サイト内検索|page:168

検索結果 合計:5819件 表示位置:3341 - 3360

3341.

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の長期非盲検試験

 うつ病に対する長期治療は、再発予防および機能回復のために推奨されている。デンマーク・H. Lundbeck A/SのMary Hobart氏らは、成人うつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法の長期非盲検試験において、安全性、忍容性、有効性を評価した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2019年5/6月号の報告。 対象は、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験から52週間(26週間へ修正)の試験へロールオーバーしたうつ病患者。対象患者には、最新の抗うつ薬治療にブレクスピプラゾール0.5~3mg/日(フレキシブルドーズ)を追加した。主要アウトカムは、治療による有害事象(TEAE)の頻度および重症度とした。副次的アウトカムとして、臨床評価尺度を用いて有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録患者数2,944例(52週間:1,547例、26週間:1,397例)のうち、1,895例(64.4%)が試験を完了した。・発現率5%以上のTEAEは以下のとおりであった。 ●体重増加(17.7%) ●眠気(8.0%) ●頭痛(7.2%) ●アカシジア(6.7%) ●食欲増進(6.3%) ●不眠(6.3%) ●疲労(6.1%) ●ウイルス性上気道感染症(5.4%) ●不安(5.2%)・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。・体重増加の平均値は、26週時で2.7kg、52週時で3.2kgであった。ベースライン時より7%以上の体重増加が認められた患者は、25.8%であった。・錐体外路症状、プロラクチン、脂質、グルコースに関連する臨床所見は認められなかった。・患者の症状および機能は、継続的な改善が認められた。 著者らは「うつ病患者に対するブレクスピプラゾール(0.5~3mg/日)補助療法は、最大52週にわたり良好な忍容性を示し、有効性および機能的アウトカムの継続的な改善が認められた」としている。■関連記事ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学うつ病に対するアリピプラゾールとセルトラリン併用療法の二重盲検ランダム化比較試験

3342.

女性へのゾルピデム使用リスク

 2013年、女性に対するゾルピデム就寝前投与は、昼間の鎮静リスクを上昇させ、運転技能の低下を来すことを示す新たなデータの存在をFDAが報告した。これには、女性では男性と比較し、ゾルピデムの代謝クリアランスの減少および朝の血中濃度の上昇が影響していると推定される。このことから、FDAは、女性へのゾルピデム推奨投与量を、男性の50%まで減量するよう指示した。しかし、世界的にどの規制当局においても同様な指示は出ていない。米国・睡眠障害研究センターのDavid J. Greenblatt氏らは、女性へのゾルピデム使用リスクについて、レビューおよび評価を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。ゾルピデムの男女差は臨床試験では実証されていない ゾルピデムの薬物動態、薬力学、有害事象、臨床的有効性、運転能力に対する男女差の影響を評価するため、文献レビューとともにこれまでの研究データをさらに分析した。 ゾルピデムの薬物動態などに対する男女差の影響を評価した主な結果は以下のとおり。・女性では、男性と比較し、ゾルピデムの見かけのクリアランスが平均35%低いことが示唆された(236 vs.364mL/分、p<0.001)。・この違いは、体重による影響を受けていなかった。・いくつかの臨床試験において、同用量を服用している場合、男性よりも女性において機能障害が大きかったが、すべての研究において、経口投与8時間後における活性薬物は、プラセボ群と区分できなかった。・路上走行試験でも同様に、経口即時放出型ゾルピデム10mg投与8時間後において、男性および女性に運転障害があることは示されなかった。・ゾルピデムの臨床的有効性および有害事象における男女差は、臨床試験では実証されておらず、女性において特別なリスクがあることは示されなかった。 著者らは「女性に対するゾルピデム投与量減量は、入手可能な科学的根拠では裏付けられていない。過少投与が不適切な不眠症治療につながり、その結果として起こるリスクを上昇させる可能性がある」としている。■関連記事ゾルピデム処方と自動車事故リスク睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

3343.

認知症への運動不足の影響、発症前10年から?/BMJ

 運動不足(physical inactivity)と認知症の関連についての観察研究は、逆の因果関係バイアスの影響が働く可能性があるという。フィンランド・ヘルシンキ大学のMika Kivimaki氏らIPD-Work consortiumは、このバイアスを考慮したメタ解析を行い、運動不足はあらゆる原因による認知症およびアルツハイマー病との関連はないのに対し、心血管代謝疾患を発症した集団では、運動不足により認知症リスクがある程度高い状態(1.3倍)にあることを示した。研究の詳細はBMJ誌2019年4月17日号に掲載された。無作為化対照比較試験では、運動による認知症の予防および遅延のエビデンスは得られていない。一方、観察コホート研究の多くはフォローアップ期間が短いため、認知症の発症前(前駆期)段階における身体活動性の低下に起因するバイアスの影響があり、運動不足関連の認知症リスクが過大評価されている可能性があるという。19件の前向き研究を逆の因果関係バイアスを考慮して解析 研究グループは、運動不足は認知症のリスク因子かを検討するために、この関連における心血管代謝疾患の役割および認知症発症前(前駆期)段階の身体活動性の変化に起因する逆の因果関係バイアスを考慮して、19件の前向き観察コホート研究のメタ解析を行った(NordForskなどの助成による)。 19件の研究は、Individual-Participant-Data Meta-analysis in Working Populations(IPD-Work) Consortium、Inter-University Consortium for Political and Social Research、UK Data Serviceを検索して選出した。 曝露は運動不足であり、主要アウトカムは全原因による認知症およびアルツハイマー病とし、副次アウトカムは心血管代謝疾患(糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中)であった。変量効果によるメタ解析で要約推定量を算出した。運動不足は、発症前10年では関連あり、10年以上前では関連なし 認知症がなく、登録時に運動の評価が行われた40万4,840例(平均年齢45.5歳、女性57.7%、運動不足16万4,026例、活発な身体活動24万814例)について、電子カルテの記録で心血管代謝疾患および認知症の発症状況を調査した。認知症の平均フォローアップ期間は14.9年(範囲:9.2~21.6)だった。 600万人年当たり、2,044例が全認知症を発症した。認知症のサブタイプのデータを用いた研究では、アルツハイマー病は520万人年当たり1,602例に認められた。 認知症診断前の10年間(認知症の発症前段階)の運動不足は、全認知症(ハザード比[HR]:1.40、95%信頼区間[CI]:1.23~1.71)およびアルツハイマー病(1.36、1.12~1.65)の発症と有意な関連が認められた。一方、認知症発症の10年以上前の身体活動を評価することで、逆の因果関係を最小化したところ、活動的な集団と運動不足の集団に、認知症リスクの差はみられなかった(全認知症:1.01、0.89~1.14、アルツハイマー病:0.96、0.85~1.08)。これらの傾向は、ベースラインの年齢別(60歳未満、60歳以上)および性別(男性、女性)の解析でも同様に認められた。 また、認知症発症の10年以上前の運動不足は、糖尿病(HR:1.42、95%CI:1.25~1.61)、冠動脈性心疾患(1.24、1.13~1.36)および脳卒中(1.16、1.05~1.27)の新規発症リスクの上昇と関連し、診断前10年間では、これらのリスクはさらに高くなった。 認知症に先立って心血管代謝疾患がみられた集団では、運動不足の集団は認知症のリスクが過度な傾向がみられたものの、有意ではなかった(HR:1.30、95%CI:0.79~2.14)。心血管代謝疾患がみられない認知症では、運動不足と認知症に関連はなかった(0.91、0.69~1.19)。 著者は、「これらの知見は、運動不足を対象とする介入戦略だけでは、認知症の予防効果には限界があることを示唆する」としている。

3344.

治療抵抗性うつ病患者の脱落予測因子と臨床的影響

 第2選択薬治療による臨床試験より脱落した治療抵抗性うつ病患者について、イタリア・ボローニャ大学のPaolo Olgiati氏らが、調査を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年4月2日号の報告。 対象は、第1選択薬で奏効が見られず、ベンラファキシンの6週間治療に移行したうつ病外来患者342例。社会人口統計学的および臨床的特徴を、脱落群と非脱落群で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・脱落群65例(19%)のうち、30例(46%)は4週間以内に脱落していた。・脱落患者の特徴は、うつ病エピソード期間の長さ(p=0.011)、抗うつ薬の低用量投与(p<0.0001)、うつ症状の急激な減少(2週間)の結果(p=0.028)であった。・しかし、早期改善で制御したところ、脱落群は、抗うつ薬治療反応の可能性の低さと関連が認められた(オッズ比[OR]=0.16~0.83)。・14日目におけるMADRSスコア30%以上減少は、その後の脱落を高い特異度(81.9%・1.0%)で予測したが、臨床使用の低感度(19.6%・2.8%)を示した。 著者らは「長期間うつ病に罹患しており、抗うつ薬変更直後に症状が改善した患者では、脱落リスクが高くなる可能性がある。脱落を予測するためのこれらの特性の有用性を確認するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事治療抵抗性うつ病を予測する臨床的因子~欧州多施設共同研究治療抵抗性うつ病に対する増強療法~メタ解析治療抵抗性うつ病と自殺率

3345.

