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統合失調症における不眠症の治療選択

 不眠症は、統合失調症に共通する特徴である。いくつかの研究において、統合失調症患者の睡眠に対する特定の薬剤の影響について報告されているが、実臨床における不眠症治療に関して十分に根拠のある推奨はない。ポルトガル・コインブラ大学のPedro Oliveira氏らは、統合失調症患者の不眠症に対する有効な治療法の経験的エビデンスを特定し、その安全性および有効性の評価を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2018年7月30日号の報告。 統合失調症患者における不眠症の治療効果を調査するため、臨床試験のシステマティックレビューを実施した。データは、MEDLINE、PubMed、Embase、PsycINFO、Cochrane Libraryより検索を行った。個々の研究において、選択バイアス、実行バイアス、検出バイアス、症例減少バイアス、報告バイアスに関するバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は4件であった。・その内訳は、メラトニン治療2件、パリペリドン治療1件、エスゾピクロン治療1件であった。・すべてのポジティブな結果は、以下のとおりであった。●メラトニンは、睡眠効率および総睡眠持続時間を増加させた●パリペリドンは、入眠潜時を短縮させ、総睡眠時間および睡眠効率を増加させた●エスゾピクロンは、不眠症の重症度を低下させた 著者らは「統合失調症患者の不眠症に対し、メラトニン、パリペリドン、エスゾピクロンによる治療は有効な選択肢であると考えられる」としている。■関連記事統合失調症への睡眠薬使用に関するメタ解析:藤田保健衛生大統合失調症患者の睡眠状態を検証抗精神病薬誘発性傾眠、薬剤間の違いは

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認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

 認知症における抗コリン薬負荷は、認知機能障害および認知機能低下と関連している。しかし、これまでの研究では、脳卒中などの重大な有害アウトカムに対する抗コリン薬の影響については検討されていなかった。スウェーデン・ストックホルム大学のEdwin C. K. Tan氏らは、各認知症サブタイプにおける抗コリン薬の認知負荷(ACB:anticholinergic cognitive burden)と脳卒中や死亡リスクとの関連について調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2018年7月21日号の報告。 2008~14年のスウェーデン認知症レジストリ(Swedish Dementia Registry :SveDem)から抽出した、脳卒中の既往歴のない認知症者3万9,107例を対象としたコホート研究として実施した。スウェーデン処方薬レジストリ(Swedish Prescribed Drug Register)、スウェーデン国民患者レジストリ(Swedish National Patient Register)、スウェーデン総人口レジストリ(Swedish Total Population Register)よりデータを抽出した。時間依存的ACBスコアと脳卒中および全死因死亡のリスクに関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、競合リスク回帰モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均フォローアップ期間2.31年(標準偏差:1.66)の間に、脳卒中または死亡した患者は、1万1,224例(28.7%)であった。・抗コリン薬未使用者と比較し、ACBスコア1(HR:1.09、95%CI:1.04~1.14)およびACBスコア2以上(HR:1.20、95%CI:1.14~1.26)では、脳卒中および死亡の複合アウトカムの発症リスクが増加した。・各認知症タイプで層別化すると、アルツハイマー型認知症、混合型認知症、血管性認知症において、その関連は有意なままであった。 著者らは「認知症における抗コリン薬の使用は、脳卒中および死亡リスクを増加させる可能性がある。これには、用量反応関係が認められた。認知症者に抗コリン薬を処方する際には、慎重に検討する必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状注意が必要、高齢者への抗コリン作用長期抗コリン薬使用、認知症リスク増加が明らかに

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DELTAプログラムがせん妄の発生率を低下させていくつかの臨床的アウトカムを改善

 国立がん研究センター東病院の小川 朝生氏らは、せん妄の高リスク群のスクリーニングおよびその予防のためのシステマティック・マネジメント・プログラムである、多職種せん妄対応(DELirium Team Approach:DELTA)プログラムが、がん入院患者のケアの質を向上させるかについて検討を行った。Supportive Care in Cancer誌オンライン版2018年7月17日号の報告。DELTAプログラムは多忙な病棟においても日常的なケアとして実行可能 特別ながん治療を実施可能な日本の医療機関において、DELTAプログラム介入前の期間(2012年10月~2013年3月)と介入後の期間(2013年10月~2014年3月)を比較する、前後比較レトロスペクティブ研究を実施した。評価対象となった入院患者数は、介入前4,180例、介入後3,797例であった。 DELTAプログラムががん入院患者のケアの質を向上させるかを検討した主な結果は以下のとおり。・せん妄の発生率は、DELTAプログラム介入前の7.1%から介入後4.3%に低下した(OR:0.52、95%CI:0.42~0.64)。・転倒・転落や自己抜管を含む有害事象の発生率も、DELTAプログラム介入前後で3.5%から2.6%に低下した(OR:0.71、95%CI:0.54~0.92)。・ベンゾジアゼピン処方の減少(OR:0.79、95%CI:0.71~0.87)、退院時のADLレベルの上昇(OR:1.94、95%CI:1.11~3.38)、在院期間の短縮(リスク比:0.90、95%CI:0.90~0.90)において有意な差が認められた。 著者らは「せん妄のためのDELTAプログラムは、せん妄の発生率を低下させ、いくつかの臨床的アウトカムを改善した。シンプルかつ費用対効果の優れたDELTAプログラムは、多忙な病棟においても日常的なケアとして実行可能である」としている。■関連記事せん妄と関連する薬剤はせん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているかせん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大

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日本におけるクロザピン使用の安全性分析

 CNS薬理研究所の稲田 健氏らは、日本の統合失調症患者におけるクロザピン使用とそれに伴う副作用について調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2018年8月号の報告。 2009年7月~2016年1月に、クロザリル患者モニタリングサービスに登録されたデータを分析した。クロザリル患者モニタリングサービスは、2009年に日本に導入され、クロザピンの処方を受けたすべての日本人患者を登録している。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、3,780例であった。・治療中止率は、23.9%(869例)であった。・平均投与期間は234.9±306.9日(中央値:115日)、平均投与量は186.41±151.6mg/日であった。・治療継続率は、1年後で78.2%、2年後で72.9%であった。・好中球減少症/白血球減少症の発生率は、5.4%(206例)であった。・投与中止前の平均投与量は、233.36±168.15mg(中央値:200mg、範囲:4~600mg)であった。・耐糖能異常の発生率は、15.4%(583例)であった。・耐糖能異常が発生した患者は、クロザピン投与前後で98例(2.67%)、クロザピン投与後で485例(12.8%)であった。・投与開始から耐糖能異常が発生するまでの平均期間は、382.2±420.2日(中央値:216日、範囲:4~2,053日)であった。 著者らは「本研究で得られたデータ(とくにクロザピン誘発性の有害事象の発生データ)は、日本人の治療抵抗性統合失調症患者における、最適かつ安全なクロザピン使用を可能とするだろう」としている。■関連記事治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのかクロザピン関連遅発性ジスキネジアへの低用量アリピプラゾールクロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院

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日本人統合失調症患者に対するオランザピン使用と安静時心拍数への影響

 抗精神病薬(ATP)が頻脈を引き起こすことは、ずいぶん前から知られていたが、ATPの違いによってどのような変化が生じるかなどの詳細は、よくわかっていない。近年、一般集団において、安静時心拍数(RHR)の上昇と死亡リスクの増加との関連が注目されている。新潟大学の田尻 美寿々氏らは、オランザピン(OLZ)とアリピプラゾール(ARP)がRHRに与える作用の違いについて調査を行った。PLOS ONE誌2018年7月17日号の報告。 研究1では、統合失調症外来患者19例を対象に、OLZからARPへの切り替え時のRHRの変化を評価した。研究2では、統合失調症外来患者29例を対象に、OLZ開始用量からOLZ最終用量時のRHRの変化を評価した。RHRの分析には、心電図測定値を用いた。また同日に、BPRS(簡易精神症状評価尺度)を評価し、電解質検査を行うために、1晩絶食(8時間以上)後の空腹時血液サンプルを採取した。両研究は、新潟大学倫理審査委員会の承認を得て実施され、新潟大学医歯学総合病院の精神科外来で治療が行われた。すべての患者は、DSM-IV-TRに基づき統合失調症と診断された。 主な結果は以下のとおり。・研究1では、OLZ用量(平均±SD)14.6±9.2mgからARP用量20.8±8.1mgへ切り替えられた。・ARPに切り替え後、平均RHRの有意な減少が認められた(73.7±9.7回/分 vs.65.8±10.9回/分、p=0.008)。・研究2では、OLZ開始用量(平均±SD)7.2±3.2mgであり、最終的に用量は18.3±7.4mg増加した。・OLZ増量後、平均RHRの有意な上昇が認められた(69.7±14.0回/分 vs.75.6±14.3回/分、p=0.004)。 著者らは「OLZはARPと比較し、RHR増強作用がより強く、その作用は用量依存的であることが示唆された。RHRの上昇が統合失調症患者の死亡率を増加させるとするならば、強力な抗コリン作用を有する第2世代抗精神病薬やフェノチアジン系抗精神病薬のRHRに対する作用に関して、ATP間での差異をさらに調査する必要があるだろう」としている。■関連記事第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

