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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 1

今回のキーワードプレゼント仮説性選択(性淘汰)象徴機能指比「良い子」(過剰適応)マルトリートメント(不適切なかかわり)空虚感かんしゃく前回(その2)、共感性とシステム化のゼロサム説という仮説によって、以下の3つの謎を解き明かしました。自閉症のコミュニケーションの障害とこだわりがセットで出てくる現象定型発達の男の子よりも女の子のほうが言語や心の理論の発達が早い現象自閉症でいったん話していた言葉を途中から話さなくなる現象(折れ線型)また、超男性脳の病態が自閉症であるのとは対照的に、超女性脳の病態は情緒不安定性パーソナリティ障害であることを突き止めました。それでは、そもそもなぜ男性はシステム化が高く、女性は共感性が高いのでしょうか? そもそもなぜ共感性とシステム化はトレードオフの関係にあるのでしょうか? また、その1でも触れましたが、なぜ男性ホルモンが多いと人差し指が短くなるのでしょうか? さらに、自閉症は幼児期に発症するのに、なぜ情緒不安定性パーソナリティ障害は同じように幼児期に発症せずに、思春期になってようやく発症するというタイムラグがあるのでしょうか?これらの答えを探るため、今回(その3)は、進化精神医学の視点から、自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源を掘り下げます。そして、なんとこの2つの病態は人類進化の必然の産物であったわけをご説明しましょう。そもそもなんで男性はシステム化が高く女性は共感性が高いの?人類は、約700万年前に誕生してから、二足歩行をすることで手が自由になり、手に入れた食料を余分に持ち歩けるようになりました。その余分な食料を男性が女性にプレゼントすることで、女性はそのお礼にセックスをして、その男性との間にできた子供を育てるようになりました。これは、プレゼント仮説と呼ばれています1)。そして、これは人類最初の協力行動です。それでは、この時、どんな心理が進化するでしょうか? 男性と女性に分けて、それぞれ考えてみましょう。(1)男性に進化する心理―システム化まず、女性に選ばれるのは、プレゼントを毎回確実にくれる男性でしょう。それでは、プレゼント用を含めた食料をより多くより確実に得るために必要な男性の心理とは、どんなものでしょうか?たとえば、以下です。この足跡をたどれば獲物がいる(パターン認識)。この獲物の糞はかすかに温かいので(触覚過敏)、まだ近くにいる(パターン認識)。湿気を感じるので(触覚過敏)、このあとに雨が降るだろう(パターン認識)。あの獲物は夕方この辺りによく来るから、夕方はいつもここで待ち伏せしよう(パターン行動)。獲物や天敵の鳴き声・足音にすぐに気付ける(聴覚過敏)。これらは、動物の習性や自然の変化へのパターン認識、食料をより確実に取るためのパターン行動です。そして、そのための感覚過敏です。ちなみに、動物の鳴き声や足音への敏感さは、現代では、車のエンジン音や電車の走行音を区別する興味に置き換わっています。ジュリアがパニックになった消防車の警笛音もその1つです。つまり、男性に進化した心理とは、システム化であることがわかります。逆に言えば、システム化が高くない男性は、プレゼントを用意できないため女性から選ばれることはなく、性淘汰されます。プレゼントを用意できた原始の時代の男性たちの子孫である現代の男性たちは、当然ながら無意識にも女性にプレゼントをあげたがります。逆に、女性は男性ほど異性にプレゼントをあげたがりません。だからこそ、システム化はもともと男性に備わっている心理であり能力なのです。そして、男性ホルモンが高いと、システム化が高くなるのです。逆に言えば、男性はプレゼントをあげる側なので、女性ほど共感性を高くする必要はなかったのです。次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 2

(2)女性に進化する心理―共感性一方で、男性に選ばれるのは、プレゼントを毎回あげたくなるような女性でしょう。もちろん、無事に子供を産んでもらうために、見た目や肌が美しい(感染症の兆候がない)という身体的な特徴は重要です。これに加えて、必要な女性の心理とは、どんなものでしょうか?たとえば、以下です。男性の機嫌を察知する(感受性)。男性の声や動きをまねして合わせる(同調性)。男性にスキンシップをして気を惹く(操作性)。相手にされないと涙を見せる(操作性)。相手にされないと不安になる(見捨てられ不安)。相手にされないと嫌いになる(理想化と幻滅)。相手にされないと自分の頭や体を叩くなど、なりふり構わない行動をする(自傷を含む逸脱行動)。これらは、男性からのプレゼントをより確実にもらうためのアピール行動です。そして、そのための感受性です。つまり、女性に進化した心理とは、共感性であることがわかります。この共感性とは、同調性など気に入られるためのポジティブな共感です。不安・恐怖や嫌悪感など危険を避けるためのネガティブな共感は、約3億年前に哺乳類が誕生してから子供を守るために生まれ、約2千年前に類人猿が誕生してから群れでお互いを守るためにさらに進化しました。逆に言えば、共感性が高くない女性は、プレゼントをあげたいと思われないために男性から選ばれることはなく、性淘汰されます。プレゼントをあげたいと男性から思われる原始の時代の女性たちの子孫である現代の女性たちは、当然ながら無意識にも男性からプレゼントをもらいたがります。逆に、男性は女性ほど異性からプレゼントをもらいたがりません。だからこそ、共感性はもともと女性に備わっている心理であり能力なのです。そして、男性ホルモンが低いと、相対的に女性ホルモンが高くなり、共感性が高くなるのです。逆に言えば、女性はプレゼントをもらう側なので、男性ほどシステム化を高くする必要はなかったのです。以上より、プレゼントをあげる男性とプレゼントをもらう女性は、それぞれシステム化と共感性を性選択(性淘汰)によって進化させたと結論づけることができます。逆に言えば、1つの脳に両方とも進化させる必要がなかったのでした。そもそも、脳機能(脳容量)には限度があり、空間としてだけでなく性差として局在化したと捉えることができます。だからこそ、この両者は、主に男性ホルモンをパラメーターとしてトレードオフの関係になっていることがわかります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 3

なんで自閉症は人差し指が短いの?人類は、プレゼントとセックスのやり取りという協力行動を通して、システム化と共感性に加えて、実は3番目の脳機能を進化させたと考えられます。それは、何でしょうか?たとえば、プレゼントのやり取りの時、女性はアピール行動の1つとして、プレゼントに視線を向けたり、「それちょうだい」という指差しをしたでしょう。当然ながら、人類誕生の初期は言葉を話しません。最初は注意を向けるために、プレゼントそのものに触れていたでしょう。そして、やがて触れなくても指を差した先を見るようになったでしょう。これは、指差し(意図共有)の起源です。人類に最も近いチンパンジーでも指差しはしないことから、これは、最初の人間らしさの1つです。そして、男性と女性の間にはプレゼントを介した関係(三項関係)が成り立ちます。やがて、指差しや視線のやり取りは、「またあれちょうだい」のように、お互いに見えていなくてもお互いが意図している何かをイメージするようになっていったでしょう。つまり、進化した3番目の脳機能は、象徴機能です。これは、身振りや言葉によって目の前にない(いない)ものを認識する能力です。詳しくは、関連記事1をご覧ください。ここで、ある仮説が立てられます。男性は、女性による指差しを理解する必要はありますが、プレゼントをそのまま持っているので、女性ほど指差しを実際にする必要がありません。つまり、その1でも触れたように、女性よりも男性が人差し指が短い(指比が小さい)のは、人類誕生初期からもともと指差しする人差し指を女性ほど使わなかったからであるという仮説を立てることができます。つまり、男性は女性ほど人差し指が目立って長くなるように進化しなかったということです。だからこそ、男性ホルモンの多すぎる超男性脳の自閉症は、男女ともに人差し指がさらに短く、実際に指差ししないという臨床症状があるのです。つまり、進化の視点で見れば、自閉症は指差ししないから、人差し指が短くなったと言えます。さらに言えば、自閉症は、言葉の遅れと同時に抽象的な思考が苦手なのも、共感性だけでなくこの象徴機能がうまく発達していないからであることもわかります。ちなみに、指差しする指が、最も長い中指や最も太い親指ではなく、人差し指である理由については、以下の2つの理由から説明できます。1つは、物をつかむ時に最も使って動かしやすいのは人差し指と親指だからです。親指が片端(起点)になっており、そこから遠くなる中指以降の指は沿える程度で動かしにくいです。もう1つは、実際に両腕を自然に前に差し出して両手を広げた時に、一番正面を向いていて差しやすい指は人差し指だからです。中指はやや外側を向いており、親指はかなり内側を向いており、差しにくいです。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 4

