サイト内検索|page:39

検索結果 合計:2145件 表示位置:761 - 780

761.

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス発売、患者の通院負担軽減に期待/協和キリン

 協和キリンは、持続型G-CSFペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスであるジーラスタ皮下注3.6mgボディーポッド(以下、同剤)を12月6日より発売すると発表した。 ペグフィルグラスチムは、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として2014年から日本で販売している。通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるが、同剤は約27時間後に薬剤が自動投与される機能を搭載する。 がん化学療法と同日に使用することでペグフィルグラスチム投与のための通院が不要となる。この機能により、化学療法を実施する患者の通院負担の軽減に寄与するという。 同剤はテルモと共同で開発を行い、協和キリンが実施した第I相臨床試験の結果に基づき、2022年7月に承認を取得、2022年11月に薬価収載された。

762.

HR0.58、camizestrantがER+HER2-進行乳がんでフルベストラントに対しPFS延長(SERENA-2)/SABCS2022

 ホルモン受容体(ER)陽性/HER2陰性の閉経後進行乳がん(ABC)患者において、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるcamizestrantが、フルベストラントと比較して無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善した。第II相SERENA-2試験の結果を、スペイン・Vall d'Hebron University HospitalのMafalda Oliveira氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。・対象:ER陽性/ HER2陰性の閉経後進行乳がん患者(1ライン以上の内分泌療法後の再発または進行で、ABCに対するフルベストラントまたは経口SERD治療歴はなく、内分泌療法・化学療法は1ライン以下)・試験群:camizestrant75mg(C75)群 74例camizestrant150mg(C150)群 73例・対照群:フルベストラント(F)群 73例・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]24週における臨床的ベネフィット率(CBR24)、奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性[層別化因子]CDK4/6阻害薬による治療歴、肺/肝転移 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点での年齢中央値は60.0(35~89)歳、ECOG 0が58.8%、肺/肝転移ありが58.3%、ESR1変異ありが36.7%だった。・術後内分泌療法歴ありが66.7%、ABCに対しては化学療法ありが19.2%、内分泌療法ありが68.8%。CDK4/6阻害薬による治療歴ありは49.6%だった。・PFS中央値は、F群3.7ヵ月に対しC75群7.2ヵ月(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.41~0.81、p=0.0124)、C150群7.7ヵ月(HR:0.67、95%CI:0.48~0.92、p=0.0161)となり、camizestrantの両用量群で有意に改善した。・PFSのサブグループ解析の結果、CDK4/6阻害薬による治療歴ありおよび肺/肝転移あり、ベースライン時点でESR1変異を有する患者とER-driven disease(5th ESO-ESMO ABCにより定義)の患者において、camizestrantの両用量はフルベストラントと比較し臨床的に意義のある改善を示した。・camizestrantの両用量での治療により、ctDNAにおけるESR1変異のレベルがサイクル 2の1日目までに検出不能または検出不能に近いレベルまで低下し、これをサイクル7の 1日目まで維持した。フルベストラントも低下させたが、camizestrantほどの低下はみられなかった。・ORRはF群11.5%に対しC75群15.7%(オッズ比[OR]:1.43、95%CI:0.63~3.33、両側p=0.4789)、C150群20.3%(OR:1.96、95%CI:0.88~4.51、両側p=0.1675)だった。・CBR24はF群39.1%に対しC75群48.8%(OR:1.48、95%CI:0.84~2.64、両側p=0.2554)、C150群51.0%(OR:1.62、95%CI:0.91~2.89、両側p=0.1658)だった。・Grade3以上のTRAEはC75群1.4%、C150群2.7%、F群1.4%で発生。TRAEによる投与中断はC75群14.9%、C150群21.9%で発生したが(F群4.1%)、短期間であった。・Grade3以上のTEAEとしては、C75群では血圧上昇、C150群では倦怠感・貧血・関節痛・ALT上昇・四肢痛・低ナトリウム血症が報告されている。 Oliveira氏は「SERENA-2試験は主要評価項目を達成し、camizestrantは75mgと150mg の両用量で、同患者においてフルベストラントと比較してPFSを改善し、またアンメットメディカルニーズとして事前に設定された各サブグループにおいても臨床的に意義のあるPFS改善効果を示した」とまとめた。また、稀にGrade3以上のTRAEが発生し、減量や中断が行われたものの、両用量ともに忍容性は高いとしている。 SERENA-4およびSERENA-6の2つの第III相試験が進行中となっている。

763.

T-DM1既治療のHER2+進行乳がん、T-DXdがPFSとOSを改善(DESTINY-Breast02)/SABCS2022

 トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療歴のあるHER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast02試験において、T-DXd群では無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が有意に改善したことを、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIan Krop氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。・対象:T-DM1治療歴のあるHER2+(IHCスコア3+、またはIHCスコア2+かつISH+)の切除不能または転移を有する乳がん・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 406例・対照群(TPC群):TPC(トラスツズマブ+カペシタビンまたはラパチニブ+カペシタビン)202例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、BICRによる奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)、治験医師などの判定によるPFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は、T-DXd群で21.5ヵ月(0.1~45.6ヵ月)、TPC群で18.6ヵ月(0~45.7ヵ月)であった(データカットオフ:2022年6月30日)。・T-DXd群の年齢中央値は54.2歳、HR+が58.6%であった。TPC群の年齢中央値は54.7歳、HR+が58.4%であった。両群ともに、過去に中央値2ラインの化学療法歴を有していた。・BICRによるPFS中央値は、T-DXd群17.8ヵ月vs.TPC群6.9ヵ月(ハザード比[HR]:0.3589、95%信頼区間[CI]:0.2840~0.4535、p<0.000001)であった。・OS中央値は、T-DXd群39.2ヵ月vs.TPC群26.5ヵ月(HR:0.6575、95%CI:0.5023~0.8605、p=0.0021)であった。・ORRは、T-DXd群で69.7%、TPC群で29.2%であった。・DOR中央値は、T-DXd群で19.6ヵ月、TPC群で8.3ヵ月であった。・臨床的ベネフィット率(CBR)は、T-DXd群で82.3%、TPC群で46.0%であった。・治験医師などの判定によるPFS中央値は、T-DXd群で16.7ヵ月、TPC群で5.5ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、T-DXd群で52.7%、TPC群で44.1%であった。・間質性肺疾患は、T-DXd群で10.4%(Grade1:2.7%、Grade2:6.4%、Grade3:0.7%、Grade4:0%、Grade5:0.5%)、TPC群で0.5%(Grade3のみ)であった。 Krop氏は「DESTINY-Breast02試験の結果は、T-DM1治療歴のあるHER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者において、T-DXd群では、TPC群と比較して、統計学的にも臨床的にも有意なPFSおよびOSの改善がみられた。安全性はこれまでのT-DXdの報告と一致しており、新たな有害事象は観察されなかった」とまとめた。

764.

