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乳児期の卵・ピーナッツ摂取でアレルギーのリスク低下/JAMA

 乳児食として、早期に卵およびピーナッツを導入すると、これらのアレルゲン食品によるアレルギー性疾患のリスクが低減することが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDespo Ierodiakonou氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年9月20日号に掲載された。アレルゲン食品の導入時期が、アレルギー性疾患や自己免疫疾患のリスクに及ぼす影響への関心が高まっている。乳児食のガイドラインは、両親にアレルゲン食品の導入を遅らせることを推奨しなくなっているが、多くの場合、早期の導入を勧めてもおらず、最近の6つのアレルゲン食品の早期導入の無作為化試験(EAT試験)では、いずれの食品でも予防効果は認められていない。導入時期の影響をメタ解析で評価 研究グループは、アレルギー性疾患および自己免疫疾患のリスクに及ぼすアレルゲン食品の導入時期の影響を評価するために、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った(英国食品基準庁の助成による)。 医学データベース(MEDLINE、EMBASE、Web of Science、CENTRAL、LILACS)を用いて、1946年1月~2016年3月までに報告された文献を検索した。 生後1年以内の乳児において、アレルゲン食品(牛乳、卵、魚類、甲殻類、ナッツ類[tree nuts]、小麦、ピーナッツ、大豆)の導入時期を検討し、アレルギー性疾患や自己免疫疾患、アレルギー感作との関連について報告した介入試験および観察試験を対象とした。 主要評価項目は、喘鳴、湿疹、アレルギー性鼻炎、食品アレルギー、アレルギー感作、1型糖尿病、セリアック病、炎症性腸疾患、自己免疫性甲状腺疾患、若年性関節リウマチであった。エビデンスレベルは低いが、魚類の早期導入が鼻炎を抑制 146試験の204編の論文が解析に含まれた。介入試験のうち、24件(39論文、1万3,298例)がアレルギー性疾患、5件(6論文、5,623例)は自己免疫疾患に関するものであった。また、観察試験のうち、69件(90論文、14万2,103例)がアレルギー性疾患、48件(69論文、6万3,576例)は自己免疫疾患に関するものだった。 日本の研究を含む5試験(1,915例)のメタ解析では、乳児食に早期(生後4~6ヵ月時)に卵を導入した乳児は、これより遅い時期に導入した乳児に比べ卵アレルギーのリスクが低いことを示す、確実性が中等度のエビデンス(moderate-certainty evidence)が得られた(率比[RR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.36~0.87、I2=36%、p=0.009)。 卵アレルギーの発生率が5.4%の集団における絶対リスク減少率は、1,000人当たり24例(95%CI:7~35)であった。 また、2試験(1,550例)のメタ解析では、早期(生後4~11ヵ月時)にピーナッツを導入した乳児は、これより遅い時期に導入した場合に比べピーナッツアレルギーのリスクが低いことを示す、確実性が中等度のエビデンスが得られた(RR:0.29、95%CI:0.11~0.74、I2=66%、p=0.009)。 ピーナッツアレルギーの発生率が2.5%の集団における絶対リスク減少率は、1,000人当たり18例(95%CI:6~22)だった。 エビデンスの確実性は、効果の推定値の不正確性および試験の集団や介入の間接性によって、低下した。卵およびピーナッツの導入時期は、他の食品に対するアレルギーのリスクとは関連しなかった。 一方、早期の魚類導入のアレルギー感作および鼻炎の低減との関連を示す、確実性が非常に低い~低いエビデンスが確認された。グルテンの導入時期とセリアック病のリスク、アレルゲン食品の導入時期と他のアウトカムは、いずれも関連がないことを示す、確実性の高いエビデンスが得られた。 著者は、「これらの知見は、各試験の限界との関連を考慮して解釈すべきである」と指摘している。

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小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は

 小児や青年期に対する抗精神病薬の使用は増加しており、適応外での使用が懸念される。ノルウェー・Diakonhjemmet HospitalのRagnar Nesvag氏らは、国内の0~18歳の男女に処方された抗精神病薬について、使用薬剤と精神障害の診断に関して調査を行った。European neuropsychopharmacology誌2016年9月号の報告。 国民健康レジストリデータより、2010年の処方薬データおよび2008~12年の精神障害の診断データを用いて、抗精神病薬の使用率、使用薬剤、精神障害の診断、性別における診断カテゴリごとの使用薬剤を調査した。 主な結果は以下のとおり。・2010年のノルウェーの小児、青年期に対する抗精神病薬処方率は0.18%(男児:0.23%、女児:0.13%)であった。・男女ともに、リスペリドンが最も処方されていた(男児:57.4%、女児:32.3%)。2番目に多かった薬剤は、男児はアリピプラゾール(19.4%)、女児はクエチアピン(27.4%)であった。・主な精神障害の診断は、男児では、多動(49.9%)、自閉症スペクトラム障害(27.1%)、女児では、不安障害(41.5%)、うつ病(33.6%)であった。・統合失調症様精神障害の診断は、男児11.1%、女児18.2%であった。・リスペリドン処方男児の56.9%、アリピプラゾール処方男児の52.4%は、多動性障害と診断されていた。・クエチアピン処方女児の57.1%は不安障害、52.4%はうつ病と診断されていた。・抗精神病薬が処方されている小児および青年の主な診断は、非精神病性精神障害(男児では多動性障害、女児では不安障害やうつ病)であった。関連医療ニュース 小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は 小児に対するLAI治療、その安全性は 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

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タバコとアトピー性皮膚炎、受動/能動喫煙いずれも関連

 タバコの煙は、アトピー性皮膚炎(AD)の危険因子かもしれない。米国・ノースウェスタン大学のRobert Kantor氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、能動喫煙および受動喫煙によるタバコの煙への曝露は、AD有病率の増加と関連していることが明らかとなった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。 研究グループは、アトピー性皮膚炎とタバコの煙への曝露との関連について検討する目的で、MEDLINE、EMBASE、ScopusおよびCochrane Libraryを用い1823~2015年に発表された論文を検索し、観察研究86報のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。 エビデンスの質はNewcastle-Ottawa Scale(NOS)にて評価し、メタ解析はランダム効果モデルを用いて推定プールオッズ比(OR)を算出して行った。サブセット解析は、年齢(小児、成人)、地域、試験デザイン(横断、縦断)、研究の規模(<5,000、≧5,000)、研究の質(NOSスコア<6、≧6)、および喫煙量(少量、多量)に関して行われた。 主な結果は以下のとおり。・ADの診断は、能動喫煙(OR:1.87、95%信頼区間[CI]:1.32~2.63)および受動喫煙(OR:1.18、95%CI:1.01~1.38)でOR高値の関連が認められた。・一方、妊娠中における母親の喫煙(OR:1.06、95%CI:0.80~1.40)とは関連していなかった。・能動喫煙とADとの関連は、小児・成人、地域、研究の規模にかかわらず有意なままであった。ただし、研究はすべて横断研究でありNOSスコアは6以上であった。・受動喫煙については、小児・成人、横断研究、南部/中央アメリカおよびアフリカで行われた研究、研究の規模が5,000未満、NOSスコア6未満の研究において、ADとの関連が認められた。

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ADHD児への乗馬療法の可能性

 乗馬療法が、異なる母集団における感情的ウェルビーイングやメンタルヘルスに対して有効であることが示唆されている。スペイン・エストレマドゥーラ大学のAndres Garcia-Gomez氏らは、ADHD児に対する乗馬療法プログラムの効果を検討した。Research in developmental disabilities誌オンライン版2016年9月7日号の報告。 7~14歳のADHDと診断された生徒14人を対象に、QOLやさまざまな心理社会的変数に対する乗馬プログラムの効果を経験的に測定した。プレ、ポストテストからなる疑似実験デザインは、実験群と対照群により実施された。プログラムは。24隔週セクション、3ヵ月持続で構成された。データの収集には、子供のための行動評価システム(BASC)、アドホックQOLアンケートを用いた。 主な結果は以下のとおり。・教師によるレスポンス結果とBASCによる程度の違いでは、有意な差は示されなかったが、実験群において、QOLアンケートの対人関係に対応する指標の改善が認められた。 著者らは「乗馬療法は、本集団において他の身体活動と同様の利点を持つスポーツ活動として推奨できると考えられる。しかし、治療のための活動として認識されるにはまだ時間を要すると思われる」としている。関連医療ニュース ADHDへの補助療法、有酸素運動が有用 ADHD児に対するスポーツプログラム 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学

