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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第43回

第43回:二次性高血圧症の考え方と検索法監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 高血圧患者の多くに明確な病因はなく、本態性高血圧に分類されます。しかし、このうち5~10%の患者については二次性高血圧症の可能性があり、潜在的かつ治療可能な原因を含みます。この二次性高血圧症の有病率および潜在的な原因は、年齢によって異なりますので今回の記事で確認してみましょう。 また、国内では「高血圧治療ガイドライン2014」2)が出ているので、この機会に併せてご覧ください。 以下、American family physician 2017年10月1日号1)より【疫学】二次性高血圧症は潜在的に治療可能な原因を伴う高血圧症で、高血圧の症例の5~10%とわずかな割合しか占めていない。二次性高血圧の罹患率は年齢によって異なり、18~40歳の高血圧患者では30%に近い有病率で、若年者ではより一般的である。すべての高血圧症患者において、二次性高血圧の網羅的な検査が勧められるわけではないか、30歳未満の患者では、詳細な検査が推奨される。【二次性高血圧を疑い評価を考慮する場合】*これまで安定していた血圧が急に高値になった場合思春期前に高血圧を発症した場合高血圧の家族歴がなく、非肥満性で非黒人の30歳未満の場合(末梢臓器障害の徴候を伴う)悪性高血圧もしくは急速進行の高血圧の場合重症高血圧(収縮期血圧>180mmHgおよび/または拡張期血圧>120mmHg)または、ガイドラインに準じて1つの利尿薬を含む3つの適切な降圧薬使用にもかかわらず持続する治療抵抗性の高血圧【アプローチ】(1)まずは正確な血圧測定の方法を確認し、食生活や肥満による高血圧を除外する(2)既往歴、身体診察、検査(心電図、尿検査、空腹時血糖、ヘマトクリット、電解質、クレアチニン/推定糸球体濾過率、カルシウム、脂質)を確認する(3)二次性高血圧を疑う症状/徴候があれば、以下の表のように検索をすすめる画像を拡大する(4)二次性高血圧を疑う症状/徴候がなくても、上記の二次性高血圧を疑い評価を考慮する場合(*の項目を参照)は下記を考え、検索をすすめる【二次性高血圧の年齢別の一般的な原因】11歳までの子ども(70~85%):腎実質疾患、大動脈縮窄症12~18歳の青年(10~15%):腎実質疾患、大動脈縮窄症19~39歳の若年成人(5%):甲状腺機能不全、線維筋性異形成、腎実質疾患40~64歳の中高年(8~12%):高アルドステロン症、甲状腺機能不全、閉塞性睡眠時無呼吸、クッシング症候群、褐色細胞腫65歳以上の高齢者(17%):アテローム硬化性腎動脈狭窄、腎不全、甲状腺機能低下症【二次性高血圧の稀な原因】強皮症、クッシング症候群、大動脈縮窄症、甲状腺・副甲状腺疾患、化学療法薬、経口避妊薬※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Am Fam Physician. 2017 Oct 1; 96:453-461. 2) 高血圧治療ガイドライン2014

