースで最大900億円程度の医療費抑制が可能としており、医師や看護師などの人件費や技術料に当たる本体部分の引き上げに充てられる予定。ただし、医療職の賃上げ率は全産業平均の3.58%に対して2%程度と低く、医療機関の経営が厳しい状況が指摘されている。財務省は、コロナ対策による補助金投入などを理由に、本体部分の引き下げを求めており、年末まで引き続き議論を重ね、改定率が決められる見込み。参考1)令和5年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値(厚労省)2)24年度の診療報酬改定で「薬価」引き下げ方針…仕入れ価格が6%低下受け医療費抑制図る(読売新聞)3)薬の市場価格、薬価を6%下回る 国費900億円程度抑制可能か(毎日新聞)4)医薬品は6.0%、材料は2.5%の価格乖離、「薬価の実勢価格改定」全体で1,200億円程度の国費縮減可能では-中医協総会(Gem Med)5)薬価乖離率は6.0%、厚労省速報 22年度比1.0ポイント縮小(CB News)4.梅毒感染者数、3年連続で過去最多を更新、全国的に急増日本全国で梅毒の感染者数が急増しており、とくに九州地方では人口比での報告数が多いことが明らかになった。2023年11月19日時点で全国の感染者数は1万3,251人に達し、これは前年の1万3,228人を上回り、3年連続で過去最多を更新している。大都市圏では、とくに感染者数が多く、東京都、大阪府、福岡県が多数を占めているが、長崎県や鳥取県など大都市圏以外の地域でも感染者が急増している。梅毒は性接触を主な感染経路とする細菌性の感染症で、初期には口や性器にできものができるが自然に消え、その後全身に発疹が出ることがある。適切な抗菌薬治療を受ければ完治が可能だが、放置すると重大な症状を引き起こす可能性があり、妊婦から胎児への母子感染のリスクもある。参考1)梅毒の感染者数が3年連続で過去最多を更新(NHK)2)梅毒の感染者数が急増 九州は人口比でも多め(朝日新聞)5.移植医療推進へ、脳死判定から臓器摘出まで医療機関を全面支援/厚労省厚生労働省は、国内の臓器提供者(ドナー)の不足に対処するため、移植医療の進展を妨げる要因を調査し、支援策を検討している。国内の約150病院を対象に脳死判定や臓器提供につながらなかった件数を調査し、2024年度に必要な支援を計画している。とくに、救急医療の現場で臓器提供の前提となる脳死判定について、家族への提案をためらっていることが一因とされている。わが国では、平成9年に「臓器の移植に関する法律」が施行され、平成21年に一部改正されている一方で、人口100万人当たりの臓器提供者数が米国の51分の1、韓国の9分の1と低く、臓器移植を希望する登録者約1万6,000人のうち、年間約400人しか移植を受けられていない現状。この問題に対応するため、厚労省は2024年度から、脳死判定から臓器摘出まで一貫して人材不足の病院を支援する取り組みを始める。これには、移植医療の実績が豊富な拠点病院から医師や看護師などを派遣する計画が含まれる。さらに、厚労省は拠点病院を再編し、「移植医療支援室」を持つ病院を拡充する。この拡充には、脳死ドナーからの臓器移植を実施することを条件にする。この新たなタイプの拠点病院から派遣される医療者は、臓器のチェックやドナーの全身管理、臓器摘出手術に至るまでの一連の流れに携わることとなる。参考1)脳死移植の支援拡充、「判定」から臓器摘出まで医療機関サポート(読売新聞)2)厚労省、連携体制を調査 要因探り人材面など支援 臓器提供者、米国の51分の1(日経新聞)3)法施行26年、脳死での臓器提供1,000件に 意思表示進まず海外と差 移植体制整備へ病院が連携(東京新聞)4)臓器移植医療対策のあり方に関する提言(厚労省)6.医師免許を含む40資格、マイナンバーで手続き効率化/政府政府は、令和3年1月に「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」で取りまとめられた報告書をもとに、マイナンバー制度を活用して、医師や介護福祉士など約40の国家資格の事務手続きをデジタル化する計画を進めている。報告書によると、2024年度中に資格取得や変更などの申請手続きがオンラインで完結できるようになる。現在、資格取得時や引っ越しの際に、戸籍抄(謄)本や住民票の写しを提出する必要があるが、新システムではこれらの書類提出が省略できるようになる。この行政のデジタル化は、医療・福祉分野の31職種を含む約80の国家資格に適用される予定で、マイナンバーカードの専用サイト「マイナポータル」を通じて、資格情報とマイナンバーの連携が行われる。このシステムの稼働により、資格保有者と資格管理者の負担を軽減するほか、各種届出の漏れの防止や、個人の状況に応じたきめ細やかな就業支援を通して有資格者などの掘り起こしが可能となるなどメリットが見込まれている。参考1)社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用について(厚労省)2)「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」報告書(同)3)マイナンバーカードの普及・利活用拡大(デジタル庁)4)医師や介護福祉士など40の国家資格、24年度中に手続きデジタル化…マイナ活用(読売新聞)