ドイツ女子サッカーリーグにおけるうつ病や不安症状の有病率

 トップアスリートのメンタルヘルス問題の有病率に関する情報が、明らかとなっていない背景には、回答率の低さやサンプルの不均一さなどの方法論的課題があると考えられる。ドイツ・Medical School HamburgのAstrid Junge氏らは、トップレベルの女子サッカー選手におけるうつ病および不安症状の有病率および危険因子を評価するため、検討を行った。British Journal of Sports Medicine誌2019年4月号の報告。 ドイツ女子サッカー1部リーグ10チームおよび2部リーグ7チームに所属する選手を対象に、選手の特性、うつ病自己評価尺度(CES-D)、全般不安症尺度(GAD-7)に関するアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・本アンケートに290人(1部:184人、2部:106人)の選手が回答した。・CES-Dスコアによるうつ症状は、軽度~中等度が48人(16.6%)、重度が41人(14.1%)であった。・GAD-7スコアにおいて中等度以上の全般不安症が認められた選手は、24例(8.3%)であった。・うつ症状および全般不安症の有病率は、同年代の一般女性と同様であった。・しかし、2部の選手は、1部の選手よりもうつ症状が多く認められており、一般女性と比較しても、有病率が高かった。・現在、心理療法的サポートを望んでいる、または必要としていると回答した45人(15.7%)のうち、3分の1の選手だけがサポートを受けていた。 著者らは「トップクラスのサッカー選手におけるうつ病および全般不安症の有病率は、個人およびスポーツ特有の変数によって影響を受ける。コーチやチームドクターは、アスリートのメンタルヘルス問題に対する意識を高め、スティグマを減らし、敷居の低い治療法を提供することが重要である」としている。■関連記事トップアスリートは、うつ病の頻度が高いスポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?うつ病、男女間で異なる特徴とは

3346.

女子短大生における睡眠の質とスマートフォン依存

 スマートフォンの使用は一般的となり、青少年の睡眠の質に影響を及ぼしている。思春期の女性では、睡眠の質に関連する問題が増大する傾向にある。台湾・Changhua Christian Children HospitalのPo-Yu Wang氏らは、これまで研究されていなかった、女子短大生における睡眠の質とスマートフォン依存および健康関連行動との関連を調査し、睡眠の質に影響を及ぼす予測因子を特定するため検討を行った。PLOS ONE誌2019年4月3日号の報告。 本横断的研究では、台湾南部の短大生409例を対象に、構造化されたアンケートを用いて、データ収集を行った。アンケートは、基本的な人口統計データ、ピッツバーグ睡眠質問票、スマートフォン依存の評価、健康増進ライフスタイルプロフィール(HPLP)で構成した。睡眠の質とスマートフォン依存またはHPLPとの関連性は、ロジスティック回帰分析を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・睡眠の質は、スマートフォン依存度、HPLPの総スコア、HPLPの4つのサブスコア(栄養行動、自己実現、対人支援、ストレス管理行動)と有意な関連が認められた。・スマートフォン依存度が低いほど、睡眠の質は良好であった。・さらに、スマートフォン依存度とHPLP総スコアは、睡眠の質の重要な予測因子であった。 著者らは「スマートフォン依存は、女子短大生の睡眠の質に影響を及ぼしている。健康関連行動(栄養行動、自己実現、対人支援、ストレス管理行動)の改善で、睡眠の質の改善も促進できる」としている。■関連記事日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク女子学生の摂食障害への有効な対処法日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

3347.

日本人うつ病患者における健康関連QOLや経済的負担

   うつ病は、健康だけでなく経済的負担への影響も大きい疾患である。武田薬品工業の山部 薫氏らは、日本人成人におけるうつ病診断の有無による健康関連アウトカムとコストへの影響について調査を行った。ClinicoEconomics and Outcomes Research誌2019年3月号の報告。 日本の健康調査National Health and Wellness Survey(NHWS)の2012~14年のデータ(8万3,504人)を用いて、レトロスペクティブ観察研究を行った。日本人のうつ病診断群2,843例、うつ病未診断群2,717例(weight)、非うつ病対照群2,801例(weight)における健康関連QOL、仕事の生産性および活動障害に関する質問票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire:WPAI)、医療リソース利用、年間コストの差を評価した。共変量で調整した後、傾向スコアの重み付けと加重一般化線形モデルを用いて、アウトカム変数の群間比較を行った。日本人うつ病患者は1人当たりのコストが高かった 日本人のうつ病診断による健康関連アウトカムとコストの主な調査結果は以下のとおり。・日本人のうつ病未診断群は、うつ病診断群よりも有意に良好なアウトカムを示したが(p<0.001)、非うつ病対照群よりも有意に不良なアウトカムを示した(p<0.001)。・平均精神的サマリー(Mental Component Summary)スコアの比較において、うつ病診断群(33.2)は、うつ病未診断群(34.5)および非うつ病対照群(48.6)よりも低かった。・同様の所見が、平均身体的サマリー(Physical Component Summary)スコア(49.2 vs.49.5 vs.52.8)および健康状態効用スコア(0.61 vs.0.62 vs.0.76)においても得られた。・日本人のうつ病診断群は、うつ病未診断群および非うつ病対照群よりも、欠勤(13.1 vs.6.6 vs.2.5%)、プレゼンティズム(presenteeism、41.4 vs.38.1 vs.18.8%)、全体的な作業生産性の低下(47.2 vs.41.1 vs.20.2%)、活動障害(48.4 vs.43.3 vs.21.1%)が多く認められた。・日本人のうつ病診断群は、うつ病未診断群よりも、患者1人当たりの直接的コスト(1.6倍)および間接的コスト(1.1倍)が高かった。 著者らは「本研究の知見で、うつ病の適切な診断・治療を促進するためには、日本人成人においてうつ症状をより意識する必要性を示唆している」としている。

3348.

自閉スペクトラム症におけるADHD症状とインターネット依存

 いくつかの研究報告によると、自閉スペクトラム症(ASD)患者では、インターネット依存(internet addiction:IA)がより多く認められるという。しかし、IAを伴う青年期のASD患者の特徴は、よくわかっていない。愛媛大学・河邉 憲太郎氏らは、青年期ASDにおけるIAの有病率を調査し、IA群と非IA群の特徴を比較した。Research in Developmental Disabilities誌オンライン版2019年3月13日号の報告。ADHD症状がインターネット依存と強く関連 対象は、愛媛大学医学部附属病院および愛媛県立子ども療育センターの外来ASD患者55例(10~19歳)。患者およびその両親に対し、Youngのインターネット依存度テスト(IAT)、子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)、自閉症スペクトラム指数(AQ)、ADHD Rating Scale-IV(ADHD-RS)を含む質問を行った。 主な結果は以下のとおり。・総IATスコアに基づき、55例中25例がインターネット依存を有していた。・インターネット依存群は、非依存群と比較し、SDQおよびADHD-RSにおけるADHD症状の高スコアが認められたが、AQおよび知能指数においては有意な差が認められなかった。・インターネット依存群は、非依存群と比較し、携帯ゲームの使用頻度が高かった。 著者らは「青年期ASDでは、ADHD症状がインターネット依存と強く関連していた。ADHD症状を有する青年期ASD患者では、インターネット依存に対する、より強固な予防と介入が必要である」としている。

3349.

出産前後の日本人女性に対する抗てんかん薬処方~健康管理データベースからの検討

 東北大学の石川 智史氏らは、出産前および産後の日本人女性に対する抗てんかん薬(AED)の処方率および処方パターンについて、大規模データベースを用いて評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2019年3月10日号の報告。 公表されているアルゴリズムまたは乳児の生年月日を用いて、妊娠開始日および出産日を推定した。AEDの処方率、最大用量、併用療法の頻度について、妊娠開始前180日、妊娠中、産後180日で評価した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、妊婦3万3,941人。・AEDが1剤以上処方されていた妊婦は、妊娠前180日~産後180日の期間で225人(66/1万分娩)、妊娠中では135人(40/1万分娩)であった。・AEDの処方率は、妊娠第1期、2期で減少し、妊娠第3期および産後に増加した。・最も頻繁に処方された薬剤はバルプロ酸であり、次いでクロナゼパム、ラモトリギン、カルバマゼピンであった。・妊娠第1期にバルプロ酸を1回以上処方された妊婦49人のうち9人(18.4%)は、バルプロ酸600mg/日超で処方されていた。・併用療法の可能性について、2剤以上のAED処方は、妊娠前180日~産後180日の期間で40人(12/1万分娩)、妊娠中で31人(9/1万分娩)であった。 著者らは「日本人妊婦に対しては、さまざまなAEDが処方されていた。妊娠可能年齢の女性では、リスクとベネフィットのプロファイルに応じて、妊娠前に適切なAEDを選択する必要がある」としている。■関連記事妊娠可能年齢のてんかん女性に対するレベチラセタム単独療法スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬使用に関する比較研究妊娠中の抗うつ薬使用パターンに関するコホート研究

3350.

