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レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法が 進行・再発の子宮体がんに承認/エーザイ・MSD

 エーザイとMSDは、2021年12月24日、経口チロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブ(製品名:レンビマブ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法について、「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」の適応で、厚生労働省より承認を取得した。 同承認は、日本におけるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の初めての承認である。同併用療法は、進行性子宮体がん(米国と欧州では進行性子宮内膜がん)に係る適応で、日本、米国および欧州において承認されたことになる。 今回の承認は、臨床第III相309試験/KEYNOTE-775試験の結果に基づいたもの。この試験において、対照薬の化学療法(治験医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセル)と比較して、同併用療法は、全生存期間を統計学的に有意に延長し、死亡リスクを38%減少させた(ハザード比:0.62、95% 信頼区間:0.51~0.75、p<0.0001)。無増悪生存期間も統計学的に有意に延長し、増悪または死亡のリスクを44%減少させた(HR=0.56、95% CI:0.47~0.66、p<0.0001)。

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アグレッシブB細胞性リンパ腫の2次治療、チサゲンレクルユーセルvs.標準治療/NEJM

 1次治療に抵抗性を示すなど、アグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫に対し、2次治療としてのチサゲンレクルユーセルは、標準治療(救援療法)に対して優越性を示さなかった。米国・シカゴ大学のMichael R. Bishop氏らが行った国際的な第III相無作為化試験で示された。同患者では、1次治療に抵抗性または同治療後12ヵ月以内に病勢進行が認められた場合の転帰は不良とされる。今回の結果を受けて著者は、「どの患者がいずれのアプローチから最大の利益を得ることができるのか、さらなる研究が必要である」と述べている。NEJM誌オンライン版2021年12月14日号掲載の報告。18歳以上の患者322例を対象に、国際無作為化比較試験 研究グループは2019年5月31日~2021年1月8日にかけて、18ヵ国65医療施設で1次治療に抵抗性、または同治療後12ヵ月以内に病勢進行が認められたアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫の18歳以上の患者322例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはチサゲンレクルユーセル+オプショナルでのブリッジング療法を(チサゲンレクルユーセル群)、もう一方には救援化学療法と自家造血幹細胞移植(HSCT)を行った(標準治療群)。 主要評価項目は無イベント生存で、無作為化から12週以降の評価時における、病勢安定または病勢進行、死亡までの期間と定義した。もし定義したイベントが、12週の評価時またはそれ以降に発生した場合には、チサゲンレクルユーセル群へのクロスオーバーが認められた。無イベント生存期間中央値は、両群ともに3.0ヵ月 ベースラインでのハイグレードリンパ腫患者の割合は、チサゲンレクルユーセル群(24.1%)が標準治療群(16.9%)より高率で、またPrognostic Indexスコアが2以上の患者の割合もチサゲンレクルユーセル群(65.4%)が標準治療群(57.5%)より高率だった。チサゲンレクルユーセル群の実薬投与の割合は95.7%で、標準治療群で自家HSCTを受けたのは32.5%だった。また、白血球除去療法からチサゲンレクルユーセル注入までの期間中央値は52日だった。 6週時点でリンパ腫の進行が認められたのは、チサゲンレクルユーセル群25.9%、標準治療群13.8%だった。無イベント生存期間の中央値は、両群ともに3.0ヵ月だった(チサゲンレクルユーセル群のイベントまたは死亡に関するハザード比[HR]:1.07、95%信頼区間[CI]:0.82~1.40、p=0.61)。奏効が認められたのは、チサゲンレクルユーセル群46.3%、標準治療群42.5%だった。 なお、有害事象による死亡が、チサゲンレクルユーセル群で10例、標準治療群で13例報告された。

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liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療の転帰改善(TRANSFORM)/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年12月11日、成人の再発・難治大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的としたCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)と標準療法(サルベージ化学療法とその後の大量化学療法と自家造血幹細胞移植からなる)を比較した、国際無作為化多施設第III相試験TRANSFORM試験の中間分析の結果を初めて開示した。 主要評価項目であるイベントフリー生存期間(EFS)中央値は追跡期間中央値6.2ヵ月の時点で、liso-cel群10.1ヵ月、標準治療群は2.3ヵ月で、liso-cel群で有意に改善した(HR:0.349、p<0.0001)。結果としてliso-celは、20年以上主流であった現在の標準療法の成績を上回ったことになる。データは第63回米国血液学会(ASH2021)で発表されている。 TRANSFORM試験では、自家幹細胞移植の対象となる再発・難治LBCL184例が、liso-cel(n=92)または標準治療(n=92)に無作為化された。50例の患者が標準治療群からliso-celにクロスオーバーした。 liso-celi群では、66%がCRを達成、PRを合わせた割合は86%であった。標準治療群では、CR39%、PRを合わせた割合は48%で、liso-celi群で有意な改善を示した(p <0.0001)。無増悪生存期間中央値は、liso-celi群14.8ヵ月、標準療法群5.7ヵ月と、liso-celi群で優れていた(HR:0.406、p=0.0001)。 この2次治療の設定でのliso-celiの新たな安全性シグナルは観察されなかった。この試験でのサイトカイン放出症候群(CRS)発現は全Gradeで49%、Grade3は1例で報告された。

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早期乳がん術後化療中の遠隔ケア、予防的電話介入の効果は?/BMJ