アテゾリズマブのNSCLCアジュバント、日本人でも有効(IMpower010)/日本肺癌学会

 非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの術後補助療法は、日本人においても良好な成績を示した。 第63回日本肺癌学会学術集会で、静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏が、アテゾリズマブ術後補助療法の第III相試験IMpower010の日本人サブセットを発表している。内容の一部は、Cancer Science誌2022年9月5日号で発表されたものである。・対象:UICC/AJCC第7版定義のStageIB~IIIAのNSCLC、手術後にシスプラチンベースの補助化学療法(最大4サイクル)を受けた1,005例・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日3週ごと16サイクルまたは1年・対照群:BSC・評価項目[主要評価項目]治験医師評価による階層的無病生存期間(DFS):(1)PD-L1 TC≧1% StageII~IIIA集団、(2)StageII~IIIA全集団、(3)ITT(StageIB~IIIA全無作為化)集団[副次評価項目]ITT集団の全生存期間(OS)、PD-L1 TC≧50% StageII~IIIA集団のDFS、全集団の3年・5年DFS 主な結果は以下のとおり。・日本人は149例が登録され、無作為化割り付け対象は117例、そのうちアテゾリズマブ群は59例、BSCは58例であった。・PD-L1≧1%のStageII~IIIAのDFSはアテゾリズマブ群未到達、BSC群31.4ヵ月であり、アテゾリズマブによる改善傾向が観察された(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.25〜1.08)。・OS中央値は、アテゾリズマブ群、BSC群ともに未到達で、HRは0.41(95%CI:0.41〜1.04)であった。・データカットオフ日(2021年1月21日)にアテゾリズマブの治療を完遂(3週ごと16サイクル)した患者は59例中35例であった。・アテゾリズマブのGrade3/4治療関連有害事象(TRAE)16%で発現した。頻度の高いアテゾリズマブのTRAEは皮疹、肝炎、肺臓炎などであった。肺臓炎の発現は10.7%、Grade3/4の発現はない。 発表者の釼持氏は、今回の成績を評価しつつも、長期にわたり患者のQOLを下げるirAEの可能性などを考慮し、長期データに注目すべきだと結んだ。

765.

術前化療で完全奏効のTN or HER2+乳がん、手術省略できるか/Lancet Oncol

 トリプルネガティブ(TN)およびHER2陽性乳がん患者において、術前化学療法により病理学的完全奏効を達成した場合は予後良好とされ、経皮的画像ガイド下吸引補助式乳房組織生検(VACB)により正確に判断することが可能である。今回、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHenry M. Kuerer氏らは、術前化学療法を受けたTNまたはHER2陽性の早期乳がん患者において、画像ガイド下VACBにより病理学的完全奏効と判定された場合に、手術を省略し放射線治療のみにできるかどうか検討した。The Lancet Oncology誌2022年12月号に掲載。 本試験は米国の7施設による多施設共同単群第II相試験で、対象はcT1-2N0-1M0のTNまたはHER2陽性乳がんの妊娠していない40歳以上の女性で、標準的な術前化学療法後、残存病変が画像上2cm未満の患者とした。画像ガイド下VACBで浸潤性・潜在性がんが確認されなかった場合、手術を省略し、標準的な全乳房放射線治療を行った。主要評価項目は、生検による同側乳がん再発率、安全性はVACBを受けた全患者を対象に評価した。 主な結果は以下のとおり。・2017年3月6日~2021年11月9日に50例が登録され、年齢中央値は62歳(四分位範囲:55~77)、TN乳がん21例(42%)、HER2陽性乳がん29例(58%)であった。・VACBにより31例(62%、95%信頼区間:47.2~75.4)に病理学的完全奏効を確認した。・これらの31例について、観察期間中央値26.4ヵ月(四分位範囲:15.2~39.6)時点で、同側乳がん再発は認められなかった。・生検関連の重篤な有害事象や治療関連死亡は発生しなかった。 この第II相試験の結果から、著者らは、術前化学療法後に画像ガイド下VACBで病理学的完全奏効が判定された患者には手術省略が可能と考察している。

766.

EGFR陽性T790M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの2次治療は有効(WJOG12819L/KISEKI)/日本肺癌学会

 第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、オシメルチニブの2次治療が有効性を示した。 第1/2世代EGFR-TKIのPD症例に対するオシメルチニブの2次治療は、T790M変異陽性例にのみ適用できる。反面、残りの半数のT709M陰性例は、オシメルチニブによる治療の恩恵を受けることができないのが現状である。 そのような中、第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法耐性のEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブ2次治療を評価するWJOG12819L/KISEKI試験が行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、奈良県立医科大学の武田真幸氏が、同試験の初回解析結果を発表した。なお、この試験は、わが国初の患者提案型医師主導試験である。 今回の解析は第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法後PDとなった症例(T790M陰性)を対象にしたコホート2のみであった。同コホートの主要評価項目は中央判定委員会による奏効割合(RR)で、95%信頼区間(CI)の下限が9%を上回ることを基準とした。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目である中央判定のRRは29.1%、95%CIは17.6〜42.9と、予め設定した閾値を上回り、主要評価項目を達成した。・無増悪生存期間中央値は4.07ヵ月、全生存期間は13.73ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象は32.7%に発現したが、すべて既知のもので管理可能であった。 発表者の武田氏は、「この試験で第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性が示された。ただし、試験のLimitationとして症例数が限定されているため、標準治療であるドセタキセル±ラムシルマブよりも有益か否かは検証できない」と述べている。

767.

中程度の運動で乳がん患者の死亡リスクが60%減!?

 乳がん患者における日常動作以上の身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を評価した結果、中程度の身体活動であっても死亡リスクが60%低いことを、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニアのLie Hong Chen氏らが明らかにした。身体活動による乳がんの発症リスク低減効果は知られているが、乳がんと診断された後の身体活動の効果に関する評価はまだ不十分であった。JAMA Netw Open誌2022年11月17日リサーチレター掲載の報告。 研究グループは、2年以上前に乳がんの診断を受け(生存期間中央値6年)、カリフォルニア州のヘルスケアプランのメンバーであった閉経後乳がん患者のコホート研究を実施した。対象は、1996~2012年に初期の乳がん(TNM分類0~II期)と診断された患者で、調査は2013年8月1日~2015年3月31日に行われ、2022年4月30日または患者死亡まで追跡された。 身体活動レベルと疲労度は、ゴーディン式余暇運動調査票(GSLTPAQ)およびFatigue Severity Inventory(簡易倦怠感尺度)の2つのアンケートによって聞き取った。身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を、年齢、乳がんの病期、疲労度、併存疾患、診断からの年数、人種・民族、不眠症とうつ病の既往、がん治療の種類(内分泌療法、化学療法、放射線治療)によって調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者315例の平均年齢は71歳(57~86歳)で、68.9%が非ヒスパニック系白人であった。・最長追跡期間8.7年(中央値7.8年[四分位範囲:7.3~8.3年])において、45例(14.3%)が死亡した。うち5例が乳がんによる死亡であった。・死亡率は、身体活動レベルが高い群(高強度[ランニング、ジョギングなど]または高頻度)では12.9/1,000人年、身体活動レベルが中程度の群(中強度[早歩き、ゆっくりとしたサイクリングなど])では13.4/1,000人年、身体活動レベルが低い群(低強度[ヨガ、アーチェリーなど]または低頻度)では32.9/1,000人年であった。・多変量解析において、身体活動レベルが低い群と比較して、身体活動レベルが高い群の死亡のハザード比(HR)は0.42(95%信頼区間[CI]:0.21~0.85)、身体活動レベルが中程度の死亡のHRは0.40(同:0.17~0.95)であった。 これらの結果より、研究グループは「本研究は食事情報と客観的な身体活動の評価を欠いているという限界がある」としたうえで、「身体活動レベルが高い参加者と中程度の参加者の死亡リスクは同程度であり、がん患者のケアにおいて身体活動の取り組みを検討する必要がある」とまとめた。

768.

ドキソルビシン、乳がん併用療法での休薬期間短縮可能に/サンドファーマ

 サンドファーマ株式会社は2022年11月24日、ドキソルビシン(一般名:アドリアシン注用10、同注用50)について、乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍薬との併用療法の場合、シクロホスファミド水和物との併用において、用法及び用量の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。<製品概要>・販売名:アドリアシン注用10アドリアシン注用50・一般名:ドキソルビシン塩酸塩・効能・効果:変更なし・用法及び用量:<乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法>シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なドキソルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、1日量、ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を日局注射用水又は日局生理食塩液に溶解し、1日1回静脈内投与後、13日間又は20日間休薬する。この方法を1クールとし、4クール繰り返す。なお、年齢、症状により適宜減量する。またドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/m2(体表面積)以下とする。・用法及び用量に関連する注意:<乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法>本剤の投与スケジュールの選択、G-CSF製剤の使用等について、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること。・承認取得日:2022年11月24日

769.

