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非専門医による診療機会を考慮、成人先天性心疾患診療ガイドライン改訂/日本循環器学会

 成人先天性心疾患診療ガイドラインが7年ぶりに改訂され、3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会で山岸 敬幸氏(東京都立小児総合医療センター 院長/日本循環器学会 理事/日本小児循環器学会 理事長)が改訂点などを解説した。成人先天性心疾患の発生頻度 先天性心疾患は出生数に占める割合として1.3~1.5%で推移し、近年の少子化に伴い、その発症数は減少している。その一方で、診断技術の進歩や手術成績の向上により、患者の約90%が成人に達するようになり、生存期間中央値は、軽症84.1歳、中等症75.4歳、重症53.3歳と報告され、成人先天性心疾患の患者数は年間約1万例のペースで増加している1)。小児期には保護者に連れられて定期的に通院していた患者が、就学や就職などを契機に通院を中断し、成人期に不整脈や心不全などを発症して一般の循環器内科に受診するケースが増加しているため、成人先天性心疾患専門医以外の循環器医にも理解が必要な領域になっている。自然歴、後期合併症 本来、先天性心疾患は軽症でも、手術による修復後でも、生涯にわたって医療・管理を受けることが推奨される。というのは、先天性心疾患に対する手術は、一部の単純先天性心疾患を除いて根治術ではなく、あくまで正常な血行動態に近づける修復術であり、術後の異常として遺残症(residual disease:術前から認められ術後も持続する異常)、続発症(sequela:手術に伴って新たに生じる異常)、そして合併症(complication:修復手術に伴って予期せず生じる異常)があり、生涯にわたって管理を要する。また、小児期に手術適応にならない症例や、早期診断されずに未修復で成人になる症例もある。このような現状から、山岸氏は「今回の改訂に際し、専門医でなくとも標準的な診療を提供できるための指針となるよう、基本的な内容をわかりやすく記述するスタイルを維持した。診療に必要な情報を簡潔かつ明確に伝えることを優先し、小児科から成人診療科へのシームレスな移行と生涯的な管理に役立つことを目的とした」とガイドラインの構成について説明した。 現在、日本において成人先天性心疾患学会に認定されている専門医は全都道府県で登録されているものの、多くの成人先天性心疾患患者にフォローが必要な状況を考慮すると、その数は患者数に比して圧倒的に少ない。同氏は、「循環器診療に携わるすべての医療者に成人先天性心疾患患者の対応をしていただきたい」と説明した。 また、今回、同時に改訂された心不全診療ガイドライン2)に準じた心不全のステージ分類(図2、p.20)や症状(表4、p.21)が第2章の「心不全」の項に記載されているが、成人先天性心疾患にこの分類を当てはめることは容易ではなく、元々の形態や機能の異常を有するため、術前・術後にかかわらず、多くがステージBに相当する。また、特有の心不全症状があり、「たとえば、修正大血管転位症にみられる体心室右室や、単心室手術後のFontan循環が挙げられる。体心室右室は左室と構造が異なり、長期間にわたり体循環を支えることができないため、小児期には無症状であったとしても加齢に伴い心不全のリスクが高まる。Fontan循環も小児期には元気でも、潜在的な体うっ血と低心拍出が持続し、成人期に心不全として顕在化する。成人先天性心疾患では、このような心不全があることを非専門医にもおさえてもらいたい」と解説した。「なお、現状で推奨とエビデンスレベルを示せる病態は少ないが、感染性心内膜炎のように推奨表が掲載されているものもあるので、エビデンスレベルは高くはないが、併せて参照されたい」とコメントした。診断、内科的治療 続いて、成人先天性心疾患の診断と病態評価(第3章参照)については、「体心室右室の診断などでも心エコー検査が重要。心房・心室・大血管の心エコー法診断(表10、p.31)を用いることが有用」と説明した。心臓MRIは近年では有用なツールとして汎用されており、推奨表はないものの、適応が示された(表13、p.37)。心臓カテーテル検査については推奨表が記載され(推奨表2、p.38)、電気生理学的検査についても推奨とエビデンスレベルが示された(推奨表3、p.39)。 成人先天性心疾患の心不全は、数多くみられる成人の後天性心不全と異なり、右心不全が多いことが特徴で、これまでに蓄積されている薬物治療のエビデンスをそのまま当てはめることができない。そのため、心不全診療ガイドラインなどを参考にしながら、体心室右室やFontan循環といった先天性心疾患特有の病態を踏まえた内容が内科的治療(第4章、p.40)に盛り込まれた。肺高血圧症の最重症型であるEisenmenger症候群は、従来、治療法がなく対症療法により経過観察されてきたが、昨今、治療についてのエビデンスが集積しつつあり、推奨とエビデンスレベルが示されている(推奨表10、p.50)。非チアノーゼ型先天性心疾患・チアノーゼ型先天性心疾患 各論では、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、Fallot四徴症など、個々の疾患について、可能な限り解剖図が挿入され、推奨とエビデンスレベルが示された。最近、多くのFontan術後患者が成人になり、高齢化して明らかになってきた疾患として、FALD(Fontan-associated liver disease、Fontan関連肝疾患)が注目されているため、その診断およびフォローアップについて解説されている。 最後に山岸氏は「体系的にガイドラインとしてまとめることは難しい領域であるが、推奨が付けられる範囲でまとめ、専門医でなくとも標準的な診療を提供するための指針となるように作成した」と成人先天性心疾患の専門医以外の協力も仰ぎたい点を強調した。今回、Heart View誌2025年3月号3)にもガイドラインを踏まえたベストプラクティスとして特集が組まれており、「ぜひ一緒に読んでほしい」と締めくくった。(ケアネット 土井 舞子)そのほかのJCS2025記事はこちら

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HBc抗体、単独陽性の解釈【1分間で学べる感染症】第24回

画像を拡大するTake home messageHBc抗体が単独で陽性である場合には、1)ウインドウ期、2)既感染(遠隔期)、3)慢性感染(潜伏HBV感染)、4)偽陽性の4つの可能性を考えよう。B型肝炎ウイルス(HBV)感染の血清学的マーカーのうち、単独のHBc抗体陽性に遭遇することがたびたびあります。一見解釈が難しそうに思えるこの結果ですが、次の4つのシナリオを考えることでしっかり理解することができます。1. ウインドウ期急性B型肝炎の回復過程で、HBs抗原が消失し、HBs抗体がまだ出現していない時期です。このHBs抗原の消失とHBs抗体の出現までの間は「ウインドウ期」と呼ばれ、HBc抗体のみ陽性となる可能性があります。この場合は、IgM型HBc抗体が陽性となることが多いです。2. 既感染(遠隔期)過去にHBVに感染し、時間の経過と共にHBs抗体が抗体価の低下によって陰性化する場合があり、HBc抗体のみが陽性となる状態です。とくに高齢者や免疫力が低下した人でみられることがあります。一度HBVに感染しているため、抗がん剤や免疫抑制薬の種類による再活性化のリスクを考慮し、HBV DNAの定期的モニタリングが推奨されます。3. 慢性感染(潜伏HBV感染)HBVに感染し、肝組織内に存在している状態です。HBs抗原が検出されない場合、通常のスクリーニングでは見逃されることがあります。HBV DNAが血清中で検出限界以下または低力価で検出されることがあります。慢性肝疾患や肝がんのリスクが増加する可能性があるため、長期的なフォローアップが必要です。4. 偽陽性近年の酵素免疫測定法(EIA)の精度向上により偽陽性率は低下していますが、自己免疫疾患での交差反応を中心に、一定の割合で発生することがあります。再検査、ほかのHBVを組み合わせることにより、次のステップにつなげることができます。以上、HBc抗体が単独陽性となった場合は、1)ウインドウ期、2)既感染(遠隔期)、3)慢性感染(潜伏HBV感染)、4)偽陽性の4つのうちのいずれかの可能性があります。患者のリスクを踏まえて適切に解釈できるよう心掛けましょう。1)Wang Q, et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2017;2:123-134

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小児の採血・ルート確保【すぐに使える小児診療のヒント】第1回