 早期乳がんの外来化学療法中の毒性管理について、プロアクティブに電話で介入する方法は、救急部門の受診や入院の減少に結び付かなかったことが、カナダ・University Health NetworkのMonika K. Krzyzanowska氏らが行った検討で示された。がん化学療法中は、救急部門の受診や入院は一般的であり、外来で適切にサポートすれば予防できる可能性が示唆されているが、これまで遠隔管理の大規模な検討は限定的であった。結果を踏まえて著者は、「COVID-19パンデミックにより遠隔ケアが急速に増加しており、がん治療中の患者の遠隔管理について、実践可能な戦略を確立することはとくに重要な課題である」と述べている。BMJ誌2021年12月8日号掲載の報告。介入群vs.通常ケア、化学療法中の救急部門受診/入院回数を検証 研究グループは、早期乳がんの化学療法中の毒性管理について、プロアクティブな遠隔管理の効果を評価する、プラグマティックなクラスター無作為化試験を行った。 カナダ、オンタリオ州の20のがんセンターを、共変量制限付き無作為化法にて、毒性の遠隔管理を行う(介入)群または通常ケアを行う(対照)群に割り付けた。被験者は、各センターで早期乳がんによりアジュバント化学療法またはネオアジュバント化学療法を受けた全患者。また、各センターで25例に、アウトカムの質問票に回答してもらった。 介入群には、各化学療法サイクル後の2つの時点で、看護師によるプロアクティブかつ標準化された一般的な毒性の管理が電話にて行われた。 主要評価項目は、化学療法全コース中の、クラスターレベルでみた患者1人当たりの救急部門受診回数または入院回数の平均値で、ルーチンに利用可能な健康管理データを用いて評価した。また、患者の自己申告によるアウトカムには、毒性、自己効力感、QOLなどが含まれていた。両群間で有意差なし 被験者のベースライン特性は、介入群(944例)、対照群(1,214例)で類似していた。65歳超の被験者は22%で、占有率(各センターで介入を受けた患者の割合)は、50~86%であった。 患者1人当たりの救急部門受診/入院回数の平均値は、介入群0.91(標準偏差[SD] 0.28)、対照群0.94(0.40)だった(p=0.94)。47%(1,014/2,158例)が、化学療法中に1回以上、救急部門受診/入院を経験した。 患者が自己申告するアウトカム質問票に回答した580例において、Grade3の毒性を1回以上経験したと報告したのは、介入群48%(134/278例)、対照群58%(163/283例)であった。自己効力感、不安、うつ症状について差は認められなかった。また、ベースラインと比較した、がん治療試験の機能評価のアウトカム指数の低下は、介入群6.1ポイント、対照群9.0ポイントであった。

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早期乳がん、タキサンへのアントラサイクリン追加のベネフィットとリスク~メタ解析/SABCS2021

 早期乳がんに対するタキサンとアントラサイクリンをベースとした化学療法は、アントラサイクリンによる心毒性と白血病リスク増加の懸念から、アントラサイクリンを含まないレジメン、とくにドセタキセル+シクロホスファミド(DC)が広く使用されている。アントラサイクリン併用のベネフィットとリスクは複数の無作為化試験で検討されているが、結果が一致していない。今回、Early Breast Cancer Trialists Collaborative Group(EBCTCG)が、2012年以前に開始された16件の無作為化比較試験から約1万8,200例のデータのメタ解析を実施した。その結果、アントラサイクリン併用で、乳がん再発リスクが相対的に15%減少し、また同時投与レジメンで最大の減少がみられたことを、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。・比較試験の種類:(A)アントラサイクリン+DC同時投与6サイクル vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が両群で同じ)3試験(B)アントラサイクリン/タキサン逐次投与 vs. DC 6サイクル(タキサン累積投与量が併用群で少ない)8試験(C)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン±カペシタビン3試験(D)タキサン+アントラサイクリン vs. タキサン+カルボプラチン2試験・主要評価項目:再発率、乳がんによる死亡率 主な結果は以下のとおり。・全試験でのメタ解析では、タキサンに対するタキサン+アントラサイクリンでの再発リスクの相対的減少は15%(RR:0.85、95%CI:0.78~0.93、2p=0.0003)、10年での絶対的減少は2.5%(95%CI:0.9~4.2)だった。乳がん死亡リスクの相対的減少は13%(RR:0.87、95%CI:0.78~0.98、2p=0.02)、10年での絶対的減少は1.6%(95%CI:0.1~3.1)だった。・再発リスクの相対的減少は、アントラサイクリン同時投与の有無による比較(A)で42%(RR:0.58、95%CI:0.43~0.79)と最大だった。一方、アントラサイクリン/ドセタキセル逐次投与とDCの比較(B、ドセタキセル累積投与量が併用群で少ない)では、アントラサイクリン併用による有意なベネフィットはなかった(RR:0.92、95%CI:0.78~1.09)。・再発率の相対的減少について、エストロゲン受容体の発現状況やリンパ節転移の個数による違いはなかった。・心血管疾患や白血病による死亡の有意な増加は示されなかった(長期フォローアップが必要)。

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EGFR変異肺がん外科切除例の特徴と予後~肺癌登録合同委員会からの考察/日本肺癌学会

 外科手術の対象となるEGFR変異肺がんの特徴や予後について、肺がん治療例の全国集計を行う肺癌登録合同委員会による2010年手術例を対象とした第7次事業の報告(以下、合同員会報告)からの考察として、第62回日本肺癌学会学術集会において近畿大学の須田健一氏が発表した。 合同委員会報告のデータを用いて、EGFR変異陽性肺がん(2,410例)とEGFR変異陰性肺がん(3,370例)の臨床病理学的因子の比較や予後解析などを行った。 その結果、EGFR変異陽性肺がんは非喫煙者、女性、すりガラス陰影(GGO)、リンパ管や脈管への湿潤のない肺がんが多かった。また、多変量解析からEGFR変異陽性肺がんは変異陰性肺がんに比べて予後が良好であることが示されていた(無増悪生存期間[PFS]ハザード比[HR]:0.894、95%信頼区間:0.814~0.980、p=0.017)。 EGFR変異は主にexon19 deletion(Del 19)と L858R point mutation(L858R)の2種類が存在する。合同委員会報告ではDel 19(983例)はL858R(1,170例)に比べて若年齢(66.1歳 vs.69.0歳)で、腫瘍サイズが大きく(2.33cm vs.2.07cm)、GGO例が多く、また病期が進むほど増える傾向がみられた。L858Rに比べDel 19で予後が悪い傾向が示されたが、予後予測因子としてのインパクトは大きいものではなかった。 EGFR変異陽性肺がん(1,120例)とEGFR変異陰性肺がん(1,550例)の初再発部位を比較したデータからは、EGFR変異陽性肺がんは、脳での再発が15.9%と、陰性の12.2%に比べ高いことが明らかになった。 日本の肺癌診療ガイドライン(2020)では、病変全体径が2cm以上の病理病期IA/IB/IIA期の完全切除腺がんに対しては、デガフール・ウラシル配合剤療法が推奨されている。デガフール・ウラシル配合剤単剤療法は、EGFR変異陰性肺がんでより治療効果が高い可能性を示唆する報告があるが、現行の化学療法の有用性は、今後のより大規模な研究で評価していく必要がある。

767.

