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重症肥満への外科治療、そのリスクとベネフィット/JAMA

 肥満外科手術を受けた重症肥満患者は、内科的治療を受けた患者と比較すると臨床的に重大な合併症リスク増大と関連しているが、その半面、肥満関連の併存疾患のリスクが低いことが明らかにされた。ノルウェー・Vestfold Hospital TrustのGunn Signe Jakobsen氏らが中央値6.5年間追跡したコホート研究の結果で、JAMA誌2018年1月16日号で発表された。これまで、両者の有益なアウトカムおよび有害なアウトカムとの関連は、明らかにされていなかった。結果を踏まえて著者は、「臨床決定プロセスにおいて、合併症リスクは考慮されなければならない」とまとめている。主要アウトカム:高血圧症の寛解または新規発症 研究グループは、重症肥満(BMI値40以上、またはBMI値35以上で併存疾患1つ以上)で、肥満外科手術または生活習慣介入プログラムなどの内科的治療を受けた患者における、肥満関連の併存疾患の変化を評価した。 対象は、2005年11月~2010年7月のVestfold Hospital Trustの3次ケア外来センター受診記録(ベースラインデータ)と、2006年から死亡(または2015年12月)までのフォローアップデータがあった、重症肥満患者1,888例(連続包含患者は2,109例であったが221例は除外)。このうち肥満外科手術を受けていたのは932例(92%が胃バイパス術)、個別または集団プログラムによる生活習慣介入などの内科的治療を受けていたのは956例であった。 主要アウトカムは、ノルウェー処方データベースに基づく、高血圧症の寛解または新規発症であった。事前規定の副次アウトカムは、併存疾患(糖尿病、うつ、オピオイド使用)の変化であった。有害事象の評価は、ノルウェー患者レジストリおよび各検査室のデータベースから抽出した合併症について行った。外科手術は高血圧、糖尿病に有益だが、うつ病、オピオイド使用、再手術で高リスク 1,888例は平均年齢43.5歳(SD 12.3)、女性66%、ベースラインBMI平均値44.2(SD 6.1)で、100%が中央値6.5年(範囲:0.2~10.1)のフォローアップを完遂した。 手術群では、高血圧症の寛解が多い傾向が、また新規発症は少ない傾向が認められた。寛解に関する絶対リスク(AR)は31.9% vs.12.4%、絶対リスク差(RD)は19.5%(95%信頼区間[CI]:15.8~23.2)、相対リスク(RR)は2.1(95%CI:2.0~2.2)であった。また新規発症に関しては、AR 3.5% vs.12.2%、RD 8.7%(95%CI:6.7~10.7)、RR 0.4(95%CI:0.3~0.5)であった。 また、糖尿病寛解の尤度は、手術群のほうが大きいことが認められた。AR 57.5% vs.14.8%、RD 42.7%(95%CI:35.8~49.7)、RR 3.9(95%CI:2.8~5.4)であった。 うつ病の新規発症は、手術群でリスクが大きかった。AR 8.9% vs.6.5%、RD 2.4%(95%CI:1.3~3.5)、RR 1.5(95%CI:1.4~1.7)。 オピオイド新規使用は手術群のほうが多かった。AR 19.4% vs.15.8%、RD 3.6%(95%CI:2.3~4.9)、RR 1.3(95%CI:1.2~1.4)。 また、手術群のほうが、1回以上の消化器手術を受けるリスクが高かった。AR 31.3% vs.15.5%、RD 15.8%(95%CI:13.1~18.5)、RR 2.0(95%CI:1.7~2.4)。 フェリチン低値の患者の割合は、手術群で有意に高かった(26% vs.12%、p<0.001)。

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統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト

 持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬で治療を行った統合失調症および双極性障害患者の、全原因の入院と関連コストの比較について、米国・Partnership for Health Analytic Research, LLCのTingjian Yan氏らが検討を行った。Current medical research and opinion誌2018年1月号の報告。 統合失調症および双極性障害患者を抽出するため、Truven MarketScanのメディケイド (公的医療保険)または民間のレセプトデータベースを用いた。2013年1月~2014年6月にLAIを1剤以上使用した成人患者を特定した。LAI投与開始日をindex dayとし、1年以上の追跡を行った。入院リスクと関連コストを推定するため、ロジスティック回帰モデルおよび一般線形回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・調整された分析結果では、統合失調症患者において、ハロペリドールLAI(オッズ比[OR][95%信頼区間[CI]]:1.51[1.05~2.16]、ハザード比[HR][95%CI]:1.35[1.05~1.73])およびリスペリドンLAI(OR[95%CI]:1.58[1.07~2.33]、HR[95%CI]:1.33[1.01~1.74])治療患者は、月1回のアリピプラゾールLAI治療患者よりも、入院リスクが統計学的に有意に高かった。・双極性障害患者においても同様に、ハロペリドールLAI(OR[95%CI]:1.49[1.01~2.19]、HR[95%CI]:1.33[1.03~1.73])およびリスペリドンLAI(OR[95%CI]:1.78[1.19~2.66]、HR[95%CI]:1.33[1.01~1.75])治療患者は、月1回のアリピプラゾールLAI治療患者よりも、入院リスクが有意に高かった。・両疾患ともに、入院コストの統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「疾患の重症度などがレセプトデータベースに含まれていないため、交絡変数の影響を受ける可能性があるが、統合失調症または双極性障害患者に対して、アリピプラゾールLAIは、ハロペリドールLAIおよびリスペリドンLAIよりも有効であると考えられる」としている。■関連記事アリピプラゾールLAIのレビュー、メリット・デメリットはLAIを適切に使用するための5つのポイント維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大

