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NSCLC維持療法、ベバシズマブ+ペメトレキセドでPFS延長(COMPASS)/JCO

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者について、初回薬物治療が奏効した後の維持療法の選択肢は何か。九州がんセンターの瀬戸 貴司氏らは、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ併用導入療法後の維持療法におけるベバシズマブ+ペメトレキセドの有効性と安全性を評価する「COMPASS試験」(WJOG5610L)を行った。主要評価項目である全生存(OS)期間は統計学的有意差が認められなかったものの、無増悪生存(PFS)期間およびEGFR野生型患者におけるOSはベバシズマブ+ペメトレキセド併用維持療法で有意に延長することを示した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年12月27日号掲載の報告。 研究グループは、EGFR19欠失またはL858R変異のない未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者を対象に検討を行った。導入療法としてカルボプラチン(AUC6)+ペメトレキセド(500mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)を3週に1回、4サイクル投与後、病勢進行が認められなかった患者を、ベバシズマブ+ペメトレキセド群(ペメトレキセド併用群)またはベバシズマブ群に1対1の割合で無作為に割り付け、3週に1回、病勢進行または許容できない毒性発現まで投与した。 主要評価項目は、無作為化後のOSであった。 主な結果は以下のとおり。・2010年9月~2015年9月に、907例が導入療法を受け、このうち599例が無作為化された(ペメトレキセド併用群298例、ベバシズマブ群301例)。・OS中央値は、23.3ヵ月 vs.19.6ヵ月(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.73~1.05、片側層別log-rank検定のp=0.069)であった。・EGFR野生型サブグループでは、OSのHRが0.82(95%CI:0.68~0.99、片側非層別log-rank検定のp=0.020)であった。・PFS中央値は、5.7ヵ月 vs.4.0ヵ月(HR:0.67、95%CI:0.57~0.79、両側log-rank検定のp<0.001)であった。・安全性は、治療レジメンの以前の報告と一致していた。

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術前化療で乳房温存療法が適応になる割合は(BrighTNess)/JAMA Surgery

 StageII~III乳がんでは乳房温存療法を可能にするべく術前化学療法が実施されることが多い。今回、米国・Brigham and Women's HospitalのMehra Golshan氏らは、BrighTNess試験の2次解析からトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において術前化学療法により53.2%が乳房温存療法の適応になったことを報告した。また、北米では乳房温存治療適応患者でも乳房温存率が低く、生殖細胞系BRCA(gBRCA)変異のない患者での両側乳房切除率が高いことがわかった。JAMA Surgery誌オンライン版2020年1月8日号に掲載。 本研究は、多施設二重盲検無作為化第III相試験(BrighTNess)において事前に示されていた2次解析である。BrighTNess試験には、北米、欧州、アジアにおける15ヵ国145施設において、手術可能なStageII〜IIIのTN乳がんで術前化学療法開始前にgBRCA変異検査を受けた女性634例が登録された。登録患者をパクリタキセル+カルボプラチン+veliparib、パクリタキセル+カルボプラチン、パクリタキセル単独に無作為に割り付け、12週間投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミドを4サイクル投与した。乳房温存療法の適応については、術前化学療法の前後に外科医が臨床およびX線写真により評価した。データは2014年4月1日~2016年12月8日に収集し、2018年1月5日~2019年10月28日に2次解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・634例(年齢中央値:51歳、範囲:22〜78歳)のうち、604例で術前化学療法前後の評価が可能であった。・ベースラインで乳房温存療法が不適応と判断された141例のうち、75例(53.2%)が術前化学療法後に適応となった。・全体として、術前化学療法後、乳房温存療法の適応と判断された502例のうち、342例(68.1%)が実際に乳房温存療法を受けた。このうち、乳房温存療法が非適応から適応に変わった75例では42例(56.0%)が実際に温存治療を受けた。・欧州およびアジアの患者は、北米の患者より乳房温存療法実施率が高かった(オッズ比:2.66、95%CI:1.84~3.84)。・gBRCA変異陰性で乳房切除術を受けた患者の対側乳房予防切除実施率は、北米の患者が70.4%(81例中57例)と、欧州およびアジアの患者の20.0%(30例中6例)に比べて高かった(p<0.001)。

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進展型小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ+化学療法の成績(KEYNOTE-604)/Merck

 Merck社は、2020年1月6日、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用の第III相KEYNOTE-604試験において、主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。 同研究では、ペムブロリズマブと化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)併用は、化学療法単独(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)と比較して統計的に有意なPFSの改善がもたらした(HR:0.75、95%CI:0.61~0.91)。全生存(OS)についてはペムブロリズマブ併用患者で改善が認められたが、事前に指定された統計学的基準を満たさなかった(HR:0.80 、95%CI:0.64~0.98)。同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、以前に報告されものと同様であった。試験結果は今後の医学会議で発表され、規制当局と議論するとしている。 KEYNOTE-604試験では、453例が登録され、ペムブロリズマブ+化学療法またはプラセボ+化学療法に無作為に割り付けられた。複合主要評価項目はOSとPFS、副次評価項目は、客観的奏効率、奏効期間、安全性と生活の質(QoL)など。

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非扁平上皮NSCLC、KEYNOTE-189日本人延長試験の結果/日本肺癌学会2019

 未治療の非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)に対してペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ(シスプラチンまたはカルボプラチン)療法とペメトレキセド+プラチナ療法と比較したKEYNOTE-189試験の日本人延長試験の結果が、第60回日本肺癌学会学術集会で発表された。当試験の全集団ではペムブロリズマブ上乗せ群が全生存期間(OS)を有意に改善した(HR:0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.001)が、今回の日本人試験の評価項目は安全性、忍容性である。 主な結果は以下のとおり。・日本人患者は、全試験からの10例、日本人試験からの30例の計40例。ペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ(Pembro/Pem/Plat)群25例、ペメトレキセド+プラチナ(Pem/Plat)群15例に無作為に割り付けられた。・ベースラインの患者背景では脳転移がPem/Plat群に多くみられた(Pem/Plat群33%に対しPembro/Pem/Plat群16%)。・Grade3~4の治療下発現有害事象(TEAE)はPembro/Pem/Plat群の72.0%、Pem/Plat群の60.0%で発現した。これは全集団と同等の結果であった(Pembro/Pem/Plat群71.9%、Pem/Plat群66.8%)。・日本人試験におけるOS中央値は、Pembro/Pem/Plat群では未到達、Pem/Plat群では25.9ヵ月であった(HR:0.29)。・日本人試験における無増悪生存期間中央値は、Pembro/Pem/Plat群では16.5ヵ月、Pem/Plat群では7.1ヵ月であった(HR:0.62)。 発表者である四国がんセンターの野上 尚之氏は、当試験の評価はあくまで安全性であり、効果については参考として考えるべきとの見解を示した。

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ペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法のHER2+乳がん術後療法、引き続き有用(APHINITY)/SABCS2019