ニボルマブ・イピリムマブ併用のNSCLC1次治療、4年追跡結果(CheckMate 227)/日本肺癌学会

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのニボルマブとイピリムマブの併用療法は、PD-L1の発現状態、非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの組織型にかかわらず、化学療法と比較して長期的な生存効果を示すことがCheckMate 227試験の4年間追跡結果から示された。この結果の概要が、第62回日本肺癌学会学術集会において、がん研究会有明病院の西尾誠人氏によって紹介された。ニボルマブ・イピリムマブ併用群の化学療法群に対するOSのハザード比は0.76・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず)・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ併用群(NIVO+IPI群)     ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)(NIVO群)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の無増悪生存期間(PFS)、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の全生存期間(OS)[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PD-L1発現率1%以上の患者集団(1,189例)のOS中央値は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群、ニボルマブ単独療法群、化学療法群でそれぞれ17.1ヵ月、15.7ヵ月、14.9ヵ月であり、4年OS率はそれぞれ29%、21%、18%であった。・ニボルマブ・イピリムマブ併用群の化学療法群に対するOSのハザード比(HR)は、0.76(95%信頼区間[CI]:0.65~0.90)であった。・以上の結果は、非扁平上皮がんと扁平上皮がんで層別して解析しても一貫していた。・PD-L1発現率1%未満の患者集団(550例)のOS中央値は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群、ニボルマブ/化学療法併用群、化学療法群でそれぞれ17.2ヵ月、15.2ヵ月、12.2ヵ月であり、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の化学療法群に対するOSのHRは0.64(95%CI:0.51~0.81)であった。・4年間の長期観察において、安全性に関する新たな懸念は示されなかった。

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21遺伝子アッセイ、リンパ節転移陽性乳がんの術後化学療法の効果予測は?/NEJM

 21遺伝子乳がんアッセイ(Oncotype DX、Exact Sciences製)による再発スコアは、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、腋窩リンパ節転移陰性の乳がんにおける化学療法の効果の予測に有用であることが確認されている。米国・エモリー大学Winshipがん研究所のKevin Kalinsky氏らは、今回、リンパ節転移陽性乳がんにおける21遺伝子アッセイの有用性を検討し、再発スコアが25点以下の閉経前女性では、術後の化学療法+内分泌療法(化学内分泌療法)は内分泌療法単独と比較して、無浸潤病変生存と無遠隔再発生存の期間を延長する一方で、同様の病態の閉経後女性では化学療法の利益はないことを示した(RxPONDER試験)。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2021年12月1日号で報告された。9ヵ国632施設の無作為化試験 研究グループは、21遺伝子アッセイはリンパ節転移陽性乳がん女性における術後化学療法の利益を予測可能かの検証を目的に、前向き無作為化臨床試験を行った(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。本試験では、2011年2月~2017年9月の期間に、9ヵ国632施設で参加者の無作為化が行われた。 対象は、年齢18歳以上で、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、1~3個の腋窩リンパ節転移(Stage N1)を有し、再発スコア(0~100点、点数が高いほど予後不良)が25点以下の遠隔転移のない非炎症性乳がんで、初回手術としてセンチネルリンパ節生検または腋窩リンパ節郭清を受けており、タキサン、アントラサイクリンあるいはこれら双方を含む化学療法レジメンが適応となる女性であった。 被験者は、化学内分泌療法または内分泌療法のみを受ける群に無作為に割り付けられ、15年間追跡された。 この試験の主要な目標は、無浸潤病変生存期間に及ぼす化学療法の効果を評価することであり、再発スコアと化学療法の効果の関連が検討された。無浸潤病変生存期間は、無作為化の日から、浸潤病変の初回再発(局所、領域、遠隔)、初発の新規浸潤がん(乳がん、他の種類のがん)、全死因死亡が発生するまでの期間と定義された。副次エンドポイントは無遠隔再発生存などであった。閉経後女性では術後化学療法を安全に回避可能 5,018例(年齢中央値57.5歳[IQR:18.3~87.6]、閉経前33.2%、閉経後66.8%)が解析に含まれた。化学内分泌療法群が2,511例、内分泌療法単独群は2,507例であった。事前に規定された3回目の中間解析で、無浸潤病変生存期間に及ぼす化学療法の利益は閉経状況によって異なること(p=0.008)が明らかとなったため、閉経前と閉経後に分けて解析が行われた。 閉経後女性では、5年無浸潤病変生存率は化学内分泌療法群が91.3%、内分泌療法単独群は91.9%であり、化学療法の利益は示されなかった(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.82~1.26、p=0.89)。また、5年無遠隔再発生存率にも、両群間に差は認められなかった(94.4% vs.94.4%、HR:1.05、95%CI:0.81~1.37、p=0.70)。 これに対し、閉経前女性の5年無浸潤病変生存率は、化学内分泌療法群が93.9%と、内分泌療法単独群の89.0%に比べ有意に良好であった(HR:0.60、95%CI:0.43~0.83、p=0.002)。5年無遠隔再発生存率も同様に、化学内分泌療法群で高かった(96.1% vs.92.8%、HR:0.58、95%CI:0.39~0.87、p=0.009)。閉経前女性では、再発スコアの上昇に伴って、化学療法の相対的な利益が増加することはなかった。 著者は、「1~3個の腋窩リンパ節転移を有し、再発スコアが0~25点の閉経後乳がん女性では、無浸潤病変生存や無遠隔再発生存を損なわずに、術後化学療法を安全に回避可能であることが示された。対照的に、1~3個の腋窩リンパ節転移を有する閉経前乳がん女性では、再発スコアがかなり低い患者であっても、化学療法の利益が大きいことがわかった」としている。

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DLL3を標的としたBiTE抗体tarlatamabの小細胞肺がんに対する安全性と抗腫瘍効果/日本肺癌学会

