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とくに女性は要注意!コーヒーの飲み過ぎでうつ病

 コーヒーやダイエット飲料の消費と非栄養甘味料の使用は、世界中に蔓延している。カナダ・ダルハウジー大学のZhijie M. Yu氏らは、カナダ大西洋州におけるコーヒーの消費や非栄養甘味料の使用とうつ病との関連を調査するため、横断面分析を行った。Scientific reports誌2017年7月24日号の報告。 Atlantic Partnership for Tomorrow's Healthコホート研究のベースライン調査より、35~69歳の参加者1万8,838人(男性:5,854人、女性:1万2,984人)を募集した。コーヒーの消費量、甘味料の使用料、うつ病については、標準化されたアンケートセットを用いて評価した。コーヒーの消費や非栄養甘味料の使用とうつ病との関連性を評価するため、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・コーヒーの非消費者と比較し、コーヒーを4杯/日以上消費した女性は、うつ病のオッズ比が1.38(95%CI:1.15~1.64)であった(患者背景、行動因子、慢性疾患状態、BMIでの調整を伴う)。・甘味料やダイエット飲料の消費とうつ病との関連は、男性よりも女性において顕著であった。 著者らは「カナダ大西洋州において、大量のコーヒー消費や非栄養甘味料の使用は、うつ病と関連していると結論づけられた。基礎的な生物学的メカニズムを解明するために、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事糖分控えめでうつ病リスク低下妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響はたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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日本人女性、GIの高い食事はうつになりにくい?

 西洋諸国よりも食事のグリセミックインデックス(GI)と血糖負荷(GL)が高いアジア人集団において、これらとうつ症状との関連についての疫学的エビデンスは限定的であり、結論は出ていない。今回、東京大学の研究グループの横断研究で、日本人の若年および中年女性において、食事のGIがうつ症状と逆相関し、GLとは関連がなかったことが示された。European journal of nutrition誌オンライン版2017年7月20日号に掲載。 本研究は、食習慣と健康に関する女性3世代研究グループによる横断研究で、被験者は、日本人の若年女性(18歳)3,963人と中年女性(平均47.8歳)3,826人。食事歴法質問票により食事のGIとGLを評価。Center for Epidemiologic Studies Depression scoreが16以上の場合にうつ症状があると定義された。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状の有病率は、若年女性で50.2%、中年女性で27.3%であった。・エネルギーで調整したGIとGL(グルコースのGI=100)の平均値(標準偏差)はそれぞれ、若年女性で64.9(4.3)と142.0(27.4)、中年女性で65.0(4.1)と142.2(29.5)であった。・潜在的な交絡因子の調整後、高いGIがうつ症状の低い有病率に関連し、GIの最高五分位の最低五分位に対するうつ症状の調整OR(95%CI)は、若年女性で0.66(0.52~0.82)(傾向のp=0.001)、中年女性で0.75(0.60~0.96)(傾向のp=0.046)であった。・どちらの年齢層においても、GLとうつ症状との間に関連はみられなかった。

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双極性障害患者の摂食障害合併、傾向と予後は

 双極性障害(BD)において摂食障害(ED)は一般的に認められるが、その縦断的な因果関係についてはほとんど知られていない。米国・スタンフォード大学のDanielle R. Balzafiore氏らは、EDの有無によるBD患者の有病率、臨床的相関、縦断的うつ病重症度を評価した。International journal of bipolar disorders誌2017年12月号の報告。 2000~11年にスタンフォード大学BDクリニックに紹介された外来患者を、STEP-BD(Systematic Treatment Enhancement Program for Bipolar Disorder)感情障害評価で評価し、2年間の自然な治療をし、STEP-BD臨床モニタリングフォームで観察した。有病率、患者背景、疾患の特徴、現在の気分症状、向精神薬の使用、縦断的うつ病重症度に関して、生涯EDの有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・503例のBD外来患者のうち、76例(15.1%)が生涯EDを有していた。・生涯EDと関連が認められた因子は、次のものであった。 ◆女性 ◆生涯不安合併率の高さ ◆アルコールおよび物質使用 ◆パーソナリティ障害 ◆小児BD発症 ◆エピソードの蓄積(10回以上の気分エピソード) ◆自殺企図歴 ◆現在の症候性/亜症候性うつ症状 ◆悲哀 ◆不安 ◆抗うつ薬使用 ◆早期BD発症年齢 ◆現在の全体的なBD重症度の高さ・現在のうつ病患者のうち、生涯EDを有する29例は、生涯EDなしの124例と比較し、うつ病の回復が有意に遅延していた。・8週間以上躁うつ症状が寛解している患者のうち、生涯EDを有する10例は、生涯EDなしの95例と比較し、有意ではないものの急速にうつ症状が再発していた。・なお、本研究の対象は、白人、保険加入者、郊外の患者、米国の専門診療のサンプルであり、EDから回復した患者が少数であったことなど、統計的な制限があった。 著者らは「EDがBD患者の縦断的うつ病重症度にどの程度影響するかを調査するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事摂食障害への薬物療法、最新知見レビュー双極性障害に対する抗うつ薬治療、その是非は双極性障害に対するアジュバント介入~メタ解析

