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不眠症の診断治療に関する最新情報~欧州不眠症ガイドライン2023

 2017年以降の不眠症分野の進歩に伴い、欧州不眠症ガイドラインの更新が必要となった。ドイツ・フライブルク大学のDieter Riemann氏らは、改訂された欧州不眠症ガイドラインのポイントについて、最新情報を報告した。Journal of Sleep Research誌2023年12月号の報告。欧州不眠症ガイドライン2023の主なポイント 改訂された欧州不眠症ガイドラインの主なポイントは以下のとおり。・不眠症とその併存疾患の診断手順に関する推奨事項は、臨床面接(睡眠状態、病歴)、睡眠アンケートおよび睡眠日誌(身体検査、必要に応じ追加検査)【推奨度A】。・アクチグラフ検査は、不眠症の日常的な評価には推奨されないが【推奨度C】、鑑別診断には役立つ可能性がある【推奨度A】。・睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害(周期性四肢運動障害、睡眠関連呼吸障害など)が疑われる場合、治療抵抗性不眠症【推奨度A】およびその他の適応【推奨度B】を評価するために使用する必要がある。・不眠症に対する認知行動療法は、年齢を問わず成人(併存疾患を有する患者も含む)の慢性不眠症の第1選択治療として、対面またはデジタルにて実施されることが推奨される【推奨度A】。・不眠症に対する認知行動療法で十分な効果が得られない場合、薬理学的介入を検討する【推奨度A】。・不眠症の短期(4週間以内)治療には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬【推奨度A】、ベンゾジアゼピン受容体作動薬【推奨度A】、daridorexant【推奨度A】、低用量の鎮静性抗うつ薬【推奨度B】が使用可能である。利点と欠点を考慮して、場合により、これら薬剤による長期治療を行うこともある【推奨度B】。・いくつかのケースでは、オレキシン受容体拮抗薬を3ヵ月以上使用することができる【推奨度A】。・徐放性メラトニン製剤は、55歳以上の患者に対し最大3ヵ月間使用可能である【推奨度B】。・抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、即放性メラトニン製剤、ラメルテオン、フィトセラピーは、不眠症治療に推奨されない【推奨度A】。・光線療法や運動介入は、不眠症に対する認知行動療法の補助療法として役立つ可能性がある【推奨度B】。

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境界性パーソナリティ障害に合併する精神および身体疾患

 境界性パーソナリティ障害(BPD)とその併存疾患に関する情報は、BPDの診断数が少ないため、限られている。南デンマーク大学のL. H. Hastrup氏らは、初めてBPDと診断された患者における診断前後3年間の精神的および身体的併存疾患を調査し、対照群との比較を行った。その結果、BPD患者は、さまざまな身体的および精神的疾患を併発する可能性が高いことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2023年12月10日号の報告。 2002~16年にBPDを発症した患者2,756例とマッチさせた対照群1万1,024例を対象に、登録ベースのコホート研究を実施した。併存疾患に関するデータは、世界保健機構(WHO)のICD-10基準に従い、主要な疾患グループに分類した。 主な結果は以下のとおり。・BPD患者の約半数は、診断前に精神疾患および行動障害と診断されていたが、対照群では3%のみであった。・負傷、自傷行為、中毒などの外的要因による疾患併発は、対照群と比較し、診断前のBPD患者でより多く認められた。・BPD患者では、循環器系、呼吸器系、消化器系、筋骨格系、泌尿生殖器系の疾患を合併する割合が高かった。・診断後では、BPD患者のすべての疾患グループにおいて、併存疾患を有する患者の割合の有意な増加が認められた。・精神的および行動的疾患は、BPD患者87%、対照群3%で認められ、神経疾患は、BPD患者15%、対照群4%に認められた。・BPD患者は、体細胞性疾患、とくに消化器系、呼吸器系、循環器系、内分泌系の疾患を併発する可能性が高かった。・12年間の死亡率は、対照群よりもBPD患者で統計学的に有意に高かった。

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アルツハイマー病に対する薬物療法~FDA承認薬の手引き

 近年、認知症の有病率は高まっており、患者および介護者のQOLを向上させるためには、認知症の病態生理学および治療法をより深く理解することが、ますます重要となる。神経変性疾患であるアルツハイマー病は、高齢者における健忘性認知症の最も一般的な病態である。アルツハイマー病の病態生理学は、アミロイドベータ(Aβ)プラークの凝集とタウ蛋白の過剰なリン酸化に起因すると考えられる。以前の治療法は、非特異的な方法で脳灌流を増加させることを目的としていた。その後、脳内の神経伝達物質の不均衡を是正することに焦点が当てられてきた。そして、新規治療では、凝集したAβプラークに作用し疾患進行を抑制するように変わってきている。しかし、アルツハイマー病に使用されるすべての薬剤が、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しているわけではない。インド理科大学院Ashvin Varadharajan氏らは、研究者および現役の臨床医のために、アルツハイマー病の治療においてFDAが承認している薬剤を分類し、要約を行った。Journal of Neurosciences in Rural Practice誌2023年10~12月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・認知症の症状を緩和するための薬剤は、認知症の行動・心理症状(BPSD)と認知機能低下の緩和を目的とした薬剤に分類可能である。・BPSDに対する薬剤には、認知症に伴うアジテーションの治療に対する1日1回投与の抗精神病薬ブレクスピプラゾール、睡眠障害の治療に用いられるオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントが含まれる。・認知機能低下に対する薬剤には、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンなどのグルタミン酸阻害薬が含まれる。・ドネペジルは、最も一般的に使用されている薬剤であり、安価で忍容性が良好で、1日1回経口投与および週1回の経皮吸収投与が可能である。アセチルコリンレベルを増加させ、希突起膠細胞の分化を促進し、Aβ毒性保護効果を示す。しかし、心臓伝導系の副作用が報告されているため、定期的なモニタリングが必要とされる。・リバスチグミンは、1日2回経口投与または1日1回経皮吸収投与が可能である。ドネペジルよりも心臓に対する副作用リスクは低いが、貼付部位の局所反応が問題となる。・ガランタミンは、短期間で認知症症状を改善することに加え、BPSDの発現を遅延させると報告されている。また、複数の代謝経路を有するため、薬物相互作用を最小限に抑えることが可能である。ただし、心臓伝導系の副作用については、注意深くモニタリングする必要がある。・グルタミン酸調整物質であるメマンチンは、認知機能および神経保護の改善に加え、抗パーキンソン病薬や抗うつ薬としても作用することが期待される。即時放出製剤または徐放性経口剤での1日1回投与が可能である。・aducanumab、レカネマブなどの疾患修飾薬は、Aβの負担を軽減する。脳内のAβプラークの原線維構造と結合することで効果を発現する。これらの薬剤は、とくにApoE4遺伝子を有する患者においてアミロイド関連の画像異常を引き起こすリスクがある。aducanumabは4週間に1回、レカネマブは2週間1回の投与である。 著者らは「アルツハイマー病に対する薬剤選択では、薬剤入手の可能性、患者コンプライアンス、コスト、特定の併存疾患、特定の患者におけるリスクとベネフィットのバランスを考慮したうえで、決定する必要がある」とし「治療に対する総合的なアプローチとして、非薬物療法の使用も検討すべきである」としている。

