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PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM

 既治療の生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がん患者の治療において、olaparibは標準治療に比べ無増悪生存(PFS)期間中央値を2.8ヵ月延長し、病勢進行や死亡のリスクを42%低減することが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMark Robson氏らが行ったOlympiAD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月4日号に掲載された。olaparibは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬で、米国ではBRCA遺伝子変異陽性の再発卵巣がんの治療薬として承認を得ており、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性で転移のある乳がんでも有望な抗腫瘍活性が示されている。日本人を含む約300例対象、olaparibの無作為化対照比較試験 本研究は、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がんにおけるolaparibの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化対照比較第III相試験で、アジアからは日本のほか韓国、中国の施設も参加している(AstraZeneca社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ホルモン受容体陽性(ER陽性、PgR陽性または双方が陽性)または陰性の、HER2陰性転移性乳がんで、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性が確認され、2レジメンまでの化学療法歴がある患者であった。 被験者は、olaparib(300mg、1日2回)を経口投与する群または担当医の選択による化学療法薬単剤(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン)を投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、独立審査委員会の中央判定によるPFS(割り付け時から画像評価による病勢進行または全死因死亡までの期間)であり、intention-to-treat法ベースで解析が行われた。 2014年4月7日~2015年11月27日に302例が登録され、olaparib群に205例が、標準治療群には97例が割り付けられた。標準治療群は91例が実際に治療を受けた。olaparib群で奏効率約2倍に、OSには差がない ベースラインの全体の年齢中央値は44歳で、フォローアップ期間中央値はolaparib群が14.5ヵ月、標準治療群は14.1ヵ月であった。男性が、olaparib群に5例(2.4%)、標準治療群に2例(2.1%)含まれた。ホルモン受容体陽性例はそれぞれ50.2%、50.5%、トリプルネガティブ例は49.8%、49.5%だった。 PFS期間中央値は、olaparib群が7.0ヵ月と、標準治療群の4.2ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.43~0.80、p<0.001)。事前に規定されたすべてのサブグループで、olaparib群のベネフィットが認められ、トリプルネガティブ例はolaparib群が有意に良好であった(HR:0.43、95%CI:0.29~0.63)。 全生存(OS)期間中央値は両群に差を認めなかった(HR:0.90、95%CI:0.63~1.29、p=0.57)。奏効率は、olaparib群が59.9%(完全奏効率:9.0%)、標準治療群は28.8%(同:1.5%)であり、奏効期間中央値は、それぞれ6.4ヵ月、7.1ヵ月、奏効までの期間中央値は47日、45日であった。 olaparib群で頻度の高い有害事象は、悪心(58.0%)、貧血(40.0%)、嘔吐(29.8%)、疲労(28.8%)、好中球減少(27.3%)であり、多くがGrade 1/2であった。Grade 3以上の有害事象は、olaparib群の36.6%、標準治療群の50.5%に発現した。毒性による治療中止はそれぞれ4.9%、7.7%だった。 著者は、「この試験はOSの差を評価する検出力はなく、OSは後治療による交絡を受ける可能性も高い」としており、「ホルモン受容体の状態別、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴の有無別のolaparibの効果を評価する試験や、olaparibとプラチナ製剤ベースの化学療法を直接比較する試験も有益と考えられる」と指摘する。

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BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用が承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年6月22日、BRAF V600E変異のある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とトラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用を通常承認した。これは、同患者に対するFDA初の承認となる。 この承認は、BRAF V600E変異陽性転移性NSCLCの国際多施設共同試験で、3つのコホートからなるBRF113928試験の結果に基づいている。当試験では93例の患者が、ダブラフェニブ(150mg×2/日)とトラメチニブ(2mg×1/日)の併用で治療された。93例中36例は全身療法未治療で、57例はプラチナベース化学療法を1つ以上受け疾患進行が確認された患者であった。また、別途78例のBRAF変異陽性患者が、ダブラフェニブ単剤による治療を受けた。 既治療群にける併用療法の全奏効率(ORR)は、63%(95%CI:49%~76%)であり、奏効期間(DOR)は12.6ヵ月(95%CI:5.8~NE)。未治療群ではORR61%(95%CI:44%~77%)、DOR中央値は未達であるが(95%CI:6.9~NE)、奏効者の59%は6ヵ月以上の奏効を示した。また、ダブラフェニブ単剤治療患者のORRは27%(95%CI:18%~38%)で、DORは9.9ヵ月であった。 有害事象の発現率および重症度は、すでに承認を受けているメラノーマ患者での報告と同様であった。Grade3/4で頻度の高い項目は、発熱、疲労、呼吸困難、嘔吐、発疹、出血、および下痢であった。Grade3/4で頻度の高い検査値異常は、低ナトリウム血症、リンパ球減少症、貧血、高血糖、好中球減少症、白血球減少症、低リン酸血症、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇であった。有害事象による投与中止はダブラフェニブ18%、トラメチニブ19%でみられた。 FDAはまた、次世代シークエンサー(NGS)Oncomine Dx Target Test(Thermo Fisher Scientific)も承認した。この検査により、NSCLC患者の組織標本からBRAF、ROS1、EGFR遺伝子異常の存在が検出可能となる。FDAによる初めてのNGSオンコロジーパネル検査の承認である。■参考FDAの発表BRF113928試験(Clinica Trials.gov)

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早期HER2+乳がん、術後補助療法にペルツズマブ追加が奏効/NEJM

