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せん妄予防に対するラメルテオン+スボレキサントの有効性~メタ解析

 せん妄は、重篤な神経性行動を有する症候群であり、長期入院や有病率、死亡率の増加と関連している。中国・南方医科大学のYu Tian氏らは、高齢入院患者のせん妄に対するラメルテオンの有無にかかわらないスボレキサントの予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年12月8日号の報告。 各データベース(PubMed、Cochrane Library、Web of Science、EMBASE、EBSCOhostデータベース)より、成人入院患者のせん妄に対するラメルテオンの有無にかかわらないスボレキサントの有効性を調査したすべてのランダム化比較試験(RCT)、ケースコントロール研究、コホート研究を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。主要アウトカムは、せん妄の発生率とした。 主な結果は以下のとおり。・本メタ解析には、RCT2件、コホート研究7件、ケースコントロール研究2件より2,594例が抽出された。・ラメルテオンの有無にかかわらずスボレキサントでは、成人入院患者におけるせん妄発生率の低下が認められた。 ●スボレキサント単独のオッズ比(OR):0.30(95%信頼区間[CI]:0.14~0.65、p=0.002) ●スボレキサント+ラメルテオンのOR:0.39(95%CI:0.23~0.65、p=0.0003)・ベンゾジアゼピンを用いた6件の研究において、スボレキサント単独とスボレキサント+ラメルテオンを別々に評価したサブグループ解析を行うと、ベンゾジアゼピンを使用した場合には、スボレキサント+ラメルテオンでは、せん妄発生率の低下が認められたが(OR:0.53、95%CI:0.37~0.74、p=0.0002)、スボレキサント単独では有意な差が認められなかった(OR:0.40、95%CI:0.11~1.53、p=0.18)。 著者らは「ベンゾジアゼピンが使用されている場合では、スボレキサント単独でのせん妄発生率に対する有意な効果が認められなかったが、せん妄予防に対しては、ラメルテオンの有無にかかわらずスボレキサントの有効性が支持された。本結果の解釈にあたっては、研究間の有意な異質性により制限を受けていることに注意する必要がある」としている。

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パニック障害の治療に有効なSSRI、最も効果的なのは?/BMJ

 パニック障害の治療において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は寛解率が高く有害事象のリスクは低いことが、タイ・マヒドン大学のNatasha Chawla氏らのメタ解析で示された。SSRIの中ではセルトラリンとエスシタロプラムで良好な結果が得られた。しかし、著者は、「これらの知見は、研究内バイアス、不一致、および報告された所見の不正確さによりエビデンスレベルが『非常に低い』~『中程度』の研究に基づいているため、注意して解釈する必要がある」とまとめている。BMJ誌2022年1月19日号掲載の報告。パニック障害の薬物療法に関する87件の臨床試験を評価 研究グループは、広場恐怖症を伴うパニック障害の治療において、寛解率が高く有害事象のリスクが低い薬剤クラス、ならびに個々のSSRIを特定する目的で、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。 Embase、Medline、ClinicalTrials.govを用いて2021年6月17日までに公表された研究を検索した。適格研究は、パニック障害と診断された18歳以上の成人患者を対象に、薬物を用いた介入による寛解、脱落、有害事象などを、無治療(プラセボや待機)または実薬と比較した無作為化試験とした。 改訂版コクランバイアスリスクツールを用いて各試験のバイアスリスクを評価し、ランダム効果モデルを用いて直接メタ解析を行うとともに、SUCRA(Surface under the cumulative ranking curve)を用いた2段階法のネットワークメタ解析により、薬剤クラスと個々のSSRIの効果の比較を推定した。 計1万2,800例、12の薬剤クラスを含む87件の臨床試験が解析に組み込まれた。SSRIの有益性が示されたが、ほとんどの試験はバイアスリスクが高かった ほとんどの試験は、いくつかの懸念があるかバイアスリスクが高く、バイアスリスクが低いと見なされたのは1試験のみであった。 寛解に関するネットワークメタ解析では、プラセボと比較し、三環系抗うつ薬(リスク比:1.39、95%信頼区間[CI]:1.26~1.54)、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬(1.47、1.36~1.60)、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)(1.30、1.00~1.69)、SSRI(1.38、1.26~1.50)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)(1.27、1.12~1.45)で、一貫して有意に高い寛解率が得られた。 SUCRAでは、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬(84.5%、平均ランク=2.4)、三環系抗うつ剤(68.7%、3.8)、SSRI(66.4%、4.0)が寛解のための治療薬ベスト3であった。しかし、三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬、SSRIは、プラセボと比較して有害事象のリスクも有意に増加し、リスク比はそれぞれ1.79(95%CI:1.47~2.19)、1.76(1.50~2.06)、1.19(1.01~1.41)であった。 介入に関連した有害事象のリスク増加については、ネットワークメタ解析で当初一貫性に欠けることが示されたが、女性患者あるいは広場恐怖症を有する患者の割合が高いことが不一致の原因と特定され、これらの試験を除外すると一貫性に欠けることは改善されたもののまだ不一致が存在する可能性が示唆された。 寛解と有害事象の両方を考慮した全薬剤クラスのSUCRAクラスターランキングプロットでは、SSRIは寛解率が高く有害事象のリスクが低いことが示された。個々のSSRIについては、セルトラリンとエスシタロプラムで寛解率が高く、有害事象のリスクは容認可能であった。

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慢性不眠症患者のベンゾジアゼピン中止に対する意思決定ツールの受容性

 聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)およびベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)睡眠薬の中止を考慮した(中止する場合、不眠症に対する認知行動療法[CBT-I]の有無にかかわらず漸減)、慢性不眠症患者に対する意思決定支援ツールの開発およびその受容性について評価を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2021年11月22日号の報告。 慢性不眠症に関連する文献を確認し、オプションの特定を行った。すでに実施されたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果を用いて、BZD/BZRA睡眠薬の中止における2つのオプション(漸減のみによる中止、CBT-Iを用いた段階的な漸減)に関連するアウトカムを決定した。次に、国際基準(IPDAS)に従い意思決定支援ツールのプロトタイプを開発した。患者および医療提供者における受容性を評価するため、混合研究法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・意思決定支援ツールのプロトタイプは、不眠症の説明、BZD/BZRA睡眠薬の継続または中止のオプション(中止する場合には、CBT-Iの有無にかかわらず漸減するオプション)、各オプションの長所と短所、価値の明確化で構成された。・患者24例の報告では、許容できる言語(79%)、適切な情報(71%)、バランスの取れたプレゼンテーション(91%)を持っているが挙げられた。・医療提供者20人の報告も、好意的なものであった。 著者らは「慢性不眠症患者に対するBZD/BZRA睡眠薬の中止を考慮した意思決定支援ツールは、患者および医療提供者に受け入れられたことから、BZD/BZRA睡眠薬の中止を推進するうえで役立つと考えられる」としている。

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日本における統合失調症急性期入院患者に対する抗精神病薬治療の有効性

 順天堂大学の八田 耕太郎氏らは、統合失調症患者に対する長時間作用型持続性注射剤(LAI)と抗精神病薬の多剤併用(クロザピンを含まない)の実臨床における有効性の比較を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月6日号の報告。 日本の精神科救急病院12施設において、19ヵ月間のプロスペクティブ研究を実施した。対象は、DSM-Vで定義される統合失調症およびその他の精神病性障害の急性発症または悪化のために、2019年9月~2020年3月に精神科救急病棟に新たに入院した患者。すべての患者を退院後1年間または2021年3月31日までフォローアップを行った。主要アウトカムは、治療失敗リスク(精神科再入院、治療薬使用の中止、死亡、1年間の入院継続)とした。分析は、Cox比例ハザード多変量回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・期間中に登録された患者数は1,011例であった(女性の割合:53.7%、平均年齢:47.5±14.8歳)。・フォローアップ期間中に治療が失敗した患者は588例(58.2%)、それぞれの内訳は以下のとおりであった。 ●再入院:513例 ●治療薬使用の中止:17例 ●死亡:11例 ●1年間の入院継続:47例・LAIへの切り替え(ハザード比[HR]:0.810、95%信頼区間[CI]:0.659~0.996)および抗精神病薬の多剤併用(HR:0.829、95%CI:0.695~0.990)と治療失敗率の低さとの間に有意な関連が認められた。 著者らは「急性期統合失調症の治療では、初期に治療反応が認められない患者に対するLAIへの切り替えや抗精神病薬の多剤併用は、治療失敗リスクの低減に有益である可能性が示唆された。治療失敗リスクは、LAI治療患者では非LAI治療患者と比較し約19%低く、多剤併用患者では単剤患者と比較し約17%低かった」としている。

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治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性~年齢や性別の影響

 片頭痛の有病率は、年齢や性別により異なり、成人初期および中年の女性でとくに高いが、男性やすべての年齢の成人においても片頭痛の問題を抱えている人は少なくない。そのため、性別や年齢を超えた片頭痛予防薬の有用性を理解することは重要である。既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験である第IIIb相FOCUS試験において、ヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性、有効性は明らかとなった。オランダ・エラスムス大学ロッテルダムのAntoinette MaassenVanDenBrink氏らは、FOCUS試験参加者を年齢および性別でサブグループ化し、フレマネズマブの有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月18日号の報告。 FOCUS試験では、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群、フレマネズマブ月1回投与群、プラセボ群に1:1:1でランダムに割り付け、12週間の二重盲検治療を実施した。本事後分析では、年齢(18~45歳および45歳超)および性別のサブグループにおけるFOCUS試験の主要エンドポイントである1ヵ月当たりの片頭痛日数およびその他の副次的エンドポイント、探索的有効性のアウトカムのベースラインからの変化について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、修正されたITT集団(1回以上の治験薬投与および主要評価項目の有効性評価をベースライン後10日以上で行った患者)837例(18~45歳:373例、45歳超:464例、男性:138例、女性:699例)。・12週間後の1ヵ月当たりの片頭痛日数は、年齢、性別に関係なく一貫した減少が認められた(各々対プラセボ群:p<0.001)。【年齢:18~45歳】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-4.1日●フレマネズマブ月1回投与群:-4.7日●プラセボ群:-0.9日【年齢:45歳超】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-3.6日●フレマネズマブ月1回投与群:-3.7日●プラセボ群:-0.3日【性別:男性】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-4.1日●フレマネズマブ月1回投与群:-4.6日●プラセボ群:-0.3日【性別:女性】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-3.6日●フレマネズマブ月1回投与群:-3.9日●プラセボ群:-0.6日・各サブグループにおいて、フレマネズマブの使用により、1ヵ月当たりの中等度以上の片頭痛日数の減少、1ヵ月当たり急性片頭痛薬の使用日数の減少、片頭痛障害評価(MIDAS)スコアの改善が認められた。 著者らは「年齢や性別とは無関係に、治療抵抗性片頭痛に対するフレマネズマブ治療の有効性が確認された」としている。