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老人福祉施設の認知症、うつ病患者の睡眠に対する疼痛治療の影響

 老人ホームに入所している認知症やうつ病患者における疼痛治療が、睡眠にどのような影響を及ぼすかを、ノルウェー・ベルゲン大学のKjersti Marie Blytt氏らが検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年12月28日号の報告。 多施設2アーム二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床研究を2014年8月~2016年9月に実施した。対象は、ノルウェーの老人ホーム47施設に長期入所している、MMSE(ミニメンタルステート検査)、CSDD(コーネル認知症抑うつ尺度)により認知症およびうつ病と診断された患者106例。鎮痛剤を使用していなかった患者に対しては、経口アセトアミノフェン(3g/日)またはプラセボ経口投与のいずれかにランダム化し、段階的に疼痛治療を行った。すでに疼痛治療を実施していた患者に対しては、ブプレノルフィン貼付剤(最大量:10μg/時間を7日間)またはプラセボ貼付剤のいずれかにランダム化を行った。睡眠状態は、アクチグラフにより、1週間のベースライン測定および1週間の継続治療を含む14日間を連続して評価した。睡眠パラメーターは、総睡眠時間、睡眠効率、入眠潜時、中途覚醒、早朝覚醒、覚醒回数とした。 主な結果は以下のとおり。・両介入群(アセトアミノフェン群、ブプレノルフィン群)と対照群との比較では、睡眠効率(70~72% vs. 70~67%、p<0.01)、入眠潜時(32~24分 vs. 47~60分、p<0.05)、早朝覚醒(50~40分 vs. 31~35分、p<0.05)のパラメーターに、統計学的に有意な改善が認められた。 著者らは「疼痛治療は、プラセボと比較し、アクチグラフで測定した睡眠状態の改善が認められた。この結果は、老人ホーム入所者の睡眠状態、疼痛、うつ病をより評価すべきであることを示唆しており、疼痛治療は潜在的に有用な治療であると考えられる」としている。(鷹野敦夫)■関連記事不眠と腰痛、その因果関係は頭痛患者の認知症リスクは2倍検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学

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統合失調症における抗精神病薬単独療法前後の陰性症状と報酬系回路

 陰性症状は、統合失調症の中心的な症状であり、機能アウトカムと強く相関する。脳の報酬系回路の障害は、モチベーションや快楽体験の減少による陰性症状の主な要因であることが示唆されている。デンマーク・コペンハーゲン大学のMette Odegaard Nielsen氏らは、amisulprideでの治療後に陰性症状が改善した患者と改善しなかった患者における、報酬関連の脳の活動を比較した。Clinical EEG and neuroscience誌2018年1月号の報告。 対象は、抗精神病薬ナイーブ(抗精神病薬による治療を受けたことがない)患者39例および健常対照者49例。対象者は、金銭的インセンティブ遅延タスク(monetary incentive delay task)を用いたfMRI(Functional Magnetic Resonance Imaging、機能的磁気共鳴画像法)を完了した。患者の精神病理は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)で評価を行い、amisulpride(平均用量:271mg)で6週間の治療をした後、試験を繰り返した。 主な結果は以下のとおり。・治療後、PANSSの陽性症状スコア、総合精神病理スコア、総スコアの改善が認められた(p<0.001)。・陰性症状の改善は、20%以上の改善が14例(改善群)、20%未満の改善が25例(非改善群)であった。・ベースライン時における一元配置分散分析(one-way ANOVA)では、健常対照群と比較して、非改善群の報酬予測活性の低下により引き起こされた両側尾状核(p<0.002)および右側坐核(p<0.002)で群間差が認められた。・群と時間の有意な相互作用が認められ、治療後の報酬予測活性は、健常対照群と改善群で減少し、非改善群では増加が認められた。左尾状核で最も顕著な変化が認められた(p=0.001)。 著者らは「陰性症状スコアが改善した患者では、ベースライン時に異常な報酬系回路が少なかったが、報酬関連活性は経時的に減少した。陰性症状スコアが改善しなかった患者では、ベースライン時に線条体の報酬活性が低下し、経時的に改善した。このことが、ワーキングメモリの変化や報酬系の学習、陰性症状の特定の領域における顕著な症状に影響するかどうかは、今後の研究で検証されるだろう」としている。■関連記事陰性症状の重症度と表情認知との関連を検証慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は

