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新精神作用物質使用患者における臨床症状の変化

 新精神作用物質(NPS)の使用は、国内外を問わず広まり続けている。NPSは、より深刻な臨床的、公的および社会的な問題と関連している。日本におけるNPSの影響を改善するための政治的な措置は、治療法を確立することではなく、規制を厳しくすることに焦点が当てられてきた。現在の研究では、数年にわたるNPS関連疾患を有する患者の精神症状を比較しようとしている。国立精神・神経医療研究センターの船田 大輔氏らは、NPSを規制するための法的な措置の影響を明らかにするため、依存症治療専門病院を受診した患者を調査した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月9日号の報告。 2012年4月~2015年3月に日本の依存症治療専門病院8施設で治療を受けたNPS関連疾患患者864例。臨床情報は、医療記録よりレトロスペクティブに収集した。 主な結果は以下のとおり。・精神症状については、3年間の研究期間で、幻覚・妄想の割合が経時的に減少した(1年目:40.1%、2年目:30.9%、3年目:31.7%、p=0.037)。・神経症状については、3年間の研究期間で、昏睡・失神の割合(1年目:7.8%、2年目:11.0%、3年目:17.0%、p=0.002)および痙攣の割合(1年目:2.8%、2年目:4.3%、3年目:9.7%、p=0.001)が増加した。 著者らは「NPS関連症状は、最初の1年目は主に精神症状であったが、神経症状の有症率は、経時的な増加が認められた。NPSの規制が増加したことで、死亡や重症症状のリスクは、1年目よりも3年目でより大きかった」としている。

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日本人統合失調症患者に対するブロナンセリンとハロペリドールの二重盲検ランダム化比較試験

 以前、CNS薬理研究所の村崎 光邦氏が、統合失調症患者に対するブロナンセリンの有効性および安全性について、ハロペリドールとの比較を行った日本の多施設共同ランダム化二重盲検試験を日本語で発表した。米国・マイアミ大学のPhilip D. Harvey氏らは、以前報告されたプロトコルごとのデータセットの代わりに完全な分析データセットに基づく試験結果を提示し、統合失調症の薬理学的治療の最新知識に照らし合わせて、調査結果についての議論を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月30日号の報告。 対象患者265例は、ブロナンセリン(8~24mg/日)またはハロペリドール(4~12mg/日)の1日2回8週間投与に、ランダムに割り付けられた。有効性の評価には、臨床全般印象改善度(CGI-I)および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・試験終了時のCGI-I改善率において、ブロナンセリンはハロペリドールに劣ることなく、10%のマージンを示した(60.5% vs.50.0%、p<0.001)。・PANSS合計スコアの減少については、両群間で差は認められなかった(-10.3 vs.-7.1)。・PANSS陰性症状スコアの減少は、ハロペリドールよりもブロナンセリンで有意に大きかった(p=0.006)。・ブロナンセリンは、忍容性が良好であった。・有害事象発生率は、両群間で同様であった。・錐体外路系有害事象、鎮静、低血圧、プロラクチン上昇の発生は、ハロペリドールよりもブロナンセリンで低かった。・臨床的に重要な体重増加は、認められなかった。 著者らは「統合失調症治療において、ブロナンセリンはハロペリドールと同様に効果的である。そして、ブロナンセリンは、ハロペリドールと比較し、錐体外路症状のリスクが低く、陰性症状に対してより効果的である」としている。

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認知症患者におけるカフェインと精神症状~システマティックレビュー

 カフェイン摂取は、健康成人の行動や睡眠に影響を及ぼすことが知られている。行動症状や睡眠障害に対しカフェイン摂取が影響している可能性のある認知症患者は、多く見受けられる。オランダ・ライデン大学のM. A. Kromhout氏らは、認知症患者におけるカフェイン摂取と精神症状との関連について調査するため、システマティックレビューを行った。Experimental Gerontology誌オンライン版2019年4月30日号の報告。 2019年1月、Medline(PubMed)、Embase、Emcare、Cochrane、PsychInfo、Web of Science、灰色文献より、広範な調査を行った。認知症診断患者を調査し、精神症状の報告があり、カフェインまたはコーヒー摂取による介入を使用し、カフェインまたはコーヒー摂取と精神症状との関連性を検討した研究を抽出した。非認知症患者を含む研究、レビューやエキスパートによる意見を述べた報告は除外した。2人の独立したレビューアーが研究を評価し、評価の合意を行った。 主な結果は以下のとおり。・本レビューの対象となった研究は7件であった。そのうち、睡眠障害についての報告が4件、行動症状についての報告は5件であった。・精神症状に対するカフェイン摂取の影響は、一貫して認められなかった。たとえば、カフェイン摂取の増加と減少のどちらにおいてもアパシーの低下と関連し、コーヒー療法とカフェイン除去のいずれにおいても総Neuropsychiatric Inventory(Nursing Home)の減少が認められた。・また、カフェイン摂取とカフェイン除去のいずれにおいても、睡眠の改善が認められた。 著者らは「これらの知見は、カフェインが認知症患者の精神症状を誘発または軽減することを示唆している。そのため、認知症患者におけるカフェイン摂取では、患者個々への慎重なアプローチが求められる。また、各精神症状に対するカフェインの影響に関して、さらなる研究が必要である」としている。

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治療抵抗性統合失調症に対するECTの治療反応速度と臨床的有効性

 治療抵抗性統合失調症患者に対する電気けいれん療法(ECT)は、有効であることが示唆されているが、治療反応率、認知機能およびQOLのアウトカムに関するエビデンスは限られている。シンガポール・Institute of Mental HealthのChristopher Yi Wen Chan氏らは、治療抵抗性統合失調症患者を対象とした自然主義的レトロスペクティブコホート研究において、ECTの有効性および治療反応速度について検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年4月26日号の報告。治療抵抗性統合失調症へのECTで50%が治療反応 レトロスペクティブにデータベース分析を行った。主要な有効性アウトカムは、BPRS精神症状サブスケールに基づき、治療開始前スコアからの40%以上の改善と定義した。分析対象患者は、まずDSM-5で統合失調症と診断され、2016年7月1日~12月1日までに治療抵抗性統合失調症と診断された患者または統合失調症治療のために急性期ECTが開始された患者とした。 治療抵抗性統合失調症患者におけるECTの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。・分析対象患者は、入院患者50例であった。・ECT完了後、治療抵抗性統合失調症患者の50%において、BPRS精神症状サブスケールスコアの40%以上減少が認められた。・ETCによる治療反応が認められた治療抵抗性統合失調症患者の割合は、最初の3セッションで16.7%、6セッションで39.3%、9セッションで46.4%、12セッションで50%であった。・BPRSスコアの最も大きな改善は、ECT治療3~6セッション間で認められた。・BPRSスコア、臨床全般印象度(CGI)、認知機能評価(Montreal Cognitive Assessment)、機能の全体的評定(GAF)の有意な改善が認められた。・QOLのアウトカムに有意な差は認められなかった。 著者らは「本研究は、治療抵抗性統合失調症患者における最新の技術を用いて、ECT治療を受けている患者のリアルワールドでの有効性および治療反応率を示している」としている。