なんで情緒不安定性パーソナリティ障害は幼児期に発症しないの?超男性脳の自閉症と超女性脳の情緒不安定性パーソナリティ障害は、共感性とシステム化の脳機能の極端な偏りとして対照的です。それなのに、なぜ自閉症は幼児期に発症するのに情緒不安定性パーソナリティ障害は思春期に発症するというタイムラグがあり、発症時期も対照的にはならないのでしょか?実際に、このタイムラグのために、現在の精神医学では、これら両者はそれぞれ発達障害とパーソナリティ障害というまったく別々の精神障害のカテゴリーに分類されてしまっています。タイムラグが起きる答えは、情緒不安定性パーソナリティ障害は、共感性が高くなりすぎることで、自閉症のような不適応としてではなく、過剰適応として幼児期は潜在していると考えられるからです。つまり、幼児期に自閉症と同じようになんらかの変化は臨床的に確認できるということです。たとえば、以下です。親の顔色や体調の変化によく気付く。よく気が利いて、親の言うことをよく聞く。自分からお手伝いをする。親を喜ばせる振る舞いをする。嫌な思いをしても、我慢して取り繕う。めったに泣かず、手がかからない。これらは、高すぎる共感性によって、観察力と演技力という潜在能力を発揮しています。これを一言で言えば、いわゆる「良い子」です。「良い子」は子育てするには楽で、親からは望ましいと思われがちです。「良い子」(過剰適応)の心理の詳細については、関連記事2をご覧ください。しかし、ある状況で、「良い子」であることが裏目に出ます。それは、虐待をはじめとするマルトリートメント(不適切なかかわり)です。「良い子」である分、親に十分に構ってもらえなくても、「良い子」であり続けようとします。そして、必死で親に構ってもらおうとして、構ってもらえるかどうかに敏感になります。その後、女性ホルモンの放出が高まる思春期に、交際相手に構ってもらえるかどうかにも敏感になり、「プレゼント」(構ってもらえること)を過剰に求めるようになるのです。このような行動を駆り立てるのは、情緒不安定性パーソナリティ障害の中核症状である空虚感が当てはまります。よくよく考えれば、共感性が高いということは、その共感する相手がいなければいないほど当然空しさは増します。つまり、空虚感も、自閉症のこだわり(システム化)と同じように機能であると捉え直すことができます。問題は、それが過剰であるということです。たとえば、相手にしがみついて、巻き込もうとします。これは、「死にたい」「死んでやる」など、いわゆる「死にたいアピール」として表現されます。さらに、これが行動化したのが自傷です。このような不適応を起こすことによって、情緒不安定性パーソナリティ障害はようやく顕在化するのです。しかも、重度の場合は、共感性が高すぎる一方でシステム化が低すぎるために、周りに流されやすく、些細なことで傷つき、理屈が通じません。このような人が、占いなどのスピリチュアル系にハマりやすいのも納得が行くでしょう。なお、傷つきやすさの心理の詳細については、関連記事3をご覧ください。逆に言えば、自閉症をはじめとするシステム化の高い男の子は、良くも悪くも鈍く「良い子」になりません。そのため、構ってもらえないことに鈍感で、情緒不安定性パーソナリティ障害を発症しにくいとも言えます。行動遺伝学の研究において、情緒不安定性パーソナリティ障害への家庭環境の違いの影響についての直接的なデータはまだ見当たりません。しかし、この病態の中核症状でもある「自殺念慮」については、遺伝12%、家庭環境11%、家庭外環境77%と算出され、家庭環境の違いの影響が出ています2)。家庭外環境の比率が大きいことから、実際の失恋(恋愛関係)やいじめ(友人関係)などの影響が大きいことも考えられます。臨床的にも従来から、情緒不安定性パーソナリティ障害の要因として、マルトリートメント(家庭環境)が指摘されています3)。逆に、自閉症においては、遺伝80%、家庭環境0%、家庭外環境20%という結果が出ており、家庭環境の違いの影響はありません。つまり、マルトリートメントによって自閉症になることはないことがわかります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その3)【だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!(自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源)】Part 5

なんで自閉症はかんしゃくをよく起こすの?女の子は、共感性の高さから「良い子」になりがちであることがわかりました。逆に、男の子は、共感性の低さから「やんちゃ」になりがちです。そして、自閉症の場合は、さらにかんしゃくがよく見られます。それでは、そもそもなぜ自閉症はかんしゃくをよく起こすのでしょうか?その答えは、先ほどの「良い子」や定型発達の子供のようなポジティブなコミュニケーションが難しいため、代わりに極度に騒ぐというネガティブな「コミュニケーション」によって親の養育行動を引き出すように進化したからと考えられています1)。つまり、ポジティブであってもネガティブであっても、アピール行動としては適応的です。そもそも、人類が言葉を話すようになったのは進化の歴史ではごく最近の約20万年前です。自閉症(システム化)が生まれたのが人類初期の約700万年前と考えると、原始の時代、子供も大人も「騒いだもん勝ち」だったでしょう。育てやすい「良い子」や穏やかな人であることに価値が置かれるようになったのは、合理主義が広がった約200年前の産業革命以降の現代の価値観です。つまり、幼児期のかんしゃくは自閉症をはじめとする発達障害ならではの生存戦略であったことがわかります。ついでに言えば、情緒不安定性パーソナリティ障害の自傷(行動化)も「騒いだもん勝ち」の生殖戦略であったと言えます。人類進化の必然の産物であるわけは?実際に、自閉症も情緒不安定性パーソナリティ障害も、医学論文として症例報告されるようになったのは、20世紀前半で、ここ100年弱の話です。つまり、もともと原始の時代から受け入れられていたこの両者は、共感性とシステム化の両方がますます求められる高度な現代社会のなかでは「病」として問題視されるようになったのでした。これが、この記事の冒頭で触れた、この2つの病態は人類進化の必然の産物であるゆえんです。そして、実際の遺伝子研究において、この両者の遺伝子は多因子あることからも、より適応するための遺伝子を進化の歴史でこつこつと増やしていったということを物語っています。逆に言えば、ただの不適応を起こすものであれば、単一因子で十分なはずで、多因子である必要がないです。つまり、多因子であるということが、進化の過程で獲得していったという何よりもの証拠です。この点からも、自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害は、最初から「障害」であったのでなく、生存と生殖のための機能であり能力であったと言えるでしょう。ちなみに、約700万年前に人類が共感性とシステム化と一緒に進化させた象徴機能は、約10万年前に貝の首飾りを信頼の証とする概念化という脳機能にさらに進化したと考えられます。これが、統合失調症の起源です。この詳細については、関連記事4をご覧ください。1)進化と人間行動(第2版)pp.122-123, p.186:長谷川寿一ほか、東京大学出版会、20222)遺伝マインドp.58:安藤寿康、有斐閣、2011、※一卵性と二卵性の一致率のみの報告からそれぞれの比率をこの記事で算出3)標準精神医学(第8版)p.503:尾崎紀夫ほか、医学書院、2021<< 前のページへ■関連記事絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子供にお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 1Mother(前編)【過剰適応】人間失格【傷付きやすい】[改訂版]映画「ミスト」 ドラマ「ザ・ミスト」(後編・その4)【実は双極性障害から進化したの!?(統合失調症の起源)】Part 3

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双極症における片頭痛と関連する臨床的特徴

 双極症患者は、併存疾患を有していることが多く、片頭痛は最も一般的な併存疾患の1つであるといわれている。双極症における片頭痛の有病率に関する研究は増加しているが、関連する臨床的特徴、併存疾患、治療法は、いまだ十分に調査されておらず、一貫性も認められていない。フランス・ University of Clermont AuvergneのLudovic Samalin氏らは、成人双極症患者の大規模コホートを用いて、片頭痛に関連する臨床的特徴および併存疾患について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2025年6月15日号の報告。 対象は、FondaMental Advanced Centers of Expertiseに通院している双極症外来患者4,348例。社会人口統計学的および臨床的データは、標準化された手法を用いて収集した。片頭痛を含む医学的併存疾患の生涯診断は、自己報告、臨床医評価、病歴レビューに基づき行った。片頭痛と社会人口統計学的要因、臨床的特徴、併存疾患、薬剤との関連性を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・双極症患者における片頭痛の有病率は20%であり、双極症II型で29.1%、双極症I型で19.9%であった。・多変量解析により、片頭痛と関連している因子として、以下が特定された。【若年】オッズ比(OR):0.98、95%信頼区間(CI):0.97〜0.99【女性】OR:2.15、95%CI:1.56〜2.95【睡眠障害】OR:1.06、95%CI:1.02〜1.11【小児期のトラウマ】OR:1.01、95%CI:1.00〜1.02【高血圧】OR:1.88、95%CI:1.13〜3.15【乾癬】OR:1.61、95%CI:1.01〜2.56【喘息】OR:1.65、95%CI:1.02〜2.67【第2世代抗精神病薬使用率の低さ】OR:0.65、95%CI:0.48〜0.87 著者らは「片頭痛は双極症で頻繁にみられる併存疾患であり、とくに若年、女性、睡眠障害やトラウマ歴を有する患者では、臨床的負担が増大する。双極症患者の片頭痛を軽減するためにも、気分の安定、睡眠マネジメント、トラウマサポートなど統合的な治療アプローチが必要とされることが明らかとなった」と結論付けている。

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発達障害と緩和ケア【非専門医のための緩和ケアTips】第98回