T-DXd、HER2陽性乳がん2次治療に適応拡大/第一三共

 第一三共株式会社は2022年11月24日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本適応は、HER2陽性の再発・転移乳がん患者への2次治療を対象としたグローバル第III相臨床試験(DESTINY-Breast03)の結果に基づくもので、2021年12月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行っていた。

770.

食道癌診療ガイドライン2022改訂、日本発エビデンスで治療戦略が大きく変更

 2022年9月に「食道癌診療ガイドライン」が刊行された。2002年に「食道癌治療ガイドライン」が発刊されてから20年、前版から5年振りの改訂となる。 10月に行われた日本癌治療学会の北川 雄光氏(慶應義塾大学・食道癌治療ガイドライン検討委員会委員長)の講演「食道癌集学的治療のこれまで、これから」、浜本 康夫氏(慶應義塾大学・腫瘍センター)による教育講演「食道扁平上皮がんに対する薬物療法」を参考として、食道癌診療ガイドライン2022年版の主な変更点をまとめた。食道癌診療ガイドライン2022年版で大きく変更のあったCQ 食道がんは他の消化器がんと比べて薬物療法において使用できる薬剤の種類が限られており、近年まで切除可能症例については外科手術を基軸として、化学療法や放射線療法を用いた周術期治療が主に術前治療として行われてきた。しかし、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場し、この3年ほどのあいだに大幅に治療戦略幅が広がってきた。そこには日本発のエビデンスも大きな役割を果たしている。今回の食道癌診療ガイドライン2022年版の改訂において、とくに大きく変更のあったクリニカルクエスチョン(CQ)は以下のとおり。CQ8:cStageII、III食道癌に対して手術療法を中心とした治療を行う場合、術前化学療法、術前化学放射線療法のどちらを推奨するか?→ cStageII、III食道癌に対して手術療法を中心とした治療を行う場合、DCF3剤併用術前療法を強く推奨する。 切除可能局所進行食道がんの術前療法としては、日本ではシスプラチン+5-FU(CF療法)が長らく標準療法であったが、欧米においては化学放射線療法が標準療法となっている。日本と海外では術式や組織型が異なるため、海外の臨床試験の結果をそのまま受け入れるのは難しいと考えられていた。一方、CF療法にドセタキセルを加えたDCF療法が頭頸部がんなどで有望な効果を示しており、術前療法としてのCF vs. DCF vs. CF+放射線(RT)療法の3つを比較したJCOG1109(NExT)試験が計画され、今年初めに結果が報告された。 NExT試験の結果は、CF群の3年生存率62.6%に対してDCF群は72.1%と10%近く上回り、CF群とCF+RT群には統計学的な有意差は示されない、というものだった。徹底的な郭清を行う日本の外科手術においては術前の強い化学療法が有効性を示す、という治療戦略の正しさを世界に示す結果となった。DCF群では遠隔転移が少ない一方で、CF+RT群では他病死が多く、放射線治療による晩期障害が他病死につながっている可能性が指摘されている。CQ9:cStageII、III食道癌に術前補助療法+手術療法を行った場合、術後補助療法を推奨するか?→ 1)cStageII、IIIの食道癌に対して、術前化学放射線療法および手術を行い、根治切除が得られるも病理学的完全奏効が得られない場合、組織型や腫瘍細胞におけるPD-L1の発現によらず、術後ニボルマブ療法を行うことを強く推奨する。→ 2)cStageII、IIIの食道癌に対して、術前化学療法および手術を行い、根治切除が得られるも病理学的完全奏効が得られない場合、術後ニボルマブ療法については、現時点で推奨を決定することができない。 1)は2020年に発表されたCheckMate-577試験の結果を受けたもの。術前化学放射線療法後に切除を行った食道がんまたは胃食道接合部がんに対するニボルマブの効果を見た試験であり、主要評価項目である無病生存期間(DCF)はニボルマブ群で22.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.6~34.0)、プラセボ群で11.0ヵ月(95%CI:8.3~14.3)と、ニボルマブ群の優越性が示された。ニボルマブの有効性は組織型にも拠らないという結果だった。 2)の術前化学療法+術後のニボルマブ投与の有用性は準拠するエビデンスがない状態で、日本の標準療法が術前DCF療法であることを考えると、ここは早急にエビデンスの確立が求められる部分だ。CQ15:切除不能進行・再発食道癌に対して一次治療として化学療法は何を推奨するか?→ 1)切除不能進行・再発食道癌に対して一次治療として、ペムブロリズマブ+シスプラチン+5-FU療法を行うことを強く推奨する。→ 2)切除不能進行・再発食道癌に対して一次治療として、ニボルマブ+シスプラチン+5-FU療法もしくはニボルマブ+イピリムマブ療法を行うことを強く推奨するが、患者の全身状態および、PD-L1発現状況(TPS)、忍容性等を考慮する。 近年、二次化学療法においてICIの有用性が示され、一次療法においても検討が行われている。1)はKEYNOTE-590試験の結果を受けたもので、749例を対象に初回治療としてのペムブロリズマブの有効性を見た試験おいて、扁平上皮がんかつCPS>10の患者集団における全生存期間(OS)中央値は、ペムブロリズマブ群13.9ヵ月(95%CI:11.1~17.7)に対して、プラセボ群8.8ヵ月(95%CI:7.8~10.5)であり、ペムブロリズマブ併用群の優越性が示された。 2)はCheckMate-648試験の結果を受けたもので、登録患者970例はニボルマブ+化学療法群、ニボルマブ+イピリムマブ群、化学療法単独群に1:1:1で割り付けられた。ニボルマブ+化学療法群の無増悪生存期間(PFS)中央値は、TPS≧1集団において6.9ヵ月(95%CI:5.7~8.3)であり、化学療法単独群の4.4ヵ月(95%CI:2.9~5.8)を有意に上回ったが、全ランダム化集団においては有意差を認めなかった。 食道がんも他のがん種と同様に、外科手術中心の時代から化学療法に加えて放射線療法やICIも組み合わせた集学的・個別化医療の時代に突入しており、今後はロボット支援手術によるさらなる低侵襲化や合併症の軽減によって長期予後を狙うことなどに焦点が当てられている。また、食道癌診療ガイドライン2022版の改訂にあわせ、『食道癌取扱い規約』も12版に改訂されている。『食道癌診療ガイドライン 2022年版 第5版』編集:日本食道学会定価:3,520円(税込)発行:2022年9月B5判・176頁・図数:19枚・カラー図数:13枚

771.

AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C変異肺がんのコンパニオン診断薬として承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2022年11月14日、AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルが、KRASG12C変異陽性に適応する薬剤のコンパニオン診断薬の承認を取得したと発表した。 これにより同製品は、がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん患者に対するソトラシブ(商品名:ルマケラス)の適応判定の補助に使用可能となる。 保険適用後の同製品は、EGFR、ALK、ROS1、BRAFV600E、METexon14スキッピング、KRASG12Cに関連する12種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能となる。

772.