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軽度アルツハイマー病患者の安全運転に対するメマンチンの影響

 米国・フロリダアトランティック大学のPeter J. Holland氏らは、軽度アルツハイマー病患者の安全運転能力の維持に対するメマンチンの潜在的な有効性を評価するために、プラセボ対照二重盲検比較試験の実現可能性を判断する目的でパイロット研究を実施した。Canadian Geriatrics Journal誌2021年12月1日号の報告。 スクリーニング基準を満たした60歳以上の軽度アルツハイマー病患者43例を対象に、メマンチン群22例と対照群21例にランダム化を行った。運転能力の評価には、標準化された路上運転免許試験を用いた。アウトカムは、6、12ヵ月時点の運転能力と12ヵ月間の路上試験完了率とした。 主な結果は以下のとおり。・12ヵ月間の路上試験完了率は、メマンチン群59%(13例)、対照群52%(11例)であった(p=0.66)。・安全運転能力が維持されていたのは、メマンチン群では13例すべて、対照群では8例(73%)であった(p=0.040、OR=4.45)。 著者らは「本結果は、軽度アルツハイマー病患者の運転能力維持に対するメマンチンの有効性を評価するうえで、厳格なマルチサイト臨床試験を設計するためのフレームワークとなりうる」としている。

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日本人双極性障害外来患者に対する処方パターン~I型とII型の違い

 双極I型障害(BD-I)および双極II型障害(BD-II)患者に対する向精神薬の使用に関して、入手可能なエビデンスは限られている。獨協医科大学の篠崎 將貴氏らは、BD-IおよびBD-IIの外来患者に対する薬物療法、とくに抗うつ薬の使用に関して、その特徴を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月23日号の報告。 2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬の使用率に関して、有意な差が認められた。・BD-I患者では、気分安定薬(BD-I:86.0%、BD-II:80.8%、p<0.001)と抗精神病薬(BD-I:61.5%、BD-II:47.8%、p<0.001)の使用率が高く、BD-II患者では抗うつ薬(BD-I:32.1%、BD-II:46.4%、p<0.001)の使用率が高かった。・BD-I、BD-II患者ともに最も多く使用されていた抗精神病薬はアリピプラゾール、気分安定薬はリチウムであった。・最も多く使用されていた抗うつ薬は、BD-I患者ではエスシタロプラム、BD-II患者ではデュロキセチンであった。・BD患者に最も使用されていた抗うつ薬のクラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。・併用療法に関しては、抗うつ薬を含む併用療法がBD-II患者で用いられることが多かった。 著者らは「BD-IとBD-II患者では向精神薬の使用状況に違いが認められた。日本では、BD外来患者に対し気分安定薬や抗精神病薬が使用されており、一般的なガイドラインに準じていた。抗うつ薬の使用効果や躁病エピソードのリスクに関するエビデンスは十分ではなく、さらなるエビデンスの収集が必要とされる」としている。

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認知症者の自動運転車の利用~ケアパートナーからの視点

 自動車の運転をやめさせることは、認知症高齢者の感情や健康に重大な影響を及ぼす可能性があり、このことはケアパートナーである家族にとっても問題となる。自動車の自動運転化は、認知症高齢者やケアパートナーにとって、自動車の運転を停止することやそれに伴う悪影響を緩和するうえで役立つ可能性がある。しかし、ケアパートナーを対象に認知症高齢者の自動運転車利用に対する考えを調査した研究は、これまで行われていなかった。カナダ・トロント大学のShabnam Haghzare氏らは、ケアパートナーの視点から、認知症高齢者における自動運転車の利用について、調査を行った。The Gerontologist誌オンライン版2021年11月19日号の報告。 認知症高齢者20例をこれまで/または現在介護している家族ケアパートナーを対象に、認知症高齢者の自動運転車の利用についての見解を評価するため、混合法研究を実施した。質問票および半構造化面接を用いて、認知症高齢者のケアパートナーにおける自動運転車の利用受け入れ状況と認知症高齢者に対する自動運転車の潜在的な有用性について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・ケアパートナーは、認知症高齢者の自動運転車の利用について、より高い社会参加の促進などのベネフィットを感じていることが示唆された。・しかし、ケアパートナーは、大きな懸念も抱いており、自分の家族の認知症高齢者が自動運転車を利用した場合、その信頼性や安全性が低いことを問題視していた。・主な懸念点は以下のとおりであった。 ●自動運転車が認知症高齢者に対応するように設計されていない点 ●認知症高齢者に特有の懸念ではなく、自動運転車自体に対する懸念点 ●自動運転の利用により認知症状が悪化する可能性 著者らは「本知見は、認知症高齢者でもよりアクセスしやすい便利な自動運転車の設計に役立つ可能性がある」としている。

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耳からハエが何度も出てくる女の子【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第202回

