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職場における不眠症介入~メタ解析

 スペイン・セビリア大学のJuan Vega-Escano氏らは、従業員の不眠症の改善または軽減に対する介入の影響を特定および評価するため、ランダム化臨床試験を通じたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年9月2日号の報告。 PRISMAおよびMARSステートメントの推奨事項に従って、PubMed、Web of Science、CINHAL、PsycINFOのデータベースよりシステマティックに文献を検索した。アウトカムの尺度として、変量効果モデルと不眠症重症度指数を用い、メタ解析を実施した。バイアスリスクとエビデンスの質の評価には、コクラン共同計画ツールとGRADEシステムをそれぞれ用いた。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューで22件の研究が抽出され、メタ解析には12件を用いた。・従業員のサンプル数は827例で、14の介入グループを作成した。・最も用いられていた介入は、認知行動療法であった。・平均間の推定差では、介入は不眠症状軽減に対する中程度の効果が認められ(MD:-2.08、95%CI:-2.68~-1.47)、不均一性の程度に有意な差は認められなかった(p=0.64、I2=0%)。・エビデンスの質とバイアスリスクは、中程度であった。 著者らは「職場における不眠症への介入は、従業員の健康を改善するのに効果的である。週間の睡眠時間の増加や入眠潜時の短縮は、睡眠の質を改善し、不眠症状を軽減させる可能性が示唆された。仕事面では、生産性向上、プレゼンティズムの改善、燃え尽き症候群の対策につながるであろう」としている。

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統合失調症患者のCOVID-19による院内死亡率

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により入院が必要となる統合失調症患者の特徴やアウトカムに関する情報は限られている。フランス・エクス=マルセイユ大学のG. Fond氏らは、COVID-19に罹患した統合失調症患者の臨床的特徴およびアウトカムを明らかにするため、統合失調症でない感染者との比較検討を行った。L'Encephale誌オンライン版2020年7月30日号の報告。 本検討は、南フランス・マルセイユの4つの公的支援急性期医療病院に入院したCOVID-19患者の症例対照研究として実施した。入院を必要とするCOVID-19患者は、鼻咽頭サンプルのPCR検査および/または胸部CTの陽性結果で確認した。主要アウトカムは院内死亡率とし、副次的アウトカムはICU入室とした。 主な結果は以下のとおり。・対象感染者数は、1,092例であった。・院内死亡率は、全体で9.0%であった。・COVID-19に罹患した統合失調症患者は、統合失調症でない感染者と比較し、死亡率が高かった(26.7% vs.8.7%、p=0.039)。このことは、年齢、性別、喫煙状況、肥満、合併症で調整した後の多変量解析でも確認された(調整オッズ比:4.36、95%CI:1.09~17.44、p=0.038)。・COVID-19に罹患した統合失調症患者は、統合失調症でない感染者と比較し、ICU入室率が低かった。・COVID-19に罹患した統合失調症患者の63.6%は、施設に入所しており、死亡した患者は、すべて施設に入所していた。また、これらの患者は、がんや呼吸器疾患の合併症を有する割合が高かった。 著者らは「COVID-19に罹患した患者の中で、統合失調症患者の適切な評価がなされていない可能性が示唆された。統合失調症患者では、COVID-19による死亡リスクが高く、身体合併症などの有無を確認する必要がある」としている。

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日本の公立学校教師における不眠症と長時間労働

 筑波大学の堀 大介氏らは、日本の公立学校教師における不眠症の有病率を明らかにするため、労働時間、通勤時間と不眠症との関連を調査した。また、不眠症の教師が仕事に費やした時間についても調査を行った。Sleep Medicine誌2020年11月号の報告。 日本の公立小学校または中学校の教師を対象とし、2016年実施の労働環境調査で得られたデータを用いて2次分析を行った。分析対象者数は1万1,390人(女性の割合:47.4%、平均年齢:42.2±11.3歳)であった。労働時間、通勤時間と不眠症との関連を評価するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。主要アウトカムは不眠症とし、その定義はアテネ不眠尺度6以上とした。説明変数は、1週間の労働時間、1日の通勤時間、職業性ストレスの6つのサブスケール、年齢層、子供の有無、仕事の種類、学校の種類、学校の都市性とした。 主な結果は以下のとおり。・不眠症の有病率は、男性で41.7%、女性で44.0%であった。・不眠症状が認められた教師は、授業の準備により多くの時間を費やしていた。また、不眠症と長時間労働、通勤時間の長さとの間に有意な関連が認められた。・多変量ロジスティック回帰分析では、長時間労働、通勤時間の長さ、学校の都市性が不眠症と統計学的に有意に関連していることが示唆された。 著者らは「日本の公立学校教師には、不眠症が蔓延している。教師の不眠症を予防するためには、仕事に費やす時間の減少が重要であることが示唆された」としている。

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アジア人統合失調症患者におけるBMIと錐体外路症状との関係~REAP-AP研究

 これまでBMIとパーキンソン病との関連がいくつか報告されているが、統合失調症患者におけるBMIと抗精神病薬誘発性の錐体外路症状(EPS)との関連を報告した研究は少ない。韓国・Inje University Haeundae Paik HospitalのSeon-Cheol Park氏らは、統合失調症患者におけるBMIとEPSの関連を評価するため、検討を行った。Psychiatria Danubina誌2020年夏号の報告。 向精神薬処方に関するアジア国際共同研究の抗精神病薬(Research on Asian Psychotropic Prescription Patterns for Antipsychotics:REAP-AP)のデータを用いて、体重で層別化した統合失調症患者1,448例を対象にEPSの発現率を比較した。体重の層別化には、WHOの肥満度分類およびアジアパシフィック肥満分類を用いた。主な結果は以下のとおり。・WHO肥満度分類を用いた検討において、多項ロジスティック回帰モデル(交絡因子の潜在的な影響を調整)では、低体重は運動緩慢、筋強剛の発現率増加および歩行障害の発現率低下との有意な関連が認められた。・アジアパシフィック肥満分類を用いた検討において、多項ロジスティック回帰モデル(交絡因子の潜在的な影響を調整)では、低体重は筋強剛の発現率増加との有意な関連が認められた。 著者らは「アジア人統合失調症患者では、低体重が筋強剛の発現率増加と段階的なパターンで関連していることが明らかとなった。このメカニズムについては、不明な点があるものの、第1世代抗精神病薬の使用や抗精神病薬の用量にかかわらず、低BMIが筋強剛の発現に影響を及ぼしていると推測される」としている。