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亜急性硬化性全脳炎〔SSPE : subacute sclerosing panencephalitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)は、1934年Dawsonにより急速進行する脳炎として初めて報告された。この疾患は、麻疹に感染してから数年の潜伏期間を経て発症する。発病後は数ヵ月から数年の経過(亜急性)で神経症状が進行し、病巣の性状はグリオーシス(硬化)であり、全脳を侵すことにより、亜急性硬化性全脳炎と呼ばれる。このように潜伏期間が長く、緩徐に進行するウイルス感染を遅発性ウイルス感染と呼び、ほかにはJCウイルスによる進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy: PML)が知られている。根本的治療法は確立されておらず、現在でも予後不良の疾患である。■ 疫学わが国での発症者は、麻疹ワクチンが普及する以前は年間10~15人程度であったが、麻疹ワクチン普及後は減少し、現在は年間5~10人程度となっている。男女比は2 : 1でやや男性に多く、潜伏期間、症状の発症とも女性と比較すると長く、遅くなっている。SSPEの発症年齢は平均12歳で、20代をピークに10~30歳代で96%を占める。麻疹ワクチンによるSSPEの発症は認められておらず、SSPE発症には直接的な麻疹ウイルス(MV)感染が必要であるため、発症予防には麻疹への感染予防が重要であるが、わが国では他の先進国に比べて麻疹ワクチンの接種率が低く、接種率向上が必要である。■ 病因SSPEの発症のメカニズムは現在まで十分には判明していないが、発症に関与する要因として、ウイルス側のものと宿主側のものが考えられている。1)ウイルス側の要因MVの変異株(SSPEウイルスと呼ぶ)が、中枢神経に持続感染することで起こる。SSPEウイルスは野生のMVと比較すると、M遺伝子やF遺伝子の変異が生じている。M遺伝子は、ウイルス粒子形成とカプシドからの粒子の遊離に重要なMタンパク質をコードし、Mタンパク質機能不全のため、SSPEウイルスは、感染性ウイルス粒子を産生できない。そのため隣接する細胞同士を融合させながら、感染を拡大していく。F遺伝子は、エンベロープ融合に関与するFタンパク質をコードし、一般にはSSPEウイルスはFタンパク質の膜融合が亢進しており、神経親和性が高くなっている。2)宿主側の要因幼少期にMV初感染を受けると免疫系や中枢神経系が十分に発達していないため、MVの脳内での持続感染が起こりやすく、SSPE発症リスクが上がる。ほかにSSPE発症に関わる遺伝的要因として、これまでにIL-4遺伝子多型とMxA遺伝子多型が報告されている。IL-4は、ヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスをTh2(抗体産生)側に傾けるサイトカインで、SSPE患者ではIL-4産生が多いタイプの遺伝子多型を持つことが多いために、IL-4産生が亢進してTh2側に傾き、細胞傷害性T細胞の活性が抑えられて、MVの持続感染が起こりやすくなっていると考えられている。また、SSPE患者はインターフェロンによって誘導され、細胞内でのウイルス増殖を抑える機能を持つ、MxAの産生が多くなる遺伝子多型を持つことも知られている。MxA産生が多いと、中枢神経系のMV増殖が抑制され、MVに感染した神経細胞が免疫系から認識されにくくなり、中枢神経系での持続感染が起こりやすくなると考えられている。■ 症状と特徴初発症状として、学校の成績低下、記憶力低下、行動の異常、性格の変化があり、その後、歩行障害、ミオクローヌス、痙攣、自律神経症状、筋固縮を来し、最終的には無言・無動となり、死に至ることが多い。これらの症状の分類には、Jabbourが提唱した臨床病期分類が一般的に用いられる。■ Jabbourの分類第1期精神神経症状性格変化(無関心、反抗的)、学力低下、行動異常など第2期痙攣および運動徴候痙攣のタイプは全身強直発作、失神発作、複雑部分発作など運動徴候として運動機能低下、不随意運動(SSPEに特徴的な四肢の屈曲や進展を反復するミオクローヌス)第3期昏睡に至る意識障害の進行、筋緊張の亢進、球症状の出現による経口摂取困難、自律神経症状など第4期無言無動、ミオクローヌス消失全経過は通常数年だが、数ヵ月以内に死に至る急性型(約10%)、数年以上の経過を示す慢性型(約10%)がある。■ 予後SSPE症例は、無治療の場合は約80%が亜急性の経過をたどり、約1~3年の経過で第1期から第4期の順に進行し死亡する。約10%は発症後急速に進行し、3ヵ月以内に死亡する。また、残り約10%の進行は緩徐で、約4年以上生存する。無治療で寛解する症例や、寛解と増悪を繰り返す症例も報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、臨床症状を軸に血液、髄液、脳波、画像検査を統合して行う。■ 特徴的な検査所見1)麻疹抗体価血清および髄液の麻疹抗体価が上昇する。髄液麻疹抗体価の上昇はSSPEに特異的であり、検出されれば診断的意義が高い。SSPE患者の抗体価は異常高値が特徴とされたが、最近では、軽度上昇にとどまる症例も多く、注意が必要である。また、抗体価の推移と臨床経過は必ずしも一致しない。2)髄液検査多くの場合は細胞数・糖・蛋白とも正常だが、細胞数・蛋白が軽度上昇することもある。また、髄液IgGおよびIgG indexの上昇も認める。3)脳波検査Jabbour2期から3期にかけて、左右同期性または非同期性で3~20秒間隔で出現する周期性同期性高振幅徐波をほとんどの症例で認めるが、Jabbour4期になると消失する(図)。画像を拡大する4)画像検査MRIは、疾患の推移を評価するのに有用である。画像変化は臨床病期とは一致せず、主に罹患期間に依存する。病初期のMRI所見では、正常または後頭葉の皮質・皮質下に非対称なT2強調画像での高信号の病変を認める。病期の進行とともに脳萎縮が進行し、側脳室周囲に対称性の白質病変が出現・拡大する。5)病理病理所見の特徴は、灰白質と白質の両方が障害される全脳炎であることと、線維性グリオーシスにより硬化性変化を示すことである。組織学的には、軟膜と血管周囲の炎症細胞浸潤、グリア細胞の増生、ニューロンの脱落および神経原線維変化の形成、脱髄などの所見がみられる。炎症所見は、発症からの経過が長いほど乏しくなる。麻疹ウイルス感染に関連した所見として、核内および細胞質の封入体を認める。■ 鑑別診断SSPEは急速に進行する認知症、ミオクローヌス、痙攣などを来す疾患の一部であり、ADEM(acute disseminated encephalomyelitis)、亜急性および慢性脳炎、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性白質脳症、進行性ミオクローヌスてんかんなどが鑑別に挙がる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ イノシンプラノベクスイノシンプラノベクス(商品名: イソプリノシン)は、抗ウイルス作用と免疫賦活作用を併せ持つ薬剤で、保険適用薬として認可されている。通常50~100mg/kg/日を3~4回に分割し、経口的に投与する。これにより生存期間の延長が得られるとされている。副作用として、血中および尿中の尿酸値の上昇(18.8%)があり、注意を要する。■ インターフェロン(IFN)インターフェロンは、ウイルス増殖阻害作用を持つ薬剤であり、IFNα、IFNγともに保険適用薬として認可されている。イノシンプラノベクスとの併用により有効であったとの報告例を多数認める。通常100~300万単位を週1~3回、脳室内に直接投与する。副作用として一過性の発熱をほぼ全例で認める。頻度は低いが、アレルギー反応を来す症例も認める。イノシンプラノベクス経口投与とIFN髄腔内または脳室内投与を併用するのが一般的で、有効性は言われているものの進行を阻止した例はまれであり、治療効果として不十分と考えられている。■ リバビリン近年、研究的治療(保険適用外)として、リバビリンの髄腔内または脳室内投与療法が試みられている。リバビリンは、広い抗ウイルススペクトラムを有する薬剤であり、麻疹(SSPE)ウイルスに対しても優れた抗ウイルス効果を示す。直接脳室内に投与することで、髄液中のリバビリン濃度はウイルス増殖を完全に抑制する濃度に維持され、重篤な副作用を認めず、少数例ではあるが臨床的有効性が報告されている。しかし、病初期(Jabbour2期)に投与した症例においては、臨床症状に明らかな改善を認めたとする報告が多く、病期の進行した症例(Jabbour3期)では改善効果に乏しかったとする報告が多い。以上のことから、リバビリン療法は、リバビリンがウイルスの増殖を抑制して病期の進行を抑制する治療法であり、進行した神経障害を改善させるものではないと考えられている。■ 対症療法上記の治療のほかには対症療法として、ミオクローヌスのコントロールや呼吸管理、血圧コントロールなどの対症療法を行っていく必要がある。4 今後の展望SSPEの重症度の評価として、新たにトリプトファン代謝の主要経路であるキヌレニン経路の代謝産物の髄液中濃度について検討されている。SSPE群では対象例と比較し、髄液中のキノリン酸濃度が有意に高値であり、病期の進行とともに増加が認められている。代謝産物であるキノリン酸の増加はキヌレニン経路の活性化が示唆され、その活性化はSSPEにおける変異型麻疹ウイルスの持続感染に関与している可能性がある。さらにキノリン酸は NMDA型グルタミン酸受容体アゴニストとして興奮性神経毒性を持つため、SSPEにおける神経症状との関係が示唆されている。また、前述したが、研究的治療としてリバビリン髄腔内または脳室内投与が有望である可能性が考えられている。具体的な投与方法として、リバビリン1mg/kg/回、1日2回、5日間投与から開始し、1回量、投与回数を調整し、髄液リバビリン濃度を目標濃度(50~200μg/mL)にする。投与量が決定したら、5日間投与・9日間休薬を12クール(6ヵ月)継続するものとなっている。効果としては、国内で詳細に調査された9例において、治療前後の臨床スコアの平均は前が52.9、後が51.0であり、治療前後で有意差は認めなかった。しかし、イノシンプラノベクスとIFNの併用療法を施行された48症例では治療前後の臨床スコアは前が54.3、後が61.1と悪化を認めており、リバビリン脳室内投与群のほうが優る結果となっている。しかしSSPEは、症例により異なる経過をたどり、その経過も長いため、多数例の調査を行ったうえでの慎重な判断が必要である。5 主たる診療科神経内科および小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 亜急性硬化性全脳炎(一般利用者向けと医療従事者むけのまとまった情報)プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班(医療従事者向けの情報)患者会情報SSPE青空の会(SSPE患者とその家族の会)1)厚生労働省難治性疾患克服研究事業 プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班. 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)診療ガイドライン(案)2)平成27年度(2015年度)プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班 総括研究報告書3)Gutierrez J, et al. Dev Med Child Neurol.2010;52:901-907.公開履歴初回2014年05月19日更新2016年09月20日