発達障害と緩和ケア皆さんは発達障害について勉強したことはありますか? 精神科の先生以外は、専門的に勉強したことがある方は少ないかと思います。私も専門外ではありますが、緩和ケア領域では対応が難しい状況でしばしば議論になる分野ですので、この機会に少しご紹介します。今回の質問基幹病院から外来に紹介されたがん患者さんの紹介状に「発達障害の疑い」とありました。あまり詳しく勉強したことがない分野ですが、どのような点に注意が必要でしょうか?最初に、今回の議論の前提を共有しておきましょう。私自身、精神科の専門医ではなく、体系的に勉強した経験もありません。発達障害の医学的な正しい理解に当たっては、適切な文献や書籍を参照ください。私は緩和ケアの実践に当たって知っておくとよいこと、という観点から紹介します。発達障害は知的な能力の偏りが大きく、得意・不得意にばらつきが大きい、という特徴があります。特定の情報や感覚に集中し過ぎる、逆に気にし過ぎないといったことがあります。よくある例として、周囲から「空気が読めない」と評価されることがあります。「空気を読む」って、よく考えるとなかなか難しいことですよね。音情報としての相手の口調、映像情報として相手の表情をキャッチし、相手の社会的立場なども考慮して、どのように振る舞うべきかを決めなければなりません。でもこういうのって誰かが説明してくれるわけではありません。自分で多くの情報を処理して、適切に自分の行動に反映することが求められます。そして、こうしたことが苦手なことが多いのが、発達障害の特徴の1つです。さて、このような特徴が緩和ケアを提供するうえで、どのような問題となるのでしょうか? たとえば、痛みの評価で「一番痛かった時を10点とすると、今は何点ですか?」と尋ねることがよくあります。この質問に対して、「痛みを数字で表現なんてできません」って真顔で返答されることがあります。これは、「痛み」という自覚症状と「数字」という、まったく異なる情報を結び付けられないことから生じます。このような場合には、本人の表現しやすい方法で個別に痛みを評価する方法が必要です。たとえば、数字での表現が難しくても、「立ち上がる時に痛い」といった動作での表現ならばしやすいかもしれません。「痛みを数字に変換して、カルテに記載する」といった医療者目線だけでなく、患者さんの特性に合わせることでやり取りしやすくなります。ほかにも、発達障害の特性のある患者さんには、曖昧な言い方よりも具体的にはっきりと伝えたほうが良いことが多いようです。在宅療養を希望するかを知りたいとき、「これからどうしたいですか?」といった聞き方をすることが多いですよね。多くの場合、点滴などが減って、入院の治療が終了に近づいているような状況です。しかし、患者さんはこうした「暗黙の前提」を共有するのが苦手だったりします。そのため、「どうしたいって言われても、どうすれば良いか先生なのだから教えてください」といった反応があったりします。医療者の意図をくみ取れず、食い違いが生じているのですね。こういった場合、「来週に退院ができる病状になりそうなので、退院の準備について話をさせてください。たとえば、訪問診療など在宅医療の準備が必要かもしれません」といったように、具体的な話をすると伝わりやすくなります。最後に、発達障害を考える際の重要な点を紹介します。ここまで述べたように、発達障害を思わせる特性が強い患者さんがいても、必ずしも診断にこだわる必要はありません。また、本人が困っていなかったり、影響が許容範囲だったりするのであれば、あまり「発達障害」という用語を出す必要もないでしょう。最初に述べたように、空気を読むことの難しさは誰しもあるもので、あくまで程度の問題です。時としてレッテル貼りの弊害もあるので、発達障害という診断にこだわらないようにしましょう。患者さんとのコミュニケーションに違和感を持ったときに今回の話を思い出していただき、工夫してもらえたらと思います。今回のTips今回のTips発達障害の診断にこだわらず、緩和ケアを提供するうえで支障になる発達障害らしさに対して工夫しましょう。

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若年性認知症患者、過去30年間で2倍超

 若年性のアルツハイマー病やその他の認知症(EOAD)は、患者本人だけでなくその家族にも大きな負担をもたらす。しかし、EOADの世界的な負担は、これまで十分に調査されていなかった。中国・Jinan University First Affiliated HospitalのZenghui Zhang氏らは、1990〜2021年の世界の疾病負担(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors:GBD)2021研究のデータを用いて、EOADの世界、地域、各国の負担を評価するため、本研究を実施した。European Journal of Neurology誌2025年3月号の報告。 GBD2021のデータより、40〜64歳の成人データを抽出した。主要アウトカムは、EOADの年齢調整罹患率、発生率、死亡率、障害調整生存年(DALY)、21地域および204ヵ国における年平均変化率(AAPC)とした。 主な結果は以下のとおり。・2021年のEOAD症例数は775万件(95%不確実性区間[UI]:5.82〜10.08)に達しており、1990年の367万件(95%UI:2.75〜4.76)から2倍超の増加が認められた。・年齢調整罹患率は、1990年は10万人当たり341.2人(95%UI:255.89〜442.79)であったが、2021年には363.5人へ増加しており、AAPCは0.26%であった(p<0.001)。・2021年のEOAD有病率は、女性(428万人、95%UI:3.24〜5.56)のほうが男性(346万人、95%UI:2.57〜4.52)よりも高かった。・2021年におけるEOADの死亡者数は0.07万人(95%UI:0.01〜0.23)、377万人(95%UI:1.69〜8.88)DALYであった。・さらに、106万人DALYは、喫煙、空腹時血糖値の上昇、高BMIに起因していた。 著者らは「40〜64歳におけるEOADの世界における症例数は、1990年から2021年にかけて、2倍超に増加している。この問題に対処するためにも、ターゲットを絞った戦略および介入が早急に求められる」と結論付けている。

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メンタル不調の休職者、「復職させてもよいのでしょうか?」【実践!産業医のしごと】

メンタル不調の休職者、「復職させてもよいのでしょうか?」Qメンタルヘルス不調で休職中のAさんが復職を希望していますが、面談すると実際には体調が回復していないように見えます。休職期間はまだ十分に残っています。このような場合、復職を認める必要があるでしょうか? また、同様にメンタルヘルス不調で休職中のBさんが、休職期間満了時に復職を希望した場合はどうでしょうか?A1. 復職判断の基本的な考え方復職の可否を判断する際の核心は「治癒」の有無です。裁判例などで使用される「治癒」とは、医療者がイメージする治癒とは異なり、「元の業務を通常程度こなせる健康状態に戻ること」を意味します。一般的な私傷病休職制度では、休職期間内に「治癒」すれば復職可能ですが、期間満了までに「治癒」しなければ自然退職または解雇となります。2. 休職期間途中での復職申請(Aさんのケース)休職中のAさんが期間途中で復職を希望する場合の対応方法を考えてみましょう。通常、復職希望者は主治医による「復職可能」との診断書を提出します。しかし、復職可否の決定権は最終的に会社側にあります。診断書をそのまま受け入れるのではなく、内容を検討し、不明点があれば主治医と面談したり、産業医を通じて状況を確認したりすることも重要です。これらの確認後、確かに「治癒」したと判断できれば復職を認めます。しかし、合理的な疑念が残る場合は慎重に判断すべきです。一方で、不十分な回復のまま復職させることで会社側にも以下のようなリスクが生じます。不完全な業務遂行によって、職場に負担が生じる。回復途上で復職することで、復職した社員に負担が掛かり、症状が再発・悪化する。再休職の必要性が生じる。会社の安全配慮義務違反が問われる。したがって、休職期間途中の復職判断では「治癒」したかを適切に評価し、疑問点がある場合は残りの休職期間を活用して十分な回復を促すことが必要となります。3. 休職期間満了時の復職判断(Bさんのケース)Bさんのように休職期間満了時に復職を希望する場合も、基本的な判断基準は変わりません。主治医との連携や産業医を通じた情報収集、関係者による面談などを通じて「治癒」状態を確認します。ただし、期間中の復職拒否と満了時の復職拒否では、社員への影響が大きく異なります。期間中であれば休職期間が残されていますが、満了時に復職できなければ自然退職または解雇となります。そのため、会社側は休職期間満了時に復職を認めない判断をする場合、期間途中の場合よりも大きなリスクに直面します。過去には、休職期間満了時に従前の職務を支障なく行える状態になくても、「当初は軽易業務に就かせればほどなく通常業務へ復帰できる場合に、短期の復帰準備期間を提供するなどの配慮」を雇用者に求めた判例もあります。この点を考慮し、実務上は「治癒」について若干の疑問が残る場合でも、解雇による紛争を避けるため、復職を認めるケースもあります。4. 結論休職中の社員から復職希望があった場合、会社は「治癒」の有無を慎重に判断する必要があります。Aさんのような休職期間途中のケースでは「治癒」していないと判断されれば復職を認めず、残りの休職期間の取得を促すことは妥当な判断です。一方で、Bさんのような休職期間満了時のケースでは、同じ基準で「治癒」を判断しつつも、復職不可が雇用終了につながる重大性を考慮する必要があります。そのため、完全に「治癒」していなくても、程なく通常業務へ復帰できることが見込める場合は、紛争リスクを勘案して復職を認めるケースもあるでしょう。どちらの場合も、主治医の診断書だけに依存せず、会社として多角的な評価を行い、責任ある判断をすることが重要です。その際、医学的知見と職場環境の両方を理解している立場から、産業医の存在は重要です。難しい判断が求められる場合には、産業医の専門的見解が会社の意思決定を支え、法的リスクの軽減にも寄与します。会社は復職判断の各段階で産業医と緊密に連携し、活用することが望ましいでしょう。