 腫瘍組織で多く発現するデルタ様リガンド3(DLL3)は、小細胞肺がん(SCLC)の治療標的として注目されている。このDLL3を標的とする半減期を延長した二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体であるtarlatamab(AMG757)は、がん細胞とT細胞を架橋し、さらにT細胞を活性化させることでがん細胞を攻撃する。進行または再発SCLCを対象とした第I相試験の結果から、tarlatamabの安全性および抗腫瘍効果について、第62回日本肺癌学会学術集会において国立がん研究センター東病院の泉大樹氏が報告した。BiTE抗体tarlatamabをSCLC患者66例に投与・対象:プラチナベースの化学療法後に進行または再発したSCLC患者66例(PS 0~2)・治療薬:tarlatamab 0.003~100mgを週2回投与・評価項目:[主要評価項目]安全性および忍容性、最大耐用量および推奨用量[副次評価項目]PK特性、予備的な抗腫瘍効果 BiTE抗体tarlatamabの安全性および抗腫瘍効果の主な結果は以下のとおり。・66例中56例(85%)に治療関連有害事象(TRAE)が認められ、Grade 3以上のTRAEは18例(27%)に発現した。・頻度の高いTRAEとしてサイトカイン放出症候群(CRS)が17例(44%)に発現したが、Grade 3以上のCRSは1例(2%)のみだった。次いで、発熱17例(26%)、疲労感11例(17%)などがみられた。・TRAEにより3例(5%)の患者が治療を中止した。また、用量制限毒性(DLT)はGrade 5の非感染性肺炎が1例(0.3mg投与)とGrade 3の脳症が1例(100mg投与)にみられた。・BiTE抗体tarlatamabの抗腫瘍効果については、64例中13例(20%)でconfirmed PRを示し、3mg投与例の36%、10mg投与例の30%、100mg投与例の27%がPRであった。SDは17例(27%)、病勢コントロールは37例(47%)に認められた。・確定されたPRが得られるまでの期間の中央値は8.7ヵ月であった なお、本試験は現在でも継続されている。

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新薬elacestrantがHR+進行乳がん2~3次治療でPFS改善、初の経口SERD(EMERALD)/SABCS2021

 ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有する閉経後乳がん患者への2次および3次治療において、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)elacestrantが、医師選択の標準治療と比較して死亡または疾患進行リスクを有意に減少させ、無増悪生存期間(PFS)を改善した。第III相EMERALD試験の中間解析結果を、米国・Mass General Cancer CenterのAditya Bardia氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。 現在、同患者に対しては主に内分泌療法とCDK4/6阻害薬による治療が行われているが、ほとんどの患者は最終的にこれらの治療に対する耐性を獲得し、その耐性機序の一つとしてESR1変異が考えられている。 SERDとして乳がん治療で唯一承認されているフルベストラントは筋肉内注射による投与であり、経口SERDとして第III相試験が実施されたのは今回のelacestrantが初。Bardia氏はelacestrantはフルベストラントと比較して吸収が大きく、薬物動態が改善され、ERの阻害が強化されていると説明した。EMERALD試験は多施設共同無作為化比較試験で、北米・ヨーロッパの他アルゼンチン、韓国、オーストラリアなど17カ国228施設が参加。日本からの参加はない。・対象:ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有し、CDK4/6阻害薬治療後に進行した男性および女性の閉経後乳がん患者(1~2ラインの内分泌療法歴[うち1ラインはCDK4/6阻害薬との併用]と1ライン以下の化学療法歴有、ECOG PS 0/1) 477例・elacestrant群:elacestrant(400mg/日) 239例・標準治療群:治験担当医選択によるフルベストラントまたはアロマターゼ阻害薬 238例・評価項目:[主要評価項目]ITT集団およびESR1変異を有する患者におけるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点での患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はelacestrant群63.0歳vs.標準治療群63.5歳、内臓転移を有する患者は68.2% vs.70.6%、1ラインの化学療法歴を有する患者は20.1% vs.24.4%だった。・主要評価項目であるITT集団におけるPFS中央値は、elacestrant群2.79ヵ月に対し標準治療群1.91ヵ月となり、elacestrant群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.697、95%信頼区間[CI]:0.552~0.880、p=0.0018)。・ESR1変異を有する患者におけるPFS中央値は、elacestrant群3.78ヵ月に対し標準治療群1.87ヵ月となり、elacestrant群で有意に改善した(HR:0.546、95%CI:0.387~0.768、p=0.0005)。・ITT集団における6ヵ月時点でのPFS率は34.3% vs.20.4%、12ヵ月時点では22.32% vs.9.42%だった。ESR1変異を有する患者においては6ヵ月時点でのPFS率は40.8% vs.19.1%、12ヵ月時点では26.76% vs.8.19%だった。・elacestrantによるPFSのベネフィットは、フルベストラントによる治療歴(HR:0.679、 95%CI:0.438~1.029)および内臓転移を有する患者(HR:0.665、95%CI:0.607~0.869)を含む、事前に設定されたほとんどのサブグループにおいて観察された。 一方、アジア人(HR:1.091、95%CI:0.456~2.642)およびその他の人種(HR:1.075、95%CI:0.309~3.580)ではみられなかった。ただし、これらのサブグループは例数が少ない(32例、14例)。・副次評価項目であるOS中央値は、未成熟なデータではあるが、ITT集団 (HR:0.751、 95%CI:0.542~1.038、p=0.0821) およびESR1変異を有する患者(HR:0.592、95%CI:0.361~0.958、p=0.0325)においてともにelacestrant群で良好な傾向がみられている。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)で多くみられたのは悪心(35.0% vs.18.8%)、倦怠感(19.0% vs.18.8%)、嘔吐(19.0% vs.8.3%)、食欲不振(14.8% vs.9.2%)、関節痛(14.3%vs.16.2%)。Grade3/4では、悪心(2.5% vs.0.9%)、背部痛(2.5% vs.0.4%)、ALT上昇(2.1% vs.0.4%)がみられた。TRAEによる治療中止はelacestrant群3.4%、標準治療群0.9%で報告され、両群とも治療関連の死亡は発生していない。 Bardia氏は同患者に対するelacestrant単剤療法は新しい標準治療となる可能性があるとし、OSの最終結果は来年以降発表される見通しとした。また、より早期の治療ラインにおける有効性および他の治療薬と組み合わせたときの有効性を評価する必要があるとし、脳転移のある患者を対象に、アベマシクリブと組み合わせたelacestrantの有効性を評価する第II相試験が計画されているとした。

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TN乳がん1次治療でのペムブロリズマブ、適切なCPSカットオフ値は?(KEYNOTE-355)/SABCS2021

