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経口JAK阻害薬、乾癬性関節炎の症状を改善/NEJM

 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブは、コントロール不良の乾癬性関節炎患者の症状をプラセボに比べ有意に改善するが、有害事象の頻度は高いことが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らが行ったOPAL Broaden試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年10月19日号に掲載された。トファシチニブは、共通γ鎖含有サイトカイン、インターフェロン-γ、インターロイキン(IL)-12などの乾癬性関節炎の発症に関与する多くのサイトカインのシグナル伝達に影響を及ぼす。JAKの阻害により、関節や関節外部位の炎症細胞の活性化や増殖、および乾癬性関節炎患者の関節破壊や乾癬性の皮膚の変化に関連する細胞の活性化や増殖に関与する、複数のシグナル伝達経路の調節が可能とされる。実薬対照、プラセボと比較する無作為化試験 OPAL Broaden試験は、従来の合成疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の効果が不十分であるコントロール不良の乾癬性関節炎患者の治療における、トファシチニブの有用性を評価する二重盲検実薬対照プラセボ対照無作為化第III相試験である(Pfizer社の助成による)。 患者登録は、2014年1月~2015年12月に欧米を中心とする126施設で行われ、422例が登録された(373例が試験を完遂)。被験者は、2対2対2対1対1の割合で、トファシチニブ5mg(1日2回)を経口投与する群(107例)、トファシチニブ10mg(1日2回)を経口投与する群(104例)、アダリムマブ40mg(2週ごと)を皮下投与する群(106例)、プラセボを投与し3ヵ月時に盲検下でトファシチニブ5mgに切り替える群(52例)、プラセボを投与し3ヵ月時に盲検下でトファシチニブ10mgに切り替える群(53例)にランダムに割り付けられ、12ヵ月間の追跡が行われた。3ヵ月時の評価では、2つのプラセボ投与群(合計105例)を統合して解析を行った。 主要エンドポイントは、3ヵ月時に米国リウマチ学会(ACR)基準による20%以上の改善(ACR20)が得られた患者の割合、および3ヵ月時の健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)のスコア(0~3点、点数が高いほど障害が重度)のベースラインからの変化であった。 ACR20は、68関節中の圧痛関節と66関節中の腫脹関節の数、および5つのドメイン(患者による関節炎の活動性の総合評価、担当医による関節炎の活動性の総合評価、患者による関節炎痛の総合評価[3項目とも視覚アナログ尺度の0~100mmで評価]、HAQ-DIによる障害度、急性期反応物質の値[高感度C反応性蛋白])のうち3つ以上のベースラインから20%以上の改善と定義した。HAQ-DIスコアは、ベースラインからの0.35点の低下を、乾癬性関節の臨床的に重要な改善の最小値とした。2つの用量とも、2つの主要エンドポイントを達成 ベースラインの4群の平均年齢は46.9±12.4~49.4±12.6歳、女性が47~60%含まれた。乾癬性関節炎の平均罹病期間は5.3±5.3~7.3±8.2年、HAQ-DIスコアは1.1±0.6~1.2±0.6点であった。付着部炎(Leeds Enthesitis Indexスコア)、腫脹関節数、メトトレキサート使用率(いずれもアダリムマブ群で低い)、グルココルチコイド使用率(トファシチニブ10mg群で低い)を除き、治療群間の背景因子はバランスが取れていた。 3ヵ月時のACR20達成率は、トファシチニブ5mg群が50%、トファシチニブ10mg群が61%と、プラセボ群の33%と比較して有意に改善し(5mgとプラセボの比較:p=0.01、10mgとプラセボの比較:p<0.001)、アダリムマブ群は52%であった。3ヵ月時にプラセボをトファシチニブに切り替えたため、12ヵ月時の評価では有意差を認めなかった。 HAQ-DIスコアの平均変化は、トファシチニブ5mg群が-0.35点、トファシチニブ10mg群が-0.40点と、プラセボ群の-0.18点に比べ有意に改善し(5mgとプラセボの比較:p=0.006、10mgとプラセボの比較:p<0.001)、アダリムマブ群は-0.38点であった。12ヵ月時の評価では有意な差はなかった。 3ヵ月時までの有害事象の発現率は、トファシチニブ5mg群が39%、トファシチニブ10mg群が45%、アダリムマブ群が46%、プラセボ群は35%で、12ヵ月時までの発現率は、5mg群が66%、10mg群が71%、アダリムマブ群が72%、プラセボからトファシチニブ5mgに切り替えた群は69%、プラセボからトファシチニブ10mgに切り替えた群は64%であり、プラセボ群のほうが低い傾向がみられた。試験期間中に、トファシチニブ投与例でがんが4件、重篤な感染症が3件、帯状疱疹が4件認められた。 著者は、「長期的な有効性や安全性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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トファシチニブは乾癬性関節炎にも有益か/NEJM

 腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の効果が不十分だったコントロール不良の乾癬性関節炎の患者に対し、トファシチニブはプラセボと比較して、3ヵ月後のACR20改善率が向上するなど、疾患活動性の低下に有効であることが示された。有害事象の頻度は、トファシチニブがプラセボよりも高かった。カナダ・トロント大学のDafna Gladman氏らが、395例を対象に行った試験の結果で、NEJM誌2017年10月19日号で発表した。トファシチニブは、経口ヤヌスキナーゼ阻害薬で、乾癬性関節炎の治療薬として検討されていた。トファシチニブ5mg、10mgを1日2回投与 研究グループは、TNF阻害薬に対し反応性が不十分でコントロール不良の乾癬性関節炎の患者395例を対象に、6ヵ月間の第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。 被験者を、2対2対1対1の割合で4群に分け、(1)トファシチニブ5mgを6ヵ月1日2回経口投与(132例)、(2)トファシチニブ10mgを6ヵ月1日2回投与(132例)、(3)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ5mgを1日2回投与(66例)、(4)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ10mgを1日2回投与(65例)した。 主要エンドポイントは、米国リウマチ学会基準による20%以上の改善(ACR20改善)の達成率と、健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI、スコア0~3:スコアが高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化だった。トファシチニブ投与群のACR20改善率は約50% 3ヵ月時点におけるACR20改善率は、プラセボ群24%に対し、トファシチニブ5mg群は50%、トファシチニブ10mg群は47%と、いずれも有意に高率だった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 ベースラインからのHAQ-DIスコア変化の平均値も、プラセボ群-0.14に対し、トファシチニブ5mg群は-0.39、トファシチニブ10mg群は-0.35と改善幅が有意に大きかった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 重篤な有害事象は、トファシチニブ5mg継続投与群の4%、トファシチニブ10mg継続投与群の6%で認められた。また、6ヵ月の試験期間中に、重篤な感染症が4件、帯状疱疹が3件、心筋梗塞と虚血性脳卒中がそれぞれ1件報告された。また、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値とアラニンアミノトランスフェラーゼ値が、正常上限値の3倍以上に達した被験者が、プラセボ投与後にトファシチニブを投与した群に比べ、トファシチニブ継続投与群で多かった。

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乾癬患者はアルコール関連死亡リスクが高い

 乾癬と診断された人々は早期死亡のリスクが高いが、その根底にある原因はわかっていない。英国・マンチェスター大学のRosa Parisi氏らは、集団ベースのコホート研究において、乾癬を有する人々は、同じ年齢および性別の一般集団と比較し、アルコールが関連した原因により死亡するリスクが約1.6倍になることを明らかにした。このことは、早期死亡率の差の鍵を握る1つの原因であると思われ、著者は「乾癬患者に対しては、一次および二次医療のいずれにおいても、飲酒習慣スクリーニングテスト(Alcohol Use Disorders Identification Test:AUDIT-C)を用いアルコール消費および乱用についてルーティンにスクリーニングを行い、リスクの高い患者の特定と治療が必要である」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年9月15日号掲載の報告。 研究グループは、臨床診療研究データリンク(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)、ならびに英国の病院データ(Hospital Episode Statistics:HES)および国家統計局(Office for National Statistics:ONS)の死亡記録を用い、乾癬患者はアルコール関連死亡のリスクが高いかどうかを調査した。上記データから、1998~2014年における18歳以上の乾癬患者、および乾癬患者と年齢・性別・一般診療をマッチさせた乾癬のない患者を特定し、アルコール関連死亡について解析した。 アルコール関連死亡の原因別ハザード比は、層別化Cox比例ハザードモデルを用いて、社会経済的状態を補正し算出した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、乾癬患者5万5,537例、非乾癬患者(対照)85万4,314例であった。・指標日の年齢中央値(四分位範囲)は47(27)歳、全体の44.9%(40万8,230例)は男性であった。・追跡期間中央値(四分位範囲)4.4(6.2)年において、アルコール関連死亡頻度は、乾癬患者群4.8/1万人年(95%信頼区間[CI]:4.1~5.6、152例)、対照群2.5/1万人年(95%CI:2.4~2.7、1,118例)であった。・乾癬患者群におけるアルコール関連死亡のハザード比は1.58(95%CI:1.31~1.91)で、主な原因はアルコール性肝疾患(65.1%)、肝線維化および肝硬変(23.7%)、アルコールによる精神および行動障害(7.9%)であった。

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抗うつ薬の皮膚疾患に関連する抗炎症作用

 モノアミン作動性抗うつ薬の臨床的に関連する抗炎症作用についてのエビデンスが増加している。ノルウェー・オスロ大学のShirin Eskeland氏らは、慢性蕁麻疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、他の湿疹、円形脱毛症の5つの一般的な炎症性皮膚疾患と関連した抗うつ薬の使用および有効性について、PubMedおよびOvidデータベースをシステマティックに検索した。Acta dermato-venereologica誌オンライン版2017年5月17日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・1984年1月~2016年6月に報告された臨床試験または症例報告28件より、皮膚疾患患者1,252例が抽出された。・これらの患者において、抗うつ薬治療に関連した皮膚症状の明確な軽減が報告されていた。・新規抗うつ薬の研究は通常オープンラベルであった一方、第1世代抗うつ薬でのいくつかは無作為化比較試験であった。 著者らは「全体的にポジティブな結果は、抗うつ薬使用が、併存する精神疾患を治療するだけでなく、皮膚疾患に対する根拠を示している可能性がある。SSRIやミルタザピンおよびbupropionを含む新規抗うつ薬に関するさらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能抗炎症薬の抗うつ効果を検証皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用

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乾癬治療が血管炎症も改善?

 乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、血管炎症ならびに将来の心血管イベント増加との関連が知られている。一方、炎症はアテローム性動脈硬化の進展において重要である。米国・国立衛生研究所のAmit K. Dey氏らは、乾癬患者における皮膚の炎症の治療と血管性疾患の関連を検討する前向きコホート研究を行い、乾癬の皮膚重症度(PASIスコア)の改善が大動脈の炎症の改善と関連していることを明らかにした。とくにPASIスコアが75%以上改善した場合に、大動脈の炎症の改善がより大きいことが観察されたという。結果を踏まえて著者は、「皮膚など遠隔標的器官の炎症をコントロールすることで血管性疾患が改善するかもしれない」と述べ、無作為化臨床試験で今回の結果を確認する必要性を強調した。JAMA Cardiology誌オンライン版2017年5月31日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬の皮膚重症度の変化と血管炎症の変化との関連を調べるとともに、血管炎症に対する抗TNF製剤治療の影響を検討する目的で、外来診療を受診した乾癬患者連続115例を登録し1年間追跡した。試験期間は2013年1月1日~2016年10月31日で、2016年11月に解析が行われた。 皮膚炎症はPASIスコアで、血管の炎症は18FDG-PETによるtarget-to-background ratio(TBR)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・115例の1年追跡時の平均(±SD)年齢は50.8±12.8歳で、68例(59%)は男性であった。・コホートは、軽度~中等度の乾癬(PASIスコア中央値:5.2、四分位範囲:3.0~8.9)を有しており、フラミンガムリスクスコアによる心血管リスクは低かった。・1年間追跡した後のPASIスコアは、中央値で33%改善していた(局所療法で60%、生物学的製剤療法[大部分は抗TNF製剤]で66%、光線療法で15%、p<0.001)。・乾癬のPASIスコアの改善は、TBRの6%改善と関連していた。・この関連は、従来のリスク因子を調整後も認められ(β=0.19、95%信頼区間[CI]:0.012~0.375、p=0.03)、抗TNF製剤で治療された場合が最も強かった(β=0.79、95%CI:0.269~1.311、p=0.03)。

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アプレミラスト、156週以上投与の安全性を確認

 中等症~重症の尋常性乾癬および関節症性乾癬に対する経口PDE4阻害薬アプレミラスト(商品名:オテズラ)は、156週以上の長期投与においても安全性プロファイルは良好であり、忍容性も概して良好であることが示された。米国・Bakersfield DermatologyのJeffrey Crowley氏らが、アプレミラストの有効性および安全性を検証する海外第III相無作為化比較試験のESTEEM-1および2のプール解析を行い明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年4月14日号掲載の報告。 研究グループは、アプレミラストのESTEEM-1および2の長期継続試験から、0~156週以上の投与における安全性について解析した。 解析対象は、アプレミラスト30mg1日2回を0~156週以上投与の1,184例であった(曝露量1,902.2患者年)。 主な結果は以下のとおり。・0~52週における発現率5%以上の主な有害事象は、下痢、悪心、上気道感染症、鼻咽腔炎、緊張性頭痛および頭痛であった。・0~156週以上において、新しい有害事象(発現率5%以上)は報告されなかった。・有害事象、重篤な有害事象、および有害事象による投与中止の頻度は、長期投与で増加しなかった。・0~156週以上において、0~52週と比較し、主要心イベント(曝露期間で調整した発現率[EAIR]:0.5/100患者年)、悪性腫瘍(EAIR:1.2/100患者年)、うつ病(EAIR:1.8/100患者年)、および自殺企図(EAIR:0.1/100患者年)の増加は認められなかった。・重篤な日和見感染、結核の再活性化または臨床的に意味がある臨床検査異常は報告されなかった。・本試験は脱落率が高かったが(156週以上投与された患者1,184例中249例[21%])、ほとんどは安全性の問題とは関連がなかった。

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発症メカニズムから考える乾癬の治療戦略

 2017年4月10日、メディアセミナー「乾癬治療における生物学的製剤の最新エビデンスと今後の展望~乾癬の発症機序から考える最新治療戦略~」が開催された(主催:アッヴィ合同会社)。本セミナーでは、演者である佐藤 伸一氏(東京大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)が、「乾癬治療における生物学的製剤治療の意義」と題した講演を行った。 乾癬は、赤い発疹である「紅斑」、皮膚が盛り上がる「浸潤」、銀白色のカサブタのような「鱗屑」や皮膚がはがれ落ちる「落屑」を特徴とする疾患で、慢性・再発性の炎症性角化症として知られている。乾癬への罹患は、がん、高血圧、心筋梗塞などよりも患者の生活の質(QOL)を低下させるとの報告もあり1)、乾癬の治療法選択においては、疾患の重症度を改善させるだけでなく、患者のQOLを考慮することも重要となる。乾癬は皮膚だけの病気ではない 乾癬は、皮膚症状以外にも何らかの疾患を併発することが多く、発症頻度の高い併存疾患としては、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが挙げられる。『世界乾癬レポート2016』には、乾癬マネジメントに高血圧などの関連疾患や心筋梗塞などの併存症のスクリーニングも含まれると記載されており2)、その重要性がうかがえる。乾癬と併存疾患との関係について佐藤氏は、重症乾癬患者の死因は心血管病変が最も多いとの報告3)を紹介したうえで、乾癬は「皮膚だけの病気ではなく、全身に影響を与える皮膚疾患」と解説した。乾癬とサイトカインの関係 乾癬の病態は、「腫瘍壊死因子(以下、TNF)-α」、「インターロイキン(以下、IL)-23」、「IL-17」といった炎症性サイトカインが連続的に働くことで生じると考えられている。 TNF-αは乾癬発症メカニズムの上流に位置しており、乾癬以外にもさまざまな炎症性疾患に関与している。本講演では、乾癬患者における心血管系イベント発生率をTNF-α阻害薬が低下させるとの報告4)も紹介された。一方、乾癬発症メカニズムの下流に位置するIL-17を標的とする治療は、乾癬に対してよりピンポイントに効果を発揮すると期待されており、近年、IL-17関連の生物学的製剤が相次いで発売された。佐藤氏は、乾癬とサイトカインの関係性を踏まえて、「乾癬の重症例では併存疾患が多いため、TNF-α阻害薬を用いることが望ましい」と自身の考えを述べた。 乾癬の病態理解が深まり、現在では乾癬に対していくつもの生物学的製剤が承認されている。佐藤氏は、これらの使い分けについて、「皮膚症状の重症度ではなく、併存疾患の有無などを考慮して製剤を使い分けることが合理的」との見解を示した。

