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<先週の動き> 1.手足口病、全国25都道県で警報レベル 東北でも感染拡大/JIHS 2.千葉の豪雨で25市町に災害救助法、マイナ保険証なくても受診可能に/厚労省 3.地域ごとに「推奨薬」選定へ 地域フォーミュラリ普及を本格化/厚労省 4.チルゼパチドの薬価25%減 低価格化による不適正使用を懸念/リリー 5.MMR混合ワクチンを個別接種へ 接種率低下と感染拡大に懸念/米国 6.沢井製薬が46品目販売中止、低薬価・設備老朽化で安定供給が課題に/沢井 1.手足口病、全国25都道県で警報レベル 東北でも感染拡大/JIHS国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症動向調査によると乳幼児を中心に流行する手足口病が、東北各県で高い水準となっている。青森県では8月3~9日の患者報告数が257人で、6週間ぶりに減少したものの、1定点医療機関当たり7.56人と警報基準の5人を上回った。県内6保健所管内のうち5管内が警報レベルで、青森市・東津軽では10.33人、八戸市・三戸では9.14人だった。その一方で、岩手県では同期間の患者数が415人と前週から69人増加。1定点当たり15.37人で10週連続の増加となり、警報基準の3倍を超えた。一関27.0人、中部26.5人、県央25.0人など、10管内中7管内が警報レベルとなっている。宮城県も1定点当たり10.45人と今季最多を更新し、4週連続で警報基準を超えた。同じく福島県でも9.71人と2週連続で今季最多となり、警報レベルが4週続いている。全国では7月27日~8月2日の定点当たり報告数は6.03人。2週連続で減少したものの、25都道県で警報基準を超えており、依然として広範な流行が続いている。手足口病はエンテロウイルスなどによる感染症で、多くは軽症だが、まれに脳炎などの中枢神経合併症を来す。飛沫や接触のほか便を介して感染し、症状消失後も数週間にわたり便中へウイルスが排泄されることがある。医療現場では乳幼児の発熱、口腔内病変、手足の発疹に加え、意識障害、けいれんなど重症化を示唆する症状に注意が必要である。家庭や保育施設では石けんと流水による手洗い、タオルの共用回避、おむつ交換時の排泄物処理の徹底が求められる。 参考 1) 手足口病の減少続くも、感染性胃腸炎やコロナは増転【感染症動向調査第31週:7月27日~8月2日】(Medical Tribune) 2) 青森「手足口病」感染者数減少も依然5保健所管内で警報レベル(NHK) 3) 岩手県内「手足口病」患者数さらに増加 警報基準の3倍余に(同) 4) 福島県内 「手足口病」今季最多に お盆休みの感染対策徹底を(同) 2.千葉の豪雨で25市町に災害救助法、マイナ保険証なくても受診可能に/厚労省8月13日に千葉県を中心に発生した記録的豪雨で、県内の医療機関にも浸水や停電などの被害が広がっている。厚生労働省によると、14日午前10時時点で大規模病院を含む22医療機関から被害報告があり、千葉市、柏市、八千代市などを中心に影響が確認された。内閣府は多数の住民が生命・身体に危害を受ける、またはその恐れがあるとして、千葉県の21市4町、計25市町に災害救助法を適用した。厚労省は14日、被災者の保険診療や診療報酬に関する特例措置を通知した。避難時にマイナンバーカードや資格確認書を紛失、または自宅に残した場合でも、氏名、生年月日、連絡先に加え、被用者保険では事業所名、国保・後期高齢者医療では住所などを申し立てれば保険診療を受けられる。医療機関は可能な限り保険者を確認した上でレセプト請求するが、特定できない場合も住所や事業所名、連絡先などを記載して請求できる。被災者受け入れに伴う診療報酬上の特例も適用される。許可病床数を超えて患者を受け入れても減額措置を適用せず、DPC病院も従来通り診断群分類点数表による算定が可能となる。患者急増や災害支援への職員派遣によって看護配置や夜勤時間などの施設基準が一時的に満たせなくなった場合も、一定範囲では変更届を不要とする。また、被災医療機関からの転院患者については、平均在院日数や重症度、医療・看護必要度などの算定から除外できる場合があり、ICU・HCUにやむを得ず本来の対象外患者を収容した場合も特例が設けられた。そのほか、避難所で継続的な診療が必要な通院困難患者には、条件を満たせば在宅患者訪問診療料の算定も認められる。その一方で、保団連は医療機関や介護施設、在宅人工呼吸器・酸素療法、人工透析患者への電力・水供給の早期確保、医薬品・医療材料の供給、被災者の医療費窓口負担免除などを政府に要望した。豪雨災害では直接的な外傷だけでなく、停電・断水による透析や在宅医療の継続困難、慢性疾患治療の中断も重要な課題となる。 