クロザピンと他の抗精神病薬による好中球減少症発症比較~メタ解析

 クロザピンは、他の抗精神病薬と比較し、好中球減少症との関連性が高いとの懸念から、ほとんどの国において、白血球数の定期的なモニタリングを行わなければ使用できない。しかしこれまで、対照研究のメタ解析により決定的に実証されてはいなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のNicholas Myles氏らは、他の抗精神病薬と比較したクロザピンの好中球減少症との関連性を評価するため、対照研究のメタ解析を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。 Medline(1948~2018年)、PsycINFO(1967~2018年)、Embase(1947~2018年)より検索を行った。エフェクトサイズの評価には、Mantel-Haenszelリスク比を使用したランダム効果メタ解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・クロザピンおよび他の抗精神病薬に関連した好中球減少症発症率についての研究は、20件抽出された。・クロザピン群におけるリスク比は、他の抗精神病薬と比較し、有意な増加は認められなかった(Mantel-Haenszelリスク比:1.45、95%CI:0.87~2.42)。・このことは、好中球絶対数(ANC)500/µL未満の重度の好中球減少症においても、同様であった(Mantel-Haenszelリスク比:1.65、95%CI:0.58~4.71)。・クロザピンに関連した好中球減少症の相対リスクは、各抗精神病薬とも有意な関連は認められなかった。 著者らは「対照研究のデータからは、クロザピンが他の抗精神病薬よりも、好中球減少症との関連性が強いとの結論に至らなかった。このことは、すべての抗精神病薬の使用に際し、血液学的モニタリングを実施すべきことを意味しているか、クロザピンに限定されたモニタリングが正当化されないことを意味している」としている。■関連記事日本におけるクロザピン使用の安全性分析クロザピン誘発性副作用のリスク遺伝子同定:藤田保健衛生大学クロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

3351.