 HER2陽性乳がんに対する術後療法としての、ペルツズマブとトラスツズマブと標準化学療法の併用を評価する第III相APHINITY試験の更新データが、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)で、ベルギー・Institut Jules BordetのMartin Piccart氏より発表された。 APHINITY試験は、2011年11月~2013年8月に症例登録された国際共同無作為化比較試験。2017年に初回解析結果が発表され、今回は2回目の解析データの発表。2017年の発表(症例追跡期間中央値45.4ヵ月時点)では、無浸潤疾患生存期間(iDFS)はハザード比(HR)が0.81(95%信頼区間[CI]:0.66~1.00、p=0.045)と、有意にペルツズマブ・トラスツズマブ・標準化学療法併用群(HP群)が良好な結果であった。とくに、リンパ節転移陽性群ではHR 0.77(95%CI:0.62~0.96、p=0.019)と、またホルモン受容体陽性群でもHR 0.76(95%CI:0.56~1.04、p=0.085)と、HP群が良い傾向を示していた。・対象:HER2陽性乳がん患者4,805例 (リンパ節転移状況、ホルモン受容体状況は問わず)・試験群:ペルツズマブ・トラスツズマブ・標準化学療法の併用群(HP群)2,400例・対照群:プラセボ・トラスツズマブ・標準化学療法の併用群(H群)2,405例・評価項目:[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]無病生存期間、全生存期間(OS)、無再発期間、安全性、健康関連QOLなど標準化学療法は、78%がアントラサイクリンを含むレジメン、そのほかはドセタキセル+カルボプラチンなど。ペルツズマブとトラスツズマブの投与期間は1年間。 主な結果は以下のとおり。・2019年6月のデータカットオフ(追跡期間中央値:74.1ヵ月)時のデータで、2回目のOS解析が実施された。・6年OS率はHP群94.8%、H群93.9%で、OSのHRが0.85(95%CI:0.67~1.07、p=0.170)と両群間に統計学的な有意差はなかった(今回のOS解析での統計学的有意差の閾値はp=0.0012)。・6年iDFS率はHP群90.6%、H群87.8%で、iDFSのHRが0.76(95%CI:0.64~0.91)と、前回の解析よりHP群の効果が明確になっていた。とくに、遠隔再発率はHP群5.9%対H群7.7%、局所再発率はHP群1.2%対H群2.0%と、HP群で良好であった。・リンパ節転移の有無、ホルモン受容体の有無別のiDFSのHRは、2017年時の発表と同様、リンパ節転移陽性群では0.72(95%CI:0.59~0.87)、またホルモン受容体陽性群では0.73(95%CI:0.59~0.92)、さらにホルモン受容体陰性群でも0.83(95%CI:0.63~1.10)と、引き続きHP群が良好であった。しかし、リンパ節転移陰性群では1.02(95%CI:0.69~1.53)で、6年iDFS率もHP群95.0%対H群94.9%と差がなかった。・心機能イベントについては、HP群で0.8%、H群で0.3%と安全性に大きな問題はなかった。 SABCS2019のプレスリリースでPiccart氏は、「今回の解析により、HER2陽性乳がん患者の術後療法におけるトラスツズマブ+化学療法へのペルツズマブの追加は、さらに堅固なエビデンスとなった」と述べている。

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デュルバルマブの進展型小細胞肺がん、FDAの優先審査指定に/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2019年11月29日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が治療歴のない進展型小細胞肺がん(SCLC)患者に対する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から生物製剤承認一部変更申請(sBLA)に対する優先審査指定を受けたことを発表。 このsBLAは、The Lancet誌に掲載された第III相CASPIAN試験の良好な結果に基づいて行われた。CASPIAN試験は、進展型SCLC患者の1次治療を対象とした、無作為化非盲検国際多施設共同第III相試験。同試験では、デュルバルマブと化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)の併用と化学療法単独、および、デュルバルマブ、トレメリムマブ、化学療法の併用と化学療法単独を比較したもの。全生存期間(OS)を主要評価項目とし、米国、欧州、南米、アジア、中東の 23カ国200以上の施設で実施されている。 同試験において、化学療法単独群のOS中央値は10.3ヵ月であったのに対し、デュルバルマブと化学療法併用群はOS中央値13.0ヵ月を示し、統計学的に有意で臨床的に意義のあるOSの延長を示した(ハザード比:0.73)。治療開始後18ヵ月時点で生存している患者の割合は、デュルバルマブ・化学療法併用群では33.9%、化学療法単独群では24.7%と推計され、併用療法によるOS延長のベネフィットが示された。 デュルバルマブの小細胞肺がん治療薬としての適応は本邦では未承認である。

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ddTC療法、上皮性卵巣がんの1次治療でPFS改善せず/Lancet

 上皮性卵巣がん患者の1次治療において、毎週(weekly)投与を行うdose-dense化学療法は施行可能であるが、標準的な3週ごと(3-weekly)の化学療法に比べ無増悪生存(PFS)期間を改善しないことが、英国・マンチェスター大学のAndrew R. Clamp氏らが行った「ICON8試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2019年12月7日号に掲載された。上皮性卵巣がんの標準的1次治療は、従来、カルボプラチン(CBDCA)+パクリタキセル(PTX)の3週ごとの投与とされる。一方、日本のJGOG3016試験(Katsumata N, et al. Lancet 2009;374:1331-1338.、Katsumata N, et al. Lancet Oncol. 2013;14:1020-1026.)では、dose-dense weekly PTX+3-weekly CBDCAにより、PFSと全生存(OS)がいずれも有意に改善したと報告されている。2つのweeklyレジメンと標準治療を比較する無作為化試験 本研究は、6ヵ国(英国、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、韓国、アイルランド)の117施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2011年6月6日~2014年11月28日の期間に患者登録が行われた(Cancer Research UKなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、組織学的に上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、卵管がんが確認され、国際産婦人科連合(FIGO)の1988年分類でStageIC~IV、全身状態(PS)が米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)基準の0~2の新規診断患者であった。 被験者は、1群(CBDCA[AUC5または6]+PTX[175mg/m2]を3週ごとに投与する群[3-weeklyレジメン]、対照群)、2群(CBDCA[AUC5または6]を3週ごと+PTX[80mg/m2]を毎週投与する群[weekly PTXレジメン])、3群(CBDCA[AUC2]+PTX[80mg/m2]を毎週投与する群[weekly CBDCA+PTXレジメン])のいずれかに、無作為に割り付けられた。これら3週を1サイクルとする治療が、6サイクル行われた。 手術は次の2つの方法で行われた。(1)割り付け前に即時的な初回腫瘍減量手術(IPS)として施行し、術後に6サイクルの化学療法を行う方法、(2)術前化学療法を3サイクル行った後、計画された遅延的な初回腫瘍減量術(DPS)として施行し、術後にさらに3サイクルの化学療法を行う方法。 主要アウトカムは、PFSとOSの2つとし、intention-to-treat解析が行われた。ddTC療法は3-weeklyレジメンに比べPFS期間中央値を改善しなかった 1,566例が登録され、1(対照)群に522例、2群に523例、3群には521例が割り付けられ、それぞれ72%(365例)、60%(305例)、63%(322例)がプロトコールで定められた6サイクルの治療を完遂した。PTXの用量強度は、weeklyレジメンで高かった(総投与量中央値:1群1,010mg/m2、2群1,233mg/m2、3群1,274mg/m2)。 全体の年齢中央値は62歳(IQR:54~68)で、1,444例(93%)がECOG PS 0~1、1,073例(69%)が高Grade漿液性腺がん、1,119例(72%)がStageIIIC以上であった。また、746例(48%)がIPS、779例(50%)がDPSを受けた。 2017年2月20日の時点(追跡期間中央値36.8ヵ月)で、1,018例が病勢進行または死亡した(1群337例、2群338例、3群343例)。2つのweeklyレジメンは標準的な3-weeklyレジメンに比べ、いずれもPFS期間中央値を改善しなかった。境界内平均生存時間(restricted mean survival time:RMST)は、1群24.4ヵ月(97.5%信頼区間[CI]:23.0~26.0)、2群24.9ヵ月(24.0~25.9)、3群25.3ヵ月(23.9~26.9)であり、PFS期間中央値は同17.7ヵ月(IQR:10.6~未到達)、20.8ヵ月(11.9~59.0)、21.0ヵ月(12.0~54.0)であった(log-rank検定:2群vs.1群のp=0.35、3群vs.1群のp=0.51)。2年OS率は、1群が80%、2群が82%、3群は78%だった。 事前に計画されたサブグループ解析では、IPSコホートのRMSTは1群が32.6ヵ月、2群が33.0ヵ月、3群は33.3ヵ月、DPSコホートではそれぞれ18.6ヵ月、19.1ヵ月、19.6ヵ月であり、手術アプローチとweekly dose-dense治療に交互作用は認められなかった。 Grade3/4の毒性作用は、weeklyレジメンで頻度が高い傾向がみられた(1群42%、2群62%、3群53%)。発熱性好中球減少(4%、6%、3%)およびGrade2以上の感覚性ニューロパチー(27%、24%、22%)の頻度は3群でほぼ同等であった。Grade3以上の貧血は、2群(13%)が1群(5%)に比べ高頻度であった(p<0.0001)。 著者は、「本研究は日本のJGOG3016試験から着想を得たが、欧州人を中心とする集団ではweekly dose-dense PTXの生存利益は再現されなかった」としている。