 早期HER2陽性乳がん患者に対し、術後補助化学療法+トラスツズマブに加え、ペルツズマブ(商品名:パージェタ)を投与することで、3年無浸潤疾患生存率は有意に改善したことが報告された。とくにリンパ節陽性患者で、同生存率の改善が示された。ドイツ・GBG ForschungsのGunter von Minckwitz氏らAPHINITY研究グループが、43ヵ国549ヵ所の医療機関を通じて行ったプラセボ対照無作為化比較試験で明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2017年6月5日号で発表した。HER2陽性乳がん患者4,805例を対象に試験 Minckwitz氏らは、リンパ節陽性、またはハイリスク・リンパ節陰性で手術可能なHER2陽性の乳がん患者4,805例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、標準補助化学療法+トラスツズマブの1年間投与に加え、一方の群にはペルツズマブを(2,400例)、もう一方の群にはプラセボを(2,405例)それぞれ投与し、臨床アウトカムを比較した。研究グループが仮定した3年無浸潤疾患生存率は、ペルツズマブ群91.8%、プラセボ群89.2%だった。リンパ節陽性では3年無浸潤疾患生存が改善 追跡期間の中央値は、45.4ヵ月だった。被験者のうち、リンパ節陽性は63%、ホルモン受容体陰性は36%だった。 追跡期間中に再発が認められたのは、プラセボ群8.7%(210例)に対し、ペルツズマブ群は7.1%(171例)だった(ハザード比:0.81、95%信頼区間[CI]:0.66~1.00、p=0.045)。推定3年無浸潤疾患生存率は、プラセボ群が93.2%に対し、ペルツズマブ群は94.1%だった。 被験者のうちリンパ節陽性グループでは、3年無浸潤疾患生存率はプラセボ群が90.2%、ペルツズマブ群が92.0%だった(浸潤疾患発症ハザード比:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.02)。これに対してリンパ節陰性グループの3年無浸潤疾患生存率は、プラセボ群が98.4%、ペルツズマブ群が97.5%だった(同ハザード比:1.13、同:0.68〜1.86、p=0.64)。 なお安全性については、心不全、心臓死、心機能障害は両群ともにまれだった。一方でGrade 3以上の下痢は、化学療法実施中の発生が大半で、ペルツズマブ群9.8%と、プラセボ群の3.7%に比べ頻度が高かった。

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第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

 lorlatinibは、強力な活性を持ち、中枢神経系(CNS)への良好な移行を示す次世代ALK-TKIである。また、ALK-TKI耐性変異に対する最も広いスペクトラムを有する。とくにクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブなど、すべてのALK-TKIの耐性に関わるG1202R変異に対しても、唯一有効な薬剤である。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、このlorlatinibの第I/II相試験の主要な結果について、University of California IrvineのSai-Hong Ignatius Ou氏が発表した。 同試験は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われ、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)はEXP1~5で評価された(EXP6はROS1陽性)。第I相試験であるEXP1では、未治療患者において強固な臨床活性を示した。第II相試験は、EXP2~5で行われ、主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)であった。 全体で199例の患者が登録され、有効性はEXP2~5の82例で、安全性は全患者で評価された。EXP2~6全体のORRは32.9%、病勢コントロール率(DCR)は56.1%であった。EXP2(前治療クリゾチニブの1ライン)のORRは57.1%、DCRは、71.4%であった。EXP3(前治療1ラインのALK-TKI:クリゾチニブ+化学療法またはクリゾチニブ以外のALK-TKI±化学療法)のORRは44.4%、DCRは61.1%であった(11.1%は奏効未決定)。EXP4(前治療2ラインのALK-TKI±化学療法)の25.0%、DCRは54.5%であった(13.6%は奏効未決定)。EXP5(前治療3ラインのALK-TKI±化学療法)のORRは30.8%、DCRは46.2%であった(23.1%は奏効未決定)。EXP4では80%以上、EXP5では90%以上の患者が化学療法を併用していた。また、ALK-TKI前治療の程度にかかわらず、ほとんどの患者で標的病変サイズが縮小した。8例ではPD後もlorlatinibの投与は継続され、最も長期にわたる患者は300日を超えている。頭蓋内病変は52例で評価され、IC ORRは48.1%、12週時のDCRは75.0%であった。標的病変のみのIC ORRは51.4%に達した。 全Gradeの治療関連有害事象(AE)発現率は、97.4%。Grade3/4のAEは46.6%の患者で発現した。AEによる投与遅延は29.3%、減量は19.8%、治療中止は4例(3.4%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(89.7%)、高トリグリセライド血症(72.4%)で、これらは脂質低下薬でコントロール可能であった。 新たなALK-TKIであるlorlatinibは、重度な前治療歴のあるALK陽性NSCLCに対し臨床的に意義のある持続性の高い効果を示すとともに、頭蓋内病変に対しても高い効果を示した。この試験の結果から、lorlatinibは本年(2017年)4月26日、米国食品医薬品によるブレークスルー・セラピー指定を受けている。■参考http://meetinglibrary.asco.org/record/153943/abstract■関連記事次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK陽性肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定ASCO2016レポートDriver oncogeneに対する標的治療と耐性克服

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オシメルチニブ、CNS転移例にも有効性示す:AURA3試験/ASCO2017

 中枢神経系(CNS)転移は、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の経過中、40%にみられる。CNS転移例の予後は不良で、無増悪生存期間(PFS)は3~5ヵ月といわれる。オシメルチニブは、前臨床試験でCNSへの良好な移行が示されるとともに、臨床では2つの第II相試験(AURA2試験、AURA2拡大試験)においてCNSでの活性を示している。そこで、T790M陽性の進行NSCLCにおけるオシメルチニブの無作為化第III相試験であるAURA3試験から、CNS転移における同剤の最初の包括的評価を、イタリアFondazione IRCCS Instituto Nazionale dei TumoriのMaria Garrassino氏が、米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 AURA3試験では、対象患者をオシメルチニブ80mg/日またはプラチナダブレット化学療法3週間ごとに6サイクル(ペメトレキセド維持療法も許可)に、2:1で無作為に割り付けた。今回のサブグループ解析では、オシメルチニブ群は75例、化学療法群は41例であった。CNS客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)を評価するために、ベースラインでCNS転移のある患者に対し、独立第三者評価機関(BICR)による評価が行われた。解析は、ベースライン時に測定可能と測定不可能なCNS転移を有する患者のCNS全分析セット(CNS full analysis set:cFAS)と、測定可能なCNS転移のみを有する患者のCNS評価可能セット(CNS evaluable for response set:cEFR)の2グループで行われた。 結果、2016年4月15日時点で、cFAS患者は116例、cEFR患者は46例であった。cEFRにおけるCNS ORRは、オシメルチニブ群で70%(51~85)、化学療法群では31%(11~59)と、オシメルチニブ群で有意に高かった(OR:5.13、95%CI:1.44~20.64、p=0.015)。DORは、オシメルチニブ群で8.9ヵ月(4.3~NC)、化学療法群では5.7ヵ月(NC~NC)であった。cFASにおけるCNS PFSは、オシメルチニブで11.7ヵ月、化学療法群では5.6ヵ月と、オシメルチニブ群で有意に長かった(HR:0.32、95%CI:0.15~0.69、p=0.004)。また、オシメルチニブのCNSへの奏効は6.1週間でみられ、その効果は脳照射の前治療の有無にかかわらず現れた。■参考ASCO2017 AbstractAURA3試験(Clinical Trials.gov)AURA2試験(Clinical Trials.gov)AURA2拡大試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJMオシメルチニブ、日本人のTKI耐性肺がんにも良好な結果:肺癌学会

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進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017

 ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)は、第I相試験で既治療の進行胃がんに関する有望な結果を示した。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、ペムブロリズマブの多施設国際第II相試験KEYNOTE-059試験の結果が、米国Yale Cancer CenterのCharles S. Fuchs氏より発表された。 KEYNOTE-059試験は3つのコホートから成るが、今回はペムブロリズマブ単剤療法を評価するコホート1の結果である。コホート1の評価対象は、2ライン以上の化学療法を受けて進行した再発・転移胃がん、胃・食道接合部がん患者259例。患者は、ペムブロリズマブ200mgを、3週間ごと2年間、あるいは病勢進行するまで投与された。主要評価項目は、客観的奏効率(ORR)と安全性・忍容性、副次的評価項目は奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)である。 患者の地理的分布は、米国47.9%、東アジア13.1%、その他39.0%。年齢中央値は62歳、男性が76.4%を占めた。PD-L1陽性(PD-L1発現1%以上)は57.1%、陰性は42.1%であった。また、ペムブロリズマブの投与ラインは2次治療が51.7%、3次治療が29.0%、4次治療以降が19.3%。 259例全体のORRは11.6%(8.0~16.1)であった。PD-L1状態別にみると、陽性患者のORRは15.5%(10.1~22.4)、陰性患者では6.4%(2.6~12.8)と、PD-L1陽性患者で良好であった。DORは全体で8.4ヵ月(1.6+~17.3+)、PD-L1陽性患者では16.3ヵ月(1.6+~17.3+)、陰性患者では6.9ヵ月(2.4~7.0+)であった。投与ライン別にみると3次治療でのORRは16.4%(10.6~23.8)、4次治療以降では6.4%(2.8~12.2)であった。 Grade3~5の治療関連有害事象(AE)発現率は16.6%であり、治療中断に至った患者は2例であった。頻度が高い項目は疲労感、掻痒感、皮疹であった。免疫関連(irAE)の発現率は全Gradeで17.8%だったが、ほとんどは低Gradeであった。頻度が高い項目は甲状腺機能亢進、甲状腺機能低下、腸炎であった。 Fuchs氏は、ペムブロリズマブ治療の忍容性は良好であり、2回以上の前治療歴がある場合においても、抗腫瘍効果と持続的効果を示した、と結論付けた。なお、ペムブロリズマブの早期治療ラインでの使用、あるいは化学療法との併用についての臨床試験が進行中である。■参考ASCO2017 AbstractKEYNOTE-059試験(Clinical Trials.gov)■関連記事

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ニンテダニブ、悪性胸膜中皮腫に有効性/ASCO2017

 ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムは2017年6月5日、第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験LUME-Meso試験のパートの結果が、2017年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2017)のオーラルアブストラクトセッションで紹介されたと発表。 悪性胸膜中皮腫(MPM)患者において、標準的一次化学療法(ペメトレキセド+シスプラチン)にトリプルアンジオキナーゼ阻害剤ニンテダニブを追加投与した場合、化学療法のみの治療と比較して、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)と副次評価項目の全生存期間(OS)が改善することが明らかになった。 ニンテダニブを追加投与した治験集団全体(組織型が上皮型または二相型の患者)では、プラセボを追加した標準化学療法のみの治療と比較して、PFS中央値で3.7ヵ月の有意な改善を示し、疾患増悪のリスクを46%減少させた(ニンテダニブ9.4ヵ月、プラセボ5.7ヵ月)。上皮型の患者では、化学療法へのニンテダニブの追加投与によるPFS中央値へのベネフィットがより大きく4ヵ月であった(ニンテダニブ9.7ヵ月、プラセボ5.7ヵ月)。 OSの主解析では、有意な差がつかなかったものの、化学療法にニンテダニブを追加投与した患者のOS中央値は4.1ヵ月延長し、患者集団全体で肯定的な傾向が示された(ニンテダニブ18.3ヵ月、プラセボ14.2ヵ月)。PFSの結果と同様、上皮型に分類された患者での有効性が最も高く、OS中央値は化学療法のみの治療の15.2ヵ月に対して、20.6ヵ月であった。 ニンテダニブ追加療法におけるGrade3以上の有害事象(AE)は、好中球減少症が最も多かった(ニンテダニブ43.2%、プラセボ 12.2%)。発熱性好中球減少症の発生率はニンテダニブ群2.3%、プラセボ群0%であった。 MPMはがん全体の中でも1%未満の胸部に発生する希少がんで、アスベストの長期的な吸入と関係しているといわれている。MPM患者の予後は不良で、診断後の5年生存率は10%未満。MPMは大きく3つの組織型(上皮型、二相型および肉腫型)に分類され、上皮型が最も多く、MPMの50~70%を占めている。■参考日本ベーリンガーインゲルハイムプレスリリースASCO2017 Abstract

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カペシタビンによる術後補助化学療法でHER2陰性乳がんの予後を改善/NEJM

