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「ワクチン忌避」への対応と医療者教育の重要性/日本ワクチン学会

 「ワクチンの有効性・安全性に疑いを持つ人が接種を控える動き(ワクチン忌避)」が世界的に広がりを見せている。世界保健機関(WHO)は2019年に発表した「世界の健康に対する10の脅威」の1つとして「ワクチン忌避」を挙げている。日本においてもHPVワクチンの接種推奨が停止され、再開を求める医療者の声にもかかわらずいまだ果たされていない、等の現状がある。 11月30日~12月1日に開催された「第23回日本ワクチン学会学術集会」では、このワクチン忌避への危機感と対応策が大きなテーマの一つとなった。ワクチン忌避対抗の第一歩はデータ収集から シンポジウム「予防接種の教育啓発」では、国立感染症研究所・感染症疫学センターの砂川 富正氏が「国内外のVaccine hesitancyに関する状況」と題した講演を行った。砂川氏は「Vaccine hesitancy(ワクチン忌避)」に関連すると思われる報告が増加しており、「ある自治体における予防接種歴と百日咳に罹患した児の年齢分布を示すデータを見たところ、2~5歳と年齢が上がっても接種歴の無い児が含まれていた。ワクチンを受けさせない方針の保護者のコミュニティーができ、流行の一部となった疑いがある」と懸念を呈した。 2019年に報告数が急増し、学会でも大きなトピックスとなった麻しんについて「予防接種を受けていない10~20代の患者が30人以上出た、という事例を大きな衝撃を持って受け止めた。ワクチン接種率が90%を超える地域でも、ワクチンに否定的な医師に賛同する保護者のコミュニティなどができ、未接種者が固まって居住しているなどの条件が揃えば、一定規模の流行を生みかねない」と危機感を示した。こうした状況を踏まえ、自治体の予防接種担当者から保護者とのコミュニケーションについてアドバイスを求められることも増えている、という。 ワクチン忌避の動きは世界中で見られ、ブラジル、バルカン半島などで問題が顕在していることが報告されており、バルカン半島に位置するモンテネグロではワクチン反対派の運動で麻しん含有ワクチンの接種率が5割まで低下したという事例も報告された。科学誌Natureが、日本ではワクチン安全性への懸念が世界で最も高いレベルにあるとの風潮をニュース記事として取り上げるなど、日本は先進国の中でもワクチンを用いた取り組みが容易でない国として注視されている。 砂川氏は、「米国のようにワクチン忌避に関する定量調査でデータを蓄積し、分析と対応を行っていくことが急務」とまとめた。米国を参考に医療者向け教育プログラムを作成 続けて、同じく国立感染症研究所・感染症疫学センターの神谷 元氏が「予防接種従事者への教育の重要性」と題した講演を行った。 神谷氏は「定期接種・任意接種の問題はあるが、現在では国内で28種類のワクチンを受けられるようになり、海外との差を示すいわゆる『ワクチンギャップ』は数字の上では解消しつつある」と述べたうえで、「ワクチン忌避には歴史的・文化的背景があり、世界的に有効な手段は限られるが、その中で確実に有効性が証明されているのが『医療者への教育』であり、真のギャップをなくす手段である」と述べた。 そして、自身の留学時に経験した、米国疾病予防管理センター(CDC)とサンディエゴ郡保健局予防接種課の取り組みを紹介。CDCではACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)という外部の専門家集団と連携し、ワクチンに関連したエビデンスを検証し、ルール化する作業を常時行っている。ACIPの助言を基に決定したワクチンに関するルールは、全米の関係者・関係機関に通達され、患者からの問い合わせに対して全員が同じ回答ができることが信頼性につながっていると説明。また、米国には小学校入学前にワクチン接種を促す「School Law」と呼ばれるルールがあり、接種させない保護者にはペナルティが課されるという。 サンディエゴ郡保健局では、ワクチンに関するオンライン教育システムを用意し、担当地域の小児科・プライマリケアのレジデント全員に受講義務を課している。学習内容は臨床に即した実践的なロールプレイングを行うチーム学習プログラムであり、患児の予防接種歴確認の重要性などを体感できる。さらに、保健局はクリニックに対して担当地域の予防接種率のデータをフィードバックしており、「2回目の接種率は90%だが、3回目は70%に落ちている」等の実際のデータを見せることで、医師に対してワクチン接種を促す意識付けを図っている。こうしたさまざまな取り組みによって、サンディエゴ郡の予防接種率は全米トップクラスを達成、維持している。 同保健局の取り組みをヒントに、神谷氏は有志とともに医療従事者向けにワクチン知識を深めるためのオンライン講座を作成。医師向けに続き、看護師や事務員版についてもトライアルを進めているという。