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療において、ペムブロリズマブ+化学療法による治療ベネフィットが期待される患者の定義としてCPS 10以上が適切であることを示唆する、第III相KEYNOTE-355試験のサブグループ解析結果を、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。 本試験では、化学療法+ペムブロリズマブが、未治療のPD-L1陽性(CPS 10以上)の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん患者において、化学療法+プラセボと比べ、有意に全生存(OS)および無増悪生存(PFS)を改善したことがすでに報告されている。しかし、CPS 1以上の集団では有意なベネフィットは示されなかった。今回は、CPS 1未満、1~9、10~19、20以上のサブグループに分けてOSとPFSを解析した。・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例・対照群:プラセボ+化学療法 281例・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS 10以上、1以上)およびITT集団におけるPFSとOS[副次評価項目]奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、安全性 主な結果は以下のとおり。・最終解析時点(データカットオフ:2021年6月15日)で、無作為化~データカットオフの期間の中央値は44ヵ月だった。・OSについては、報告済みのハザード比(95%信頼区間)は、CPS 10以上で0.73(0.55~0.95)、CPS 1以上で0.86(0.72~1.04)、ITT集団で0.89(0.76~1.05)だった。今回のサブグループ解析では、CPS 1未満で0.97(0.72~1.32)、1~9で1.09(0.85~1.40)、10~19で0.71(0.46~1.09)、20以上で0.72(0.51~1.01)で、CPS 1~9ではペムブロリズマブ群とプラセボ群で変わらず、10~19と20以上ではペムブロリズマブの追加による治療ベネフィットが同等だった。 ・PFSについては、報告済みのハザード比(95%信頼区間)は、CPS 10以上で0.66(0.50~0.88)、CPS 1以上で0.75(0.62~0.91)、ITT集団で0.82(0.70~0.98)だった。今回のサブグループ解析では、CPS 1未満で1.09(0.78~1.52)、1~9で0.85(0.65~1.11)、10~19で0.70(0.44~1.09)、20以上で0.62(0.44~0.88)だった。

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ICIによる非小細胞肺がんの術前・術後補助療法の有効性を探る(CheckMate 77T試験)/日本肺癌学会

 最近のStageIIAからIIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後の5年生存率は50%以下であり、その治療効果は十分とはいえず、何らかの追加治療が必要とされてきた。 1990年代から化学療法を用いた術前補助療法が行われてきたが、最近は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場。周術期治療への可能性が期待されている。そこで、化学療法にICIを加えた周術期治療の有用性を検証するCheckMate 77T試験が現在進行しており、その概要が第62回日本肺癌学会学術集会において、神奈川県立がんセンターの伊藤宏之氏から紹介された。 StageIIIAのNSCLC患者46例を対象に、化学療法にニボルマブを併用する術前補助療法の後に手術を施行する第II相試験として、NADIM試験が実施された。その結果、残存するがん細胞の面積ががん組織中に占める割合が 10%以下の症例の割合を表すmajor pathological response(MPR)が83%、病理学的完全奏効(pCR)は59%との良好な成績を示し、18か月後の無増悪生存率は81%、全生存率は91%となっていた。この結果を受け、第III相試験としてCheckMate 77T試験がデザインされた。 CheckMate 77T試験は、切除可能なNSCLC患者を対象に、組織型に基づく化学療法にニボルマブ360mgまたはプラセボを加えた術前補助療法を行い、さらに術後補助療法としてニボルマブ480mgまたはプラセボを1年間投与する無作為化二重盲検第III相試験である。主要評価項目は盲検下独立中央評価委員会(BICR)による無イベント生存期間(EFS)、主な副次評価項目としてBICRによる全生存期間(OS)、pCR、およびMPR、安全性と忍容性などについても評価される。 対象は、切除可能なStage IIAからIIIBのNSCLCで、ECOG PS が0~1の患者。EGFR/ALK変異、脳転移、自己免疫疾患もしくはその疑いがある患者は除外された。 現在、日本を含む21ヵ国から115施設が参加し、2024年9月の修了を目指して試験が進行している。伊藤氏は、これまでICIは内科領域の治療で使われる薬剤であったが、今後は外科領域における周術期治療においても使用されるようになる可能性が高いとの期待を示した。

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高齢がん患者への高齢者機能評価介入、治療毒性を低減/Lancet