PD-L1陽性NCSLCに対するペムブロリズマブ単剤1次治療の5年追跡結果(KEYNOTE-042)/JCO

 PD-L1陽性の進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE−042の5年追跡結果がJournal of Clinical Oncology誌で発表された。ペムブロリズマブ単剤の1次治療は、5年後も化学療法と比較して持続的に臨床的利益を示すことが明らかになった。 試験デザインは関連記事参照 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は 61.1ヵ月であった。・OSのハザード比はTPS≧50%で0.68(95%CI:0.57~0.81)、TPS≧20%で0.75(0.64~0.87)、TPS≧1%で0.79(0.70~0.89)で、PD-L1 レベルに関係なくペムブロリズマブ群で良好であった。 ・ペムブロリズマブ群の5年OS率は、TPS≧50%で21.9%、TPS≧20%で19.4%、TPS≧1%で16.6%であった。・ペムブロリズマブの35サイクル治療を完了した102例の客観的奏効率は84.3%であった。・新たな安全性プロファイルは確認されなかった。 筆者は、ペムブロリズマブ単剤によるPD-L1陽性の進行または転移を有するNSCLC1次治療は5年間の追跡調査後も臨床的利益を示し続けており、従来通り標準治療である、と結んでいる。

773.

nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる末梢神経障害を比較

 乳がん治療におけるnab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる化学療法誘発性末梢神経障害の患者報告を比較したコホート研究の結果を、中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのHongnan Mo氏らが報告した。化学療法誘発性末梢神経障害はnab-パクリタキセル群よりパクリタキセル群およびドセタキセル群で有意に少なく、nab-パクリタキセルでは主に感覚神経障害である手足のしびれ、パクリタキセルおよびドセタキセルでは主に運動神経障害および自律神経障害が報告された。また、感覚神経障害よりも運動神経障害のほうが早く報告されていた。JAMA Network Open誌2022年11月2日号に掲載。nab-パクリタキセル295例、パクリタキセル514例、ドセタキセル425例で報告された末梢神経障害 本研究は、2019~21年に中国全土の9つの医療センターで実施された前向きコホート研究である。対象は、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルベースのレジメンで治療を受けた入院中の浸潤性乳がん女性1,234例で、overlap propensity score weightingによる重み付けで評価した。2021年12月~2022年5月のデータを解析し、主要評価項目は欧州がん研究治療機関(ERT)のQOL調査票(感覚神経、運動神経、自律神経スケールの20項目)を用いた患者報告による化学療法誘発性末梢神経障害とした。解析には、ベースラインの患者、腫瘍、治療の特性で調整した重回帰モデルを用いた。 乳がん治療におけるnab-パクリタキセル、パクリタキセル、ドセタキセルによる化学療法誘発性末梢神経障害の患者報告を比較した主な結果は以下のとおり。・1,234例の平均(SD)年齢は50.9(10.4)歳で、nab-パクリタキセルが295例(23.9%)、パクリタキセルが514例(41.7%)、ドセタキセルが425例(34.4%)だった。・主な症状は、nab-パクリタキセル群では感覚神経に関連する手足のしびれ(81.4%)が多く、パクリタキセル群およびドセタキセル群では運動神経障害(例として、脚力低下はパクリタキセル群47.2%、ドセタキセル群44.4%)、自律神経障害(例として、目のかすみはパクリタキセル群45.7%、ドセタキセル群43.6%)が報告された。・運動神経障害は、感覚神経障害より早い時期に報告され、症状発現までの中央値はnab-パクリタキセル群0.4週間(95%信頼区間[CI]:0.4~2.3)、パクリタキセル群2.7週間(同:1.7~3.4)、ドセタキセル群5.6週間(同:3.1~6.1)であった。・患者報告による化学療法誘発性末梢神経障害のリスクは、nab-パクリタキセル群に比べてパクリタキセル群(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.41~0.87、p=0.008)とドセタキセル群(HR:0.65、95%CI:0.45~0.94、p=0.02)で低く、感覚的不快感も、nab-パクリタキセル群と比べて、パクリタキセル群(HR:0.44、95%CI:0.30~0.64、p<0.001)およびドセタキセル群(HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p<0.001)で低かった。しかし、運動神経障害や自律神経障害を報告するリスクは、nab-パクリタキセル群に比べ、パクリタキセル群、ドセタキセル群が低くはなかった。

774.

ニボルマブ+イピリムマブによるNSCLC1次治療、CheckMate227試験5年追跡結果/JCO

 CheckMate 227 Part1の5年間の結果がJournal of Clinical Oncology誌2022年10月12日号で発表された。ニボルマブとイピリムマブの併用は、PD-L1の状態にかかわらず、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の5年生存(OS)率を改善していた。(試験デザインは下記関連記事を参照)ニボルマブ+イピリムマブの5年生存率は24% 最低追跡期間61.3ヵ月の解析で、PD-L1≧1%集団の5年OS率はニボルマブ+イピリムマブ群の24%に対し、化学療法群では14%であった。PD-L1<1%集団では、ニボルマブ+イピリムマブ群の19%に対し、化学療法群では7%であった。  PD-L1≧1%の奏効期間(DoR)はニボルマブ+イピリムマブ群の24.5ヵ月に対し、化学療法群では6.7ヵ月、PD-L1≧1%のDoRは19.4ヵ月対4.8ヵ月であった。投与中止後も生存ベネフィットは持続 ニボルマブ+イピリムマブの5年生存患者で、解析時点に投与を中止していた患者は、60%を超えていた(PD-L1≧1%集団66%、PD-L1<1%集団64%)。 治療関連有害事象でニボルマブ+イピリムマブを中止した場合も生存ベネフィットは持続しており、5年OS率は39%にのぼった。

775.

LINEを使った患者報告システムを副作用マネジメントに活かす/日本癌治療学会

 薬剤の副作用は、医師の評価と患者の捉え方が大きく異なるケースが多いことは以前から報告されていた。PRO(Patient Reported Outcome)とは、医師の評価を経ず、患者自身が副作用を報告するシステムを指し、これを電子的に行うePRO(electronic Patient Reported Outcome:電子的な患者報告アウトカム)取得システムが世界各地で開発され、実際の運用や効果測定のための臨床試験が行われている。 慶應義塾大学が開発した乳がん患者を対象としたePROについて、同大外科学教室の林田 哲氏が第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)上で発表した。 このePROはLINEを利用しており、対象となる乳がん患者はシステムから送られてくる症状に関する問いかけに返信し、そのデータがプラットフォームに蓄積され、適切な患者管理や副作用マネジメントに役立てる、というもの。システムへの登録はLINEの「友だち追加」、返信は症状の重さをタップで選択するだけ、と非常に簡便に使えることが特徴だ。「化学療法」「ホルモン療法」「転移・再発」などの治療別に送付頻度や質問内容のパターンが設定されており、事前に医療者が設定する。また、質問は有害事象評価の国際規格であるCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)に基づいており、国際標準に合致したデータとしても利用できる。 この「LINE ePRO」の受容度を見たAQUARIUS試験では、73例の患者が登録され、観察期間中央値435日(84~656日)のあいだに収集されたレポート総数は1万6,417件、1人あたり平均224件だった。年代別に見ると、60歳以上の層でも回答数は若年層と同等かそれ以上であり、LINEの浸透度を背景とした、高い受容度を確認できたという。 AQUARIUS試験を受け、現在進行中のLIBRA試験は、HR+/HER2-の進行再発乳がん患者60例を対象とした前向き試験。アベマシクリブ投与後に、副作用としてとくに頻度が高い下痢に対してePRO報告システムを使用した症状のモニタリングを行ったうえで、がん専門看護師からの助言の有無を比較する試験デザイン。治療期間中の下痢の程度や頻度を抑制可能かどうかの検証を行うことを目的とする。現時点で半数程度の患者登録が終わっており、来年の終了、発表を見込んでいるという。

776.