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糖尿病妊婦の子供は早発性CVDリスクが高い/BMJ

 糖尿病の母親の子供は、小児期から成人期初期に、非糖尿病の母親の子供に比べ早発性の心血管疾患(CVD)の発生率が高く、とくに母親がCVDや糖尿病性合併症を併発している場合はCVDリスクがさらに増加することが、デンマーク・オーフス大学のYongfu Yu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年12月4日号に掲載された。最近の数10年間で、世界的に子供や若年成人のCVD有病率が高くなっている。妊娠前および妊娠中の母親の糖尿病は、子供のメタボリック症候群や先天性心疾患のリスク上昇と関連するとされるが、母親の糖尿病への出生前の曝露が、生命の初期段階にある子供の早発性CVDに影響を及ぼすか否かは知られていないという。糖尿病妊婦の子供を40年追跡したコホート研究 研究グループは、妊娠前または妊娠中に診断された母親の糖尿病と、その後40年間における子供の早発性CVDの関連を評価する目的で、住民ベースのコホート研究を行った(デンマーク・Lundbeck Foundationなどの助成による)。 データの収集には、デンマークの全国的な健康関連の登録システムを用いた。1977~2016年の期間に、デンマークで出生し、先天性心疾患のない243万2,000例の子供が解析の対象となった。追跡は出生時に開始され、CVDの初回診断、死亡、海外移住、2016年12月31日のうち、いずれかが最も早く到来するまで継続された。 曝露因子は、母親の糖尿病合併妊娠(1型糖尿病[2万2,055例]、2型糖尿病[6,537例])と妊娠糖尿病(2万6,272例)であった。 主要アウトカムは、病院の診断によって定義された早発性CVD(先天性心疾患を除く)とし、母親の糖尿病と子供の早発性CVDリスクとの関連を評価した。また、Cox回帰を用いて、この関連への、母親のCVDおよび糖尿病性合併症の既往歴の影響を検討した。糖尿病単独で29%、合併症併発で60%、CVD併発で73%増加 5万4,864例(2.3%)の子供が、母親の糖尿病合併妊娠(1型糖尿病0.9%、2型糖尿病0.3%)または妊娠糖尿病(1.1%)に曝露していた。40年の追跡期間中に、糖尿病の母親の子供1,153例と、非糖尿病の母親の子供9万1,311例が、CVDと診断された。 糖尿病の母親の子供は、非糖尿病の母親の子供に比べ、早発性CVDの発生率が29%高かった(ハザード比[HR]:1.29、95%信頼区間[CI]:1.21~1.37)。母親の糖尿病に曝露しなかった子供の40歳時の累積CVD発生率は13.07%(12.92~13.21)であった。曝露と非曝露の子供の累積CVD発生率の差は4.72%(2.37~7.06)だった。 また、同胞コホートで近親デザイン(sibship design)の解析(共通の遺伝的、家族的な背景因子に起因する未調整の交絡を評価)を行ったところ、マッチングを行っていないコホート全体の主解析とほぼ同様の結果(1.26、1.18~1.35)であった。 糖尿病合併妊娠(HR:1.34、95%CI:1.25~1.43)および妊娠糖尿病(1.19、1.07~1.32)のいずれにおいても、子供のCVDは増加していた。また、個々の早発性CVDの発生率の増加の割合は多様であり、増加率の高かったCVDとして、心不全(1.45、0.89~2.35)、高血圧性疾患(1.78、1.50~2.11)、深部静脈血栓症(1.82、1.38~2.41)、肺塞栓症(1.91、1.31~2.80)が挙げられた。 CVD発生率の増加は、母親の糖尿病の種類にかかわらず、小児期から、40歳までの成人期初期の個々の年齢層で認められた。 CVD発生率の増加は、糖尿病合併妊娠のみの母親の子供(HR:1.31、95%CI:1.16~1.48)に比べ、糖尿病性合併症を併発した母親の子供(1.60、1.25~2.05)で、より顕著であった(合併症併発の非併発に対するHR:1.22、95%CI:0.92~1.62)。また、母親が糖尿病とともにCVDを併発していた場合、子供の早発性CVDの発生率はさらに高く(1.73、1.36~2.20)、これは併発CVDの付加的影響であったが、糖尿病とCVDの交互作用に起因するものではなかった(交互作用の相乗スケールのp=0.94)。 著者は、「出産可能年齢の女性における糖尿病の予防、スクリーニング、治療は、女性の健康の改善だけでなく、子供の長期的なCVDリスクの抑制においても重要と考えられる」としている。

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米国中高生にフレーバー電子タバコが蔓延/JAMA

 2019年の米国の高等学校(high school)および中学校(middle school)の生徒における電子タバコ使用者の割合は高く(それぞれ27.5%、10.5%)、特定の銘柄の電子タバコ使用者の多くがフレーバー電子タバコを使用(72.2%、59.2%)している実態が、米国食品医薬品局(FDA)タバコ製品センターのKaren A. Cullen氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2019年11月5日号に掲載された。米国の青少年における電子タバコの使用率は、2011年から2018年に、実質的に増加しているという。青少年の電子タバコや他のタバコ製品の使用率の継続的な監視は、公衆衛生学上の施策や計画立案、規制の取り組みへの情報提供として重要とされる。第6~12学年1万9,018人の横断研究 研究グループは、2019年の米国の高等学校および中学校の生徒における電子タバコの使用状況(使用頻度、銘柄、フレーバー製品の使用など)を調査する目的で、横断研究を行った(FDAと米国疾病予防管理センター[CDC]の助成による)。 2019年度の全国青少年タバコ調査(National Youth Tobacco Survey)に参加した第6~12学年(高等学校:第9~12学年、中学校:第6~8学年)の米国人生徒1万9,018人を対象とした。調査期間は、2019年2月15日~5月24日。 参加者の自己申告に基づき、現在電子タバコを使用中(過去30日以内に1回以上使用)、頻回使用(過去30日間に20日以上)、現使用者が習慣的に使用している銘柄(JUUL、blu、Logic、MarkTen、NJOY、Vuse、その他、なし)、特定銘柄の使用者(他のタバコ製品は使用しない)におけるフレーバー電子タバコの使用の有無と、使用しているフレーバーの種類を調査した。使用率の推定値は複雑抽出デザイン(complex sampling design)で重み付けした。頻回(月に20日以上)使用者は160万人、毎日使用者は97万人 調査には、高等学校の生徒1万97人(平均年齢16.1[SD 3.0]歳、女性47.5%)と、中学校の生徒8,837人(12.7[2.8]歳、48.7%)が含まれた。学年別の参加者割合は全体として類似していた(範囲:第12学年12.9%~第7学年14.6%)。全体の回答率は66.3%だった。 2019年の電子タバコの現使用率の推定値は、高等学校生が27.5%(95%信頼区間[CI]:25.3~29.7)、中学校生は10.5%(9.4~11.8)であった。また、現使用者のうち、高等学校生の34.2%(31.2~37.3)、中学校生の18.0%(15.2~21.2)が頻回使用者であり、それぞれ63.6%(59.3~67.8)および65.4%(60.6~69.9)が特定の銘柄の電子タバコを使用していた。 現使用者のうち、高等学校生の59.1%(95%CI:54.8~63.2)、中学校生の54.1%(49.1~59.0)が、過去30日間にJUUL(ニコチン塩ベースの電子タバコ製品)を習慣的に使用しており、それぞれ13.8%(12.0~15.9)および16.8%(13.6~20.7)は、習慣的に使用している電子タバコの銘柄はないと回答した。 特定の銘柄の電子タバコの使用者のうち、高等学校生の72.2%(95%CI:69.1~75.1)、中学校生の59.2%(54.8~63.4)が、フレーバー電子タバコを使用しており、使用頻度の高いフレーバーは、果物(高等学校生66.1%[62.4~69.5]、中学校生67.7%[62.6~72.5])、メンソール/ミント(57.3%[53.3~61.3]、31.1%[25.6~37.2])、キャンディー/デザートなどの甘い物(34.9%[31.3~38.7]、38.3%[32.6~44.2])であった。 なお、過去30日間に、電子タバコ以外のタバコ製品を使用したと答えた生徒の割合は、高等学校生が5.8%(95%CI:4.6~7.3)、中学生は2.3%(1.8~2.9)であり、電子タバコと合わせると、それぞれ31.2%(29.1~33.5)および12.5%(11.2~13.9)が、何らかのタバコ製品を使用していた。 著者は、「これらのデータにより、2019年に米国の高等学校生410万人と中学校生120万人が電子タバコを使用したと推定される。このうち160万人が頻回使用者で、97万人は毎日使用しており、特定銘柄のフレーバー電子タバコの使用者は240万人と考えられる」としている。

