大豆製品の摂取と不眠症との関係

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/30

 

 不眠症は、中高年にさまざまな悪影響を及ぼす疾患である。食生活の調整により、不眠症の改善が期待できることが注目を集めている。中国・温州医学大学のLanrong Sun氏らは、中高年における大豆製品の摂取と不眠症の関連性を調査し、炎症性因子の役割を検証するため、横断的研究を実施した。Nature and Science of Sleep誌2025年8月13日号の報告。

 対象は、台州市温嶺病院の心臓内科を受診または入院した45歳以上の中高年877例(女性の割合:35.01%)。大豆製品の摂取量は、食品摂取頻度質問票(FFQ)を用いて評価した。睡眠状態は、不眠症重症度指数(ISI)を用いて定量化した。大豆製品の摂取量の中央値(IQR)は週1回以下(週1回以下、週2~6回)であり、不眠症スコアの平均値は、5.43±5.13であった。

 主な結果は以下のとおり。

・中国の中高年成人において、大豆製品の摂取量は不眠症(|r|s≧0.117、ps<0.001)と負の相関を示した。
・また、C反応性タンパク質(CRP、調整済みβ:-0.139、95%信頼区間[CI]:-0.265~-0.012)、腫瘍壊死因子α(TNF-α、調整済みβ:-0.049、95%CI:-0.091~-0.006)、トリグリセライド(TG、調整済みβ:-0.043、95%CI:-0.085~-0.000)との負の相関を示した。
・大豆製品の摂取量と白血球数、好中球絶対数、血小板数、インターロイキン-1β、インターロイキン-2、インターロイキン-6、ヘモグロビン、赤血球数、低密度リポタンパク質コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール、総コレステロールとの間に有意な相関は認められなかった。

 著者らは「中高年において、大豆製品の摂取量が少ないと不眠症の発生率が高くなることが示された。さらに、大豆製品の摂取量は、末梢血のCRP、TNF-α、TGレベルと負の相関関係にあることも明らかとなった。バランスの取れた食事を通じて中高年の睡眠を改善するための新たな臨床的視点を提示するものであり、睡眠には炎症や脂質が重要な役割を果たす可能性があることが示唆された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)