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重症喘息へのbenralizumab、経口ステロイドを減量/NEJM

 重症喘息患者において、抗インターロイキン-5受容体αサブユニット・モノクローナル抗体benralizumabの8週ごとの皮下投与は、年間喘息増悪率も大幅に低下し喘息コントロールを維持しながら、経口ステロイドの服用量を減少可能であることが、無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。なお、示された効果には、1秒量(FEV1)への持続的効果は伴わなかった。カナダ・マックマスター大学のParameswaran Nair氏らによる検討で、NEJM誌2017年6月22日号(オンライン版2017年5月22日号)で発表した。benralizumabを4週ごとまたは8週ごとに皮下投与 vs.プラセボ投与 研究グループは、重症喘息患者で、中~高用量吸入ステロイド+長時間作用性β2刺激薬(LABA)を12ヵ月以上、さらに高用量吸入ステロイド+LABAを6ヵ月以上服用したことがある成人を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、benralizumab(30mgを4週ごとまたは8週ごと[最初の3回は4週ごと]に皮下投与)、またはプラセボを投与し、喘息症状をコントロールしながら、経口ステロイド服用量を減少できるかどうかを比較した。 主要評価項目は、28週までの経口ステロイド用量の変化の割合。合わせて、年間喘息増悪率や、肺機能、症状、安全性の評価も行った。benralizumab群のステロイド減量のオッズ比は4倍超 試験に参加した369例のうち、220例について無作為化を行い、benralizumabまたはプラセボを投与した。 benralizumab群は4週ごと投与群、8週ごと投与群ともに、経口ステロイドの最終服用量の中央値が、ベースラインから75%減少した。一方、プラセボ群の同減少率は25%だった(p<0.001)。経口ステロイド減量に関するオッズは、benralizumab群がプラセボ群の4倍超だった(4週群:4.09、8週群:4.12、いずれもp<0.001)。 副次的評価項目について、benralizumab 4週ごと投与群の年間喘息増悪率は、プラセボ群に比べ55%低く(限界増悪率:0.83 vs. 1.83、率比:0.45、p=0.003)、benralizumab 8週ごと投与群はプラセボ群に比べ70%低かった(同:0.54 vs. 1.83、0.30、p<0.001)。 一方で、28週時点のFEV1については、benralizumabの両群ともにプラセボ群と比較して有意な効果は認められなかった。その他の喘息症状の指標に対する効果は混在しており、benralizumab群で有意な効果を示すものもあれば、示さないものもあった。 なお、有害事象の頻度は、benralizumab群とプラセボ群で同程度だった。

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子癇前症ハイリスク妊婦への低用量アスピリンは?/NEJM

 早期子癇前症リスクの高い妊婦に対し、妊娠11~14週から36週にかけて低用量アスピリンを投与することで、妊娠37週以前の子癇前症リスクはおよそ6割減少することが示された。英国・キングス・カレッジ病院のDaniel L. Rolnik氏らが、1,776例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月28日号で発表した。早期子癇前症は、母体および周産期の死亡や合併症の重大要因である。低用量アスピリン服用で、そのリスクが低下可能か、これまで確認されていなかった。アスピリン150mg/日を投与しアウトカムを比較 研究グループは、早期子癇前症リスクの高い単胎妊娠の妊婦1,776例を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン(150mg/日)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ妊娠11~14週から36週まで投与した。 主要評価項目は、妊娠37週前の子癇前症を伴う出産で、intention-to-treat(ITT)解析にて評価した。子癇前症発症率、アスピリン群1.6%に対しプラセボ群4.3% 被験者のうち、152例が試験開始後に離脱し、また4例が追跡できなかった。そのため、分析対象はアスピリン群798例、プラセボ群822例だった。 妊娠37週前に子癇前症を発症したのは、プラセボ群の35例(4.3%)に対し、アスピリン群は13例(1.6%)と、有意に減少した(オッズ比:0.38、95%信頼区間:0.20~0.74、p=0.004)。 試験開始後に離脱した152例と、追跡できなかった4例を含む感度分析を行ったが、結果は実質的に同様だった。 服用順守率も高く、被験者の79.9%で、服用すべき錠剤数の85%以上を服用していた。なお、新生児有害アウトカムやその他の有害イベント発生率については、両群で有意差はなかった。

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第4回 レセプトを査定するのは誰?【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回は診療報酬の請求から支払いまでの流れを確認してきました。今回はその中でも「レセプトの審査」について一緒に学んでいきましょう。審査支払機関レセプトの審査は第1回で学んだとおり、「審査支払機関」が行います。「審査支払機関」は国民健康保険加入者のレセプトを取り扱う「国民健康保険団体連合会(以下、国保連)」と、その他のレセプトを取り扱う「社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)」の2つに分かれます。さらに「国保連」、「支払基金」がそれぞれに47都道府県に支部を持っており、皆さんの所属する医療機関は、所在する都道府県支部にレセプトを提出し、そのレセプトはそれぞれの支部で審査されます。審査の流れ図のようにオンラインもしくは電子媒体で提出されたレセプトは大きく4段階で審査されます。画像を拡大する1)コンピューターによるチェック患者名や傷病名などに漏れがないかといった基本的な書式の不備のほか、国が定めた保険診療のルールに適合していない項目、傷病名と医薬品の関連性の有無など、基本的かつ定型パターンになっている項目についてコンピューターが自動的にチェックを行います。そこで、疑義のあるものにはマーキングがされます。2)職員による審査事務コンピューターによるチェックでマーキングされたもの、または、コンピューターで自動的にチェックできない項目を職員が目視で確認します。そこから審査委員が審査すべきレセプトを抽出します。いよいよ3~4段階目の審査に入るのですが、まずは審査を行う審査委員の構成を確認しましょう。審査委員会は下記の三者の代表で構成されています。皆さんの近くにも審査委員の先生がいらっしゃるのではないでしょうか。(1)診療担当者代表各都道府県の医師会・歯科医師会・薬剤師会から推薦された医師・歯科医師・薬剤師から選任された者(2)保険者代表各都道府県の保険者団体から推薦された医師・歯科医師・薬剤師から選任された者(3)学識経験者医学上および薬学上の知見と臨床経験を有する者3)審査委員による審査1)、2)の点検を経て審査に回ったレセプトの審査を行います。具体的には、レセプトに記載されている内容が「療養担当規則」や「診療報酬点数表」などに定められたルールに則っているかをチェックします。4)審査委員会による決定最終的に、審査委員会の合議でその審査が合目的かつ適正かを決定します。以上の4段階のプロセスを経て、診療内容が適切でないと判断されたものは「査定」となり、申請内容に不備があるものや診療内容が適切かどうかの判断が難しいものは医療機関に「返戻」されます。皆さんが行った診療内容の証明である診療記録がレセプトとなり、多くのプロセスを経て、最終的には皆さんの身近にいる先生方に審査されるということになります。言い換えると今後、皆さんが審査をする側になる可能性も十分にあるということですね。仮に自分が審査員だったら、「このレセプトだけを見て納得するかな」と日々意識しながら確認するだけでも、「査定」や「返戻」の可能性はグッと減るのではないでしょうか。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第37回