 進行がんの高齢患者への介入として、地域の腫瘍医(community oncology practice)に高齢者機能評価の要約を提供すると、これを提供しない場合に比べ、がん治療による重度の毒性作用の発現頻度が抑制され、用量強度の低いレジメンで治療を開始する腫瘍医が増えることが、米国・ロチェスター大学医療センターのSupriya G. Mohile氏らのクラスター無作為化試験「GAP70+試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年11月20日号で報告された。米国の40施設のクラスター無作為化試験 本研究は、患者管理上の推奨事項を含む高齢者機能評価の要約を地域の腫瘍医に提供することによる介入は、意思決定の改善をもたらし、高リスクのがん治療による重度の毒性を軽減するとの仮説の検証を目的とするクラスター無作為化試験であり、米国の40の地域腫瘍診療施設が参加し、2014年7月~2019年3月の期間に患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]の研究助成を受けた)。 対象は、年齢70歳以上、高齢者機能評価のドメイン(8項目)のうち、ポリファーマシーを除く少なくとも1つの機能障害がみられ、非治癒性の進行固形がんまたはリンパ腫(StageIII/IV)に罹患しており、4週間以内に毒性作用のリスクが高い新たながん治療レジメンを開始する予定の患者であった。 参加施設は、高齢者機能評価による介入群または通常治療群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。介入群の腫瘍医には、Webベースのプラットフォームを用いて作成された個別の高齢者機能評価の要約と患者管理上の推奨事項が提供され、通常治療群の腫瘍医には提供されなかった。 主要アウトカムは、3ヵ月間にGrade3~5の毒性作用(NCIの有害事象共通用語規準[CTCAE]の第4版で判定)が発現した患者の割合とされた。転倒の発生率も低下 40施設(腫瘍医156人)のうち、16施設が介入群、24施設は通常治療群に割り付けられた。患者718例が登録され、349例が介入群、369例は通常治療群であった。全体の平均年齢は77.2(SD 5.4)歳、311例(43%)が女性であった。がん種は、消化器がんが34%、肺がんが25%、泌尿生殖器がんが15%、乳がんが8%で、リンパ腫は6%だった。 ベースラインの高齢者機能評価で機能障害が認められた平均ドメイン数は4.5(SD 1.6)であり、両群間に差はなかった。介入群は通常治療群に比べ、黒人が多く(11%[40/349例]vs.3%[12/369例]、p<0.0001)、化学療法による既治療例の割合が高かった(30%[104/349例]vs.22%[81/369例]、p=0.016)。 新たな治療レジメン開始から3ヵ月以内にGrade3~5の毒性作用が発現した患者の割合は全体で61%(440/718例)であった。このうちGrade5(死亡)は5例(1%)で認められた。 Grade3~5の毒性作用が発現した患者の割合は、介入群が51%(177/349例)と、通常治療群の71%(263/369例)に比べて低く、高齢者機能評価による介入は毒性作用のリスクを有意に低減することが確認された(補正後リスク比[RR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.64~0.86、p=0.0001)。Grade3~5の毒性作用のうち、非血液毒性には有意差が認められたが(補正後RR:0.72、95%CI:0.52~0.99、p=0.045)、血液毒性には差がなかった(0.85、0.70~1.04、p=0.11)。 化学療法は、タキサン系薬剤やプラチナ製剤を含むレジメンが多かった。化学療法のパターンには両群間に差がみられ(p=0.011)、介入群では用量強度の低い併用療法や単剤療法、化学療法+他の薬剤(モノクローナル抗体など)、化学療法以外のレジメンの割合が高い傾向が認められた。通常治療群では、2剤併用化学療法の使用頻度が高かった。 また、介入群では、1サイクル目の用量強度が標準よりも低い治療を受けた患者が多く(49%[170/349例]vs.35%[129/369例]、補正後RR:1.38、95%CI:1.06~1.78、p=0.015)、3ヵ月間に毒性関連で減量が行われた患者は少なかったが有意差はなかった(43%[149/349]vs.58%[213/369例]、0.85、0.68~1.08、p=0.18)。6ヵ月生存率(補正後ハザード比[HR]:1.13、95%CI:0.85~1.50、p=0.39)と1年生存率(1.05、0.85~1.29、p=0.68)には差が認められなかった。 さらに、介入群では、3ヵ月以内の転倒の発生率が低く(12%[35/298例]vs.21%[68/329例]、補正後RR:0.58、95%CI:0.40~0.84、p=0.0035)、がん治療レジメン開始前に中止された薬剤の数が多かった(平均群間差:0.14、95%CI:0.03~0.25、p=0.015)。 著者は、「進行がんや加齢に伴う疾患を有する高齢患者に対し、毒性作用のリスクが高い治療レジメンを新たに開始する場合は、高齢者機能評価とこれに基づく患者管理を、標準治療として考慮すべきである」としている。

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固形がん患者へのブースター接種、抗体価の変化は?/JAMA Oncol

 積極的な治療を受けている固形がん患者では新型コロナウイルス感染症により予後が悪化するリスクが高く、また、化学療法を受けているがん患者ではBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech)による体液性応答が低下することが報告されている。今回、イスラエル・Hadassah Medical CenterのYakir Rottenberg氏らが、主に化学療法を受けた固形がん患者でのBNT162b2ワクチンの3回目(ブースター)接種後30日未満の体液性応答を調査したところ、ほとんどの症例でブースター接種後早期に抗体反応がみられたことがわかった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年11月23日号に掲載。ブースター接種後にほぼすべてのがん患者で高い抗体価 本研究の対象は、Hadassah Medical Centerにおいて化学療法、生物学的製剤、免疫チェックポイント阻害薬、もしくはこれらの組み合わせで治療された固形がん患者で、BNT162b2ワクチンを2回接種していた患者。血液サンプルの採取日の中央値は、ブースター接種後13日(範囲:1~29)で、スパイクタンパク質結合抗体について分析した。 がん患者のブースター接種後の体液性応答を調査した主な結果は以下のとおり。・2021年8月15日~9月5日に37例がブースター接種後に血清学的検査を受けた。2回目接種とブースター接種との間隔の中央値は214日(範囲:172~229)、2回目接種と2回目接種後抗体測定の間隔の中央値は86日(範囲:30~203)だった。・年齢中央値は67歳(範囲:43~88)で、11例(30%)は転移がなく、19例(51%)は化学療法を受けていた。・1例(40代、dose-dense AC療法後パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブによる術後補助療法中)を除いた患者が血清学的検査で陽性だった。さらに、化学療法の有無に関係なく、2回目接種後の反応が中程度または最小だったがん患者で、ほぼすべてのがん患者が高い抗体価を示し、有意に抗体価が増加した。・多重線形回帰の結果、2回目接種後の抗体価(p<0.001)と高齢者(p=0.03)がブースター接種後の高い抗体価と関連した。一方、性別、化学療法の有無、3回目接種と抗体検査の間隔との関連はみられなかった。

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ペムブロリズマブ+化学療法、食道がん1次治療に承認/MSD

 MSDは、2021年11月25日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)について、根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する適応拡大に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。食道がんにペムブロリズマブと5-FU/シスプラチンの併用療法 今回のペムブロリズマブの食道がんに対する適応拡大に関する承認は、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんおよび食道腺がん並びに食道胃接合部(Siewert分類typeI)の腺がん患者749例(日本人141例を含む)を対象とする、国際共同第III相試験KEYNOTE-590試験の結果に基づいている。 同試験において、ペムブロリズマブと5-フルオロウラシル(5-FU)/シスプラチンの併用療法により、プラセボと5-FU/シスプラチンのみの場合と比較して、全生存期間(OS)と治験担当医師が判定した無増悪生存期間(PFS)が有意に改善した。全集団(ITT)において、ペムブロリズマブ+5-FU/シスプラチン群ではプラセボ+5-FU/シスプラチン群と比較して、OSリスクが27%低下(HR=0.73)し、PFSリスクが35%低下(HR=0.65)した。 安全性については、安全性解析対象例370例中、高頻度(20%以上)に認められた副作用は、悪心(63.0%)、食欲減退(39.2%)、貧血(38.6%)、疲労(36.5%)、好中球数減少(36.5%)、嘔吐(29.7%)、下痢(26.2%)、好中球減少(25.9%)、口内炎(25.9%)および白血球数減少(24.1%)であった。

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TRK阻害薬ラロトレクチニブ、NTRK陽性肺がんに奏効/日本肺癌学会