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乾癬へのウステキヌマブvs. IL-23選択的阻害薬/NEJM

 中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象に、インターロイキン(IL)-12およびIL-23を構成するサブユニットp40に対する抗体であるウステキヌマブと、IL-23のもう1つのサブユニットp19に特異的に結合しIL-23経路を阻害するヒト化IgG1モノクローナル抗体risankizumab(BI 655066)を比較した第II相試験において、risankizumabによるIL-23の選択的阻害はウステキヌマブよりも臨床効果が優れていることが示された。カナダ・K Papp Clinical ResearchのKim A Papp氏らが、北米および欧州の32施設で実施した48週間の多施設共同無作為化用量範囲探索試験の結果を報告した。IL-23は、乾癬の発症に極めて重要な役割を担っていることが知られている。IL-23経路を阻害する乾癬治療薬として最初に登場したのがウステキヌマブであるが、ウステキヌマブはIL-23とIL-12の両方を阻害する。そのため、IL-23を選択的に阻害する乾癬治療薬の開発が進められていたが、これまでIL-12/IL-23阻害薬と選択的IL-23阻害薬の有効性について直接比較した検討は行われていなかった。NEJM誌2017年4月20日号掲載の報告。患者約160例を対象に、ウステキヌマブとIL-23選択的阻害薬による乾癬重症度の改善を評価 研究グループは、中等症から重症の尋常性乾癬患者166例を、risankizumab 18mg群(単回皮下投与)、90mg群(0週、4週、16週時に皮下投与)、180mg群(0週、4週、16週時に皮下投与)、ウステキヌマブ群(体重に応じて45mgまたは90mgを0週、4週、16週時に皮下投与)に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12週時の乾癬重症度(PASIスコア)がベースラインから90%以上改善した患者の割合(PASI 90達成率)。有効性の副次評価項目は12週時のPASI 50、PASI 75、PASI 100および24週時のPASI 75、PASI 100などで、intention-to-treat解析にて評価した。IL-23選択的阻害薬群のPASI 90達成率、ウステキヌマブ群の約2倍 12週時におけるPASI 90達成率は、risankizumab群(90mg群と180mg群の合計)が77%(64/83例)であったのに対して、ウステキヌマブ群は40%(16/40例)であった(p<0.001)。PASI 100達成率は、risankizumab群(同)45%、ウステキヌマブ群18%であった。有効性は、risankizumab(90mgまたは180mg)の最終投与20週後までおおむね維持された。 重篤な有害事象はrisankizumab 18mg群で5例(12%)、risankizumab 90mg群で6例(15%)、ウステキヌマブ群で3例(8%)に発生し(基底細胞がん2例、主要心血管イベント1例)、risankizumab 180mg群では確認されなかった。 著者は、研究の限界として安全性に関して結論付けるには試験の規模と期間が不十分であることを挙げ、「プラセボと実薬を用いた大規模な比較臨床試験においてrisankizumabの有効性と安全性をさらに検証する必要がある」とまとめている。

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クローン病に新たな治療アプローチ、IL-23阻害薬/Lancet

 インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤risankizumabは、活動期クローン病の臨床的寛解導入において、プラセボよりも高い効果を発揮することが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G Feagan氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年4月12日号に掲載された。クローン病の発症には、遺伝学的、生物学的にIL-23経路の関与が認められる。予備的なデータでは、risankizumabは、IL-23経路が関与する慢性炎症性皮膚疾患である乾癬に有効なことが知られている。2つの用量とプラセボを比較する第II相試験 本研究は、北米、欧州、東南アジアの36施設が参加する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であり、2014年3月~2015年9月に患者登録が行われた(Boehringer Ingelheim社の助成による)。 対象は、年齢18~75歳、クローン病の診断後3ヵ月以上が経過し、スクリーニング時に中等症~重症クローン病と判定された患者であった(マスクされた中央判定で、回腸または結腸あるいは双方の粘膜潰瘍を伴い、クローン病活動指数[CDAI]スコアが220~450点、かつ大腸内視鏡検査でクローン病の内視鏡的活動性指標[CDEIS]スコアが7点以上[孤立性回腸炎の患者は≧4点])。 試験は、第1期(12週の二重盲検静脈内投与期)、第2期(12週のオープンラベル静脈内投与またはウォッシュアウト期)、第3期(26週の皮下投与期)の3つの治療期間に分けて行われ、今回は第1期の結果が報告された。被験者は、risankizumab 200mg、同600mg、プラセボを0、4、8週に投与する3つの群にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、ITT集団における12週時の臨床的寛解(CDAIスコア<150点)とした。安全性は、治験薬の投与を1回以上受けたすべての患者で評価した。 121例が登録され、risankizumab 200mg群に41例、同600mg群に41例、プラセボ群には39例が割り付けられた。高用量が有用な可能性 ベースラインの平均年齢は200mg群が39歳、600mg群が40歳、プラセボ群は36歳、女性がそれぞれ63%、61%、59%であった。CDAI中央値は、それぞれ311点、298点、295点、CDEIS中央値は12点、12点、11点だった。全体のクローン病の平均罹病期間は13(SD 9)年で、93%(113例)が1回以上の腫瘍壊死因子阻害薬(79%[96例]が治療不成功)の投与を受けていた。 12週時の臨床的寛解達成率は、200mg群が24.4%(10/41例)、600mg群が36.6%(15/41例)、プラセボ群は15.4%(6/39例)であった。2つの用量を合わせたrisankizumab群とプラセボ群の差は15.0%(95%信頼区間[CI]:0.1〜30.1)と、有意な差が認められた(p=0.0489)。200mg群とプラセボ群の差は9.0%(-8.3〜26.2、p=0.31)であり、有意差はみられなかったが、600mgとの差は20.9%(2.6〜39.2、p=0.0252)と有意であった。 12週時の臨床的奏効(CDAIスコア<150点またはCDAIスコアのベースラインから100点以上の低下)、内視鏡的奏効(CDEISスコアのベースラインから50%以上の低下)、完全寛解(臨床的寛解かつ内視鏡的寛解)は、いずれも200mg群とプラセボ群には差がなかったが、600mg群(それぞれp=0.0366、p=0.0106、p=0.0164)および200mg+600mg群(p=0.0273、p=0.0104、p=0.0107)はプラセボ群に比べ有意に優れた。内視鏡的寛解(CDEISスコア≦4点)は、200mg群(p=0.0357)、600mg群(p=0.0107)、200mg+600mg群(p=0.0015)が、いずれもプラセボ群よりも有意に良好だった。 12週時の有害事象は、79%(95例)に認められた(200mg群:32例、600mg群:31例、プラセボ群:32例)。重度有害事象は18例(それぞれ6例、3例、9例)、治療中止の原因となった有害事象は12例(5例、1例、6例)、重篤な有害事象は24例(9例、3例、12例)に発現した。最も頻度の高い有害事象は悪心、最も頻度の高い重篤な有害事象はクローン病の増悪であり、死亡例はなかった。 著者は、「これらの知見は、p19の阻害を介するIL-23の選択的遮断は、クローン病の治療アプローチとして実行可能であることを示唆する」と指摘している。

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TNF-α阻害薬、乾癬患者で皮膚扁平上皮がんが増加

 中等度~重度の乾癬では、全身性薬剤治療を必要とする頻度が高い。その多くは免疫抑制作用があり、非黒色腫皮膚がん(NMSC)を含むがんのリスクを高める可能性があるが、生物学的製剤による治療を受けたことのある乾癬患者では皮膚扁平上皮がんの発生リスクが高まることが、Kaiser Permanente Northern California(KPNC)医療保険加入者を対象とした調査の結果、明らかになった。生物学的製剤の多くはTNF-α阻害薬であった。著者の米国・マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学大学院のMaryam M Asgari氏は、「全身性薬剤で治療された乾癬患者における皮膚がんの発生について、さらなる調査が必要だ」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年2月2日号掲載の報告。 研究グループは、KPNC health planに登録され、1998~2011年に乾癬と診断された成人患者のうち、1つ以上の全身性乾癬治療薬で治療された5,889例を対象に、生物学的製剤を使用したことのある患者(生物学的製剤使用者)と未使用者に分け、がん発生頻度(NMSCを除く)およびNMSC発生頻度を検討した。 発生頻度は、1,000人追跡年当たりで、95%信頼区間(CI)値とともに算出し、粗ハザード比(HR)および交絡因子補正後のハザード比(aHR)をCox回帰分析にて求めた。 主な結果は以下のとおり。・生物学的製剤使用者のほとんどは、TNF-α阻害薬による治療を受けていた(2,214例、97%)。・がん発生頻度(NMSCを除く)は、生物学的製剤使用者と未使用者とで類似していた(aHR:0.86、95%CI:0.66~1.13)。・NMSC発生頻度は、生物学的製剤使用者で42%高く(aHR:1.42、95%CI:1.12~1.80)、主に皮膚扁平上皮がんのリスク増加(aHR:1.81、95%CI:1.23~2.67)によるものであった。

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乾癬とアトピー性皮膚炎、EDリスクとの関連は?