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ASCO-GI2018レポート

レポーター紹介2018年1月18日から1月20日まで米国サンフランシスコにて米国臨床腫瘍学会消化器がん会議(ASCO-GI)が開かれた。初日こそ雨であったものの、2日目、3日目は快晴であり過ごしやすい日程であった。学会ではOral Presentation、Poster Presentation、Rapid-Fire Abstract Session、Trials in Progress Sessionなどに分けられ、大規模臨床試験の結果だけでなく、小規模なデータや現在試行中の臨床試験の紹介も行われた。本稿では、そのなかのいくつかを紹介する。RAINFALL試験 抗VEGFR-2抗体であるラムシルマブ(RAM)は、RAINBOW試験、REGARD試験により胃がんに対する有効性が証明され、現在では本邦、NCCN、ESMOの胃がん治療ガイドラインにおいて、標準的な2次化学療法として位置付けられている。RAINFALL試験はRAMを1次治療として使用したときの効果、安全性を検証する第III相無作為化比較試験である。対象は、前治療歴のないHER2陰性胃がん・胃食道接合部がん症例であり、RAM+カペシタビン+CDDP(RAM群)、Placebo+カペシタビン+CDDP(Placebo群)に1:1に無作為割り付けされた。主要評価項目はPFSであり、副次評価項目はOS、RR、Safety、QOL、PK profileであった。全体で645例が登録され、326例がRAM群、319例がPlacebo群に割り付けられた。主要評価項目であるPFSは、RAM群5.72ヵ月、Placebo群5.39ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.61~0.94、p=0.011)であり、統計学的に有意な結果であった。副次評価項目であるOSは、RAM群11.17ヵ月、Placebo群10.74ヵ月(HR 0.98、95%CI:0.80~1.16、p=0.68)であり両群に有意差を認めなかった。有害事象の解析では、高血圧、血小板減少、食思不振、消化管穿孔、出血、蛋白尿の比率がRAM群で高く認められた。後治療の導入率はRAM群46%、Placebo群51%であり、いずれの群でも2次治療以後にRAMを使用した症例が認められた。PFSはpositiveであったものの、その差はMedianでわずか0.3ヵ月であり、また、OSの延長効果は認められず、全体としてnegativeという趣旨の発表であった。興味深かったのが2次治療導入からのOSの解析であり、2次治療以後でRAMを使用した場合のOSは、RAM群7.7ヵ月、Placebo群8.8ヵ月、また2次治療以後でRAMを使用しなかった場合のOSは、RAM群6.5ヵ月、Placebo群6.7ヵ月であり、2次治療以後でRAMを使用したほうがOSは良好な傾向であった。Discussantはコストについても言及し、今回得られたPFSの延長0.3ヵ月(=9日)のためにかかるコストは、体重70kgの場合、1サイクルで7,457ドル、9サイクルで6万7,112ドルであり、その意義について疑問を呈していた。胃がんに対する1次治療としてのRAMはnegativeであったわけだが、今後の胃がん1次治療の新たな展開としては現在、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験が進められており、本学会においても、ニボルマブ+イピリムマブ、ニボルマブ+化学療法(XELOX or FOLFOX)、化学療法の3群の比較試験 (CheckMate-649, TPS 192)や 、FOLFOX、XELOXでInduction治療を行った後に維持療法として同じ治療を継続するか、抗PD-L1抗体であるアベルマブに変更するかを比較するJAVELIN試験(TPS 195)などが、Trials in Progress Sessionにおいて紹介されていた。RAINFALL: A randomized, double-blind, placebo-controlled phase III study of cisplatin (Cis) plus capecitabine (Cape) or 5FU with or without ramucirumab (RAM) as first-line therapy in patients with metastatic gastric or gastroesophageal junction (G-GEJ) adenocarcinoma. (Abstract No.:5)Charles SREVERCE試験 本邦で行われたREVERCE試験がRapid-Fire Sessionで報告された。現在、進行再発大腸がんにおけるガイドラインにおいては、セツキシマブ(C)などの抗EGFR抗体の後にレゴラフェニブ(R)を使用することが勧められている。一方、治療早期にRを使用することにより良好な効果が得られることも報告されており、CとRのより適正な投与順序を探索する本試験が行われた。対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンなどの標準治療に不耐、不応となった、KRASもしくはRAS野生型の進行再発大腸がんであり、R→Cの順番で治療を行うR-C群と、C→Rの順番で治療を行うC-R群に無作為化割り付けされた。主要評価項目はOS、副次評価項目はTTF、PFS、RR、DCR、AE、QOLであった。当初180例の登録と132のイベントが必要とされたが、101例で登録終了となり、今回その結果が報告された。主要評価項目のOSは、R-C群17.4ヵ月、C-R群11.6ヵ月であり、R-C群において有意に良好であった(HR:0.61、95%CI:0.39~0.96、p=0.029)。先に行う治療のPFS(PFS1)は、R-C群(R)2.4ヵ月、C-R群(C)4.2ヵ月であり、後に行う治療のPFS(PFS2)はR-C群(C)5.2ヵ月、C-R(R)群1.8ヵ月であった。奏効率はRでは4.0%(R-C群)、0.0%(C-R群)、Cは20.4%(R-C群)、27.9%(C-R群)と、それぞれほぼ既報の通りであった。RをCの前に投与することでOSの延長がみられた、ということが今回の結果である。その機序であるが、PFSの比較をみるとR後のCのPFSが良好な印象である。Rの投与により、AKT系などさまざまな分子生物学的な変化が腫瘍細胞に起こることが基礎研究で明らかになっており、これらの変化がCの効果を増強した可能性は考えられるかもしれない。試験としては予定された症例数に満たず、Under Powerであることは念頭に置く必要があるが、これまで広く行われてきた治療方針と違う結果が示されたということは、その機序も含め、非常に興味深いところである。Reverce: Randomized phase II study of regorafenib followed by cetuximab versus the reverse sequence for metastatic colorectal cancer patients previously treated with fluoropyrimidine, oxaliplatin, and irinotecan.)(Abstract No.:557)Kohei ShitaraSAPPHIRE試験 RAS野生型進行再発大腸がんにおいてパニツムマブ(pani)+mFOLFOX6は標準治療の1つであるが、オキサリプラチン継続に伴う末梢神経障害は、患者のQOLを低下させるだけでなく、治療意欲の減退、治療継続性にも影響しうる重要な有害事象である。本試験は6コースのpani+mFOLFOX6を行った後に、そのまま同じ治療を継続するA群と、7コース目からはオキサリプラチンを休薬し、pani+5-FU+LVとして治療を継続するB群との2つの群を設定した無作為化第II相試験である。主要評価項目は無作為化後9ヵ月時点での無増悪生存率(PFS rate)であり、副次評価項目はPFS、OS、TTF、Safetyが設定された。本試験は2つの治療群のそれぞれの成績を検証するParallel-group studyという形がとられ、閾値30%、期待値50%、片側 α 値 0.10として各群50例、全体で100例の無作為化が必要な統計学的計算であった。164例が登録され、6コースのpani+FOLFOX後に腫瘍進行や手術移行などによる脱落を除いた113例がA群(56例)とB群(57例)に無作為化割り付けされた。主要評価項目である無作為化後9ヵ月(治療開始から約12ヵ月)時点でのPFS rateは、A群46.4%(95%CI:38.1~54.9、p=0.0037)、B群47.4%(95%CI: 39.1~55.8、p=0.0021)であり、両群ともに主要評価項目を満たした。副次評価項目であるPFSはA群9.1ヵ月、B群9.3ヵ月、RRはA群80.4%、B群87.7%であり、両群で近似した治療成績であった。Grade2末梢神経障害は、A群10.7%に対してB群1.9%であり、オキサリプラチンを早期で終了したB群において少なかった。昨年publishされたPan-Asian adapted ESMO consensus guidelinesにおいて、RAS野生型進行再発大腸がんにおいて原発巣が左側であれば1次治療からの抗EGFR抗体+doubletの使用が推奨され、本邦の各施設において同治療を行う機会は増えてくると予想される。そのときに、効果、有害事象をみながらであるが、早期にオキサリプラチンを中止し、pani+5-FU+LVという形で治療を継続しても、効果は大きくは落ちないことを示唆した結果であり、臨床での応用性は高いと考えられる。SAPPHIRE: A randomized phase II study of mFOLFOX6 + panitumumab versus 5-FU/LV + panitumumab after 6 cycles of frontline mFOLFOX6 + panitumumab in patients with colorectal cancer.(Abstract No.:729)Masato Nakamuraまとめ本稿では殺細胞薬、分子標的治療薬の演題につき報告したが、免疫チェックポイント阻害剤の話題も多くあり消化管、肝胆膵領域の化学療法も新たな時代に移ろうとしているのを実感した学会であった。

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NSCLC2次治療以降のS-1、ドセタキセルに非劣性(East Asia S-1Trial in Lung Cancer)/Ann Oncol

 最近の分子標的療法や免疫療法の進歩にもかかわらず、化学療法は依然として進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療における実質的な選択肢である。進行NSCLC患者の2次または3次治療において、S-1の有効性をドセタキセルと比較した、軒原 浩氏らによるEast Asia S-1Trial in Lung Cancer試験の結果が、Annals of Oncology誌2017年11月1日号に掲載された。 East Asia S-1 Trial in Lung Cancer試験は無作為化オープンラベル第III相非劣性試験。日本、中国、香港、シンガポール、台湾などの84施設で行われた。・対象患者:1回以上のプラチナベース化学療法を受けた進行NSCLC患者。・試験薬:S-1(80~120mg /日)6週間サイクル1〜28日目投与。・対象薬:ドセタキセル(75mg/m2、日本のみ60mg/m2)3週間サイクル1日目投与。・評価項目:全生存期間(OS)。非劣性マージンはハザード比(HR)1.2。 主な結果は以下のとおり。・1154例の患者が登録され、S-1群とドセタキセル群に1対1に無作為に割り付けられた。・患者背景は両群で同等であった(日本人が6割以上を占め、前治療例は1回が6割超、2回が3割超)。・OS中央値は、S-1群12.75ヵ月、ドセタキセル群12.52ヵ月であった(HR:0.945、95%CI:0.833~1.073、p=0.3818)。・HRの95%CIの上限1.2を下回り、ドセタキセルに対するS-1の非劣性を確認した。・無増悪生存期間は、S-1群2.86ヵ月、ドセタキセル群2.89ヵ月で、両群間で差はなかった(HR:1.033、95%CI:0.913~1.168、p=0.6080)。・奏効率はS-1群8.3%、ドセタキセル群9.9%であった(p=0.3761)。・EORTC QLQ-C30によるQOLは、全観察時点でS-1群が上回っていた。・頻度の高い有害事象はS-1群では食欲不振(50.4%)、悪心(36.4%)、下痢(35.9%)、ドセタキセル群では好中球減少症(54.8%)、白血球減少症(43.9%)、脱毛(46.6%)であった。