小児の採血・ルート確保はじめまして。東京都立小児総合医療センターの吉井 れのと申します。皆さんは、子供の診察はお好きですか? 「子供は何を考えているかわからない」「どう接してよいのか、関係の作り方がわからない」「保護者と話すのが苦手でコワイ」「なんとなくちょっと…」など、苦手意識のある先生もいらっしゃると思いますが、診察しなくてはならない機会が突然訪れるかもしれません。このコラムでは、小児診療のポイントに加えて、保護者や子供との関わり方のコツもお伝えします。ぜひ、診療の場面での子供との出会いを楽しんでいただけると幸いです。今回は、他科や初期研修の先生からよくご相談いただく「小児の採血・ルート確保」について解説します。症例3歳、男児2日前からの発熱と嘔吐を主訴に受診。母親が「しんどそうで全然ご飯が食べられないんです! 先生、点滴してください!」と強く訴える。点滴の適応かどうかを確認そもそもこの子に点滴は必要でしょうか? まずは必要性の評価をしましょう。たとえば、体重減少や飲水の程度を参考にします。体重減少なし、飲水可、活気も保たれている → 点滴不要10%の体重減少があり、飲水不可、ぐったりしている → 点滴必要点滴は侵襲を伴う手技であることを忘れず、保護者の希望があるからといって安易に実施すべきではありません。必ず目の前にいる小児の状況や所見から判断しましょう。採血・ルートの確保小児の採血やルート確保は奥深いものです。患児の年齢や体格、性格、基礎疾患などによって「やりやすさ」は変わります。ここでは、一般的な小児に対する採血・ルート確保の手順についてコツを交えて解説します。成人への手技とは異なる部分がありますが、よくイメージして準備することが成功のカギです。「ポタポタ」採血乳幼児は肘窩の皮下脂肪が厚くて静脈を触知することが難しく、血管が細いことからも、手背の静脈を穿刺することが多いです。手背の静脈トランスイルミネーター(イーエスユー有限責任事業組合ホームページより)利き手ではない手で患児の手背を収めるように把持しつつ、皮膚を牽引して適度な圧をかけて23G注射針で穿刺をします。そして、針から滴る血液を、蓋を開けた採血管に直接採取します。これが、いわゆる「ポタポタ採血」です。点滴が留置できないような末梢の血管でも、血管に針先が当たりさえすれば容易に採血できるため、重宝する手段です。トランスイルミネーター(写真)は、小児の手に握らせると赤色の強い光で静脈を透過させ、細い血管も見えやすくなります。手がぷにぷにとして血管が同定しづらい1~3歳の小児ではとくに有用です。ルート確保採血と異なる点もありますが、ルート確保も基本は同じです。まずは、利き手ではない手で患児の手背を把持します。親指と人差し指で作った「C字」の空間に、患児の手背をはめ込むようなイメージです。親指を手前(できれば患児のMP関節より遠位)にしっかりと固定します。これは、(1)刺入部となる皮膚を張るため、(2)カニュレーションの際に自身の親指が邪魔にならないためです。血管が虚脱しないよう適度なテンションに調整しましょう。トランスイルミネーターを握っている患児の手を把持穿刺の前に消毒をして、留置針と穿刺部位の確認をします。ベベルの向きは正しいか外筒と内筒の差は何mmか(ジェルコ:2mm)選択した血管は留置する長さの分まっすぐに伸びているか穿刺の瞬間はためらわないことが大切です。小児の血管は、ぷちっと貫いたのがわかるくらい弾力があるため、血管にあたるまでゆっくり進めるよりは、スパッと貫くほうがよいでしょう。また、小児は今か今かと「チックンの瞬間」をうかがっています。どんなに押さえていたとしても、痛みを感じた瞬間に手を引いてしまいます。穿刺をためらうと、狙っていた場所と異なる場所を刺してしまったり、針先が当たっただけで抜けてしまい、もう一度刺さなければならなくなったりします。針先が血管に当たって逆血を確認したら、一度心を落ち着けましょう。私は深呼吸しています。針全体を水平近くまでしっかりと寝かせ、ほんの数mm(外筒と内筒の差分)だけ進めます。逆血が来ていることを確認し、人差し指を外筒のツマミに添えて、スッと外筒だけを進めて留置してください。先端が弁に引っかかり外筒が進みにくいことがありますが、内筒を抜いた状態で、外筒を優しく回すと進む場合が多いです。留置針留置後は、固定が終わるまで絶対に手を離さないでください。やっとの思いで取ったルートが、ホッと一息ついた瞬間に抜けてしまうことほど悲しいことはありません。重要なのは「準備」小児の採血・ルート確保は、血管が細く、穿刺できる部位が限られる小児が手技に協力してくれることが少ない一度応じてくれたとしても、失敗して再トライとなると嫌がってしまう(当然!)といった理由から、チャンスが限られます。この1回のチャンスをモノにするために最も大切なことは、センスでもコツでもなく、「準備」です。人員(少なくとも2人)アルコール綿直針(23G)採血スピッツ(ふたを外して準備)、毛細管防水シーツ手袋駆血帯トランスイルミネーター針捨てボックスガーゼ、止血用保護テープ<ルート確保の場合>留置針(24G ジェルコなど)点滴固定テープ(テガダームなど)シリンジ固定用シーネ など小児の採血・ルート確保グッズ利き手ではない手は、患児の手(または足)を把持するのに集中し、一度固定したら離さない気持ちで臨みます。基本的には採血の手技が片手操作となるため、すぐに手が届き操作しやすい場所に物品を準備しておくことが重要となります。いざ血管に針が当たり、逆血が勢いよくポタポタと出ているけれど、スピッツの蓋が外せなくてアタフタ…介助者も小児を抑えるのに必死で手が離せず、「誰か助けて!看護師さ~ん!」なんてことがないように。小児の採血やルート確保が上手な人は、往々にして「準備万端な人」といえるでしょう。今回は、小児の採血・ルート確保について紹介しました。特別な技術を必要とする部分は意外と少ないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。小児診療では、患児や保護者にいかに処置に前向きになってもらうかを諦めない姿勢も重要です。次回は「処置の際の小児・保護者との関わり方」についてお話します。

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新型コロナパンデミックが園児の発達に影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、園児の発達をさまざまな面で遅らせているとする研究結果が報告された。パンデミック発生後(2021〜2023年)の園児は、パンデミック発生前(2018〜2020年)の園児と比べて、言語・認知発達、社会的コンピテンス、コミュニケーション能力、一般知識の平均スコアが有意に低いことが明らかになったという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)公共政策大学院社会福祉学分野のJudith Perrigo氏らによるこの研究結果は、「JAMA Pediatrics」に3月10日掲載された。 この研究でPerrigo氏らは、2010年から2023年にかけて米国の園児47万5,740人(平均年齢6歳、男児51.1%)を対象に反復横断パネル研究を実施し、COVID-19パンデミックが園児の発達に与えた影響を調査した。発達状況は、Early Development Instrument(EDI)により、1)身体的健康およびウェルビーイング、2)社会的コンピテンス、3)感情的成熟度、4)言語・認知発達、5)コミュニケーション能力・一般知識の5領域について評価された。 その結果、2018〜2020年のパンデミック前コホート(11万4,359人)と比較して、2021〜2023年のパンデミック後コホート(8万5,827人)では、言語・認知発達(平均変化−0.45、95%信頼区間−0.48~−0.43)、社会的コンピテンス(同−0.03、−0.06~−0.01)、コミュニケーション能力・一般知識(同−0.18、−0.22~−0.15)が有意に低下していた。その一方で、感情的成熟度は有意に上昇していた(同0.05、0.03~0.07)。身体的健康およびウェルビーイングについては、有意な変化は見られなかった。 Perrigo氏らは、「言語と認知発達、コミュニケーション能力・一般知識の領域については特に影響が深刻だった。これはおそらくCOVID-19の公衆衛生対策によって必要となった学校閉鎖とオンラインでの学習環境が原因と考えられる。こうした措置により、子どもが、仲間や保護者ではない大人と日常的に関わる機会も制限された。このことが、本研究で観察された社会的コンピテンスのわずかな低下の説明になるかもしれない」と述べている。 その一方で、パンデミック中に園児の感情的成熟度は高まっていた。この点について研究グループは、「パンデミック中に、COVID-19による死者数、経済的負担、健康不安、ニュース報道などの大人にとってのストレス要因にさらされることが増えたことが、本研究で認められた感情的成熟度の上昇の原因かもしれない」と述べている。 研究グループは、こうしたネガティブな発達の傾向の多くはパンデミックが発生する前から存在していたが、その一部はパンデミック中に低下のペースが減速した」と指摘。「パンデミック発生後、コミュニケーション能力や一般知識、言語・認知発達、身体的健康の変化率は依然として低下しているものの、パンデミック発生前の期間よりも低下率が緩やかになった」と述べる。その上で、「これらの結果は、既存の課題とパンデミックによってもたらされた新たなストレス要因に幼児が対処するための政策の必要性を強調している」と結論付けている。

