サイト内検索|page:84

検索結果 合計:2855件 表示位置:1661 - 1680

1661.

うつ病や自殺と脂質レベルとの関連

 血清脂質レベルはうつ病や自殺念慮と関連しているといわれているが、これらの正確な関連はよくわかっていない。韓国・カトリック大学校のJihoon Oh氏らは、大規模サンプルにおける脂質レベルと自殺念慮を伴ううつ病との関連を調査した。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年2月6日号の報告。 韓国の全国サンプルより、血清脂質レベルとPHQ-9(Patient Health Questionnaire 9)を用いて測定した軽度うつ病との関連を調査した。第6回韓国国民健康栄養調査(KNHNES VI)に参加した男性2,055人、女性2,894人のデータを使用した。高比重リポタンパクコレステロール(HDL-C)、低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)、トリグリセリド、総コレステロールの血清濃度で二分し、分析にはコンプレックスサンプルのロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病は、成人男性では高HDL-C(40mg/dL以上)、成人女性では高トリグリセリド(150mg/dL以上)と有意な関連が認められた。・中年(45~64歳)では、うつ病の増加(OR:2.20、95%CI:1.26~3.85)および自殺率の増加(OR:3.66、95%CI:1.41~9.51)は、高トリグリセリドと関連していた。・異常な脂質レベルの増加は、女性(OR:1.34、95%CI:1.12~1.60)および中年(OR:1.43、95%CI:1.12~1.82)のうつ病有病率の増加と関連していた。 著者らは「本研究は、断面研究デザインであるため、脂質レベルとうつ病の因果関係を調べることは困難であり、自殺率の評価にはさらなる検証が必要である」としながら、「大規模サンプルデータにおいて、高HDL-C、高トリグリセリドとうつ病との関連が示唆された。トリグリセリドは、若年および中年で自殺率との関連が高かったが、高齢者では異なった。さらなる評価により、民族間での血清脂質レベルと自殺を伴ううつ病との関係を詳細に説明できるであろう」としている。関連医療ニュース 血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か 揚げ物はうつ病の天敵か:日医大

1662.

うつ病から双極性障害へ移行しやすい患者の特徴

 うつ病患者の一部は、双極性障害発症の前段階である可能性があり、早期発見や予防が可能な場合がある。オーストラリア・メルボルン大学のA Ratheesh氏らは、うつ病患者のプロスペクティブ研究より、双極性障害へ移行する割合や特徴の予測を試みた。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年1月18日号の報告。 システマティックな検索ストラテジを用いて、適切な基準の下、うつ病および双極性障害の診断確認を行った研究を特定した(最短フォローアップ期間6ヵ月)。ベースライン時予測因子に対する双極性障害の発症率およびある時点での有病率、プールされたオッズ比(OR)を調べた。 主な結果は以下のとおり。・5,554件の出版物より、56件が抽出された。・うつ病の成人の約4分の1(22.5%)と若者における、双極性障害発症に関する平均フォローアップ期間は、12~18年であり、最初の5年間が双極性障害移行の最大リスクであった。・メタアナリシスでは、うつ病から双極性障害への移行予測因子として以下が確認された。 ●双極性障害の家族歴(OR:2.89、95%CI:2.01~4.14、n=7) ●うつ病発症年齢の早さ(g:-0.33、SE:0.05、n=6) ●精神症状の出現(OR:4.76、95%CI:1.79~12.66、n=5) 著者らは「とくに双極性障害より広範なアウトカムが考慮される場合には、特定された予測因子を有する患者を観察し、予防成果が得られる可能性がある」としている。関連医療ニュース 双極性障害に対する抗うつ薬使用の現状は うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは うつ病と双極性障害を見分けるポイントは

1663.

抗精神病薬の高用量投与は悪か

 統合失調症に対する抗精神病薬の高用量投与について、良好な症状改善との関連および有害事象や神経認知機能に対する影響を、ギリシャ・テッサロニキ・アリストテレス大学のKonstantinos N Fountoulakis氏らが、小規模パイロット自然主義横断研究により評価を行った。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2017年1月28日号の報告。 対象は、統合失調症入院男性患者41例。PANSS、カルガリー抑うつ評価尺度、UKU副作用評価尺度、SAS(Simpson-Angus Scale)、認知機能評価バッテリーにより評価した。薬剤、投与量は、治療者の臨床判断に従って行った。 主な結果は以下のとおり。・臨床的変数および有害事象は、高用量群と推奨量群で差は認められなかった。・高用量投与は、抑うつ症状と相関していたが、神経認知機能の低下と相関は認められなかった。 著者らは「抗精神病薬の推奨用量を超えた投与は、難治性患者の良好なレスポンスを達成可能であり、抑うつ症状や軽度な集中力の欠如に有効であるが、ほかの神経認知機能や錐体外路系副作用はない。現在臨床医は、高用量投与が必要な場合には、第1世代抗精神病薬を好むが、新規抗精神病薬の副作用プロファイルを考慮すると、新規抗精神病薬の高用量投与に関する研究を進めることが重要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大 統合失調症患者への抗精神病薬高用量投与、自律神経系への影響は:横浜市大 統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

1664.

SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較

 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に反応しないうつ病患者におけるアリピプラゾールとbupropion増強療法の有効性および安全性を、韓国・嶺南大学のEun-Jin Cheon氏らが比較検討を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2017年4月号の報告。 アリピプラゾールとbupropion増強療法の初めての無作為化プロスペクティブオープンラベル直接比較研究。対象者は、4週間以上のSSRI治療後に中等度以上のうつ症状を有する患者103例。アリピプラゾール群(56例)またはbupropion群(47例)に無作為に割り付け、6週間治療を行った。その間、他の向精神薬の併用は行わなかった。モントゴメリー・アスベルグのうつ病評価尺度(MADRS)、ハミルトンうつ病評価尺度17項目版(HAM-D17)、Iowa Fatigue Scale(IFS)、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)、Psychotropic-Related Sexual Dysfunction Questionnaire scoresを、ベースラインおよび治療1、2、4、6週間後に評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、両群ともに重篤な有害事象を起こすことなく、抑うつ症状を改善した。・MADRS、HAM-D17、IFS、レスポンス率に有意な差は認められなかった。・しかし、アリピプラゾール群は、bupropion群と比較し、6週間後の寛解率が有意に高かった(55.4% vs.34.0%、p=0.031)。・性的有害事象、錐体外路症状、アカシジアの発生率は、両群間で有意な差が認められなかった。 著者らは「SSRIで治療不十分なうつ病患者に対するアリピプラゾール増強療法の有効性と忍容性は、bupropion増強療法と同等以上であった。両増強療法共に、うつ病患者の性機能障害や倦怠感を軽減する可能性があり、効果的かつ安全な増強療法である。本知見を確認するためにも、二重盲検による研究が必要である」としている。■関連記事うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とはうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs. リスペリドン

1665.

うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

 うつ病治療に用いられる薬剤に関連する相対的な罹患率および死亡率を測定し、重大なアウトカムに関連する特定の臨床的影響について、米国・カリフォルニア大学のJ Craig Nelson氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2017年1月31日号の報告。 米国、プエルトリコ、ワシントンD.C.に拠点を置く中毒センターから報告を受けた全米中毒情報データシステム(National Poison Data System)より、2000~14年の12歳以上に対する1回の薬剤曝露情報を照会した。薬剤は、抗うつ薬、非定型抗精神病薬、抗痙攣薬、リチウム、およびうつ病治療に用いられるその他の薬剤であった。主要アウトカムは、罹患率(1,000曝露当たりの重大なアウトカム数)、死亡率(1万曝露当たりの死亡アウトカム数)とした。 主な結果は以下のとおり。・15年間で、調査した48薬剤の単一薬剤曝露は、96万2,222件であった。・重大なアウトカムは15年間で2.26倍に線形に増加した。・三環系抗うつ薬やMAO阻害薬による薬物療法は、高い罹患率および死亡率と関連していたが、他の新規薬剤のいくつかは、危険な可能性があった。・リチウム、クエチアピン、オランザピン、bupropion、カルバマゼピンは、高い罹患率指標と関連していた。・リチウム、ベンラファキシン、bupropion、クエチアピン、オランザピン、ziprasidone、バルプロ酸、カルバマゼピン、citalopramは、より高い死亡率指数と関連していた。 著者らは「うつ病治療に用いられる薬剤に対する過量服薬や意図しない曝露による重大なアウトカムは、過去15年間で劇的に上昇した。現在のデータでは、罹患および死亡リスクが、薬剤間で異なることを示唆している。この違いは、うつ病患者、とくに自殺リスクの高い患者における治療法を選択する際に重要となる」としている。関連医療ニュース うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法 ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか

1666.

統合失調症、服薬アドヒアランス研究の課題とは

 生涯に1,000人中およそ7人が罹患すると推定される統合失調症患者のうち、約50%が自殺を試みるといわれている。しかし研究において、統合失調症患者の服薬アドヒアランスを測定することは困難であり、現時点では標準的な手法が存在していない。統合失調症患者におけるノンアドヒアランスを評価するための信頼性の高い手法がなければ、アドヒアランス改善戦略の研究は進まない。米国・サウスカロライナ医科大学のCordellia E Bright氏は、統合失調症患者の服薬アドヒアランスを測定するための既存の機器について、妥当性、信頼性、エビデンスレベルを評価した。Archives of psychiatric nursing誌2017年2月号の報告。 本統合レビューでは、評価、測定、服薬アドヒアランス、統合失調症、薬物ノンアドヒアランス、妥当性、信頼性、対策の検索用語を使用した。CINAHL、PubMed、PsycINFO、Scopusのデータベースを検索した。対象期間は2000~16年とした。6件の研究より14の機器が抽出された。 主な結果は以下のとおり。・検討したすべての機器は、妥当性と信頼性が弱く、エビデンスレベルの低さと関連していた。・3種類の機器(うち2種類は極めて新しい)は、より良い妥当性、信頼性、感度を有していたが、広範かつ多様なサンプルで評価されていないため、一般的かは不明である。 著者らは「統合失調症患者の服薬アドヒアランスに関する研究を行うためには、さまざまな患者の特性に対し、適切な妥当性、信頼性、感度を有する機器の開発が必要である」としている。関連医療ニュース 錠剤埋め込み型服薬管理システムは、安全なのか 抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか 双極性障害青年、ちゃんと薬を飲んでいるか

1667.