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精神的危機に直面した人々へのセルフマネジメント介入は有効か/Lancet

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSonia Johnson氏らは、精神的危機(mental health crisis)に直面し、在宅での集中的治療を提供する精神的危機解決チームによるサポートを終えた人々について、ピアサポート専門員の助けを借りたセルフマネジメント介入が、急性期ケアの再入院率を低下するかを検証した。精神保健サービスにとって、回復サポートに焦点を合わせ、急性期治療へ高度専門治療を提供することは課題の1つとなっている。精神的危機に直面した人々の再発は一般的となっており、そのような再発予防に対して、セルフマネジメントの介入効果を支持するエビデンスはあるが、危機を脱した人の再入院に関する効果は検証されていなかった。Lancet誌2018年8月4日号掲載の報告。ピアサポート専門員の支援有無で無作為化、1年以内の再入院率を評価 研究グループは、英国の6つの精神的危機解決チームから参加者を募り、無作為化優越性試験で検討した。適格参加者は、精神的危機解決チームにより1週間以上対象者として登録されており、インフォームド・コンセントに応じられる人とした。 参加者は、非マスキングのデータ管理者によって介入群または対照群に無作為に割り付けられた。被験者のデータ収集・解析者は割り付けをマスキングされたが、被験者は承知していた。 介入群には、ピアサポート専門員のサポートの下で受ける計10回(毎回1時間)のセッションが提供された。そこでは、ピアサポート専門員による、ワークブックを用いたパーソナル・リカバリー(パーソナル・リカバリーの目標設定や、危機後のコミュニティ機能やサポートネットワークを再構築するプラン作成など)を完了するサポートが行われた。一方、対照群には郵送でパーソナル・リカバリー・ワークブックが提供された。 主要評価項目は、1年以内の急性期ケア(急性期入院病棟、危機解決チーム、クライシスハウス、急性期デイケアサービスなど)への再入院率であった。副次評価項目は、再入院の日数および初回再発までの期間で、4ヵ月時点と18ヵ月時点で評価した。1年以内の再入院率、介入群が有意に低下 3,288例について適格性の評価が行われ、441例が介入群(221例)または対照群(220例)に無作為化された。被験者は両群ともに女性が60%で平均年齢は40歳、英国生まれ(各群80%、75%)の白人(両群ともに65%)が大勢を占め、独身者は介入群63%、対照群67%であった。臨床的診断歴は、その他/明確な診断記録なし(30%、27%)を除くと、うつ病が最も多く(23%、25%)、次いで統合失調症/統合失調感情障害(13%、15%)、双極性障害(13%、12%)。精神科入院歴は、なしが最も多く(35%、40%)、1年が24%、19%、2~5年が24%、27%などであった。精神的危機解決チームから受けたサポート期間は、1週間が最も多かった(各群50%、47%)。 本試験では、441例のうち40例はパイロット試験で登録され(2013年5月14日~11月12日)、残り401例は2014年3月12日~2015年7月3日に登録された。最終評価(18ヵ月時点の評価)は2017年2月23日に行われた。 主要アウトカムデータは、介入群218例、対照群216例から得られた。 1年以内の再入院率は、対照群(83/216例[38%])と比べて介入群(64/218例[29%])で有意に低かった(オッズ比:0.66、95%信頼区間[CI]:0.43~0.99、p=0.0438)。また、介入群は対照群と比べて再入院までの期間が有意に延長したが、再入院日数について有意差はみられず、記述的分析では介入群平均8.6日vs.対照群平均2.9日と、予想に反した結果が示された。 確認された重篤有害事象は71例(介入群29例、対照群42例)。うち55例が再入院で、11例は自殺企図、1例は殺人未遂で起訴、4例は死亡(全例対照群)であった。 著者は、「予想より入院率が低く信頼区間値がかなり広範だったが、ピアサポート専門員提供によるセルフマネジメントは、再入院率を減らすことが示された」とまとめる一方、「試験介入の複雑さが結論を限定的にしているが、この介入をルーチン設定に適用することで再入院が減るかどうかという評価は間違っていない」と述べている。

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日本人アルツハイマー病患者に対する長期ドネペジル投与の病態変化と安全性

 アルツハイマー病(AD)患者における、ドネペジル塩酸塩の長期かつ大規模な研究(J-GOLD試験)が実施された。順天堂大学の新井 平伊氏らによる本研究では、これまで2つの中間報告が行われていたが、研究結果の分析が完了し最終報告が行われた。Psychogeriatrics誌オンライン版2018年7月11日号の報告。 本研究では、新規AD治療患者(新たにAD治療を受けた患者)およびAD治療継続患者(試験開始時にADの薬物治療を受けていた患者)を対象としていた。観察期間は、48ヵ月。薬物治療に伴う認知機能の変化および認知症の重症度と、その安全性について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインと比較した認知機能の有意な減少は、新規AD治療患者では24ヵ月後、AD治療継続患者では6ヵ月後に認められた。・ベースラインと比較し、認知症の重症度が改善または維持された患者の割合は、新規AD治療患者では48ヵ月で59.27%、AD治療継続患者では48ヵ月で57.09%であった。・ドネペジル塩酸塩に安全上の大きな問題は認められなかった。■関連記事抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究高用量のドネペジル徐放性製剤、日本人に対する評価は高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか

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リジン尿性蛋白不耐症〔LPI:lysinuric protein intolerance〕