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オランザピン誘発性体重増加のメカニズム

 オランザピンなどの非定型抗精神病薬は、過度な体重増加や2型糖尿病を誘発することがある。しかし、これらの薬物誘発性代謝異常の根底にあるメカニズムは、あまりわかっていない。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのCaleb C. Lord氏らは、オランザピン誘発性代謝異常のメカニズムについて、動物実験により検討を行った。The Journal of clinical investigation誌オンライン版2017年8月14日号の報告。オランザピンがマウスの過食症および体重増加を誘発 本検討では、メスのC57BL/6マウスでオランザピン誘発性過食症および肥満を再現する実験モデルを用いた。 オランザピン誘発性体重増加について動物実験により検討した主な結果は以下のとおり。・オランザピンは、マウスの食物摂取量を急増させ、耐糖能異常を引き起こし、身体活動およびエネルギー消費を変化させることが明らかとなった。・オランザピン誘発性過食症および体重増加は、セロトニン2C受容体欠損マウスにおいて鈍化した。・選択的セロトニン2C受容体アゴニストであるlorcaserinによる治療は、オランザピン誘発性過食症および体重増加を抑制することが示された。・lorcaserinは、オランザピン投与マウスの耐糖能を改善させた。 著者らは「オランザピンは、セロトニン2C受容体への拮抗作用を介して、有害な代謝系副作用を発現することが示唆された」としている。■関連記事オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

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家庭でのうつ病ケア、最善の選択肢は

 タイ・マヒドン大学のKanokporn Sukhato氏らは、うつ病に利用可能なすべての家庭での非薬理学的介入に関する無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビュー、ネットワークメタ解析を行い、その効果を比較した。BMJ Open誌2017年7月12日号の報告。 Medline、Scopus、CINAHLの各データベースを用いて、2016年8月7日までの研究を検索した。研究には、うつ病患者に対する家庭での非薬理学的介入と通常ケアを比較したRCTが含まれた。主要アウトカムは、治療終了時のうつ症状スコアおよび寛解率とした。 主な結果は以下のとおり。・本レビューには、17研究が抽出された。・家庭での非薬理学的介入は、心理的介入、運動介入、心理的介入と運動介入の組み合わせ、補完的な薬物介入に分類された。補完的な薬物介入のアプローチは、異質であるため、メタ解析から除外した。・通常ケアと家庭での各非薬理学的介入のうつ症状スコアの標準化平均変化差は、心理的介入で-0.57(95%CI:-0.84~-0.31)、運動介入で-1.03(95%CI:-2.89~0.82)、心理的介入と運動介入の組み合わせで-0.78(95%CI:-1.09~-0.47)であった。・これらの結果より、家庭での心理的介入および心理的介入と運動介入の組み合わせが、うつ症状スコアを有意に低下させることが示唆された。・通常ケアと比較して、家庭での心理的介入(プールされたリスク比:1.53、95%CI:1.19~1.98)および心理的介入と運動介入の組み合わせ(プールされたリスク比:3.47、95%CI:2.11~5.70)の寛解率は有意に高かった。・研究されたすべての介入において、家庭での心理的介入と運動介入の組み合わせが寛解をもたらす可能性が最も高いことが示唆された。 著者らは「本研究において、うつ病治療における家庭での心理的介入および心理的介入と運動介入の組み合わせの有効性が確認された。家庭での心理的介入と運動介入の組み合わせは、最善の治療であり、うつ病管理のための臨床ガイドラインに含めることを考慮すべきである」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能早期改善が最も期待できる抗うつ薬はうつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

