サイト内検索

検索結果 合計:446件 表示位置:1 - 20

1.

高リスク閉塞性睡眠時無呼吸、スマートウォッチが高精度に検出

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心血管疾患や神経認知機能障害などの長期的影響と関連する一方、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査へのアクセスや費用の問題から診断・治療がなされないことが少なくない。今回、米国・スタンフォード大学のArash Alavi氏らは、一般消費者向けスマートウォッチであるSamsung Galaxy Watchによる中等症~重症OSAおよび高リスクOSAの検出性能を前向きに検討した。その結果、Galaxy Watchは中等症~重症OSAを高い精度で検出し、PSG由来の低酸素負荷(HB)で定義した高リスクOSAの識別でも良好な性能を示した。Journal of Clinical Sleep Medicine誌2026年8月27日号に掲載。 本研究は、PSGとスマートウォッチ評価を反復して行った前向き研究である。対象は、中等症~重症OSAの既往歴がある、またはSTOP-Bangスコア3以上で中等症~重症OSAの検査前確率が高い22歳以上の152例。対象者は、初回の施設内PSG、3晩以上の自宅でのウォッチ単独測定、2回目の施設内PSGを受け、施設内PSG時にはGalaxy Watchを装着した。比較基準はPSGによる無呼吸低呼吸指数(AHI)とし、中等症~重症OSAはAHI 15回/時以上と定義した。また、酸素飽和度低下の深さ、持続時間、頻度を統合するPSG由来HBに基づく低リスクOSAと高リスクOSAの層別化についても、Galaxy Watchの性能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録した152例のうち147例が2晩の施設内PSGを完了した。施設内PSGで記録された睡眠時間は合計1,850時間であった。・Galaxy Watchによる中等症~重症OSA検出の受信者操作特性曲線下面積(AUROC)は0.94(95%信頼区間[CI]:0.889~0.980)であった。・デフォルトの推定AHI(eAHI)閾値15を用いた場合、中等症~重症OSA検出の感度は94.1%(95%CI:84.1~98.0)、特異度は66.7%(同:51.0~79.4)であった。・コホートで最適化したeAHI閾値25.95を用いた場合、感度は82.4%(95%CI:69.7~90.4)、特異度は94.9%(同:83.1~98.6)であった。・PSG由来HBで定義した高リスクOSA群の識別では、デフォルト閾値を用いたGalaxy Watchの感度および特異度はいずれも100%であり、これはHBで定義した低リスクOSAカテゴリーと高リスクOSAカテゴリーを正確に識別できることを意味する。 著者らは、「一般消費者向けウエアラブル端末は、管理された施設内環境と自宅での測定を含む設定において、AHIおよびHBに基づくリスク層別化の双方で中等症以上の睡眠時無呼吸を正確に検出できる可能性がある」と結論している。

2.

アトピー性皮膚炎に、Tregを調節する新規IL-2受容体作動薬が有望/Lancet

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎患者において、rezpegaldesleukinはプラセボと比較して、重症度評価指標のEczema Area and Severity Index(EASI)スコアの変化率を含む複数の臨床評価項目を有意に改善し、良好な有害事象プロファイルをもたらすことが示された。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らREZOLVE-AD Study Investigatorsが「REZOLVE-AD試験」の結果を報告した。rezpegaldesleukinは、制御性T細胞(Treg)を選択的に増殖させ、その機能を強化するインターロイキン-2(IL-2)受容体作動薬であり、アトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患や炎症性疾患に新たな治療アプローチを提供すると考えられている。研究の成果は、Lancet誌2026年8月29日号で報告された。3用量とプラセボを比較する無作為化第IIb相試験 REZOLVE-AD試験は、10ヵ国(北米、欧州、オーストラリア)の107施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較第IIb相試験であり、2023年11月~2025年1月に参加者を登録した(Nektar Therapeuticsの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、登録の少なくとも12ヵ月前に診断が確定した慢性アトピー性皮膚炎(米国皮膚科学会コンセンサス基準)で、EASIスコア(0~72点、高点数ほど病変の重症度が高く、より広範)が16.0点以上、validated Investigator Global Assessment for Atopic Dermatitis(vIGA-AD)スコア(0~4点、高点数ほど病変の全体的な外観が重度)が3点(中等度)以上であり、病変の体表面積(BSA)が全身の10%以上に及ぶ患者であった。 被験者393例(平均年齢37.1歳[SD 14.4]、女性203例[52%])を、rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群(104例)、18μg/kg(2週ごと)投与群(106例)、24μg/kg(4週ごと)投与群(110例)、プラセボ群(73例)に無作為に割り付けた。 本論では、導入期間(16週間)の結果が報告された。主要評価項目は、ベースラインから16週までのEASIスコアの平均変化率であった。24μg/kg(2週ごと)投与群で、副次評価項目がすべて改善 平均発症時年齢は15.9歳(SD 19.2)、平均罹患期間は21.5年(SD 14.9)であった。ベースラインのvIGA-ADスコアは3点が68%、平均総EASIスコアは26.0(SD 9.77)点、関連病変のBSAが全身に占める平均割合は40%(SD 20.00)であった。 ベースラインから16週までのEASIスコアの平均変化率は、rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群が-61%(SE 3.8)、18μg/kg(2週ごと)投与群が-58%(SE 3.8)、24μg/kg(4週ごと)投与群が-53%(SE 3.7)、プラセボ群は-31%(SE 4.5)であった。 16週時における平均EASIスコア変化率のプラセボ群との差は、rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群で-30%ポイント(95%信頼区間[CI]:-41.3~-18.0、p<0.0001)、18μg/kg(2週ごと)投与群で-27%ポイント(95%CI:-38.5~-15.7、p<0.0001)、24μg/kg(4週ごと)投与群で-22%ポイント(95%CI:-33.3~-10.3、p=0.0002)であり、いずれも有意に優れた。 rezpegaldesleukin 24μg/kg(2週ごと)投与群では、6項目の副次評価項目がすべて、プラセボ群に比べ有意に改善した。EASI-50達成率のプラセボ群との差は32%(p<0.0001)、EASI-75達成率の差は26%(p=0.0008)、EASI-90達成率の差は16%(p=0.011)、vIGA-AD奏効(0~1点の達成かつベースラインから2点以上の低下)の差は12%(p=0.047)、Numerical Rating Scale(NRS)奏効(ベースラインでスコアが4点以上の患者における4点以上の低下)の差は27%(p=0.0011)、BSAのベースラインからの変化率の差は-37%(p<0.0001)であった。70%で注射部位反応 投与期間中に発生した有害事象で、rezpegaldesleukin投与群(320例)の少なくとも5%に認め、かつプラセボ群(73例)よりも発生率が高かったイベントとして、注射部位反応(223例[70%]vs.3例[4%])、好酸球増多(25例[8%]vs.2例[3%])、発熱(20例[6%]vs.2例[3%])、頭痛(20例[6%]vs.3例[4%])、上気道感染症(19例[6%]vs.4例[5%])、関節痛(16例[5%]vs.1例[1%])を認めた。 注射部位反応のほぼすべて(>99%)は、重症度が軽度~中等度であり、最終的に消退した。重篤または重度の有害事象のリスク増加を示す証拠はなく、導入期間中に死亡例の報告はなかった。 著者は、「これらの知見は、Treg増強に基づく新たな生物学的製剤のさらなる開発を支持するものである」としている。また、「重要な点として、本研究はTregの調節が臨床的な有益性をもたらすことを示した初めての大規模臨床試験であり、アトピー性皮膚炎の治療パラダイムにおける主要な標的としてのTregの臨床的可能性を明らかにしたことが挙げられる」と指摘している。

3.

新規睡眠薬登場後、日本におけるBZD減量成功率は?

 不眠症に対するベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD)の長期使用は、依存や認知機能低下などの有害事象と関連している。デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)やメラトニン受容体作動薬(MRA)などの新しい作用機序を持つ新規睡眠薬は、BZDよりも安全であるものの、BZDからの切り替えは簡単ではない。京都府立医科大学の綾仁 信貴氏らは、BZDの使用期間に着目し、新規睡眠薬の導入がBZDの減薬にどのような影響を与えるかを明らかにするため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Sleep Medicine誌オンライン版2026年7月17日号の報告。 対象は、2021年5月~2022年4月、日本の2つの医療機関において新規睡眠薬による治療を開始したBZD使用中の外来不眠症患者。主要評価項目は、1年間のフォローアップ期間終了時におけるBZDの減薬(1剤以上の減量)の成功率とした。BZDの使用期間と減薬成功との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・全体として3,802例に対して5,114剤の睡眠薬(うち新規睡眠薬は38%)が処方されていた。そのうち190例がBZD使用中に新規睡眠薬の投与を開始していた。・フォローアップ期間終了時、46%の患者においてBZDの減薬が達成された。・BZDの減薬成功率は、それまでのBZDの使用期間が1年未満の患者のほうが1年以上の患者よりも有意に高かった(69%vs.36%、p<0.0001)。・共変量で調整した後、定期的でないBZDの使用を基準とした場合の減薬成功のオッズ比は、BZDの使用期間が1~5年の場合で0.21(95%信頼区間:0.08~0.56)、5年以上の場合で0.16(同:0.06~0.43)であった。 著者らは「新規睡眠薬の導入が、BZDの減薬に有効である可能性が示唆された。しかし、それまでのBZDの使用期間が長くなるにつれて成功率は著しく低下することが明らかとなった。将来的なBZDの中止を可能にするためには、長期使用を避け、より安全な新規睡眠薬の使用を優先することが適切なアプローチであると考えられる」と結論付けている。

4.