第37回:潜在性甲状腺機能亢進症はどのような時に治療すべきか?監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム TSH、Free T4を臨床の場や人間ドックで測定することはよくありますが、FreeT4が正常、TSHが基準値より低値を示す場合があり、稀に潜在性甲状腺機能亢進の状態を認める患者と遭遇することがあるかと思います。こういった場合にどのようなリスクを考え、どのような患者に対して治療や専門家への相談を行うべきでしょうか。今回の記事では、潜在性甲状腺機能亢進症に対する米国甲状腺学会の治療方針について紹介したいと思います。 以下、American Family Physician 2017年6月1日号より1) より<潜在性甲状腺機能亢進症とは>潜在性甲状腺機能亢進症はFreeT4とT3値が正常であるが、TSHが低値または検出されない状態と定義される。潜在性甲状腺機能亢進症はTSH値で2つのカテゴリーに分類される。1)TSH値が低値だが検出される(たいていは0.1~0.4mlU/L)2)TSH値が0.1mlU/L以下である潜在性甲状腺機能亢進症は、内因性に過剰に甲状腺ホルモンが作られたり、甲状腺がんを抑制するために甲状腺ホルモンの内服を行っていたり、甲状腺機能低下症の患者に対し過剰に甲状腺ホルモン補充療法を行った結果生じる。内因性の潜在性機能亢進症の最も頻度の高い原因としては、Graves(Basedow)病、中毒性甲状腺結節、中毒性多結節性甲状腺腫(プランマー病)が挙げられる。一時的な甲状腺TSHの抑制の原因としては、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、産後甲状腺炎が挙げられる。潜在性甲状腺機能亢進症の最も多い原因は、甲状腺ホルモン補充療法によるものである。低TSHが、潜在性甲状腺機能亢進症によるものか、その他の甲状腺の機能亢進と関係しない原因によるものかを病歴などから鑑別する必要があり、その他の原因としては、ドパミンやグルココルチコイドの使用、Sick Euthyroid Syndrome(低T3症候群)、TSH産生下垂体腺腫などが挙げられる。<どのような影響があるのか?>これまでの研究では、潜在性甲状腺機能亢進症と心血管系イベントや骨折のリスクについての関係性が示唆されている。最新の研究では、TSH値が0.1以下の潜在性甲状腺機能亢進症の患者で、とくに高齢者における心血管系イベントや骨折のリスクに対してのエビデンスが明らかとなってきている。<心血管系への影響>平均心拍数の増加、心房細動と心不全のリスク、心左室の腫瘤形成、拡張不全、心拍数の変動性を減少させる。とくに65歳以上の患者において、Euthyroidの患者と比較すると、潜在性甲状腺機能亢進症の患者は心血管系のイベントが多くなる。<骨・ミネラルの代謝への影響>すべての甲状腺機能亢進を来す病態において、骨代謝回転の増加や、骨密度(とくに皮質骨)の減少を認め、骨折のリスクとなることが明らかとなっている。<いつ治療を考慮するべきか?>米国甲状腺学会では、以下のような推奨を出している。治療を行うべき場合TSH値が持続的に0.1mlU/L未満の患者の中で、1)年齢が65歳以上の場合2)65歳未満においては、心疾患・骨粗鬆症の既往や、甲状腺機能亢進による症状を有する場合3)65歳未満、閉経後でエストロゲンやビスホスホネートの内服がない場合治療を考慮すべき場合TSH値が持続的に0.1mlU/L未満の患者の中で、1)TSH値が0.1~0.4mlU/Lである65歳以上の患者2)TSH値が0.1mlU/L未満で無症状の65歳未満の患者3)TSH値が0.1~0.4mlU/Lで無症状だが心疾患の既往がある、または甲状腺機能亢進による症状が存在する65歳未満の患者4)TSH値が0.1~0.4mlU/Lで無症状の閉経後女性で、エストロゲンやビスホスホネートの内服のない65歳未満の患者※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、 詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。 1) DONANGELO I,et al. Am Fam Physician. 2017;95:710-716

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不遇上等!【Dr. 中島の 新・徒然草】(176)

百七十六の段 不遇上等!とあるパリの展覧会。展示された絵はセザンヌ、ドガ、モネ、ピサロ、ルノワール、シスレーなど、錚々たるメンバーによるもの。値段をつけるなら、その総額は1000億円をくだらないという大変なものでした。それは1874年の第1回印象派展です。当時、ヨーロッパで最も権威ある展覧会「サロン・ド・パリ」に相手にされなかった若者たちが、「ちっくしょう、それなら自分達で好きに絵を描いて展覧会をしてやるわい!」と作品を持ち寄っておこなったものでした。美術に疎い私でも名前を知っている超一流の画家たちが、その昔は世の中に認められず、貧乏のどん底の中でパリのカフェ・ゲルボアに入り浸ってはくだを巻いていた、というのは面白い話です。彼らの絵もたまに「サロン」に当選するものの、その他大勢扱いもいいところでした。なんとルノワールの作品ですら、ごみために展示されていたそうな。嗚呼!その若者たちが審査も報酬もない自由な展覧会をやろうと思うに至ったのは当然のことで、入場料はたったの1フランだったそうです。しかし、パリのキャプシーヌ大通りの狭い部屋で行われた第1回印象派展は評論家たちに酷評されてしまいました。というのは、彼らの画法は伝統的なそれを全く無視したものだったからです。激しい批判にさらされながらも1886年に至るまで合計8回の展覧会を開催した印象派の、その後の快進撃は誰もが知るところ。そのような歴史や人間模様を知った上で、あらためて印象派の絵を眺めると味わい深いものがあります。たとえ権威に理解されなくても、自分の思う通りの絵を描き続けた若者たちの心意気が伝わってくるからでしょう。それだけでなく、彼らの作品は現代日本のアニメーションにも影響しているような気がします。クロード・モネの「日傘をさす女」を見ると、私が連想するのは最近の映画「君の名は。」の数々のシーンです。また、宮崎駿の「風立ちぬ」にも似た構図をみつけることができます。もし私が150年前のカフェ・ゲルボアに現れて、「モネくん、君の作品は50億円で売れるばかりか、形をかえて未来の異国にも登場するぞ! ルノワールくんの方は160億円だ。ごみために展示した馬鹿を許してやってくれ」と教えてあげたら、さぞかし面白いでしょうね。我々も、置かれた状況は人それぞれではありますが、印象派の若者たちを見習い、自らの信ずる道を突き進みましょう。最後に1句君の名は。 印象派だよ、と モネが言う※ 本文中の第1回印象派展の記述については主に「逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密」マルコム・グラッドウェル(講談社)の電子書籍版を参考にしています。