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米国成人におけるウイルスとうつ病との関連

 うつ病などの気分障害は、一般的な精神疾患である。うつ病に関連する因子には、C型肝炎、インフルエンザ、水痘帯状疱疹、ヘルペスなどのウイルスを含む感染症への曝露がある。米国・ブリガムヤング大学のShawn D. Gale氏らは、ウイルス曝露とうつ病とのさらなる関連を評価するため検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年12月20日号の報告。 米国疾病管理予防センターと米国国民健康栄養調査より、うつ状態や抗うつ薬の使用、A型肝炎、B型肝炎、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルスへの曝露、および社会人口統計学的変数に関するデータを収集し、調整された多変量モデルにおけるうつ病とウイルス曝露との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・単純ヘルペスウイルス2型は、うつ病のリスク上昇と関連が認められたが、A型肝炎、B型肝炎、単純ヘルペスウイルス1型では認められなかった。・サイトメガロウイルスの血清反応陽性の患者において、より高いサイトメガロウイルス抗体レベルは、うつ病との関連が認められた。 著者らは「米国成人においては、単純ヘルペスウイルス2型への曝露および、おそらくはサイトメガロウイルスへの曝露が、うつ病と関連している」としている。■関連記事うつ病既往で感染症リスク増加うつ病と性行為感染症リスク、その関連を検証うつ病になりやすい性格

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血漿中脂質過酸化反応に対する抗精神病薬の影響

 ポーランド・ウッチ医科大学のAnna Dietrich-Muszalska氏らは、ユニークな作用機序を有する新規抗精神病薬であるアリピプラゾールに関して、酸化ストレスのマーカーであるTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)レベルで測定したヒト血漿中脂質過酸化に及ぼす影響について、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ziprasidoneなどの他の抗精神病薬と比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年12月27日号の報告。 各抗精神病薬の比較に際しては、急性期統合失調症治療に用いられる臨床有効用量に対する最終濃度において評価を行った。TBARSレベルは、分光光度法により測定した。 主な結果は以下のとおり。・急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿中の脂質過酸化生成物(TBARS)レベルの明らかな変化を誘発する可能性があることが示唆された。・アリピプラゾールは、血漿中の脂質過酸化マーカーのレベルに影響を及ぼさなかったが、より低用量で使用された場合、クロザピン同様にわずかな酸化促進特性を示した。・クエチアピンは、リスペリドン、ziprasidone、ハロペリドール、クロザピンの低用量での酸化促進作用とは対照的に、最も強い抗酸化特性を示した。・オランザピンは、低用量でのみTBARSレベルを低下させた。 著者らは「急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿脂質過酸化の明らかな変化を誘発する。アリピプラゾールは、血漿脂質過酸化の有意な変化を誘発しなかった。統合失調症患者の臨床症状および抗精神病薬の使用に伴う酸化ストレスの役割を考慮するため、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明かカルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

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肥満とオランザピンの急性代謝系副作用との関連

 オランザピンは、統合失調症や様々な適応外疾患の管理に用いられる第2世代抗精神病薬である。オランザピンの急性代謝反応は、肥満に関連する多くの副作用を引き起こす。統合失調症患者は肥満率が高いが、元々ある肥満関連代謝障害がオランザピンの急性副作用を増大させるかどうかは不明である。カナダ・ゲルフ大学のLogan K. Townsend氏らは、非肥満マウスと高脂肪食(HFD)肥満マウスにおけるオランザピンの反応を比較した。Psychoneuroendocrinology誌オンライン版2017年12月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・4週間のHFD(脂肪分60%kcal)により、肥満、高血糖、インスリン抵抗性マウスとなった。・HFD誘発肥満マウスにおいて、オランザピン誘発性高血糖および全身性インスリン抵抗性が悪化した。・オランザピンは、骨格筋および肝臓におけるインスリンシグナル伝達を強く阻害し、これは肥満により悪化するようであった。・オランザピン誘発性高血糖の深刻化は、肥満マウスにおいてピルビン酸負荷が有意に高い血中グルコース濃度をもたらすことによる、肝臓グルコース産生の増加にも起因すると考えられ、グルコース生成酵素の肝臓含有の増加に関連していた。・オランザピンは、肥満マウスの酸素消費を急速に増加させ、RER(安静時エネルギー要求量)を抑制した。・オランザピン単剤治療は、肥満にかかわらず、身体活動を最長で24時間減少させた。 著者らは「統合失調症患者では肥満が非常に多いことを考慮すると、これらのデータから、オランザピンの急性副作用の重症度を過小評価している可能性があることが示唆された」としている。■関連記事オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学オランザピン誘発性体重増加のメカニズム