 乾癬は心血管疾患のリスクを高めるが、アトピー性皮膚炎については明確になっていない。一方、冠動脈疾患のリスクマーカーとして、勃起障害(ED)を使用できることは確立されている。そこで、デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らは、乾癬、あるいはアトピー性皮膚炎を有する男性におけるEDの罹患率、有病率とリスクを調べた。その結果、乾癬を有する男性においてEDの有病率およびリスクの増加が認められた一方、アトピー性皮膚炎の男性では、EDリスクは一般集団と同等(あるいはわずかに低い程度)であった。Journal of Sexual Medicine誌オンライン版2017年1月18日号掲載の報告。 研究グループは、30歳以上のデンマークの全男性を対象に調査を行った。アトピー性皮膚炎あるいは乾癬を有する場合、全身治療の有無に基づき重症度を判定した。 横断研究として2008年1月1日に、ロジスティック回帰法を用いてEDの有病率およびオッズ比を推定するとともに、コホート研究として2008年1月1日~2012年12月31日まで追跡調査を行い、Cox回帰モデルにより、新規ED発症の補正ハザード比を推定した(年齢、社会経済学的状態、医療サービス消費量、喫煙、アルコール、糖尿病および脂質異常症薬の使用など、潜在的な交絡因子)。なお、新規ED発症とは、ED治療のための薬物療法の開始とした。 主な結果は以下のとおり。・デンマーク人の男性(30~100歳)175万6,679例のうち、アトピー性皮膚炎有病者は2,373例(軽度1,072例、重度1,301例)、乾癬有病者は2万6,536例(軽度2万1,775例、重度4,761例)で、平均年齢(±SD)は一般集団53.0±14.6歳、アトピー性皮膚炎有病者46.7±12.0歳、乾癬有病者56.3±13.8歳であった。・EDの有病率は、一般集団8.7%、アトピー性皮膚炎有病者6.7%、乾癬有病者12.8%であった。・EDの補正オッズ比は、アトピー性皮膚炎有病者で低下したが(0.68、0.57~0.80)、乾癬有病者では増加した(1.15、1.11~1.20)。・重症度別にみた補正オッズ比は、アトピー性皮膚炎有病者で軽度0.63(0.48~0.82)、重度0.72(0.58~0.88)、乾癬有病者で軽度1.16(1.11~1.21)、重度1.13(1.03~1.23)であった。・新規ED発症の補正ハザード比は、アトピー性皮膚炎有病者で0.92(0.76~1.11)、乾癬有病者で1.14(1.08~1.20)であった。・EDリスクは、軽度アトピー性皮膚炎(0.85、0.63~1.14)あるいは重度アトピー性皮膚炎(0.97、0.76~1.24)の男性では増加は認められなかったが、軽度乾癬(1.13、1.09~1.20)および重度乾癬(1.17、1.04~1.32)の男性では顕著な増大がみられた。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第35回

第35回:急性単関節炎の診断アプローチ監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 以前、多関節炎の鑑別(第29回)についての記事を掲載しましたが、今回は単関節炎の診断アプローチについて取り上げます。 単関節炎のcommonな原因としては変形性関節症・痛風・外傷が挙げられますが、プライマリ・ケア領域では全身性疾患の早期症状として単関節炎を診る可能性もあります。そのため、関節炎の評価に加えて「もう一歩踏み込んだ診察・病歴聴取」を行うことが診断の鍵となります。 以下、American Family Physician 2016年11月15日号 より1) 急性単関節炎の背景に潜む病態の手掛かりをつかむために、包括的な病歴と身体所見が必要となる。病歴聴取では次の項目がとくに大切である。年齢、随伴症状、併存疾患、内服歴、関節に関する既往症、外傷歴、ダニ刺傷の既往、静脈注射の使用歴、痛風の家族歴、性交歴、渡航歴、普段の食事内容、飲酒歴、職業歴など。また労作時に関節炎の症状が悪化するものの、安静時には改善する場合は物理的な原因が考えられる。一方、安静時でも症状が増悪する場合は炎症性疾患の可能性があり、その場合は朝のこわばりを認めることもある。以下、代表的な疾患やアプローチの仕方について述べる。1)頻度の多い疾患である変形性関節症は労作で症状増悪するのが典型的である。朝のこわばりを認めることがあるものの、30分以内に改善する。また安静時にこわばりの再発を認めることがある(Gelling現象)。しかし、関節リウマチと比較して変形性関節症における朝のこわばりの持続時間は短く、関節リウマチでは症状が45分以上も続く。2)典型的な痛風発作は夜間に始まり、24時間以内に症状はピークへ達する。また疼痛や発赤、腫脹を引き起こす。肥満、高カロリー食の摂取、アルコール摂取歴、そしてループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬の内服歴は、痛風発作を疑う手掛かりとなる。外傷を契機に痛風発作が起きる可能性もあり、化膿性関節炎と非常によく似た臨床症状を呈することがある。3)先行する関節痛症状が感染を示唆することがある。そのため本当に単関節の症状なのかどうか判断することは大切である。なお、淋菌性関節炎は遊走性の関節炎と腱鞘炎症状が先行する。4)末梢関節の炎症を伴う軸骨格の炎症性関節炎(例:仙腸関節炎)は、脊椎関節炎を示唆する。脊椎関節炎は、しばしば単関節炎として症状が現れ、遊走性または波及的に関節から関節へ進展する。その他の症状(筋腱付着部の痛みやソーセージ様に腫脹する指趾炎)がないかを患者へ尋ねることは重要である。またぶどう膜炎を認める患者や、尿道炎を認める患者(Reiter症候群)もいる。5)皮膚症状の病歴と乾癬の家族歴から、単関節炎を呈する乾癬性関節炎を病状早期に疑うこともある。以上のように、それぞれの疾患の特徴を押さえることで、診断につながる重要な手掛かりを得ることができる。※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Becker JA, et al. Am Fam Physician. 2016;94:810-816.

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アトピー性皮膚炎での入院患者は健康な人より短命?