 標準的な術前補助化学療法を受け、病理検査で浸潤がんの遺残が確認されたヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陰性乳がん患者において、標準的な術後治療にカペシタビンによる術後補助化学療法を加えると、無病生存(DFS)と全生存(OS)が改善することが、国立病院機構 大阪医療センターの増田 慎三氏らが実施したCREATE-X試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月1日号に掲載された。HER2陰性原発乳がんの術前補助化学療法の病理学的完全奏効(pCR)率は13~22%で、non-pCR例の再発リスクは20~30%とされ、これら遺残病変がみられるHER2陰性例への術後補助化学療法は確立されていない。カペシタビンはフルオロウラシルの経口プロドラッグで、消化器がんの術後補助化学療法や転移性乳がん(主に2次治療)の治療薬として用いられている。カペシタビンの術後補助化学療法を評価 本研究は、日韓の84施設(日本62施設、韓国22施設)参加の下で行われた、術後補助化学療法としてのカペシタビンの有効性と安全性を評価する非盲検無作為化第III相試験である(先端医療研究支援機構[ACRO]、JBCRG[Japan Breast Cancer Research Group]の助成による)。 対象は、年齢20~74歳、HER2陰性、全身状態(ECOG PS)0/1で、アントラサイクリン系薬、タキサン系薬あるいはこれら双方による術前補助化学療法を受け、病理検査でnon-pCRまたはリンパ節転移陽性のpCRと判定されたStage I~IIIB乳がんの女性であった。 被験者は、標準的な術後治療に加え、カペシタビン(1,250mg/m2、1日2回、1~14日)を投与する群または投与しない群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントはDFS期間(割り付け時から再発、2次がんの発現、全死因死亡までの期間)、副次エンドポイントはOS期間などであった。 2007年2月~2012年7月に、910例(日本:606例、韓国:304例)が登録され、最大の解析対象集団(FAS)887例(カペシタビン群:443例、対照群:444例)について解析を行った。カペシタビンの3年DFS率は有意に良好 ベースラインの全体の年齢中央値は48歳(範囲:25~74)、約40%がStage IIIA/B、32.2%がトリプルネガティブ乳がん(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)で、95.3%がアントラサイクリン系薬とタキサン系薬(82.2%が逐次投与、13.1%が同時投与)による術前補助化学療法を受けていた。 事前に規定された中間解析(2015年3月)で主要エンドポイントに到達したため、本研究は早期終了となった。追跡期間中央値は3.6年だった。 最終解析(2016年7月)では、3年DFS率はカペシタビン群が82.8%、対照群は73.9%、5年DFS率はそれぞれ74.1%、67.6%であり、カペシタビン群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.53~0.92、p=0.01)。 また、3年OS率は、カペシタビン群が94.0%、対照群は88.9%、5年OS率はそれぞれ89.2%、83.6%であり、カペシタビン群が有意に優れた(HR:0.59、95%CI:0.39~0.90、p=0.01)。解析時に、両群ともOS期間中央値には未到達であった。術後カペシタビン治療の安全性プロフィール 事前に規定されたサブグループの解析では、DFS率、OS率とも、すべてのサブグループに一致してカペシタビン群にベネフィットが認められた。トリプルネガティブ乳がんでは、DFS率(69.8 vs.56.1%、HR:0.58、95%CI:0.39~0.87)およびOS率(78.8 vs.70.3%、HR:0.52、95%CI:0.30~0.90)が、いずれもカペシタビン群で有意に良好だった。ホルモン受容体陽性例では、いずれも有意な差を認めなかった。 カペシタビン群で最も頻度の高い有害事象は手足症候群で、325例(73.4%)に認められた。このうち、49例(11.1%)がGrade 3であった。カペシタビン群で頻度の高い血液毒性として、白血球減少、血小板減少、好中球減少、貧血が、非血液毒性は疲労、悪心、下痢、口内炎などがみられたが、有害事象の多くがGrade 1/2であった。重篤な有害事象は4例に発現したが、いずれも回復した。 著者は、「標準的な術前補助化学療法後の術後カペシタビン治療の安全性プロフィールは、人種によって異なるため注意を要するが、用量と投与スケジュールを適切に調節すれば欧米の患者にも適用は可能と推察される」としている。

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患者報告による症状モニターが、外来進行がんのOSを有意に延長/ASCO2017

 経口抗がん剤の増加により、外来診療が増加している。そのような中、患者の合併症管理は大きな問題となりつつある。進行がんでは症状が頻繁に起こるが、患者が医療者に報告するにはさまざまな障害がある。過去の研究結果によれば、診療医が患者の症状に気付くのは半分との報告ある。質の高いがん診療の管理には症状モニタリングが鍵といえる。そこで、Webベースによる症状モニタリングと患者報告を組み合わせたシステムと、通常ケアの結果を比較する大規模な単一施設無作為化比較試験の生存に関する結果が、University of North CarolinaのEthan Basch氏により米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。 同試験では、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerで転移のある固形腫瘍の外来化学療法を受けている患者を登録し、タブレットコンピュータを介した12の一般的な症状を自己報告する群(セルフレポート群)と通常ケア群に無作為に割り付けた。セルフレポート群では、被験者が重度の症状または症状悪化を報告すると、診察医と看護師は電子メールなどによりリアルタイムで知らされ、医療者はその情報を基に診療にあたる。主要評価項目は、QOL、全生存期間(OS)、救急受診であった。 結果、2007年9月~2011年1月に766例の患者が登録され、2群に無作為に割り付けられた。患者の年齢中央値は62歳、白人87%、黒人7%、アジア人6%。がん種は泌尿器生殖器がん31%、肺がん27%、婦人科がん25%、乳がん17%であった。QOL評価は、セルフレポート群では改善34%、不変28%、対照群では改善18%、不変29%であり、セルフレポート群は対照群に比べ31%QOLが改善した。OSは、セルフレポート群で31.2ヵ月、対照群は26.0ヵ月で、セルフレポート介入群で有意に延長した(p=0.03)。多変量解析でのHRは0.832(95%CI:0.696~0.995)であった。救急受診もセルフレポート群で有意に少なく(p=0.02)、その差は7%であった。■参考ASCO2017 Abstract試験情報(Clinical Trials.gov)

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PARP阻害薬olaparib、BRCA変異乳がんの生存を42%改善/ASCO2017

 BRCA変異陽性HER2陰性転移乳がん(mBC)に対し、PARP阻害薬olaparibの有効性および安全性を単剤化学療法と比較評価する無作為化オープンラベル第III相試験 OlympiAD試験の結果を、米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMark Robson氏が米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 OlympiAD試験では、HER2陰性(HR陽性またはトリプルネガティブ)で2ライン以上の化学療法を受けたBRCA変異陽性mBC患者を、olaparib群と医師が選択した標準的な単剤化学療法(TPC)群に、2:1に無作為に割り付けた(単剤化学療法はカペシタビンあるいはエリブリン)。治療は病勢進行するか毒性が忍容できなくなるまで継続した。主要評価項目は、独立第3者評価機関(BICR) 評価の無増悪生存(PFS)。副次的評価項目は2回目のPDまたは死亡までの期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)、安全性と忍容性、健康関連QOLであった。  結果、302例の患者が登録され、205例がolaparib群に、97例がTPC群に割り付けられた。BICR評価のPFSは、olaparib群7.0ヵ月、TPC群4.2ヵ月と、olaparib群で有意に長かった(HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。 また、PFS2はolaparib群13.2ヵ月、TPC群で9.3ヵ月と、olaparib群で有意に長かった(HR:0.57、95%CI:0.40~0.83、p=0.0033) 。ORRは、 olaparib群60%、TPC群29%であった。OSはolaparib群19.3ヵ月、TPC群19.6ヵ月と、同等であった。全般的健康関連QOL(EORTC-QLQ-C30)のベースラインからの変化は、olaparib群3.9、TPC群−3.6、とolaparib群が優れていた (差異7.5、95% CI:2.5~12.4、p=0.0035)。Grade3以上の有害事象(AE)は、olaparib群の36.6%、TPC群の50.5%で発現し、olaparib群で頻度の高い項目は、貧血16%、好中球減少症9%などであった。 Discussantであるスタンフォード大学のAllison Kurian氏は、PARP阻害薬と免疫チェックポイント薬の併用への期待、また、今後のPARP阻害薬の役割、効果と耐性のバイオマーカーの特定を研究していくべきであると述べた。 この試験の結果は、学会での発表と同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考 ASCO2017 Abstract Robson M, et al. N Engl J Med. 2017. June 4. [Epub ahead of print] OlympiAD試験(Cinical Trials.gov)