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統合失調症患者の同意能力と認知機能との関係

 同意の意思決定能力は、倫理的および法的な新しい概念であり、重要な医学的決定や臨床研究への参加に直面している患者において、自己決定と密接に関連するものである。国立精神・神経医療研究センターの菅原 典夫氏らは、統合失調症患者における同意の意思決定能力と認知機能との関係について、Frontiers in Psychiatry誌2019年4月12日号で報告した。 主な内容は以下のとおり。・近年、意思決定能力を評価するため、4つの側面(理解、感謝、推論、選択の表現)からなる半構造化インタビューのMacArthur能力評価ツール(MacCAT)が開発された。・MacCATで測定された統合失調症患者群の意思決定能力は、健常対照群と比較し、損なわれていることが示唆されている。・このことは、統合失調症患者の意思決定能力が、必ずしも低下していることを意味するものではない。・リアルワールドでは、統合失調症患者からインフォームドコンセントを得ることが求められるが、そのためには、精神病理学的特徴と疾患における意思決定能力との関係を評価することが重要である。・統合失調症患者では、陰性症状が、意思決定に関連する情報を理解する能力、合理的な理由、状況の理解、その結果と関連していることが証明されている。・一方で、幻覚や妄想などの陽性症状は、低い能力との一貫した相関はみられていない。・いくつかの研究では、統合失調症の中核症状の1つである認知機能障害が、陽性症状や陰性症状よりも、意思決定能力に対し、より大きく関与している可能性が示唆されている。 著者らは「統合失調症患者の認知機能を強化し、同意や自主性を促進する能力を向上させることは、医学的治療や臨床研究への参加において合理的であると考えられる。このことや関連する問題を解明するためには、さらなる研究が求められる」としている。

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英国の性交頻度、性的活発集団で急低下/BMJ

 性的に活発な人々の割合や、この集団における性交頻度の低下が、日本を含むいくつかの国で観察されている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKaye Wellings氏らは、同国の全国調査のデータを解析し、最近は性交頻度に低下傾向が認められ、とくに25歳以上および結婚/同棲者で顕著であることを明らかにした。BMJ誌2019年5月7日号掲載の報告。3つの反復的な横断研究間で、実際/望ましい性交頻度を比較 研究グループは、英国における性交頻度およびその生活様式上の因子との関連の経時的な変化を調査する目的で、3つの反復的な横断研究のデータの解析を行った(英国Wellcome Trustなどの助成による)。 National Surveys of Sexual Attitudes and Lifestyles(Natsal)-1は、年齢16~59歳の1万8,876例と面談し、1991年に終了した。また、Natsal-2は、年齢16~44歳の1万1,161例を対象とし、2001年に終了しており、Natsal-3の対象は、年齢16~74歳の1万5,162例で、2012年に終了した。 年齢16~44歳(3つの調査で一般的な年齢層)における実際の性交頻度と望ましい性交頻度を、16~24歳、25~34歳、35~44歳に分けて、3つの調査間で比較した。また、Natsal-3のデータを用いて、週1回以上の性交頻度と関連する因子の評価を行った。 主要アウトカムは、最近4週間の性交頻度および望ましい性交頻度とした。健康、雇用、所得が良好な集団で頻度が高い 過去1ヵ月の性交回数中央値は、女性ではNatsal-1とNatsal-2が4回で、Natsal-3は3回であり、男性では3つの調査とも3回であった。 過去1ヵ月に性交なしと回答した割合は、女性ではNatsal-1の28.5%からNatsal-2の23.0%へと減少し、男性では30.9%から26.0%へと低下したが、Natsal-3では女性が29.3%、男性は29.2%へとそれぞれ増加した。 過去1ヵ月の性交回数が10回以上と回答した割合は、女性ではNatsal-1の18.4%からNatsal-2の20.6%へと上昇し、男性では19.9%から20.2%へと増加したが、Natsal-3では女性が13.2%、男性は14.4%へとそれぞれ減少した。 年齢25歳以上および結婚/同棲の集団では、性交頻度が最も急低下していた(交互作用検定 p<0.05)。また、性交頻度の低下とともに、性交頻度はもっと高いほうが好ましいとの回答の割合の増加が認められた。 過去1ヵ月の性交回数が4回以上と回答した集団で、さまざまな因子との関連を評価したところ、男女ともに身体的健康および心の健康が良好な集団で性交頻度が高く、同様に完全雇用および高所得の集団でも高頻度であった。 著者は、「英国の性交頻度の低下は、性的に活発な集団における頻度の低下によって促進されていた」とまとめ、「これらの知見とその意義は、英国の技術的、人口統計学的、社会的な変化との関連において説明する必要があり、さらなる検討を要する」としている。

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ダンボ【なぜ飛ぶの? 私たちが「飛ぶ」には?(褒めるスキル)】