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強制的なランニングがストレスや抑うつ症状に及ぼす影響〜動物実験データ

 High mobility group box 1(HMGB-1)は主に有核細胞の核内に発現しているタンパクで、炎症性刺激時または細胞死に際して核内から細胞外に放出され、それが炎症応答を誘導し、敗血症や免疫疾患などの病態を増悪することが知られている。HMGB-1により媒介される炎症反応は、うつ病の病態生理学的メカニズムにおいて重要な役割を果たすと考えられる。Qian Zhong氏らは、海馬におけるHMGB-1の影響を評価し、うつ病の慢性予測不能軽度ストレス(CUMS)マウスモデルに対する強制的なランニング(FR)の抗うつ作用を調査した。Neuropsychobiology誌オンライン版2025年3月11日号の報告。 本研究では、FRまたは従来の広域スペクトル抗うつ薬であるfluoxetine(FLU)による単独または併用療法の潜在的なベネフィットを評価した。実験は、対照マウス、FR+FLUマウス、CUMS、CUMS+FRマウス、CUMS+FLUマウス、CUMS+FR+FLUマウスにより実施した。うつ病様行動の評価には、尾懸垂試験、強制水泳試験、ショ糖嗜好試験を用いた。実験後、海馬のHMGB-1および関連タンパク質、サイトカインレベルを測定した。 主な結果は以下のとおり。・4週間のFRにより、CUMSマウスにおけるうつ病様行動の有意な軽減が認められた。・また、HMGB-1関連炎症性タンパク質およびサイトカイン発現の減少が明らかとなった。・一方、FLUによるうつ病様行動の改善に対する作用は限定的であったが、海馬のHMGB-1関連炎症性タンパク質およびサイトカイン発現の減少が認められた。・FR+FLU併用は、統計学的に有意な抗うつ作用を示し、HMGB-1関連炎症性タンパク質およびサイトカイン発現の減少が認められた。また、FR単独と比較し、反応速度が向上した。 著者らは「FRは、HMGB-1関連の抗炎症反応の調節に対し潜在的なベネフィットをもたらす可能性がある。うつ病のマネジメントや治療において、身体活動の潜在的な役割が明らかとなった」としている。

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高齢者の不眠症に最も効果的な運動は?

 高齢者の不眠症の改善に最も効果的な運動は、レジスタンストレーニング(筋トレ)であるとする論文が発表された。ただし、筋トレだけでなく、有酸素運動などの有効性も確認されたという。マヒドン大学ラマティボディ病院(タイ)のKittiphon Nagaviroj氏らによる研究の結果であり、詳細は「Family Medicine and Community Health」に3月4日掲載された。 加齢とともに睡眠の質が低下する。高齢者の12~20%が不眠症に悩まされているという報告もある。不眠症はうつ病や不安症、その他の精神疾患と関連のあることが明らかになっており、さらにメタボリックシンドロームや高血圧、心臓病などの身体疾患との関連も示されている。 高齢者の不眠症に対する治療としては、安全性の観点から認知行動療法などの非薬物療法が優先されるが、専門スタッフの不足や時間を要することなどのため、実臨床で行われることは少ない。一方、運動が不眠症改善、および不眠症に併存しやすい前記の疾患のリスク抑制に有効であるとするエビデンスが蓄積されてきている。ただし、運動の種類によって不眠症に対する効果が異なるのか否かという点は、これまで明らかにされていない。そこでNagaviroj氏らは、過去の研究報告のデータを統合した解析によりこの点について検討した。 著者らは、Medline、Embase、CINAHLなどの文献データベースに2022年10月までに収載された論文を対象として、60歳以上の成人における運動と睡眠の質との関連を検討したランダム化比較試験の報告を検索。25件の報告を解析対象として抽出した。 これらの研究の参加者数は合計2,170人で平均年齢70.38±4.56歳、女性71.85±21.86%であり、20件(80%)は一般住民対象、5件(20%)は介護施設居住者を対象として実施されていた。アジアでの研究が過半数(56%)を占め、次いで北米と南米が各16%、欧州が12%だった。運動介入期間は平均14週間で、1回に50分強の運動を週に2~3回行っていた。運動の種類は、有酸素運動(速歩、サイクリング、水泳、ダンス、ガーデニングなど)、レジスタンストレーニング(ウェイトや体重を利用した筋トレ)、バランス運動(つま先立ちなど)、柔軟性運動(ヨガ、ピラティスなど)、およびこれらを組み合わせた複合運動として行われており、運動強度は軽度から中等度とした研究が半数以上だった。 複数の異なる介入研究で得られた結果を統計学的手法により比較可能とする、ネットワークメタ解析の結果、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)の改善効果が最も高い運動はレジスタンストレーニングであり、PSQIが5.75点低下していた(PSQIは低い方が睡眠の質が高いことを意味する)。有酸素運動は3.76点、複合運動は2.54点の低下(改善)を示した。 この結果に基づき著者らは、「睡眠の質の改善には運動の中でも特に、レジスタンストレーニングと有酸素運動が有益である」と結論付けている。

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週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」【最新!DI情報】第37回

週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」今回は、持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤「リバスチグミン(商品名:リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg、製造販売元:東和薬品)」を紹介します。本剤は、わが国初の持続放出性のアルツハイマー型認知症の貼付薬であり、介護者の負担軽減やアドヒアランスの改善が期待されています。<効能・効果>軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制の適応で、2025年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはリバスチグミンとして1回25.92mgから開始し、原則として4週後に維持量である1回51.84mgに増量します。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付します。原則として開始時は4日間貼付し、1枚を3~4日ごとに1回(週2回)貼り替えます。なお、貼付期間は4日間を超えないようにし、週2回行う本剤の貼り替えのタイミング(曜日)は原則固定します。<安全性>重大な副作用として、QT延長(1%未満)、狭心症、心筋梗塞、徐脈、房室ブロック、洞不全症候群、脳卒中、痙攣発作、食道破裂を伴う重度の嘔吐、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腸出血、肝炎、失神、幻覚、激越、せん妄、錯乱、脱水(いずれも頻度不明)があります。その他の副作用は、接触性皮膚炎、適用部位紅斑、適用部位そう痒感(5%以上)、食欲減退、期外収縮、悪心、嘔吐、適用部位浮腫、適用部位皮膚炎、適用部位発疹、適用部位水疱、適用部位腫脹、体重減少(1~5%未満)、貧血、不眠症、幻視、易怒性、不整脈、心房粗動、高血圧、腹痛、蕁麻疹、適用部位皮膚剥脱、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、しゃっくり、耳鳴(1%未満)、尿路感染、好酸球増加症、糖尿病、血尿、疲労、肝機能検査異常など(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行を遅らせる薬です。2.この薬は、皮膚から有効成分が吸収される貼り薬(パッチ剤)です。3.初めに貼り替える曜日を決めて、1週間に2回、1回1枚、同じ時間に薬を貼り替えてください。4.背中、上腕、胸のいずれかの健康な皮膚に貼ってください。5.貼る場所は毎回変え、同じ場所に貼らないでください。6.貼り忘れに気付いたときは、気付いた時点で新しい薬を貼り、次からはいつもと同じスケジュールで貼り替えてください。<ここがポイント!>アルツハイマー型認知症は、認知症の原因の約6割を占める緩徐進行性の疾患で、記憶障害や複数の認知機能障害が特徴です。この認知機能の低下は、コリン作動性神経機能の低下と関連するといわれており、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が現在の治療の中心です。日本では、これらの薬剤は内服薬と貼付薬で販売されており、通常、1日1~2回の投薬が必要です。アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼの阻害薬であるリバスチグミンは、2011年4月に1日1回貼付の貼付薬として承認されました。貼付薬は投薬状況が可視化されるため、内服薬に比べて介護者の負担を軽減することができます。服薬管理の負担を一層軽減するために、さらなる投薬頻度の低減が求められていました。リバルエンLAパッチは、日本初の持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤であり、週2回の貼付が特徴です。従来の毎日1回の貼付薬に比べ、アドヒアランス向上が期待されます。外国人健康成人57例を対象に、本剤の51.84mg製剤を週2回(4日間と3日間の交互)またはリバスチグミン貼付薬(1日1回貼付)の18mg製剤を1日1回、上背部に11日間反復経皮投与したとき、リバスチグミン貼付薬に対する本剤の幾何平均値の比は、Cmax96-264で1.051(90%信頼区間[CI]:0.984~1.124]、Cmin96-264で1.078(0.978~1.189]、Ctau_264で1.086(1.018~1.158)およびAUC96-264で1.136(1.073~1.203)でした。このことから、51.84mg製剤の週2回投与がリバスチグミン貼付薬の18mg製剤の1日1回投与と同程度の曝露量を示すことが確認されました。軽度および中等度アルツハイマー型認知症患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験(国内第III相試験:NDT-2101試験)において、24週時のADAS-Jcogのベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、本剤群で-0.54(95%CI:-1.150~0.065)、リバスチグミン貼付薬群で0.30(-0.306~0.900)で、変化量の群間差は-0.84(-1.695~0.016)でした。群間差の95%CIの上限が事前に設定した非劣性限界値1.1を下回ったことから、リバスチグミン貼付薬群に対する本剤群の非劣性が検証されました。

