サイト内検索|page:135

検索結果 合計:5821件 表示位置:2681 - 2700

2681.

退院1ヵ月後の統合失調症患者の健康状態に影響を及ぼす要因

 統合失調症を含む精神疾患患者の健康状態を良好に保つためには、退院から地域や家庭へなじむまでの期間が重要となる。タイ・マヒドン大学のAnantree Smithnaraseth氏らは、健康状態に影響を及ぼす患者および病院の要因を調査し、退院後30日間でどのような影響が認められるかを検討した。BMC Psychiatry誌2020年12月14日号の報告。 対象は、統合失調症患者1,255例およびタイの公立精神科病院13施設の主介護者。退院後30日間における患者および病院の要因が患者の健康状態に及ぼす影響を調査するため、ロジスティック回帰、マルチレベルロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・クラス内相関係数では、病院間の違いによる健康状態の変化は、14%で認められた。・退院後30日間で健康状態の悪化が認められた患者は、14.26%であった。・対象患者は、男性が69.8%、独身者が71.87%を占めており、平均年齢は38.09±9.74歳であった。・健康状態が悪化する可能性の低い患者の要因は、以下のとおりであった。 ●女性(調整OR:0.53、95%CI:0.31~0.92) ●中程度から高度の介護に対するポジティブな考え([中程度]調整OR:0.24、95%CI:0.14~0.42、[高度]調整OR:0.05、95%CI:0.02~0.09) ●退院の準備ができている認識(調整OR:0.21、95%CI:0.13~0.33) ●部分的および完全な治療アドヒアランス([部分的]調整OR:0.24、95%CI:0.14~0.42、[完全]調整OR:0.31、95%CI:0.20~0.47)・物質使用障害は、健康状態を悪化させる傾向が示唆された(調整OR:1.55、95%CI:0.98~2.44)。・退院後30日間で健康状態の悪化に影響を及ぼす可能性が高まる病院の要因は、退院計画プロセス(調整OR:1.64、95%CI:1.17~2.30)と看護比率(調整OR:1.16、95%CI:1.09~1.22)であった。 著者らは「患者と病院の両方の要因が、患者の健康状態に影響を及ぼすと考えられる。これらの結果は、メンタルヘルスポリシーのより適切なターゲティングにつながり、より正確な情報収集とリソース配分が可能となるであろう。今後の研究では、より焦点を絞り、退院後の健康状態に影響を及ぼす病院の要因の経路についての調査が必要とされる」としている。

2682.

片頭痛に対する抗CGRP抗体ガルカネズマブの有効性~メタ解析

 片頭痛は、頭痛のいくつかのエピソードによりみられる神経学的症候群である。片頭痛の病態生理においてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、重要な役割を果たしているといわれている。ガルカネズマブは、CGRPに特異的に結合し、CGRPの受容体への結合を阻害するモノクローナル抗体である。サウジアラビア・Alfaisal UniversityのAhmed Abu-Zaid氏らは、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブ(120mgまたは240mg)の有効性を評価したすべてのランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Cureus誌2020年11月22日号の報告。 PubMed、SCOPUS、Embase、Cochrane Centralより、2020年10月10日までの文献をスクリーニングした。次の基準を満たす研究を選択した。(1)対象は片頭痛患者(2)ガルカネズマブ 120mgまたは240mgによる介入(3)対照薬プラセボ(4)事前に設定した有効性および安全性アウトカム(5)ランダム化プラセボ対照試験。有効性アウトカムには、片頭痛の日数(MHD)の変化、急性期薬物治療によるMHDの変化、患者による重症度改善度(PGI-S)スコア、migraine-specific quality of life role function-restrictive domain(MSQ RF-R)スコア、片頭痛障害評価尺度(MIDAS)スコアを含めた。安全性アウトカムには、注射部位の痛み、鼻咽頭炎、上気道感染症の頻度を含めた。研究のバイアスリスク評価には、Cochrane Collaboration's risk of bias toolを用いた。統計分析には、Review Manager Software ver. 5.4.1を用いた。平均差およびリスク比、95%信頼区間の分析には、それぞれ連続分析、2値分析を用いた。同種データと異種データの分析には、それぞれ固定効果モデルと変量効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・6研究4,023例が抽出された。・ガルカネズマブ 120mgおよび240mgは、プラセボと比較し、MHDの減少(p<0.001)、急性期薬物治療によるMHDの減少(p<0.001)、PGI-Sスコアの改善(p<0.001)に対し有意に高い効果が認められた。・MSQ RF-RスコアおよびMIDASスコアは、ガルカネズマブ 240mgでのみ有意な改善が認められた(p<0.001)。・副作用に関しては、注射部位の痛みおよび鼻咽頭炎の割合は、ガルカネズマブ 120mgおよび240mgとプラセボとの間に違いは認められなかった。・しかし、ガルカネズマブ 120mgは、プラセボと比較し、上気道感染症の頻度が高かった。この関係は、ガルカネズマブ 240mgでは認められなかった。 著者らは「ガルカネズマブは、片頭痛のマネジメントにおいて、臨床的に安全かつ効果的であり、高用量での使用によりその有効性はさらに高まる。今後の研究は、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブの最適な用量を検討することに向けられるべきである。また、ほかの抗CGRP受容体モノクローナル抗体との直接比較研究が求められる」としている。

2683.