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統合失調症の発症バイオマーカーを共同研究

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社⻑:クリス・フウリガン)は2018年1月15日、統合失調症前駆期の正確な診断、精神病発症予測をサポートするバイオマーカーを開発するため、国立精神・神経医療研究センター、富山大学、東邦大学、奈良県立医科大学、久留米大学、千葉大学と共同研究を行うと発表した。 ヤンセンファーマのプレスリリースによれば、統合失調症の発症予防、機能低下の予防は統合失調症の治療におけるアンメットメディカルニーズのひとつ。近年の研究により統合失調症患者では発症前に前駆期を示すことが明らかになり、そのような状態にある集団は超ハイリスク群(Ultra-high risk for psychosis:以下、UHR)とされているという。 UHR群への早期介入はこれらのメディカルニーズの解決に役立つと期待されているが、誰にどのような介入を行うべきかの判断は難しい。発症予測のバイオマーカー開発はUHRに対する早期介入の医科学的な妥当性の担保、統合失調症の新規治療法開発に重要であり、今後の統合失調症治療に大きく貢献できるものと期待されている。 統合失調症の有病率は約1%で、幻覚、妄想などの陽性症状、感情の平板化、意欲低下などの陰性症状、注意、記憶の障害などの認知機能障害を主徴とする。多くの患者に前駆期がある事が知られているが、UHR群を対象とした前向き研究では1~2.5年の間の精神病の発症率は8~54%とばらつきがあり、正確な発症予測をサポートするバイオマーカー開発は早期介入を行う上で重要である。 共同研究においては、バイオマーカー候補としてUHR群で異常が報告されている睡眠異常、サイトカインの測定を行い、健常者との違いを検討し、さらにUHR群では1年間の縦断的な測定を行い、精神症状の変動とバイオマーカーの変化の関連を検討することにより、UHR群における精神病発症予測に役立つバイオマーカーを確立することを目指す。研究期間は、2020年12月までの3年間を予定している。

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リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病

 抗うつ薬に反応しないうつ病を、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)という。TRDの定義には、治療反応、治療用量、治療期間の評価が含まれるが、これらの定義を医療保険データベースで実施することは困難である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、データ駆動型TRD定義を構築し、その性能を評価した。Depression and anxiety誌オンライン版2017年12月15日号の報告。 対象は、1剤以上の抗うつ薬を使用し、躁病および認知症または精神病の診断がない成人のうつ病患者で、TRDのプロキシ(電気けいれん療法、深部脳刺激療法、迷走神経刺激療法)の有無にかかわらず層別化した。ランダムに選択された来院日のデータがない対象者がいるため、TRDのプロキシを有する対象者のインデックス日は施術日とした。使用したデータベースは3つであった。決定木(decision tree)による予測モデルに合致させた。インデックス日より3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月前の、適切な治療用量および治療期間にかかわらない抗うつ薬の数、抗精神病薬および心理療法の数、専門家ベースの定義が含まれた。性能を評価するため、曲線下面積(AUC)および輸送性(transportability)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・TRDのプロキシがない3万3,336例と、TRDのプロキシがある3,566例を分析した。・抗うつ薬および抗精神病薬の数は、すべての期間において選択された。・最も優れたモデルは12ヵ月時点で、AUC=0.81であった。・このルールを適用すると、前の年に抗精神病薬1剤以上または抗うつ薬3剤以上を使用の成人うつ病患者がTRDであり、治療対象者の15.8%がTRDであった。 著者らは「TRDかどうかの最も良い区分の定義は、前の年での異なる抗うつ薬3剤以上または抗精神病薬1剤以上の使用とみなされる」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs. 抗精神病薬増強治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較