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子育て医師必携の「家庭の医学」【Dr.倉原の“俺の本棚”】第25回

【第25回】子育て医師必携の「家庭の医学」いま、増刷を重ねている、Twitterで話題の本です。子供が38度の熱を出したら、近所の小児科へ連れていく医師。医学を学んでも、自分の子供のこととなると頭が真っ白になる人が多いそうで。私も、絶対に手足口病と思われるわが子の症状をみても、「やはり専門家に…」ということで小児科に連れて行ったことがあります。恥ずかしい。私でさえこんなんですから、一般の親にとっては、わが子の病気なんて恐怖以外の何ものでもないのです。「家庭の医学」本はいくつかありますが、一般人にとってわかりにくい作りになっており、医療従事者にとっては物足りない内容のことが多い。そもそも、本の設計がダメなのです。『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK 』佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム/著.KADOKAWA.2019この本は、長野県佐久医師会の「教えて!ドクター」プロジェクトが発行している冊子を書籍としてまとめたものです。特長は、小児救急のプロ集団が書いたであろう、おそるべきクオリティの高さにあります。熱や腹痛があったとき、どのタイミングで受診すればよいか、どのようにして救急車を呼べばよいのか、そういう具体的な部分に手が届く内容になっています。非の打ち所がない構成の「家庭の医学」本なのです。ママのメンタルについて言及している点が素晴らしい。ウチもそうでしたが、育児が大変すぎて、赤ちゃんから少し離れたいときってありますよね。「ベビーフリータイム」なんて言葉もあるそうで。そこまでわかっている人たちが書いた「家庭の医学」本って、これまでなかったと思います。子供が生まれる予定の医師から、3~4歳の子育て医師までがよい対象になると思います。出産祝いに最適のギフトでしょう。ああ、あと出版が数年早ければわが子にも使えたのに! この本、小児科に数冊くらい常備しておいてもいいんじゃないですかね。この本のクオリティと厚さで1,300円というのは、破格としか言いようがありません。「マンガでわかる!」という部分で、ちょっと購入を踏みとどまってしまう人がいるかもしれませんが、マンガに関しては思ったより少なかったです。『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK 』佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム/著出版社名KADOKAWA定価本体1,300円+税サイズA5判刊行年2019年

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小児および青年期のうつ病の評価と治療

 米国では、小児や青年におけるうつ病の有病率が増加している。米国・オレゴン健康科学大学のShelley S. Selph氏らは、小児および青年期のうつ病の評価や治療に関するレビューを行った。American Family Physician誌2019年11月15日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・2016年には、12歳の約5%、17歳の約17%が過去12ヵ月間でうつ病エピソードを経験していることが報告されている。・12歳以上の青年に対するうつ病のスクリーニングは、10代向けPHQ-9などの検証済みの評価尺度を用いて、毎年実施する必要がある。・診断確定後は、中等度および重度のうつ病では、継続的な治療を開始する必要がある。・軽度のうつ病では、積極的なサポートやモニタリングで十分な可能性がある。・重度のうつ病では、心理療法(認知行動療法など)と抗うつ薬治療を併用することで、いずれかの単独療法よりも治療反応が良好であることを示すエビデンスが報告されている。・小児および青年のうつ病治療に対し米国FDAに承認されている抗うつ薬は、fluoxetineとエスシタロプラムのみである。・fluoxetineは8歳以上、エスシタロプラムは12歳以上での使用が推奨されている。・薬物療法中の小児および青年期うつ病患者では自殺念慮のモニタリングが必要であり、その頻度は、各患者のリスクに基づき決定する必要がある。・治療法の変更(治療薬の併用、増量、変更または心理療法の併用)は、治療開始の約4~8週間後に行う必要がある。・治療にもかかわらず症状が悪化または改善しない場合や、自己または他者に対するリスクとなる場合には、メンタルヘルスのサブスペシャリストへの相談または紹介が必要である。

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「抗微生物薬適正使用の手引き」第二版、乳幼児編が追加/厚労省

 2019年12月5日、厚生労働省は「抗微生物薬適正使用の手引き(第二版)」をホームページに公表した。抗微生物薬適正使用の手引きの主な改正点として、生後3ヵ月以上から学童期未満の「乳幼児編」が加わった。小児特有の副作用がある抗菌薬への注意事項として「小児における急性気道感染症の特徴と注意点」が盛り込まれ、「小児の急性気道感染症各論」「小児の急性下痢症」「小児の急性中耳炎」の項目が追加された。抗微生物薬適正使用の手引き第一版発行時からの要望を実現化 抗微生物薬適正使用の手引きの第一版は、学童期以降の急性気道感染症と急性下痢症を対象に、2017年6月に発表・発行。ところが、発行後にはさらなる抗微生物薬の適正使用推進や扱うべき領域拡大のため、学童期未満の小児を含めた改正が求められていた。 なお、抗微生物薬適正使用の手引きは、主に外来診療を行う医療対象者(とくに診察や処方、保健指導を行う医師)を対象としているため、外来診療時に多く処方される経口抗菌薬(第3世代セファロスポリン系、フルオロキノロン系、マクロライド系抗菌薬)を中心に、抗微生物薬の必要な状況などの判別支援に念頭をおいて作成されている。

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咽頭・扁桃炎に対するペニシリンV減量の試み(解説:小金丸博氏)-1153