1 疾患概要■ 定義二塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、オルニチン)の輸送蛋白の1つである y+LAT-1(y+L amino acid transporter-1)の機能異常によって、これらのアミノ酸の小腸での吸収障害、腎での再吸収障害を生じるために、アミノ酸バランスの破綻から、高アンモニア血症をはじめとした多彩な症状を来す疾患である。本疾患は常染色体劣性遺伝を呈し、責任遺伝子SLC7A7の病因変異が認められる。現在は指定難病となっている。■ 疫学わが国での患者数は30~40人と推定されている。■ 病因y+LAT-1 は主に腎、小腸などの上皮細胞基底膜側に存在する(図)。12の膜貫通領域をもった蛋白構造をとり、分子量は約40kDaである。調節ユニットである 4F2hc(the heavy chain of the cell-surface antigen 4F2)とジスルフィド結合を介してヘテロダイマーを形成することで、機能発現する。本蛋白の異常により二塩基性アミノ酸の吸収障害、腎尿細管上皮での再吸収障害を来す結果、これらの体内プールの減少、アミノ酸バランスの破綻を招き、諸症状を来す。所見の1つである高アンモニア血症は、尿素回路基質であるアルギニンとオルニチンの欠乏に基づくと推定されるが、詳細は不明である。また、SLC7A7 mRNAは全身の諸臓器(白血球、肺、肝、脾など)でも発現が確認されており、本疾患の多彩な症状は各々の膜輸送障害に基づく。上述の病態に加え、細胞内から細胞外への輸送障害に起因する細胞内アルギニンの増加、一酸化窒素(NO)産生の過剰なども関与していることが推定されている。画像を拡大する■ 症状離乳期以降、低身長(四肢・体幹均衡型)、低体重が認められるようになる。肝腫大も受診の契機となる。蛋白過剰摂取後には約半数で高アンモニア血症による神経症状を呈する。加えて飢餓、感染、ストレスなども高アンモニア血症の誘因となる。多くの症例においては1歳前後から、牛乳、肉、魚、卵などの高蛋白食品を摂取すると嘔気・嘔吐、腹痛、めまい、下痢などを呈するため、自然にこれらの食品を嫌うようになる。この「蛋白嫌い」は、本疾患の特徴の1つでもある。そのほか患者の2割に骨折の既往を、半数近くに骨粗鬆症を認める。さらにまばらな毛髪、皮膚や関節の過伸展がみられることもある。一方、本疾患では、約1/3の症例に何らかの血液免疫学的異常所見を有する。水痘の重症化、EBウイルスDNA持続高値、麻疹脳炎合併などのウイルス感染の重症化や感染防御能の低下が報告されている。さらに血球貪食症候群、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎、関節リウマチ)合併の報告がある。成人期以降には肺合併症として、間質性肺炎、肺胞蛋白症などが増える傾向にある。無症状でも画像上の肺の線維化がたびたび認められる。また、腎尿細管病変や糸球体腎炎も比較的多い。循環器症状は少ないが、運動負荷後の心筋虚血性変化や脳梗塞を来した症例もあり、注意が必要である。■ 分類本疾患の臨床症状と重症度は多彩である。一般には出生時には症状を認めず、蛋白摂取量が増える離乳期以後に症状を認める例が多い。1)発症前型同胞が診断されたことを契機に、診断に至る例がある。この場合も軽度の低身長などを認めることが多い。2)急性発症型小児期の発症形態としては、高アンモニア血症に伴う意識障害や痙攣、嘔吐、精神運動発達遅滞などが多い。しかし、一部では間質性肺炎、易感染、血球貪食症候群、自己免疫疾患、血球減少などが初発症状となる例もある。3)慢性進行型軽症例は成人まで気付かれず、てんかんなどの神経疾患の精査から診断されることがある。■ 予後早期診断例が増え、精神運動発達遅延を呈する割合は減少傾向にある。しかし、肺合併症や腎病変は、アミノ酸補充にもかかわらず進行を抑えられないため、生命予後に大きく影響する。水痘や一般的な細菌感染は、腎臓・肺病変の重症化を招きうる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)高アンモニア血症を来す尿素サイクル異常症の各疾患の鑑別のため血中・尿中アミノ酸分析を提出する。加えてLDHやフェリチンが上昇していれば本疾患の可能性が高まる。確定診断には遺伝子解析を検討する。■ 一般血液検査所見1)血清LDH上昇:600~1,000IU/L程度が多い。2)血清フェリチン上昇:程度は症例によって異なる。3)高アンモニア血症:血中アンモニア高値の既往はほとんどの例でみられる。最高値は180~240μmol/L(300~400μg/dL)の範囲であることが多いが、時に600μmol/L (1,000μg/dL)程度まで上昇する例もある。また、食後に採血することで蛋白摂取後の一過性高アンモニア血症が判明し、診断に至ることがある。4)末梢白血球減少・血小板減少・貧血上記検査所見のほか、AST/ALTの軽度上昇(AST>ALT)、TG/TC上昇、貧血、甲状腺結合蛋白(TBG)増加、IgGサブクラスの異常、白血球貪食能や殺菌能の低下、NK細胞活性低下、補体低下、CD4/CD8比の低下などがみられることがある。■ 血中・尿中アミノ酸分析1)血中二塩基性アミノ酸値(リジン、アルギニン、オルニチン)正常下限の1/3程度から正常域まで分布する。また、二次的変化として、血中グルタミン、アラニン、グリシン、セリン、プロリンなどの上昇を認めることがある。2)尿の二塩基性アミノ酸濃度は通常増加(リジンは多量、アルギニン、オルニチンは中等度、シスチンは軽度)なかでもリジンの増加はほぼ全例にみられる。まれに(血中リジン量が極端に低い場合など)、これらのアミノ酸の腎クリアランスの計算が必要となる場合がある。(参考所見)尿中有機酸分析における尿中オロト酸測定:高アンモニア血症に付随して尿中オロト酸の増加を認める。■ 診断の根拠となる特殊検査1)遺伝子解析SLC7A7(y+LAT-1をコードする遺伝子)に病因変異を認める。遺伝子変異は今まで50種以上の報告がある。ただし本疾患の5%程度では遺伝子変異が同定されていない。■ 鑑別診断初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。1)尿素サイクル異常症の各疾患2)ライソゾーム病3)周期性嘔吐症、食物アレルギー、慢性腹痛、吸収不良症候群などの消化器疾患 4)てんかん、精神運動発達遅滞5)免疫不全症、血球貪食症候群、間質性肺炎初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。<診断に関して留意する点>低栄養状態では血中アミノ酸値が全体に低値となり、尿中排泄も低下していることがある。また、新生児や未熟児では尿のアミノ酸排泄が多く、新生児尿中アミノ酸の評価においては注意が必要である。逆にアミノ酸製剤投与下、ファンコーニ症候群などでは尿アミノ酸排泄過多を呈するので慎重に評価する。3 急性発作で発症した場合の診療高アンモニア血症の急性期で種々の臨床症状を認める場合は、速やかに窒素負荷となる蛋白を一旦除去するとともに、中心静脈栄養などにより十分なカロリーを補充することで蛋白異化の抑制を図る。さらに薬物療法として、L-アルギニン(商品名:アルギU)、フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウムなどが投与される。ほとんどの場合は、前述の薬物療法によって血中アンモニア値の低下が得られるが、無効な場合は持続的血液透析(CHD)の導入を図る。■ 慢性期の管理1)食事療法十分なカロリー摂取と蛋白制限が主体となる。小児では摂取蛋白0.8~1.5g/kg/日、成人では0.5~0.8g/kg/日が推奨される。一方、カロリーおよびCa、Fe、ZnやビタミンDなどは不足しやすく、特殊ミルクである蛋白除去粉乳(S-23)の併用も考慮する。2)薬物療法(1)L-シトルリン(日本では医薬品として認可されていない)中性アミノ酸であるため吸収障害はなく、肝でアルギニン、オルニチンに変換されるため、本疾患に有効である。投与により血中アンモニア値の低下や嘔気減少、食事摂取量の増加、活動性の増加、肝腫大の軽減などが認められている。(2)L-アルギニン(同:アルギU)有効だが、吸収障害のため効果が限られ、また浸透圧性下痢を来しうるため注意して使用する。なおL-アルギニンは、急性期の高アンモニア血症の治療としては有効であるが、本症における細胞内でのアルギニンの増加、NO産生過剰の観点からは、議論の余地があると思われる。(3)L-カルニチン2次性の低カルニチン血症を来している場合に併用する。(4)フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウム血中アンモニア値が不安定な例ではこれらの定期内服を検討する。その他対症療法として、免疫能改善のためのγグロブリン投与、肺・腎合併症に対するステロイド投与、骨粗鬆症へのビタミンD製剤やビスホスホネート薬の投与、成長ホルモン分泌不全性低身長への成長ホルモンの投与、重炭酸ナトリウム、抗痙攣薬、レボチロキシン(同:チラーヂンS)の投与などが試みられている。4 今後の展望小児期の発達予後に関する最重要課題は、高アンモニア血症をいかに防ぐかである。近年では、早期診断例が徐々に増えることによって正常発達例も増えてきた。その一方で、早期から食事・薬物療法を継続したとしても、成人期の肺・腎合併症は予防しきれていない。その病因として、尿素サイクルに起因する病態のみならず、各組織におけるアミノ酸の輸送障害やNO代謝の変化が想定されており、これらの病態解明と治療の開発が望まれる。5 主たる診療科小児科、神経内科。症状により精神科、腎臓内科、泌尿器科、呼吸器内科への受診も適宜行われている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター リジン尿性蛋白不耐症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Sperandeo MP, et al. Hum Mutat. 2008;29:14-21.2)Torrents D, et al. Nat Genet. 1999;21:293-296.3)高橋勉. 厚労省研究班「リジン尿性蛋白不耐症における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究」厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 平成22年度総括分担研究報告書;2011.p.1-27.4)Charles Scriver, et al(editor). The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York City:McGraw-Hill;2001:pp.4933-4956.5)Sebastio G, et al. Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2011;157:54-62.公開履歴初回2018年8月14日

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東京医大入試減点問題、若いほど理解できる? 男女の医師1,000人に聞きました