今回のキーワード信頼関係主流秩序リフレーミング自己成長「褒めの引き出し」ピグマリオン効果両面提示ウィンザー効果皆さんは、相手をどう褒めて良いか分からなくて困ったことはありませんか? その相手は、職場の部下、同僚、上司でしょうか? さらには、家族、友人、そしてパートナーでしょうか? そもそもなぜ褒めるのでしょうか? そして、どう褒めるのが良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、ディズニーの名作映画「ダンボ」の2019年実写版を取り上げます。ダンボと言えば、遊園地のアトラクションの1つである「空飛ぶゾウさん」を思い浮かべると分かりやすいでしょう。ダンボはなぜ飛ぶのでしょうか? そして、私たちが「飛ぶ」にはどうすれば良いでしょうか?この空飛ぶゾウの「ダンボ」の映画には、3つのテーマがあります。そのテーマを通して、褒める心理を掘り下げ、褒めるスキルを一緒に考えてみましょう。ダンボのテーマとは?ストーリーの舞台は、1900年代前半のアメリカ。巡業中のサーカスファミリーは、新たに赤ちゃんゾウを迎え、ダンボと名付けます。ダンボは、その大きくて奇妙な耳で、観客たちからはブーイングを浴びてしまいます。ところが、団員の子どもたちは、その耳を使ってダンボが飛べることを発見します。そして、ダンボはサーカスの人気者になっていきます。その後、それを聞きつけた遊園地・ドリームランドの社長はダンボをビジネスに利用するため、母ゾウを処分しようとします。それをサーカスファミリーの団員たちが阻止し、最後は、ダンボは母ゾウとともに故郷インドに帰るというハッピーエンドです。ストーリーの設定も展開も、とてもシンプルで分かりやすいです。まずは、この映画のテーマを大きく3つ挙げてみましょう。(1)相手の幸せを願うつながり ―信頼関係団員の子どもであるミリーとジョーは、ダンボのお世話を熱心にします。母ゾウから引き離されてしまったダンボの悲しさをよく分かっているのでした。なぜなら、2人とも母をインフルエンザで亡くしていたからでした。自分たちと同じ思いをさせたくないと思い、「いつもそばにいるよ」とダンボに伝え、勇気付けています。また、2人は、ダンボの幸せが母ゾウと一緒にいることであるのを分かっているだけに、「飛んで稼げば、ジャンボ(母ゾウ)を買い戻せて会えるよ」「もう1回飛んで、ジャンボ(母ゾウ)に会いに行こう」と声を掛けています。ミリーとジョーの父親であるホルトは、戦地で片腕を失い帰ってきていますが、彼自身も、片腕だけでなく、妻も失っていました。母ゾウが処分されると聞いたミリーとジョーが悲しんでいる時、ホルトは、2人の子どもにどうやって接したら良いか分からず、何もしていませんでした。彼は、ダンボに乗る空中曲芸師のコレットに「アニー(母親)ならどう言えばいいか分かっただろに。おれは口下手だから」とぼやきます。すると、コレットは「2人とも完璧な父親を必要としているわけじゃないのよ。ただ、自分たちを信じてほしいだけ」と諭します。彼は「そんな簡単なことか!?」とふに落ちます。彼は、子どもたちに「自分が好きなものを好きになれ」「自分みたいに考えろ」という自分のやり方を押し付けていたことに気付くのです。そして、もっと純粋に子どもたちの言葉に耳を傾け、必要な時にそばにいてあげたいと思うようになります。1つ目のテーマは、相手の幸せを願うつながりです(信頼関係)。それは、ホルトとミリーとジョーの親子愛、ホルトとコレットの友情、さらにはミリーとジョーがダンボをサーカスファミリーの一員として大切にする家族愛として描かれています。一方、ドリームランドの社長であるヴァンデヴァーは、ミリーから「ダンボに幸せになってほしくないの?」と聞かれて、「私が幸せにしたいのは観客だ」と答えています。彼は、「ダンボは母ゾウと一緒にいる限り、母ゾウの言う通りにするだろう。動物の調教では、調教師の言うことだけを聞くように親から放すのが第一原則だ 」「動物には私の言うことだけを聞いてもらいたい」という理由で、母ゾウを処分しようとします。また、彼の恋人でもあるコレットがいざダンボに乗って飛ぼうとした時、彼は、ショーを魅力的にするとの理由で、安全ネットを撤去させてしまいます。さらに、一度雇い入れたサーカスファミリーの団員たちを、邪魔に感じるとすぐに解雇し、使い捨てにしてしまいます。彼は、損得勘定という結果を重視するあまりに、相手とのつながりというプロセスを軽視する悪役として描かれています。(2)不完全さという違いにこそある強み ―リフレーミングダンボは、初舞台で巨大な耳があらわになった時、観客から「偽物だ」とブーイングをされてしまいます。ゾウらしくない、本物ではないと思われたのでした。このような不完全さは、戦地で片腕を失ったホルト、インフルエンザで母親を失ったミリーとジョー、もともと低身長の団長、そして何かしらの「普通」ではないほかの団員たちも当てはまります。彼らは、社会の多数派が持っている価値観(主流秩序)からすると、「変わり者」「はぐれ者」「よそ者」になってしまうでしょう。しかし、彼らは孤立せず、ファミリーとしてつながって、その違いを生かしています。ダンボの奇形の耳は、ミリーとジョーのダンボの幸せを願う気持ちによって、空を飛ぶための羽という個性として発揮され、観客を楽しませるようになります。2つ目のテーマは、不完全さという違いにこそある強みです(リフレーミング)。相手とのつながりによって、不完全であるという弱みを強みに変えられることが描かれています。一方、ゾウの飼育担当であるルーファスは、ゾウたちを従わせるために、殴ったり暴言を吐いたりして、おびえさせていました。彼は、新しくダンボの飼育担当になった片腕のホルトに「何かが足りないんじゃないか?」と嫌みを言い、優位に立とうとします。ルーファスは、ダンボを見て、団長に「おめでとう。このドアホ!わざわざ怪物の赤ん坊を買ったわけだ」と皮肉を言います。最後は、暴れてしまったダンボの母ゾウをさらに挑発して、倒れたサーカス小屋の下敷きになります。彼は、相手の弱みにつけ込むあまりに、そのしっぺ返しで破滅する悪役として描かれています。(3)心のとらわれからの独り立ち ―自己成長ダンボが母ゾウと離れ離れになった時、ミリーは亡き母親の形見の鍵のネックレスをダンボに見せて、「私の母さんがくれたのよ。『いつか鍵のかかったドアに閉じ込められたような気がした時は、ドアを思い浮かべてこれを回すのよ』って」と言います。彼女は、鍵のネックレスに頼って日々の生活を送っていました。その後、ドリームランドの火事でミリーたちが火に包まれた時、ミリーはダンボの目の前で鍵のネックレスを炎の中に投げ込みます。そして「どんなドアだって、私は自分の力で開けられる。あんたもできるよ」とダンボに言います。ダンボはもともと鳥の羽根がひらひら舞うのを目の前に見て飛ぶことができました。ダンボも羽根に頼って飛んでいました。しかし、その時初めて、羽根がなくても飛べるようになったのです。そして、ラストシーンでは、ダンボは故郷のインドで、母ゾウと仲間のゾウを前にして、自由に飛び回ります。3つ目のテーマは、心のとらわれからの独り立ちです。(自己成長)。心のとらわれを自覚して、自分自身の強みを信じることで、自分で考えて行動をすることができるという心の自立が描かれています。一方、ヴァンデヴァーは、「いいか、偉大な男や伝説の男は皆、家族を捨てねばならない」「歴史に名を残す人物になるには、ほかの連中と群れてはいかん。一人で立つんだ」と言い放っています。彼の心のとらわれが表現されています。そして、彼は、相手が相手自身で考えて行動すると、自分の思い通りに相手をコントロールできなくなると恐れてもいます。最後は、思い通りにいかない腹立たしさから、自暴自棄になり、ドリームランドを火事で失ってしまいます。彼は、自分の理想や結果にとらわれるあまりに、プレッシャーが過剰になり、相手だけでなく、自分自身も追い込んでしまい、破滅する悪役としても描かれています。 なぜ褒める?ダンボは飛びました。それでは、私たちが「飛ぶ」にはどうすれば良いでしょうか? それが、褒めることです。もともと、褒めるとは、人間関係(集団)において、望ましい言動を指摘することです。そして、褒める理由は、褒められる快感(社会的報酬)により、相手に望ましい言動を促すことです(正の強化因子による行動療法)。ただし、望ましい言動という結果を最優先にして褒めるとどうなるでしょうか? 相手をコントロールしがちになります。これは、先ほど紹介したヴァンデヴァーのやり方です。そうではありません。褒めることにおいて最優先にするのは、相手の存在をそのまま認めることです。そして、相手が幸せになるための成長を促すことです。その結果、望ましい言動がついてきます。これは、先ほど紹介したミリーとジョーのやり方です。つまり、優先順位は、まず「そのまま認める」、最後に「望ましい結果」です。その逆ではありません。さらに、褒めることで得られる副産物が3つあります。1つ目は、強みを指摘されることで、相手がそれを生かすことに意識を向けて乗り気になることです(ピグマリオン効果)。2つ目は、相手の強みをみつける視点が自分自身にも向き、自分も自分の強みに気付いて前向きになることです(プラス思考)。3つ目は、相手とのつながりが強まることで、お互いに相手が素晴らしいと思えるようになることです(魅力の互恵性)。 どう褒める? ―褒めるスキルそれでは、私たちが「飛ぶ」ために、具体的にどう褒めれば良いでしょうか?ここから、褒めるスキルを、3つのポイントに分けてご紹介しましょう。(1)何を褒める? ―褒めるポイントの観察ミリーはダンボが耳を使って飛べることを発見しました。彼女の観察力は鋭く、将来の夢はサーカスの団員ではなく科学者です。1つ目は、「何を褒める?」、つまり褒めるポイントを観察することです。大きく3つに分けてみましょう。a.会った瞬間の見た目1つ目は、会った瞬間の見た目です。手始めであり基本中の基本です。あいさつのように褒めましょう。そのために、まずその日の最初に会った瞬間、表情、服装、声、動きなどに細かく着目します。たとえば、「元気な笑顔。こっちも元気になる」「良い色のシャツ。部屋が明るくなる」「今日もテキパキしてるね」などです。たとえ望んでいない言動でも「そう来るか~」「なるほど」と受け止めて、褒めている雰囲気を出すこともできます。褒めること自体が目的なので、「いいよ、いいよ~」「さすがだわ」と独り言のようにつぶやきながら相手の後ろを素通りします。これは「つぶやき褒め」「感心褒め」と言えます。b.これまでの成果2つ目は、これまでの成果です。これは、相手へのねぎらいや感謝などの褒める点をあらかじめ会う前から頭の中にスタンバイさせておき、会った瞬間のたびに出していくことです。「褒めの引き出し」と言えます。たとえば、「昨日はありがとね。○○してくれて」などの通常の内容から、「エレベータのドアを閉めずに待っていてくれたのね」などの些細な内容までです。また、「あなたは○○だ」という直接的で断定的な言い回し(あなたメッセージ)ではなく、「あなたが○○で私はうれしい」という間接的で情緒的な言い回し(私メッセージ)をして、最後は「ありがとう」で締めます。これは「感謝褒め」と言えます。c.これからの期待3つ目は、これからの期待です。これは、信頼や結束の確認です。これも「褒めの引き出し」に用意できます。とくに、これまでの成果として伝えられることがない場合は、これからの期待に重点を置くことができます。