ザ・サークル【「いいね!」を欲しがりすぎると?(承認中毒)】Part 1

今回のキーワード承認欲求自信(自己効力感)自尊心(自己有用感)仲間意識(同調)自尊心(自己肯定感)「SNS疲れ」自己受容自己実現皆さんは、SNSで「いいね!」をたくさんもらいたいですか? フォロワーをもっと増やしたいですか? もちろんより多くの人の支持があれば、それはそれでうれしいでしょう。ただし、「いいね!」を欲しがりすぎたら、どうなるでしょうか? 逆に、「いいね!」がもらえないことで気に病んでしまったら? そして、「いいね!」の数が唯一の目的になってしまったら?「いいね!」をもらうのは、自分の価値が認められるという承認です。そして、承認を欲しがるのは、承認欲求です。なぜ承認を欲求するのでしょうか? そもそもなぜ承認欲求は「ある」のでしょうか? そして、承認欲求にどうすれば良いのでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、映画「ザ・サークル」を取り上げます。この映画を通して、承認の心理を進化心理学的に、そして文化心理学的に掘り下げます。そして、より良い承認欲求のあり方を一緒に考えてみましょう。なんで「いいね!」を欲しがるの?舞台は、ザ・サークルという名の巨大SNS企業。この会社の新入社員のメイは、もともとプライベートを大事にする地味で真面目な田舎育ちの優等生。そんな彼女が、とある事件をきっかけに、新サービス「シーチェンジ」の実験モデルに大抜擢されます。「シーチェンジ」とは、あらゆる場所に設置された超小型監視カメラによって、人々の私生活を生配信するものです。彼女は、トイレ・入浴と睡眠を除くすべてのプライベートを24時間公開することによって、フォロワー1,000万人を超えるアイドルになっていくのです。まず、メイの言動から、承認欲求の心理を3つに分けてみましょう。(1)自信が高まるメイは、「シーチェンジ」によって、日々多くの励ましのコメントが寄せられることで、社内ミーティングで積極的に発言し、ステージでスピーチをするようになります。1つ目は、自信(自己効力感)が高まることです。自己効力感とは、自分はものごとをやり遂げることができると感じることです。これは、ポジティブなことを言われると、美味しいものを食べた時と同じように、ドパミンが活性化して快感が得られるからです(社会的報酬)。そして、そのポジティブさを生かすことに目が向き、積極的になっていくからです(ピグマリオン効果)。なお、この詳細については、関連記事1をご参照ください。 (2)自尊心が高まるメイは、「シーチェンジ」によって、日々多くの共感のコメントが寄せられることで、多くの人から気にされている、愛されていると思うようになります。2つ目は、自尊心(自己有用感)が高まることです。自己有用感とは、他人の評価によって自分は大切にされていて大丈夫と感じることです。これは、自分の味方がいることで、子どもが母親に抱かれた時と同じように、オキシトシンが活性化して安心感が得られるからです(愛着形成)。なお、この詳細については、関連記事2をご参照ください。 (3)仲間意識が高まるメイは、「シーチェンジ」によって、発言するたびに多くのコメントが返ってくることで、全世界のフォロワーとつながっていると思うようになります。3つ目は、仲間意識(同調)が高まることです。同調とは、周りに調子を合わせることです。これは、同じものを見続けることで、同じ場所で同じ格好で同じ動きをするのと同じように、ドパミンとオキシトシンが活性化して連帯感が得られるからです。なお、この詳細については、関連記事3をご参照ください。 「いいね!」を欲しがりすぎると?承認欲求の心理は、自信、自尊心、仲間意識がそれぞれ高まることが分かりました。それでは、承認欲求が行きすぎると、どうなるでしょうか? ここから、承認欲求の危うさを大きく3つ挙げてみましょう。(1)とらわれるメイは、幹部ミーティングで「世界中のすべての人がサークルに加入して、すべてのサービスや支払いを一元化する」「選挙も義務化してオンライン化する」「このインフラは、政府にはないけどサークル社にはある」「国民の意思が一瞬にして分かる。これが真の民主主義です」と言い切ります。彼女は、サークル社とサークル会員のために良かれと思い、過激な発言をするようになります。1つ目は、承認を求めるあまりにとらわれることです(過剰適応)。承認による自信(自己効力感)は、裏を返せば、期待に応えられない自分は認められないと思い込む危うさがあります。ちなみに、この心理が巧みに利用されてしまうのが、官僚の「忖度」です。(2)とりつくろうメイの同僚のアニーは、もともと親友でしたが、メイがアイドルになっていくにつれて嫉妬し、関係がぎくしゃくしていきます。2人は、その状況を見られたくないと思い、「シーチェンジ」が行き届かないトイレの中でこそこそと話をします。メイは、自分のすべてを見せると言っておきながら、見せたい自分だけしか見せていないのでした。2つ目は、承認を求めるあまりにとりつくろうことです(演技性)。承認による自尊心(自己有用感)は、裏を返せば、イケていない自分は愛されないと思い込む危うさがあります。ちなみに、この心理が巧みに利用されてしまうのが、盛れるカメラアプリや「いいね!」の数の売買です。(3)流されるメイの幼なじみのマーサーは、メイと対照的に、SNSとは距離を置き、地元で素朴な生き方をしていました。しかし、彼は、自分がつくった鹿の角のシャンデリアの写真をメイに無断でSNSに投稿されたことにより、「鹿殺し」の汚名を着せられ、殺人の脅迫メールまで送りつけられるようになります。マーサーは、メイに「構わないでくれ」と言い、その後は音信不通になっていました。しかし、メイは、「シーチェンジ」を駆使して行方不明者の居場所を特定する新しいサービスをプレゼンする中、マーサーの居場所を特定するよう観衆からいっせいにコールがかけられます。彼女は断りきれず、結果的にマーサーをさらに追い詰めてしまうのです。3つ目は、承認を求めるあまりに流されることです(依存性)。承認による仲間意識(同調)は、裏を返せば、違う意見を言う自分は仲間になれないと思い込む危うさがあります。ちなみに、この心理が巧みに利用されてしまうのが、「ほめ殺し」です。「承認中毒」とは?承認欲求の危うさは、とらわれる、とりつくろう、流されることであることが分かりました。「認められたい」という欲求が「認められなければならない」という不安にすり替わっています。つまり、根っこの心理は、承認が得られなくなることへの不安です。また、仲間同士で「いいね!」をし合う中、「いいね!」をしたいという喜びが「いいね!」をしてあげなければならないという苦痛にすり替わってしまう危うさもあります。いわゆる「SNS疲れ」です。さらに、「いいね!」数やフォロー数を増やすだけのために、本当はフォローや「いいね!」をするつもりがない相手でも、とりあえず仲間になり、お互いに「いいね!」やフォローをし合うというテクニックも広がっています。こんなことをしていたら、ますます時間をとられて苦痛を感じるでしょう。そうなると、もはや本心でもなく、本来の自分でもなくなってしまいます。そもそも「いいね!」をもらうのは、何かを伝えるという目的のためのフィードバック、つまり手段であるはずです。その手段がすべてになってしまい、目的を見失っています。これは、よくある「手段の目的化」という心理です。このように、承認にすがり無理をしていると分かっていても、承認欲求をやめられない、やめようとしない状態は、「承認中毒」と言えるでしょう。なぜなら、アルコールやギャンブルと同じ「中毒」(アディクション)の要素が根っこにあるからです(嗜癖性障害)。さらに、「承認中毒」で「自家中毒」を引き起こす場合があります。それは、「自分を見てもらえるなら何だってよい」「とにかくみんなに自分のことを分かってほしい」という心理です。たとえば、「私は発達障害なんです」「私は非モテなんです」「私は虐待されてきました」と自分の病気や不遇ばかりをSNSで過剰に自己開示することです。いわゆる「不幸自慢」です。確かに、自分語りは自助グループなどで集団療法としての効果はあります。ただし、自分語りは、自分を客観視することで幸せになるための手段であって、目的そのものではないです。ちなみに、この心理が巧みに利用されているのが、「居場所ビジネス」や「毒親ビジネス」などのカウンセリングビジネスです。なお、この詳細については、関連記事4をご参照ください。 次のページへ >>

2684.