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EGFR変異陽性肺がんの再発リスクを40%減、ゲフィチニブ補助療法/ASCO2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者の20~25%は手術適応である。プラチナベースの術後補助化学療法は、Stage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の患者のスタンダードとなっている。一方、EGFR-TKIは進行EGFR変異陽性NSCLC1次治療の標準である。しかし、EGFR-TKIによる術後補助化学療法については、過去のBR19やRADIANT試験からも利点は証明されていない。 EGFR変異陽性のNSCLC患者の術後補助療法として、化学療法をEGFR-TKIで代替できないか。そこでEGFR変異陽性NSCLCの術後補助療法において、ゲフィチニブと化学療法(ビノレルビン+シスプラチン)を比較する初めての無作為化第III相試験となるADJUVANT試験が行われた。中国Guangdong General HospitalのYi-Long Wu氏が、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)にて発表した。 同試験の対象は、完全切除後のStage II~IIIA(TNM分類第7版N1-N2)のEGFR変異陽性NSCLC患者。登録された患者は、無作為にゲフィチニブ(250mg×1/日)24ヵ月間投与群と化学療法群(ビノレルビン25mg/m2を1日目と8日目に投与+シスプラチン75mg/m2を1日目に投与)3週ごと4サイクル投与群に、1:1に割り付けられた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)。DFSの改善は40%以上とした。 結果、2011年9月19日~2014年4月24日に222例の患者が登録された(ゲフィチニブ群、化学療法群ともに111例)。治療期間の中央値は36.5ヵ月で、ゲフィチニブ群の投与期間は18ヵ月以上が最も多く67.9%、化学療法群は4サイクルが最も多く83.0%を占めた。 主要評価項目であるDFSは、ゲフィチニブ群で28.7ヵ月(24.9~32.5ヵ月)、化学療法群で18.0ヵ月(13.6~22.3ヵ月)と、ゲフィチニブ群で有意に長く(HR:0.60、95%CI:0.42~0.87、p=0.005)、その差は10.7ヵ月であった。3年DFS(3yDFS)はゲフィチニブ群の34.0%に対し、化学療法群は27.0%で、ゲフィチニブ群で有意に高かった(p=0.013)。全生存期間(OS)は未達成。 Grade3以上の有害事象の発現率は、ゲフィチニブ群で12.3%、化学療法群は48.3%と、ゲフィチニブ群で有意に少なかった(p<0.001)。健康関連QOLについては、Total FACT-L、LCSS、TOIの3種の評価ともゲフィチニブ群で有意に優れていた。 EGFR変異陽性のStage II~IIIA(N1-N2)NSCLC切除可能患者に対する、ゲフィチニブの術後補助療法は、これらの患者集団における重要な選択肢であると考えられるべきである。 DiscussantであるVU University Medical CenterのSuresh Senan氏は、「DFSの10.7ヵ月の延長は注目すべきである。今後は、どのような患者にベネフィットがもたらされるのかなど、より詳細に研究していくべきである。また、3yDFSの34%という結果は満足できるものではなく、対象症例などに注目してさらなる改善を図るべきであろう」と述べた。■参考 ADJUVANT試験(NCT01405079) BR19試験 RADIANT試験

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III期NSCLCの化学放射線同時併用療法に適用するレジメンは?本邦のランダム化試験の結果発表/ASCO2017

 化学放射線同時併用療法(CCRT)は、手術不能なIII期非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療であるが、最良の化学療法レジメンは特定されていない。S-1とシスプラチン(CDDP)の併用(SP)は進行NSCLCに対する標準化学療法レジメンの1つであり、CCRTにおける良好な成績も報告されている。day1、8に分割したドセタキセルとCDDPの併用(DP)を用いたCCRTは、旧世代のCDDPレジメンとの比較試験で、良好な結果(2年生存割合)を示しているが、全生存については有意な差は認めていない。そこで、日本医科大学の久保田 馨氏らは、NSCLC患者に対するCCRTにおいて、SPとday1のみにドセタキセル+CDDPを投与するDPの2つの併用化学療法レジメンの成績を評価するランダム化第II相試験TORG1018を行い、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 対象は手術不能なIII期NSCLC患者で、化学療法、放射線療法、外科療法歴なし。登録された患者をSP群またはDP群にランダムに割り付けた。SP群ではS-1 80~120mg/m2/日(day1~14)とCDDP 60mg/m2(day1)を4週ごとに、DP群ではドセタキセル50mg/m2とCDDP 80mg/m2(両薬ともday1)を4週ごとに投与した。同時併用する放射線療法(60Gy/30分割)は、両群ともにday1から開始した。CCRT後、両群の患者は、3週ごとの地固め化学療法をさらに2回受けた。主要評価項目は2年生存割合(2yOS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、毒性プロファイル、用量強度、奏効割合(ORR)。期待2yOSは65%、閾値2yOSは50%とした。 結果、2011年5月~2014年8月に、19施設から110例の患者が登録され、106例(各群53例)が評価対象となった。男性83例、女性23例、年齢中央値は65歳(42~74)であった。観察期間39.3ヵ月での2yOSはSP群で79%(95%CI:66~88%)、DP群では69%(95%CI:55~80%)であり、両群共に主要評価項目を達成した。OS中央値はSP群で55.23ヵ月、DP群で50.83ヵ月、ORRとPFSはSP群でそれぞれ71.7%、11.63ヵ月、DP群では67.9%、19.91ヵ月であった。 DP群におけるGrade3/4の白血球減少および好中球減少はSP群より有意に高かった。また、発熱性好中球減少症、肺臓炎はDP群でより高い傾向があった。毒性の少なさと共に2yOSはSP群で良好であり、将来はSPを放射線同時併用の適用レジメンとして選択する、と著者は結んでいる。■参考 ASCO2017 Abstract

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ホルモン抵抗性乳がんに著明な効果、CDK4/6阻害薬abemaciclib/ASCO2017