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統合失調症患者、ライフスタイル改善が課題

 統合失調症患者において、食習慣や生活習慣の改善が、平均余命、疾患の合併症および予後に、影響を及ぼす可能性がある。バーレーン・アラビア湾大学のHaitham Ali Jahrami氏らは、バーレーンの統合失調症患者の食習慣や生活習慣行動を評価し、合併症との関連について検討を行った。Asian journal of psychiatry誌2017年8月号の報告。 本研究は、2016年3~12月に実施された症例対照研究である。対象は、バーレーンの精神科病院より抽出した統合失調症患者120例と年齢、性別をマッチさせた対照群120例。対照群は、プライマリヘルスセンターより抽出した、重篤な精神疾患のない患者とした。喫煙、アルコール摂取、身体活動を含む食習慣および生活習慣行動は、アンケートを用いて収集した。すべての医療記録をレトロスペクティブにレビューした。1つ以上の合併症に関連する食習慣および生活習慣の危険因子は、ロジスティック回帰分析を用いて同定した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、対照群と比較し、喫煙率およびアルコール摂取率が高く、食物摂取量が過剰であり、身体活動が低下していた(すべて、p<0.05)。・統合失調症患者では、肥満、2型糖尿病、高血圧、心血管疾患、筋骨格系障害の発症リスクが高かった。・統合失調症患者は、対照群と比較し、3つ以上の合併症を有する割合が3倍以上高かった。・過度な食物摂取および身体活動の低下が、主要な危険因子と同定された。■関連記事統合失調症や双極性障害、心代謝合併率はなんと60%以上もしかしたら、食生活の改善でADHD発症を予防できるかも精神疾患患者の死亡率は減少しているのか

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SPRINT試験、厳格な降圧でも生活の質は低下せず―しかしあくまでも臨床試験の中での結果であることは銘記すべき(解説:桑島 巖 氏)-728

 厳格な降圧は、脳や心臓の血流が減少して、自覚症状や生活の質を貶めるのではないかという懸念は古くからあり、それがJ-カーブ現象の存在を信じる研究者たちに強く信じられていた。 本研究は、厳格な降圧が患者報告による有害な健康アウトカムを増やすという仮説を実証する目的で行われたSPRINT試験のサブ解析である。 SPRINT試験とは、収縮期血圧120mmHgの厳格な降圧レベルが、140mmHgの標準的降圧に比べて心血管合併症予防効果が大きいことを示し、話題になった臨床試験である。 患者報告によるアウトカム指標としては、退役軍人RAND12項目票に基づく健康調査票の身体的要素(PCS)スコアと、メンタル要素(MCS)スコア、そして健康質問票のうつ病評価尺度(PHQ-9)スコア、患者報告による満足度、降圧薬のアドヒアランスなどについて、厳格降圧群と標準降圧群で比較した。 厳格降圧群のほうが、収縮期血圧で平均14.8mmHg低く、降圧薬の数も平均1種類多く服用していた。 結果として中央値3年で厳格降圧群の身体的要素、メンタル要素、うつ病スケールの平均値はいずれも標準降圧群と有意差がなかった。 降圧治療の満足度は両群とも高く、降圧薬アドヒアランスにも差がなかった。 厳格降圧は標準降圧群に比べて身体的、メンタル的に有害なアウトカムをもたらすことはなく心血管合併症を予防すると結論づけた。調査対象の28.2%は75歳以上の後期高齢者であるが、これらの患者はベースラインでは若年者よりも身体的要素スコアが低かったが、厳格降圧の身体スコア、メンタルスコアは75歳以上の症例でも標準治療と有意差がなかった。このことから高齢者での厳格降圧は身体機能やメンタル機能を低下させて生活の質を低下させるという仮説は否定される結果であった。 ただし、本研究にはいくつかのリミテーションがある。その第一は、厳格降圧による症状発現は降圧の比較的早期に一過性に生じる可能性があるが、それらが見逃されている可能性があること。第二に、SPRINT試験そのものが予定よりも早期に終了してしまったために、患者満足度やアドヒアランスなどにおいて長期的な評価がなされていない症例が多い可能性。比較的高リスクの症例が本試験に参加しているが、その結果がすべての高血圧患者に適用できるかという外的妥当性の問題、そして最後に本試験は二重盲検法ではないので群分けを患者が知っていることでそのことが患者の意識に影響した可能性も否定しきれない問題などである。 しかしSPRINT試験という米国の公的機関によって厳格に行われた臨床試験の結果ではあるが、その結果は多忙な日常診療で診るすべての症例、とくに高齢者には適用できず、やはり厳格な降圧には注意深く、慎重な姿勢が求められるのである。