 アトピー性皮膚炎と乾癬はいずれも慢性炎症性皮膚疾患で、乾癬では死亡リスクが高まることが知られている。アトピー性皮膚炎については死亡率に関する研究がほとんどなかったが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らは、デンマークの全国登録を用いて調査を行い、アトピー性皮膚炎による入院後の死亡率を調べた。その結果、10年死亡率は、乾癬に比べると低かったものの健康対照者と比較すると高いことが明らかになったという。なお、今回の検討について著者は「ライフスタイルが死亡リスクに影響を及ぼす可能性がある点で、研究には限界がある」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2017年1月号(オンライン版2016年10月11日号)掲載の報告。 研究グループは、全国登録から1996~2002年の間に、アトピー性皮膚炎または乾癬のために初回入院した18歳以上の患者データを抽出し、アトピー性皮膚炎患者とマッチさせた健康対照者と比較した。解析は多変量Cox回帰法を用い、年齢、性別、社会経済学的状態、チャールソン併存疾患指数スコア、喫煙および薬物療法に関して調整したハザード比(HR)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・最長10年の追跡期間で、入院患者はアトピー性皮膚炎576例、乾癬951例であった。・研究期間中の死亡例は、それぞれ65例および286例であった。・アトピー性皮膚炎患者の死亡リスクは、乾癬患者に比べ低かったが(HR:0.75、95%信頼区間[CI]:0.57~1.00)、健康対照者(5,760例)と比較すると高かった(HR:1.71、95%CI:1.20~2.44)。・アトピー性皮膚炎で入院した患者は、健康対照者よりも平均8.3歳短命であった。

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乾癬へのMTX高用量皮下投与は有効か/Lancet

 中等度~重度の尋常性乾癬患者に対するメトトレキサート(MTX)の高用量皮下投与について、52週時点のリスクベネフィットは良好であることが、英国・マンチェスター大学のRichard B Warren氏らによる第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。中等度~重度の尋常性乾癬治療においてMTXは使用頻度の高い全身性薬物の1つだが、その使用に関する高度なエビデンスは少なく、また投与は経口に限られていた。研究グループは、高用量皮下投与の有効性評価を目的に本検討を行った。Lancet誌オンライン版2016年12月21日号掲載の報告。16週時点のPASI75達成患者の割合を評価 試験は、ドイツ、フランス、オランダ、英国の16施設で行われ、18歳以上、慢性尋常性乾癬(ベースラインから6ヵ月以上)で、現在の疾患重症度は中等度~重度の、MTX未治療患者を適格とした。 患者をコンピュータ無作為化法で2群に3対1の割合で割り付け、スタート時にMTX 17.5mg/週またはプラセボを16週間投与し、その後全患者にMTXを52週時点まで投与した(MTX-MTX vs.MTX-プラセボ)。また、8週時点の評価で、PASI50未達成の患者については、投与量を22.5mg/週まで漸増した(プラセボ群も同用量を漸増)。すべての治療群の患者には葉酸5mg/週が併用投与された。なお割付治療について、被験者、研究者共に16週まではマスキングされたが、その後はマスキングを外された。 主要有効性エンドポイントは、16週時点の評価におけるPASI75達成患者の割合。解析は修正intention-to-treat集団(NRIを含む)にて行われた。達成率プラセボ群10%に対しMTX群41%、忍容性も良好 2013年2月22日~2015年5月13日に、計120例が、MTX投与群(91例)またはプラセボ投与群(29例)に無作為に割り付けられた。 16週時点のPASI75達成率は、プラセボ群10%(3例)に対し、MTX群は41%(37例)であった(相対リスク:3.93、95%信頼区間[CI]:1.31~11.81、p=0.0026)。 MTXの皮下投与の忍容性は概して高く、死亡および重篤感染症、悪性腫瘍または主要心血管イベントの報告はなかった。 重篤な有害事象が記録されたのは、MTXを52週間続けて投与を受けた3例(3%)の患者であった。 今回の結果を踏まえて著者は、「中等度~重度の尋常性乾癬患者へMTXを使用する場合は、投与ルートおよび高用量投与の予定について検討すべきである」とまとめている。

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乾癬へのイキセキズマブ長期投与の安全性

 乾癬患者への、新たな生物学的製剤であるイキセキズマブの長期投与について、安全性プロファイルは良好であることが報告された。米国・コネチカット大学のBruce Strober氏らが、臨床試験の併合解析を行った。中等症~重症の乾癬に対する治療は長期にわたるため、生物学的製剤の安全性は重要であるが、解析の結果、維持投与期間中に予測できない有害事象は認められなかった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年11月23日号掲載の報告。 研究グループは、12週間の導入投与期間、12~60週間の維持投与期間および全治療期間におけるイキセキズマブの安全性を評価する目的で、臨床試験7件の併合解析を行った。 曝露で調整した、有害事象の発現頻度(患者100人年当たり)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・イキセキズマブが投与された計4,209例(総曝露6,480人年)が解析に組み込まれた。・導入投与期間に1件以上の治療関連有害事象を発現した患者の頻度は、イキセキズマブ投与251例、エタネルセプト投与236例で、重篤な有害事象の頻度はどちらも8.3であった。・維持投与期間では、イキセキズマブ投与例における治療関連有害事象の頻度は100.4、重篤な有害事象の頻度は7.8であった。・イキセキズマブを投与された全例において、カンジダ感染症の発現頻度は2.5であった。・とくに注目すべき治療関連有害事象(重篤な感染症、悪性腫瘍、心血管イベントなど)の導入投与期間における頻度は、イキセキズマブとエタネルセプトとで類似していた。

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JAK阻害薬のトファシチニブ軟膏、乾癬への効果は?