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初発統合失調症患者の社会的機能~10年間の軌跡

 統合失調症患者では、さまざまな機能的アウトカムを呈する可能性がある。しかし、初発統合失調症患者の長期的な機能的アウトカムの軌跡を調査した研究は、ほとんどない。中国・北京大学のZhang Cheng氏らは、抗精神病薬による治療を行っていない初発統合失調症患者を対象に、10年間のフォローアップ調査を行った。Asian Journal of Psychiatry誌2024年1月号の報告。 抗精神病薬治療を行っていない初発統合失調症患者を対象とした、10年間のプロスペクティブ研究である中国の初発統合失調症トライアルよりデータを抽出した。初発統合失調症患者の社会的機能に関する縦断的データにK平均クラスタリングモデルを適用し、経験的に導き出された軌跡と10年間のフォローアップ調査のベースラインにおける臨床特性との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・次の3つの異なる機能的軌跡が特定された。改善が良好(39.3%)、不良(17.8%)、安定(42.9%)。・3つの軌跡のいずれにおいても、最初の6ヵ月間で個人および社会的パフォーマンス(PSP)スコアの向上が認められた。・改善が不良の場合には、最初の6ヵ月以降にPSPスコアの低下が認められ、他の2つの場合には、PSPスコアは安定していた。・改善が良好の患者は、他の2つの患者と比較し、ベースライン時のPSPスコアが高かった。 【良好vs.不良】オッズ比(OR):0.904、95%信頼区間(CI):0.852~0.961、p<0.05 【良好vs.安定】OR:0.870、95%CI:0.825~0.918、p<0.001・改善が良好の患者は、安定の患者と比較し、女性の割合が高かった(OR:2.699、95%CI:1.030~7.074、p<0.05)。 著者らは「初発統合失調症患者は、長期にわたりさまざまな機能回復プロファイルを示し、長期的な機能的アウトカムを改善するためには、最初の1年、とくに1年目の後半における社会的機能介入が重要である」と報告した。とくに「ベースライン時の機能が不十分な男性患者では、早期介入によるベネフィットが大きい可能性がある」としている。

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抗精神病薬治療が統合失調症患者のQOLに及ぼす影響

 統合失調症およびその他の精神病性スペクトラム障害の患者に対し、薬理学的な抗精神病薬による介入は基盤となる治療である。また、「最善」とされる治療法の選択は、いくつかの臨床領域に基づき行われるべきである。しかし、利用可能な治療法があるにもかかわらず、抗精神病薬を服用中の統合失調症患者から報告されるQOLは依然として非常に低く、抗精神病薬治療の有効性を評価した試験でこの結果が考慮されることはほとんどない。イタリア・カンパニア大学のGaia Sampogna氏らは、抗精神病薬治療が患者のQOLに及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューを実施した。その結果、統合失調症患者にとって適切な治療法を選択するうえで、QOLが中心的な要素であることが確認された。Brain Sciences誌2023年11月10日号の報告。 抗精神病薬治療を行っている統合失調症患者のQOL改善の違いを特定するため、次の3点を評価した。(1)抗精神病薬製剤(経口剤、持効性剤、持効性注射剤)、(2)抗精神病薬カテゴリ(第1世代、第2世代、第3世代)、(3)患者の臨床的特徴。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、111件の論文を含めた。・抗精神病薬の有効性を評価した試験において、生活の質はたいていの場合、副次的アウトカムとして評価されていた。・第2世代抗精神病薬はQOLに、より良い影響を与えていた。・長時間作用型注射剤抗精神病薬は、QOLのより安定した改善、良好な安全性および忍容性プロファイルと関連していた。 著者は、「より優れた忍容性プロファイル、患者の認知機能および社会的機能に対する有効性が証明されており、より安定した血中濃度を維持できるといった新規治療法が利用可能であれば、統合失調症患者のQOLを改善するための適切な治療戦略となる可能性がある」としている。

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統合失調症、ムスカリン受容体作動薬KarXTは有効か?/Lancet

 xanomeline-trospium(KarXT)は統合失調症の陽性症状および陰性症状の改善に有効であり、概して忍容性は良好であった。米国・Karuna TherapeuticsのInder Kaul氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「EMERGENT-2試験」の結果を報告した。著者は、「今回の結果は、KarXTがD2ドパミン受容体遮断のメカニズムを有する現在のすべての抗精神病薬とは異なる、ムスカリン受容体の活性化に基づく有効かつ忍容性の高い、新たなクラスの抗精神病薬となる可能性を裏付けるものであった」とまとめている。KarXTは、現在承認されているすべての抗精神病薬とは異なり、D2ドパミン受容体を遮断しないムスカリンM1およびM4受容体選択的アゴニストであり、末梢性ムスカリン受容体に関連する有害事象を改善する目的で、xanomelineと末梢性ムスカリン性受容体拮抗薬であるtrospium chlorideを組み合わせたものである。統合失調症患者には新しいメカニズムを有する新たな治療法が緊急に必要とされていた。Lancet誌オンライン版2023年12月14日号掲載の報告。KarXTの有効性および安全性をプラセボと比較検証 研究グループは米国の22施設において、精神病が最近悪化して入院を必要としており、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコア80以上、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコア4以上の18~65歳の統合失調症患者を、KarXTまたはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 KarXT群では、最初の2日間はxanomeline 50mgとtrospium 20mgを、3~7日目にはxanomeline 100mgとtrospium 20mgを1日2回投与し、8日目からは用量変更可としてxanomeline 125mgおよびtrospium 30mgを1日2回に増量、あるいは忍容性に応じてxanomeline 100mgとtrospium 20mgに戻すことも可能とした。 主要エンドポイントは、5週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量とし、修正ITT集団(無作為化された患者のうち、少なくとも1回試験薬を服用し、ベースライン以外でPANSS評価を少なくとも1回受けた患者)を有効性解析対象集団とした。5週間でKarXTは陽性症状と陰性症状を有意に軽減 2020年12月16日~2022年4月13日に407例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした252例がKarXT群(126例)またはプラセボ群(126例)に無作為化された。ベースラインのPANSS合計スコアは、それぞれ98.3、97.9であった。 PANSS合計スコアのベースラインから5週時の変化量の平均値は、KarXT群-21.2ポイント(SE 1.7)、プラセボ群-11.6ポイント(1.6)であった(最小二乗平均群間差:-9.6、95%信頼区間[CI]:-13.9~-5.2、p<0.0001、Cohen’s d効果量=0.61)。 副次エンドポイントもすべて、プラセボ群よりKarXT群で有意に良好であった(p<0.05)。 主な有害事象(KarXT群vs.プラセボ群)は、便秘(27例[21%]vs.13例[10%])、消化不良(24例[19%]vs.10例[8%])、頭痛(17例[14%]vs.15例[12%])、悪心(24例[19%]vs.7例[6%])、嘔吐(18例[14%]vs.1例[1%])、高血圧(12例[10%]vs.1例[1%])、浮動性めまい(11例[9%]vs.4例[3%])、胃食道逆流症(8例[6%]vs.0[0%])、下痢(7例[6%]vs.4例[3%])であった。 治療中に発現した有害事象は、錐体外路症状(KarXT群0[0%]vs.プラセボ群0[0%])、アカシジア(1例[1%]vs.1例[1%])、体重増加(0[0%]vs.1例[1%])、傾眠(6例[5%]vs.5例[4%])であり、投与中止に至った有害事象(9例[7%]vs.7例[6%])と同様に、KarXT群とプラセボ群で同程度であった。 なお、同一のEMERGENT-3試験、52週間の非盲検試験であるEMERGENT-4およびEMERGENT-5試験を含む追加の試験により、統合失調症患者におけるKarXTの有効性および安全性に関する追加情報が提供される予定だという。

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信頼獲得には、3回目の訪問までに3点を確認!【実践!産業医のしごと】