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大腸がんの高齢者、心血管疾患発症率が約3倍

 大腸がんの高齢者は、心血管疾患(CVD、脳卒中および心筋梗塞)およびうっ血性心不全(CHF)を発症する危険性が高いことを、米国アラバマ大学のKelly M. Kenzik氏らが報告した。また、糖尿病や高血圧が化学療法と相互に影響し、心血管疾患の罹患リスクを高めることが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2018年1月16日号に掲載。 著者らは、SEER-Medicareデータベースから、2000年1月1日~2011年12月31日にStage I~IIIの大腸がんを発症した65 歳以上の7万2,408例を評価し、またメディケアのがん以外の患者コホートからマッチさせた7万2,408例と比較した。 主な結果は以下のとおり。・大腸がん診断時の年齢中央値は78歳(範囲:66~106歳)で、診断後の追跡期間中央値は8年であった。・新規のCVDおよびCHFの10年累積発症率は、対照群の22%および18%に対し、大腸がん患者群では57.4%および54.5%であった(p<0.001)。・CVDでは高血圧と化学療法との交互作用が有意であり(p<0.001)、CHFでは糖尿病と化学療法との交互作用が有意であった(p<0.001)。・CHFのハザードは、診断から2年以内で、カペシタビン単独治療がフルオロウラシル単独治療と比べて高かった(ハザード比[HR]:3.65、95%CI:2.76~4.38)。・一方、CVDのハザードは、診断から2年以内および2年超とも、フルオロウラシル単独治療がカペシタビン単独治療と比べて高かった(2年以下のHR:0.63、95%CI:0.53~0.75、2年超のHR:0.72、95%CI:0.62~0.84)。

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NSCLCのニボルマブ、2年後もドセタキセルに対しOS改善(CheckMate-017、057プール解析)/JCO

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)においてニボルマブとドセタキセルを比較した2つの第III相試験(扁平上皮がんでのCheckMate-017非扁平上皮がんでのCheckMate-057)のプール解析の更新結果が報告され、ニボルマブはドセタキセルと比較し全生存期間(OS)を延長していることが示された。 患者はプラチナベース化学療法で進行したStageIIIB / IVのNSCLC。ニボルマブ(3mg/kg 2週間ごと)とドセタキセル(75mg / m2 3週間ごと)に1対1に割り付けられ、扁平上皮がん272例、非扁平上皮がんは582例、追跡期間は24.2ヵ月以上であった。 主な結果は結果のとおり。・扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ23%(16~30%)に対し、ドセタキセル8%(4~13%)であった。・非扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ29%(24~34%)に対しドセタキセルは16%(12~20%)であった。・ニボルマブでは扁平上皮がんの27例中10例(37%)、非扁平上皮がんの56例中19例(34%)で2年後も奏効が持続したが、ドセタキセル群ではいずれの組織型でも奏効持続はみられなかった。・ニボルマブのドセタキセルに対する相対的死亡リスク減少は、28%(HR:0.72、95%CI:0.62~0.84)であった。・治療関連有害事象発現は、全Gradeでニボルマブ68%、ドセタキセル88%。Grade3/4でニボルマブ10%、ドセタキセル55%と、ニボルマブで少なかった。

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卵巣がんアジュバント、腹腔内温熱化療で生存延長/NEJM

 StageIII上皮性卵巣がんの患者において、術前補助化学療法後の中間期腫瘍減量手術に、シスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで、無再発生存期間、全生存期間ともに延長することが示された。副作用の発現率も有意に高率とはならなかった。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのWillemien J.van Driel氏らが、245例を対象に行った第III相多施設共同非盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年1月18日号で発表した。新規診断の進行卵巣がんでは、通常、腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる。中間期腫瘍減量手術+シスプラチンによるHIPEC 研究グループは、2007年4月~2016年4月に、オランダとベルギーの8施設で、StageIII上皮性卵巣がんで術前補助化学療法としてカルボプラチン(曲線下面積5~6mg/mL/分)とパクリタキセル(175mg/m2)の投与を3サイクル実施後、病勢が安定以上だった245例を登録して試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、中間期腫瘍減量手術に追加して、一方にはシスプラチン(100mg/m2)によるHIPECを行い、もう一方には行わなかった。 無作為化は、手術で肉眼的病変が消失すると判断された症例(完全腫瘍減量手術)や、術後に径10mm以下の腫瘍が1つ以上残存すると判断された症例(最善の腫瘍減量手術)を対象に、手術が実施可能とみなされた時点で行った。術後に、カルボプラチンとパクリタキセルの投与をさらに3サイクル行った。 主要評価項目は無再発生存期間。キー副次評価項目として、全生存期間と副作用プロファイルを評価した。再発・死亡リスクはHIPEC追加群で約0.66倍に intention-to-treat解析の結果、再発または死亡の発生は、非HIPEC(手術単独)群89%(123例中110例)に対し、HIPEC(手術+HIPEC)群は81%(122例中99例)だった(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87、p=0.003)。 無再発生存期間の中央値は、手術単独群10.7ヵ月、手術+HIPEC群は14.2ヵ月だった。 中央値4.7年の追跡期間中、死亡の発生は手術単独群76例(62%)、手術+HIPEC群は61例(50%)だった(HR:0.67、95%CI:0.48~0.94、p=0.02)。全生存期間中央値は、手術単独群33.9ヵ月、手術+HIPEC群は45.7ヵ月だった。 なお、Grade3または4の有害事象の発現頻度は、手術単独群25%、手術+HIPEC群27%で同程度だった(p=0.76)。

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ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(KEYNOTE-189)

 Merck社は2018年1月16日、転移性非扁平上皮性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療の第III相KEYNOTE-189試験において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチンの併用が、主要評価項目である全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。独立データモニタリング委員会による中間解析では、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ化学療法との併用は、ペメトレキセド+プラチナ化学療法単独よりもOSおよびPFSを延長した。この併用におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは以前の報告と一致していた。KEYNOTE-189の結果は、今後の医学会議で発表され、規制当局に提出される。 KEYNOTE-189試験は、PD-L1発現を問わない上記患者614例をペムブロリズマブ+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン群とペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン群に2対1に無作為に割り付け、病勢進行あるいは忍容できない毒性を示すまで投与継続された(ペムブロリズマブ200mg、ペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5を3週ごと4サイクル、その後はペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごと)。主要評価項目はOSとPFS、副次評価項目は、全奏効率(ORR)および奏効時間(DOR)であった。病勢進行したコントロール群患者は、クロスオーバが許可された。■参考KEYNOTE-189試験(Clinical Trials.gov)Merck社ニュースリリース

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PARP阻害剤オラパリブ卵巣がんに国内承認~BRCA変異問わず~