 CDK4/6選択的阻害薬abemaciclibのフルベストラントとの併用における忍容性と臨床活性が第III相試験であるMONARCH 2試験で支持された。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)においてスタンフォード大学のGeorge W. Sledge氏が発表した。 MONARCH 2試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんで内分泌療法を受けた女性669例を対象とした第III相二重盲検試験。対象はネオアジュバント/アジュバント内分泌療法で進行した患者、または転移のある乳がんで初回内分泌療法で進行した患者。参加者は、abemaciclib+フルベストラント(A+F)群とプラセボ+フルベストラント(P+F)群に2:1に無作為に割り当てられた。 主要評価項目は、治験担当者評価による無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は、客観的奏効率(ORR)、その他の有効性および安全性であった。abemaciclib+フルベストラント群のハザード比(HR)は0.703と仮定した。 結果、19.5ヵ月間の追跡期間(中央値)のPFSは、A+F群で16.4ヵ月、P+F群で9.3ヵ月と、A+F群で有意に改善した(HR:0.553、95%CI:0.449~0.681、p<0.0000001)。また、測定可能な疾患を有する患者のORRは、A+F群で48.1%、P+F群では21.3%と、A+F群で2倍以上の結果となった。A+F群で多く見られた治療関連有害事象は、下痢86.4%(P+F群24.7%)、好中球減少46.0%(P+F群4.0%)、悪心45.1%(P+F群22.9%)、疲労感39.9%(P+F群26.9%)であった。Sledge氏は、下痢は早期に起こり(典型的には初回の治療サイクルで発現)、その強度と頻度はabemaciclibの開始用量と強く関連していると解説した。 DiscussantであるIngrid A. Mayer氏(Vanderbilt-Ingram Cancer Center and Vanderbilt University Medical Center)は、MONARCH 2試験におけるPFSと最近公表されたPALOMA-3試験(palbociclib+フルベストラントまたはプラセボの試験)の結果との違いについて触れた。HRが同等であるにもかかわらずPALOMA-3試験のPFSがMONARCH 2試験より短い(palbociclib群9.5ヵ月、プラセボ群4.6ヵ月)のは、MONARCH 2試験の被験者の適格基準は化学療法未経験であるが、PALOMA-3試験には化学療法経験者が含まれていたことによるものであると述べた。この試験結果は、学会発表と同時にJournal of Clinical Oncology誌で公開された。■参考ASCO2017 AbstractSledge GW, et al. J Clin Oncol.2017 Jun 3.[Epub ahead of print]MONARCH 2試験(Clinical Trial.gov)

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ペムブロリズマブの胃がん適応拡大に優先審査:FDA

 Merck社は2017年5月23日、米国食品医薬品局(FDA)が2ライン以上の化学療法を受けた再発・進行の胃および胃食道接合腺がんに対するペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の承認を求める生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表。FDAの決定日は2017年9月22日。 FDAに提出された申請は、既治療患者に対してペムブロリズマブ200mgの3週間ごと単独投与の承認を求めたもの。2つ以上の化学療法後に進行し、重度の治療が行われた上記患者を対象とした第II相試験KEYNOTE-059のコホートデータに基づいている。 このKEYNOTE-059のコホートデータは、第53回米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO 2017)で発表される。■参考MERCK(米国本社)ニュースリリースKEYNOTE-059試験(Clinical Trials.gov)

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セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月26日、セリチニブ(商品名:ジカディア)に、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する通常承認を与えた。 セリチニブは2014年4月、クリゾチニブで病勢進行したか、クリゾチニブ耐性のALK陽性転移性NSCLCに対する迅速承認を得ている。これは、163例のシングルアーム試験での独立第3者評価機関(BIRC)による44%の奏効率(ORR)に基づいている。 今回の承認は、未治療のALK陽性NSCLCに対する多施設オープンラベル無作為化実薬比較試験ASCEND-4のデータに基づいたもの。ASCEND-4では31ヵ国201施設376例の対象患者が、セチニブ群またはプラチナ+ペメトレキセド化学療法群に無作為に割り付けられた。 結果、BIRC評価の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、セリチニブ群16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)、化学療法群は8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)と、セリチニブ群で有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.0001)。また、ORRはセリチニブ群73%(95%CI:66~79%)、化学療法群27%(95%CI:21~34%)であった。■参考FDA(Resources for Information on Approved Drugs)ASCEND04試験(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

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ペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月23日、腫瘍の発生部位ではなく、特定の遺伝子的特徴(バイオマーカー)を有するがん患者に対する迅速承認を初めて与えた。 対象となった薬剤はペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)。同薬剤には、高度マイクロサテライト不安定(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)が認められた切除不能/転移のある固形腫瘍に対する適応が与えられた。前治療で進行しながら代替治療のない固形腫瘍患者、特定の化学療法後に進行した大腸がん患者が対象となっている。 この適応症に対するペムブロリズマブの安全性と有効性は、5つのシングルアーム試験に登録されたMSI-HまたはdMMR固形腫瘍の患者で検討された。これらの臨床試験に登録された149例の患者からは15がん種が同定され、多く認められたものは大腸がん、子宮内膜がん、胃・消化管がんであった。当適応でのペムブロリズマブの評価は、全般的奏効率(ORR)および奏効持続期間で、149例のペムブロリズマブ患者のうち、39.6%がCRまたはPRを示し、78%の患者では、6ヵ月以上奏効が持続した。 MSI-HおよびdMMR腫瘍は、大腸がん、子宮内膜がんおよび胃・消化管がんにおいて多くみられるが、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんおよび他部位のがんでも少なからずみられる。転移性大腸がんでは約5%の患者がMSI-HまたはdMMRを有する。FDAプレスアナウンスはこちら

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ALK阻害薬による1次治療の直接比較J-ALEX試験の結果/Lancet

 ALK陽性肺がんにおけるALK阻害薬アレクチニブとクリゾチニブの1次治療での直接比較で、日本人を対象としたJ-ALEX試験の結果がLancet誌2017年5月10日号(オンライン版)に発表された。 J-ALEX試験は、ALK阻害薬未治療(化学療法歴は0~1回)のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした無作為化多施設オープンラベルの第III相試験。本邦41の試験参加施設で登録されたステージ3B~4の207例の患者は、アレクチニブ300mg×2/日(n=103)とクリゾチニブ250mg×2/日(n=104)に、1対1に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の両群の患者背景はほぼ同様であったが、脳転移例の割合はアレクチニブ群(14%)に比べクリゾチニ群(28%)で多かった。・全体のPFSは、アレクチニブ群では未達(95%CI:20.3~推定不能)、クリゾチニブ群では10.2ヵ月(8.2~12.0)と、アレクチニブ群で有意に改善した(HR:0.34、99.7%CI:0.17~0.71、層別化log-rank p<0.0001)。・探索的分析では、頭蓋内病変ありなし共に、クリゾチニブ群に比べアレクチニブ群で、進行リスクが少なかった。・Grad3/4の有害事象発現率は、アレクチニブ群で26%、クリゾチニブ群では52%。致死的な有害事象はいずれの治療群においても生じていない。 この第2次中間分析においてアレクチニブのALK陽性NSCLCの全身的有効性と脳転移患者における頭蓋内病勢制御力が示された。また、IRFは主要評価項を満たしたと判断し、データの即時公開を推奨した。(ケアネット 細田 雅之)参考J-ALEX試験(Japic CTI)アレクチニブ、ALK肺がん1次治療に海外でも良好な結果:ALEX試験