 再発予防、とくに初回エピソード統合失調症患者における、新規抗精神病薬の長期有効性の比較についてはあまり知られていない。フィンランド・東フィンランド大学のHeidi Taipale氏らは、統合失調症患者の再入院リスクに対する各種抗精神病薬の影響について、比較検討を行った。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年12月20日号の報告。 フィンランドヘルスケアレジストリより、1972~2014年のフィンランド統合失調症入院患者の全国データを、プロスペクティブに取集した。全体で統合失調症患者6万2,250例が、プリバレントコホートに含まれ、初回エピソード統合失調症患者8,719例がインシデントコホートに含まれた。抗精神病薬のフォローアップは、プリバレントコホートでは1996年より開始し、インシデントコホートでは入院患者の初回退院時より開始した。精神医学的および全原因による入院リスクについての個々のCox回帰モデルは、選択バイアスを排除するため、患者自身をコントロールとして使用し、抗精神病薬使用の有無によるリスクを比較するために構築した。 主な結果は以下のとおり。・20年間のフォローアップにおいて、プリバレントコホートの59%は、精神医学的入院治療が必要なため再入院した(中央値:14.1、四分位範囲:6.9~20.0)。・プリバレントコホートにおいて、精神科再入院リスクが最も低かった抗精神病薬は、オランザピン持効性注射剤(調整ハザード比:0.46、95%CI:0.36~0.61)、クロザピン(調整ハザード比:0.51、95%CI:0.49~0.53)、パリペリドン持効性注射剤(調整ハザード比:0.51、95%CI:0.40~0.66)であった。・初回エピソード統合失調症患者では、flupentixol持効性注射剤(調整ハザード比:0.24、95%CI:0.12~0.49)、オランザピン持効性注射剤(調整ハザード比:0.26、95%CI:0.16~0.44)、ペルフェナジン持効性注射剤(調整ハザード比:0.39、95%CI:0.31~0.50)において、最もリスクが低かった。 著者らは「クロザピンと持効性注射剤は、両コホートにおいて、全原因による入院リスクが最も低かった。クロザピンと持効性注射剤は、慢性期統合失調症患者と初回エピソード統合失調症患者の精神医学的要因および全原因による入院を予防するうえで、最も効果的な治療法であると考えられる」としている。■関連記事統合失調症の再入院、剤形の違いで差はあるのか長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与統合失調症の再発率比較、併用療法 vs. 単独療法 vs. LAI

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うつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験

 魚油を補充した地中海スタイルの食事が、うつ病成人患者のメンタルヘルスを改善できるかについて、南オーストラリア大学のNatalie Parletta氏らが、検討を行った。Nutritional neuroscience誌オンライン版2017年12月7日号の報告。 自己報告のうつ病成人患者を、2週間に1回の食料提供・3ヵ月間の地中海スタイル食の調理ワークショップ参加・6ヵ月間の魚油補充を実施した群(地中海食介入群)と対照群にランダムに割り付けた。メンタルヘルス、QOL、食物アンケート、赤血球脂肪酸分析のための血液サンプルの評価を、ベースラインおよび3ヵ月、6ヵ月の時点に実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象は18~65歳の152例(地中海食介入群:75例、対照群77例)。・対象患者のうち、3ヵ月の評価では95例(地中海食介入群:54例、対照群41例)、6ヵ月での評価は85例(地中海食介入群:47例、対照群38例)が試験を完了した。・3ヵ月の時点で、地中海食介入群は以下の結果であった。●地中海食スコアが高い(t=3.95、p<0.01)●野菜の消費が多い(t=3.95、p<0.01)●フルーツの消費が多い(t=2.10、p=0.04)●ナッツの消費が多い(t=2.29、p=0.02)●マメ科植物の消費が多い(t=2.41、p=0.02)●全粒粉の消費が多い(t=2.63、p=0.01)●野菜が多様である(t=3.27、p<0.01)●スナック菓子の消費が少ない(t=-2.10、p=0.04)●赤身・鶏肉の消費が少ない(t=-2.13、p=0.04)●うつ病スコアの減少(t=-2.24、p=0.03)●メンタルヘルスQOLスコアの改善(t=2.10、p=0.04)・改善された食事とメンタルヘルスは、6ヵ月間持続した。・うつ病の減少は、地中海食スコア(r=-0.298、p=0.01)、ナッツの消費(r=-0.264、p=0.01)、野菜の多様性(r=-0.303、p=0.01)との相関が認められた。・他のメンタルヘルスの改善においても、同様な相関が認められ、野菜の多様性とマメ科植物消費の増加において最も顕著であった。・ω3脂肪酸の増加、ω6脂肪酸の減少、メンタルヘルス改善との間には、いくつかの相関が認められた。 著者らは「本試験は、健康的な食事へ変更することは達成可能であること、および魚油の補充はうつ病患者のメンタルヘルスを改善できることを示す、最初のランダム化比較試験の1つである」としている。■関連記事うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