産業医として初めて企業を訪問した際に何をすべきか、迷うことがあるかもしれません。ここでは、初回訪問で押さえておきたいポイントをまとめました。これらのポイントは必ずしも初回訪問に限定されるものではなく、2~3回目までの訪問で確認できるよう、留意しておくとよいでしょう。訪問前の準備訪問前の準備は、産業医として契約した企業の客観的な情報を頭に入れておくことです。たとえば、企業のホームページにはさまざまな情報が掲載されています。まずは、創業の歴史や業種、従業員数、製品、工場や支店の拠点情報を把握してください。IR情報が公開されていれば、業績の概要も理解しておくことが重要です。そして、事前準備として一番重要なことは、トップのメッセージを読むことです。サイトには、企業のトップが何を重視し大切にしているかについての内容が記載されています。また、従業員の健康を重視している企業であれば、健康管理についてどのように取り組んでいるかの情報を得ることができます。こうした関連する情報に興味を持ち、訪問前の準備として相手の企業への関心を高めることは、産業医活動を始める事前準備として必須だと考えてください。訪問時の留意点実際に、産業医として初めて企業を訪問する際には、以下の3点に留意しましょう。1)コミュニケーションを構築する初回の訪問は、衛生管理者や人事関係者との信頼関係を築く絶好の機会です。産業保健活動は、産業医だけでは行えず、企業内の協力者が不可欠です。初回のタイミングで会う人たちが、企業内の協力者になります。医師は企業との接点が少なく、気を使われがちな存在です。それにあぐらをかくことのないよう、オープンで誠実なコミュニケーションを心掛け、相談しやすい雰囲気をつくりましょう。2)職場を観察する機会を持つ産業医の訪問で起こりがちなのは、訪問時に応接室に通され、お客さまとして扱われ、世間話をして終わることです。産業保健の主役は企業と働く従業員です。従業員がどのような職場環境で働いているかを観察せずには、産業医の活動を始められません。職場を案内してもらい、職場の雰囲気、従業員の働く環境、作業内容、コミュニケーションの様子など、職場を十分に観察しましょう。3)健康管理の現状確認をする遅くとも3回目の訪問までには、現在の健康管理(衛生管理)の状況を確認しましょう。新しく産業医を選任した企業では、労働安全衛生法に基づく健康管理が十分でないこともあります。とくに以下の表に示す項目については、労働者が健康リスクに直結する可能性があるため早めにヒアリングを行い、健康課題についての現状と方向性を企業と共有することが重要です。画像を拡大する産業医活動は、企業のニーズを理解することから始める産業医として初めに何から手を付けたらよいのか、悩むことがあると思います。とくにゼロから産業医を選任した企業では、各種の対策がまったく手付かずのことが多くあります。しかし、いきなり上から目線で「健康管理はこうあるべき」と主張すると、企業の困惑や反発を招く可能性があります。産業医は、健康の観点から企業と従業員を支援する役割を担っています。まずは、企業が直面している問題やニーズを丁寧にヒアリングし、それらを解決するためのアプローチから始めることが推奨されます。初回の訪問時に確認しておきたい事項について記載しました。企業への理解を深め、一歩一歩ですが丁寧なコミュニケーションをもとに誠実に仕事を進めていくことで、企業からの信頼の厚い産業医になれるでしょう。

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術後せん妄予防に対するスボレキサント+ラメルテオンの有効性

 スボレキサントとラメルテオンは、術後せん妄の予防に有用であると報告されている。これまでの研究では、せん妄誘発リスクと関連するベンゾジアゼピン系睡眠薬との比較が報告されているが、睡眠薬未使用患者との比較は、これまで報告されていなかった。静岡がんセンターの池内 晶哉氏らは、がん患者において、術前にスボレキサントとラメルテオンの併用投与を行った場合と睡眠薬未使用の場合を比較し、術後せん妄の発生率を評価した。Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences誌2023年12月1日号の報告。 対象は、2017年4月~2020年6月に静岡がんセンターの肝胆膵外科で手術を受けたがん患者110例。手術の7日前からスボレキサントとラメルテオンの併用を行った患者50例、スボレキサント、ラメルテオンを含む睡眠薬未使用患者60例を分析した。術後7日間、レトロスペクティブに観察し、術後せん妄の累積発生率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・術後7日間における術後せん妄の累積発生率は、スボレキサントとラメルテオン併用患者で7例(14.0%)、睡眠薬未使用患者で22例(36.7%)であり、両群間で有意な差が認められた(オッズ比:0.28、95%信頼区間:0.11~0.73、p=0.009)。 結果を踏まえ、著者らは「がん患者に対する術前のスボレキサントとラメルテオンの予防的併用投与は、術後せん妄の発生率を低下させるために、有効であることを示唆している」としている。

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日本の片頭痛治療におけるフレマネズマブのリアルワールドエビデンス

 抗CGRP抗体であるフレマネズマブのみに焦点を当てたアジアにおけるリアルワールド研究は、これまでほとんど行われていなかった。慶應義塾大学の大谷 星也氏らは、日本のリアルワールドにおけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果から、日本人の片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性および安全性が確認され、フレマネズマブ治療により約半数の患者において片頭痛関連症状の改善が認められたことを報告した。BMC Neurology誌2023年11月14日号の報告。 2021年12月~2022年8月に慶應義塾大学病院でフレマネズマブを4回投与した片頭痛患者を対象に、単施設観察的レトロスペクティブ研究を実施した。1ヵ月当たりの片頭痛日数、治療反応率、片頭痛関連症状、注射部位の反応、有害事象の変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は29例、女性の割合は79.3%であった。・1ヵ月当たりの片頭痛日数は、ベースライン時と比較し、4ヵ月時点で5.9日減少した。・50%治療反応率は、4ヵ月時点で55.2%であった。・フレマネズマブ治療により光線過敏症、音過敏症、悪心/嘔吐の重症度改善が認められた患者は、それぞれ57.9%、47.8%、65.0%であった。・最も一般的な有害事象は、注射部位反応であった(55.2%)。

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テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。 主な結果は以下のとおり。・1,060例の回答者のうち、825例がその時点で雇用されていた。599例が女性、548例がテレワークを実施していた。・テレワークをしている親を人種で見ると、白人(244例)が黒人(99例)またはヒスパニック系(145例)よりも多かった。・テレワークをしている親は、現場で働く親と比較して、育児ストレスのオッズが増加した(調整オッズ比[aOR]:1.88、95%信頼区間[CI]:1.20~2.93)が、健康状態(aOR:1.23、95%CI:0.78~1.93)や精神的健康の改善(aOR:1.14、95%CI:0.64~2.04)には差がなかった。・テレワークをする父親は、現場で働く父親よりも育児ストレスが高いと報告した(aOR:2.33、95%CI:1.03~5.35)が、母親には関連はなかった(aOR:1.53、95%CI:0.93~2.49)。 研究者らは、COVID-19パンデミック時にテレワークを行った親は、現場で働いた親と比較して育児ストレスが高いと報告しており、親、とくに父親にその傾向が顕著だった。これは育児ストレスにテレワークによるストレスが加わったり、よりストレスの多い育児状況にある親がテレワークを優先的に選択したりした可能性を示唆している。テレワークを行う親を支援する戦略、たとえば勤務スケジュールの自律性を促進することや従業員支援プログラムなどは、親と子供にとって重要な健康上の意味を持つ可能性がある、とした。