 咽頭・扁桃炎は、プライマリケアの現場において抗菌薬の処方が多い感染症の1つである。今回、A群溶連菌による咽頭・扁桃炎に対して、適切な臨床効果を維持しながら抗菌薬投与量を減らすことができるかどうかを検討した臨床試験の結果が発表された。 本研究は、A群溶連菌による咽頭・扁桃炎に対して、ペニシリンV 800mgを1日4回5日間投与する群(計16g)とペニシリンV 1,000mgを1日3回10日間投与する群(計30g)の有効性と安全性を比較検討したランダム化非盲検非劣性試験である。6歳以上で、Centor criteria(38.5℃以上の発熱、圧痛を伴うリンパ節腫脹、扁桃に白苔の付着、咳の欠如)を3または4項目満たし、かつA群溶連菌迅速検査陽性の患者を対象とした。プライマリアウトカムである臨床的治癒率は、5日間投与群で89.6%、10日間投与群で93.3%であり(両群差:-3.7ポイント、95%信頼区間:-9.7~2.2)、非劣性が確認された。除菌率は5日間投与群で80.4%、10日間投与群で90.7%だった。患者の症状緩和までの時間は、5日間投与群のほうが有意に短かった(log rank検定でp<0.001)。1ヵ月以内の再発例はほぼ同数だった。有害事象は主に下痢、嘔気、膣の分泌物や掻痒であり、これらの症状は10日間投与群でより高率に長期間認めた。 スウェーデンでは成人のA群溶連菌による咽頭炎に対してペニシリンV 1,000mgを1日3回10日間(計30g)投与することが推奨されている。この治療期間はほかの国の推奨と同じであるが、総投与量はほかと比較して多い。ちなみに米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、ペニシリンV 250mgを1日4回、あるいは1回500mgを1日2回、どちらも治療期間は10日間(計10g)投与することが推奨されている。A群溶連菌による咽頭炎に対して抗菌薬を投与する主な理由は、急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症を防止することであるが、高所得国ではこれらはまれな合併症となっている。そのため、今日の主な治療目的は速やかな症状改善を得ることであり、同時に扁桃周囲炎、中耳炎、副鼻腔炎などの合併症を予防することである。 本研究では、A群溶連菌による咽頭・扁桃炎に対するペニシリンV 1日4回5日間の治療は1日3回10日間の治療に対して、臨床効果は非劣性であることが示された。投与期間を短縮することで抗菌薬の副作用の減少、服薬遵守率の向上、ヒト細菌叢への影響低下、社会全体の抗菌薬コスト削減などが期待できる。除菌率が10日間投与群のほうが優れていた点や急性リウマチ熱の発症率が評価されていない点が気になるが、高所得国においては5日間治療が代替となりうることを示した研究として評価できる。症状緩和までに要する時間は5日間投与群のほうが有意に短かったというのは興味深い結果であった。その理由として、1日4回投与というtime above MICを考慮した投与方法が有効性を高めた要因として考えられる。 残念ながら世界では標準治療薬であるペニシリンVは日本国内で発売されておらず、本研究の結果をそのまま日本の医療に当てはめることはできない。本邦ではA群溶連菌による咽頭炎に対してアモキシシリンを10日間経口投与することが推奨されている(JAID/JSC感染症治療ガイド2019)。当然ながら、本研究の結果をもってアモキシシリンの投与期間を5日間に短縮可能とは評価できない。

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後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦は即時分娩・待機ともに一長一短、新生児の長期予後には注意が必要(解説:前田裕斗氏)-1151

 妊娠高血圧腎症(Pre-eclampsia)を発症した妊婦の至適分娩時期の決定においては、胎児の未熟性と母体合併症(脳血管障害や肝・腎機能障害)のバランスをとる必要に迫られる。34週0日〜妊娠36週6日までのLate-pretermと呼称される時期では胎児臓器が一通りできていることから重症妊娠高血圧腎症の妊婦については即時分娩が望ましいと考えられ、実際に多くの先行文献で確かめられてきた。今回の論文は重症の徴候がない妊娠高血圧腎症(臓器障害がなく血圧が160/110mmHgを上回らない)の妊婦について即時分娩と待機方針を比較したRCTである。主要エンドポイントは母体・新生児ともに合併症の複合アウトカムであり、詳細は別記事を参照されたい。 結果は即時分娩群で有意に母体合併症が少なく(リスク比[RR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.79~0.94)、有意に新生児合併症は多かった(RR:1.26、95%CI:1.08~1.47)。著者らは母体と新生児アウトカムはトレードオフの関係にあり、妊婦との共同意思決定のためにこうした情報を共有すべきだとしている。 この論文を臨床に適用するうえで注意すべき点は2つある。(1)具体的にどんな合併症が増えているのか、(2)母体・新生児の長期予後についての影響はないのか。(1)については、母体合併症では重症域の高血圧、肝機能異常の2つが待機群で有意に上昇している。肝機能異常については、最も重症型であるHELLP症候群の頻度には差がないことから比較的軽度のものであると予測される。これら2つは確かに重症妊娠高血圧腎症の診断基準であるが、生じた時点での即時分娩で臨床的には十分対応可能、短期予後にも大きな問題はない。一方、新生児合併症についても両群の差はほぼ未熟性のみでついており、呼吸障害を含む臓器障害では差がない。呼吸障害についてはサンプルサイズの問題があるため結論は出せないが、即時分娩群で生じる新生児合併症は待機群と比較して重篤なものではない可能性は示唆される。 次に長期予後に目を向けてみよう。重症域の高血圧を短時間経験することや、軽度の肝機能異常が将来母体の予後を左右するかについては不明瞭だ。しかしながら後期早産児ではすでに正期産児と比較して新生児死亡率は高く、神経発達が遅れるリスクが高いという疫学データが出ている。また、出生体重が欧米と比較して低い日本では低出生体重児となるリスクも高く、将来の生活習慣病罹患のリスクも気になるところだ。 以上のことから、短期予後については即時分娩・待機方針ともに一長一短ではあるが、長期予後としてすでに後期早産児の新生児合併症リスクについて判明しているデータがある以上、即時分娩の方針は依然として取りにくいと考えられる。もちろん重症域の高血圧や軽度の肝機能異常を少しでも経験することで母体の将来的な何らかの疾患発症リスクが高まる可能性もあり、この点で長期予後を追跡した研究結果が待たれる。

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インフル予防、エタノール消毒だけでは不十分なケースも?