たとえば、「あなたがいてくれると盛り上がりそう」「あなたがいると助かる」「頼りにしている」などです。これは「期待褒め」と言えます。このように、ポイントは無条件に褒めることです。ところで、そもそも相手に褒めることがないと困っている人はいますでしょうか? そんなことはないです。物事には、表と裏の両面があります。一見褒められないと思っていたことも、裏を返せば、褒められることに変えることができます。発想の転換です(リフレーミング)。たとえば、相手が「私、気にし過ぎるんです」と相談しに来た場合です。よくある相談事です。その時は、何を気にし過ぎるかを掘り下げて、最後は「だからこそ、今の仕事に向いている」「だって、観察力が鋭いってことだから」と断定します。この「だからこそ」は、物事のプラス面とマイナス面を逆転させるつなぎの言葉の力を持っています。そのほかの例は、表1をご参照ください。なぜ褒める?(2)誰を褒める? ―相手のタイプの分析ヴァンデヴァーは、団長にサーカスの巡業が落ち目であることを指摘します。そして、団長にドリームランドの共同所有者になることで、未来が明るくなると説きます。ヴァンデヴァーは、いぶかしがる団長に、具体的なビジョンを示して、理性的に褒めています。結果的に、ヴァンデヴァーは団員も含めてサーカス団を丸ごと買収し、ダンボを手に入れます。ホルトは、片腕であることで卑屈になり、サーカスを見に来た子どもたちが怖がるのではないかと思い悩んでいました。そんなホルトの思いをくんで、ヴァンデヴァーは、「片腕になった戦争の英雄の馬乗り」を描いた垂れ幕をつくり、ドリームランドで馬乗りショーをする提案をします。もともと馬乗りであるホルトのくすぶっていたプライドをくすぐります。片腕は怖いネガティブものではなく、「英雄」の証というポジティブな意味付けをしたのです。これは、ホルトには思い付かなかった発想の転換です。それをわざわざ垂れ幕まで作って、ひとひねりして褒めています。結果的に、ヴァンデヴァーは、ダンボの飛ばし方を聞き出します。彼は、相手がどんな人物かよく分析し、相手に合わせた褒め方をしています。2つ目は、「誰を褒める?」、つまり相手のタイプを分析することです。相手によっては、褒めていてもあまり効果がなかったり、逆効果になっていることがあります。その原因は、相手のタイプを見抜いておらず、ほかの人と同じように褒めるからです。相手のタイプを分析して、こちらが褒め方を変えることが必要です。ここから、相手のタイプを4つに分けてみましょう。a.過剰適応タイプ1つ目は、過剰適応タイプです。このタイプは協力的です。よって、それをこちらも率直に受け止め、感情的にそのまま褒めることが効果的です。たとえば、「何か好きだわ」「理由はないけど心を許せちゃう」などです。褒めるのが簡単な相手とも言えます。b.不適応タイプ2つ目は、不適応タイプです。このタイプは、その集団の中での役割意識や所属意識(集団アイデンティティ)が不確かなため(アイデンティティ拡散)、手ごわいです。「だまされないぞ」とひねくれている場合もあります。よって、感情的にそのまま褒めても素直に受け止めてくれない可能性があります。よって、理性的に理由付けをして褒めることが効果的です。たとえば、「いや、だってね。前にクライアントさんに○○って言ってるのをたまたま聞いて感心したんだから」とのエピソードを紹介します。また、「前回より○○の点が良くなったから」と過去との比較をすることです。また、集団の役割意識をこちらがお膳立てして、ヒーローに仕立て上げるのも効果的です。たとえば、「あなただからできる」「あなたにしかできない」「あなたにぴったりの仕事」「○○の仕事と言えばあなたね」などです。さらには、「あなたは○○を頑張っている」「できないわけがない」と決めつけるワザもあります。これは、「レッテル褒め」(ピグマリオン効果)と言えます。そして、最終的には「あなたが必要」という結論に持っていけます。c.受け身タイプ3つ目は、受け身タイプです。このタイプは、何をして良いかよく分かっていないことが多いです。よって、具体的にピンポイントで褒めることが効果的です。たとえば、「あなたの○○はすごい」と限定することです。すると、その点をもっと続けようと動機付けされます。逆に、「あなたはすごい」と全肯定して伝えてしまうと、受け身のやり方自体が肯定されたと思い込み、積極的にやろうとする努力を怠るため、注意が必要です。d.積極的タイプ4つ目は、積極的タイプです。このタイプは、すでに本人なりに考えて行動しています。よって、その考えを汲み取った上で、あえてひとひねりして間接的に褒めることが効果的です。たとえば、「どうやって思い付いたの?」「うまくいく秘訣を教えて?」と質問をすることです。これは、「質問褒め」(暗示的インタビュー法)と言えます。また、「○○さん(上司)がしっかりしてるって感心してたよ」「○○さん(取引先)が気遣いが行き届いてるって話してたの小耳に挟んだよ」とその人が尊敬している人や権威的な人に登場してもらい、その人の言葉を借りて褒めることです。これは、「権威褒め」と言えます。さらに、「あなたのやり方を後輩が学びたいと言っている」「○○さん流を新人に広めてくれるといいな」「あなたの言うことは新人に響く」などのように、次世代への影響力をほのめかすことです。これらは、より多くの人に評価されていることが伝わり、こちらが単独で褒めるよりも一層の社会的報酬の効果が高まります。「あなたの後輩はしっかりしてるわ。あなたは教えるのがうまいのね」「息子さん礼儀正しいわね」などのように、相手の所属や家族を褒めることも、所属意識(集団アイデンティティ)や子ども自慢(トロフィーキッズ現象)の視点から効果があります。「あなたが本気になったら、患者さんの人気は独り占めね」「あなたはトップまで上り詰める勢いあるわ」というもしも話(仮定法)も、先ほどの決めつけワザ(ピグマリオン効果)に通じて、効果があります。これは、「仮定褒め」と言えます。以上のタイプをグラフ1にまとめてみましょう。グラフの横軸は、周りに合わせ過ぎる過剰適応タイプか、周りに合わせにくい不適応タイプかを示しています。縦軸は、自分なりの考えを持つ積極的タイプか、自分なりの考えを持たない受け身タイプかを示しています。真ん中は、癖がない平均的な普通タイプになります。すると、右上は過剰適応で積極的な優等生タイプ(ヒーロータイプ)、左上は不適応で積極的なヤンキータイプ(スケープゴートタイプ)、右下は過剰適応で受け身なお調子者タイプ(ピエロタイプ)、左下は不適応で受け身なひきこもりタイプ(ロストチャイルドタイプ)にそれぞれ分けられます。ここで誤解がないようにしたいのは、お調子者タイプは、積極的に思われがちですが、あくまでそれは笑いや周りへのウケに対してです。逆に、周りが見ていなければサボり癖が出てきます。つまり、仕事に対しては受け身であると言えます。 (3)あえて褒めない? ―褒めない状況の調整サーカス団の団長は、大人数の団員たちを取りまとめるため、調子の良いことを言いつつ、時に彼らに厳しく接し、バランスを取っています。3つ目は、「あえて褒めない?」、つまり褒めない状況を調整することです。あえて褒めない状況をつくることによって褒めることを最大限に高めるという高度なスキルになります。ただし、団長と団員たちのように、信頼関係がもともとあることが大前提です。ここから、褒めない状況を3つに分けてみましょう。a.褒める前後の状況1つ目は、褒める前後の状況であえて褒めないことです。たとえば、褒める前に不愛想になったり不機嫌になったりして、あえて冷たい態度をとり、相手を不安にさせることです。そして、その直後に褒めることです。また、「あなたの時間にルーズなのは困るけど、仕事はきっちりするのよね」「覚えるのに時間はかかるけど、いったん覚えると絶対に忘れないよね」と良い点と悪い点のコントラストを付けることです(両面提示)。そうすることで、その褒めの部分のインパクトを大きくします。逆に、褒めた後に「褒め過ぎたよ。今のは忘れて」とあえてつっけんどんにすることです。人間は、忘れようと思うと逆に忘れられなくなるという心理(禁断的思考)を利用します。これは、「ツンデレ褒め」と言えます。b.気まぐれの状況2つ目は、何回かに1回の気まぐれの状況であえて褒めないことです。大きく2つの理由があります。1つは、褒められる時に褒められないことがあると褒められたいという気持ちがより高まるからです(変率強化)。この起源は、原始の時代、狩猟をしている私たちは獲物を惜しくも逃した場合にもうちょっと頑張ってみようという気持ちを高めたことです。そして、そういう遺伝子を持つ種が、獲物を仕留めて、より生き残りました(ギャンブル脳)。それが、現在の私たちです。もう1つは、正確に褒めないことで見くびられなくなるからです。逆に言えば、正確に褒めてしまうと、残念ながら見くびられやすくなります。分かりやすく言えば、それはロボットだからです。もちろん、相手とのつながりによって、見くびられるということがないようにするのが一番良いです。しかし、相手も人間です。つながりはありつつも、見くびる人はいます。時々、虫の居所の悪いフリをしてでも、「精巧なロボット」ではなく「生身の人間」であると印象付けるのも効果的であるということです。これは、「気まぐれ褒め」「ギャンブル褒め」と言えます。c.誰かが代わりに褒める状況3つ目は、誰かが代わりに褒める状況であえて褒めないことです。たとえば、同僚や友人などの信頼できる人に、「○○さん(自分)が褒めてた」と言わせます。すると、褒められたことが集団に広まっていることをほのめかすことができて、本人の社会的報酬がより満たされるからです(ウィンザー効果)。これは「三角褒め」と言えます。恋愛における三角関係の「三角」が語源です。褒めるとは?「何を?」「誰を?」「あえて褒めない?」というポイントを通して、褒めるスキルをご紹介しました。ここから分かることは、うまく褒めることができるかどうかは、相手の問題ではなく、自分の問題であることに気付きます。つまり、褒めるとは、相手に褒めることがあり、なおかつこっちが褒めたい時に褒めるのではないです。たとえ相手に褒めることがないと最初に思ったとしても、相手の存在をそのまま認めることで、褒めることを見いだしていくことです。その必要や責任は自分にあると自覚することです。このように、褒めることの意味をよく理解したとき、ダンボとは、まさに人間性の本質のシンボルであることに私たちは気付かされます。ダンボのように、私たちも、誰かとのつながりという「心の燃料」をまず燃やし続けることで、不完全であるという弱みを強みに向き変える「心の操縦桿」を働かせ、心のとらわれから解放されて、より自由に「飛ぶ」ことができるのではないでしょうか? ■関連記事(外部サイト含む)2019年サンプルスライド「どう褒める?【褒めるスキル】」神様からひと言【なぜクレームするの?どう応じれば良いの?(断るスキル)】ブル【どう頼む?どう分かってもらう?】謝罪の王様【どう謝る?なぜ許す?】Part 1東京タラレバ娘【ブリーフセラピーとは?】クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 1逃げるは恥だが役に立つ【アサーション】1)ディズニーシネストーリー「ダンボ」:カリ・サザーランド、講談社、20192)ネガポ辞典:ネガポ辞典制作委員会、主婦の友社、20123)すごい!ホメ方:内藤誼人、廣済堂文庫、20074)上司のちょっとした言い回し:吉田幸弘、ダイヤモンド社、2013