レディ・プレーヤー1【なぜゲームをやめられないの?どうなるの?(ゲーム依存症)】

今回のキーワード多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲームeスポーツ「デジタルドラッグ」「ゲーム脳」「シンデレラ法」「スマホ育児」AI(人工知能)「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)皆さんは、ゲームをしますか? またはお子さんがゲームをしますか? 今や、ゲームと言えば、多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム(MMORPG)です。これは、インターネット上のサーバーを介して、不特定多数の人が同じゲームの中で、数人のチーム(ギルド)をつくり、冒険、狩り、モンスター退治などをするものです。自分のプレイの分身(アバター)によって、ほかのプレーヤーと文字のやりとりや会話を行うこともできます。さらにこれからは、VR(仮想現実)ゴーグルによる、よりリアルな体験をするゲームが注目されています。最近では、ゲームをeスポーツと呼び、従来のスポーツ大会の種目の1つに入れようとする動きがあります。また、学校の部活動の1つとして、「eスポーツ部」を認めようとする動きもあります。これは、サークルや同好会ではなく、部活動としてゲーム関連の費用を学校が負担することを意味します。どうやらゲームは、今、世の中でますます広がりを見せています。ところで、そのゲームをやめられない、やめさせられないと困っている人はいませんか? または、そのようは相談を受けることはありませんか? なぜゲームをやめられないのでしょうか? やめられないとどうなるのでしょうか? そもそも、なぜゲームは「ある」のでしょうか? そして、どうすれば良いのでしょうか? これらの疑問を解き明かすために、今回は、2018年の映画「レディ・プレーヤー1」を取り上げます。この映画を通して、ゲームをする心理を脳科学的に、そして、その起源を進化心理学的に掘り下げ、ゲーム依存症の理解を深めましょう。そして、私たちの未来の生き方について、一緒に考えていきましょう。なぜゲームをやめられないの?ストーリーの舞台は、未来の西暦2045年。多くの人は、食べる、寝る、トイレに行く以外は、VR(仮想現実)ゴーグルを着けて、オアシスというネット上のVR(仮想現実)の世界で過ごしています。まさに「食う、寝る、遊ぶ」です。まずここから、このVRの世界を現在のゲームと照らし合わせながら、その3つの特徴を整理してみましょう。そして、「なぜゲームをやめられないの?」という問いへの答えを導きましょう。(1)何でもできる -達成感主人公のウェイドは、「今、現実は重くて暗い。みんな逃げ場を求めている」「(一方で)オアシスは、想像が現実になる世界。何でもできる」と言っています。現実の世界は、ゴミだらけで荒廃しており、彼はぱっとしない日常を送ります。一方、オアシスは、色鮮やかで華やかで、魅力的なキャラクターたちが次々と登場し、冒険、戦闘、自動車レースなどが、毎日繰り返されています。ウェイドは、パーシヴァルという名のアバターで、やりたいことをして、毎日生き生きとした時間を過ごしています。1つ目の特徴は、何でもできる、つまり達成感が得られることです。これは、現在のゲームにも通じています。そのからくりは、主に3つあります。1つ目は、時間とお金をかければ必ずうまくいくように作られていることです。お金をかけるとは、課金システムで強い武器などのアイテムを得て、地位を上げることです。2つ目は、繰り返しやればチャンスが増すように作られていることです。たとえば、「連続ログインボーナス」は、毎日必ずログインして一定期間が経つと、ボーナスがもらえる仕組みです。また、「1日1回だけのチャンス」は、1日1回だけ特級アイテムを得る「ガチャ」(抽選)のチャンスがもらえる仕組みです。逆に言えば、1日1回しかチャンスがないので、毎日必ずログインしてチャレンジするよう仕向けられていると言えます(機会損失の回避)。3つ目は、次から次へと新しい課題が出され、飽きないように作られていることです。これは、ゲームの設定が常にアップデートされるためです。つまり、従来のゲームのようなクリア(ゴール)という概念がなく、延々とやり続けることが可能になります。このように、ゲームをやめられなくなるのは、やればやるほど達成感が得られるからです。逆に言えば、現実の世界では、そう簡単に達成感は得られません。そのわけは、ゲームほど何でもできる状況がそもそもあまりないからです。(2)仲間がいる -連帯感オアシスで、パーシヴァル(ウェイド、以下略)は「エイチは、はっきり言って親友だ。現実の世界では会ったことないけど」と言い、エイチと過ごします。やがて、彼は、オアシスの後継者の権利を掛けた宝探しレースをする最中、ランキングで暫定1位になり、オアシスの住人全員から注目を集めて、人気者になります。そして最後に彼は、エイチたちと5人組の仲間となり、オアシスの共同運営者になります。2つ目の特徴は、仲間がいる、つまり連帯感が得られることです。これは、現在のゲームにも通じています。そのからくりは、主に3つあります。1つ目は、自分の居場所があるように作られていることです。これは、毎回プレイ中にチームのメンバーとコミュニケーションをすることで、仲良くなり、信頼され、つながっている感覚が得られることです(所属欲求)。2つ目は、自分の役割があるように作られていることです。これは、チームで協力することで、お互いに必要とされ、勇気や決断力が認められる感覚が得られることです(承認欲求)。3つ目は、自分の目指すものがあるように作られていることです。これは、チームで敵や宝などの分かりやすいターゲットに向かって突き進んで達成していくことです(自己実現欲求)。これは、ゲームの1つ目の特徴である達成感にもつながります。もはや、チームのメンバーは「戦友」で、ターゲットは「戦果」とも言えます。逆に言えば、自分がやめると、チームのメンバーに遅れをとってしまったり、迷惑をかけることになります。このように、ゲームをやめられなくなるのは、やればやるほど連帯感が得られるからです。逆に言えば、現実の世界は、そう簡単に連帯感は得られません。そのわけは、ゲームほど仲間でいることの理由が見いだせないことが多いからです。(3)気楽である -安全感パーシヴァルは、現実のウェイドと違って、ビジュアルが良く、おしゃれで、身体能力も高いです。もちろん、見た目だけでなく声を変える設定もできます。彼は、アルテミスという女性とデートをして、イケイケのダンスもします。彼は、彼女に「現実の世界で会いたい」「君に恋してる」と言うと、「私の顔はこんなんじゃない。がっかりするよ」と言われてしまいます。また、パーシヴァルは、ライバルのソレントと向き合った時、VRゴーグルを一時的に外して、動悸を隠します。また、オアシスでは、死ぬと所持金は0になりますが、リセットすれば生き返るようになっています。3つ目の特徴は、気楽である、つまり安全感です。これは、現在のゲームにも通じています。そのからくりは、主に3つあります。1つ目は、見せたくない自分を見せないように作られていることです。これは、顔などの見た目から相手にされないのではないかという不安がなくなります。2つ目は、見たくない相手やものを見ないように作られていることです。これは、気が合わない相手でもその場にいなければならないという義務感がなくなります。また、音や光などの感覚刺激は、調節したり遮断することができます。3つ目は、いつでも休めたりやり直しができるように作られていることです。これは、失敗すると取り返しが付かないという緊張感がなくなります。このように、ゲームをやめられなくなるのは、安全感が保たれているからです。逆に言えば、現実の世界は、そう簡単に安全感は保たれません。そのわけは、ゲームほど気楽なままで何かを達成する機会はあまりないからです。ゲームをやめられないとどうなるの? ―ゲーム依存症ウェイドと同居する叔母の恋人は、オアシス内の戦闘ゲームでアバターが死んでしまい、「(高性能の武器を使うために)全部つぎ込んだ。勝てるはずだった」と怒り狂います。同じように、ある幼児は、アバターが死んで、泣き叫びます。ある男性は、飛び降り自殺をしようとします。ある母親は、ゲームに夢中になり、家事や育児に手が付かなくなっています。ウェイドは、「みんな、全部オアシスにつぎ込んでるから、全部失ったら(ゲームに負けてアバターが死んだら)、そりゃ正気も失うよね」と説明します。このように、お金や時間などが奪われて日常生活に差し障るほどゲームがやめられなくなる、コントロールができない状態は、通称、ゲーム依存症と言います。精神医学的には、ゲーム障害(ICD-11)、インターネットゲーム障害(DSM-5研究枠)と呼ばれます。また、先ほどご紹介した「ガチャ」(抽選)によってアイテムを得る課金システムは、必ずしも欲しいアイテムが得られるわけではないので、つい「ガチャ」をやりすぎてお金をつぎ込んでしまうというギャンブル依存症の要素もあります。ここから、ゲーム依存症の特徴を3つに分けて、脳科学的に考えてみましょう。そして、「どうなるの?」という問いへの答えを導きましょう。(1)もっとやりたくなる -渇望先ほどご紹介した達成感や連帯感は、脳へのご褒美、つまり報酬です。とくに連帯感は、社会的報酬と言います。これらは、満足感、幸福感、わくわく感、胸のときめき、快感などと自覚され、ドパミンという脳内ホルモン(神経伝達物質)が大きく関わっています(報酬系)。たとえば、栄養価が高いものを食べると、ドパミンが刺激され、美味しいと感じます。それが、もう1回食べようという動機付けになります。まさに、「味を覚える」「味を占める」というわけです。ゲームは、このドパミンがより効率的に分泌し続けるように人工的に作られたものです。分かりやすく言えば、安楽なままで快感がすぐに得られてしまう覚醒剤に似ています。実際の論文では、脳画像検査(PET)によって、ゲームの開始前と50分後での脳内(線条体)のドパミンの放出量が2倍に増えていると報告されています。これは、覚醒剤(0.2mg/kg)の静脈注射に匹敵します。もちろん現実の世界でも、達成感や連帯感からドパミンがこのレベルに増えることはあります。ただし、その頻度はまれで、時間は一瞬からせいぜい数十分です。美味しいものも満腹になればそれ以上食べられません。それに対して、ゲームは、やっている時間すべてです。つまり、ゲームによるドパミン分泌は、そもそも覚醒剤と同じくらい刺激が強くて長続きするものであるということです。もはやゲームは、「デジタル・ドラッグ」とも言えるでしょう。すると、どうなるでしょうか?1つ目の特徴は、ゲームをもっとやりたくなります(渇望)。言い換えれば、脳がゲームの刺激をより欲してしまいます。そのメカニズムは、大きく3つあります。1つ目は、ゲームの刺激に鈍くなることです(耐性)。これは、ちょうど1回目の覚醒剤の摂取が一番快感で、その後に同じ快感を得るために量が増えていくことに似ています。その理由として、ドパミンを使いすぎて足りなくなっていることがあげられます。もう1つの理由としては、慢性的なドパミンの刺激によって、脳内のドパミンの受け皿(受容体)の数が減ってしまうことがあげられます(ダウンレギュレーション)。これは、過剰な刺激で神経細胞が消耗するのを防ぐため、その反応を抑えることでバランスを保つ生体の調節機能が自動的に働くからです(ホメオスタシス)。2つ目は、ゲームをしないといらいらすることです(離脱症状)。これは、ちょうどアルコール依存症の人が断酒後に手が震えて汗が出るなどのいわゆる禁断症状に似ています。その理由として、慢性的な刺激を受けていると、それがバランスのとれた通常の状態(ホメオスタシス)であると脳が誤認識してしまい、逆に刺激がなくなると脳が異常だと誤作動を起こしてしまうからです。3つ目は、ゲーム関連に敏感になることです(プライミング、キュー)。たとえば、それは、ゲームの宣伝を見ることから、パソコンやスマホの画面をただ見ること、そして自室の椅子にただ座ることなどです。これは、ちょうど覚醒剤依存症の人が注射器を見ただけで覚醒剤を打ちたくなったり、アルコール依存症の人がおつまみを見ただけでビールが飲みたくなったり、ギャンブル依存症の人がネオンサインを見ただけパチンコがしたくなることに似ています。その理由として、刺激を受け続けることで脳神経のネットワークが変わり(短絡回路)、頭の中はその報酬がすべてになってしまうからです(投射ニューロン)。言い換えれば、その刺激と結び付いた情報や体験がセットになって脳に記憶として刻まれることで、報酬が予測されやすくなるからです(報酬予測、条件反射)。