東京医科大学の入学試験で、女性の受験者への一律減点が行われていたことが明らかになった。この問題を受け、文科省は全国に81ある医学部医学科を対象に、入試の公正性に関する緊急調査を開始している。現場で働く医師たちにとって、この問題はありえないことなのか、理解できることなのか。ケアネットはCareNet.com会員である男性医師504人、女性医師501人の計1,005人にその実情と意見を聞いた。結果概要男性で67.9%、女性で69.5%が女性の減点問題に一定の理解入試での女性減点問題に「理解できる」と答えた医師は、男性14.9%、女性13.8%と若干男性医師に多い傾向がみられたが、「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、男性67.9%、女性69.5%と女性のほうが多い傾向となり、減点される側の立場である女性医師も、この問題に一定の理解を示していることがうかがえる。その理由としては、「実際に常勤医で戦力として残っている女医は少ないから(麻酔科・40代女性)」、「男性に向いている科は確かに存在するし、力が必要な時もあるから。制限をつけないでとると、女性だらけになってしまう(小児科・20代女性)」、「女医が増えたら、眼科・皮膚科だらけになる。今でも医師の偏在が問題になっているのに、もっと困ることになる(内科・40代女性)」などの声が上がっている。また、「医局で働いている途中で、とくに若手で妊娠してしまうと、当直やオンコールはじめ周囲へのしわ寄せが大きくなってしまうので、罪悪感からとてもこのような状況では妊娠できないと感じていた(内科・30代女性)」、「子持ち女医ですが、夜も休日も働けず、迷惑をかけています。男性は子持ちでもそれがない。周りの多くの女医は、クリニックや健診など、楽で給料のよいところに行ってしまい、人の足りない総合病院には残らない。やはり男性が必要でしょう(産婦人科・40代女性)」など、出産・育児と医師として求められる仕事の両立に、難しさや周囲への罪悪感を感じていることがうかがえた。男性側も、「子供ができたのちキャリアダウンしようとする女医の数は少なくないので、仕方がない(循環器内科・30代男性)」、「現実問題として現在の医療現場の忙しさからいえば、女性医師が増えると回らなくなるのは正直なところ(皮膚科・20代男性)」などの声がある一方で、「父親も育児参加が求められる中で、女性医師ばかりが当直免除などの恩恵を受けるのは仕方ないと思う反面、腑に落ちない面も残る(精神科・30代男性)」、「男女平等は強調されるが、男女公平が議論されない。男性医師が育児休暇を公平にとれる体制や理解が、現状の医療体制で整うとは思えない(神経内科・30代男性)」など、出産・育児による休暇取得や当直免除などが、男性ではより実現しにくい現状も垣間見えた。画像を拡大する男女ともに年代が低いほど理解を示す傾向年代別に回答を見てみると、「理解できる」と答えた医師は、男女ともに年齢が上がるにつれ減少。「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、50代の男女で最も少なく、「理解できない」と答えた医師の割合が高かった(男性:39.9%、女性:42.2%)。画像を拡大する診療科別では、外科(42.9%)、泌尿器科(38.5%)、精神科(38.2%)、小児科(36.5%)、脳神経外科(36.2%)の順に「理解できない」という回答が多かった。画像を拡大する男性で38.5%、女性で28.3%が入試での女性比率の制限は「必要」と回答入試での女性比率の制限については、男性の38.5%が「必要」と答え、「不要」と答えた人(34.9%)を上回った。「必要」と答えた人の理由としては、「差別ではなく区別は必要。定員として男子・女子各何人と明確にすればよいと思う(皮膚科・40代男性)」、「こっそり減点は駄目だと思うが、制限するとあらかじめオープンにして試験をすればよい(眼科・50代男性)」などの声がきかれた。また、「年代別に男性、女性が医師として働いている割合、どのような形態(常勤/非常勤、終日/パート、当直の有無、回数、勤務場所など)で勤務しているか調べてみればよい(整形外科・60代男性)」、「データに基づいて比率を決定すべき(眼科・30代男性)」といった意見や、「男女平等を言うならすべて同じにしないといけない。女性医師は出産・育児で優遇される。その分のしわ寄せは男性医師にくる。最初から比率を決めて入試すればすむ(外科・40代男性)」といった意見もみられた。女性では、「不要」と答えた人(37.9%)が最も多く、「どちらともいえない」と答えた人(33.7%)も多かった。「不要」と答えた人の理由としては、「診療科による偏りの是正は必要だが、それを男女の制限に落とし込むことは論点が違い差別である(神経内科・20代女性)」、「入試時の性別ではなく、医師になってからの科ごとの人数・男女制限が必要だと思う(精神科・30代女性)」、「入試における操作で医師の男女比を調整するのではなく、医師の労働環境そのものを改善する必要がある(神経内科・30代女性)」など、性差のみで判断することへの懸念の声が上がっていた。画像を拡大する20~40代の男性医師が最も「比率制限が必要」と感じている?年代別では、39歳以下および40代の男性医師で、それぞれ4割以上が入試による女性比率の制限が「必要」と回答。60歳以上で唯一、「必要」と答えた割合が女性で上回ったが(男性:32.9%、女性36.7%)、その他の年代ではそれぞれ10%ほど、女性よりも男性で「必要」と答える人が多かった。画像を拡大する診療科別では、産婦人科(40.6%)、泌尿器科(38.5%)、循環器内科(38.5%)などで「必要」と答えた割合が高く、外科(14.3%)、精神科(25.0%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(26.9%)などで低かった。画像を拡大する設問詳細Q1.医学部入試での女子減点問題、先生はどう思いますか?理解できる不公平ではあるが、ある程度理解できる理解できないQ2.入試における女性比率の制限は必要だと思いますか?必要不要どちらともいえないQ3.Q1、Q2について、その理由やご意見をお寄せください。アンケート概要内容緊急アンケート!東京医大女子減点問題、先生はどう思いますか?実施日2018年8月9~10日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師1,005名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)実情について妊娠出産、育児があるとこの仕事は無理だと思う。子供を産むと10年くらい求められる仕事はこなせない。調整されても仕方がない(救急科・30代女性)出産や育児でいきなり穴をあける・時短になるなどで、常勤として働いていても周りにしわ寄せがいっている。また周りの女医をみてもバイトだけの生活をしている割合が多く、女性医師が増えすぎると上に立ったり指導できる人がいなくなる(内科・30代女性)産後、当直している女性医師は限りなく少ない。また年代が上がると、男性医師も当直回数が減り、若手男性医師が多くを担っていると思われる。実際当直している女性はどれほどいるか知りたい(皮膚科・30代女性)外科系医師、ERの医師、当直医など、女性でしっかり勤められている先生もいるが、少数(眼科・40代女性)女性医師は男性医師の7割程度のマンパワーと感じる(呼吸器内科・40代女性)男女平等といっても体格差があり、長時間手術や激務に耐えうるのは男性であるため。専門医制度も変わり、きつい科は避けられる傾向にある(呼吸器内科・40代女性)人口の半分は女性。女性は女医を希望する方が多い。小児科や婦人科はなおさら。確かに力がいる整形外科などもあるが、周りで協力すればよい。直腸診など女性患者には男性医師は女性の立会いが必要ですよ(内科・40代女性)外科系に進む研修医が激減し、将来的に外科系医師がいなくなってしまうから理解はできます。しかしそれ以上に女性医師が働きやすいように外科の環境を急ピッチで変えるべきですし、環境だけでなく外科の上級医のマインドも変えないといけないと思います(精神科・40代女性)女性医師の多くが結婚や出産でリタイアし、復帰後も効率の良いアルバイトをしている現実をみると国費の無駄遣いと感じます。男女問わず実戦で活躍する覚悟が必要だと思います。覚悟を持って入学するべきで、そこに男女の差はありません(眼科・50代女性)男性医師、独身女医の負担が大き過ぎ。家庭を抱え努力している女医はいるが、「家庭があることを利用して嫌な仕事は受けない、しかし美味しい業務には参加する」女医が一定数いるのは確か。穴埋めに感謝の意を示してくれればまだしも、当然の権利と主張する女医がいかに多いことか! むしろ逆性差別、逆ハラスメントです(小児科・50代女性)結婚、妊娠、子育て等に伴う職場整備を進めない限り、一部の女性医師が十分に働けない状態は続く(小児科・50代女性)健診や一般外来など、負担が少なく給料のよいバイトがある現状では、産後にフルタイムで復帰する女医さんは増えないと思う。女医さんを支えるだけの十分なフルタイムの医師がいない。僻地医療が崩壊する(内科・30代男性)緊急、呼び出しがある診療科では、現状の市中病院の勤務体系では育児を両立することは難しいと思います。女性を優遇することで男性勤務医への時間外待機、突然の女性医師欠勤時の勤務負担は確実に増えますが、当番の交代を女性医師に依頼することができるわけではなく、暗黙のうちに相殺され不公平感を感じると思います(内科・30代男性)女性は男性よりも早く医局をやめる。先輩からするとせっかく育ってきたときにやめるため、また一からやり直ししないといけない(皮膚科・40代男性)実際の現場では、家庭を両立させながら救急、当直などきつい仕事を行うことは困難であり、その分の負担が男性医師にきている(呼吸器内科・40代男性)女性は結婚や出産により現場を離れる可能性が高く、そのまま戻って来ないことも往々にしてある。その女性が診ていた患者は、結局残された人間で診ることになり負担が増える。とくに忙しい外科系には男性のみで十分であると思うことがある(泌尿器科・40代男性)夜勤や夜間・休日のオンコールに対応している医師の割合を詳細に調べれば、現在の問題がわかると思います。結婚・出産が女医さんのキャリアを中断させてしまうのは事実であり、しかもその時期が医師として一番活躍できる時期と一致してしまう。日本は女性が家庭を守るといった感覚がそこかしこに残っているので、女医さんが家庭の事情でそうなることは仕方がなく、まだまだ男女平等と呼べる社会には遠いように思います。さらに全体として、夜勤を必要としない科を希望する若い医師が多いのも事実であり、女医さんの問題だけを解決してもしょうがないのかもしれません(麻酔科・40代男性)当直は常勤の人間が安い当直料で疲弊しながら働き、女医は高いバイト代をもらって楽な日勤をやっている。昼の楽な日勤を週3回すれば常勤並みのお金をもらえるので、常勤に戻らずバイトで稼ぐ女医がかなり多い(産婦人科・50代男性)現状の医療現場では、これ以上の女医の増加は他の男性医師の限りない負担増加へつながる。男女同権を貫くなら、欧米並みに勤務交代制や育児保育施設の整備を充足しなければ、絵空事である(皮膚科・60代男性)入試による女性比率の制限に対する意見について制限するなら、募集要項にちゃんと記載するべきだと思います。東京医大のやり方はアンフェアでまったく賛成できません(循環器内科・30代女性)それよりも卒業生の子弟を加点するほうがもっと問題だと思う(眼科・30代女性)面接での加点は致し方ないとしても(印象点という意味で)減点はさすがにひどいと思う。あと、現場には産後も、もっと働きたいのに働けない先生もたくさんいるので、もっと働きやすい環境になってほしいと思う(麻酔科・30代女性)入試要項に女性制限が記載されていればよいと思う(耳鼻咽喉科・40代女性)国公立大学の場合は制限できないと思います(循環器内科・50代女性)入試で制限するより、女性がどうしたらやめないか、働きやすいかを考えるべき(小児科・30代男性)募集要項に明記すればいい(皮膚科・40代男性)入試制度だけで解決できる問題ではない。医師だけ女性制限を認めると、他の業種とのバランスがとれない(精神科・40代男性)性別や浪人回数で差別はいけない。努力して勉強しているのだから(内科・50代男性)入試に際して女性が上位を占めることは明らかである。女性が向かない体力を要する診療科があることを示したうえで、合格者に占める男女の人数を明示しておくのがよいと思う(腎臓内科・70代男性)解決策について女医でも働きやすい環境にすればよい。キツイ診療科は主治医複数制、産休育休当たり前にするとか、保育所増やすとか(麻酔科・30代女性)入試は公平に行い大学病院勤務の際に制限してはどうか。女性医師を受け入れると表明したほうが結果的には人手が増えると思うが…。国家試験である以上、入試での制限は認められないと思う(循環器内科・40代女性)女性医師のライフプランについては入学後に教育することも可能であるはず(麻酔科・40代女性)男性医師を増やしたい気持ちはよくわかるが、入試時点で差別するのは問題。医局入局もしくは病院就職の時点で選別すれば、普通の一般企業と同じだから問題ない(眼科・50代女性)現場の疲弊と性差別の問題は別で考えるべき。むしろ、女性が長く残れる環境作りがあらゆる問題の解決方法である、という共通認識を確立するいい機会(内科・50代女性)育児、介護問題を女性特有の問題と認識すること自体を改めるべきである。男性も含めて、個人的理由で短時間勤務をする必要が生じる可能性のあることを踏まえた人員配置が必要なのではないか(麻酔科・50代女性)医師全体の勤務状況を改善すればよい。男性勤務医でも当直後の連続勤務、時間外労働賃金がきちんと管理され支払われてないことが問題で、女性に限ったことではない(内科・60代女性)男性医師が現状を維持するのではなく、働き方について医療関係者、患者とその家族も意識を変えていく必要がある。女性が入れないような勤務体制自体を見直さなければ早晩医療崩壊するのは免れない。「仕方がない」「男性と同じように女性も働くべき」ではただの足の引っ張り合いでしかない(精神科・30代男性)一番しんどいのは夜間救急であり、それができるかできないかは医師という仕事を考えるうえで最も重要な議論であり、絶対に避けてはいけない(腎臓内科・30代男性)女子医大もあるので、医学部定員を男6~7、女3~4で分ける。もしくは男女関係なく卒後5~6年の内科、外科、救急など多忙な科の勤務義務化など(消化器内科・40代男性)女性医師がフルタイムで働かない比率が高いため、このようなことが起こる。出産育児早期は仕方ないがその後はしっかり働いてもらう制度、そのための保育所などの整備が必要(麻酔科・40代男性)女性が増えればアルバイト医のみが増え続け、3Kを担う医師は減り、実労働可能な医師不足が加速します。国民の医療に対する考えを根本的に変えないと、女性も働ける医療現場は増えません(内科・50代男性)そもそもフルタイムとはどのような働き方かを討論しないと結論は出ない(脳神経外科・50代男性)