 エタノールベースの擦式手指消毒薬は広く普及し、医療機関や学校など多くの場所で手指衛生・接触感染予防を目的に使われている。しかし以前の研究で、粘液中の病原体に対してエタノール消毒の有効性が低下する可能性が示唆されている。京都府立医科大学の廣瀬 亮平氏らは、エタノール消毒薬による季節性インフルエンザAウイルス(IAV)の不活性化メカニズムを調べ、その効果が手指に付着した感染性粘液が完全に乾燥するまでの間は大幅に低下することを明らかにした。一方、手洗いによる手指衛生は、乾燥および非乾燥の感染性粘液に対してともに効果的であることが確認された。mSphere誌オンライン版9月18日号への報告より。なお、本研究については、11月27日にmSphere誌オンライン上でレターが掲載され、議論が行われている。 研究者らはまず、IAVに感染した患者の上気道由来粘液を使用して、IAVの不活化試験とエタノール濃度測定を実施。物性解析の結果、感染性粘液は粘度が非常に高く、生理食塩水と比較してエタノールの拡散/対流速度が遅くなることが明らかになった。「エタノール濃度がIAV不活性化レベルに達する時間」すなわち「エタノール消毒薬がIAVを完全に不活性化するのに必要な時間」は、生理食塩水条件下より粘液条件下の方が約 8 倍程度長い結果となった。 続いて、10人のボランティアの手指に付着した感染性粘液中のIAVに対する、流水と80%エタノール消毒薬の有効性を評価した。その結果、流水によりIAVは30秒以内に完全に不活性化されたが、エタノール消毒薬では、120秒後も不活性化されなかった。 一方で、感染性粘液が完全に乾燥した条件(本研究では約30~40分間と想定)においては、エタノール消毒薬は30秒以内に粘液中のIAVを不活性化した。また、物理的に感染性粘液を洗い流す流水による手洗いでも、30秒以内にIAVを不活性化した。  これらの結果および議論を受けて研究者らは、本研究は基礎研究であり、手を擦り合わせる動作による効果等、実使用を再現した評価系でのさらなる検討が必要とした。そのうえで、感染性粘液が付着した(あるいは付着が疑われる)状況では、エタノール消毒薬による擦式手指消毒の効果を過信せず、手洗いをこまめに行うことでより高い消毒効果が得られる可能性があるとしている。

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デュピルマブ、中等症~重症の思春期アトピー性皮膚炎への第III相試験結果

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の生物学的製剤であるデュピルマブについて、コントロール不良で中等症~重症の思春期(中央値14.5歳)AD患者に対する第III相の無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果が報告された。米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らによる検討で、16週間の治療により、プラセボと比較して症状やQOLの面で有意な改善がみられ、安全面でも忍容性が認められたという。著者は、「プラセボ調整後のデュピルマブの有効性と安全性は、思春期と成人で同等であった」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年11月6日号掲載の報告。 試験は2017年3月21日~2018年6月5日に、米国とカナダの45施設で行われ、局所療法によるコントロールが不十分または局所療法が不適当であった中等症~重症の思春期患者251例が参加した。 被験者は無作為に1対1対1の割合で3つの投与群に割り付けられ、16週間の治療を受けた(割り付けは双方向レスポンスシステムを利用し、疾患重症度と体重で層別化も実施)。(1)デュピルマブ200mgを2週間ごと投与(43例、ベースライン体重<60kg)または同300mgを2週間ごと投与(39例、60kg以上)、(2)デュピルマブ300mgを4週間ごと投与(84例)、(3)プラセボ投与(85例)。 主要評価項目は、16週時点の2つのエンドポイントの達成患者割合とした。1つは、EASIスコア(0~72、スコアが高いほど重症度が高い)がベースラインから75%以上改善(EASI-75)した患者の割合。もう1つは、Investigator's Global Assessment(IGA)スコア(0~4の5段階評価、スコアが高いほど重症度が高い)が0または1であった患者の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・計251例(年齢中央値14.5歳[SD 1.7]、男性148例[59.0%])が、無作為化を受けた。データが入手できた250例の患者では、ほとんどがII型アレルギー性疾患を併存していた(喘息134例[53.6%]、食物アレルギー[60.8%]、アレルギー性鼻炎[65.6%])。・240例(95.6%)が試験を完遂し、デュピルマブの各投与群はいずれも16週時点で2つの主要エンドポイントを達成した。・EASI-75改善の達成患者割合は、2週間ごと投与群41.5%、4週間ごと投与群38.1%、プラセボ群8.2%で、投与群はプラセボ群よりベースラインから有意に増大した(対プラセボ群間差:2週間ごと投与群33.2%[95%信頼区間[CI]:21.1~45.4]、4週間ごと投与群29.9%[95%CI:17.9~41.8])(p<0.001)。・有効性は、2週間ごと投与群が4週間ごと投与群に対し、概して優れていた。・デュピルマブ投与群は、結膜炎(2週間ごと投与群9.8%、4週間ごと投与群10.8%、プラセボ群4.7%)、注射部位反応(8.5%、6.0%、3.5%)を呈した割合が高く、一方で非ヘルペスウイルス感染症(9.8%、9.6%、18.8%)を呈した割合は低かった。

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AI活用、24時間顧客問い合わせ対応のシステム導入/塩野義製薬

 塩野義製薬株式会社は、人工知能(AI)を活用した自動会話プログラムで製品に関する問合わせに回答するAIチャットボット「DI chat (Drug Information Chatbot)」を導入し、2019年12月2日より運用を開始したと発表した。 今回導入したDI chatは、木村情報技術株式会社が、IBM Watson日本語版を活用したAIチャットボットに、塩野義製薬が作成したQ&Aを学習させることで、一問一答形式での回答を実現したAI顧客問い合わせ対応システムである。医療関係者からの問い合わせをAIが理解し、最も質問の意図に近い回答を自動的に提示する。 塩野義製薬の医薬情報センターには昨年度、約8万1,000件の問い合わせがあり、そのうちゾフルーザに関する問い合わせが約21,000件を占めていたため、抗インフルエンザ薬ゾフルーザを対象とし、弊社ホームページの医療関係者向けページにて開始するという。DI chatの導入により、24時間365日、夜間や休日の問い合わせ対応も可能となり、医療関係者の情報収集チャネルの拡大および、利便性の向上が期待される。