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スマホ依存症になりやすい性格タイプ

 レバノン・Notre Dame University-LouaizeのJocelyne Matar Boumosleh氏らは、大学生サンプルにおけるスマートフォン依存症の有病率とうつ病や不安症との関連を評価した。PLOS ONE誌2017年8月4日号の報告。 対象は、レバノンの大学生688人(平均年齢:20.64±1.88歳、男性:53%)のランダムサンプル。社会人口統計学、大学、ライフスタイル、性格特性、スマートフォン使用に関連する項目について質問を行った。26項目のスマートフォン依存尺度(Smartphone Addiction Inventory:SPAI)、うつ病および全般不安症の2つの中心的なDSM-IV項目を構成する簡潔なスクリーニングPHQ-2およびGAD-2を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・スマートフォンに関連した強迫行動、機能障害、耐容性、禁断症状の有病率は非常に高かった。・深夜のスマートフォン使用によって日中の疲れを感じる人35.9%、睡眠の質が低下した人38.1%、スマートフォン使用により睡眠時間が4時間未満の人35.8%であった。・性別、居住地、週の労働時間、学部、学業成績、生活習慣(喫煙、アルコール摂取)、宗教は、スマートフォン依存症と関連が認められなかった。・一方、スマートフォン依存症と統計学的に有意な関連が示されたのは、性格タイプA、学年(2年 vs.3年)、スマートフォン使用開始年齢の低さ、平日の過度な使用、家族への電話に使用することなく娯楽のために使用、うつや不安症を有する、であった。・うつ病および不安症スコアは、交絡因子で調整した後、スマートフォン依存症の独立した正の予測因子であった。 著者らは「性格タイプAの若者が、高ストレスや低気分を経験すると、ストレスに対処するメカニズムや気分をコントロールするスキルが不足し、スマートフォン依存症に非常に陥りやすい可能性がある」としている。■関連記事スマホSNS、2時間日以上でうつ病リスク増加:名大女子学生の摂食障害への有効な対処法たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際の根拠 妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。 妊婦に対するSSRI使用の最適化には、以下のような治療ゴールが必要である。(1)妊婦にとって、許容できる副作用とともに最良の治療反応が得られる最適な用量でなければならない。(2)妊娠中の薬物動態の変化を考慮し、症状の継続的な測定を繰り返し、最適な抗うつ効果を維持するための調整が必要となる。(3)出産後、女性が非妊娠期(母乳育児状態)に移行した際には、用量調節が必要である。■関連記事日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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強化降圧 vs.標準降圧、患者にとって差は?/NEJM

 収縮期血圧の目標値を120mmHgとした強化治療を行っても、同目標を140mmHgとした標準治療を行った場合に比べ、患者報告による健康アウトカムや、降圧治療の満足度、降圧薬アドヒランスには有意差がないことが示された。米国・ベッドフォード退役軍人(VA)病院のDan R. Berlowitz氏らが、9,361例を対象に行った無作為化比較試験の結果明らかにし、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。これまでに発表されたSystolic Blood Pressure Intervention Trial(SPRINT試験)の結果では、非糖尿病の心血管リスクが高い高血圧症患者において、強化治療のほうが標準治療に比べ、心血管イベントリスクが低いことが示されていた。一方で、そのような強化治療が、患者報告アウトカムにどのような影響を与えるかは不明であった。 PCS、MCS、PHQ-9スコアを比較 研究グループは、高血圧症の患者9,361例を無作為に2群に分け、一方は収縮期血圧目標値を120mmHg(強化治療群)、もう一方は同目標値を140mmHg(標準治療群)とした降圧治療を行った。 患者報告によるアウトカムの指標としては、退役軍人RAND 12項目健康調査票の身体的サマリー(PCS)スコアと、精神的サマリー(MCS)スコア、患者健康質問票の9項目のうつ病評価尺度(PHQ-9)スコア、患者報告による血圧治療と降圧薬に関する満足度、降圧薬のアドヒランスとした。 強化治療群と標準治療群について、全被験者でスコアを比較したほか、身体・認知機能で層別化したグループ間の比較も行った。患者満足度は両群で同程度に高い 強化治療群は標準治療群に比べ、平均1種の降圧薬を多く服用しており、収縮期血圧値は14.8mmHg(95%信頼区間:14.3~15.4)低かった。 中央値3年の追跡期間中、患者報告によるPCS、MCS、PHQ-9のスコア平均値は相対的に安定しており、両群で有意差は認められなかった。ベースライン時の身体・認知機能で階層化したグループで比較しても、同スコアに有意差はなかった。 降圧治療の満足度は両群ともに高く、また降圧薬アドヒランスについても、両群で有意差はなかった。