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尿路上皮がんにペムブロリズマブを承認:FDA

 Merck(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は2017年5月18日、米国食品医薬品局(FDA)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の新たな2つの適応症を承認したことを発表した。 1次治療の適応は、シスプラチン含有化学療法不適格の局所進行・転移性尿路上皮がん患者が対象。多施設オープンラベルシングルアーム試験KEYNOTE-052の結果に基づき承認された。この適応は迅速承認であり、継続は確認試験および確認試験における臨床的有益性の結果によって決まる。 また、2次治療の適応は、プラチナ含有化学療法中・後に進行した、またはプラチナ含有化学療法によるネオアジュバント・アジュバント治療12ヵ月以内に進行した局所進行・転移性尿路上皮がん患者が対象。多施設無作為化実薬対照試験KEYNOTE-045の結果に基づいて承認された。参考MERCK(米国本社)ニュースリリースKEYNOTE-052試験(Clinical Trials.gov)KEYNOTE-045試験(Clinical Trials.gov)

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マントル細胞リンパ腫〔MCL: Mantle cell lymphoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)は、1992年にBanks氏らにより独立した疾患単位として提唱された悪性リンパ腫である。WHO分類第4版では、核不整を伴う小型、中型のリンパ球が単調に増殖するB細胞腫瘍であり、Cyclin D1遺伝子の転座を伴うと定義される1)。■ 疫学MCLは、非ホジキンリンパ腫の3~10%を占め、中年から高年層に多く、好発年齢は60歳前後で、男性に多く発症する1)。わが国においては、悪性リンパ腫の2~4%程度と報告されており、比較的まれな病理組織型である。■ 病因14q32に存在する免疫グロブリン重鎖遺伝子(IgH)と11q13に存在するCCND1遺伝子の相互転座 t(11;14)(q13;q32)により、Cyclin D1の過剰発現が生じて腫瘍細胞増殖を促進すると考えられている。さらに近年の分子生物学的研究の成果により、染色体転座に加えMCL発症に重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子変異が同定されている。DNA修復に関わるATM遺伝子、クロマチン修飾に関わるWHSK1、MLL2およびMEF2B遺伝子、NFκBに関わるBIRC3遺伝子、Notchシグナルに関わるNOTCH1/2遺伝子などである。また、MCLの一部においてB細胞受容体(B-cell receptor:BCR)を介したシグナル伝達が恒常的に活性化しており、染色体転座および遺伝子変異と同様にMCLの発症に関与していると考えられている。とくにNFκBやBCRシグナルに関わる分子は、MCLにおける重要な治療標的と考えられるようになり、それらを標的とした分子標的薬の臨床導入も検討されている。Cyclin D1陰性例がMCLの5%以下に認められるが、そのような症例はCyclin D2、D3の過剰発現が確認されており、少数例の解析ではあるが、Cyclin D1陽性の典型例と陰性例で臨床的特徴や予後は変わらないと報告されている。■ 症状MCLの初発症状は、その他の非ホジキンリンパ腫と同様にリンパ節腫大で発症することが多く、特有の症状はない。しかし、MCLは90%近い患者において初発時に臨床病期III期・IV期の進行期であり、表在リンパ節腫大・脾腫以外に、節外病変に伴う症状を高頻度に認める。骨髄浸潤は50~70%に認める。消化管浸潤が20~30%に認められるため、腹部膨満・腹痛・下痢などの消化器症状を主訴として、消化器内科を受診して発見される患者も比較的多い。また、眼窩の腫脹で眼科を受診し、リンパ腫が疑われる場合もあり、多彩な症状で発見されることが特徴である。■ 分類MCLは、病理組織学的に腫瘍細胞は小型~中型の比較的均一な細胞の増殖からなり、腫瘍細胞にはアポトーシス像や分裂像をほとんど認めず、このような形態を示す例が9割近くを占める。その他に芽球様型(blastoid variant)、多形性型(pleomorphic variant)および小細胞型(small cell variant)と呼ばれる細胞形態学的亜型に分類される。さらに、腫瘍の組織構築によりびまん性、結節性およびマントルゾーンパターンに分類される。芽球様型および多形性型は、高悪性度型として予後不良と考えられている1)。■ 予後MCLの予後予測は、中高悪性度リンパ腫に対する予後予測因子である国際予後指標(international prognostic index:IPI)によりおおむね予測が可能であるが、より正確に予後を予測するモデルとしてMCL国際予後指標(mantle cell lymphoma IPI:MIPI)が提唱された2)。MIPIは、年齢、performance status(PS)、LDHおよび白血球数の4つの因子によりlow/intermediate/highの3群のリスクに分類するものである。全生存期間(overall survival:OS)中央値は、low risk群で中央値に到達せず、intermediate risk群 51ヵ月、high risk群 29ヵ月であり、予後層別化が可能であった。一方でMIPIは、計算式によりスコアを求める必要があるため煩雑であることから(図1)、より簡便にしたsimplified MIPI(s-MIPI)が提唱された(図2)。s-MIPIによる各群のOS中央値は、low risk群で中央値に到達せず、intermediate risk群 51ヵ月、high risk群 29ヵ月であった。さらにKi-67陽性強度が独立した予後因子であるとされている。画像を拡大する画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 病理組織学的診断MCLの診断は、リンパ節生検などによる腫瘍組織の病理組織学的診断がもっとも重要である。生検検体は、可能な限り新鮮検体、ホルマリン固定検体および凍結保存検体の3種類に分別して処理すべきである。ホルマリン固定検体を用いたHE染色にて形態学的に悪性リンパ腫が疑われれば、免疫組織学的検査を追加する。MCLはCD20などのB細胞マーカーに加えて、CD5が陽性で、Cyclin D1が腫瘍細胞の核に陽性となる。また、新鮮検体を用いてflow cytometry法により細胞表面抗原検索を併せて行う。通常MCLは、CD5、CD19、 CD20、 CD22、 CD79aが陽性で、CD10およびCD23が陰性である。染色体分析では、t(11;14)(q13;q32)が陽性となることが多く、病理組織学的診断を補強する意味で有用である。病理組織学的に、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫などが鑑別となる。そのため、免疫組織学的検査や細胞表面抗原検査の所見が、鑑別上重要である。■ 臨床病期診断悪性リンパ腫の治療方針を決定するうえで、臨床病期診断は重要である。リンパ節病変の評価として頸部から骨盤部のCT、骨髄検査が必須である。また、近年悪性リンパ腫の臨床病期診断におけるFDG-PETの有用性が指摘されており可能な限り実施する。その他、MCLは前述のように、消化管病変を有することが多いため、上部消化管内視鏡に加え、下部消化管内視鏡検査を行うことが望ましい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブと高用量シタラビンを併用した強力な寛解導入療法に引き続いて、自家造血幹細胞移植大量化学療法(自家移植)を実施する治療戦略が、現時点でもっとも良好な病勢制御が期待でき、自家移植の適応を有する65歳以下の未治療進行期MCL患者における標準的治療法である。