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統合失調症と肥満~メタ解析

 統合失調症および抗精神病薬と代謝調整不全との関係は、現在十分に確立された知見が示されているが、肥満に対する影響についてはよくわかっていない。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのEmily Smith氏らは、肥満測定画像技術の所見を統合することにより、統合失調症患者の病状や治療に対する肥満の影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年8月30日号の報告。統合失調症は肥満リスクが高く、抗精神病薬に使用により増強される 2021年2月までに報告されたケースコントロール研究およびプロスペクティブ縦断研究を、MEDLINE、EMBASE、PsychINFO、Scopusより検索した。主要アウトカムは、体脂肪率、皮下脂肪、内臓脂肪を含む肥満関連の測定値とした。 統合失調症への肥満の影響を検討した主な結果は以下のとおり。・統合失調症スペクトラム障害患者における肥満を定量化するため画像診断法を用いた29件の研究を特定した。・統合失調症スペクトラム障害患者群では、対照群と比較し、肥満関連の測定値が高かった。 ●体脂肪率の平均差:3.09%(95%CI:0.75~5.44) ●皮下脂肪の平均差:24.29cm2(95%CI:2.97~45.61) ●内臓脂肪の平均差:33.73cm2(95%CI:4.19~63.27)・抗精神病薬の使用は、皮下脂肪、内臓脂肪の増加との関連が認められたが、体脂肪率には影響を及ぼさないようであった。 ●皮下脂肪の平均差:31.98cm2(95%CI:11.33~52.64) ●内臓脂肪の平均差:16.30cm2(95%CI:8.17~24.44)・しかし、体脂肪率の変化は、治療を受けていた統合失調症スペクトラム障害患者と比較し、抗精神病薬未使用/初めて使用の患者のほうが高かった。 著者らは「統合失調症スペクトラム障害患者は、肥満リスクが高く、とくに抗精神病薬に使用により増強されることが示唆された。抗精神病薬未使用の若年患者では、この影響をとくに受けやすい可能性がある。今後の研究では、特定の抗精神病薬の肥満に対する影響や全体的な代謝関連への影響を調査する必要がある」としている。

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うつ病女性に対する運動介入効果~メタ解析

 うつ病は、男性よりも女性の割合が高い疾患である。これは、思春期、月経、妊娠、更年期などにおける女性の生理学的調整が、男性と異なることが原因であると考えられる。そのため、うつ病女性の治療は、健康上の課題となっている。また、うつ病に対する運動介入に関する最近の研究では、薬物療法や心理療法と対照的に、優れた効果が示唆されており、利便性、迅速性、副作用がないこと、短長期的有効性が認められている。中国・広西師範大学のLin-Bo Yan氏らは、抑うつ症状を有する女性に対する運動介入の臨床的な有効性を明らかにするため、システマティックレビューを行った。Medicine誌2021年8月20日号の報告。 PubMed、Cochrane Library、Embaseより、うつ病女性に対する運動介入について検討したランダム化比較試験を検索した。文献スクリーニング後のデータ抽出、品質評価、取得データのメタ解析は、RevMan5.3ソフトウエアを用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・25件の研究より抽出した、2,294例を分析に含めた。・メタ解析では、運動は、対照群と比較し、女性のうつ病を軽減することが示唆された(標準平均差:-0.64、95%信頼区間:-0.89~-0.39、Z=4.99、p<0.001)。・サブグループ解析では、さまざまな種類の運動において、抑うつ症状改善に有意な効果が認められた。・運動介入は、通常のうつ病患者よりも、生理学的または他の疾患により誘発されるうつ病患者に対し、より効果的であることが示唆された。 著者らは「運動介入は、女性の抑うつ症状を有意に改善することが確認された」としている。

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日本の介護施設の認知症高齢者における向精神薬および抗コリン薬の使用状況

 医療経済研究機構の浜田 将太氏らは、日本の主要な介護施設の1つである介護老人保健施設に入所している認知症高齢者を対象に、向精神薬および抗コリン薬の処方および中止の状況を評価するため、コホート研究を実施した。BMJ Open誌2021年4月8日号の報告。 2015年、日本の介護老人保健施設3,598施設を対象にアンケート調査を実施した(施設ごとにランダムに選択された入所者最大5例)。アンケート回収は、343施設(回答率10%)より得られ、入所者1,201例が含まれた。標準化された尺度を用いて、認知症の有無および重症度を評価した。入所時および入所2ヵ月後の向精神薬および抗コリン薬の処方状況を評価した。入所者のベースライン特性と処方または中止との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬(19.4%→13.0%)、催眠薬(25.1%→22.6%)、抗不安薬(12.3%→10.7%)の処方は減少したが、抗精神病薬(13.2%→13.6%)、抗うつ薬(7.4%→6.7%)、抗てんかん薬(7.1%→7.8%)などの他の向精神薬、抗コリン薬(35.2%→36.6%)の処方については、統計学的に有意な減少が認められなかった。・いくつかの要因と処方との関連が確認された。たとえば、85歳以上の高齢(調整OR:0.60、95%CI:0.43~0.85)や寝たきり(調整OR:0.67、95%CI:0.47~0.97)では抗精神病薬の処方は減少し、高度の認知症(調整OR:3.26、95%CI:2.26~4.70)では抗精神病薬の処方が増加することが示唆された。・個人レベルでみると、入所時に向精神薬または抗コリン薬を処方されていた入所者の4分の1は、入所2ヵ月後にはそれぞれ1剤以上の中止が認められた。・高度の認知症に対する抗認知症薬の処方(調整OR:1.86、95%CI:1.04~3.31)および非認知症高齢者に対する向精神薬の処方(調整OR:1.61、95%CI:1.00~2.60)は、中止と関連していた。 著者らは「有害事象リスクを軽減するためにも、介護老人保健施設の入所者に対する向精神薬および抗コリン薬の処方は、検討する余地があると考えられる」としている。

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プラリマリケアでの抗うつ薬治療、再発リスクの評価/NEJM