 乾癬患者の多くは軽度から中等度の症状を有しており、一般的に局所療法が行われることが多い。しかしながらステロイドやビタミンDなどの局所治療薬の有効性は限局的であり、長期使用に伴い副作用も発現する。そこで局所療法のために、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ、慢性尋常性乾癬に対しては未承認)軟膏の効果が検討された。 今回、BMC Dermatology誌 2016年10月号に掲載されたトファシチニブ軟膏(2%および1%)の12週間、無作為化二重盲検平行群間対照第IIb相試験の結果を紹介する。<試験方法> 無作為に割り付けられた軽度から中等度の成人尋常性乾癬患者435例のうち、除外基準に該当しなかった430例にトファシチニブ軟膏(2%および1%)を1日1回または1日2回塗布し、有効性を検討した。主要評価項目、副次評価項目は以下のとおり。主要評価項目: 8週時または12週時における医師総合評価(PGAスコア)が0(寛解)または1(ほぼ寛解)の達成率とベースラインから2段階以上の改善率。副次評価項目: PGAスコア0または1の達成率、乾癬重症度スコア75(PASI75)を達成した患者の割合、PASIおよび体表面積のベースラインからの変化率、かゆみの重症度項目(ISI)のベースラインからの変化。 有害事象を観察し、臨床検査パラメーターを測定した。<主な試験結果>・8週時において、PGAスコア0または1を達成し、ベースラインから2段階以上の改善が認められた患者の割合は、2%1日1回群18.6%(80%信頼区間:3.8~18.2%)、2%1日2回群22.5%(80%信頼区間:3.1~18.5%)であった。対照群においては、1日1回群8.1%、1日2回群11.3%であった。 1日1回群、2回群ともに対照群と比較して達成率、改善率は有意に高かった。・12週時では、2%および1%軟膏において、どちらのレジメンでも対照群と比較して有意差は認められなかった。・PGAスコア0または1の達成率は、8週時点で2%1日1回群35.9%、2%1日2回群41.8%、1%1日1回群23.4%で、対照群(1日1回群13.9%、1日2回群25.2%)と比較して有意に高かった。 また、12週時点では2%1日2回群39.7%と1日2回対照群27.3%と比較して有意に高かった。・かゆみは、2%および1%1日2回群では塗布2日目から、2%1日2回群においては塗布3日目から、対照群と比較して有意な低下が認められた。・対象者の44.2%に有害事象が発現した。そのうちの8.1%が塗布部位への発現で、重篤な有害事象の発現は2.3%であった。 また、副作用が高頻度にみられたのは、1日1回対照群であった。 以上の結果より、8週時の2%1日1回群または2%1日2回群は、対照群と比較して、高い有効性を示したことがわかった。 また両レジメンにおいて、治療12週までの安全性および局所許容性プロファイルが確認された。

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10月29日は「世界乾癬デー」

 2016年10月24日(月)、日本イーライリリー株式会社/鳥居薬品株式会社は、10月29日の「世界乾癬デー」に先駆け、「意識調査から考える『乾癬の治療ゴールとコミュニケーション』」と題するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、医師と乾癬患者の意識調査の結果を基に、現在の治療課題が論議された。 はじめに、日本イーライリリー株式会社の中條航氏が、「尋常性乾癬患者を取り巻く医療環境に関する中等症・重症患者と治療医の意識調査2016」を発表した。 続いて、調査監修者の大久保ゆかり氏(東京医科大学皮膚科教授)は、「乾癬治療の現場から考えるより良い医師と患者の関係」を、セミナー後半では、患者の立場から日本乾癬患者連合会の会長である柴崎弘之氏も今回の調査への印象を述べた。以下に内容を記す。意識調査からわかったこと 今回の調査結果から、患者・医師共に乾癬の疾患認知度が社会的に低いと考えていることや、患者の50%が皮膚病変の完全な消失を達成することを本当は治療目標にしたいと思っている一方、同様の目標を掲げる医師は10%未満であること、医師は、患者の約60%は治療に満足していると思っているが、実際に治療に満足していると回答した患者は33%であり、乾癬治療では治療ゴールやコミュニケーションについて、医師・患者間にギャップがあることなどが明らかとなった。 また、患者の90%がより効果のある治療を受けたいと思っているが、そのうち生物学的製剤について、知らない/どのようなものかわからないと答えた人は52%にとどまった。乾癬治療で重要なのは治療ゴールの共有 大久保氏は上記の調査結果を踏まえ、患者は乾癬が日常生活に及ぼす影響や自分の治療目標を医師に伝えることが大切だが、現実的には医師に伝えることは難しいと課題を呈した。そのため、皮疹が残存していれば、現在の皮膚状態に患者が満足しているかどうかを確認したり、医師のほうから患者に積極的に声をかけることが重要であると強調した。 また、中等症以上の患者に対しては全身療法を早期に開始することで、生涯にわたる身体的、精神的な併存疾患の合併や社会的なスティグマなどによる累積障害を回避し、通常のライフイベントを過ごせる可能性を示唆した。生物学的製剤の恩恵を受けている患者はいまだ少ない 生物学的製剤発売から6年たつ現在でも、患者の生物学的製剤の認知度が約半数にとどまるということに患者会も驚いており、患者会からも情報を発信していきたいと柴崎氏は語った。 大久保氏は、生物学的製剤の普及で患者QOLが速やかに改善できるようになり、乾癬は「治らない疾患」から「コントロールできる疾患」になりつつあるため、患者は治療を諦めないでほしいと言及した。満足度の高い乾癬治療のために 最後に大久保氏は、それぞれの患者に合った満足度の高い治療を実現するためには、医師と患者が信頼関係を構築して治療ゴールを共有し、患者と同じ目標に向かって治療に取り組んでいくことが大切であると強調した。「尋常性乾癬患者を取り巻く医療環境に関する中等症・重症患者と治療医の意識調査結果を発表」の詳細はこちら(PDF)

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