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FDA、非扁平上皮NSCLCの初期治療にアテゾリズマブ+化学療法を承認/Roche

 Roche社は、2019年12月4日、米国食品医薬品局(FDA)が、EGFRまたはALK遺伝子異常を伴わない非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の初期治療に対して、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)と化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)の併用を承認したことを発表した。 今回の承認は、化学療法未治療のIV期非扁平上皮NSCLC患者を対象に、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)の併用と化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)単独を比較した第III相IMpower130試験の結果に基づいている。IMpower130試験において、アテゾリズマブと化学療法の併用は、化学療法単独と比較して有意に全生存期間(OS)を延長することが示された(OS中央値:18.6対13.9ヵ月、ハザード比[HR]:0.80、95%CI:0.64~0.99、p=0.0384)。また、無増悪生存(PFS)のリスクも化学療法単独と比較して有意に低減した(PFS中央値:7.2対6.5ヵ月、HR:0.75、95%CI:0.63~0.91、p=0.0024)。 アテゾリズマブと化学療法の併用の安全性は、個々の薬剤の既知の安全性プロファイルと一致しており、併用による新しい安全性シグナルは確認されなかった。Grade3/4の治療関連有害事象は、化学療法単独群では60.3%、アテゾリズマブ・化学療法併用群では73.2%で報告された。

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EGFR変異NSCLC、ゲフィチニブ+化学療法併用(NEJ-009)/JCO

 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療について、標準療法のEGFR-TKI単独療法 vs.EGFR-TKI+化学療法を比較した、日本発の検討結果が発表された。がん・感染症センター東京都立駒込病院の細見幸生氏らによる、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者を対象とした第III相臨床試験「NEJ009試験」の結果で、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法はゲフィチニブ単独療法群と比較して、毒性プロファイルは許容でき、無増悪生存期間(PFS)および全生存(OS)期間が延長することが示されたという。ただし、著者は、「OSの有益性についてはさらなる検証が必要である」とまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年11月4日掲載の報告。NEJ009試験でゲフィチニブ+化学療法併用のPFSが優位に優れていた 研究グループはNEJ009試験で、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者345例を、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法群(GCP群)またはゲフィチニブ単独療法群(G群)に無作為に割り付け、疾患増悪(PD)または許容できない副作用の発現等まで継続した。 NEJ009試験の主要評価項目は、無増悪生存(PFS)期間、PFS2およびOS期間で、階層的逐次検定法を用いて優越性を検証した。なお、PFS2は、事前計画ではG群におけるランダム化から2次治療のPDまたは死亡までの期間と定義(GCP群はPFS=PFS2と定義)されていたが、今回の解析では、最初のPDから2次治療開始までの期間を差し引いた修正PFS2が用いられた。副次評価項目は奏効率(ORR)、安全性およびQOLであった。 NEJ009試験の主な結果は以下のとおり。・GCP群はG群に対し、ORRおよびPFSが有意に優れていた。 ORR:84% vs.67%、p<0.001 PFS:20.9ヵ月 vs.11.9ヵ月、ハザード比(HR):0.490、p<0.001・PFS2は、事前計画の定義では両群で同程度であったが(GCP群20.9ヵ月、G群20.7ヵ月、HR0.99、p=0.90)、修正PFS2はGCP群が長いことが示された(20.9ヵ月 vs.18.0ヵ月、p=0.092)・OS中央値は、GCP群でG群より有意に延長した(50.9ヵ月 vs.38.8ヵ月、HR:0.722、p=0.021)。・Grade3以上の治療関連有害事象(血液学的毒性など)の発現頻度は、GCP群がG群より高かったが(65.3% vs.31.0%)、QOLに差はなかった。・GCP群で治療に関連した死亡が1例認められた。

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間質性肺炎合併NSCLCに対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの成績

 間質性肺疾患(ILD)を合併する非小細胞肺がん(NSCLC)の予後は不良であり、また、肺がん治療によりILD悪化のリスクが高まる。とくに、化学療法を受けた患者の5~20%でILDが増悪するとされる。静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏らは、間質性肺炎を合併したNSCLC患者に対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの効果と安全性を評価する多施設第II相試験を実施、その結果が発表された。Cancer Science誌オンライン版2019年10月13日号掲載の報告。カルボプラチン+nabパクリタキセルで間質性肺炎の無増悪の割合95.7%・対象:軽度~中等度のILDを合併した進行NSCLC患者・介入:カルボプラチン(AUC6 day1)+nabパクリタキセル(100mg/m2 day1、8、15)3週ごと4サイクル(最大6サイクル)・評価項目:[主要評価項目]プロトコール治療28日後のILD無増悪の割合[副次評価項目]奏効率(RR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、ILD増悪の割合、毒性 間質性肺炎を合併したNSCLC患者に対するカルボプラチン+nabパクリタキセルの効果と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・間質性肺炎を合併したNSCLC患者94例が登録され、92例がプロトコール治療を受けた。・間質性肺炎を合併したNSCLC患者の年齢中央値は70歳、非扁平上皮がんが58%を占めた。・カルボプラチン+nabパクリタキセルのプロトコール治療28日後の間質性肺炎の無増悪の割合は95.7%(92例中88例)であった。・RRは51%(95%信頼区間:40~62)であった。・PFS中央値は6.2ヵ月、OS中央値は15.4ヵ月であった。・頻度の高いGrade3/4の有害事象は好中球減少75%、白血球減少53%、血小板減少20%で、治療関連死は2例であった。

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EGFR-TKI併用療法、これまでのまとめ【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第10回

