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新規分子標的薬ラロトレクチニブ、TRK融合遺伝子陽性がんに奏効/NEJM

 高選択性トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬larotrectinibによる「年齢・腫瘍非依存的治療(“age- and tumor-agnostic”therapy)」は、TRK融合遺伝子陽性がん患者において、年齢や腫瘍の種類にかかわらず著明かつ持続的な抗腫瘍活性を示すことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2018年2月22日号に掲載された。3種類のTRK(TRKA、TRKB、TRKC)の1つを含む融合遺伝子が、小児と成人の多様ながんで同定されている。これらの融合遺伝子は、原発組織にかかわらず、がん遺伝子中毒(oncogene addiction)を引き起こし、全固形がんの最大1%への関与の可能性が示唆されている。3つのプロトコールの統合解析 研究グループは、TRK融合遺伝子陽性の腫瘍を有する成人と小児患者において、larotrectinibの有効性と安全性の評価を行った(Loxo Oncology社などの助成による)。 対象は、各施設がルーチンに行っている分子プロファイリング法でTRK融合遺伝子陽性と判定された局所進行・転移性固形がんで、全身状態(ECOG PS)が0~3の患者であった。被験者は、次の3つのプロトコールのいずれかに登録された。1)成人が対象の第I相試験、2)小児が対象の第I/II相試験、3)思春期の小児と成人が対象の第II相試験。 主要エンドポイントは、独立評価委員会(IR)の判定による全奏効率とし、3つのプロトコールの統合解析を行った。副次エンドポイントには、奏効期間、無増悪生存、安全性などが含まれた。全奏効率はIR判定で75%、担当医判定で80% 2015年3月~2017年2月の期間に55例が登録された。年齢中央値は45.0歳(範囲:生後4ヵ月~76歳)であり、男性が29例であった。全身化学療法歴は、0~1レジメンが27例、2レジメンが9例、3レジメン以上が19例だった。 解析には、17種の特異なTRK融合遺伝子陽性腫瘍が含まれた。唾液腺腫瘍(12例)が最も多く、次いでその他の軟部組織肉腫(筋周皮腫、非特定型肉腫、末梢神経鞘腫瘍など11例)、乳児線維肉腫(7例)、甲状腺がん(5例)、結腸がん(4例)、肺がん(4例)、悪性黒色腫(4例)、GIST(3例)などの順であった。 IR判定による全奏効率は75%(95%信頼区間[CI]:61~85)で、そのうち完全奏効(CR)が13%、部分奏効(PR)が62%であり、安定(SD)は13%、病勢進行(PD)は9%、4%が評価不能であった。また、担当医判定の全奏効率は80%(95%CI:67~90)で、そのうちCRが16%、PRが64%であり、SDは9%、PDは11%だった。奏効例は、腫瘍の種類、年齢、TRK融合の特性にかかわらず認められた。 奏効までの期間中央値は1.8ヵ月(範囲:0.9~6.4)であった。1年時に、奏効例の71%で奏効が持続しており、全患者のうち55%が無増悪を維持していた。奏効期間中央値と無増悪生存期間中央値は未到達だった。また、追跡期間中央値9.4ヵ月時に、奏効例の86%(38/44例)が治療を継続しているか、根治を目的とする手術を受けていた。 有害事象は、多くがGrade 1であった。担当医判定によるGrade 4の薬剤関連有害事象はみられず、Grade 3の発現率はいずれも5%以下であった(ALTまたはASTの上昇:5%、めまい:2%、悪心:2%、貧血:2%、好中球数の減少:2%)。また、薬剤関連有害事象により治療を中止した患者は認めなかった。 著者は、「これらのデータにより、TRK融合遺伝子は、治療標的として妥当であるだけでなく、larotrectinibに対する腫瘍非依存性の感受性をもたらすことが示された」とし、「ベネフィットを得る可能性のある患者を同定するには、TRK融合遺伝子を検出するスクリーニング戦略が必要となるだろう」と指摘している。

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夢遊病に関するシステマティックレビュー

 夢遊病を誘発する薬剤は、患者自身だけでなく他人に対しても傷害のリスクをもたらし、服薬アドヒアランスに対しても影響を及ぼす。オーストラリア・南オーストラリア大学のHelen M. Stallman氏らは、夢遊病リスクを高める可能性のある薬剤を特定するため、文献のシステマティックレビューを行った。Sleep medicine reviews誌2018年2月号の報告。 夢遊病(「sleepwalking」「somnambulism」)をキーワードとして、CINAHL、EMBASE、PsycINFO、PubMed、ScienceDirectより検索を行った。83件が抽出され、そのうち基準を満たした62件をレビュー対象とした。 主な結果は以下のとおり。・主に以下の4クラス(29薬剤)が、夢遊病のトリガーであると同定された。 (1)ベンゾジアゼピン受容体アゴニストおよび他のGABAモジュレーター (2)抗うつ薬および他のセロトニン作動薬 (3)抗精神病薬 (4)β遮断薬・薬剤誘発性夢遊病の最も強力なエビデンスは、ゾルピデムとsodium oxybateであった。・その他すべての関連は、症例報告に基づいていた。 著者らは「本研究は、臨床試験のリスクプロファイルにおける夢遊病の重要性を示唆しており、とくにGABAA受容体でのGABA活性およびセロトニン作動活性の増強、β遮断薬によるノルアドレナリン活性の遮断を伴う薬剤で注意が必要である。薬剤による夢遊病リスクの懸念がある場合には、患者に対し安全な睡眠環境についての教育を行い、夢遊病の発症または悪化を報告することが推奨され、発症した際の代替治療の検討を行うべきである」としている。■関連記事夢遊病にビペリデンは有望!?がん患者の悪夢に有効な治療法はベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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011)国試会場での思い出【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第11回 国試会場での思い出しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今年から2日間になった医師国家試験。今年の傾向など詳しいことは把握していませんが、自分のときの(遠いおぼろげな)記憶を辿りつつ、今回は試験会場での思い出を漫画にしました!デルぽんは、県外からの遠征だったため、会場近くに宿をとっての受験となった訳ですが。ほんとうに消耗し、脳が溶け出るかと思われた、あの3日間!もはや過去すぎて細かいことは忘れましたが、思い出すのはしょうもないエピソードばかり・・・です。とくに、試験前夜に某バラエティ番組の収録会場を路上で見かけたことと、試験3日目の最終試験終了後に、後ろの席の男子が隣の女子をナンパしていたことが印象に残っています。(いずれも試験関係なし)男というものは、いかなる状況でもナンパを止めない生き物なのでしょうか・・・。念のために補足すると、デルぽんは「女医」ですよ。フフフ(よく勘違いされる)。国試の3日間しんどかったですけど、不思議と楽しかったような記憶にすり替えられつつある試験の思い出でした~!(専門医試験のほうがもっと暗黒でした☆)では、また次回! バーイ☆

