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うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは

 米国・ミシガン大学のMarta Pecina氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者におけるプラセボ効果のメカニズムを明らかにするため、プラセボを用いた導入期、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬を用いたオープンラベル期の2期で構成した臨床試験を実施した。その結果、プラセボによりμ-オピオイドシステムの活性化がもたらされ、これがプラセボによる抗うつ効果に関連し、さらに抗うつ薬の効果にも関連している可能性を報告した。JAMA Psychiatry誌2015年11月号の掲載報告。 MDD患者におけるプラセボ効果の背景にある神経化学的機序を検討するため、2種類のプラセボ導入期、続いて抗うつ薬を投与するオープン期で構成される検討を行った。2種類の同一の経口プラセボ(速効性抗うつ薬様効果を有する活性プラセボあるいは効果を有さない不活性プラセボ)を用い、2週間の単盲検クロスオーバーランダム化臨床試験を実施した。続いて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、あるいはケースによっては臨床的に指示された他の薬剤を用い、10週間のオープンラベル試験を行った。 ボランティア(大学の医療システムで薬物治療を受けていないMDD患者35例)に対し、1週間の不活性経口プラセボおよび活性経口プラセボをそれぞれ投与した後、PET検査およびμ-オピオイド受容体選択的放射性トレーサーである[11C]カルフェンタニルを用いた検査を行った。さらに、化合物が気分向上に関わる脳システムの活性化に関連する可能性があるという指摘に基づき、活性プラセボを投与した後のみ、4分ごと20分以上かけたPETスキャン中、ボランティア患者の目前で1mLの等張生理食塩水を静脈内投与した。このチャレンジ刺激テストは、抗うつ薬の影響によると思われる、個人の内因性オピオイド神経伝達の急性活性化能力を検査するために行われた。主要アウトカムは、活性プラセボおよび抗うつ薬の効果としてうつ症状の変化、ベースライン時および活性化時のμ-オピオイド受容体結合状況とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインでの側坐核領域でのμ-オピオイド受容体の高い結合は、抗うつ薬治療の良好な反応と関連していた(r=0.48、p=0.02)。・活性プラセボによる治療1週間後の不活性プラセボと比較したうつ症状の軽減は、感情、ストレス制御、MDDの病態生理に関わる領域(前帯状皮質膝下野、側坐核、視床正中部、扁桃体)のネットワークにおけるプラセボ誘発μ-オピオイド神経伝達の増大と関連していた(側坐核:r=0.6、p<0.001)。・これらの領域に認められるプラセボ誘発内因性オピオイド放出は、抗うつ薬治療の良好な反応と関連し、抗うつ薬を用いた試験期間終了時の症状改善で43%の差が予測された。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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閉経後の女性統合失調症、陰性症状改善にSERM併用が有用

 閉経後の統合失調症女性に対し、通常療法にラロキシフェンを併用することで、陰性症状や総合精神病理、会話能力の低下などの改善が認めたことが示された。スペイン・カタロニア女性メンタルヘルス研究グループのJudith Usall氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。統合失調症において、エストロゲンの治療的有用性に関する認識が高まっている。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるラロキシフェンは、ドパミン・セロトニン脳システムに対しエストロゲン様作用を示すと考えられ、著者らは先行研究において、ラロキシフェンがエストロゲンに起因する有害事象を示すことなく、陰性症状、陽性症状、総合精神病理の改善に有用であることを明らかにしていた。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。 本検討では、陰性症状が優勢な閉経後の統合失調症女性患者を対象に、陰性症状およびその他の症状に対するラロキシフェンの有用性を評価することを目的に、24週間のランダム化並行群間二重盲検プラセボ対照試験を実施した。被験者は、Parc Sanitari Sant Joan de Deu、Hospital Universitari Institut Pere Mata、Corporacio Sanitaria Parc Tauliの入院患者および外来患者症例から登録。閉経後の統合失調症(DSM-IV)女性を、通常の抗精神病薬治療にラロキシフェン(60mg/日)を併用する群(38例)、またはプラセボ群(32例)に無作為に割り付けた。ベースライン、4、12、24週時に陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および陰性症状評価尺度(SANS)を用いて精神病理を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ラロキシフェン併用群は試験期間の24週間にわたり、PANSSによる陰性スコア(p=0.027)、全般スコア(p=0.003)、総スコア(p=0.005)が、プラセボ群に比べ有意に低下した。・ラロキシフェン併用群は、SANSS下位尺度である会話能力の低下に関してもプラセボ群に比べて改善を認めた(p=0.048)。・本試験で示されたデータは、先行試験で報告した結果を、より大規模サンプルと長期フォローアップで再現したものであった。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は

 大うつ病性障害(MDD)患者に対する8週間のビタミンD投与は、プラセボと比較してうつ症状を改善し、インスリン抵抗性や酸化ストレスに対しても好影響を及ぼすことが、イラン・カシュハン医科大学のZahra Sepehrmanesh氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。ビタミンDについては、神経伝達物質、代謝プロファイル、炎症性バイオマーカーおよび酸化ストレスに有益な影響を及ぼし、うつ症状を軽減させる可能性が示唆されていた。The Journal of nutrition誌オンライン版2015年11月25日号掲載の報告。 研究グループは、MDD患者へのビタミンD投与が、うつ症状、代謝プロファイル、血清中高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、酸化ストレスのバイオマーカーを減少させうるか否かを評価する、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。被験者は、DSM診断基準でMDDと診断された18~65歳の患者40例。ビタミンD 1カプセル(50kIU)/週群(20例)またはプラセボ群(20例)に無作為に割り付け、8週間投与した。 ベースラインと介入後に、空腹時血液サンプルを採取し、関連項目を測定した。主要アウトカムは、ベックうつ病評価尺度(BDI)で評価したうつ症状とした。副次的アウトカムは、グルコースホメオスタシス変数、脂質プロファイル、hs-CRP、酸化ストレスのバイオマーカーなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおいて、2群間の平均血清25-ヒドロキシビタミンD濃度は、有意な差が認められた(それぞれ9.2±6.0、13.6±7.9μg/L、p=0.02)。・介入8週後における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の変化は、ビタミンD群(+20.4μg/L)のほうが、プラセボ群(-0.9μg/L)と比べて有意に大きかった(p<0.001)。・ビタミンD群はプラセボ群に比べ、BDIのより大幅な減少傾向が認められた(それぞれ-8.0、-3.3、p=0.06)。・ビタミンD群とプラセボ群の間で、血清インスリン変化(-3.6 vs.+2.9μIU/mL、p=0.02)、ホメオスタシスモデルで推定したインスリン抵抗性(-1.0 vs.+0.6、p=0.01)、同推定のβ細胞機能(-13.9 vs.+10.3、p=0.03)、血漿中総抗酸化能(+63.1 vs.-23.4mmol/L、p=0.04)、グルタチオン(+170 vs.-213μmol/L、p=0.04)について有意差が認められた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