第10回 EGFR-TKI併用療法、これまでのまとめ1)Stinchombe TE, Janne PA, Wang X, et al. Effect of Erlotinib Plus Bevacizumab vs Erlotinib Alone on Progression-Free Survival in Patients With Advanced EGFR-Mutant Non-Small Cell Lung Cancer A Phase 2 Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2019 Aug 8. [Epub ahead of print]2)Noronha V, Patil VM, Joshi M, et al. Gefitinib Versus Gefitinib Plus Pemetrexed and Carboplatin Chemotherapy in EGFR-Mutated Lung Cancer. J Clin Oncol. 2019 Aug 14. [Epub ahead of print]3)Nakagawa K, et al. Ramucirumab plus erlotinib in patients with untreated, EGFR-mutated, advanced non-small-cell lung cancer (RELAY): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial.Lancet Oncol. 2019 Oct 4.[Epub ahead of print]EGFR変異陽性例に対する初回治療は、オシメルチニブがOSでも有効性を示した(Ramalingam S, ESMO2019)ことでおおむね片が付いたとみる向きが多いが、次なる方向性として併用療法やcell-free DNAを組み合わせたアプローチなどが模索されている。今回は最近の報告を基に併用療法についてまとめてみた。1)について米国から報告された第II相試験。88例をエルロチニブ+/-ベバシズマブに1:1で無作為化。プライマリーエンドポイントであるPFSは17.9ヵ月 vs.13.5ヵ月と併用群で延長していたが、統計学的な有意差なし(HR:0.81、p=0.39)。ORRは同等(81% vs.83%)、驚くべきことにOSは併用群で劣る傾向(32.4ヵ月 vs.50.6ヵ月、HR:1.41、p=0.33)であった。後治療としてオシメルチニブが併用療法群で10例・単剤群で13例投与されている(これらを省いたOSデータは示されていない)。2)について細胞傷害性抗がん剤との併用インドから報告された単施設の(!)第III相試験。350例をゲフィチニブ+/-化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)に1:1で無作為化。PS 2が21%と多く含まれている。プライマリーエンドポイントであるPFSは16ヵ月 vs.8ヵ月と併用群で有意に延長していた(HR:0.51、p<0.001)。ORR(75% vs.63%)、OS(中央値未到達vs.17ヵ月、HR:0.45、p<0.001)も併用群で有意に上回っていた。後治療として単剤群のうち、カルボプラチン+ペメトレキセドを受けたものは32.4%とやや低めである。解説血管新生阻害薬との併用については、本邦から報告されたゲフィチニブ+/-ベバシズマブの第II相試験(JO25567)での良好なPFSを基に複数の第III相臨床試験が計画された。昨年・本年のASCOで本邦からの第III相試験が報告され、PFS延長が確認されたことは周知のとおり(Saito, Lancet Oncol. 2019、Nakagawa, Lancet Oncol. 2019)。今後、中国やEUからも第III相試験の報告が予想されている。今回の第II相試験は残念ながらnegativeな結果に終わったが、著者らも触れているように単剤群の治療成績が予想よりよかったことも影響しており、血管新生阻害薬併用によるPFS延長は十分確認されたと考えられる。ただし、より重要なのは、JO試験に引き続いてOSの延長が認められなかったことであろう。それほど毒性の強い治療でもないので後治療に差があるわけではないと思うのだが、この理由は明らかになっておらず、今後の開発にやや不安を残したといえる。オシメルチニブとの併用を含めた主だった試験のまとめは以下のとおり。細胞傷害性抗がん薬との併用は、古くTRIBUTE試験などで検討されてきたが、EGFR変異陽性例に絞った検討はNEJグループが牽引してきた経緯がある(Sugawara S, Ann Oncol2015, Oizumi S, ESMO Open2018)。第III相試験については昨年のASCOで報告され(Furuya N, ASCO2018)、本年インドからも同様の結果が示された。PFSは延長して当然な一方で、2つの第III相試験ともにOS延長が示されたことは重要である(ただしインドの試験では低い後治療の割合がOSの大きな差に影響している可能性はあり)。主だった試験のまとめは以下のとおり。以上が現状のまとめとなる。元々のコンセプトとして、前者はEGFR-TKIの効果増強を意図している一方で、後者は腫瘍のheterogeneityに対して異なる機序の薬剤の相乗効果を狙っている。また、血管新生阻害剤併用の場合には後治療として化学療法(+免疫チェックポイント阻害剤)が使用可能であるのに対して、細胞傷害性抗がん剤併用後の増悪に対しては単剤化学療法が標準と考えられることから、これら併用療法のPFSを単純に比べることはあまり意味がなさそうである。一方でこれら試験結果を待っている間に、オシメルチニブというgame changerが登場したため、結果の解釈はより難しくなった。現在、オシメルチニブを用いても同様の治療戦略が成り立つのかを検討すべく、さまざまな計画がなされている(Yu H, ASCO2019)。以上、簡単にEGFR-TKI併用療法の現状をまとめた。今後オシメルチニブを軸に治療開発がなされると考えられるが、エンドポイントをどう設定するかは非常に重要な問題である。クロスオーバーの影響を考慮すべき治療の場合、PFSでは不十分な可能性があるが、そうなると相当大規模な症例数が必要となる。長期奏効の指標としてX年無再発率のような新しい指標を検討すべきなのか、乳がんのホルモン治療やICIで近年検討されているように「試験治療開始から化学療法開始までの期間(=どの程度の期間化学療法を回避できたか)」や「治療休止期間」のような患者のQOLをより反映したソフトエンドポイントも興味深く、ドライバー変異陽性肺がんもこうした新規エンドポイントを検討すべき時代になっているのかもしれない。また、オシメルチニブ単剤でも良好なPFSが得られる状況において、果たして併用療法が本当に意義のあるPFS延長を示せるのかも気になる点である(実際、オシメルチニブ+ベバシズマブの試験ではPFSはそれほど延びていない)。図表(ppt)はこちら。右クリックでダウンロードできます。

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WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019 レポート

