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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、今も打つ意味があるのでしょうか。JAMA誌に発表された最新の系統的レビュー論文は、2025年8月以降に公表された155本の研究を総ざらいし、ワクチンが高齢者・妊婦・乳幼児・持病のある人で入院リスクをおおむね半分に減らし続けていること、そして新たな安全性の懸念は見つからなかったことを報告しました1)。いまも「風邪」で終わらない病気新型コロナは、すでに「ただの風邪」になったと感じている方も多いかもしれません。しかし、米国の2024~25年シーズンだけで、推定1,040万~1,670万例が感染し、29万~45万例が入院、3万4千~5万3千例が亡くなったと報告されています。入院率が最も高いのは75歳以上で、次いで生後6ヵ月未満の赤ちゃんです。そしてコロナ関連死の88.4%は65歳以上に集中しています。つまり「重症化しやすい人」がはっきりしている病気なのです。今回のレビューは、米国の研究チームが2025年8月~2026年6月末に発表された論文1万1,829本から、質の基準を満たした155本を選び、最新の流行に合わせて更新されたワクチンの効果と安全性をまとめたものです。入院リスクは「およそ半分」結果をそれぞれ数字で見てみましょう。ワクチンの有効率(VE)とは、「接種した人が、しなかった人と比べて発症などのリスクをどれだけ減らせたか」を示す割合です。65歳以上の高齢者:2025~26年シーズンのワクチンで、コロナ関連の入院リスクが53.0%低下。集中治療室(ICU)入室に対しては57.0%、人工呼吸や院内死亡に対しては73.0%の減少が報告されています。18〜64歳の成人:入院リスクが54.0%低下(2024~25年シーズン)。妊娠中の接種:妊婦本人の救急外来受診が58.0%減少。さらに生まれてきた赤ちゃんの生後2ヵ月間のコロナ関連の受診も50〜54%減りました。妊娠のどの時期に打っても効果がみられています。生後9ヵ月~4歳の乳幼児:救急外来受診が76.0%減少。免疫能が低下している人(透析患者など):ICU入室や死亡といった重篤な結果が32~53%減少。医療従事者:3~5回接種した人は2回だけの人に比べ、検査で確認された感染が41.0%、いわゆる「コロナ後遺症」も57.0%少なくなっていました。注意すべきは、これらは「感染そのものをゼロにする」数字ではないことです。ワクチンの主な役割は、たとえ感染しても入院や死亡といった深刻な事態を避けることにあり、その効果は「おおむね半分に減らす」と覚えておくとよいでしょう。安全性はどうだったかワクチンの話題になると必ず出てくるのが副反応の懸念です。今回のレビューでは、心筋炎・心膜炎、心筋梗塞、ギラン・バレー症候群、脳卒中、血栓症といった「特に注目すべき有害事象」について、150万例を超える米国退役軍人のデータを含む複数の大規模研究を検証しました。結論は「新たな安全性の懸念は見つからなかった」というものです。心筋炎については、若い男性で2回目接種後にリスクが上がるという報告が以前からあり、米国では2022年2月に接種間隔を延ばす指針の変更が行われています。今回のレビューで心筋炎リスクの上昇を報告した研究は、いずれもこの変更前に接種した人を対象としたもので、変更後に限って調べた研究では新たなリスク上昇は報告されていません。妊婦では、死産、早産、低出生体重児のいずれも増加はみられず、むしろ早産はわずかに少ないという結果でした。インフルエンザワクチンとの同時接種でもリスク上昇は確認されていません。もちろん限界もあります。多くが観察研究であり、接種する人としない人の背景の違いを完全には取り除けません。また、これは米国のデータであり、接種状況や流行が異なる日本にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、私たちが知っておきたいのは以下の点です。コロナは今も高齢者や乳幼児にとって重い病気であり、更新されたワクチンは重症化リスクをおおむね半分に減らし、その安全性は膨大なデータで裏付けられ続けている、ということです。とくに65歳以上の方、妊娠中の方、持病で免疫が下がっている方は、秋の流行シーズン前にかかりつけ医と接種について相談する価値があるでしょう。1)Lipson RA, et al. COVID-19 vaccine effectiveness and safety for the 2026-2027 respiratory season. JAMA. 2026 Sep 2. [Epub ahead of print]2)Wiegand RE, et al. Interim estimated effectiveness of 2025-2026 COVID-19 vaccines in adults using a test-negative design. JAMA Netw Open. 2026;9:e2625152.3)Ma KC, et al. Estimated effectiveness of 2024-2025 COVID-19 vaccination against severe COVID-19. JAMA Netw Open. 2026;9:e2557415.4)Eide HN, et al. COVID-19 mRNA vaccination in pregnancy and risk of infection in early childhood. Pediatrics. 2026;157:e2025073661.5)Irving SA, et al. Effectiveness of 2024-2025 COVID-19 vaccines in children in the United States-VISION, August 29, 2024-September 2, 2025. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2025;74:607-614.