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統合失調症に対する抗精神病薬の投与量と治療中止との関係〜メタ解析

 統合失調症治療における抗精神病薬の有効性を得るためには、服薬アドヒアランスを保つことが不可欠であり、中止率が高い場合には、有効性が損なわれる。そのため、抗精神病薬の投与量と中止率との関係を理解することは重要である。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJing Tian氏らは、この関連性を評価し、アドヒアランスの最大化、中止リスクを最小限に抑える抗精神病薬の投与量を明らかにするため、システマティクレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2025年5月号の報告。 統合失調症および関連疾患の急性増悪期患者を対象に20種類の抗精神病薬を評価した固定用量RCTを複数の電子データベースよりシステマティックに検索した。頻度論的フレームワークで1ステージ用量反応メタ解析を用い、用量反応関係を分析した。関連性をモデル化するため、制限付き3次スプラインを用いた。主要アウトカムは、すべての理由による治療中止とし、副次的アウトカムに効果不十分および副作用による治療中止を含めた。 主な結果は以下のとおり。・136研究(4万4,126例)を分析した結果、抗精神病薬のさまざまな用量反応関係が明らかとなった。・主要アウトカムであるすべての原因による治療中止については、amisulpride、cariprazine、オランザピン、クエチアピンは、用量反応曲線がU字型を示し、最適な投与閾値が示され、投与量を増やすことで副作用による中止率が上昇する可能性が認められた。・アリピプラゾール、アセナピン、ブレクスピプラゾール、クロザピン、パリペリドン、リスペリドンは、用量反応曲線がプラトーを示し、特定の投与量を超えた増量によるメリットの追加は認められなかった。・ハロペリドール、iloperidone、lumateperone、ルラシドン、sertindole、ziprasidoneは、研究された投与量の範囲内で用量反応曲線がプラトーに達しなかった。・効果不十分による治療中止の曲線は、すべての原因による治療中止の曲線と類似していた。・副作用による治療中止の曲線の多くは、高用量に関連する副作用の急激な増加を示した。 著者らは「投与量と治療中止との関連は、抗精神病薬により異なり、用量反応曲線は、U字型、単調型、双曲型がみられた。今後の研究により、疾患および副作用関連の有害事象による治療中止を、個別に評価する必要がある」としている。

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ボディイメージにまつわる問題は小児期に始まる

 体重に関する知覚は、わずか7歳という若い年齢で機能としてすでに形成されており、目にしたものの影響を受けて変化する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Journal of Experimental Child Psychology」に3月5日掲載された。 論文の上席著者である、英ダラム大学心理学教授のLynda Boothroyd氏は、「限られた範囲の体型しか紹介しない視覚メディアに注意する必要があることは、何年も前から明らかだった。なぜなら、それが大人の体型に対する知覚に影響を与えるからだ。今回の研究により、それが子どもにも当てはまることが判明した。非常にニュートラルなイメージであっても、同じような体型を繰り返し見ると、子どもはそれを基準に太い、細いと判断するようになる」と述べている。 メンタルヘルス財団によると、非現実的なボディイメージは否定的な自己評価を助長し、人々が「完璧」を目指す原因となり得る。これは、摂食障害や気分障害につながる可能性がある。 この研究でBoothroyd氏らは、2つの実験を通して、子どもがある刺激を繰り返し見ること(視覚の適応)が、その後、目にしたものに与える影響を調べるために2つの実験を行った。1つ目の実験は、11〜12歳(44人)、14〜15歳(59人)、および18〜25歳(78人)の男女(計181人)を対象に実施された。試験参加者に、プレテストとしてBMIが12〜32の女性の画像を21枚見せて、女性の体重を7段階の評価尺度(非常にやせている〜非常に太っている)で評価させた。次に、参加者を低体重群と高体重群の2群にランダムに割り付け、低体重群にはBMIが11.60〜13.84の女性の画像を20枚、高体重群にはBMIが30〜42の女性の画像を20枚見せて視覚を適応させた後、ポストテストとして再び最初に見た21枚の画像を、適応画像を交えながら提示し、体重を評価させた。 その結果、高体重群では、ポストテストで再評価する際に、最初の評価よりも体重を軽く評価する傾向が認められた。この傾向は特に、12歳の子どもにおいて顕著であった。一方で、低体重群ではプレテストとポストテストの評価に大きな変化は見られなかった。 2つ目の実験は、7〜11歳の子ども44人と学部生66人(計110人)を対象に実施された。実験の手順は基本的に1つ目の実験と同じだが、いくつかの点を簡略化した。具体的には、体重に対する評価を5段階に変更し、再評価時の画像の中には適応画像が含められなかった。その結果、実験1と同様、高体重群では、ポストテストでの再評価時に、プレテストでの評価よりも軽い体重で評価する傾向が示された。 これらの結果は、人々の体重に対する知覚が7歳という若さから進化していることを示していると研究グループは主張する。Boothroyd氏は、「研究者はしばしば、子どもの身体知覚やボディイメージは、大人と同じように作用すると考えている。われわれの研究では、その考え方は正しく、7歳の子どもでも、視覚的な刺激を受けて体重に対する知覚が変わることが示された」と述べている。 研究グループによると、これまでの研究で、メディアによる体型の表現により、西洋諸国の白人女性はあらゆる年齢層において、ナイジェリアの黒人女性や中国人女性と比べて、やせていなければならないことへのプレッシャーを強く感じていることが判明しているという。 研究グループは、「7歳以上の子どもは、成人と同様に、視覚の適応により体重に対する知覚が変わることが示された。この結果は、健康とウェルビーイングの文脈における体のサイズの(誤った)知覚についての理解だけでなく、身体知覚の発達についての広範な理解にも影響を与えるだろう」と述べている。

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うつ病やPTSDに対するブレクスピプラゾール+抗うつ薬併用療法〜前臨床試験のシステマティックレビュー

 ブレクスピプラゾールは、抗うつ薬と併用することで、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、セロトニン、ドパミン神経伝達物質に対し相補的な作用を示し、さらに強力な効果を得られる可能性が示唆されている。米国・Otsuka Pharmaceutical Development & CommercializationのMalaak Brubaker氏らは、ブレクスピプラゾールと抗うつ薬の併用療法に関する前臨床試験からどのような情報が得られているかを明らかにするため、システマティックレビューを実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2025年2月28日号の報告。 ブレクスピプラゾールと抗うつ薬併用療法の前臨床研究を検索するため、システマティック文献レビューを実施した。対象には、精神疾患に関連する行動テストを含めた。2011年1月〜2021年7月5日までに公表された研究を、Ovid MEDLINE、Ovid Embase、カンファレンス抄録より検索した。ブレクスピプラゾールと抗うつ薬併用療法による統計学的に有意な結果(p<0.05)を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングされた296件のうち、7つの独自研究について記載された9件の論文が抽出された。・3つのうつ病モデル(慢性予測不能軽度ストレス、社会的敗北ストレス、リポ多糖誘発性うつ病)を含むげっ歯類モデルにおいて、ブレクスピプラゾールと選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の併用療法は、対照群と比較し、うつ病様行動(強制水泳試験、尾懸垂試験、ショ糖嗜好性試験)に対して一貫した有意なベネフィットを示した。しかし、ブレクスピプラゾールまたは抗うつ薬の単剤療法では、統計学的に有意なベネフィットは認められなかった。・心的外傷後ストレス障害(PTSD)の捕食動物嗅覚ストレスモデルにおいて、ブレクスピプラゾールとSSRI(エスシタロプラム)併用療法は、不安様行動(高架式十字迷路試験)および過覚醒(聴覚性驚愕反射)に対し、対照群/単独療法群よりも有意な効果を示した。しかし、ブレクスピプラゾールおよびエスシタロプラムの単独療法は、対照群と比較し、統計学的に有意な差は認められなかった。・PTSDの恐怖条件付けモデルにおいて、ブレクスピプラゾール単剤療法およびブレクスピプラゾールとエスシタロプラム併用療法のいずれにおいても、有意な改善が認められた。 著者らは「少数の研究ではあるものの、うつ病およびPTSDに対する前臨床試験において、ブレクスピプラゾールと抗うつ薬併用療法は、いずれかの単剤療法と比較し、有効性が高いことが報告されている。これらの前臨床試験の結果は、うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法およびPTSDに対するブレクスピプラゾールとセルトラリン併用療法の有効性に関するランダム化臨床試験の結果を支持しているものである」と結論付けている。

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第257回 フジの中居問題を医療者も教訓にしたい、組織内でのコンプラ対応