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「ロゼレム」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第19回

第19回 「ロゼレム」の名称の由来は?販売名ロゼレム®錠8mg一般名(和名[命名法])ラメルテオン(JAN)効能又は効果不眠症における入眠困難の改善用法及び用量通常、成人にはラメルテオンとして 1 回 8mg を就寝前に経口投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(1)本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者(2)高度な肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、本剤の血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれるおそれがある。](3)フルボキサミンマレイン酸塩を投与中の患者※本内容は2020年9月30日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年7月改訂(第9版)医薬品インタビューフォーム「ロゼレム®錠8mg」2)武田薬品工業:医療関係者向け情報

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菜食とメンタルヘルスリスク

 これまでの研究では、うつ病、不安、ストレスなどのメンタルヘルスの問題への菜食の影響については、一貫した結果が得られていない。イラン・テヘラン医科大学のMohammadreza Askari氏らは、菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連についての理解を深めるため、システマティックレビューを実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2020年9月4日号の報告。 2020年7月までの研究を、Scopus、PubMed、Web of Scienceより検索した。成人を対象に菜食のうつ病、不安、ストレスへの推定リスクを検討したプロスペクティブコホート研究および横断研究を分析に含めた。エフェクトサイズの統合には、固定効果モデルおよびランダム効果モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連を評価した研究13件(コホート研究:4件、横断研究:9件)が抽出された。・10件の研究における統合エフェクトサイズでは、菜食とうつ病との関連は認められなかった(統合エフェクトサイズ:1.02、95%CI:0.84~1.25、p=0.817)。・4件の研究における統合エフェクトサイズでは、菜食と不安との関連は認められなかった(統合エフェクトサイズ:1.09、95%CI:0.71~1.68、p=0.678)。・ストレスに関するデータは不十分であった。 著者らは「菜食とうつ病または不安との有意な関連は認められなかった。メンタルヘルスに対する菜食の影響をさらに調査するためには、今後のコホート研究が求められる」としている。

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初回エピソード統合失調症の治療開始の遅延に対する患者の性格や家族の影響

 統合失調症では、精神疾患の未治療期間が重要な予後の指標である。韓国・全南大学校のAnna Jo氏らは、統合失調症の治療開始の遅延に対する患者の性格や家族関係の影響について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年9月2日号の報告。 初回エピソード統合失調症と診断された患者169例より、データをプロスペクティブに収集した。患者の性格はビッグファイブ性格尺度(BFI-10)を用いて調査し、家族関係は家族機能測定尺度(FACES-III)を用いて評価した。患者の臨床的特徴を評価するため、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および社会的職業的機能評定尺度(SOFAS)を用いた。未治療期間の定義は、精神症状の最初の出現から適切な抗精神病薬治療の開始までの時間とした。対象患者は、未治療期間3ヵ月(カットオフ中央値)で2つのグループに分類した。主な結果は以下のとおり。・未治療期間は、平均12ヵ月、中央値3ヵ月であった。・未治療期間の長さは、年齢の高さ、PANSSスコアの高さ、SOFASスコアの低さと関連が認められた。・自殺企図の頻度は、未治療期間が長い患者群で高くなる傾向が認められた(p=0.055)。・未治療期間が長い患者では、BFI-10の誠実性が有意に高く、FACES-IIIの凝集性と適応性が有意に低かった。・ロジスティック回帰では、未治療期間が長いほど、BFI-10における高レベルの誠実性、FACES-IIIにおける凝集性の低さとの有意な関連が認められた。 著者らは「未治療期間の長さは、家族の凝集性の低さや患者の誠実性の高さと関連していることが示唆された。精神症状が発現した際、患者のメンタルヘルスサービスへのアクセスに関して、家族が重要な役割を果たしているであろう」としている。

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うつ病予防のための運動介入~メタ解析

 うつ病の予防として、運動介入が注目されている。しかし、うつ病予防に対する運動介入の効果を検討したエビデンスの結果は、研究間で大きく異なっている。オランダ・アムステルダム自由大学のMandy X. Hu氏らは、うつ病予防のための運動介入の効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMC Public Health誌2020年8月18日号の報告。 2018年7月までの研究を、PubMed、Embase、PsycINFO、Cochraneよりシステマティックに検索した。一般集団におけるうつ病または抑うつ症状の発症に対する、運動介入の効果を検討したランダム化比較試験のメタ解析を分析した。うつ病患者の治療に焦点を当てた研究は除外した。2人の独立した執筆者によりスクリーニングを行い、AMSTAR 2を用いてメタ解析の質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・8件のメタ解析が抽出され、これらに含まれていた134研究の重複はほとんどなかった。・すべてのメタ解析において、うつ病ではなく抑うつ症状がターゲットとされていた。・メタ解析の質は、中程度:5件、低:3件であった。・小児、青年、成人、高齢者の抑うつ症状の軽減に対する運動介入は、6件のメタ解析で有意な効果が認められたが、2件のメタ解析では認められなかった(エフェクトサイズの範囲:-0.10~-0.81)。・エビデンスが不足しているため、うつ病に対する性別の影響や運動の内容については、明らかにできなかった。・しかし、いくつかの研究結果では、軽度の運動でも、高負荷運動と同様の効果があることが示唆された。・研究の質や運動の内容の違いにより、1次研究間での不均一性が高かったと考えられる。 著者らは「運動介入が、幅広い年齢層の一般集団において、抑うつ症状の軽減や予防に有用である可能性が示唆された」としている。

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直腸が爆発した1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第171回