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第1回稲門医学会学術集会を開催

 2018年1月28日、早稲田大学校友の医療者で組織する稲門医師会が新たに立ち上げた稲門医学会*は、早稲田大学で初めての学術集会を開催した。当日は、全国より医療関係者が多数参集。基礎医学、臨床医学、社会医学など幅広い分野にわたり、シンポジウムや口演が開催された。*稲門医師会は2016年に設立された早稲田大学公認の校友会。早稲田大学校友(中退含む)で、医師・歯科医師・看護師・薬剤師のいずれかの資格者と学生で構成(2017年7月現在で会員数345名)。会員同士の親睦・交流に留まらず、医療に関する社会への情報発信、健康分野における研究・教育面で大学との連携、地域稲門会・学生・校友との連携など、さまざまな観点からの活動の展開を目標としている。次代の医師に必要な力とは? 学術集会では3題の基調講演が行われ、初めに「これからの医師に求められること(日本・アジアでの在宅医療・遠隔医療・ICTシステムの開発の経験から)」をテーマに武藤 真祐氏(鉄祐会 祐ホームクリニック理事長 )が、医師が今後おかれる環境について語った。 武藤氏は、循環器内科の臨床家としての顔だけでなく、過去に医療系コンサルタントとして活躍した経歴を持つ臨床医である。2010年より在宅医療を提供するクリニックを運営し、東日本大震災の直後には、甚大な被害のあった石巻の医療の空白を埋めるべく、祐ホームクリニック 石巻を立ち上げ、医療・生活支援を現在も行っている。 こうした在宅診療所の成功の裏には、医師が診療に集中できるための仕組み作りが欠かせないと語る。たとえば、ICTを活用したハードウェアの導入、メディカルクラークによる医師負担の軽減がある。そして、在宅医療を行って感じた課題として、「医療へのアクセス」「患者の理解度のばらつき」「患者のアドヒアランス」があると指摘。これらを解決する手段としてICTの活用は欠かせないと提案した。また、今後、本格的に導入されると思われる医師と患者の遠隔診療について「YaDoc」を開発し、現在、福岡で従来の対面診療の補完として試行をしていると紹介。今後こうしたシステムが、日本型の地域包括ケアの一形態となり、患者を見守る仕組みとして普及していくと展望を述べた。 武藤氏は最後に、「医師が、今後増え続ける膨大な医療情報を覚え理解することは不可能に近い。そこで、これからの医師には『人間力が必要だ』」と語る。「たとえば、『患者に寄り添う力』は人工知能(AI)にはできないことであり、次代の医師にはこうした力をつけて欲しい」と述べ、講演を終えた。2035年の日本の医療の姿 次に「医療の将来と医師の働き方」をテーマに渋谷 健司氏(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授)が、2015年に厚生労働省が発表した「保健医療2035」を題材に、医療のこれからの在り方と医師の働き方改革への提言を行った。 高齢化が進む日本で、高齢者の平均寿命の延びに伴い、健康寿命の延伸も政府の目標となっているが、国内では地域により寿命格差がすでに生じていると指摘する。こうした環境の中で、保健や医療は患者個々の要求に合わせる時代へと入り、今までのトップダウン型からボトムアップ型への体制変革が求められていると、新しい保健医療制度の必要性を強調した。 そして、新しい制度の概念として、医療経済では規制の強化と市場原理の導入という相反する考え方のバランスを考慮すること、健康が当たり前の社会となるように予防医学などにも力を入れることなど具体策を提案した。 また、医師の働き方については、現在の行政の問題設定に苦言を呈し、「まず実態を把握し、それに基づいた問題設定をしないと解決は難しく、医師不足だから増員や強制配置では解決にならない」と渋谷氏は指摘した。たとえば医師の偏在であれば、「各地域で必要とされる機能を確認し、配置を考えないといけない」と提案を行い、講演を終えた。かかりつけ医が患者を支える地域医療へ向けて 最後に「地域医療体制の再構築に向けて」をテーマに横倉 義武氏(日本医師会会長、世界医師会会長)が、医師会の役割と今後の展望、そして地域医療の将来を語った。 医師会は学術団体であり、会員は常に倫理・品性の確立と医療知識の習得、技術の向上を図っている。地域の医師会では、行政協力も盛んであり、まさに住民の健康を支えていると医師会の役割について述べた。また、世界医師会は、患者や医師にとって重要なステートメントである「リスボン宣言(患者の権利)」や「ヘルシンキ宣言(医の倫理)」などを発し、世界の医療の向上に貢献をしていると説明した。 次いで、今後の地域医療について解説し、高齢化社会の現在、持続可能な社会保障のための提言と解決策として、外来では「かかりつけ医」を主体に適切な受診行動や地域包括ケアができること、コスト意識を持った処方をガイドラインへの掲載を通じて行うこと、長期処方の是正はかかりつけ医の服薬管理で行うことなどの提案を行った。また、高齢化社会における医療提供体制の構築については、地域医療構想調整会議を経て計画・調整されつつあり、2025年の医療需要に焦点をあて策定されると説明した。そのほか、切れ目のない医療・介護の提供のため、かかりつけ医を中心とした仕組み作りを推進。地域の医療・介護資源に応じた対応を、行政、専門医療機関、多職種間の連携により実施していきたいと展望を語った。 横倉氏は最後に、「より良い医療を国民と医師とで考えながら、今後も医療全体の向上に寄与していきたい。また、昨年、医師会の設立記念日の11月1日を『いい医療の日』と制定した。今後もいい医療の提供にまい進していきたい」と語り、講演を終えた。■参考稲門医学会

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高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連

 効果に比べ有害事象のリスクが高い薬剤は高齢者に向いているといえず、これらの薬剤はPIM(Potentially Inappropriate Medication)と呼ばれている。一部の抗うつ薬はPIMであると考えられるが、抗うつ薬とその後の認知症との関連については、これまでの研究で明らかになっていない。ドイツ・ボン大学のKathrin Heser氏らは、抗うつ薬(とくにPriscusリスト[ドイツ版のビアーズリスト]でPIMとみなされている抗うつ薬)の服用が、認知症発症を予測するかについて検討を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。 非認知症のプライマリケア患者3,239例(平均年齢:79.62歳)におけるプロスペクティブコホート研究のデータを用いて、Cox比例ハザードモデルの計算を行った。12年間で8回以上のフォローアップにおけるその後の認知症リスクは、抗うつ薬服用および共変量に応じて推定した。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬服用は、その後の認知症リスク増加と関連が認められた(HR:1.53、95%CI:1.16~2.02、p=0.003[年齢、性別、教育で調整後])。・年齢、性別、教育、うつ症状で調整したモデルにおいて、PIMとみなされている抗うつ薬は、その後の認知症リスク増加と関連が認められた(HR:1.49、95%CI:1.06~2.10、p=0.021)。一方、その他の抗うつ薬は、関連が認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.66~1.66、p=0.863)。・ベースライン時に全体的な認知機能がコントロールされた場合、有意な関連は消失した。 著者らは「選択バイアスや自己報告による薬物評価など、方法論的な限界が本結果に影響を及ぼした可能性がある」としながらも、「PIMとみなされる抗うつ薬だけが、その後の認知症リスク増加と関連していた。これは、抗コリン作用が、原因の可能性がある。そして、この関連は、ベースライン時の全体的な認知機能を統計学的にコントロールした後に消失した。そのため、医師は可能な限り、高齢者へのPIMとみなされる抗うつ薬使用を避けるべきである」としている。■関連記事注意が必要、高齢者への抗コリン作用抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響うつ薬の適応外処方、普及率はどの程度