ザ・サークル【「いいね!」を欲しがりすぎると?(承認中毒)】Part 2

なんで承認欲求は「ある」の?これまで、なぜ承認を欲求するのかという疑問にお答えしました。それでは、そもそも、なぜ承認欲求は「ある」のでしょうか? ここから、承認欲求の心理の起源を、3つに分けて、進化心理学的に探ってみましょう。(1)自尊心約2億年前に哺乳類が誕生してから、子どもはその母親からの乳によって育てられるように進化しました。母親の授乳によって、子どもは特定の相手とつながりたいという感覚が生まれます。これが、愛着の起源です。この愛着が高まるのは、愛情を注ぐ母親(人類では父親も)と愛情を浴びる子どもの脳内のオキシトシンが連動して活性化する時であることが分かっています。子どもは、親から無条件に守られていることによって、無条件に自分は大切にされていると感じるようになります。これが、自己肯定感の起源です。約700万年前に人類が誕生し、夫婦が性別役割分業によって助け合うようになりました。約300万年前にアフリカの森からサバンナに出てから、家族を中心とする親族同士で助け合い、部族(集団)をつくるようになりました。すると、オキシトシンは、親子や夫婦の愛着だけでなく部族の絆を強める役割も果たすようになりました。こうして、人類は助け合うという条件付きで自分は大切にされていると感じるようにもなります。これが、自己有用感の起源です。1つ目は、自尊心(自己有用感)です。なお、この自己有用感と自己肯定感を合わせて自尊心(自尊感情)と言います。2つとも自分は大丈夫と感じる安心感という点では同じですが、自己有用感が他人の評価による条件付きの安心感であるのに対して、自己肯定感はあくまで自分自身の評価による無条件の安心感であるという点で違います。全体的な関係性については、以下の表1をご参照ください。(2)自信約300万年前に人類が部族で助け合う仲間であると認識したときに、ドパミンが活性化して心地良く感じるようにも進化しました。これが、社会的報酬の起源です。「好きだから助け合える」とよく言われます。しかし、社会的報酬の心理メカニズムを踏まえると、逆です。むしろ「助け合うと思うから好きになる」のです(魅力の返報性)。こうして、人類は仲間から役に立つと認められていると感じるようになります。これが、自己効力感の起源です。2つ目は、自信(自己効力感)です。(3)仲間意識約300万年前に人類が部族(集団)で一致団結したとき、オキシトシンとドパミンが活性化するように進化しました。そして、部族内で立場的に弱い人が強い人に、そして少数派が多数派に合わせるようになります。これが、同調の起源です。3つ目は、仲間意識(同調)です。このように、承認による自尊心、自信、仲間意識の働きによって、部族として生き残り、子孫を残しました。つまり、承認欲求が「ある」のは、生存や生殖に適応的だったからである言えるでしょう。なんで承認欲求は高まっているの?これまで、なぜ承認欲求は「ある」のかという疑問にお答えしました。それにしても、なぜ承認欲求は高まっているのでしょうか? 今度は文化心理学的に考えてみましょう。約20万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生し、喉(のど)の進化によって、複雑な発声ができるようになり、言葉を話すようになりました。そして、約10万年前には、言葉によって抽象的思考ができるようになってから、信頼の証(承認)として貝の首飾りをプレゼントするようになりました。約5千年前に貨幣が発明されてから、感謝の証(承認)としてお金を支払うようになりました。実際に、お金関係の多くの漢字、たとえば、「財」「贈」「買」「貧」などの部首に「貝」があるのは、貝の首飾りに由来していると考えられます。こうして、単純にお金が増えることが、承認欲求を満たすことになっていました。そんな中、ついに2000年代になり、SNSという新たな「承認装置」が発明されてしまいました。ここから、その特徴を3つ挙げてみましょう。(1)承認が数値化される1つ目は、承認が数値化されることです。それまで、承認は、言葉、手紙、報酬金などの形に限られていました。ところが、SNSによって、承認が「いいね!」数、フォロワー数、再生回数、コメント数などがリアルタイムで細かくカウントされるようになりました。このような刺激によって、承認欲求がますます高まっていくのです。(2)承認が簡便化される2つ目は、承認が簡便化されることです。それまで、承認は、わざわざ面と向かって言葉にしたり、文章にしたり、金品を渡すなどの形に限られていました。ところが、SNSによって、承認がクリック1つでできるようになりました。このようなお手軽さによって、承認欲求がますます高まっていくのです。(3)承認が公表化される3つ目は、承認が公表化されることです。それまで、承認は、口コミなどの評判や公の場で表彰されるなどの形に限られていました。ところが、SNSによって、承認が誰でも見えてしまうようになりました。そして、その承認の数を見比べられるようになり、社会に根付くようになりました。たとえば、それがカスタマーレビューの星の数です。この数が多いだけでますます選ばれ、少ないだけでますます選ばれなくなってしまいます。このような比較によって、承認欲求がますます高まっていくのです。なお、承認の逆は、バッシングです。SNSの時代、「承認中毒」と並んで注目されているのが、バッシングによる「正義中毒」です。この詳細については、関連記事5をご参照ください。 承認欲求にどうすればいいの?承認欲求が高まっている原因は、SNSという画期的な「承認増幅装置」が発明されてしまったからであることが分かりました。そもそも私たちの承認欲求は、約300万年間の進化の歴史によって最適化された心(脳)によるものです。そんな私たちの心(脳)は、SNSという「劇薬」によって簡単に「中毒症状」が出てしまうと言えるでしょう。それでは、そんなSNSによる劇的な社会構造の変化の中、私たちは承認欲求にどうすればいいでしょうか? メイの幼なじみのマーサーの生き方を参考に、対策を3つ挙げてみましょう。(1)自分の生き方を受け入れる-自己受容マーサーは、メイから「(SNSで)社交的じゃないなら救いようがないわ」と言われて、「おれは十分社交的だよ。こうやって話してるじゃないか」と言い返します。マーサーは、SNSとは距離をとり、素朴に生きることを納得してブレていないです。1つ目は、自分の生き方を受け入れることです。これは、メイのような他人の承認による自己有用感ではなく、自分の承認、つまり自己受容による自己肯定感によって、自尊心を安定させることです。すると、他人の承認に惑わされなくなるでしょう。その具体的な取り組みとして、マインドフルネスが挙げられます。この詳細については、関連記事6をご参照ください。 (2)自分の生き方を目指す-自己実現マーサーは、メイから「秘密のハイキングコースを(SNSの)みんなに教えてあげて」と言われて、「そんなことをしたら、自然破壊だよ」と言い返します。マーサーは、自然を愛し、のこぎりと木で物を作ることを生業にしています。彼がいる山小屋には作品の材料がたくさんありました。2つ目は、自分の生き方を目指すことです。これは、メイのようにただ承認されることではなく、本当は自分がどうなりたいか、つまり自己実現を一番に考えることです。すると、他人の承認に惑わされないなくなるでしょう。その具体的な取り組みとして、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が挙げられます。この詳細については、関連記事7をご参照ください。 (3)自分に必要な人間関係を選ぶ-質的な承認マーサーは、メイに「昔は自然の中で一緒に大冒険をしたのに。今はフィルター越しでしかきみと会えない」「きみの(SNSの)世界の一部になりたくない」と言い切り、別れを告げます。マーサーは、メイと価値観が合わなくなったと悟ったのでした。3つ目は、自分に必要な人間関係を選ぶことです。これは、メイのように誰とでもつながる表面的で薄い人間関係ではなく、特別で深い人間関係を見極めることです。つまり、量的な承認ではなく、質的な承認です。すると、承認の数に惑わされなくなるでしょう。その具体的な取り組みとして、対人関係療法が挙げられます。ザ・サークルとは?「サークル」とは、映画の中の企業名でしたが、もともと「仲間の輪」という意味合いがあります。ストーリーの後半でメイは、「全人類がサークル社に加入し、1つにつながる」という壮大なプロジェクトのリーダーになります。そんな「仲間の輪」が広がった世界はどんなものでしょうか? それは、人々が、周りの目ばかりを気にして自分がなくなり、見せかけばかりを気にして中身がなくなり、調子を合わせてばかりで自由がなくなる窮屈なムラ社会でしょう。この「仲間の輪」の危うさに気づいた時、私たちは、より良い承認欲求のあり方を理解することができるのではないでしょうか?1)「承認欲求」という呪縛:太田肇、新潮新書、20192)「Z世代」若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?:光文社新書、20203)承認をめぐる病:斎藤環、ちくま文庫、2016<< 前のページへ■関連記事恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】Part 1Mother(中編)【母性と愛着】告白【いじめ(同調)】Part 1M-1グランプリ(続編・その2)【ツッコミから学ぶこれからのセラピーとは?】Part 1苦情殺到!桃太郎(前編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】Part 1テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】Part 1

2685.