ひと言で言えば、「ゲーム漬け」「ゲームに溺れる」ということです。逆に言えば、現実の世界の達成感や連帯感は、苦労しても少ししか得られないばかりか、脳がゲームだけでなく現実の生活の刺激にも鈍くなってしまうため、ますますバカらしくてどうでも良くなってしまいます。つまり、報酬系とは、その人の価値観であり、生き方を決めてしまうものです。まさに、ゲーム依存症になると、その人の生き方が変わってしまうと言えるでしょう。(2)頭が働かなくなる -認知機能障害ドパミンが慢性的に出すぎていると、興奮状態になった神経細胞がやがて消耗していき、死んでいきます(変性)。実際の論文では、脳画像検査(MRIのDTIやVBM)によって、ゲーム依存症の人の前頭葉などで、覚醒剤などの薬物依存症と同じように、神経ネットワークの統合性の低下や萎縮が認められていることが報告されています。すると、どうなるでしょうか?2つ目の特徴は、頭が働かなくなります(認知機能障害)。体が酷使されて弱るのと同じように、脳も酷使されて弱っている状態です。たとえば、衝動的でキレやすくなったり(眼窩前頭葉)、相手の気持ちに無関心で冷淡になったり(前帯状回)、無気力で無関心になります(外包)。これは、ちょうど同じくドパミンが慢性的に出すぎていることで引き起こされる統合失調症の陰性症状に似ています。かつて、根拠がないと批判され、「疑似科学」の烙印を押された「ゲーム脳」が、いまや現実の科学として認められたことになります。ウェイドは、「重くて暗い」現実から軽やかでまぶしいオアシスに逃げ場を求めていきました。しかし、実は、彼はオアシスでの強い刺激を受け続けていることで脳が消耗してしまい、現実が「重くて暗い」ようにますます見えてしまっているという解釈もできるでしょう。ここで、皆さんに考えていただきたいことがあります。それは、ゲームが、冒頭でもご紹介したeスポーツとしてスポーツ大会の種目の1つになったり、学校の部活動になるのは良いと言えるでしょうか? 答えは、ノーです。なぜなら、スポーツの理念(スポーツ基本法)の1つが健康になることであるという点で、ゲームは不健康になるリスクがあまりにも高いからです。もちろん、従来のスポーツもトレーニングをしすぎて体を壊すということはありえます。ただし、決定的な違いは、ゲームは刺激性や依存性があることです。そして、それによって「脳を壊す」おそれが著しく高いことです。そのゲームが従来のスポーツと並んでしまうと、あたかも健康的なイメージを子供にも植え付けてしまいます。ゲーム会社のマーケティング戦略に完全に取り込まれているように思われます。やはり、望ましいのは、ゲームは「eスポーツ」とは名乗らないこと、そしてゲームは「ゲーム大会」として従来のスポーツ大会とは区別し、別々に開催されることです。(3)気疲れしやすくなる -ストレス脆弱性先ほどご紹介した安全感が保たれることは、逆に言えば、ストレスフリーの時間が増えることになります。ストレスとは、相手からどう見られるか緊張したり、相手が何を考えているか察知し、状況により我慢するなど、周りの空気を読む意識的な労力です(社会脳)。また、外界で複雑に絡み合ってざわざわと揺らいでいる音や光などの感覚刺激の無意識的な情報処理です(デフォルトモードネットワーク)。すると、どうなるでしょうか?3つ目の特徴は、気疲れしやすくなります(ストレス脆弱性)。体を動かさないで鈍るのと同じように、頭も動かさないで鈍っている状態です。たとえば、人混みが耐えられなくなったり、初対面の相手に極度に緊張したり、雑談ができなくなったり、逆に、言われたことを過剰に気にするようになることです。これは、ちょうど同じく社会的参加のストレスを避けた「社会的ひきこもり」の精神状態に似ています。ウェイドは、オアシスで、アルテミスとイケイケのダンスをして体を密着させていたのに、現実の世界で会った時はキスするのをためらっていました。これは、もともと彼が奥手であったということに加えて、生身の人間と触れ合うことに緊張しやすくなっていたという解釈もできるでしょう。ゲーム依存症になりやすい人は? ―リスクそれでは、ゲーム依存症になりやすいのは、どんな人でしょうか? そういう人を特徴と状況に分けて、ゲーム依存症のリスクを考えてみましょう。(1)特徴特徴、つまり個人因子としては、主に2つあげられます。a.探究心が強いウェイドは、宝探しのヒントが、オアシスの開発者の言動にあるとひらめき、オアシスの博物館に何度も通い、探し求めます。1つ目の特徴は、探究心が強いことです(新奇性探求)。それを、ゲームが達成感として手軽に満たしてくれます。これは、ADHDとの関連が強いです。その特性としては、興味のあることに飛び付きます(衝動性)。一か八かの勝負事が好きで、スリルと興奮を追い求めます(衝動性)。ひらめきなどの発想の転換が早く、アイデアマンの素質もあります(多動性)。また、ADHDの気の早さ(衝動性)や気の多さ(多動性)と同時に見られる気の散りやすさ(不注意)が、ゲームをすることで改善し、一時的に注意力や集中力が高まることです。そもそもADHDは前頭葉のドパミンの働きが弱いです。そのため、ゲームをすることは、ADHD治療薬と同じようにドパミンの働きを活性化させます。ゲームが、あたかもADHDの自己治癒行動になっています。b.内気であるオアシスの開発者のハリデーは、「オアシスをつくったのは、現実世界はどうにも居心地が悪かったからなんだ」「周りの人たちと、どうつながっていいか分からなかった」「ずうっとびくびくしながら生きてきた」と言っています。現実のハリデーがおどおどしている一方で、オアシスでのアノラック(ハリデーのアバター名)は、堂々として威厳があります。2つ目の特徴は、内気であることです(回避性)。それを、ゲームが安心感として満たしてくれます。これは、社交不安、回避性パーソナリティ、そして自閉症スペクトラムとの関連が強いです。とくに自閉症スペクトラムの特性は、周りの空気を読むのが苦手であることです(社会的コミュニケーションの低さ)。これが、ゲームの中では目立たなくなります。そのわけは、コミュニケーションの目的や手段は、現実の世界では曖昧で複雑である一方、ゲームの中では明確で単純だからです。また、興味のあることには、のめり込みます(こだわり、過集中)。特性であるこだわりが生かされているとも言えます。さらに、自閉症スペクトラムの別のこだわりである音や光、肌触りへの敏感さ(感覚過敏)が、ゲームの環境では、調節・遮断することができるため、快適になることです。(2)状況状況、つまり環境因子としては、主に2つあげられます。a.居場所がないウェイドの両親は早くに病死しているため、ウェイドは叔母さんとその恋人の家に居候し、とても肩身の狭い思いをしています。1つ目の状況は、居場所がないことです(自尊心の低さ)。それを、ゲームが連帯感として満たしてくれます。これは、反応性愛着障害や境界性パーソナリティとの関連が強いです。自分を大切にしてくれるつながり(愛着対象)がないため、それを極度に欲してしまいます。また、自尊心の低さは、社交不安や回避性パーソナリティの根っこにもなっています。b.ストレスがたまっているウェイドは、叔母の恋人から暴力を振るわれ、叔母さんからは「あんたも出ていきな」と言われ、家出してから3日間、ゲーム漬けになっています。2つ目の状況は、ストレスがたまっていることです(ストレス負荷)。それを、ゲームが達成感、連帯感、安心感のある逃げ場として満たしてくれます。これは、適応障害やPTSDなどのストレス障害との関連が強いです。最近の研究では、トラウマなどのストレス体験を脳に記憶させることをある程度阻害するために、その体験から6時間以内にコンピューターゲームのテトリスをやり続ける予防策が提唱されています。まさにストレス解消法です。ゲームが、あたかもストレス障害の予防行動になっています。なぜゲームは「ある」の?そもそも、なぜゲームは「ある」のでしょうか? ここから、ゲームの起源を進化心理学的に考えてみましょう。そして、ゲームの三大要素に重ねてみましょう。(1)コミュニケーションをするため -相手約2億年前に哺乳類が誕生し、生まれてからより多くの記憶を学習する脳を進化させました。たとえば、ネズミは、相手のネズミと上になったり下になったりするじゃれ合いをします(プレイ・ファイティング)。また、犬は、相手の犬に頭を下げてお尻を上げて尻尾を振るあいさつ遊びをします(プレイ・バウ)。それらは、人間の1歳児から好まれる、体が触れ合うじゃれ合いや「グーチョキパーでなにつくろう」「てをたたきましょう」などの手遊びに通じます。ゲームの起源の1つ目は、コミュニケーションです。相手との相互作用によって、身体感覚を発達させ、あいさつをはじめとするコミュニケーションを学習するようになったと考えられます。ゲームの三大要素の1つに重ね合わせると、コミュニケーションとして相手がいることです。相手とは、ゲームでいう対戦相手、競争相手、つまり敵に当たります。さらには、チームメイト、協力関係の相手、つまり味方も当てはまります。(2)トレーニングをするため -ルール約700万年前に人類が誕生し、約300~400万年前に相手の気持ちをくむ脳を進化させました(社会脳)。それは、2歳児から好まれる「おままごと」などのふり遊び、見立て遊び、ごっこ遊びに当たります。そして、約10~20万年前に喉の構造を進化させ、言葉を話すようになり、抽象的な思考ができるようになりました。それは、現代の4歳児から好まれる「鬼ごっこ」「カード遊び」などのルール遊びに通じます。ゲームの起源の2つ目は、トレーニングです。ルール遊びを理解することを通して、社会生活のルールの学習をトレーニングとして積み重ねるようになったと考えられます。ゲームの三大要素の1つに重ね合わせると、トレーニングとしてルールがあることです。ルールとは、ゲームでいう武器を揃えることや戦略に当たります。(3)シミュレーションをするため -勝ち負け約1万数千年前に農業革命が起こり、人間は、食料という富を蓄積し、定住するようになりました。すると、部族同士の縄張り争いや略奪、つまり戦争が頻発するようになりました。また、食料の取り置きが可能になったため、時間の余裕ができるようになりました。その暇つぶしや娯楽として、戦いのまねごと、シミュレーションをするようになったでしょう。それは、現代の大人からも好まれるスポーツなどの競技に通じます。ゲームの起源の3つ目は、シミュレーションです。競技で勝ち負けの結果を重視することを通して、実際の社会生活をうまく切り抜けるシミュレーションの能力を発達させるようになったと考えられます。ゲームの三大要素の1つに重ね合わせると、シミュレーションとして勝ち負けがあることです。勝ち負けとは、ゲームでいう得点、生死、結果に当たります。このように、ゲームが「ある」のは、コミュニケーション、トレーニング、そしてシミュレーションをして、生存や生殖に有利になる手段として発達したからと言えます。人類は、「ホモサピエンス」(賢い人)と呼ばれますが、それだけでなく、「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)とも呼ばれています。これは、遊びという現実から離れた想像力を持つ人類という意味です。ただし、その想像力の賜物(たまもの)であるゲームが、これからの技術革新によって、生活を支える手段を超えて、生活(人生)のすべて、つまり目的そのものになってしまう時代に来ています。どうすれば良いの?それでは、そんな生活と結び付きを強めるゲームの特徴を踏まえて、ゲーム依存症にどうすれば良いのでしょうか? その対策を主に3つ挙げてみましょう。(1)オフラインの時間を設ける ―ゲームの制限ウェイドは、オアシスの運営者となり、新しい取り組みを進めます。彼は、「3つ目の変更はいまいちウケなかったけど、火曜日と木曜日はオアシスを休みにしたんだ。」「人には現実で過ごす時間も必要だよ」と言っています。1つ目の対策は、オフラインの時間を設ける、つまりゲームの制限です。たとえば、韓国では、オンラインゲームをするためのIDが必要で、ユーザーが16歳未満の場合は、0時から6時までオフラインになるシャットダウン制が設けられています(「シンデレラ法」)。個人だけでなく、家族や社会としての取り組みも重要になるでしょう。たとえば、家族全員でオフラインにする時間帯を設定するなど家族の一体感も利用できます。また、オフラインによる制限の程度は、アルコール依存症や薬物依存症などの物質の依存症と、過食嘔吐(摂食障害)や抜毛症や自傷行為(境界性パーソナリティ)などの行動の依存症の中間であると考えることができます。