 抗うつ薬治療を中止できるほど良好な状態であったプライマリケアのうつ病患者において、投薬を中止した患者は継続した患者と比べて、52週までのうつ病再発リスクが高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)Faculty of Brain SciencesのGemma Lewis氏らが両者を比較する無作為化二重盲検試験の結果を報告した。プライマリケアで治療を受けるうつ病患者は、長期間抗うつ薬の投与を受ける可能性があるとされるが、投与を継続または中止した場合の影響に関するデータは限定的であった。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。52週の無作為化試験で、うつ病再発を評価 研究グループは、英国にある150の一般診療所(GP)で治療を受ける成人患者を対象に試験を行った。全患者が2つ以上のうつエピソード歴があるか、抗うつ薬治療を2年以上受けており、治療中止を考慮可能なほど良好な状態であった。 被験者(citalopram、fluoxetine、セルトラリン、ミルタザピンのいずれかを服用)は1対1の割合で無作為に、現行の抗うつ薬治療を継続する群(継続群)またはマッチさせたプラセボを用いて漸減・中止する群(中止群)に割り付けられた。 主要アウトカムは、52週の試験期間中の初回うつ病再発(time-to-event解析で評価)であった。副次アウトカムは、抑うつ・不安症状、身体的・離脱症状、QOL、抗うつ薬/プラセボ中止までの期間、全般的な気分の評価とした。再発は継続群39%、中止群56%、ハザード比2.06 合計1,466例がスクリーニングを受け、478例が試験に登録された(継続群238例、中止群240例)。被験者の平均年齢は54歳、女性が73%。割り付けられた試験薬のアドヒアランスは、継続群70%、中止群52%であった。 52週までに再発を認めたのは、継続群92/238例(39%)、中止群135/240例(56%)であった(ハザード比:2.06、95%信頼区間:1.56~2.70、p<0.001)。 副次アウトカムは、概して主要アウトカムと同様の傾向が認められた。中止群は継続群と比べて、抑うつ症状(12週時のPHQ-9評価で推定群間差2.2ポイント)、不安症状(12週時のGAD-7評価で同2.4ポイント)、離脱症状(12週時のDESS評価で同1.9ポイント)が多かった。

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SSRIの副作用プロファイル~自然主義的横断研究

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、最も一般的に使用されている抗うつ薬である。通常の臨床試験では、SSRIの副作用は過少報告されているといわれている。各SSRIの副作用プロファイルを完全に理解するためには、自然主義的な環境で構造化された手法を用いてシステマティックに評価することが求められる。インド・JDT Islam College of PharmacyのK. Anagha氏らは、自然主義的な治療環境で患者の主観的な症状を測定するために設計された自己評価法を用いて、3種類のSSRI(セルトラリン、エスシタロプラム、fluoxetine)によって誘発される副作用の頻度を調査した。The Primary Care Companion for CNS Disorders誌2021年7月29日号の報告。3種類のSSRIの副作用プロファイルを調査 対象は、3次医療施設の精神科より登録された外来患者。対象条件は、ICD-10基準でうつ病、不安スペクトラム障害、適応障害、心気症、衝動調節障害と診断されSSRI単剤治療を受けた18歳以上の患者とした。評価法には、42項目を含み、米FDAよりリリースされた抗うつ薬の最も一般的な副作用に関する添付文書データを用いて考案した。 自然主義的な治療環境でSSRIの副作用の頻度を調査した主な結果は以下のとおり。・対象患者数は100例、女性の割合は70%であった。・最も一般的な診断は、うつ病であった(49%)。・使用薬剤の割合は、セルトラリンが53%、エスシタロプラムが38%、fluoxetineが8%であった。・患者より報告された一般的な副作用は、腹部膨満感(64%)、傾眠(59%)、記憶障害(51%)、集中力低下(50%)、あくび(47%)、倦怠感(45%)、口渇(45%)、体重増加(45%)、ふらつき(43%)、発汗(38%)であった。・エスシタロプラムでは、頭痛、そう痒症、記憶障害、集中力低下、めまいの発生率が有意に高かった。・セルトラリンでは、食欲不振が有意に多かった。 著者らは「一般的に使用される3種類のSSRIに関する副作用の発生率やパターンが示された。また本結果は、他の同様な研究と比較するためのベースラインデータとなりうるであろう」としている。

2346.

急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬治療戦略~ガイドラインのレビュー

 慶應義塾大学の下村 雄太郎氏らは、急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬の治療戦略に関する現状を要約するため、ガイドラインおよびアルゴリズムのシステマティックレビューを実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年9月8日号の報告。治療抵抗性統合失調症に対するクロザピンの使用を多くのガイドラインが推奨 急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬治療に関する臨床ガイドラインおよびアルゴリズムを特定するため、MEDLINEおよびEmbaseを用いて、システマティックに文献検索を行った。治療反応不良(抗精神病薬の増量や切り替えなど)や治療抵抗性を含む抗精神病薬治療戦略の推奨事項に関する情報を収集した。 主な結果は以下のとおり。・2011年以降に公開された、各国の急性期および治療抵抗性統合失調症治療のガイドラインやアルゴリズムを17件特定した。・急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬の投与量に関しては、ほとんどのガイドライン(11件中10件)において、低用量または有効最低用量から開始し、漸増することとしていた。・治療反応不良例に対する抗精神病薬治療戦略に関しては、すべてのガイドライン(9件中9件)において、承認用量範囲の最大用量に向かって抗精神病薬の増量が推奨されていた。・例外的な場合に、承認用量範囲を超えた抗精神病薬の増量に肯定的であったガイドラインは5件、否定的であったガイドラインは10件であった。・多くのガイドライン(17件中16件)において、治療反応不良例には、他の抗精神病薬への切り替えを推奨していたが、クロザピン以外の抗精神病薬については、エビデンスが十分でないことが、いくつかのガイドラインにおいて指摘されていた。・すべてのガイドライン(17件中17件)において、2種類の抗精神病薬で治療反応が不十分であった場合に、クロザピンの使用を推奨していた。・4件のガイドラインでは、クロザピンの早期使用を推奨していたが、あくまで第3選択薬としてであった。 著者らは「現在利用可能なガイドラインやアルゴリズムでは、急性期統合失調症治療に対し治療反応が不良な場合には、抗精神病薬の増量や他の抗精神病薬への切り替えが推奨されていた。とくに、治療抵抗性統合失調症に対するクロザピンの使用が推奨されていた」としている。