ESMO2022 レポート 消化器がん

レポーター紹介ESMO2022を見て考えたこと昨年、一昨年と参加できなかったESMOであるが、abstract締め切りとなる2022年5月ごろはコロナも一段落していて今年こそは参加できる、と非常に心待ちにしていた。今回筆者は投稿演題がポスターとしてacceptとなり参加する気満々でいたのだが、7月ごろからの第7波の影響をもろに受け、今年も参加できなかった。仕方なくSNSを介して学会の様子を味わいつつ、レポートを書くこととなってしまった。今年のESMOで筆者が注目したのは大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発である。MSS大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発:迷路はゴールから解け?連戦連敗を続けていたMSS大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬であるが、こうすればうまくいくかも? というヒントが提示された。C-800 studybontesilimabはFc部分を改良し、APCやNK細胞のFcγIIIとの結合能を向上させた新規の抗CTLA-4抗体であり第1世代抗CTLA-4抗体と比して、活性化樹状細胞の割合、T細胞のプライミング、増殖(拡大)、メモリー化、Tregを減少させる能力が向上し、さらに有害事象が減少する、とされている。C-800試験(NCT03860272)はさまざまながん種を対象とした抗PD-1抗体balstilimab(BAL、3mg/kg Q2W)と抗CTLA-4抗体botensilimab(BOT、1 or 2mg/kg Q6W)併用療法のfirst-in human phase I試験である。今回、MSS大腸がんコホートの結果が2022年6月29日から7月2日にかけてバルセロナで開催されたWorld Congress on Gastrointestinal Cancer(ESMO-GI)のLate breaking abstractとして発表された。標準治療に不応となったMSS大腸がん41例が登録された。前治療ラインの中央値は4(2~10)であり、14例(34%)が何らかの免疫療法を過去に投与されていた(!)。RAS変異は21例(51%)、BRAF変異は2例(5%)に認められた。部分奏効(partial response:PR)は10例に認められたが完全奏効(complete response:CR)は認めず、奏効率(overall response rate:ORR)は24%であった。病勢制御率(disease control rate:DCR)は73%であった。10例の奏効例のうち8例は報告時点で治療効果が持続しており、3例は1年以上持続していた。フォローアップ中央値が5.8ヵ月と短いがduration of response(DOR)の中央値は未到達であった。有害事象としてGrade4以上のものはなく、いずれも既知のものであった。注目を集めたのは以下の解析結果である。登録症例44例のうちactiveな肝転移を有さない症例が24例であった(肝転移となったことがない19例と切除ないし焼灼し現在肝転移がない5例)。この「肝転移がない」症例に限って解析を行うと、ORRが42%(10/24)、DCRが96%(23/24)という結果であった。何らかの免疫療法で加療された後の症例を34%含む集団ということを考えれば期待の持てる有効性と感じた。また肝転移という臨床的な要素での患者選択による治療開発の方向性を示唆する結果であった。RIN上記結果報告から2ヵ月後のESMOにおいて、レゴラフェニブ (REG)、イピリムマブ (IPI)、ニボルマブ(NIVO)併用療法(RIN)のphase I試験の結果が報告された。対象となったのはフッ化ピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、および左側RAS野生型およびBRAF変異症例においては抗EGFR抗体に不応となったMSS大腸がんである。Dose escalationパート(9例)にてレゴラフェニブ 80mg QD、ニボルマブ 240mg Q2W、ipilimumab 1mg Q6W(すなわちlow-dose IPI+NIVO)が決定され、Dose expansionパート(20例)に移行した。今回は両パートを合わせたMSS大腸がん29例の結果が報告された。前治療ラインの中央値は2(1~6)であり、免疫療法を過去に投与された症例は適格性から除外されている。RAS変異は9例(31%)、BRAF変異は3例(10.3%)に認められた。TMBの中央値は3(1~11)であった。懸念される安全性については以下の通りである。免疫チェックポイント阻害薬関連Grade3以上の毒性としては斑点状・丘面状発疹(37.9%)、AST/ALT上昇(17.2%)、リパーゼ・アミラーゼ上昇(10.3%)であり、REGが加わることにより毒性はやや増す印象を持った。有効性については上述のC-800試験の結果を受けたものと想定されるが、肝転移の有無も情報として加えられている。全体のORRは40.9%(9例)であったが、奏効はすべて肝転移なし症例であった。全体のDCRは65.5%であり、肝転移なし群で72.7%、肝転移あり群で42.9%であった。無増悪生存期間(progression-free survival:PFS)の中央値は全体で4ヵ月、肝転移なし群で5.0ヵ月、肝転移あり群で2ヵ月であった。以上のようにここでも肝転移の有無によって治療効果が明瞭に分かれる結果であった。今後の展開肝転移を有する症例で免疫チェックポイント阻害薬ないし(殺細胞性抗がん剤を用いない)免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が効きづらいという現象は他がん種で複数報告されており、真実であるように思える。しかしこれを前向きに評価した研究は筆者の知る限りこれまでにない。肝転移の有無という非常にシンプルな臨床パラメータで症例を絞るという開発ができれば成功が見えてくるのではないかと感じた。複雑な迷路を解く簡単な方法は何かといえばゴールから解くことである。All comerでの勝利を目指さず、まず「勝てそう」な手堅い対象(たとえsmall populationであっても)から承認を得て、徐々に広げていくという戦略が必要と強く感じている。とはいえMSS大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬治療の開発はこれまで連敗続きであり、一筋縄ではいかないのは周知の事実である。結局はphase IIIの結果を見るまではわからないと思っている。MSI-H大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発:過ぎたるは及ばざるが如し?2022年ASCO最大の話題の1つがNEJM誌に同時掲載されたStage II/III dMMR直腸がんに対する抗PD-1抗体dostarlimab(500mg Q3W)の単剤療法の結果であろう(Cercek A, et al. ASCO2022, #LBA5. Cercek A, et al. NEJM 2022)。MSKCCの単施設で行われたphase II試験であるが、12例のcase seriesとして報告された。この試験では、前治療歴のないdMMR Stage II/III直腸がん患者に対し、dostarlimabを合計6ヵ月間投与した。臨床的完全奏効(cCR)が得られた場合、患者は非手術管理と経過観察を行いcCRが認められない場合は、化学放射線療法(放射線療法+カペシタビン同時併用療法)に続き、TMEを行うこととした。結果、全例がcCRが得られるという驚愕の結果であった。重要なことは、これらの症例には化学放射線療法および/または手術が行われなかったという点である。この結果はdMMR Stage II/III 直腸がんに対しては免疫チェックポイント阻害薬での治療が標準となることを強く予感させるものであった。NICHE-2この試験は先行したNICHE-1試験の発展版である。NICHE-1試験(NCT03026140)は、Stage I~III dMMRまたはpMMR結腸直腸がん患者に対する術前NIVO+IPI(といってもIPI 1mg/kg併用は初回サイクルのみ。2サイクル目はNIVO 3mg/kgで終了という短期投与であるが)の安全性と忍容性を主要評価項目として行われた。治療の忍容性は良好で、全症例で根治的切除術を受けた(主要評価項目を達成した)。NIVO+IPI投与群のうち、dMMRでは、20例全例で病理学的効果(patholigic response:PR)が認められ、19例のmajor pathological response (MPR、残存生存腫瘍10%以下)、12例の病理学的完全奏効が認められた(Chalabi M, et al. Nat Med. 2020:566-576.)。NICHE-2試験はcT3以上の腫瘍を有する切除可能 dMMR結腸がんに対する術前治療としてのニボルマブ(NIVO)+イピリムマブ(IPI)併用療法(治療は上記と同様)の安全性と忍容性、3年の無病生存期間(disease-free survival:DFS)を主要評価項目とした試験である。95%の症例で手術が予定通りに行われた場合に安全性と忍容性があり、有効な3年DFSとして93%以上と定義された。この設定により95症例が必要と算出された。120例がスクリーニングされ112例が加療され107例で有効性解析が行われた。Stage I/IIが13%、低リスクStage IIIが13%、高リスクStage III(T4a/4b、N2)が74%であった。右側原発が68%、横行結腸原発が17%と全体の大勢を占めた。一方リンチ症候群の割合は31%であった。Grade3以上の有害事象は4%であった。98%の症例で切除術を遅延なく受けることができ、安全性と忍容性について主要評価項目を達成した。一方、病理学的有効性に関してはmajor pathological response 95%、67%の症例でpCRが得られており「This is the waterfall plot」という、まさに滝が落ちるようなvisualで聴衆を圧倒した(らしい)。有意差はなかったもののリンチ症候群の方が孤発性よりpCR率が高い結果であった。3年DFSは今後発表予定である。今後の展開さてこの結果をどう考えるか、である。そもそもdMMR大腸がんはとくにStage IIでは手術単独で3年DFSが90%程度あり(Sargent DJ, et al. J Clin Oncol. 2010;28:3219-3226.)予後良好であることが知られている。dMMR結腸がんの特徴としてcStageとpStageの乖離があると筆者は考えている。dMMR腫瘍はimmunogenicな免疫環境を反映し、腫瘍内に著明なリンパ球浸潤を来す。そのため腫瘍径としてはT4が多く、また近傍のリンパ節では活発に免疫応答を生じるためradiologicalにはN(+)と判断される。しかしこうした症例を手術すると、累々と腫脹していたリンパ節は実は免疫応答の結果でありそこに腫瘍細胞は存在しない(N=0)ことがあり、cStage IIIが実はpStage II(high-risk)だった、ということをdMMR大腸がんでしばしば経験する。つまり今回の試験で定義されている高リスクStage IIIはdMMR腫瘍の典型であり実際にはStage IIなのではないかという懸念がある。ところが全例で術前にNIVO+IPIが入るため、見た目(clinical stage)と実際(pathological stage)の違いがわからなくなってしまっている。今回3年DFS 93%以上で有効と定義しているが、全体の集団が実はStage II dominantであった場合にこれが妥当といえるだろうか。実はdMMRはStage IIの15%、Stage IIIの10%程度に存在する決して珍しいとはいえない存在である。ランダム化試験での検証が望ましいが、結局上述のcStageとpStageの乖離が悩ましいところである。さらに、Stage II/IIIに対して抗PD-1抗体以上の免疫チェックポイント阻害薬が必要かどうかについても興味がある。上述のdostarlimab試験で100%のCRが得られた、という結果を見て「おや」と感じられた方もおられると思う。未治療の進行・再発MSI-H/dMMR結腸直腸がんを対象としたKEYNOTE-177試験ではpembrolizumab単剤の奏効率が43.8%であり病勢進行(progressive disease:PD)が29.4%も認められたことと大きく相違するからである。この違いは何に由来するのか。そもそもMSI-H/dMMRというimmunogenicな腫瘍がなぜ「進行がん」として存在するかであるが、チェックポイント分子の発現によって免疫環境から逃避できているから、かもしれない。Stage II/IIIで留まっているということは、腫瘍増殖と免疫機能が腫瘍とその近傍で拮抗している状態であり、おそらくPD-1が免疫逃避において大きな役割を果たしている。したがって抗PD-1抗体単剤で非常に高い効果が得られる、と理解できる。一方でそうした拮抗状態を乗り越えさらに腫瘍増悪を来している状態(進行・再発)では、さらなるチェックポイント分子の発現を獲得している可能性があり、それゆえ抗PD-1抗体単剤の治療効果はある程度で頭打ちであり、さらなるチェックポイント分子に対する加療(たとえば抗CTLA-4抗体の追加)が必要なのではないかと考えている。この仮説が正しいかどうかはNIVO monotherapy vs.NIVO+IPI vs.標準化学療法というデザインで現在ongoingのphase III試験(CheckMate-8HW、NCT04008030)の結果を待ちたい。さらにこの試験の結果により、どういう症例にIPIが必要かという使い分けができればと期待しているし、それによりNICHE-2デザインが本当に必要かはさらに明らかになると考えている。最後にコロナ第7波もようやく収束に向かい、徐々にリアルの学会・研究会が復活してきているが、やはりリアルの会の良さを感じている。単純に情報の交換だけではないsomethingが学会・研究会会場にはあると思うし(例えばwaterfall plotの件)、それが自身の活力となっていると感じる。というわけで、来年こそは参加したいESMO、である。皆さま、マドリードでお会いしましょう!