双極I型うつ病に対するルラシドンの長期治療

 日本人を含む多民族の双極性うつ病の短期治療に対する抗精神病薬ルラシドンの有効性が示唆されている。CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、双極性うつ病患者に対するルラシドンの長期治療に対する有効性および安全性を評価するため、28週間のオープンラベル試験での検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年12月8日号の報告。 ルラシドン(20~60mg/日、80~120mg/日)およびプラセボの6週間二重盲検比較試験を終了した患者を28週間の延長試験の対象とした。延長試験では、ルラシドン20~120mg/日のフレキシブルドーズで投与した。安全性については、有害事象、バイタルサイン、体重、心電図、臨床検査、自殺傾向、錐体外路症状の延長試験時のベースラインからエンドポイントまでの変化を評価した。有効性については、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)およびほかの指標で評価した。 主な結果は以下のとおり。・413例中303例(73.3%)が延長試験を完了した。・6週間の試験でプラセボを投与された患者の11.4%、ルラシドンを投与されていた患者の8.9%で治療に起因する有害事象による中止が認められた。・治療に起因する有害事象は、アカシジアが最も多かった。・体重および代謝パラメータの変化は、最小限であった。・延長試験時のベースラインから28週目(またはエンドポイント)までのMADRS合計スコアの変化は、6週間の試験でプラセボを投与された患者(-11.3)とルラシドンを投与されていた患者(-8.9)の両方で減少が認められた。 著者らは「双極性うつ病患者に対するルラシドン(20~120mg/日)の長期治療では、新たな安全性の懸念が認められることなく、忍容性の高さと、うつ症状の継続的な改善が認められた」としている。

2686.

日本人就労者における不眠症治療経過と作業機能障害との関係

 睡眠障害、とくに不眠症に対する薬物治療の治療段階が、日本人就労者の日中の仕事に及ぼす影響について、産業医科大学の大河原 眞氏らが、検討を行った。PLOS ONE誌2020年12月10日号の報告。 対象は、日本の企業15社において2015年に実施した作業機能障害のアンケート調査の回答者3万6,375人。公的健康保険のレセプトデータベースより抽出した回答者の医療データとアンケート結果を一緒に分析した。作業機能障害の測定には、作業機能障害スケール(WFun)を用いた。不眠症の治療状況は、過去16ヵ月の健康保険レセプトデータより抽出した、疾患や処方薬のデータを用いて把握した。治療中および治療期間外における重度の作業機能障害のオッズ比を推定するため、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・重度の作業機能障害リスクは、不眠症でない人と比較し、1ヵ月以上の睡眠薬治療が行われた不眠症患者において有意に高かった。このリスクは、治療期間が長くなるほど減少する傾向が認められた。・過去に不眠症の薬物治療を受けた人では、薬物療法の中止からの期間によって層別化されたすべてのサブグループにおいて、重度の作業機能障害リスクの有意な増加が認められた。このリスクは、治療中止後の期間が長くなるほど減少する傾向が認められた。 著者らは「不眠症治療のために睡眠薬を服用しているまたは服用していた就労者は、日中の機能障害リスクが高い可能性がある。不眠症が長引く場合には、睡眠薬のリスクとベネフィットを注意深く評価する必要がある」としている。

2687.

日本人成人ADHD患者に対するグアンファシン徐放製剤の有効性と安全性

 塩野義製薬の納谷 憲幸氏らは、日本人成人の注意欠如多動症(ADHD)患者に対するグアンファシン徐放製剤(GXR)の有効性と安全性を評価した第III相二重盲検プラセボ対照ランダム化試験の事後分析を行い、ADHDサブタイプ(混合型、不注意優勢型)、年齢(31歳以上、30歳以下)、性別、体重別(50kg以上、50kg未満)のGXRの有効性および安全性について、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年12月10日号の報告。 有効性の主要エンドポイントは、成人用ADHD評価尺度ADHD-RS-IV with adult prompts日本語版合計スコアのベースラインから10週目までの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・有効性の分析は、200例(GXR群:100例、プラセボ群:100例)で実施した。・ADHD-RS-IV合計スコアのエフェクトサイズは、すべてのサブグループで類似していた。 ●全体:0.52 ●ADHD混合型:0.51 ●ADHD不注意優勢型:0.52 ●31歳以上:0.61 ●30歳以下:0.47 ●男性:0.50 ●女性:0.57・治療による有害事象(TEAE)の発生率や種類は、サブグループ間で大きな違いは認められなかった。・重大なTEAE(男性:10.6%、女性:34.3%)およびTEAEによる治療中止(男性:12.1%、女性:34.3%)の発生率は、男性よりも女性において約3倍高かった。・体重別のTEAE発生率は、用量調節期間、維持期間でそれぞれ以下のとおりであった。 ●50kg未満:100%(用量調節期間)、40%(維持期間) ●50kg以上:73.6%(用量調節期間)、24.4%(維持期間) 著者らは「本事後分析の結果では、ADHDサブタイプ、年齢、性別に関係なくGXRの有効性および安全性が裏付けられており、必要に応じてTEAEとGXRの用量最適化を注意深くモニタリングする必要がある」としている。

2688.