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第6回HBOCコンソーシアム学術総会レポート 前編

本年(2018年)1月21日(日)、第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会(会長:山内 英子氏/聖路加国際病院副院長)が、「実戦! THE NEXT STEP HBOC診療」をテーマに、聖路加看護大学アリスホールで開催された。ここでは、4つのシンポジウムで構成された当総会を2回に分けてレポートする。今回は、前編として、シンポジウム1「チーム医療」の概要を紹介する。HBOCのチーム医療の現況…6施設の報告から当シンポジウムでは、6施設が、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のチーム医療の現況を報告した。引き続き、来場者参加型の投票システムを用いて、HBOC診療に関する質問への回答を即座に集計してスクリーンに掲示することで、HBOC診療の現状を広く共有し、議論を深める試みがなされた。最初に報告を行った関西ろうさい病院(兵庫県尼崎市)では、臨床遺伝専門医、遺伝カウンセラー、各種専門看護師を中心とした遺伝カウンセリング外来を設置して遺伝性腫瘍の診療を行っている。また、乳腺科や婦人科などとの連携を常に意識して診療に当たっている。臨床試験に頼らずにHBOCの拾い上げを行うことが今後の課題であり、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の基幹施設になることが目標だという。東京医療センター(東京都目黒区)では、HBOC診療において、乳腺科・婦人科との連携から、臨床遺伝センターでの遺伝カウンセリング、遺伝学的検査、各科のサーベイランス、予防切除術まで、一貫して行える体制を整備してきた。HBOC疑い例の拾い上げには、問診票を用いているが、かかりつけ医からの紹介なども重要だという。そのため、かかりつけ医を対象とする講演会を実施し、リーフレットを作製して保健所や福祉センター、区役所に送付するなど、地域連携を積極的に進めている。北野病院(大阪府大阪市)では、遺伝性疾患サポートチームを中心に、複数の診療科などが連携している。HBOC疑い例の拾い上げを重視し、乳腺外科では初診患者に対し初診問診票を用いて、婦人科では卵巣がんと診断された患者に対し遺伝性腫瘍に特化した問診票を用いて家族歴を聴取している。最近、消化器内科と乳腺外科との連携による、膵がんへの取り組みも開始した。また、地域の他施設医療者への遺伝性腫瘍セミナーや、市民公開講座を開催し、院外からの遺伝カウンセリングや、リスク低減手術の依頼にも応じている。今後は、HBOC診療に関わる診療科を増やすとともに、人材育成、保険診療の実現に向けた学会からの働きかけを推進する予定だという。名古屋市立大学病院(愛知県名古屋市)では、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーから成る臨床遺伝医療部が、他科との連携のもとで遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングを行っている。今後は、消化器内科、外科、泌尿器科との連携を強化し、認定遺伝カウンセラーの雇用条件の改善と増員、遺伝子パネル検査の導入を進める予定だ。新潟大学医歯学総合病院(新潟県新潟市)は、新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県新潟市)との共同でHBOC niigata meetingを組織した。両施設の連携のもと、症例の拾い上げからカウンセリング、BRCA遺伝子検査、リスク低減手術、サーベイランスまで、包括的なHBOC診療の取り組みを開始している。当面の課題として、県内のほかの地域の施設との連携強化、リスク低減手術を含めたHBOC診療の県内での完結、とくに乳がんからの拾い上げ基準の確立などを目指している。四国がんセンター(愛媛県松山市)では、遺伝性がん診療科を中心にHBOC診療を進めている。最近、看護師や遺伝カウンセラーが、卵巣がん患者、子宮体がん患者から家族歴を聴取し、家系図の作成に取り組んだ。この経験を踏まえ、HBOCを考慮した問診票を作成し、家系図の作成に活用する試みを開始している。今後は、このアプローチをよりよく継続するための工夫を重ね、HBOC診療に関わる多職種の連携の円滑化を図りたいという。来場者参加型アンケート調査の結果来場者参加型の投票システムを用いたアンケート調査の主な結果は、以下のとおりであった。同一施設所属者が複数いること、HBOC診療に興味を示す者であること、誤操作した可能性などがあり、一般調査結果とは異なると予想されるが、参考値として紹介する。質問1)拾い上げの基準はどのように設定しているか?NCCNガイドラインに準拠:18%NCCNガイドラインを参考に一部改変して使用:40%NCCNガイドライン以外の基準を参考にしている:3%施設内で検討した基準を使用:14%検討中:24%質問2)一次拾い上げをする人は主に誰か?主治医:62%臨床遺伝専門医:1%外来看護師:12%病棟看護師:2%認定遺伝カウンセラー:16%その他:6%質問3)主治医がどのくらい遺伝カウンセリングに関わっているか?主治医が遺伝カウンセリングをしている:18%主治医はまったく関わっていない:36%状況に応じて:46%質問4)RRM(リスク低減乳房切除術)は実施しているか?実施している:29%実施していない:25%準備中:28%導入する予定はない:8%その他:10%質問5)RRSO(リスク低減卵巣卵管切除術)は実施しているか?実施している:48%実施していない:17%準備中:19%導入する予定はない:6%その他:9%質問6)リスク低減手術の合併症の治療は保険か自費か?保険:14%自費:29%症例に応じて:12%準備中:45%

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大腸がん手術、精神疾患患者での特徴

 精神医学的状態が存在すると、複雑な臨床像や治療的考慮のため、大腸がんの外科的治療のアウトカムに影響を及ぼす可能性がある。今回、米国University Hospitals Cleveland Medical CenterのVanessa P. Ho氏らの研究により、精神医学的疾患(PSYCH)の診断を受けた患者において、閉塞、穿孔および/または腹膜炎の存在下で実施される手術(OPP手術)の割合が有意に高かったことがわかった。著者らは、PSYCH と診断された大腸がん患者において、診察時の進行した大腸がんについての臨床的意味をさらに明らかにするため、さらなる検討が必要であるとしている。Journal of Surgical Research誌2018年3月号に掲載。 著者らは、2007~11年のNational Inpatient Sampleのデータを用いて、大腸がんの診断を受け、手術を受けた患者を同定した。National Inpatient Sampleに記載されている身体的併存疾患に加えて、統合失調症、せん妄/認知症、発達障害、アルコール/薬物乱用、その他の精神医学的状態を含むPSYCH患者を同定するためにClinical Classification Softwareを使用した。本研究のアウトカムはOPP手術とした。記述的解析に加え、患者の人口統計および身体的併存疾患の調整後にPSYCH状態とOPP手術のそれぞれの独立した関連性を、多変量ロジスティック回帰分析により分析した。 主な結果は以下のとおり。・本研究集団において、手術を受けていた大腸がん患者は59万1,561例で、そのうち、65歳以上が60.6%、女性が49.4%、併存疾患を5つ以上有する患者が6.3%、PSYCH患者が17.9%であった。・OPP手術を受けた患者の割合は、研究集団においては13.9%であったが、統合失調症(19.3%)、せん妄/認知症(18.5%)、発達障害(19.7%)、アルコール/薬物乱用(19.5%)の患者では有意に高かった。・多変量解析では、統合失調症、せん妄/認知症、アルコール/薬物乱用は、それぞれOPP手術率の増加に関連していた。