HIV-1感染者、1日1回の標準治療から週1回配合剤への切り替えは?/Lancet

 ウイルス学的抑制を維持しているHIV-1感染者において、週1回投与の配合錠イスラトラビル/レナカパビル(ISL/LEN)は1日1回経口投与の標準治療に対して、有効性に関して非劣性であり、忍容性はおおむね良好であることが示された。米国・Cambridge Health AllianceのAmy E. Colson氏らISLEND-2 Study Teamが、日本を含む14ヵ国100施設で実施した第III相の非盲検無作為化実薬対照非劣性試験「ISLEND-2試験」の48週時点の主要解析の結果を報告した。著者は、「本試験の結果と、ISLEND-1試験(1日1回投与の配合錠ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド[B/F/TAF]と比較)の結果(ジャーナル四天王「HIV-1感染者への週1回配合剤、1日1回薬に非劣性/NEJM」2026年8月6日公開)を併せたデータは、ISL/LENがHIV-1感染者への初となる週1回経口治療薬となりうることを示唆するものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2026年8月12日号掲載の報告。ISL/LEN切り替え群vs.標準治療継続群を比較 ISLEND-2試験では、ウイルス学的抑制を維持しているHIV-1感染者を対象に、週1回投与の配合錠ISL/LENへの切り替えの有効性と安全性を、1日1回経口投与の標準治療の継続と比較し評価した。 対象は、1日1回経口投与の標準治療で6ヵ月以上ウイルス学的抑制を維持しており、かつウイルス学的失敗歴のない18歳以上の成人HIV-1感染者を適格とした。 被験者は、双方向応答システムを用いて、地理的地域、抗レトロウイルス薬のクラス、CD4陽性T細胞数で層別化したうえで、週1回投与の配合錠ISL(2mg)/LEN(300mg)への切り替え群、または1日1回経口投与の標準治療を継続する群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、両群とも少なくとも96週間投与を受ける計画とされた。また、被験者は96週後に延長フェーズに組み入れられ、ISL/LENの処方を受ける選択肢が与えられた。 主要評価項目は、48週時点のHIV-1 RNA量50コピー/mL以上の被験者割合とした。判定には米国食品医薬品局(FDA)が定義するスナップショットアルゴリズムが用いられ、非劣性マージンは4%ポイントに設定した。無作為化後、割り付け治療薬を少なくとも1回投与された全被験者を対象に評価した。主要評価項目は、ISL/LENが標準治療に対し非劣性 2024年10月8日~2025年4月30日に、727例がスクリーニングされ、647例が適格と判定され、634例が無作為化された。そのうち626例が治療を受けた(ISL/LEN群314例、標準治療群312例)。被験者626例のうち211例(34%)が女性であり、193例(31%)が黒人、119例(19%)がアジア人、123例(20%)がヒスパニックまたはラテン系であった。また、89例(14%)が65歳以上であった。 ベースラインで、552例(88%)が1日1錠の抗レトロウイルス薬を使用しており、478例(76%)のレジメンにはインテグラーゼ鎖転移阻害薬が含まれていた。 48週時点で、HIV-1 RNA量50コピー/mL以上の被験者は、ISL/LEN群1/314例(0.3%)、標準治療群4/312例(1.3%)であり(群間差:-1.0%、95.002%信頼区間:-3.0~1.1)、ISL/LEN群が非劣性基準を満たしたことが示された。 治療関連有害事象(TRAE)の発現は、ISL/LEN群58/314例(18%)、標準治療群1/312例(1%未満)で報告された。 有害事象による試験中止例は、ISL/LEN群2/314例(1%)、標準治療群1/312例(1%未満)であり、Grade3以上の有害事象の発現例は24/314例(8%)と28/312例(9%)、重篤な有害事象の発現例は22/314例(7%)と27/312例(9%)であった。 死亡は3例(ISL/LEN群1例、標準治療群2例)報告されたが、いずれも治療との関連はないと判断された。 なお著者は、「より長期的な安全性のデータは、本報告で示された48週時点のデータ以上に、さらなる有益な知見をもたらすものと思われる」としている。

5.

閉塞性睡眠時無呼吸へのCPAP、不眠症併存例でより血圧低下

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と不眠症の併存(comorbid insomnia and obstructive sleep apnea:COMISA)は血圧コントロール悪化と関連している。今回、中国・Capital Medical UniversityのShuang Li氏らは、4週間の持続陽圧呼吸療法(CPAP)による降圧効果をCOMISA患者とOSA単独患者で比較したところ、COMISA患者で収縮期血圧が有意に低下したことがわかった。Chest誌オンライン版2026年7月31日号に掲載。 本研究は前向きコホート研究で、OSAおよび高血圧を有する成人71例を対象に、4週間のオートCPAPを実施した。DSM-5基準に基づき、COMISA群(22例)とOSA単独群(49例)に層別化した。主要評価項目は、臨床的に意義のある24時間収縮期血圧の低下(5mmHg以上の低下)、副次評価項目は、24時間・日中・夜間の収縮期および拡張期血圧の絶対的変化などであった。 主な結果は以下のとおり。・4週間のCPAP後、COMISA群はOSA単独群と比較して、24時間収縮期血圧が有意に低下した(-6.0±8.2mmHg vs.-0.3±6.5mmHg、p=0.002)。この効果は、日中および夜間収縮期血圧においても一貫して認められた。・不眠症状は主要評価項目と独立して関連していた(調整オッズ比:5.62、95%信頼区間:1.50~21.15)。・24時間・日中・夜間の収縮期血圧の低下との関連は、ボンフェローニ補正(α=0.017)後に有意ではなくなった。 本結果から、著者らは「COMISAは、CPAPに対する収縮期血圧低下反応の増強、とくに臨床的に意義のある24時間収縮期血圧の低下を達成する臨床的フェノタイプを示す。不眠症はこの効果と関連する独立した因子であり、両方の睡眠障害に対処することが心血管アウトカムを最適化できる可能性を示唆している。COMISAにおけるCPAPのアドヒアランスを向上させるための戦略はきわめて重要である」としている。

6.

HIV-1感染者への週1回配合剤、1日1回薬に非劣性/NEJM

 ウイルス学的抑制を維持しているHIV-1感染者において、週1回投与の配合錠イスラトラビル/レナカパビル(ISL/LEN)は1日1回投与の配合錠ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド(B/F/TAF)に対して、HIVウイルス量の抑制維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・ボン大学病院のJurgen K. Rockstroh氏らISLEND-1 Study Teamが日本を含む12ヵ国106施設で実施した第III相の二重盲検無作為化実薬対照非劣性試験「ISLEND-1試験」の結果を報告した。1日1回投与の配合錠はHIV-1感染者の治療を一変させたが、服薬アドヒアランスに関する課題が効果を限定的なものとしていることから、研究グループは長期作用型経口薬との組み合わせが投与頻度を抑えた新たな治療選択肢となりうるかを検証した。NEJM誌オンライン版2026年7月29日号掲載の報告。B/F/TAFからISL/LENへの切り替えの有効性および安全性を評価 ISLEND-1試験は、B/F/TAFの投与により少なくとも6ヵ月間ウイルス学的抑制(血漿HIV-1 RNA量50コピー/mL未満)を維持している18歳以上の成人HIV-1感染者を対象とし、1日1回投与のB/F/TAFから週1回投与のISL/LENへの切り替えの有効性および安全性を評価した。 被験者は、週1回投与のISL/LEN(2mg/300mg)群または1日1回のB/F/TAFを継続投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、96週間投与を受ける計画とされた。全被験者が適合プラセボの投与を受け、盲検化が維持された。 主要評価項目は、48週時点のHIV-1 RNA量50コピー/mL以上の被験者割合で、判定には米国食品医薬品局(FDA)が定義するスナップショットアルゴリズムが用いられ、非劣性マージンはFDAガイドラインに基づき4%ポイントと設定された。48週時点でHIV-1 RNA量50コピー/mL以上、切り替え群は0例 総計607例が無作為化され、主要解析に含まれた(304例がISL/LEN群、303例がB/F/TAF群)。被験者のうち21%が女性で、人種構成は31%が黒人、26%がヒスパニック/ラテン系であり、65歳以上の高齢者が15%であった。 48週時点でHIV-1 RNA量50コピー/mL以上の被験者は、ISL/LEN群では報告例がなく、B/F/TAF群では1例(0.3%)であった(群間差:-0.3%ポイント、95.002%信頼区間[CI]:-1.4~0.8)。また、HIV-1 RNA量50コピー/mL未満であった被験者は、それぞれ284例(93.4%)と280例(92.4%)であった(群間差:1.0%ポイント、95%CI:-3.2~5.2)。 48週時点におけるCD4+T細胞数のベースラインからの平均変化量は、ISL/LEN群-10個/μL、B/F/TAF群-18個/μLであった(最小二乗平均群間差:12個/μL、95%CI:-16~39)。 試験治療の中止に至った有害事象は、ISL/LEN群6例(2.0%)、B/F/TAF群5例(1.7%)で発現した。Grade3以上の重篤な有害事象の発現はそれぞれ16例(5.3%)および14例(4.6%)で報告された。

7.