 まれな遺伝子変異である神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子を有するがんの治療薬として開発されたTRK阻害薬ラロトレクチニブは、NTRK融合遺伝子を有する肺がん患者にも奏効することが、第62回日本肺癌学会学術集会において名古屋大学の安藤雄一氏により発表された。 NTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者159例を対象とした第I相および第II相のバスケット試験において、ラロトレクチニブは79%という高い奏効率(ORR)を示している。今回はこの中から肺がん症例を抽出し、ラロトレクチニブの有効性と安全性についての解析を行った。 解析対象患者20例の平均年齢は48.5歳であり、NTRK融合遺伝子を有する肺がん患者は一般の肺がんよりも若い年齢層である可能性が示唆された。NTRK融合遺伝子の解析には次世代シーケンサーが用いられ、NTRK1が80%、NTRK3が20%を占めていた。また、中枢神経系転移は50%の症例に認められ、50%が外科療法、45%が放射線療法、95%が全身化学療法を受けていた。なお、全体の50%にレジメン以上の全身化学療法歴があり、通常の化学療法が効きにくい症例集団であることが示唆された。 主な結果は以下のとおり。・有効性に関する15例の解析が終了し、主要評価項目のORRは73%で、全ての症例で腫瘍の縮小を認めた(頭蓋内の腫瘍が縮小した症例もあり)。・投与開始3か月以内の早期から良好なレスポンスが得られ、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の中央値はそれぞれ33.9ヵ月、35.4ヵ月、40.7ヵ月であった。ただし、中枢神経転移のある症例のDoR、PFS、OSは、それぞれ17.4ヵ月、7.2ヵ月、17.2ヵ月となっていた。・治療関連有害事象(TRAE)は16例(80%)に認められ、そのほとんどがGrade1〜2であり、2例(10%)にGrade3のTRAE(筋肉痛、過敏症、体重増加)を認めた。・2例(10%)がGrade2の肝機能障害や好中球減少のためラロトレクチニブを減量したが、有害事象のために治療を中断した症例はなかった。 以上の結果を受け、「中枢神経転移例も含めてNTRK融合遺伝子陽性の肺がんに対して、ラロトレクチニブによる早期からの有効性と長期にわたる安全性が期待される」と安藤氏はまとめた。

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ニボルマブ、消化器がんで2つの適応が追加承認を取得/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年11月25日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、および「食道癌の術後補助療法」に対する二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得した。治癒切除不能な進行・再発の胃がんへの適応 今回の承認は、CheckMate -649試験とATTRACTION-4試験のデータに基づいたもの。 CheckMate-649試験は、日本を含む世界規模で、未治療のHER2陽性以外の治癒切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がんまたは食道腺がんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法またはイピリムマブとの併用を、化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験。 同試験で、ニボルマブと化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して、主要評価項目である全患者およびCPS5以上の患者の全生存期間(OS)と、CPS5以上の患者の無増悪生存期間(PFS)で有意な延長を示した。 ATTRACTION-4試験は日本、韓国、台湾で未治療のHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんまたは胃食道接合部がんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法をプラセボと化学療法の併用療法と比較評価した多施設共同無作為化第II/III相臨床試験。 同試験で、ニボルマブと化学療法の併用療法群は、プラセボと化学療法の併用療法群と比較して、主要評価項目の1つであるPFSの統計学的に有意な延長を示した。もう1つの主要評価項目であるOSでは統計学的に有意な延長を示さなかった。食道がん術後補助療法への適応 今回の承認は、食道がんまたは食道胃接合部がん切除後患者の術後補助療法として、ニボルマブ単剤療法をプラセボと比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験であるCheckMate-577試験の結果に基づいたもの。 同試験において、ニボルマブ単剤療法群は、プラセボ群と比較して、主要評価項目である無病生存期間(DFS)で統計学的に有意な延長を示している。

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ニボルマブ単剤が悪性中皮腫の2次治療で良好な成績(CONFIRM)/Lancet Oncol

 プラチナベース化学療法後に進行した胸膜・腹膜悪性中皮腫患者の生存改善を示した第III相試験はなかった。そのような中、ニボルマブの第III相試験が有望な結果を示した。 この試験は、ニボルマブの有効性と安全性を評価するために、多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検で行われたCONFIRM試験。英国の24施設で実施された。・対象:プラチナベース化学療法の1次治療で進行した胸膜または腹膜中皮腫成人患者(18歳以上、PS 0または1)・試験群:ニボルマブ240mg/日 2週間ごと疾患進行または最大12ヵ月まで投与・対照群:プラセボ 2週間ごと疾患進行または最大12ヵ月まで投与・主要評価項目:治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・2017年5月10日〜2020年3月30日に、332例の患者が登録され、221例がニボルマブ群に、111例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は11.6ヵ月である。・PFS中央値は、ニボルマブ群3.0ヵ月に対し、プラセボ群は1.8ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.53〜0.85、p=0.0012)。・OS中央値は、ニボルマブ群10.2ヵ月に対し、プラセボ群では6.9ヵ月であった(HR:0.69、95 %CI:0.52〜0,91、p=0.0090)。・重篤な有害事象は、ニボルマブ群の41%、プラセボ群の44%で発現したが、両群とも治療関連死亡はなかった。

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診断基準への採用を目指す!新たな変形性膝関節症予後リスク判定デバイスとは

