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1981.

抗精神病薬の単剤化は望ましいが、難しい

 統合失調症治療において、抗精神病薬の多剤併用を支持するエビデンスはほとんどなく、また診療ガイドラインでこれを推奨していないにもかかわらず、広く普及したままである。米国・サウスフロリダ大学のRobert J Constantine氏らは、2種類の抗精神病薬による治療で安定している患者を対象に、1種類の抗精神病薬への切り替え効果を検討するため、無作為化比較試験を行った。Schizophrenia research誌2015年8月号の報告。 7つの地域精神保健センターからエントリーした、2種類の抗精神病薬での併用治療により安定している成人統合失調症外来患者104例を対象に、多剤併用療法を継続する群(多剤継続群)と抗精神病薬の単剤療法に切り替える群(単剤切り替え群)に無作為に割り付けた。60日ごとに症状と副作用の評価を行い、1年間追跡した(合計7回評価)。評価項目は、症状(PANSS、CGI)と副作用(EPS、代謝関連、その他)の時間経過における違いとし、各群への割り当てと時間を関数として、ITT分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・単剤切り替え群は、多剤継続群と比較し、症状の増加がより大きかった。・これらの違いは、試験開始6ヵ月目に出現した。・試験期間1年間における全原因中止率は、単剤切り替え群(42%)のほうが、多剤継続群(13%)と比較して高かった(p<0.01)。・副作用に関しては、多剤継続群においてSimpson Angus合計スコアが単剤切り替え群と比べて大幅に減少した以外では、いずれの時点においても単剤切り替え群と比較して差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「2種類の抗精神病薬で安定している慢性期統合失調症患者に対する単剤療法への切り替えには、注意が必要である。多剤併用の中止にあたっては、多剤併用療法に移行する前に単剤療法で効果不十分な患者を対象とした、エビデンスに基づく治療(たとえばクロザピンや持効性注射剤など)の適切な試験が行われるべきである」とまとめている。関連医療ニュース 難治例へのクロザピン vs 多剤併用 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 抗精神病薬の変更は何週目が適切か  担当者へのご意見箱はこちら

1982.

経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査

 統合失調症患者における持効性注射剤(LAI)と経口薬の同時処方の頻度および期間について、米国・ペンシルベニア大学のJalpa A Doshi氏らが調査を行った。診療ガイドライン推奨のLAI治療は、一般的にはアドヒアランス不良の患者に対するモノセラピー選択肢と見なされている。LAI治療を受けている患者の、経口抗精神病薬の同時処方の割合や経過に関するデータは限定的であった。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、医療費請求データベースに基づく観察的研究により、LAI治療を受けているメディケイド受給患者340例について、経口薬の同時処方の頻度および期間を調べた。具体的には、統合失調症患者で、直近にアドヒアランス不良および入院の既往がある患者について調べた。調査には、第1世代の抗精神病薬デポ製剤(フルフェナジンデカン酸エステル、ハロペリドールデカン酸エステル)と、最新の使用可能な注射剤(LAIリスペリドン、パリペリドンパルミチン酸エステル)の両方を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・LAI治療を開始した全患者のうち、75.9%が退院後6ヵ月の間に経口抗精神病薬の同時処方を受けていた。・同時処方を受けていた患者は、LAI薬と同一の経口薬を処方されている頻度が高かった。一方で、第1世代のLAI使用者の多くが、第2世代の経口薬を同時処方されていた。・同時処方率が最も低かったのは、パリペリドンパルミチン酸エステルの処方群であった(58.8%)。一方で最も高かったのは、LAIリスペリドンの処方群であった(88.9%)。・経口薬とLAI処方の重複は、概して期間が長期(30日超など)になると発生しており、またLAIにより重複が生じている日の割合が顕著(50%超)であった。 これらの結果を受けて著者らは、「さらなる研究でそのような処方がなされた理由を調べ、また日常診療におけるさまざまな抗精神病薬治療の至適な役割を、明らかにする必要があることが強調された」とまとめている。関連医療ニュース 初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る 統合失調症、デポ剤と抗精神病薬併用による効果はどの程度 アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大  担当者へのご意見箱はこちら

1983.

難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

 うつ病患者において、アリピプラゾール増強療法と他の抗うつ薬への切り替えについて有効性や忍容性を直接比較した研究はない。韓国・高麗大学校のChangsu Han氏らは、外来うつ病患者を対象に、アリピプラゾール増強療法と他の抗うつ薬への切り替えの治療効果を比較するため、6週間の評価者盲検無作為化直接比較試験を行った。Journal of psychiatric research誌2015年7-8月号の報告。 抗うつ薬不応な外来うつ病患者を対象とし、アリピプラゾール増強療法(AA)群、他の抗うつ薬への切り替え(SW)群のいずれかに無作為に割り付けた。抗うつ薬不応の定義は、現在のうつ病エピソードで少なくとも6週間の適切な抗うつ薬治療を行ったにもかかわらず、ハミルトンうつ病評価尺度17項目版(HDRS-17)の合計スコアが14以上とした。主要評価項目は、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の合計スコアのベースラインから治療終了までの変化量とした。副次評価項目は、事前に定義された治療終了時の反応率と寛解率、HDRS-17合計スコア、Iowa Fatigue Scale(IFS)、Sheehan Disability Scale(SDS)のベースラインから治療終了までの変化量、治療終了時に臨床全般印象-改善度(CGI-I)が1または2であった患者の割合とした。忍容性は、Barnes Akathisia Rating Scale(BARS)、Arizona Sexual dysfunction scale(ASEX)を用い評価し、有害事象数を両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者101例は、AA群52例、SW群49例に無作為に割り付けられた。・ベースラインからのMADRSスコアの平均変化量は、AA群で有意に高く、-8.7の違いがあった(p<0.0001)。両群間の差は、2週間目で認められた。・治療反応者および寛解者の割合は、AA群(60%、54%)のほうがSW群(32.6%、19.6%)と比較して、有意に高かった(各々p=0.0086、p=0.0005)。・ほとんどの副次的評価項目において、AA群はSW群と比較し、より良好な臨床転帰を示した。・忍容性は、両群間で同等であった。 通常の抗うつ薬治療で不応なうつ病患者に対して、アリピプラゾール増強療法は、他の抗うつ薬への切り替え投与と比較して、全体的に有益な臨床転帰を示した。この結果を踏まえ、著者らは「本研究の方法論における欠点を考慮し、適切な検出力のある、より厳密な対照を置いた臨床試験の実施が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学  担当者へのご意見箱はこちら

1984.