参考 1) 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に係る災害救助法の適用について(内閣府) 2) 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害の被災者に係るマイナ保険証又は資格確認書の提示等について(厚労省) 3) 千葉豪雨 県内の22の医療機関から被害報告 厚労省(テレビ朝日) 4) 千葉の大雨、死者8人に…被災者の“医療費免除”と“最大850万円の支給”を医師団体が国に緊急要望(弁護士JPニュース) 5) 2026年8月13日からの千葉県を中心とする大雨被害、保険診療受診や診療報酬算定に関する特例を適用-厚労省(Gem Med) 3.地域ごとに「推奨薬」選定へ 地域フォーミュラリ普及を本格化/厚労省厚生労働省は、地域ごとに使用を推奨する医薬品を定める「地域フォーミュラリ」の普及を本格化させる。今秋をめどに、医療関係者らを対象とした全国説明会を開き、制度への正確な理解を広げる方針。地域フォーミュラリは、高血圧、脂質異常症、胃潰瘍などの治療薬について、有効性、安全性、費用、供給状況などを踏まえ、地域で推奨する医薬品をリスト化する仕組み。院内フォーミュラリと異なり、病院だけでなく診療所や薬局も含む地域全体で運用する。医師の処方権を制限するものではなく、標準的な薬物療法の共有、後発医薬品の適正使用、医薬品の安定供給を目的とする。日本フォーミュラリ学会によると、2026年2月時点で18都道府県30地域に導入が済んでおり、31地域が準備中。大阪府八尾市ではスタチンなど10薬効群、茨城県つくば地域では14薬効群について策定している。学会も31薬効群の「モデルフォーミュラリ」を公開しており、各地域はこれを参考に独自の事情を加味して策定できる。2026年度診療報酬改定では、医科・調剤の施設基準に、地域の医療機関、薬局、関係団体と医薬品の品目情報を共有し、安定供給に向けた事前の取り決めを行うことが望ましいとの考え方が盛り込まれた。現時点では努力目標だが、国が地域フォーミュラリを政策的に後押しする姿勢が鮮明になった。厚労省は全都道府県に医師会や薬剤師会などが参画する検討会の設置を求める。普及の背景には医療費適正化に加え、後発薬の供給不安や災害対応がある。健保連は2019年、高血圧、脂質異常症、糖尿病で後発薬への切り替えが進めば、全国で年間3,100億円の薬剤費削減につながると試算している。また、地域で使用薬をある程度集約すれば、薬局の在庫負担軽減や供給途絶時の代替、災害時の備蓄・配送にも役立つ。今後は、地域の実情を反映しながら、医師の処方判断とどう両立させるかが普及の鍵となる。 参考 1) 地域フォーミュラリ、厚労省が「全国説明会」今秋、医療関係者ら向けも(MEDIFAX) 2) 高血圧・脂質異常症・胃潰瘍…地域ごとに異なる「使用が推奨される医薬品」、リスト作りを国が推進(読売新聞) 3) 報酬改定も策定を後押し、広がる地域フォーミュラリ(日経メディカル) 4.チルゼパチドの薬価25%減 低価格化による不適正使用を懸念/リリー日本イーライリリーは、2型糖尿病治療薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ皮下注)の薬価が8月1日付で25%引き下げられたことを受け、「画期的な医薬品に対する不当に不利益な対応」とする声明を発表した。今回の引き下げは、販売額が想定を上回った医薬品の価格を調整する「持続可能性特例価格調整」の適用によるもの。厚生労働省によると、同薬の保険診療での年間販売額は1,000~1,500億円規模に達している。薬価は2.5mg製剤で1本1,443円、15mg製剤で8,658円となった。リリーは、日本の価格は従来からG7で最も低い水準にあり、今回の引き下げにより同規模の経済圏でも最低水準になるとしている。同社は低価格化により、適応外となる痩身目的での不適正使用、海外からの医療ツーリズム、利益目的の買い占めや海外転売が拡大し、本来治療を必要とする2型糖尿病患者への安定供給に影響する可能性があると警告。政府に海外転売を厳格に規制する措置を求めている。チルゼパチドは週1回投与のGIP/GLP-1受容体作動薬で、食欲を抑制する作用も有する。わが国では2023年に2型糖尿病治療薬として発売されたほか、2025年には肥満症治療薬として別製品が発売されている。その一方で、糖尿病治療用製剤を美容・ダイエット目的で自由診療に使用する例が広がっており、適応外使用に伴う健康被害や、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性も指摘される。