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FFRジャーナルClub 第5回

FFRジャーナルClubでは、FFRをより深く理解するために、最新の論文を読み、その解釈を議論していきます。第5回目の今回は、2017年にupdateされた安定型虚血性心疾患(SIHD:stable ischemic heart disease)の冠血行再建に関するAppropriate Use Criteria(AUC)のポイントを読んでいきたいと思います。第5回 AUC改訂のポイントAUCはさまざまな臨床シナリオを設定し、複数名の専門家がそれぞれの治療適応を判定したものであり、2009年に初めて報告された。2012年に初回のupdateが行われ、今回は2回目のupdateとなる。虚血の評価法としてFFRの重要性が大きく取り上げられた点で、興味深いものである。Patel MR, et al. ACC/AATS/AHA/ASE/ASNC/SCAI/SCCT/STS 2017 Appropriate Use Criteria for Coronary Revascularization in Patients With Stable Ischemic Heart Disease: A Report of the American College of Cardiology Appropriate Use Criteria Task Force, American Association for Thoracic Surgery, American Heart Association, American Society of Echocardiography, American Society of Nuclear Cardiology, Society for Cardiovascular Angiography and Interventions, Society of Cardiovascular Computed Tomography, and Society of Thoracic Surgeons. J Am Coll Cardiol. 2017;69:2212-2241.Fihn SD, et al. 2014 ACC/AHA/AATS/PCNA/SCAI/STS focused update of the guideline for the diagnosis and management of patients with stable ischemic heart disease: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines, and the American Association for Thoracic Surgery, Preventive Cardiovascular Nurses Association, Society for Cardiovascular Angiography and Interventions, and Society of Thoracic Surgeons. J Am Coll Cardiol. 2014;64:1929-1949.以前のAUCからの改訂点をまとめると。1.急性冠症候群(ACS)に対するものと、安定虚血性心疾患(SIHD)に対するものを別々にまとめることとなった。これはすでにACC/AHAの冠血行再建に対するガイドラインが、同様に分けて作成されているのでそれに従ったものである。2.臨床シナリオには、自覚症状、非侵襲検査によるリスクレベル、病変の広がり(病変枝数)に、冠血流予備量比(FFR)、糖尿病の有無、SYNTAXスコアが加えられた。3.AUCカテゴリー名称を変更した。Score 7 to 9:Appropriate careScore 4 to 6:May be appropriate careScore 1 to 3:Rarely appropriate care4.腎移植、TAVI前の冠血行再建に関するシナリオが追加・評価された。5.FFRの使用がより多くのシナリオに組み込まれた。AUCのスコアを決定するための因子は1.臨床徴候(虚血症状が惹起される運動レベルなど)2.抗狭心症薬の使用3.非侵襲的虚血検査の結果(虚血の存在および重症度)4.併存症・危険因子の存在(糖尿病など)5.解剖学的な病変の広がり(病変枝数、左主幹部病変の存在、LAD近位部病変の存在の有無)6.CABG既往の有無7.IVUSやFFRの所見(FFR≦0.80を心筋虚血の所見と定義されている)非侵襲的検査におけるリスク評価高リスク(死亡・心筋梗塞のリスク3%以上)1.安静時心エコー:低心機能(LVEF<35%)2.安静時SPECT:心筋灌流異常≧10%(心筋梗塞の既往を除く)3.負荷心電図所見:低負荷にて2mm以上のST低下、または負荷時のST上昇、または負荷時のVT/VF4.負荷誘発性の心機能低下:最大負荷時のLVEF<45%、あるいは負荷時のLVEF低下が10%以上5.負荷SPECT:負荷誘発性の灌流異常が10%以上、あるいは負荷時のスコアが多枝病変を示唆するもの6.負荷SPECT:負荷時左室拡大7.負荷誘発性の壁運動異常が冠動脈走行の2枝以上の領域にわたるもの8.ドブタミン負荷心エコー図:ドブタミン低用量(≦10mg/kg/min)あるいは低心拍数(<120 beats/min)にて壁運動異常が出現するもの9.冠動脈CT:カルシウムスコア(Agatstonスコア)>40010.冠動脈CT:多枝病変(≧70%狭窄が複数枝にわたる)あるいは左主幹部病変(≧50%狭窄)中等度リスク(死亡・心筋梗塞のリスク1~3%)1.安静時心エコー:軽度/中等度心機能低下(LVEF 35~49%)2.安静時SPECT:心筋灌流異常5~9.9%(心筋梗塞の既往を除く)3.労作性の症状出現時ECGにて1mm以上のST低下4.負荷SPECT:負荷誘発性の灌流異常が5~9.9%、あるいは負荷時のスコアが1枝病変を示唆し、負荷時左室拡大を伴わないもの5.負荷誘発性の壁運動異常が狭い範囲(冠動脈走行の1枝領域)に限定6.冠動脈CT:カルシウムスコア(Agatstonスコア)100~3997.冠動脈CT:高度狭窄(≧70%狭窄)を1枝に認める、あるいは中等度狭窄(50~69%狭窄)を2枝以上に認める低リスク(死亡・心筋梗塞のリスク<1%)1.Treadmill心電図:低リスクTreadmill score(≧5)、あるいは最大負荷量に達した時点でST変化・胸部症状の出現なし2.負荷・安静SPECT:安静時灌流異常がなく、負荷時灌流異常が<5%3.負荷心エコー図:負荷時壁運動異常の出現なし、あるいは増悪なし4.冠動脈CT:カルシウムスコア(Agatstonスコア)<1005.冠動脈CT:有意狭窄(>50%)を認めない冠動脈バイパス術(CABG)既往のないSIHD病変枝数(1~3枝)、左主幹部病変によって分けられる。それぞれの病変部位、リスク評価、虚血評価の状況によりシナリオが分けられている。さらに、無症候、有症候、抗狭心症薬投薬の有無、薬剤数(1種類あるいは2種類以上、薬剤としてはβ遮断薬が推奨されている)、治療戦略(PCIあるいはCABG)ごとにAppropriate Use Scoreが記載されている。1枝病変におけるAppropriate Use Score画像を拡大するAA:抗狭心症薬、BB:β遮断薬Left dominant LCX:RCAがhypoplastyであり、LCXの灌流範囲が2枝相当のもの。非侵襲的検査によりリスク評価を行う。非侵襲的検査が行われていないか、あるいはその結果が診断的でない場合はFFRを計測し、FFR≦0.80を虚血所見とする。LAD proximal、dominant LCXのproximal病変以外の場合は、低リスクであればRarely appropriate careにランクされる。2枝病変におけるAppropriate Use Score画像を拡大するDMの有無が、とくに血行再建選択(PCI or CABG)において大きな要素となる。負荷試験が行われていない(あるいは結果が診断的でない)場合は、2枝病変の両病変においてFFRが陽性であることが記載されており、機能的2枝病変のみが含まれる。1枝においてFFR陰性であれば、1枝病変におけるシナリオにて判定される。3枝病変におけるAppropriate Use Score画像を拡大するDMの有無とともに、病変の複雑性が血行再建選択(PCI or CABG)の大きな要素となる。その1つの指標としてSYNTAXスコアが用いられている。左主幹部病変におけるAppropriate Use Score画像を拡大する孤立性で入口部あるいはLMT中間部のLMT病変において、有症候性の場合は、PCIがAppropriate careにランクされていることは特筆すべきである。解剖学的に複雑となる場合は、CABGがより推奨されるが、多枝病変であってもSYNTAX≦22で、内服下に有症候性であればPCIはMay be appropriate careにランクされる。LMT bifurcation lesionに、その他の部位のbifurcation lesion、diffuse lesionを合併し、SYNTAXスコア>22となるような複雑病変では、PCIはRarely appropriate careにランクされる。解説:今回は、血行再建に対するAUC update版の中で、SIHDに対するもの、その中でもCABG既往のない症例の臨床シナリオを紹介した。すべてのシナリオにおいて、非侵襲的検査によるリスク評価の結果、および抗狭心症薬内服下での虚血症状の有無がその判断に大きな位置を占めていることがわかる。あくまでも安定した狭心症、という前提であるが、術前にしっかりと患者全体像を把握したうえで血行再建の適応を考慮すべき、ということを示している。内服開始後に症状の消失を確認せずにPCIを考慮することも多々あると思われるが、1枝・2枝病変で、かつ低リスクの場合はRarely appropriate careにランクされる。このAUCをそのまま日本の臨床に当てはめることはできないが、非侵襲的なリスク評価が重要である、という点は再認識すべきである。日本の日常臨床を2012年版AUCに当てはめると、ACSでは約80%がappropriate、3%がinappropriateであったのに対し、SIHDではinappropriateが約30%に及んでいた(Inohara T, Kohsaka S, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2014;7:1000-1009.)。その1つの原因として、日本では冠動脈CTは広く普及している一方、負荷心筋シンチグラムや負荷心エコー図は行える施設が限定されている点が挙げられる。しかし最近のFFR guide PCIのエビデンスの蓄積により、本AUCではFFRによる虚血評価を基に、適切な治療方針を立てる戦略が組み込まれた。さらには、冠動脈CT後に引き続きFFR-CTを計測することの有用性についても言及されている。FFRの臨床的有用性が確立されたものと言え、FFR使用を強く後押しするものである。日本版のAUCは、現在CVITが“standardized PCI”として思案されているが、第三者から見て「とても外れたことでない」という標準がどこにあるのかを示し、各々が認識しておくことは重要と思われる。術者側の独り善がりの判断にならないよう、ある一定の基準作りが望まれている。本AUC策定により、米国ではPCI件数が大幅に減少したことが知られている。その背景には、AUCから大きく外れた医師・施設には保険会社から支払いがなされない、という事象が起きたことにもよる。そのような状況を受けてか、本文中にAUCの役割として、「日常臨床のパターンを評価するための基礎を提供するものであり、診療careの質の向上を目指すためのものである。個々の症例の支払いの判断に使われるべきではない」、ということが強調されている。“Appropriate care”にランクされたものは血行再建が必須というものではなく、また“Rarely appropriate care”にランクされたものも血行再建を行うことを完全に否定するものではない、という点が重要である。最終的には個々の症例の全体像を鑑みて、最終的な治療方針が決定されるべきである。

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緑内障手術、線維柱帯切除術 vs.低侵襲ステント留置

 近年、緑内障手術ではステント状のデバイスを埋め込む低侵襲の手術が注目され、海外ではさまざまなデバイスが開発されている。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、ab interno(眼の内側からの)ゼラチンマイクロステント留置の有効性および安全性について、線維柱帯切除術と比較する国際多施設後ろ向き介入コホート研究を行い、両者の間で失敗のリスクや安全性プロファイルに大きな差はないことを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、2011年1月1日~2015年7月31日の間に、カナダ・トロント、ドイツ・フランクフルト、オーストリア・ザルツブルグ、ベルギー・ルーヴェンの4つの大学病院において、マイトマイシンC併用ab internoゼラチンマイクロステント留置、またはマイトマイシンC併用線維柱帯切除術を受けた、過去に切開手術の既往歴のないコントロール不良の緑内障患者連続症例354眼293例(マイクロステント185例、線維柱帯切除術169例)について、解析した。 主要評価項目は、失敗のハザード比(HR:失敗は、2回の連続した測定で眼圧低下<6mmHg、視力障害を伴う、と定義)、またはクリニックでの穿刺を含む介入にもかかわらず、手術後1ヵ月以上の時点で薬物療法を行うことなく眼圧>17mmHg(完全成功)の割合であった。副次評価項目は、眼圧閾値が6~14mmHg、6~21mmHgまたは薬物療法を受けた場合と同じ値(条件付き成功)の割合、介入、合併症、そして再手術率とした。 主な結果は以下のとおり。・マイクロステント群で、男性が多く(56% vs.43%)、年齢が若く(平均年齢-3歳)、術前視力が良好で(0.4logMAR以下の割合が22% vs.32%)、線維柱帯形成術の割合が多かった(52% vs.30%)が、ベースラインにおけるそれ以外の患者背景は類似していた。・マイクロステント失敗の線維柱帯切除術に対する補正HRは、完全成功に関して1.2(95%信頼区間[CI]:0.7~2.0)、条件付き成功に関して1.3(95%CI:0.6~2.8)、その他の評価項目に関しては類似していた。・25%失敗までの時間は、完全な成功に関してマイクロステントで11.2ヵ月(95%CI:6.9~16.1)、線維柱帯切除術で10.6ヵ月(95%CI:6.8~16.2ヵ月)、条件付き成功に関して、それぞれ30.3ヵ月(95%CI:19.0~未到達)と33.3ヵ月(95%CI:25.7~46.2ヵ月)であった。・概して、白人には失敗のリスク減少との関連があり(補正HR:0.49、95%CI:0.25~0.96)、糖尿病は失敗のリスク増加と関連していた(補正HR:4.21、95%CI:2.10~8.45)。・マイクロステントと線維柱帯切除術で、介入がそれぞれ114件および162件、穿刺施行が43%および31%あり、線維柱帯切除術眼の50%はレーザー縫合糸切離を受けた。・合併症は、それぞれ22件および30件認められたが、ほとんどは一過性であった。・再手術率は、それぞれ10%および5%であった(p=0.11)。

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遺伝性血管性浮腫〔HAE:Hereditary angioedema〕