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心房細動患者の認知症発症、降圧薬やワルファリンで2割減

 1万例以上の心房細動患者を対象とした研究で、サイアザイド/レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬併用などの降圧薬処方やワルファリン使用が、認知症発症率の低下と関連していたことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らが報告した。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年7月21日号に掲載。 対象は、スウェーデンのプライマリケアで心房細動と診断された45歳以上の患者1万2,096例(男性6,580例、女性5,516例)。心房細動発症前に認知症と診断されていた患者は除外した。性別、年齢、社会経済的要因および併存疾患を調整し、Cox回帰を用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均5.6年間の追跡期間(6万9,214人年)に750例(6.2%)が認知症を発症した。・サイアザイド処方患者(HR:0.81、95%CI:0.66~0.99)およびワルファリン処方患者(HR:0.78、95%CI:0.66~0.92)は、処方されていない患者に比べて認知症リスクが低かった。・異なる降圧薬(サイアザイド、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAAS阻害薬)の1~4種類の使用は、認知症の減少と関連していた。1剤または2剤の処方患者では、降圧薬を処方されていない患者に比べてHRが0.80(95%CI:0.64~1.00)、3剤または4剤の処方患者のHRは0.63(95%CI:0.46~0.84)であった。・RAAS阻害薬とサイアザイドの併用は、併用処方されていない患者に比べて有意に認知症リスクが低かった(HR:0.70、95%CI:0.53~0.92)。

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ゾルピデム処方と自動車事故リスク

 ゾルピデムは世界で最も使用頻度の高い睡眠薬の1つであるが、自動車事故などの深刻な問題を伴う可能性が報告されている。韓国・ソウル大学病院のBo Ram Yang氏らは、自動車事故の状況を考慮したうえで、ゾルピデムの処方と致死的な自動車事故との関連について評価を行った。CNS Drugs誌2018年6月号の報告。 韓国道路交通公団より得られた2010~14年の致死的な自動車事故に関するデータと健康保険データを結び付け、ケース・クロスオーバー研究を実施した。ケース期間は、致死的な自動車事故の前日と定義し、90日間隔で4つのコントロール期間をマッチさせた。条件付きロジスティック回帰分析を用いて、ゾルピデム処方に関連する致死的な自動車事故のオッズ比を算出し、オッズ比は、交絡薬物の経時的処方で調整を行った。年齢層(65歳未満または65歳以上)、チャールソン併存疾患指数(Charlson Comorbidity Index)、新規ゾルピデム処方について層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者714例において、前日のゾルピデム処方に関連する致死的な自動車事故の調整オッズ比は、1.48(95%CI:1.06~2.07)であった。・層別分析においてオッズ比が有意に増加したのは、チャールソン併存疾患指数が高い(オッズ比:1.81、95%CI:1.16~2.84)、65歳未満(オッズ比:1.62、95%CI:1.03~2.56)、新規ゾルピデム処方(オッズ比:2.37、95%CI:1.40~4.00)であった。 著者らは「本研究では、前日のゾルピデム処方は、致死的な自動車事故リスクの有意な増加と関連していた」としている。■関連記事睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうか車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は