COVID-19、半年後も6割強に倦怠感・筋力低下/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で急性症状を呈した入院患者は、退院後6ヵ月時点で、主に倦怠感・筋力低下、睡眠困難、不安・うつに悩まされていることが明らかにされた。中国・Jin Yin-tan病院(武漢市)のChaolin Huang氏らが、1,733例の入院患者についてフォローアップ試験を行い明らかにした。COVID-19の長期的な健康への影響はほとんど明らかになっていないが、今回の検討では、入院中の症状が重症だった患者について、肺の拡散障害および画像所見の異常がより深刻であることも示され、著者は「これらの集団が、長期的な回復介入を必要とする主なターゲット集団である」と述べている。Lancet誌2021年1月8日号掲載の報告。退院後の症状の聞き取り、6分間歩行テスト、血液検査などを実施 研究グループは、COVID-19退院患者の長期的な健康への影響を明らかにし、関連するリスク因子、とくに疾患重症度を調べるため、2020年1月7日~5月29日に武漢市のJin Yin-tan病院から退院したCOVID-19患者を対象に、前後両方向コホート試験を行った。調査から除外されたのは、フォローアップ前に死亡、精神病性障害、認知症、または再入院のためフォローアップが困難、骨関節症で移動が困難、退院前後に脳卒中や肺塞栓症などの疾患により寝たきりの状態、試験参加を拒否、連絡が不可能、武漢市外に居住または介護・福祉施設に入居の患者すべてであった。 全対象患者に対し、退院後の症状、健康関連の生活の質(QOL)などに関する質問と、身体検査、6分間歩行テスト、血液検査を実施。層別任意不均等抽出法を用いて、被験者を入院中の重症度スケール(7段階評価)に応じて規定した3群(スケール3[酸素補給不要]、4[酸素補給を要する]、5~6[5:高流量鼻カニューレ、非侵襲的人工換気を要する、6:体外式膜型人工肺、侵襲的人工換気を要する])に分類し、肺機能検査、胸部高分解能CT、超音波検査を行った。Lopinavir Trial for Suppression of SARS-CoV-2 in China(LOTUS)試験に登録していた患者は、試験期間中にSARS-CoV-2抗体検査を受けていた。 多変量補整線形またはロジスティック回帰モデルを用いて、重症度と長期健康アウトカムの関連を検証した。入院中に重症だと、倦怠感/筋力低下リスクは約2.7倍に 試験期間中に退院した2,469例のうち、1,733例が同試験に参加した。被験者の年齢中央値は57.0歳(IQR:47.0~65.0)、男性は897例(52%)だった。フォローアップ検査は2020年6月16日~9月3日に行われ、症状発症後の追跡期間中央値は186.0日(IQR:175.0~199.0)だった。 最も多くの患者に認められた症状は、倦怠感または筋力低下(63%、1,038/1,655例)、睡眠困難(26%、437/1,655例)だった。不安やうつ症状も23%(367/1,617例)報告された。 6分間歩行テストの結果が正常値の下限を下回った割合は、入院中の症状重症度スケール3群で24%、同4群で22%、5~6群で29%だった。拡散障害はそれぞれ22%、29%、56%で、CTスコア中央値はそれぞれ3.0(IQR:2.0~5.0)、4.0(3.0~5.0)、5.0(4.0~6.0)だった。 多変量補整後、拡散障害発症に関するオッズ比(OR)は、重症度スケール3群に比べて、4群1.61(95%信頼区間[CI]:0.80~3.25)、5~6群4.60(1.85~11.48)だった。不安またはうつ症状のORは、それぞれ0.88(0.66~1.17)、1.77(1.05~2.97)であり、倦怠感または筋力低下のORはそれぞれ0.74(0.58~0.96)、2.69(1.46~4.96)だった。 フォローアップ時に抗体検査を受けていた94例において、血清陽性率(96.2% vs.58.5%)、中和抗体力価の中央値(19.0 vs.10.0)はいずれも急性期と比較して有意に低かった。 また、急性期に腎障害はなかったがeGFR値が90mL/分/1.73m2以上だった患者822例のうち、フォローアップ時のeGFR値が90mL/分/1.73m2以下だった患者は107例だった。

2689.

双極性障害患者における寝室の夜間光曝露と肥満との関係

 肥満や過体重は、双極性障害患者で非常に多く認められており、身体的な問題だけでなく精神疾患の発症リスクにも影響を及ぼす。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、双極性障害患者における寝室の夜間光曝露と肥満との関係を明らかにするため、横断的研究を行った。Physiology & Behavior誌オンライン版2020年12月8日号の報告。 対象は、双極性障害患者200例。就寝時から起床時までの寝室の光度は、携帯型光度計を用いて7夜連続で測定した。自己申告による身長と体重のデータよりBMIを測定し、BMI25kg/m2以上を肥満と定義した。 主な結果は以下のとおり。・肥満の有病率は、44%であった。・年齢、性別、向精神薬の使用、睡眠パラメータ、身体活動で調整後のロジスティック回帰分析では、肥満のオッズ比(OR)が、平均光度3ルクス未満の群(88例)よりも、3ルクス以上の群(112例)において有意に高かった(OR:2.13、95%信頼区間:1.19~4.21、p=0.01)。・平均光度3ルクス以上の群は、3ルクス未満の群よりも、体重(調整後平均:68.7kg vs.64.4kg、p=0.03)およびBMI(調整後平均:25.6kg/m2 vs.24.2kg/m2、p=0.04)が有意に高かった。 著者らは「双極性障害患者における寝室の夜間光曝露と肥満との間に有意な関連が観察された。この関連性を明らかにするためには、さらなる長期的な調査が必要とされる」としている。

2690.

片頭痛患者の神経障害性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、末梢神経障害の一般的な特徴である神経因性疼痛の発症に関連することを示すエビデンスが増加している。臨床研究では、抗CGRPモノクローナル抗体が、片頭痛の予防に効果的であることが示唆されているが、ヒトの神経因性疼痛を含む非頭痛の慢性疼痛に対する効果は明らかになっていない。米国・ミズーリ大学のSeung Ah Kang氏らは、慢性片頭痛を合併している患者の神経因性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性について、評価を行った。Muscle & Nerve誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 慢性片頭痛および末梢神経障害患者14例をレトロスペクティブにレビューした。すべての患者は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療が行われていた。neuropathy pain scale(NPS)および1ヵ月間の片頭痛日数(MHD)に関するデータを、患者報告により収集した。データの収集は、抗CGRPモノクローナル抗体による治療の3ヵ月前、0ヵ月および3、6、9、12ヵ月後に行った。 主な結果は以下のとおり。・抗CGRPモノクローナル抗体による治療により、NPSスコアは、ベースライン時の89.3から治療12ヵ月後の52.1へ41.7%の減少が認められた(p<0.05)。・1ヵ月間のMHDは、ベースライン時の19.8から12ヵ月後の13.2へ33.3%の減少が認められた(p<0.05)。 著者らは「抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、慢性片頭痛患者の神経障害性疼痛を有意に改善した。これらの結果を確認するために、より多くの患者集団を対象とした盲検化ランダム化研究は、実施する価値があるであろう」としている。

2691.

ベンゾジアゼピン依存症自己申告アンケート日本語版を用いた睡眠薬使用障害の現状調査

 ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬は、不眠症治療において頻繁に用いられるが、長期使用は推奨されていない。適切な薬物療法を行うためには、BZD依存に関する現状や背景を明らかにする必要がある。東京女子医科大学の山本 舞氏らは、BZD依存症自己申告アンケート日本語版(Bendep-SRQ-J)を開発し、BZD使用障害に関する研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年12月1日号の報告。 開発元の許可を得てBendep-SRQ-Jを作成した。対象は、2012~13年にBZD治療を行った入院および外来患者。Bendep-SRQ-Jスコア、睡眠障害、身体的併存疾患、向精神薬、ライフスタイルに関するデータを収集した。症状重症度に関連する因子を特定するため、ロジスティック分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・BZDが投与された707例中、324例は自発的にBZDの減量または中止を行っていた。・ロジスティック分析では、過去6ヵ月間に投与された総薬剤数は、症状または状態の悪化と関連していることが示唆された。・この関連は、若年患者でより顕著に認められ、症状または状態がより重度の患者の割合は、薬剤数の増加とともに上昇した。 著者らは「BZD治療を行った患者の約半数は、コンプライアンスが不良であった。投与された薬剤数が増加すると、重度の症状を有する患者の割合の上昇がみられた。これらの知見は、とくに若年患者や複数の睡眠薬を投与された患者では、BZD依存症の可能性を考慮する必要性が示唆された」としている。

2692.