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 1

今回のキーワードいじめ無気力・不安PTSD(心的外傷後ストレス障害)ストレス反応(適応障害)反抗期(思春期)同調自我同一性(アイデンティティ)自立(自我同一性の確立)2024年の現在、不登校の子供は過去最多の約30万人となりました。これは、中学校なら30数人のクラスに1人から2人はいる計算になります。彼らはなぜ学校に行けないのでしょうか? 逆になんで学校に行くのでしょうか?今回は、不登校をテーマに、アニメ映画「かがみの孤城」を取り上げます。この映画を通して、発達心理学の視点から不登校の根っこの心理を掘り下げます。そして、文化心理学の視点からとくに日本で不登校が増えている一番の原因を解き明かしてみましょう。なんで学校に行けないの?主人公は中学1年生のこころ。彼女は、入学してまもなくある女子グループからいじめを受けます。その子たちは、こころと仲良くなりそうな友達をこころから遠ざけたり、男子に「おれおまえみたいなブス、大嫌いだから」とこころに伝えるよう仕向けたり、こころがこもっている家の庭先まで入り込んでこころを大声で呼んだりするなど、とても悪質でした。そして、こころはその後に学校に行けなくなってしまいます。代わりにフリースクール(適応指導教室)に行こうにも、朝になると腹痛(ストレス反応)が起こります。母親から「行くの? 行かないの?」と急かされるなか、「行かないんじゃない。行けないのに」と心の中で叫びます。その心情は、子供の目線でリアルに描かれていました。両親とも仕事をしているため、こころは仕方なくひとり家で過ごします。そんなある日、自分の部屋に置いてある鏡に吸い込まれてしまい、その先の絶海の孤城に運ばれてしまいます。そこで、同じように運ばれた中学生6人に出会うのです。彼らが不登校になった原因は、いじり(からかい)や陰口レベルの友人関係(いじめレベルではない)であったり、複雑な家庭環境であったり、「天然」という本人の個性(発達特性)であるなど、さまざまで複合的でした。文科省の不登校の最新の調査によると1)、その原因として「無気力・不安」(52%)、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)、「友人関係(いじめを除く)」(9%)、「親子関係」(7%)などが挙げられています。厳密には、半数を占める「無気力・不安」は、こころの体調不良と同じように表面的な原因にすぎず、その根本的な原因は不明のままです。そして、「いじめ」(0.3%)は意外にも上位ではありません。もちろん、学校側の調査が行き届いていなかったり、本人が恥ずかしさから言い出せなかった可能性があることから、「無気力・不安」の中に「いじめ」が潜在的に含まれているのではないかという指摘もあります。確かに、あとでいじめを打ち明けたこころの場合はそうなります。実はいじめはきっかけにすぎないしかし、よくよく考えると、こころの不登校の原因が単純にいじめであるならば、そのいじめ女子グループがいないフリースクールには通えるはずです。フリースクールにも行けないということは、転校したとしても、その学校にも行けないことが予測できます。それでは、いじめによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったことで、同年代の子たちが集まる場所全般に行けなくなる症状(回避症状)が出てきたと考えることはできるしょうか? そう考えるには、無理があります。こころの視点では「殺されそうな体験」として描かれてはいるのですが、客観的には庭先で大声で呼ばれただけです。実際に暴行されたりけがさせられるなどの死の恐怖を感じるレベル(トラウマ)とまでは言えず、やはりストレス反応(適応障害)のレベルです。また、とくにフラッシュバックや悪夢などの特徴的な症状も出ていません。ちなみに、他の6人もPTSDを発症するほどのトラウマ体験はありません。なお、6人のうちのアキは義父から性被害を受けそうになりました。この体験はトラウマレベルではありますが、それは不登校になったあとのエピソードでした。つまり、いじめがあったとしても、それは不登校のきっかけ(誘因)にすぎず、彼らが不登校になる根本的な原因が別にあったことが考えられます。それはいったい何でしょうか?逆に、子供が学校に行く理由から、その謎を解き明かしてみましょう。次のページへ >>

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 2

逆になんで学校に行くの?こころが不登校になったあと、いじめ女子グループのターゲットは、クラスメートの萌ちゃんに変わっていました。彼女は、こころと同じように悪質ないじめを受けますが、不登校にはなりませんでした。なぜ彼女は学校に行けるのでしょうか?大きく3つの可能性を挙げて、その中から萌ちゃんが学校に行く一番の理由(目的)を考えてみましょう。(1)親から行けと言われるから1つ目は、親(社会)から行けと言われるからです。これは、先ほどのこころの母親の「行くの? 行かないの?」と言うセリフに重なります。そしてこれは、こころをはじめ、多くの子供に当てはまります。もちろん、親としては「学校に行くのは勉強して立派な大人になるため」という思いがあります。教師としても、そう伝えるのが職務です。ただし、「立派な大人になる」のは子供が自分で望んでいるわけではないです。勉強好きの子供もごく一部です。すると、これは子供にとって「学校に行くために学校に行く」という状態になってしまいます。「学校に行け」「勉強しろ」と言われて、とりあえずそれに従っている状態です。発達心理学的には、小学生まではそれが可能です。しかし、中学生にもなると、反抗期(思春期)です。もはや親や教師の言うことを聞かなくなります。勉強が難しくなったり、大人になった将来のことを考えていなければ、なおさらです。しかも、親や教師が反抗させまいとすれば、子供はもっと反抗して逆効果です。そうなると、学校に行く目的がなくなってしまいます。以上より、親や教師(社会)から行けと言われること、つまり勉強することを学校に行く一番の理由(目的)にしてしまうと、不登校のリスクを高めてしまうことがわかります。これは、萌ちゃんには当てはまりません。なお、反抗の心理の詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)友達に会えるから2つ目は、友達に会えるからです。友達とは自分の味方であり、その友達が集まっている教室(学校)が居場所になります。学校に行く理由を、このようにぼんやりと考えている子供は、かなりいるでしょう。学校の代わりにフリースクールが居場所になると唱える教育関係者もいるでしょう。発達心理学的には、小学生までならそれで良いです。なぜなら、いろんな友達とかかわりたいと思う気持ち(同調)を高める時期だからです。しかし、中学生にもなると、思春期真っ盛りです。思春期は、同調の心理がさらに発達して、不特定多数から特定少数の友達(グループ)と一緒にいたいと思うようになる時期です。そのため、グループに入れないなど友達関係がうまくいかないと、学校に行く目的がなくなってしまいます。そして、こころのように「ぼっち」(ひとりぼっち)である状況をクラスメートから指摘されることは、味方がいない「だめな自分」が晒されていることを意味します。こうして、居場所がない感覚に陥り、学校に行くのがますますつらくなります。この点で、友達関係の葛藤を自覚できなかったり、恥ずかしくて認めたくないために言い出せなかった場合も、「無気力・不安」の方にカウントされている可能性が考えられます。以上より、友達に会えること、つまり学校が居場所であることを学校に行く一番の理由(目的)としてしまうと、不登校のリスクを高めてしまうことがわかります。これも、萌ちゃんには当てはまりません。そして、こころがフリースクールにも行けなかったのは、まさにこれが原因です。つまり、フリースクールにしても学校にしてもただ居場所であるだけでは限界があるということです。なお、同調の心理の詳細については、関連記事2のページの最後をご覧ください。(3)大人になるために必要だから3つ目は、大人になるために必要だからです。ここで、こころが久々に萌ちゃんに再会した時に、萌ちゃんが言ったセリフがヒントになります。それは、「ばかみたいだよね。たかが学校のことなのにね」「だってあの子たち(いじめ女子グループ)、恋愛とか目の前のことしか見えてないんだもん。成績も悪いし、ガキっぽいし。10年後も20年後もあのままだよ。きっとろくな人生送らないよ」「ああいう子たちってどこにでもいるし」というセリフでした。萌ちゃんは、親の仕事の都合で転校を繰り返していたこともあり、彼女ならではの冷静な判断力を持っています。そして、「目の前」ではなく「10年後、20年後の人生」という大人になった未来の視点を持っています。つまり、「今、相手にどう思われるか」ではなく、「これから自分はどうしたいか(どうなりたいか)」という発想です。たとえば、どんな仕事をしたいのか、どんな所に行きたいのか、どんな人に会いたいのか、どんな人と一緒にいたいのかなど、なりたいと思う大人の自分を具体的にイメージしていくことです。発達心理学的には、これは思春期の発達課題である自我同一性(アイデンティティ)です。この自我を育むために、学校に行って、勉強して、友達に会っているのです。この先に、大人になる、つまり自立(自我同一性の確立)があります。この自我があることによって、萌ちゃんはいじめられて周りから友達がいなくなっても、こころほど気にせず、不登校にならなかったのでした。以上より、萌ちゃんのように大人になりたいと思うこと、つまり自我を育むことを学校に行く一番の目的とすることで、不登校のリスクを低くできることがわかります。なお、自我をはじめとする発達課題の詳細については、関連記事3をご覧ください。不登校の根っこの心理とは?学校に行く一番の目的は、大人になる(自我を育む)ためであるということがわかりました。この自我が芽生えているかどうかが、同じいじめを受けながら、こころが不登校になって萌ちゃんが不登校にならなかった決定的な違いです。また、先ほどの文科省の調査の「無気力・不安」の正体とは、この自我がまだ芽生えていないために、ただ勉強する気が起こらない無気力感であったり、友達がいないこと(いないことを見られること)を気にしすぎる不安感であったりするのなどの心と体の反応(症状)であることがわかります。そして、不登校が長引けば、この自我を育むチャンスをますます逃してしまうことがわかります。つまり、不登校の根っこの心理とは、自我の弱さであると言えます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 3