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年1月19日、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」を効能・効果とした本邦初のPARP阻害剤オラパリブ(商品名:リムパーザ錠)の国内における製造販売承認を取得したと発表。オラパリブは世界初のPARP阻害剤 オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)機能を活用した新規の作用機序を持つ世界初のPARP阻害薬。DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に特異的に細胞死を誘導する画期的な作用機序を有する。 再発卵巣がんは根治が困難なことから、延命やQOLの改善を目的とした治療が行われるが、オラパリブはがん細胞に特異的にはたらく分子標的薬であるため、良好な安全性プロファイルを保ちながら、病勢進行や死亡のリスクを下げることが期待される。 同剤は、米国食品医薬品局(FDA)から、プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの維持療法、3回以上の化学療法の治療歴がある病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系列BRCA(gBRCA)遺伝子変異陽性進行卵巣がん、さらにgBRCA遺伝子変異陽性転移乳がんの承認を取得。欧州連合(EC)からは、BRCA遺伝子変異陽性のプラチナ製剤感受性再発卵巣がんの維持療法の承認を受けている。また日本では、BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がんに承認申請中である。PARP阻害剤オラパリブの無償提供 アストラゼネカは、再発卵巣がん患者の緊急の要望に応えるために、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもとで、PARP阻害剤オラパリブの無償提供を実施する。 本剤の提供は、適正使用の観点より、本剤開発治験実施施設等の限定された施設において、承認された適応、用法・用量に従ってのみ使用すること、無償提供期間中に弊社が実施する市販直後調査に準じた活動を含む適正使用推進等の各種安全対策にご協力することを理解・合意し、無償提供を希望する施設でのみ実施する。また、本剤提供は製造販売承認取得日以降、各施設での準備が整った時点から開始し薬価収載前日に終了する。

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FDA、変異転移性乳がんにオラパリブ承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2018年1月12日、過去に術後補助療法あるいは転移がんへの治療として化学療法を受けた病的変異または病的変異が疑われる生殖細胞系列BRCA(gBRCA)遺伝子変異陽性/HER2陰性(HER2-)の転移を有する乳がん治療に対するPARP阻害薬オラパリブを本承認した。 今回の承認は、オープンラベル多施設試験OlympiADの結果に基づくもの。この試験では、上記患者302例をオラパリブ群と医師選択の化学療法(カペシタビン、ビノレルビンまたはエリブリン)群に2対1で無作為割り付けし、比較した。主要有効性評価項目は、盲検独立中央評価(BICR)評価による無増悪生存(PFS)。結果、推定PFS中央値はオラパリブ群7.0ヵ月、化学療法群4.2ヵ月と、有意にオラパリブ群で延長した(HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。オラパリブ群でよくみられた(20%以上)有害事象は、貧血、悪心、疲労(無力症含む)、嘔吐、好中球減少症、白血球減少症、気道感染、下痢、敗血症、関節痛/筋肉痛、頭痛などであった。 FDAはまた、オラパリブの適応となgBRCA変異乳がん患者を特定するため、BRACAnalysis CDx検査(Myriad Genetic Laboratories、Inc.)に販売許可を付与した。■参考FDAアナウンスメントOlympiAD試験(Cinical Trials.gov)Robson M, et al. N Engl J Med. 2017. June 4. [Epub ahead of print]■関連記事PARP阻害薬olaparib、BRCA変異乳がんの生存を42%改善/ASCO2017OlympiAD試験(解説:矢形 寛氏)

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米国で乳がん死減少、寄与した因子は?/JAMA

 米国女性の乳がん死亡率は2000年から2012年にかけて減少しており、乳がんの分子サブタイプで異なるものの、その減少にはマンモグラフィ検診および術後補助療法の進歩が寄与していることが示された。米国・スタンフォード大学のSylvia K. Plevritis氏らが、シミュレーションモデル研究により明らかにした。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。6つのCISNETモデルで乳がん死亡率を推定、検診と治療の関連を評価 研究グループは、マンモグラフィ検診や補助療法の最近の進歩を考慮すると、分子サブタイプ別の米国乳がん死亡率に対するそれらの影響の定量化が、疾病負荷の減少につながる今後の指標になりうるとして、6つのCancer Intervention and Surveillance Network(CISNET)モデルにより、2000年から2012年の米国乳がん死亡率をシミュレーションした。シミュレーションでは、単純フィルムとデジタルマンモグラフィの様式と性能、ER/ERBB2特異的治療の普及と有効性、および非乳がん死亡率に関する全国データを用い、複数の米国出生コホートについて行った。 主要評価項目は、2000~12年における30~79歳女性の乳がん死亡率(年齢調整、全体およびER/ERBB2特異的死亡率)で、検診および治療がない場合の推定死亡率(ベースライン死亡率)と比較するとともに、検診および治療の死亡率低下に対する寄与を算出した。死亡率低下の3分の1に検診が寄与 2000年において、乳がんの全死亡率はベースライン死亡率(64例/10万人、モデル範囲:56~73例/10万人)と比較して、37%(モデル範囲:27~42%)低かった。その差のうち、検診の寄与率は44%(同35~60%)を占め、治療の寄与率は56%(40~65%)であった。 2012年では、ベースライン死亡率(63例/10万人、54~73例/10万人)と比較して、49%(39~58%)低かった。その差のうち、検診の寄与率は37%(26~51%)、治療の寄与率は63%(49~74%)であった。さらに治療の寄与率63%の内訳をみると、化学療法が31%(22~37%)、ホルモン療法が27%(18~36%)、トラスツズマブは4%(1~6%)であった。 検診と治療の推定相対寄与率を比較すると、乳がんの分子サブタイプごとに異なっており、ER陽性/ERBB2陰性例では検診36%(24~50%)vs.治療64%(50~76%)、ER陽性/ERBB2陽性例では31%(23~41%)vs.69%(59~77%)、ER陰性/ERBB2陽性では40%(34~47%)vs.60%(53~66%)、ER陰性/ERBB2陰性では48%(38~57%)vs.52%(44~62%)であった。 なお著者は、検診および治療の全死因死亡率等への影響は評価されていないことや、モデルが2012年までの推定に基づいていることなどを研究の限界として挙げている。

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抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、肺がんに国内承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク点滴静注1200mg)に関し2018年1月19日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 アテゾリズマブは米国を含む50ヵ国以上で、化学療法治療歴がある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)ならびに白金製剤ベースの化学療法の治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんに対する承認を取得している。国内では、NSCLCを対象とした7つの臨床試験を実施し、テセントリク単剤または他の薬剤との併用による評価を行っている。また、非小細胞肺がんに加え、小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象とした第III相臨床試験を実施している。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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BiTE抗体ブリナツモマブ、B細胞性ALLに国内申請

 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ スギノ)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦)は、アステラス・アムジェン・バイオファーマがCD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導抗体製剤ブリナツモマブについて、日本で、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として製造販売承認申請を行ったと発表した。 同社のプレスリリースによれば、日本での製造販売承認申請は、海外第III相ランダム化試験(TOWER試験)を含む複数の海外試験および国内第Ib/II相試験結果に基づき行われた。ブリナツモマブはPh- B前駆細胞性成人ALL患者を対象にブリナツモマブと標準化学療法の有効性を検討した第III相無作為化試験TOWER試験で、成人の再発又は難治性のALL患者において、標準化学療法に対する全生存期間の延長が検証されている。 なお、ブリナツモマブは、2017年9月29日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。