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ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

 デンマーク・南デンマーク大学のOle Jakob Storeboe氏らは、小児および青少年の注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対するメチルフェニデートの有益性と有害性を調査するため、コクラン・システマティックレビューを実施した。その結果、ADHDと診断された小児および青少年において、メチルフェニデートは教師の評価によるADHD症状と一般行動、ならびに保護者の評価による患児のQOLを改善する可能性があることが示唆された。しかし、解析に組み込まれた試験はバイアスリスクが高くエビデンスの質は非常に低かったことから、著者らは「メチルフェニデートの効果の大きさについてはまだ不明である」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。 レビューは、ADHDの小児および青少年を対象に、メチルフェニデート群とプラセボ群または無治療群を比較した並行群間比較試験ならびにクロスオーバー無作為化比較試験を対象とした。2015年2月までに発表された論文を電子データベースで検索し、メタ解析と逐次解析(TSA)を実施した。GRADEシステムを使用しエビデンスの質を評価し、教師、保護者、観察者がADHD症状と一般行動を評価した。 主な結果は以下のとおり。・並行群間比較試験38件(5,111例、平均治療期間49日間)と、クロスオーバー試験147件(7,134例、同14日間)が解析に組み込まれた。・試験全体の平均年齢は9.7歳であった。・並行群間比較試験19件において、教師による症状の評価においてメチルフェニルデートの有効性が示唆された(標準化平均差[SMD]:-0.77、1,698例)。これはADHD評価スケールでは、平均差-9.6に相当する。・メチルフェニデートは、重篤な有害事象の増加との関連は認められなかったが(リスク比:0.98、9件、1,532例、TSA補正リスク比:0.91)、非重篤有害事象のリスク増加と関連していた(リスク比:1.29、21件、3,132例、TSA補正リスク比:1.29)。・教師による一般行動の評価は、メチルフェニデートによる改善を示唆するものであった(SMD:-0.87、5件、668例)。・小児健康調査票(Child Health Questionnaire:CHQ)において、変化量7点が臨床的に重要な差の最小値と考えられた。・3件のメタ解析で報告された変化は、CHQ(範囲0~100)で平均差8.0点に相当し、このことがメチルフェニデートは親によるQOLの評価を改善する可能性があることを示唆した(SMD:0.61、3件、514例)。・コクランのガイドラインに基づき、分析対象の臨床試験の96.8%はバイアスリスクが高いと考えられた。また、GRADEシステムにより、すべてのアウトカムの質が非常に低かった。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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統合失調症の遺伝的脆弱性を示す新たなマーカー

 統合失調症では構造的脳内ネットワークを構成する白質統合が不十分な状況が認められ、脳領域での情報伝達能を減弱させると考えられている。しかし、これらの異常が、統合失調症発症の遺伝的リスクに影響する程度については不明であった。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのMarc M. Bohlken氏らは、統合失調症発症の遺伝的リスクと脳内ネットワークを構成する白質統合性との関連について検討した結果、白質統合指標のMRI画像上のfractional anisotropy(FA)が、統合失調症発症リスクと関連する可能性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。 検討は、統合失調症に関する状況が一致しない双生児70組、適合させた健常な双子(対照群)130組を対象とし、脳統合および疾患リスクに対する遺伝的、環境的要因の独立した寄与状況を構造方程式モデルを用いて定量化した。2008年10月1日~13年9月30日にデータを収集し、2013年11月1日~15年3月30日に解析を実施した。主要アウトカムは、拡散強調画像におけるfractional anisotropy(FA)とstreamlineにより評価した構造的結合性およびネットワーク機能とした。 主な結果は以下のとおり。・症例構成は、30組の一卵性双生児と72組の適合対照双生児、40組の二卵性双生児と58組の適合対照双生児であった。・FA値の低下は、統合失調症のリスク増大と有意に関連し(表現型相関:-0.25、95%信頼区間[CI]:-0.38~-0.10、p=0.001)、83.4%で共通の遺伝子が認められた。・全体として、FAにおける遺伝的変異の8.1%は、統合失調症リスクにおける遺伝的分散と共通であった。・ネットワーク統合における、前頭、線条体、視床領域の局所低下(FA-強調による局所への影響)は、遺伝的な影響を受ける部位の85.7%を占めていた。・多変量遺伝解析モデルにより、FAは白質量、皮質厚など他の遺伝的マーカーとは独立して統合失調症リスクに関与していることが示された。・以上のように、統合失調症患者における白質統合の異常は、主として疾患発症の遺伝的リスクであることを示すものであった。・ネットワーク解析で統合失調症の遺伝的リスクは、主として前頭部および皮質下部の結合性減少、すなわち同領域における白質神経線維の異常と関連することが示された。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか

 英国・ロンドン大学のClive Ballard氏らは、介護施設に入居中の認知症患者を対象に、抗精神病薬の見直し、社会的交流、運動などの介入が、抗精神病薬の使用状況や興奮、うつなどの症状に及ぼす影響を評価した。その結果、抗精神病薬の見直しにより使用が減少したが、より高いベネフィットを期待するには、その他の非薬物的介入も併用することが望ましいと報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。 研究グループは、英国の介護施設16ヵ所に入居中の認知症患者を対象とし、2種のレプリケーションを用いたクラスター無作為化要因対照試験を実施した。全介護施設が、患者中心医療のトレーニングを受けた。8施設が「抗精神病薬の見直し」「社会的交流の介入」「運動介入」に割り付けられ、9ヵ月間の介入を実施した。なお、大半の施設が1つ以上の介入に割り付けられ実施した。主要アウトカムは、抗精神病薬の使用、興奮、うつとした。副次的アウトカムは、全般的神経精神症状および死亡率であった。 主な結果は以下のとおり・抗精神病薬の見直しは、抗精神病薬の使用を有意に50%減少させた(オッズ比:0.17、95%信頼区間[CI]:0.05~0.60)。・抗精神病薬の見直しと社会的交流介入の併用は、どちらも実施しなかったグループと比べ、死亡率を有意に減少させた(オッズ比:0.26、95%CI:0.13~0.51)。・抗精神病薬の見直しを受け、社会的交流の介入を受けなかったグループは、どちらも受けていないグループに比べ、神経精神症状のアウトカムが有意に不良であった(スコアの差:+7.37、95%CI:1.53~13.22)。・この負の影響は、社会的交流の併用により軽減された(-0.44、-4.39~3.52)。・運動介入は、神経精神症状を有意に改善したが(-3.59、95%CI:-7.08~-0.09)、うつに関しては改善が認められなかった(-1.21、-4.35~-1.93)。・興奮に対して有意な影響を及ぼす介入は確認されなかった。(ケアネット)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

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抗うつ薬と認知行動療法は大した差がない、が意味するもの(解説:岡村 毅 氏)-464

 大うつ病の外来患者の初期治療における、第2世代抗うつ薬と認知行動療法を比較した。メタアナリシスを行い、両者に有意差がないと報告している。臨床的にも妥当な結果と思われる。 当サイトをご覧の皆さまにおかれてはありえないと思うが、すわ薬物療法よりも認知行動療法が素晴らしい、など早とちりする向きも多いので一応解説したい。 著者らも書いているが、この結果は米国等のガイドライン(初期治療ではこれらは両方とも推奨される)をなぞるものであり、なんら斬新ではない。臨床家なら誰もが知っている当たり前のことを当たり前に示したという点で、優れた論文である。 過去の認知行動療法の優位性を示す論文は、「本物の」(とその論文の著者が認める)認知行動療法のみが組み込まれるなど、公平とは言い難かったが、本論文は淡々と比較した。 では、今日外来受診した患者さん(Aさん)に、どう治療しようが結果は変わらないのだろうか? そんなことはあるまい。外来で薬物療法、環境調整、精神療法をどの順番で組み合わせて治療するかは臨床知である。制止が強い場合は薬物がよく効くだろうし、ケースワークだけで必要かつ十分なケースもあろう、あるいは本人の認知が歪んでいることもあろう。また、言うまでもないが、入院が必要な重症・切迫したケースでは薬物治療が重要である。 著者らは、患者さんがさまざまな治療選択肢を持つことが治療成績を伸ばすし、また精神疾患に対する偏見も減らし、より早く援助希求ができるだろうと最後に書いている。まさに大人の論文であった…。

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第2世代抗うつ薬と認知行動療法、アウトカムは同等/BMJ

 大うつ病性障害の初期治療において、第2世代抗うつ薬投与および認知行動療法(CBT)の治療効果や有害作用は同等であることを、米国・ノースカロライナ大学のHalle R. Amick氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。すでに第2世代抗うつ薬およびCBTの、大うつ病性障害における効果および有害性は実証されている。しかし、プライマリケア医からは、最適な治療オプションを選択できるよう質の高い治療比較のエビデンスを求める声が寄せられていた。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。1990~2015年の試験結果を再調査 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Libraryなどを基に、1990年1月~2015年1月に発表された、大うつ病に対する第2世代抗うつ薬やCBTに関する試験結果について、システマティックレビューを行った。質的評価およびランダム効果モデルや固定効果モデルを用いたメタ解析で両治療について検討した。 検索により、第2世代抗うつ薬とCBTに関する無作為化比較試験11件(報告論文14本)、被験者総数1,511例のデータを得た。そのうち、抗うつ薬単独治療とCBTを比較した試験が10件、抗うつ薬単独療法と抗うつ薬+CBTの併用療法を比較した試験が3件あった。治療反応率、寛解率、試験中止率にいずれも有意差なし メタ解析の結果、第2世代抗うつ薬とCBTでは、治療反応率(リスク比[RR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.77~1.07)や寛解率(同:0.98、0.73~1.32)について、いずれも有意差は認められなかった。また、17項目うつ病用ハミルトン評価尺度による評価でも、両群間の有意差はみられなかった(加重平均較差:-0.38、95%CI:-2.87~2.10)。 同様に、試験中止率(RR:0.90、95%CI:0.49~1.65)や、治療効果が上がらないことによる治療中止率(同:0.40、0.05~2.91)も、両群間の有意差は示されなかった。 有害作用による治療中止率は、第2世代抗うつ病薬でCBTより高率だったものの、有意差は認められなかった(RR:3.29、95%CI:0.42~25.72)。 なお、その他のアウトカムについてはエビデンス不足で検討できなかったという。また示された結果についても著者は、エビデンスが低く解釈は慎重にすべきだとしている。

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コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析