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陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は

 統合失調症でみられる陰性症状(無気力や表出の減少など)は、健康上の重大な懸念事項である。陰性症状の適切な治療は、QOLや社会参加に向け、重要な進歩を意味している。陰性症状は、統合失調症の主症状である。その陰性症状を主要な症状と副次的な症状に区別することで、治療選択肢が得られる可能性がある。よく知られている副次的な陰性症状の原因は、精神症状、解体、不安、抑うつ、違法薬物やアルコールの慢性的な乱用、過度に高用量の抗精神病薬、社会的貧困、刺激の欠如、入院である。オランダ・ノールトホラント州地域精神保健局のSelene R. T. Veerman氏らは、二重盲検無作為化対照試験のレビューおよびメタ解析を行い、陰性症状に対する薬理学的および非薬理学的介入の有効性を評価した。Drugs誌オンライン版2017年8月3日号の報告。陰性症状に対する短期的な有効性のエビデンスは存在 陰性症状に対する薬理学的および非薬理学的介入の有効性評価の主な結果は以下のとおり。・残念ながら、主要な陰性症状に焦点を当て、主要な持続的な陰性症状を有する慢性期患者を対象とした臨床試験はごくわずかであった。・これらの研究における重大な制限は、副次的な陰性症状の潜在的な原因を適切に評価できない点である。・現時点では、主要な持続的陰性症状に対する治療の有効性に関する納得できるエビデンスはない。・しかし、いくつかの介入において、陰性症状に対する短期的な有効性のエビデンスは存在する。・このエビデンスは、残存症状を有する慢性期患者を対象とした研究と、急性期と慢性期の両方の患者における異種研究集団を用いた研究から得られたものであった。・残念なことに、主要な陰性症状と副次的な陰性症状を区別する信頼できるデータは不足していた。・現在、精神症状の早期治療において、アリピプラゾール追加療法、抗うつ薬追加療法、トピラマート追加療法、音楽療法、運動療法は、不特定の陰性症状に有効であることが判明している。・これらの介入は、患者との共通の意思決定プロセスにおいて慎重に検討することが可能で、主要な陰性症状に焦点を当てた、よくデザインされた長期的な大規模調査に有望である。・この分野における研究は不十分であるため、将来の研究では、主要な陰性症状に対する潜在的な治療介入を目指すべきである。

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日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。 妊娠12~24週目の20歳以上の妊婦を募集し、そのうちEPDS 9点以上の妊婦に研究への参加を依頼した。EPDSと同時に、うつ病エピソードの診断のために精神疾患簡易構造化面接法(日本語版)を行った。ROC曲線、感度および特異度、EPDSの陽性、陰性反応の予測値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・参加者210例は、妊娠12週の1例を除き、すべて第2三半期であった。・20例がうつ病エピソードと診断された。・カットオフスコアを13点に設定した場合、ROC曲線下面積0.956、感度90.0%、特異度79.0%、EPDS陽性反応予測値54.5%、EPDS陰性反応予測値98.9%であった。 著者らは、「われわれの知る限り、本研究は日本において、妊娠第2三半期での最適なEPDSカットオフ値を明らかにするための、最初の研究である。本知見は、日本における出産前うつ病の適切なスクリーニングに役立つであろう」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

 うつ病女性において標準的な治療では十分な効果が得られないことがある。クレアチン水和物や5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)による従来の抗うつ薬治療の増強療法は、女性のうつ病に関連するセロトニン産生や脳の生物学的因子の欠損を補正し、相乗的な効果をもたらす。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、SSRIまたはSNRI単独療法で効果不十分なうつ病女性に対する、5-HTPおよびクレアチン増強療法に関するオープンラベル試験を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年8月5日号の報告。 SSRIまたはSNRIを十分に服用し、現在もうつ症状が残存している女性15例(HAM-D17スコア16点以上)を対象に、クレアチン水和物5g/日と5-HTP 100mg 1日2回による増強治療を8週間行い、4週間フォローアップした。主要アウトカムは、平均HAM-Dスコアの変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・平均HAM-Dスコアは、前処置時の18.9点(SD:2.5)から7.5点(SD:4.4)に低下し(p<0.00001)、60%の減少が認められた。・治療に関連した重篤な有害事象は認められなかった。 著者らは「SSRIまたはSNRI治療抵抗性のうつ病女性に対するクレアチンと5-HTP併用療法は、効果的な増強戦略であると考えられる。本研究は、小規模なオープンラベル試験であるため、今後は無作為化プラセボ対照試験により明らかにする必要がある」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