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敗血症性ショックに対するグルココルチコイドの投与:長い議論の転機となるか(解説:吉田 敦 氏)-813

 敗血症性ショックにおいてグルココルチコイドの投与が有効であるかについては、長い間議論が続いてきた。グルココルチコイドの種類・量・投与法のみならず、何をもって有効とするかなど、介入と評価法についてもばらつきがあり、一方でこのような重症病態での副腎機能の評価について限界があったことも根底にある。今回大規模なランダム化比較試験が行われ、その結果が報告された。 オーストラリア、英国、ニュージーランド、サウジアラビア、デンマークのICUに敗血症性ショックで入室し、人工呼吸器管理を受けた18歳以上の患者3,800例を、無作為にヒドロコルチゾン(200mg/日)投与群とプラセボ投与群とに割り付けた。この際、SIRSの基準を2項目以上満たすこと、昇圧薬ないし変力作用のある薬剤を4時間以上投与されたことを条件とした。ヒドロコルチゾンは200mgを24時間以上かけて持続静注し、最長で7日間あるいはICU退室ないしは死亡までの投与とした。ランダム化から90日までの死亡をプライマリーアウトカム、さらに28日までの死亡、ショックの再発、ICU入室期間、入院期間、人工呼吸器管理の回数と期間、腎代替療法の回数と期間、新規の菌血症・真菌血症発症、ICUでの輸血をセカンダリーアウトカムとし、原疾患による死亡は除いた。 患者の平均年齢は約62歳、外科手術が行われた後に入室した患者は約31%、感染巣は肺(35%)、腹部(25%)、血液(7%)、皮膚軟部組織(7%)、尿路(7%)の順であり、介入前の基礎パラメーターや各検査値に2群間で差はなかった。なおショック発症からランダム化までは平均約20時間、ランダム化から薬剤投与開始までは0.8時間(中央値)であり、ヒドロコルチゾンの投与期間は5.1日(中央値)であった。 まずプライマリーアウトカムとしての90日死亡率は、ヒドロコルチゾン投与群では27.9%(1,832例中511例)、プラセボ投与群では28.8%(1,826例中526例)であり、有意差はなかった。次いでセカンダリーアウトカムでは、ショックから回復するまでの期間も、ICU退室までの期間も、さらに1回目の人工呼吸器管理の期間もヒドロコルチゾン投与群で有意に短かった(それぞれ3日と4日、p<0.001、10日と12日、p<0.001、6日と7日、p<0.001)。ただし再度人工呼吸器管理が必要な患者もおり、人工呼吸器を要しなかった期間としてみると差はなかった。輸血を要した割合も前者で少なかったが(37.0%と41.7%、p=0.004)、その他、28日死亡率やショックの再発率、退院までの日数、ICU退室後の生存期間、人工呼吸器管理の再導入率、腎代替療法の施行率・期間、菌血症・真菌血症発生率に差はなかった。 これまでの検討では、グルココルチコイドは高用量よりは低用量のほうが成績がよかったものの、二重盲検ランダム化比較試験では一致した結果が得られなかった1,2)。現行のガイドラインでも“十分な輸液と昇圧薬の投与でも血行動態の安定が得られない例”に対し、エビデンスが弱い推奨として記載されている3)。本検討は、上記のランダム化比較試験よりも症例数がかなり増えているのが特徴であり、2群で比較が可能であった項目も多い。したがって、グルココルチコイド投与の目的—改善を目指す指標—をより詳しく評価できたともいえる。一方で21例対6例と少数ではあるが、グルココルチコイド群で副作用が多く、中にはミオパチーなど重症例も存在した。グルココルチコイドとの相関の可能性を含んで、この結果は解釈したほうがよいであろう。本検討は、これまでの議論の転機となり、マネジメントや指針の再考につながるであろうか。これからの動向に注目したい。

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インデックス投資で果実を得る方法【医師のためのお金の話】第5回

インデックス投資で果実を得る方法こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)をドル・コスト平均法で購入するという、世界の株式に毎月定額で投資する方法をお話ししました。最初に毎月定額購入する設定にしてしまえば、あとは何も考える必要がないため、簡単で楽な投資手法だなと思っている先生も多いことでしょう。しかし、海千山千の猛者が跋扈する投資の世界は、そんなに甘くありません。インデックス投資は60点の投資手法前回お話したように、VTは約8,000銘柄で構成される世界株価指数をベンチマークにしているETFです。このような特定の株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法をインデックス投資といいます。私が金融資産投資を開始したのは2000年ですが、当時はまだ一般的ではありませんでした。その頃に、VTを運営しているバンガード社の創始者であるJ・C・ボーグル著『インデックス・ファンドの時代』(東洋経済新報社)という書籍を読んで、感銘を受けた記憶があります。それからリーマンショックを経て、一般の個人投資家の間でもインデックス投資がはやるようになりました。インデックス投資は市場平均(≒株価指数)を目指す投資手法なので、大勝ちできないものの大負けすることはありません。そのうえ、維持コストが安価なので「負けにくい」投資方法として注目を集めています。勝てないまでも負けなければ良いのではないのか? と思う方が多いと思います。しかし、ここに大きな落とし穴があります。それは、株価指数は常に割高な銘柄の影響を強く受ける点です。わかりやすい例が日経平均株価です。日経平均株価は日本を代表する株価指数であり、日経平均=日本経済とイメージする方も多いと思います。しかし実際には、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ソフトバンク、ファナックの3社だけで日経平均株価の16~20%も占めています(平成30年1月現在)。この3社は優良企業ですが、さすがに3社だけで日本経済の16~20%も占めているはずがありません。このように株価指数は割高な銘柄の影響を強く受けるため、インデックス投資を実践すると常に割高な買い物をしていることになります。そして、日経平均株価ほど酷くはないものの、VTもやはり割高な銘柄の影響を受けています。このようなことから、私はインデックス投資を60点(及第点)の投資だと考えています。ドル・コスト平均法の問題点ドル・コスト平均法はまずまずの投資手法ですが、やや机上の空論的なところがあります。この投資手法の最大の問題点は、単なる高値掴みの投資法になってしまう可能性が高いことです。理論的には相場暴落時に購入する株数が多くなるため、ドル・コスト平均法は有利な投資手法に見えます。しかし、ほとんどの人は暴落時に投資をストップしてしまうのが現実です。たとえば、2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマンショックでは、金融市場が阿鼻叫喚の状況となりました。価格のつかない自由落下のような相場環境において、冷静に投資を続けることができた人はどれほどいたことでしょうか? 不謹慎ですが、北朝鮮の核爆弾が日本に投下されたとしても、ドル・コスト平均法を続けることができる人はどれほど居るでしょう? このように考えると、普通の人がドル・コスト平均法を敢行することは、少しハードルが高いと言わざるを得ません。それでもやはり「VT+ドル・コスト平均法」がお勧めここまでVTをドル・コスト平均法で投資する手法は、けっして手放しでお勧めできるものではないことを説明しました。しかし、医師のように忙しい職種の人にとって、魅力的な投資手法であることに間違いはありません。この投資手法で大きな果実を得るためには、「(1)何があっても (2)毎月定額のVTを (3)購入し続ける」ことを誓うべきでしょう。