直腸が爆発した1例pixabayより使用肛門のケガについては、過去にイノシシに突き破られた1例を紹介したことがありました。(参考記事:【第156回】イノシシに肛門を突き破られた男性)しかししかーし、世の中にはもっと不思議な肛門外傷が存在するもので。論文のタイトルは、「直腸爆発」!!比喩でもなんでもなく、本当に爆発した症例がチェコから報告されました。Hejna P, et al.Rectal explosion: a strange case of autoerotic death.Int J Legal Med. 2020 Jun 26. doi: 10.1007/s00414-020-02344-7.これは、性的倒錯によって肛門に致死的な外傷を負った35歳男性の症例報告です。ある日、彼は空気を入れることができるゴムストッパー(長い風船のようなもの)を肛門に入れました。ここまではよくある肛門異物。ここで取り出せなくなって救急搬送されるケースがあるわけですが、彼は一味違います。彼は自動的に空気が出てくる空圧システムにそのゴムストッパーを接続し、だんだんゴムが膨らむようにしたのです。空気を出し続け、膨らむゴムストッパー。当然ながら肛門は次第に悲鳴を上げ始めます。そして……そして……、とうとう直腸が爆発しました!いやぁぁぁぁあ!!直腸がバルーンの圧に耐えられず、ボカンと破裂したのです。肛門周囲の爆発により、大量出血を来し、救急搬送されるまでもなく、彼は死亡することとなりました。生前、彼はインターネットで異常性癖に関するウェブサイトにいろいろな投稿をしており、今回の1件も自分なりに考えて快楽を求めた結果だったのかもしれません。快楽を求めて死に行き着くなんて、一体何がどうなっているのか……。ご冥福をお祈りします。

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禁煙と睡眠障害との関係

 喫煙と睡眠障害は密接に関連しているといわれている。スウェーデン・ウプサラ大学のShadi Amid Hagg氏らは、睡眠障害が禁煙の予測因子であるか、喫煙の継続が睡眠障害の発症と関連しているかについて、検討を行った。Respiratory Medicine誌2020年8~9月号の報告。睡眠障害の治療には禁煙プログラムの導入を検討すべき 北欧の男女を対象に、1999~2001年にランダムにアンケートを実施し(RHINE II)、その後2010~12年にフォローアップのアンケートを実施した(RHINE III)。ベースライン時に喫煙者であり、フォローアップ時に喫煙に関するデータを提供した2,568人を分析した。不眠症は、3回/週以上の入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒の発現と定義した。オッズ比(OR)の算出には、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 睡眠障害が禁煙の予測因子であるか、喫煙の継続が睡眠障害の発症と関連しているかについて検討した主な結果は以下のとおり。・年齢、BMI、pack-years、高血圧症、糖尿病、慢性気管支炎、鼻炎、喘息、性別、BMI差で調整した後、長期禁煙を達成する可能性が低かった因子は以下のとおりであった。 ●入眠障害(調整OR:0.6、95%CI:0.4~0.8) ●中途覚醒(調整OR:0.7、95%CI:0.5~0.9) ●早朝覚醒(調整OR:0.6、95%CI:0.4~0.8) ●不眠症(調整OR:0.6、95%CI:0.5~0.8) ●日中の過度な眠気(調整OR:0.7、95%CI:0.5~0.8)・いびきと禁煙には、有意な関連が認められなかった。・ベースライン時に睡眠障害でない人では、喫煙を継続すると、フォローアップ中に禁煙した人と比較し、入眠困難リスクの増加が認められた(調整OR:1.7、95%CI:1.2~2.3)。 著者らは「不眠症状や日中の過度な眠気は、禁煙にマイナスに働くと考えられる。また、喫煙は、入眠障害のリスク因子であることが示唆された。睡眠障害の治療には、禁煙プログラムの導入を検討すべきである」としている。

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職場のセクハラは自殺行動と強く関連/BMJ

 職場におけるセクシュアルハラスメントは自殺行動と関連するとの仮説を裏付ける結果が、スウェーデン・ストックホルム大学のLinda L. Magnusson Hanson氏らによる、同国の生産年齢労働者8万5,000例規模の前向きコホート研究により示された。両者の関連性は指摘されてはいたが、これまで大規模な住民ベースのコホート研究は行われていなかったという。著者は、「本結果は、職場環境を考慮した自殺防止策が有用である可能性を示唆するものである。さらなる調査を行い、因果関係、職場におけるセクハラのリスク因子、および業務に関連するセクハラと自殺行動の関連を明らかにする必要がある」と述べている。BMJ誌2020年9月2日号掲載の報告。平均追跡期間13年、生産年齢の有給労働者男女8万5,205例のデータを分析 職場におけるセクハラへの曝露と自殺および自殺企図との関係についての解析は、1995~2013年に、業務に関連するセクハラ曝露などを含む自己申告のアンケートに回答した、さまざまな職業における生産年齢の有給労働者男女8万6,451例を対象に行われた。分析サンプルには、セクハラ、フォローアップ期間、および年齢に関する有効なデータが入手できた8万5,205例を包含した。 主要アウトカムは、行政の記録で裏付けられた自殺と自殺企図とした(平均追跡期間13年)。自殺行動はセクハラへの曝露と強く相関 自殺および自殺企図の各分析対象者のうち、追跡期間中に、自殺で死亡したのは125例(0.1%)、自殺企図は816例(1%)であった(それぞれ1,000人年当たり0.1例と0.8例)。 全体として、職場におけるセクハラ曝露があった自殺は11/4,095例、非曝露の自殺は114/8万1,110例であり、曝露があった自殺企図は61/4,043例、非曝露の自殺企図は755/8万513例であった。 一連の社会人口学的特徴で補正後のCox回帰分析の結果、職場のセクハラは、自殺(ハザード比:2.82、95%信頼区間[CI]:1.49~5.34)および自殺企図(1.59、1.21~2.08)の両方の過剰リスクと関連しており、推定リスクは、ベースラインの健康状態および業務の特性で補正後も有意に増大した。また、男性と女性に明らかな差は見つからなかった。