抗精神病薬、賦活と鎮静の副作用を比較

 抗精神病薬の副作用である賦活や鎮静は、薬物治療の妨げとなる可能性がある。米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏は、第2世代抗精神病薬の賦活および鎮静の副作用について評価を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年1月30日号の報告。 本研究では、統合失調症および大うつ病の補助的治療に適応を有する薬剤の製品ラベルで報告されている副作用の割合を調査し、第1選択薬として用いられる経口の第2世代抗精神病薬の賦活および鎮静特性を定量化し評価した。追加データソースとして、規定文書、調査概要、パブリッシュされた調査レポートを含んだ。副作用リスク増加とNNH(Number Needed to Harm:有害必要数)は、各薬剤対プラセボにて算出した。抗精神病薬の一部では賦活と鎮静の両方の副作用の可能性 抗精神病薬の賦活および鎮静の副作用について比較した主な結果は以下のとおり。・賦活や鎮静の副作用は、各抗精神病薬で違いが観察され、一部では賦活と鎮静の両方の副作用の可能性が示唆されている。・統合失調症に用いられる薬剤では、主な賦活系の抗精神病薬としてlurasidone(NNH:アカシジア11 vs.傾眠20)、cariprazine(NNH:アカシジア15 vs.傾眠65)が挙げられる。・リスペリドン(NNH:アカシジア15 vs.鎮静13)、アリピプラゾール(NNH:アカシジア31 vs.眠気34)の賦活と鎮静のバランスは同程度であった。・主な鎮静系の抗精神病薬は、オランザピン、クエチアピン、ziprasidone、asenapine、iloperidoneが挙げられる。・賦活、鎮静に作用しない抗精神病薬は、パリペリドン、brexpiprazoleであった。・うつ病に用いられる抗精神病薬については、全体的に統合失調症と同様な所見であった。・抽出されたデータは、製品ラベルに含まれる有害事象表に寄与する登録研究からの入手可能なものに限られていた。その後の比較研究では、異なる結果が示される可能性がある。

1668.

うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは

 うつ病に対する抗うつ薬使用は、汎用されている治療にもかかわらず、大うつ病患者の約3分の1には十分な効果を発揮しない。オーストリア・ウィーン大学のAlexander Kautzky氏らは、治療アウトカムのための臨床的、社会的、心理社会学的な48の予測因子による新たな洞察を、治療抵抗性の研究グループのデータと機械学習を利用し、検討を行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年1月3日号の報告。 患者は、2000年1月より登録され、DSM-IVに従って診断した。治療抵抗性うつ病は、2種類以上の抗うつ薬による十分な投与量と期間で治療を行った後、ハミルトンうつ病評価尺度(17項目:HDRS)スコアが17以上とした。寛解は、HDRSスコア8未満とした。ランダムフォレストを用いたステップワイズ法を行い、治療アウトカムの分類に最適な数を見出した。重要値が生成された後、400例の患者サンプルで寛解と治療抵抗性の予測を実施した。予測のために、サンプル外の80例を使用し、レシーバの動作特性を計算した。 主な結果は以下のとおり。・治療アウトカムのもっとも有益な予測因子として、以下が挙げられる。 ●最初と最後のうつ病エピソードの間隔 ●最初のうつ病エピソードの年齢 ●最初の抗うつ薬治療に対するレスポンス ●重症度 ●自殺念慮 ●メランコリー ●生涯うつ病エピソード数 ●患者のアドミタンスタイプ ●教育 ●職業 ●糖尿病の併存 ●パニック症 ●甲状腺疾患・単一予測因子は、ランダム予測と異なる予測精度に達しなかったが、すべての予測変数を組み合わせることにより、治療抵抗性を0.737の精度で検出し、寛解を0.850の精度で検出できた。・その結果、治療抵抗性うつ病の65.5%、寛解の77.7%を正確に予測できた。関連医療ニュース 晩年期治療抵抗性うつ病の治療戦略に必要なものとは 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

1669.

65歳未満での抗うつ薬使用、認知症増加と関連

 抗うつ薬の使用がアルツハイマー病などの認知障害や認知症と関連しているかを、カナダ・サスカチュワン大学のJohn Moraros氏らは、検討を行った。Depression and anxiety誌オンライン版2016年12月28日号の報告。 Medline、PubMed、PsycINFO、Web of Science、Embase、CINAHL、the Cochrane Libraryのシステマティックな検索を行った。アブストラクトとタイトルより初期のスクリーニングを行い、関連する全文献をレビューし、その方法論的質について評価した。検索した文献より粗悪な効果推定値を除き、ランダム効果モデルを用いてプールされた推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・最初にプールされた4,123件から5件の研究が抽出された。・抗うつ薬の使用は、認知障害や認知症の2倍増と関連していた(OR:2.17)。・年齢は、抗うつ薬使用と認知障害や認知症、アルツハイマー病と関連の可能性がある修飾因子であった。・65歳以上の平均年齢の参加者を含む研究では、抗うつ薬使用が認知障害のオッズの増加と関連し(OR:1.65)、65歳未満の参加者での研究では、さらに強い関連が示された(OR:3.25)。 著者らは「抗うつ薬の使用は、アルツハイマー病や認知症と関連しており、65歳未満での使用では特に顕著であった。この関連は、うつ病やその重症度により生じる可能性もある。しかし、認知症への抗うつ薬曝露を潜在的に結び付ける生物学的メカニズムが説明されているため、抗うつ薬の病因学的影響の可能性がある。この関連性の確認とともに、根底にある病因経路の明確化に緊急に注目する必要がある」としている。関連医療ニュース ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析 米国の認知症有病率が低下、その要因は 抑うつ症状は認知症の予測因子となりうるのか

1670.