 アルツハイマー病(AD)に対してコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)が臨床使用できるようになって以来、AD患者におけるChEIの副作用スペクトラムを評価する世界的な医薬品安全性監視(ファーマコビジランス)研究は実施されていない。カナダ・ラバル大学のEdeltraut Kroger氏らは、WHO国際医薬品モニタリングプログラムのデータベース(VigiBase)を用い、16年にわたるADにおけるChEI関連副作用を分析した。その結果、精神神経系障害の副作用が最も多いこと、心血管系障害の副作用の重要性が過小評価されていた可能性があることなどを示した。結果を踏まえ、著者らは「患者のフレイルや高頻度の併用薬使用によっては、ChEIの投与を開始する前に副作用について注意が必要である」とまとめている。Annals of Pharmacotherapy誌2015年11月号(オンライン版2015年8月31日号)掲載報告。コリンエステラーゼ阻害薬関連副作用を抽出して分析 研究グループは、1998年~2013年の間に5大陸からVigiBaseへ報告されたすべてのChEI(ドネペジル、リバスチミン、ガランタミン)関連副作用を抽出し、全般的な副作用、重篤な副作用、重篤でない副作用に関して分析した。 主な結果は以下のとおり。・58ヵ国から合計1万8,955件(副作用件数4万3,753件)の報告があった(女性60.1%、平均年齢77.4±9.1歳)。・欧州(47.6%)と北米(40.4%)からの報告が多くを占めた。・ほとんどの報告に、リバスチグミンとドネペジルが含まれていた(それぞれ41.4%)。・副作用は精神神経系障害(31.4%)が最も多く、胃腸障害(15.9%)、全身障害(11.9%)、心血管障害(11.7%)が続いた。・2006~13年の報告は、重篤でない副作用よりも重篤な副作用が多かった。重篤な副作用は精神神経系障害(34.0%)が最も多く、全身障害(14.0%)、心血管系障害(12.1%)、胃腸障害(11.6%)であった。・投薬過誤は重症例の2.0%で報告された。・死亡例は全体の2.3%であった。関連医療ニュース 抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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ADHD発症にトリプトファンが関連か

 ノルウェー・ベルゲン大学のTore Ivar Malmei Aarsland氏らは、成人の注意欠如・多動症(ADHD)とトリプトファンおよびその代謝物の血清中濃度との関連を検討した。その結果、トリプトファン、キヌレン酸、キサンツレン酸、3-ヒドロキシアントラニル酸などの血清中濃度低値、およびコチニンの血清中濃度高値がADHDと有意に関連していたことを報告した。必須アミノ酸のトリプトファンは、主にキヌレニン経路によって異化される。一方で、慢性炎症状態およびうつ病や統合失調症などいくつかの神経精神障害において、循環血中キヌレニン濃度に変化が認められるとの報告があり、また候補遺伝子研究により、キヌレニン異化に関連する遺伝子とADHDとの関連が示唆されていた。さらに、ADHD患者はうつ病や不安をしばしば併存していることが報告されており、研究グループは、ノルウェーの成人ADHD患者および成人対照における血清キヌレニン濃度を検討した。Behavioral and Brain Functions誌2015年11月号の掲載報告。 成人ADHD患者133例と成人対照131例(18~40歳)において、トリプトファンおよび7種類のトリプトファン代謝物であるキヌレニン、キヌレン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシキヌレニン、キサンツレン酸、3-ヒドロキシアントラニル酸、キノリン酸の血清中濃度を比較した。リボフラビン(ビタミンB2)、総ビタミンB6およびニコチン代謝物コチニンについても測定した。質量分析法により血清サンプルを分析。患者および対照は、併存疾患と過去(幼少期)および現在のADHD症状について、Wender Utah Rating Scale(WURS)およびAdult ADHD Self-report Scale(ASRS)を用いて報告した。各代謝物の血清濃度別に、ADHD診断に対するオッズ比をロジスティック回帰により算出。さらに、スピアマン相関分析を用いて、トリプトファンおよびキヌレニンの血清中濃度とADHD症状スコアとの関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・トリプトファン(オッズ比:0.61、95%信頼区間:0.45~0.83)、キヌレン酸(0.73、0.53~0.99)、キサンツレン酸(0.65、0.48~0.89)、3-ヒドロキシアントラニル酸(0.63、0.46~0.85)の血清中低濃度、およびコチニン(7.17、4.37~12.58)の血清中高濃度は、いずれもADHDと有意に関連していた。・トリプトファン濃度で補正後、3-ヒドロキシアントラニル酸とコチニンのみ有意な関連がみられた。・喫煙と年齢で補正すると、トリプトファンおよびキヌレニンの低濃度は、総ASRSスコア高値および総WURSスコア高値と関連していた。・以上より、成人ADHD患者と成人対照とでは、トリプトファンおよびキヌレニンの血清中濃度に違いがある可能性が示唆された。・本知見においてADHDにおける慢性免疫活性は示されていないが、ADHDの発症機序および血清中濃度の相違による臨床的意義について、さらに探索を進めるべきと思われた。関連医療ニュース 9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係 成人ADHDをどう見極める 2つのADHD治療薬、安全性の違いは