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睡眠時間と青年期うつ病との関連

 青年期の睡眠時間とうつ病との関連について、再現性の懸念が高まっていることを考慮し、米国・ミネソタ大学のA. T. Berger氏らは、青年期の睡眠と精神的ウェルビーイングとの関連を新たなデータセットを用いて、これまでの分析を概念的に再現した。Sleep Health誌2019年4月号の報告。 START研究のベースラインデータを用いて、以前の分析(Sleep Health, June 2017)を概念的に再現した。START研究は、高校の始業時間を遅らせた際、青年期の体重変化に対する睡眠時間の影響を自然実験で評価した縦断的研究である。STARTとそれ以前の研究において、学校がある日の就寝、起床時間、6項目のうつ病サブスケールアンケートを学校で自己報告により回答してもらった。睡眠変数(睡眠時間、起床時間、就寝時間)と一連のアウトカムとの関連性および95%信頼区間(CI)を、ロジスティック回帰モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・両分析において、睡眠時間が長いほど、抑うつ気分の6つの指標すべてのオッズ比が低くかった(p<0.0001)。・START研究における6つの睡眠時間の推定値のうち5つ、および起床時間の6つの推定値のうち4つは、以前の分析の95%CI内に入っていた。・しかし、起床時間とアウトカムとの関連は、2つの研究の分析で異なっていた。 著者らは「本調査結果は、睡眠時間の短さとうつ病との関連を示唆するエビデンスを強く裏付けた。青年期の睡眠時間が短くなっていることや、学校のスケジュールが睡眠に及ぼす潜在的な影響を考慮すると、この問題は学区内での注目に値するであろう」としている。

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尿酸値が低いと認知症リスクは増大するのか?~44年の追跡調査

 血清尿酸が減少すると抗酸化力が損なわれる可能性があるため、血清尿酸値が低いと認知症リスクが増大することが示唆されている。一方、血清尿酸値が高いと心血管リスクが増加し、認知症とくに血管性認知症のリスクが増大する恐れがある。今回、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLieke E.J.M. Scheepers氏らによる集団ベースの研究で、アルツハイマー病や血管性認知症などの認知症のサブタイプにかかわらず、血清尿酸値が高いと認知症リスクが低いことが示された。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2019年5月2日号に掲載。高い尿酸値は認知症における低いリスクと関連 1968~69年に38~60歳の女性1,462人を44年(平均33.1年)にわたって追跡調査し、血清尿酸(1968〜69年および1992~94年に調査)と晩年の認知症リスクとの関連を調べた。 その結果、44年の追跡調査期間中、高い血清尿酸値(標準偏差76.5μmol/L当たり)は、認知症(n=320、ハザード比[HR]:0.81、信頼区間[CI]:0.72~0.91)、アルツハイマー病(n=152、HR:0.78、CI:0.66~0.91)、および血管性認知症(n=52、HR:0.66、CI:0.47~0.94)における低いリスクと関連していた。 今回の結果は、アルツハイマー病および血管性認知症といった認知症のサブタイプにかかわらず、認知症発症において血清尿酸が保護的役割を果たすという仮説を支持する。著者らは、「これは、痛風患者の認知症治療および高尿酸血症の治療目標に重要な意味を持つかもしれない」としている。

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抗精神病薬治療患者における脳波の変化~システマティックレビュー