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可愛い孫は、肺炎を持ってくる

孫の世話に疲れる高齢者 大都市の待機児童の問題にみられるように、保育園や幼稚園に入所できず、祖父母に子供を預ける共働き世帯も多い。また、地方では、2世帯同居が珍しくなく、日中、孫の育児を祖父母がみるという家庭も多い。そんななか、預かった孫の世話に追われ、体力的にも精神的にも疲れてしまう「孫疲れ」という現象が、最近顕在化しているという。晩婚化のため祖父母が高齢化し、体力的に衰えてきているところに、孫の育児をすることで、身体が追いついていかないことが原因ともいわれている。家庭内で感染する感染症 そして、孫に疲れた高齢者に家庭内、とくに孫から祖父母へうつる感染症が問題となっている。子供は、よく感染症を外からもらってくる。風邪、インフルエンザをはじめとして、アデノウイルス、ノロウイルス、帯状疱疹など種々の細菌、ウイルスが子供への感染をきっかけに家庭内に持ち込まれ、両親、兄弟、祖父母へと感染を拡大させる。 日頃孫の面倒をみていない祖父母でも、お盆や年末、大型連休などの帰省シーズンに帰ってきた孫との接触で感染することも十分考えられ、連休明けに高齢者の風邪や肺炎患者が外来で増えているなと感じている医療者も多いのではないだろうか1)。ワクチンで予防できる肺炎 なかでも高齢者が、注意しなくてはいけないのが「肺炎」である。肺炎は、厚生労働省の「人口動態統計(2013年)」によれば、がん、心疾患についで死亡原因の第3位であり、近年も徐々に上昇しつつある。また、肺炎による死亡者の96.8%を65歳以上の高齢者が占めることから肺炎にかからない対策が望まれる。 日常生活でできる肺炎予防としては、口腔・上下気道のクリーニング、嚥下障害・誤嚥の予防、栄養の保持、加湿器使用などでの環境整備、ワクチン接種が推奨されている。とくにワクチン接種については、高齢者の市中肺炎の原因菌の約4分の1が肺炎球菌と報告2)されていることから、2014年よりわが国の施策として、高齢者を対象に肺炎球菌ワクチンが定期接種となり、実施されている。 定期接種では、65歳以上の高齢者に23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)の接種が行われ、平成30年度まで経過措置として65歳から5歳刻みで区切った年齢の該当者に接種が行われる。定期接種の注意点と効果を上げるコツ 定期接種の際に気を付けたいことは、経過措置の期間中に接種年齢に該当する高齢者が接種を受けなかった場合、以後は補助が受けられず自己負担となってしまうことである(自治体によっては、独自の補助などもある)。また、過去にこのワクチンの任意接種を受けた人も、定期接種の対象からは外れてしまうので注意が必要となる。 そして、ワクチンの効果は約5年とされ、以後は継続して任意で接種を受けることが望ましいとされている。 このほか高齢者においては肺炎球菌ワクチンだけでなく、同時にインフルエンザワクチンも接種することで、発症リスクを減らすことが期待できるとされる3,4)。低年齢の子供へのインフルエンザワクチンの接種により、高齢者のインフルエンザ感染が減少したという報告5)と同様に肺炎球菌ワクチンでも同じような報告6)があり、今後のワクチン接種の展開が期待されている。 普段からの孫との同居や預かり、連休の帰省時の接触など、年間を通じて何かと幼い子供と接する機会の多い高齢者が、健康寿命を長く保つためにも、高齢者と子供が同時にワクチンを接種するなどの医療政策の推進が、現在求められている。 この秋から冬の流行シーズンを控え、今から万全の対策が望まれる。(ケアネット 稲川 進)参考文献 1)Walter ND, et al. N Engl J Med. 2009;361:2584-2585. 2)日本呼吸器学会. 成人市中肺炎診療ガイドライン. 2007;15. 3)Maruyama T, et al. BMJ. 2010;340:c1004. 4)Kawakami K, et al. Vaccine. 2010;28:7063-7069. 5)Reichert TA, et al. N Engl J Med. 2001;344:889-896. 6)Pilishvili T, et al. J Infect Dis. 2010;201:32-41.参考サイト ケアネット・ドットコム 特集 肺炎 厚生労働省 肺炎球菌感染症(高齢者):定期接種のお知らせ 肺炎予防.JP

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治療できるライソゾーム病 ―ポンペ病を見逃さないために―

ポンペ病(糖原病II型/酸性マルターゼ欠損症[AMD])ポンペ病は、ライソゾーム酵素である酸性α-グルコシダーゼの欠損・活性低下を原因とする常染色体劣性遺伝疾患で、多くの組織のライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、主に骨格筋や心筋、平滑筋が障害される。発症率は約4万人に1人と報告されており1-3)、国内では100人程度の患者が確認されている。治療としては、各症状に対する対症療法に加え、酸性α-グルコシダーゼを補充する酵素補充療法が行われる。ポンペ病を疑う特徴的な症状臨床症状はきわめて多岐にわたるが、発症する年齢により、乳児型と小児型・成人型(遅発型)の3つに分けられる。乳児型は生後6ヵ月までに発症し、心肥大などの重度の心機能障害、筋力低下・筋緊張低下(フロッピーインファント※)、呼吸障害、哺乳不良、発達障害などがみられるが、とくに心肥大と筋力低下・筋緊張低下はポンペ病を疑う。小児型は生後6~12ヵ月以降、成人型は10~60歳代に発症し、いずれも重度の心機能障害は来さないが、小児型では進行性ミオパチー、成人型では緩徐進行性ミオパチーを特徴とする。小児型・成人型では、近位筋の筋力低下、呼吸機能障害、早朝の頭痛、高CK血症などからポンペ病を疑う。最重症である乳児型は約3分の1の頻度を占め2)、心肺不全により生後1年以内に死亡する急速進行性の経過をたどるため4,5)、とくに早期診断・治療が求められる。※筋肉が柔らかくなり、正常な子供にみられない特異な姿勢になる。首の座りやお座り、はいはいや歩行といった発達が遅れる。ポンペ病の早期診断のためにポンペ病を疑う症状や所見が認められたら、「新生児マス・スクリーニング用ろ紙※」を用いた酸性α-グルコシダーゼ酵素活性測定による簡便なスクリーニング検査の実施が推奨される(図1)。本スクリーニング検査は、検体に乾燥ろ紙血を用いるため、侵襲が少なく、常温で郵送可能などの利点があり、国立成育医療研究センター臨床検査をはじめとした幾つかの医療機関で原則無料で実施されている。酵素活性測定の結果は、2~4週間程度で報告され、酵素活性低下が確認できれば、確定診断として遺伝子検査や筋生検が必要となることがある。ポンペ病は、患者数が少なく、疾患の認知があまりされていないうえに、他の疾患と類似した症状や所見を示すことがあるため、診断がつかないまま適切な治療を受けられないでいる患者さんが存在している可能性がある。ポンペ病の患者さんの予後を考えるうえでは、早期診断・治療がきわめて重要である。図1 ろ紙血検体作業・依頼方法(国立成育医療研究センターの場合)(1)1~2mL採血後、新生児マス・スクリーニング用ろ紙に血液を2、3滴滴下する。◇点線丸印からはみ出るように滴下する◇ろ紙の裏側にしみるまで滴下する拡大する(2)ろ紙に患者さんの名前(もしくはイニシャル、匿名化番号)、生年月日、採取日、性別を記入する。(3)吊り下げずにそのまま水平に置き、室温で5時間以上乾燥させる(2~3日の室温放置も可)。(4)完全に乾燥させた後、ビニール袋に入れ、郵送までの間、冷蔵で保存する。(5)「検査申込書(酵素活性検査用)」に必要事項を記入し、ろ紙血(ビニールに入れた状態)とともに常温で検査実施機関に郵送する。1)Hirschhorn R & Reuser AJJ. Glycogen storage disease type II: acid alpha-glucosidase (acid maltase) deficiency. In: Scriver CR, et al. eds. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. 8th ed. NewYork: McGraw-Hill; 2001.p.3389-3420.2)Martiniuk F. et al. Am J Med Genet. 1998;79:69-72.3)Ausems MG et al. Eur J Hum Genet. 1999;7:713-716.4)van den Hout HM. et al. Pediatrics. 2003;112:332-340.5)Kishnani PS. et al. J Pediatr 2006;148:671-676.