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ゾフルーザ耐性ウイルスの特性を解明、小児で高頻度に出現

 東京大学医科学研究所の河岡 義浩氏ら研究チームが、2018/2019シーズンに採取したA型インフルエンザ検体の遺伝子を解析したところ、バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)を服用した12歳未満のA型インフルエンザ患者において、ゾフルーザ耐性ウイルスが高頻度で出現することが明らかになった。また、患者から分離した耐性ウイルスを動物に感染させ、感受性ウイルスと比較したところ、耐性ウイルスの増殖性および病原性は、感受性ウイルスと同等であることもわかった。Nature Microbiology誌オンライン版2019年11月25日号に掲載。 ゾフルーザは、2018年3月に日本における販売を開始。単回経口投与で済む利便性が支持されている。一方で、国立感染症研究所が先のシーズンに実施した薬剤耐性株サーベイランスでは、ゾフルーザに対して耐性を示す変異ウイルスが高い割合で検出されている1)。また、先行研究では、人工的に作られた、耐性変異を持つ組み換えインフルエンザウイルスによって増殖能が解析され、野生型の感受性ウイルスよりも増殖能が大きく劣ることが示されたものの、患者から分離された耐性ウイルスについては基本性状が明らかになっていなかった。 河岡氏らによる本研究では、2018/2019シーズンに国内の医療機関を受診したインフルエンザ患者から採取した臨床検体でウイルス遺伝子を解析。その結果、薬剤未投与のA/H1N1pdm09型の患者(74例)からはゾフルーザ耐性ウイルスは検出されなかったが、A/H3N2型の患者141例(16歳以上:40例、15歳以下:101例)のうち、15歳以下の2例で耐性ウイルスが検出された。また、ゾフルーザ服用者でも同様の解析を進めたところ、A/H1N1pdm09型の患者22例(16歳以上:7例、15歳以下:15例)のうち、5例(うち4例が15歳以下)で耐性ウイルスが検出され、A/H3N2型の患者16例(16歳以上:4例、15歳以下:12例)では、4例(すべて15歳以下)で耐性ウイルスが検出された。 本研究では、患者から分離した2型各々の耐性ウイルスを、ハムスター、マウス、フェレットに感染させ、増殖性および病原性について、ゾフルーザ感受性ウイルスと比較した。その結果、いずれの型においても感受性ウイルスと同程度の体重減少および肺などの呼吸器における増殖が認められた。 河岡氏らは、「インフルエンザウイルス感染の経験がない(あるいは少ない)小児患者ではウイルス排除に必要な免疫が十分に誘導されず、耐性ウイルスが発生しやすい可能性がある。小児患者でのゾフルーザの使用については、耐性ウイルス出現のリスクを考慮した慎重な判断が望まれる」とコメントしている。

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青年期うつ病の治療中および治療後の軌跡

 英国・ケンブリッジ大学のSian Emma Davies氏らは、UK IMPACT試験に参加した青年期うつ病患者を症状変化の軌跡によって分類し、その予測因子および治療反応の定義との比較を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2019年10月24日号の報告。 本研究は、成長混合モデリング(GMM)を用いた2次データ分析である。欠損データは補完された。対象患者465例について、86週間の6つの時点におけるスコアを用いて、自己報告された抑うつ症状の軌跡を作図した。 主な結果は以下のとおり。・患者は、最初は類似した症状軌跡をたどり、その後2種類の軌跡を示した。・この2種類のグループでは、最初の18週目までに抑うつ症状の有意な改善が認められた。・両グループの内訳は、研究期間中に症状改善が認められる「継続改善」が391例(84.1%)、ベースライン時の抑うつ症状スコアが高く、初期は早期改善が認められるものの、18週以降に改善が認められない「改善停止」が74例(15.9%)であった。・ベースライン時で併存疾患を有していた患者では、「改善停止」の増加が認められた(OR:1.40、CI:1.00~1.96)。・研究終了時までの誤分類は、臨床的寛解カットオフスコア(27以下)で15%、治療反応を示す症状改善スコア(50%以上)で31%に認められた。 著者らは「治療初期の抑うつ症状改善は、必ずしも良好な予後を示すものではない。治療開始18週以降に、改善の停止が認められる。治療反応に対する差異は、縦断的モデリングにより精度が向上する可能性がある。これまで考えられていたよりも、抑うつ症状の改善は、年単位でかかる場合がある」としている。

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Step1攻略に必要な勉強、プラスαで大事なこと【臨床留学通信 from NY】第4回

第4回:Step1攻略に必要な勉強、プラスαで大事なこと今回も引き続き、Step1対策について書いていきます。前回、まずはオンライン問題集のUSMLE worldを解いてみるのがいいとお伝えしましたが、恐らく大半の方々はその難しさに愕然とすると思います。ただ、敵を知らずにやみくもに教科書を読んでも、試験問題が解けるようにはなりません。とにかく問題を解いていく中で、自身の足りない知識を参考書で補っていく形が理想的です。軸となる教科書はFirst Aidです。教科書といっても重要事項、単語の羅列であり、First Aidの内容が理解できなければ、ほかの教科書を参照するという形で進めていきます。もちろんUSMLE worldも1回では到底頭に入らず、2回3回と繰り返すことが必要で、初めは愕然としつつも、繰り返す中で少しずつ頭に入ってきます。受験日の直前には、NBMEという模試で点数を推測し、足りない分野を補充していきます。Step1は時間との勝負です。見慣れていない基礎医学の英語は、問題文を読むのにもかなり時間がかかるので、模試ではスピードも意識して最終的な調整をしていく必要があります。試験はコンピューターで行い、7時間のテストを休憩1時間を挟みつつ計8時間で解くわけで、相当な集中力を要します。そういった意味でも、模試で時間の感覚や集中力を磨いておくといいでしょう。なお、Step1とStep2 CKは日本での受験が可能です。レジデンシーのポジション争いは、受験の段階から始まっている本連載の第2回でも述べましたが、USMLE受験において最も重要なのは、一発かつ高得点で通過するということです。私は平均的でも受かればいいとしか思っていなかったのですが、これは大きな間違いです。米国のレジデンシーのポジションを狙って世界中から集まっているわけで、その競争は受験の段階からすでに始まっているのです。私の場合、当時の点数としては悪くはなかったと思うのですが(224点[93点])、Step1受験から9年後にマッチングに参加したため、この間に2桁の時代から3桁の時代となり、平均点が変わったことによって不利な状況に追い込まれたのも事実です。内科ですら足切りが230点と言われているのが現状です。低い点数は後々後悔することになりますので、本番前の模試が芳しくない場合は、思い切って受験日をずらすのも一手かと思います。Step1攻略に必要なプラスαとは…精神論になってしまいますが、Step1を勉強し始めて挫折する人もいると思います。あまりに膨大な問題量と知識量が問われるわけで、日常臨床をしながらやるのは相当大変です。私は、慶應義塾大学の香坂 俊先生が約10年の米国留学の後、日本に帰国した際に初めてお会いし、その斬新な考え方に感銘を受けたことがきっかけで試験勉強を始めました。また同時期に試験勉強をしていた小児科の同級生にも相当助けてもらいました。しかしながら、なぜ留学したいのか、という動機を当時そこまで明確に出来ず、ある意味、意地で試験勉強をしていました。当時、私は慶應義塾大学病院で内科ローテーション中で、医師3年目といえども立場上はほぼ研修医であり、雑務が多く、勉強する時間を確保しにくい環境にありました。もちろん臨床医3年目で勉強しなければいけないことはたくさんあります。もしUSMLEの試験勉強をする前に時間的余裕があれば、百聞は一見にしかず、一度米国の病院に見学に行って実際に目で見てくることを本当にお勧めします。それだけStep1は、最初のハードルとしては高く、強い動機付けが必要であったと今更ながら思います。Column画像を拡大するフィラデルフィアで先日行われたAHA 2019で、ポスター発表してきました1)。写真はシカゴで小児心不全のAttendingとして活躍する大学のテニス部の後輩と。作っておいた大きなポスターをうっかり家に忘れてしまい、急遽Fedexで印刷しましたが、思いのほかサイズが小さく……。それでも、発表時間中にはいろいろな人が質問しに来てくれて、珍しく忙しかったです。世界的なAHAに、バスで片道2時間程度、1泊2日の土日のみで行けるのも留学の魅力です。1)https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/circ.140.suppl_1.10619