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「怠薬防止」に統合失調症治療のカギあり

 「統合失調症のリカバリー実現に向けた有力な治療選択肢」というテーマで、大塚製薬株式会社主催のプレスセミナーが2015年12月9日に開催された。統合失調症患者は社会コミュニティに参加できないことも多く、患者は苦しみを抱えている。患者のQOLを向上し、健常人と変わりない生活を続けてもらう、いわゆる「リカバリー」を実現するためには、どのような点が重要となるのだろうか。統合失調症治療のゴールは「リカバリー」 昨年5月、アメリカ精神医学会から「Schizophrenia:time to commit to policy change」という宣言が出された。そのなかで、統合失調症治療は「リカバリー」を目指すことが重要だということが示された。 リカバリーは「症状を回復させ、健常者とほぼ変わらない生活を維持すること」を指し、統合失調症治療の目指すべきゴールとして最近用いられている概念である。統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く疾患で、その症状が原因で学校・会社を辞めるケースも多く、患者は日常生活・社会生活に大きな支障を抱えている。そのため治療においては健常者とほぼ変わらない生活を維持すること、つまり「リカバリー」を目指すことが重要である。「怠薬」がリカバリーを困難にする原因 一方で、リカバリーは非常に難しいといわれている。初めて治療を開始する統合失調症患者118例の追跡調査では、5年間の累積リカバリー到達率はわずか13.7%ときわめて低かった。1) リカバリーを目指すうえで重要となるのが「再発させない」ことだ。再発を起こす要因にはさまざまなものが挙げられるが、なかでも大きな原因となっているのが「怠薬」である。実際、「服薬を中断すると再発リスクは約5倍になる」と示唆されている。2)怠薬に関しては、「服薬アドヒアランスは1ヵ月で20%悪化、その後経時的に悪化する」「患者の約半数がときどき服薬するのを忘れる」などのデータが報告されている。3,4) しかし、患者の服薬アドヒアランスを確認することは難しい。服薬モニタリングシステムを用いた研究では、服薬アドヒアランス不良の患者は57%であったのに対し、医師が服薬アドヒアランス不良を把握していた患者の割合は7%であった。5)「怠薬」させないポイントとは? では「怠薬」を防ぐにはどうしたらよいか。セミナーで講演した、藤田保健衛生大学医学部 精神神経科学講座 教授 岩田 仲生氏は、「服薬アドヒアランスが良好でないのであれば他の許容可能な薬剤を考慮することも必要であり、その選択肢の1つとして持続性注射剤(LAI)が挙げられる」と語る。 注射剤のLAIは4週間に1度の来院で投薬が済むため、患者にとって大きなメリットとなる。患者アンケートではLAIを「ぜひ試したい」「試しても良い」が41%となっており、その一番の理由が「4週間に1回の通院が楽」であった。6) またLAIは再発のリスクを抑制したというデータも得られている。7) しかし、LAIは日本ではあまり使用されない傾向にある。LAIが広まらない一番の原因としては、「患者がLAIを知らない」「医師がLAIでの成功体験が少ない」ことがあると岩田氏は話す。患者におけるLAIの浸透、そして医師にもLAIをもっと理解してもらうことが、今後のLAIの課題といえる。 統合失調症患者をリカバリーまで到達させるためには「服薬アドヒアランスの向上」が大きなカギを握っている。そのためには、患者の訴えに耳を傾け、患者の希望やライフスタイルに合わせて処方をカスタマイズすることが非常に重要である。■参考1)Robinson DG, et al. Am J Psychiatry. 2004; 161: 473-479.2)Robinson D, et al. Arch Gen Psychiatry. 1999; 56: 241-247.3)趙 岳人, 岩田仲生ほか. 臨床精神薬理. 2011; 14(9).4)Dibonaventura M, et al. BMC Psychiatry. 2012; 12: 20.5)Byerly MJ, et al. Psychiatr Serv. 2007; 58: 844-847.6)西尾洋平, 亀井浩行:アリピプラゾール持続性注射剤発売時の患者アンケートより7)Hogarty GE, et al. Arch Gen Psychiatry. 1979; 36: 1283-1294.

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うつ病の新規発症予防へ、早期介入プログラム

 うつ病の新規発症への認知行動予防(CBP)プログラムは、早期に開始するほど有効であり、6年後も明らかな効果がみられるなど持続的効果があることが明らかにされた。米国・ピッツバーグ大学医学部のDavid A. Brent氏らが、通常ケアと比較した無作為化比較試験の結果、報告した。両親がうつ病歴を有する子供は、青年期にうつ病や機能障害を発症するリスクがある。しかし、青年期うつや機能障害に対する予防プログラムの長期効果については知られていなかった。今回の結果を踏まえ、著者らは「CBPの効果は、ブースターセッションの追加や両親のうつ病に対する同時治療により増強される可能性がある」と述べている。JAMA Psychiatry誌2015年11月号の掲載報告。 研究グループは、CBPプログラムがうつ病エピソードの発生を減少させるか、うつ症状のない日を増加させるか、そして実施6年後の発達能改善に寄与するかどうかを調べるため、CBP+通常ケアと通常ケア単独を比較検討した。健康維持組織(HMO)、大学医療センター、地域のメンタルヘルスセンターなど4ヵ所で被験者を登録。年齢13~17歳で、少なくともどちらか一方の親に現在あるいは過去にうつ病エピソードあり、被験者自身は現時点でうつ病エピソードはないが、亜症候性うつ症状を有するか、過去にうつ病エピソードがあり現在は寛解している症例を適格とした。CBPプログラムは、週1回90分のグループセッションを8回、以降は継続セッションを月1回6回実施した。通常ケアは、家族主導によるメンタルヘルス治療とした。主要アウトカムは、うつ病エピソードの新規発症で、うつ症状評価スケールを用いて評価した。また同スケールで、うつ症状のない日を算出した。改訂Status Questionnaireで、青年期における発達能(例:学術的あるいは対人関係)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2003年8月~06年2月に被験者316例を登録。介入後、75ヵ月間追跡し(維持率88%)、2014年8月~15年6月に解析を行った。・登録時点での親のうつ病状態、登録施設、すべての相互作用因子を補正後、追跡期間75ヵ月にわたってCBP群の青年期うつ病発症率が低下した(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.53~0.96)。・CBPプログラムの有意な効果は、登録初期9ヵ月間の、うつ病エピソードの発生低下によるものであった。・CBPプログラムのベネフィットは、登録時、親が非うつ病の青年において、うつ病発症(HR:0.54、95%CI:0.36~0.81)、うつ症状のない日(d=0.34、p=0 .01)、発達能(d=0.36、p=0.04)に関して認められた。・発達能に関する効果は、CBPプログラムのうつ症状のない日々に対する効果を介してもたらされたものであった。関連医療ニュース 青年期からの適切な対策で精神疾患の発症予防は可能か 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 これからのうつ病治療、どんな介入を行うべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴

 双極性障害と強迫症の併存は小児期・思春期および双極I型障害患者に多いことが、イタリア・パルマ大学のA. Amerio氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。ただし、著者らは、本研究の限界として「ほとんどの研究は、真の自我異和的な強迫観念と抑うつ的な反芻の区別において感度の低い後ろ向き評価尺度を使用しているため、強迫症状の有病率を過大評価する方向へバイアスが生じている可能性がある」と述べている。Journal of Affective Disorders誌2015年11月1日号の掲載報告。 双極性障害と不安症の併発については最近、調査が行われたが、双極性障害と強迫症の併発に関する研究は不十分なままであった。双極性障害と強迫症の併存率と予測因子を明らかにすることは、疾病分類学においても臨床・治療のうえでも重要な意味を持つ。研究グループは、2015年3月30日までに発表された関連論文を、電子データベース(MEDLINE、Embase、PsycINFO、Cochrane Library)を用いて検索し、システマティックレビューならびにメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・論文46本が選択基準を満たした。・双極性障害における強迫症の有病率は17.0%(95%信頼区間[CI]:12.7~22.4%)、強迫症における双極性障害の有病率は18.35%(95%CI:13.2~24.8%)で、ほぼ同等であった。・双極性障害患者における強迫症の有病率が低いことの予測因子は平均年齢が高いことであった。・サブグループメタ解析において、双極性障害患者において強迫症の併存率が高かったのは、小児・思春期[24.2%(vs.成人13.5%)]、双極I型[24.6%(vs.混合状態13.6%)]、住民ベース研究[22.2%(vs.病院ベースの研究13.2%)]であった。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害患者の約半数が不安障害を併存 治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か  担当者へのご意見箱はこちら

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中枢神経刺激薬の睡眠に対する影響を検証

 注意欠如・多動症(ADHD)の治療で用いられる中枢神経刺激薬が、若者の睡眠の変化にどのような影響を及ぼすかを、米国・ネブラスカ大学リンカーン校のKatherine M Kidwell氏らが検討した。Pediatrics誌2015年12月号の報告。 2015年3月までに公表された研究を、CINAHL、PsycINFO、PubMedより収集し、検討を行った。適格基準は、ADHDを有する小児および青年の研究、中枢神経刺激薬への無作為化割り付け、および客観的な睡眠指標を用いた試験とした。重要な変数に関連する情報が含まれない研究は除外した。研究レベル、小児レベル、睡眠データは独立した2人の担当者により抽出した。エフェクトサイズは、ランダム効果モデルを用い算出した。潜在的モデレータは、混合効果モデルを用い算出した。 主な結果は以下のとおり。・9本、246症例が抽出された。・睡眠潜時の調整後エフェクトサイズ(0.54)は有意であり、中枢神経刺激薬による睡眠潜時の延長が示された。1日当たりの投与量が、有意なモデレータであった。・睡眠効率については、調整後のエフェクトサイズ(-0.32)は有意であった。有意なモデレータは薬物治療期間の長さ、睡眠評価(夜間)の日数、睡眠ポリグラム/アクチグラフィー、性別が含まれていた。具体的には、薬物治療期間が長くなると、薬物治療効果は表れにくくなっていた。・総睡眠時間のエフェクトサイズ(-0.59)は有意であり、中枢神経刺激薬の服用が睡眠時間の減少につながっていた。 結果を踏まえ、著者らは「本知見は、対象試験が少なく、方法論的なばらつきや未発表試験の不足などの限界がある」としたうえで「中枢神経刺激薬は、睡眠潜時の延長、睡眠効率の悪化、睡眠時間の減少を引き起こしており、全体的に若者における睡眠の悪化が認められた。このことから、小児科医は、睡眠に関わる問題を慎重に監視し、最適な睡眠を促進する治療を検討することが求められる」とまとめている。関連医療ニュース 2つのADHD治療薬、安全性の違いは 不眠症併存患者に対する非薬物療法の有効性 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは  担当者へのご意見箱はこちら

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長生きは本当に幸せか(解説:岡村 毅 氏)-462

 英国の地域在住高齢者のコホート研究(CFAS I ・CFAS II)を使って、1991年から2011年の間に平均余命が伸びたうち、主観的健康な期間、認知機能が保たれている期間、そして日常生活の障害がない期間は、どのくらいかということを調べたものである。 認知機能が障害されている期間は短くなっていた。これは、近年同じコホートから報告されているように、英国で認知症の有病率が低下していることとも対応しているだろう。生活習慣病の減少や教育の向上が関連するとされる1)。 主観的に健康な期間も伸びている。 一方で、残念ながら、生活障害を持つ期間は増えている。これは肥満が増加したことと関連する可能性が示唆されている。 われわれは、長生きはいいことだとアプリオリに考える。「だが本当にそうだろうか?」…、そんなことを公共の場で言ったら「不謹慎」と思われてしまうかもしれない。しかし、社会全体が長寿を目指すのであれば(政策とするのであれば)、本当は考えておかねばならないことだ。 本研究は、寿命が延びたのはいいが、不健康で認知症の時期が増えたのでは、という懐疑に答えを出すものだ。答えは「否」であった。浅薄な発言かもしれぬが、長寿を目指すこと(政策)のエビデンスが得られたといえる。 研究者の端くれとしては、本当は「幸せに生きた期間」は増えたのか、という疑問があったに違いないと思う。同時にその困難さも想像に難くない。幸せや生活の質といわれるものは常に主観的なものであり、尺度化の難しさは身に染みている。たとえば、今回の研究に即していえば、障害があっても他人に頼って生きるようになり、むしろ他人とのつながりを回復し、こころの安定が得られるというケースもあろう(もちろん私は障害を促進しているわけではないので誤解なきよう)。 この論文は、読者の探究心を激しく呼び覚ますものだ。さすがロックやヒュームを生んだ国である、というと言い過ぎであろうか。当然、「私たちの社会ではどうだろうか?」「実証的に検討する材料はあるのだろうか?」と考えなければなるまい。