 10月29日にWeb開催された日本抗加齢協会主催『第3回ヘルスケアベンチャー大賞』において、変形性膝関節症(以下、膝OA)の進行予後を推定するウェアラブルデバイスを開発した、株式会社iMUが大賞に選ばれた。 同社は慶應義塾大学医学部発のヘルスケアスタート・アップ*であり、受賞に結び付いた製品は、変形性膝関節症の進行予後リスクが5m歩くだけで見える化できるウェアラブルデバイスだ。既存製品で90分を要した計測時間はわずか5分に短縮され、医師・患者の双方にメリットのある製品開発に成功した。*:ベンチャー企業は既存ビジネスをスケール化したり中長期的に課題解決に取り組む。一方、スタート・アップは革新的なアイデアや独自性で新たな価値を生み出し、社会にインパクトを与える企業のこと。KAMを変形性膝関節症の国際基準へ導くことを目標「KAMという指標を変形性膝関節症の国際診断基準へ導く」ことを目標に掲げ、開発の起爆剤としているという名倉氏。彼らの原点は、医師、患者どちらにも痛みになっている変形性膝関節症診断のあいまいさを払拭させることだという。“KAM”(膝内反モーメント=膝の力学的負荷)とはラテラルスラスト**(以下、スラスト現象)を定量化したもので、変形性膝関節症の進行予測・治療効果判定に有用と考えられている。現時点で1,000以上もの論文報告がされ、変形性膝関節症の予後予測の精度はおおよそ感度90%、特異度85%と、世界から脚光を浴びるデジタルバイオマーカーだ。**:歩行時の立脚中期に特徴的に観察される膝関節の横ぶれ そもそも、変形性膝関節症の診断基準は“KLグレード分類”が1957年に確立された後、現代までそれが継承され続けてきた。すなわち、現在まで新たな診断基準の確立には至っておらず、2016年に変形性膝関節症のガイドラインが改訂されてもなお、「“痛み+診断所見”のみというアナログな診断方法が用いられている」と名倉氏は説明。また、変形性膝関節症の治療戦略には保存療法から人工関節置換手術まで幅広い治療が存在するが、これらを選択するにも診断マーカーがないため医師の裁量にかかっているのが現状だという。そこで同氏らはKAMに注目し開発を推し進めてきた。変形性膝関節症の予後予測しながらの治療が実現! これまでは、モーションキャプチャーを利用してKAMの計測を行っていたが、KAMを算出するまでに90分、結果報告を当日にできないというデメリットがあった。これらを解決したのが、同氏らの開発したiMU ver.1というウェアラブルデバイスによるKAM推定技術だ。加速度センサーとAIを組み合わせたことで、いつでもどこでも測定ができ、既存製品と比べ算出時間も大幅に短縮、さらに低コスト化も実現可能だ。これについて同氏は「スラスト現象に注目し、そこに加速度センサーを用いたからこそ実現できた」とコメントした。 このデバイスを使ってKAMを測定した場合、KAMが閾値未満であればマイルドな治療で経過観察と診断、一方でKAMが閾値以上なら変形性膝関節症の進行リスクが高く積極的な介入治療が必要と診断できる。これについて、「医者・患者の意識変革をもたらし、プレシジョンメディシンの実践に有用」と話した。KAM推定技術で変形性膝関節症の予後予測ができるメリット 本デバイスは医療機器として販売準備中で、現在、整形外科クリニック3施設においてプロトタイプを用いたヒアリングなどを行っている。2022年春に初期モデルの発売を目指し、最終調整に入っている。実証実験に参加している医師は「保険点数うんぬんよりも患者の治療モチベーション向上や受診機会を増やせる点がメリットにほかならない」とコメントを寄せた。 潜在患者が多い変形性膝関節症の領域において、KAM推定技術で予後予測ができるメリットは患者にも医師にも朗報であり、来春の発売に期待が高まりそうだ。<会社情報>株式会社iMU創業:2020年2月ホームページ:https://www.imujapan.com/ このほか、各受賞者は以下のとおり。―――・ヘルスケアベンチャー大賞(企業)iMU株式会社「ウェアラブルセンサーによる膝痛対策ツールの開発」・学会賞(企業)ペリオセラピア株式会社「化学療法抵抗性トリプルネガティブ乳癌への新規治療法の開発」・ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)あっと株式会社「非侵襲指先皮下毛細血管スコープによるCapillary Function Index!」株式会社サイキンソー「腸内フローラからアプローチするスマート生活習慣病対策事業」株式会社トニジ「緑内障患者向け家庭用自己測定眼圧計の開発・事業化」・最優秀アイデア賞(個人)首藤 剛氏(熊本大学大学院生命科学研究部遺伝子機能応用学講座 准教授)「Cエレガンスを用いた健康寿命の指標化で挑む 新(ネオ)LIFESPAN革命!!」・アイデア賞(個人)藤本 千里氏(東京大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野)「ノイズ前庭電気刺激によるバランス改善治療」山下 積穂氏(つみのり内科クリニック)「人生100年時代の健康づくりを学ぶりんご教室」――― 年々、応募レベルが高くなっているヘルスケアベンチャー大賞。この賞はアンチエイジング領域においてさまざまなシーズをもとに新しい可能性を拓き社会課題の解決につなげていく試みとして、坪田 一男氏(日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長)らが2019年に立ち上げたもの。コロナ禍でありながら、設立間もない企業のみならず医師個人など多数の応募者が切磋琢磨し、書類審査、1次審査、最終審査の3段階で評価され表彰された。

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EGFR陽性肺がんに対する術後オシメルチニブの効果は化学療法の有無で変わるか(ADAURA)/JTO

 Stage IB~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)には、術後補助化学療法が推奨されているが、その評価は必ずしも芳しくはないようだ。 そのような中、EGFR変異陽性NSCLCに対する術後補助療法の第III相ADAURA試験において、オシメルチニブが有意に無病生存期間(DFS)の改善を示した。このたび、化学療法による前治療の有無と、オシメルチニブの有効性を検討した、同試験の探索的研究の結果がJournal of Thoracic Oncology誌に発表されている。・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)でStage IB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者、PS 0〜1・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療・対照群:プラセボ 化学療法による前治療も許容された・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるStage II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)、推定HR=0.70[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL 主な結果は以下のとおり。・術後補助化学療法の前治療を受けたのは、全対象682例中410例(オシメルチニブ群203例、プラセボ群207例)であった。治療サイクルの中央値は4.0であった。・補助化学療法の実施は70歳以上の患者に比べ、70歳未満の患者(70歳以上対70歳未満:42%対66%)、Stage II〜IIIAの患者(Stage IB対 II〜IIIA:26%対76%)、アジアで登録された患者(アジア以外で登録対アジアで登録:53%対65%)で多かった。・DFSはオシメルチニブ群が良好で、対プラセボのハザード比(HR)は、補助化学療法施行患者で0.16(95%CI:0.10~0.26)、補助化学療法非施行患者では0.23(95%CI:0.13~0.40)であった。この傾向はStage関係なく観察されている。  今回の探索的研究の結果は、前治療の補助化学療法の実施にかかわらず、Stage IB~IIIA のEGFR変異NSCLCに対するオシメルチニブの術後補助療の有効性を支持するものだ、と筆者は結論付けている。

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