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統合失調症に対する抗精神病薬の維持療法

 統合失調症の症状や徴候は、脳の辺縁系に代表される特定の領域における高レベルのドパミンと関連している。抗精神病薬は、脳内のドパミン伝達をブロックし、統合失調症の急性症状を軽減させる。本レビューの元となる2012年発表のレビューでは、抗精神病薬が再発防止にも有効であるか調査された。今回、イタリア・ブレシア大学のAnna Ceraso氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の維持療法の効果について、薬剤を中止した場合と比較し、検討を行った。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2020年8月11日号の報告。 臨床試験を含むコクラン統合失調症グループのレジストリより検索した(2008年11月12日、2017年10月10日、2019年9月11日)。統合失調症または統合失調症様精神疾患の患者を対象とし、抗精神病薬とプラセボによる維持療法の比較を行ったすべてのランダム化比較試験(RCT)を選択した。独立してデータを抽出した。2値データの場合、ランダム効果モデルに基づくITT分析により、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。連続データの場合、ランダム効果モデルに基づき、平均差(MD)または標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、抗精神病薬とプラセボを比較したRCT 75件(9,145例)を含めた。・1959~2017年に公開された研究で、対象者の規模は14~420例の範囲であった。・多くの研究において、ランダム化、割り付け、盲検化の手法は、あまり報告されていなかった。また、分析をバイアスリスクが低い研究に限定した場合でも、同様の結果であった。・これらの潜在的なバイアスにより全体的な研究の質は限定されたが、統合失調症の維持療法に対する抗精神病薬の有効性は明らかであった。・抗精神病薬の維持療法は、プラセボと比較し、7~12ヵ月の再発予防に効果的であった(再発率:24% vs.61%、30 RCT、4,249例、RR:0.38[95%CI:0.32~0.45]、NNTB[number needed to treat for an additional beneficial outcome]:3[95%CI:2~3]、エビデンスの確実性:高い)。・入院リスクは、ベースライン時が低リスクであったものの、プラセボと比較し減少が認められた(入院率:7% vs.18%、21 RCT、3,558例、RR:0.43[95%CI:0.32~0.57]、NNTB:8[95%CI:6~14]、エビデンスの確実性:高い)。・抗精神病薬の維持療法よりもプラセボのほうが、すべての原因による治療中止(7~12ヵ月時点の中止率:36% vs.62%、24 RCT、3,951例、RR:0.56[95%CI:0.48~0.65]、NNTB:4[95%CI:3~5]、エビデンスの確実性:高い)および効果不十分による治療中止(7~12ヵ月時点の中止率:18% vs.46%、24 RCT、3,951例、RR:0.37[95%CI:0.31~0.44]、NNTB:3[95%CI:3~4])が多かった。・抗精神病薬の維持療法は、QOL(7 RCT、1,573例、SMD:-0.32[95%CI:-0.57~-0.07]、エビデンスの確実性:低い)および社会的機能(15 RCT、3,588例、SMD:-0.43[95%CI:-0.53~-0.34]、エビデンスの確実性:中程度)に対しても良好な影響を及ぼす可能性がある。・不十分なデータではあるものの、プラセボと比較し、自殺による死亡(0.04% vs.0.1%、19 RCT、4,634例、RR:0.60[95%CI:0.12~2.97]、エビデンスの確実性:低い)および就労の割合(9~15ヵ月の就労率:39% vs.34%、3 RCT、593例、RR:1.08[95%CI:0.82~1.41]、エビデンスの確実性:低い)についての差は認められなかった。・抗精神病薬の維持療法は、薬剤や期間に関係なく、運動障害(1つ以上の運動障害:14% vs.8%、29 RCT、5,276例、RR:1.52[95%CI:1.25~1.85]、NNTH[number needed to treat for an additional harmful outcome]:20[95%CI:14~50])、鎮静(8% vs.5%、18 RCT、4,078例、RR:1.52[95%CI:1.24~1.86]、NNTH:50[95%CI:有意差なし])、体重増加(9% vs.6%、19 RCT、4,767例、RR:1.69[95%CI:1.21~2.35]、NNTH:25[95%CI:20~50])の発生率がプラセボよりも高かった。 著者らは「統合失調症患者に対する抗精神病薬の維持療法は、約2年間のフォローアップ調査において、プラセボよりもはるかに高い再発予防効果が示唆された。ただし、この効果と副作用のバランスを検討する必要がある。今後の研究によって、薬剤に関連する長期的な副作用発現率や死亡率をより明らかにする必要がある」としている。

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高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。 2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・各データベースより抽出された1,855件から重複を削除し、1,250件の評価を行った。・メタ解析には、以下の25件のランダム化比較研究が含まれた。 ●抗てんかん薬(1件、697例) ●抗炎症薬(2件、615例) ●抗精神病薬(4件、1,193例) ●コリンエステラーゼ阻害薬(2件、87例) ●催眠鎮静薬(13件、2,909例) ●オピオイド(1件、52例) ●向精神薬・認知機能改善薬(1件、81例) ●抑肝散(1件、186例)・プラセボや通常ケアと比較し、せん妄の発生率を減少させた薬剤は、以下のとおりであった。 ●オランザピン(RR:0.36、95%CI:0.24~0.52、k=1、400例) ●リバスチグミン(RR:0.36、95%CI:0.15~0.87、k=1、62例) ●デクスメデトミジン(RR:0.52、95%CI:0.38~0.71、I2=55%、k=6、2,084例) ●ラメルテオン(RR:0.09、95%CI:0.01~0.64、k=1、65例)・デクスメデトミジンのみが、せん妄期間の短縮(0.70日短縮)、抗精神病薬の使用量低下(48%)と関連が認められた。・死亡率、有害事象、尿路感染症、術後合併症への影響は認められなかった。 著者らは「本メタ解析では、デクスメデトミジンが入院中の高齢患者におけるせん妄の発生率減少と期間短縮に有用であることが示唆された。各研究において、ラメルテオン、オランザピン、リバスチグミンの効果が報告されているが、確固たる結論を導き出すにはエビデンスが不十分である」としている。