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貧血と認知症の関係:韓国国民健康スクリーニング研究

 貧血が高齢者における認知症発症と関連しているか、韓国・ソウル大学のSu-Min Jeong氏らが調査を行った。Alzheimer's research & therapy誌2017年12月6日号の報告。 認知症および脳卒中でない66歳の高齢者3万7,900例を、NHIS-HEALS(韓国国民健康保険サービス-国民健康スクリーニングコホート)のデータベースを用いて抽出した。貧血(ヘモグロビン濃度:女性12g/dL未満、男性13g/dL未満)および貧血の重症度(軽度、中等度、重度)は、WHO(世界保健機構)の基準で定義した。認知症の発症は、ICD-10(国際疾病分類 第10版)の認知症診断コード(F00、F01、F02、F03、G30)で確認され、抗認知症薬を処方された患者とした。貧血による認知症発症のハザード比(HR)は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・性別、ベースラインの認知機能状態、BMI、喫煙、世帯収入、障害、うつ病、高血圧、糖尿病、脂質異常症で調整した後、貧血と認知症との間に有意な関連が認められた(調整HR:1.24、95%CI:1.02~1.51)。・貧血の重症度に応じた認知症発症率の調整HRは、軽度の場合1.19(95%CI:0.98~1.45)、中等度の場合1.47(95%CI:0.97~2.21)、重度の場合5.72(95%CI:1.84~17.81)であり、有意なp for trendが認められた(p=0.003)。 著者らは「貧血は、認知症発症の独立したリスク因子であり、重度においては顕著なリスク増加を伴うと考えられる」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビューアルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

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韓国人うつ病患者における3種類の抗うつ薬の6週間ランダム化比較試験

 韓国のうつ病患者におけるエスシタロプラム、パロキセチン、ベンラファキシンの有効性、安全性を比較するため、韓国・カトリック大学校のYoung Sup Woo氏らが、検討を行った。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2017年11月30日号の報告。 韓国人うつ病患者449例を対象として、エスシタロプラム、パロキセチン、ベンラファキシン治療にランダムに割り付けた、6週間のランダム化単盲検実薬対照試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・6週間のMADRS(モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度)総スコアの平均差を比較すると、パロキセチンは、エスシタロプラムよりも有意に優れていた(-6.4±0.4 vs.-3.7±0.5)。・6週間のHDRS(ハミルトンうつ病評価尺度)総スコアの平均差を比較すると、パロキセチンは、エスシタロプラムよりも有意に優れていた(-5.4±0.4 vs.-3.1±0.4)。・ベンラファキシンのMADRS総スコア(-5.4±0.4)は、エスシタロプラムよりも有意に低かった。・ベースライン変数で調整した際、パロキセチン群のMADRSおよびHDRSスコアによる治療反応は、エスシタロプラム群よりも有意に大きかった(MADRS[OR:2.43、95%CI:1.42~4.16]、HDRS[OR:2.32、95%CI:1.35~3.97])。・また、パロキセチン群は、ベンラファキシン群との比較においても同様に、有意に大きい治療反応を示した(MADRS[OR:1.94、95%CI:1.17~3.21]、HDRS[OR:1.71、95%CI:1.03~2.83])。・各群の全体的な忍容性は高く、類似していたにもかかわらず、268例(59.7%)が早期に治療を中止していることが、本研究の主要な限界である。 著者らは「本研究の治療完了率が低く一般化可能性は制限されるものの、韓国のうつ病患者において、パロキセチンがエスシタロプラムよりも優れている可能性があることが示唆された。明確な結論を導くためには、さらなる研究が行われるべきである」としている。■関連記事うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は早期改善が最も期待できる抗うつ薬はたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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統合失調症と自閉スペクトラム症における白質代謝率の増加

 統合失調症や自閉スペクトラム症は、しばしば白質の障害を有する。統合失調症におけるさまざまな白質領域における代謝率、脳灌流、基礎活動の上昇が、数々の研究で報告されているが、自閉スペクトラム症では研究されていなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のSerge A. Mitelman氏らは、自閉スペクトラム症患者(25例)と統合失調症患者(41例)および健常対照者(55例)の白質代謝率を、定位的に配置された関心領域について幅広く比較するため、18F-FDGポジトロン断層法(PET)を用いて、検討を行った。Brain imaging and behavior誌オンライン版2017年11月22日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・自閉スペクトラム症患者および統合失調症患者において、内包、脳梁、白質の前索、側頭葉を含む評価された白質領域にわたり、代謝率の増加が認められた。・これらの増加は、統合失調症患者よりも自閉スペクトラム症患者において、より顕著で、より広範かつ非対称であった。・両疾患の患者において、最も高い代謝率の増加は、前頭前白質および内包前脚で認められた。・健常対照者と比較し、白質代謝の差は、あまり顕著ではなかった。近接する白質代謝の差は、統合失調症患者よりも自閉スペクトラム症患者で、より顕著であった。 著者らは「統合失調症および自閉スペクトラム症は、白質全体にわたる代謝活性の増加と関連していた。灰白質と異なり、白質代謝異常のvectorは、統合失調症と自閉スペクトラム症で類似していると考えられ、代償性の代謝亢進を伴う非効率的な機能的連結性を反映する可能性があり、神経発達障害の共通の特徴である」としている。■関連記事初回エピソード統合失調症の灰白質に対するω-3脂肪酸の影響日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果はドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善

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ジェネリックとブランド、中枢神経系用薬における自殺や自殺念慮の比較