レポーター紹介世界肺がん学会WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019はスペインのバルセロナで、2019年9月7~10日の期間に行われた。今年は9月末に欧州臨床腫瘍学会が同じスペインのバルセロナで行われることもあり、例年のWCLCと比べるとトピックスが少ない印象ではあったが、公式発表では100ヵ国以上から7,000例以上がWCLCに参加し、多くの演題(2,853演題)が報告された。学会初日の印象では参加人数が例年よりも少なそうで寂しい印象を受けたが、Presidential Symposiumの発表時には、会場はほぼ満席であり活気に満ちたものであった。このレポートでは、私的に選んだ今学会でのトピックスをいくつか紹介する。外科手術のトピックVIOLET試験の効果と安全性に関する探索的検討clinical stage cT1~3、N0~1、M0の肺がん、もしくは肺がんが強く疑われる患者を対象に、開胸手術とVATSを比較する第III相試験における早期の効果と安全性の結果が報告された。入院中の死亡率は、VATS群で1.4%(VATS治療から開胸手術の移行率5.7%)であった。また、完全切除率については、VATS群で98.8%、開胸切除で97.4%であり、有意差を認めなかった(p=0.839)。術後の疼痛についてmedian(visual analogue)pain scoreで評価が行われており、術後1日では術後疼痛についてmedian scoreに差を認めなかったが、術後2日では術後疼痛の強さがVATS群で有意に改善され、入院期間についてもVATS群が4日、開胸手術群が5日と有意に短くなる(p=0.008)ことが報告された。また、入院中の術後合併症がVATS群で32.8%、開胸手術群で44.3%と有意に低下する(p=0.008)という結果であった。今回の報告では、VATSと開胸手術において、侵襲の少ないVATSが開胸手術と比較しても根治率が変わらないことが報告され、合併症や入院期間、術後疼痛が良好であることが報告され、日常臨床で広く浸透しているVATSが短期的な指標では有用であることが検証された試験である。今後の長期予後データなどの報告が待たれる。(Lim E, et al. PL 02-06)分子標的療法におけるトピックスLIBRETTO-001 study進行非小細胞肺がんのRET-fusion遺伝子変異に対する分子標的療法で、保険償還承認が得られた治療はまだ存在しない。LIBRETTO-001試験で使用されたLOXO-292はRETを選択的に強く阻害する分子標的薬であり、脳への移行性も高く、RET-fusion遺伝子変異に対する治療薬として期待されている。今学会ではLIBRETTO-001試験における、LOXO-292療法の効果と安全性についての第I/II相試験の結果が報告された。253例のRET-fusion陽性の非小細胞肺がんの患者が参加し、うちprimary analysis set (PAS) に139例が登録された。105例が初回にプラチナ製剤併用化学療法を受け、58例がPD-1/PD-L1阻害薬療法を受けていた。奏効率(ORR)は68%(95%CI:58~76%、n=71/105)であり、RET fusionのパートナーにかかわらず治療効果を認めた。また治療奏効期間は20.3ヵ月(95%CI:13.8~24.0ヵ月)であり、脳転移のある患者における脳転移のORRは91%(n=10/11:2 confirmed CRs、8 confirmed PRs)であった。さらに未治療のRET-fusion陽性の患者ではORR85%(95%CI:69~95%、n=29/34)であった。毒性(AEs)は、ほとんどがGrade1/2と軽微であり、頻度では口腔内乾燥、下痢、高血圧、AST/ALTの上昇が多かった。今回のLOXO-292のデータは非常に良好であり、RET-fusion陽性肺がんの標準療法になりうると考えられ早期での臨床導入が期待される。(Drilon A, et al. PL 02-08)免疫チェックポイント阻害薬のトピックスCASPIAN study進展型小細胞肺がんに対し、初回治療でのプラチナ(シスプラチンもしくはカルボプラチン)+エトポシド(EP)療法の標準療法と、デュルバルマブもしくはデュルバルマブ+tremelimumabの上乗せ治療を比較するオープンラベル下での第III相試験である。この試験はプレスリリースにおいて、デュルバルマブ上乗せ群が標準療法群に対してOSを有意に改善したと発表しており、今学会の最注目演題であった。今学会ではCASPIAN試験における、標準療法群とデュルバルマブ併用療法群の結果が報告された。PS 0~1の未治療進展型小細胞肺がんの患者を対象に、デュルバルマブ1,500mg+EP療法を3週ごと、デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab 75mg+EP療法を3週ごと、もしくはEP療法を3週ごと4コースの治療を行った。免疫療法群では、4コース終了後のデュルバルマブ維持療法が認められており、EP療法では6コースまで投与をすることが認められていた。また、主治医判断での予防的全能照射(prophylactic cranial irradiation [PCI])も認められていた。EP+デュルバルマブ療法群に268例、EP療法群に269例が割り付けられ、56.8%の患者が6コースのEP療法を受けていた。全生存期間においてEP+デュルバルマブ群がEP療法群と比較して、HR0.73、95%CIは0.591~0.909、p=0.0047と生存期間を有意に延長し、生存期間中央値(mOS)はEP+デュルバルマブ療法群で13ヵ月、EP療法群で10.3ヵ月であった。また18ヵ月の時点で、EP+デュルバルマブ療法群では33.9%の患者が生存しており、EP療法群では24.7%の患者が生存していた。無増悪生存期間(PFS)や奏効率(ORR)においてもEP+デュルバルマブ療法群がEP療法群よりも優れた結果であった。EP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でそれぞれ、mPFSが5.1ヵ月と5.4ヵ月、PFSはHR0.78、95%CIは0.645~0.936、12ヵ月PFS rateが17.5%と4.7%、ORR(RECIST v1.1:unconfirmed)が79.5%と70.3%(odds ratio:1.64、95%CI:1.106~2.443)であった。毒性(AEs)ではEP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でGrade3/4 AEsが61.5%と62.4%、AEsによる治療中断率は各9.4%と差を認めなかった。この試験では、先行するIMpower133試験(カルボプラチン+エトポシド療法にアテゾリズマブの上乗せの有効性が証明された)と同様にPD-L1阻害薬の標準療法への上乗せが証明された。この試験では、EP+デュルバルマブ+tremelimumab療法群の結果、すなわちPD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬の標準療法への上乗せ効果は公表されておらず、いまだ不明のままである。(Luis Paz-Ares, et al. PL 02-11)CheckMate 817試験(Cohort A1)PS 2や肝障害やHIV感染症を持つPS 0~1(all other special population:AOSP)のIV期非小細胞肺がんの初回治療として、ニボルマブ(PD-1阻害薬)+イピリムマブ(CTLA-4阻害薬)併用療法の効果と安全性を確認する第IIIb/IV相試験の結果が報告された。この試験での治療方法はニボルマブ240mg(2週ごと)、イピリムマブ1mg/kg(6週ごと)の固定容量での治療である。この試験ではPS 2の患者139例とAOSPの患者59例が試験に登録された。安全性についてはPS 2の患者でも、AOSPの患者でも、通常のPS 0~1の患者と比較して、治療関連有害事象や治療関連有害事象による治療中断、治療関連死に差がないことが示された。奏効率は、PS 2で20%、AOSPで37%であり、PS 0~1で35%であったが、PFSはPS 2やAOSPの患者で、PS 0~1の患者より有意に短かった。免疫チェックポイント阻害薬の併用において、PS不良の患者でも安全性はPS良好な患者と同様であり、初回治療の選択肢となりうることが示されたと考えてよいだろう。(Valette CA, et al. OA 04-02)その他の免疫チェックポイント阻害薬のトピック今回の学会では、以前に発表された第III相試験の長期予後データについていくつかの報告があった。PD-L1 50%陽性、EGFRやALK変異陰性の患者で行われた第III相試験であるKEYNOTE-024試験の3年目解析データが報告された。生存期間中央値(mOS)はペムブロリズマブ群26.3ヵ月(18.3~40.4)、殺細胞性抗がん剤治療群14.2ヵ月(9.8~18.3)で、OSはHR0.65、95%CIは0.50~0.86、p=0.001であり、長期間の観察期間でも有意にOSを延長していることが報告された。また、この発表では抗がん剤治療群からのペムブロリズマブのクロスオーバーしたペムブロリズマブの治療成績が報告されており、奏効率(ORR)は20.7%であり、治療奏効期間の中央値は20.9ヵ月と報告された。(Reck M, et al. OA 14-01)また、扁平上皮がんに対するプラチナ+タキサン療法へのアテゾリズマブの上乗せを検討しているIMpower131試験の最終解析結果も報告された。この試験は、ASCO2018においてOSの有意な延長が示されておらず、PD-L1 1~49%群でのOSがプラチナ製剤併用療法群と比較してクロスすることが報告されていた。今回の最終解析において、カルボプラチン+nabパクリタキセル+アテゾリズマブ群とカルボプラチン+nabパクリタキセル群の生存期間中央値(mOS)は14.2ヵ月vs.13.5ヵ月で、OSはHR0.88、95%CIは0.73~1.05、p=0.158で、OSの延長効果は示されなかった。ただし、PD-L1TPS 50%以上の高発現群においては、mOSは23.4ヵ月vs.10.2ヵ月、OSはHR0.48、95%CIが0.29~0.81とサブグループ解析ではあるが有意に延長していることが報告された。同じ扁平上皮がんを対象としたプラチナ+タキサン療法へのペムブロリズマブの上乗せを検討したKEYNOTE-407試験では、ペムブロリズマブの上乗せの生存延長効果が示されているだけに、PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬で扁平上皮がんに効果に違いが出るのか興味深いところではある。(Cappuzzo F, et al. OA 14-02)小細胞肺がんのトピックスSensitive Relapse小細胞肺がんを対象にカルボプラチン+エトポシドとトポテカンを比較した第III相試験トポテカンはヨーロッパでは小細胞肺がんの2次療法で承認されている数少ない抗がん剤であり、ヨーロッパだけでなく本邦含めグローバルで標準療法として広く用いられている。この試験では、初回治療から90日以上たってから再燃してきた小細胞肺がんをsensitive relapse小細胞肺がんとして定義しており、この対象を満たし初回治療でプラチナ+エトポシド療法が施行されている患者に対して、カルボプラチン+エトポシドとトポテカンの比較試験が行われた。この試験での意義は初回治療のre-challengeと標準療法であるトポテカンのどちらが良いかを比較している点で、今までのクリニカル・クエスチョンを確認する試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、中央値がre-challenge群で4.7ヵ月(95%CI:3.9~5.5)、トポテカン群で2.7ヵ月(95%CI:2.3~3.2)、PFSがHR0.6、95%CIは0.4~0.8、p<0.002であり、re-challenge群が有意にPFSを延長していた。またre-challenge群とトポテカン群の比較において、他の主な評価項目では、奏効率が49% vs.25%(p<0.002)とre-challenge群で有意に奏効率が高かったが、全生存期間ではmOSが7.5ヵ月(95%CI:5.4~8.7)vs.7.4ヵ月(95%CI:6.0~9.3)であり、両群で有意な差を認めなかった。毒性では、トポテカン群はGrade3/4の好中球減少が35.8% vs.19.7%(p<0.001)と有意に高かったが、発熱性好中球減少症が13.6% vs.6.2% (p=0.19)で両群に有意な差を認めず、その他の毒性も両群で差を認めなかった。この試験の結果からは、日常臨床で行われることが多いsensitive relapse小細胞肺がんにおけるre-challenge療法を、標準療法の一つとして考えてもよいのかもしれない。(Monnet I, et al. OA 15-02)