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VATS後の肺合併症の長期的影響

 肺がんは、中国におけるがん死亡の主要な原因であるが、同国における肺葉切除術後の肺合併症(pulmonary complicaions、以下PC)の発生率は15~37%にのぼる。さらに、PCが肺がん患者の長期生存に及ぼす影響の研究は少ない。中国Peking University Hospitalでは、術後NSCLC患者のPC発症、重症肺合併症(major pulmonary complicaions、以下MPC)の長期的影響などの特定を試みた。Journal of Thoracic Disease誌2017年12月号の掲載。 Peking University People’s Hospitalで2007年1月~2015年12月に胸腔鏡補助下手術(video-assisted thoracic surgery、VATS)を受けたNSCLC患者コホートのPCを後ろ向きに分析した。・対象患者:術前StageI~IIのNSCLC 828例(年齢18歳以上、ECOG PS0~1、術前補助化学療法施行患者・放射線療法患者などは除外)・評価項目: Kaplan-Meier法を用いたPCの長期予後への影響の解析。多変量ロジスティック回帰分析を用いたMPCの危険因子の解析。 主な結果は以下のとおり。・828例中139例(16.8%)でPCを発症、そのうち66例(8%)がMPC(air leakの遷延、胸腔穿刺を要する胸水貯留、重症肺炎など)であった。・PC発症患者は非発症者に比べ、ドレナージ期間および入院期間が長く(ドレナージ期間:9日対5日、p<0.001、入院期間:12日対6日、p<0.001)、周術期死亡率高かった(4.3%対0.4%、p=0.001)。・MPC発症患者の無病生存期間(DFS)は非発症者に比べて短く、3年DFS率は68.2%対 78.7%、5年DFS率は44.7%対 70.3%であった(p=0.001)。・MPC発症患者の全生存期間(OS)は非発症者に比べて短く、3年OS率は81.8%対88.6%、5年OS率は66.6%対80.9%であった(p=0.023)。・MPCは肺がん患者の独立した予後因子であった。・MPCの独立危険因子は年齢(HR:1.05、p=0.007)、男性(HR:3.33、p=0.001)、およびASA(アメリカ麻酔学会)グレード(ASA2[HR:4.29、p=0.001]、ASA3[HR:6.84、p=0.002])であった。■参考Shaodong Wang, et a;. J Thorac Dis. 2017 Dec.

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アテゾリズマブ、既治療の尿路上皮がんでOS延長せず/Lancet

 PD-L1高発現のプラチナ製剤抵抗性の局所進行/転移性尿路上皮がん患者において、化学療法と比較し、PD-L1阻害薬アテゾリズマブによる全生存期間(OS)の有意な延長は認められなかった。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のThomas Powles氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMvigor211試験」の結果を報告した。プラチナ製剤併用化学療法後に増悪した、局所進行/転移性尿路上皮がんに対する治療の選択肢はほとんどないが、近年、免疫チェックポイント阻害薬の登場により転移性尿路上皮がんの治療は変化してきていた。Lancet誌オンライン版2017年12月18日号掲載の報告。アテゾリズマブ vs.vinflunine/パクリタキセル/ドセタキセルのいずれかで、OSを比較 IMvigor211試験は、主に欧州、北米、アジア太平洋地域の大学病院および地域腫瘍専門病院217施設が参加して実施された。 対象は、プラチナ製剤併用化学療法後に増悪した18歳以上の局所進行/転移性尿路上皮がん患者で、音声自動応答/web登録システム(IXRS)を介し置換ブロック法(ブロックサイズ4)を用いて、3週ごとにアテゾリズマブ(1,200mg静注投与)または化学療法(医師の選択による、vinflunine 320mg/m2静注、パクリタキセル175mg/m2静注、ドセタキセル75mg/m2静注のいずれか)を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けは、PD-L1発現状態(腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現が1%未満[IC0]または1%以上5%未満[IC1]vs.5%以上[IC2/3])、化学療法の種類(vinflunine vs.タキサン系)、肝転移(あり vs.なし)、予後因子の数(0 vs.1~3)で層別化した。患者と試験担当医は、割り付けは認識していた。また、PD-L1発現状態については、患者と試験担当医およびスポンサーは盲検化された。 主要エンドポイントはOSで、事前に規定した母集団について順を追って検証した(IC2/3→IC1/2/3→intention-to-treat集団)。アテゾリズマブと化学療法でOSに有意差なし 2015年1月13日~2016年2月15日に、198施設からの患者931例が無作為化された(アテゾリズマブ群467例、化学療法群464例)。 PD-L1発現5%以上(IC2/3)の患者234例におけるOS中央値は、アテゾリズマブ群11.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.6~15.5、116例)、化学療法群10.6ヵ月(95%CI:8.4~12.2、118例)で、有意差は認められなかった(層別化ハザード比[HR]:0.87、95%CI:0.63~1.21、p=0.41)。 同IC2/3集団における客観的奏効率(ORR)も、アテゾリズマブ群23%(26/113例)、化学療法群22%(25/116例)と同等であった。奏効期間中央値は、アテゾリズマブ群15.9ヵ月(95%CI:10.4~推定不可)、化学療法群8.3ヵ月(95%CI:5.6~13.2)で、アテゾリズマブ群が数値的には長かった(HR:0.57、95%CI:0.26~1.26)。 intention-to-treat集団において、Grade3~4の治療関連有害事象の発現頻度は、アテゾリズマブ群(91/459例、20%)が化学療法群(189/443例、43%)より少なく、治療中止に至った有害事象も少なかった(34例[7%]vs.78例[18%])。アテゾリズマブの安全性プロファイルは化学療法と比較して良好であり、intention-to-treat集団での予備解析の結果は同様の対象集団で実施された第II相試験と一致しており、忍容性が良好で効果の持続が示唆された。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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ニボルマブ1回240mgの固定用量を国内申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年12月22日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、単剤投与の用法・用量に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。 今回の申請は、すでに承認取得している効能・効果「根治切除不能な悪性黒色腫」、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」および「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」において、1回3 mg/kgを2週間間隔で点滴静注する用法・用量から、1回240 mgを2週間間隔で点滴静注する用法・用量への変更を目的としたもの。 その他ニボルマブに関して、悪性黒色腫術後補助療法の適応拡大、切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫に対する効能・効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を,同日申請している。