 オーストラリア・モナッシュメディカルセンターのAnvesh Jackson氏らは、さまざまな抗精神病薬に関連した脳波(EEG)の変化を特徴付けるため、システマティックレビューを行った。Epilepsy & Behavior誌オンライン版2019年4月15日号の報告。 Medline、PsycINFO、PubMedを用いてシステマティックに検索を行い、PRISMAガイドラインを順守した。抗精神病薬治療の有無による比較を含む記述的なEEG結果を報告した主な研究論文(てんかん患者を除く)について分析を行った。アウトカムは、てんかん性放電の有無またはEEG低下とした。可能な限り、同様の介入および方法を用いた研究からプールしたデータの分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・14論文、665例の患者についてレビューを行った。・プールされたデータを分析したところ、クロザピンにおいて、EEG低下(オッズ比:16.9、95%信頼区間[CI]:5.4~53.2)およびてんかん性放電(オッズ比:6.2、95%CI:3.4~11.3)が最も一般的に認められた。・1つの研究において、フェノチアジン系抗精神病薬によるてんかん性放電の有意な増加が報告されたが、各薬剤の影響については分析されていなかった。 著者らは「本レビューでは、抗精神病薬の中でクロザピンが、最も頻繁にEEG低下およびてんかん性放電を誘発することが示唆された。他の抗精神病薬および脳波の変化に影響を及ぼす投与量、血中濃度、用量調整、治療期間を含む共変量に関するデータは限られていた」としている。

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精神療法中のうつ病および不安症状の変化

 精神療法での治療効果の40%は、3回の治療セッションによる症状変化で説明されるものと推定されている。しかし、この変化は、患者群および症状により一様ではないと考えられる。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのRob Saunders氏らは、精神療法中のうつ病および不安症状の変化が異なる患者をサブグループに分類し、これらの違いと関連付けられるベースライン時の患者の特性について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年4月15日号の報告。 対象は、2つの精神療法サービスにおいてセッションを完遂し、自己報告のうつ病および不安を測定した患者4,394例。症状変化の推移は、潜在クラス成長分析を用いて調査した。ベースライン時の患者特性と症状推移との関連性は、多項ロジスティック回帰を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・多くの異なる推移が観察された。・不安症状の推移は、3回目の治療セッションで分類可能であったが、うつ症状は、6回目のセッションまでは限定された変化しか示さず、その後、症状の急速な改善が認められた。・治療反応の認められた患者におけるうつ病および不安の推移は、治療反応のない場合と比較し、ベースライン時の重症度の低さ、社会的機能良好、恐怖症性不安の発生率の低さと関連が認められたが、薬剤処方との関連は認められなかった。・本研究の限界として、データは2つの精神療法サービスからの情報であり、定期的に収集されていない因子が症状の推移に影響を及ぼした可能性がある。 著者らは「ベースライン時の患者特性と治療初期の症状変化は、症状変化の推移を特定するうえで役立つであろう。このことは、臨床での意思決定の助けとなり、治療アウトカムの改善に役立つと考えられる。臨床医は、患者ごとに症状変化の推移が異なることを考慮し、患者に利益をもたらす可能性のある治療法を不用意に変更または終了させないよう、注意しなければならない」としている。

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元全米NFL選手におけるタウPET(解説:中川原譲二氏)-1048

 元全米フットボール・リーグ(NFL)選手において報告された慢性外傷性脳症(CTE)は、反復性の頭部衝撃の既往と関連する神経変性疾患である。神経病理学的診断は、アルツハイマー病などの他の疾患とは異なり、タウは蓄積するがアミロイドβはほとんど蓄積しない特異的なパターンに基づいて行われる。CTEのリスクがある生存人の脳内で、タウとアミロイドの蓄積の検出が実現可能かどうかは、これまで十分な研究が行われていない。R.A. Sternらは、元全米NFL選手を対象として、CTEのリスクがある生存人の脳で、タウとアミロイドの蓄積の検出が可能と報告した(Stern RA, et al. N Engl J Med. 2019 Apr 10. [Epub ahead of print])。元全米NFL選手群と対照群に対してタウPET、アミロイドβ PETを施行 認知症状・神経精神症状を有する元NFL選手と、外傷性脳損傷の既往がない無症状の男性(対照)において、脳内のタウとアミロイドβの蓄積を測定するために、それぞれflortaucipir PETとflorbetapir PETを行った。自動画像解析アルゴリズムを用いて、領域ごとのタウの標準取り込み比(SUVR:小脳における放射能を基準とする特定脳領域の放射能比)を2群間で比較し、元選手群のSUVRと症状の重症度および競技年数との関連を探索的に検討した。元選手群では、両側上前頭葉、両側内側側頭葉、左頭頂葉でタウが蓄積 元選手26例と対照31例を解析の対象とした。flortaucipirのSUVRの平均は、元選手群のほうが対照群よりも、両側上前頭葉(1.09対0.98、補正後の差の平均:0.13、95%信頼区間[CI]:0.06~0.20、p<0.001)、両側内側側頭葉(1.23対1.12、補正後の差の平均:0.13、95%CI:0.05~0.21、p<0.001)、左頭頂葉(1.12対1.01、補正後の差の平均:0.12、95%CI:0.05~0.20、p=0.002)の3領域で高かった。探索的解析では、この3領域におけるSUVRと競技年数との相関係数はそれぞれ0.58(95%CI:0.25~0.79)、0.45(95%CI:0.07~0.71)、0.50(95%CI:0.14~0.74)であった。タウの蓄積と認知機能検査および神経精神学的検査のスコアとの間に関連は認められなかった。元選手1例にのみ、アルツハイマー病患者と同程度のアミロイドβの蓄積が認められた。CTEのリスクがある生存人の脳で、タウとアミロイドの蓄積の検出が可能 生存し、認知症状・神経精神症状を有する元NFL選手群では、CTEの影響を受けている脳領域においてPETで測定されるタウの蓄積レベルが対照群よりも高く、アミロイドβの蓄積レベルは高くなかった。CTEに関連するタウの蓄積上昇が個々の人で検出できるかどうかについては、さらなる研究が必要である。神経変性疾患のPETによる神経病理学的診断の時代へ CTEの神経病理学的診断が、タウPET、アミロイドβ PETの施行により、生存人の脳で可能となる時代がやってきた。近年、多くの神経変性疾患が、タウやアミロイドβなどのmisfolded proteinsが脳内に蓄積することによって生じることが明らかにされつつある。また、これらのmisfolded proteinsを標的とするPET診断薬の開発により、多くの神経変性疾患では、PETによる生前の病理診断が可能となりつつある。しかしながら、アルツハイマー型認知症ですら、それぞれのmisfolded proteinsの脳内蓄積のパターンと、疾病の進行度との間には、必ずしも明確な関係が見いだせず、PET画像から有用な臨床指標を見いだす道は、いまだ途上にあることを忘れてはならない。

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アミロイドβの毒性機序解明となるか?