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イスラム圏の健康状態、国家間格差の要因は?/Lancet

 乳幼児と妊産婦の健康改善を目標とした、ミレニアム開発目標(MDG)の項目4および5の推進は、世界的には大きな成果をもたらした。しかし、南アジア・中東・アフリカの多くのイスラム国家では、遅れをとっていることも明らかになっている。カナダ・トロント小児病院のNadia Akseer氏らは、イスラム国家間における、生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、その進展状況を評価する検討を行った。その結果、国家間の格差が認められ、そうした格差に関して、地域性や慣習の影響は認められなかったという。Lancet誌オンライン版2018年1月30日号掲載の報告。47のイスラム国家について調査 検討でとくに目的としたのは、イスラム国家における生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、それらの進展の現状と、開発が進んでいる先進イスラム国家における小児生存の決定因子を明らかにすることであった。そのために、イスラム国家と非イスラム国家の健康におけるアウトカムの差とキー決定因子を探るとともに、MDG4/5の達成程度(最良/不良/中程度)が異なるイスラム国家間の公的医療サービスのカバー率および決定因子を調べた。 具体的には、1990~2015年の複数の公表データ・レポジトリを基に、47のイスラム国家について調査した。そのうち26ヵ国が、Countdown to 2015 countriesと呼ばれるMDG4/5介入の最優先対象国(計75ヵ国)であった。これら26ヵ国について、非イスラムのCountdown国家48ヵ国と比較した。また、MDG4を達成するなど、小児生存率が大きく改善した、最も達成度が高かった8ヵ国の特徴も調べた。 青少年、妊産婦、5歳未満児、新生児の死亡率、死産率、死因別死亡、基本的な医療サービスのカバー率、決定因子の推算は、標準的手法を用いて行われた。 また、低所得および中所得のイスラム国家における、5歳未満児の死亡率と新生児の死亡率の決定因子について、階層的多変量解析も行った。貧しい国でも健康アウトカムの進展がみられる 1990~2015年の死亡率は、世界的には顕著な減少がみられたにもかかわらず、イスラム国家では全世界の推計値と比較して高く、Countdown国家間(イスラム国家と非イスラム国家)の比較においても高かった。基本的な公共医療サービスのカバー率も平均以下で、とくにリプロダクティブ・ヘルス、妊婦管理、出産・分娩、小児ワクチンの指標が低かった。 イスラム国家間において、死亡率および、生殖、妊産婦、新生児、小児、青少年に関する多数の健康アウトカム指標で、かなりのばらつきがあることが認められた。Countdown国家間の比較においては、構造的因子およびコンテキスト因子のうち、とくにガバナンス、コンフリクト、女性・少女のエンパワメント指標が、非イスラム国家と比較してイスラム国家では有意に不良であった。また、それらと小児・新生児の死亡率には、低所得および中所得のイスラム国家では強い関連性が認められた。 調整後の階層的モデルにおいて、その他の因子に関しても有意な関連性が認められている。イスラム国家における5歳未満児の死亡率は、難民の発生状況が高い国では上昇しているが(β=23.67、p=0.0116)、政情が安定しテロのない国(β=-0.99、p=0.0285)、政治力が強く政府が機能している国(β=-1.17、p<0.0001)、1人当たりの国民総所得が改善している国(β=-4.44、p<0.0001)、成人のリテラシーが高い国(β=-1.69、p<0.0001)、成人女性のリテラシーが高い国(β=-0.97、p<0.0001)、中等教育への進学者が男子よりも女子が多い国(β=-16.1、p<0.0001)においては低かった。 最良のパフォーマンスを示したイスラム国家は、アゼルバイジャン、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、キルギス、モロッコ、ニジェール、セネガルで、パフォーマンスが中程度または不良のイスラム国家と比べて、家族計画介入や新生児あるいは小児のワクチン接種のカバー率が高く、またコンテキスト因子の大半で優れていた。 結果について著者は、「ニジェールやバングラデシュのように、貧困国でも進展がみられた」と指摘し、「今回の検討から得られたキー所見を政策やプログラムに適用し、統治者や政策立案者、開発パートナー、資金提供者、イスラム協力機構(Organization of the Islamic Cooperation)が優先的な割り当てを行うことで、2015年以降のイスラム国家の健康アウトカムのスケールアップおよび改善が可能になるだろう」とまとめている。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問25

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問25 F検定とは?前回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明してきました。今回は、相関比「F検定」についてご説明いたします。■相関比(F検定)質問10(その2)で相関比について学びました。F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法です。その方法を説明します。2つの母集団があり、両者の相関比は0(無相関)とします。この母集団にサンプルサイズnの標本調査を行い、次に示す検定統計量Tを求めます。上の数式のVA、VE の求め方は後ほどご説明します。現実的にはありえませんが、無相関である母集団について標本調査を無限回繰り返し行い、無限個のT値を得たとします。T値の度数分布を作成し、度数分布に近似曲線を当てはめます。近似曲線は、統計学が定めた理論的分布(F分布)になることが、理論的にも実験的にもわかっています。F分布は、カイ2乗分布同様に左に偏った形状の分布です。どちらも、サンプルサイズが大きくなるほど、左右対称の分布に近づきます。T値がF分布になることを実験によって確認できます。F分布を適用する検定を「F検定」といいます。では、一般的な事例で説明していきます。■検定統計量T検定統計量T値の求め方を説明します。医学的なデータだと難しくなりがちですので、なじみやすい一般的なデータでご説明していきます。表1は、「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均です。表1 「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均血液型とホームラン数は関連性があるかを調べてみましょう。次の方法によって、表2に全体変動、群間変動、誤差変動、それぞれの偏差平方和を求めます。表2 全体変動の元データ画像を拡大する全体変動の偏差平方和:ST=1,167群間変動の偏差平方和:SA= 807誤差変動の偏差平方和:SE= 360自由度を求めます。全体変動の自由度:fT=n-1=12-1=11群間変動の自由度:fA=血液型カテゴリー数-1=4-1=3誤差変動の自由度:fE=n-血液型カテゴリー数=12-4=8留意点:必ず、ST=SA+SE、fT=fA+fE となります。不偏分散を求めます。全体変動の不偏分散:VT=ST/fT=1,167÷11=106.1群間変動の不偏分散:VA=SA/fA=807÷3=269.0誤差変動の不偏分散:VE=SE/fE=360÷8=45.0分散分析表計算された結果を表3のようにまとめた表を分散分析表といいます。分散比を求めます。分散比が検定統計量T値です。F分布の有意水準5%の棄却限界値を求めます。Excel関数 =FINV(有意水準,fA,fE)=FINV(0.05,3,8)→ Enterキー → 4.07F分布のT値=5.98となるp値を求めます。Excel関数 =FDIST(T値,fA,fE)=FDIST(5.98,3,8) → Enterキー → 0.019表3 分散分析表相関比は次によって求められます。●公式【相関比無相関の検定】F検定帰無仮説:母集団の相関比は0である対立仮説:母集団の相関比は0でない留意点 この解析は一元配置法とも呼ばれ、下記の仮説にも適用できる帰無仮説:母集団のカテゴリー平均はすべて等しい対立仮説:母集団のカテゴリー平均は異なる1)T値による検定T値=分散比>棄却限界値帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる2)p値による検定p値<有意水準帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる今回のポイント1)F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法!2)関連性判定1)T値による方法T値=分散比>棄却限界値のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!3)関連性判定2)p値による方法p値<有意水準のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!インデックスページへ戻る