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アトピー児の皮膚生検にテープストリッピング法が有用

 早発性アトピー性皮膚炎(AD)児の皮膚生検を低侵襲で行える再現性ある手法として、テープストリッピング法が有用であることが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らによる検討で、小児ADの病変もしくは非病変の皮膚バイオマーカーとなり、治療反応の追跡や将来的な経過、並存疾患の予測に有用である可能性が示された。AD表現型の評価には皮膚生検の分子プロファイリングが標準であるが、皮膚生検は小児にとって常に適しているとは限らない。縦断研究や臨床試験で皮膚疾患を追跡評価できる、再現性ある低侵襲のアプローチが不足していた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月9日号掲載の報告。 研究グループは、テープストリッピング法により特定した皮膚バイオマーカーが、全組織生検によって特定したバイオマーカーの代替となり得るかを断面調査にて評価した。 2016年1月22日~2018年4月20日の間、シカゴのAnn & Robert H. Lurie小児病院の皮膚科外来で計51例の5歳未満児を登録。このうち21例は早期発症(罹病期間6ヵ月未満)の中等度~重度AD児であり(AD児群)、30例は非AD児または本人・家族のAD歴がない児であった(非AD児群)。 AD児においては、可能な限り、16枚のD-Squameテープストリップで連続的に肘前窩の病変皮膚を集めた。また、同じ腕の近接皮膚から非病変皮膚を集めた。非AD児の皮膚検体も同一期間に同一部位から集めた。 テープストリップは連続的にラベリングをし、最初の2枚は破棄。定量リアルタイムPCR法および免疫組織化学法で、遺伝子およびタンパク質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・AD児21例は、平均(SD)年齢1.7(1.7)歳で、大半が男児(15例、71.4%)・白人(15例、71.4%)であった。非AD児30例は、1.8(2.0)歳で、大半が女児(20例、66.7%)、白人(22例、73.3%)であった。・評価した79種の免疫およびバリア遺伝子産物のうち77種が検出された(遺伝子検出率97%)。・それらはテープストリップ71枚のうち70枚で検出された(サンプル検出率99%)。・79種のうち53種について、AD児の病変および/または非病変でマーカーとして識別ができ、また非AD児においても識別ができた。・T細胞(CD3)、AD関連の樹状細胞(FcεRIとOX40リガンド受容体)、炎症性のキー細胞(マトリックス金属ペプチダーゼ12)、自然免疫細胞(IL-8、IL-6)、ヘルパーT細胞2(TH2[IL-4、IL-13]、ケモカインCCL17とCCL26)、TH17/TH22(IL-19、IL-36G、S100Aタンパク質)といった多くの細胞マーカー遺伝子が、正常皮膚からのテープストリップ検体と比べて、AD児の病変および非病変では有意に増大していた。たとえば、IL-4は病変皮膚では平均(SE)-15.2(0.91)であり、正常皮膚では-19.5(0.48)であった(p<0.001)。・表皮性バリア遺伝子産物(FLG、CLDN23、FA2H)と負の免疫レギュレータ(IL-34、IL-37)では、平行して低下が発生していた。たとえば、FLGは皮膚病変では平均(SE)-2.9(0.42)と低下していたが、正常皮膚では2.2(0.45)であった(p<0.001)。・重症度や経表皮水分蒸散量と、AD病変および非病変皮膚(SCORing Atopic Dermatitis[SCORAD]、Eczema Area and Severity Index[EASI]、Pruritus Atopic Dermatitis Quickscore[ADQ]ツールで評価)のTH2(IL-33、IL-4R)やTH17/TH22(IL-36G、S100As)産生との間で、関連性が認められた。

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小児・若年AMLの真菌症予防に至適な抗真菌薬は?/JAMA