耳からハエが何度も出てくる女の子pixabayより使用ゴキブリが耳に入ったらどうしたらいいのか、という話は耳鼻咽喉科の研修医レクチャーで聞いたことがあるかもしれませんが、耳からハエが出てきたらどうすればいいでしょうか?今日紹介するのは、耳から何度も死んだハエが出てくるという奇妙な現象です。Sethi S, et al.An unusual case of Munchausen syndrome by proxy.Indian J Psychiatry. 2012 Oct;54(4):389-90.ある日、12歳の女の子が耳鼻咽喉科から精神科に紹介されてきました。どうやら死んだハエが耳の中に入っていたとのことですが、親子に何か違和感があり、精神科に入院することとなりました。まぁこの時点で、ある程度確信はあったのかもしれませんが、入院中にハエが出てくればあの疾患の可能性が高くなるということです。やはり、入院後再び耳の中に死んだハエが出現しました。はて、これは一体どういうことでしょう。鼓膜の中からハエが出てきているのでしょうか。念のため頭部CTを撮影しましたが、体の中にハエがいそうな気配はありません。肉眼で観察しても、鼓膜にも異常はありません。主治医は「母親が子どもの耳にハエを入れた」と確信しました。この症例の診断名は、「代理によるミュンヒハウゼン症候群」です。よくよく見れば、論文のタイトルに答えが書いているんですけどね……。ズコー!代理によるミュンヒハウゼン症候群は、児童虐待とは異なり、子どもを傷付けることが目的ではなく、その行為によって周囲の関心を自分に引き寄せることで、精神的満足を得ようとする疾患です。つまり、「死んだハエが出てくる病気なんて、お母さんタイへンね」、「なぜ死んだハエが出てくるのだろう?」という関心を引き付けることに目的があるわけです。決して、子どもを傷付けようとしているわけではありません。その後、病院のサポートによって(主には母親への介入)、女の子の耳には死んだハエは出現しなくなったそうです。この世の中にある“奇病”と呼ばれるものの中には、もしかすると代理によるミュンヒハウゼン症候群が隠れているのもしれませんね。

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治療抵抗性うつ病への薬理学的増強戦略~包括レビュー

 治療抵抗性うつ病(TRD)は、治療転帰不良であることは言うまでもないが、最良の薬理学的増強戦略にどの抗うつ薬を用いるべきかに関するエビデンスは十分ではない。イタリア・Azienda Socio Sanitaria Territoriale MonzaのAlice Caldiroli氏らは、TRDに対する抗うつ薬の薬理学的増強療法に関するエビデンスを包括的にレビューした。International Journal of Molecular Sciences誌2021年12月2日号の報告。 TRDに対する抗うつ薬の薬理学的増強療法に関する利用可能なエビデンスを特定するため、主要な精神医学データベース(PubMed、ISI Web of Knowledge、PsychInfo)より検索を行った。TRDに対する薬理学的増強療法を主なトピックスとし、TRDの明確な定義が記載されている英語論文を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・最も研究されていた薬剤は、アリピプラゾールとリチウムであった。・有効性に関して、最も強力なエビデンスが示された薬剤は、アリピプラゾールであった。・オランザピン、クエチアピン、cariprazine、リスペリドン、ziprasidoneは、良好な結果が認められたが、その程度は低かった。・ブレクスピプラゾール、esketamine点鼻薬については、実臨床でのさらなる研究が求められる。・ケタミン静脈内投与は、短期的な抗うつ効果が認められた。・補助的な治療薬(抗てんかん薬、神経刺激薬、プラミペキソール、ロピニロール、アスピリン、メチラポン、レセルピン、テストステロン、T3/T4、naltrexone、SAM-e、亜鉛)の有効性に関するエビデンスは限られており、その有効性を正確に推定することは困難であった。・ラモトリギン、ピンドロールに関するエビデンスは、否定的なものであった。 著者らは「リチウムに関するデータは多少の議論の余地があるものの、TRD患者に対する効果的な増強療法として、アリピプラゾールとリチウムが有効であることが示唆された。他の薬剤については、信頼できる結論を導き出すことができなかった。これらの結果を明らかにするためには、標準化されたデザイン、用量、治療期間を用いて制御された比較研究が必要であろう」としている。

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日本でのCOVID-19パンデミック時の認知症患者に対する身体拘束

 COVID-19パンデミックは、世界中の医療スタッフ、とくにCOVID-19陽性患者を受け入れる病院スタッフにとって、これまでにない問題を引き起こしている。日本政府によるCOVID-19に伴う診療抑制などの発表は、院内ケアに対するさまざまな制限をもたらしており、認知症高齢者への身体拘束の増加を含むケアに影響を及ぼしている可能性がある。しかし、COVID-19パンデミック時の身体拘束への影響を経験的に検証した研究は、ほとんどない。京都大学の奥野 琢也氏らは、COVID-19パンデミックによる診療規制の変更が、急性期病院の認知症高齢者の身体拘束に及ぼす影響について評価を行った。PLOS ONE誌2021年11月22日号の報告。 2019年1月6日~2020年7月4日に急性期病院で認知症ケアを受けた65歳以上の高齢者のデータを抽出し、レトロスペクティブ研究を実施した。COVID-19陽性患者を受け入れた病院に入院したかに応じて、患者を2群に分類した。身体拘束における変化を検証するため、記述統計を算出して2週間間隔で傾向を比較し、分割時系列分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・日本政府発表後、COVID-19陽性患者を受け入れた病院では、入院患者1,000人当たりの身体拘束実施率が増加していた。最大実施率は、発表後73~74週時の入院患者1,000人当たり501.4人であった。・COVID-19陽性患者を受け入れた病院では、認知症高齢者に対する身体拘束実施率の有意な増加が認められた(p=0.004)。・パーソナルケアを必要とする認知症高齢者は、COVID-19パンデミック時における身体拘束実施率の有意な増加が認められた。 著者らは「認知症患者に対する身体拘束実施率の増加の根底にある原因やメカニズムを理解することは、今後同じような状況に直面した際の効果的なケアプログラムの設計に役立つであろう」としている。