妊娠前後のSSRIは出生異常と関連するか/BMJ

 妊娠前後のパロキセチンおよびfluoxetineの使用により新生児の右室流出路狭窄のリスクが高まるが、他の選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)ではこのような関連はみられないことが、米国疾病管理予防センター(CDC)のJennita Reefhuis氏らの調査で明らかとなった。再生産年齢(reproductive age)および妊娠中の女性のSSRI使用が増加しているが、SSRIと出生異常の関連については相反する報告があり、妊娠中のSSRI使用のリスクとベネフィットの評価は十分ではないという。BMJ誌オンライン版2015年7月8日号掲載の報告。文献と症例対照研究のデータをベイズ法で解析 研究グループは、妊娠前後のSSRIの使用と出生異常の関連を評価した文献をレビューし、症例対照研究であるNational Birth Defects Prevention Study(NBDPS)のデータと合わせて解析を行った。 1997~2009年の出産予定者の出生証明書および出産した病院の記録を調査し、出生異常児の母親1万7,952例と出生異常のない児の母親9,857例を同定した。 このうち妊娠前の1ヵ月以内および妊娠3ヵ月までにSSRI[シタロプラム、エスシタロプラム、fluoxetine(国内未承認)、パロキセチン、セルトラリン]の使用歴がある女性について解析を行った。 情報をより強固なものにするために、ベイズ法を用いて文献から得られた個々の知見を集約し、NBDPSのデータを用いてこれらの知見をアップデートした。これまでに報告されているSSRIによる出生異常との関連を評価した。関連のある出生異常も絶対リスクは低い 最も使用頻度の高いSSRIはセルトラリンであった。セルトラリンとの関連が報告されている5つの出生異常は、この調査ではいずれも関連はなかった。また、シタロプラム、エスシタロプラムについても、特定の出生異常との関連は認めなかった。 パロキセチンは次の5つの出生異常との関連が示された。無脳症(事後オッズ比[OR]:3.2、95%信用区間[CrI]:1.6~6.2)、心房中隔欠損症(1.8、1.1~3.0)、右室流出路狭窄(2.4、1.4~3.9)、腹壁破裂(2.5、1.2~4.8)、臍帯ヘルニア(3.5、1.3~8.0)。 また、fluoxetineは、右室流出路狭窄(事後OR:2.0、95%CrI:1.4~3.1)および頭蓋縫合早期癒合症(1.9、1.1~3.0)と有意な関連が認められた。 これまでにSSRIとの関連が報告されている他の9つの出生異常については、この調査では関連を認めなかった。また、この調査で関連が確認された出生異常の絶対リスクの上昇は小さく、パロキセチンによる無脳症および右室流出路狭窄の絶対リスクは依然として低かった。 著者は、「SSRIと出生異常の関連については、今後も精密な調査を継続する必要がある。今回の解析は、現時点で出生異常のリスクを最小化する最も安全な妊娠中の治療選択肢とともに、母親の適切なうつ病治療を提示するのに役立つであろう」と指摘している。

1985.

MRIが役に立たないという論文が出てしまいましたが…(解説:岡村 毅 氏)-386

 地域住民のコホート研究が明らかにしたところでは、MRI検査が一般人口における認知症の発症の予測において、あまり役に立たないという結果である。そうだろうなとしかいいようがない。 はじめに声を大にして述べておくが、放射線医学はすべての医学の基盤たる重要な領域であり、認知症学においても形態画像・機能画像ともに、必須のデバイスである。物忘れ外来(専門外来)に認知機能低下が疑われる患者さんが紹介されてきたが、非定型的な症状を呈しているために診断が困難である場合、画像検査の一環としてMRIを撮ることは絶対に必要である。 しかし、まだ健康な人の認知症発症予測には役に立たないということである。当たり前にも思えるが、臨床においては一般の方のテクノロジー信仰は絶大であると実感することも多いので、以下気楽に読んでください。 こんなケースはどうだろうか? 物忘れの不安を訴えて一般外来を受診された中年の方がいたとして、家族からみて心配はないのに本人はいたく気にしている。とりあえずは、いわゆるスクリーニング検査をしていただいたところ、カットオフ値のはるか上で、記憶力(遅延再生など)は問題がなく、注意の障害が軽度みられ(逆唱など)、詳しく聞くと心気症と睡眠障害が軽度出現している場合……、精神科医としてはうつ病を考えて、そっちの詳しい評価に移りたくなる。 が、認知症が心配なのでMRIを撮ってくださいと主張される。「何かわかるかもしれないじゃないですか、うつ病のこともわかるでしょ」というわけである。そもそも、精神機能そのものは形あるものではなく、また認知症が形態画像でわかるのは一定の進行がみられてからだし、現在の症状では少なくともCTで十分ではと伝えてもなかなか納得していただけない。 OECD(経済協力開発機構)によれば、日本は人口当たりのMRI装置数が最大の国だ1)。私見であるが、これはわが国の豊かさと同時に、資源配分の戦略性の欠如を示しているような気もする。暴論と思われたらお許しいただきたい。テクノロジーに対する信頼が高いのは悪いことではないし、繰り返しになるが専門外来に紹介されてきた人における鑑別においては、きわめて有力なツールである。また、研究の一環として将来の患者さんのために体系的に撮ることは生産的である。しかし、一般外来で戦略なく撮ることにはあまり意味はないだろう。それよりは、プライマリケアでは時間をかけて、生活歴や健康関連要因や心理社会的要因をきちんと問診できるような制度設計にしたほうが良い。 「認知症になる前に撮っても、その人にはあまり利益はない」、専門家なら皆そう思っていると信じるが、このような当たり前のことにエビデンスを付与した味わい深い論文である。 なお、筆者は自費で検診としてMRI検査を受ける場合は、まったく議論の土台が異なるのであり、これを否定しているのではないことを申し添えておく。【参考】1)Health equipment. Magnetic resonance imaging (MRI) units. OECD Data. (参照 2015.7.18).