精神的苦痛は発がんリスクを増大/BMJ

 精神的苦痛(うつ、不安の症状)が重くなるほど、大腸がんや前立腺がんのリスクが高まり、精神的苦痛は発がんの予測因子となる可能性があることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG David Batty氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年1月25日号に掲載された。精神的苦痛とがんとの関連については、(1)精神的苦痛に繰り返し曝されるとナチュラルキラー細胞の機能が喪失して腫瘍細胞の増殖を招く、(2)うつ症状は視床下部-下垂体-副腎系の異常をもたらし、とくにホルモン関連がんの防御過程に不良な影響を及ぼす、(3)苦痛の症状は、喫煙、運動不足、食事の乱れ、肥満などの生活様式関連のリスク因子への好ましくない影響を介して、間接的に発がんの可能性を高めるなどの機序が提唱されている。英国の16研究の参加者16万人以上を解析 研究グループは、部位別のがん死の予測因子としての、精神的苦痛(うつ、不安の症状)の可能性を検証するために、1994~2008年に開始された16件の前向きコホート研究に参加した患者の個々のデータの統合解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 イングランドの13件およびスコットランドの3件の健康調査から、英国の典型的なサンプルを収集した。試験登録時に16歳以上で、がんの診断歴がなく、参加者自身の報告による精神的苦痛スコア(精神健康調査票[GHQ-12])の記録がある16万3,363例が解析の対象となった。 精神的苦痛はGHQ-12スコアにより、無症状(0点)、潜在性症状(1~3点)、有症状(4~6点)、重度症状(7~12点)に分類した。16種のがん、その他のがん、喫煙関連がん、喫煙非関連がんに分け、精神的苦痛との関連を解析した。苦痛が重度の群はがんのリスクが32%増加 ベースラインの平均年齢は46.3(SD 18.3)歳、女性が54.9%を占めた。精神的苦痛スコアの平均値は1.5(SD 2.6)点、平均BMIは26.6(SD 4.8)、義務教育修了年齢以降の学歴ありは67.9%、喫煙者は26.3%、週1回以上の飲酒は62.0%だった。 16件の研究の死亡調査の平均期間は9.5年で、この間に1万6,267例が死亡し、このうち4,353例ががんで死亡した。 年齢、性別、教育、社会経済的状況、BMI、喫煙、アルコール摂取で補正し、逆因果関係を左側打ち切り(left censoring)で、欠損データを代入法で調整した解析を行ったところ、精神的苦痛が軽度の群(GHQ-12スコア:0~6点)に比べ、苦痛が重度の群(同スコア:7~12点)は、すべての部位のがんを合わせた死亡率が有意に高かった(多変量補正ハザード比[HR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.18~1.48)。 また、精神的苦痛が重度の群は、喫煙非関連がん(HR:1.45、95%CI:1.23~1.71)、大腸がん(1.84、1.21~2.78)、前立腺がん(2.42、1.29~4.54)、膵がん(2.76、1.47~5.19)、食道がん(2.59、1.34~5.00)、白血病(3.86、1.42~10.5)のリスクが有意に高かった。大腸がんと前立腺がんのリスクは、精神的苦痛スコアが上がるにしたがって有意に増加した(いずれも、傾向検定のp<0.001)。 著者は、「精神的苦痛が、特定のがん発症の予測能を有する可能性を示唆するエビデンスが得られた」とまとめ、「個々の精神的苦痛とがんの因果関係がどの程度に及ぶかを解明するために、さらなる検討が求められる」と指摘している。

1671.

抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大

 抗精神病薬の切り替えは、臨床現場では日常的に行われているが、一括置換法と漸減漸増法のどちらが好ましいスイッチング法であるかは不明である。一括置換法は、リバウンドや離脱症状の出現や増悪と関連しているのに対し、漸減漸増法はクロスオーバーアプローチで用いられる場合、相加的または相乗的な副作用リスクをきたすと考えられる。慶應義塾大学(カナダ・オタワ大学)の竹内 啓善氏らは、抗精神病薬のスイッチング戦略について検討を行った。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年1月1日号の報告。 MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsをシステマティックに検索した。統合失調症および、または統合失調感情障害患者の抗精神病薬スイッチングにおける一括置換法と漸減漸増法を調査した無作為化比較試験を抽出した。臨床結果に関するデータは、試験中止、錐体外路症状、治療中に出現した有害事象を含むデータが抽出された。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、適格基準を満たした9研究1,416例が含まれた。・両スイッチング法で、臨床的に有意な差は認められなかった(all Ps>0.05)。・感受性分析では、アリピプラゾールへのスイッチングが行われた研究または抗精神病薬の一括置換法が行われた研究では、結果が変わらなかったが、オランザピンまたはziprasidoneへのスイッチングでは、有意な差が認められた。 著者らは「これらの知見より、抗精神病薬の一括置換法と漸減漸増法は実行可能な治療選択肢であることが示唆された。臨床医は、個々の患者ニーズに応じて、抗精神病薬のスイッチング戦略を選択することが推奨される。抗精神病薬の多剤併用を是正するためのスイッチングは、一括置換法が有効である可能性がある」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬の変更は何週目が適切か 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか 統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか

1672.