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新鮮なネタとしての魚:うつを予防するのは本当か(解説:岡村毅氏)

 魚を食べるとうつにならないというのは本当かという研究である。正確には魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸を多くとるとうつにならないかという研究である。1)魚は健康に良いとされている。2)魚を食べている人は健康そうである。知り合いのAさんもBさんも、ジャンクフードは食べずに日本食を好み、運動をし、そして魚をよく食べている。3)そこで手近な100人くらいの人を調査した。魚を食べているかと、健康状態を聞いた。そしたら魚を食べている人は確かに健康だった。うつも少ない。4)魚はうつを予防する。 …典型的な間違いである。 頑張って魚を食べている人は、健康に気を使っているだろうし、所得も高そうだし、余裕もありそうだ。こうした要因が介在しているから見かけの関係が見えてしまったにすぎない(交絡といいます)。 本当に効果があるのか調べるには、ある地点から前向きにオメガ3脂肪酸を摂取する群、しない群に分けて、その後のうつの発症を調べればよい。その結果は、何とオメガ3脂肪酸群の方がややうつが多かった。 本研究はVITALスタディ(Vitamin D and Omega-3 Trial)という大規模研究の一環である。わかったことは、ビタミンDもオメガ3脂肪酸も、心の健康には何ら効果がなさそうだということであった。 こう書くと、魚なんて食べても意味ないのだ、明日からはカップラーメンと酒だ、と早とちりする人がいるので、強く止めておきたい。要するに自分を大切にしている人は、食生活に気を付けているので健康だということにすぎない。一方で食生活に気を付けても、病気になるときはなることも忘れてはならない。機械じゃないんだ、人間だもの、と言うしかない。 運動とか、魚とか、野菜は健康に良いことは事実だが、それ自体がうつや認知症を予防することはない。同時に、自分のことを大切にして、自堕落な生活はやめた方がよくて(もちろん、したければしてもよい)、魚や野菜をきちんと食べて運動をしましょう、という当たり前の事実があるのだ。 ここで終わっては面白くないのでもう一歩話を進めよう。 人々は「〇〇を食べると病気にならない」という話が大好きである。私の専門分野でいうと、特定の油が認知症予防に効くという一時流行った説を吹き込まれて、高カロリーの油をたくさん摂取している人がたまにいた。「太りますよ、むしろ血管病変を介して認知症になりかねないです」と外来ではやんわりお伝えしている。そもそも〇〇を食べれば病気にならないなどというものは存在しない。していればみんなもう食べているだろう。人間は集団的には合理的な動きをするのだから。 一方で、そういうばかげた話を、怒りをもって眺めている専門家も多いが、それはそれで大人げないとも思う。みんなネタとして捉えて、おしゃべりをしているだけなのである。個人的な見解だが、テレビを真面目に信じている人は10%もいないのではないか? ハイデガーという哲学者は、人々は本質を忘れ(死を忘れ)おしゃべりをして過ごすものだと言ったが、典型的などうでもいいおしゃべりは「食べ物健康談義」であろう。だって誰も傷つけないし、ほどほど盛り上がるし、「某ワクチンが危険だ」みたいな陰謀論のようにどぎつくないから友達をなくすこともないだろう。 問題は本当に信じているごく一部の人だけだ。テレビや週刊誌のビジネスの邪魔はしたくはないが、まともな情報は公共的な組織に提供してほしいものだ。たとえば、厚生労働省は『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』という事業できちんとした情報を提供している。 とても参考になるので一読を勧める。

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治療抵抗性統合失調症におけるGAD1およびGABAB受容体遺伝子の関連

 統合失調症、とくに認知機能障害の病因として、GABA作動システムの機能不全が関係しているといわれている。治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の多くは、重度の陽性症状や認知機能障害に苦しんでおり、これにはGABAシステムの機能障害が関連している可能性が示唆されている。千葉大学大学院医学研究院の宮澤 惇宏氏らは、TRS患者を対象に4つのSNPを同定し、さらに5つのSNPの関連研究を実施した。Molecular Biology Reports誌オンライン版2021年11月29日号の報告。 本研究では、TRS患者14例を対象に、エクソームシーケンシングを実施し、GAD1、GABBR1、GABBR2遺伝子で4つのSNPを同定した。その後、これら4つのSNPとGAD1上のrs3749034を含む5つのSNPの関連研究を、TRS患者357例、非TRS患者682例、健康対照者508例で実施した。 主な結果は以下のとおり。・5つのSNPのいずれにおいても、対立遺伝子および/または遺伝的分布に有意な差が認められなかった。・しかし、統合失調症患者と健康対照者との比較におけるサブグループ解析では、3群ともに、GAD1ではrs3749034、GABBR2ではrs10985765/rs3750344の名義レベル(nominal-level)の有意な差が認められた。・とくに女性では、rs3749034のより厳格な分析において、統合失調症患者と健康対照者、TRS患者と健康対照者との間で統計学的に有意な差が認められた。 著者らは「今回のサブグループ解析で示された統合失調症またはTRS患者に対するGABAシステムの遺伝的脆弱性は、性別またはサンプリング領域の影響を受けることが示唆された。全体として、GAD1のrs3749034、GABBR2のrs10985765がTRSと関連している可能性がある。ただし、本研究では少数のSNPのみが検証され、GABA関連遺伝子の他の領域にある遺伝的変異を考慮していなかった可能性も考えられる」としている。