ここ数日はテレビをつければ、トランプ関税のニュースが大半を占めている。そして1週間ほど前、国内はあるニュースで埋め尽くされた。フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビが公表した、フジテレビ女性社員が元SMAPの中居 正広氏から受けた性暴力に関する第三者委員会(以下、同委員会)報告書に関する報道である。同委員会の委員となった弁護士の方々には相当強いプレッシャーがあっただろうと思う。世間が注目していた事件だけに、中途半端な結果を出せば、委員各人までもが世間から批判の嵐にさらされることが必定だったからだ。正直、この手の同委員会報告書は多くの場合、尻切れトンボのようなものであることが多い。しかし、今回公表された報告書は、資料まで含めれば実に400ページ弱という膨大な内容である。一応、私も全文を通読したが、同委員会はデジタルフォレンジック*を駆使しながらも、短期間でよくここまで調査したものだと驚いた。実際には同委員会の弁護士3人以外に総勢23人もの弁護士が調査担当として加わっており、その注力ぶりがうかがえる。*コンピューターやスマートフォンなどの電子機器に残された情報を収集・解析し、証拠を保全・分析する技術中身を報道で知っている人は多いだろうが、必ずしも報告書の全文を読んだ人ばかりでもないだろう。この報告書は何らかの形で精神を病んでしまった人に対する組織の対応に関する教訓にあふれている。その意味では、組織に所属する人にとって他人事ではないはずである。そこで今回、あえてこの内容を取り上げたいと思う。ただ、その内容は膨大なことから2回にわけてお届けする。中居氏が守秘義務解除を拒否、報告書へ被害状況は記載されずまず、報告書では今回の事案の性暴力の様態については記載がされていない。これは中居氏と被害者Aさんとの間で示談が成立し、その部分には守秘義務が課されているからである。もっとも同委員会は、調査に当たって両者に守秘義務解除を打診し、Aさん側は全面解除に応じたが、中居氏側が応じなかったため、被害の詳細な実態はわかっていない。ただ、Aさんが被害を訴えたフジテレビ社員などからのヒアリングから、同委員会は今回の事案に関してAさんが性暴力に遭ったと認定している。もっとも前述のようにかなり綿密に行われた調査ゆえに、Aさんのその後の症状やその後のフジテレビ社内の対応は生々しすぎるほど明らかにされている。以下はその後のAさんの状況を概説する。なお、フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビの取締役、中居氏以外は同報告書で記載されていた仮名を用いることとする。被害の大筋、本件から見える課題被害発生から4日後の2023年6月6日、Aさんはフジテレビの健康相談室のC医師に電話し、泣きながら被害発生日以降の不眠などを訴え、C医師は同日午後に健康相談室の心療内科医D医師の診察を予約。AさんはC医師とD医師に対し、中居氏から受けた被害内容とその後の心身の状況について話をした。Aさんは不眠、食欲不振、身体のふらつきなどの症状を訴え、次のように語ったという。「前の自分に戻れない気がする」「みんな生きている世界と自分に大きな隔たりがあって、もう戻れない」「(事件の時に)食べていたものや流れていた音楽を聞くと辛い」「(ニュースを読んでいる際に亡くなった人の名前を読んで)私が代わりに死ねばよかったと思った」これに対しD医師は急性ストレス反応と診断。症状軽減のため治療薬を処方した。Aさんは業務継続の意向であり、C医師とD医師が弁護士への相談をAさんと検討しようとしたが、本人は精神的に非常に混乱しており、そうした判断が困難な状態だったという。また、この同日、アナウンス室長のE氏がデスクで突っ伏していたAさんに気付いて声をかけたところ、涙を流し始めたので個室に移動して面談。そこでE氏はAさんが中居氏から性暴力を受けた旨の報告を受けた。E氏はAさんに女性管理職F氏にも相談するよう伝えるとともに、事前にF氏にAさんの相談概略を伝達。翌6月7日にAさんはF氏にも被害を相談した。F氏との面談の際、Aさんは中居氏との共演は可能である旨を伝えていたが、混乱状態での話だったため、F氏は「今後何か心変わりがあれば言ってほしい」と伝えている。さらに6月8日には健康相談室のC医師から連絡があり、E氏、F氏がAさんの状況について情報を共有した。それによると、これまで各氏に対してAさんが語った内容はほぼ同じ内容だったという。以下に箇条書きする。「誰にも知られたくない」「知られたら生きていけない」「自分は元の自分に戻れない」「もう幸せになれない」「仕事も変わりなくやっていきたい、こんなことで自分の人生ダメにしたくない」「(中居氏から被害があった日の食事である)鍋の食材をスーパーで見ることができない、まったく食べられない」「(中居氏との共演は)かまわない。負けたくない」中居氏との共演に関する発言は、性暴力を受けて大きな混乱にある中でもなお泣き寝入りはしたくないということなのだろう。あまりにも痛々しい。また、この相談は過呼吸・号泣しながらの相談で心身の状況が悪いことなども共有された。この時の3氏の面談結果を受けたフジテレビのアナウンス室は▽本事案を誰かに共有する際にはAさんに確認する▽Aさんが非常に精神的に不安定なため、そのケアを最優先にする▽番組出演についてもアナウンス室の判断で勝手に取りやめさせない▽業務継続か休務かは必ず医師に相談し、医師の所見をもとに判断するとの対応方針を決めた。F氏はAさんと相談の上で、2023年6月10日頃まで番組に出演し、翌週から1週間は「体調不良」で休務することを決定。その後、一旦業務に復帰した。しかし、F氏のもとにはほかのアナウンサーからAさんについて、手の震え、歩くのもふらつく様子があると報告され、同時期に健康相談室を訪れたAさんはC医師・D医師に「食べられない」「ふらふらしている」「仕事中も手が震える」「力が入らない」「眠れない」「(被害時の)食材を見たくない・食べたくない」「身体も痛い」などと訴えた。C医師とD医師は、Aさんがかなり痩せて食欲不振も激しい状態だったため、即入院が必要と判断。すぐに都内の病院への入院調整を行い、病床が空いていた消化器内科にまず入院して精神科医師の併診とする治療体制とし、精神科のベッドに空きが出た時点で転科することが取り決められた。入院時の病院宛ての「紹介・診療情報提供書」には、傷病名を「うつ状態、食思不振」と記載され、「仕事関係者からのハラスメントによる」とも付記された。結局、当初のこの事件の情報共有範囲はAさんの意向に沿って、E氏、F氏、C医師、D医師の4名に限定されていた。しかし、Aさんの入院長期化が予想されたことなどから、2023年7月中旬にF氏がE氏に対して経営上層部への報告を要望。E氏は編成制作担当取締役、編成制作局長G氏、人事局長H氏に本事案を報告する予定であるともにAさんとの連絡窓口をF氏に一本化したい旨を伝え、実際、以後のAさんとのコミュニケーションはF氏に委ねられた。そしてE氏からはG氏、H氏への報告が行われたが、両氏ともこの件を「プライベートの問題」と認識したと報告書には記載されている。報告書では両氏にはE氏から具体的な性暴力の内容まで報告された記載がある。ちなみにG氏に関しては、「プライベートな問題」と判断した理由について、Aさんが中居氏所有のマンションで2人で会ったこと、これまでもタレントと女性アナウンサーが交際・結婚した事例もあったからと述べている。一方で、心身の状態が悪化し入院に至っているため混乱したともヒアリングに回答している。この辺はE氏の説明の仕方に起因するのか、G氏の思考に起因するのかはわからない。ただ、H氏は同委員会に対して「社員に対する安全配慮義務の問題として捉えるべきであると判断した」旨も述べている。ちなみに、この段階ではG氏の判断で役員やコンプライアンス推進室へは報告されていない。というか、すでに報道などでもご存じのように、コンプライアンス推進室へはまったく報告がされなかった。G氏は、役員へすぐ報告しなかったこと、コンプライアンス推進室への報告をしなかったことについて、「Aさんが誰にも言わないでほしいと哀願している」「コンプラにいる人間がそれを聞いて情報拡散しないか不安に思った」「フジは情報が漏れやすい会社である」「女性アナウンサーは社内からどう見られるか気にしている」などの理由を挙げている。このように、Aさんが言っていたとされる「誰にも言わないでほしい」を当事者たちが都合よく解釈しているように映るのも気になる点である。この場合、より突っ込んでAさんの真意を解釈するならば、「自分に関して何らかの責任ある判断とそれに基づく決定ができるわけでもない、単なる興味本位の人に共有をしないでほしい」ということではないだろうか。ちなみにG氏、H氏への報告が、当初アナウンス室が決めた「本事案を誰かに共有する際にはAさんに確認する」の手続きを踏んでいたかは報告書を読む限りは不明だが、これ自体はG氏やH氏の職責やAさんの事件の重大性などを考えれば、たとえ事前許諾を得ていなかったとしても、大きな問題ではないと私個人は考えている。結局、6人も対応に関与していたのにさて、ここまでが途中経過だが、これだけでもメンタルの異常が強く疑われる社員、しかも性暴力被害者への対応としては、かなり問題ありの点が多々うかがえる。登場するE氏には被害に遭ったAさんのことをかなり心配して慎重に対応していることがうかがえる。しかし、報告書でも指摘されていることだが、まず問題なのは入院に至る重篤な心身状況にあるAさんへの対応窓口をメンタルケアの専門家ではないF氏に一任したことである。E氏はおそらく「同じ女性だから」という意味で良かれと思ってそのような判断をしたのだろう。しかし、一般人はメンタルが異常をきたしている相手にやってはいけない「過剰な励ましや前向きの強要」「感情の否定や軽視」を悪気なくやってしまいがちである。つまるところF氏の采配次第で、Aさんのメンタル状況が大きく左右されることになる。もし窓口を一本化するならばC医師あるいはD医師である。実際、Aさんは真っ先に自分から健康相談室にコンタクトを取り、性被害について自らC医師やD医師に話しているのだから、窓口の役目としてF氏よりも明らかに適任といえる。また、報告書でも指摘されているが、当然ながらF氏に大きな精神的負担が生じる結果となっている。しかも、それに対するフォローアップは報告書を見る限り、皆無である。前述のようにE氏からG氏、H氏の報告の際、両氏は当初「プライベートな問題」と認識したと同委員会に回答しているが、一定以上の権限を持つこの両氏への報告の際は、欲を言えば、E氏がC医師、D医師に同席を求めるのが望ましい姿だ。ちなみに報告書の記載では両医師ともAさんとの最初の面談時点で性暴力を受けたとの認識で一致しており、これまでのAさんの病状も含め、E氏やF氏よりもより正確な情報を持っている。正直、この辺からメンタルに問題を抱える人への対応としては、ボタンの掛け違いが始まっているようにさえ思える。この上にさらに情報が上がると、ボタンの掛け違いどころか冬服と夏服の取り違えくらいの様相になるのだが…。そこは次回に触れたいと思う。