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双極性障害の自殺企図に対する季節的な日照時間変動の影響

 双極性障害では、概日リズムの乱れと自殺リスクの高さとの関連が認められる。双極I型障害患者を対象としたこれまでの探索的研究では、冬と夏の日照量の変化と自殺企図歴との関連が示唆された。この結果をより多くのデータを用いて確認するため、ドイツ・ドレスデン工科大学のMichael Bauer氏らは、情報源を42%、収集国を25%増加させ、検討を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2021年9月1日号の報告。 さまざまな緯度の40ヵ国より得られた71件の情報源から収集したデータを分析した。分析対象には、双極I型障害患者4,876例が含まれており、これまでの研究よりも45%増加した。対象患者のうち、自殺企図歴を有する患者は1,496例(30.7%)であった。太陽からの光エネルギーが地表に当たる量を示す日照量のデータを、64ヵ国、479地点より収集した。 主な結果は以下のとおり。・本分析により、同様の最良モデルを用いた探索的研究の結果が確認され、統計学的有意差がわずかに向上した。・自殺企図歴と冬と夏の日照量の変化(冬の平均日照量/夏の平均日照量)との間に有意な逆相関が認められた。・冬と夏の日照量の変化比率は、赤道付近で最大であり、夏の日照量と比較し冬の日照量が極端に少ない極地では最小となる。・自殺企図リスクの増加に関連する他の因子は、アルコール乱用歴、薬物乱用歴、女性、若年出生コホートであった。・熱帯地方の日照パターンに対応するため、日照量の変化比率を最少月間日照量/最大月間日照量と置き換えた場合でも、同様の結果が得られた。・すべての推定係数において、p<0.01の統計学的に有意な差が認められた。 著者らは「冬と夏および月間最少と最大の日照量の変化は、双極I型障害患者の自殺企図リスクを高める可能性がある。双極性障害では、概日リズムの機能障害と自殺行動が高率で認められるため、概日リズムの同調に対する昼光や電灯の最適な役割についてより深い理解が求められる」としている。

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治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療がQOLや生産性に及ぼす影響

 片頭痛は、うつ病のみならず、QOLや仕事の生産性へ影響を及ぼす疾患である。ヒト化モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした薬剤であり、片頭痛の予防的治療に対する有効性が認められている。米国・Boston Headache Institute & MedVadis Research CorporationのEgilius L. H. Spierings氏らは、第IIIb相FOCUS試験のオープンラベル延長試験において患者が報告したアウトカムを、経時的に評価した。Headache誌オンライン版2021年8月10日号の報告。 12週間の二重盲検試験であるFOCUS試験を終了した反復性片頭痛および慢性片頭痛患者を対象に、12週間のオープンラベル延長試験へ移行し、フレマネズマブ225mg月1回投与を行った。患者の自己評価には、片頭痛用QOL調査票(MSQoL)による日常役割機能の制限(RFR)、日常役割機能の予防(RFP)、感情的機能(EF)やEuroQol-5-Dimension-5-Level(EQ-5D-5L)、患者による変化に関する包括印象度(PGIC)、Work Productivity and Activity Impairment(WPAI)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を含めた。 主な結果は以下のとおり。・FOCUS試験の二重盲検期間に参加した838例のうち、オープンラベル延長試験に807例が移行し、6ヵ月時点で772例が登録されていた。・6ヵ月時点でのフレマネズマブ四半期ごと投与群(四半期群)、フレマネズマブ月1回投与群(月1群)、プラセボ群における各評価項目に対する改善は以下のとおりであった。●MSQoL-RFRのベースラインからの平均変化 四半期群:24.6±21.9、月1群:22.9±21.3、プラセボ群:20.8±26.5●MSQoL-RFPのベースラインからの平均変化 四半期群:19.6±20.0、月1群:18.3±19.7、プラセボ群:16.0±19.9●MSQoL-EFのベースラインからの平均変化 四半期群:22.5±24.2、月1群:19.1±23.6、プラセボ群:17.2±24.7●EQ-5D-5Lのベースラインからの平均変化 四半期群:8.0±19.6、月1群:7.3±21.1、プラセボ群:6.6±21.0●WPAIの労働時間損失率のベースラインからの平均変化 四半期群:-4.9±28.3、月1群:-6.9±23.3、プラセボ群:-4.0±22.5●WPAIの労働効率低下率のベースラインからの平均変化 四半期群:-18.5±26.1、月1群:-17.1±27.8、プラセボ群:-13.4±28.3●WPAIの全般労働障害率のベースラインからの平均変化 四半期群:-20.0±28.3、月1群:-19.1±30.6、プラセボ群:-14.5±30.5●WPAIの活動性障害率のベースラインからの平均変化 四半期群:-19.5±28.0、月1群:-18.0±29.3、プラセボ群:-15.4±27.5●PHQ-9のベースラインからの平均変化 四半期群:-2.4±5.3、月1群:-1.6±5.5、プラセボ群:-2.0±4.9●PGICによる治療反応率 四半期群:77.1%(271例中209例)、月1群:75.4%(272例中205例)、プラセボ群:68.8%(263例中181例) 著者らは「反復性および慢性片頭痛でこれまで複数のクラスの片頭痛予防薬で効果不十分であった患者に対し、6ヵ月間のフレマネズマブ治療を実施することにより、MSQoL、うつ病、労働生産性の改善が期待できる」としている。

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 1

今回のキーワードアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)生殖カウンセリングテリング(真実告知)特別養子縁組精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利選択的シングルマザー前回(その2)では、映画「キッズ・オールライト」を通して、精子提供によって生まれた子どもにその事実やそのドナーを知る権利(出自を知る権利)がなかなか認められない原因を突き止め、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにしました。さらに、出自を知る権利が認められたら顕在化する法的な問題も考えました。今回(その3)では、それらを踏まえて、その子どもは、そして国はどうすればいいのかを考えます。そこからさらに、「精子ドナーファーザー」という生き方について考えてみましょう。精子提供によって生まれた子どもはどうすればいいの?まず、「不都合な真実」を踏まえて、精子提供によって生まれた子どもはどうすればいいのでしょうか? ここから、その取り組みを大きく3つ挙げてみましょう。(1)仲間を作る-自助グループ1つ目の取り組みは、仲間を作る、つまり自助グループです。自分と同じ境遇の人とつながることで、心理的なサポートが得られます。実際に、日本でも精子バンクから生まれた当事者の団体があります。海外では、このような自助グループを介してドナー兄弟(同じ精子ドナーから生まれた兄弟姉妹)が見つかるケースもあります。(2)社会に発信する-コミットメント2つ目の取り組みは、社会に発信する、つまりコミットメントです。自分たちの苦しみや葛藤を世の中に伝えていくことで、出自を知る権利の保障を主張し続けることです。そして、より良い世の中にしたいという使命感を持つことです。そうすることで、自分のことをどこまで知るかは、自分が決めること、親によって隠されるべきではないという考え方が浸透していくでしょう。(3)それでも幸せになれることに気づく-アクセプタンス3つ目の取り組みは、それでも幸せになれることに気づく、つまりアクセプタンスです。確かに、親が精子提供の事実をきちんと教えてくれて、自分の生みの父親(精子ドナー)が分かり、彼が自分を受け止めてくれれば、すばらしいです。しかし、そうでなかったとしても、不幸だと決め付けることはないです。その1でも触れた責任転嫁(認知的不協和)に陥ることもないです。それでも、辛さは辛さとして受け止めつつ、人生を前に進めていくことができることに気づけます。自分自身の生殖の物語を作ることができます。私たちは、苦しいことがあった時、その苦しさの存在自体に苦しく思う、つまり苦しみに苦しむという新たな「苦しみ」を生み出している場合があります。苦しみは苦しみとして気づき、人生の責任転嫁に気づくことで、自分の気持ちに距離を置いて、さらに「苦しみ」を生み出さないというアクセプタンスをすることができます。そのためにも、コミットメントに目を向けることができます。なお、コミットメントとアクセプタンスの詳細については、関連記事1をご覧ください。次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 2