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ゲーム感覚で小児の視力を自動測定できるタブレット端末

 小児の視力を自動的に測定するタブレット型コンピュータが開発された。ゲームデザインを用いたアプリケーションソフトウェアが搭載されている。英国・マンチェスター大学のTariq M Aslam氏らは、100例以上の小児において検討し、このシステムは眼疾患を有する小児の視力を客観的かつ正確に自動測定できることを示した。将来の実用性が期待される。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年8月17日号掲載の報告。 研究グループは、マンチェスター王立眼科病院の小児眼科外来患者を受診した連続112例を対象に、Mobile Assessment of Vision by intERactIve Computer for Children (MAVERIC-C)システムを用いて視力を測定した。 MAVERIC-Cシステムは、ゲームデザインを用いて、視力測定のコンプライアンスを高め自動的に視力スコアを得られるタッチパネル式のタブレット端末で、参加者には特別に用意した視覚室で操作してもらった。また、検査者がETDRS視力検査に基づいた標準視力検査表を用い視力を評価した。 主要評価項目は、MAVERIC-C近見視力スコアの信頼性、およびMAVERIC-Cスコアと通常視力検査との一致性であった。 主な結果は以下のとおり。・112例中106例の小児(95%)が、手助けの必要なくMAVERIC- Cシステムを用いた視力測定を完遂することができた。・試験-再試験視力スコアの平均差は0.001(標準偏差[SD]±0.136)、一致限界(2SD)は±0.267で、視力スコアは十分信頼できることが認められた。・近見EDTRS視力検査との比較では、平均差-0.0879(±0.106)、一致限界±0.208であった。

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双極性障害青年、ちゃんと薬を飲んでいるか

 双極性障害(BP)青年の服薬アドヒアランスとそれに関連する要因について、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTina R Goldstein氏らは、客観的および主観的手法により調査を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 対象は、小児科専門クリニックで初期BPと診断された青年21例。すべての対象者は、1剤以上の向精神薬を処方されていた。自己および親から報告されたアドヒアランスを6ヵ月間毎月評価した。服薬アドヒアランスに関する客観的なデータは、電子ウィークリーピルボックスを用いて収集した。人口統計学的および臨床的要因は、自己、親、医師よりベースライン、3、6ヵ月で評価した。 主な結果は以下のとおり。・客観的データによると、ベースラインから平均3ヵ月にわたり、投与量の41.5%(日数の58.6%)が、処方されたとおりに服薬されていなかった。・患者、親、医師より得られた主観的データは、客観的データと比較し、アドヒアランスを有意に過大評価していた。・1日用量の多さ、体重増加、服薬タイミング(朝、昼、週末は悪い)、薬剤管理面談から時間が経過している、治療アドヒアランスの自己評価でより大きな認知困難といった複数の理由における要因は、低いアドヒアランスと関連していた。服薬不良のもっとも強力な予測因子は、全体的な疾患重症度であった。 著者らは「調査結果より、BP青年の服薬アドヒアランスは悪く、主観的な報告では限界があることが示された。BP青年の治療中に、治療反応に関する決定や投与レジメを変更する際には、アドヒアランス状況に細心の注意を払う必要がある」としている。関連医療ニュース 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は

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治療できるライソゾーム病 ―ムコ多糖症を見逃さないために―

ムコ多糖症(MPS:Mucopolysaccharidosis)とはムコ多糖症は、ムコ多糖を分解するライソゾーム酵素の欠損・活性低下を原因とする疾患で、骨関節や皮膚・結合組織、中枢神経、呼吸器、循環器など、さまざまな臓器・器官にムコ多糖が蓄積し、全身に多様な進行性の症状を呈する。欠損・活性低下する酵素により、I型、II型、III型、IV型、VI型、VII型、IX型の7つの病型に分けられ、病型により症状が異なる(V型、VIII型は欠番)。日本人では、II型が最も多く、次いでI型、III型が多い1)。ムコ多糖症は遺伝性疾患であり、II型(X染色体連鎖劣性遺伝)以外は常染色体劣性遺伝である。治療は、各症状に対する対症療法に加え、I型、II型、IVA型、VI型では、欠損している酵素を点滴静注で補充する酵素補充療法や造血幹細胞移植(HSCT:Hematopoietic Stem Cell Transplant)が行われる(2016年8月現在)。ムコ多糖症UPDATE.ムコ多糖症を疑う特徴的な症状ムコ多糖症は、病型により症状が異なり、同じ病型のなかでも重症から軽症まで幅広い症状を呈するため診断が難しいが、I型、II型、VI型は比較的類似しており、心弁膜症関節拘縮骨変形、低身長特徴的な顔貌(むくむくした顔)精神運動発達遅滞(VI型ではみられない)角膜混濁(II型ではみられない)広範で濃染な蒙古斑腹部膨満(肝臓・脾臓腫大)などの症状がみられる。これらの症状は重症例では顕著だが、軽症例ではすべてが認められるわけではなく、あっても軽度で見過ごされている可能性もある。ムコ多糖症の診断方法尿中GAG検査および血液による酵素活性測定は検査会社エスアールエルで検査可能上記のようなムコ多糖症を疑う症状や所見が認められた場合、1) 尿中のGAG(ムコ多糖:グリコサミノグリカンともいう)量を測定する。検体は50CCの随時尿注)。尿中のGAG量の増加により「ムコ多糖症」と診断されたら、2) 白血球または培養皮膚線維芽細胞による酵素活性測定により、病型を確定する注)乳児の場合は1回に採取できる尿量が少ないため、畜尿による検査で良い。ムコ多糖症は、患者数が少なく、疾患の存在があまり知られていないうえに、他の疾患と類似した症状や所見を示すことがあるため、診断がつかないまま適切な治療が受けられないでいる可能性がある。ムコ多糖症の患者さんの予後を考えるうえで、早期診断・治療はきわめて重要である。1)厚生労働省難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業). ライソゾーム(ファブリー病含む)に関する調査研究班

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喘息小児へのアセトアミノフェンは回避すべきなのか/NEJM