じゃあなんで不登校は増えているの?冒頭のシーンで、こころは夢想します。「たとえば夢見る時がある。転入生がやってくる。その子は何でもできるすてきな子。たくさんいるクラスメートのなかに私がいることに気付いて、お日様みたいなまぶしい微笑みを浮かべ、『こころちゃん、久しぶりって』ってまっすぐ近寄ってくる。みんな息を飲む。そんな奇跡が起きたらいいと」「(でも)そんな奇跡が起きないことは知っている」と。不登校になったこころの心情がリアルに描かれていました。と同時に、客観的に見れば、友達をつくろうと自分から踏み出せず、「奇跡」を当てにしようとしています。きっと、今まで自わから友達をつくる練習をしてこなかったことも想像できます。自分でどうしたいかを言い出せず、いじめに対してもノーと言えないという自我の弱さがあることがわかります。萌ちゃんとは対照的です。昨今、不登校が増えているということは、こころのような自我の弱い子供が増えているのでしょうか? 確かに、昔よりも今どきの子供は大人しくなったという印象はあるでしょう。ただ、それ以上に、今だけでなく昔も、子供だけでなく大人も、実は日本人で自我が弱い人はもともと多いです。文化心理学的に言えば、日本人は周りに気を遣って和を重んじる集団主義の国民性です。これは、もともと日本が島国で他国からの侵略が歴史的にほとんどなかったことや、江戸時代からの鎖国によって封建社会の価値観が強化されていったことと関係しているでしょう。封建社会では上下関係を重んじて親や目上の人に逆らわない、つまり自我が弱い方が適応的です。むしろ、自我が強いと、和を乱し、村八分に遭い、子孫を残せないリスクが出てきます。なお、この日本人の国民性の詳細については、関連記事4をご覧ください。ただし、この国民性は、裏を返せば「自己主張しない」「ノーと言えない」、つまり自分はどうしたいのかをなるべく抑えるわけで、実は世界的には奇妙なメンタリティになります。実際に、海外の学校では、人種差別レベルのあからさまないじめがはびこっているのに、日本のように不登校は目立っていないことからもわかります。この自我を抑える(自我の弱い)メンタリティが、社会構造の変化によって炙り出され、不登校をどんどん招いてしまっているのです。それでは、この社会構造の変化とはいったい何でしょうか? 不登校が増え始めた1980年代をヒントに、大きく3つ挙げてみましょう。(1)個人主義化1980年代に日本が経済大国になってから、生活に余裕ができて、個人に選択の自由が生まれ、個人の権利(人権)に目が向くようになりました。そして、必ずしも集団の中で周りに合わせたり、親や目上の人の言うことを聞く必要がなくなりました。1つ目は、個人主義化です。それまでは、学校に行かなければ、親や教師が暴力(体罰)、暴言(モラハラ)、嫌がらせを行うなどの虐待が懲戒権として当たり前のようにありました。そんななか、ほとんどの子供は逆らえません。そもそも学校に行かないなどと、自分だけ周りと違うことをすること自体が恐怖でした。よって、しょうがなく学校に行っていました。まさに、「学校に行くために学校に行く状態」が成り立っていた時代です。しかし、今やこのような親や教師による懲戒権は違法と認識されるようになりました。そして、周りと違うことは個性と受け止められるようになりました。つまり、もともと日本人は、自我ではなく身体的・精神的な恐怖によって学校に行っていたと言えます。その恐怖がなくなるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、個人主義化は、不登校だけでなく、非婚(結婚しないこと)が増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事5をご覧ください。(2)経済安定化1980年代に日本が経済大国になってから、世の中は物質的には豊かになっていきました。2つ目は、経済安定化です。それまでは、学校に行っていなければ、就職できずに、最悪ホームレスになってしまう恐怖がありました。もちろん、成人した子供を養う余裕がある親も少なかったです。だからこそ、子供は文字どおり「死んでも」(たとえいじめがあっても)学校に行きました。しかし、今や子供が学校に行かずに成人して働かなくても、親はその子を養う余裕があります。そして、社会の枠組み(法律)としては個人主義化しましたが、家庭内ではまだ集団主義(家族主義)が残っており、子供は成人しても親に責任があるという考え方が根強いです。子供はその状況を見越しています(モラルハザード)。つまり、大人になっても子供は「子供」のままでいられる時代になったのです。たとえ、親に経済力がなくても、生活困窮に対しては、生活保護という社会保障制度を利用することができます。実際に、生活保護受給者は年々増え続けています。つまり、もともと日本人は、自我ではなく経済的な不安によって学校に行っていたと言えます。その不安がなくなるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、経済安定化は、不登校だけでなく、ひきこもりが増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事6をご覧ください。(3)情報化1980年代に日本が経済大国になってまもなくの1990年代、インターネットが世界中に普及して情報革命が起きました。世の中は便利になり娯楽が増えました。3つ目は、情報化です。それまでは、学校に行かなければ、先生に会えず、知識や情報を得ることができませんでした。友達にも会えず、家にいてもやることがなくて寂しくて退屈でした。だからこそ、とりあえず学校に行っていました。しかし、今や苦労して学校に行かなくても、家にいてインターネットから世界中の最新情報をいくらでも手に入れることができます。教育動画で勉強することもできます。対話型の生成AIに教えてもらうこともできます。オンラインゲームで友達とつながることもできます。登校して物理的に教師や友達に会うという行動が必ずしも必要なくなってしまいました。つまり、もともと日本人は、自我ではなくつながりを求めて学校に行っていたと言えます。その不便さがなくなり受け身になれるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、情報化は、不登校だけでなく、ゲーム依存症が増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事7をご覧ください。1)「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」P4:文部科学省、2023<< 前のページへ■関連記事ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】Part 2東京タラレバ娘【ブリーフセラピーとは?】苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】サイレント・プア【ひきこもり】レディ・プレーヤー1【なぜゲームをやめられないの?どうなるの?(ゲーム依存症)】

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10代での妊娠とうつ病~JECS研究

 10代での妊娠は、さまざまな要因によりうつ病リスクを増加させる可能性がある。若年成人期の妊娠は、高齢期の妊娠と比較し、複数のうつ病リスク因子に影響を及ぼすと考えられる。しかし、若年成人期の妊娠におけるうつ病関連のデータは不足している。国立成育医療研究センターの石塚 一枝氏らは、10代および若年成人期の妊娠とうつ病との関連を調査した。その結果、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2023年11月22日号の報告。 全国的な出生コホート研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)」のデータを用いて、検討を行った。各年齢層(14~19歳、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35歳以上)とうつ病との関連を調査するため、行動的特性および社会人口統計学的特性を調整した後、多変量ロジスティック回帰を実施した。うつ病の評価には、ケスラー心理的苦痛尺度(K6)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・妊娠アンケートに回答した人は、9万6,808人。・10代(14~19歳)および若年成人期(20~24歳)の妊娠は、高齢期(35歳以上)の妊娠と比較し、うつ病リスクの増加と関連していた。 【14~19歳】OR:4.28、95%信頼区間(CI):3.24~5.64 【20~24歳】OR:3.00、95%CI:2.64~3.41・共変量で調整したところ、うつ病リスクの軽減が認められたが、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクの増加は有意なままであった。 【14~19歳】OR:2.38、95%CI:1.77~3.21 【20~24歳】OR:2.14、95%CI:1.87~2.46 著者らは「これらの調査結果は、10代および若年期の妊婦には、うつ病関連の予防および介入を優先的に実施することを示唆している」としている。