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研究方法に疑問(解説:野間重孝氏)-898

 まず評者は精神疾患の専門家ではないので、うつ病そのものに関しての踏み込んだ議論はしないことをお断りして、この論文評を始めることをお許しいただきたい。 この問題を考える場合、2つの方向があることをまず考えておく必要がある。第1は、まずうつ病は冠動脈疾患(CAD)のリスクファクターであるのか否かという問題。そして、もしそうであったとしたなら、それは予後規定因子としてどのくらいの重みを持っているのか。第2は、急性冠症候群(ACS)の患者はどの程度の割合でうつ病を発症するのか。そして、うつ病を発症することが、その予後にどのような影響を与えるのかという問題の立て方である。つまり、両方向から問題が立てられるのである。ただ、ここで注意を促しておきたいのは、第1の問いが真であったとして、うつ病患者でCADに罹患したものを無作為に振り分けて、片方にうつ病の治療を続行し、もう片方にプラセボを投与するといった研究は倫理的に許されるものではなく、大規模な疫学研究の結果を待つか、結果として治療が行われたり行われなかったりしたretrospective studyのメタアナリシスを待つしかないということである。こういうところに臨床研究の限界がある。 うつ病とCADを巡る問題は、1990年代から議論が始まったが、議論は混乱するばかりでなかなか結論が得られなかった。最大の原因は一言で言えば、うつ病をどう定義するかの問題でなかなか一致点が見いだされなかったことである。確かに狭い意味ではDSM-IVにmajor depressive disorder(大うつ病と訳される)が定義されているが、抑うつ状態やいわゆる仮面うつ病まで含めて、うつ病をどの範囲でどう定義すべきかには議論が多く、現在でも一致をみていない。上記第2の問題にしても、ACSになれば将来のこと、家族のことを考えて誰しも抑うつ的になるだろう。それと持続的なうつ病とをどう区別するのか。また自分がACSを経験したことは、大抵の人には大きな心の傷となっているだろう。それをうつ状態と呼んでよいのか。問題は尽きない。 そうした混乱の中で疫学研究のまとめ、メタアナリシスにより一応の勧告に当たるものが出されたのが、2014年の米国心臓病学会によるstatementである。しかしその表現は“American Heart Association should elevate depression to the status of a risk factor for adverse medical outcome in patients with acute coronary syndrome”と、決して歯切れのよいものではなかった。実際、他の学会・団体は、まだはっきりとしたstatementを発表するには至っていない。この論文評を書くに当たって調べてみると、CADにうつ病を合併すると、心事故および致死的不整脈による死亡が3~4倍になるとの記載を見つけて、評者自身驚いている。つまり、まだ結論が出ていない問題なのだが、そういった極端な発言をする専門家(?)もいるのである。 そこでもう1つの問題として持ち上がるのが、それではACS後の抑うつ状態を含めたうつ病への治療はACSの予後改善をもたらすのか否かという観点からの問いである。この問題については、すでに二度にわたって比較的大きな臨床研究が行われており(van Melle JPら. 2007年、Glassman AHら. 2009年)、いずれにおいても有意な改善効果は認められなかった。今回は、韓国のJae-Min Kimらが中心となって、一連の研究の中でも有望視された選択的セロトニン再取り込み阻害薬エスシタロプラムを、ACS後の抑うつ状態にある患者に無作為に投与してこの効果を確かめたものである。結果、MACEの発生でp=0.03、個別イベントでは心筋梗塞の発生でp=0.04とわずかではあるが改善が認められたが、その他の項目(全死因死亡、心臓死、PCI)には差がみられなかったと報告された。 著者らは「さらなる研究で、今回の所見の一般普遍化について評価したい」と述べているが、評者にはその前に研究方法に問題があるように思えてならない。まず、著者らはMACE(彼らの使用法ではmajor adverse cardiac events)を全死因死亡、心筋梗塞、PCIとし、追加的評価項目に心臓死を挙げて定義しているが、それでよいのだろうか。主要心血管イベント(MACE:major adverse cardiovascular events)といえば、通常は血管死(中枢神経系外の出血死を除く心血管/脳血管起因)、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中(虚血性、出血性および不明な脳卒中)と定義される。今回の場合、心臓に問題を絞っているから脳卒中を問題にしないとするなら、全原因心臓死、非致死性心筋梗塞、狭心症の再発などとすべきで、全原因死亡やPCIは不適当ではなかったか。まず心臓以外の疾患での死亡が、なぜ問題にされなければならないのか。とくにうつ病を対象とした場合、自殺死なども含まれてしまうことも指摘しておきたい。さらにPCIを行うか否かは相当程度、主治医の恣意的な判断が加わるもので、こういった研究のエンドポイントとしては不適切である。研究方法そのものに問題がある以上、この研究をこれ以上続けられても、評価のしようがない。 議論のある分野に思い切って踏み込んだこと自体は評価したいが、その研究方法は評価できず、また、その結果もこの分野の議論に大きな一石を投じる内容ではないと言わざるを得ないと考えた。

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非常に高度なアルツハイマー病に対する抗認知症薬の有効性

 高度なアルツハイマー病(AD)において、抗認知症薬(ADD)の処方をいつまで行うべきかに関するエビデンスは、不十分である。韓国・釜山大学病院のYun Jeong Hong氏らは、ドネペジルまたはメマンチンが処方されている非常に高度なAD患者において、継続治療から得られるベネフィットについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2018年号の報告。 対象はミニメンタルステート検査(MMSE)スコア0~5またはFunctional Assessment Staging(FAST)スコア6以上のAD患者とし、ランダム化評価者盲検試験にて検討を行った。対象者65例を、ADD治療継続群(30例)またはADD治療中止群(35例)にランダムに割り付けた。使用中のドネペジルまたはメマンチンについては、ADD継続群は12週間継続、ADD中止群ではベースライン後に中止とした。有効性評価は、ベースライン時および12週後に実施した。主要有効性評価項目は、ベースラインから試験終了時までのBaylor Profound Mental State Examination(BPMSE)スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから試験終了時までのBPMSEの変化は、ADD治療継続群で0.4ポイント改善、ADD治療中止群で0.5ポイント低下がみられたが、同等性検定で同等性は示されなかった。・有害事象による試験中止は、ADD治療継続群(6.7%)よりもADD治療中止群(11.4%)において多く認められた。 著者らは「非常に高度なAD患者に対するドネペジルまたはメマンチンによる継続治療は、全体的な認知機能への影響に関して、治療中止よりも優れている可能性がある」としている。■関連記事高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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30~50代で非飲酒でも認知症リスク上昇/BMJ