 軽症持続型喘息の小児に対し、発熱や痛みなどの際に、必要に応じてアセトアミノフェンを投与しても、イブプロフェン投与と比較して、喘息急性増悪の頻度や、喘息コントロール日数の割合などは、同等であることが明らかにされた。米国・ハーバード大学医学部のW.J. Sheehan氏らが行った、前向き多施設共同の無作為化二重盲検並行群間試験の結果で、NEJM誌2016年8月18日号で発表した。小児へのアセトアミノフェンの頻繁な投与と、喘息合併症との関連を示唆する先行試験の結果から、喘息小児へのアセトアミノフェン投与の回避を推奨する医師もいるが、この関連性について適切なデザインで評価した試験はなかったという。300児を対象に48週間追跡 研究グループは、月齢12~59ヵ月の軽症持続型喘息児300例を対象に、48週間の臨床試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、発熱や痛みの軽減の必要に応じて、一方にはアセトアミノフェンを、もう一方の群にはイブプロフェンを投与した。 主要評価項目は、全身グルココルチコイド投与を要した喘息の急性増悪の回数だった。両群ともに、標準的喘息管理療法を行った。 試験を完了したのは226例(75.3%)だった。両群間の特性に有意差はなく、登録時の平均年齢は39.9±13.2ヵ月、試験登録前の喘鳴エピソードは年5.9±5.0、救急受診は3.0±2.4回などだった。喘息増悪回数、コントロール日数、アルブテロール吸入回数は両群で同等 アセトアミノフェン、イブプロフェンの投与回数の中央値は、それぞれ7.0回と4.5回で、両群で有意差はなかった(p=0.47)。 1例あたり急性増悪回数は、アセトアミノフェン群が平均0.81回、イブプロフェン群が平均0.87回と、両群で同等だった(アセトアミノフェン群のイブプロフェン群に対する相対比率:0.94、p=0.67)。 急性増悪を1回以上発症した小児の割合は、アセトアミノフェン群が49%、イブプロフェン群が47%で、同2回以上についてはそれぞれ21%、24%だった。また、喘息がコントロールされていた日数の割合についても、アセトアミノフェン群85.8%、イブプロフェン群86.8%と、同等だった(p=0.50)。 そのほか、アルブテロールの発作時吸入の使用回数(アセトアミノフェン群2.8/週、アセトアミノフェン群3.0/週、p=0.69)、喘息による予定外の受診回数(0.75回/例、0.76回/例、p=0.94)、有害事象の報告回数いずれについても、有意差は認められなかった。

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ジカウイルスと関節拘縮の関連が明らかに/BMJ

 先天性ジカ症候群(Congenital Zika syndrome)として関節拘縮症の詳細な特徴が明らかにされ、同症候群を先天性感染症と関節拘縮症の鑑別診断に加えるべきとする見解を、ブラジル・Barao de Lucena HospitalのVanessa van der Linden氏らが、後ろ向きケースシリーズ研究の結果、報告した。最近まで、先天性ウイルス感染症と関節拘縮の関連報告はなかったが、ブラジルでのジカウイルスと関連した小頭症のアウトブレイク以後、両者の関連を示唆する2件の報告が発表されたが、詳細については述べられていなかった。BMJ誌2016年8月9日号掲載の報告。7例について後ろ向きケースシリーズで詳細所見を検証 研究グループは、ジカウイルスによると思われる先天性感染症に関連した関節拘縮症を有する小児のシリーズ症例について、臨床的、放射線学的および筋電図検査による特色を明らかにする検討を行った。ブラジル・ペルナンブーコ州のAssociation for Assistance of Disabled Childrenにて、ブラジル国内で小頭症が流行していた期間中に、関節拘縮症を有し先天性ジカウイルス感染症が疑われる診断例7例について調べた。 主な臨床的、放射線学的および筋電図検査の所見と、臨床的所見とプライマリな神経学的異常の所見との関連性を評価した。先天性感染症と関節拘縮症に特徴的な所見 全7例における脳画像は、先天性感染症と関節拘縮症に特徴的なものであった。2例については、脳脊髄検査でジカウイルスのIgM陽性が認められた。 関節拘縮は、腕部と脚部に認められたのが6例(86%)、脚部のみが1例(14%)であった。 また、全7例で、股関節部に両側性の脱臼が放射線学的に認められた。3例(43%)では外反膝に関連した膝蓋骨亜脱臼がみられ、そのうち2例(29%)は両側性であった。 関節部の高解像度超音波検査は全7例に行われたが、異常を示す所見は認められなかった。 針筋電図(単極)検査では、運動単位のリモデリングのわずかなサインと漸減パターンが示された。 脳CTおよびMRIは5例に行われ、残る2例は脳CTのみが行われた。結果、全例に、皮質形成の発達異常、皮質と皮質下白質(とくに皮質との境界面)の大部分で石灰化がみられ、脳容積の減少、脳室拡大、脳幹と小脳の形成異常がみられた。4例の脊椎MRI所見では、脊髄の顕著な菲薄化と前根の減少がみられた。 著者はこれらの所見を踏まえて、先天性感染症と関節拘縮症の鑑別診断に、先天性ジカ症候群を加えるべきとしている。また、「関節拘縮は関節部の異常とは関連していなかったが、神経に起因するものと思われ、中心および末梢運動神経が慢性的に関与し、子宮内での固定された姿勢の結果として奇形に結び付いていると思われた」と述べている。最後に、神経生理学的観察に基づき2つの考えられるメカニズムとして、末梢および中心運動神経の関与または血管障害に関連した神経細胞の向性(tropism)を提示した。

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メディケア・アカデミー 第2回セミナー「認知症の妻を介護してきた医師」【開催のご案内】

 さいたま市市民活動グループのメディカルアシスト(代表 笹岡 大史氏)は、9月18日(日)に、メディケア・アカデミー 第2回セミナー「認知症の妻を介護してきた医師」を開催する。ヒューマンドキュメンタリー映画『妻の病 ―レビー小体型認知症―』の主人公であり、小児科医の石本 浩市氏が登壇する。石本氏は、レビー小体型認知症の妻の介護を通して、介護家族の体験と認知症当事者としての気持ちを詳細に書き留めてきた。 開催概要は以下のとおり。【日時】9月18日(日)18:30~20:30(受付 18:00~)【場所】浦和コミュニティセンター 第15集会室さいたま市浦和区東高砂町11-1 コムナーレ9階(浦和駅東口隣接 パルコ9階)会場地図はこちら【スピーカー】石本 浩市氏(あけぼのクリニック 院長)【参加費】3,000 円(学生:1,000円)【参加募集人数】132名【持ち物】名刺をお持ちの方は名刺をご持参ください。(お持ちでない方は会場で名前・所属を記載していただきます)【参加方法】以下のいずれかの方法でお申し込みください。1)Facebookイベントページの参加をクリック https://www.facebook.com/events/1745411079030796/2)TEL(070-3189-0100)3)メール(pinkoro100@gmail.com)※保育サービスがあります。ご希望の方は、年齢、性別、人数をご連絡ください。 保育料は500円です。【お問い合わせ】ピンコロカンパニー100 TEL:070-3189-0100【懇親会】参加費:4,000円時間:21:00~23:00人数:最大50名※懇親会の参加申し込みは、Facebookまたはメール(pinkoro100@gmail.com)へご連絡ください。懇親会の詳細はこちら【主催】さいたま市市民活動グループ メディカルアシスト【協力】ピンコロカンパニー 100福祉クリエーションジャパンセミナーの詳細情報はこちら

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早産児に対する7つの人工換気療法を比較/JAMA

 早産児に対する非侵襲的人工換気療法について7つの戦略を比較した結果、非侵襲的サーファクタント投与(less invasive surfactant administration:LISA)戦略が最良であることが示された。カナダ・マックマスター大学のTetsuya Isayama氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、月経後年齢36週時点の複合アウトカム(死亡と気管支肺異形成[BPD])の尤度が同戦略で最も低かったという。ただし結果について著者は、「全体的にエビデンスの質が低く、質の高い試験での裏付けに乏しく、所見は限定的なものである」と述べている。JAMA誌2016年8月9日号掲載の報告。7つの戦略の比較検討をシステマティックレビューとメタ解析で 研究グループは、早産児に対する最良の非侵襲的人工換気戦略を明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。比較検討したのは7つの戦略で、(1)経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)、(2)挿管・サーファクタント投与の直後に抜管(INSURE)、(3)LISA、(4)非侵襲的間欠的陽圧換気(IPPV)、(5)ネブライザーによるサーファクタント投与、(6)ラリンゲアルマスクエアウェイでのサーファクタント投与、そして(7)機械的人工換気であった。 MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane CENTRALを創刊から2016年6月まで検索。在胎期間33週未満、誕生24時間以内、無作為化前の挿管なしの条件を満たす新生児で、換気戦略の比較が行われていた無作為化試験を選択した。2人の独立レビュワーがデータを抽出し、ベイジアン・ランダム効果ネットワークメタ解析法で統合し評価した。 主要アウトカムは、月経後年齢36週時点の死亡またはBPDの複合であった。主な副次アウトカムとして、死亡、BPD、重症脳室内出血、エアリーク(退院前の気胸または間質性肺気腫を含む)を評価した。LISAの主要アウトカムの発生オッズ比が最も低値 検索により、30試験5,598例が解析に組み込まれた。主要アウトカムの発生は、33%(1,665/4,987例、死亡:505例、BPD:1,160例)。副次アウトカムは、6%(エアリーク、314/5,587例)から26%(BPD、1,160/4,455例)の範囲にわたった。 機械的人工換気(対照)との比較において、LISAの主要アウトカムの発生オッズ比が最も低値であった(オッズ比[OR]:0.49、95%信用区間[Crl]:0.30~0.79)。1,000新生児当たり164例(95%Crl:57~253)減少の絶対リスク差(RD)が認められた(エビデンスの質は中等度)。BPD(OR:0.53[同:0.27~0.96]、絶対RD:133例[同:9~234]減少、エビデンスの質は中等度)、重症脳室内出血(OR:0.44[同:0.19~0.99]、絶対RD:58例[同:1~86]減少、エビデンスの質は中等度)も低値が認められた。死亡(OR:0.52)、エアリーク(OR:0.34)は、エビデンスの質が低かった。 経鼻的CPAP単独(対照)との比較においても、LISAの主要アウトカムのオッズ比が最も低値であった(OR:0.58[同:0.35~0.93]、絶対RD:112例(同:16~190)減少、エビデンスの質は中等度)。エアリークのORは0.24(同:0.05~0.96)、絶対RDは47例(同:2~59)減少であったが、エビデンスの質は非常に低かった。BPD(OR:0.61)、死亡(同:0.61)もエビデンスの質が低く、重症脳室内出血(同:0.43)のエビデンスの質は非常に低かった。 ランキング確率の解析の結果、SUCRA(surface under the cumulative ranking curve)値が0.85~0.94でLISAが最良の戦略であることが示された。ただし、質の高いエビデンスが限定的で、死亡については確固としたことはいえないとしている。