診療科別2026年上半期注目論文5選(消化器内科編~消化管領域)

Darvadstrocel in Patients With Crohn’s Disease With Complex Perianal Fistulas: The ADMIRE CD II Phase 3 Randomized TrialColombel JF, et al. Gastroenterology. 2026;170:1562-1570.<ADMIRE CD II試験>:複雑痔瘻を有するクローン病患者に対するdarvadstrocel、24週時の痔瘻寛解率を低下させずランダム化盲検、プラセボ対照試験。本試験では、欧州の複雑痔瘻を有するクローン病患者において、24週痔瘻寛解率がdarvadstrocel群(同種脂肪組織由来間葉系幹細胞の局所投与)48.8%(138/283例)、プラセボ群46.3%(132/285例人)であり、有意な改善は認められませんでした(群間差:2.4%、95%信頼区間[CI]:-5.8~10.6、p=0.571)。クローン病複雑痔瘻に対する幹細胞治療の位置付けを再考させる重要な知見です。Zanidatamab with and without Tislelizumab in HER2-Positive Gastroesophageal CancerShitara K, et al. N Engl J Med. 2026;394:2002-2014.<HERIZON-GEA-01試験>:未治療のHER2陽性進行胃・食道胃接合部・食道腺がんへのzanidatamab併用、PFS延長ランダム化非盲検、実薬対照試験。本試験は、全世界のHER2陽性切除不能局所進行・再発・転移を有する胃・食道胃接合部・食道腺がん患者を対象に実施され、初回治療において、無増悪生存期間(PFS)中央値がzanidatamab併用群(zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群[カペシタビン+オキサリプラチンまたはフルオロウラシル+シスプラチン]、zanidatamab+化学療法群)でともに12.4ヵ月、zanidatamab非併用群(トラスツズマブ+化学療法)8.1ヵ月でした(zanidatamab非併用群に対するハザード比[95%CI]:0.63[0.51~0.78]、0.65[0.52~0.81])。既存HER2抗体薬とは独立したHER2抗体薬の有効性を示した点で、臨床的意義が大きい結果です。Effect of a Computer-Aided Device for Detecting Gastric Neoplasms: A Multicenter, Randomized Controlled TrialDong Z, et al. Gastroenterology. 2026;170:1518-1532.<上部消化管内視鏡におけるAI支援システム>:胃腫瘍検出率の有意な改善は認められず多施設ランダム化比較試験。本試験では、中国の上部消化管内視鏡を受ける患者において、胃腫瘍検出率がAI支援内視鏡群1.42%(600/1万4,767例)、AI支援システム非使用群1.25%(185/1万4,747例)であり、有意差は認められませんでした(リスク比:1.13、95%CI:0.92~1.38、p=0.25)。上部消化管内視鏡AIの胃腫瘍検出支援としての位置付けを再考させる知見です。Vonoprazan-Tetracycline Dual Regimen as Rescue Therapy for Helicobacter pylori Infection: Randomized Controlled TrialGao W, et al. Gastroenterology. 2026;170:1473-1483.<pylori除菌不成功患者へのボノプラザン+テトラサイクリン>:ビスマス4剤治療群と比較して除菌率は非劣性非盲検ランダム化非劣性試験。中国のHelicobacter pylori除菌不成功患者において、除菌率が、ボノプラザン+テトラサイクリン治療群(14日間)90.6%(154/170例)、ビスマス4剤治療群(ランソプラゾール、ビスマス、テトラサイクリン、メトロニダゾール、14日間)89.3%(151/169例)でした(群間差1.2%、95%CI:-5.7~8.2、非劣性p=0.0003)。2次以降の除菌治療において、欧米の主要な除菌治療法であるビスマス4剤治療群に対する、ボノプラザンをベースとした除菌治療の非劣性が示された重要な試験です。Long-term effects of colonoscopy screening on colorectal cancer incidence and mortality: a multicountry, population-based randomised controlled trialKaminski MF, et al. Lancet. 2026;407:1787-1795.<NordICC試験>:55~64歳の一般住民に対する1回の大腸内視鏡、大腸がん死亡率の有意な減少効果を認めず多国間人口ベースランダム化比較試験。13年追跡時点で大腸がん死亡率が大腸内視鏡検査スクリーニング群0.41%(106/2万8,217人)、非スクリーニング群0.47%(236/5万6,366人)であり、死亡率の有意な減少は認められませんでした(群間差:-0.06、95%CI:-0.16~0.04)。一般集団検診における大腸内視鏡検査の有用性を再考させる重要な知見です。

8.

診療科別2026年上半期注目論文5選(糖尿病・代謝・内分泌内科編)

Orforglipron for maintenance of body weight reduction: the double-blind, randomized phase 3b ATTAIN-MAINTAIN trialArrone LJ, et al. Nat Med. 2026 May 13. [Epub ahead of print]<ATTAIN-MAINTAIN>:orforglipronは、チルゼパチド・セマグルチドによる減量維持に有用SURMOUNT-5研究(糖尿病のない肥満症者対象)でチルゼパチド・セマグルチドにより5%以上減量した人を対象に、注射薬から経口GLP-1受容体作動薬orforglipronへ切り替えたところ、52週後の減量維持率はプラセボ群より有意に高く、体重リバウンド予防への有用性が示されました。一方で消化器系副作用の多さが今後の課題です。Tirzepatide for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and ObesityMalhotra A, et al. N Engl J Med 2024;391:1193-205.<SURMOUNT-OSA>:チルゼパチドは閉塞性睡眠時無呼吸を改善する肥満(BMI≧27)を伴う中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸患者において、52週間のチルゼパチド投与により体重が最大約20%減少しAHIが最大約29回/時間減少しました。2026年5月にチルゼパチドが本邦でも閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療薬としても承認されました。本論文は2024年発行ですが、保険適用に伴い改めて取り上げました。処方条件については最適使用推進ガイドラインを確認しましょう。Finerenone in Type 1 Diabetes and Chronic Kidney DiseaseHeerspink HJL, et al. N Engl J Med 2026;394:947-57.<FINE-ONE>:フィネレノンは1型糖尿病の腎症進展抑制に有用1型糖尿病で微量~顕性アルブミン尿期の腎症を合併している患者において、フィネレノンは6ヵ月間で尿中アルブミン/クレアチニン比を顕著に減少させました。ただし、短期間の介入であること、代用エンドポイントを指標としていることから長期的な臨床効果や安全性(とくに高カリウム血症のリスク)の評価は今後の課題です。Intensive LDL Cholesterol Targeting in Atherosclerotic Cardiovascular DiseaseLee YJ, et al. N Engl J Med 2026;394:1365-75.<Ez-PAVE>:心血管疾患合併者では、LDL-Cの超厳格管理により心血管リスクが低減する心血管疾患を有する韓国人では、LDL-Cの目標値を55mg/dL未満に設定すると、70mg/dL未満を目標とした場合よりもイベントリスクがさらに低下しました。ただし、非盲検試験であるため効果が過大評価されている可能性がある点と、低リスク者における有効性は未確立である点に注意が必要です。Histological efficacy of anti-diabetic agents in MASH and the mediating role of weight loss: A network meta-analysisBanerjee M, et al. Diabetes Obes Metab. 2026;28:287-295.<ネットワークメタアナリシス>:SGLT2阻害薬とインクレチン関連薬はMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)を改善するSGLT2阻害薬およびインクレチン関連薬は生検で確定診断されたMASHにおいて線維化を改善することが示されました。その効果には体重減少が大きく寄与していることが示唆されましたが、それ以外の直接的な作用の可能性も想定されています。2026年6月にセマグルチドが日本初のMASH治療薬として承認されました。処方条件については最適使用推進ガイドラインを確認しましょう。

9.