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左脚ブロックを伴う心筋症患者は左室機能が回復しにくい

 左脚ブロックの患者は、心臓再同期療法(CRT)によって左室駆出率(LVEF)が改善することがある。ところが、左脚ブロックを伴うLVEF低下患者に対し最初に行われる治療は、ガイドラインに準じた薬物療法であり、CRTではない。一方で、LVEFの低下および左脚ブロックが、ガイドラインに準じた薬物療法にどの程度影響するかについてのデータは少ない。現在、CRT植込みの前に、少なくとも3ヵ月のガイドラインに準じた薬物療法が勧められており、これは薬物療法のみでもLVEF改善が期待されているからと考えられる。米国・Duke大学のEdward Sze氏らのグループによる本研究は、心筋症患者について、左脚ブロックの患者とその他のQRS波形を呈する患者におけるLVEFの改善率を評価した。Journal of American College of Cardiology誌2018年1月号に掲載。左脚ブロック、その他のwide QRSとnarrow QRSでLVEFの変化を比較 本研究では、Duke大学のエコーラボのデータベースを用いてベースラインの心電図が記録され、LVEFが35%以下で、3~6ヵ月後にLVEFがフォローアップされている患者を特定した。なお、重症な弁膜症患者と、心臓デバイス、左室補助デバイスもしくは心移植患者を除外した。QRS波形は(1)左脚ブロック、(2)QRS 120ms未満、(3)QRS 120ms以上で左脚ブロックではない、という3つのカテゴリーに分類し、3群間におけるLVEFの平均変化を、重要な併存疾患とガイドラインに準じた薬物療法で調整して分散分析を行った。ガイドラインに準じた薬物療法の有無でLVEFの改善度は変わらず 659例が試験の基準に適合した。このうち左脚ブロックは111例(17%)、wide QRS(≧120ms)で左脚ブロックではない患者は59例(9%)、そしてnarrow QRS(<120ms)は489例(74%)であった。3~6ヵ月におけるLVEFの増加は、それぞれ2.03%、5.28%、8.00%であった(p<0.0001)。その間における再灌流療法、心筋梗塞の有無で調整した結果も同様であった。左脚ブロック患者では、ガイドラインに準じた薬物療法実施の有無にかかわらず、LVEFの改善は同程度であった(3.50%vs. 3.44%)。心不全による入院と死亡率は、左脚ブロックで最も高かった。 左脚ブロックは、その他のQRS波形と比べて、ガイドラインに準じた薬物療法を行っていてもLVEF改善の程度が少なかった。左脚ブロック患者の一部は、現在のガイドラインが推奨するよりも早くCRTの恩恵を受けられる可能性がある。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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双極性障害患者における道路交通傷害リスクと薬物治療との関連

 双極性障害患者の道路交通傷害リスクを調査するため、台湾・長庚大学のVincent Chin-Hung Chen氏らは、台湾の全国規模の人口データセットを用いて、非双極性障害患者との比較検討を行った。さらに、双極性障害と道路交通傷害リスクとの関連に対する、リチウム、抗てんかん薬、抗うつ薬、第1世代抗精神病薬、第2世代抗精神病薬の処方で推定される緩和効果についても調査を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。 16年間の縦断コホート研究の一環として、双極性障害と診断された16歳以上の患者における道路交通傷害リスクについて、年齢、性別を一致させた非双極性障害10サンプルとの比較を行った。ICD-9-CMコード(E800~807、E810~817、E819~830、E840~848)に基づく公的医療保険データベースを用いて、道路交通傷害の発生率を比較した。年齢や薬剤使用などの時間的に変化する共変量の調整には、時間依存性Cox回帰モデルを用いた。年齢、性別、その他の併存疾患、薬剤使用の調整前後のハザード比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者3,953例が、一般人口3万9,530例のコントロールと一致した。・双極性障害患者の道路交通傷害リスクの調整ハザード比は、コントロールと比較して、1.66倍(95%CI:1.40~1.97)の増加が認められた。・道路交通傷害リスクの低さは、女性、高齢者(80歳以上)、都市レベルの最も高い地域の居住者、抗うつ薬の使用との関連が認められた。 著者らは「本検討で、双極性障害は道路交通傷害リスクの増加と関連することが認められた。しかし、抗うつ薬の使用がリスクの緩和に役立つ可能性がある」としている。■関連記事自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうか車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか

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術前の呼吸理学療法教育で肺合併症が半減/BMJ

 待機的上腹部手術患者では、術直後の呼吸訓練に関する理学療法の講習を術前に受けることで、院内肺炎を含む術後の呼吸器合併症がほぼ半減することが、オーストラリア・メルボルン大学のIanthe Boden氏らの検討(LIPPSMAck-POP試験)で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。呼吸器合併症は、上腹部手術後の最も重篤かつ不良な転帰であり、死亡率や医療費も増加させる。これらの合併症は、術前の理学療法教育や呼吸訓練の指示のみで予防可能なことを示唆する試験がいくつかあるが、このエビデンスには、方法論上の欠点や一般化可能性が乏しいといった限界があるとされていた。術前の呼吸理学療法教育の有用性を、プラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、術前に行う単回の理学療法講習による、上腹部手術後の肺合併症の低減効果を評価するプラグマティックな多施設共同プラセボ対照無作為化試験を実施した(タスマニア大学などの助成による)。 対象は、6週間以内に待機的上腹部開腹手術を受ける18歳以上の患者であった。被験者は、情報冊子を配布される群(対照群)、または、情報冊子に加え術前に30分間の理学療法教育と呼吸訓練講習を受ける群(介入群)にランダムに割り付けられ、12ヵ月のフォローアップが行われた。 理学療法教育は、術後肺合併症とその予防に重点が置かれた。予防は、早期離床ケアおよび術後の意識回復直後から開始する自己管理型呼吸訓練として行われた。術後は、全例に標準化された早期離床ケアが施行され、新たな呼吸理学療法は行われなかった。 主要評価項目は、Melbourne group scoreで評価した術後在院14日以内の術後肺合併症の発現とした。副次評価項目は、院内肺炎、在院日数、集中治療室の使用などであった。術後肺合併症の補正HRは0.48、NNTは7 2013年6月~2015年8月にオーストラリアおよびニュージーランドで、3つの3次機能病院にある多職種連携の入院前診療施設において441例が登録され、介入群に222例、対照群に219例が割り付けられた。432例(介入群:218例、対照群:214例)が試験を完遂した。 ベースラインの年齢中央値は、介入群が63.4歳(IQR:51.5~71.9)、対照群は67.5歳(IQR:56.3~75.3)であり、男性の割合は両群とも61%であった。手術部位は、大腸が介入群50%、対照群47%、肝胆道/上部消化管がそれぞれ22%、28%、腎/泌尿器/その他は28%、24%であった。 432例中85例(20%)が術後肺合併症と診断された。術後在院14日以内の術後肺合併症の発症率は、介入群が12%(27/218例)と、対照群の27%(58/214例)に比べ有意に低かった(補正前の絶対リスク低減率:15%、95%信頼区間[CI]:7~22%、p<0.001)。ベースラインの年齢、呼吸器併存疾患、手術手技で補正後のハザード比(HR)は0.48(95%CI:0.30~0.75、p=0.001)であり、介入群の術後肺合併症のリスクは対照群に比べほぼ半減した。1件の術後肺合併症を回避するための治療必要数(NNT)は7(95%CI:5~14)だった。 また、院内肺炎の発症率は、介入群が対照群に比べ半減した(8% vs.20%、補正後HR:0.45、95%CI:0.26~0.78、p=0.005)。在院日数や集中治療室在室日数のほか、6週時の再入院、術後の離床までの期間、患者報告による6週時の合併症(創感染、疲労、悪心・嘔吐・消化器症状)などには、両群間に差を認めなかった。 著者は、「これらの結果は、待機的上腹部手術を受ける世界中の多くの患者にそのまま適用可能である」としている。