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ボディイメージにまつわる問題は小児期に始まる

 体重に関する知覚は、わずか7歳という若い年齢で機能としてすでに形成されており、目にしたものの影響を受けて変化する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Journal of Experimental Child Psychology」に3月5日掲載された。 論文の上席著者である、英ダラム大学心理学教授のLynda Boothroyd氏は、「限られた範囲の体型しか紹介しない視覚メディアに注意する必要があることは、何年も前から明らかだった。なぜなら、それが大人の体型に対する知覚に影響を与えるからだ。今回の研究により、それが子どもにも当てはまることが判明した。非常にニュートラルなイメージであっても、同じような体型を繰り返し見ると、子どもはそれを基準に太い、細いと判断するようになる」と述べている。 メンタルヘルス財団によると、非現実的なボディイメージは否定的な自己評価を助長し、人々が「完璧」を目指す原因となり得る。これは、摂食障害や気分障害につながる可能性がある。 この研究でBoothroyd氏らは、2つの実験を通して、子どもがある刺激を繰り返し見ること(視覚の適応)が、その後、目にしたものに与える影響を調べるために2つの実験を行った。1つ目の実験は、11〜12歳(44人)、14〜15歳(59人)、および18〜25歳(78人)の男女(計181人)を対象に実施された。試験参加者に、プレテストとしてBMIが12〜32の女性の画像を21枚見せて、女性の体重を7段階の評価尺度(非常にやせている〜非常に太っている)で評価させた。次に、参加者を低体重群と高体重群の2群にランダムに割り付け、低体重群にはBMIが11.60〜13.84の女性の画像を20枚、高体重群にはBMIが30〜42の女性の画像を20枚見せて視覚を適応させた後、ポストテストとして再び最初に見た21枚の画像を、適応画像を交えながら提示し、体重を評価させた。 その結果、高体重群では、ポストテストで再評価する際に、最初の評価よりも体重を軽く評価する傾向が認められた。この傾向は特に、12歳の子どもにおいて顕著であった。一方で、低体重群ではプレテストとポストテストの評価に大きな変化は見られなかった。 2つ目の実験は、7〜11歳の子ども44人と学部生66人(計110人)を対象に実施された。実験の手順は基本的に1つ目の実験と同じだが、いくつかの点を簡略化した。具体的には、体重に対する評価を5段階に変更し、再評価時の画像の中には適応画像が含められなかった。その結果、実験1と同様、高体重群では、ポストテストでの再評価時に、プレテストでの評価よりも軽い体重で評価する傾向が示された。 これらの結果は、人々の体重に対する知覚が7歳という若さから進化していることを示していると研究グループは主張する。Boothroyd氏は、「研究者はしばしば、子どもの身体知覚やボディイメージは、大人と同じように作用すると考えている。われわれの研究では、その考え方は正しく、7歳の子どもでも、視覚的な刺激を受けて体重に対する知覚が変わることが示された」と述べている。 研究グループによると、これまでの研究で、メディアによる体型の表現により、西洋諸国の白人女性はあらゆる年齢層において、ナイジェリアの黒人女性や中国人女性と比べて、やせていなければならないことへのプレッシャーを強く感じていることが判明しているという。 研究グループは、「7歳以上の子どもは、成人と同様に、視覚の適応により体重に対する知覚が変わることが示された。この結果は、健康とウェルビーイングの文脈における体のサイズの(誤った)知覚についての理解だけでなく、身体知覚の発達についての広範な理解にも影響を与えるだろう」と述べている。

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極論、「結婚してもしなくても幸せ」!?【アラサー女医の婚活カルテ】第12回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆本連載では、結婚相談所(以下、相談所)での筆者の婚活経験をお届けしています。前回は、多忙な医師にとって悩みの種となる“婚活と仕事の両立”のコツをご紹介しました。最終回となる今回は、婚活期間を振り返って、筆者なりのメンタルの保ち方や、“結婚”に対する考え方の変化について書きたいと思います。それではどうぞ。そもそも「結婚しなくても幸せになれる」「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私はあなたと結婚したいのです」これは、数年前にCMで流れた、かの有名な結婚情報誌『ゼクシィ』のキャッチコピーです。当時かなり話題になったので、記憶されている方も多いかもしれません。これは、本当に素晴らしいフレーズだと思います。そう、今は「結婚しなくても幸せになれる」時代なのです。婚活中、あるいはこれから婚活に臨もうとする皆さまには、ぜひこのフレーズを心に留めておいていただきたいです。「結婚=幸せ」だと思いながら婚活していると、まだ結婚していない自分のことを、あたかも“不幸な人間”であるかのように感じてしまう瞬間がありますよね。私にもありました。そんな“不足感”や“焦り”を原動力として動いていた時期は、なぜかいろいろな歯車がうまくかみ合わなくて、婚活も停滞しがちだったように思います。でも、結婚していないことが“不幸”なのかというと、冷静に考えてみれば、決してそんなことはありません。ここでひとつ、ご自分のことを客観的にみてください。医師としてキャリアを築いている自分。大学を卒業してから、少しずつ経験を積んで、患者さんやほかの医療スタッフ、後輩医師に頼られる機会が増えてきました。仕事は忙しいけれど、安定した収入があり、社会的にも信頼されている職業です。テレビドラマで見るような“キラキラ女医”のようにはいかず、当直明けにはすっぴん、髪の毛もボサボサな日もあるけれど、たまにパーッとおいしいものを食べに行くと、「またいっちょ頑張るか」という気分になれます。独身で一人暮らしなので、家にいるあいだは、ごろ寝して動画を見ながら寝落ちしちゃっても、誰からも文句を言われません。こうして書いてみると、そんなに悪くない……というか、こういう過ごし方も最高ですよね(上に書いたのは、独身時代の私そのままです。笑)。独身の今も“すでに幸せ”だけど、違うベクトルの“幸せ”も味わってみたいから、婚活してみる――。「結婚してもしなくても幸せ」というマインドで過ごしたことが、結果的に良い方向に作用したように思います。婚活中 メンタルの保ち方うまくいかないときは婚活から離れてみるそうは言っても、婚活中、どうしても気持ちが落ち込んでしまう場面もあると思います。私も失礼なお見合い相手に当たったり、オフの日に何件もアポイントを詰め込み過ぎたりすると、まるで休日まで外来をこなしているような気分になって疲弊することがありました。そんな時は、思いきって、婚活から完全に離れる時間を確保するようにしていました。好きなドラマを一気見したり、独りでふらっと遠出してみたり。そして、存分に心の栄養補給をしたうえで、再び婚活に臨むようにしていました。女友達に“先を越された”ときは?また、私の場合、同年代の女友達の結婚・出産報告に、先を越されたようで複雑な気持ちになってしまうこともありました。でも、そこで悶々としてメンタルをすり減らすよりも、どうせなら「次は私の番♪」「あやかっちゃえ」という方向に気持ちを切り替えたほうが、もうけものです。“脳は主語を理解できない”といわれます(医学的に正しいかどうかは知りませんが…)。「○○ちゃんが結婚! めでたい!」と、ハッピーな気分になると、脳みそが“自分のこと”だと勘違いしてくれて、結果的に良い結婚に結びつくことが、あるかもしれません。理想の結婚が“すでにかなった”態で過ごす幸せな結婚をした未来を想像して、“予祝(よしゅく)”をしてみるというのも、1つの方法です。これは、「あらかじめ祝福することで、そのことの実現を祈る」という考え方です(Wikipediaより)。私の母は常々、「かつ美が結婚したら、冠婚葬祭で使えるような上等の真珠をプレゼントするからね」と言ってくれていたので、“予祝”にかこつけて、一緒にデパートの宝飾店までパールネックレスを選びに行きました(図々しい?)。素敵なネックレスを買ってもらって間もなく、夫と出会い、トントン拍子で結婚が決まりました。“脳は時制を区別できない”ともいいます(これも医学的に正しいかどうかは知りませんが)。すでに結婚がかなった態で過ごしたことが、もしかすると、良い結婚を引き寄せてくれたのかもしれません。女性医師の強み いざというときには離婚だってできるそして最後に、声を大にして言いたいのは、結婚したからといって、自分の人生のすべてを配偶者に預けるわけではないということです。私の親世代だと、夫が外で働いて、妻が専業主婦として家事育児を引き受ける、という役割分担が比較的自然に行われており、その結果、経済力のない妻が家庭内で弱い立場に置かれたり、夫婦仲が冷めきっていても離婚に踏み切れなかったり…、という話をよく聞きます。でも、われわれ女性医師には、経済力があります。いざというときは、離婚したって……何なら、子供を数人引き連れて離婚したって、生きていけるのです。“婚活”の連載の結びとして適切かどうかわかりませんが、結婚は人生のゴールではなく、あくまでも通過点です。もちろん、夫婦がお互いに歩み寄るのは大前提ですが、万が一どうしても歩み寄れない事態が勃発した時には、自分の幸せのために“離婚”というカードを切ることもできる――いざというときにこの選択肢があると、精神衛生上とても良いですし、夫婦対等に心地よい関係を築けるように思います。幸いなことに、今のところうちの夫婦関係は良好で、こんなふうに思っていることは夫には内緒です(笑)。全12回、長きにわたる相談所婚活について書いてまいりました。私の経験が、読者の皆さまの参考になれば幸いです。それでは、いつかまたどこかで!