1 疾患概要■ 概念・定義遺伝性血管性浮腫(HAE)は、顔面や四肢、腸管や喉頭など全身のさまざまな部位に突発性、一過性の浮腫を生じる遺伝性疾患である。気道閉塞や激烈な腹痛を生じて重篤になりうるため希少疾患ではあるが見逃してはならない。従来、C1インヒビター(C1-INH)遺伝子異常によるHAE I型、II型が知られていたが、2000年にC1-INH遺伝子に異常を認めないHAE with normal C1-INH(HAEnC1-INHあるいはHAE III型)が報告された。HAEは常染色体優性遺伝形式をとるが、HAE III型では浸透率が低く、しかも発症するのはほとんど女性である。またHAE I/II型では家族歴のない孤発例も25%で認められる。孤発例はde novoの遺伝子異常症である1)。HAEにみられる突発性浮腫の本態は、これらの遺伝子異常の結果、産生が亢進したブラジキニンなどの炎症メディエーターによって血管透過性が亢進することがある。古くから知られた疾患であるがまれな疾患であり、気付かれにくく診断に難渋することが多い。2010年に「遺伝性血管性浮腫ガイドライン2010」が補体研究会(現 一般社団法人 日本補体学会)から発表され2)、2014年に改訂された3)。HAEの診断、鑑別、症状別の治療方針について系統的に記載されたわが国で初めてのガイドラインである。■ 疫学HAE I/II型は人種を問わず5万人に1人とする報告が多い。HAE III型は10万人に1人程度と考えられている。いずれもすべての人種で報告されている。■ 病因HAEはその病因から3つの型に分類される。I型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性、タンパク量ともに低下している。HAE全体の約85%を占める。II型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性中心のアミノ酸変異による機能異常である。C1-INH活性は低下するが、タンパク量は低下しない。HAEの約15%を占める。III型遺伝性であるがほとんど女性に発症する。病態の詳細は不明であるが、一部の症例に凝固XII因子の変異を認める。C1-INHの活性、タンパク量ともに正常である。HAEのほとんどを占めるI型、II型の原因は、遺伝子変異によるC1-INHの機能低下である。I型、II型ならびにIII型の中で凝固XII因子の変異がある場合は、最終的にブラジキニンの産生が亢進する。その結果、血管透過性が亢進し、血管外に水分が漏出、貯留して浮腫が生じるが、この浮腫は数日で消失する。III型で凝固XII因子の異常を認めない場合の病因は不明である。■ 症状24時間で最大となり数日で自然に消褪する発作を繰り返す。10~20歳代に初発することが多い。I~III型まで報告されているHAEの特徴を、表に示す4)。いずれの病型も発現する症状はほぼ同じである。風邪、外傷、歯科治療、精神的ストレス、疲労などが誘因になりやすいが、何の誘因もない症例も多い。浮腫発作がないときには、健康人と何ら変わりはない。画像を拡大する1)皮膚症状眼瞼、口唇、四肢に発作性に浮腫を生じやすいが、ほかにもあらゆる場所に生じうる。浮腫を起こした皮膚表面は、赤みをごく軽度に帯びることはあっても蕁麻疹などのように明瞭な皮疹は伴わない。発作初期に罹患部がピリピリすることはあるが痛みやかゆみはない。2)消化器症状嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などがあるが、なかでも腹痛は激烈である。炎症性疾患とは異なり、筋性防御はなく腹部エコーやCT所見で浮腫を認める。3)喉頭浮腫嚥下困難、喉の詰まり感、嗄声や声が出ないなどの声の変化、息苦しさを呈するが、進行すると呼吸困難、窒息になる。■ 予後喉頭浮腫を生じているにもかかわらず、適切に治療されなかった場合の致死率は30%とされる。その他の症候は予後良好である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準1)突発性の浮腫2)補体C4の低下、C1-INH活性の低下3)家族歴以上の3つがあればHAE I型あるいはII型(HAE I/II型)と診断できる。C1-INHタンパク質量が低下していればHAE I型、正常または増加していればHAE II型である。1)と3)のみの場合、HAE III型と診断しうる。1)と2)のみの場合HAE I/II型の孤発例か後天性血管性浮腫である。血清C1qタンパク質定量(保険適用外)が低値であれば後天性とされているが、HAEの場合でも低値を示すことがある。4)確定診断のためには遺伝子解析が有用である。確定診断のためにはC1-INH遺伝子(SERPING1)異常の同定が望ましい。HAE III型の一部では凝固XII因子遺伝子異常が報告されているが、わが国での報告はない。HAE III型は今後の研究の進展に伴って疾患概念が変化する可能性がある。5)診断の参考となるアルゴリズムを提示する(図)1)。画像を拡大する■ 検査1)HAEを疑った際にはまず補体C4濃度を測定する。発作時には100%、発作がないときでも98%の検体で基準値を下回る。2)C1-INH活性は発作時であるか否かにかかわらず50%未満となるため診断に最も有用である。保険適用である。3)C1-INHタンパク質定量はHAE I型、II型を区別する場合に施行するが、保険適用ではない。4)HAE I/II型ではSERPING1遺伝子のヘテロ変異を認める。5)HAE III型の一部には凝固XII因子の遺伝子異常を認めるが、それ以外には診断に役立つ検査はない。■ 鑑別診断突発性浮腫を呈するほかの疾患との鑑別が重要である。1)アレルギー性血管性浮腫蕁麻疹を伴い、原因はペニシリンなどの薬剤や卵、小麦などの食物、化学物質に対するIgEを介したアレルギー機序である。2)後天性血管性浮腫思春期発症が多いHAEと異なり40歳以降に初発することが多い。悪性腫瘍、自己免疫によるC1-INHの消費が原因である。3)非アレルギー性薬剤性血管性浮腫アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)では、COX阻害により浮腫を生じる。ACE阻害薬内服患者の0.1~0.5%に生じるとされる。4)物理的刺激による血管性浮腫温熱、寒冷、振動、日光曝露などの物理的刺激で生じる。5)好酸球増多を伴う好酸球性血管性浮腫末梢血の好酸球増多、繰り返す浮腫と発熱、蕁麻疹、体重増加とIgM増加を伴う。まれ。6)特発性浮腫原因不明である。血管性浮腫の半数近くを占め、最も頻度が高い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発作出現時の治療と発作の予防の2つに分けられる。1)発作時の治療世界的にはC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬の3系統が存在するが、わが国では2017年6月現在ヒト血漿由来C1-INH製剤である乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)のみ保険適用である。顔面、頸部、喉頭、腹部の発作には積極的に投与する。2)短期予防あらかじめ処置や手術がわかっているときの発作予防である。ベリナートPが1990年にわが国で承認されて以来、効能・効果は「遺伝性血管性浮腫の急性発作」のみであった。しかしながら、侵襲を伴う処置に対する発作予防の必要性が認められ、2017年3月ベリナートPの効能・効果に「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」が追加された。(1)歯科治療(侵襲が小さい場合)C1-INH製剤の準備のうえならば予防投与は必要ない。(2)歯科治療(侵襲が大きい場合)、外科手術などの大ストレス時手術の1時間前にC1-INH製剤の補充を行う。3)長期予防1ヵ月に1回以上あるいは1ヵ月に5日以上の発作がある場合、または喉頭浮腫の既往がある場合には、次の治療を検討する。(1)トラネキサム酸(同:トランサミン)30~50mg/kg/日を1日2~3回に分けて服用する。そのほか、長期の発作予防には抗プラスミン作用を期待してトラネキサム酸が用いられるが、効果は限定的である。(2)ダナゾール(同:ボンゾール)蛋白同化ホルモンであるダナゾールも用いられる。2.5mg/kg/日(最大200mg/日)を1ヵ月、もし無効ならば300mgを1ヵ月、さらに無効ならば400mg/日を1ヵ月投与する。有効であれば、その後1ヵ月ごとに半量に軽減し50mg/日連日か100mg/日隔日まで減量する。副作用として肝障害、高血糖、多毛、男性化には注意が必要である。ただし保険適用はない。(3)C1-INH製剤(C1エステラーゼ阻害剤)欧米ではヒト血漿由来のCinryzeの予防投与(週2回、静注)が認められているが、わが国では未承認である。4 今後の展望HAEの早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。また、HAEのような希少疾患では、1人でも多くの患者情報を正確に収集し、病態の把握や診断基準の作成に役立てる必要がある。欧米では、すでにいくつかの登録システムが稼働しているように、わが国においても患者レジストリーの構築が不可欠である。現在、NPO法人 血管性浮腫情報センターと、一般社団法人 日本補体学会の協力をもとにレジストリーの構築が進められている。薬剤治療法については、従来から存在するヒト血漿由来C1-INH製剤に加えて、最近の10年間で遺伝子組換えヒトC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬が次々と登場してきた。わが国ではヒト血漿由来C1-INH製剤ベリナートPのみがHAEへの保険適用を認められているに過ぎないが、これらの薬剤のHAEへの承認へ向けた臨床試験が進められている。とくに新しい経口のHAE治療薬開発の進展が期待されている。5 主たる診療科内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、救命救急科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報NPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報HAE患者会「くみーむ」(HAE患者と家族への情報)その他の情報腫れ・腹痛ナビ(医療従事者向け)腫れ・腹痛ナビ(患者さん向け)1)堀内孝彦. 遺伝性血管性浮腫(HAE). In:日本免疫不全症研究会編. 原発性免疫不全症候群 診療の手引き. 診断と治療社; 2017.p.130-135.2)Horiuchi T, et al. Allergol Int. 2012;61:559-562.3)堀内孝彦ほか. 補体. 2014;52:24-30.4)堀内孝彦. 医学のあゆみ. 2016;258:861-866.公開履歴初回2017年6月27日