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アーミッシュの生活環境が喘息リスクの低下に関与/NEJM

 アーミッシュとフッタライト(いずれもキリスト教の一派で、伝統的な生活様式で農業を営むコミュニティ集団)の子供たちは、生活様式や遺伝的系統が類似しているにもかかわらず喘息有病率が大きく異なっていた。その背景には自然免疫反応の形成や誘導の違いがあり、アーミッシュの生活環境は喘息に対して予防的に働くことが示唆されたという。米国・シカゴ大学のMichelle M. Stein氏らが、ヒトとマウスの研究から明らかにした。アーミッシュは畑仕事や移動に馬を使用するなど伝統的な農業を行っており、フッタライトは工業化された農業技術を用いるという点で、とくに違いがみられる。以前の研究でこの両集団の喘息発症率に顕著な違いがあることが示唆されていたが、その違いに関与する免疫反応については不明であった。NEJM誌2016年8月4日号掲載の報告。アーミッシュとフッタライトで子供の血液とハウスダストを分析 研究グループは、アーミッシュ(インディアナ州)とフッタライト(サウスダコタ州)の小児計60人(各30人、7~14歳)を対象に、環境曝露、遺伝的系統、免疫プロファイルを調査し、アレルゲンおよびエンドトキシンを測定するとともにハウスダストの微生物叢を評価した。 全血を採取して血清IgE値、サイトカイン反応および遺伝子発現を測定し、フローサイトメトリーを用いて末梢血白血球の表現型を解析した。さらに、両集団の住居から採取したハウスダストの免疫および気道反応に対する影響を、アレルギー性喘息マウスモデルで評価した。両者で喘息有病率と免疫プロファイルに大きな差、環境要因の影響をマウスで確認 両集団の遺伝的系統は類似していたが、喘息有病率はアーミッシュが0、フッタライトが20%(6例)で、アーミッシュが低かった。また、一般的なアレルゲン(イヌ、ネコ、チリダニ、ゴキブリ)に対する血清IgE高値(>3.5kUA/L)の小児も、アーミッシュ2例、フッタライト9例と、アーミッシュで少なかった。 一方、ハウスダストのエンドトキシン濃度中央値は、アーミッシュがフッタライトより6.8倍高値であった。両集団のハウスダストでは、微生物叢の違いも観察された。さらに、末梢血白血球については、単球の割合は両集団で類似していたが、アーミッシュはフッタライトと比較して好中球の割合が多く好酸球は少なかった。同様に、自然免疫細胞の表現型や機能についても両集団で大きな差が確認された。 ハウスダストの抽出液をアレルギー喘息マウスに鼻腔内滴下した結果、アーミッシュの住居から採取したハウスダストで気道過敏性、好酸球増加や特異的IgE値増加が有意に抑制された。自然免疫シグナリングに重要な分子であるMyD88およびTrifの両方が欠損しているマウスでは、これらの予防効果は消失した。 なお、著者は、症例数が少なく対象の年齢が7歳以上であったことや、微生物叢の評価に研究の限界があるとしている。