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イエスマン(後編)【日本人ならではの幸福感とは?(幸福感の心理)】Part 1

今回のキーワード幸福感(主観的ウェルビーイング)ポジティブ率セットポイント代償(トレードオフ)ミニマリスト幸福感学習性楽観学習性無力感マインドフルネス【前編】では、ポジティブさもネガティブさも、それぞれメリットとデメリットがあることが分かりました。幸せかどうかという視点に立つと、ネガティブ過ぎれば、明らかに幸福感は低くなります。実際に、幸福度における日本の世界順位は概ね50位圏外で、中・下位です。一方、ポジティブ過ぎれば、一見、幸福感は高まりそうです。しかし、そうではないようです。実際に、幸福度におけるアメリカの世界順位は20位程度で、最上位とは言えないです。つまり、ポジティブ過ぎても幸福感は高まらないと言えます。そもそも、幸せを感じるとはどういうことでしょうか? そして、日本人が幸せを感じるにはどうすれば良いでしょうか? これらの答えを探るために、今回も、映画「イエスマン」を取り上げます。この映画を通して、幸福感を行動遺伝学的にも解き明かします。そして、日本人ならではの幸福感について一緒に考えてみましょう。 幸せを感じるとは?-幸福感を左右する心理それでは、幸せを感じること、つまり幸福感(主観的ウェルビーイング)幸福感(主観的ウェルビーイング)を左右する心理を3つ挙げてみましょう。(1)良いことより悪いことは強い-ネガティビティ優勢性1つ目は、良いことより悪いことは強く感じることです。これは、ポジティブな体験よりも、ネガティブな体験はインパクトが強く影響を受けやすい心理です(ネガティビティ優勢性)。この訳は、脳科学的に言えば、ポジティブな体験がドパミンによる報酬である一方、ネガティブな体験はノルアドレナリンによる恐怖だからです。たとえば、ドパミンによる学習効果(ほめ)は即効性がなく繰り返す必要がありますが、ノルアドレナリンによる学習効果(叱り)は即効性があることが分かっています。この詳細については、末尾の関連記事2をご参照ください。進化心理学的に言えば、報酬は1回なくてもすぐに飢え死にすることはないですが、恐怖は1回だけでも死につながります。この点で、哺乳類の記憶学習のメカニズムである夢やフラッシュバックが基本的にネガティブなものであることも納得が行くでしょう。また、人が、良い噂よりも悪い噂に敏感であることや、良い印象よりも悪い印象を覆しにくいこと(印象形成のバイアス)にも納得するでしょう。つまり、ネガティブな体験のインパクト(質)が強いからこそ、人はポジティブな感情や行動の数(量)で対抗してバランスをとる心理を生存戦略として身に付けたと言えます。言い換えれば、人は、不幸がいきなりやって来るから、それを乗り越えるために、幸せをこつこつ追い続けていると言えるでしょう。実際に、ポジティブ心理学の研究(フレドリクソン)によると、ポジティブな感情とネガティブな感情の比の黄金比は3対1(ポジティブ率75%)であるという結果が出ています。また、カップルなどの親密な関係における研究(ゴッドマン)によると、ポジティブな行動とネガティブな行動の「魔法の比率」は5対1(ポジティブ率83%)であるという結果が出ています。なお、この記事のポジティブ率とは、ポジティブな感情の頻度(P)を、ポジティブな感情の頻度(P)とネガティブな感情の頻度(N)で割った値(P/P+N)とします。(2)良いことも悪いこともなければマシ-ポジティビティ補正2つ目は、良いことも悪いこともなければ、自分はマシ(まだ良い)と感じることです。これは、ポジティブ体験もネガティブ体験もない時は、人はポジティブな感情を軽く抱く心理です(ポジティビティ補正)。この訳は、脳科学的に言えば、ポジティブな感情は、ドパミンによる報酬(社会的報酬を含む)だけでなく、オキシトシンによる愛着・絆によるものでもあることが考えられます。オキシトシンは、それ自体に学習効果は(行動変容)ないですが、見守られている自尊心からポジティブな感情を維持できます。この詳細についても、末尾の関連記事2をご参照ください。進化心理学的に言えば、人は、原始の時代から、愛着・絆によって、ネガティブな感情よりもポジティブな感情を少しだけでも保つ心理を生存戦略として身に付けたのでしょう。つまり、人はもともと軽く幸せであると言えます(ポジティブ率50%+α)。ちなみに、このマシと思う心理は、自分は人と比べてもマシという心理(平均以上効果)や、何となくうまくいく気がするという心理(ポジティブバイアス)につながります。 (3)良いことも悪いことも長続きしない-感情減衰バイアス3つ目は、良いことも悪いことも長く感じ続けることはないことです。これは、ポジティブ体験もネガティブ体験も、時間とともにそのインパクトが目減りする心理です(感情減衰バイアス)。この訳は、脳科学的に言えば、一般的な記憶のメカニズムで説明できます。たとえば、受験に合格した時や失恋した時の感情の経過を想像すれば分かりやすいでしょう。進化心理学的に言えば、快感が持続してしまったら、食べる快感やセックスする快感を得るための行動づけや動機づけが行われなくなり、生存や生殖をしなくなるからです。つまり、人は、幸せがだんだん薄れるから、幸せをこつこつ追い続けていると言えるでしょう。どんなに恵まれた環境であっても、 慣れて飽きてくるというわけです。これは、下りのエレベータを上り続けている状況に例えられます(ヘドニックトレッドミル現象)。また、これは「楽あれば苦あり」「禍福はあざなえる縄のごとし」という日本のことわざに通じます。残念ながら、人は幸せになるように遺伝的にプログラムされていないということです。遺伝的にプログラムされているのは、人が幸せを追い続けることです。