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インフルエンザと心筋梗塞に有意な関連/NEJM

 呼吸器感染症、とくにインフルエンザと急性心筋梗塞には、有意な関連が認められることが明らかにされた。インフルエンザの感染が検査で確認された後の1週間以内に、急性心筋梗塞で入院するリスクは、B型で約10倍、A型で約5倍に増大する。また、RSウイルスについても、同リスクは約4倍に上昇することが示された。カナダ・トロント大学のJeffrey C. Kwong氏らが、自己対照ケースシリーズ試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年1月25日号で発表した。これまでにも、インフルエンザ感染と急性心筋梗塞との関連を示唆した試験結果はあったが、インフルエンザ感染の確認に非特異的な検査方法を用いる、バイアスを受けやすい試験デザインを採用するなどの欠点があったという。感染後1週間と感染前後1年を比較 研究グループは2009年5月~2014年5月に、呼吸器ウイルス感染検査を行った35歳以上の成人を対象に、検査で確認されたインフルエンザ感染と、急性心筋梗塞による入院の関連を、自己対照ケースシリーズ試験で検証した。 具体的には、種々の特異度の高い検査方法を用いて、呼吸器検体のインフルエンザ感染を確認し、急性心筋梗塞による入院は行政データで特定した。 試験では、呼吸器検体の採取後7日間を「リスク期間」、リスク期間の前後1年間を「対照期間」とそれぞれ定義し、両期間の急性心筋梗塞の発生について比較した。B型約10倍、A型約5倍、その他RSウイルスなどでも約3~4倍 インフルエンザ陽性判定の前後1年以内に発生した急性心筋梗塞による入院は、364件だった。このうち、リスク期間内の発生は20件(20.0件/週)だったのに対し、対照期間内の発生は344件(3.3件/週)だった。 急性心筋梗塞による入院について、リスク期間の対照期間に対する発生率比は、6.05(95%信頼区間:3.86~9.50)だった。8日目以降には、同発生率の上昇は認められなかった。 ウイルスのサブタイプ別にみると、インフルエンザB型の発生率比は10.11(95%CI:4.37~23.38)、A型は5.17(95%CI:3.02~8.84)、また、インフルエンザ以外のウイルスでは、RSウイルスが3.51(95%CI:1.11~11.12)、インフルエンザやRSウイルス以外でも2.77(95%CI:1.23~6.24)だった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2017

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は2018年1月20日、第II相CheckMate-142試験から、dMMRまたはMSI-Hの転移性大腸がん患者を対象にニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した新たなデータを発表した。これらのデータは、米国・サンフランシスコで開催された2018年消化器がんシンポジウム(ASCO-GI)において発表され、Journal of Clinical Oncology誌にも同時に掲載された。 CheckMate-142試験は、高度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)および非MSI-Hの再発または転移性大腸がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法およびニボルマブと他剤の併用療法を評価した、国際共同第II相複数コホート非盲検非対照臨床試験。主要評価項目は、RECIST1.1に基づく治験担当医師の評価による奏効率(ORR)。その他の主な評価項目には、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、盲検化された独立中央評価委員会(BICR)の評価によるORR、患者報告アウトカムであった。 ニボルマブとイピリムマブの併用療法コホートには、患者119例が登録され、病勢進行、死亡または忍容できない毒性が認められるまで、ニボルマブ(3mg/kg)・イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごと4回投与され、その後ニボルマブ(3mg/kg)を2週ごとに投与された。追跡期間は13.4ヵ月(中央値)。 主要評価項目である治験担当医師評価のORRは、55%(95%CI:45.2~63.8)であった。奏効は持続的であり、データカットオフ時(2017年7月)のDOR中央値は未達、12週間以上のDCRは80%にみられた。OS中央値は未達、1年OS率は85%(95%CI:77.0~90.2)であった。PFS中央値は未達、12ヵ月PFS率は71%(95%CI:61.4~78.7)であった。治験担当医師評価による奏効はBRAFまたはKRAS変異、PD-L1発現、リンチ症候群にかかわらず示された。統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が、症状、機能面、QOLを含む主な患者報告アウトカムで示された。 全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、73%の患者で発現し、多くみられた項目は、下痢(22%)、疲労(18%)、そう痒症(17%)であった。免疫学的病因により発現した可能性のある特定のTRAEは、大半(71~96%)の患者で回復したが、内分泌性のTRAEでの回復患者は40%であった。新たな安全性シグナルまたは治療に関連する死亡は報告されなかった。治療関連有害事象による投与中止は、患者の13%でみられた。これらの患者におけるORRは63%であり、患者集団全体のORRと一貫していた。 ■参考ASCO-GI2017 abstract(#553)Overman MJ, et al. J Clin Oncol. 2018 Jan 20.[Epub ahead of print]CheckMate-142試験(Clinical Triakls.gov)■関連記事ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに迅速承認/FDA いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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MGUS、M蛋白の違いで多発性骨髄腫などへの進行リスクに差/NEJM