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魔法ってないのかな?(解説:岡村毅氏)-718

 私たちの「こころ」や「意識」と呼ばれるものが形而上のものなのか、形而下のものなのかという問題はさておき、脳という電気活動の集合が関与していることは明らかであり、外部からの電気刺激が影響を与えるであろう。  本論文は、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct-current stimulation以下tDCS)のうつ病に対する効果を抗うつ薬(SSRI)およびプラセボと比較した報告である。プラセボに比べると有意に効果はあるものの、SSRIに比べると弱いようだ。  はじめに述べておくと、tDCSはわが国の精神医学においては保険診療で認められていない。世界的にもまだ非常にマイナーな手法である。ただし、脳梗塞後の麻痺などでの臨床実績、体表に電極を置いて微弱な電流を流すだけという安全性を考えると、今後精神科領域で使われる可能性はないとは言えず、アンテナを張っている読者諸兄におかれては頭の隅に入れておいてもよいかもしれない。  少し突き放して書いたのは、「きっと誰も知らない、自分の主治医も知らない治療法があるのだ」とか「週刊誌に素晴らしい治療法が書いてあったのに自分の主治医は自分に隠しているのだ」とか、さまざまなことをおっしゃる患者さんがいるからで、この治療法は標準から離れた異端に飛びつく人に好かれそうだなあと感じたからである。  うつ病の治療法は、(1)精神療法、(2)環境調整、(3)薬物療法等に大きく分けられる。  ひどいうつ状態で、考えることも休むこともできない状態のときは、(3)薬物治療等は効果的である(こういうときに精神療法だけでいくというのは、患者さんにとっては大変つらいだろう)。ここには、SSRIをはじめとする新規抗うつ薬、経験値がないと使いにくいが効果も大きな古典的抗うつ薬、非定型抗精神病薬、気分安定薬、抗不安薬、漢方薬などが含まれる。(3)の中の極めて狭い領域に、電気的脳神経刺激としてmECT(modified electroconvulsive therapy)やrTMS(repetitive transcranial magnetic stimulation)が含まれる。前者は全身麻酔が必要だが効果は絶大、後者は外来でできるが高い機材が必要でまだ臨床実績が不十分という長短がある。ここに安価なtDCSが加わる可能性があるかもしれないということである。  会社でうつになった人のうつ状態を良くして会社に送り返しても、そこがブラック過ぎたらすぐに再発するだろう。さまざまな社会資源につなげるなど(2)環境調整は実は薬物治療よりも重要かもしれない。  そもそもうつ病になる過程には本人のものの見方・考え方が関わっている可能性も高いので、そこに働きかける(1)精神療法こそが、本人の幸せにつなげる精神医学の本質ともいえよう。  そういうわけで、本論文は偽tDCSを施行するなど妥当な方法論に基づいたきちんとした論文ではあるものの、臨床への影響は限定的だ。東京都西之島では噴火により新たな島が生成し、日本の面積がいくらか増大したというが、日本全体の面積と比べれば微々たるものであろう。臨床医としては、本論文はその程度(西之島分)のエビデンスの付与であるように個人的には思う。でもそれは価値があることなのだ。