日中の過度の眠気と入眠潜時延長、高血圧リスクの警告サインか

 日中に過度の眠気(excessive daytime sleepiness;EDS)を感じることは、高血圧の警告サインである可能性があり、特に入眠に時間を要する場合はその可能性が高まる――そんな研究結果が、米ペンシルベニア州立大学医学部の研究グループにより報告された。EDSを有する成人は、高血圧を有しているか、将来的に高血圧を発症するリスクが高いことが示されたという。この研究は、米国睡眠医学会(AASM)および睡眠研究学会(Sleep Research Society)が共同で設立した米国睡眠関連学会連合(APSS)の年次総会(SLEEP 2026、7月14〜17日、米ボルチモア)で発表予定であり、要旨が「Sleep」5月増刊号1に掲載された。 研究グループの一員であるペンシルベニア州立大学医学部睡眠研究治療センターのAlexandros Vgontzas氏は、「EDSがあり、さらに入眠潜時の延長が認められる成人は、心血管リスクが有意に高い明確なサブグループである可能性が示された。EDSのみ、あるいは入眠潜時の延長のみでは、両方を有する群で見られたような高血圧リスクの増加は認められなかった」と述べている。 研究の背景情報によると、EDSは有害な心血管アウトカムと関連することが報告されている。この研究では、EDSと高血圧との関連が、客観的に評価した睡眠障害の有無によって変わるのかが検討された。対象者である成人1,741人のベースライン時の高血圧有病率を算出し、またベースライン時に高血圧のなかった786人を平均7.5年間追跡して、高血圧の発症率を調査した。全ての対象者に8時間の睡眠ポリグラフ(PSG)検査を実施し、入眠潜時の延長(30分以上)を睡眠障害や過覚醒の指標として用いた。 その結果、EDSを有する対象者は、EDSも入眠潜時の延長も認めない対照群と比べて、すでに高血圧を有するオッズが有意に高く(オッズ比1.52、95%信頼区間1.01~2.27、P=0.044)、また、将来的に高血圧を発症するオッズも有意に高かった(同1.74、1.05~2.87、P=0.030)。さらに、EDSと入眠潜時の延長の両方を有する群では、対照群と比べて、高血圧を有するオッズは約2倍(同2.34、1.18~4.63、P=0.015)、将来的に高血圧を発症するオッズは約3倍であった(同3.43、1.58~7.41、P=0.002)。 研究グループは、「これらの知見は、日中の強い眠気を訴える患者を評価する際には、睡眠時無呼吸だけに注目するのではなく、より幅広い視点で診察すべきことを示唆している」と述べている。

10.

閉塞性睡眠時無呼吸症候群、女性は男性より症状負担が大きい

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の女性では、OSAの重症度の指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)は男性よりも低いものの、頭痛、悪夢、夜間頻尿などの症状負担は男性よりも大きい傾向があることが、新たな研究で示された。米ピッツバーグ大学の睡眠医学研究者であるStuti Vaidya氏らによるこの研究は、米国睡眠関連学会連合(APSS)の年次総会(SLEEP 2026、7月14〜17日、米ボルチモア)で発表予定であり、要旨は「Sleep」5月増刊号1に掲載された。APSSは、米国睡眠医学会(AASM)および睡眠研究学会(Sleep Research Society)が共同で設立した組織である。 この研究では、中等度から重度のOSAと診断され、CPAP(持続陽圧呼吸療法)を開始した407人を対象に、症状負担の男女差を比較した。対象者は女性38%、男性62%で、平均年齢は女性50±14歳、男性48±15歳であった。視覚アナログ尺度(VAS)でいびき、睡眠中の喘ぎ、鼻閉(鼻づまり)、夜間頻尿、頭痛、悪夢、胃酸逆流を評価し、また、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)で睡眠障害、睡眠関連の機能障害、認知機能、抑うつ、不安、怒り、疲労感、社会的役割に対する満足度を評価した。 OSAの重症度評価に用いられるAHIは、女性で平均25、男性で平均35であり、女性の方が統計学的に有意に低かった(P<0.001)。それにもかかわらず、女性では、夜間頻尿(5.6点対4.9点)、頭痛(4.3点対3.0点)、悪夢(2.6点対1.9点)のVASスコアが男性よりも有意に高かった。また、PROMISによる評価では、睡眠障害(58.7点対56.6点)、睡眠関連の機能障害(62.0点対59.3点)、不安(54.9点対52.4点)、怒り(54.6点対51.4点)、疲労感(61.3点対56.5点)、認知機能(40.8点対37.2点)、社会的役割に対する満足度(40.8点対44.0点)のスコアにも有意差が認められた。一方、いびき、睡眠中の喘ぎ、鼻閉、胃酸逆流、抑うつについては、有意な男女差は認められなかった。 Vaidya氏は、広範囲にわたる非典型的な症状において、女性は一貫してより大きな症状負担を報告していたことを指摘した上で、「今回の結果は、臨床現場で使われているOSAの診断・治療アルゴリズムが依然として典型的な症状に焦点を当てており、女性が経験し得る他の多様な症状を十分に考慮していない可能性を示唆している」とニュースリリースで述べている。 Vaidya氏はまた、「今回の結果は、女性が男性と同程度の典型的なOSA症状を示すようになるまでOSAの診断や治療が行われない可能性を示しており、それが診断の遅れにつながっている可能性がある」と説明している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

11.

テゼペルマブで重症喘息患者のステロイド減量が可能に

 最近承認された喘息治療薬テゼペルマブ(商品名テゼスパイア)により、喘息コントロールを維持しながら経口ステロイドの使用量を減らせる可能性が、臨床試験で示された。テゼペルマブ群では、喘息コントロールを維持しつつ日常的なステロイド使用量をより大きく減らせるオッズがプラセボ群の約3倍であったという。米National Jewish HealthにあるCohen Family Asthma Institute所長であるMichael Wechsler氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Respiratory Medicine」6月号に掲載された。Wechsler氏は、「長期的な経口コルチコステロイドの使用は、糖尿病、骨粗鬆症、心血管疾患などの健康被害をもたらす可能性があり、生活の質(QOL)にも重大な影響を与え得る」と述べている。 米食品医薬品局(FDA)は2021年に、重症喘息の維持療法としてテゼペルマブを承認した。喘息患者は本剤を月1回自己注射する。テゼペルマブは、炎症誘発性サイトカインの一種である胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を阻害することにより喘息発作を抑制する。 今回の第3相臨床試験は、12カ国、63施設で、18〜80歳の重症喘息患者122人を対象に実施された。対象者は、テゼペルマブ210mgを4週間ごとに28週間投与する群(83人)とプラセボを投与する群(39人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、喘息コントロールを維持したまま、28週時点における経口ステロイド使用量のベースラインからの変化量であった。 最終的に、90人(74%)が治療を完了した。その結果、28週時点で、テゼペルマブ群では69%の患者がステロイドの使用量を半分以上減量できたのに対し、プラセボ群では44%にとどまっていた。また、ステロイドを90〜100%減量できたのは、テゼペルマブ群では36%(30人)、プラセボ群では21%(8人)であった。さらに解析の結果、喘息コントロールを維持しながら経口ステロイド使用量をより大きく減量できるオッズは、テゼペルマブ群でプラセボ群の約3倍(オッズ比2.93)であることが示された。 Wechsler氏は、「これらの知見は、テゼペルマブで治療された重症喘息患者が、喘息コントロールを維持しながら経口ステロイドへの依存を大幅に減らせる可能性を示す点で重要である」とニュースリリースで述べている。 ただし、本試験は登録の遅れにより予定していた参加者数(207例)に達せず、早期終了したと研究グループは説明している。その上で、「しかしながら、本試験は高い質で実施されており、ランダムに割り付けられた参加者のほぼ4分の3が試験を完了している。早期終了は、参加者の試験未完了の最も一般的な理由であった」と論文の中で述べている。 なお、本試験の資金は、テゼペルマブの開発・販売元であるアストラゼネカ社およびアムジェン社が提供した。

12.