うつ病、男女間で異なる特徴とは

 いくつかの研究によると、男女間でうつ病に関連した異なる症状が報告されているが、この関連を分析したシステマティックレビューやメタアナリシスはパブリッシュされていない。オーストラリア・Illawarra Health & Medical Research InstituteのAnna Cavanagh氏らは、うつ病に関連する症状の性差のエビデンスをレビューした。Harvard review of psychiatry誌2017年1・2月号の報告。 PubMed、Cochrane、PsycINFOのデータベースとリファレンスリストを調べた。32研究が基準を満たした。単極性うつ病の臨床サンプルおよびコミュニティサンプル10万8,260人を含んだ。32研究のすべてにおいて質を評価し、出版バイアスについて検討した。性差の影響を評価するため、32研究より抽出された26症状についてメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・本研究では、少数で重要な性別といくつかの症状との関連が示された。・うつ病男性は、女性と比較し、アルコールや薬物乱用(Hedges's g:0.26、95%CI:0.11~0.42)、リスクテイキング、脆弱な衝動性コントロール(g:0.58、95%CI:0.47~0.69)と関連していた。・うつ病女性は、抑うつ気分のようなうつ病の診断基準に含まれる症状(g:-0.20、95%CI:-0.33~-0.08)、摂食障害や体重変化(g:-0.20、95%CI:-0.28~-0.11)、睡眠障害(g:-0.11、95%CI:-0.19~-0.03)と関連していた。 著者らは「本結果は、物質使用と気分障害の有病率における性差に関する既存の研究結果と一致する。男性のうつ病を評価する際には、物質乱用、リスクテイキング、脆弱な衝動性コントロールをスクリーニングすることの有用性が強調される。うつ病と併存症状に関する性差を明らかにするためにも、今後の研究が必要とされる」としている。関連医療ニュース 統合失調症、男と女で妄想内容は異なる 女はビタミンB6、男はビタミンB12でうつリスク低下か 双極性障害、男女間で肥満割合に違いあり

1673.