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道路交通騒音でうつ病リスク増大

 交通騒音は、とくに都市部にて多くの人々に影響を与える。騒音はストレスやいらいらの原因となるが、騒音とうつ病との関連はあまり知られていない。ドイツ・エッセン大学病院のEster Orban氏らは、住宅道路の交通騒音と抑うつ症状の関連を調べるため、ドイツ住民ベース研究から5年間の追跡調査データを用い、検討を行った。その結果、住宅道路の交通騒音は抑うつリスクを増大させることが示唆された。Environmental health perspectives誌オンライン版2015年11月25日号の報告。 著者らは、Heinz Nixdorf Recall 研究の参加者で、ベースライン時(2000~03年)に抑うつ症状のない3,300人(45~75歳)のデータを分析した。抑うつ症状は、CES-D質問票の15項目(合計スコア17点以上)、抗うつ薬の投与に基づいて定義した。道路交通騒音は、European Parliament/Council Directive 2002/49/ECをモデルにした。騒音の高曝露は、1年間の24時間平均騒音レベルが55dB以上(A)と定義した。ロバスト推定ポアソン回帰は、相対リスク(RR)を推定するために使用した。潜在的な交絡因子調整のため、1)年齢、性別、社会的地位(SES)、自宅周辺のSESレベル、交通近接性、さらに2)BMIと喫煙、3)潜在的な交絡/中間因子である併存疾患と不眠症、で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・全体参加者の35.7%が、高いレベルの住宅交通騒音にさらされていた。・フォローアップ時(ベースラインから平均5.1年)、302人の参加者が高い抑うつ症状を有していた。曝露騒音レベル55未満に対する55超の調整後RRは1.29(95%CI:1.03~1.62、モデル1)であった。・潜在的な交絡/中間因子による調整は、結果を実質的に変化させなかった。・関連性は、ベースライン時に不眠を訴えた人で強く[RR 1.62(1.10~2.59) vs.1.21(0.94~1.57)]、教育年数13年以下の人においてのみ現れた[RR 1.43(1.10~1.85)vs.0.92(0.56~1.53):13年超]。関連医療ニュース 性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 パートナーがうつ病だと伝染するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか

 地域で暮らす中等度~高度のアルツハイマー病患者に対するドネペジル投与の中止は、当初1年間は介護施設入居リスクを増大するが、その後の3年間はドネペジル継続群と差はないことが示された。英国・ロンドン大学のRobert Howard氏らが、ドネペジルとメマンチンの投与について検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DOMINO-AD」の結果から報告した。複数の先行観察研究で、認知症の薬物治療に伴い介護施設入居時期が遅くなることが示唆されているが、軽度~中等度のアルツハイマー病患者を対象とした先行無作為化試験では、影響がないとする結果が示されていた。今回の結果を踏まえて著者らは、「継続の有益性が明白ではないとしても、ドネペジル治療の中止か継続かの決定は、中止による潜在的リスクを知らせたうえで行うべきである」と述べている。Lancet Neurology誌2015年12月号の掲載報告。 DOMINO-AD試験は、イングランドとスコットランドにある15の2次医療施設から被験者を募って行われた。対象は、地域で暮らす中等度~高度のアルツハイマー病患者で、ドネペジル10mgを3ヵ月以上継続処方され、直近6週間以上継続しており、標準化されたMini-Mental State Examination(MMSE)スコア5~13点であった。研究グループは被験者を、(1)ドネペジル(10mg/日)継続/メマンチンなし(継続群)、(2)ドネペジル中止/メマンチンなし(中止群)、(3)ドネペジル中止/メマンチン20mg/日開始(切り替え中止群)、(4)ドネペジル(10mg/日)継続/メマンチン(20mg/日)開始(併用継続群)のいずれかに無作為に割り付け、52週間治療を行った。52週以降の治療法の選択は、被験者および担当医師に任された。試験開始後52週間、居住地の記録を取り、その後3年間は26週間ごとに記録した。本検討では、本試験で副次アウトカムであった介護施設(nursing home)への入居(独居生活から住居型ケア施設への不可逆的な移動)について評価した。また、二重盲検期完了後1年間のフォローアップ期間における入居リスクについて、事後解析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・2008年2月11日~10年3月5日に、継続群73例(25%)、中止群73例(25%)、切り替え群76例(26%)、併用群73例(25%)に無作為に割り付けられた。・無作為後4年間に162例(55%)が介護施設へ入居した。・各群における入居者数は同程度であった。継続群36例(49%)、中止群42例(58%)、切り替え群41例(54%)、併用群43例(59%)。・試験開始当初1年間、統合ドネペジル中止群の介護施設入居が、統合ドネペジル継続群と比べて有意に多かった(ハザード比:2.09、95%信頼区間[CI]:1.29~3.39)。しかし、その後の3年間で差はなくなり(同:0.89、0.58~1.35)、治療効果の経時的な不均一性が有意であることが判明した(p=0.010)。・メマンチン開始群と非開始群との比較では、1年目(同:0.92、0.58~1.45)あるいはその後3年間(同1.23、0.81~1.87)ともに、患者への影響は認められなかった。関連医療ニュース 抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究 ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度? 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?  担当者へのご意見箱はこちら

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未治療小児患者への抗精神病薬投与、その影響は

 未治療の小児および未成年者における抗精神病薬の神経学的有害事象への影響について調べた結果、リスペリドンはジスキネジアおよびパーキンソニズムの出現リスクが高いこと、一方でクエチアピンは神経学的有害事象が少ない抗精神病薬であることが明らかにされた。スペインのマドリード・コンプルテンセ大学のMargarita Garcia-Amador氏らが、平均年齢14.4歳の265例について調べ報告した。また、遅発性ジスキネジアリスク増について、低年齢、精神疾患、治療が予測因子であることも報告した。結果を踏まえて著者らは、「抗精神病薬は、未治療および未治療に類する小児集団の神経学的有害事象を増加する。慎重にモニタリングする必要がある」と述べている。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年12月号の掲載報告。 研究グループは、未治療(および未治療に類する)小児および未成年者を対象とした抗精神病薬治療の1年間の多施設共同観察研究を行い、抗精神病薬の神経学的有害事象への影響について、人口統計学的、臨床的、治療的要因を評価した。最も使用されている3種の抗精神病薬を投与した被験者サブサンプルと、抗精神病薬未治の被験者サブサンプルを用いて2つのサブ解析を実施した。総ジスキネジアスコア(DyskinesiaS)、総パーキンソンスコア(ParkinsonS)、総UKU-認知機能スコアを算出して評価。また、ロジスティック回帰法で、Schooler-Kaine基準判定後に定義された遅発性ジスキネジアのリスク因子を分析した。 主な結果は以下のとおり。・登録された被験者は、DSN-4のさまざまな第1軸疾患患者265例(平均年齢14.4[SD:2.9]歳)であった。・観察期間1年において、DyskinesiaS(p<0.001)およびParkinsonS(p<0.001)の増加を認めた。・リスペリドンはクエチアピンに比べ、DyskinesiaSの増加と関連していた(p<0.001)。・クエチアピンと比べて、リスペリドン(p<0.001)、オランザピン(p=0.02)のParkinsonS増加が有意に高かった。・総UKU認識スコアは、観察期間中に低下した。・抗精神病薬未治療患者の解析においても、有意な結果が得られた。・観察期間中に15例(5.8%)がSchooler-Kane基準を満たす遅発性ジスキネジアDを呈した。・観察期間中の遅発性ジスキネジアと関連していたのは、低年齢、精神症状歴、高い累積曝露期間であった。関連医療ニュース 小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症では認知症リスクが増加