 これまで、中枢神経系(CNS)に作用するそれぞれの異なるタイプの薬剤は、自殺や自殺念慮のリスク増加と関連しているといわれていた。しかし、CNS用薬のブランド医薬品とジェネリック医薬品との間に、自殺リスクの差異があるかは報告されていない。米国・オーバーン大学のNing Cheng氏らは複数のデータソースを用いて、CNS用薬のブランド医薬品とジェネリック医薬品における自殺の有害事象を比較した。Drug safety誌オンライン版2017年12月2日号の報告。 CNS用薬の選択例(セルトラリン、ガバペンチン、ゾルピデム、メチルフェニデート)を、仮説生成型研究のため米国FDA有害事象報告システム(FAERS)によって評価し、その後、より厳密なレトロスペクティブコホート研究のために診療報酬請求および健康医療電子記録(EHR)のデータで評価した。報告オッズ比(ROR)と95%信頼区間(CI)による不均衡分析はFAERSの分析を用いて行い、各薬剤と報告された自殺との関連性を定量化した。コホート研究では、Cox比例ハザードモデルを用いて、被保険者集団の人口統計学的特徴および臨床的特徴、自殺の背景リスクを調整した。 主な結果は以下のとおり。・FAERSの分析では、4剤の研究対象薬すべてにおける自殺報告率は、ブランド医薬品がジェネリック医薬品と比較して有意に低かった(Breslow-Day検定:p<0.05)。・診療報酬請求とEHRに基づくコホート研究では、調整されたハザード比(HR)は、セルトラリンのみで統計学的に有意であった(HR:0.58、95%CI:0.38~0.88)。 著者らは「FAERSの分析による自殺報告率は、CNS用薬のブランド医薬品よりもジェネリック医薬品で不相応に高く、調整されたレトロスペクティブコホート分析でも、セルトラリンについてのみ有意であった。しかし、セルトラリンについても、ブラックボックス警告の近接性やジェネリック医薬品の利用度に関連する時間的交絡の可能性がある。薬剤を追加したより大きなデータソースによる、さらなる分析が必要である」としている。■関連記事自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何かうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

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統合失調症の再発リスク評価のための新規自己報告スクリーニングツール

 統合失調症患者の再発評価(RASP:Relapse Assessment for Schizophrenia Patient)は、患者の安定性を評価し、切迫した再発を予測するために、不安と社会的隔離の指標を測定する6つの自己報告スクリーナーとして開発された。米国・UT HealthのDawn Velligan氏らは、RASPの開発と心理測定の特徴について報告した。Clinical schizophrenia & related psychoses誌オンライン版2017年11月22日号の報告。 対象患者166例に対し、RASPおよびPANSSによる評価を、それぞれ3度実施した。チャートデータは、患者81例のサブサンプルで収集した。RASPの心理測定分析には、信頼性、構成の妥当性、項目の併用妥当性のテストを含んだ。RASPの因子は、PANSSのサブスケールと相関していた(変化に対する感受性と基準妥当性[RASPと再発エビデンスとの一致])。 主な結果は以下のとおり。・試験‐再試験信頼度は、項目レベルでは妥当なものであり、アンケートレベルでは強く一致した。・RASPは、全体の測定および2つのサブスケールそれぞれにおいて(不安と社会的隔離の増加)、良好な項目応答曲線および内部一貫性を示した。・RASP総スコアおよびサブスケールは、PANSS総スコアおよび陽性症状、興奮、不安のサブスケールと相関する際、良好な併用妥当性を示した。・RASPは、良好な特異性、陰性症状予測力、許容可能な陽性症状の予測力、感度を有する症例の67%において、再発を正確に予測した。 著者らは「この信頼性と妥当性のデータは、RASPの使用をサポートしており、統合失調症患者の再発リスクの簡単な自己報告評価を追加することが有益な可能性がある。使いやすく、スコアリングが容易で、臨床医なしで実施できる点は、ルーチンでの管理と再発リスク評価を可能とする」としている。■関連記事統合失調症患者の再発リスクを低下させるためには統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

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急性期統合失調症に対するパリペリドンの6週間オープン試験