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子供も食事の早食いは肥満に関係する/大阪大

 「早食い」は太る原因といわれている。この食べる早さと肥満の相関は、子供にも当てはまるのだろうか。この課題に対し、大阪大学有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の高阪 貴之氏らの研究グループは、わが国の小学生1,403人の咀嚼能力および咀嚼習慣と肥満との関連を検討した。その結果、早食いや咀嚼能力の低下は、男子で肥満と関連していた。この結果は、Journal of Dentistry誌2025年3月8日号のオンライン版に掲載された。男子は早食い、満腹、噛む力が肥満に関係 研究グループは、大阪市の9~10歳の児童1,403人を対象に、咀嚼習慣を質問紙で評価し、咀嚼能力は色変化するチューインガムを用いて測定した。肥満は、身長と体重に基づく過体重の割合で判定し、多変量ロジスティック回帰分析を行い、咀嚼習慣と咀嚼能力を説明変数とし、性別、DMFT指数、ヘルマン歯発育段階を調整した肥満のオッズ比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ロジスティック回帰分析では、すべての参加者において、肥満と性別(オッズ比[OR]=1.54、95%信頼区間[CI]:1.08~2.17 )、早食い(OR=1.73、95%CI:1.23~2.44 )、咀嚼能力低下(OR=1.50、95%CI:1.05~2.15)との間にそれぞれ有意な関連が認められた。・男子では、早食い(OR=1.84、95%CI:1.16~2.92)、満腹(OR=1.59、95%CI:1.03~2.46)、咀嚼能力の低下(OR=1.63、95%CI:1.02~2.59)が肥満とそれぞれ有意に関連していた。・女子では、有意に関連する変数はなかった。早食いと咀嚼能力の低下を組み合わせると、肥満と有意に関連し、両方の行動を示す男子で最も強いオッズ比が観察された(OR=3.00、 95%CI:1.49~6.07)。 この結果から研究グループは、「9~10歳の児童において、早食い、口一杯の食事、および咀嚼能力の低下は、とくに男子で肥満と関連していた。さらに、肥満との関連は、早食いと咀嚼能力の低下を組み合わせた場合に高かった」と結論付けている。

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海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 1

今回のキーワード知的障害社会的コミュニケーション症強迫性パーソナリティ障害情緒不安定性パーソナリティ障害超女性脳依存性パーソナリティ障害共依存折れ線型経過前回(その1)、自閉症の主な症状はコミュニケーションがうまくできないこと(社会的コミュニケーションの障害)とこだわりが強すぎること(反復性)であることがわかりました。そして、それぞれの脳機能は、共感性が低いこととシステム化が高いことであることがわかりました。さらに、その原因は、胎児期に男性ホルモンが多すぎていたからであるという有力な仮説(胎児期アンドロゲン仮説)をご紹介し、自閉症は超男性脳であることを説明しました。それでは、そもそもなぜ自閉症はコミュニケーションの障害とこだわりがセットで出てくるのでしょうか? また、定型発達においては、男の子よりも女の子の方が言語や心の理論の発達が早いです。それは、そもそもなぜなのでしょうか? さらに、自閉症は最初から言葉の遅れがあるのが典型的なのですが、いったん話していた言葉を途中から話さなくなるタイプもあります。なぜこのような奇妙な経過を辿るのでしょうか?今回(その2)も、海外番組「セサミストリート」のジュリアという自閉症のキャラクターを取り上げ、さらにある仮説をご紹介します。この仮説はこれらの謎を説明できてしまうと同時に、これらの謎はこの仮説の根拠にもなります。その仮説とは、共感性とシステム化は、それぞれ独立した脳機能でありながら、トレードオフ(一得一失)の関係になっているということです1)。これは、ゼロサム説と呼ばれています。ゼロサムとは、一方が増えた分、他方はその分減って、総和(サム)は一定(ゼロ)であるという意味です。だからコミュニケーションの障害とこだわりがセットなんだジュリアは、中等度の社会的コミュニケーションの障害と中等度の反復性の両方の症状が揃っており、典型的な自閉症です。実際の臨床でも、重度であればあるほど、両方の症状がほぼ一緒に見られます。この現象は、先ほどの仮説から説明することができます。まず、この2つの脳機能の総和を100とすると、ジュリアは共感性20とシステム化80と表されます。そして、重度の場合は、共感性10とシステム化90と表されます。ここで、総和が100を超える病態を仮定してみましょう。たとえば、共感性50(平均)とシステム化90のような重度のこだわりだけある病態です。しかし、実際の臨床でこのような病態は見かけません。つまり、総和が100を超える病態が存在しないことは、この仮説の根拠になります。それでは、逆に共感性10とシステム化50(平均)のような重度のコミュニケーションの障害だけの病態はどうでしょうか? 実は、この病態は、知的障害の診断でよく見かけます。つまり、総和が100を下回る場合は、全般的な脳機能の低下として、自閉症とは無関係に起こりうるため、この仮説には当てはまりません。一方で、症状が軽度の場合、片方だけはよく見かけます。たとえば、こだわりが軽度で日常生活に困るほど目立たず、コミュニケーションの障害だけが軽度でやや目立つというケースは、自閉症ではなく社会的コミュニケーション症と診断されます。逆に、コミュニケーションの障害が軽度で社会生活に困るほど目立たず、こだわりだけが軽度でやや目立つというケースは、自閉症ではなく強迫性パーソナリティ障害と診断されます。これら2つのケースとも、共感性30とシステム化70と表され、総和が100となり、この仮説に当てはまります。以上より、この仮説によって、こだわりが強くなればなるほど、連動してコミュニケーションがうまくできなくなることがわかります。だからこそ、コミュニケーションの障害とこだわりはセットになるわけです。以上から、この仮説に従い、共感性を横軸Xとしてシステム化を縦軸Yとしてグラフ化すると、グラフ1のように、X + Y = 100と表されます。そして、定型発達の男性は共感性40とシステム化60、女性は共感性60とシステム化40と表されます。重度の自閉症は、左上の端っこに位置づけられます。社会的コミュニケーション症と強迫性パーソナリティ障害は、やや左上の位置に位置づけられます。次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 2