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朝の光が認知症高齢者の睡眠障害改善に及ぼす影響

 睡眠障害や概日リズムを改善するためには、光療法が効果的であるといわれている。台湾・国立陽明交通大学のChuen-Ru Liu氏らは、睡眠障害や概日リズムの改善には、一般的な照明よりも朝の明るい周囲光への曝露がより効果的であるとの仮説を立て、認知症高齢者のための新たな照射介入モデルの検討を試みた。Sleep Medicine誌オンライン版2021年10月21日号の報告。 本検討では、単盲検縦断グループ実験デザインを用いた。認知症患者は、コミュニティおよびナーシングホームより募集した。実験グループには、2,500ルクスの周囲光を、対照グループには114~307ルクスを用いた。睡眠障害および概日リズムの測定には、加速度計(XA-5)を用いた。効果反応までの時間を測定するため、縦断実験計画法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピンの使用と日中の総活動量の共変量を分析するため、一般化推定方程式を用いた。・実験グループでは、5週目と9週目において以下の有意な改善が認められた。 ●睡眠効率の平均増加(5週目:41.9%[p<0.001]、9週目:31.7%[p=0.002]) ●睡眠時間の増加(5週目:141分[p=0.001]、9週目:135分[p=0.008]) ●覚醒時間の減少(5週目:116分[p=0.001]、9週目:108分[p=0.002]) ●入眠開始の改善/睡眠終了の遅延(入眠開始の改善:60~84分、睡眠終了の遅延:57~79分)・4週間の明るい周囲光による介入が、最も効果的であった。 著者らは「朝の明るい周囲光は、睡眠障害の改善に有用であり、概日リズムを安定させることにより、より良い結果をもたらすと考えられる」としている。

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双極性障害の自殺死亡率に対する性別固有のリスクプロファイル

 双極性障害患者の自殺リスクに対する性差および併存疾患の影響についてのエビデンスは十分ではない。台湾・台北医学大学のPao-Huan Chen氏らは、自殺の発生率、医療利用状況、併存疾患の観点から、双極性障害患者における自殺リスクに対する性別固有のリスクプロファイルについて調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2021年8月11日号の報告。 2000年1月~2016年12月の台湾の全民健康保険研究データベースを用いて、コホート研究を実施した。対象は、双極性障害患者4万6,490例および年齢、性別を1:4の割合でマッチさせた一般集団18万5,960例。自殺死亡率の比率(MRR)は、双極性障害コホートと一般集団の自殺率で算出した。また、双極性障害コホートにおける医療利用状況、併存疾患の性別固有のリスクを調査するため、ネストされたケースコントロール研究(自殺死亡患者:1,428例、生存患者:5,710例)を実施した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者の自殺リスクは、一般集団と比較し、非常に高かった(MRR:21.9)。とくに女性において顕著であった(MRR:35.6)。・性別層別分析では、性別間での医療利用パターンおよび身体的併存疾患のリスクプロファイルの違いが明らかであった。・女性の自殺死亡患者は、生存患者と比較し、非高血圧性心血管疾患、肺炎、慢性腎臓病、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、敗血症のリスクが高かった。一方、男性では、慢性腎臓病と敗血症のリスクが高かった。 著者らは「双極性障害患者の自殺死亡リスクは、発生率および身体的併存疾患において、性別固有のリスクプロファイルを有していると考えられる。これらの修正可能なリスク因子を特定することは、双極性障害患者の自殺リスク減少につながる可能性がある」としている。

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60歳以上の片頭痛患者に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの有効性、安全性

 片頭痛は、高齢者において頻繁に認められる疾患ではないが、高齢片頭痛患者に対する予防的治療は、さまざまな併存疾患に対する多剤併用による治療が行われていることを考えると、より困難である場合が少なくない。また、高齢片頭痛患者に対する予防的治療の有効性、安全性、忍容性に関するエビデンスは、限られている。米国・トーマスジェファーソン大学のStephanie J. Nahas氏らは、反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)を有する60歳以上の臨床試験参加者を対象に、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的に作用するヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの有効性、安全性、忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年11月24日号の報告。 本研究では、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験(HALO EM試験、HALO CM試験、FOCUS試験)のデータを分析した。対象は、3つの試験への参加者で2~4種類の片頭痛予防薬クラスで十分な治療反応が得られなかった患者246例。3つの試験いずれにおいても、CMまたはEM患者をフレマネズマブ3ヵ月に1回投与群(1ヵ月目:フレマネズマブ675mg、2ヵ月目:プラセボ、3ヵ月目:プラセボ)、フレマネズマブ月1回投与群(1ヵ月目[CM]:フレマネズマブ675mg、1ヵ月目[EM]:225mg、2ヵ月目以降:225mg)、プラセボ月1回投与群に1対1対1の割合で割り付け、12週間の治療を行った。 主な結果は以下のとおり。・フレマネズマブ治療を行った患者は、12週間にわたるベースラインからの1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少が有意に大きかった。【最小二乗平均のベースラインからの変化】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:-4.3±0.59(対プラセボp<0.01) ●フレマネズマブ月1回投与:-4.6±0.54(対プラセボp<0.01) ●プラセボ月1回投与:-2.3±0.57・フレマネズマブ治療を行った患者では、毎週の片頭痛日数のベースラインからの有意な減少が、最短1週目で認められた(各々:対プラセボp<0.01)。・フレマネズマブ治療は、プラセボと比較し、1ヵ月当たりの片頭痛日数50%以上の減少割合が有意に高く、疾患およびQOLアウトカムの有意な改善が認められた(各々:対プラセボp<0.05)。・重篤な有害事象や治療中止につながる有害事象の発現率は低く、フレマネズマブ治療とプラセボで類似していた。・有効性および安全性の結果は、プールされた母集団(2,843例)と同等であった。 著者らは「本サブグループ解析において、60歳以上のEMまたはCM患者に対するフレマネズマブ治療は有効であり、12週間にわたり十分許容されることが示唆された。これらの結果は、片頭痛を有する高齢者の臨床的意思決定と予防的治療を選択するうえで、医療従事者にとって役立つであろう」としている。