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」【最新!DI情報】第65回

麻しん・おたふくかぜ・風しんの3種混合生ワクチン「ミムリット皮下注用」今回は、「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(商品名:ミムリット皮下注用、製造販売元:第一三共)」を紹介します。乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンに、おたふくかぜワクチンを混合することで、接種回数が減少して非接種者の負担軽減につながることが期待されています。<効能・効果>麻しん、おたふくかぜおよび風しんの予防の適応で、2026年5月11日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射します。生後12月以上の者であれば性、年齢に関係なく接種できます。接種年齢は、学会などの最新の情報を考慮して総合的に判断します。<安全性>重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、免疫性血小板減少症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん(熱性けいれんを含む)、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、急性膵炎(いずれも頻度不明)があります。その他の副反応として、発熱(33.6%)、注射部位の紅斑(22.5%)、腫脹、疼痛(いずれも注射部位、5%以上)、内出血、硬結(いずれも注射部位)、嘔吐、湿疹、発疹、上咽頭炎(いずれも0.5~5%未満)、注射部位のそう痒感、下痢、鼻漏、上気道の炎症、紅斑、丘疹、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹(いずれも0.5%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.このワクチンは、麻しん、おたふくかぜ、風しんの混合ワクチンです。麻しんウイルスとムンプスウイルス、風しんウイルスを弱毒化した生ワクチンで、接種後に体の中でワクチンウイルスが増え、それぞれの抗体ができます。 2.生後12月以上の者であれば性別、年齢に関係なく接種できます。 3.ワクチン接種に伴う副反応として、接種部位が接種直後から数日中に赤くなる、硬くなる、腫れることがありますが、通常、一過性で消失します。 4.妊婦は接種できません。 5.妊娠可能な女性は、あらかじめ約1ヵ月間避妊した後に接種します。また、ワクチン接種後約2ヵ月間は妊娠しないように注意してください。 <ここがポイント!>麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で、「はしか」とも呼ばれています。感染後、10〜12日の潜伏期間を経て、38℃前後の発熱、発疹、咳、鼻汁などの症状が現れます。重症化した場合には、肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、「おたふくかぜ」とも呼ばれています。感染後、2〜3週間の潜伏期間を経て、片側または両側の耳下腺部に炎症や疼痛が生じ、発熱、頭痛、倦怠感などの症状が現れます。通常は1~2週間で軽快しますが、合併症として無菌性髄膜炎、精巣炎、卵巣炎、膵炎、難聴などを引き起こすことがあります。とくに難聴は高度となることが多く、発症すると不可逆的な聴覚障害が残ることがあります。従来はまれな合併症とされていましたが、近年では0.1〜0.25%程度の発症率という報告があります。風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。感染後、2~3週間の潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風しんに対する免疫力が不十分な妊婦が感染すると、出生児に心疾患、白内障、感音性難聴、精神運動発達遅延などの先天性異常が認められることがあります。妊娠中は弱毒生ワクチンを接種できないため、抗体を持たない、あるいは抗体価の低い妊婦は、風しん流行時における感染に十分注意することが重要です。ミムリットは、麻しん/おたふくかぜ/風しん(measles/mumps/rubella:MMR)ワクチンであり、麻しん、おたふくかぜおよび風しんの各原因ウイルスを弱毒化した生ウイルスを含む3種混合ワクチンです。本邦では、1989年から4年間にわたってMMRワクチンが小児の予防接種に使用されていましたが、当時のおたふくかぜワクチンの副反応として発熱、嘔吐、けいれんなどを伴う無菌性髄膜炎が高頻度に発生し、大きな社会問題となりました。そのため、MMRワクチンは使用が中止され、以降は麻しんおよび風しんの予防には単独ワクチンまたはMRワクチンの定期接種が、おたふくかぜの予防には単独ワクチンの任意接種が行われてきました。しかし、その結果、国内のおたふくかぜワクチンの接種率は30〜40%程度にとどまり、数年ごとにおたふくかぜの流行が繰り返されてきました。こうした状況を受け、2013年12月に厚生労働省から一般社団法人日本ワクチン産業協会に対して安全性の高いMMRワクチンの開発要請が出されました(健感発1216第1号)。さらに2018年5月には、予防接種推進専門協議会から「おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望」が厚生労働省健康局(現健康・生活衛生局)に提出されました。このような背景から、MMRワクチンの開発が進められ、弱毒生麻しんウイルス(AIK-C株)、弱毒生風しんウイルス(高橋株)および弱毒生ムンプスウイルス(RIT4385株)を混合した本剤が承認されました。なお、RIT4385株は、無菌性髄膜炎の発現頻度が低いムンプスウイルス株として、海外では小児の定期接種に用いられるMMRワクチンに広く使用されています。 日本人健康小児を対象とした国内第III相臨床試験(VN0102-A-J301試験)において、主要評価項目である治験薬接種42日後の麻しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.8%(95%信頼区間[CI]:98.7~100.0)および対照群100.0%(95%CI:99.1~100.0)で、群間差は−0.2%(95%CI:−1.3~0.7)でした。また、風しんウイルスに対する抗体保有率は、本剤群99.5%(95%CI:98.3~99.9)および対照群99.5%(95%CI:98.3~99.9)で、群間差は0.0%(95%CI:−1.3~1.3)でした。麻しんウイルスおよび風しんウイルスに対する抗体保有率は、群間差の95%CIの下限値(いずれも−1.3%)が非劣性マージンである−10%を上回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性が検証されました。一方、ムンプスウイルス(Genotype D)に対する抗体保有率は、本剤群80.6%(95%CI:76.5~84.4)および対照群88.1%(95%CI:84.6~91.0)で、群間差は−7.5%(95%CI:−12.5~−1.9)でした。群間差の95%CIの下限値(−12.5%)が非劣性マージンである−10%を下回ったことから、本剤の対照薬に対する非劣性は検証されませんでした。しかしながら、本剤のムンプスウイルスに対する抗体保有率は80.6%であり、おたふくかぜの発症予防効果が確認されている海外MMRワクチンの試験成績と比較しても遜色のない結果でした。また、J302試験(低力価および高力価製剤の国内第III相臨床試験)およびJ303試験(ワクチンを1回接種したことが明らかな小児を対象とした国内第III相臨床試験)におけるムンプスウイルスに対する抗体保有率はいずれもおおむね95%以上でした。

13.