だから男の子よりも女の子のほうが言語や心の理論の発達が早いんだ定型発達において、言葉を話し始める時期は1歳ですが、男の子よりも女の子のほうが1、2ヵ月早いです。また、相手の考えを推し量ること(心の理論)ができるようになる時期は4歳とされていますが、実は女の子は1歳早く3歳です。この性差も、先ほどの仮説から説明することができます。まず、自閉症は重度になればなるほどコミュニケーションをしようとしないことから言葉の遅れが出てきます。このことから、定型発達の男性を基準にすると、超男性脳の自閉症とは逆の方向にある定型発達の女性は、よりコミュニケーションをしようとするので言葉が早く出てきて、より相手の気持ちを推し量ろうとすると説明することができます。だからこそ、男の子よりも女の子のほうが言語や心の理論の発達が早くなるわけです。さらに考えれば、逆に共感性90とシステム化10でもう一方の右下の端っこにある、自閉症とは真逆の病態は何でしょうか?それは、情緒不安定性パーソナリティ障害(境界性パーソナリティー障害)という診断でよく見かけます。この障害の80%は女性であり、圧倒的に女性が多いという性差の点でも、この位置づけは整合性があります。そして、これは、超女性脳と呼ばれています2)。なお、この障害の詳細については、関連記事1をご覧ください。また、社会的コミュニケーション症や強迫性パーソナリティ障害とは対照的に、共感性70とシステム化30でやや右下の位置にある病態は、依存性パーソナリティ障害や共依存という診断でよく見かけます。社会的コミュニケーション症と強迫性パーソナリティ障害は女性よりも男性がかなり多いのに対して、依存性パーソナリティ障害と共依存は逆に男性よりも女性がかなり多いという性差の点でも、やはりこれらの位置づけは整合性があります。さらに、X + Y = 100の直線上において、それぞれの有病率をZ軸として、別にグラフ化すると、グラフ3のように男性と女性のそれぞれの正規分布で模式的に表すことができます。定型発達は当然ながら最も多いです。そして、システム化または共感性が高ければ高いほど、つまり超男性脳または超女性脳が極端であればあるほど、性差の偏りが出てきて、有病率が低くなっていくことを説明することができます。なお、共依存は、精神医学の正式な診断名ではないですが、臨床的にはよく見かけます。この詳細については、関連記事2をご覧ください。また、それぞれのパーソナリティ障害の基盤となるそれぞれのパーソナリティ特性の詳細については、関連記事3をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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海外番組「セサミストリート」(続編・その2)【じゃあなんでコミュニケーションの障害とこだわりはセットなの?(共感)】Part 3

だからいったん話していた言葉を途中から話さなくなるタイプがあるんだ自閉症の20~25%で、1歳半から2歳頃に「ママ」「バイバイ」などいったん覚えた言葉を話さなくなり、コミュニケーションをしようとしなくなって自閉症と診断されるタイプがあります。これは、折れ線型経過と呼ばれています。知的障害のように、ただ発達の遅れがあるわけではないのです。いったん獲得した言語能力が失われてしまうので、一見奇妙に思われるのですが、この現象も先ほどの仮説から説明することができます。それは、共感性とシステム化がトレードオフの関係にあることから、発達の過程で両者の脳領域(ニューラルネットワーク)の奪い合いが起きており、そのせめぎ合いのさなか、システム化が途中から勢いを増して共感性の「領土」を奪ってしまったと説明することができます。男性ホルモン(テストステロン)の放出が高まるのは、胎児期(8~24週目)、乳児期(生後5ヵ月)、そして思春期の3つの時期です。乳児期の放出は、言葉を発する1歳前なので、その放出が多すぎてシステム化が高まり共感性が低くなるにしても、ただ愛着行動や言葉の発達が遅れているように見えるだけです。しかし、この放出が1歳を過ぎて遅れた場合、いったん言葉を話していたのに、その言葉を失ってしまうように見えてしまうのです。この現象の経過は、以下のグラフ4のように表すことができます。男女とも定型発達は真っすぐ伸びています。知的障害は、定型発達の数値には届きませんが、基本的に真っすぐです。一方の折れ線型は、途中までは定型発達と同じなのですが、その後にシステム化が90まで伸びきっていく分、その代償として共感性が20から10に落ちてしまいます。同じように考えれば、当然逆パターンもあります。当初、愛着行動や言葉の発達の遅れが見られて自閉症と診断されていたのに、その後に男性ホルモンの放出が下がったことで、システム化の発達が鈍くなる一方、共感性が伸びていき、最終的には定型発達と同じになるタイプです。実際の臨床では少なからず見られます。この記事では、これは「回復型」(グラフ4を参照)と名付けます。ただし、この現象は、折れ線型と違って臨床的にはほとんど注目されていません。その理由は、日常生活で困らなくなり、専門医療や療育の相談に来なくなるため、把握されにくいからです。それでは、そもそもなぜ男性はシステム化が高く、女性は共感性が高いのでしょうか?(次回に続く)1)ザ・パターン・シーカーp.84、p.88:サイモン・バロン・コーエン、化学同人、20222)愛着崩壊p.139:岡田尊司、角川選書、2012<< 前のページへ■関連記事私は「うつ依存症」の女【情緒不安定性パーソナリティ障害】だめんず・うぉ~か~【共依存】ちびまる子ちゃん【パーソナリティ】

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頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版

10年ぶりの改訂版!2015年に発行された頭痛専門医試験問題・解答集の第2版。本書には2019~24年に実際に出題された1,200の試験問題から266問を精選して収載し、詳細な解説を行った。なお、Part1~3の3章構成で問題を振り分けており、Part1では実地臨床からの出題、Part2では臨床問題に加えて頭痛医学の基礎となる解剖や神経生理、生化学、遺伝学などの分野からの出題、Part3では画像や図を扱う問題が中心となっている。また、第2版では索引を設けており、キーワードによる出題検索が可能となった。代表的な2つのガイドライン『国際頭痛分類 第3版』『頭痛の診療ガイドライン2021』に準拠している。読者対象は、神経内科医・脳神経外科医・麻酔科医、その他小児科医、産婦人科医、耳鼻咽喉科医、精神科医、眼科医、リハビリ医・救急医、プライマリ・ケア医、および関連職種の医療従事者と多岐にわたる。2021年承認のCGRP関連抗体薬など頭痛診療は日々発展しており、頭痛による疾病負担や労働生産性の損失が問題視されるなかで、頭痛専門医の果たす役割は大きい。専門医を目指す受験生や知識を整理するための自己学習に役立つ1冊である。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版定価7,480円(税込)判型B5判(並製)頁数312頁(写真・図・表:70点)発行2025年3月編集日本頭痛学会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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神経発達障害を併発する強迫症に関与する免疫学的メカニズム

 強迫症(OCD)は、有病率が2〜3%といわれている精神疾患である。OCD治療では、セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬の有効性が示されているが、病因は依然としてよくわかっていない。最近の研究では、とくに自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、トゥレット症などの神経発達障害を併発したOCD患者では、免疫学的メカニズムの関与が示唆されている。兵庫医科大学の櫻井 正彦氏らは、これらのメカニズムを明らかにするため、神経発達障害を併発したOCD患者と併発していないOCD患者における免疫学的因子を調査した。Psychiatric Research誌2025年4月号の報告。 対象は、兵庫医科大学病院で治療したOCD患者28例。神経発達障害を併発したOCD患者(OCD+NDD群)14例と併発していないOCD患者(OCD群)14例との比較を行った。血液サンプルからRNAを抽出し、RNAシーケンシングおよびIngenuity Pathway Analysis(IPA)を用いて分析した。IL11およびIL17Aの血漿レベルの測定には、ELISAを用いた。 主な結果は以下のとおり。・RNAシーケンシングでは、OCD+NDD群とOCD群との比較において、有意に異なる遺伝子が716個特定され、そのうち47個は免疫機能と関連していた。・IL11およびIL17Aが中心であり、IL11は好中球産生、IL17AはT細胞の遊走やサイトカイン分泌と関連が認められた。・パスウェイ解析では、これらの遺伝子間の複雑な相互作用が確認された。 著者らは「本結果は、神経発達障害を伴うOCD患者における免疫学的変化の重要性を示している。抗炎症性のIL11の減少、炎症誘発性のIL17Aの増加は、炎症へのシフトを示唆しており、神経発達の問題と関連していると考えられる」としたうえで、「神経発達障害を伴うOCDにおける免疫学的異常は、潜在的な治療ターゲットとなる可能性がある。治療抵抗性OCD患者、とくに神経発達障害を合併する患者に対する治療戦略を改善するためにも、免疫学的遺伝子の相互作用をさらに調査する必要がある」と結論付けている。