 アルツハイマー病(AD)における病因蛋白アミロイドβの毒性機序の解明について、昭和大学がプレスリリースを発表した。 今回、昭和大学の小野 賢二郎氏(昭和大学 医学部脳神経内科学部門 教授)、辻 まゆみ氏(薬理科学研究センター)らを中心とする研究グループは、アミロイドβの高分子オリゴマーであるプロトフィブリルが神経細胞膜を傷害する機序の一端を解明し、2019年5月13日、米国実験生物学会連合学術誌The FASEB Journal誌オンライン版に掲載された。ターゲットはアミロイドβ高分子オリゴマー アミロイドβは、主に40アミノ酸残基を含むアミロイドβ1-40と42アミノ酸残基を含むアミロイドβ1-42がヒトにおいて産生されるが、とくにアミロイドβ1-42はより凝集性が高く毒性が強いため、AD病態の進行にとって重要であると言われている。 アミロイドβモノマーは凝集して低分子オリゴマー、続いてプロトフィブリルのような高分子オリゴマー、そして最後に成熟線維を形成すると考えられている。これらの凝集体はAD患者の脳において神経機能障害を引き起こすが、最近、早期あるいは中間凝集段階であるオリゴマーがADの病因において重要な役割を果たすことが示唆されている1)。高分子オリゴマーが細胞膜を傷害することで毒性を発揮 今回の研究では、アミロイドβ1-42の高分子オリゴマーが、細胞膜上での活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)生成と脂質過酸化によって仲介される膜損傷を介して神経毒性を発揮し、その結果、膜流動性の低下、細胞内カルシウム調節異常、膜の脱分極、およびシナプス可塑性障害をもたらすことを明らかにした。これらの作用は低分子アミロイドβでは弱いことがわかった。 最近、第II相臨床試験で、高分子アミロイドβオリゴマー抗体が、プラセボと比較して早期ADにおける認知低下を有意に遅らせ、アミロイド蓄積を減少させたことが報告されているが、今回の高分子アミロイドβオリゴマーが膜損傷を介して神経毒性を誘発するという研究結果によって、高分子アミロイドβオリゴマーがADの有効な疾患修飾療法の治療標的になる可能性があることが示唆された。 これらの知見は、ADにおいてアミロイド斑を除去または分解するように開発された疾患修飾療法の最近の失敗に照らして重要な知見であり、現在世界中で行われているADの治療薬開発に応用できる可能性があるという。 本研究は、昭和大学医学部脳神経内科学部門、薬理科学研究センター(木内 祐二氏ら)、同学歯学部口腔生理学(井上 富雄氏ら)、富山大学医学薬学研究部システム情動科学(西条 寿夫氏ら)、金沢大学ナノ生命科学研究所(中山 隆宏氏)、京都大学iPS細胞研究所(井上 治久氏ら)、カリフォリニア大学ロサンゼルス校神経学(デービッド・B テプロフ氏)との共同研究にて行われた。■参考大学プレスセンター プレスリリース1)Ono K. Neurochem Int. 2018;119:57-70.

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ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率を日本の精神科外来患者で調査

 ベンゾジアゼピンとアルコールの併用は、一般的に認められる。慶應義塾大学の内田 貴仁氏らは、精神科外来患者におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率、併用と関連する臨床的特徴および因子、併用に関する精神科医の意識について調査を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年4月15日号の報告。ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率は39.8% ベンゾジアゼピン系睡眠薬の投与を受けている統合失調症、うつ病、不眠症の外来患者を対象に、睡眠薬とアルコールの使用も記録可能な睡眠日誌を7日間連続で記入するよう依頼した。臨床的特徴を評価し、併用に関連する因子を調査するため、ロジスティック分析を実施した。さらに、担当精神科医に対し、患者がベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールを併用したと思ったかどうかを調査した。 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用率は、39.8%(93例中37例)であった。・CAGE(アルコール依存症スクリーニング尺度)スコアが、併用と有意な正の相関を示した(オッズ比:2.40、95%信頼区間:1.39~4.16、p=0.002)。・精神科医によってベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用が疑われた患者は、併用患者のうち32.4%のみであった。 著者らは「これらの結果は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬とアルコールの併用は一般的であり、これを精神科医は見過ごしている可能性があることを示唆している。このような潜在的な危険性を有する患者をスクリーニングするために、CAGE質問票が役立つであろう」としている。

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認知症は運動で予防できない?(解説:岡村毅氏)-1045

 運動不足は認知症発症リスクではないという報告だ。認知症予防について、無垢な時代が終わり、新たな時代の号砲を告げる論文かもしれない。はじめに私の立場をはっきりさせておくと、予防が完成すれば認知症は駆逐されるという楽観主義でも、予防なんて無意味だからすべて受け入れようという悲観主義でもない。私の立場は、真実は中庸にありというものだ。 論文にはこうある。認知症になる前(前駆期)、活動性は低下している。したがって運動もしなくなっている。ある段階で運動をしている人、していない人に分けると、していない人には前駆期の人が含まれる。彼らはしばらくすると認知症を発症する。すると「運動をしなかったから認知症になった」と第1種過誤が起きる。短期間の観察では必ずこうなるが、乗り越えることはできる。前駆期の長さ以上の観察期間をとればよいのだ。 本論文はメタアナリシスであるが、すべてのケースで認知症発症リスクを見ると、確かに運動をしていないとリスクは高い(1.4倍くらい)。ところが、10年以上経過を見たケースに限定すると、あら不思議、リスクは消えてしまう。 個人的見解だが、認知症予防に関しては○○が効いたという報告があり、しばらくしてメタアナリシスで疑問が呈される、ということが繰り返されているように思う。最初の報告はセンセーショナルで、話題になる。そして後の疑問は、もはや話題にならない。 つまり人は見たいものを見る、聞きたいことを聞く、ということだ。この現象は、正常性バイアスみたいなものだろう。命題(1)認知症は予防できるはずだ、命題(2)予防は健康的な生活習慣と関係する、と人は考えるのだ。 私は何もこのネガティブデータを見て、「予防なんて無意味だ」「ほら見たことか」と言いたいわけではない。予防研究は非常に重要だ。私が言いたいことは、予防に重心が置かれ過ぎると、認知症になった場合に「きちんと予防しなかった自分が悪い」「予防させなかった家族が悪い」と、怒りと絶望に苛まれる人がしばしばいるということだ。なるときはなる、と考えたほうがいい場合もある。だって人間だもの。 言うまでもなく(そしてこの論文にも書いてあるが)、糖尿病や冠動脈疾患は、運動で予防できる。それに運動すると気持ちいいではないか。認知症になったとしても運動する習慣があったほうが、運動を続けられるだろう。認知症を予防できるかどうかまだわからないが、楽しく運動しましょう。

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抗うつ薬ミルタザピンの速効性と費用対効果との関連

 これまでの研究で、ミルタザピンは他の抗うつ薬と比較し、効果発現が速い特徴を有するといわれている。いくつかの研究において、費用対効果が評価されているが、その際、早期寛解については考慮されていなかった。慶應義塾大学の佐渡 充洋氏らは、この研究ギャップに対処するため、正確な臨床データを用いることで、日本におけるミルタザピンの費用対効果について評価を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年4月11日号の報告。 週ごとの推移確率を反映するためのマルコフモデルを開発した。マルコフ周期は、1週間に設定した。臨床パラメータは、主にメタ解析から抽出し、費用関連データは、行政報告から抽出した。費用対効果は、確率感度分析に基づいて推定された質調整生存年の増分費用対効果比(incremental cost effectiveness ratios:ICER)により評価した。ICERは、2、8、26、52週で推定した。 主な結果は以下のとおり。・重症うつ病のICERは、87万2,153円~177万2,723円であった。ICERの閾値を500万円とした場合、費用対効果でミルタザピンが効果的な割合は、0.75~0.99の範囲であった。・中等度うつ病のICERは、235万6,499円~477万145円であった。ICERの閾値を500万円とした場合、費用対効果でミルタザピンが効果的な割合は、0.55~0.83の範囲であった。 著者らは「ミルタザピンの効果発現の速さを考慮すると、日本国内においてとくに重度のうつ病や早期治療では、SSRIと比較し費用対効果が高いと考えられる。しかし、本研究の限界として、ミルタザピンと各SSRIを比較していない点、併用療法を考慮していない点が挙げられる」としている。■「抗うつ薬比較」関連記事抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

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親密なパートナーからの暴力への介入、妊婦の産後QOLを改善するか/JAMA