うつ症状が心血管疾患発症と関連/JAMA

 22コホート・参加者56万3,255例のデータを包含したプール解析において、ベースラインのうつ症状は心血管疾患(CVD)と関連していることを、英国・ケンブリッジ大学のEric L. Harshfield氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)研究グループが明らかにした。ただし、症状レベルは大うつ病性障害を示す閾値よりも低く、関連の程度はわずかであった。これまで、うつ症状が独立してCVD発症と関連するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年12月15日号掲載の報告。22コホート・56万3,255例のデータをプール解析 研究グループは、気分の落ち込みを含むうつ症状とCVD発生の関連を明らかにする目的で、Emerging Risk Factors Collaboration(21コホート・16万2,036例、ベースラインサーベイ期間:1960~2008年、最終フォローアップ:2020年3月)と、UK Biobank(40万1,219例、ベースラインサーベイ期間:2006~2010年、最終フォローアップ:2020年3月)の被験者データを基にプール解析を行った。適格被験者は、ベースラインでうつ症状を自己申告しており、CVD歴はなかった。 被験者のうつ症状は、検証済みの評価ツールを用いて記録。ERFC被験者のうつ病スコアは、Center for Epidemiological Studies Depression(CES-D)スケールをコホート全体に反映して調整したうえで評価が行われた(スコア範囲:0~60、16以上がうつ病性障害の可能性を示す)。UK Biobankでは、2-item Patient Health Questionnaire 2(PHQ-2、スコア範囲:0~6、3以上がうつ病性障害の可能性を示す)で記録された。 主要アウトカムは、致死的または非致死的の冠動脈疾患(CHD)、脳卒中、およびCVD(両者を併発)の発生であった。 年齢、性別、喫煙歴、糖尿病で補正後のCES-DまたはPHQ-2スコアの1-SD上昇当たりのハザード比(HR)を算出して評価した。うつスコア上昇に伴いCHD、脳卒中、CVDとも発生率増大 ERFC被験者16万2,036例(女性73%、ベースライン平均年齢:63歳[SD 9])では、CHD 5,078例、脳卒中3,932例の発生が記録された(追跡期間中央値:9.5年)。 CHD、脳卒中、およびCVDとの関連性は顕著な対数線形を示した。うつ病スコア1-SD上昇当たりのHRは、CHDが1.07(95%信頼区間[CI]:1.03~1.11)、脳卒中が1.05(1.01~1.10)、CVDが1.06(1.04~1.08)であった。CES-Dスコアの最高四分位(幾何平均スコア19)vs.最低四分位(同1)でみた1万人年当たりの発生率は、CHDイベントが36.3 vs.29.0、脳卒中イベントは28.0 vs.24.7、CVDイベントは62.8 vs.53.5であった。 UK Biobank被験者40万1,219例(女性55%、ベースライン平均年齢56歳[SD 8])では、CHD 4,607例、脳卒中3,253例の発生が記録された(追跡期間中央値:8.1年)。 うつ病スコア1-SD上昇当たりのHRは、CHDが1.11(95%CI:1.08~1.14)、脳卒中が1.10(1.06~1.14)、CVDが1.10(1.08~1.13)であった。PHQ-2スコアの4以上vs.0でみた1万人年当たりの発生率は、CHDイベントが20.9 vs.14.2、脳卒中イベントは15.3 vs.10.2、CVDイベントは36.2 vs.24.5であった。 HRの大きさと統計学的有意性は、追加リスク因子で補正後も実質的に変化はみられなかった。

2693.

高齢者では1日の歩数が睡眠効率と正の相関―大分大学

 高齢化社会において加齢に伴う運動不足と睡眠障害は大きな問題である。身体活動が睡眠の質に関連しているというエビデンスが出ているが、歩数と睡眠の関連については明らかになっていない。大分大学医学部神経内科の木村 成志氏らは、大分県臼杵市に居住する65歳以上の855例を対象に、毎日の歩数と睡眠の関連を調査した。 2015年8月~2016年3月までに855例が登録され、参加者は期間中3ヵ月ごとに平均7~8日のあいだ腕時計型センサーによって歩数を測定し、重回帰分析で1日の歩数と睡眠(総睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間[WASO]、中途覚醒回数、昼寝時間)との関連を調べた。 参加者の年齢中央値は73歳(四分位範囲[IQR]:69~78歳)、男性317例(37.1%)、女性538例(62.9%)。教育レベルは12(IQR:11~12)年で、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアは29(IQR:27~30)ポイントだった。 主な結果は以下のとおり。・毎日の歩数は、睡眠時間と相関はなかった。・毎日の歩数は、睡眠効率と正の相関を示した。・毎日の歩数は、WASO、中途覚醒回数、昼寝時間と逆相関を示した。 これらの結果を踏まえ、著者らは「ウォーキングは高齢者にも安全性の高い運動であり、歩行に焦点を当てた運動プログラムの推進は、高齢者の睡眠障害の予防として適切なアプローチといえる」としている。

2694.

日本人男性における周産期うつ病有病率~メタ解析

 周産期うつ病は、女性のみならず男性においても発症する精神疾患である。父親の周産期うつ病の有病率に関するこれまでの国際的なメタ解析では、異文化または社会経済的環境が父親のうつ病に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。しかし、これらのデータが、日本人男性においても当てはまるかどうかは明らかでなく、日本人男性を対象とした報告は少ない。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本人男性における周産期うつ病の有病率を推定するため、検討を行った。Annals of General Psychiatry誌2020年11月18日号の報告。 1994年1月~2018年6月に報告された日本人男性を対象とした出産前または産後うつ病の有病率に関する研究を、PubMed、医中誌より検索し、データを抽出した。日本人男性における父親の周産期うつ病の期間有病率を調査し、性差に関するサブグループ解析も実施した。 主な結果は以下のとおり。・基準を満たした研究は、最終的に15件であった。・男性における出産前または期間別の産後うつ病の有病率は、以下のとおりであった。 ●出産前:8.5%(95%CI:3.3~20.3) ●産後1ヵ月以内:9.7%(95%CI:7.4~12.8) ●産後1~3ヵ月:8.6%(95%CI:5.5~13.3) ●産後3~6ヵ月:13.2%(95%CI:11.6~15.0) ●産後6~12ヵ月:8.2%(95%CI:1.3~38.0)・出産前うつ病の有病率は、女性よりも男性のほうが有意に低かった。・産後うつ病の有病率は、男女間で有意な差が認められなかった。 著者らは「日本人男性における周産期うつ病の有病率は、全体として約10%であり、産後3~6ヵ月でピークに達していた。本結果は、国際的なメタ解析の結果と類似していた。とくに、産後うつ病の有病率は、女性だけでなく男性においても同様に高いことが明らかとなった。そのため、父親の周産期うつ病に対しては、出産前よりも産後により注意を払う必要がある」としている。

2695.