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4月9日 子宮頸がんを予防する日【今日は何の日?】

【4月9日 子宮頸がんを予防する日】〔由来〕「し(4)きゅう(9)」(子宮)の語呂合わせから、「子宮頸がん」予防の啓発活動を行っている「子宮頸がんを考える市民の会」(東京)が制定。この日を中心に「子宮頸がん」についてのセミナーなどを開催している。関連コンテンツウイルスと関連するがん【1分間で学べる感染症】子宮頸がん、どの年齢層で多い?【患者説明用スライド】再発・転移子宮頸がんへのtisotumab vedotin、日本人でも有望な結果/日本癌治療学会再発・転移子宮頸がん、化学療法+cadonilimabがPFS・OS改善/Lancet局所進行子宮頸がん、導入化学療法+CRTがPFS・OS改善/Lancet

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働き方改革スタートから1年、「変化を感じる」は35%/ウォルターズ・クルワー調査

 医師の働き方改革がスタートして1年。医療業界向けの情報サービス事業のウォルターズ・クルワー・ヘルスは医師を対象に「『医師の働き方改革』に関する調査」と題したアンケートを行い、その結果を発表した。1)働き方改革は進むも「自身の変化」の実感は乏しい「自身の勤務先の働き方改革の取り組み」を聞いた設問には、「取り組んでいる」との回答が83%だったが、その中で自身の働き方にも「変化を感じる」と答えた人は35%に留まった。2)「賃金・報酬制度の見直し」は35%が望むも、実施は5.8%「実際に行われている取り組み(複数回答)」を聞いた設問では、「業務の効率化」(23%)、「ミーティング・カンファレンス時間の短縮」(20%)、「ワークライフバランスの向上」(17%)が多かった。一方、医師が「取り組みが必要だと考えること」と「実際の取り組み」の間にはギャップが見られ、「業務の効率化」「ワークライフバランスの向上」は15ポイント以上の差が見られた。この差はとくに「賃金・報酬制度の見直し」の項目で大きく、約30ポイントの差があった。3)過半数が「特に成果はない」「医師の働き方改革における効果と課題」を聞いた設問では、「労働時間が短くなった」が15%、「業務が効率化された」が12%と上位に挙がったものの、「特に成果はない」が56%と過半数を占めた。4)診療・研究時間が「減った」のは2割「実際に、診療や研究にかける時間の変化」を聞いた設問では「治療方針決定にかける時間」「研究にかける時間」が「減少した」と答えたのは2割未満。7割以上が「変わらない」としており、質を維持しながら改革を進める難しさが伺える結果となった。「1日3件以上の臨床疑問がある」と答えた医師は約35%超で、うち9割以上が「すべては解決できていない」と回答した。5)過半数はDX導入に期待「勤務先のDX化(デジタル技術の導入や活用の推進)の取り組み」を聞いた設問では、45%が「勤務先はDX化に取り組んでいる」と回答したが、「自身の働き方にも変化がある」としたのはうち16%だった。「DXの導入によって働き方が改善されると思う」との回答は56%だった。「必要な取り組み・ツール」(複数回答)としては「手続きや書類管理の自動化ツール(29%)、「業務を分担するためのタスクシフト導入」(27%)、「柔軟な勤務時間制度」(25%)などが多かった。【アンケートに寄せられた声(一部抜粋)】「人材不足のままでは働き方改革の限界。離職者も増えている。行政による介入が必要」(小児科・勤続20年以上)「他社製品と比べて20年遅れた電子カルテが原因で業務に時間がかかる」(内分泌内科・10〜20年)「研修医や若手医師だけが時間短縮され、中堅医師にしわ寄せが来ている」(内科・10〜20年)「時間外労働の短縮が給与減につながるため、改革に抵抗がある」(その他診療科・10〜20年)「小手先の医療者側の改革は意味がない。患者側(国民側)の改革も必要」(麻酔科・5年未満)アンケートの概要・調査期間:2024年11月29日~12月2日・対象:全国の200床以上の医療機関の勤務医、24~69歳、206名・手法:インターネット

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双極症とADHD併発患者における認知機能/心理社会的機能の特徴

 双極症や注意欠如多動症(ADHD)は、神経認知および心理社会的機能に重大な影響を及ぼす慢性的な神経精神疾患である。双極症とADHDの併発は、特有の臨床的課題を呈し、認知機能および機能障害をさらに悪化させる可能性がある。スペイン・Vall d'Hebron Research InstituteのSilvia Amoretti氏らは、双極症またはADHD患者および併発した患者と健康対照者における神経認知機能および心理社会的機能の違いを明らかにするため、最新情報を統合したシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年4月号の報告。 主な内容は以下のとおり。・包括的な検索により特定された5,639研究のうち、システマティックレビューの包括基準を満たした研究は34件、メタ解析の包括基準を満たした研究は31件。・双極症/ADHD併発患者と双極症患者では、評価された認知機能のいずれにおいても有意な差は認められなかった。・双極症/ADHD併発患者は、ADHD患者と比較し、視覚記憶の有意な低下が認められた(標準化平均差[SMD]:−0.29、95%信頼区間[CI]:−0.53〜−0.04、p=0.022)。・双極症/ADHD併発患者は、健康対照者と比較し、さまざまな認知機能の低下が認められた。【処理速度】SMD:−0.54、95%CI:−0.86〜−0.22、p<0.001【持続性注意】SMD:−0.40、95%CI:−0.62〜−0.19、p<0.001【視覚記憶】SMD:−0.47、95%CI:−0.69〜−0.26、p<0.001【作業記憶】SMD:−0.79、95%CI:−1.13〜−0.44、p<0.001【認知的柔軟性および高次実行機能】SMD:−0.52、95%CI:−0.84〜−0.20、p=0.001【言語記憶】SMD:−0.95、95%CI:−1.43〜−0.47、p<0.001・双極症/ADHD併発患者の心理社会的機能は、双極症患者(SMD:−0.46、p<0.001)、ADHD患者(SMD:−1.00、p<0.001)、健康対照者(SMD:−3.54、p<0.001)よりも有意に不良であった。 著者らは「双極症とADHDの併発は、重大な神経認知機能および心理社会的機能の悪化と関連している可能性が示唆された。本結果は、これらの併存疾患特有の課題に対処するための介入の必要性を示唆しており、臨床実践や将来の研究に役立つであろう」としている。

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第237回 百日咳が流行、全国で累計4,100人に、速やかにワクチン接種を/厚労省