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双極性障害患者の自殺念慮、予測パターンは

 自殺念慮は、双極性障害患者で頻繁に認められるが、その経過や経年変化はよくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、双極性障害患者の自殺念慮について、6ヵ月間の追跡調査を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年7月20日号の報告。 Bipolar CHOICE研究では、双極性障害外来患者482例を、他の向精神薬を含む6ヵ月間のリチウムまたはクエチアピンベースの治療群に無作為に割り付けた。対象者は、Concise Health Risk Tracking scaleを用いて自殺念慮を9回調査した。自殺念慮の軌跡を経験的に特定するため、潜在成長混合モデル分析を行った。軌跡と潜在的な予測因子との関連を推定するため、多項ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・4つの異なる軌跡が同定された。・中程度の安定群(Moderate-Stable)は11.1%で、一定の自殺念慮により特徴づけられた。・中程度の非安定群(Moderate-Unstable)では、より変動的な自殺に関する持続的な思考を伴う割合が2.9%であった。・持続的に低い群(Persistent-low:20.8%)と持続的に非常に低い群(Persistent-very-low:65.1%)では、自殺念慮が低かった。・うつ病スコアの上昇と自殺企図歴は、中程度の安定群の予測因子であったが(有意ではない傾向)、無作為化治療ではその限りではなかった。・本研究の限界として、自殺念慮に対する特別な治療は含まれておらず、また自殺念慮は数年間続く可能性がある。 著者らは「双極性障害を有する成人外来患者10人に1人以上において、6ヵ月間の薬物治療中に自殺念慮の増加がある程度認められた。同定された予測因子は、臨床医が自殺念慮に対する治療が必要である患者を特定するのに役立つであろう。今後の研究において、薬理学的および非薬理学的な標的治療が、持続的な自殺念慮の経過を改善するかを調査する必要がある」としている。■関連記事双極性障害患者の自殺、治療パターンを分析双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対する抗うつ薬治療、その是非は

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糖分控えめでうつ病リスク低下

 いくつかの集団において、甘い食物や飲料および添加された糖類の摂取は、抑うつ症状と関連していると報告されている。英国・ロンドン大学のAnika Knuppel氏らは、甘い食物や飲料摂取と一般的な精神疾患(CMD)、うつ病との間の系統的、横断的およびプロスペクティブな関連性について調査した。また、その因果関係についても調査した。Scientific reports誌2017年7月27日号の報告。 Whitehall II studyからの反復測定を、ランダム効果回帰を用いて分析した(2万3,245人観察)。food frequency questionnaire(食物摂取頻度調査票)、validated questionnaireを用いて飲食、気分を評価した。 主な結果は以下のとおり。・横断的分析では、正の関連が認められた。・プロスペクティブ分析では、甘い食物や飲料からの糖類摂取が三分位で最も高かった男性において、5年後のCMD発症率が23%増加した(95%CI:1.02~1.48)。これは、健康行動、社会人口統計、食事関連要因、肥満、他疾患とは独立していた。・再発うつ病のオッズは、三分位の最も高い両性において増加していたが、食事関連要因がモデルに含まれていた場合には統計学的に有意ではなかった(OR:1.47、95%CI:0.98~2.22)。・CMD、うつ病ともに、摂取量の変化を予測しなかった。 著者らは「長期間の心理的健康に対し、甘い食物や飲料からの糖類摂取の悪影響が確認された。糖類摂取量の低下は、より良い心理的健康に関連する可能性が示唆された」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病になりやすいのは、太っている人、痩せている人?抗うつ薬投与下での運転、その安全性は

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遅発性ジスキネジア治療に期待される薬剤は

 遅発性ジスキネジア(TD)は、ドパミン受容体アンタゴニストによる抗精神病薬治療を受けている患者で起こりうる。TDは、その有病率と患者の生活への悪影響にもかかわらず、確立された治療法がなく、薬理学的治療の比較対照試験によるエビデンスも限られている。米国・ペンシルベニア大学のStanley N. Caroff氏らは、TDまたは薬物誘発性運動障害の治療に関する文献レビューを行った。Expert review of neurotherapeutics誌オンライン版2017年7月31日号の報告。 2007~16年に発表されたTDに関する英語論文を、PubMedから“tardive dyskinesia”(TD)もしくは“drug-induced movement disorder”(薬物誘発性運動障害)および“treatment”の語句で検索した。選択したのはTD治療のための薬理学的作用を評価した研究で、合計26件(メタ解析:5件、RCT:12件、オープンラベル:9件)をレビューした。 専門家の主な解説は以下のとおり。・TDの治療には段階的なアプローチが必要である。・TD治療前に、抗精神病薬の最適化を検討すべきである。・いくつかの最近の研究データからは、抗精神病薬の切り替え、またはアマンタジン、レベチラセタム、piracetam、ゾニサミド、プロプラノール、ビタミンB6、特定の規制されていない漢方薬の使用でTD改善の可能性が示されているが、これらの改善意義は不明であり、RCTによるさらなる検討が必要である。・また、新規の小胞モノアミントランスポーター2阻害薬の第III相試験による最近のエビデンスでは、TD症状の重症度に対する有意な効果が認められ、これらの薬剤が、今後のTD治療を変える可能性があることを示唆している。■関連記事遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学統合失調症のEPS発現にカルバマゼピン処方が関連