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軽度認知障害の再考:MCIの時期までにやっておくべきこと【外来で役立つ!認知症Topics】第28回

MCIの現代的な意義誰しも加齢とともに物忘れをしやすくなるから、どこまでが生理現象でどこからが認知症なのかという問いは、ずっと以前からある。1962年にV. A. Kralが提唱した「良性健忘」と「悪性健忘」という概念は、このような疑問への初期の回答としてよく知られている。この後、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)が1990年代からRonald C. Petersenの定義を軸に着実に世界に浸透した。このMCIとは「認知症とはいえないが、記憶が悪くて日常生活に多少の障害があるのだが、なんとか自立しているレベル」を意味する。MCIの意義は、アルツハイマー病(AD)の早期発見と、当事者およびその介護者が将来への生活設計をする起点にあったと思う。またこの頃からADの新薬開発が加速し始め、そのターゲットとしてMCIが注目されるようになった。そして新薬はADになってからでは遅いとされ、このMCIが新薬の主たるターゲットになってきた。そしてレカネマブやドナネマブの登場により、MCIの意義が確かになった。とはいえ、従来のAD治療薬の効果が「天井から目薬」なら、筆者の実感ではこれらの薬の効果は「50センチ上から目薬」である。だから残念ながら、「早期発見」と「生活設計」が持つ意義は廃っていない。10年間で日本のMCIが1.4倍も増加さてMCI の予後に関しては、メタアナリシスで、4年で半分の人が認知症に進行することがほぼ定着している。一方で26%の人が、正常に戻ることも報告されている。わが国の認知症・MCIの疫学調査1)は、2012年と2022年に行われている。両時点の高齢者人口は3,079万人と3,603万人である。その結果概要として、認知症が462万人から443万に減少している。ところがMCIは400万人から559万人と、1.4倍も増加しているのである。画像を拡大する図. 認知症および軽度認知障害の有病率の推移(資料1より)この背景について、2つの私的推察をしてみた。まず前向きに捉えると、近年の欧米の報告と同様に、血管要因をはじめとする認知症の危険因子へ対応する人が増えてきたので認知症にはならずに、MCIでとどまる人が増えた可能性がある。つまり従来のMCI者は「4年で」半数が認知症になったのが、「5年、6年で」と変わったのかもしれない。反対も考えられる。2012年時点で認知症者の8割は80歳以上であった。Lancet誌のメタアナリシス2)によれば、認知症者は診断確定後の平均余命は5年前後である。すると2012~22年の10年間に2012年当時の認知症者の少なからぬ者が亡くなった可能性が高い。そうした死亡者数が新たに認知症になった人数より多かったから、2022年に認知症者は減少したのかもしれない。一方で2012~22年は、戦後のベビーブーマー世代が老年期に達し、さらに後期高齢者になった時代である。とすると、人数が多いこの世代におけるMCIの発生がMCI全体の数を増やしたとしても不思議でない。「太陽と死は直視できない」――エンディングノートを書けない理由ところで以前、本連載に「未来への連絡帳」くらいには言い換えて欲しいと書いたように「エンディングノート」の名は気を滅入らせる。リビングウィルに詳しい人と、その記述とMCIの関係を話し合ったことがある。エンディングノートは近年の隠れたベストセラーで、とくに敬老の日の前後は、多くの書店で山積みにされる。多くの人はこれを買っても最後まで書けないから、毎年9月になるとその売り上げは急増するのでベストセラーであり続ける由。ところでエンディングノートの難所は、介護の場、終末期医療、財産相続、そして葬儀関連の4つにあるそうだ。そしてなぜ書けないか?の「あるあるの理由」も知られる。「介護の場」では、在宅(家族)介護から施設介護にシフトすべき基準がわからないが最多だそうだ。「終末期医療」では延命治療の基本的なことも知らないし、子供たちに負担をかけたくないこと。財産相続では、子供たちが「争族」になったら困るので、財産の分け方を決めかねること。そして「葬儀関連」では、死に対する心理的抵抗が強くて考えられないとの由。要は「太陽と(自分の)死は直視できない」(ラ・ロシュフコー)ということか? だから「まあ何とかなるだろう。子供たちがどうにかやってくれるだろう」が多数派となる。「未来への連絡帳」に書き込めるのはMCIの時期までしかし認知症臨床の場では、当事者がターミナルに至った時に、また亡くなった後に、皆が困る事態に至る例が少なくない。エンディングノート(未来への連絡帳)を完成させるには、意思能力や合理的な判断能力が必要である。平たく言えば、精神活動の3要素とされる「知情意」(知は知能、情は情操、意は意志)がそろって健全でなくてはならない。しかし加齢と共に知のみならず、情・意のほころびも多くの人に忍び寄ってくる。「情」なら、腹立ち・イライラしやすくなる、お追従に弱くなりがちだ。「意」では、三日坊主、面倒臭いからやめておこう、といった具合である。私的な経験ながら、健全な情意の維持は、MCI期に至ると怪しくなると思う。だから「未来への連絡帳」に書き込めるのはMCIの時期までと意識したい。筆者自身も筆が止まる箇所がある。全部でなく「書けることは書いておく」だけでもいい。また書けない事項については、なぜそうかの箇条書きがあるだけでも、後に思いがけず役立つかもしれない。参考1)厚生労働省.認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計. 2)Liang CS, et al. Mortality rates in Alzheimer's disease and non-Alzheimer's dementias: a systematic review and meta-analysis. Lancet Healthy Longev. 2021;2:e479-e488.

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高齢者の治療抵抗性うつ病に対して最も効果的な治療は?〜メタ解析

 高齢者のうつ病は、十分に治療されていないことがある。2011年の高齢者治療抵抗性うつ病(TRD)の治療に関するシステマティックレビューでは、プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)が1件のみ特定された。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAlice Jane Larsen氏らは、高齢者のTRD治療に対する有効性に関するエビデンスを統合し、更新レビューを行うため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Mental Health誌2025年3月3日号の報告。 対象研究は、55歳以上のTRD患者に対する治療を調査したRCT。治療抵抗性の定義は、1回以上の治療失敗とした。2011年1月9日〜2023年12月10日(2024年1月7日に検索を更新)に公表された研究を、電子データベース(PubMed、Cochrane、Web of Science)よりシステマティックに検索した。メタ解析により、寛解率を評価した。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias(RoB)2ツールを用いた。エビデンスの評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)基準を用いた。 主な結果は以下のとおり。・14研究、1,196例(平均年齢:65.0歳、男性:548例、女性:648例)が包括基準を満たした。・10研究はプラセボ対照試験であり、4研究は低RoBであった。・介入群の寛解割合は0.35(17アーム、95%信頼区間[CI]:0.26〜0.45)。・対照群と比較し、介入群の寛解の可能性は高かった(9研究、OR:2.42、95%CI:1.49〜3.92)。・対照群と比較し、寛解率が良好であった治療は、ケタミンが優れており(3研究、OR:2.91、95%CI:1.11〜7.65)、経頭蓋磁気刺激(TMS)はその傾向がみられた(3研究、OR:1.99、95%CI:0.71〜5.61)。単一のプラセボ対照研究では、セレギリン、アリピプラゾール増強療法、薬理遺伝学的介入(PGP)、認知機能リハビリテーション介入の有用性が認められた。 著者らは「高齢者TRD患者の寛解率向上に対する治療として、ケタミン治療およびアリピプラゾール増強療法が有効であるとする弱いエビデンスとTMS、PGP、認知機能リハビリテーションが有効であるとする非常に弱いエビデンスが特定された。日常的に使用される抗うつ薬や心理社会的介入に関するエビデンスの欠如は問題であり、臨床医は、若年層からのエビデンスを拡大することが求められる」と結論付けている。