 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)において、IgM型MGUS患者と非IgM型MGUS患者では、進行リスクに大きな違いがあることが確認された。また、MGUS患者の全生存期間(OS)は、対照集団の予測OSより短いことも示された。米国・メイヨー・クリニックのRobert A. Kyle氏らが、中央値で約34年という長期にわたる追跡調査の結果を報告した。MGUSは50歳以上の約3%に生じ、患者の7~19%で5~10年後にがん化することが示唆されている。これまでの研究は症例数が少なく追跡期間も短期で、OSに関する情報は限定的であった。NEJM誌2018年1月18日号掲載の報告。MGUS患者約1,400例で多発性骨髄腫などへの進行を34年間追跡 研究グループは、1960~94年の間にメイヨー・クリニックでMGUSと診断された患者で、ミネソタ州南東部に在住の1,384例について、Rochester Epidemiology Projectの診療記録システムおよびメイヨー・クリニックの入院・外来患者診療記録を用いて調査した。 主要エンドポイントは、MGUSから多発性骨髄腫またはその他の形質細胞性/リンパ性疾患への進行であった。 1万4,130人年の追跡調査(追跡期間中央値34.1年、範囲0.0~43.6年)において、1,384例中1,300例(94%)の死亡が認められた。MGUS患者の11%が多発性骨髄腫等へ進行、IgM型で進行リスク大 追跡期間中に、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ALアミロイドーシス、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病、形質細胞腫への進行が、MGUS患者147例(11%)で確認された。このリスクは、年齢および性別をマッチさせた対照集団より6.5倍(95%CI:5.5~7.7)高かった。また、これらの疾患への進行の累積リスク(他の原因による死亡を除く)は、10年時で10%、20年時で18%、30年時で28%、35年時で36%、40年時で36%であった。 IgM型MGUS患者では、血清遊離軽鎖比(κ/λ比)の異常および血清M蛋白量高値(1.5g/dL以上)の2つのリスク因子がある場合、20年時の進行リスクが55%であった。リスク因子が1つの場合は41%、どちらのリスク因子もない場合は19%であった。 また、非IgM型MGUS患者の20年時の進行リスクは同様に、それぞれ30%、20%および7%であった。 MGUS患者のOS中央値は8.1年で、対照集団の予測OS(中央値12.4年)より短かった(p<0.001)。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問24

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問24 カイ2乗検定とは?質問12~22では、重回帰分析とロジスティック回帰分析をご説明してきました。今回は、カイ2乗分布による検定、すなわち「カイ2乗検定」についてご説明します。■クラメール連関係数(カイ2乗検定、独立性の検定)質問10(その3)でクロス集計とクラメール連関係数について学びました。カイ2乗検定は、母集団におけるクラメール連関係数が、無相関であるかないかを調べる検定方法です。その方法を説明します。2つの母集団があり、両者のクラメール連関係数は0(無相関)とします。この母集団にサンプルサイズnの標本調査を行い、次に示す検定統計量Tを求めます。現実的にはありえませんが、無相関である母集団について、標本調査を無限回繰り返し行い、無限個のT値を得たとします。T値の度数分布を作成し、度数分布に近似曲線を当てはめます。近似曲線は統計学が定めた理論的分布(カイ2乗分布)になることが、理論的にも実験的にもわかっています。医学的なデータだと難しくなりがちですので一般的な事例で説明していきます。【例題】下のクロス集計表は有権者の所得水準と支持政党の関係を調べたものです。このクロス集計表からクラメール連関係数を求めてみましょう。また、所得水準と政党支持率は関連性があるかを調べてみましょう。T値がカイ2乗分布になることを実験によって確認できます。カイ2乗分布による検定を「カイ2乗検定(χ2検定)」といいます。■検定統計量T検定統計量T値の求め方を説明します。表1のクロス集計表は、有権者の所得水準と支持政党との関係を調べたものです。表1 例題のクロス集計表上記のクロス集計表で所得水準と支持政党に関連がないのは、どの所得層も計(全体)と同じ割合を示したときです(表2)。表2 所得別、支持政党の割合このような比率となる人数は、表3の計算によって求められることがわかっています。表3 例題の期待度数と実測度数求められた値を「期待度数」、元の人数を「実測度数」といいます。期待度数=縦計×横計÷総人数表4の期待度数の横%表では、政党の割合はどの所得層も同じです。同じく期待度数の縦%表では、所得層の割合はどの政党も同じです。表4 例題の期待度数と実測度集の集計表表5のように実測度数が期待度数に近い値であれば関連性が弱く、かけ離れていれば関連性が強いと判断します。表5 例題の期待度数と実測度数の関連度の強弱一致度を調べるために、個々のセルごとに表6のように次の計算をします。表6 具体的な一致度の計算でてきた合計の値13.2がカイ2乗値です。下記のようにギリシャ文字で表記することがあります。■自由度自由度は表7のように表頭項目、表側項目のカテゴリー数によって定められます。自由度=(表頭項目カテゴリー数-1)×(表側項目カテゴリー数-1)=(2-1)×(3-1)=2表7 例題の自由度のカテゴリー数■クラメール連関係数クラメール連関係数はT値、サンプルサイズn、カテゴリー数k(2つのうち小さいほう)から求められます。●公式【クラメール無相関の検定】χ2検定検定統計量自由度=(a-1)×(b-1) a、bはクロス集計表のカテゴリー数棄却限界値 → カイ2乗分布の棄却限界値はExcel関数で求めることができます帰無仮説:母相関係数は0である対立仮説:母相関係数は0でない有意差判定には2つの方法があります。1)T値による方法T値>棄却限界値帰無仮説を棄却し対立仮説を採択 → 母相関係数は0でない0でない相関があるということで、相関の強弱までわかりませんT値≦棄却限界値帰無仮説を棄却できず対立仮説を採択できない → 母相関係数は0であるとはいえない2)p値による方法カイ2乗分布におけるT値に対応する確率p値を求めるp値<有意水準帰無仮説を棄却し対立仮説を採択 → 母相関係数は0でないp値≧有意水準帰無仮説を棄却できず対立仮説を採択できない → 母相関係数は0であるとはいえない次回は、相関比「F検定」についてご説明いたします。今回のポイント1)カイ2乗検定は、母集団におけるクラメール連関係数が無相関であるかないかを調べる検定方法!2)関連性判定1)T値による方法T値>棄却限界値である場合、帰無仮説を棄却し対立仮説を採択し、母相関係数は0でないといえる!3)関連性判定2)p値による方法カイ2乗分布におけるT値に対応する確率p値を求める。p値<有意水準である場合、帰無仮説を棄却し対立仮説を採択し、母相関係数は0でないといえる!インデックスページへ戻る

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血漿中脂質過酸化反応に対する抗精神病薬の影響

 ポーランド・ウッチ医科大学のAnna Dietrich-Muszalska氏らは、ユニークな作用機序を有する新規抗精神病薬であるアリピプラゾールに関して、酸化ストレスのマーカーであるTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)レベルで測定したヒト血漿中脂質過酸化に及ぼす影響について、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ziprasidoneなどの他の抗精神病薬と比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年12月27日号の報告。 各抗精神病薬の比較に際しては、急性期統合失調症治療に用いられる臨床有効用量に対する最終濃度において評価を行った。TBARSレベルは、分光光度法により測定した。 主な結果は以下のとおり。・急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿中の脂質過酸化生成物(TBARS)レベルの明らかな変化を誘発する可能性があることが示唆された。・アリピプラゾールは、血漿中の脂質過酸化マーカーのレベルに影響を及ぼさなかったが、より低用量で使用された場合、クロザピン同様にわずかな酸化促進特性を示した。・クエチアピンは、リスペリドン、ziprasidone、ハロペリドール、クロザピンの低用量での酸化促進作用とは対照的に、最も強い抗酸化特性を示した。・オランザピンは、低用量でのみTBARSレベルを低下させた。 著者らは「急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿脂質過酸化の明らかな変化を誘発する。アリピプラゾールは、血漿脂質過酸化の有意な変化を誘発しなかった。統合失調症患者の臨床症状および抗精神病薬の使用に伴う酸化ストレスの役割を考慮するため、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明かカルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

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