食習慣と若年性認知症発症リスク~イタリアでの調査

 若年性認知症のリスクは、環境要因や食生活を含むライフスタイルによって変化する可能性がある。イタリア・モデナ・レッジョ・エミリア大学のTommaso Filippini氏らは、食生活と若年性認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2020年11月29日号の報告。 イタリア北部のモデナの新規若年性認知症患者54例および対照群として介護者54人を対象とした。食事の頻度に関する質問票により食生活を調査し、食物摂取と食事パターンのアドヒアランスについて評価を行った。食事の要因とリスクとの関係をモデル化するため、制限3次スプライン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・穀物摂取と若年性認知症は、U字型の関係を示し、350g/日超で若年性認知症リスクの増加が認められた。・乳製品の大量摂取(400g/日超)も、若年性認知症リスクの増加と関連が認められた。・全体として魚介類の摂取と若年性認知症リスクとの関連は認められなかった。保存や缶詰にされた魚類の摂取と若年性認知症リスクとの関連が認められたが、ほかの魚類では逆の関係が認められた。・野菜(とくに葉菜類)の摂取は、100g/日超で強い逆相関が認められた。かんきつ類やドライフルーツも同様であった。・全体として甘味の摂取と若年性認知症リスクとの関連は認められなかった。ドライケーキとアイスクリームでは正の相関が認められ、チョコレート製品では逆の関係が認められた。・飲料については、コーヒー摂取量とU字型の関係が認められた以外では、関連が認められなかった。・食事パターンに関しては、MINDダイエット(地中海式食事方法とDASH食を組み合わせた食事法)へのアドヒアランスが増加すると、若年性認知症リスクが直線的に減少した。・地中海式食事方法とDASH食での逆相関は、アドヒアランスレベルが非常に高い場合のみで認められた。 著者らは「本研究は、食事の要因と若年性認知症リスクとの関係を調査した最初の研究であり、MINDダイエットに対するアドヒアランスの増加が、リスク減少につながる可能性があることが示唆された」としている。

2696.

統合失調症の自殺死亡率とその方法

 統合失調症患者の主な死因の1つは、自殺である。台湾・国立政治大学のChun-Hung Pan氏らは、統合失調症患者の自殺方法別の発生率を一般集団と比較するため、コホート研究を実施した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2020年11月27日号の報告。統合失調症の自殺方法は性別により異なることが示唆された 対象は、2001~16年の台湾健康保険研究データベースより抽出した統合失調症患者17万4,039例。フォローアップ期間中に死亡した患者数は2万6,926例、その内自殺により死亡した患者は3,033例であった。自殺に関連する人口統計学的変数を推定するため、単変量Cox回帰分析を用いた。統合失調症患者の自殺方法別の割合を、一般集団と比較し推定した。自殺方法別の発生率と標準化死亡比(SMR)を算出し、性別に基づいて層別化した。 統合失調症患者の自殺方法別の発生率を一般集団と比較した主な結果は以下のとおり。・自殺リスクが最も高い年齢層は、25~34歳であった。・統合失調症患者では、一般集団と比較し、飛び降り、溺死による自殺が多く、炭の使用、首吊りによる自殺が少なかった。・女性は、男性よりも溺死や飛び降りによる自殺の発生率が高かった。・物質使用障害の合併は、自殺によるSMRの高さと関連しており(26.9、95%CI:23.4~28.9)、とくに飛び降りによる自殺の場合に顕著であった(61.2、95%CI:48.3~76.3)。 著者らは「統合失調症患者は、一般集団と比較し、すべての方法による自殺率が高かった。統合失調症患者の自殺方法は、性別により異なることが示唆された。物質使用障害を合併した患者では、自殺方法別のSMRが高いため、とくに注意が必要である」としている。

2697.

片頭痛や激しい頭痛の有病率~米国での調査

 片頭痛や激しい頭痛による負荷に関して最新かつ正確に推定することは、働く人のニーズや健康資源を考える際のエビデンスに基づく意思決定において重要となる。米国・ハーバード大学医学大学院のRebecca Burch氏らは、米国政府の健康調査データを用いて、片頭痛や激しい頭痛の有病率、傾向および年齢、性別、経済状態による影響について調査を行った。Headache誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 公開されている最新の統計情報をNational Hospital Ambulatory Medical Care Survey、National Ambulatory Medical Care Survey、National Health Interview Surveyより特定した。性別、年齢、経済状況の統計データに重点を置き、各研究より関連情報を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・米国における片頭痛や激しい頭痛の年齢調整有病率は、何年にもわたり安定していた。・2018年の成人における片頭痛や激しい頭痛の年齢調整有病率は、15.9%であった。・性別比も安定しており、男性で10.7%、女性で21.0%であった。・片頭痛は公衆衛生上の重要な問題であり、2016年には約400万人が救急科を受診していた。頭痛は、救急受診理由の5番目に位置しており、15~64歳の女性に至っては、受診理由の3番目であった。・片頭痛は、外来診療において430万人以上の受診があった。・片頭痛や激しい頭痛を有する成人の多くは、不利益を被っていた。・たとえば、2018年には、片頭痛を有する米国成人の約40%は失業しており、同様の割合が、貧困または貧困に近い層として分類された。・約5人に1人は健康保険に加入しておらず、約3人に1人は高等教育以下であった。 著者らは「片頭痛や激しい頭痛は、米国における公衆衛生上の重大な問題であり、出産可能年齢の女性や社会経済的地位の低い女性では、最も大きな影響を及ぼす。そして、頭痛患者の多くは、社会経済的に不利益を被っていた。現在の新型コロナウイルスまん延による経済への影響は、これらの問題を悪化させる可能性がある。影響の大きな慢性疼痛に対する注目が集まり、治療提供や研究のための資金が見直されることは、将来の疾患負荷を軽減するために重要である」としている。

2698.

双極性障害と摂食障害との関連~メタ解析

 双極性障害と摂食障害との相互関係については、データが不十分なため、よくわかっていない。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、双極性障害患者の摂食障害有病率および摂食障害患者の双極性障害有病率を調査し、相互関係を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月13日号の報告。 2020年4月20日までに公表された双極性障害と摂食障害との関連を検討した研究を、MEDLINE、PsycINFOデータベースよりシステマティックに検索した。複数のモデレーターを考慮し、変量効果メタ解析とメタ回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・36件の研究より、一次診断が双極性障害の患者1万5,084例が抽出された。・11件の研究より、一次診断が摂食障害の患者1万5,146例が抽出された。・双極性障害患者の過食性障害有病率は12.5%(95%CI:9.4~16.6、I2=93.48)、過食性障害患者の双極性障害有病率は9.1%(95%CI:3.3~22.6)であった。・双極性障害患者の神経性過食症有病率は7.4%(95%CI:6~10)、神経性過食症患者の双極性障害有病率は6.7%(95%CI:12~29.2)であった。・双極性障害患者の神経性やせ症有病率は3.8%(95%CI:2~6)、神経性やせ症患者の双極性障害有病率は2%(95%CI:1~2)であった。・全体として、摂食障害を合併した双極性障害患者は、非摂食障害の対照群と比較し、女性の割合が高かった。・いくつかのモデレーターは、異なるタイプの双極性障害と摂食障害内およびそれらの間の両方で、統計学的に有意な差が認められた。 著者らは「双極性障害と摂食障害との合併は、いずれかの疾患からの方向性と関連するよりも、診断サブタイプにより異なると考えられる。今後の研究において、リスク、年代、臨床的影響、発症の管理に焦点を当て、各年齢層にわたる連続的なアプローチが求められる」としている。

2699.