 親密なパートナーからの暴力(intimate partner violence:IPV)は公衆衛生上の課題であり、女性や子供に重大で有害な結果をもたらす。カナダ・マックマスター大学のSusan M. Jack氏らは、初めての子供を持つ社会的および経済的な不利益を経験している妊婦への看護師による自宅訪問プログラム(nurse home visitation program)に、IPVへの包括的な介入を加えても、出産後の母親の生活の質(QOL)の改善は得られないことを示した。研究の詳細はJAMA誌2019年4月23日号に掲載された。米国の3つの無作為化試験では、看護師による自宅訪問プログラムは妊娠アウトカム、子供の健康、母親のライフコース(life-course)における成長を改善すると報告されているが、IPVが中等度~重度の母親ではこの効果は得られていない。また、他の米国とオランダの試験では、IPVへの同プログラムの効果に関して相反する知見が得られているという。IPV介入による強化の有用性を評価するクラスター無作為化試験 研究グループは、看護師による自宅訪問プログラムをIPV介入で強化することによる、母親のQOLへの影響を評価する目的で、単盲検クラスター無作為化試験を行った(米国国立傷害予防管理センター[NCIPC]などの助成による)。 2011年5月~2015年5月の期間に、米国8州の15施設で、社会的不利益を受け、2.5年間の看護師による自宅訪問プログラムに参加している16歳以上の妊娠女性492例を登録した。参加施設は、看護師による自宅訪問プログラム+IPV介入を行う強化プログラム群(7施設、229例)または看護師による自宅訪問プログラムのみを行う標準プログラム群(8施設、263例)に無作為に割り付けられた。 強化プログラム群の施設では、看護師が集中的なIPV教育を受け、IPV介入を行った。介入には、安全性計画(safety planning)、暴力の認識(violence awareness)、自己効力感(self-efficacy)、社会的支援への紹介に焦点を当てた評価や個別的ケアを支援するクリニカルパスが含まれた。標準プログラムには、暴力曝露に関する限定的な質問と、虐待を受けた女性に関する情報が含まれたが、看護師への標準化されたIPV研修は行われなかった。 主要アウトカムは、ベースラインおよび出産後から24ヵ月までの6ヵ月ごとの面談で得られたQOLとした。QOL評価にはWHOQOL-BREF(0~400点、点数が高いほどQOLが良好)を用いた。7つの副次アウトカムにも有意差なし 全体の平均年齢は20.3(SD 3.7)歳で、白人が62.8%、黒人/アフリカ系米国人が23.3%であり、高卒/職業訓練校修了が53.3%、独身/未婚が80%、被扶養/無収入が35.7%だった。421例(86%)が試験を完遂した。 WHOQOL-BREFスコアは、強化プログラム群ではベースラインの299.5(SD 54.4)点から24ヵ月後には308.2(52.6)点へ、標準プログラム群では293.6(56.4)点から316.4(57.5)点へといずれも改善し、QOLはむしろ標準プログラム群のほうで良好な傾向がみられた。マルチレベル成長曲線分析では有意な差はなかった(モデル化スコア差:-4.9、95%信頼区間[CI]:-16.5~6.7)。 7つの副次アウトカム(Composite Abuse Scale[CAS]によるIPV、SPANによる心的外傷後ストレス障害[PTSD]、Patient Health Questionnaire 9[PHQ-9]によるうつ状態、TWEAKによる飲酒問題、Drug Abuse Severity Test[DAST]による薬物問題、12-Item Short-Form Health Survey[SF-12]による心の健康および身体的健康)はいずれも、両群に有意差はみられなかった。また、有害事象の記録は両群ともになかった。 著者は、「これらの知見は、この複雑で多面的なIPVへの介入によって、看護師による自宅訪問プログラムを強化した支援を支持しない」としている。

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長時間作用型持効性注射剤による統合失調症患者の機能アウトカムへの効果~メタ解析

 心理社会的機能障害は、統合失調症で一般的にみられる。非定型抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)は、アドヒアランスを改善することにより、心理社会的機能を改善すると考えられる。しかし、臨床試験において非定型抗精神病薬LAIが心理社会的機能に及ぼす影響を検討したシステマティックレビューは報告されていない。オーストラリア・アデレード大学のAndrew T. Olagunju氏らは、非定型抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口抗精神病薬を比較したランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年4月8日号の報告。 主要データベースより、2018年までの非定型抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口抗精神病薬を比較したランダム化比較試験を言語の制限なく検索した。心理社会的機能の変化とその予測因子に関する調査結果をシステマティックにレビューした。心理社会的機能の変化に関するデータは、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには26研究、メタ解析には19研究、8,616例(男性の割合:68.1%)が含まれた。・非定型抗精神病薬LAIは、心理社会的機能の改善において、プラセボ(標準化平均差[SMD]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.32~0.47、p<0.001、I2=0%、9研究)および経口抗精神病薬(SMD:0.16、95%CI:0.01~0.31、p=0.04、I2=77%、10研究)と比較し優れており、その優位性は、短期および長期試験においても維持されていた。・心理社会的機能の不良の予測因子は、治療期間の長さ、症状重症度、認知機能不良、病識不良であった。・機能の評価は、単一または複数の方法の組み合わせにより評価したが、ほとんどの研究において、主要アウトカムではなかった。・その他のバイアス要因としては、盲検およびランダム化不良の報告が含まれていた点であった。 著者らは「非定型抗精神病薬LAIの心理社会的機能に対する改善効果は、プラセボと比較し有益であったが、経口抗精神病薬に対する優位性は大きくなかった。ベースライン時の重度な精神症状は、心理社会的機能の不良を予測した」としている。

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小児双極性障害の最新疫学研究~メタ解析

 小児双極性障害に関連する研究は、過去7年間で増加している。米国・ザッカーヒルサイド病院のAnna Van. Meter氏らは、2011年の小児双極性障害の有病率についてのメタ解析をアップデートし、有病率に影響を及ぼす因子について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年4月2日号の報告。 2018年、PubMedおよびPsycINFOより、英語で出版された論文を用いて文献レビューを行った。選定基準は、青少年の疫学サンプル、双極性スペクトラム障害を有する青少年の数、21歳以上と分類された青少年の有病率(両方を含む場合)とした。検索された2,400件中44件を評価し、8件を解析対象とした。各双極性障害サブタイプの有病率は、報告に沿って記録し、仮説モデレーター(研究の特徴や環境要因など)もコーディングした。 主な結果は以下のとおり。・8件の追加試験より、合計サンプル数19件が得られ、サンプルサイズは、5万6,103例(双極性障害患者1,383例)で3倍となった。・米国での研究が7件、南アメリカ、中央アメリカ、ヨーロッパでの研究が12件であった。・双極性スペクトラム障害の加重有病率は、3.9%(95%CI:2.6~5.8%)であった。・研究間での有意な不均一性が認められた(Q=759.82、df=32、p<0.0005)。・双極I型障害のプール率は0.6%(95%CI:0.3~1.2%)であり、これらにおいても不均一性が認められた(Q=154.27、df=13、p<0.0001)。・双極性スペクトラム障害有病率の高さの予測因子は、広義の双極性障害基準の使用(p<0.0001)、最少年齢(p=0.005)、生涯有病率(p=0.002)であった。・より新しい研究において、有病率の低さとの関連が認められた(p<0.0001)。 著者らは「最新のメタ解析では、米国の双極性スペクトラム障害有病率は、他の西欧諸国と比較し高くはなく、経時的な増加も認められないことが確認された。標準的でない診断基準は、全スペクトラムを除外した小児双極性障害の狭義の定義に焦点を当てた場合と同様に、さまざまな有病率を示すことにつながる。小児双極性障害の有病率に関する問題を解決するためには、検証済みの基準を一貫して適用することが求められる。非西欧諸国での研究は、国際的な有病率と危険因子を理解するうえで必要である」としている。■関連記事若年双極性障害への治療効果を高めるには小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬小児および青年期の重度な精神疾患発症率と薬理学的治療

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