国はどうすればいいの?「不都合な真実」を踏まえて、精子提供によって生まれた子どもの取り組みを考えました。それでは、国はどうすればいいのでしょうか?ここから、出自を知る権利を保障するために、さらに必要な生殖補助医療法への具体的な法整備を大きく3つ挙げてみましょう。(1)精子を提供される親に生殖カウンセリングを義務付ける1つ目の法整備は、精子を提供される親に生殖カウンセリングを義務付けることです。この目的は、真実告知についての親の理解を得ることです。具体的には、生殖心理カウンセラーによる2段階のカウンセリングが望ましいです。1段階目は、精子提供を受ける前に、精子提供によって生まれた子どもの心理と精子を提供された親の心理を一緒に説明します。そして、最終的な判断は親に委ねるものの、真実告知を推奨することです。2段階目は、精子提供によって妊娠が判明した後に、真実告知のタイミングややり方の情報提供をすることです。たとえば、そのタイミングは、親子の情(愛着)と理解力(知能)が育まれる最中の幼児期よりも後で、親への反抗が始まる思春期よりも前、つまり小学校低学年の学童期が望ましいでしょう。もちろん、もともと父親がいない場合は、幼児期に子どもから質問されるでしょう。その時は、子どもが理解できる言葉で安心感を優先して、ある程度伝える必要があります。また、そのやり方は、最近ではテリングという、より軟らかいニュアンスで、本などで紹介されています。こうして、心の準備が促されます。オプションの3段階目として、実際にテリング(真実告知)をする前に、カウンセリングの中で指導を受けることもできます。この取り組みは、生殖が多様化したことで求められる新たな倫理観を学ぶことであり、生殖への拡大した権利に伴う新たな義務とも言えます。大事なことは、分からなくて不安だから隠すのではなく、オープンにできるように情報提供や心理的サポートの体制を作ることです。積極的に真実を伝えてこそ、親子の本当の信頼関係が得られます。精子提供の事実を伝えたからと言って、信頼関係が揺らぐことはまずないです。実際に、精子提供によって生まれた子どもへのアンケート調査では、真実を教えてくれないほうが良かったという子どもはほとんどいないことが分かっています。なお、子どもにとっての親子の信頼関係の詳細については、関連記事2をご覧ください。なお、この取り組みは、出生前診断における遺伝カウンセリングに似ています。(2)精子提供の事実を戸籍に記載する2つ目の法整備は、精子提供の事実を戸籍に記載することです。この目的は、出自を知る権利を確実に保障することです。いくら真実告知の必要性について親に心理教育をしたとしても、親が実行しない可能性もあります。しかし、戸籍に記載されていれば、いずればれることが明らかであるため、親による告知は必然的に促されるでしょう。また、この法整備は、法的な親子関係を明確にして、精子ドナーが法的な親になれないよう規制することでもあります。この目的は、先ほど指摘しました認知請求のトラブルの懸念を払拭することで、精子提供の法的な安全性がより社会に認知され、より多くの精子ドナーを確保することです。実際に、この映画の舞台となっているアメリカでは、統一親子関係法によって、この規制がすでにあります。なお、特別養子縁組では、これが成立した時点で、子どもと生みの父母との法的な親子関係は終了し、その審判が戸籍に記載されます。(3)精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利を認める3つ目の法整備は、精子ドナーが生物学的な子どもを知る権利を認めることです。これは、子どもが成人したら、子どももドナーもお互いに知ることができるシステムです。この目的は、出自を知る権利をより確実に保障することです。親が真実告知をしないと子どもがわざわざ戸籍を見ない可能性もあります。この規定があることで、子どもが成人した時点で、精子バンクを通して、精子ドナーから子どもに連絡が来る可能性があるため、親はその前に真実告知をすることが必然的に迫られます。告知を法的に強制しないとしたら、最後に親のウソがばれるというこのシステムは、とても理に適っていると言えるでしょう。もちろん、ドナーはこの権利を行使しない可能性もあります。それは、ドナーの自由です。ただ、やはり子どもの出自を知る権利を最優先に考えた場合、ドナーから連絡することも推奨されるべきでしょう。実際に、オーストラリアのヴィクトリア州では、精子提供で生まれた子どもは、その事実が出生登録に記載される上に、ドナーも成人した子どもの同意のもと、子どもの個人情報を得ることができます。この取り組みは、出自を知る権利の保障において、最も先進的であると世界的に注目されています。また、このもう1つの目的は、近親婚を防ぐことです。精子提供で生まれた子ども全員の精子ドナーが特定されていれば、ドナー兄弟が確実に判明します。それは、裏を返せば、近親婚を防ぐことになります。さらに、ほかの目的として、新たなドナー確保につながる可能性があります。匿名希望のドナーは、多くが若い学生でした。やはり「楽して儲かる」という金銭目的や献血レベルの気軽さが見透かされます。一方、非匿名のドナー(オープンドナー)は、ある程度の年齢を経た社会人であることが分かっています。もちろん相応の報酬は必要ですが、その後に生物学的な子どもへのフォローの意識が高いでしょう。ドナーの知る権利として、自分の精子がどう使われ、実際に生物学的な子どもが生まれたかどうか、何人生まれたかを知ることができるシステムにしたら、心の準備ができるため、新たな自覚や目的意識を持ったドナーが集まっていく可能性があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その3)【じゃあどう法整備する?「精子ドナーファーザー」という生き方とは?(生殖補助医療法)】Part 3