なお、つらいことも時間が経てば笑い話になるとよく言われます。これは、深刻さのインパクトが時間の経過によって失われるからであると説明できるでしょう。また、「昔は良かった」「古き良き時代」「最近の若者は」という言い回しは、ネガティブ体験のインパクトが失われた過去とまだインパクトが失われていない現在を比べた時の心理状態と考えると納得がいくでしょう(記憶の楽観性)。実は幸福感は遺伝的に決まっている!?幸福感(主観的ウェルビーイング)を左右する3つの心理から、人は、もともと軽く幸せですが、不幸がいきなりやって来るから、そして幸せがだんだん薄れるから、幸せをこつこつ追い続けていることが分かりました。では、「もともと幸せ」ということは、幸福感は、実は最初から決まっているのでしょうか? ここから、この答えを3つのポイントに分けて、行動遺伝学的に考えてみましょう。なお、幸福感の起源については、末尾の関連記事3をご覧ください。 (1)個人差双子研究から、幸福感の遺伝率は約50%であることが分かっています。言い換えれば、幸福感の半分の要素は、やはりもともと遺伝的に決まっています。これは、セットポイントと呼ばれます。ここで、幸福感を「体温」に例えてみましょう。すると、このセットポイントは「基礎体温」です。ネガティブな体験は「吹雪」、ポジティブな体験は「マッサージ」です。もし「吹雪」に1回襲われたら、「体温」が下がります。よって、「体温」を保つために、「マッサージ」を繰り返しやるのです。愛着・絆は、「基礎体温」を安定させる「防寒具」です。もちろん「防寒具」があれば、その分「吹雪」に耐えられます。逆に、家族との死別や離婚などによって「防寒具」が薄くなったら、その分「吹雪」に耐えられなくなります。ただし、「防寒具」に頼り過ぎると、「マッサージ」をするのを怠り、その「防寒具」が分厚くなる共依存やひきこもりのリスクがあります。なお、「マッサージ」と「防寒具」は体温を下げない点では同じですが、「マッサージ」が断続的であるのに対して「防寒具」は持続的であるとイメージすると分かりやすいでしょう。1つ目は、個人差です。人によって「基礎体温」がそれぞれ違うように、幸福感のセットポイントはそれぞれ違うと言えます。たとえば、基礎体温が35℃台の「寒がり」の人や37℃近い「暑がり」の人がいるように、幸福感を左右するポジティブ率が50%台のネガティブな人や70%近いポジティブな人がもともといると言えます。(2)年齢差幸福感の遺伝率は、対象期間が長くなればなるほど高まり、最終的には80%になることが分かっています。つまり、幸福感は、高齢になるとセットポイントに回帰して行くということです。よくよく考えると、若い頃は、活力に満ち溢れ、チャレンジ精神で革新的になります。その分、ポジティブ率は高いです。確かに、そのままうまく行けば、幸福感も高まるでしょう。ただし、チャレンジに失敗したら、ネガティブな体験を味わうので、結果的に幸福感は下がってしまいます。このように、若年期は、幸福感の振れ幅が大きくなります。これは、ポジティブ率が高過ぎることによる代償(トレードオフ)です。一方、歳を重ねると、活力が枯れしぼみ、これまで自分が得た家族や財産(リソース)を守ろうと保守的になります。すると、その分のポジティブ率が上がりません。もちろん、リスクを踏まないので、ネガティブな体験もありません。こうして、その人のもともとの幸福感が露わになっていくというわけです。例えるなら、先ほどの「体温」に影響する「吹雪」も「マッサージ」もなくなり、「体温」が「基礎体温」と同じになるということです。2つ目は、年齢差です。年齢によって「体温」がそれぞれ違うように、同じ人でも年齢によって幸福感はそれぞれ違うと言えます。高齢者の心理として見れば、猜疑的になる人と多幸的になる人がそれぞれいるのは、このセットポイントへの回帰が示唆されます(パーソナリティの先鋭化)。(3)人種差(文化差)ものごとを自分で判断できるという状況は、アメリカ人にとってはポジティブな体験です。しかし、日本人にとっては必ずしもそうではありません。なぜなら、日本人は、もともとの不安な気質から指示待ちすること好み、逆に自分で判断することがストレスになりうるからです。しかも、自分で判断したら、周りから「出しゃばり」「調子に乗っている」と思われ、ネガティブな体験をするリスクもあります。逆に、何もしなかったり変わらないことで、周りとの調和を生み出して、ポジティブな体験をすることもあります(ミニマリスト幸福感、協調的幸福感)。また、日本人の平均寿命の世界順位が最上位であることは、身体的な健康として誇るべきことです。つまり、幸福感の物差しは1つではないということです。この点で先ほど紹介した幸福感をランキングすることには、その評価基準に限界があるでしょう。一方で、アメリカ人はポジティブ率がとても高いのに、実際にはアメリカはストレス大国と言われています。このストレスは、先ほどの年齢差の説明でも登場したポジティブになることの代償(トレードオフ)です。例えるなら、日本人はもともと「基礎体温」が低い「寒がり」です。そして「心の風邪」であるうつ病になりやすいです。かと言って、「マッサージ」を無理にすることは、もっと「吹雪」を招くおそれがあるため、そう簡単に「暑がり」にはなれないと言えます。一方、アメリカ人はもともと「基礎体温」が高い「暑がり」です。その代償として、「心の肥大」である肥満や浪費の問題が起きやすくなると言えます。3つ目は、人種差(文化差)です。人種や文化によって「寒がり」だったり「暑がり」だったりするように、相互作用を起こす人種(遺伝)と文化(環境)によって幸福感はそれぞれ違うと言えます。たとえば、もともと「基礎体温」が35℃後半(ポジティブ率50%後半)の文化圏の人が、先ほどの理想とされるポジティブ率75%や83%にまで達する必要は必ずしもないと言えるでしょう。次のページへ >>