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サン・アントニオ2017レポート-2

レポーター紹介HER2陽性早期乳がんにおけるtrastuzumab短期投与の意義 –SOLD試験SOLD試験はHER2陽性乳がんに対して、trastuzumab9週間と1年を比較する試験である。DTX+trastuzumab3回→FEC3回をベースとして、その後のtrastuzumab14回の有無で治療効果を比較した。当初は優越性試験としてデザインされ、516のイベントに到達するために3,000例が必要とされた(5年DFS84%対80%、4%の差)。しかし5年DFSの仮定が低すぎると判断され、途中で研究計画が変更となり、非劣性試験として非劣性マージン1.3、2,168例の症例数が設定された。結果としてDFSではHR1.39であり、非劣性は証明されなかった(90.5%対88.0%)。OSはHR1.36(95.9%対94.7%)、DDFSはHR1.24(94.2%対93.2%)であった。サブ解析ではDTX投与量が100mg/m2で9週間の方が良好な傾向があった(80mg/m2では1年がよい)が、それ以外はいずれも1年の方が一定して良好な傾向であった。ただこの解析からDTX100では9週間でよいといってはいけない。単にサブ解析の結果にすぎない。全体としては一定の傾向(1年のほうで良好)であると考えるべきである。心毒性はやはり9週間の群で少なかった(うっ血性心不全1.9%対3.3%)。これらのことより依然としてtrastuzumabの治療期間は1年が標準であるということになる。この結果は、ASCO2017で紹介したShort-HER試験とまったく同様の状況になっているので、今回議論は省略するが、単に統計学的に同等であるという仮説をメットしなかったということである。ASCO2017の報告で述べたように、そもそも予後良好群では、trastuzumab1年は9週間と比較して予後を改善しないだろう。術後trastuzumabの使用期間に関するメタ分析の結果も別に報告されていた。解析されたRCTはShort-Her、PERSEPHONE(心毒性のみ)、HORG、PHAREの4研究である。長期間使用の方がOS、DFSともにベターとなっているが、心イベントも多くなっている。また、ER陽性あるいはリンパ節転移陽性では有意差はない。やはり予後良好群では、HERの長期使用が予後を明らかに改善することはなく、心イベントを増加させることが示されている。センチネルリンパ節の微小転移は腋窩郭清を省略できる−IBCSG 23-01IBCSG 23-01はセンチネルリンパ節生検で微小転移(2mm以下)があったものに対して郭清と非郭清を比較した試験であり、今回10年のデータが報告された。90%がBp(97%でRTあり)、10%がBt(5%でRTであり)であった。DFSも乳がん関連のイベントもまったく差がなく、腋窩再発もごくわずかであった。もちろんOSにも差はない。微小転移に対してはBt、Bpともに郭清は予後改善をもたらさず、腋窩微小転移に対する非郭清は現行どおりである。HER2陽性乳がんにおけるDCH、TCH、FECDHの効果は同等カナダの病院からのリアルワールド(レトロスペクティブ)データである。N0に対してはDCH(DTX/CPA/HER)4サイクルまたはTCH(DTX/CBDCA/HER)6サイクル、N+に対してはTCHまたはFECDH6サイクルが行われている。DCH(104例)とTCH(60例):中央観察期間58.1ヵ月、TCH(314例)とFECDH(145例):63.1ヵ月で、ともにDFS/OSに差はなく、いずれも非常に予後良好であった。HER2陽性乳がんにDCH4サイクルはN0に、TCH6サイクルはN+にリーズナブルなオプションである。palbociclibを受けた乳がん患者に対する投与遅延と減量のPFSに及ぼす影響MD Andersonからの報告である。PALOMA-3の安全性分析で、好中球減少による減量や遅延はPFSに影響しないという結果が出ている(Verma S, et al. The Oncologist. 2016;21:1165-1175.)。MDAにおいて、毒性によるpalbociclibの遅延/減量とPFSへの影響をレトロスペクティブに解析した。334例のうち109例で減量、153例で治療の遅延があった。発熱性好中球減少症は2.3%と極めて低かった。減量や遅延を行った患者は、そうでない患者群よりいずれも有意にPFSが長かった。このことから、palbociclibの毒性による減量/遅延は予後を悪化させないということがわかり、臨床的に重要なデータである。転移性ER陽性閉経後乳がんでさまざまな治療を受けた後のpalbociclibの有効性CDK4/6阻害剤の有効性は再発のファーストラインで示されているが、さまざまな治療を受けた後の意義については知られていない。ベルギーから報告された本研究は、少なくとも4ライン以上の治療を受け、その後少なくとも1回以上のpalbociclibを使用した患者82名をレトロスペクティブに解析したものである。palbociclibの中央使用期間は5.6ヵ月で、中央PFSは3.17ヵ月であった。Clinical benefit rateは41.5%、9ヵ月以上のSDは20.7%で、43.9%では治療の遅延や減量が行われていた。このように多くの治療を受けた後でもpalbociclibは十分な治療効果と安全性をもって使う価値がありそうであり、私たちのこれからの診療に大いに役立つ情報である。病期1、低リスク、ホルモン感受性乳がんにおける照射の有効性本研究は7つのRCT(NSABP B-21、B-20、B-1、CAL.GB9343、TAILORx、GBSG V)からのプール解析である。適格基準は40~74歳、ERまたはPR陽性、HER2陰性、病期1、乳房温存術施行、化学療法なし、オンコタイプDXリスク≦18であり、RTありと無しで、生存率を比較した。全体としてRT省略は局所再発のイベントを増加させた。ODX<11または低悪性度ではRTを省略しても再発率は変わらず、RTを省略も十分考慮してよさそうである。BRCA1/2変異保有者におけるTAM使用と対側乳がんのリスク複数国にわたる大規模なレジストリーからのデータである。3,743例(BRCA1:2,343例、BRCA2:1,400例)の変異保有者のうち、908例の対側乳がんが発見された。多変量解析には両側卵巣切除の有無が含まれた。対側乳がん、対側リスク低減手術、死亡、最終経過観察日で打ち切りとなった。結果として、初回乳がんがER陽性の場合、とくにBRCA2においてTAMの使用が対側乳がんの発症を減少させた。一方ER陰性では、TAMは乳がんの発症を予防していなかった。このことから、初回乳がんのHRの状態によってTAM使用を考えるのがリーズナブルで、HR陰性に対して対側乳がんの予防のためにTAMを用いることはあまり有効性をもたらさないであろう。BRCA1、BRCA2、ATM、CHEK2、PALB2変異保有者における乳がんの分子学的解析BRCA1/2における乳がんの体細胞変異については理解が進んでいる。しかし同じく遺伝性乳がんの原因遺伝子であるATM、CHEK2、PALB2についてはよく知られていない。そこで、BRCA1:9名、BRCA2:8名、ATM:5名、CHEK2:7名、PALB2:6名、TP53:2名、散発性乳がん:8名について、体細胞のコピー数、遺伝子変異解析を行った。DNA相同組換え修復能不全に関連する遺伝子のコピー数は、BRCA1、ATM、CHEK2、PALB2間できわめて類似していた。変異解析とコピー数のプロファイリングは、全てのBRCA1がTNBCで、すべてのCHEK2がER+であったにも関わらず最も類似していた。BRCA1変異では他の変異と比べ、遺伝子発現の違いが著明であった。TNBCにおける最も共通の変異はTP53であった。10%以上の遺伝子変異は、TP53、SDS、SNX31、IGFH、SLC3A2、METTL5、C180rf56、BRCA1、MAP3K1、ESCP2、FRAS1、ERBB2、PALB2、LCE10、BCL2L14であった。遺伝性乳がんにおける体細胞変異解析は散発性乳がんとは異なる治療を考えるうえでの重要な知見となり、今後さらに理解が進むことを期待する。