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未分化大細胞型リンパ腫〔ALCL : anaplastic large cell lymphoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)は、1985年Steinらによって初めて特徴づけられたaggressive lymphomaである。キール大学で開発されたCD30に対するKi-1抗体によって認識される活性化T細胞由来のリンパ腫で、Ki-1リンパ腫との異名ももっていた。以前「悪性組織球症」といわれていた症例の多くがこのリンパ腫であることが判明し、リンパ球の活性化マーカーであるCD30、CD25のほか、上皮性細胞マーカーであるEMAが陽性となる特徴を有する。腫瘍細胞は胞体が豊かなホジキン細胞様で馬蹄様核をもつhallmark cellが特徴的である(図)。画像を拡大するこの多形芽球様細胞の形態を示すリンパ腫には、全身性ALCLのほか、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のanaplastic variantや病変が皮膚に限局する皮膚ALCLがある。また、豊胸手術後に乳房に発症するALCLも、最近注目されるようになった。ALCLは、あくまで末梢性T細胞リンパ腫の一病型であり、B細胞由来のものは含まれない。ALCLは、インスリン受容体スーパーファミリーの受容体型チロシンキナーゼであるanaplastic lymphoma kinase(ALK)をコードするALK1遺伝子の発現増強を認めるALK陽性ALCLと、発現増強を認めないALK陰性ALCLに分類される。皮膚ALCLや豊胸術後のALCLは共にALK陰性である。■ 疫学ALCLは、わが国で発症する非ホジキンリンパ腫の中で、3%程度を占めるまれな疾患である。ALK陽性ALCLは、ほとんどが50歳以下で発症し、発症のピークは10代の若年者である。一方、ALK陰性ALCLは、加齢とともに発症頻度が増し、50代に多い。両者ともやや男性に多く発症する。皮膚ALCLと豊胸術後のALCLについては、わが国での頻度は不明である。■ 病因ALK陽性ALCLは、t(2;5)(p23;q35)の染色体異常を80%程度に認める。2番染色体2p23に位置するALK1遺伝子が5q35のNPM遺伝子と結合して融合遺伝子を形成し、その発現増強が腫瘍の発症・維持に重要と考えられている。この転座によって生じるNPM-ALKはホモダイマーを形成し、midkineなどのリガンドの結合なしにキナーゼ活性を亢進させ、PI3KからAkt、STAT3やSTAT5などの細胞内シグナル伝達を活性化させる。ALK1遺伝子はNPM遺伝子以外にも1q21/TPM3などの遺伝子と融合するが、このような場合でもALKのホモダイマー形成が生じ、ALKの構造的活性亢進が起きるとされている。NPMは核移行シグナルをもち、NPM-ALKとNPMのヘテロダイマーは核まで移行するため、t(2;5)異常をもつALCLでは、ALKが細胞質のみならず、核も染色される。一方、ALK陰性ALCLの病因はすべて明らかにされているわけではない。アレイCGHやgene expression profilingによる解析では、ALK陰性ALCLは、ゲノム異常や遺伝子発現パターンがALK陽性ALCLとはまったく異なることがわかっている。ALK陰性ALCLの中には、t(6;7)(p25.3;q32.3)の染色体転座をもち、6p25.3に位置するDUSP22遺伝子の切断による脱リン酸化酵素機能異常が確認されている群がある。6p25には転写因子をコードするIRF4遺伝子も存在するが、末梢性T細胞性リンパ腫・非特定型や皮膚ALCLにおいても6p25転座が認められることがあり、それらとの異同も含めてまだ不確定な部分がある。皮膚ALCLはリンパ腫様丘疹症(lymphomatoid papulosis)との異同が問題となる症例があり、これらは皮膚CD30陽性リンパ増殖性疾患という範疇であって、連続性の疾患と捉える向きもある。豊胸術後のALCLについてはまだ不明な点が多い。■ 症状全身性ALCLは、診断時すでに進行期(Ann ArborシステムでIII期以上)のことが多く、B症状(発熱・体重減少・盗汗)を認めることが多い。リンパ節病変は約半数に認められ、節外病変も同時に伴うことが多い。ALK陽性ALCLでは、筋肉などの軟部組織や骨が多く、ALK陰性ALCLでは皮膚・肝臓・肺などが侵されやすい。皮膚ALCLは孤立性または近い部位に複数の皮膚腫瘤を作ることが多いが、所属リンパ節部位以外の深部リンパ節には病変をもたず、その点が全身性ALCLとは異なる。また、豊胸術後のALCLも80%以上の症例が乳房に限局しており、その中で腫瘤を作らずeffusion lymphomaの病態をとるものもある。両者とも発熱などの全身症状は認められないことが多い(表)。画像を拡大する■ 予後ALK陽性ALCLは、末梢性T細胞リンパ腫の中でも予後のよい病型である。5年の全生存割合は80%程度で、ALK陰性ALCLの40%程度と比べて、CHOP療法などのアントラサイクリン系抗生剤を含む初回化学療法によって、効果が期待できる疾患である。ヨーロッパの小児領域における3つの大規模臨床研究の結果から、(1)縦隔リンパ節病変(2)体腔内臓器浸潤(肺、脾、肝)(3)皮膚浸潤が予後不良因子として重要で、これら1項目でも満たすものを高リスク群とみなす。高リスク群は5年の全生存割合が73%と、標準リスク群の94%に比べて有意に下回る結果を示している。小児領域のALCLは、90%がALK陽性例で占められるが、成人領域と比べるとリスクに応じてかなり強度を上げた治療が施行され、高リスク群の治療成績は比較的良好な結果を示していると思われる。一方、成人例に多いALK陰性ALCLは、aggressive lymphomaで共通する国際予後指標(international prognostic index〔IPI〕: 年齢、performance status、LDH値、節外病変数、臨床病期からスコア化する)が参考となるが、(1)骨髄浸潤(2)β2ミクログロブリン高値(3)CD56陽性なども予後不良因子として認識されている。International T-cell lymphoma projectによる検討では、ALK陰性ALCLの60%程度を占めるIPI 3項目以上の患者群における5年の全生存割合は、CHOP療法主体の治療を受けても30%を下回る結果となっている。ただし、ALK陰性であっても皮膚ALCLや豊胸術後のALCLは限局例が多く、生命予後はそれほど悪くない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ほかの悪性リンパ腫と同様、ALCLの診断には、(1)組織診断による病型の確定(2)PET-CTなどの画像検査と骨髄検査による正確な臨床病期診断が必須である。また、皮膚に病変がある場合には、全身症状と病変の分布について、しっかりと把握しなければならない。■ 組織診断HE染色による腫瘍の形態観察とhallmark cellの有無を確認する。hallmark cellがあればALK染色によってALK陽性かALK陰性かを明らかにする。まれにsmall-cell variantや反応性の組織球増生が特徴的なlymphohistiocytic variantがあるので注意を要する。これらはALK陽性ALCLのうち、治療反応の乏しい形態学的亜型として注目されている。さらに腫瘍細胞の特定には、CD30、EMA、lineage marker、TIA-1、granzyme Bなどの細胞傷害性分子の発現を免疫染色で評価する。ALK陽性例についてはFISH検査で2p23の転座があるか確認する。■ 臨床病期診断ALCLはFDG-avidな腫瘍であり、FDG-PETを組み込んだPET-CT検査によって臨床病期診断のみならず治療効果の判定が可能である。皮膚に限局しているようにみえても、PETで深部リンパ節病変が指摘された場合には、全身性ALCLとして対応しなければならない。骨髄検査は、リンパ腫細胞の浸潤の有無と造血能の評価を行うことを目的とする。単なる形態診断だけでなく、免疫染色や染色体・FISH検査によって腫瘍の浸潤評価を行う必要がある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)前述した通り、全身性ALCLは進行期例が多いことから、アントラサイクリン系抗生剤を含む多剤併用化学療法が施行される。ALK陽性ALCLでは、CHOP様レジメンで90%近くに奏効が得られ、再発・再燃の割合もALK陰性ALCLよりも低く、5年の生存割合は70%以上を維持できる。つまり、低リスク群の初回治療はCHOP様レジメンで十分といえる。高リスク群に対し、小児領域では髄腔内抗がん剤投与を含む強度を上げた治療が行われている。成人領域ではなかなか治療強度を上げることが難しいため、自己造血幹細胞移植(autologous hematopoietic stem cell transplantation: ASCT)が考慮される。また、小児領域の治療研究では、ビンブラスチン(商品名:エクザール)が単剤で再燃を延長させる効果をもつことが示されている。高リスク群では、この薬剤をいかに利用して再燃を防ぐことができるのか、今後のレジメン内容を考えるうえでも、さらなる検討が必要である。一方、成人に多いALK陰性ALCLに対しては、現時点で標準化学療法が確立した状況とはいえない。CHOP療法による奏効割合は80%程度期待できるものの、再発・再燃の割合も高く、無増悪生存割合は最終的に20%台まで落ち込んでしまう。成人領域のALCLに対する治療研究は、ほかの末梢性T細胞リンパ腫の病型と同時に含まれて対象とされるため、ALCLに限った治療法が開発されているわけではない。そのため今後も残念ながら、個々の病型に対する標準治療が確立しにくい状況なのである。ALCL患者を対象として多く含む、ドイツの複数の前向き治療研究の解析結果をまとめると、CHOP療法にエトポシド(同:ラステットほか)を加えたほうが完全奏効割合や無イベント生存割合が改善することがわかっている。また、末梢性T細胞リンパ腫全体では、治療強度を上げることが必ずしも全生存割合の向上に寄与しているとは証明されていないが、それは十分な治療効果を生む標準化学療法が確立していないことが背景にあるためと考えられる。全身放射線を前処置として用いないASCTを初回奏効例に施行する、ノルウェーから報告されたNLG-T01試験では、ALK陰性ALCLに対する5年の全生存割合は60%以上を示し、他の病型よりも期待のもてる結果を示している。小児領域のリスクに応じて強度を調節する治療研究の結果も踏まえて考えると、ALK陰性ALCLに対し、治療強度を上げることで生存に有利となる患者群がいることがわかる。こういった問題は、今後も前向き治療研究の場で確定していかなければならない。実地診療において現時点では、CHOPあるいはCHOEP、EPOCHなどのエトポシドを含むCHOP様レジメンが初回治療として選択されることになる。非常にまれな皮膚ALCLや豊胸術後のALCLについての標準治療法は確立されていない。皮膚ALCLは限局性であれば、外科的切除、電子線照射が試みられる。多発性腫瘤の場合には化学療法が行われるが、どのような治療が適切か確固たるエビデンスはない。経験的に少量メトトレキサート、少量エトポシドなどの内服治療が行われている。豊胸術後のALCLも外科的切除で、対応可能な限局期症例の予後は比較的良好であるが、両者とも進行期例に対する治療は全身性ALCLに準ずることになる。4 今後の展望小児領域のヨーロッパ・日本の共同研究で検討された中枢神経浸潤についてみると、全体の2.6%に中枢神経系のイベントが認められ、その半数に脳実質内腫瘤を認めている。ヨーロッパのintergroup(EICNHL)のBFM90試験において、メトトレキサートの投与法が24時間から大量の3時間投与として髄腔内投与を施行しなくとも、中枢神経系のイベントは変わらずに同等の治療効果を生むことが確認されている。Lymphohistiocytic variantでは、比較的中枢神経系イベントが多いとされているが、生命予後の悪い高リスク群患者に対して、いかに毒性を下げて治療効果を生むかという点について、今後も治療法の進歩が期待される。小児領域と成人領域では、治療強度とそれに対する忍容性が異なる。成人領域では治療強度を上げるためには、ASCTを考慮しなければならず、とくに10代後半~20代の患者群に対する治療をどうしていくか、まだまだ解決しなければならない課題は多い。ALK陽性ALCLはALKが分子標的となるため、ALK陽性非小細胞肺がんで効果を示しているALK阻害薬が、今後の治療薬として注目される。クリゾチニブ(同: ザーコリ)は第I相試験が海外で終了しており、今後ALCLに対する有効性の評価がなされていくことになる。わが国ではそれに先立ち、再発・難治性のALK陽性ALCLに対してアレクチニブ (同: アレセンサ) の第II相試験が現在進行中である。また、CD30を標的したマウス・ヒトキメラ抗体のSGN-30は、皮膚ALCLに対する一定の効果は認められたものの、全身性ALCLに対する効果は不十分であったため、SGN-30に微小管阻害薬であるmonomethylauristatin Eを結合させたSGN-35(ブレンツキシマブ ベドチン、同: アドセトリス)が開発された。ブレンツキシマブ ベドチンは再発・難治性のALCL58例に対し、50例(86%)に単剤で奏効を認めており(33例に完全奏効)、再発・難治例に期待できる薬剤である。有害事象として血球減少以外に、ビンカアルカロイドと同様の神経障害が問題となるが、ホジキンリンパ腫でABVD療法と併用した際に肺毒性が問題となっていて、ブレオマイシン(同:ブレオ)との併用は難しいものの、アントラサイクリン系抗生剤やビンブラスチンとの併用が可能であることを考えると、ALCLに対して化学療法との併用の可能性も広がると考えられる。5 主たる診療科血液内科、小児科、皮膚科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報European Intergroup for Childhood NHL(欧州で開催された医療従事者向けのフォーラムの内容)患者会情報グループ・ネクサス・ジャパン(悪性リンパ腫患者とその家族の会)1)Savage KJ, et al. Blood.2008;111:5496-5504.2)Kempf W, et al. Blood.2011;118:4024-4035.3)Ferreri AJ, et al. Crit Rev Oncol Hematol.2012;83:293-302.4)Ferreri AJ, et al. Crit Rev Oncol Hematol.2013;85:206-215.5)Miranda RN, et al. J Clin Oncol.2014;32:114-120.公開履歴初回2014年03月13日更新2016年08月02日