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イエスマン(後編)【日本人ならではの幸福感とは?(幸福感の心理)】Part 2

日本人が幸福感を再び取り戻すには?幸福感(主観的ウェルビーイング)は、ある程度遺伝的に決まっており、個人差、年齢差、人種差(文化差)があることが分かりました。それでは、日本人の幸福感はこのままで良いのでしょうか?答えは、江戸時代までなら良かったと言えます。なぜなら、日本人の幸福感は、資源の少ない江戸時代までの集団主義によって最適化されてきたからです。しかし、現代では、このままの幸福感はもはや決して良くはないでしょう。 理由は2つ挙げられます。1つ目は、現代の社会は、文明の進歩によって物質的には豊かで安全になっており、飢餓に不安を感じてネガティブになる必要がなくなったからです。もう1つは、世界基準による個人主義化によって、自己主張してポジティブになる必要が出てきたからです。つまり、幸福感を評価するには、時代(環境)の変化を考える必要があります。これは、4つ目の時代差とも言えます。実際に、うつ病やひきこもりによって精神的な健康が損なわれています。また、貧困(格差)、非婚、出生率の低下、超高齢化によって社会的な健康も危うくなっています。例えるなら、ストレスである「吹雪」(コロナ渦という「大吹雪」も含めて)がますます増えた一方で、愛着・絆である「防寒具」がますます薄くなってしまっています。つまり、時代の変化によって、日本人の幸福感はますます失われています。日本人は、幸福感を再び取り戻すために、もう少しポジティブになる時が来ています。それでは、具体的にどうすれば良いでしょうか? 大きく2つに分けてみましょう。(1)ルール化してポジティブになる映画の後半で、カールは、カリスマ主催者に再会した時、「無理にイエスと言うだけですよね?」と尋ねます。すると、カリスマ主催者は「最初はそうだが、それは馴らすためだ」「その後に自然とイエスが出るようになる」「義務だからじゃなく、心から言えるようになる」「誓いを破ったら災いなんて最初からない。ただの出まかせだ」と種明かしをします。1つ目は、ルール化してポジティブになることです。これは、ポジティブ心理学では、学習性楽観と呼ばれています。ポジティブな行動を繰り返すと、ポジティブな思考パターン(認知)を学習していくという認知行動療法です。ちなみに、その逆が、学習性無力感です。これは、犬に電気ショック(罰)を与え続けると、最初は逃げるのに、やがて逃げられないことが分かると、逃げるのをあきらめて無力感を学習することです。しかも、その後に逃げられる状況になっても、その無力感から逃げなくなることです。日本の文化においては、ポジティブになろうとしても、相手からネガティブに思われるかと不安になったり、相手のポジティブなリアクションがなくて不公平に思ったり、慣れなくて長続きしないおそれがあります。だからこそ、最初からルール化して割り切ることです。そして、自分だけでなく、相手もポジティブになる必要性を理解できるようになることです。例えるなら、ポジティブな体験である「マッサージ」の練習をし続けることです。(2)研ぎ澄ましてニュートラルになる2つ目は、研ぎ澄ましてニュートラルになることです。この心のあり方を、心理学ではマインドフルネスと言います。この詳細については、末尾の関連記事4をご参照ください。端的に言うと、どんな体験に対しても、ポジティブかネガティブかと価値判断せずに、さまざまな面を俯瞰して眺め、想像することで、人それぞれが一生懸命に生きている、自分も生かされていることに気付くようになることです。そこから、どんな状況や相手にもありがたみ(感謝)、思いやり(慈愛)、さらには許し(寛容)の気持ちが沸いてきて、受け入れるようになります(受容)。この受容は、ポジティブさとネガティブさを包括したニュートラルな心のあり方です。これは、関連記事1で紹介した概念化にも通じます。精神医学では、サリエンス(際立ち)とも言います。例えるなら、「防寒具」や「マッサージ」の存在の大きさに気付くことです。ちなみに、マインドフルネスは、森田療法や内観療法などの日本古来のセラピーにもつながります。ニュートラルになることは、白黒付けずに調和することです。これは、もともと日本人をはじめとする東洋人のメンタリティでもあります。なお、感謝、慈愛、寛容などの受容は、ポジティブ心理学では、ポジティブであること(ポジティビティ)に含まれています。確かに、受容(サリエンス)は、快感と同じドパミンとの関係が指摘されています。ただし、快感と受容の混同を避けるために、この記事では、ニュートラルになることとして分けて説明しています。 イエスマンとは?幸せになるとは、ポジティブな心とネガティブな心のバランスであり、それらを包括的に受け止めるニュートラルな心のあり方であると言えます。そして、幸せであるとは、幸せのゴールに着くことではなく、小さな幸せを感じる日々のスタートの積み重ねであり、ゴールに向かうプロセスそのものでしょう。カールは、最後に「義務じゃなくて、自然にイエスと言えるようになっている」と納得して、喜びます。私たち日本人が、もっとポジティブになり、再び幸福感を取り戻すためには、カールのように自然とイエスと言えるようになることであり、自分の人生にイエスと言って納得し受容することであるとも言えるでしょう。そうなれることこそが、イエスマンと言えるのではないでしょうか? ■関連記事2.Mother(後編)【家族機能】3.恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】4.「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】1)実践 ポジティブ心理学:前野隆司、PHP新書、20172)ポジティブなこころの科学:堀毛一也、サイエンス社、20193)ポジティブ病の国、アメリカ:バーバラ・エーレンライク、河出書房新書、2010<< 前のページへ

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精神病性うつ病患者の再発に対するベンゾジアゼピンの影響

 ベンゾジアゼピンの長期投与は、依存、転倒、認知障害、死亡リスクを含む有害事象が懸念され、不安以外の症状に対する有効性のエビデンスが欠如していることから、うつ病治療には推奨されていない。しかし、多くのうつ病患者において、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用が行われている。東京医科歯科大学の塩飽 裕紀氏らは、ベンゾジアゼピン使用がうつ病患者の再発または再燃リスクを低下させるか調査し、リスク低下の患者の特徴について検討を行った。Journal of Clinical Medicine誌2020年6月21日号の報告。 対象は、入院中に寛解を達成したうつ病患者108例。うつ病の再発および再燃を定量化するため、カプラン・マイヤー生存分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・対象患者のうち、26例は重度の精神病性うつ病と診断されていた。・すべての患者をまとめて分析したところ、ベンゾジアゼピン使用患者と非使用患者の再発または再燃の割合に、有意な差は認められなかった。・精神病性うつ病患者の再発率は、ベンゾジアゼピン使用患者で21.2%、非使用患者で75.0%であった(log rank p=0.0040)。・カプラン・マイヤー生存分析では、効果は用量依存的であることが示唆された。 著者らは「ベンゾジアゼピンの補助療法は、重度の精神病性うつ病患者の再発または再燃の減少に有用である可能性がある」としている。