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局所進行NSCLCのCRT、10年でどこまでcure?(WJTOG0105)/ESMO2019

 WJTOG0105は、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)における、胸部放射線治療(TRT)の併用化学療法として、第3世代レジメン(イリノテカン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチン)と第2世代レジメン(マイトマイシンC+ビンデシン+シスプラチン)を比較した第III相試験である。この試験の結果、第3世代レジメンによる化学放射線療法(CRT)は切除不能Stage III NSCLCの標準治療の1つとして確立された。しかし、CRTによる累積毒性と長期生存はまだ明らかになっていない。国立がん研究センター東病院の善家 義孝氏は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、わが国のStage III NSCLCにおけるCRTの生存と毒性の10年間追跡調査の結果を報告した。・対象:切除不能Stage IIIA/B NSCLC(70歳未満、PS 0~1)・対照群[A群]シスプラチン+ビンデシン+MMC(4週ごと2サイクル)+TRT(60Gy)→シスプラチン+ビンデシン+MMC(4週ごと2サイクル)・試験群[B群]イリノテカン+カルボプラチン(毎週6週間)+TRT(60Gy)→カルボプラチン+イリノテカン(3週ごと2サイクル)[C群]パクリタキセル+カルボプラチン(毎週6週間)+TRT(60Gy)→パクリタキセル+カルボプラチン(3週ごと2サイクル)。・評価項目:5年および10年の全生存(OS)率、晩期毒性(CRT開始後90日以降に発生) 主な結果は以下のとおり。・2001年9月~2005年9月に440例が登録され、A群(n=146)、B群(n=147)、C群(n=147)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は140ヵ月であった。・OSはA群20.5ヵ月に対しB群19.8ヵ月(ハザード比[HR]:1.18、95%信頼区間[CI]:0.82~1.51)、C群22.0ヵ月(HR:1.01、95%CI:0.79~1.30)であった。・5年OS率はA群20.8%、B群16.0%、C群18.3%、10年OS率はそれぞれ13.6%、7.5%、15.2%であった。・5年無増悪生存(PFS)率はA群10.2%、B群10.8%、C群12.3%、10年PFS率はそれぞれ8.5%、5.9%、11.1%であった。・Grade3/4の晩期毒性はA群3.4%(心臓0.7%、肺2.7%)、B群で3.4%(肺のみ)、C群4.1%(肺のみ)、Grade5は、C群で0.7%(肺のみ)であった。 C群のカルボプラチン+パクリタキセルは、A群と同程度の効果と毒性プロファイルを有していることが示された。10年OS率15%、PFS率11%という結果から、免疫療法を含めた新たな治療戦略が必要だとしている。 発表者の善家義貴氏との1問1答はこちら。この試験を行った背景について教えてください。 Stage IIIのCRTは従来5年生存をcureの指標としていましたが、がん患者さんの生存が延長した現在、cureは10年生存でみるべきだといえます。しかし、CRTを10年間観察した大規模研究はありませんでした。そこで、今回初めて、CRTが10年という長期のcureを実現しているのかを追跡評価しました。この結果をどう評価されますか。 今までCRT後の生存率は5年で20%と言われていましたが、その後はどのようになるのか明らかになっていませんでした。今回の試験で、10年で15%というデータが出たことは重要だと思います。 また現在、実臨床で使われているCRTの化学療法は、ほとんどがC群のカルボプラチン+パクリタキセルだと思います。当試験の結果からも、このレジメンが効果、安全性ともにスタンダードであると言えると思います。この試験で苦労されたことは? 10年間、患者さんの生存調査をすることは大変な作業でした。しかし、この難しい作業を研究者の先生方は快く協力していただけました。その背景には、この研究の結果をぜひ知りたいという強い興味が、肺がん診療医にあったのではないかと思います。 CRTはcureを目指す治療です。10年生存15%は満足な数字だとは言えません。今後は免疫療法などで、どこまで引き上げられるかが課題です。

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早期TN乳がんの術前化学療法にペムブロリズマブ追加でpCR改善(KEYNOTE-522)/ESMO2019

 新規に診断された早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して、術前化学療法にペムブロリズマブを追加することにより、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に上昇したことがKEYNOTE-522試験で示された。また、術前/術後のペムブロリズマブ投与により無イベント生存率(EFS)が改善する傾向もみられた。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が発表した。 本試験は、早期TNBCに対してペムブロリズマブの術前化学療法との併用および術後補助療法での投与について検討した、初のプラセボ対照無作為化比較第III相試験である。・対象:新規に診断されたTNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群)・対照群: 術前に化学療法(試験群と同様)+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・1,174例が2:1に無作為化され、ペンブロリズマブ群に784例、プラセボ群に390例が割り付けられた。・追跡期間中央値はペムブロリズマブ群15.3ヵ月、プラセボ群15.8ヵ月であった。・主要評価項目のpCR(ypT0/Tis ypN0)は、ペムブロリズマブ群は64.8%とプラセボ群51.2%に対して有意な改善を示した(p=0.00055)。・副次評価項目のpCR(ypT0 ypN0)およびpCR(ypT0/Tis)も、ペムブロリズマブ群vs.プラセボ群でそれぞれ59.9%vs.45.3%および68.6%vs.53.7%と同様であった。・PD-L1発現の有無別のペムブロリズマブ群とプラセボ群におけるpCR(ypT0/Tis ypN0)は、PD-L1陽性で68.9%vs.54.9%、PD-L1陰性で45.3%vs.30.3%であり、PD-L1発現にかかわらず、ペムブロリズマブの改善効果が認められた。・EFSの最初の中間解析でのイベント発生率は、ペムブロリズマブ群7.4%、プラセボ群11.8%で、ハザード比は0.63(95%信頼区間:0.43~0.93)であったが、事前に設定したp値の有意水準を達成しなかった。18ヵ月時のEFSはペムブロリズマブ群91.3%、プラセボ群85.3%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、術前療法期ではペムブロリズマブ群76.8%、プラセボ群72.2%、術後療法期では5.7%、1.9%であった。・Grade3以上の免疫介在性有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群14.1%、プラセボ群2.1%であった。