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アルコール依存症に関連する自己スティグマが症状に及ぼす影響

 アルコール使用に対するスティグマの相関関係や影響は複雑である。通常、アルコール使用障害は、羞恥心、罪悪感や否定的な固定概念などのさまざまな要因による自己スティグマを伴う。しかし、自己スティグマとアルコール関連アウトカムとの関連を実証的に調査した研究は、これまでほとんどなかった。米国国立衛生研究所のMadeline E. Crozier氏らは、アルコール依存症に関する自己スティグマとアルコール摂取および欲求の重症度との関連を調査した。その結果、自己スティグマが高いほど、アルコール使用障害がより重篤であり、アルコール摂取量の増加、アルコール関連の強迫観念や強迫行動の増加につながることを報告した。BMJ Mental Health誌2023年11月22日号の報告。 参加対象は64例。最初に自己スティグマとアルコール依存症スケール(SSAD-Apply subscale)スコア、飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)スコア、飲酒量振り返りカレンダー(TLFB)、強迫性飲酒スケール(OCDS)スコア、Penn Alcohol Craving Scale(PACS)との間の2変量相関分析を行った。結果に基づき、予測因子としてSSADスコア、アウトカムとしてAUDITスコアおよびOCDSスコアを用いて、回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・64例中51例は、アルコール使用障害と診断されていた。・SSADスコアは、AUDITスコア(p<0.001)、飲酒日1日当たりの平均飲酒量(p=0.014)、大量飲酒日の日数(p=0.011)、OCDSスコア(p<0.001)との正の相関が認められた。・SSADスコアは、人口統計を調整した後でも、AUDITスコア(p<0.001)およびOCDSスコア(p<0.001)の有意な予測因子であることが示唆された。 結果を踏まえて、著者らは「自己スティグマを軽減するための潜在的な介入は、アルコール使用障害患者のQOLや治療アウトカムの改善につながる可能性がある」としている。

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2023年、読んでよかった!「この医学書」/会員医師アンケート

2023年も多くの医学書が刊行されました。CareNet.comでは、会員医師1,000人(内科、循環器科、呼吸器科、消化器科、精神科/心療内科・各200人)に、「今年読んでよかった医学書」についてアンケートを実施しました(今年刊行された本に限らず、今年読んだ本であればOK)。アンケートでは「ご自身の専門分野でよかった本」「専門分野以外でよかった本」を1冊ずつ、理由も添えて挙げてもらいました。本記事では、複数の医師から名前の挙がった書籍を、お薦めコメントと共に紹介します(アンケート実施日:12月5日)。ぜひ、年末年始の読書の参考にしてください。内科幅広いテーマの書籍が「専門分野」として挙げられた内科。『今日の治療薬』(南江堂)、『ハリソン内科学』(メディカル・サイエンス・インターナショナル)、『当直医マニュアル』(医歯薬出版)といった「ド定番」のほか、糖尿病治療に関する書籍と「日本内科学会雑誌」を挙げる人が目立ちました。『ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第3版』(金城 光代ほか[編]、医学書院、2023年)内科外来のトップマニュアルが6年ぶりの改訂。内科医以外からも多くの推薦がありました。●推薦コメント「外来診療に役立った」「疾患別に緊急性や重症度などを考えさせるように導く内容となっていて面白い」『胃炎の京都分類 改訂第3版』(春間 賢[監修]、日本メディカルセンター、2023年)多くの画像で胃炎を解説する定番書の改訂第3版。●推薦コメント「慢性胃炎に対する内視鏡的・肉眼的考察により、これまでの慢性胃炎の概念を体系化した書物」「臨床に生かせる」『内科学 第12版』(矢崎 義雄・小室 一成[編]、朝倉書店、2022年)初版は1977年、病態生理を中心に内科的疾患の最新の知見を集大成した改訂12版。●推薦コメント「鉄板です」「ザ・定番と思われるため」循環器科内科医からも多くの推薦があった『ジェネラリストのための内科外来マニュアル』のほか、個別テーマでは心電図、PCIを扱った書籍が多く挙げられました。『循環とは何か? 虜になる循環の生理学』(中村 謙介[著]、三輪書店、2020年)難解な循環の生理学を、深くかつわかりやすく解説。●推薦コメント「面白い」「知識の整理になった」『PCIで使い倒す IVUS徹底活用術 改訂第2版』(本江 純子[編]、メジカルビュー社、2020年)「もっとこうしたらIVUSをより有効に活用できる」という手順・方法などを、実例と共に解説。●推薦コメント「IVUSの基本的な読影やトラブルシューティングなど、理論的にわかりやすかった」「説明がわかりやすく、実践的」『心不全治療薬の考え方,使い方 改訂2版』(齋藤 秀輝ほか[編]、中外医学社、2023年)心不全治療薬の整理のほか、使い分けや未知の事柄も追記した実践的な書の改訂版。●推薦コメント「いつも参考にしています」「心不全治療薬の“革命”を経て…、U40新世代が作り上げるバイブル」呼吸器科「間質性肺炎」「肺がん」「喘息」「気管支鏡」「人工呼吸」「咳」など、「専門」とする書籍テーマのバリエーションが多様だった呼吸器科。回答者によってさまざまな疾患に対応していることが垣間見える結果となりました。『ポケット呼吸器診療2023』(倉原 優[著]、シーニュ、2023年)CareNet.comの連載でもおなじみの倉原氏による定番の一冊の最新版。●推薦コメント「毎年非常に詳しく書かれているから」「ガイドラインや最新の治療薬のアップデートを記憶するのに役立つ」「呼吸器診療のtipsがコンパクトにまとめられている」『誤嚥性肺炎の主治医力』(飛野 和則[監修]、吉松 由貴[著]、南山堂、2021年)飯塚病院 呼吸器内科の著者らによる誤嚥性肺炎診療の実践書。●推薦コメント「気を付けるポイントを再認識した」「読みやすく、わかりやすかった」『抗菌薬の考え方,使い方 ver.5』(岩田 健太郎[著]、中外医学社、2022年)未曽有のコロナ禍を経て、新たに刊行された改訂版。●推薦コメント「大学の授業で習うべき重要な内容」「基本的な抗菌薬の知識を臨床の面から解説してある」「普段何気なく使用している抗菌薬の使用方法を見直すきっかけになった」消化器科内科医からも多く挙げられた『胃炎の京都分類 改訂第3版』のほか、医学誌「胃と腸」や『胃と腸アトラス』を「基本知識、専門知識がよくわかる」「読影の参考になる」「症例問題集が面白く勉強になる」と推薦する声が目立ちました。『専門医のための消化器病学 第3版』(下瀬川 徹ほか[監修]、医学書院、2021年)消化器専門医が知っておきたい最新知見を各領域のエキスパートが解説。●推薦コメント「内容が新しくてよい」「専門医として知っておくべき内容がまとめてあり、わかりやすい」「網羅的に消化器病の知識が記されており、教科書兼辞書として重宝している」『カール先生の大腸内視鏡挿入術 第2版』(軽部 友明[著]、日本医事新報社、2020年)内視鏡手技をテーマとした書籍が多いなか、内視鏡挿入のテクニックを動画付きで解説した本書を挙げる人が目立ちました。●推薦コメント「図が豊富」「基本的な内容が理解できた」「わかりやすく、新しい発見があった」『患者背景とサイトカインプロファイルから導く IBD治療薬 処方の最適解』(杉本 健[著]、南江堂、2023年)炎症性腸疾患(IBD)の治療薬について、著者独自の観点から患者ごとの最適解の考え方を提供。●推薦コメント「目から鱗でした」「わかりやすく、的確な具体例もある」精神科/心療内科他科と比較して同じ本を選択した回答者が多く、刊行から時間が経過した本も多く選ばれる傾向がありました。『精神診療プラチナマニュアル 第2版』(松崎 朝樹[著]、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2020年)精神診療に必要かつ不可欠な内容をハンディサイズに収載。●推薦コメント「ノイヘレン(新人)時代にこういった入門書があればよかった。今でも復習に役立つ」「内容がわかりやすくまとまっている」「最新の話題が記載されている」『[新版]精神科治療の覚書』(中井 久夫[著]、日本評論社、2014年)「医者ができる最大の処方は希望である」。精神科医のみならず、すべての臨床医に向けられた基本の書。●推薦コメント「読みやすい」「改めて読み直してみて、初心を思い出せた」『カプラン臨床精神医学テキスト 第3版』(井上 令一[著・監修]、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2016年)DSM-5準拠、高評と信頼を得た最高峰のテキストの改訂版。●推薦コメント「精神科医が学ぶことがおおむね網羅されている」「DSM-5に準じ体系化されていて、たくさんの疾患が網羅されている」「精神科専門医試験もここから多く出ていた」専門も専門外も!「信頼のシリーズ」アンケートの設問では「事典やガイドライン、医学雑誌以外の本を推薦ください」と条件を付けたものの、医師にとって最も身近であるこれらの書籍や、医学生・研修医、非専門医、コメディカルを対象とした定番シリーズを挙げる方も多くいました。「極論で語る」シリーズ(丸善出版)●推薦コメント「循環器疾患についてメカニズムと対応方法をわかりやすく解説してくれる」(『極論で語る循環器内科』/循環器科)、「体液コントロールにおける腎臓の視点を取り入れることができる」(『極論で語る腎臓内科』/循環器科)「病気がみえる」シリーズ(メディックメディア)●推薦コメント「看護学校の講師をしていますが、初心に返ることができた」(循環器科)、「基礎の確認になった」(循環器科)「レジデントのための」シリーズ(日本医事新報社)●推薦コメント「内科診療の疑問をEBMの側面でまとめてくれている」(『レジデントのための 内科診断の道標』/精神科)、「実臨床に即しており、非常にわかりやすい」(『レジデントのための これだけ輸液』/呼吸器科)どの科も必須「このテーマ」新型コロナウイルス感染症が収まり切らないなか、「専門外」の良書としてどの科の医師からも名前が挙がった本には、感染症をテーマとするものが多数ありました。『レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版』(青木 眞[著]、医学書院、2020年)初版から20年。読み継がれてきた「感染症診療のバイブル」の最新版。●推薦コメント「抗菌薬の選択に参考となる」(呼吸器科)『感染症プラチナマニュアル Ver.8 2023-2024』(岡 秀昭[著]、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2023年)2015年初版、ベストセラー「感染症診療マニュアル」の改訂第8版。●推薦コメント「実臨床に即しており、非常にわかりやすい」(呼吸器科)キラリと光る「新定番」絶対数としてはさほど多くないものの、最近刊行された注目の書籍が、複数の科の医師から「専門外の好著」として名前が挙がりました。『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』(松田 光弘[著]、医学書院、2022年)皮膚科疾患のロジックが身に付く、フローチャートを用いた解説が好評の一冊。●推薦コメント「皮膚科が苦手だったが、まさに目からウロコ」(内科)、「皮疹を診る際の皮膚科医の思考過程がよくわかる」(内科)、「他科の医師でも皮疹診療についての基本がわかる」(呼吸器科)『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑』(きまた りょう[著]、KADOKAWA、2023年)100点以上のオールカラーイラストで筋肉のつながり・仕組みを平易に解説した一般書のベストセラー。●推薦コメント「筋肉の解剖学的特徴がわかりやすい」(内科)、「イラストがよい、わかりやすい」(消化器科)『心電図ハンター 心電図×非循環器医』(増井 伸高[著]、中外医学社、2016年)非循環器医をターゲットに、即座に判断できない微妙な症例を集め、心電図判読のコツを紹介。●推薦コメント「実際の臨床の場面を想定した形での判断基準などがわかりやすい」(内科)、「知りたいことがコンパクトにまとめてある」(呼吸器科)こんな本も! 医師ならではの一冊医学書以外でも、医師ならではの視点から、熱のこもったコメントと共に寄せられた本がありました。『蘭学事始』(杉田 玄白[著]、緒方 富雄[校註]、岩波文庫、1959年)江戸後期、杉田 玄白が著した蘭学創始期の回想録。●推薦コメント「印象に残った」(呼吸器科)『医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者』(大竹 文雄・平井 啓[編著]、東洋経済新報社、2018年)●推薦コメント「インフォームドコンセントからSDMになり、なんとなく感じていた違和感が、行動経済学的な考え方によりすっきりした」(消化器科)『嫌われる勇気』(岸見 一郎・古賀 史健[著]、ダイヤモンド社、2013年)アドラー心理学を解説する、100万部突破のベストセラー。●推薦コメント「承認欲求に気付くことができた」(循環器科)『わたしが誰かわからない ヤングケアラーを探す旅』(中村 佑子[著]、医学書院、2023年)●推薦コメント「一体ヤングケアラーとは誰なのか。世界をどのように感受していて、具体的に何に困っているのか。取材はドキメンタリーを読むようだ」(消化器科)