もちろん、ゲームをアルコールや薬物のように完全に断つ制限ができれば一番良いです。たとえば、それは、ゲームのメインアカウントを消去すること、刺激(キュー)となる通知も来ないようにすることです。しかし、ゲームは、デジタル機器との結び付きが強く、食べること、毛を抜くこと、リストカットをすることと同じくらい身近に溢れ手軽にできてしまう行動です。そのため、まず日常生活に差し障らない上限のお金や時間を決めて制限するのが現実的でしょう(ハームリダクション)。(2)現実の世界で社会生活をする ―「リアル」な体験ウェイドは、現実の世界で、サマンサ(アルテミスの実名)に「ここってゆっくりだね。風も人も」と言います。サマンサの住まいは自然の緑に囲まれており、オアシスの無機的な世界とのギャップに気付かされ、見ている私たちもほっとします。ラストシーンで、オアシスの開発者のハリデーはウェイドに「ようやく分かったんだよ。確かに現実はつらいし、苦しいし」「でも、唯一、現実の世界でしか、うまい飯は食えないってな。なぜなら、現実だけがリアルだから」と言っています。2つ目の対策は、現実の世界で社会生活をする、つまり「リアル」な体験です。つまり、ただゲームをしなければ良いというわけではなく、もともと人間に必要な社会生活を十分にすることです。なぜなら、私たちの脳は、原始の時代から大きく変わってはいないからです。そのために、ゲーム以外の、たとえば、相手に直接会ったり、スポーツをするなど、ゲームの代わりになる達成感や連帯感をあえて見いだし、安心感のない適度なストレスをあえて味わうことです。(3)子供に予防する ー低年齢化の予防ハリデーの子供時代、テレビゲームばかりしている様子が当たり前のように映し出されます。3つ目は、子供に予防する、つまり低年齢化の予防です。たとえば、使用時間帯と使用時間制限を書面にするなど、親子でルール作りをする取り組みです(ペアレンタル・コントロール)。フィルタリング機能やタイマー機能を駆使することもできます。同時に、先ほど触れたように、ほかの「リアル」な体験を一緒にすることです。学校や病院などの理解者、第三者を介入させるのも一案です。子供の予防対策が重要な理由は、ゲームの開始年齢が早いほど、ゲーム依存症の発症リスクが上がることが分かっているからです。子供の脳は、大人よりも刺激に敏感で、影響を受けやすいです(可塑性)。そして、影響を受けたら、大人よりも回復しにくいです。だからこそ、より刺激(嗜癖性)の強い、アルコールとタバコは20歳から、パチンコやポルノは18歳からと法律的に制限されています。ちなみに、スマートフォンのアプリでぐずる乳児をあやす、いわゆる「スマホ育児」は、どうでしょうか? とても危ういです。なぜなら、乳児には刺激が強すぎるからです。実際に、日本小児科医会からは「スマホに子守りをさせないで!」というポスターが出され、問題の提言がされています。現時点で、子供へのスマートフォンは制限されていないので、実質0歳から見せることができます。タバコは、麻薬へのゲートウェイ・ドラッグと言われます。「スマホ育児」は、ゲーム依存症への「ゲートウェイ・デジタルドラッグ」と言えるかもしれないです。よって、子供に早くからその「味」を覚えさせない取り組みが重要になります。そういう意味では、今後の社会的な取り組みとしては、刺激の強いゲームの宣伝を規制することになるでしょう。これは、ゲーム依存症の特徴でも触れたように、子供をなるべくゲームの刺激にさらさないことです。海外で映画の喫煙シーンがR指定になっているように、手がかり刺激(キュー)への反応性を高めなくするためです。私達の未来の生き方は? ―「幻」か「リアル」かパーシヴァルが「オアシスでは、結婚もできるし、離婚もできる」と説明するシーンがあります。その後、「オアシスで現実の世界で見つけられないものをやっと見つけた。生きがいとか。友達とか。愛も見つけた」とオアシスの住人に高らかに語るシーンもあります。彼はオアシスで大まじめで苦労もしています。自分は頼りにされていると実感もしています。オアシスで生きることが、人生そのものになっています。ストーリーの中では、現実の世界とうまくつながり、ハッピーエンドになりました。しかし、もしその達成感や連帯感、そして苦労さえもが、AI(人口知能)によって本人に都合良く作られたものだったらどうでしょうか?その答えに近いことをアルテミス(サマンサ)が答えています。彼女は、パーシヴァルに「あんたが見てるのは、私が見せたいと思ってる私」「私の夢に恋してるの」「あんたはリアルの世界に生きてない」「あんたが生きてるのは幻の中」と言い放っています。サマンサの父親は、課金による借金で強制労働をさせられて、現実の世界で死んでいました。彼女は、その敵討ちのためにオアシスの宝探しレースに参加していたのでした。彼女は、実は駆け引きに長けた現実主義者なのでした。ゲームと現実の世界の決定的な違いは、「幻」か「リアル」かです。「リアル」とは、単に食べ物が美味しい、セックスが気持ち良いだけでなく、仕事や人間関係がうまくいかないで逃げ出したくなる生々しい苦しさや葛藤も含まれます。そして、その「リアル」な苦労があるからこそ、些細な喜びにも意味を見いだせます。そして、苦労するからこその「リアル」な人間的成長があります。たとえば、山頂まで自分で登るのと、VRゴーグルを着けて空を飛んで登った気分になるのとでは、山頂に立つ喜びの「味」やそれを感じる「舌」の感度がまったく変わってくるということです。現在のゲームでも、時間とお金をかければ、自分に都合の良い理想の親友、パートナー、そして子供をつくることができます。それは、ユーザーが満足することを最優先にした「友情ごっこ」「恋愛ごっこ」「子育てごっこ」というコンテンツです。そこに、「リアル」な苦労はありません。その「幻」をどこまで生活(人生)の一部にするかです。つまり、「幻」をどこまで「リアル」の代わりとして望むかということです。私たちの未来の生き方が問われてきます。その生き方を見極めるために、3つの価値観を考えてみましょう。(1)「こうでなければならない」1つ目は、「こうでなければならない」という価値観です。これは、これまでの社会の価値観です。その社会構造としては、貧富の格差がありました。これは、約1万数千年前の農業革命によって生まれ、200年前の産業革命によって広がりました。その社会を生き残る個人の価値観としても、たとえば「親や先生の言うことを聞かなければならない」「友達と仲良くしなければならない」「勉強しなければならない」「仕事をしなければならない」「出世しなければならない」「結婚して子供を生まなければならない」「子育てをしなければならない」「子供を良い学校に行かせなければならない」「親の介護をしなければならない」という義務感がありました。そこには、親をはじめとする社会の同調圧力が個人に対して機能していました。同時に、その価値観に従ってさえいればうまくいくので、個人としても、あまり深く考えなくても良かったのでした。良く言えば、受け身で生きていれば良かった時代でした。(2)「どうであっても良い」ところが、時代が変わりつつあります。20世紀後半の情報革命により、社会よりも個人に重きがますます置かれるようになりました。「かけがえのない自分」「特別な存在」という自意識を根っこに、忍耐や自己犠牲よりも、個性や自己実現が尊ばれるようになりました。このような多様化した社会では、もはや「こうでなければならない」という価値観は通じにくくなります。そして、AI(人口知能)の登場です。貧富の格差を生み出す「面倒な仕事」がすべてAI化されたら、社会はどうなるでしょうか?2つ目は、「どうであっても良い」という価値観です。これは、これからの社会の価値観になるでしょう。2040年頃に「シンギュラリティ(技術的特異点)」というAIが人間の知能を超える転換点を迎えると言われています。その頃には、「生活革命」が起きるでしょう。それは、人間が何もしなくても生活(人生)が送れることです。ストーリーの設定である2045年のオアシスのように、「食う、寝る、遊ぶ(VRの世界で過ごす)」という生活が現実になるでしょう。この点で、現代の「ひきこもり」は、未来の生活を先駆けていると言えるかもしれません。彼らがますます増えているのも、彼らこそが時代の最先端だからとも言えるかもしれません。(3)「こうありたい」ただし、果たしてその生活は自分が望んでいるものでしょうか? 仕事をしないで遊んで暮らせているから、得しているようにも見えます。しかし、実はその分、何かを失って損しているかもしれないです。その生活は、安楽かもしれませんが、退屈で楽しくないかもしれません。なぜなら、やはり「リアル」な苦労をしていないからです。たとえば、それは、「友達とけんかする」「第一志望の学校に落ちる」「がんばっても仕事がうまく行かない」「交際相手から振られる」「夫婦喧嘩をする」「子供の夜泣きで眠れない」「子供が反抗期になる」「親が認知症になる」などの生々しい人生経験です。これらの「リアル」な苦労をしてこそ得られる人間的成長やそれを乗り越えた時の喜びがあります。なぜなら、先ほどにも触れましたか、私たちの脳は、ほとんど原始の時代のままだからです。原始の時代の環境と同じく、苦労することもセットであってこそ脳は恒常性(ホメオスタシス)を保つからです。ちょうど飽食の現代だからと言って食べ過ぎたりお酒を飲み過ぎたりすると、また便利な時代だからと言って運動不足になると不健康になるのと同じです。AIの時代だからと言って、ストレスフリー、つまり「ストレス不足」になると、不健康になるとも言えるでしょう。それでは、ストレスフルながらも人間的成長やその喜びを得るための価値観とは何でしょうか?3つ目は、「こうありたい」という価値観です。たとえば、けんかしながらも相手の気持ちに思いをはせることで、相手のことをより深く理解できるようになります。雑務を含め自分が最初から最後までかかわった仕事だからこそ思い入れや、やりがいを感じます。腹を立てながらも粘り強く子供の面倒を見ることで子供への愛情が深まり、そして子供からの愛着も深まります。逆に言えば、AIを相手にしていたら、「リアル」なコミュ力は高まりません。AIに仕事を任せたら、仕事をこなす能力も思い入れも高まりません。AIに子育てを任せたら、子供が懐くのはAIであり、自分ではなくなるかもしれません。つまり、自分が納得して「こうありたい」と主体的に思う気持ちが重要になっていきます。そして、その程度は、人それぞれになっていくでしょう。それは、未来の社会構造を大きく揺るがす、文化の較差と言えます。進化心理学的に言えば、受け身なままで安楽に生きれば、遺伝子(ジーン)も文化(ミーム)も残せません。残す人が、その先の未来をつくります。つまり、何をしたいか、何を与えたいか、そして何を残したいかは自分次第であることをますます問われる時代になってきました。そして、どういう自分になりたいか、どういう生き方を子供(次の世代)に伝えたいか、そしてどういう社会をつくっていきたいかを考えさせられます。「レディプレーヤー1」とは?「レディプレーヤー1」とは、初期のテレビゲームの最初に表示される「プレーヤー1、準備を」という意味です。原作者の思い入れからタイトルとされました。これを先ほどの3つの生き方に重ね合わせると、かつて人生はプレーヤーの1人としてクリアすべきという価値観がありました。つまり、人生は苦労しなければならないという考え方です。今や、人生はプレーヤー1(主役)として好きに生きていける価値観が広がりつつあります。これは、人生は苦労しなくても良いという考え方です。そして、その先は、「リアル」な人生のプレーヤー1(主役)としての「レディ」(心構え)をより意識する価値観が生き残ると言えるでしょう。つまり、人生は苦労したいという考え方です。この映画から、「リアル」な人生という苦労する「ゲーム」を通して、今、その瞬間の苦労をあえて買って出る、その苦労に意味付けをすることの大切さに気付くことができるのではないでしょうか? そして、「幻」への受け身ではなく、「リアル」への働きかけの大切さをより学ぶことができるのではないでしょうか?■関連記事(外部サイト含む)2019年サンプルスライド「嗜癖性障害」「カイジ」と「アカギ」(前編)【ギャンブル依存症とギャンブル脳】酔いがさめたら、うちに帰ろう。(前編)【アルコール依存症】酔いがさめたら、うちに帰ろう。(後編)【アルコール依存症】だめんず・うぉ~か~【共依存】1)スマホゲーム依存症:樋口進、内外出版社、20182)インターネット・ゲーム依存症:岡田尊司、文春新書、20153)進化発達心理学―ヒトの本性の起源:D.F.ビョークランドほか、新曜社、2008