<先週の動き> 1.百日咳が流行、全国で累計4,100人に、速やかにワクチン接種を/厚労省 2.救急受診の判断に生成AIの活用、一般人の利用には誤解リスクあり/救急医学会 3.マイナンバー利用率26%に停滞、マイナ保険証“スマホ対応”化へ/厚労省 4.「日本版CDC」始動、感染症対応の司令塔・JIHSが発足/政府 5.医療費約4,336億円を削減へ、第4期医療費適正化計画が始動/厚労省 6.検査ビジネスに警鐘、疾患リスク通知は医師のみ可/厚労省・経産省 1.百日咳が流行、全国で累計4,100人に、速やかにワクチン接種を/厚労省2025年に入り、百日咳の患者報告数が急増している。国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所などが統合)によると、3月23日までの1週間で全国から458人の患者が報告され、今年の累計は4,100人に達した。これは前年(2024年)の年間累計4,054人をすでに上回っている。都道府県別では、大阪府336人、東京都299人、新潟県258人、沖縄県252人、兵庫県233人の順で多く、都市部および一部地域での患者増加が顕著である。百日咳は主に小児の間で感染が拡大し、生後6ヵ月未満の乳児では無呼吸発作、肺炎、脳症など重篤な合併症を引き起こす可能性が高い。背景には、新型コロナウイルス感染症流行下での感染対策により百日咳の発生が抑えられていたことで、集団免疫が低下した可能性が指摘されている。また、患者の増加に伴い、従来のマクロライド系抗菌薬に対する耐性菌の報告も複数の地域で確認されており、日本小児科学会は注意喚起を行っている。耐性菌感染例では、標準的な治療にもかかわらず感染拡大リスクが残るため、治療薬の選択については感染症に詳しい小児科医との連携が推奨される。現行の定期予防接種には百日咳成分を含む四種混合ワクチン(DPT-IPV)があり、生後2ヵ月から接種ができる。厚生労働省および専門家は、生後2ヵ月を迎えた段階での速やかな接種を呼びかけており、とくに乳児家庭では感染拡大防止の観点からも接種率の向上が重要とされている。 参考 1) 「百日ぜき」急増 今年すでに4,100人、去年の患者数上回る(毎日新聞 ) 2) 百日せき ことしの累計患者数が4,100人に 去年1年間を上回る(NHK) 3) 百日せき「耐性菌」各地で報告 “速やかにワクチン接種を”(同) 4) 百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について (小児科学会) 2.救急受診の判断に生成AIの活用、一般人の利用には誤解リスクあり/救急医学会日本救急医学会は、対話型AI「ChatGPT」による救急受診のアドバイスについて、「一般利用者が正確に理解できない可能性がある」とする研究結果を公表した。研究では、総務省消防庁の救急受診ガイドを基に466の症例(うち314例は緊急度が高い)をAIに判断させ、その回答を救急専門医7人と一般人157人が評価した。専門医の評価では、AIの回答は重症例で97%、軽症例で89%の精度で適切な判断をしているとされた。しかし、一般人は、同じ回答をみても重症例で「救急受診が必要」と解釈できたのは43%、軽症例で「不要」と判断できたのは32%に止まった。これはAIの助言が正確であっても、専門用語の受け取り方や伝わり方にズレが生じている可能性が指摘されている。さらに、AIの助言に「信頼して従った」とする人は全体の約半数に止まり、逆に不安が増したと答えた人も約13%存在した。研究を主導した東京慈恵医科大学の田上 隆教授は「AIの判断精度は高いが、解釈の誤りによる危険があるため、過度な依存は避けるべき」と述べている。学会は、体調に不安がある場合はAIだけに頼らず、医療者に相談し、わかりやすく説明を受けることの重要性を強調している。また、AIが正しく使われるためには、表現の工夫や専門家のサポートが不可欠であり、とくに緊急時には人との連携が不可欠だとしている。 参考 1) 救急受診すべきか「チャットGPT」助言、利用者が解釈誤る恐れ…「過度な依存避けるべき」(読売新聞) 2) 生成AIによる救急外来受診の推奨に関する妥当性研究-生成AIの回答に対する専門家と非医療従事者の解釈の差が明らかに-(日本救急医学会) 3.マイナンバー利用率26%に停滞、マイナ保険証“スマホ対応”化へ/厚労省厚生労働省は4月3日に社会保障審議会の医療保険部会を開き、マイナ保険証のスマホ搭載のスケジュール案を示した。部会では、マイナンバーカードに保険証機能を搭載した「マイナ保険証」をスマートフォンで利用できるようにして、2025年9月頃から希望する医療機関から順次導入を開始する方針を示した。まず、同年6~7月に全国10ヵ所程度の医療機関や薬局で実証事業を実施し、スマホでの操作性や資格確認のエラーなどを検証。問題がなければ、9月から環境の整った医療機関で本格運用を始める。スマホ保険証により、患者はマイナンバーカードを持参しなくても診療を受けられるようになるが、導入は医療機関ごとの任意対応であり、全施設への義務付けは行われない。そのため、スマホ対応していない医療機関も存在し、初めて受診する際にはマイナ保険証や資格確認書の持参が推奨される。マイナ保険証の全国利用率は2025年2月時点で26.6%と依然として低迷しており、政府は利用促進策の一環として、医療機関の診察券とマイナンバーカードの一体化、外付けリーダー導入への補助、顔認証付きカードリーダーの改善などを進めている。救急現場での活用を目指す「マイナ救急」や訪問看護ステーションへのオンライン資格確認導入も併せて推進している。また、後期高齢者医療制度の対象者には、スマホ対応やマイナ保険証の有無にかかわらず、2026年7月まで有効な「資格確認書」を交付し、受診機会の確保を図る。現役世代を中心にスマホ対応の需要は高く、今後の普及とシステム整備に向けた国の支援と広報強化が求められている。 参考 1) マイナ保険証の利用促進等について(厚労省) 2) 「マイナ保険証」機能搭載のスマホでの受診 9月ごろから導入へ(NHK) 3) “スマホ保険証”9月ごろから順次運用開始へ マイナ保険証の利用底上げ策 厚労省(CB news) 4) マイナ保険証、利用率26%に(日経新聞) 5) スマートフォンへマイナ保険証機能を搭載、2025年夏頃から対応済医療機関で「スマホ保険証受診」可能に-社保審・医療保険部会(Gem Med) 4.「日本版CDC」始動、感染症対応の司令塔・JIHSが発足/政府2025年4月1日、感染症危機に備える新たな専門組織「国立健康危機管理研究機構」(JIHS:Japan Institute for Health Security)が発足した。国立感染症研究所(感染研)と国立国際医療研究センター(NCGM)の統合により設立され、感染症をはじめとする健康危機への科学的かつ実践的な対応を一元的に担う。米国のCDC(疾病対策センター)をモデルにした「日本版CDC」として、初動対応の迅速化、研究と臨床の連携強化、情報発信の向上を目指す。JIHSでは、新型コロナウイルス流行時の教訓を踏まえ、感染症の調査・分析、ワクチン・治療薬の開発、診療支援体制の構築を平時から推進。有事の際には、病原体の特徴や患者情報の早期把握、リスク評価を政府に助言する。また、災害派遣医療チーム(DMAT)の事務局も機構内に設置され、現場対応力の強化が図られる。初代理事長にはNCGM前理事長の國土 典宏氏、副理事長には感染研前所長の脇田 隆字氏が就任。厚生労働省や内閣感染症危機管理統括庁と連携し、政策決定に科学的知見を提供する。福岡 資麿厚生労働大臣は「感染症危機管理体制の強化を着実に進める」と述べている。政府はJIHSに対し、6年間の中期目標として「初動対応の迅速化」「研究開発の強化」「有事の臨床機能の整備」「人材育成と国際連携」の4項目を掲げ、国民への平時からの情報発信にも取り組み、次なるパンデミックに向けた備えを社会全体で推進していく方針。4日には東京都内で設立記念式典が開催され、政府関係者や医療機関が参加。國土理事長は「科学と実践を融合し、次の健康危機にも即応できる体制を構築する」と意気込みを語っている。 参考 1) 国立健康機器管理研究機構 2) 日本版CDCが1日発足 感染研と国際医療センターを統合(時事通信) 3) 健康危機に備え新機構発足 略称は「JIHS」 有事の対応能力強化(産経新聞) 4) 健康危機に備え新機構「JIHS」発足 有事対応強化(日経新聞) 5.医療費約4,336億円を削減へ、第4期医療費適正化計画が始動/厚労省厚生労働省は、4月3日に開かれた社会保障審議会の医療保険部会で、第3期全国医療費適正化計画(2018~2023年度)の実績を報告した。後発医薬品の数量シェアは全国平均81.2%と目標を達成した一方、特定健診・保健指導の実施率(58.1%・26.5%)およびメタボ該当者の削減率(16.1%)は未達となった。医療費は推計49.7兆円に対し、実績48.0兆円と1.7兆円削減されたが、新型コロナによる受診抑制の影響も含まれていた。新たに実施される第4期全国医療費適正化計画(2024~2029年度)では、医療費を全国で約4,336億円削減する方針であり、主な施策として、後発薬・バイオシミラー使用の促進(約2,186億円)、多剤・重複投薬の適正化(約976億円)、効果が乏しい医療(風邪や急性下痢への抗菌薬処方など)の見直し(約270億円)、白内障手術や化学療法の外来移行(約106億円)などが挙げられている。この他、特定健診・保健指導推進による効果は約120億円、生活習慣病重症化予防で約678億円を見込む。加えて、医薬品の使用標準化を進める「地域フォーミュラリ」の導入も検討されている。第4期ではコロナの影響が少ないため、施策の効果がより明確に評価される見込み。また、医療費上限を定める「高額療養費制度」の見直し議論は2025年秋に持ち越された。医療費増加に直面する中、制度の持続可能性と公平性の両立が課題となっている。 参考 1) 第3期医療費適正化計画の実績評価及び第4期全国医療費適正化計画について(厚労省) 2) 後発薬数量シェア81.2%、3期計画 目標達成 メタボ健診は未達(CB news) 3) 2024-29年度の第4期医療費適正化計画、全国で約4,336億円の医療費適正化効果を見込んでいる-社保審・医療保険部会(Gem Med) 6.検査ビジネスに警鐘、疾患リスク通知は医師のみ可/厚労省・経産省民間企業による唾液・尿などを用いた疾患リスク判定サービス(いわゆるDTC検査)の拡大を受け、厚生労働省と経済産業省は、「無資格者が個人に疾患の罹患可能性を通知することは医師法違反に当たる」との見解を、3月28日付の事務連絡として都道府県に通知した。DTC(Direct to Consumer)検査は、消費者と事業者が直接検体や検査結果をやりとりする仕組みで、近年は遺伝子解析を用いたものも多く、市場拡大が進んでいる。一方で、サービスの品質や信頼性には課題があり、医療行為との境界線が不明確との指摘もあった。今回の通知では、無資格の民間事業者は医学的判断を下すことができないため、検査後のサービスは一般的な測定結果や基準値、測定項目に関する一般的情報の提供に止めるべきとされている。疾患リスクや罹患可能性に関する通知は、医師法に抵触する恐れがあり、今後の規制強化も視野に入る。通知は、医療・介護分野と関連する「健康寿命延伸産業」の事業活動指針の改定に伴い出されたもので、DTC検査を提供する事業者への影響が注目される。 参考 1) 健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン(厚労省・経産省) 2) 医師資格ない検査ビジネス、疾患リスク通知は「違法」 厚労省と経産省が事務連絡(産経新聞) 3) 疾患リスク通知は「違法」 検査ビジネスで事務連絡(東京新聞)