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中年期日本人のBMIや体重変化と認知症リスク

 中年期のBMIや体重変化と認知症発症リスクとの性別特異的相関性に関するエビデンスは、とくにアジア人集団において不足している。高知大学の田代 末和氏らは、40~59歳の日本人を対象にBMIや体重変化と認知症発症リスクとの関連を調査した。その結果、中年期の肥満は認知症発症のリスク因子であり、中年後期の体重減少は体重増加よりも、そのリスクを高める可能性があることを報告した。Alzheimer's & Dementia(Amsterdam、Netherlands)誌2023年11月23日号の報告。 40~59歳の地域在住日本人3万7,414人を対象にベースライン時(1990年または1993年)およびフォローアップ期間10年間のBMIデータを収集した。体重変化は、ベースライン時と10年間フォローアップ調査の測定結果より算出した。2006~16年の認知症発症を確認するため、介護保険認定を用いた。ハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の肥満、10年フォローアップ調査の低体重において、認知症リスクの増加が確認された。・ベースライン後の体重減少は、体重増加よりも高リスクであった。・これらの関係に性差は認められなかった。 著者らは「男女ともに、中年期の肥満は認知症発症リスクを増加させ、その後の体重減少は、リスクを増大させることから、成人期を通じて健全な体重を保つことは、認知症予防につながるであろう」としている。

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統合失調症外来患者におけるアリピプラゾール月1回製剤治療のフォローアップ結果

 統合失調症治療における重要な目標は、症状、心理社会的機能、ウェルビーイングなどのさまざまな問題を寛解状態に導くことである。米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らは、ドイツの75施設で実施されたアリピプラゾール月1回製剤を用いた6ヵ月間の非介入研究に登録された安定期統合失調症の外来患者を対象に、臨床アウトカムデータの事後分析を実施した。Schizophrenia(Heidelberg、Germany)誌2023年11月8日号の報告。 主要アウトカムは次の3つ。(1)症状寛解(横断的Andreasenらの基準:BPRSにおける陽性・陰性主要症状が軽度以下)、(2)機能的寛解(GAFスコア70超)、(3)24週目のウェルビーイングの寛解(WHO-5スコア13以上)。登録患者242例中、完全なデータを有する194例(80.2%)を分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者194例は、平均年齢43.9±15.3歳、男性の割合51.5%、平均罹病期間14.0±12.0年であった。・症状寛解達成患者は61.3%、ウェルビーイングの寛解達成患者は76.8%であったが、6ヵ月時点で心理社会的機能寛解達成患者は24.7%であった。・寛解率は、男女ともに同様であり、罹病期間の階層別でも同様であったが、平均罹病期間が長い患者ほど寛解率は低かった。・BPRSとGAFの改善の相関は弱かった。BPRSの抑うつ症状とGAFスコアとの相関が最も低かったが、BPRS下位尺度および抑うつ症状とウェルビーイングとの相関は高かった。 著者らは「アリピプラゾール月1回製剤による治療は、症状やウェルビーイングの寛解につながるが、機能的寛解を達成するためには、心理社会療法や雇用支援、教育などの追加介入が必要になる可能性が示唆された」としている。