「精子ドナーファーザー」という生き方とは?ポールは、ジュールスたちと一緒になるため、恋人として良い関係を築いていたタニアにあっさり別れを告げます。しかし、突然すぎたため、怒った彼女から暴言を吐かれます。その後に、謝罪を口実に、彼は不倫相手のジュールスがいる4人の家に押しかけていきます。しかし、出迎えたジョニから「良い人だと思ってたのに」とがっかりして告げられます。そして、ニックに「あなたは侵入者よ。家族を作りたいなら自分で作って」と言われ、追い返されるのです。このポールの一連の行動から、実は彼の自由気ままさは、彼の無責任さであることに気づかされます。彼は、独身生活が長い分、裏を返せば結婚生活や家庭生活を送ってこなかった分、相手の気持ちに思いを馳せたり、相手とつながるほかの人に配慮したり、時に子どもに厳しい指摘をする責任感が乏しいのでした。これは、最後に、ジュールスがニックたちの前で「結婚生活は、終わりのないマラソンよ。でも私は努力したい(責任を持ちたい)」と説く謝罪の演説とは対照的です。映画の途中までは、ポールが良い人キャラで、ニックとジュールスが悪役のように描かれていました。しかし、最後の最後で、ポールの薄っぺらさが露呈し、一方でニックとジュールスはお互いに欠点がありながらも一生懸命に支え合って生きていこうとしていることに気づかされます。人間関係における責任感という物差しによって、善悪が逆転してしまうのです。ポールのように、もともと結婚生活や家庭生活に向いていない男性はいます。また、結婚生活や家庭生活を望まない男性もいます。そして増えています。いわゆる非婚の心理です。その詳細については、関連記事3をご覧ください。ただし、結婚したくないし子育てもしたくないけれど自分の子どもだけは欲しいという男性はいます。つまり、自分の遺伝子を残したいという思いです。これは、その1でもご紹介した生殖心理です。そんな男性は、優秀な精子を持っていれば、精子ドナーとして打って付けでしょう。そして、先ほどにも触れましたが、だからこそ、そんな男性がドナーとして生物学的な子どもを知る権利を得ることができれば、ドナーが増えていく可能性があります。非婚の男性が増えていることから、ドナーの知る権利を認めることは、ドナー確保のウルトラCの解決策になる可能性があります。彼らは、結婚しないで子育てもしないけれど自分の子どもを持つ生き方をすることになります。名付けるなら「精子ドナーファーザ」です。一方で、結婚したくないけれど子育てはしたいという女性がいます。実際に、結婚しないことを最初から自ら選んで子どもを持つ女性は、選択的シングルマザーと呼ばれ、海外では増えています。精子バンクを利用する選択的シングルマザーと、精子バンクに精子を提供する「精子ドナーファーザー」は、実はそれぞれのニーズがきれいに一致します。これは、男女の協力関係においての社会構造が「しなければならないかどうか」から「したいかどうか」へシフトしつつあるからとも言えます。なお、選択的シングルマザーの心理の詳細については、関連記事4をご覧ください。「キッズ・オールライト」とは?不倫騒動からしばらく経っても、ニックとジュールスは、ぎすぎすしていました。ラストシーンで、とうとうジョニが大学の寮に引っ越したあと、その帰り道の車の中で、レイザーはニックとジュールスに、ぼそっと「別れちゃだめだよ。だって、二人とも年取りすぎてるから」と言うのです。あまりにも率直な意見で、見ている私たちも、ついクスっと笑ってしまいます。空気が一変して、ニックとジュールスは久々に手をつなぐのでした。この映画のタイトルは「キッズ・オールライト」でした。精子提供で生まれた子どもたちでしたが、それでも「子どもたちは大丈夫」という意味でしょう。同時に、それはそんな子どもたちによって「ペアレンツ・オールライト(親たちは大丈夫)」になることであるとも言えるでしょう。この映画を通して、私たちも「キッズ・オールライト」と言えることを一番に考えた時、より良い生殖補助医療法を、そしてより良い社会を作ることができるのではないでしょうか?1)生殖医療はヒトを幸せにするのか:小林亜津子、光文社新書、20142)精子提供:歌代幸子、新潮社、20123)ルポ生殖ビジネス:日比野由利、朝日新聞出版、20154)生殖医療の衝撃:石原理、講談社現代新書、20165)生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利:才村眞理:福村出版、20086)「子どもの出自を知る権利」について 生殖補助医療法と法:小泉良幸、J-STAGE、20107)「精子売買はグレーマーケットだった」“不妊治療大国”で元証券会社社員が精子バンク日本語窓口を立ち上げたワケ:こみねあつこ、文春オンライン、20218)生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の成立について:法務省<< 前のページへ■関連記事テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】そして父になる(その1)【もしも自分の子じゃなかったら!?(親子観)】私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】カレには言えない私のケイカク【結婚をすっ飛ばして子どもが欲しい!?そのメリットとリスクは?(生殖戦略)】

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胃腸症状とうつ病との関連~米国健康栄養調査

 最近、多くの調査において、うつ病の病因としてのマイクロバイオームの役割がトピックスとなっている。調査結果によると、腸内細菌叢による一般的な症状である腸内尿毒症が胃腸症状の問題の根底にあり、これがうつ病と関連していることが示唆されている。米国・タフツ大学のSarah J. Eustis氏らは、胃腸症状の徴候が認められる人では、抑うつ症状のオッズ比(OR)が有意に高いかどうかを検証するため、本研究を実施した。Journal of the Academy of Consultation-Liaison Psychiatry誌オンライン版2021年8月27日号の報告。 2005~16年に実施された米国健康栄養調査(3万6,287人)より、成人3万1,191人のデータを分析した。アウトカムには、過去1ヵ月間の粘液性または液性の排便および胃疾患、過去1年間の下痢、1週間当たりの排便回数を含めた。本分析では、マイクロバイオームのサンプルは含まず、自己申告による胃腸症状のみとした。抑うつ症状は、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて評価した。中等度、中等度~重度、重度のスコアは、肯定的なアウトカムとしてレコード化した。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度の抑うつ症状を有する人は、抑うつ症状のない人と比較し、以下の胃腸症状のORが高かった。 ●腸粘液(OR:2.78、95%CI:1.82~4.24) ●腸液(OR:2.16、95%CI:1.63~2.86) ●胃疾患(OR:1.82、95%CI:1.31~2.53) ●下痢(時々あり対なしのOR:1.72、95%CI:1.30~2.29) ●便秘(時々あり対なしのOR:2.76、95%CI:2.11~3.62)・全体として、胃腸症状を有する人では、抑うつ症状を示す可能性が有意に高かった。 著者らは「複雑な脳腸軸(brain-gut axis)については、分子レベルで調査されている。そのような中で、抑うつ症状と腸内尿毒症の徴候との関連を示唆する本研究結果は、さらなるエビデンスの蓄積に貢献し、医療従事者や患者にとって有益な情報となる可能性がある」としている。