ハンチントン病〔HD:Huntington’s disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義舞踏病は中世ヨーロッパにおいて知られ、19世紀前半いくつかの遺伝性の舞踏病についての報告があるが、1872年のGeorge Huntingtonの報告を基に、疾病単位として確立され、ハンチントン舞踏病といわれるようになった。舞踏病は疾患の一面を示しているにすぎないので、現在は「ハンチントン病」という。ハンチンチン遺伝子(HTT)のCAGリピートの異常伸長による常染色体優性遺伝形式を取る、遺伝性の中枢神経変性疾患で、舞踏運動などの運動障害、認知機能障害、精神障害を呈し、進行性である。■ 疫学日本、東アジアでは比較的まれであるが、北ヨーロッパ(広義)やその地域からの移民では頻度が高い。わが国における有病率は人口10万人対0.6人程度、ヨーロッパ、北米およびオーストラリアからの報告のメタ解析では、人口10万人対5.7人と推計されている。■ 遺伝・病因常染色体優性遺伝を呈し、ほとんどの患者は変異アレルと正常アレルとのヘテロ接合体であるが、きわめてまれに変異アレルのホモ接合体(または複合へテロ接合体)例もある。両者は臨床的(表現型)には差はない。孤発例については、家族歴が不明のためか他疾患と考えられ、新生突然変異はほとんどないと考えられていたが、従来考えられていたよりは新生突然変異は少なくない。病因となるハンチンチン遺伝子(HTT)エクソン1のCAGリピートは、不安定で伸長しやすく、患者ではCAGリピートの繰り返し回数は36回以上である。ただし、36回から39回は不完全浸透で、発症するとは限らない。40回以上では、年齢依存的に発症率が異なるが、最終的には80歳代までにはほぼ100%発症する(完全浸透)。CAGリピートに関連して、2つの特徴が挙げられる。第1にCAGリピートの繰り返し回数が多いほど、発症年齢は若く、CAGリピートと発症年齢との間には負の相関が認められる。第2に親から子に遺伝する際に、繰り返し回数は多くなりやすく、とくに男親から遺伝する場合にその傾向は顕著である。小児発症例の男親が、後から発症することがある。すなわち、世代を経るごとに発症年齢が若年化し、重症化する遺伝学的表現促進現象が認められる。■ 病態・病理他のポリグルタミン病と共通する、異常伸長したポリグルタミン鎖を持つハンチンチンタンパク質による獲得毒性による機序と、ハンチンチンタンパク質の生理的な機能・局在などに関連した異常によるのが、大局的な分子病態と考えられる。ハンチンチンの生理的機能は十分には解明されていないが、ノックアウトマウスではホモ個体は致死的である。分子病態の全体像は完全には明らかにはされていないが、これまで、(1) 転写調節の異常、(2) アンチセンスRNAの関与、(3) タンパク質凝集、(4) ユビキチン-プロテアソーム系の異常、(5) オートファジーの異常、(6) アポトーシスの異常、(7) 軸索輸送の異常、(8) 成長因子の異常、(9) 繊毛形成障害、(10) ミトコンドリア機能障害、(11) 酸化ストレス、(12) 興奮性毒性など、さまざまな異常、病態への関与が報告されている。これらですべてかどうかは必ずしも明らかではないが、報告の多くはそれぞれ病態の一面を反映しているものと推察される。病理学的には、神経細胞の変性脱落を生じるが、その変化は線条体に顕著で、中型有棘神経細胞の脱落が特徴的である。進行に伴い、線条体は萎縮する。病理変化は、尾側から吻側へ、背側から腹側へ、内側から外側へ進行する。病理学的変化は、大脳皮質にも及び大脳全体が萎縮する。ポリグルタミン鎖を含む凝集体が核内封入体として認められる。■ 症状発症は小児期~80歳代まで幅広く、平均は40歳代で、30~60歳代に発症することが多い。20歳以下の発症は若年型といわれる。症状としては、運動症状、精神症状、認知症に大別される。運動症状は、舞踏運動が特徴的である。非典型的な不随意運動を認めることもある。また、小児などでは、筋強剛(固縮)などのパーキンソン症状を呈する(Westphal型)。精神症状としては、うつ、自殺企図を認め、また統合失調症との鑑別を要することもある。認知症としては、皮質下認知症を呈する。■ 予後緩徐進行性の経過で、臥床状態となり15~30年で合併症にて死亡する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断のポイント診断に当たっては、家族歴が重要であり、確定診断されている家族歴のある場合には、診断は比較的容易である。ただし、家族歴がないからといって診断は除外できない。臨床症状、一般的検査で、特異的なものはない。■ 画像診断画像診断においては、CTおよびMRIで、尾状核ないし線条体の萎縮、脳室の拡大が疾患の進行に伴って認められ、進行例では、大脳皮質の萎縮も認める。尾状核の萎縮は水平断より冠状断(前額断)画像がみやすい。発症前ないし発症極初期においては、形態画像の異常は捉えにくいが、SPECTやPETによる機能画像検査において、尾状核の機能低下が捉えられる。■ 遺伝子診断遺伝子診断は、ハンチンチン遺伝子(HTT)のCAGリピートの異常伸長の有無による。遺伝子診断にて、確定診断および除外診断が可能である。■ 鑑別診断遺伝性、非遺伝性の舞踏運動などの不随意運動を呈する疾患、精神科疾患などが鑑別疾患として挙げられる。■ 臨床評価スケールUHDRS (Unified Huntington’s Disease Rating Scale)BOSH (The Behavior Observation Scale Huntington)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 対症療法発症予防、進行抑制などの根本的治療法は実現していない。症状に対する対症療法が主である。運動症状、舞踏運動に対して、テトラペナジン(商品名: コレアジン)が有効で、保険収載されている。精神症状に対しては、当該症状に対する抗精神病薬(向精神薬)、抗うつ薬などが用いられる。認知症に対する有効な治療薬は知られていない。■ 介護、支援制度など1)指定難病「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」の対象で、医療費助成対象疾病である。2)介護保険「介護保険法」の被保険者の対象は65歳以上で、第2号被保険者に該当する疾患には含まれない。認知症がある場合は、初老期における認知症として40~64歳でも対象となる。3)身体障害「身体障害者福祉法」に基づいて、運動障害の程度に応じて、肢体不自由による身体障害者手帳の交付の対象となる。4)精神障害者精神障害を来している場合には、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」による精神障害保健福祉手帳の交付の対象となりうる。■ 遺伝カウンセリング遺伝性疾患であり、婚姻、妊娠、発症前診断、出生前診断など、さまざまな臨床遺伝医学的課題、血縁者・家族に関連した問題がある。専門的には、臨床遺伝専門医などに紹介することが勧められる。4 今後の展望1993年に、原因遺伝子とその突然変異が報告され、以降、根本的に有効な治療法を目指したさまざまなレベルの研究が欧米を中心に行われている。臨床治験の行われた薬物もあるが、現在までのところ、発症の予防ないし遅延や進行の抑制を可能とする治療法は実現していない。研究の進展によって、これらが現実となることが望まれる。5 主たる診療科主たる診療科:神経内科(および小児神経科)精神症状の顕著な場合:精神科発症前診断や遺伝カウンセリングなど:遺伝診療科や遺伝子診療部門6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター ハンチントン病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Online Mendelian Inheritance in Man (OMIM) Huntington disease (英語)(医療従事者向けのまとまった情報)GeneReviews Huntington chorea/ハンチントン病原文(英語)日本語版 (医療従事者向けのまとまった情報)The Centre for Molecular Medicine and Therapeutics ハンチントン病の有病率(英語)(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN)(患者とその家族向けの情報)1)Huntington G. Medical and Surgical Report. 1872;26:317-321.2)The Huntington’s Disease Collaborative Research Group. Cell. 1993;72:971-983.3)William J. Weiner MD, Eduardo Tolosa MD, editor. Handbook of Clinical Neurology Volume 100. Hyperkinetic Movement Disorders.Elsevier(NE);2011.4)Bates G, Tabrizi S, & Jones L, editor. Huntington’s disease.4th ed. Oxford University Press(UK);2014.5)金澤一郎. ハンチントン病を追って 臨床から遺伝子治療まで. 科学技術振興機構;2006.6)後藤 順. 神経症候群(第2版)II.日本臨牀; 2014. p.163-168.7)Pringsheim T, et al. Mov Disord. 2012;27:1083-1091.8)Huntington Study Group. Mov Disord. 1996;11:136-142.9)Timman R, et al. Cogn Behav Neurol. 2005;18:215-222.公開履歴初回2017年02月07日

1674.