1986.

双極性障害と心血管疾患の関係性

 米国・メイヨークリニックうつ病センター(Mayo Clinic Depression Center)のMiguel L Prieto氏らは、精神病の既往や心血管疾患(CVD)リスク因子といった双極性障害の臨床的特徴が、双極性障害患者におけるCVDリスクに関与するかどうかを調査する目的で横断研究を実施した。その結果、精神病性双極性障害の表現型が心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性があることが明らかにされた。Bipolar Disorder誌オンライン版2015年6月9日号の掲載報告。 対象は、DSM-IV-TR構造化面接(SCID)によって確認された双極I型/II型障害、または統合失調感情障害双極型の患者988例であった。心疾患の重症度判定も含む13項目からなるCumulative Illness Severity Rating Scale(CIRS)を使用し、合併症についてカルテに基づき評価した。スコア1(現在は軽度または過去に重大の問題があった)または心臓に関する項目で点数の高い患者と、スコア0(障害なし)の患者とを比較するロジスティック回帰分析を行った。 結果は以下のとおり。・多変量モデルにおいて、年齢(オッズ比[OR]:3.03、95%信頼区間[CI]:1.66~5.54、p<0.0001)、高血圧(同:2.43、1.69~3.55、p<0.001)、精神病の既往(同:1.48、1.03~2.13、p=0.03)はCVDと有意な関連がみられた。・文献から得られたCVD危険因子を分析に加えた場合、CVDとの関連は年齢(OR:3.19、95%CI:1.67~6.10、p=0.0005)および高血圧(同:2.46、1.61~3.76、p<0.01)は有意なままであったが、精神病(同:1.43、0.96~2.13、p=0.08)は有意傾向であった。 結果を踏まえ、著者らは「精神病性双極性障害の表現型が、心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性がある。今後は、この関連にうつ病の疾病負荷やライフスタイル、非定型抗精神病薬による治療がどう影響しているかを検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は  担当者へのご意見箱はこちら

1987.

統合失調症、脳容積とIQの関連

 統合失調症では知能低下と脳容積の減少がみられることが知られている。オランダ・ユトレヒト大学医療センターの久保田 学氏らは、統合失調症患者のIQと脳容積との関連について調査し、統合失調症における進行性の脳組織減少が、発症初期における相対的な認知機能低下と関連している可能性があることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年6月17日号の掲載報告。統合失調症患者ではIQスコアが皮質容積および皮質厚の変化と正の相関 本研究は、ユトレヒト大学医療センター精神科において2004年9月22日~2008年4月17日に、縦断的症例対照研究として行われた。対象は、統合失調症患者84例(平均罹患期間4.35年)、および年齢で適合した健常者116例(対照群)で、3年間追跡した。脳のMRI撮像とIQ測定を試験開始時および終了時に行い、脳全体、大脳灰白質、大脳白質、側脳室、第3脳室、皮質および皮質下の容積、皮質厚ならびに皮質表面積とIQスコアの変化との関連を調べた。 統合失調症患者のIQと脳容積との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者群では対照群と比較して、大脳灰白質容積(p=0.006)、皮質容積(p=0.03)および皮質厚(p=0.02)が減少した。・統合失調症患者群は、右縁上、後部上側頭、左縁上、左中心後回および後頭部の皮質容積および皮質厚の減少も認められた(clusterwise補正後のp<0.03~0.001)。・統合失調症患者群では、IQスコアの変化が側脳室容積の変化と負の相関(p=0.05)を、皮質容積および皮質厚の変化と正の相関(それぞれp=0.007、p=0.004)を示した。・統合失調症患者のIQスコアと皮質容積ならびに皮質厚の変化との正の相関は、全体的かつ前頭部、側頭部、頭頂部にわたり広範囲に認められた(clusterwise補正後のp<0.03~0.001)。・これらの統合失調症患者のIQと脳容積との関連についての知見は、3年間の追跡期間中の各評価時の症状重症度、大麻の使用および非定型抗精神病薬の累積使用量とは独立していた。関連医療ニュース 抗精神病薬が脳容積の減少に関与か 遅発型統合失調症、脳の変化に違い:産業医大 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに  担当者へのご意見箱はこちら

1988.

レビー小体型認知症、認知機能と脳萎縮の関連:大阪市立大学

 レビー小体型認知症(DLB)患者における側頭葉内側萎縮(MTA)と認知機能障害との関係はいまだ明らかにされていない。大阪市立大学の田川 亮氏らは、これらの関係について、MRIを用いて検討した。その結果、MTAは記憶や言語に関する認知機能障害と関連している可能性を報告した。Geriatr Psychiatry Neurology誌オンライン版2015年6月11日号の掲載報告。 対象は、DLBと診断された37例で、1.5 Tesla MRIスキャナーにより検査した。すべてのMRIデータは、MRIスキャンで得られる画像上でMTAの程度を定量化できるvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer disease(VSRAD)の新型ソフトウエアを用いて分析した。関心体積(VOI)の標的は嗅内皮質、海馬、扁桃体の全領域とした。MTAの程度は標的VOI上の平均positive Zスコア(数値が高いほどMTAが重度)により評価した。認知機能障害の有無について、Mini-Mental State Examination(MMSE)および改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R:MMSEと比べ記憶と言語の評価に有効である)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ZスコアとMMSE総スコアあるいはHDS-R総スコアの間に負の相関が認められた。・ステップワイズ法による重回帰分析により性別、年齢、発症年齢、DLB罹患期間、就学年数およびドネペジル治療などの共変数を調整して検討した結果、HDS-R総スコアはZスコアと独立した関係にあること、その一方、MMSE総スコアはそうではないことが示された。 以上のことから、MTAがDLB患者の認知機能障害、とくに見当識、即時再生、遅延再生、言語流暢性と関連があることが示唆された。関連医療ニュース レビー小体病変を伴うアルツハイマー病、その特徴は 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

1989.