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レビー小体型認知症の前段階における精神病理学的特徴

 レビー小体型認知症(DLB)では、発症前に幻覚、抑うつ症状、緊張病症状、認知機能障害、妄想など、さまざまな精神症状の出現が高率で認められる。しかし、前段階DLBで認められるこれらの精神症状の特徴は、よくわかっていない。砂川市立病院の内海 久美子氏らは、顕著な認知機能障害が出現する前の前段階DLB患者における精神病理学的特徴を明らかにするため、検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月24日号の報告。 認知症ではなく重度の精神症状を発症したが、長期観察後にDLBと診断された前段階DLB患者21例を対象に精神病理学的特徴を分析した。DLBの確認は、シンチグラフィの示唆的および支持的なバイオマーカーを用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・精神病理学的特徴には、さまざまな症状が含まれていたが、主に緊張病症状、幻覚妄想、抑うつ症状および/または躁症状の3つのカテゴリーに集約された。・緊張病症状は9例、幻覚妄想は5例、抑うつ症状および/または躁症状は7例で観察された。・21例中7例において、縦断観察期間中にせん妄が認められた。・21例中20例は、何のきっかけもなく精神症状が繰り返し出現していた。・最初の精神症状出現から認知機能障害発現までの平均期間は、9.1±4.6年であり、その後71.3±6.1年でDLBと診断された。 著者らは「緊張病症状、幻覚妄想、抑うつ症状および/または躁症状、せん妄などの精神症状が認められる非認知症高齢者は、症候性精神疾患またはDLBなどの精神認知機能障害の前段階である可能性が示唆された。そのため、正確な診断を行うためにも、さらに広範なトレーニング(放射性ニューロイメージングなど)が求められる」としている。

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男性の抑うつ症状や肥満の改善に対するeHealthプログラムの影響

 肥満とうつ病は、男性において相互に関連する健康上の問題であるにもかかわらず、これらの問題を管理するためのサポートは十分に行われていない。オーストラリア・ニューカッスル大学のMyles D. Young氏らは、セルフガイドのeHealthプログラム(SHED-IT:Recharge)が過体重または肥満の改善および抑うつ症状の改善に寄与するかについて、検討を行った。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌2021年8月号の報告。 抑うつ症状(PHQ-9スコア5以上)を有するBMI 25~42kg/m2の男性125例を対象に6ヵ月間のランダム化比較試験(RCT)を実施した。対象患者は、eHealthプログラム群62例または対照群63例にランダムに割り付けられた。3ヵ月間のプログラムは、印刷物およびオンライン(Webサイト、インタラクティブモジュールなど)を用いて実施した。プログラムは、エビデンスに基づく男性のダイエットプログラムにメンタルフィットネスを加えて行った。主要アウトカムは、3ヵ月後の体重および抑うつ症状の変化とした。評価は、ベースライン時、3ヵ月後、6ヵ月後に行った。プログラムのアウトカムを調査するため、治療企図(ITT)線形混合モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月後、体重および抑うつ症状の改善に対する中程度の効果が認められた。 ●体重(調整後平均差:-3.1kg、95%CI:-4.3~-1.9、d=0.9) ●抑うつ症状(調整後平均差:-2.4、95%CI:-4.0~-0.9、d=0.6)・これらの効果は、6ヵ月間持続しており、他の健康アウトカムの継続的な改善によりサポートされた。 著者らは「ダイエットプログラムとメンタルヘルスサポートを組み合わせたセルフガイドのeHealthプログラムの実施により、男性の抑うつ症状や肥満の改善が認められた。身体的および精神的な問題を抱える患者を対象とした統合的介入は、効果的な治療戦略である可能性が示唆された」としている。

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ベジタリアンのうつ病リスク~メタ解析

 いくつかの研究において、ベジタリアンはうつ病リスクが高いことが報告されている。しかし、これとはまったく逆の結果も報告されている。ドイツ・ルール大学ボーフムのSebastian Ocklenburg氏らは、これらの不一致性を考慮し、ベジタリアンとうつ病リスクとの間に有意な関連が認められるかを明らかにするため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年11月1日号の報告。 主要なデータベースより、ベジタリアンと非ベジタリアン(対照群)のうつ病スコアを報告した研究を検索した。条件付きランダム効果モデルに従ったRによるメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・重複を削除し、適格基準に照らし合わせたところ、13研究、4万9,889例(ベジタリアン:8,057例、対照群:4万1,832例)が分析に含まれた。・ランダム効果メタ解析では、ベジタリアンは、対照群と比較し、うつ病スコアの高さとの有意な関連が認められた。・研究間の異質性は高く、研究地域の地理的なばらつきは少なく、異文化間の比較は限られていた。 著者らは「ベジタリアンは、非ベジタリアンと比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。しかし、公表されている研究は、非常に不均一であり、最終的な結論を導き出すためには、より経験的な研究が求められる。また、より多くの国における実証的研究が望まれる」としている。