 中年期に飲酒しなかった集団および中年期以降に過度な飲酒を続けた集団は、飲酒量が適度な場合に比べ認知症のリスクが高まることが、フランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らが行った「Whitehall II試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年8月1日号に掲載された。非飲酒と過度な飲酒は、いずれも認知機能に有害な影響を及ぼすとされるが、認知症の発症予防や遅延に関する現行のガイドラインには、エビデンスが頑健ではないため、過度の飲酒は含まれていないという。また、研究の多くは、老年期のアルコール摂取を検討しているため生涯の飲酒量を反映しない可能性があり、面接評価で認知機能を検討した研究では選択バイアスが働いている可能性があるため、結果の不一致が生じている。英国公務員のデータを用いたコホート研究 Whitehall II試験は、ロンドン市に事務所のある英国の公務員を対象とした前向きコホート研究であり、1985~88年に35~55歳の1万308例(男性:6,895例、女性:3,413例)が登録され、4~5年ごとに臨床的な調査が行われている(米国国立老化研究所[NIA]などの助成による)。 研究グループは、今回、認知症とアルコール摂取の関連を評価し、この関連への心血管代謝疾患(脳卒中、冠動脈心疾患、心房細動、心不全、糖尿病)の影響を検討した。 アルコール摂取量は、1985~88年、1989~90年、1991~93年(中年期)の3回の調査の平均値とし、非飲酒、1~14単位/週(適度な飲酒)、14単位超/週(過度な飲酒)に分類した。中年期のアルコール摂取を評価した集団の平均年齢は50.3歳だった。 また、1985~88年から2002~04年の5回の調査に基づき、17年間のアルコール摂取の推移を5つのパターン(長期に非飲酒、飲酒量減少、長期に飲酒量が1~14単位/週、飲酒量増加、長期に飲酒量が14単位超/週)に分けて検討した。 1991~93年の調査では、CAGE質問票(4項目、2点以上で依存性あり)を用いてアルコール依存症の評価を行った。さらに、1991~2017年の期間におけるアルコール関連慢性疾患による入院の状況を調べた。飲酒量が減少した集団もリスク上昇 平均フォローアップ期間は23年であり、この間に397例が認知症を発症した。認知症診断時の年齢は、非飲酒群が76.1歳、1~14単位/週の群が75.7歳、14単位超/週の群は74.4歳であった(p=0.13)。 中年期に飲酒していない群は、飲酒量が1~14単位/週の群に比べ認知症のリスクが高かった(ハザード比[HR]:1.47、95%信頼区間[CI]:1.15~1.89、p<0.05)。14単位超/週の群の認知症リスクは、1~14単位/週の群と有意な差はなかった(1.08、0.82~1.43)が、このうち飲酒量が7単位/週増加した集団では認知症リスクが17%有意に高かった(1.17、1.04~1.32、p<0.05)。 CAGEスコア3~4点(HR:2.19、95%CI:1.29~3.71、p<0.05)およびアルコール関連入院(4.28、2.72~6.73、p<0.05)にも、認知症リスクの増加と関連が認められた。 中年期~初老期のアルコール摂取量の推移の検討では、飲酒量が長期に1~14単位/週の集団と比較して、長期に飲酒をしていない集団の認知症リスクは74%高く(HR:1.74、95%CI:1.31~2.30、p<0.05)、摂取量が減少した集団でも55%増加し(1.55、1.08~2.22、p<0.05)、長期に14単位超/週の集団では40%増加した(1.40、1.02~1.93、p<0.05)が、飲酒量が増加した集団(0.88、0.59~1.31)では有意な差はなかった。 中年期の非飲酒に関連する認知症の過剰なリスクは、フォローアップ期間中にみられた心血管代謝疾患によってある程度説明が可能であり、非飲酒群全体の認知症のHRが1.47(1.15~1.89)であったのに対し、心血管代謝疾患を発症しなかった非飲酒の集団では1.33(0.88~2.02)であった。 著者は、「ガイドラインで、14単位超/週のアルコール摂取を有害の閾値と定義する国があるが、今回の知見は、高齢になってからの認知機能の健康を増進するために、閾値を下方修正するよう促すもの」としている。

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小児期のストレスと将来の認知症発症との関連

 小児期の環境と晩年の慢性疾患との関連を分析するライフコース研究は、あまり行われていない。とくに、認知症の早期予測を可能とする研究はほとんど存在しない。東フィンランド大学のGwendolyn A. R. Donley氏らは、小児期のストレスと将来の認知症(とくにアルツハイマー病[AD])との関連について検討を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 1984~89年に実施された広範なベースライン健康診断およびインタビュー調査である、人口ベースのKuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Studyに参加した、当時42~61歳の男性2,682例のデータを使用した。これらの構造化されたインタビューには、小児期のイベントが記録されていた。保護施設や児童養護施設での生活、小児期の危機的な経験、教師による問題、戦争による移住など、複合的な小児ストレス変数を作成した。ADを含む認知症に関するデータは、2014年までの健康レジストリより取得した。認知症発症リスクは、ベースライン時の年齢、教育、所得、先天性疾患の既往で調整し、Cox回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・小児期のストレスは、認知症リスクの増加と関連が認められた(HR:1.86、95%CI:1.12~3.10)。・年齢、教育、所得およびその他の共変量で調整した後でも、この関連は統計学的に有意であった(HR:1.93、95%CI:1.14~3.25)。・この関連は、ADにおいてもわずかに有意であり、同様なHRを有していた。 著者らは「小児期のストレスは、男性において、将来の認知症リスクに重要な影響を及ぼす。そのため、ストレス状態に苦しんでいる小児に対しての、支援システムの開発が求められる。多様な集団において、将来の罹患率に関わる小児期の社会的および環境的影響を検討するさらなる調査は、ライフコースの疾患による負荷を理解するために必要である」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能か子供はよく遊ばせておいたほうがよい

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パーキンソン病の病因は腸か!?

 2018年7月24日、武田薬品工業株式会社は、都内においてパーキンソン病治療薬ラサギリン(商品名:アジレクト)の発売を期し、「~高齢化社会により患者数が増加している神経変性疾患~ パーキンソン病の病態・治療変遷」をテーマに本症に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、本症の概要、最新の研究状況、「パーキンソン病診療ガイドライン2018」の内容が紹介された。パーキンソン病の推定患者数は約6万人 はじめに服部 信孝氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 教授)を演者に迎え、「パーキンソン病治療の変遷 過去・現在・未来 -新しいパーキンソン病診療ガイドラインの位置づけ-」をテーマに講演が行われた。 パーキンソン病(以下「PD」と略す)は、1,000人に1人の発症とされ、現在、患者数は約6万人と推定されている。リスク因子の中でも加齢が最も重要な因子であり、高齢になるほど発症頻度も上昇する。主な運動症状は、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害などがある。また、非運動症状は、便秘、頻尿、睡眠障害、うつ傾向、認知機能障害などがある。とくに睡眠障害で「レム睡眠中の寝言などは、PDの前段階症状をうかがわせる所見であり、この段階で気付くことが大切だ」と同氏は指摘する。 Movement Disorder Society(MDS)の診断基準1)では、「寡動が存在し、静止時振戦か筋強剛のうち少なくとも1つを伴うパーキソニズムの存在」を絶対条件として掲げるとともに、「ドパミン補充療法が有効」「ドパ誘導性ジスキネジアがある」など4項目を支持基準(2項目以上で確定診断)として診断することとしている。また、絶対的除外基準として「小脳障害」「3年以上の下肢限局性のパーキソニズム」など9項目を掲げ、1項目でも該当するとPDと診断できないとし、同じく相対的除外基準として「5年以内の歩行障害」「3年以内の反復する転倒」など10項目を掲げ、3項目以上該当するとPDと診断できないとしている。診断で鑑別する場合、「とくに前期PDでは平衡感覚が保たれているため、転倒することは少ない」と同氏は診断ポイントを指摘する。 PD治療の中心としてL-ドパ含有製剤、ドパミン受容体刺激薬が使われているが、循環器障害、線維症、嘔気、過眠傾向、衝動調節障害などの副作用が問題となっている。また、治療薬の効果時間について作用している「オン」の時間を挟んで、作用していない「オフ」と過剰作用状態の「ジスキネジア」の3期の時間帯があるのがPD治療の特徴であり、病状の進行によりオンからどちらか一方に偏るという課題がある。パーキンソン病の治療薬ターゲットに「腸」の可能性 つぎに最新の研究状況について触れ、PDのリスク逓減因子であるカフェインには、PDの進行予防効果2)、運動症状改善効果があるとされている。そして、PD患者ではカフェイン代謝産物が吸収不全により低値であることが判明した。そのためカフェイン関連代謝産物をPDの診断マーカーとして利用する研究も進行しているという。また、PD発症と関係があるとされるαシヌクレインの伝播について、動物実験段階だが腸内細菌叢から神経炎症が脳に伝播し、脳全体に広がるというPD発症の仮説3)も説明され、今後の治療薬開発に腸がターゲットとなる可能性も示唆された。新しい「パーキンソン病診療ガイドライン」の特徴はCQとGRADEシステム 新しい「パーキンソン病診療ガイドライン」について触れ、その特徴は、「Clinical Question(CQ)」とともに推奨の強さ、エビデンスの確実性を示すために「GRADEシステム」を導入したことであるという。 早期PDの治療推奨としては、「特別の理由がない場合、診断後できるだけ早期に治療開始する方がよい」としながらも、「不利益に関する十分なエビデンスがないため、治療の開始に際しては、その効果と副作用、コストなどのバランスを十分考慮する必要がある」としている。また、「運動障害により生活に支障を来す場合はL-ドパで開始する方がよい」としながらも、「おおむね65歳以下発症など運動合併症のリスクが高いと推定される場合は、L-ドパ以外の薬物療法を考慮する。抗コリン薬やアマンタジンも治療薬の選択肢となり得るが、十分な根拠はない」としている。 進行期PDについては、「1日5回の服用回数、2時間のオフ時間、1時間の問題のあるジスキネジア」がみられる場合、脳深部刺激療法やレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG)への治療法の変更を記述している。 最後に同氏は、「PDは、脳神経内科の専門医の診療により、さまざまなリスクが減り、治療成績や生命予後が良いことがジャーナル4)でも示されている。迷わずに脳神経内科医の診療を受けていただきたい」と語り、講演を終えた。