うつ病患者のBMIと治療結果との関連

 うつ病患者では、抗うつ薬の治療反応が悪いと、BMIが高まる可能性がある。しかし、治療反応に対する低体重の影響はよくわかっていない。また、治療反応を予測するためにBMI測定を実施すべきかについても研究されていなかった。中国・首都医科大学のLe Xiao氏らは、うつ病患者のBMIと治療結果との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月12日号の報告。 抗うつ薬(パロキセチン、ミルタザピン、パロキセチン+ミルタザピン)の治療結果を報告した臨床試験の成人うつ病患者202例のデータを事後分析した。ベースライン時のBMIおよび0、2、3、4、6、8週目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)による症状重症度を測定した。肥満度の分類は、BMI18.5未満(低体重)、18.5~23.9(正常体重)、24以上(過体重)と定義した。エンドポイントにおけるHAMD-17スコアの減少、反応(HAMD-17スコア50%以上の減少)、寛解(HAMD-17スコア7以下)に対するベースライン時のBMIの影響を調査するため、単変量分析を用いた。継続的な体重やBMIの測定とHAMD-17スコアの減少との関連を調査するため、ピアソン相関係数を用いた。寛解の予測因子の検討には、ロジスティック回帰分析を用いた。BMIとHAMD-17の変化との関連を明らかにするため、多重線形回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・肥満度の分類では、正常体重111例(55.0%)、低体重20例(9.9%)、過体重71例(35.1%)であった。・低体重の患者では、抗うつ薬の治療反応が最も良好であった。・非寛解患者は、寛解患者と比較し、体重およびBMIが高値であった(p<0.05)。・HAMD-17スコアの減少は、ベースライン時の体重(r=-0.16、p=0.032)およびBMI(r=-0.19、p=0.012)と関連が認められた。・ロジスティック回帰では、正常体重および低体重の患者(BMI24未満)は、過体重の患者と比較し、寛解率が2倍高かった(OR:1.958、95%CI:1.015~3.774、p=0.045)。・多重線形回帰では、BMI増加とHAMD-17合計スコア変化の減少との関連が認められた(β=-0.32、p=0.016)。 著者らは「うつ病の治療結果は、BMIにより予測できることが確認された。また、抗うつ薬治療が最も奏効するのは、低体重の患者であることが初めて明らかとなった。本調査結果は、BMIによる抗うつ薬の選択に際し、意思決定に役立つ可能性がある」としている。

2700.

あなたには帰る家がある(後編)【なんで倦怠期は「ある」の?どうすればいいの?】Part 1

今回のキーワード絆の強さ(愛着スタイル)生殖戦略世代間連鎖男女平等(男女共同参画)アサーション夫婦間のSST共働きと共子育て「屋上付きの2階建て」そもそもなんで倦怠期は「ある」の?倦怠期になる原因は、不安定なコミュニケーションスタイル(愛着スタイル)、男女の脳機能の違い(システム化と共感性)、男女の社会的な役割の違い(ジェンダーギャップ)であることが分かりました。それでは、そもそもなぜこの3つの原因は「ある」のでしょうか? ここから、3つの原因の起源を進化心理学的に、そして文化心理学的にそれぞれ探ってみましょう。(1)男女の脳機能の違いの起源-生存と生殖に適応的だったから約700万年前にチンパンジーと共通の祖先が、二足歩行をするようになり、人類が誕生しました。この時に、手が自由になり、獲った食料を持ち歩けるようになりました。そして、男性は、日々食料を確保し、女性と分け合い、そのお返しとして、女性がその男性とセックスして、生まれた子どもを育てるようになりました。これが、性別役割分業の起源です。この時、食料を毎回取ってこれる男性が、女性に選ばれるでしょう。よって、生き残り子孫を残す男性の心理は、どうやって得るか、そして何を得るか、つまり理屈(論理)と結果です。これが、システム化の起源です。一方で、子どもを生んで無事に育てる女性が、男性に選ばれるでしょう。よって、生き残り子孫を残す女性の心理は、見た目や肌の美しさ(感染症の兆候がないこと)という身体的な特徴に加えて、子ども(相手)の気持ちにどう応えるか、そしてどうやって一緒にいるか、つまり情緒(感情)や関係性(プロセス)です。これが、共感性の起源です。つまり、男女の脳機能の違いが「ある」は、生存と生殖に適応的だったからであると言えるでしょう。(2)不安定な愛着スタイルの起源-生殖に適応的だったから約700万年前に人類が性別役割分業をするのと同時に、特定の男性と特定の女性がセックスをするようになりました。これが、一夫一妻型(制)の起源です。約300万年前に人類が家族を中心とした血縁集団の部族をつくるようになりました。そして、助け合うと、オキシトシンとあいまってドパミンが活性化して心地良く感じるようにもなりました。これが、絆(愛着スタイル)の起源です。これは、前編でご紹介した同調性にもつながります。夫婦は「好きでい続けるから助け合える」と思われがちですが、実は逆です。夫婦は「助け合うから好きでい続ける」のです。ただし、これは安定型の愛着スタイルの話です。一方、夫婦のどちらか、とくに両方の愛着スタイルが不安定な場合、子どもが身体的に自立する4歳以降、つまり子育てが一段落する結婚4年目以降に、倦怠期になり、離婚と再婚が繰り返されることが促進されます。すると、異なる夫婦関から生まれる子孫は、遺伝子をより多様に残せます。この子孫は、多様な免疫力を持っている点で、倦怠期にならない夫婦から生まれる子孫よりも、生存の適応度を高めます。もちろん、夫婦として幸せかどうかは別問題です。つまり、不安定な愛着スタイルが「ある」のは、生殖に適応的だったからです。これは、不倫の心理にもつながる生殖戦略です。なお、不倫の心理の詳細については、関連記事7をご参照ください。もちろん、愛着スタイルは、遺伝的に受け継がれるだけでなく、文化的にも受け継がれます(世代間連鎖)。ガミガミ型(不安型)やヘコヘコ型(回避型)の不安定な愛着スタイルの両親から生まれる子どもたちは、前編のストレンジ・シチュエーション法でご説明したとおり、気まぐれで一貫していない愛情(不安型)や、一貫して乏しい愛情(回避型)を親から受け取ることになるというわけです。なお、そんな子どもたちは、不安定なもともとの家族から逃れるため、早期に結婚して新しい家族をつくる生殖戦略をとります。この戦略は、その後に離婚と再婚を繰り返すことも含めて、やはり生殖の適応度は高いと言えるでしょう。 (3)ジェンダーギャップの起源-近代社会に適応的だったから約1万数千年前に現生人類が農耕牧畜をするようになりました。一家総出で田畑や牧場で働く生活スタイルになり、性別役割分業は、いったん目立たなくなりました。しかし、200年前の産業革命から、夫が働いた給料で女性が働かなくてもすむようになり、子育てと家事に専念する専業主婦が生まれ、性別役割分業が逆に際立っていきました。これが、ジェンダーギャップの起源です。つまり、ジェンダーギャップが「ある」のは、近代社会に適応的だったからです。しかし、20世紀後半の情報革命から、男女平等(男女共同参画)が高まり、世界的にはジェンダーギャップは小さくなってきました。しかし、日本をはじめとする東アジアでは、もともと上下関係に馴染みやすい集団主義の文化(権威主義的パーソナリティ)が根付いていました。男尊女卑はその代表です。そのため、日本はジェンダーギャップへの対策は、大きく出遅れています。なお、権威主義的パーソナリティの詳細については、関連記事8をご参照ください。 次のページへ >>

検索結果 合計:5821件 表示位置:2681 - 2700