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EGFR変異肺がん治療シークエンスのリアルワールド研究開始/ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは2017年12月12日、EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたシークエンス治療の影響を評価するリアルワールド研究「GioTag」を開始したと発表。 アファチニブを1次治療、その後オシメルチニブを2次治療としてEGFR-TKIを投与された患者約190例のデータを解析し、治療期間の合計を判断する。 同研究はレトロスペクティブ解析。T790M遺伝子変異陽性患者を対象にした11ヵ国65の研究実施施設のリアルワールドデータを分析し、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの1次治療としてのアファチニブに続いてオシメルチニブを使用する治療期間を判断する。また、オシメルチニブによる治療後の遺伝子変異に関して入手可能なデータの収集も行う。 1次治療と2次治療にEGFR-TKIを使用するシークエンス治療に関する情報は限られており、本試験はこの患者集団に使用されるEGFR-TKIとその後の化学療法の影響に関する見識を示すことになる。GioTag研究の結果は2018年に発表される予定。■参考Boehringer Ingelheimプレスリリース

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サン・アントニオ2017レポート-1

レポーター紹介2017年SABCSは、12月5〜9日の5日間で開催された。新しい会場になってから2年目であり、以前の会場の一部は既に取り壊されていた。テキサスは初日から雨で寒い日が続いた。中日の夜には雪も降ったが、逆に翌日には晴天となった。天候の変化が著しく、それだけでも体調をくずす方がいそうである。今回は臨床的な話題としてはいろいろあったが、直ちに臨床を変えるような話題はほとんどなかったように思う。しかし愛知県がんセンターの岩田広治先生がPIとなって進行中の臨床試験NEOSの第1報があり、重要な知見を提供してくれた。術前内分泌療法に反応したHR+閉経後乳がんにおける術後化学療法の意義 −NEOS日本からの大規模な臨床試験(NEOS)の結果が岩田広治先生より報告された(第一報)。HR+閉経後乳がんに対して術前にANAを6ヵ月行い、PD(43例)には術後化学療法を、CR(16例)/PR(421例)/SD(400例)には術後化学療法施行群と非施行群を無作為化割付した。今回は両群を合わせた術前治療効果別の5年DFSが示され、CRで100%、PRで95%、SDで92%と予後良好であったのに対して、PDでは化学療法施行にも関わらず89%と低かった。PR/SDでは化学療法施行の有無別のDFSを知りたいところだが、その結果が出るのはまだ先になりそうである。しかし化学療法を施行しなくても、CR/PR/SDではかなり予後のよいことが予想される。さらに別報もあり、NEOSにおいて、針生検標本におけるオンコタイプDX(ODX)のリスクスコア(RS)と術前ANAの効果との関係が明らかとなった(n=294)。RS<18(低リスク)ではCR/PR54%、SD45%、PD1%であったのに対して、RS18~30(中間リスク)では42%、55%、4%であり、RS>31(高リスク)になると22%、61%、17%となりCR/PR率が著明に低下した。逆に高リスクとなるのはCR/PRの2%、SDの22%、PDの46%であり、AIの術前効果がODX検査適応選択や化学療法そのものの適応選択に大きな指標になることが示された。閉経後乳がんにおける術前内分泌療法は術後の化学療法を考えるうえで今後より重要なオプションとなろう。EBCTCGメタアナリシス−dose-dense化学療法の意義最初の話題は、EBCTCGのメタアナリシスで、術後補助化学療法において投与間隔の短縮が再発と乳がん死亡率を減少させる、というものである。Dose intensityの試験としては、2週対3週が12試験、逐次(3週)対同時(3週)が6試験、逐次(2週)対同時(3週)が6試験、が選択されていた。2週対3週では、2週の方がより再発と乳がん死亡率を減らしていた。逐次(3週)対同時(3週)、逐次(2週)対同時(3週)ともに逐次の方が再発と乳がん死亡率を減らしていた。これらはERの有無に関わらなかった。これらのことから、dose denseがよいと結論している。まだ論文化されていないため、どの臨床試験が選択されたのか不明である。この結果をもとに2週のdose denseを標準と考えるのは早計である。SABCS2014のレポートでまとめたが、FEC(600/60/600) 6サイクルを2週毎と3週毎で比較しても生存率にまったく差がない(Venturini M,et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97: 1724-1733.)ことが示されており、Paclitaxelも今では標準でない3週投与が、2週投与に対して比較されている。そもそも毎週投与が現在の標準であり、よりdose denseでG-CSFも使う必要がないことから、標準はあくまでAC(3週)-PTX(毎週)であろう。2週投与のdose-denseのメリットは投与期間の短縮のみであり、高額なG-CSFの使用が必須であったり、遅発性のニューモシスチス肺炎も含めた有害事象も増えることから、2週投与のdose-denseはあくまでオプションの1つに過ぎない。HER2-lowにおいてtrastuzumabは予後を改善しない−NSABP B-47NSABP B-47は、AC→wPTX 対 TCx6 +/-trastuzumabの比較試験であるが、HER2-lowにおけるtrastuzumabの意義について検討された。結果はtrastuzumabの有無で生存率にまったく差がなかったのであるが、面白かったのは本題でない背景で紹介された部分であった。NSABP B-31試験では、各施設でHER2陽性だが中央判定で陰性とされたサブセットにおいて、trastuzumab使用群の方がDFSが良好であったことである。N9831試験でも同様の傾向であった。HER2判定に関しては各施設の評価も大切にした方がよいということであり、HER2の状況がIHCで3+またはFISH陽性のいずれかなら、積極的にHER2標的剤は使用すべきということを示している。IHCとFISHの両者を測定していると時々いずれか陽性ということがあり、どちらか一方だけの検索では、HER標的剤の恩恵にあずかる方が一定数見逃されてしまうリスクがあろう。CDK4/6阻害剤ribociclibはPFSを改善する−MONALEESA-7MONALEESA-7はHR+HER2-閉経前乳がんにおけるribociclibの有用性を検証した第III相試験である。治療効果は本邦でようやく承認されたpalbociclibとほぼ同等であろうと思われる。TAMまたはAI+LHRHaにribociclibをon/offしたものであり、PFSでは有意にribociclib群で良好であった。TAM、AIとも効果は同等であった。血液毒性は好中球減少、貧血、血小板減少ともにribociclib群で多かった。非血液毒性はQT延長が6.9%(vs.1.2%)と多く、G3の倦怠感と下痢もribociclib群でわずかに多かった以外はほぼ同等であった。QOLは(EORTC QLQ-30)ribociclib群の方が有意に良好であった。3つのAI剤がそうであったように、今後複数のCDK4/6阻害剤の使い分けが問題になりそうである。化学療法中のLHRHaは卵巣機能保護に有効である−メタ解析化学療法における卵巣機能障害の問題は、近年妊孕性の面からとくに注目されている話題の1つである。化学療法中のLHRHaの卵巣保護効果について、今回は5つの臨床試験のプール解析(メタ解析)が報告された。主要評価項目は卵巣機能不全、副評価項目は無月経である。卵巣機能不全はLHRHa使用群と未使用群で14.1%対30.9%であり、明らかにLHRHa使用群で良好であった。2年での無月経率もそれぞれ18.2%対30.0%と同様であった。さらに妊娠率も10.3%対5.5%であったことより、LHRHaによる妊孕性温存の効果は明らかであると考えられる。LHRHa使用の有無での予後もみているが、ER+/-に関わらず、DFS、OSともにまったく差がなかった。したがって、化学療法を受ける予定で妊孕性温存を希望する方に対しては、LHRHaによる卵巣保護を十分に考慮するという立場は変わらない。TAM+OFSとEXE+OFSで予後は同等である−TEXT+SOFT結合試験TEXT+SOFT結合試験のデータがアップデートされた。閉経前HR+乳がんにおいて、TAM+OFSとEXE+OFSを比較したものである。初回はASCO2014で報告されたが、結果はその時と大きく変わっていない。8年のDFSはEXE+OFSで有意に良好であった(86.8% vs.82.8%、p=0.0006)。しかしOSではまったく差がなく、EXEの方が有害事象のために治療を中止する患者が多かった。このことからEXE+OFSはかなりのハイリスクに限られるべきであろう。絶対死亡数が少ないため、さらに経過観察される予定である。TAM+OFSはTAMと比較しわずかに予後を改善する−SOFT試験SOFT試験におけるTAM+OFSとTAMを比較したデータもアップデートされた。初回中間解析の結果はSABCS2014で報告した。やはり8年のDFSはTAM+OFSで有意に良好であった。8年のOSもHR0.67(0.48~0.92)とわずかにTAM+OFSが上回っていた。化学療法の有無でみてみると無し群ではまったく差がないが、有り群ではHR0.59(0.42~0.84)でTAM+OFSが良好であった。絶対差は4.3%と小さく、TAM+OFSの適応はやはり以前と変わらない。すなわち40歳未満あるいは40代前半で化学療法を行うようなハイリスクに対して、OFSの上乗せを提案するというスタンスでよいであろう。40代後半では、化学療法によりほぼ閉経状態となり、TAM単独でも問題ないだろう。鍼はAI関連関節症状に有効であるAI剤による関節痛は厄介な副作用であり、多くの閉経後乳がん患者が生活上の影響を受けている。鍼はAIによる関節痛を軽減する方法としての1つとして期待されており、本試験は真の鍼、偽の鍼(効果をおよぼさない部位)、何もしないグループの3群を比較したRCTである。6週間後の最も強い痛みの改善度は明らかに真の鍼群で高かった。6週間から24週での効果は一定していて、やはり真の鍼>偽の鍼>無しであった。他のQOL評価でも真の鍼で良好であった。有害事象としては真の鍼であざの割合が多かった(47%、いずれもGrade1)。非薬剤性のオプションとしてAI関連関節症状に鍼を積極的に活用する価値がありそうであるが、十分なトレーニングを受けた医療者が鍼を行う必要はあろう。