初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る

 第2世代抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)は、統合失調症患者の臨床的安定に高い効果をもたらす。しかし、これまで統合失調症初回エピソード後に用いられることはあまり多くはなかった。米国・カルフォルニア大学ロサンゼルス校のSubotnik KL氏らは、統合失調症初回エピソードにおけるリスペリドンの有効性を、剤形の違い(LAIと経口剤)で比較検討した。その結果、LAIは経口剤に比べ、精神症状の増悪や再発率が低く、その背景にLAIの良好なアドヒアランスが関連していることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年6月24日号の掲載報告。 研究グループは、2005~2012年に、大学ベースのリサーチクリニックにおいて無作為化臨床試験を実施した。最近統合失調症を発症した86例を、リスペリドンLAI群または経口リスペリドン群に無作為に割り付けた。同時に各グループの半数を、認知機能改善を目的とした認知機能改善療法群または生活習慣と健康状態改善を目的とした健康行動トレーニング群に無作為に割り付けた。すなわち本研究は、リスペリドンLAIと経口リスペリドンの比較、そして認知機能改善療法と健康行動トレーニングの比較を行った12ヵ月間の臨床試験であった。解析はintent-to-treatにて、2012年10月4日~2014年11月12日に実施された。主要アウトカムは、精神疾患再発およびブレークスルー精神症状のコントロールとした。 主な結果は以下のとおり。・86例が無作為化を受けた。そのうちLAI群の3例が治療を拒否した。・リスペリドンLAI群は経口剤群と比較して、精神症状の増悪や再発率(またはその両方)が低かった(5% vs.33%、χ21=11.1、p<0.001、相対リスク減少 84.7%)。・追跡期間にわたり、LAI群は幻覚および妄想の平均レベルを、より良好にコントロールした(β=-0.30、t 68=-2.6、p=0.01)。・認知機能改善療法群と健康行動トレーニング群の間で、精神疾患再発、精神症状のコントロール、入院率において有意差は認められなかった。・2種類の薬物療法と2種類の心理社会的治療の間にも、有意な相互作用は認められなかった。・臨床効果不十分による治療中止は、LAI群よりも経口剤群でより多かった(χ21=6.1、p=0.01)。・経口リスペリドンのアドヒアランスは、無作為化前と変わらないようであったが、リスペリドンLAIのアドヒアランスは、経口リスペリドンと比べて良好であった(t 80=5.3、p<0.001)。・薬剤アドヒアランスは、症状悪化または再発の予防(χ21=11.1、p=0.003)、そしてブレークスルー精神症状のコントロールと関連していた(β=0.2、t 79=2.1、p=0.04)。 今回の結果を踏まえて、著者らは「統合失調症初回エピソード後のリスペリドンLAI使用は、臨床的アウトカムに対して顕著なアドバンテージがあった。疾患のより早期から、本剤形の使用が勧められる」とまとめている。関連医療ニュース 月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには  担当者へのご意見箱はこちら

1990.

グルタミン酸作用、統合失調症の認知機能への影響は認められず

 統合失調症に認められる認知障害において、NMDA受容体の機能低下に大きく関与していることが指摘されている。グルタミン酸塩のモジュレーターがこのような難治状態の回復に有効な可能性があるが、これまでに実施された個々の研究では矛盾した結果が出ていた。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのY Iwata氏らは、統合失調症患者の認知機能に及ぼすグルタミン酸塩を含むモジュレーターの影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、全般的認知機能および8つのドメインにおいてプラセボと比較した優位性は認められず、グルタミン酸塩を含むモジュレーターが有効でない可能性を報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2015年6月16日号の掲載報告。 研究グループは、グルタミン酸塩を含むモジュレーターが統合失調症患者の認知機能に好影響を及ぼすか否かを、システマティックレビューおよびメタ解析にて検討した。Embase、Medline、PsycINFO(最終検索2015年2月)を用いて文献検索を行い、統合失調症あるいは関連疾患の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を特定した。グルタミン酸塩を含むモジュレーターの認知障害に対する影響を、認知機能全般と8つの認知ドメインについて、抗精神病薬に追加した実薬とプラセボとの間の標準化平均差(SMD)の値により評価した。 主な結果は以下のとおり。・17試験、1,391例が解析対象となった。・全般的認知機能(SMD=0.08、95%信頼区間:-0.06~0.23)(11試験、858例)、8つのドメイン(SMD=-0.03~0.11)(367~940例)のいずれにおいても、グルタミン酸塩を含むモジュレーターはプラセボと比べ優位性を示さなかった。・診断(統合失調症単独)、抗精神病薬の併用、グルタミン酸神経伝達の増強(NMDA受容体のグリシン・アロステリック部位あるいはα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸受容体を介した)によるサブグループ解析によっても、グルタミン酸塩を含むモジュレーターによる認知促進効果は示されなかった。・さらに、個々の化合物においても認知機能に対する影響は認められなかった。関連医療ニュース 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか 2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか  担当者へのご意見箱はこちら

1991.

メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか

 統合失調症や双極性障害患者における長期のベンゾジアゼピン使用について、徐放性メラトニンを使用することで容易な離脱を促すかどうか、デンマーク・コペンハーゲン大学のLone Baandrup氏らは検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2015年6月18日号の報告。 24週間のランダム化プラセボ対照並行優越性試験。対象者を、徐放性メラトニン群(2mg/日)とプラセボ群に無作為に振り分け、通常のベンゾジアゼピン用量から連続的に漸減を行った。主要転帰は、24週後のベンゾジアゼピン1日投与量とした。副次的転帰は、ベンゾジアゼピン投与量の経時的パターン、中止率、離脱症状とした。 主な結果は以下のとおり。・86例(21~74歳)がエントリーされ、徐放性メラトニン群42例、プラセボ群44例に無作為に振り分けた。・24週時の平均ベンゾジアゼピン投与量は、両群間で有意な差が認められなかった(徐放性メラトニン群:8.01mg、プラセボ群:5.72mg[ジアゼパム換算]、平均差:-2.29、95%CI:-5.78~1.21、p=0.20)。・ベンゾジアゼピン中止率は、徐放性メラトニン群38.1%(16/42例)、プラセボ群47.7%(21/44例)であった(OR:0.64、95%CI:0.26~1.56、p=0.32)。・徐放性メラトニンは、ベンゾジアゼピンの離脱症状に影響を及ぼさなかった。 著者らは「ベンゾジアゼピン投与量は、漸減24週間後において、両群ともに比較的低い値であった。本研究では、徐放性メラトニンにより、ベンゾジアゼピン中止を容易にすることはできなかった」としている。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか ベンゾジアゼピン処方、長時間型は大幅に減少  担当者へのご意見箱はこちら

1992.