双極性障害の過去のエピソードや治療反応を評価する簡便なスケール

 臨床医が、双極性障害患者の疾患経過および治療反応を評価するために、アナログスケールを使用する方法について、米国・カンザス大学のSheldon H Preskorn氏が報告した。Journal of psychiatric practice誌2017年1月号の報告。 主な報告は以下のとおり。・このアナログスケールは、患者が経験した最も悪いうつ病、軽躁/躁病エピソードを患者ごとに調整できるため、YMRS(Young Mania Rating Scale)のような標準化された評価尺度を補完することが可能である。・また、患者が初発後に完全寛解(スコア0)を達成したかどうかを含め、過去の治療に対する個々の患者のエピソードがどのように反応したかを、臨床医が追跡可能となる。・次いで、急性または慢性の活動性エピソードにおける患者が、身体的および/または精神療法のいずれかの新規治療に対しどのように反応したかを評価可能であり、それは過去の治療に対する反応と比較することも可能である。・今後、このスケールは、患者の疾患経過を評価するために使用可能である。たとえば、完全寛解を伴うエピソード、より重度なエピソードや残存症状の増加を伴う慢性期など。・このスケールを使用することにより、エピソードがどのように発現し消失するか、悪化に影響する各因子(たとえば、対人関係、炎症プロセス、薬物使用)、疾患による悪化があるかどうかなど、患者自身が自分の疾患についてより良い理解を促すことができる。・したがって、この簡便なスケールは、病歴の収集、異なる治療介入の有用性のモニタリング、患者教育を含む多くの目的を達成できると考えられる。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害、治療反応は予測できるか 双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか

1675.

統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン

 統合失調症に対するアリピプラゾールとリスペリドンの短期治療効果および副作用プロファイルについて、インド・カヌール・メディカル大学のP B Sajeev Kumar氏らが、比較検討を行った。Current neuropharmacology誌オンライン版2017年1月12日号の報告。 本研究は、統合失調症に対するアリピプラゾールとリスペリドンによる8~12週間の治療を比較した非無作為化自然主義的盲検化プロスペクティブ研究。対象は、すでにアリピプラゾール(10~30mg/日)またはリスペリドン(3~8mg/日)で治療中の患者。MINI(Mini International Neuropsychiatric Interview:精神疾患簡易構造化面接法)Plus、PANSS、AIMS(Abnormal Involuntary Movement Scale:異常不随意運動評価尺度)、SAS(Simpson Angus Scale)、UKU(Udvalg for Klinske Undersogelser)スケール、CGI-Sを、試験開始時に収集した。1日目およびフォローアップ時に、身体測定(身長、体重、BMIなど)、血圧、脈拍数を調べた。8~12週間後に、MINI Plusを除く検査を再度実施した。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール群およびリスペリドン群の両方で、陽性症状、陰性症状の有意な改善が示された。しかし、両群間に統計学的有意差はなかった。・患者によるCGI改善スケールスコアの平均改善度は、アリピプラゾール群で有意な傾向が示された。・UKUスケールにより評価される一般的な(患者の5%以上で認められる)有害事象は、アリピプラゾール群よりもリスペリドン群で高頻度に認められた。・薬物誘発性錐体外路症状は、リスペリドン群でより多かった。・アリピプラゾール群は、体重増加に対する治療がより少なかった。 著者らは「アリピプラゾールは、統合失調症に対する8週間の短期治療において、リスペリドンと同等の有効性を示し、より良好な忍容性が認められた。また、患者満足度および副作用プロファイルも良好であった」としている。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン 2つの抗精神病薬持効性注射剤、その違いを分析 アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー

1676.

パニック障害 + うつ病、副作用と治療経過の関係は

 抗うつ薬の副作用は治療の有効性に影響を及ぼす。しかし、副作用が発現する患者や患者の副作用を予測することは困難である。米国・イリノイ大学シカゴ校のStewart A Shankman氏らは、パニック障害合併の有無による、うつ病患者の副作用発現状況を調査した。また、副作用により治療経過を予測可能かも検討した。これらの影響の特異性を調査するため、分析では不安障害、社交不安障害、全般性不安障害(GAD)を調査した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年1月3日号の報告。 大規模な慢性期うつ病患者のサンプルを対象に、2002~06年に12週間、事前に計画されたアルゴリズムに従って抗うつ薬を投与した。うつ症状(ハミルトンうつ病評価尺度)と副作用を2週間ごとに評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のパニック障害の生涯診断は、胃腸(OR:1.6、95%CI:1.0~2.6)、心臓(OR:1.8、95%CI:1.1~3.1)、神経系(OR:2.6、95%CI:1.6~4.2)、尿生殖器の副作用(OR:3.0、95%CI:1.7~5.3)への治療と関連している可能性が高かった。・副作用の頻度、強さ、罹病期間の増加は、パニック障害を合併した患者において、抑うつ症状の増加とより強い関連が認められた。・社交不安障害、GADは、これらの影響と関連が認められなかった。関連医療ニュース パニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か 双極性障害と全般性不安障害は高頻度に合併 パニック障害 + 境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は?

1677.

統合失調症患者、悲しい曲を悲しいと認識しているのか:都立松沢病院

 これまでの研究では、統合失調症患者の音楽能力は損なわれていると報告されている。東京都立松沢病院の阿部 大樹氏らは、悲しみをマイナーコードに関連付ける患者の能力を評価するための簡便な音楽ベースの試験法を開発し、さらに音楽的障害と精神症状との相関関係の特性を明らかにした。Schizophrenia research誌オンライン版2016年12月23日号の報告。 対象は、統合失調症患者29例と年齢、性別、音楽的背景にマッチした対照群29例。対象者には、最初にCメジャー進行コード、次にCマイナー進行コードと2つの音楽刺激を与えた。対象者は、どの刺激が悲しみと関連しているかを回答した。精神症状重症度は、PANSSを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・マイナーコードが悲しみと関連していた割合は、統合失調症患者で37.9%(95%CI:19.1~56.7)、対照群で97.9%(95%CI:89.5~103.6)であった。・治療抵抗性統合失調症と診断された4例は、マイナーコードと悲しみが関連しなかった。・マイナーコードを悲しいと認識しない患者は、すべてのPANSSサブスケールにおいて有意に高いスコアを示していた。 著者らは「簡便なテストで、統合失調症患者の音楽誘発感情を評価することができ、音楽誘発感情と精神症状との潜在的な関連も示されるであろう」としている。関連医療ニュース 統合失調症、男と女で妄想内容は異なる 音楽療法にうつ症状改善は期待できるか 音楽療法が不眠症に有用

1678.