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夜尿症推計78万人のうち受診は4万人

 12年ぶりの改訂となる「夜尿症診療ガイドライン2016」(日本夜尿症学会編)の発刊に伴い、7月20日に都内でメディアセミナーが開催された(フェリング・ファーマ株式会社、協和発酵キリン株式会社などの共催)。セミナーでは、ガイドライン改訂の意義、内容、治療の実際について、3名の医師がレクチャーを行った。多くの医療者に使ってほしいガイドライン はじめに金子 一成氏(関西医科大学小児科学教室 主任教授)が、「夜尿症ガイドライン改訂の意義」と題して、夜尿症診療の現状、新しいガイドラインの概要と改訂の意義、今後の展望について説明した。 「夜尿症とは、5歳以上の小児の就寝中の間欠的尿失禁であり(昼間の尿失禁は問わない)、1ヵ月に1回以上の夜尿が3ヵ月以上続くもの」とされる。両親共に夜尿症の既往があると70%の確率で子供にも発生するとされ、小学生では男子に多く、中学生では女子に多いとされる。自然に治る確率は10人に1人と言われるが、治療介入を行った場合は半数が1年以内に治るとされる。 病因はいまだ解明されておらず、主に睡眠中の覚醒障害のほか、尿量の日内変動調節機構の未発達、機能的膀胱容量過少など、さまざまな説明が試みられている。 生命に関わる疾患ではなく、自然に治るものでもあることから、現在でも積極的な治療介入は行われていない。 治療法としては、国際小児禁制学会(ICCS)が提唱する推奨治療である、患児への生活指導、デスモプレシン療法などの薬物治療、夜尿アラーム療法などが行われている。 患児の数は、幼稚園年長児の約15%、小学校3年生で約8%、小学校5~6年生で約5%とされ、わが国の患者数は約78万人と推計されている。夜尿症に関する情報サイト「夜尿症ナビ」が行った保護者(n=563)へのインターネット調査によれば、97%の保護者が夜尿症を治したいと思っているにもかかわらず、過去も含め受診させている保護者はわずか21.5%だった。 夜尿症を放置する弊害として、患児の自尊心低下から生じる内向的性格の形成、種々の学校行事への不参加からくるいじめや不登校、母子関係の悪化、虐待、発達障害の増悪などが指摘されている。そのため、患児の良好な精神発達のためにも、早期の治療介入が期待されるという。 夜尿症の診療を行う医師が不足する中、小児科医のみならず、家庭医として患児を診療している医師にも診療できるようにと、今回ガイドラインが改訂された。新しいガイドラインでは、最新のエビデンスを理解しやすく解説するとともに、具体的な対応法も記載されているため、家庭医の夜尿症診療に役立つと思われる。 「夜尿症は、適切な治療で治る病気であり、健全な患児の成長を促すためにも、積極的に治療に介入してほしい」と期待を述べ、説明を終えた。有効かつ安全な初期治療を提示するガイドライン 続いて、大友 義之氏(順天堂大学医学部附属練馬病院小児科 先任准教授)が、「改訂された『夜尿症診療ガイドライン』」について、今回のガイドライン改訂のポイントを解説した。 前回のガイドラインでは、病型の複雑さにより非専門医の診療があまり進まなかった。また、小児科医と泌尿器科医との間で治療指針の乖離や、諸外国のガイドラインと比較して治療での細かい違い(とくに三環系抗うつ薬の使用)といった問題もあり、ガイドライン自体の普及が進まない事態となっていた。そこで、今回は「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」に準拠する形で改訂が行われた。 新しいガイドラインでは、非専門医向けに診療のアルゴリズムを整理し、どこまで非専門医が診療をするのかを明示した。また、クルニカルクエスチョン(CQ)を掲示することで、臨床で遭遇する課題に速やかに対応できるようにした。たとえば、抗利尿ホルモンのデスモプレシン療法は、単独またはアラーム療法(下着にセンサーを留置し、夜尿発生をアラームで警告し、排尿を促す条件付け療法)との併用で記載されているが、推奨グレードは「1A」である。三環系抗うつ薬は、推奨グレード「2A」となり、デスモプレシン療法とアラーム療法でも効果が見られない場合に提案するとしている。 「今回の改訂では、『有効で、かつ、安全な初期治療』を非専門医が行えるように提示した。今後、多くの家庭医に、夜尿症治療に取り組んでいただきたい」と説明を終えた。患児と保護者のケアも治療では大事 次に、中井 秀郎氏(自治医科大学小児泌尿器科 教授)が、「夜尿症治療の実際と患者のメリット」について解説を行った。 夜尿症患児のうち、医療機関への治療を受けているのは全体の20分の1にとどまり、そのうえせっかく医療機関を受診しても「経過観察」で終わっている場合が多いという。 夜尿症は、子供の疾患の中でもアレルギー疾患に次いで多い疾患であり、保護者もこのことを認識するとともに、子供の病気に対する「焦らない」「叱らない」などの接し方、および患児から治すための気力を引き出すことが重要であると説明する。 新しいガイドラインの診療アルゴリズムでは、3つの夜尿症の治療法が示されている。 1)生活習慣の見直し(規則正しい生活、水分・塩分摂取法、就寝前のトイレなど) 2)アラーム療法(夜尿警告機器を使用した条件付け) 3)薬物療法(デスモプレシン、抗コリン薬、三環系抗うつ薬) いずれも夜尿症の非専門医でも治療介入できるものであり、早期の治療介入により早く治せることが期待されている。 最後に夜尿症治療のポイントとして、「前述の治療法だけでなく、治療の際には、患児と保護者の心理的負担もケアする必要があり、患児のやる気を引き出し、“治したい”という気持ちを維持していくこと、患児・家族と話し合い、患児本人にできるだけカスタマイズした方法で治療を続けていくこと、専門医以外の多くの医師(主に小児科医)が診療に携わることで、早期治療につながるように希望する」と語り、レクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)参考文献はこちらNeveus T, et al. J urol.2010;183:441-447.関連リンク日本夜尿症学会おねしょ卒業!プロジェクト

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PDE4阻害薬軟膏、小児・成人のアトピー性皮膚炎に有用

 アトピー性皮膚炎に対し、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のcrisaborole軟膏は、有効性のすべての評価項目を改善し良好な安全性プロファイルを示したことが報告された。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが行った、アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第III相の2試験において示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版7月7日号の掲載報告。 研究グループは、crisaborole軟膏の有効性および安全性を評価する2件の第III相試験(AD-301試験[NCT02118766]、AD-302試験[NCT02118792])を実施した。 2試験とも試験デザインは同じで、軟膏基剤を対照とした二重盲検試験。医師による全般重症度評価(Investigator's Static Global Assessment:ISGA)で軽症~中等症のアトピー性皮膚炎と診断された2歳以上の小児および成人患者を、crisaborole群と軟膏基剤塗布群に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日2回、28日間塗布した。 主要評価項目は、29日目のISGAスコア改善(症状消失[0]/ほぼ消失[1]、かつベースラインからのスコアが2グレード以上改善)であった。また、ISGAスコア改善までの期間、症状消失/ほぼ消失の患者の割合、アトピー性皮膚炎症状の重症度の低下、およびそう痒の改善までの期間についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・2試験ともに、ISGAスコア改善を達成した患者の割合は、crisaborole群が軟膏基剤群より高かった。AD-301試験(32.8% vs.25.4%、p=0.038)、AD-302試験(31.4% vs.18.0%、p<0.001)。・同様に症状消失/ほぼ消失の患者の割合も、crisaborole群が高かった。AD-301試験(51.7% vs.40.6%、p=0.005)、AD-302試験(48.5% vs.29.7%、p<0.001)。・crisaborole群では、軟膏基剤群よりISGAスコアの改善ならびにそう痒の改善が、より早期に達成された。・治療関連有害事象はまれで、有害事象の重症度は軽度~中等度であった。・なお結果は、試験期間が短く、限定的である。

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