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精神疾患患者の死亡率は減少しているのか

 双極性障害や統合失調症は、一般集団と比較して死亡率の増加と関連している。国際的には、この死亡率を減少させることに重点が置かれている。英国・ロンドン大学のJoseph F. Hayes氏らは、双極性障害および統合失調症患者と一般集団の死亡率の差が減少したかを調査した。The British journal of psychiatry誌オンライン版2017年7月6日号の報告。 本研究は、2000~14年のプライマリケア健康医療電子記録を用いて、双極性障害または統合失調症と診断されたすべての患者と一般集団を比較したコホート研究。主要アウトカムは、全死因死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者(調整HR:1.79、95%CI:1.67~1.88)および統合失調症患者(調整HR:2.08、95%CI:1.98~2.19)の死亡率は、上昇していた。・双極性障害患者の調整HRは、2006年から14年にかけて0.14/年(95%CI:0.10~0.19)増加した。・統合失調症患者の調整HRは、2004年から10年にかけて0.11/年(95%CI:0.04~0.17)と徐々に増加し、2010年以降0.34/年(95%CI:0.18~0.49)と急速に増加した。 著者らは「双極性障害および統合失調症患者と一般集団の死亡率の差は、拡大している」としている。■関連記事抗精神病薬使用は長期死亡リスクに悪影響なのか統合失調症患者の突然死、その主な原因はうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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早期改善が最も期待できる抗うつ薬は

 抗うつ薬治療の最初の2週間でうつ症状を早期に改善することは、うつ病患者のその後の良好な治療アウトカムを予測するレジリエンスシグナルであるといわれている。しかし、早期改善の予測値は研究間で異なっており、異なる抗うつ薬の使用が影響している可能性がある。ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのStefanie Wagner氏らは、うつ病患者における将来の治療反応や寛解に対する早期改善の予測値を評価し、早期改善の可能性が最も高い抗うつ薬を特定するため検討を行った。Journal of psychiatric research誌オンライン版2017年7月4日号の報告。 うつ病患者に対する早期改善効果について、抗うつ薬とプラセボまたは他の抗うつ薬との単独療法を比較したランダム化比較試験17件より、成人うつ病患者1万4,779例を抽出した。治療2週間後に20%/25%超の症状改善を早期改善と定義した。 主な結果は以下のとおり。・早期改善は、抗うつ薬群で62%(範囲:35~85%)、プラセボ群で47%(範囲:21~69%)であった。・早期改善は、高感度(85%、95%CI:84.3~85.7)および低~中等度の特異性(54%、95%CI:53.1~54.9)で、治療5~12週間後の治療反応および寛解を予測した。・早期改善患者は、非改善者と比較し、エンドポイントにおける治療反応率が8.37倍(6.97~10.05)高く、寛解率は6.38倍(5.07~8.02)高かった。・早期改善率が最も高かった薬剤は、ミルタザピンおよび三環系抗うつ薬であった。 著者らは「本知見は、抗うつ薬治療の初期段階における治療決定に重要である。早期治療決定の有効性を検討する試験をさらに行うべきである」としている。■関連記事うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とはうつ病の寛解率、職業で差があるかうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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抗精神病薬に関する知識は治療効果に影響するか:慶應義塾大

 統合失調症患者における、処方された抗精神病薬の知識について、データは非常に限られている。また、処方された抗精神病薬に関する患者の知識が、服薬アドヒアランスに及ぼす影響についてはよくわかっていない。慶應義塾大学の長井 信弘氏らは、これらの関連について検討を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2017年7月4日号の報告。 対象は、統合失調症(ICD-10)と診断された日本人外来患者81例。本研究のために開発した複数選択アンケートより、治療効果、種類および関連する神経伝達物質の観点から、患者に処方された主要な抗精神病薬に関する知識を評価した。各カテゴリにおいて、正確に回答した患者とそうでなかった患者の薬剤所有率(Medication Possession Ratios:MPR)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・正確に回答した患者の割合は、抗精神病薬の効果30.9%、抗精神病薬の種類30.9%、関連する神経伝達物質7.4%と低かった。・正確に回答した患者とそうでなかった患者のMPRに差は認められなかった。 著者らは「この予備的結果から、抗精神病薬に関する患者の知識不足が示唆された。さらに、統合失調症患者において、処方された抗精神病薬に関する知識は、実際の服薬アドヒアランスに直接的に影響しない可能性を示唆している」としている。■関連記事統合失調症、服薬アドヒアランス研究の課題とは抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのかうつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

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