精神疾患発症と喫煙の関連性

 喫煙は、健康な人よりも統合失調症うつ病を有する患者においてより多くみられる。そこで、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarie Kim Wium-Andersen氏らは、喫煙は一般集団における抗精神病薬の使用、統合失調症、抗うつ薬使用やうつ病の発症原因となっていると仮定し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)との関連と比較を行った。その結果、喫煙は、統合失調症の発症に影響しているようだが、うつ病には影響しないようだという見解を報告した。International Journal of Epidemiology誌2015年4月号(オンライン版2015年6月7日号)の掲載報告。 検討は、20~100歳のデンマーク一般集団6万3,296例(非喫煙者2万3,282例、喫煙者4万14例)について、自己申告による喫煙強度(1日当たりの本数)と、喫煙強度に関連するCHRNA3遺伝子の多型(rs1051730)の情報を用いて行った。検討結果について、Psychiatric Genomics Consortiumにおける統合失調症患者のそれとの比較も行った。 主な結果は以下のとおり。・喫煙者では、rs1051730遺伝子多型のヘテロ接合体およびホモ接合体キャリアである場合、非キャリアと比較して喫煙強度が高かった。・さらに、現喫煙者のホモ接合体キャリアでは、非キャリアと比較して抗精神病薬使用リスクが高かった(オッズ比[OR]:1.16、95%信頼区間[CI]:1.02~1.31)。一方、非喫煙者における同様の比較ORは、1.07(95%CI:0.87~1.31)であった(相互作用のp:0.60)。・また、統合失調症ORはそれぞれ1.60(0.74~3.47)、1.02(0.11~9.10)(相互作用のp:0.85)、抗うつ薬使用のORは1.02(0.93~1.13)、0.99(0.85~1.15)(相互作用のp:0.87)で、うつ病ORは0.85(0.66~1.10)、1.26(0.87~1.83)(p相互作用のp:0.30)であり、COPD発症のORは1.31(1.16~1.47)、0.89(0.58~1.36)(相互作用のp:0.16)であった。・一般集団の現喫煙者における統合失調症および抗精神病薬使用のrs1051730アレルでみたORは、各々1.22(95%CI:0.84~1.79)、1.06(1.00~1.12)であった。・Psychiatric Genomics Consortiumにおける検討では、現および非喫煙者を含めた統合失調症ORは、1.06(1.00~1.12)であった。関連医療ニュース 統合失調症発症予測に喫煙が関連 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意

1993.

抗精神病薬の変更は何週目が適切か

 統合失調症において抗精神病薬が無効な場合、どの程度の期間を待ったうえで治療変更すべきかという臨床上の課題は未解決である。この点に関して、各ガイドラインの見解はさまざまであった。オランダ・アムステルダム大学のMyrto T. Samara氏らは、統合失調症において抗精神病薬の変更を考える場合の効果判定時期の目安を明らかにすべく、メタ解析を行った。その結果、治療開始2週時点で効果が認められない場合は、その後も効果が得られる可能性が低いことを報告した。American Journal of Psychiatry誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、主に個人の患者データを用いて2週時点での非改善がその後の無反応を予測するかどうかを評価する診断検査のメタ解析を行った。EMBASE、MEDLINE、BIOSIS、PsycINFO、Cochrane Library、CINAHL、関連文献の引用文献リスト、全関連文献の補足資料を検索対象とした。主要アウトカムは、ベースラインからエンドポイント(4~12週)までの無反応に対する予測とした。無反応は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)における総スコアの50%以下の減少(最小の改善幅を示す)と定義した。また、2週時点の非改善はPANSSあるいはBPRSの20%以下の改善(最小限の改善より小さいことを示す)とした。副次的アウトカムは、横断的な症状の非寛解、そしてエンドポイント時点でのPANSSあるいはBPRSの20%以下の減少とした。可能性のある調整変数をメタ回帰分析により検証した。主な結果は以下のとおり。・34件の試験(9,460例)において、2週時点でのPANSSあるいはBPRSスコアの20%以下の減少は、特異度86%、陽性適中率(PPV)90%をもってエンドポイント時点での無反応を予測した。・実際の観察症例(特異度86%、PPV 85%)または非寛解症例(特異度77%、PPV 88%)のデータを用いても、同様の結果が得られた。・一方、エンドポイント時点での20%以下の減少という定義を用いた場合、予測適中率の結果は不良であった(特異度70%、PPV 55%)。・検査の特異度は、試験期間6週間以下、ベースライン時の高い重症度、短い罹患期間により、有意に低下した。関連医療ニュース 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 抗うつ薬切替のベストタイミングは? 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

1994.