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ビタミンB摂取の認知症に対する予防効果~メタ解析

 ホモシステインレベルの上昇は、認知症のリスク因子として確立されているが、ビタミンBを介したホモシステインレベルの低下が認知機能改善につながるかは、よくわかっていない。中国・首都医科大学のZhibin Wang氏らは、ビタミンBの摂取が認知機能低下や認知症発症リスクを減少させるかについて、調査を行った。Nutrition Reviews誌オンライン版2021年8月25日号の報告。ビタミンB摂取で認知症でない人は認知機能低下の遅延が認められた 2020年3月1日までに公表された文献をPubMed、EMBASE、Cochrane Library、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。ビタミンB摂取による認知機能低下への影響を調査したランダム化臨床試験(RCT)、食事によるビタミンB摂取と認知症発症リスクに関するコホート研究、ビタミンBとホモシステインレベルの違いを比較した横断的研究を含めた。2人のレビュアーが独立してデータを抽出し、研究の質を評価した。不均一性の程度に応じてランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて、平均差(MD)、ハザード比(HR)、オッズ比(OR)を算出した。 ビタミンBの摂取が認知機能低下や認知症発症リスクを減少させるかについて調査を行った主な結果は以下のとおり。・95件の研究(RCT:25件、コホート研究:20件、横断的研究:50件)より4万6,175例をメタ解析に含めた。・メタ解析では、ビタミンB摂取がミニメンタルステート検査スコアの改善(6,155例、MD:0.14、95%CI:0.04~0.23)、プラセボと比較した認知機能低下の有意な遅延(4,211例、MD:0.16、95%CI:0.05~0.26)が認められた。・ビタミンB介入期間が12ヵ月を超える群では、プラセボと比較し、認知機能低下の減少が認められた(3,814例、MD:0.15、95%CI:0.05~0.26)。この関連は、より短い介入期間では認められなかった(806例、MD:0.18、95%CI:-0.25~0.61)。・認知症でない人では、ビタミンB摂取により、プラセボと比較し、認知機能低下の遅延が認められたが(3,431例、MD:0.15、95%CI:0.04~0.25)、認知症患者では認められなかった(642例、MD:0.20、95%CI:-0.35~0.75)。・葉酸レベルの低さ(B12、B6欠乏ではない)は、認知症リスク(6,654例、OR:1.76、95%CI:1.24~2.50)や認知機能低下(4,336例、OR:1.26、95%CI:1.02~1.55)と有意に関連していた。・ホモシステインレベルの高さは、認知症リスク(1万2,665例、OR:2.09、95%CI:1.60~2.74)や認知機能低下(6,149例、OR:1.19、95%CI:1.05~1.34)と有意に関連していた。・50歳以上の認知症でない人において、葉酸摂取量の多さと認知症リスクの有意な減少との関連が認められた(1万3,529例、HR:0.61、95%CI:0.47~0.78)。一方、B12またはB6摂取量の多さと認知症リスクの低さとの関連は認められなかった。 著者らは「ビタミンB摂取は認知機能低下の遅延と関連していることが示唆された。とくに、早期介入と長期介入でその影響は顕著であった。また、認知症でない高齢者において、食事による葉酸摂取の多さは、認知症リスクの低下と関連していることも示唆された」とし「高齢化社会を迎えている各国では認知症患者が増加していることから、認知症リスクを有する人に対し適切なビタミンB摂取を推進するような公衆衛生対策の導入を検討すべきであろう」としている。

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うつ病の1次予防効果

 うつ病に対する1次予防は、疾患の経過を改善する可能性があるものの、その効果についてはよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのGonzalo Salazar de Pablo氏らは、うつ病の1次予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年11月1日号の報告。 2020年6月までに公表された研究を、PubMed、Web of Scienceよりシステマティックに検索した(PRISMA and RIGHT)。抑うつ症状(効果測定:標準化平均差[SMD])またはうつ病性障害(効果測定:相対リスク[RR])の1次予防のための介入について、メタ解析を実施した。結果は、年齢範囲、対象集団(一般および/またはリスクあり)、介入タイプにより層別化した。品質(AMSTAR/AMSTAR-PLUS content)および信頼性(高中低で評価)も評価した。推奨事項の評価には、USPSTF grading systemを用いた。 主な結果は以下のとおり。・46件のメタ解析(研究数:928件、患者数:28万6,429例、平均年齢:22.4歳、女性の割合:81.1%)を含めた。・エフェクトサイズは、抑うつ症状では0.08~0.53(SMD)、うつ病性障害では0.90~0.28(RR)であった。・RCTのみを含む感度分析では、結果に影響を及ぼさなかった。・AMSTAR中央値は9(IQR:8~9)、AMSTAR-PLUS content中央値は4.25(IQR:4~5)であった。・メタ解析のエビデンスの信頼性は、不十分/低が43件(93.5%)、中が2件(4.3%)、高が1件(2.2%)であった。・若年成人における心理社会的介入、プライマリケアにおける心理学的介入と教育学的介入の組み合わせは、抑うつ症状の軽減に対し中程度の信頼性を有していた。・脳卒中患者のうつ病性障害に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の予防投与は、高い信頼性を有していた。・本研究の限界として、介入の不均一性および長期的な有効性評価の欠如が挙げられる。 著者らは「うつ病に対する1次予防的介入は効果的な可能性がある。とくに、脳卒中後のSSRI予防投与や高リスク群(小児、青年、若年成人または出産前、周産期の女性)に対する心理社会的介入を検討する必要がある」としている。

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青年期うつ病と双極性障害の鑑別を予測するバイオマーカー

 双極性障害の約半数は、少年期または青年期に発症する。双極性障害の初期段階では、通常うつ病エピソードが認められ、うつ病と鑑別することが困難である。しかし、青年期の双極性障害とうつ病を鑑別するための客観的なバイオマーカーは限られている。中国・上海交通大学医学院のXiaohui Wu氏らは、青年期のうつ病と双極性障害の鑑別を予測するバイオマーカーについて、検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2021年8月25日号の報告。 2009~18年に双極性障害およびうつ病で精神科病棟に入院した患者を対象に、基本的な人口統計データおよび入院後最初の血液検査データを収集した。対象患者は、10~18歳の双極性障害およびうつ病患者261例(双極性障害:101例、うつ病:160例)。バイナリロジスティック回帰の変数増減法(Forward-Stepwise Selection)を使用して、性別ごとのサンプル全体とサブグループの予測モデルを構築した。中国の別の病院から一致させた255例を用いて、独立した外部検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・全体および男女のサブグループにおける回帰モデルの精度、曲線化面積(AUC)は以下のとおりであった。 ●青年期全体(精度:73.3%、AUC:0.785) ●男性(精度:70.6%、AUC:0.816) ●女性(精度:75.2%、AUC:0.793)・最終的に本モデルに含まれた予測因子は、年齢、直接ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ、遊離トリヨードサイロニン、C反応性蛋白であった。・外部検証において、鑑別に問題は認められなかった(AUC:0.714)。 著者らは「青年期の双極性障害とうつ病を鑑別するうえで、一般的な臨床検査値が役立つ可能性があることが示唆された」としている。

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片頭痛患者の機能障害に対する抗CGRP抗体の効果~メタ解析