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乳がん患者の抑うつ、適切な治療につなげるには?/JAMA

 地域の腫瘍科診療施設で治療を受けている乳がん患者において、実装科学(implementation science)に基づき日常診療で抑うつ状態のスクリーニングを行う個別化戦略は、抑うつスクリーニング指導のみの治療戦略と比較して、行動療法への紹介に結びつく患者の割合が高く、腫瘍内科の外来受診の頻度は低下することが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のErin E. Hahn氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年1月4日号で報告された。米国の6つの地域施設のクラスター無作為化試験 本研究は、KPSC(南カリフォルニアの450万人以上の会員に包括的な治療を提供する統合保健システム)に所属する6つの医療センターが参加した実践的なクラスター無作為化試験であり、2017年10月1日~2018年9月30日の期間に患者の登録が行われ、最終フォローアップ日は2019年3月31日であった(Regents of the University of Californiaなどの助成を受けた)。 6つの参加施設は、抑うつ状態に対する個別化介入を受ける群(介入群)または抑うつ状態のスクリーニングの指導のみを受ける群(対照群)に、それぞれ3施設が無作為に割り付けられた。対象は、腫瘍内科で診察を受け、新規の原発性乳がんと診断された患者であった。病期や組織型、性別、人種/民族、併存疾患、その他の臨床的・人口統計学的因子による除外基準は設けられなかった。 抑うつ状態のスクリーニングプログラムでは、患者は9項目患者健康質問票(9-item Patient Health Questionnaire:PHQ-9)に回答し、アルゴリズムに基づくスコア化で軽度、中等度、重度に分けられ、これらの重症度に応じた行動学的精神保健サービスが紹介された。 介入群の施設は、抑うつ状態のスクリーニングプログラムの一般的な指導のほか、審査、パフォーマンスデータの評価、診療変更を実装するための支援を受け、診療内容は地域の状況に合わせて行われた。対照群の施設は、スクリーニングプログラムの一般的な指導のみを受けた。 主要アウトカムは、スクリーニングと紹介が適切に行われた患者の割合とされた。プライマリケア医、急病診療所、救急診療部の受診に差はない 1,436例(平均年齢61.5[SD 12.9]歳、女性99%、アジア系/太平洋諸島系18%、黒人17%、ヒスパニック系26%、白人37%、Stage 0~II乳がん82%)が登録され、介入群に744例(男性4例を含む)、対照群に692例(同3例)が割り付けられた。 抑うつのスクリーニングを受けた患者は、介入群が596例、対照群は3例で、このうち行動医療(behavioral health)へ紹介されたのはそれぞれ59例および1例だった。試験期間中に28例が死亡した(介入群19例、対照群9例、群間差:1.3%[95%信頼区間[CI]:-0.2~2.7])。 主要アウトカムのイベント発生率は、介入群が7.9%(59/744例)と、対照群の0.1%(1/692例)に比べ有意に高かった(群間差:7.8%、95%CI:5.8~9.8)。 行動医療を受けた患者は、介入群では紹介を受けた59例のうち44例(75%)、対照群は紹介を受けた1例中1例(100%)であった。 また、年齢、人種/民族、がんの病期、パートナーの有無、Charlson併存疾患指数で補正したモデルでは、介入群で腫瘍内科の外来受診患者の割合が有意に低かった(補正後率比:0.86、95%CI:0.86~0.89、p=0.001)が、プライマリケア医(1.07、0.93~1.24)、急病診療所(0.84、0.51~1.38)、救急診療部(1.16、0.84~1.62)の受診については、両群間で差は認められなかった。 著者は、「このプログラムの臨床的有益性や費用対効果を知るために、さらなる研究を要する」としている。