777.

センチネルリンパ節転移乳がん、ALNDとRNIの必要性についての検討/日本癌治療学会

 センチネルリンパ節転移陽性乳がんにおいて、腋窩リンパ節郭清(ALND)や領域リンパ節照射(RNI)がどのような症例で必要となるのかについては議論がある。Sentinel Node Navigation Surgery研究会では、センチネルリンパ節転移陽性例において、センチネルリンパ節生検(SNB)単独群とSNB後の腋窩リンパ節郭清(ALND)群を比較する多施設共同前向きコホート研究を実施。井本 滋氏(杏林大学)が、第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)で結果を報告した。 本研究では、cT1-3N0-1M0の女性乳がん患者を対象とし、組織学的または分子生物学的診断で1~3個のセンチネルリンパ節微小転移またはマクロ転移陽性が確認された場合に、医師の裁量でSNB単独またはALNDの追加を決定した。SNB前後の化学療法は可とし、両側および遊離腫瘍細胞(ITC)の症例は除外された。 主要評価項目はSNB群における5年局所再発率、副次評価項目は5年全生存率(OS)。SNB群とALND群を比較するために、傾向スコアマッチング(PSM)が行われた。 主な結果は以下のとおり。・2013~16年に国内27施設から888例が登録された。871例の適格例のうち、SNB群が308例、ALND群が563例だった。・臨床病理学的背景について、センチネルリンパ節マッピングは色素が約9割/アイソトープが約7割、OSNAが2~6%程度使われており、浸潤性乳管がん(IDC)が約9割、術前/術後化学療法はALND群でやや多い傾向がみられた。内分泌療法が両群で約8割と比較的多く実施されていた。・観察期間中央値6.3年でのSNB群における5年局所再発率は2.7%(95%信頼区間[CI]:1.4~5.4%)、5年OSは97.6%(95%CI:94.9~98.8%)だった。・初回治療、転移巣のサイズ、臨床病期、手術の種類、リンパ節転移数について両群間で差がみられ、これらの因子について調整してPSMが行われた。・PSMの結果、SNB群とALND群で209例ずつがマッチングされた。そのうち343例(82%)が初回治療として手術を受けていた。温存術が225例(54%)、全切除が193例(46%)で施行されていた。・センチネルリンパ節転移の数は1個が366例(88%)を占め、2個が48例(11%)、3個が4例(1%)だった。マクロ転移と微小転移はそれぞれ271例(65%)と147例(35%)で診断された。・376例(90%)がLuminalタイプで、領域リンパ節照射(RNI)はSNB群42例(20%)、ALND群13例(6%)で施行されていた。・5年局所再発率はSNB群で2.1%(95%CI:0.8~5.3%)、ALND群で2.0%(95%CI:0.8~5.5%)だった。・5年局所再発率はALNDあり/ALNDなしおよびRNIあり/RNIなしで差はみられなかった。 井本氏は本結果より、センチネルリンパ節1個転移症例での腋窩治療はSNBのみで問題がないであろうとまとめた。

778.