 成人片頭痛患者に関連する障害への抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(抗CGRP)モノクローナル抗体の効果を調査するため、インド・IQVIAのPrashant Soni氏らは、ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2021年8月23日号の報告。 2020年5月までに報告された文献をMEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索し、臨床試験レジストリの追加レビューを行った。頭痛関連の障害を評価するための片頭痛障害評価(MIDAS)スコアのベースラインからの変化を評価した。ネットワークメタ解析は、OpenBUGSとRを用いてベイズフレームワークで実施し、治療効果比較の研究間の不均一性を考慮し、変量効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・全体で41件の研究(ランダム化比較試験9件より片頭痛患者7,095例)において、12週間以上の治療コースが含まれていた。・フレマネズマブ(675+225+225mgおよび225+225+225mg月1回投与)は、エレヌマブ(70mgおよび140mg月1回投与)、ガルカネズマブ(120mgおよび240mg月1回投与)、低用量フレマネズマブ(225mgおよび675mgの単回投与)と比較し、ベースラインからのMIDASスコア(中央値)の変化が大きく、慢性および反復性片頭痛の障害を軽減するうえで、効果的であった。 著者らは「成人片頭痛患者の短期予防に対し、フレマネズマブは、他の抗CGRPモノクローナル抗体と比較し、機能改善効果に優れていることが示唆された」としている。

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キッズ・オールライト(その2)【そのツケは誰が払うの? その「不都合な真実」とは?(生殖ビジネス)】Part 1

今回のキーワード出自を知る権利(子どもの権利条約7条)人格的自律権(憲法13条)子どもへの支配ドナー確保認知の請求遺産相続のトラブル前回(その1)では、映画「キッズ・オールライト」を通して、精子提供によって生まれた子どもの心理、精子を提供された親の心理、さらには精子ドナーの心理を掘り下げました。今回(その2)では、彼らのぞれぞれの心理から、その子どもにその事実やそのドナーを知る権利(出自を知る権利)がなかなか認められない原因を突き止めます。そして、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにします。さらに、出自を知る権利が認められたら顕在化する法的な問題も考えてみましょう。なんで精子提供によって生まれた子どもに出自を知る権利がなかなか認められないの?すでにその1でもご説明しましましたが、精子提供によって生まれた子どもの心理は、真実をきちんと教えてほしい(信頼関係)、自分のもう半分のルーツを知りたい(アイデンティティ)、生みの親にも自分の存在を認めてほしい(自尊心)という3つの思いです。つまり、子どもが精子を提供された事実やそのドナーを知る権利は、出自を知る権利(子どもの権利条約7条)として、そして人格的自律権(憲法13条)として極めて重要なことであることが分かります。実際に、海外の多くの先進国でこの権利が認められています。にもかかわらず、日本では、この出自を知る権利がなかなか認められません。それは、なぜでしょうか? ここから、精子を提供された親と精子バンクの2つの立場に分けて、その原因を突き止めます。そして、その「不都合な真実」を明らかにしてみましょう。(1)精子を提供された親が反対する-子どもへの支配すでにその1でもご説明しましましたが、精子を提供された親の心理は、精子提供はなかったことにしたい(保守的な認知)、その事実を伝えたとしても精子ドナーを知らないでほしい(親アイデンティティ)、精子ドナーを知ったとしても関わって欲しくない(子育ての私物化)という3つの思いです。実際に、日本での彼らへの調査(2001)において、そもそも真実告知をしないと答えた人は夫と妻ともに80%以上でした。1つ目の原因は、精子を提供された親が反対するからです。親の心理は、出自を知りたいと思う子どもの心理に真っ向から対立しています。よって、出自を知る権利が法的に明文化されずにうやむやになっている限り、とりあえず親は真実告知の責務から解放されます。しかし、それはあくまで親のエゴイスティックな視点です。子どもの視点に立った時、まったく違って見えてきます。それは、子どもは親のペットではないということです。出自を知りたいという子どもの気持ち(人権)をないがしろにする親は、やはり子どもを支配していると言えます。そして、そんな親が日本ではいまだに多いということです。(2)精子バンクが反対する-ドナーの確保すでにその1でもご紹介しましましたが、精子ドナーの心理は、楽して儲かる(外発的動機づけ)、人の役に立てる(利他性)、自分の遺伝子を残せる(生殖心理)という3つの思いです。しかし、現在は、日本産婦人科学会が「プライバシー保護のため精子ドナーは匿名とする」としつつも、「ただし精子ドナーの記録を保存するものとする」との見解を出したことで、専門の医療機関の精子バンクでドナーが激減し、ほとんどで精子提供が休止の状態になっています。この見解は、精子ドナーが将来的に自分の生物学的な子どもによって身元を辿られる可能性をほのめかしており、ドナーたちは、人の役に立てて自分の遺伝子を残せるとしても、まったく「楽」なわけではなくなったからです。その代わりに、SNSを介して、精子の譲り渡しを匿名で行う自称「精子バンク」のボランティアが増えており、危うい状況になっています。2つ目の原因は、精子バンクが反対するからです。精子バンクとしては、ドナーの確保は切実です。出自を知る権利が法的に明文化されずにうやむやになっている限り、とりあえず民間の精子バンクは匿名を条件にドナーを確保することができます。また、そのほうが「闇取引」をする事態になるよりまだマシである(被害を減らせる)という理屈(ハームリダクション)に後押しされている面もあるでしょう。実際に、海外の精子バンクでは、匿名のドナーと非匿名のドナー(オープンドナー)を選べるようになっています。日本でも、2021年5月に国内初の民間の精子バンクの運営が始まりましたが、同じ方式をとっています。映画の中の精子バンクも、ポールに「当バンクはドナーの同意なしに身元について明かすことはありません」「あなたの精子で生まれた女性が連絡を取りたいと言っていますが」と伝えています。つまり、最初にポールに同意を得る形をとっています。逆に言えば、ポールが同意しなかったら、ジョニとレイザーは出自を知る権利が得られなかったことになります。つまり、子どもの出自を知る権利は、親のあえてのオープンドナーの選択と真実告知に委ねられており、必ずしも保障されていないことが分かります。しかし、これはあくまで精子バンクのビジネスとしての視点です。生まれてくる子どもの視点に立った時、まったく違って見えてきます。それは、精子提供は、ただの献血とは違い、新しい人間(人格)が生まれるということです。精子バンクは、ドナー確保を優先するあまり、この点をないがしろにすることで、一大ビジネスになっています。つまり、生殖ビジネスの「不都合な真実」とは、精子を提供される親と精子提供を斡旋する精子バンクの利害がきれいに一致していることです。そして、精子提供によって生まれる子どもが、そのビジネスのツケを払わされていることです。次のページへ >>

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