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日本におけるコミュニティレベルの学力と認知症リスク

 コミュニティレベルの学力と認知症リスクとの関連は、あまり知られていない。浜松医科大学の高杉 友氏らは、認知症発症リスクに対し、コミュニティレベルでの低学歴の割合が影響を及ぼすかについて、検討を行った。また、都市部と非都市部における潜在的な関連性の違いについても、併せて検討した。BMC Geriatrics誌2021年11月23日号の報告。 日本老年学的評価研究(JAGES)より、2010~12年にベースラインデータを収集し、6年間のプロスペクティブコホートを実施した研究のデータを分析した。対象は、7県16市町村のコニュニティ346ヵ所の身体的および認知機能的な問題を有していない65歳以上の高齢者5万1,186人(男性:2万3,785人、女性:2万7,401人)。認知症発症率は、日本の介護保険制度から入手したデータを用いて評価した。教育年数を9年以下と10年以上に分類し、個々の学力レベルをコミュニティレベルの独立変数として集計した。共変量は、まず年齢および性別を用い(モデル1)、次いで収入、居住年数、疾患、アルコール、喫煙、社会的孤立、人口密集度を追加した(モデル2)。欠落データに対する対処として、複数の代入を行った。コミュニティおよび個人における2つのレベルでの生存分析を実施し、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の認知症の累積発症率は、10.6%であった。・教育年数が9年以下であった平均割合、40.8%(範囲:5.1~87.3%)であった。・コミュニティレベルでの低学力は、認知症発症率の上昇と有意な関連が認められた(HR:1.04、95%CI:1.01~1.07)。・個人の教育年数と共変量で調整した後、低学歴による認知症リスクの上昇は10ポイントと推定された。・非都市部では有意な関連性が認められたが(HR:1.07、95%CI:1.02~1.13)、都市部では認められなかった(HR:1.03、95%CI:0.99~1.06)。 著者らは「コミュニティレベルでの学歴の低さは、そうでない地域と比較し、高齢者の認知症発症リスクが高く、非都市部では有意な関連が認められた。そのため、認知症予防の観点から、とくに都市部以外の地域において青年期の教育を確保することは、極めて重要な課題であると考えられる」としている。

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日本ではアルツハイマー病新薬は承認されず【コロナ時代の認知症診療】第11回

審議での厚労省見解をどうみるか米国に続き日本での承認が期待されたaducanumabだが、それは叶わなかった。2021年12月22日、厚労省によるaducanumab(商品名:アデュヘルム点滴静注、バイオジェン・ジャパン)の審議の結果、本剤の有効性は明確に判断できない、今後の臨床試験の結果がでれば再度審議するという結果になった。その理由として、1)2つの第III相試験の結果に一貫性がない、2)脳内アミロイドプラーク低下の臨床的意義が確立していない、3)本剤投与により脳の浮腫や出血を生じる、の3点が挙げられた。まず1)はその通りであり反論がない。つまり最近の抗認知症薬の承認には、世界のグローバルレベルで再現性をもって有意性が確認されることが必要である。かつての各国レベルの承認から、今日ではグローバル基準が当然になってきた印象がある。とくに本剤のような薬なら世界中どこでもの再現性は不可欠だろう。2)については、それはそうだが…と、正直頭を抱える気持ちになる。なぜならアルツハイマー病の原因はいまだに不明だ。もっとも主たるバイオマーカー候補がアミロイドとタウである。しかし原因不明である以上、これらは仮説にすぎない。だが現実には、この仮説に沿って、とりあえずはここを攻めようと今日までaducanumabのようなアミロイドを除去する薬の開発に世界中でしのぎが削られてきた。にもかかわらず2)のように言われてしまっては、こうしたアミロイド仮説に沿う薬は、今後も一切日の目を見ないのではないか? と思えてくる。3)については、脳血管周囲に生じる出血や浮腫(ARIA-EやH)があるからという理由は少々納得できかねる。これらは本来の作用の一部、つまり副作用でなく想定できる副反応的なものである。すなわちコロナ予防ワクチンでいえば発熱や痛みのようなものだろう。これが認められない理由であるなら、アミロイドβ仮説に沿うものは皆ダメになりかねない。というのは、aducanumabはアミロイドを溶かし出すのが目標の薬だから、脳実質だけでなく脳内血管の壁にあるアミロイドを溶かす結果、ARIAが起こるのは当たり前である。言うまでもなく、副反応も副作用もないほうがいい。これをさておいても3)は「副作用(副反応)があるからだめ」と読まれかねない。費用や投与のやめどきは? 実臨床での課題さてこの厚労省見解以外に、仮に今のまま使うとなったら、実際いくつかの難しさが考えられる。入手するには、承認された米国から個人輸入するしかないだろう。これは日本のみならず米国以外の国は皆同じである。そこで個人輸入を代行してくれる国際的な組織立ち上げの話もあった。しかし我が国の当局はこれを認めないようだ。この壁は、個人の意志でなすのが個人輸入であるのに、それを代行する組織が介在するのは本来の狙いに反するからだと聞いている。次に値段の問題がある。当初米国での年間費用が640万円とされ驚かれた。最近ではこれが300万円台と報道されている。体格が米国人に劣る日本人だと200万円以下になるのではと、筆者は関係者の話から試算している。さらに数少ない専門医のもとで点滴を月に1度、約30分かけてやるというのも当事者、家族にはなかなかハードルが高い。専門医以外に、近所のかかりつけ医でもできるようになればこれは改善できるだろう。もうひとつは投与のやめどきである。すでにコリンエステラーゼ阻害薬については議論されヨーロッパなどでかなり確立しているようだ。継続審議はどうなる!?最後に継続審議してもらうには、aducanumabの新たな治験データが必要である。正攻法は新たなグローバル治験の体制を立てて、また1年半以上フォローすることだろう。しかし筆者の山勘ながら今から始めても3年後に終わるかどうか? 一方で本剤の第IV相試験は2020年秋に始まり、すでに1年あまり経過している。このデータもまた審議資料になるだろうか? 一方で患者・家族の要望の声も大切であろう。というのは過去にアリセプトに後続したコリンエステラーゼ阻害薬の承認を思い出すからである。承認のために最初に検討された治験成績はいまいちだったようだ。しかしこの時は家族会などの嘆願運動もあって紆余曲折の末に承認されたという記憶がある。すでに米国では第2の疾患修飾薬も審議中だと聞く。今後は開発に拍車がかかって行くと思われる。その中から疑いなく承認される有望な新薬の登場が心待ちにされる。

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