ESMO2022 レポート 肺がん

レポーター紹介ESMO2022は2022年9月9日~13日まで現地(フランス、パリ)とオンラインのハイブリッドで開催されました。胸部疾患に関して注目をされていた重要な演題について取り上げてみたいと思います。Osimertinib as adjuvant therapy in patients (pts) with resected EGFR-mutated (EGFRm) stage IB-IIIA non-small cell lung cancer (NSCLC): Updated results from ADAURA(LBA47)国立がんセンター東病院坪井先生のご発表でした。日本でも、2022年8月に本試験の結果に基づいてオシメルチニブ(タグリッソ)はII~III期のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適応を受けました。しかし、DFSに関して公表されたデータは2020年の論文(N Engl J Med 2020;383:1711-1723.)公表後初とのことで注目を集めました。イベントにおいて50%の成熟度に到達したことに伴う結果公表です。フォローアップ期間の中央値はオシメルチニブ群で44.2ヵ月(range 0~67、n=233)、プラセボ群で19.6ヵ月 (range 0~70、n=237)でした。主要評価項目であった、II期/IIIA期を対象としたDFS(Disease free survival, 無病生存期間)中央値はオシメルチニブ群65.8ヵ月(95%CI:54.4~算出不能) vs.プラセボ群21.9ヵ月(95%CI:16.6~27.5),(hazard ratio[HR]:0.23、95% CI:0.18~0.30)でした。DFS、OSのデータを見ると、フォローアップ期間が延びても術後補助化学療法としてのオシメルチニブの有用性はより手堅いデータになっていると感じます。「再発してからオシメルチニブ」では何故追いつかないのか?一つの仮説として、再発時にオシメルチニブ群では「遠隔」転移が少なく、その後の治療も組み立てやすかったのではないかと予想します。さらにイベントが集積されてからOSベネフィットについても議論されるでしょうが、再発予防としては十分に魅力的なデータと感じました。今後、より早期の症例におけるデータ創出などが予定されています。PD-L1 expression and outcomes of pembrolizumab and placebo in completely resected stage IB-IIIA NSCLC: Subgroup analysis of PEARLS/KEYNOTE-091(930MO)周術期のデータをもう一つ。WCLC2022でも取り上げられていましたが、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)を用いた術後補助化学療法の有用性を検討する試験です。PD-L1の発現ごとに詳細なデータが公表されました。既に承認を得ているアテゾリズマブ(テセントリク)ではIMpower010の中でPDL1発現によって治療効果が異なる傾向が示されていましたが、ペムブロリズマブは少し様子が異なるようです。以下の表を見てみましょう。すでに報告されている通り、KEYNOTE-091試験の全体の結果として、ペムブロリズマブはプラセボに比較して無病生存期間を有意に延長しています。主要評価項目の一つである(co-primary end point)TPS>0におけるDFSにおいてはプラセボと比較し統計学的には有用性が証明されませんでした。殺細胞性抗がん剤使用の有無など背景の違いに応じて、化学療法の今後、術後補助化学療法においてもPD-L1の発現をどの抗体で調べるのか、そしてその結果に応じてどう使い分けるのか議論がしばらく続きそうです。今のデータでは、PDL1高発現であれば○○、という使い分けではなく、ドライバーなしの症例では“化学療法使用にフィットするかどうか”が鍵になるような気がします。Sotorasib versus docetaxel for previously treated non-small cell lung cancer with KRAS G12C mutation: CodeBreaK 200 phase III study(LBA10)KRAS G12C阻害剤のソトラシブ(ルマケラス)は、治療歴のあるNSCLC患者に対するドセタキセル治療と比較して、12ヵ月時点での無増悪生存率を2倍にし、進行または死亡のリスクを34%低減しました。追跡期間の中央値は17.7ヵ月で、12ヵ月のPFS率は、ドセタキセル10.1%に対して、ソトラシブは24.8%でした。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ソトラシブで 5.6ヵ月(95%CI:4.3~7.8)、ドセタキセルで4.5ヵ月(95%CI:3.0~5.7) でした (HR:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.002)。化学療法と比較して、KRAS G12C 阻害薬によるグレード3以上の治療関連有害作用(TRAE)はソトラシブ群で少ない傾向にありました(33.1% vs.40.4%)。クロスオーバーもあり、OSデータは参考ながらソトラシブ群10.6ヵ月(95%CI,:8.9~14.0)ドセタセル群11.3ヵ月(95% CI:9.0~14.9)(HR:1.01、95%CI:0.77~1.33、p=0.53)でした。日本でもKRAS G12C変異をもつ既治療NSCLに対して承認を得ています。今後ソトラシブの高い忍容性から単剤での使用だけでなく、さまざまな薬剤との併用試験が行われており、結果が待たれます。Mechanism of Action and an Actionable Inflammatory Axis for Air Pollution Induced Non-Small Cell Lung Cancer: Towards Molecular Cancer Prevention.(LBA1)薬剤開発ではなく、予防の話題がLBAで取り上げられておりました。本発表は、TRACERx(NCT01888601)、The PEACE(NCT03004755)、Biomarkers and Dysplastic Respiratory Epithelium (NCT00900419)の3つの研究を統合したもので、40万人以上の症例が解析の対象となりました。大気汚染と肺がんの発症にはいくつかのエビデンスがあると報告されていますが、非喫煙者における肺がんの発症と大気汚染の関連について分子生物学的な解析は十分ではありませんでした。まず研究者らは2.5μmの粒子状物質 (PM2.5 )への暴露が増加すると、肺がんの発症が増加することを突き止めました。次に、247例の肺組織のディープシークエンスを行うことにより、正常肺にもそれぞれ15%と53%の頻度でEGFRとKRASドライバーの突然変異を発見しました。しかし、これらの変異は加齢などに伴って存在するものであり、がん化への影響は少ないようでした。しかし、PM2.5への暴露を受けた細胞はその後がん化が促進され、その機序としてインターロイキン(IL)-1βの関与が予想されました。今回得られた知見は、非喫煙者において正常細胞のEGFR変異などを検知し、IL-1βなどを標的とする治療で予防が可能になるかもしれない、という期待を持たせてくれる内容ですが、まだまだ未知のことも多く、検討の余地があります。低線量CTを用いた早期発見の取り組みと並行し、大気汚染による非喫煙者のがんを予防、治療が出来る時代が来るのかもしれません。Durvalumab (D) ± tremelimumab (T) + chemotherapy (CT) in 1L metastatic (m) NSCLC: Overall survival (OS) update from POSEIDON after median follow-up (mFU) of approximately 4 years (y).(LBA59)POSEIDON試験からのOSの最新の探索的解析によると、1次治療におけるtremelimumabとデュルバルマブおよび化学療法の併用療法は、転移を伴うNSCLC患者にOS延長のベネフィットがあったことが報告されました。長期フォローアップ(中央値46.5ヵ月[範囲0.0~56.5])の結果に基づく報告です。3剤併用療法では、OS中央値が14.0ヵ月(95%CI:11.7~16.1)、化学療法単独では11.7カ月(95%CI:10.5~13.1)となり、死亡リスクを25%低減しました(HR:0.75、95%CI:0.63~0.88)。36ヵ月OS率は、それぞれ25%対13.6%でした。併存する変異状態別のOS は、トレメリムマブとデュルバルマブおよび化学療法による治療が継続的に有利でした。STK11変異を有する患者では、3剤併用により死亡リスクが 38% (HR:0.62、95% CI:0.34~1.12) 減少し、OSの中央値は15.0ヵ月(95%CI:8.2~23.8)でした。化学療法単独で10.7ヵ月(95%CI:6.0~14.9)。3年後のOS率は、それぞれ25.8%対4.5%でした。同様に、KEAP1変異を有する患者では、トリプレット療法により死亡リスクが57%減少し (HR:0.43、95%CI:0.16~1.25)、OS中央値が 13.7ヵ月(95% CI:7.2~26.5)、化学療法単独では8.7ヵ月(95%CI:5.1~評価不能)でした。最後に、KRAS変異を有する患者は、トレメリムマブ+デュルバルマブおよび化学療法により、死亡リスクが45% 減少し(HR:0.55、95%CI:0.36~0.85)、OS中央値は25.7ヵ月(95%CI:9.9~36.7)に対し、化学療法単独では10.4ヵ月(95%CI:7.5~13.6)でした。WCLCでも、3剤併用療法は特に遺伝子変異を有す症例においてベネフィットが大きい可能性を指摘されていました。checkmate9LAやCheckmate227など、抗PDL1抗体+化学療法に抗CTLA4抗体を上乗せすべき対象をどのように目の前で選択するのか?遺伝子検査の結果がその一つの答えになるように思います。問題は、現在の日本では1次治療の前に保険診療でこれらの遺伝子を測定出来ないことでしょう。エビデンスの積み重ねで、免疫チェックポイント阻害薬の使い分けにも遺伝子検査が有用、となる時期が遠くないと感じています。

779.