気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第8回

気血水~四君子湯・四物湯・五苓散~前回は急性熱性疾患の六病位を解説しました。太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病(けっちんびょう)ですね(図1)。図1 六病位画像を拡大する病気が進行する場合には、このようなフレームワークを使えるのですが、病気の進行があまり目立たない慢性疾患の場合に、どのように漢方薬を選んでいくかという話はまだできていません。そのため、今回は気血水を扱いたいと思います。まずは、それぞれの概念から解説していきます。気血水気(き)というのは物質的な裏付けがありません。要するにエネルギーとお考えください。最近は武術だけじゃなくて、漫画やアニメでも「気」という言葉がたくさんでてきます。あのイメージでまったく問題ありません。血(けつ)というのは赤くて循環している液体を指すため、基本的には血液と考えて構いません。実際には血液だけでなく、血液が運んでくる栄養なども血の概念に含まれているため、あまり「血=血液」と考えすぎないほうがスムーズに理解できる事柄もあります。最後の水(すい)は血液以外の体液を指します。気、血、水は互いに独立した概念とまでは言い切れません。たとえば、気は血と水がうまく循環するのに大切なものです。そのため、気血水のどこかに問題が生じると、ほかの要素にも問題が波及するということはよくあります(図2)。図2 気血水画像を拡大する少し哲学的な雰囲気の話になってしまったところもあって、わかりにくい部分もあったかもしれません。そこで、実際の症候で解説しようと思います。気逆、気鬱、気虚まず、気の問題には気逆(きぎゃく)、気鬱(きうつ)、気虚(ききょ)があります(図3)図3 気逆、気鬱、気虚画像を拡大する気逆は、エネルギーが体の下から上に突き上げる現象で、たとえば、吐き気、のぼせがこれに該当します。感冒初期に頭痛がするのも気逆の一種で、葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)に含まれる桂皮(けいひ)がこれを治してくれます。げっぷ、しゃっくりも気逆の一種ですね。気鬱は、体のどこかでエネルギーが痞(つか)えることです。たとえば、胸が痞える感じ。女性のヒステリー球などとよく言いますが、恋の病もこれに該当します。あとは、便秘も「お通じが悪い」って言いますよね。エネルギーの通りが悪いのです。こういったものが気鬱です。最後に気虚。これは簡単で、エネルギー不足のことです。もっとも、この気虚、つまりエネルギー不足はさらに大きく2つに分けることができて、先天的な気の不足と後天的な気の不足に分けられます。RPGでも格闘ゲームでもなんでもいいのですが、体力ゲージ、HPゲージをイメージしてください。最大HPに相当するのが先天的な気で、現在のHPに相当するのが後天的な気です。そうすると、「おにぎり」のような体力回復アイテムで回復できるのは、後天的な気の方になります。先天的な気は、生まれながらにして持っているエネルギーですが、これは腎に宿っていると漢方では考えていて、加齢とともに衰えていきます。この衰えをゆっくりにする漢方薬としては、腎気丸(じんきがん)こと八味地黄丸(はちみじおうがん)というものがあります。一方で、後天的な気というのは、食事と呼吸を通じて日常的に補給していくもので、お腹の調子を整えることが大事になってきます。そのため、後天的な気を補って気虚を治す漢方薬には、腸管に優しい生薬が含まれているんですね。人参(にんじん)はその代表格です(図4)。図4 気虚に対する漢方薬画像を拡大するお血、血虚次に血の異常をみていきます。血の循環が滞っている状態をお血(おけつ)といいます。たとえば、動脈硬化症、血栓症、あとは多血症がこれに該当します。皮下出血もそうです。あと、「血=血液」で捉えるとわかりにくいのですが、肉ばかり食べている方は、顔のお肌がガサガサに荒れてシミや吹き出物が出てきたり、赤ら顔になったりするのです。これもお血に含みます。血が足りていない状態を血虚(けっきょ)といいます。単純に貧血と考えていただいて大丈夫ですが、貧血になると目が霞んできたり、鉄欠乏であれば爪が割れてきたりと、いろいろな症状が出てきます(図5)。また、顔が青白い。こういった症状に対しては、造血機能を高めたり、出血していればそれを止めたりするために、漢方薬が用いられるわけです。たとえば、桂枝湯の回で触れた当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)は血虚に対して使えます。図5 お血、血虚画像を拡大する水毒次は水の異常です。簡単に思い浮かぶのは浮腫ですね。もちろん、浮腫も水毒のひとつです。あとは、雨が降ると頭痛がしたり、めまいがしたりする方がいますよね。あれも水毒です。気象関連片頭痛とか、メニエール病の内リンパ水腫をイメージするとわかりやすいかもしれません。花粉症の時に鼻水が出るのも水毒で、関節液が貯留するのも水毒です。胃に水がたまってポチャポチャするのも水毒です(図6)。要は水が絡んでいて、その水が赤くない。つまり血でないのなら、水毒と考えておおむね差し支えありません。そう考えると、結構広い概念ですね。図6 水毒画像を拡大する四君子湯、四物湯、五苓散ここまで、気血水の異常を説明してきました。漢方診察では、目の前の患者が気血水の異常をそれぞれどのくらいの割合で持っているのか、症状や身体所見から考えます。それをもとに、漢方薬を選んでいくという話になってくるわけです。ここで、気血水の異常を治す漢方薬として、絶対に知っておきたい漢方薬を3種類だけ紹介しておきたいと思います。それは四君子湯(しくんしとう)、四物湯(しもつとう)、五苓散(ごれいさん)です。私がナンバーズ3兄弟と呼んでいるものです。四君子湯は気虚、四物湯は血虚、五苓散は水毒を治す漢方薬ですが(図7)、それぞれに含まれている生薬を覚えるだけで、この先に出てくる気血水向きの漢方薬を簡単に理解できるようになります。図7 ナンバーズ3兄弟画像を拡大するまとめ今回の内容をまとめていきます。急性熱性疾患の六病位というフレームワークとは別に、今回は慢性期疾患でも使える気血水を説明しました。気血水の異常には、気逆、気鬱、気虚、お血、血虚、水毒が挙げられます。診察時には、症状や所見からこれらのどれに当てはまるのかを観察してから漢方薬を選びます。本連載はここまでとなります。ここから先は、CareNeTVの「Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬」で、ナンバーズ3兄弟の助けを借りながら、気血水の異常を各論で学んでいきます。ぜひ入会してご覧ください。

14.

全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」【最新!DI情報】第63回

全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」今回は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体「アニフロルマブ(遺伝子組換え)(商品名:サフネロー皮下注120mgオートインジェクター、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。これまでの点滴静注製剤に加えて皮下注製剤が登場したことで、全身性エリテマトーデス患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療が可能になると期待されています。<効能・効果>既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスの適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、1回120mgを1週間ごとに皮下注射します。なお、アニフロルマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤から本剤に切り替える場合、点滴静注の最終投与から約2週間後に本剤の投与を開始します。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシー(頻度不明)、重篤な感染症(2.3%)があります。その他の副作用として、注射部位反応(10%以上)、気管支炎(気管支炎、ウイルス性気管支炎、気管気管支炎)、上気道感染(上気道感染、上咽頭炎、咽頭炎)、帯状疱疹、過敏症(いずれも1~10%未満)、気道感染(気道感染、ウイルス性気道感染、細菌性気道感染)(いずれも1%未満)、関節痛(頻度不明)があります。なお、症状を悪化させる恐れがあるため、重篤な感染症の患者および活動性結核の患者には投与できません。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体製剤であり、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスに用いられる皮下注射薬です。 2.今までに、ステロイド、ヒドロキシクロロキン、免疫抑制薬などによる全身性エリテマトーデスに対する適切な治療を行っても効果不十分な場合に上乗せして使用されます。 3.医療機関において、適切な在宅自己注射教育を受けた患者さんや家族が自己注射できます。自己判断で中止や減量をしないでください。 4.妊娠または妊娠している可能性がある女性は、使用する前に医師または薬剤師に告げてください。 <ここがポイント!>全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、免疫系の異常により全身の多臓器に炎症を引き起こす慢性の自己免疫疾患で、厚生労働省の指定難病49に該当します。初期症状として全身倦怠感や発熱が多くみられ、その後、皮膚・粘膜症状、関節症状、腎病変、中枢神経症状などさまざまな症状が現れるため、患者ごとに症状の組み合わせや重症度が大きく異なります。治療の主軸は副腎皮質ステロイドによる免疫抑制および抗炎症であり、重症例ではステロイドパルス療法が選択されます。しかし、ステロイドは長期使用に伴う多くの副作用があり、ヒドロキシクロロキンや免疫抑制薬、生物学的製剤などを併用し、ステロイドの減量を目指す治療が行われます。SLE患者の多くは、I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達が持続的に亢進し、IFN誘導性遺伝子の過剰発現が認められます。アニフロルマブは、I型IFNα受容体サブユニット1に結合するヒト免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)モノクローナル抗体であり、I型IFN受容体を介したシグナル伝達を遮断することで自己抗体産生を抑制し、SLEの症状緩和および進行抑制に寄与すると考えられています。同成分は2021年11月に点滴静注製剤が発売されていますが、4週間ごとに通院し、30分以上かけて点滴投与を行う必要があります。今回承認された皮下注製剤は、週1回の自己注射薬であり、従来の点滴静注製剤に加わる新たな選択肢として、患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療を可能にします。また、通院負担の軽減や治療継続率の向上も期待されます。なお、アニフロルマブ点滴静注製剤から皮下注製剤に切り替える場合、点滴静注製剤の最終投与から約2週間後に皮下注製剤の投与を開始する必要があります。標準治療を実施中の中等症~重症の疾患活動性を有する自己抗体陽性のSLE患者を対象とした第III相国際共同試験(TULIP SC試験)において、主要評価項目である投与52週時のBICLA達成例(複合的な疾患活動性低下指標)の割合は、本剤120mg皮下投与群で59.4%、プラセボ皮下投与群で43.9%、割合の群間差は15.5%(96.46%信頼区間:1.4~29.6%)であり、プラセボ投与群に対する本剤投与群の優越性が検証されました(p=0.0211、層別Cochran Mantel Haenszel法)。

15.

ヨーグルトや低脂肪チーズ、高齢期のうつ病や認知症予防に有効?

 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品には、非乳製品とは異なる生理活性成分が含まれているが、高齢期のうつ病や認知症リスクとの関連性については依然として不明であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMuniratul Idrus氏らは、発酵乳製品摂取と高齢期のうつ病および認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2026年3月24日号の報告。 年齢70~90歳で地域在住の高齢者を対象としたコホート研究であるSydney Memory and Ageing Studyのデータを用いて、乳製品摂取と抑うつ症状(15項目の老年期うつ病評価尺度:GDS15)、心理的苦痛(Kessler-10[K10尺度])、うつ病(医師による診断または抗うつ薬の使用)と認知症(DSM-IV基準)との関連性を検討した。ヨーグルト、チーズ、非発酵乳製品の摂取量は、ベースライン時に検証済みの食物摂取頻度調査票を用いて評価した。縦断的関連性は、死亡を考慮したFine-Gray競合リスクモデルを用いて検討した。また、横断的関連性も評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者966例(平均年齢:78.3歳、女性の割合:55.5%)において、ヨーグルトの摂取量が多い群(標準1食分)では、非摂取群と比較し、抑うつ症状スコアが有意に低かった(調整β:第3~4四分位群で-0.37および-0.39、平均:88.5~164g/日)。低脂肪チーズの摂取量が多い群でも同様の結果が得られた(調整β:-0.35、平均:13.2g/日)。・平均3.3年のフォローアップ期間中に、うつ病の新規発症が120例、死亡が68例に発生した。・ヨーグルトの摂取量が多い群と低脂肪チーズの摂取量が多い群では、非摂取群と比較し、うつ病リスクが低かった(各々、調整サブ分布ハザード比:0.41[95%信頼区間[CI]:0.19~0.88]および0.40[95%CI:0.21~0.78])。・心理的苦痛、認知機能、認知症発症(平均フォローアップ期間:5.2年、発症100例、死亡153例)については、有意な関連は認められなかった。・また、チーズや牛乳の定期的な摂取についても関連は認められなかった。 著者らは「発酵乳製品、とくにヨーグルトと低脂肪チーズの摂取は、非発酵乳製品とは異なり、高齢期のメンタルヘルスに潜在的な役割を果たす可能性が示唆された」としている。

16.