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小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:  エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目: [主要評価項目]OS [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性、忍容性 ESMO2019での発表は、D+EP群とEP群における、臨床関連分析(Clinically relevant analysis)の結果である。 主な結果は以下のとおり。・2019年3月11日の時点で、D+EP群265例とEP群266例が各治療を受けた。・OS中央値はD+EP群13.0ヵ月、EP群10.3ヵ月で、D+EP群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.591~0.090、p=0.0047)・PFS中央値はD+EP群5.1ヵ月、EP群5.4ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.645~0.936)・PD-L1評価可能な症例277例(D+EP群151例、EP群126例)のうちPD-L1発現が1%未満の症例は、TCで94.9%、ICで77.6%と、PD-L1発現症例は少なかった。・PD-L1発現とOSの関係は示されなかった(TCのp=0.54、ICのp=0.23)。・患者報告アウトカム(PRO)による症状悪化までの期間(TTD)は、すべての項目においてD + EP群が長かった。 ES-SCLCの1次治療におけるデュルバルマブのエトポシド+シスプラチン/カルボプラチンへの追加は、有意にOSを改善する一方、QOLを維持し、症状悪化までの時間を延長した。

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小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ+化学療法の成績(IMpower133)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133では、アテゾリズマブの追加による生存改善が、世界肺がん学会(WCLC2019)で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、同試験の全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、奏効率(ORR)、安全性について最新のデータが発表され、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorのMartin Rech氏が報告した。 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む、PS 0~1)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(アテゾリズマブ群)・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(プラセボ群)・評価項目: [主要評価項目]OS、治験医師評価による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。・今回の追跡期間中央値は22.9ヵ月であった。・OS中央値はアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.76、95%CI:0.60~0.95、p=0.0154)。・ORRはアテゾリズマブ群60.2%、プラセボ64.4%であった。・DORはアテゾリズマブ群4.2ヵ月、プラセボ3.9ヵ月であった。・PD-L1 1%以上(TC or IC)のOSはアテゾリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群10.6ヵ月(HR:0.87)、PD-L1 1%未満(TC or IC)OSはアテゾリズマブ群10.2ヵ月、プラセボ群8.3ヵ月(HR:0.51)であった。・Grade3/4の有害事象はアテゾリズマブ群67.7%、プラセボ群63.3%、Grade5は共に1.5%の発現率であった。

157.

卵巣がん、導入・維持療法でのveliparib投与でPFS延長/NEJM

 StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんに対し、導入化学療法としてカルボプラチン+パクリタキセル+veliparibを行い、その後に維持療法としてveliparib単独療法を行うレジメンが、カルボプラチン+パクリタキセルの導入化学療法のみの場合と比べて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのRobert L. Coleman氏らが、北米・日本などの患者1,140例を対象に行った第III相の国際共同プラセボ対照無作為化比較試験の結果を、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に発表した。高悪性度漿液性卵巣がん患者の初回治療として、veliparibのようなADPリボースポリメラーゼ阻害薬を化学療法への上乗せや維持療法として使用することに関して、データは限定的であった。BRCA変異コホート、HRDコホート、ITT集団で解析  研究グループは、StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんで未治療の患者において、veliparibをファーストライン導入化学療法のカルボプラチン+パクリタキセルに上乗せし、続いて単独維持療法として使用する場合の有効性を評価した。 被験者を無作為に1対1対1の3群に分け、1群にはカルボプラチン+パクリタキセル+プラセボ投与後に維持療法としてプラセボを投与(対照群)、2群にはカルボプラチン+パクリタキセル+veliparib投与後に維持療法としてプラセボを投与(veliparib導入療法併用のみ群)、3群にはカルボプラチン+パクリタキセル+veliparib投与後に維持療法としてveliparibを投与した(veliparib導入・維持使用群)。 腫瘍縮小術は、試験治療開始前または同治療3サイクル後に実施可能とした。いずれの試験治療も導入化学療法は6サイクル、維持療法は30サイクル行った。 主要エンドポイントは、対照群と比較したveliparib導入・維持使用群の試験担当者評価によるPFSだった。BRCA変異コホート、相同組み換え修復異常(HRD)コホート(BRCA変異コホートを含む)、intention-to-treat(ITT)集団について、段階的に解析を行った。PFS中央値、各コホート解析でveliparib導入・維持使用群が有意に延長 2015年7月~2017年7月に合計1,140例が無作為化を受けた(対照群375例、veliparib導入療法併用のみ群383例、veliparib導入・維持使用群382例)。BRCA変異コホートには298例(26%)が、HRDコホートには627例(55%)が包含された。 BRCA変異コホートにおいて、PFS中央値はveliparib導入・維持使用群34.7ヵ月、対照群22.0ヵ月だった(病勢進行または死亡に関するハザード比:0.44、95%信頼区間[CI]:0.28~0.68、p<0.001)。HRDコホートでは、それぞれ31.9ヵ月、20.5ヵ月だった(0.57、0.43~0.76、p<0.001)。ITT集団では、それぞれ23.5ヵ月、17.3ヵ月だった(0.68、0.56~0.83、p<0.001)。 veliparib使用群では、カルボプラチン+パクリタキセルと併用時に貧血や血小板減少症の発現頻度が高く、全体的に悪心、疲労の発現頻度が高かった。 なお著者は、「veliparib導入療法のみ併用群の有用性については明らかではなかった」と述べている。

158.