Geisler氏らの北欧グループによるR-maxi-CHOP/大量シタラビン療法3)やMD Anderson Cancer CenterによるHyperCVAD/MA療法4)の報告が、いずれも第II相試験の結果ではあるが、その根拠となっている。わが国においては、日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG)よりR-high-CHOP/CHASER療法に引き続く、LEED療法を前処置とした自家移植の有効性が報告されている5)。自家移植の適応のない65歳を超える高齢のMCL患者では、わが国においてはR-CHOP療法が標準的治療法の1つとして位置付けられている。CHOP療法とR-CHOP療法を比較した臨床試験において、奏効割合でR-CHOP療法が有意に優れていたが、OSには有意差は認められなかった6)。一方、メタ解析では、リツキシマブ併用化学療法化学療法群と比較してOSを延長することが示され、R-CHOP療法を含むリツキシマブ併用化学療法が標準的治療法と位置付けられた7)。また、R-CHOP療法とそれに引き続くリツキシマブ維持療法はOSを延長することが報告されている8)。ドイツからの報告では、R-CHOP療法と比較してベンダムスチン(商品名: トレアキシン)とリツキシマブ併用(BR)療法で有意にOSが延長したと報告された9)。さらにプロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブ(同: ベルケイド)を併用したVR-CAP療法が、R-CHOP療法と比較して無増悪生存期間を延長することが第III相試験で示された10)。いずれも試験治療群が標準的治療法となり得るデータであった。わが国においてもMCLを含むB細胞リンパ腫に対するリツキシマブ維持療法および未治療MCLに対するボルテゾミブが保険承認され、さらにMCLを含む未治療低悪性度B細胞リンパ腫に対し、2016年12月に適応が拡大された。MCLにおいてB細胞受容体シグナルの恒常的活性化が認められており、同シグナルに関わるBruton’s tyrosine kinase(BTK)が有望な治療標的と考えられる。イブルチニブ(同:イムブルビカ)は、経口BTK阻害薬であり、再発・治療抵抗性MCLに対して高い有効性が示された11)。わが国においても再発・治療抵抗性MCLに対して2016年12月に適応が拡大され、再発・治療抵抗性MCLに対する重要な治療選択肢の1つに位置付けられている。4 今後の展望65歳以上の未治療MCL患者を対象とするイブルチニブ併用BR療法の有効性を検討する国際共同ランダム化第III相試験が、わが国も含めた国際共同試験として実施されている。同試験の結果により、自家移植非適応未治療MCL患者に対する新たな標準的治療法が、確立される可能性がある。また、免疫調整薬(Immunomodulatory drug: IMiD)であるレナリドミドは、リツキシマブとの併用で未治療MCLに対して第II相試験により高い有効性が示されており12)、MCLに対する今後の臨床開発が期待されている。5 主たる診療科血液内科、血液腫瘍科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報National Comprehensive Cancer Network(NCCN)NCCN guidelines for treatment of cancer by site: Non-Hodgkin lymphomas(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)European Society for Medical Oncology (ESMO)ESMO guidelines: Haematological malignancies(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Swerdlow SH, et al. WHO classification of tumours of haematopoietic and lymphoid tissues. 4th ed. World Health Organization;2008.2)Hoster E, et al. Blood. 2008;111:558-565.3)Geisler CH, et al. Br J Haematol. 2012;158:355-362.4)Bernstein SH, et al. Ann Oncol. 2013;24:1587-1593.5)Ogura M, et al. ASCO annual meeting 2015. Abstract #8565.6)Lenz G, et al. J Clin Oncol. 2005;23:1984-1992.7)Schulz H, et al. J Natl Cancer Inst. 2007;99:706-714.8)Kluin-Nelemans HC, et al. N Engl J Med. 2012;367:520-531.9)Rummel MJ, et al. Lancet. 2013;381:1203-1210.10)Robak T, et al. N Engl J Med. 2015;372:944-953.11)Wang ML, et al. N Engl J Med. 2013;369:507-516.12)Ruan J, et al. N Engl J Med. 2015;373:1835-1844.公開履歴初回2015年07月14日更新2017年05月23日

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ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験

 AstraZenecaとその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年5月12日、放射線とプラチナベース化学療法の併用で進行が止まったステージ3の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、第III相試験PACIFICにおいて、durvalumab(海外商品名:Imfinzi)が良好な結果を得たと発表した。 PACIFIC試験は、上記対象に対するdurvalumabの維持療法を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験。米国、カナダ、ヨーロッパ、南米、中米、日本、韓国、台湾、南アフリカ、オーストラリアなど26ヵ国235施設で行われた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)、副次的評価項目はランドマークPFSとOS、客観的奏効率と奏効時間。独立データモニタリング委員会(IDMC)による中間解析によれば、durvalumabは主要評価項目を達成し、プラセボと比べ統計学的に有意で臨床的に有意なPFSと示した、としている。 AstraZenecaは、今後の学会での発表のために同試験の初期結果を提出の予定。また、専門家との議論を踏まえ、規制当局への提出を計画しているという。 durvalumab(MEDI4736)は抗PD-L1モノクローナル抗体で、すでに進行膀胱がんについてFDAの迅速承認を受けている。また、NSCLC、小細胞肺がん、尿路上皮がん、頭頸部がんの第III相試験による評価も行われている。参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースPACIFIC試験(Clinical Trials.gov)

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