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全9問消化器は、最近ガイドライン改訂が続いているため、新たなガイドラインはチェックしておきたい。また潰瘍性大腸炎とクローン病については毎年出題されているので、両疾患の相違点を確認しておくことも重要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)胃食道逆流症(GERD)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)コレシストキニンは下部食道括約筋(LES)収縮作用を持つ(b)シェーグレン症候群の合併症に胃食道逆流症(GERD)がある(c)食道粘膜障害の内視鏡的重症度は、自覚症状の程度と相関する(d)非びらん性胃食道逆流症はびらん性胃食道逆流症と違い、肥満者に多いという特徴を持つ(e)除菌治療によるピロリ菌感染率低下により、今後、患者数は減少すると予想されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全8問肝臓については、各々の肝炎ウイルスの特徴と肝細胞がんの新たな治療アルゴリズムを確認しておきたい。膵臓については、膵炎の新たなガイドラインについて出題される可能性があるので、一読の必要がある。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肝炎について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性肝炎でAST(GOT)>ALT(GPT)は、極期を過ぎて回復期に入ったことを示している(b)de novo B型肝炎は、HBV既往感染者(HBs抗原陰性・HBc抗体陽性・HBs抗体陽性)にステロイドや免疫抑制薬を使用した際にHBV再活性化により肝炎を発症した状態であり、通常のB型肝炎に比べて劇症化や死亡率は低い(c)HBVゲノタイプC感染に伴うB型急性肝炎では、肝炎が遷延もしくは慢性化する可能性がほかのゲノタイプよりも高い(d)B型急性肝炎とキャリアからの急性発症との鑑別にIgM-HBc抗体価が使用される(e)HBs抗原陽性血液に曝露した場合の対応として、 被曝露者がHBs抗原陰性かつHBs抗体陰性であれば十分な水洗いと曝露時のワクチン接種ならびに72時間以内のB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)が推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域については、何といっても白血病が設問の中心である。認定内科医試験では、治療よりも染色の特徴、検査データ、予防因子についてよく出題される傾向がある。このほか、貧血に関する出題も多いので、しっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性白血病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性骨髄性白血病(AML)MO・M5b・M7では、MPO染色陰性であるため、注意する必要がある(b)急性前骨髄球性白血病(APL)では、白血病細胞中のアズール顆粒内の組織因子やアネキシンIIにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)を高率に合併する(c)AMLのFAB分類M5では、特異的エステラーゼ染色・非特異的エステラーゼ染色とも陽性を示す(d)AMLの予後不良因子は、染色体核型がt(15:17)・t(8:21)・inv(16)である(e)ATRAを用いた治療中にレチノイン酸症候群または分化症候群を発症した場合、治療中断による白血病増悪を考え、ステロイド併用などを行いつつ治療を継続すべきである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 循環器】 全9問循環器領域については、弁膜症や心筋梗塞など主要疾患の診断確定に必要な身体所見と検査所見をしっかり押さえることが重要である。高血圧や感染性心内膜炎の問題は毎年出題されているので、フォローしておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)弁膜症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)僧帽弁狭窄症(MS)は、本邦では高齢化に伴い近年増加傾向である(b)僧帽弁狭窄症(MS)では、拡張期ランブルを聴診器ベル型で聴取する(c)僧帽弁狭窄症(MS)では、心音図でQ-I時間が短いほど、II-OS時間が長いほど重症と判定する(d)僧帽弁狭窄症(MS)の心臓超音波検査では、僧帽弁前尖の拡張期後退速度(DDR)の上昇を認める(e)僧帽弁逸脱症(MVP)は肥満体型の男性に多く認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 神経】 全8問神経領域については、今年度も「脳卒中治療ガイドライン2015」と血栓溶解療法の適応に関する出題が予想される。各神経疾患における画像所見、とりわけスペクトとMIBGシンチグラフィは毎年出題されている。アトラス等でしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)脳梗塞について正しいものはどれか?1つ選べ(a)心原性脳塞栓症は、階段状増悪の経過をとることが多い(b)一過性脳虚血発作(TIA)で一過性黒内障の症状を認めた場合、椎骨脳底動脈系の閉塞を疑う(c)TIAを疑う場合のABCD2スコアは、A:Age(年齢)、B:BP(血圧)、C:Consciousness level(意識障害の程度)、D:duration(持続時間)とdiabetes(糖尿病の病歴)の5項目をスコアリングし、合計したものである(d)CHADS2スコア1点の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中発症予防には、ワルファリンによる抗凝固療法が勧められている(e)血栓溶解療法(アルテプラーゼ静注療法)は、血小板8万/mm3では適応外である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全5問総合内科/救急では、「心肺蘇生ガイドライン2015」や、JCS・GCSスコアリング、確率計算の出題が予想される。2016年12月に「日本版敗血症診療ガイドライン2016」が発表されたので、内容を押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)事前確率25%で感度60%・特異度80%の検査が陽性であった場合の正しい事後確率はどれか?1つ選べ(a)15%(b)20%(c)50%(d)60%(e)80%例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第7回:(b)、第8回:(d)、第9回:(b)、第10回:(b)、第11回:(e)、第12回:(c)【第1回】~【第6回】は こちら