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エリブリン・ペムブロリズマブ併用、トリプルネガティブ乳がんで良好な結果/サンアントニオ乳がんシンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社のエリブリン(商品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)との併用療法による転移性トリプルネガティブ乳がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(ENHANCE1/ Study 218)のアップデート解析について、第40回サンアントニオ乳がんシンポジウムのスポットライトセッションで発表された旨を公表した。 ENHANCE1試験は、化学療法未治療あるいは前治療歴の2レジメン以下の転移性トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、エリブリンとペムブロリズマブ併用の有効性と安全性を評価する、多施設共同単群非盲検第Ib/II相試験。主要評価項目として第Ib相パートにおいては安全性と忍容性を、第II相パートにおいては奏効率(ORR)を評価する。 本発表では、2017年5月31日時点の試験登録107例中106例の患者に対するアップデート解析について報告した。21日1サイクルとした、エリブリンおよびペムブロリズマブの併用療法において、ORRは26.4%(CR3例およびPR25例)であった(95%CI:18.3~35.9)。化学療法による前治療歴の有無、PD-L1発現によるORRの違いは認められなかった。副次評価項目の無増悪生存期間は4.2ヵ月(95%CI:4.1~5.6)、全生存期間は17.7ヵ月(95%CI:13.7~評価不能)と、良好な結果が示唆された。また、CRおよびPR患者28例における奏効期間は8.3ヵ月であった。 本試験において高頻度で確認された有害事象(上位5項目)は、疲労、末梢神経障害、悪心、脱毛、便秘であった。■参考ENHANCE1/ Study 218(Clinical Trials.gov)

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atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのatezolizumab併用の有効性と安全性を評価した第Ⅲ相試験IMpower150の結果が、スイス・ジュネーブで開催されたESMO Immuno Oncology Congress 2017で、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorfのM. Reck氏より発表された。 IMpower150試験には、全体で1202例が登録され、A~Cの3群のうちいずれかに無作為に割り付けられた。A群:化学療法+atezolizumab、B群:化学療法+atezolizumab+ベバシズマブ、C群:化学療法+ベバシズマブ。主要評価項目は、EGFR または ALK遺伝子変異陰性の ITT(intention-to-treat)解析集団、ならびにエフェクターT細胞の関連遺伝子発現(Teff)患者を含む集団における無増悪生存期間(PFS)、ITT解析集団における全生存期間(OS)である。今回発表されたのはB群とC群の比較結果の一部で、データカットオフは2017年9月15日、追跡期間最少値は9.5ヵ月であった。 ITT解析集団にはB群356例、C群336例が登録され、Teff集団にはB群155例、C群129例が登録された。ITT解析集団およびTeff集団におけるPFS中央値は、8.3ヵ月vs. 6.8ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.52~0.74、p<0.0001)および11.3ヵ月vs. 6.8ヵ月(HR:0.51、95%CI:0.38~0.68、p<0.0001)であった。PD-L1陰性患者におけるHRは0.77(95%CI:0.61~0.99)であり、PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab併用群でPFSの延長が認められた。なお、B群とC群の安全性プロファイルは同等で、重篤な治療関連有害事象の発現は25%vs. 19%であった。 スイス・Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV)のS.Peters氏は本結果に対し、「PD-L1またはエフェクターT細胞の関連遺伝子の発現状態によらず、免疫療法と化学療法の組み合わせが有効であったことは非常に重要。来年には、進行NSCLC患者への一次治療として、化学療法と免疫療法の併用、または2種類の免疫療法の組み合わせによる治療の有効性を評価したいくつかの他の試験結果が発表される予定で、どの戦略が最善であるかを判断していくことになるだろう」と述べている。■参考ESMO Immuno Oncology 2017プレスリリースIMpower150試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumab+ベバシズマブ+化学療法、進行肺がん1次治療のPFS改善(IMpower150)/ロシュatezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会2017抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

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