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米国でのオピオイド使用、ピーク時から依然減少せず?/BMJ

 米国において2007~16年のオピオイド使用率は高く、メディケアを受給している障害者が、高齢者および民間保険受給者と比較して最も高かった。オピオイド乱用の注意喚起や危険意識の高まりにもかかわらず、オピオイド使用率および平均1日使用量は、ピーク時からほとんど減少していないという。米国・メイヨー・クリニックのMolly Moore Jeffery氏らが、診療報酬請求データの後ろ向きコホート研究の結果を報告した。米国におけるオピオイドの使用は、ピーク時の2012年以来減少してきたことが人口データにより示唆されているが、メディケア出来高払い受給者を除いた大規模な集団における、オピオイド使用率および1日使用量は明らかにされていなかった。BMJ誌2018年8月1日号掲載の報告。メディケア・アドバンテージ受給者ら4,800万人について調査 研究グループは、米国の民間保険およびメディケア・アドバンテージ受給者の医療費および薬剤費請求のデータベースを用い、2007年1月1日~2016年12月31日の期間に保険受給資格のあった、民間保険受給者、65歳以上のメディケア・アドバンテージ受給者、65歳未満のメディケア・アドバンテージ受給者(身体障害者が該当)、計4,800万人を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。 主要評価項目は、オピオイドが処方された受給者の四半期ごとの割合、平均1日オピオイド使用量(milligram morphine equivalents:MME)などで、ロジスティック回帰モデルと一般化線形モデルを用いて解析した。オピオイド使用率、平均1日オピオイド使用量は減少せず 全研究期間中における年間オピオイド使用率は、民間保険受給者で14%、高齢者メディケア受給者で26%、障害者メディケア受給者で52%であった。 民間保険受給者では、四半期ごとにみたオピオイド使用率に変化はほとんどなく、研究開始時と終了時はいずれも6%であった。平均1日使用量は2011年以降17 MMEで変わらないままであった。高齢者メディケア受給者も同様で、四半期ごとにみた使用率は比較的安定して推移し、研究開始時11%、終了時14%であった。 一方、障害者メディケア受給者はオピオイド使用率および長期使用率が最も高く、平均1日使用量も最大であった。また、四半期ごとにみた使用率と平均1日使用量にはいずれも上昇が認められ、研究開始年の2007年が最低値でそれぞれ26%、53 MME、終了時の2016年末時点では39%、56 MMEであった。 なお、著者は研究の限界として、保険未加入者、メディケア出来高払い受給者、メディケア単独受給者などを対象に含めていないこと、慢性疼痛の割合や慢性疼痛の治療でオピオイドを使用している患者の割合については報告できていないことなどを挙げている。

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SNRI中止後の離脱症状に関するシステマティックレビュー

 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は広く用いられており、SNRIの中止は幅広い症状との関連が認められている。イタリア・ボローニャ大学のGiovanni A. Fava氏らは、SNRI中止後の離脱症状の発生、頻度、特徴について検討を行った。Psychotherapy and Psychosomatics誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 PRISMAガイドラインに沿って、システマティックレビューを実施した。PubMed、コクラン・ライブラリ、Web of Science、MEDLINEを用いて、それぞれのデータベースの初めから2017年6月までの文献を検索した。検索キーワードは、デュロキセチン、ベンラファキシン、desvenlafaxine、ミルナシプラン、levomilnacipran、SNRI、第2世代抗うつ薬、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、および中断、離脱、リバウンドを組み合わせた。英語で公表された試験のみ抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、61件であった。・その内訳は、二重盲検ランダム化比較試験22件、オープンフェーズと二重盲検ランダム化フェーズを用いた試験6件、オープントライアル8件、自然主義的研究1件、レトロスペクティブ研究1件、ケースレポート23件であった。・各種SNRI中止後に、離脱症状が認められた。・離脱症状の発生率は、各報告で変化していたが、ベンラファキシンではより高率であると思われる。・典型的に、症状発現は中止後数日以内に認められ、徐々に漸減しながら数週間継続していた。・遅発性の障害や長期間の持続も同様に認められた。 著者らは「臨床医は、投与中止後に離脱症状を誘発する可能性のある薬剤リストに、他の向精神薬と共にSNRIを追加する必要がある」としている。■関連記事SSRI中止は離脱症状に注意をSSRI/SNRIへの増強療法、コストパフォーマンスが良いのはSSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証

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ギャンブルがアルコール消費に及ぼす影響

 アルコールとギャンブルとの関連を調査した実験的研究では、主にアルコールのギャンブル行動への影響に焦点が当てられている。逆に、ギャンブルがその後のアルコール消費に及ぼす影響については、ほとんど論じられていなかった。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJuliette Tobias-Webb氏らは、ギャンブルとその成果が、後のアルコール消費に及ぼす影響について、2つの実験を行い評価した。Journal of Gambling Studies誌オンライン版2018年7月11日号の報告。 実験1では、参加者53例には、アルコールを含む飲料を30分間要求することができる自由摂取試験(ad libitum consumption test)を実施した。実験2では、参加者29例には、ビールのテイスティング検査手順(beer taste test procedure)に従い、ビールの種類の評価を課した。両実験において、日常的にギャンブルを行う男性は、アルコールが提供される前に、30分間テレビを見る群かスロットマシーンを行う群に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・実験1において、ギャンブルは、アルコール飲料の注文数、消費量、飲酒ペース、飲酒意向を有意に増加させた。・実験2では、これらの影響は確認されなかった。・両実験において、ギャンブルの成果とアルコール消費との関連は認められなかった。 著者らは「これまでの研究と関連し、特定の条件下でのギャンブルがアルコール消費を促進する点は、ギャンブルとアルコールが互いに増強する可能性のあるフィードバックループを形成していることを意味する。しかし、両実験における結果の相違は、影響の境界条件を示唆しており、今後の研究を行ううえで、ギャンブルとアルコール消費との関連を測定するためには、方法論的考察の検討が必要である」としている。■関連記事ギャンブル依存とADHD症状との関連アルコール依存症に対するバクロフェン治療に関するメタ解析アルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬

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急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

 米国・フロリダ・アトランティック大学のJohn W. Newcomer氏らは、ブレクスピプラゾールの主要な2つの第III相試験と長期試験のデータより、成人の統合失調症患者における、代謝パラメータおよび体重に対するブレクスピプラゾールの影響について、患者のサブグループを含めて検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2018年7月9日号の報告。 第III相試験は、6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験(固定用量2および4mg/日)として実施された。長期試験は、第III相試験を完了した患者を対象とした52週間のオープンラベル試験として実施された。ブレクスピプラゾールの最大投与期間は、58週であった。空腹時の代謝パラメータおよび体重は、研究期間中にわたり測定された。代謝関連の値は、一般的に報告された閾値を用いて、正常値~境界値~高値(コレステロール、トリグリセライド、グルコース)と低値~正常値(HDL)にて分類を行った。代謝パラメータ変化の発生率は、治療の最初の6週間、最初の6ヵ月間、最後の6ヵ月間における、ベースラインから任意の時間で測定が行われた。 主な結果は以下のとおり。・第III相試験(短期試験)におけるブレクスピプラゾール治療患者の代謝パラメータは、悪化する割合が低く、プラセボ治療患者と同様であった。また、代謝パラメータ値の変化は、用量依存的ではなかった。・短期および長期試験において、ブレクスピプラゾール治療による代謝パラメータの悪化の発生率は、良好の発生率よりも低かった。・短期試験における体重の平均増加量は、ブレクスピプラゾール群で1.2kg、プラセボ群で0.2kgであった。・長期試験における体重の平均増加量は、58週目で3.2kgであった。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、短期および長期の治療において、適度な体重増加と代謝パラメータのわずかな変化しか認められなかった」としている。■関連記事ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験

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