リリーは、今回の薬価引き下げについて、研究開発や国内投資の予見可能性を損ない、将来的なドラッグラグ・ドラッグロスにつながる恐れもあると主張している。高額な革新的医薬品による医療費増大への対応と、適正使用、安定供給、創薬イノベーションをどう両立させるか、薬価政策のあり方が改めて問われている。 参考 1) マンジャロの大幅な薬価引き下げに対する声明を発表~国際競争下における日本への長期的投資の持続のために、そして患者さんがイノベーションを享受するためには、予見可能で透明性の高い政策環境が不可欠~(日本イーライリリー) 2) 糖尿病薬マンジャロ「インドより安い」 不適正使用の助長に懸念(日経新聞) 3) 英アストラゼネカCSO 革新医薬への支出「先進国で公平負担を」(同) 4) リリー、マンジャロ薬価引き下げは「不当に不利益な対応」(AnswersNews) 5.MMR混合ワクチンを個別接種へ 接種率低下と感染拡大に懸念/米国米国のトランプ大統領は8月10日、小児のワクチン接種方針を見直す大統領令に署名した。麻しん、おたふく風邪、風しんを予防するMMR混合ワクチンについて、それぞれを別の機会に接種することを推奨するとともに、すべての小児に一律で推奨するワクチンを従来の17種類から11種類に縮小する方針を示した。A型・B型肝炎、ロタウイルス、髄膜炎菌、インフルエンザ、新型コロナワクチンなどは、医師と保護者による個別判断に移行するとしている。トランプ氏はワクチン接種数の増加と自閉症との関連を示唆しているが、米国小児科学会は「数百万人を対象とした多くの研究で関連がないことが示されている」と反論し、今回の見直しを「危険で誤解を招く」と批判している。WHOも、ワクチンと自閉症との因果関係を示す証拠はなく、MMRを単独接種に分ける医学的利点を裏付ける根拠もないとしている。さらに、麻しん・風しん・おたふく風邪の単独ワクチンは現在米国内では入手ができず、分割接種には製造体制の整備が必要となる。接種回数や受診回数の増加により、接種完遂率が低下するとの懸念も強い。米国では今年、8月6日時点で麻疹患者が2,465人に達しており、専門家はワクチン忌避の拡大がさらなる流行につながる可能性を警告している。なお、接種義務の決定権は各州にあり、大統領令のみでただちに接種スケジュールや保険適用が変更されるわけではない。 参考 1) 米、混合ワクチンを個別接種に 推奨対象も削減(共同通信) 2) 「ワクチンと自閉症が関連」が持論のトランプ氏、混合ワクチンを別々に接種する方針打ち出す…感染リスク拡大の恐れ(読売新聞) 3) 米医師ら、トランプ氏の大統領令に懸念 家庭でのワクチン離れにつながるか(CNN) 6.沢井製薬が46品目販売中止、低薬価・設備老朽化で安定供給が課題に/沢井沢井製薬は、後発医薬品22成分46品目について、在庫がなくなり次第、順次販売を中止すると医療関係者に通知した。大半は安定供給体制の構築と生産効率改善を目的とした製品構成の見直しによるもので、一部は協業する日医工グループ製品などへ統合する。対象にはアテノロール、アマルエット配合錠、アルファカルシドール、エバスチン、クアゼパム、テルミサルタンOD錠、ドネペジル、ニフェジピン、フルボキサミン、ブロナンセリン、メマンチンなど、日常診療で処方される薬剤も多数含まれる。沢井製薬は各品目について代替品・代替候補品を提示している。たとえばアマルエット配合錠はアムロジピンとアトルバスタチンの単剤、セチリジンOD錠は通常錠、ドネペジル錠は同社OD錠への切り替えが候補とされている。在庫消尽時期は品目ごとに異なり、多くは2027年4月だが、プロブコールは2026年10月、ザルトプロフェンやプロピベリン20mgは同年11月、ニフェジピンカプセルは2028年3月とされる。その一方で、アテノロールやアルファカルシドール、クアゼパムなどはすでに供給停止中となっている。経過措置期間の満了は2028年3月の予定。背景には後発薬業界の構造的な供給問題がある。日本製薬団体連合会の調査では、医療上の必要性が高い2,882品目のうち255品目、約9%で将来の供給継続が困難と回答された。主因は薬価低下や製造設備の老朽化であり、なかには全身麻酔薬や注射用抗菌薬など重要薬も含まれている。臨床現場では今後、単なる銘柄変更だけでなく、剤形や規格、配合剤から単剤への変更が必要となるケースもあり、処方時には院内採用品や地域薬局の在庫状況を含めた確認が求められる。 参考 1) 販売中止品目のお知らせ(沢井製薬) 2) 沢井製薬、後発薬46品目を販売中止へ 供給安定へ製品構成見直し(日経新聞) 3) 沢井製薬が46品目、高田製薬が31品目を販売中止に(日経メディカル) 4) 重要度高い薬「供給継続できず」1割 低薬価や老朽化で、日薬連調査(日経新聞) 5) 医療用医薬品供給状況報告(厚労省)