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25年度専攻医、増えた診療科・減った診療科/専門医機構

 日本専門医機構(理事長:渡辺 毅氏)は、3月24日に2025年度の専攻医採用数を発表した。「専攻医」とは、同機構が定める「専門医制度」の下、各診療科の「専門研修プログラム」を受けている医師の総称であり、臨床研修(初期研修)を修めた後、「専門医」を取得するまでの医師のことである。以前は「後期研修医」と呼ばれていたが、2018年から名称が改められた。 2025年度に採用された専攻医は9,762人で24年度に比べ308人増員した。とくに外科、耳鼻咽喉科などが大幅な伸びを示した一方で、精神科、産婦人科、放射線科などは減少した。 都道府県別では、東京都(1,812人)、大阪府(724人)、神奈川県(684人)、愛知県(621人)、兵庫県(526人)の順で多かった。その一方で、山形県(39人)、佐賀県(42人)、福井県(44人)、鳥取県(45人)、秋田県(49人)の順で少なかった。 各診療科の採用数は以下のとおり。※( )は2024年度の採用数。・内科:3,027人(2,850人)・小児科:537人(532人)・皮膚科:308人(297人)・精神科:540人(570人)・外科:863人(807人)・整形外科:755人(739人)・産婦人科:469人(482人)・眼科:347人(331人)・耳鼻咽喉科:278人(206人)・泌尿器科:332人(343人)・脳神経外科:237人(219人)・放射線科:326人(343人)・麻酔科:497人(486人)・病理:109人(90人)・臨床検査:25人(18人)・救急科:449人(472人)・形成外科:226人(226人)・リハビリテーション科:137人(153人)・総合診療:300人(290人) 合計:9,762人(9,454人)

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初婚ボリュームゾーン世代の医師は超多忙! 婚活と仕事、両立のコツ【アラサー女医の婚活カルテ】第11回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆前回は、結婚相談所(以下、相談所)の短い交際期間の中で見極めたいポイントについて書きました。今回は、忙しい医師にとって悩みの種となる“婚活と仕事の両立”について、筆者なりのコツをご紹介したいと思います。それではどうぞ。初期研修に専門研修…初婚ボリュームゾーン世代の医師は超多忙!晩婚化が叫ばれる中、2023(令和5)年の平均初婚年齢は夫が約31歳、妻が約30歳というデータがあります(厚生労働省、人口動態統計)。しかしここで勘違いしてはいけないのが、これがあくまでも「平均値」――つまり、n数は少なくとも、比較的高年齢で結婚した夫婦(=統計学的にいえば「外れ値」)がいれば、それに引っ張られてしまう数値――だということです。初婚年齢の「最頻値(初婚者の数が最も多い年齢)」については、男性は27歳、女性は26歳といわれており、“平均”初婚年齢である30~31歳に差しかかった時点では、実は男女共に約7割の人はすでに結婚してしまっている、というのが現実です。このデータを、一般的な臨床医のキャリアに当てはめて考えてみましょう。医学部に現役合格し、留年せずに最短の6年間で卒業したとしても、26~27歳といえば、初期研修医か、専攻医になったばかりの年齢です。つまり、社会全体でみれば多くの同世代が結婚する年齢になっても、医師としてはまだまだ半人前で、多忙な修行の日々が続くわけです。学生や初期研修医のうちに結婚相手と出会わないまま、多忙な専門研修に突入してしまうと、日々の忙しさに押し流されて、あっという間に数年間が過ぎてしまいます。専門医資格を取得し、「さあ、そろそろ婚活でもしようかな」と重い腰を上げたときにはすでに30代になっていた――というのは、よく聞く話です。もちろん、人生の優先順位は人それぞれですから、若いうちは医師としての修行に専念する、という考え方もあってよいとは思います。しかし、もし強い結婚希望があるのならば、「キャリアが一段落したら」などと悠長に構えず、たとえ忙しくても、仕事と並行して婚活も進めておくほうが、自分に合うお相手と出会うチャンスが広がるでしょう。仕事で忙しくても婚活の時間を確保するコツとは?忙しい医師業と婚活とを両立させる重要性をおわかりいただいたところで、筆者なりの“両立のコツ”を具体的にご紹介したいと思います。1)土日のどちらか一方だけでも、「完全オフ」の日を確保するひと昔前は、「若手医師のうちは、平日休日を問わず、毎日担当患者の様子を見に来るのが美徳」という暗黙の了解(?)がありました。しかし、毎朝病院に出勤しながら、婚活の時間を確保するのは至難の業です。お見合いやデートの最中も、いつ病院から電話がかかってくるかと気になってしまい、精神衛生上も良くありません(余談ですが、デート中にお相手から失礼な言動があったとき、「病院から呼び出されちゃって。ごめんなさい、先に帰ります」と、早々に切り上げたことがありました。嘘も方便!? [笑])。そこで私は、診療科内で相談して、休日の回診は“当番制”にさせてもらいました。休日に入院患者に何かあっても、基本的には主治医ではなくその日の当番医師が対応する、という体制にすることで、当番日以外は自由に婚活の予定を入れられるようになりました。2)仮交際の人数を増やし過ぎない相談所婚活では、「仮交際」の段階なら、複数人との同時交際OKというルール(第3回記事参照)があるのですが、同時に多数のお相手とやりとりを続けていると、スケジュール管理が難しくなりますし、頭も混乱してしまいます。私の場合は、仮交際の同時並行のキャパは2~3人と考え、仮交際を1人増やしたら別の方を1人減らす、ということを心掛けました。最終的には“ただ1人”の結婚相手を選ぶわけですから、「仮交際を終了すると、なんだかお相手に悪い気がする」という理由でズルズルと引き延ばすのはNG、お相手にとってもかえって失礼に当たります。3)時には医局人事に「NO」を大学医局に所属していると、毎年のように県をまたぐ転勤を命じられることが珍しくありません。しかし、婚活中に何度も引っ越しをしていては、そのたびにお相手探しを一からやり直さなくてはならず、かなり不利な状況になってしまいます。私の場合、婚活中に、出身地から遠く離れた県への転勤を命じられたのですが、退局も辞さない覚悟で、教授に再考をお願いし、聞き届けていただきました(補足すると、私は専攻医時代にすでに他県での勤務を経験済みで、その際に教授から「他県で働いてもらうのはこの1年だけだから、どうかお願い」と言われていたのです。口約束だったので、危うくほごにされるところでした……)。かなり勇気の要ることでしたが、人生の一大事だったので頑張りました。医局という組織の構成員である以上、もちろん自分の希望がすべて通るわけではありませんが、ここぞというときには「NO」を言う権利はあると思います。若手医師が婚期を逃しても、教授や医局が責任を取ってくれるわけではありません!いかがでしたか?医師の仕事と婚活との両立について、読者の皆さまの参考になれば幸いです。婚活中には、時にメンタルがすり減ることもあります。次回は、気分が落ち込んだ時の筆者なりの切り替え方や、どんな心構えで過ごしていたのか、などを書きたいと思います。お楽しみに。

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