HER2低発現乳がんに対するNACの効果/日本癌治療学会

 乳がんのHER2発現は免疫染色法で0~3+に分類され、0、1+、2+で遺伝子増幅がない場合はHER2陰性として治療方針が決定されるが、近年、HER2低発現例は術前化学療法(NAC)の有効性からHER2非発現例とは異なるグループであることが示唆されている。甲南医療センター乳腺外科(前兵庫県立がんセンター)の高尾 信太郎氏は、HER2低発現乳がんとHER2非発現乳がんにおけるNAC施行後の有効性と予後の違いを比較検討し、第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)で発表した。 高尾氏らは、2002年7月~2021年7月に、兵庫県立がんセンターでNAC施行後に手術を受けた乳がん患者530例を、免疫染色法およびFISH法で、HER2非発現群(IHC0)、HER2低発現群(IHC1+またはIHC2+でFISH-)、HER2陽性群(IHC3+または2でFISH+)の3群に分け、そのうちHER2非発現群とHER2低発現群の特徴、NACの有効性、5-FU系経口抗がん剤による術後化学療法の有効性を後方視的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・530例中、HER2非発現群が114例(21.5%)、HER2低発現群が228例(43.0%)であった。・ホルモン受容体陽性(HR+)は、HER2非発現群で61例(53.5%)、HER2低発現群で167例(73.2%)であった(p=0.000418)。・腫瘍径、リンパ節転移、組織系分布、手術方法は両群で差はみられなかった。・NACの有効性: -全奏効率(ORR):HER2非発現群85.1%、HER2低発現群84.2%、p=0.958 -臨床的完全奏効(cCR)率:HER2非発現群24.6%、HER2低発現群14.0%、p=0.0237 -病理学的完全奏効(pCR)率:HER2非発現群23.7%、HER2低発現群10.1%(p<0.01) -HR+/-にかかわらず、ORRは両群で同等であったが、cCRおよびpCRはHER2非発現群よりもHER2低発現群で低い傾向にあった。・ログランク検定の結果、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)は両群で有意差はみられなかった(それぞれp=0.593、p=0.168)。HR+/-にかかわらず同様の結果であった。・pCRを達成した群では、non-pCR群に比べてDFS、OSが良好であった。HER2非発現群、HER2低発現群の両群で同様の結果であった。・non-pCRであった292例中62例(HER2非発現群16例、HER2低発現群46例)が5-FU系経口抗がん剤による術後化学療法を施行したが、両群ともに有意なDFSおよびOSの改善はみられなかった(それぞれp=0.723、p=0.938)。・NAC後non-pCR症例のうち、同一症例でNAC前後にHER2発現を調べた146例において、HER2発現の不一致率は26.0%であった。NAC前はHER2非発現でNAC後にHER2低発現に変化したのは40.0%、NAC前後でHER2低発現を維持したのは80.2%であった。この傾向はHR+で顕著であった。・NAC前はHER2非発現でNAC後にHER2低発現に変化した群、およびNAC前後でHER2低発現を維持した群ではDFSが良好な傾向を示した(それぞれp=0.125、p=0.205)。・NAC前後のDFSおよびOSは、NAC前においてはHER2非発現群とHER2低発現群に差はみられなかったが(それぞれp=0.1469、p=0.260)、NAC後においてはHER2非発現群よりもHER2低発現群のほうが有意に良好であった(それぞれp=0.0114、p=0.00344)。 高尾氏は、「NAC前ではHER2非発現群とHER2低発現群で予後に差はなかったが、NAC後non-pCR症例にHER2発現を再検討した結果、両群に明らかな予後の差がみられた。これはNAC後のnon-pCR症例の治療方針を考えるうえで非常に重要な所見であり、さらに詳しい解析を行いたい」と述べた。

780.

化学療法中に心室期外収縮頻発!対応は?【見落とさない!がんの心毒性】第15回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別50代・女性主訴動悸、労作時息切れ現病歴約10年前に健診で不整脈を指摘されていた。2ヵ月前に労作時息切れが出現し、慢性心不全と診断された。カルベジロールを開始すると心不全症状の改善を認めた。1ヵ月前に汎血球減少が出現し精査が行われ、急性前骨髄性白血病(APL)と診断された。化学療法前の心エコーでは左室拡張末期径64mm、左室駆出率53%、軽度僧帽弁閉鎖不全症を認めた。イダルビシン(48mg/m2)、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)投与による寛解導入療法が施行され、治療開始後6週目に寛解となった。続いて、ダウノルビシン(100mg/m2)、ATRA投与による地固め療法が1コース施行された後、動悸、労作時息切れが出現し、心電図で心室期外収縮(PVC:premature ventricular contraction)頻発、心エコーで左室収縮能低下を認め、精査加療のため入院となった。現症血圧 90/52mmHg、脈拍数 70bpm 不整、SpO2 98%(酸素投与なし)、結膜貧血なし、頚静脈怒張なし、心音I音減弱、III音あり、心雑音なし、呼吸音清、下腿浮腫なし採血BNP 570.7pg/mL胸部X線CTR 57%、肺うっ血なし、胸水なし心電図洞調律、II・III・aVF・V4-6誘導でST低下・平坦〜陰性T波、PVC頻発(左脚ブロック型・正常軸、右脚ブロック型・右軸偏位の2種類)(図1上)心エコーびまん性左室壁運動低下 (左室拡張末期径/収縮末期径 66/56 mm、左室駆出率 28%)、中等度僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症疑い (三尖弁圧較差 39 mmHg、下大静脈径 13 mm、呼吸性変動良好)ホルター心電図総心拍数12万6,988拍/日、心室期外収縮(PVC)4万8,780拍/日 (総心拍数の38%、うち最多波形20%、2番目に多い波形18%、最長12連発)、上室期外収縮22拍/日 (総心拍数の0.1%未満)(図1下)(図1)画像を拡大する画像を拡大する上)12誘導心電図における2種類のPVC。赤枠:左脚ブロック型・正常軸、青枠:右脚ブロック型・右軸偏位下)ホルター心電図におけるPVCのパターン。赤枠と青枠はそれぞれ12誘導心電図におけるPVCに一致する。【問題】今後の治療に関する下記の選択肢について、正しいものはどれか?a. β遮断薬を減量する。b. ATRAを中止する。c. アントラサイクリンを減量し継続する。d. 血清K+4.0mEq/L以下を目標に調整する。e. PVCに対しカテーテルアブレーションを施行する。1)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022 Aug 26.[Epub ahead of print]2)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン3)Fonarow GC, et al. J Am Coll Cardiol. 2008;52:190-199.4)Buza V, et al. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017;10:e005443.5)Montesinos P, et al. Blood. 2009;113:775-783.6)Dubois C, et al. Blood. 1994;83:3264-3270.7)Lacasse Y, et al. Can J Cardiol. 1992;8:53-56.8)Kishi S, et al. Int J Hematol. 2000;71:172-179.9)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:2018年改訂版 不整脈非薬物治療ガイドライン講師紹介

検索結果 合計:2145件 表示位置:761 - 780