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問11(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問11 多変量解析とは何か?(その1)質問9、質問10で多変量解析を学ぶ前のおさらいをしてきました。今回からいよいよ医学統計でよく用いられる多変量解析についてご説明します。医学や薬学で用いられるデータは、人間や動物といった多種多様なものが複雑に絡み合って得られるものがたくさんあり、多くの種類(3つ以上)のデータ、つまり、多変量データと考えられます。そのため医学や薬学の研究では、多変量解析を適用すべき場面がしばしばあるのです。■解決したいテーマ多変量解析とは何かを知ってもらうために、多変量解析で解決できるテーマを3つほど取り上げてみましょう。医学的な事例だと難しくなりがちですので、一般的でなじみやすい事例で説明していきます。●テーマ1ドラッグストアでサプリメントなど、ある商品の売上をアップさせたいとき、どうすればよいでしょういろいろなアイデアがあると思います。チラシを印刷して店の近隣エリアにある住宅のポストに投函するとか、タウン誌に広告を出すなど広告費を増やして、どんどん宣伝するというのも1つの方法でしょう。また、店舗アルバイトの人員を増やすことで売上アップを狙うのもよいかもしれません。もちろん、単に広告費を増額して、あるいは店員の数を増やして売上を伸ばすというだけのアイデアが採用されるほど、ドラッグストアの本部は甘くはありません。しかし、あなたが、「広告費やアルバイト店員数の売上に対する影響度」、具体的には「広告費を1万円使えば、売上がどれほど増えるかといった広告費の売上への貢献度」などを数値に表し、売上を予測できたとすれば、あなたのアイデアはすぐにGoサインが出るでしょう。それでは、売上に対する影響度、貢献度はどのように数値化し、予測値をどのように算出すればよいでしょうか。●テーマ2人間ドックでの患者さんへの簡単な問診票の回答結果から、ある疾患に罹患している可能性を診断する仕掛けはどのようになっているのでしょう最近、食欲がない、軽い腹痛など調子が優れないと感じているときに、毎年の定期健診で受診している人間ドックにいきました。さっそく簡単な問診票が渡され、その質問に答えたところ、人間ドックの担当医から、「がんの疑いがあるので精密検査が必要です」と診断されました。どうすれば、簡単なアンケートだけで、こんな大胆な診断ができるのでしょうか。できるとすれば、どんな方法で行っているのでしょうか。●テーマ3大学受験の前に学科の得意・不得意によって、文系クラスか理系クラスかを決める仕掛けはどのようになっているのでしょう皆様の中にもこのような経験をされた方がいるかもしれません。高校2年から3年に進級するとき、学科の得意・不得意によって文系クラスか理系クラスかを決められてしまうケースがあります。英語や国語の点数が高いから文系、数学や物理の点数が高いから理系と決められるのは、納得がいきません。なぜなら、英語には文法があり理系能力も要求されます。また数学には文章問題があり、文系能力も要求されるからです。「英語の得点のうち80%が文系能力、20%が理系能力」、「数学の得点のうち10%が文系能力、90%が理系能力」といったことが解析で導き出せないものでしょうか。もし、このようなことが数値化できれば、真の文系能力、理系能力がわかりますね。■多変量解析で解決するテーマ1~3について、多変量解析はどのような考え方で解決しているかを解説します。●テーマ1ドラッグストアでサプリメントなど、ある商品の売上をアップさせたいとき、どうすればよいでしょう予測したいサプリメントXの売上金額、広告費、店員数のデータを直近の6年間について調べ、表1としてパソコン(Excel)に入力し、多変量解析のソフトで処理します。多変量解析は、いろいろな数値を算出します。広告費を1万円使用したとき売上は8万円アップ、店員1人を投入すると売上は539万円アップするといった売上貢献度を算出します。広告費、店員数を0としたときの最少売上を算出します。その値は1,148万円です。2017年の広告費は1,300万円、店員数は14人です。表1 事例の売上金額、広告費、店員数などのデータ(1)広告費1万円に対する売上貢献度は8万円なので、2017年の広告費による売上は、広告費1,300万円に売上貢献度8万円を掛けた値である1億400万円だといえます。(2)店員数1人に対する売上貢献度は539万円なので、2017年の店員による売上は、店員数14人に売上貢献度539万円を掛けた値である7,546万円だといえます。(3)何もしなくても見込める最少売上は1,148万円です。図に示した1億400万円、7,546万円、1,148万円を加算することによって、2017年の売上ポテンシャル(予測値)は1億9,094万円となります。図 2017年の売上ポテンシャル(予測値)2017年は、広告費を1,300万円、販売員数を14人投入すれば、サプリメントXは1億9,094万円の売上を見込めるということがわかりました。●テーマ2人間ドックでの患者さんへの簡単な問診票の回答結果から、ある疾患に罹患している可能性を診断する仕掛けはどのようになっているのでしょうすでに確認されているがん患者のグループと、健康な人のグループとの問診票のアンケート回答結果から診断を行います。診断は、アンケートに回答してもらった、喫煙の有無、飲酒の有無などで行います。がんの有無と各質問項目との相関関係を調べ、がんであるかどうかを判別する関係式を作ります。がん判別得点=a1×質問(1)+a2×質問(2)+…+定数ここで示したa1、a2は、各質問ががん判定にとってどのくらい大事なのかを表した数値と考えてください。この関係式をパソコンにセットします。あとは人間ドックに来院した人の問診票の結果をパソコンに入力すると、その回答は関係式にインプットされ、がんの有無を調べる得点が計算されます。この値が「+」であればがんの可能性あり、「-」であれば可能性なしということになります。●テーマ3大学受験の前に学科の得意・不得意によって、文系クラスか理系クラスかを決める仕掛けはどのようになっているのでしょう表2で各科目の文系能力へのウエイトのa1、a2、…を求めます。同様に理系能力のウエイトb1、b2、…を求めます。表2 文系、理系ウエイトの算出生徒の各科目の得点をx1、x2、…とします。文系能力、理系能力は、次の関係式によって求められます。文系能力得点=a1x1+a2x2+a3x3+a4x4+a5x5理系能力得点=b1x1+b2x2+b3x3+b4x4+b5x5表3に、ある生徒の5科目が次の得点であるときの文系能力得点、理系能力得点を求めます。表3 ある生徒は文系か、理系か文系能力得点=0.8×80十0.1×50+0.9×90+0.3×60+0.4×70      =64+5+81+18+28=196 平均39.2理系能力得点=0.2×80+0.9×50+0.1×90+0.7×60+0.6×70      =16+45+9+42+42=154 平均30.8よって、この生徒の平均点は70点、そのうち文系能力は39.2点、理系能力は30.8点と求められ、文系能力のほうが高いことがわかりました。以上、解決方法を述べました。すべてのテーマに共通して言えることがあります。どのテーマも関係式(モデル式ともいう)を作り、この関係式を用いて解決しているということです。この関係式を作ること、すなわち「関係式に用いる係数を求めること」が、多変量解析の役割なのです。多変量解析の応用範囲は広く、最初の出発点は心理学でしたが、現在では、変数間の関係を取り扱うのであれば、あらゆる分野に応用されています。その分野は、人類学から、考古学、物理学、経済学、教育学、気象学、家政学、社会学までと多岐にわたり、研究所、行政省庁、企業、そしてマーケティング業務などと多様なシチュエーションで活用されています。どのジャンル、テーマも多変量解析を適用して解決する場合、関係式を用いています。ここまで、多変量解析とは何かを知ってもらうために、一般的でなじみやすい事例で説明しました。次回は、多変量解析で取り扱うデータや、解析の種類および解析手法名について説明していきます。今回のポイント1)多変量解析は関係式(モデル式)を作り、その関係式を使って、課題を解決する!2)多変量解析の役割は、この関係式に用いる係数を求めること!3)多変量解析の応用範囲は広く、変数間の関係を取り扱う場合であれば、医学はもちろんその他のあらゆる分野で応用されている!インデックスページへ戻る

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2次予防の抗血小板療法、重大出血リスクは高齢ほど上昇/Lancet

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)非併用でアスピリンベースの抗血小板治療を受ける虚血性イベント後の患者について、重大出血のリスクは長期的に高いことが、前向き住民ベースのコホート試験で示された。また、そのような患者は、先行研究で示された患者と比べて実際には高齢の患者で多く、機能障害が残るまたは死亡に至る上部消化管出血のリスクがかなり高かった。これら、英国・オックスフォード大学のLinxin Li氏らによる「Oxford Vascular Study」試験の結果は、Lancet誌オンライン版2017年6月13日号で発表された。虚血性イベント後の患者には生涯にわたる抗血小板治療が、先行研究である75歳未満の患者を対象とした試験をベースに推奨されている。著者らは年齢を問わず、2次予防としての抗血小板治療における出血のリスク、経過、アウトカムを評価するため、本検討を行った。初発虚血性イベント後の抗血小板治療と出血リスクを評価 試験は、2002~12年のOxford Vascular Studyにおける、イベント後に抗血小板治療(主にアスピリンベースでPPI併用なし)を受けていた初発の一過性脳虚血発作(TIA)、虚血性脳卒中または心筋梗塞を呈した患者を、2013年まで追跡して行われた。 治療を要した出血のタイプ、重症度、アウトカム(機能障害または死亡)、経過について、対面調査で10年間追跡した。 先行研究からのKaplan-Meierリスク推定値と相対リスクの低下推定値をベースとし、PPIを常に併用することによる上部消化管出血予防のための、年齢特異的な治療必要数(NNT)を推算し評価した。重大出血のリスクは年齢が上昇するほど高値に 1万3,509人年の追跡期間中、3,166例(75歳以上1,582例[50%])が405件の初発の出血イベントを有した(消化管218件、頭蓋内45件、その他142件)。そのうち314例(78%)が出血入院したが、うち117例(37%)については治療に関するコーディングデータが得られなかった。 非重大出血リスクは、年齢と関連していなかった。一方で、重大出血は年齢が上昇するほど高まることが認められた(75歳以上のハザード比[HR]:3.10、95%信頼区間[CI]:2.27~4.24、p<0.0001)。とくに、致死的出血について関連が高く(5.53、2.65~11.54、p<0.0001)、長期の追跡期間中、持続して認められた。 同様の結果が、重大上部消化管出血についても認められ(75歳以上のHR:4.13、2.60~6.57、p<0.0001)、とくに機能障害または死亡においてみられた(10.26、4.37~24.13、p<0.0001)。 75歳以上の患者では、重大上部消化管出血は、大部分が機能障害または死亡に至った(患者の62%[45/73例] vs.虚血性脳卒中再発患者では47%[101/213例]と約半数)。また、機能障害または致死的な脳内出血よりも多く(上部消化管出血45例 vs.脳内出血18例)、75歳以上の患者の絶対リスクは1,000人年当たり9.15(95%CI:6.67~12.24)であった。 なお、機能障害または致死的上部消化管出血を5年間で1例予防するためのPPI常用の推定NNT値は、年齢とともに低下することが示された。65歳未満の患者では338であったが、85歳以上では25と低かった。 これらを踏まえて著者は、「75歳以上の患者の重大出血の半数以上が重大合併症とされている上部消化管出血であった。そのような出血を予防するPPI常用の推定NNT値は低く、併用が推奨されるべきであろう」と述べている。

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ここが知りたい!高齢者糖尿病診療ハンドブック

高齢者糖尿病患者を診療するために必要な経験的知識を詰め込みました全患者の約半数を高齢者が占める糖尿病。認知・身体機能が低下した患者に適切な治療を行うには、医師・医療者が高齢者の特徴を踏まえた知識とノウハウを身につける必要があります。学会からEvidenceに基づくガイドラインが公表されるのと軌を一にして、Experienceに根差す実践的な考え方を提示したのが本書です。『ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック』の姉妹書の登場です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ここが知りたい!高齢者糖尿病診療ハンドブック定価3,200円 + 税判型A5判頁数190頁発行2017年5月監修横手 幸太郎編著栗林 伸一/岩岡 秀明Amazonでご購入の場合はこちら