睡眠時無呼吸症候群、日ごとの重症度変動も心血管リスクに影響

 睡眠時無呼吸症候群(OSA)は心疾患、高血圧、脳卒中のリスクを高めることが知られているが、その重症度が日ごとに大きく異なることも、リスクに影響する可能性がある。新たな研究で、OSAの重症度の日ごとの変動が大きい人では、小さい人に比べて、非致死的な主要心血管・脳血管イベント(MACCE)のオッズが34%高いことが示された。フリンダース大学(オーストラリア)のBastien Lechat氏らによるこの研究の詳細は、「Sleep」に3月26日掲載された。 OSAでは、睡眠中の呼吸停止とそれに伴う覚醒が一晩中繰り返され、睡眠の質に悪影響を及ぼすことが知られている。Lechat氏は、「多くの人は、OSAの症状は一定していると考えがちであるが、実際は、ある夜は他の夜よりも著しく悪化するなど日ごとに大きく異なる。このような重症度の上下の繰り返しは心臓にさらなる負荷をかける可能性がある」とニュースリリースで述べている。 本研究では、米食品医薬品局(FDA)承認の市販のマットレス下センサーを用いてOSAの重症度を連日測定した3,159人の成人(女性19%、平均年齢49±13歳)のデータが解析された。OSAの重症度は、1時間当たりに起こる無呼吸と低呼吸の回数を示す指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)で評価された。非致死的なMACCE(心筋梗塞、脳卒中、狭心症、うっ血性心不全など)の診断の有無について質問票により確認し、これらとOSAの重症度およびその変動との関連を検討した。 その結果、中等度から重度のOSAを有する人は、OSAのない人と比較して、MACCE発生のオッズが45%高い傾向が認められた(オッズ比1.45、95%信頼区間0.93~2.25)。また、OSAの重症度の変動が大きい人(AHIの75パーセンタイル:8.0回/時)は小さい人(AHIの25パーセンタイル:2.8回/時)と比較して、OSAの重症度や他の交絡因子とは独立して、MACCE発生のオッズが34%高かった(オッズ比1.34、95%信頼区間1.04~1.72)。 研究グループによると、OSAの検査は多くの場合、1晩のみの呼吸測定で行われる。Lechat氏は、「1晩の睡眠検査だけでは一部の患者に誤った安心感を与える可能性がある。平均的には軽症であっても、日ごとの変動が大きい場合にはリスクが高い可能性があるためだ」と指摘している。 研究グループは、OSA患者における心血管リスクの予測が困難である理由の一端は、本結果により一部説明可能であるとの見方を示している。論文の上席著者である同大学のDanny Eckert氏は、「身体は酸素レベルの変動や睡眠の分断の繰り返しに適応することが困難である可能性がある。こうした日ごとの変動は、標準的な検査では捉えられないまま、時間をかけて心臓や血管に徐々に負荷をかける」とニュースリリースで述べている。その上で同氏は、医師が糖尿病や血圧と同様に、OSAについても継時的に評価することを検討すべきだと主張している。 一方、Lechat氏は、OSAには対処法が存在することを強調する。「いびきをかく、あるいは睡眠後も疲労感が残る場合には、医療専門職に相談することで、心血管リスクが見つかる可能性がある。そうしたリスクに対する治療の選択肢は多数存在する」と述べている。

17.

麻疹・風疹の違いは?

麻疹・風疹の違いは?麻疹(はしか)風疹(3日はしか)原因ウイルス 麻疹ウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)風疹ウイルス(Togavirus科Rubivirus属)感染経路空気感染、飛沫感染、接触感染感染力が非常に強い飛沫感染感染力が強い潜伏期間10~12日間14~21日間症状発熱(38℃前後、発疹期は39.5℃以上)、上気道炎症状(せき、鼻みず、のどの痛み)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、まぶしさ)、消化器症状(下痢、腹痛)、発疹、コプリック斑(口腔内の白色の小斑点)など発熱(約半数)、発疹、リンパ節の腫れが3つの特徴的な症状とされる関節炎が出る場合もある(成人の5~30%)麻疹より症状は軽く、無症状が15~30%注意が必要な合併症肺炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎(麻疹の二大死因は肺炎と脳炎)中耳炎、クループ症候群(喉頭炎、喉頭気管支炎など)、心筋炎など先天性風疹症候群(妊娠20週までの妊婦さんが感染すると、生まれた子が発症して、先天異常など、さまざまな症状があらわれる)血小板減少性紫斑病、急性脳炎分類(1人の感染者が12~17人感染させる)(1人の感染者が5~7人感染させる)5類感染症国立感染症研究所. 風疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)国立感染症研究所. 麻疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.麻疹・風疹の発生状況(2026年4月30日現在)麻疹(例)(例)3,0003,0002,5002,5002,0002,0001,5001,5001,000風疹2,9412,2981,000744※5000165 18627910 66 28 45265436500126 910年101※12 15 12 9 11 1年※:第17週(2026年4月30日現在)の速報値国立感染症研究所. 感染症発生動向調査(IDWR):2026年4月30日現在(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/index.html)(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/rubella/graph/index.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.

18.

免疫介在性炎症性疾患患者のがんリスク、要因は炎症か

 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、乾癬などの免疫介在性炎症性疾患(IMID)患者はがんリスクが高いことが知られているが、リスクが高いのはIMID診断後1年間であり、抗炎症薬による治療を開始するとそのリスクは経時的に低下する可能性が、新たな研究で示された。ガッルーラ地域保健局(イタリア)リウマチ科部長のDaniela Marotto氏らによるこの研究は、「Cancers」に3月23日掲載された。Marotto氏は、「初期段階でがんリスクがピークに達するということは、治療よりも慢性炎症そのものががん発症の重要な要因であることを示唆している」と述べている。 Marotto氏らは今回、イタリアで2018年1月1日から12月31日までの間にIMIDと診断された患者5万4,896人および非IMID患者30万1,126人を対象に、IMIDとがん発症との関連を検討した。IMIDは、RAとびまん性結合組織疾患(diffuse diseases of connective tissue;DDCT)を対象とした。DDCTは免疫の異常により全身の結合組織に慢性的な炎症が生じる疾患の総称で、SLEや強皮症、シェーグレン症候群などが代表例である。対象患者は2023年12月31日まで追跡された。 解析の結果、IMID群では非IMID群と比べて、5年間のがんリスクが有意に高かった(調整オッズ比1.32、95%信頼区間1.27~1.38)。しかし、がんリスクは経時的に低下し、オッズ比は診断後1年目で1.83(95%信頼区間1.61~2.08)、2年目で1.53(同1.37~1.69)、3年目で1.40(同1.25~1.56)、4年目で1.37(同1.22~1.53)、5年目で1.20(同1.15~1.30)であった(全てP<0.001)。がん種ごとに検討すると、IMID群では白血病・リンパ腫(調整オッズ比1.98)、肺がん(同1.74)、膀胱がんとメラノーマ(いずれも同1.48)のリスクが高かった。一方、IMIDの種類別に検討すると、DDCT群はRA群と比べてがんリスクが高かった(調整オッズ比はDDCT群1.53、RA群1.20)。 共著者であるシエナ大学(イタリア)医療バイオテクノロジー分野のAntonio Giordano氏は、「今回の結果は、炎症ががんリスクを左右する決定的な要因であるという仮説を支持するものだ」と指摘している。 研究グループは、この知見から、IMID患者に対しては、特に診断後1年以内におけるがん検診の重要性を周知・促進する必要があると強調している。

19.