躁病、混合性エピソードの有無で何が違うのか

 躁病期間中の抑うつ要素の評価は、混合状態の正確な診断に重要であるが、DSM-5以前の分類システムは非常に狭義なものであった。スペイン・バロセロナ大学のReinares M氏らは、DSM-5における混合性定義の妥当性を評価するため、混合性の特徴を伴う躁病患者と伴わない躁病患者において、臨床的・機能的アウトカムに加え、社会人口統計学的、臨床・治療上の特徴を比較検討した。その結果、躁病患者の2割以上に混合性の特徴を伴う症例が存在すること、混合性の特徴を伴う躁病患者は伴わない患者に比べエピソード数が多く、抑うつ状態の変化が多くみられるなど、臨床的特徴や疾患の経過に相違が認められることを報告した。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年6月号の掲載報告。 スペイン・カタロニア地方にある4病院の躁うつ病患者における躁病の負担に関する多施設自然主義的研究MANia Aguda y COnsumo de Recursos(急性躁病および医療資源消費:MANACOR)のサブ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、躁病エピソードを有し6ヵ月間の系統的評価を受けた成人患者169例であった。・躁病患者の計27%(46/169例)が混合性の特徴を伴っていた。・混合性の特徴を伴う躁病患者において、エピソード総数(p=0.027)、とくに抑うつおよび混合エピソードがより多くみられ、うつ病発症(p=0.018)、自殺念慮(p=0.036)、急速交代型(p=0.035)、パーソナリティ障害(p=0.071)も同様により多くみられた。・これに対し、純粋な躁病患者では、入院(p=0.035)、躁状態での発症(p=0.018)、双極性障害の家族歴(p=0.037)、気分と一致する精神病性の症状(p=0.001)、大麻の使用(p=0.006)がより高い割合で認められた。・また純粋な躁病患者では、ベースラインでのリスペリドンの投与量が多かったが(p=0.028)、混合性の特徴を伴う患者ではバルプロ酸(p=0.049)および抗うつ薬(p=0.005)の投与量が多かった。・試験終了時点における症状回復に差は認められなかった。・ただし、混合性の特徴を伴う群では抑うつ状態の変化がより多く認められ(p=0.010)、一方、純粋な躁病患者群では躁状態の変化がより多く認められた(p=0.029)。・フォローアップ終了時、混合性の特徴を伴う群では、高い心理社会的障害を生じる傾向が顕著に認められた。 結果を踏まえ、著者らは「躁病患者における抑うつ症状を定期的に評価し、治療選択に役立てるべきである」とまとめている。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は 躁病の早期発見・予防は可能となるか  担当者へのご意見箱はこちら

1995.

青年期うつは自助予防可能か

 思春期はうつ病発症のピーク期であるが、青少年が自身でリスクレベルを低下可能かどうかは、ほとんど明らかとなっていない。オーストラリア・メルボルン大学のKathryn E. Cairns氏らは、デルファイ法を用いた検討で、青年期うつ病の自助予防戦略について専門家のコンセンサス確立を試みた。その結果、自助予防が可能だと支持される戦略が明らかになった。Affective Disorders誌オンライン版2015年5月18日号の掲載報告。 検討は、文献検索にて青年期に対する194の勧告を特定して行われた。それらについて、32人の国際研究者と臨床専門家から成るパネル、および49人の消費者団体から成るパネルに対して、3回繰り返しての質問票提示を行い、パネル委員は、各勧告の予防の重要性と青少年による実行可能性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・両パネルの80%以上が、145の戦略について青年期うつ病発症リスクを低下すると支持した。・それらは、精神的健康、人格的アイデンティティ、生活能力、健全な関係性、健康的なライフスタイル、レクリエーションやレジャーにおけるメッセージなどであった。・127の戦略が、思春期初期と後期の両方のうつ病リスク低下に有用だと支持された。思春期初期にのみ有用と評価された戦略は1つ、後期にのみ有用と支持された戦略は17であった。・青年期において実行しやすいとパネル委員に評価された戦略は、概して中程度のものであった。・なお、本研究の専門家は、先進国で英語を母国語とする国の出身者であった。そのため特定された戦略は適切性に欠け、また同一国内のマイノリティや他国では適切ではない可能性があり、本検討は限定的なものであった。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか 子供はよく遊ばせておいたほうがよい  担当者へのご意見箱はこちら

1996.

治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較

 うつ病に対する非定型抗精神病薬治療に関するメタ解析の報告では、2つの治療を直接比較した試験は限られている。中国・重慶医科大学のXinyu Zhou氏らは、無作為化比較試験の直接的または間接的なエビデンスを統合し、治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬による補助的な治療の有効性と忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月25日号の報告。 本レビューは、7種類の異なる用量の非定型抗精神病薬とプラセボを比較した18件の無作為化比較試験(n=4,422)を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・すべての標準用量での非定型抗精神病薬治療は、プラセボと比較して有意な有効性が認められた(SMD:-0.27~-0.43)。また、これらの薬剤間で有意な差はなかった。・低用量の非定型抗精神病薬治療は、プラセボと比較して、有効性に有意な差はなかった。・忍容性に関しては、リスペリドン以外の標準用量の抗精神病薬治療において、プラセボと比較し、副作用による中止が有意に多かった(OR 2.72~6.40)。・受容性の面では、クエチアピン(平均250~350mg/日)だけがプラセボと比較し、全原因による中止が有意に多かった(OR 1.89)。・QOLおよび機能の面では、標準用量のリスペリドンとアリピプラゾールがプラセボと比較し、有益であった(SMD:各々-0.38、-0.26)。また、標準用量のリスペリドンはクエチアピン(250~350mg/日)よりも優れていた。 著者らは「治療抵抗性うつ病の抑うつ症状軽減に対し、すべての標準用量の非定型抗精神病薬治療は有効であった。なかでも、リスペリドンとアリピプラゾールは、患者のQOL改善にベネフィットが認められた。ただし、非定型抗精神病薬の処方に際しては、副作用のエビデンスに十分配慮する必要がある」とまとめている。■関連記事抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

1997.

魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大

 うつ病は、職場の心理社会的因子によって影響されることから、レジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)を高めることがうつ病の予防に重要と考えられる。長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸(LC n-3 PUFA)を多く含む魚の摂取がうつ病を予防することが示唆されているが、日本医科大学多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、横断研究を行い、魚の摂取がうつ病に対するレジリエンスと関連している可能性があることを明らかにした。「今後、うつ病へのレジリエンスに対するLC n-3 PUFAの予防的効果を無作為化二重盲検プラセボ対照比較介入試験で、さらに検討する必要がある」とまとめている。Lipids In Health And Disease誌2015年5月26日号の掲載報告。 本研究には、某大企業の3つの職場で働く日本人社員527人が参加した。うつ症状をうつ病自己評価尺度(CES-D)、レジリエンスを14-item Resilience Scale(RS-14)にて評価するとともに、魚の摂取頻度は自己記入式食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。Baron and Kennyの定義による統計解析の方法に従って回帰分析を行い、レジリエンスの間接的な関連性はブートストラップ法で算出した。 結果は以下のとおり。・魚の摂取頻度とCES-D合計スコアとの関連は有意であった(B=-0.94、p=0.011)。・魚の摂取頻度とRS-14合計スコアとの関連は有意であった(B=1.4、p=0.010)。・RS-14合計スコアとCES-D合計スコアとの関連も有意であった(B=-0.34、p<0.001)。・RS-14合計スコアで調整した場合、魚の摂取頻度とCES-D合計スコアとの間に有意な関連はみられなかった。・ブートストラップ法により、RS-14合計スコアを介して魚の摂取頻度とCES-D合計スコアが間接的に有意な関係にあることが示された(BCa信頼区間:-0.83~-0.13;95%信頼区間)。関連医療ニュース うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 うつ病患者で重要な食事指導のポイント 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か  担当者へのご意見箱はこちら

1998.

抗精神病薬、日本人の脂質異常症リスク比較:PMDA

 脂質異常症は非定型抗精神病薬の有害事象としてよく知られているが、各非定型抗精神病薬のリスクを定量的に比較した研究は少ない。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の竹内 由則氏らは、連続した疫学調査を用い、日本で承認されている非定型抗精神病薬の使用に関連する脂質異常症のリスクを比較評価した。Drug safety誌オンライン版2015年5月23日号の報告。 研究グループは、日本で承認されている9種類の非定型抗精神病薬(リスペリドン、パリペリドン、ペロスピロン塩酸塩、ブロナンセリン、クロザピン、オランザピン、フマル酸クエチアピン、アリピプラゾール、ゾテピン)を分析するために、健康保険請求データを用い、sequence symmetry analysis (SSA)を行った。曝露群は、非定型抗精神病薬と脂質異常症治療薬の両方が投与された患者の調剤記録より検出した。調剤パターンの時間的傾向で調整し、個々のおよびすべての非定型抗精神病薬の調整順序比(ASR)と95%CIを計算した。 主な結果は以下のとおり。・オランザピンのみが、脂質異常症の発症増加と有意に関連していた(ASR 1.56、95%信頼区間[CI]:1.25~1.95)。・リスペリドン(1.01、95%CI:0.80~1.27)、ペロスピロン塩酸塩(0.93、95%CI:0.63~1.39)、ブロナンセリン(0.83、95%CI:0.52~1.33)、フマル酸クエチアピン(0.93、95%CI:0.73~1.18)、アリピプラゾール(1.02、95%CI:0.82~1.26)のASRは約1.0であった。・パリペリドンとゾテピンは、サンプルサイズが小さいため、不安定な推定値(wide Cls)であった。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学 最新、抗精神病薬の体重増加リスクランキング  担当者へのご意見箱はこちら

1999.

統合失調症発症予測に喫煙が関連

 米国バージニア・コモンウェルス大学のKenneth S. Kendler氏らは、喫煙と将来の統合失調症または非感情性精神病リスクとの関連を明らかにするため、スウェーデンの出生および徴兵登録より収集したデータを検討した。その結果、喫煙が統合失調症の将来リスクを予測しうることを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年6月5日号の掲載報告。 研究グループは、スウェーデンの出生および徴兵登録より収集した女性141万3,849例、男性23万3,879例の喫煙状態を基に、統合失調症あるいは非感情性精神病の診断に対する将来リスクを予測した。予測に際しては、Cox比例ハザードおよび相関コントロールモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・喫煙評価時の平均年齢は、女性27歳、男性18歳であり、追跡終了時の平均年齢は女性46歳、男性26歳であった。・統合失調症初発に対するハザード比は、軽度喫煙群[女性2.21(95%信頼区間[CI]:1.90~2.56)、男性2.15(同:1.25~3.44)]、重度喫煙群[女性3.45(同:2.95~4.03)、男性3.80(同:1.19~6.60)]のいずれにおいても増大がみられた。・喫煙評価打ち切りから3~5年後に統合失調症の発症を評価した際も、これらハザード比が低下することはなかった。・年齢、社会経済的状況、薬物乱用で調整した後も、ハザード比はどちらのサンプルにおいてもわずかな低下を認めるだけであった。・妊娠後期まで喫煙していた女性は妊娠早期に禁煙した女性に比べ、統合失調症リスクが高かった。・一般集団、親類、異母(異父)兄弟姉妹(half siblings)、両親とも共通の兄弟姉妹(full siblings)において、重度喫煙の状況が異なる場合の非感情性精神病の予測ハザード比はそれぞれ2.67、2.71、2.54、2.18であった。・all relative pairsを用いたモデルによると、喫煙状態の異なる一卵性双生児のうち重度喫煙者の非感情性精神病に対する予測ハザード比は、1.69(95%CI:1.17~2.44)であった。 著者らは、「喫煙と統合失調症発症との関連性は、統合失調症の前駆症状出現期の喫煙開始により生じるものではない。また、明らかに用量反応関連がみられた」と述べた。また、家族形態(父母のうちどちらかが共通の兄弟姉妹など)により非感情性精神病リスクが異なることも明らかになったことを踏まえ、「所見は、喫煙と統合失調症の関係に対するさまざまな病因学的仮説の妥当性を評価するうえで有用と思われる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意 統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか?

2000.