3352.

低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性

 多くのアルツハイマー病(AD)患者は、食物摂取不良や食欲不振を経験し、認知障害の進行を加速させる。これまでのいくつかの報告によると、リバスチグミンがAD患者の食欲を改善させることが示唆されている。香川大学の角 徳文氏らは、AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性について検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月12日号の報告。リバスチグミンパッチはAD患者の食物摂取不良や食欲不振を改善させる可能性 対象は、「AD患者の食物摂取に対するリバスチグミンの効果に関する研究(Attitude Towards Food Consumption in Alzheimer's Disease Patients Revive with Rivastigmine Effects study)」にて募集した、食欲不振または不十分な食物摂取のいずれかを経験したAD患者。対象患者に、リバスチグミンパッチを16週間使用した。患者の食物摂取量、体重、MMSEスコア、すべての有害事象を調査した。 AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性を調査した主な結果は以下のとおり。・AD患者38例(年齢:86.2±5.4歳)を調査した。・ベースライン時の平均MMSEスコアは、10.1±7.0であった。・リバスチグミンパッチ使用1週目で、食物摂取量(54.9±98.0g、p<0.01)および食物摂取率(9.3±17.6%、p<0.01)の増加が認められ、試験期間を通じて維持された。・多重線形回帰分析では、独立変数が食物摂取量または食物摂取率と有意な関連を示さなかった。・MMSEスコアのより高い群では、食物摂取量に変化傾向が示されたが、統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。 著者らは「リバスチグミンパッチは、AD患者の食物摂取不良や食欲不振を改善させる可能性があることが示唆された」としている。■関連記事アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性はコリンエステラーゼ阻害薬を使用した新規認知症患者における抗コリン作用の影響AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは?

3353.

アルツハイマー型認知症の薬はうたかたの夢か(解説:岡村毅氏)-1030

 私たちの世代はアルツハイマー型認知症の薬の恩恵にはあずかれない。いつかは実現するかもしれないし、そう願うが、現実を見つめよう。 本論文は、アルツハイマー型認知症について広く信じられているアミロイド仮説(「アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ」)に基づくものだ。つまりアミロイドをつくる酵素(BACE)を阻害する物質が、治療薬となるのではという考え方であった。しかし、本欄でも過去に紹介したように、すでに認知症になっている人に対して行われた研究では効果は見られなかった(「認知症の薬はいったいいつできるのか? バプティスト史観から」)。 すでに認知症になってからでは遅いのだ、発症する前(症状はないがアミロイドは増えている段階)ではきっと効果があるはずだ、というのが今回の論文の考え方である。しかし、結果はまったく効果がないというものであった。 これまでの連載を見返してみたところ、ダメでした、ばかり書いてきたようだ。セロトニン受容体拮抗薬(「新薬が出ない世界で(1)」)、アミロイド抗体(「新薬が出ない世界で(2)」)、タウ凝集阻害剤(「新しい戦略に基づく認知症新薬開発ものがたり」)が敗北してきた。最近もエーザイによる期待の新薬が失敗であったことが報じられたばかりである(2019年3月22日付 日本経済新聞 電子版)。 とはいえ、実はここまでは専門家には常識であろう。ではここからどう考えるのか? 1つはサイエンスとしての認知症学である。アルツハイマー型認知症では、事実としてアミロイドがたまっている。また死後脳の研究や、アミロイドイメージングの研究では症状の進行と、アミロイドの広がり(Braakステージ)が関連している。であれば、アルツハイマー型認知症の病理とアミロイドが関連していると考えるのが自然である(アミロイド仮説)。そして創薬は目と鼻の先だと誰もが思った。しかしアミロイドに介入することが、効果を上げない。専門家が密かに持っていた恐ろしい疑念―アミロイドは原因ではなく結果ではないか―があらわになりつつある。 今や悲観論が基調であるが、精神科医としてはバランス思考を心掛けたいものである。巨大製薬企業が文字通り命(社運)を懸けて行った根本治療薬の創薬は、まったく利益を生まない純粋な社会貢献となり、確実に私たちを次のステージへと導いたと考えよう。私たちは無理だが未来の世代が恩恵にあずかれるように、創薬に携わる人々を支援したいものだ。 もう1つは人文の学としての認知症学である。長寿の実現により高齢期は伸長し、認知症とともに生きることが普通になった。もしも90歳で認知機能がゆっくり低下していくことが病気であり不幸ならば、私たちは長生きしてみんな不幸になるわけだ(そんな世界は正しくないよね?)。そもそも幸福とは何か、しばし立ち止まって考える時期であろう。

3354.

境界性パーソナリティ障害に対する集団精神療法のメタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)治療ガイドラインでは、必須とはいかないまでも、患者ケアの重要な要素として精神療法を推奨している。米国・Rawson-Neal Psychiatric HospitalのStephanie P. B. McLaughlin氏らは、BPDに対する集団精神療法と通常治療(TAU)を比較したランダム化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 グループおよび患者の特性、バイアス変数リスク、TAU比較条件の治療要素(精神療法が含まれるかどうかなど)に基づくアウトカムの違いを調査するため、モデレーター分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした研究は、24件(1,595例)であった。・集団精神療法は、BPD症状の軽減に大きな効果を示し(g=0.72、95%CI:0.41~1.04、p<0.001)、自殺念慮/自殺未遂行為に中程度の効果を示した(g=0.46、95%CI:0.22~0.71、p<0.001)。・両アウトカムともに不均一性が高く(それぞれ、I2:76%、70%)、治療ストラクチャ-とBPD症状、理論的手法と自殺念慮/自殺未遂行為の間に関連性が見いだされた。・また、グループの規模とBPD症状および自殺念慮/自殺未遂行為との間にも関連性が認められた。・副次的アウトカム(不安、うつ病、メンタルヘルス)に対する集団精神療法の効果は、小~中程度であった。 著者らは「不均一性についてはさらなる説明が必要であるとしながらも、BPDに対する集団精神療法は、TAUと比較し、より大幅な症状改善が期待できる」としている。■関連記事境界性パーソナリティ障害治療の現状境界性パーソナリティ障害の長期臨床経過に関するメタ解析境界性パーソナリティ障害発症、親子関係が影響

3355.

小児におけるリスペリドン使用関連有害事象

 リスペリドンは、小児の行動障害によく使用されるが、この集団における薬剤関連有害事象の定義は、あいまいである。米国・ヴァンダービルト大学のKazeem A. Oshikoya氏らは、リスペリドン治療を受けた小児における有害事象発生率およびリスク因子について検討を行った。Drugs-Real World Outcomes誌オンライン版2019年3月27日号の報告。 ジェネラリストおよび小児科専門医が所属する学術医療センターで、4週間以上のリスペリドン治療を受けた18歳以下の患者を対象とした。非特定化された電子健康記録よりデータを収集した。有害事象は、患者または親/保護者からの報告および、医師による発見もしくは研究室でのフォロー中に検出された、リスペリドンに起因する害のあるあらゆるイベントと定義した。有害事象と臨床変数との関連は、単変量および多変量解析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、371例(年齢中央値:7.8歳[四分位範囲:5.9~10.2]、男児:271例[73.0%])であった。・最も一般的な診断は、注意欠如多動症(160例[43.1%])と自閉症(102例[27.5%])であった。・リスペリドンのターゲット症状は、攻撃性(166例[44.7%])および問題行動(114例[30.7%])であった。・有害事象は、110例(29.6%)で156件認められた。・そのうち、最も一般的な有害事象は、体重増加(32件[20.5%])および錐体外路症状(23件、14.7%)であった。・攻撃性、過敏性、自傷行為は、有害事象と正の相関が認められ、鎮痛薬と抗菌薬の併用と負の相関が認められた。・多変量解析では、この関連性は、自傷行為(調整オッズ比:3.1、95%CI:1.7~5.4)および抗菌薬の併用(調整オッズ比:0.2、95%CI:0.1~0.9)において有意なままであった。 著者らは「1ヵ月以上のリスペリドン治療により、小児の3人に1人が1つ以上の有害事象を経験した。自傷行為を有する小児では、とくに注意が必要である」としている。■関連記事小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析自閉スペクトラム症とADHDを有する小児における不安障害と気分障害第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

3356.