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第1回 膠原病/アレルギー】 全13問膠原病/アレルギー領域は、アップデートが頻繁な分野でキャッチアップしていくのが大変だが、それだけに基本的なところで確実に得点することが重要となってくる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)これらの疾患とCoombsとGell分類の組み合わせで正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清病 ― I型(b)クリオグロブリン血症 ― II型(c)特発性血小板減少性紫斑病 ― III型(d)アレルギー性接触皮膚炎 ― IV型(e)過敏性肺臓炎 ― I+IV型例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全9問感染症領域については、時事問題や感染対策、予防に関する問題がよく出題される傾向がある。代表的な感染症に加え、新興・再興感染症の感染対策についてもしっかり押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症について正しいものは次のうちどれか?1つ選べ(a)中東呼吸器症候群(MERS)は2類感染症であり、致死率は50%を超えるとされている(b)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介としヒト-ヒト感染の報告はない(c)デング熱は4類感染症に指定されており、前回と異なる血清型のデングウイルスに感染した場合、交差免疫により不顕性感染となることが多いと報告されている(d)ジカ熱は4類感染症に指定されており、デングウイルス同様ネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介とし、ギラン・バレー症候群のリスクとなる(e)カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌は5類全数把握疾患に指定されており、保菌者も届出が必要とされる例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 呼吸器】 全10問呼吸器の分野については、レントゲンやCTなどの画像から診断を回答させる問題が増えている。アトラス等で疾患別の画像所見をしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記載で正しいものはどれか?1つ選べ(a)成人の急性上気道炎の原因として最も多いものはRSウイルスである(b)Centor criteriaは次の通りである1)38℃以上の発熱、2)基礎疾患なし、3)圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹、4)白苔を伴う扁桃腫脹で行う溶連菌感染スコアリング(c)Ludwig’s anginaは菌血症による感染性血栓性頸静脈炎のことである(d)レミエール症候群は、Fusobacterium necrophorumなど嫌気性菌によるものが多い(e)初診外来で白苔を認める急性化膿性扁桃腺炎患者にアモキシシリンで治療した例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全7問腎臓領域については、ネフローゼ症候群に関する出題が多く、細部まで問われる傾向がある。とくにネフローゼ症候群に関してはしっかりと押さえておきたいところである。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性腎不全(ARF)と急性腎障害(AKI)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」ではAKIの定義として、24時間以内に血清Cr値が0.3mg/dL以上上昇、尿量<0.5mL/kg/時の状態が12時間以上持続する、という項目がある(b)FENa(Na排泄率)2.0%は腎前性腎不全を考える(c)急性尿細管壊死では、多尿が1~2週間持続し、尿中Naは20mEq/L以下であることが多い(d)急性尿細管壊死は消化管出血を合併することが多く、貧血になりやすい(e)尿中好酸球は、薬剤性急性尿細管間質性腎炎で検出され、その診断に有用なバイオマーカーである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全10問内分泌領域については、診断のための検査についての出題が多い。とくに甲状腺と副腎について問われることが多く、知識の整理が必要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)グレーブス病(バセドウ病)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)バセドウ病に認めるMerseburg3徴は、甲状腺腫・眼球突出・限局性粘液水腫である(b)アミオダロン、インターフェロン製剤は、誘発因子として報告されている(c)甲状腺眼症を合併している患者の治療の第1選択は131I内用療法である(d)抗甲状腺薬にはチアマゾール(MMI)とプロピルチオウラシル(PTU)があり、妊娠・授乳中の患者はMMIの使用が推奨されている(e)131I内用療法の効果は早く、開始後1週間以内に治療効果を認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全10問代謝領域については、治療薬について細部まで聞かれる傾向がある。メタボリックシンドロームとアディポカインは毎年出題されるので、しっかり押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)1型糖尿病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)家族歴は2型糖尿病より1型糖尿病に多く認める(b)1型糖尿病の死因で最多は感染症によるものである(c)緩徐進行1型糖尿病は、できるかぎり経口糖尿病薬で治療を行い、インスリン導入を遅らせるべきである(d)劇症1型糖尿病は、膵島関連自己抗体陽性の小児に発症することが多い(e)劇症1型糖尿病は、血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)の上昇を認めることが多い例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第1回:(d)、第2回:(d)、第3回:(d)、第4回:(d)、第5回:(b)、第6回:(e)

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第3回 レセプトのスケジュール【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回はレセプトの内容について確認してきました。今回はレセプトのスケジュールに関して一緒に学んでいきましょう。診療報酬請求のスケジュールを確認する読者の皆様は、毎月月末から翌月初めにかけて集中的にレセプトのチェックを事務職員から依頼されていませんか?実はこれには、レセプトのスケジュールが大きく関係しています。患者さんへの「自己負担分の医療費」の請求、支払いに関しては日々発生していますが、「自己負担分以外の医療費」のレセプト請求、審査支払機関からの支払いに関しては一定のスケジュールで行われています。画像を拡大する原則として、「医療機関」は1ヵ月分の診療報酬請求を施設単位でまとめて「審査支払機関」に請求することになっています。1)上図のとおり、提出の期日には取り決めがあり、「医療機関」は当月分の請求を翌月初めから10日までに請求することをルールとして1ヵ月分をまとめて提出します2)「審査支払機関」は「医療機関」より提出されたレセプトのチェックを25日までに行い、適正と見なした請求分のみを翌々月10日までに「保険者」に請求します3)「保険者」は受け取った請求に対して1週間程度で処理を行い、翌々月20日前後に「審査支払機関」に支払いを行います4)「審査支払機関」は「保険者」より振り込まれた報酬(受診料)を2~3日程度で「医療機関」に支払います以上のように「自己負担分以外の医療費」の支払いについては、このサイクルが毎月繰り返されているのです。支払いが完結するのは翌々月医療機関の経営者の立場でこのサイクルを見てみると、提供した診療行為の支払い分の中で、患者が支払う一部負担金は診療提供時、つまりタイムラグなしに入手できますが、残りの部分の支払いが完了するのは約2ヵ月後ということになります。このサイクルが回り始めると問題はないのですが、診療所や病院の開業時などはすぐに現金が手に入らないので不足しないように注意が必要です。将来、開業をお考えの先生は覚えておきたい情報ですね。月末~翌月初めがレセプト繁忙期医療機関のレセプト担当者は、このスケジュールに合わせて業務を行っており、月末から翌月初旬にかけてレセプト業務は繁忙期となります。この期間に第2回で学習したお作法に沿ってレセプトを作成し、内容に不明な点があったり、カルテ記載が不十分な可能性があったりすれば、医師に確認をします。では、なぜこの時期に集中してしまうのでしょうか?その理由として、1人の患者さんに対して、レセプトは1枚作成します。月が終わらないと請求が確定しないという要素があり、どうしてもこの時期に重なってしまうのです。診療内容の精査や確認が遅れてしまった場合、翌月の請求スケジュールへ回すことになり、当然支払いも1ヵ月遅れることになり、診療報酬の入金が延びていくのです。日々、読者の皆様が頑張っている診療がお金の面でもオンタイムで評価されるようにしたいですね。

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医師の経済的自由

豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス医師としての毎日は充実しているけれど、責任に比べて給料が少ない。これは卒後10年前後の多くの医師の実感ではないでしょうか。いっそ開業するか、このまま勤務医を続けるか。でも、ちょっと待ってください!真に「経済的に自由な医師」になるための道は別のところにあります。勤務医を続けつつ、資産形成に成功した現役医師が明かす「第3のキャリアパス」とは何か?画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    医師の経済的自由豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス定価2,600円 + 税判型四六判頁数204頁発行2017年1月著者自由気ままな整形外科医Amazonでご購入の場合はこちら