がん薬物療法における皮下注射剤の可能性/日本臨床腫瘍学会

 近年、がん薬物療法領域での皮下注射剤の活用が広がっている。2026年度診療報酬改定では外来腫瘍化学療法診療料への皮下注製剤の算定も認められる見通しとなった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)では、腫瘍内科医、薬剤師、緩和ケア医、看護師、制度申請者の立場から、皮下注射の現状と課題が多角的に論じられた。がん治療の時間毒性を改善できる皮下注射 大阪大学の吉波 哲大氏は、腫瘍内科医の立場からがん薬物療法における「時間毒性」の概念を提示した。がん薬物療法においては、骨髄抑制や悪心などの薬剤毒性に加え、近年は経済毒性が注目されている。もう1つの側面として、吉波氏は時間毒性の重要性を訴える。 時間毒性は経済毒性とも無関係ではない。たとえば、通院により仕事を休むことで、給与に影響が出る。このように、時間毒性は深刻化すると経済毒性につながる。「医療者は時間毒性に対する取り組みを強く認識しなければならない」と吉波氏は説明した。 吉波氏が専門とする乳がん領域でも皮下注射は活用されている。HER2陽性乳がんでは、トラスツズマブとペルツズマブの併用療法が用いられるが、近年トラスツズマブとペルツズマブの配合皮下注製剤(商品名:フェスゴ)が登場した。フェスゴは2剤併用と同等の血中濃度と有効性を示す。投与時間に関しては、従来の2剤投与の90分超に対し、フェスゴでは最短5分と、1時間以上短縮ができる。患者に2剤投与とフェスゴ投与のどちらを選ぶかを聞いたところ、85%がフェスゴと回答している。その理由の多くは「診療における所要時間の短さ」であった。 皮下注製剤について吉波氏は「がん治療の時間毒性を軽減する可能性を十分に秘めている」と結論付ける。製剤技術の進化が皮下注射の可能性を広げる 小牧市民病院の山本 泰大氏は、薬剤師の観点から皮下注製剤の特性と今後の展開を論じた。従来、皮下投与可能な薬液量は2mLが目安とされてきたが、ヒアルロン酸を配合することで皮下組織にスペースが確保される。そのため、薬液量が増えても投与が可能になった。同院では現時点で外来化学療法患者の約20%が皮下注射を受けている。「今後もさらに増えていくであろう」と山本氏は述べた。 国内で承認されている皮下注射抗がん剤として、前述のフェスゴに加えてダラツズマブ、アミバンタマブ、モスネツズマブなどがある。海外でもいくつかの薬剤で臨床試験が進んでいるという。 「皮下注射抗がん剤は、今後もさらに広がっていくことが予想され、医療コストや患者負担軽減につながることは間違いない。これからは臨床現場での運用や副作用のエビデンスを蓄積していくべき」と山本氏は述べる。緩和ケア領域における皮下注射のメリット 広島市立広島市民病院の余宮 きのみ氏は、緩和ケアにおける皮下注射の臨床的意義を紹介した。緩和ケア領域において持続皮下注はその簡便性と安全性から世界的に普及している。日本緩和医療学会の「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)」でも、経口困難な患者に対するオピオイドの持続皮下注が推奨される。 緩和ケアにおける皮下注射の利点として余宮氏は、ルート確保の容易さ、シリンジポンプを小さくできる可能性、経口剤に比べた鎮痛達成の早さといった点などを挙げた。 「皮下注射は緩和領域においても重要な選択肢になるであろう」と余宮氏は述べる。安全な皮下注射投与のために 国立がん研究センター東病院の市川 智里氏は、看護師の立場から発言。皮下注射は簡便ではあるものの必ずしも安全というわけではないと指摘した。抗体薬、G-CSF製剤、ホルモン薬と多岐にわたる薬剤が皮下注射として使用されており、薬剤ごとの特性と注意事項を把握しておくことの重要性を強調する。 具体的には、6R(Right Patients・Right Drug・Right Dose・Right Time・Right Route・Right Purpose)と全身状態評価の徹底を挙げた。投与部位、硬結・疼痛予防、放射線照射部位・瘢痕部位の回避といった基本を押さえるとともに、皮下脂肪層が薄い高齢者や低栄養患者に対する工夫も重要だという。 同院では薬剤別の早見表(投与間隔、使用針ゲージ、投与部位、投与前チェック項目など)を化学療法室に掲示し、スタッフが入れ替わっても一定の質を保てるよう工夫している。市川氏はまた、「投与観察時間を患者とのコミュニケーション機会として活用し、副作用や生活上の意見を聞き取ることで治療継続を支援していきたい」と話す。外来腫瘍化学療法診療料への皮下注射の算定 国立がん研究センター中央病院の下井 辰徳氏は、2026年度診療報酬改定における「外来腫瘍化学療法診療料」への皮下注射剤算定について解説した。従来、点滴・静注は外来腫瘍化学療法診療料として算定されるが、皮下注製剤は算定対象外とされていた。 算定対象外であるため、医療機関は皮下注射を積極的に選択しにくいのが現状だ。フェスゴを例にとると、外来腫瘍化学療法診療料が算定できないという理由で、4割以上の患者で使用されていないという。 こうした状況を受け、日本臨床腫瘍学会をはじめとする団体が合同で医療技術評価分科会に要望を提出した。要望で示したのは、皮下注も点滴と同様に専門的なケアと安全管理を伴う医療行為であること、算定されない現状が患者の時間毒性軽減という利益を阻害していること、財政影響が限定的であるといった点である。 中医協での審議の結果、点数は点滴・静注よりも少ないが、2026年6月から皮下注製剤に対しても算定が認められる見通しだ。「次回診療報酬改定までの2年間で、算定の活用状況、点数設計などが検討されていくと予想される」と下井氏は述べる。

20.

問題ばかり起こす人との関係は生物学的老化の加速と関連

 問題ばかり起こす人と一緒に過ごすことは、単に気分を台無しにするだけではないかもしれない。最近の研究によると、そのようなストレスの多い人間関係は、時間の経過とともに健康に影響を及ぼし、さらに生物学的老化の進行を早める可能性が示された。米国立老化研究所の資金提供を受けて、米インディアナ大学社会学教授のBrea Perry氏らが実施したこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月18日掲載された。 人に面倒やストレスをもたらす人のことを、英語では「hassler(ハスラー)」と呼ぶ。Perry氏らは今回、米国インディアナ州で行われた健康調査に参加した18~103歳の2,345人(平均年齢46.24歳)のデータを用いて、ハスラーとの関係が健康や生物学的老化にどう関係するかを調査した。参加者の生物学的年齢は、唾液からDNAメチル化を測定し、エピジェネティッククロック(age-accelerated GrimAge2、DunedinPACE)を用いて評価した。GrimAge2は生物学的老化がどれくらい進んでいるか、DunedinPACEは生物学的老化がどれくらいの速度で進んでいるかを反映する指標である。また、参加者の社会的ネットワークの中にいる人のうち、その人を「頻繁に」困らせる人をハスラーと見なした。参加者のネットワークの構成人数は平均5.07人(最大25人)で、その中に平均0.43人のハスラーがいた。 解析の結果、ハスラーが1人増えるごとに老化速度が約1.5%速くなることが示された。これは、暦年齢で1年進む間に生物学的年齢が1.015年進むことを意味する。この影響が累積すると、10年間で約1.8カ月分の生物学的老化の進行に相当する。また、生物学的年齢の加速についても、ハスラーが1人増えるごとに生物学的年齢が約9カ月高いことも推定された。 論文の上席著者であるPerry氏は、「生物学的老化の観点では小さな影響でも、積み重なれば大きくなり得る」とワシントン・ポスト紙に語っている。 ただし、研究グループは、この研究はハスラーの存在が老化を引き起こすことを証明したわけではないと強調している。論文の筆頭著者で、米ニューヨーク大学社会学教授のByungkyu Lee氏は、「ハスラーが実際に老化を引き起こすのかどうかは分かっていない。今回観察されたのは、ハスラーが身近にいることと老化速度との間に関連が見られたという点だ」と述べている。 またこの研究では、ハスラーがネットワーク内にいると報告する傾向が高い人についても明らかになった。例えば、女性は男性よりも、ハスラーが身近にいると答える割合が高かった。この結果について検討した米テキサス大学オースティン校のDebra Umberson氏は、「全く驚きはない」と話す。同氏によると、これまでの研究でも、女性は良くも悪くも人間関係の影響を男性より強く受けやすいことが示されているからだ。 さらに、健康状態があまり良くない人や、幼少期に困難な経験をしてきた人ほど、ハスラーが身近にいると報告する傾向が強かった。また、そうしたハスラーの多くは家族であり、親や子どもがストレスの原因として挙げられることが多いことも分かった。 専門家によると、ハスラーに対する最も分かりやすい対処法は、常にストレスをもたらす相手との接触を減らすことだという。しかし、それが簡単でない場合も多い。家族や職場の同僚は、日常生活の中で接触が避けられない存在だからだ。Perry氏は、「私にとって重要なのは、境界線を引くことだ。その人があなたに生物学的な悪影響を及ぼす可能性があると分かったら、その人との関係にどれだけ労力を注ぐかに上限を設けるべきだ」と助言している。また専門家は、支えや安心感を与えてくれる人と過ごす時間を増やすことも勧めている。

検索結果 合計:446件 表示位置:1 - 20