摂食障害の重症度把握と診断ツールを検証

 夜間摂食症候群(night eating syndrome:NES)は、一般的に重症度尺度である夜間摂食アンケート(Night Eating Questionnaire:NEQ)を用いて評価するが、これはすべての診断基準を評価するものではない。また、夜間栄養診断アンケート(Night Eating Diagnostic Questionnaire:NEDQ)は、すべての診断基準を評価することができるが、完全に検証されたわけではない。米国・ワグナー大学のLaurence J Nolan氏らは、NEQおよびNEDQの妥当性を検証した。Appetite誌オンライン版2016年12月23日号の報告。 対象は、学生254人、一般集団468人。NEQ、NEDQ、ピッツバーグ睡眠質問票、ツァンうつ病自己評価尺度(Zung Self-report Depression Scale:SDS)、Yale Food Addiction Scale(YFAS)を用いて評価を行った。またNESの他の研究と同様に、NEDQスコアの上昇は、うつ病の増加、睡眠の質の低下、食品依存(food addiction)、BMIと関連するかも検討した。 主な結果は以下のとおり。・NEQおよびNEDQのスコアは有意に正の相関を示し、有効性が実証された。・NESの診断においてNEQとNEDQの結果は一致していた。NEDQによって診断された患者の56%がNEQの閾値スコアを満たしていた。・ NEQの閾値スコアを満たした33例中5例だけがNEDQ診断基準を満たしていなかった。・高NEDQは、高SDS、YFASスコア、睡眠の質の低下と関連していた。・NEDQによるFull-syndrome NESは、一般集団ではBMIが高かったが、学生では認められなかった。・他のすべてのアンケートのスコアは、一般集団のほうが高かった。・NEQとNEDQの診断の相違は、アンケートの構成の違いによるものであり、診断のために設計されたNEDQに起因する可能性がある。 著者らは「NEQは、NESの重症度を診断するため便利であるのに対し、NEDQは臨床的に有用な診断ツールである」としている。関連医療ニュース 女子学生の摂食障害への有効な対処法 神経性過食症と境界性パーソナリティ障害との関連 拒食に抗精神病薬、その是非は

1679.

各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析

 定型抗精神病薬は、錐体外路症状(EPS)などの有害事象が多く発現する。一方、非定型抗精神病薬による有害事象発生頻度は低い。そのため、統合失調症治療には非定型抗精神病薬が広く使用されている。しかし、定型、非定型抗精神病薬のEPS発現頻度には、差が認められないとの報告もある。日本大学の小瀬 英司氏らは、日本の医薬品副作用(JADER)データベースを用いて、定型、非定型抗精神病薬治療におけるEPS発現プロファイルの評価を行った。Yakugaku zasshi誌2017年号の報告。定型、非定型抗精神病薬の報告オッズ比に違いがほとんどなかった JADERデータベースのEPS報告を分析し、EPSに関連する抗精神病薬の報告オッズ比(ROR)を算出した。データベースのtime-to-event dataには、ワイブル分布を用いた。 主な結果は以下のとおり。・定型、非定型抗精神病薬のRORに、違いがほとんどなかった。・EPSの発現時期に関連する有意な差は認められなかった。・しかし、各薬剤を比較すると、パリペリドン、ペロスピロン、ブロナンセリン、アリピプラゾールは、早期にEPSが発現していた。・一方、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、クエチアピンは、早期だけでなく長期使用後もEPSが発現していた。

1680.

ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか

 注意欠如・多動症(ADHD)は、うつ病を含む精神疾患を高率に合併するといわれている。しかし、ADHD治療薬がうつ病リスクの増減と関連するかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のZheng Chang氏らは、ADHD治療薬の投与とうつ病との関連を検討した。Biological psychiatry誌2016年12月15日号の報告。 対象は、1960~98年にスウェーデンで生まれ、ADHDの診断を受けた患者3万8,752例。ADHD治療薬の処方、うつ病および他の精神疾患の診断、集団ベースのレジスタから得た人口統計学的要因に関するデータを入手した。ADHD治療薬の投与とうつ病との関連は、Cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・人口統計学的および臨床的交絡因子で調整後、ADHD治療薬の投与は、うつ病の長期リスク(3年後)低下との関連が認められた(HR:0.58、95%CI:0.51~0.67)。・ADHD治療薬の投与期間が長いほど、うつ病リスクは低かった。・また、ADHD治療薬の投与は、うつ病合併率の低下と関連しており、未投与患者と比較し、うつ病発症率が20%低下していた(HR:0.80、95%CI:0.70~0.92)。 著者らは「ADHD治療薬の投与は、その後のうつ病リスクを増加させないことが示唆された。むしろ、ADHD治療薬の投与は、その後のうつ病合併率の低下と関連していた」としている。関連医療ニュース ADHD発症や重症度にビタミン摂取が関連 成人ADHD、世界の調査結果発表 2つのADHD治療薬、安全性の違いは

検索結果 合計:2855件 表示位置:1661 - 1680