 統合失調症患者では認知症の相対リスクが著明に増加することが、デンマーク・オーフス大学のAnette Riisgaard Ribe氏らによる、デンマークの全国登録を用いた大規模コホート研究の結果、示された。そのリスク増加は、既知の認知症危険因子とは独立しており、とくに65歳未満の統合失調症患者で認知症リスクが高かったという。統合失調症は、加齢に伴う疾患や認知障害と関連しているが、統合失調症がない場合と比べて認知症になるリスクが高いかどうかは不明であった。JAMA Psychiatry誌2015年11月1日号の掲載報告。 研究グループは、年齢と既知の認知症危険因子を考慮したうえで、統合失調症患者の認知症リスクを、統合失調症のない人(非統合失調症者)と比較する検討を行った。デンマークの6つの全国登録から50歳以上280万人のデータを用い、1995年1月1日~2013年1月1日まで18年間追跡した。2万683人が統合失調症患者であった。解析は2015年1月1日~4月30日に行われ、非統合失調症者と比較した統合失調症患者の認知症罹患率比(IRR)と認知症累積発症割合(CIP)を主要評価項目とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中13万6,012例が認知症を発症した。このうち、統合失調症患者は944例であった。・統合失調症患者では、あらゆる原因による認知症のリスクが年齢、性別、発症時期で調整後も2倍以上に上った(IRR:2.13、95%信頼区間[CI]:2.00~2.27)。・そのリスクは、心血管疾患や糖尿病などの内科的併存疾患で調整した場合でも、ほとんど変わらなかった(IRR:2.01、95%CI:1.89~2.15)。しかし、薬物乱用で調整した場合はわずかに減少した(IRR:1.71、95%CI:1.60~1.82)。・統合失調症と認知症リスクとの関連は、患者背景や併存疾患の有無によるサブグループ解析でも同様に認められ、特に65歳未満(IRR:3.77、95%CI:3.29~4.33)、男性(IRR:2.38、95%CI:2.13~2.66)、パートナーと同居(IRR:3.16、95%CI:2.71~3.69)、脳血管疾患なし(IRR:2.23、95%CI:2.08~2.39)、および薬物等乱用なし(IRR:1.96、95%CI:1.82~2.11)でIRRが高かった。・65歳までに認知症を発症するCIP(95%CI)は、統合失調症患者で1.8%(1.5~2.2%)、非統合失調症者で0.6%(0.6~0.7%)、80歳までに認知症を発症するCIPはそれぞれ7.4%(6.8~8.1%)および5.8%(5.8~5.9%)であった。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は  担当者へのご意見箱はこちら

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重度うつ病、抗うつ効果の即効性を上げる方法

 経口抗うつ薬は数週間後に効果が現れるのに対し、ケタミン単回静脈内投与(静注)は効果の持続期間は限られているものの迅速な抗うつ効果を発揮する。中国・首都医科大学のY.D.Hu氏らは、4週間の無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行い、エスシタロプラム+ケタミン単回静注増強療法が重度の大うつ病性障害(MDD)に対して有効かつ安全であることを明らかにした。著者は、「エスシタロプラム+ケタミン単回静注増強療法は、経口抗うつ薬治療の効果発現を早める可能性がある」とまとめている。Psychological Medicine誌オンライン版2015年10月19日号の掲載報告。 研究グループは、ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD-17)スコア24点以上の重度MDD外来患者30例を、エスシタロプラム(10mg/日)+ケタミン単回静注(0.5mg/kg、40分で静注)群(ケタミン増強療法群)、またはエスシタロプラム(10mg/日)+プラセボ(0.9%生理食塩水静注)群(プラセボ群)に無作為に割り付け、4週間投与した。 投与前、投与1、2、4、24および72時間後、1週、2週、3週および4週後に、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)および自己記入式簡易抑うつ症状尺度(QIDS-SR)を用いうつ症状を、QIDS-SRの項目12で自殺企図を評価した。また、簡易精神症状評価尺度(BPRS)の陽性症状、ヤング躁病評価尺度(YMRS)およびClinician Administered Dissociative States Scale(CADSS)を用い有害な精神病症状を評価した。主要評価項目は、効果発現までの期間(MADRSスコアの50%以上減少)である。 主な結果は以下のとおり。・ケタミン増強療法群ではプラセボ群に比べ、効果発現までの期間(ハザード比[HR]:0.04、95%信頼区間[CI]:0.01~0.22、p<0.001)および寛解までの期間(HR:0.11、95%CI:0.02~0.63、p=0.01)が有意に短く、4週後の反応率(92.3% vs.57.1%、p=0.04)および寛解率(76.9% vs.14.3%、p=0.001)も有意に高かった。・ケタミン増強療法群ではプラセボ群と比較して、MADRSスコア(投与2時間後~2週後)、QIDS-SRスコア(投与2時間後~2週後)、QIDS-SR自殺企図スコア(投与2時間後~72時間後)もそれぞれ有意に低下した。・ケタミン増強療法群において、投与1時間後および2時間後のYMRS得点のみ有意に増加したが、BPRSおよびCADSSの有意な増加はみられなかった。関連医療ニュース 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か ケタミンは難治性うつ病に使えるのか 治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較  担当者へのご意見箱はこちら

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