BRCA変異HER2-進行乳がん、veliparib追加でPFSが有意に改善(BROCADE3)/ESMO2019

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異のあるHER2陰性進行乳がんに対して、カルボプラチン+パクリタキセルへのPARP1/2阻害薬であるveliparibの上乗せ効果を検討した第III相BROCADE3試験の結果、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが示された。veliparibの追加による毒性プロファイルの変化はみられなかった。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、フランス・Centre Eugene MarquisのVeronique C. Dieras氏が発表した。 gBRCA遺伝子変異のある進行乳がんを対象とした第II相試験では、カルボプラチン+パクリタキセルにveliparibを上乗せすることにより、PFS中央値および全生存期間(OS)中央値がより大きく、毒性の上乗せは軽度であることが示されていた。・対象:gBRCA1/2変異陽性のHER2陰性進行乳がん(転移に対する細胞傷害性の抗がん剤治療が2レジメン以下、プラチナ製剤は1レジメン以下、投与終了から12ヵ月以内に進行なし)・試験群:veliparib(120mg1日2回、Day -2~5)+カルボプラチン(AUC 6、Day 1)/パクリタキセル(80mg/m2、Day 1、8、15)21日ごと 337例・対照群:プラセボ+カルボプラチン/パクリタキセル 172例・評価項目: [主要評価項目]PFS [副次評価項目]OS、クリニカルベネフィット率(CBR)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、PFS2 主な結果は以下のとおり。・主治医評価によるPFS中央値は、veliparib群14.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.5~17.7)、プラセボ群12.6ヵ月(95%信頼区間:10.6~14.4)で、ハザード比は0.705(95%CI:0.566~0.877、p=0.002)と有意に改善した。3年時のPFSはveliparib群26%、プラセボ群11%だった。・独立中央委員会判定によるPFS中央値は、veliparib群19.3ヵ月(95%CI:16.5~23.3)、プラセボ群13.5ヵ月(95%CI:12.5~16.3)で、ハザード比は0.695(95%CI:0.537~0.899、p=0.005)と有意に改善した。3年時のPFSはveliparib群37%、プラセボ群20%だった。・OS中央値はveliparib群33.5ヵ月(95%CI:27.6~37.9)、プラセボ群28.2ヵ月(95%CI:24.7~35.2)で、ハザード比は0.945(95%CI:0.729~1.225、p=0.666)だった。なお、プラセボ群の44%の患者がクロスオーバーしていた。・24週時のCBRはveliparib群90.7%、プラセボ群93.2%、ORRはveliparib群75.8%、プラセボ群74.1%だった。・DOR中央値はveliparib群14.7ヵ月、プラセボ群11.0ヵ月だった。・PFS2中央値はveliparib群21.3ヵ月(95%CI:19.8~25.1)、プラセボ群17.4ヵ月(95%CI:16.0~20.0)で、ハザード比は0.760(95%CI:0.603~0.959、p=0.020)だった。・とくに注目すべき有害事象のGrade3以上の発現率は、veliparib群、プラセボ群の順に、好中球減少症が81%、84%、血小板減少症は40%、28%、貧血は42%、40%、嘔気は6%、4.1%だった。

159.

アテゾリズマブ+化学療法の1次治療、進行尿路上皮がんのPFS改善(IMvigor130試験)/ESMO2019

 未治療の進行尿路上皮がん患者に対する、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブとプラチナベース化学療法併用の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、スペイン・MD Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏から発表された。 本試験は日本も参加した国際共同の部分盲検の第III相比較試験である。・対象:シスプラチン投与適応または不適応の局所進行もしくは転移を有する尿路上皮がん患者1,213例・試験群:1次療法として、アテゾリズマブ+化学療法群(ATEZ併用群:451例)、およびアテゾリズマブ単剤投与群(ATEZ単独群:362例)・対照群:プラセボ+化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン/カルボプラチン)群(CT群:400例)・評価項目:[主要評価項目]ATEZ併用群とCT群における、主治医判定による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率、奏効期間(DOR)、PD-L1陽性集団におけるPFSとOS、安全性 事前に計画された統計学的な設定として、初めにATEZ併用群とCT群間のPFSを検討し、そこで有意差が検出されれば、OSの検定を実施するといった階段的な統計手法が用いられている。さらに、OSで有意差が示された場合、ATEZ単独群とCT群のOSを比較する設定となっている。 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値は11.8ヵ月であった。・登録全症例(ITT集団)におけるPFS中央値はATEZ併用群で8.2ヵ月、CT群で6.3ヵ月、ハザード比(HR)0.82(95%信頼区間[CI]:0.70~0.96)、p=0.007と統計学的な有意差が認められた。・ITT集団におけるOS中央値はATEZ併用群で16.0ヵ月、CT群は13.4ヵ月、HR 0.83(95%CI:0.69~1.00)、p=0.027であり、本中間解析の時点では事前に設定した水準を超えず、統計学的な有意差は認められなかった。 探索的な解析として、ATEZ単独群とCT群の比較も実施された。・ITT集団におけるOS中央値は、それぞれ15.7ヵ月、13.1ヵ月で、HR 1.02(95%CI:0.83~1.24)だった。・PD-L1陽性(IC2/3)の患者層では、ATEZ単剤群とCT群のOS中央値はそれぞれ未到達と17.8ヵ月、HR 0.68(95%CI:0.43~1.08)であった。PD-L1陽性/陰性(IC0/1)の患者層では、それぞれ13.5ヵ月と12.9カ月、HR 1.07(95%CI:0.86~1.33)だった。・各群の奏効率はATEZ併用群47%、CT群44%、ATEZ単独群23%で、そのうち完全奏効の割合はそれぞれ13%、7%、6%だった。・各群のDOR中央値はATEZ併用群8.5ヵ月、CT群7.6ヵ月、ATEZ単独群は未到達であった。・有害事象による治療中止はATEZ併用群34%、CT群34%、ATEZ単独群6%、であり、ATEZ併用群の忍容性が認められた、また、ATEZ併用群の安全性プロファイルは、これまでのそれぞれの治療薬のプロファイルと同様であり、新たな予見はみられなかった。

160.

アテゾリズマブ単剤、PD-L1高発現NSCLCで生存改善(IMpower110)/ESMO2019

 PD-L1発現非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、アテゾリズマブ単剤と化学療法を比較する第III相試験IMpower110の中間解析の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国:Sarah Connon Research IncstituteのDavid R Spigel氏が発表した。IMpower110の中間解析でアテゾリズマブ単剤療法は有効な選択肢 ・対象:PD-L1陽性のStage IVNSCLC(扁平上皮および非扁平上皮)・試験群:アテゾリズマブ 3週ごと→アテゾリズマブ 3週ごと・対照群: [非扁平上皮がん]シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド 4または6週ごと→ペメトレキセド [扁平上皮がん]シスプラチン/カルボプラチン+ゲムシタビン4または6週ごと→BSC 各群のレジメンに従いPDとなるまで薬剤を投与した。・評価項目: [主要評価項目]EGFRまたはALK遺伝子野生型集団(WT)のOS [副次評価項目]治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR) IMpower110の中間解析の主な結果は以下のとおり。・572例が登録され、アテゾリズマブ群と化学療法群に1:1に無作為に割り付けされた。・PD-L1高発現(TC3またはIC3[TC 50%以上またはIC 10%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群20.2ヵ月、化学療法群13.1ヵ月で、アテゾリズマブ群で有意に延長した(HR:0.59、95%CI:0.40~0.89、p=0.0106)。・PD-L1中等~高度発現(TC2/3またはIC2/3[TCまたはIC 5%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群18.2ヵ月、化学療法群14.9月(HR:0.72、95%CI:0.52~0.99、p=0.0416)であったが、事前に決定したα水準を超えなかった。・全PD-L1発現(TC1/2/3またはIC1/2/3[TCまたはIC 1%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群17.5ヵ月、化学療法群14.1ヵ月であった(HR:0.83、95%CI:0.65~1.07、p=0.148)(TC2/3またはIC2/3集団において事前に設定した水準を超えなかったため、正式に検討されていない)。・PD-L1高発現WT集団におけるPFSは、アテゾリズマブ群8.1ヵ月、化学療法群5.0ヵ月で、アテゾリズマブ群で有意に延長した(HR:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007)。・PD-L1高発現WT集団のORRはアテゾリズマブ群38.3%、化学療法群28.6%、DORはアテゾリズマブ群未達、化学療法群6.7ヵ月であった。・全有害事象(AE)はアテゾリズマブ群90.2%、化学療法群94.7%、Grade3~4のAEはアテゾリズマブ群31.8%、化学療法群53.6%で新たに報告されたものはなかった。 発表者のSpigel氏は、アテゾリズマブ単剤療法はPD-L1高発現1次治療の有効な選択肢である可能性を示したと結論付けた。

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