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第6回 アルツハイマー病遠隔診療の可能性と落とし穴

米国の大手製薬企業イーライリリー(以下、リリー)が、アルツハイマー病患者を遠隔診療の医師につなぐ新たな取り組みを始めたことが報じられました1)。これは、従来から糖尿病や肥満などの疾患を対象にリリーが提供してきた患者向けプラットフォーム「LillyDirect」の一環として行われるもので、同社が販売している薬の服用機会を促すD to C(Direct-to-Consumer)のアプローチともいえます。ただし、今回のアルツハイマー病の場合には、実際に点滴を行う医療機関に患者を紹介する形をとっていて、患者本人がウェブ上で直接処方薬を購入する仕組みにはなっていません。しかし、リリーがアルツハイマー病の新薬ドナネマブをはじめとする治療薬を持つことから、患者との接点を増やし、診断から治療への流れを後押しする目的があるとみられています。この新しい取り組みでは、患者がアルツハイマー病専門の神経内科医に遠隔で診断を受けられる体制が注目されています。とくに地方や遠隔地に住む高齢者にとっては、通院負担の軽減というメリットが考えられる一方、老年科専門医の視点からは複数の懸念もあります。以下に、その要点を整理していきます。遠隔診療での早期診断と治療選択の可能性今回リリーが提携したのは、遠隔で神経内科医とつなぎ、必要に応じて脳の画像検査(MRIやPETなど)の手配、さらに点滴治療が可能な医療機関を紹介する企業「Synapticure」です。昨今早期診断が重視されるアルツハイマー病において、専門医が不足する地域でも、患者が遠隔で診療にアクセスできることは一定の意義があるでしょう。とくに新規抗アミロイド薬(脳内アミロイド斑を標的とする薬剤)は、早期の患者さんでの効果が示唆されていて、こうした治療機会に迅速につなげる意義は、否定はできません。また、Synapticure側も「遠隔診療での認知機能評価」「遺伝子検査(APOE4の有無など)」「点滴センターの紹介」を一元的にサポートすることを強調していて、患者家族の負担軽減や、専門医へのアクセスが困難な地域の課題解決を目指しています。すでに糖尿病や肥満などの領域で同プラットフォームが実績を積んでいることもあり、技術的な面や運用面での利便性が高いと期待されています。老年科専門医から見た遠隔診療の懸念一方、老年科専門医の立場からは、このニュースに関連していくつかの懸念を指摘できます。1)診断の複雑さまず、アルツハイマー病の診断には、長時間にわたる問診や認知機能検査、家族からの聞き取り、脳の画像検査、血液検査など多角的なアプローチが求められます。とりわけ高齢者の場合、合併症(心不全や腎機能低下、うつ病など)が認知機能に影響を与えることもあり、短時間のオンライン診療だけでは十分な評価が難しい場合が多いと思います。そのような点はどうカバーされるのでしょうか。遠隔でも専門医が対応するとはいえ、実際に対面での総合的な評価が必要になる場面は多いのではないかと考えられます。2)治療薬のリスク管理リリーを含め最近承認された抗アミロイド薬には、脳浮腫や脳出血などの副作用リスクが指摘されています。とくにAPOE4という遺伝子を持つ患者ではリスクが高まる可能性があり、投与後の定期的なMRIによるモニタリングや症状観察が欠かせません。遠隔診療で治療を開始する流れが加速すると、十分な副作用管理体制が整わないまま投薬が行われる懸念があります。3)利害関係の不透明さ患者がリリーの運営するプラットフォームを通じて専門医にアクセスし、最終的にリリーの薬を使用する流れが生じると、患者側としては「その治療選択が本当に中立的なのか」不安を覚えるかもしれません。会社側は「処方行為に対するインセンティブはない」と説明していますが、遠隔診療業者にとって製薬企業との連携が宣伝効果を高める構造的インセンティブが否定できない以上、処方バイアスのリスクはないとは言えないでしょう。これは大きな懸念点です。4)緊急対応や長期フォローの問題アルツハイマー病は長期的な経過観察が重要で、緊急時には認知症状以外の内科的問題や精神行動症状への対処も必要となります。遠隔で専門医にアクセスできるメリットはあるものの、高齢者の多様な問題に総合的に対応するには地域の医療・介護リソースとの連携が欠かせません。こうしたフォローアップの体制が不十分なまま遠隔診療が進むと、患者・家族の緊急時の混乱を増やす恐れもあります。今後の展開に注視をリリーの取り組みは、アルツハイマー病の早期発見・早期治療を支援するという一定の意義がある一方で、「複雑な認知症診療をどこまでオンラインでカバーできるか」「薬剤のリスク管理は十分か」「利益相反の透明性をどう担保するか」といった懸念もあります。遠隔医療の普及は、地域格差の是正や受診機会の拡大に貢献する期待がある反面、高齢者の多面的な健康問題や治療のリスクを考慮すると、そのリスクにもしっかりと目を向ける必要があるでしょうし、対面診療とのハイブリッド型のフォロー体制が不可欠でしょう。まして当該薬の効果が劇的なものではないと知られている中、ただ製薬会社や遠隔診療企業が利益を得るための過剰治療が行われるような構図にならないことを願うばかりです。また、こうした構図は将来的に日本でも構築される可能性があり、そうした意味でも注視していくべきプラットフォームではないかと思います。参考文献・参考サイト1)Chen E, et al. In a first, Eli Lilly to connect patients to telehealth providers of Alzheimer’s care. STAT. 2025 Mar 27.

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海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 1

今回のキーワード知的障害社会的コミュニケーション症強迫性パーソナリティ障害情緒不安定性パーソナリティ障害超女性脳依存性パーソナリティ障害共依存折れ線型経過前回(その1)、自閉症の主な症状はコミュニケーションがうまくできないこと(社会的コミュニケーションの障害)とこだわりが強すぎること(反復性)であることがわかりました。そして、それぞれの脳機能は、共感性が低いこととシステム化が高いことであることがわかりました。さらに、その原因は、胎児期に男性ホルモンが多すぎていたからであるという有力な仮説(胎児期アンドロゲン仮説)をご紹介し、自閉症は超男性脳であることを説明しました。それでは、そもそもなぜ自閉症はコミュニケーションの障害とこだわりがセットで出てくるのでしょうか? また、定型発達においては、男の子よりも女の子の方が言語や心の理論の発達が早いです。それは、そもそもなぜなのでしょうか? さらに、自閉症は最初から言葉の遅れがあるのが典型的なのですが、いったん話していた言葉を途中から話さなくなるタイプもあります。なぜこのような奇妙な経過を辿るのでしょうか?今回(その2)も、海外番組「セサミストリート」のジュリアという自閉症のキャラクターを取り上げ、さらにある仮説をご紹介します。この仮説はこれらの謎を説明できてしまうと同時に、これらの謎はこの仮説の根拠にもなります。その仮説とは、共感性とシステム化は、それぞれ独立した脳機能でありながら、トレードオフ(一得一失)の関係になっているということです1)。これは、ゼロサム説と呼ばれています。ゼロサムとは、一方が増えた分、他方はその分減って、総和(サム)は一定(ゼロ)であるという意味です。だからコミュニケーションの障害とこだわりがセットなんだジュリアは、中等度の社会的コミュニケーションの障害と中等度の反復性の両方の症状が揃っており、典型的な自閉症です。実際の臨床でも、重度であればあるほど、両方の症状がほぼ一緒に見られます。この現象は、先ほどの仮説から説明することができます。まず、この2つの脳機能の総和を100とすると、ジュリアは共感性20とシステム化80と表されます。そして、重度の場合は、共感性10とシステム化90と表されます。ここで、総和が100を超える病態を仮定してみましょう。たとえば、共感性50(平均)とシステム化90のような重度のこだわりだけある病態です。しかし、実際の臨床でこのような病態は見かけません。つまり、総和が100を超える病態が存在しないことは、この仮説の根拠になります。それでは、逆に共感性10とシステム化50(平均)のような重度のコミュニケーションの障害だけの病態はどうでしょうか? 実は、この病態は、知的障害の診断でよく見かけます。つまり、総和が100を下回る場合は、全般的な脳機能の低下として、自閉症とは無関係に起こりうるため、この仮説には当てはまりません。一方で、症状が軽度の場合、片方だけはよく見かけます。たとえば、こだわりが軽度で日常生活に困るほど目立たず、コミュニケーションの障害だけが軽度でやや目立つというケースは、自閉症ではなく社会的コミュニケーション症と診断されます。逆に、コミュニケーションの障害が軽度で社会生活に困るほど目立たず、こだわりだけが軽度でやや目立つというケースは、自閉症ではなく強迫性パーソナリティ障害と診断されます。これら2つのケースとも、共感性30とシステム化70と表され、総和が100となり、この仮説に当てはまります。以上より、この仮説によって、こだわりが強くなればなるほど、連動してコミュニケーションがうまくできなくなることがわかります。だからこそ、コミュニケーションの障害とこだわりはセットになるわけです。以上から、この仮説に従い、共感性を横軸Xとしてシステム化を縦軸Yとしてグラフ化すると、グラフ1のように、X + Y = 100と表されます。そして、定型発達の男性は共感性40とシステム化60、女性は共感性60とシステム化40と表されます。重度の自閉症は、左上の端っこに位置づけられます。社会的コミュニケーション症と強迫性パーソナリティ障害は、やや左上の位置に位置づけられます。次のページへ >>

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