1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第21回

第21回:全般性不安障害とパニック障害のアプローチ監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 プライマリケアの場において、原因がはっきりしないさまざまな不安により日常生活に支障を生じている患者を診療する経験があるのではないかと思います。またとくに若い患者たちの中でみることの多いパニック障害もcommonな疾患の1つと思われ、その数は年々増加しているともいわれています。厚労省の調査1)では、何らかの不安障害を有するのは生涯有病率が9.2%であるとされ、全般性不安障害1.8%、パニック障害0.8%という内訳となっています。医療機関を受診する患者ではさらにこの割合が高くなっていると考えられ、臨床では避けて通れない問題となっています。全般性不安障害とパニック障害の正しい評価・アプローチを知ることで患者の不要な受診を減らすことができ、QOLを上げることにつながっていくと考えられます。 タイトル:成人における全般性不安障害とパニック発作の診断、マネジメントDiagnosis and management of generalized anxiety disorder and panic disorder in adults.以下、American Family Physician 2015年5月1日号2)より1. 典型的な病歴と診断基準全般性不安障害(generalized anxiety disorder:GAD)典型的には日常や日々の状況について過度な不安を示し、しばしば睡眠障害や落ち着かなさ、筋緊張、消化器症状、慢性頭痛のような身体症状と関係している。女性であること、未婚、低学歴、不健康であること、生活の中のストレスの存在がリスクと考えられる。発症の年齢の中央値は30歳である。「GAD-7 スコア」は診断ツールと重症度評価としては有用であり、スコアが10点以上の場合では診断における感度・特異度は高い。GAD-7スコアが高いほど、より機能障害と関連してくる。パニック障害(panic disorder:PD)明らかな誘因なく出現する、一時的な予期せぬパニック発作が特徴的である。急激で(典型的には約10分以内でピークに達する)猛烈な恐怖が起こり、少なくともDSM-5の診断基準における4つの身体的・精神的症状を伴うものと定義され、発作を避けるために不適合な方法で行動を変えていくことも診断基準となっている。パニック発作に随伴する最もよくみられる身体症状としては動悸がある。予期せぬ発作が診断の要項であるが、多くのPD患者は既知の誘因への反応が表れることで、パニック発作を予期する。鑑別診断と合併症内科的鑑別:甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、不整脈や閉塞性肺疾患などの心肺疾患、側頭葉てんかんやTIA発作などの神経疾患その他の精神疾患:その他の不安障害、大うつ病性障害、双極性障害物質・薬剤:カフェイン、β2刺激薬、甲状腺ホルモン、鼻粘膜充血除去薬、薬物の離脱作用GADとPDは総じて気分障害、不安障害、または薬物使用などの少なくとも1つの他の精神的疾患を合併している。2. 治療患者教育・指導配慮のある深い傾聴が重要であり、患者教育自体がとくにPDにおいて不安症状を軽減する。また生活の中で症状増悪の誘因となりうるもの(カフェイン、アルコール、ニコチン、食事での誘因、ストレス)を除去し、睡眠の量・質を改善させ、身体的活動を促す。身体的活動は最大心拍数の60%~90%の運動を20分間、週に3回行うことやヨガが推奨される。薬物療法第1選択薬:GADとPDに対してSSRIは一般的に初期治療として考慮される。三環系抗うつ薬(TCA)もGADとPDの両者に対して有効である。PDの治療において、TCAはSSRIと同等の効果を発揮するが、TCAについては副作用(とくに心筋梗塞後や不整脈の既往の患者には致死性不整脈のリスクとなる)に注意を要する。デュロキセチン(商品名:サインバルタ)はGADに対してのみ効果が認められている。buspironeのようなazapirone系の薬剤はGADに対してはプラセボよりも効果があるが、PDには効果がない。bupropionはある患者には不安を惹起するかもしれないとするエビデンスがあり、うつ病の合併や季節性情動障害、禁煙の治療に用いるならば、注意深くモニターしなければならない。使用する薬剤の容量は漸増していかなければならない。通常、薬剤が作用するには時間がかかるため、最大用量に達するまでは少なくとも4週間は投与を続ける。症状改善がみられれば、12ヵ月間は使用すべきである。ベンゾジアゼピン系薬剤は不安の軽減には効果的だが、用量依存性に耐性や鎮静、混乱や死亡率と相関する。抗うつ薬と抗不安薬の併用は迅速に症状から回復してくれる可能性はあるが、長期的な予後は改善しない。高い依存性のリスクと副作用によってベンゾジアゼピンの使用が困難となっている。NICEガイドライン3)では危機的な症状がある間のみ短期間に限り使用を推奨している。中間型から長時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤はより乱用の可能性やリバウンドのリスクは少ない。第2選択薬:GADに対しての第2選択薬として、プレガバリン(商品名:リリカ)とクエチアピン(同:セロクエル)が挙げられるが、PDに対してはその効果が評価されていない。GADに対してプレガバリンはプラセボよりは効果が認められるが、ロラゼパム(同:ワイパックス)と同等の効果は示さない。クエチアピンはGADに対しては効果があるが、体重増加や糖尿病、脂質異常症を含む副作用に注意を要する。ヒドロキシジン(同:アタラックス)はGADの第2選択薬として考慮されるが、PDに対しては効果が低い。作用発現が早いため、速やかな症状改善が得られ、ベンゾジアゼピンが禁忌(薬物乱用の既往のある患者)のときに使用される。精神療法とリラクゼーション療法精神療法は認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)や応用リラクゼーションのような多くの異なったアプローチがある。精神療法はGADとPDへの薬物療法と同等の効果があり、確立されたCBTの介入はプライマリケアの場では一貫した効果が立証されている。精神療法は効果を判定するには毎週少なくとも8週間は続けるべきである。一連の治療後に、リバウンド症状を認めるのは、精神療法のほうが薬物療法よりも頻度は低い。各人に合わせた治療が必要であり、薬物療法と精神療法を組み合わせることで2年間の再発率が減少する。3. 精神科医への紹介と予防GADとPD患者に対して治療に反応が乏しいとき、非典型的な病歴のもの、重大な精神科的疾患の併発が考慮される場合に、精神科医への紹介が適用となる。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 川上憲人ほか. こころの健康についての疫学調査に関する研究(平成16~18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業). こころの健康についての疫学調査に関する研究,総合研究報告書). 2007. 2) Locke AB, et al. Am Fam Physician. 2015;91:617-624. 3) NICEガイドライン. イギリス国立医療技術評価機構(The National Institute for Health and Care Excellence:NICE).

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