 米国・フィラデルフィア小児病院のBrian T. Fisher氏らは、小児~若年成人の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、侵襲性真菌症(IFD)の予防におけるカスポファンギンとフルコナゾールの有効性を比較検討した。予定されていなかった中間解析で無益性(futility)が示唆されたため、それ以上の患者登録を中止し、登録済みの患者で試験を継続したところ、カスポファンギンのIFD予防効果が優れることが示された。AMLの小児~若年成人患者では、酵母菌および糸状菌の双方による生命を脅かすIFDのリスクが高いとされる。フルコナゾールが酵母菌に対してのみ活性を示すのに対し、カスポファンギンは酵母菌および糸状菌の双方に活性を有することから、カスポファンギンのほうがIFDの予防効果が高い可能性が示唆されている。JAMA誌2019年11月5日号掲載の報告。IFDとIAの予防効果を比較する北米の無作為化試験 本研究は、化学療法施行後の好中球減少発症期のAML患者における、カスポファンギンとフルコナゾールによるIFDの予防効果を比較する多施設共同非盲検無作為化試験。2011年4月~2016年11月の期間に、カナダと米国の115施設で患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。 対象は、年齢3ヵ月~30歳、新たに診断された初発(de novo)、再発、2次性のAML、または混合表現型急性白血病など他の診断により、AMLの標準的化学療法が予定されている患者であった。 被験者は、初回化学療法中に、カスポファンギンまたはフルコナゾールを予防投与する群に無作為に割り付けられた。予防投与は、個々のサイクルの全身化学療法施行後24~72時間に開始され、絶対好中球数が最低値から100~500/μLに達するか、または次回の化学療法が開始されるまで行われた。 主要アウトカムは推定診断または確定診断されたIFDとし、盲検下に中央判定が行われた。副次アウトカムは、推定/確定診断された侵襲性アスペルギルス症(IA)、経験的抗真菌薬治療(empirical antifungal therapy)、全生存(OS)であった。 394例(予定登録患者数の72%)に関して、事前に予定されていた2回目の有効性の中間解析と、予定外の無益性解析を行ったところ、無益性が明らかとなったため、2016年11月11日、本試験の患者登録は終了となった。登録済みの患者は、プロトコルに従って試験を完遂した。IFDとIAの予防効果は優れる、経験的治療とOSに差はない 517例(年齢中央値9歳[範囲0~26歳]、女性44%)が登録され、508例(98%、カスポファンギン群253例、フルコナゾール群255例)が試験を完遂した。 23例でIFD(カスポファンギン群6例、フルコナゾール群17例)が認められ、7例が酵母菌、14例が糸状菌であり、2例は特定不能であった。 5ヵ月時の推定/確定診断されたIFDの累積発生率は、カスポファンギン群が3.1%(95%信頼区間[CI]:1.3~7.0)、フルコナゾール群は7.2%(4.4~11.8)であった(p=0.03、log-rank検定)。 また、糸状菌に起因する14例のIFDのうち、8例(57%)が推定/確定診断されたIAであった。5ヵ月時の推定/確定診断されたIAの累積発生率は、カスポファンギン群が0.5%(95%CI:0.1~3.5)、フルコナゾール群は3.1%(1.4~6.9)であった(p=0.046、log-rank検定)。 経験的抗真菌薬治療(カスポファンギン群71.9% vs.フルコナゾール群69.5%、p=0.78、log-rank検定)および2年OS率(68.8% vs.70.8%、p=0.66、log-rank検定)には、両群間に差はみられなかった。 有害事象は、カスポファンギン群が32.8%、フルコナゾール群は38.4%で認められた。最も頻度の高い有害事象は、低カリウム血症(カスポファンギン群22例vs.フルコナゾール群13例)、呼吸器不全(6例vs.9例)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)上昇(4例vs.8例)であった。 著者は、「カスポファンギンは、IFDの予防法とみなされる可能性が示唆されるが、予定外の中間解析で無益性が明らかとなり、試験は早期終了となったため、研究結果の解釈は限定的となる」としている。

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外来診療中のサージカルマスク着用とN95マスク着用の呼吸器感染症予防効果の比較(解説:吉田敦氏)-1139

 インフルエンザウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染の予防に、外来診療で日常的に着用されるサージカルマスクが、N95マスクとどの程度予防効果が異なるのか、今回ランダム化比較試験が行われた。小児を含む米国7医療機関において、外来診療に当たる医療従事者を小集団(クラスター)に分割、小集団ごとにサージカルマスク、N95マスクのいずれかにランダムに割り付けし、H1N1 pandemicを含む4シーズン以上を観察期間とした。医療従事者には毎日呼吸器症状を含む体調の変化について日記をつけさせ、発症した際には遺伝子検査を行い、さらに無症状であっても遺伝子検査と血清抗体検査を行うことで、不顕性感染の有無まで把握を試みたものである。 結果的に、プライマリーアウトカムであるインフルエンザ(検査確定)罹患率(両群で7~8%)、セカンダリーアウトカムである急性呼吸器症状発症率や呼吸器ウイルス*感染症罹患率に差はなかった。のみならず、マスク着用のアドヒアランスについて「常に」「時に」「まったく着用しない」「思い出せない」と回答した医療従事者は、それぞれ65%、24%、10%、0.4%程度と有意な違いはなかった。*コクサッキー/エコー、コロナ、メタニューモ、ライノ、パラインフルエンザ、RSの各ウイルスを含む。 N95マスクは、飛沫核を形成するウイルスの感染予防に適する一方、密着させる必要性がある。このため呼吸しにくくなり、アドヒアランスの低下が懸念される。一方でサージカルマスクは、より粒子の大きい飛沫による感染や、手から鼻・口への接触による感染を予防すること、ならびに有症者から健常者への伝播予防に重点が置かれる。本検討ではサージカルマスクに比してN95マスクでアドヒアランスが明らかに下がったという結果は得られなかったが、その反面、両者でアドヒアランスは低めで、さらにアドヒアランスに関する回答の内訳(カテゴリーごとの割合)はかなり似通っていた。なおアドヒアランスとインフルエンザ罹患率との関連や、アドヒアランスと不顕性感染の関係、さらには不顕性感染と各ウイルスとの相関については明らかにされなかった。 これまでにもインフルエンザシーズンでのサージカルマスクないしN95マスクの着用が、医療従事者のインフルエンザ罹患に差があるか検討した報告は存在する。Loebらの報告1)は救急外来、内科、小児科病棟勤務者が対象であったが、インフルエンザ罹患率は両群で22%程度と高かったものの、差はなかった。ほかの報告の中にはN95マスクの優位を示すものがあったが、研究自体のエンドポイントの設定に議論があった。実際には、呼吸器ウイルスの流行状況や、患者からのウイルスの排出量、医療従事者との接触の程度、マスク着用率と確実さ、ほかに併用した感染予防策といった要因にも予防効果は影響されているとみてよく、さらに飛沫感染・接触感染が実際にどの程度生じているかにも左右されている。このため複雑な事象をマスクの違いのみで分別して解析することの限界をみているのかもしれない。このことは逆に、実際のさまざまな状況を私たちが想像して、有効な対策を適切に組み合わせて使い、解釈し、柔軟に調整していくことの重要性を示唆していると思われる。報告された内容と現実との間を十分斟酌し、解釈することが、より求められる論文といえよう。

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医師300人に聞いた!今季のインフルエンザ診療

 ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。 アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフルエンザ薬の選択について答えていただいた。 主な結果は以下のとおり。・6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している・約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフルエンザ薬をほぼ全例に使用・最も処方頻度が高い抗インフルエンザ薬はオセルタミビル、次いでザナミビル アンケート結果の詳細や自由記述で挙げられた意見などは、以下のページに掲載。今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg002529_index.html

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