父親の年齢と統合失調症や双極性障害との関連

 これまでの研究では、出産時の父親の高齢化と統合失調症や双極性障害のリスク増加との関連が報告されていた。この関連は、父親の精子におけるデノボ突然変異によって引き起こされるとする仮説や、高齢時に子供持つ父親の心理社会的特徴に関連するともいわれている。イスラエル・Chaim Sheba Medical CenterのMark Weiser氏らは、これらの仮説について検証を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年3月4日号の報告。 イスラエルのドラフトボードレジストリ、精神科入院レジストリよりプロスペクティブ集団ベースコホート研究を行った。対象者数は、統合失調症患者4,488例、双極性障害患者883例を含む91万6,439例。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、ロジスティック回帰モデルを用いて算出し、予測因子として父親の年齢、アウトカム尺度として統合失調症または双極性障害による入院リスクを使用した。分析モデルは、最初は未調整で行い、次に長子誕生時の父親の年齢で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・未調整モデルでは、出産時の父親の年齢が45歳以上だと、子供の統合失調症(OR:1.71、95%CI:1.49~1.99)および双極性障害(OR:1.63、95%CI:1.16~2.24)のリスクが高かった。・しかし、長子誕生時の父親の年齢を考慮すると、父親の高齢化は、統合失調症(OR:0.60、95%CI:0.48~0.79)または双極性障害(OR:1.03、95%CI:0.56~1.90)のリスク増加と関連が認められなかった。 著者らは「父親の高齢化と子供の統合失調症および双極性障害リスクとの関連は、父親となる年齢の遅れによる心理社会的要因または一般的な遺伝変異によることが示唆された」としている。■関連記事統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか親の年齢とてんかんリスクに関するレジストリベース調査統合失調症、双極性障害の家族特性を検証

3357.

肉の摂取頻度が認知症リスクと関連

 これまで、食物摂取と認知症リスクとの関連は、初発症状バイアス(逆因果関係)の可能性を考慮して研究されていなかった。フランス・モンペリエ大学のLaure Ngabirano氏らは、肉、魚、果物、野菜の摂取頻度と認知症やアルツハイマー病(AD)の長期リスクとの関係について、初発症状バイアスを考慮して検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2019年号の報告。 12年間に2~4年ごとのフォローアップを行ったThree-city studyより、65歳以上のボランティア5,934例のデータを分析した。食物摂取は、簡潔な食物摂取頻度アンケートを用いて評価した。各フォローアップ時に、認知症症状の有無を調査した。初発症状バイアスリスクを制限するため、データの組み入れから最初の4年間に発生したすべての認知症症例を分析から除外した。社会人口統計、生活様式、健康要因で調整した後、Cox比例ハザードモデルを用いて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均フォローアップ期間は、9.8年であった。・フォローアップ期間中の認知症発症者数は、662例であった(AD発症者数466例を含む)。・調整後、肉の摂取が少ないこと(1回以下/週)だけが、通常の摂取(4回以上/週)と比較し、認知症(HR:1.58、95%CI:1.17~2.14)およびAD(HR:1.67、95%CI:1.18~2.37)のリスク増加と関連が認められた。・魚、果物、野菜の摂取と認知症またはADリスクとの間に関連性は認められなかった。 著者らは「肉の摂取がかなり少ないと、認知症やADの長期リスクを増大させることが示唆された。これまでの研究からの知見は、初発症状バイアスが影響を及ぼした可能性がある」としている。■関連記事日本食は認知症予防によい:東北大魚を食べると認知症は予防できるのか日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは?

3358.

失業と不眠症との関連

 順天堂大学の前田 光哉氏らは、雇用形態と不眠症関連症状との関連について調査を行った。Industrial Health誌オンライン版2019年3月27日号の報告。 日本の国民生活基礎調査2010のデータより、20~59歳の4万3,865人の匿名データを分析した。雇用形態は、正規雇用、非正規雇用、自営業、その他、失業者、非労働力の6カテゴリで定義した。不眠症関連症状の性別特異的オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、交絡因子で調整した多変量ロジスティック回帰分析を用いた。さらに、精神疾患、喫煙状況、年齢による層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・男性における不眠症関連症状の多変量ORは、失業者で2.5(95%CI:1.8~3.4)、非労働力で2.1(95%CI:1.2~3.7)であった。・女性における不眠症関連症状の多変量ORは、失業者で1.9(95%CI:1.5~2.5)であった。・精神疾患で層別分析を行ったところ、この関連性は、精神疾患のない人において、より明確であった。なお、喫煙や年齢との関連性は認められなかった。 著者らは「失業または非労働力男性において、不眠症関連症状の有意に高いORが認められた。そして、この関連性は、精神疾患のない人において、とくに明確であった」としている。■関連記事仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学仕事の早期リタイアは認知症リスクを高める

3359.

認知症症状がある元NFL選手、脳内タウ増加が判明/NEJM

 認知症・精神神経症の症状が認められる元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手について、脳内のタウなどを可視化するPET検査を行ったところ、症状のない男性コントロール群と比較して、慢性外傷性脳症(CTE)部位のタウ蓄積量はより多く、アミロイドβ蓄積量は同程度であることが示されたという。米国・ボストン大学のRobert A. Stern氏らによる検討結果で、NEJM誌2019年4月10日号で発表された。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CTE部位のタウ蓄積量上昇が、個々の患者で、検出に役立つかどうかを調べる必要がある」と述べている。SUVRと症状の程度、選手活動期間との関連を検証 研究グループは、タウのイメージング製剤flortaucipirと脳アミロイドイメージング製剤florbetapirを用いたPET検査を、認知症・精神神経症症状が認められる元NFL選手(26例)と、CTE歴のない無症状の男性(コントロール群、31例)に対し、それぞれ実施した。 自動画像処理アルゴリズムを用いて、脳局所のタウ標準蓄積率(standardized uptake value ratio[SUVR]、対小脳比で算出)を測定し、両群で比較した。SUVRと症状重症度との関連や、元NFL選手については選手としての活動期間との関連を検証した。タウ蓄積量は増加、アミロイドβ蓄積量増加みられず タウイメージング製剤flortaucipir SUVR平均値は、脳内3部位において元NFL選手群がコントロール群より高く、両側上前頭回では元NFL選手群が1.09に対しコントロール群が0.98(補正後平均群間差:0.13、95%信頼区間[CI]:0.06~0.20、p<0.001)、両側内側側頭葉が1.23 vs.1.12(0.13、0.05~0.21、p<0.001)、左頭頂部が1.12 vs.1.01(0.12、0.05~0.20、p=0.002)だった。 探索的解析の結果、元NFL選手の活動期間とこれら3部位のflortaucipir SUVR平均値の相関係数は、それぞれ0.58(95%CI:0.25~0.79)、0.45(0.07~0.71)、0.50(0.14~0.74)だった。 タウ蓄積量と認知症・精神神経症症状スコアとの関連は、認められなかった。さらに、元NFL選手のうち、アルツハイマー病の患者と同レベルのアミロイドβ蓄積量が認められたのは、1例のみだった。

3360.

若年性認知症の生存率に関するコホート研究

 若年性認知症患者の生存期間や平均余命、また年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係について、オランダ・Centre for Elderly CareのAdrie A. J. Gerritsen氏らが、調査を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月27日号の報告。 対象は、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症(VaD)、前頭側頭型認知症(FTD)患者を含む、若年性認知症のニーズ調査に参加した198例。主要アウトカムは、症状発現後および診断後の生存期間とした。生存率と年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係を調査するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、平均余命への影響も調査した。 主な結果は以下のとおり。・6年のフォローアップ期間中に、77例(38.9%)が死亡、78例(39.4%)が生存、43例(21.7%)が調査から脱落した。・平均生存期間は、発症後では209ヵ月(95%CI:185~233)、診断後では120ヵ月(95%CI:110~130)であった。・AD患者の生存期間は、VaD患者と比較し、統計学的に有意に短かった(発症後生存率:p=0.047、診断後生存率:p=0.049)。・発症および診断時の年齢が若いほど、生存期間は長かった。・診断後の平均余命は、同年齢層において一般集団と比較し、男性で51%、女性で59%低下していた。 著者らは「若年性認知症患者やその家族に対し生存予後を告知する際、認知症サブタイプを考慮することが重要である。本研究における生存期間は、若年性認知症に関する他の研究よりも長く、老年期認知症に関する研究よりも延長していた。発症および診断時の年齢の若さは、生存期間と正の相関が認められているが、若年での診断は、それにもかかわらず、平均余命を劇的に短くする」としている。■関連記事日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学日本人若年性認知症、診断1年後の離職率はレビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

検索結果 合計:5819件 表示位置:3341 - 3360