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躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用

 韓国・漢陽大学校のHyun Kyung Lee氏らは、双極性障害患者の躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用について、人口統計学的予測因子の検討および入院期間や総医療費に及ぼす影響の調査を行った。Cureus誌2020年6月11日号の報告。 韓国入院患者サンプルを用いて、リチウム治療を行った躁病エピソードを有する成人双極性障害患者1,435例を調査した。入院期間や総医療費への影響を調査するため、同等性評価を伴う独立標本t検定を用いた。ロジスティック回帰モデルを用いて、併用療法のオッズ比(OR)を算出し、95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・併用療法を行っていた患者の割合は、34.5%であった。・併用療法を行っていた患者と単剤療法を行っていた患者の間に、年齢、性別による統計学的な有意差は認められなかった。・併用療法を行っていた患者の割合が高かった因子は、以下のとおりであった。 ●75パーセンタイル以上の高所得世帯の患者:56.4% ●民間保険でカバーされている患者:47.5%・白人と比較し、黒人(OR:2.00、95%CI:1.43~2.82)とヒスパニック系(OR:2.31、95%CI:1.49~3.57)は、併用療法の割合が高かった。・併用療法により、躁病エピソードのマネジメントのための入院期間が有意に減少した(2.8日、95%CI:1.13~4.53、p<0.001)。・総医療費には、統計学的に有意な差は認められなかった(p=0.495)。 著者らは「リチウムと抗精神病薬の併用療法は、リチウム単剤療法と比較し、双極性障害患者の躁病エピソードの入院期間を2.8日減少させた。入院初日から併用療法を開始することは、より迅速な反応を得るための効果的なモデルであると考えられる」としている。

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日本人双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法~二重盲検プラセボ対照試験

 主に米国と欧州で実施されたこれまでの研究において、双極I型うつ病に対するルラシドン(20~120mg/日)の有効性および安全性が報告されている。理化学研究所 脳神経科学研究センターの加藤 忠史氏らは、日本人を含む多様な民族的背景を有する患者において、双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法の有効性および安全性を評価した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年8月22日号の報告。 対象患者を、ルラシドン20~60mg/日群(182例)、同80~120mg/日群(169例)、プラセボ群(171例)にランダムに割り付け、6週間の二重盲検治療を実施した。主要評価項目は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)のベースラインから6週目までの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ルラシドン20~60mg/日群で、プラセボと比較し、ベースラインから6週目までのMADRS合計スコアの有意な減少が認められた。しかし、ルラシドン80~120mg/日群では、有意な差は認められなかった。 ●ルラシドン20~60mg/日群:-13.6(調整後p=0.007、エフェクトサイズ:0.33) ●同80~120mg/日群:-12.6(調整後p=0.057、エフェクトサイズ:0.22) ●プラセボ群:-10.6・ルラシドン20~60mg/日群では、MADRS治療反応率、機能障害、不安症状の改善も認められた。・ルラシドン治療による体重増加、脂質、血糖コントロール値に対する影響は、最小限にとどめられた。 著者らは「ルラシドンは、高用量ではなく20~60mg/日の単剤での使用で、双極I型うつ病患者のうつ症状や機能を有意に改善した。この結果は、これまでの研究と全体的に一致しており、日本人を含む多様な民族において、ルラシドン20~60mg/日による治療は有効かつ安全であることを示唆している」としている。

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日本における若年性認知症の有病率とサブタイプ

 若年性認知症患者の生活には、その年代に合った社会的支援が求められる。最新情報を入手し、適切なサービスを提供するためには、疫学調査が必要である。東京都健康長寿医療センター研究所の粟田 主一氏らは、若年性認知症の有病率、サブタイプの内訳、患者が頻繁に利用するサービスを明らかにするため、調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月19日号の報告。 本研究は、マルチサイト人口ベース2ステップ研究として実施された。全国12地域(北海道、秋田県、山形県、福島県、茨城県、群馬県、東京都、新潟県、山梨県、愛知県、大阪府、愛媛県[対象となる人口:1,163万322人])の医療機関、介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、相談機関などを対象にアンケートを実施した。ステップ1として、過去12ヵ月間で若年性認知症患者がサービス求めたかまたは滞在したかを調査した。ステップ1で「はい」と回答した施設に追加のアンケートの協力を求め、若年性認知症患者へ質問票を配布し、認知症サブタイプなどのより詳細な情報を収集した。 主な結果は以下のとおり。・ステップ1では、1万6,848施設(63.8%)より有効な回答が得られ、若年性認知症患者4,077例が特定された。・ステップ2では、施設から1,614例(39.6%)、患者から530例(13.0%)の詳細な情報が得られた。・日本における若年性認知症の有病率は、人口10万人当たり50.9人(95%信頼区間:43.9~57.9、年齢範囲:18~64歳)と推定された。・2018年時点での日本における若年性認知症の患者数は、3万5,700人と推定された。・認知症サブタイプの内訳は、以下のとおりであった。 ●アルツハイマー型認知症:52.6% ●血管性認知症:17.1% ●前頭側頭型認知症:9.4% ●頭部外傷による認知症:4.2% ●レビー小体型認知症・パーキンソン病による認知症:4.1% ●アルコール関連障害による認知症:2.8%・若年性認知症は、認知症疾患医療センターで最も頻繁に診断されていた。 著者らは「本研究で推定された若年性認知症の有病率は、以前の研究結果と同等であった。しかし、認知症サブタイプの内訳は異なっており、アルツハイマー型認知症が最も多い結果となった。認知症疾患医療センターは、若年性認知症患者に質の高い診断と診断後のサポートを提供することにより、主要な特別医療サービスとして機能し続けることが期待される」としている。

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