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第191回 診療報酬改定の原則が崩壊、日医は岸田政権のもくろみ一蹴ならず

「やっぱり一寸先は闇だったか」2024年度トリプル改定の改定率を見て、そのような思いを強くした。今回の改定率は12月15~16日に診療報酬本体0.88%、薬価がマイナス0.96%で診療報酬全体としては差し引きマイナス0.08%、介護報酬がプラス1.59%、障害者福祉サービス報酬がプラス1.12%と決定した。このうち診療報酬本体の改定率を日本医師会(日医)の勝ちと見るか、負けと見るかはどこに視点を置くかによって変わってくるだろう。保険料負担の引き上げなどによる国民負担増への懸念から診療報酬本体のマイナス改定を主張していた財務省vs.日医という極めてシンプルな視点で見るならば、日医の勝ちである。が、私の雑感ではイーブン、やや負けである。まず、今回は本体0.88%のうち、賃上げ分が0.61%、食費分が0.06%であり、正味の引き上げ幅は0.21%。前会長の中川 俊男氏時代の前回2022年度の改定率は、診療報酬本体プラス0.43%。うち0.2%が不妊治療の保険適用、0.2%が看護師などの賃上げ分で正味が0.03%。実質的にはほぼゼロ改定と言っても過言ではない結果で、中川氏は2期目の会長選出馬を断念するに至った。これとの比較では、現日医会長・松本 吉郎氏のメンツは明らかに保たれた。しかし、中川氏の前に4期8年会長を務めた横倉 義武氏時代の最後の改定である2020年度改定がプラス0.55%で、ここには救急病院の勤務医の働き方改革分が0.08%含まれ、正味が0.47%。横倉氏時代で正味改定率が最低だったのはこの時で、今回の引き上げ幅はその半分以下だ。加えて今回は介護報酬との同時改定時に堅持されてきた、ある“原則”が崩れた。この原則とは日医のメンツを立てるため、介護報酬の改定率が診療報酬本体の改定率を超えることはないというもの。だが、今回は介護報酬がプラス1.59%で、診療報酬本体の改定率を大きく上回った。ちなみに2006年度の同時改定時は診療報酬本体がマイナス1.36%、介護報酬がマイナス0.5%で、下げ幅は診療報酬本体のほうが大きかったため、“原則”から外れたと言う人もいるかもしれない。ただ、この時は2000年に施行された介護保険法で定めた施行5年後の見直しに伴い、同法が2005年度に改正され、同年度に介護報酬も改定率マイナス1.9%と引き下げられた。この分も加えると、2006年度からの介護報酬改定率はマイナス2.4%となるため、おおむね前述の“原則”の範疇内と言える。しかも、今回の介護報酬では改定率の外枠で、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果としてプラス0.45%相当の改定が見込まれるため、この分を含むと介護報酬はプラス2.04%相当の改定となる。過去の本連載で触れたように日医は賃上げ分や物価高騰対策分を外枠で実現することを目指してきたが、それは叶わなかった。これらを総合すれば、今回の改定率は見かけ以上に日医の敗北要素が多い。さて、なぜこうなったのか? ここからはあくまで推測である。この推測の柱となるのが診療報酬本体、介護報酬ともにプラス改定分の6割超を賃上げ分が占めている点である。ここで岸田 文雄首相の就任時に掲げた政策を思い起こしてみるとよい。岸田首相が自民党総裁選から就任直後まで掲げた政策のキーワードは「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」。その筆頭に挙げた政策が賃上げ実現で、とくに看護・介護・保育関係者の賃上げを明言した。つまり今回の改定で岸田首相は自身の政策の「1丁目1番地」を堅持したのである。首相の我を通したとも言える。そうした事例は過去にもある。2002~06年度までの3回の診療報酬本体の改定率がゼロ改定かマイナス改定という異例の事態だったことだ。このうち2002年度は診療報酬史上初のマイナス改定。また、前述した見かけ上、診療報酬本体改定率が介護報酬改定率を下回ったのも2006年度。この時期に共通する要素はたった1つ。過去にも触れたが、時の首相があの小泉 純一郎氏だったことだ。これも繰り返しになるが、診療報酬改定の過程を読み解ける法則はほとんどないというのがこれまでの私の実感である。ただ、その中でも数少ない法則があるとするならば、(1)診療報酬・介護報酬の同時改定時に介護報酬の改定率が診療報酬本体の改定率を上回らない(2)最終的に首相本人の決断が最優先の2つだった。今でもこの2つはほぼ堅持されていると思ってはいるが、より丁寧にするならば、(3)として「(2)が強ければ、(1)の法則が崩される可能性がある」が加わる。もっとも(2)でも実質的に(3)の意味は含んでいることになるが、より平たく表現するならば(3)が必要になると考えている。さて当の岸田首相は小泉氏と比べると、明らかに大人しく、発する言葉に力強さもない。時にそのことが優柔不断と映ることもある。しかし、注意深く見ると、「増税メガネ」と揶揄される官僚泣かせ、さらには国民泣かせの「こども未来戦略方針」や「防衛増税」を決定している。昨今の政局では完全実現には至らなかったが、自民党内最弱派閥の長だったにもかかわらず、最大派閥の旧安倍派を要職から一掃するなど、ある意味で空気を読まない大胆なことを実行する。そして今回の政局によるさらなる支持率低下の中でも、このトリプル改定で“初志貫徹”した。その意味では「岸田 文雄とは静かなる『小泉 純一郎』」とも言えるのかもしれない。

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治療抵抗性うつ病患者の自殺リスクに対する衝動性の影響~FACE-DR研究

 自殺は重大な問題である。うつ病患者ではとくに自殺発生率が高いことから、うつ病は自殺関連リスク因子の1つとされている。重度のうつ病患者における自殺企図は、衝動性や制御不能などの症状と関連していると考えられる。しかし、治療抵抗性うつ病における衝動性と自殺リスクとの関連を具体的に調査したデータは、ほとんどない。フランス・トゥールーズ大学病院のJuliette Salles氏らは、治療抵抗性うつ病患者の自殺リスクに対する衝動性の影響を再検討するため、本研究を実施した。その結果、治療抵抗性うつ病患者における衝動性は、自尊心、抑うつ症状、不安への間接的な影響と関連し、自殺リスクに影響を及ぼしている可能性が示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年11月20日号の報告。 プロスペクティブコホートとして患者を募集した。自殺リスクの評価には精神疾患構造化面接法、衝動性の評価にはBarratt Impulsiveness Scaleバージョン10を用いた。うつ病の症状重症度、不安症状、小児期虐待の評価には、それぞれモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、状態-特性不安尺度(STAI)、Childhood Trauma Questionnaireを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、治療抵抗性うつ病患者220例。・衝動性スコアは、自尊心、婚姻状況、職業上の地位、不安との相関が認められたが、自殺リスクとの直接的な関連は認められなかった。・衝動性は、自尊心(係数:-0.24、p=0.043)および抑うつ症状重症度(係数:0、p=0.045)と関連していた。・自殺リスクは、抑うつ症状重症度(係数:0.38、p<0.001)および自尊心(係数:-0.34、p=0.01)との相関が認められた。・これらの相関を考慮すると、衝動性が自殺リスクに及ぼす影響は、抑うつ症状重症との観点からみられる自尊心により媒介される可能性があると仮説が立てられた。最終的に、共変数として重要な影響を来す自尊心や不安を伴う抑うつ症状に影響を与えることで、自殺リスクに間接的に影響を及ぼす衝動性に関連する媒介モデルを発見した。

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