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尿酸値と関連するアウトカムは?/BMJ

 これまでに200件超の検討(システマティックレビュー、メタ解析、メンデル無作為化試験)で、尿酸値と136個のヘルスアウトカムの関連が報告されていたが、尿酸値との明確な関連のエビデンスが存在するのは、痛風と腎結石だけだという。英国・エディンバラ大学のXue Li氏らが明らかにしたもので、「可能な限りのエビデンスを入手したが、高尿酸血症に関連した臨床での現行の推奨変更を支持するものはなかった」とまとめている。BMJ誌2017年6月7日号で発表した。観察研究、無作為化試験、メンデル無作為化試験のエビデンスを精査 これまでに観察研究では同関連について、心血管および代謝性疾患のリスク増大や神経系の疾患リスクの低下などが示唆されているが、確証はない。また、尿酸値降下の臨床試験で、キサンチンオキシダーゼの阻害が血圧を降下し腎機能を改善することが示唆され、尿酸値が全身性炎症に関係するキサンチンオキシダーゼ活性などの因子の簡易なマーカーとなり得るか、議論が続いていた。 研究グループは、尿酸値と多様なヘルスアウトカムの関連について、観察研究、無作為化試験およびメンデル無作為化試験からのエビデンスを複合レビューする検討を行った。Medline、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviewsおよび参考文献のスクリーニングから該当文献を検索。適格基準論文は、尿酸値とヘルスアウトカムの関連を調べたシステマティックレビュー&メタ解析の報告、尿酸値降下治療に関連してヘルスアウトカムを調査した無作為化試験のメタ解析の報告、尿酸値とヘルスアウトカムの因果関係を探索したメンデル無作為化試験の報告とした。痛風と腎結石以外の関連エビデンスは示されず 検索の結果、観察研究論文57本(システマティックレビュー15件、メタ解析144件)、無作為化試験のメタ解析論文8本、メンデル無作為化試験36本が適格基準を満たした。 全体で、136の特色あるヘルスアウトカムが報告されていた。 観察研究のメタ解析で報告されたアウトカム76個(心血管13、糖尿病関連9、腎障害7、認知障害11、がん6、全死因・特異的死亡22、その他8)のうち、16個がp<10-6であった。無作為化試験のメタ解析で報告されたアウトカム20個(腎障害10、内皮機能2、死亡4、その他4)では、8個がp<0.001であった。メンデル無作為化試験の報告アウトカム56個(身体計測変数9、心血管15、代謝異常5、腎障害6、認知障害5、代謝産物11、全死因・特異的死亡3、その他2)では、4個がp<0.01であった。 概して試験間の不均一性の差が大きく(観察研究のメタ解析80%、無作為化試験のメタ解析は45%)、観察研究のメタ解析42件(55%)と無作為化試験のメタ解析7件(35%)のエビデンスは、試験効果が小さくまたはバイアスが過剰に有意であった。 観察研究のメタ解析からの関連性(5つの関連:尿酸値高値と心不全、高血圧、血糖障害または糖尿病、慢性腎臓病[CKD]、冠動脈性心疾患死のリスクの増大)については、非常に示唆的であるとの理由で、根拠に乏しいものと分類された。 無作為化試験のアウトカムでは1個のみ(尿酸値降下治療で腎結石の再発リスクが低下)がp<0.001を示し、95%予測区間にゼロ値を含まず、大きな不均一性およびバイアスもみられなかった。 またメンデル無作為化試験のアウトカムでも1個のみ(尿酸値高値は痛風リスクを増大)で、確たるエビデンスがみられた。 メタ解析の所見を比較した検討において、高血圧とCKDは、観察研究のメタ解析ではエビデンスがあることが示された。無作為化試験のメタ解析では、いずれも不完全もしくは代替アウトカムでエビデンスがあることが示されたが、メンデル無作為化試験については統計的に有意なエビデンスは示されなかった。

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進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017

 ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)は、第I相試験で既治療の進行胃がんに関する有望な結果を示した。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、ペムブロリズマブの多施設国際第II相試験KEYNOTE-059試験の結果が、米国Yale Cancer CenterのCharles S. Fuchs氏より発表された。 KEYNOTE-059試験は3つのコホートから成るが、今回はペムブロリズマブ単剤療法を評価するコホート1の結果である。コホート1の評価対象は、2ライン以上の化学療法を受けて進行した再発・転移胃がん、胃・食道接合部がん患者259例。患者は、ペムブロリズマブ200mgを、3週間ごと2年間、あるいは病勢進行するまで投与された。主要評価項目は、客観的奏効率(ORR)と安全性・忍容性、副次的評価項目は奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)である。 患者の地理的分布は、米国47.9%、東アジア13.1%、その他39.0%。年齢中央値は62歳、男性が76.4%を占めた。PD-L1陽性(PD-L1発現1%以上)は57.1%、陰性は42.1%であった。また、ペムブロリズマブの投与ラインは2次治療が51.7%、3次治療が29.0%、4次治療以降が19.3%。 259例全体のORRは11.6%(8.0~16.1)であった。PD-L1状態別にみると、陽性患者のORRは15.5%(10.1~22.4)、陰性患者では6.4%(2.6~12.8)と、PD-L1陽性患者で良好であった。DORは全体で8.4ヵ月(1.6+~17.3+)、PD-L1陽性患者では16.3ヵ月(1.6+~17.3+)、陰性患者では6.9ヵ月(2.4~7.0+)であった。投与ライン別にみると3次治療でのORRは16.4%(10.6~23.8)、4次治療以降では6.4%(2.8~12.2)であった。 Grade3~5の治療関連有害事象(AE)発現率は16.6%であり、治療中断に至った患者は2例であった。頻度が高い項目は疲労感、掻痒感、皮疹であった。免疫関連(irAE)の発現率は全Gradeで17.8%だったが、ほとんどは低Gradeであった。頻度が高い項目は甲状腺機能亢進、甲状腺機能低下、腸炎であった。 Fuchs氏は、ペムブロリズマブ治療の忍容性は良好であり、2回以上の前治療歴がある場合においても、抗腫瘍効果と持続的効果を示した、と結論付けた。なお、ペムブロリズマブの早期治療ラインでの使用、あるいは化学療法との併用についての臨床試験が進行中である。■参考ASCO2017 AbstractKEYNOTE-059試験(Clinical Trials.gov)■関連記事

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地球温暖化で網膜剥離のリスク増加?

 外気温の上昇が、牽引性網膜剥離のリスク上昇と関連する可能性が、カナダ・ケベック州公衆衛生研究所(INSPQ)のNathalie Auger氏らによる検討で示された。網膜剥離で入院した患者について調査した結果、高い外気温が牽引性網膜剥離のリスク増加と関連している可能性が示唆されたという。著者は、「気候変動を考慮し、眼や他の感覚器に及ぼす熱波の影響をよく理解する必要がある」とまとめている。網膜剥離は視力障害の重大な原因であるが、これまで屋外の高温曝露との関連は検討されていなかった。Environmental Research誌オンライン版2017年5月23日号掲載の報告。 研究グループは、高い外気温への急性曝露と網膜剥離のリスクとの関連を検討する目的で、カナダのケベック州において2006~13年の各年4~9月(夏期)に網膜剥離で入院した患者1万4,302例を対象に、時間層別化症例クロスオーバー試験を実施し、入院前週の外気温と網膜剥離との関連について解析した。 週間平均気温に関して網膜剥離のサブタイプ(牽引性、滲出性、裂孔原性、網膜裂孔)別に、オッズ比と95%信頼区間(CI)を算出するとともに、年齢と性別ごとに関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・入院前週における高温への曝露は、牽引性網膜剥離の可能性と強く関連していたが、その他のタイプの網膜剥離には関連しなかった。・牽引性網膜剥離との関連は、男性および女性のいずれも、75歳未満でより強かった。・週間平均気温が15℃の場合と比較したときの25℃での牽引性網膜剥離のオッズ比は、55歳未満で2.71(95%CI:1.56~4.71)、55~64歳で2.73(95%CI:1.61~4.64)、64~75歳で1.98(95%CI:1.30~3.02)であった。

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心不全・心機能低下のないAMI患者におけるβ遮断薬と死亡率の関係

 心不全のない急性心筋梗塞(AMI)患者において、β遮断薬が死亡率を低減させるかどうかについては、はっきりしていない。そこで英国リーズ大学のTatendashe B. Dondo氏らの研究グループは、左心機能の保たれたAMI患者において、β遮断薬と死亡率の関連について検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年6月号に掲載。17万9,810例をプロペンシティスコアによって解析 本研究では、Myocardial Ischemia National Audit Projectという英国とウェールズのレジストリデータを用いて、2007年1月~2013年6月の間に心筋梗塞で入院した患者のうち、心不全または心機能の低下が認められなかった17万9,810例について評価した。 β遮断薬と1年後の生存率の関連を検証する解析には、Survival time inverse probability weighting propensity score(生存時間逆確率重み付け推定プロペンシティスコア)と操作変数法(instrumental variable analysis)が用いられた。 β遮断薬投与群と非投与群で1年後の死亡率に有意差は認められず ST上昇心筋梗塞患者9万1,895例と、非ST上昇性心筋梗塞患者8万7,915例のうち、β遮断薬の投与を受けていたのは、それぞれ8万8,542例(96.4%)と8万1,933例(93.2%)であった。コホート全体の16万3,772人年の観察で、9,373例(5.2%)が死亡した。 非調整の1年死亡率は、β遮断薬投与群のほうが非投与群に比べて優れていた(4.9% vs. 11.2%、p<0.001)。しかし、重み付けと調整の後では、β遮断薬投与群と非投与群ともに死亡率に変化が認められなかった(平均治療効果[ATE]係数:0.07、95%信頼区間[CI]:0.60~0.75、p=0.827)。結果は、ST上昇性心筋梗塞および非ST上昇性心筋梗塞で同様であった(ATE係数:0.30、95%CI:0.98~1.58、p=0.637、ATE係数:0.07、95% CI:0.68~0.54、p=0.819)。AMI後、心不全や左室機能低下のない患者において、β遮断薬の使用はその後1年間において死亡率の低下と関連がなかった。無作為化コントロール研究が必要 筆者らは本研究について、無作為化されたものではないことと、プロペンシティスコアや操作変数法を用いて、その他の多くの交絡因子に対する調整がなされたものの、交絡因子が依然残っている可能性を指摘している。AMI後、左心機能が保たれた患者におけるβ遮断薬の死亡率への効果を調べるには、無作為化コントロール研究が次のステップとして必要であると述べている。■関連記事 循環器内科 米国臨床留学記

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