 スペイン・バルセロナ大学のEduard Parellada氏らは、月1回パリペリドンパルミチン酸エステルで治療を行った急性期統合失調症入院患者の再発について、臨床経過を評価した。International journal of psychiatry in clinical practice誌オンライン版2017年11月21日号の報告。 精神科急性期病棟においてパリペリドンで治療された統合失調症患者に対し、6週間のフォローアップによる多施設オープンラベルプロスペクティブ観察研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・登録された280例のうち、パリペリドン単独療法患者は61例、他の抗精神病薬との併用療法患者は219例であった。・臨床全般印象評価尺度-統合失調症(CGI-SCH)平均スコアは、ベースライン時の4.7から最終診察時の3.3に減少した(p<0.0001)。パリペリドン単独療法、併用療法ともに、この変化は臨床的および統計学的に有意であった。・機能の明らかな改善および治療に対する高い患者満足度が認められた。・入院後、パリペリドン治療を開始するまでの時間は、入院期間と相関が認められた(p<0.0001)。パリペリドン治療の早期開始は、入院期間の短縮と関連していた。・有害事象は、患者の7.1%で観察されたが、すべて重篤ではなかった。 著者らは「パリペリドン治療は、単独療法および他の抗精神病薬との併用療法ともに、統合失調症の急性期症状の治療において、効果的かつ良好な忍容性を示す。急性期統合失調症エピソードにおけるパリペリドン治療の早期開始は、入院期間の短縮をもたらす可能性がある」としている。■関連記事措置入院後の統合失調症患者における再入院リスク要因統合失調症の再発率比較、併用療法 vs. 単独療法 vs. LAI急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析

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心不全のマネジメントにおける抗うつ薬の死亡率や心血管機能への影響

 うつ病は、心不全の患者の罹患率、死亡率、再入院率の増加と関連している。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのThurkka Rajeswaran氏らは、抗うつ薬の使用がうつ病を伴う心不全患者のアウトカムを改善できるかを検討するため、システマティックレビューを行った。International journal of psychiatry in clinical practice誌オンライン版2017年11月26日号の報告。 Embase、Ovid MEDLINE、PsycInfoのデータベースより、心不全や抗うつ薬などのキーワードを用いて検索を行った。このデータベース検索結果より、包括基準を満たす文献を抽出し、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・データベース検索で該当した180件の論文のうち、包括基準を満たしたのは3件のみであった。・手作業で参考文献を検索し、2件の論文が追加された。・これらの論文のうち3件は、ランダム化比較試験であった。残りの2件は、コホート研究であった。・すべての研究において、抗うつ薬使用は、心不全患者に十分忍容性があることが示唆された。・対照群との間に、抑うつ症状の有意な差は認められなかった。・心不全患者の心血管アウトカムは、対照群と比較し、抗うつ薬の使用によって改善されなかった。 著者らは「心不全患者に対する抗うつ薬使用は、これまでの研究で報告されているような死亡率増加との関連が認められなかった。しかし、抗うつ薬使用が、うつ病または心血管アウトカムの改善に有意な影響を及ぼす点についてのエビデンスは不十分である」としている。■関連記事抗うつ薬ランキング、脳卒中後うつ病へ最良の選択肢はうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤はたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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小児の双極性障害I型または統合失調症に対するアセナピン治療のレビュー

 1日2回の舌下錠として用いられるアセナピンは、小児・青年期10~17歳における双極性障害I型の躁病および混合エピソードの急性期治療に単独療法として、二重盲検プラセボ対照試験(推奨用量:2.5~10mg、1日2回)の結果に基づき承認されている。小児統合失調症についてもアセナピンの研究が行われているが、まだ承認はされていない。また、米国以外の主要な国々において、アセナピンは、小児の双極性障害I型または統合失調症に対し承認されていない。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のEkaterina Stepanova氏らは、小児精神疾患患者に対するアセナピン治療に関して、神経薬理学、薬物動態、臨床試験、臨床使用の観点より要約した。Paediatric drugs誌オンライン版2017年11月23日号の報告。 主な要約は以下のとおり。・小児患者において、アセナピン舌下錠は口腔粘膜を介して急速に吸収された後、成人患者と同様の薬物動態プロファイルを示し、成人での推奨投与量を小児の投与量に調整する必要性が低いことが示された。・投与後10分間は、食物や水の摂取は避けるべきである。・臨床試験において、小児の双極性障害I型および統合失調症に対するアセナピンは、一般的に安全であり、忍容性が良好であった。・重篤な有害事象は、根底にある精神症状の悪化に関連していた。・最も一般的な臨床試験治療下で発現した有害事象(TEAE:treatment-emergent adverse event)は、両疾患ともに鎮静と傾眠であった。・他の第2世代抗精神病薬と同様に、体重増加やいくつかの代謝パラメータの変化が認められた。・舌下投与に関連する知覚鈍麻、味覚障害、感覚異常などの口腔関連の異常は、一般的に治療中止をもたらさず、一時的であった。・TEAEにおける錐体外路症状は、双極性障害I型と統合失調症の急性期および長期研究において、アセナピン治療患者の5%以上で認められた。■関連記事統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は

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初回エピソード統合失調症の灰白質に対するω-3脂肪酸の影響

 初回エピソード統合失調症患者に対する追加療法としての、n-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)使用に関連する皮質厚の変化について、ポーランド・ウッチ医科大学のTomasz Pawelczyk氏らが評価を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年10月24日号の報告。 イコサペント酸エチル(EPA)およびドコサヘキサエン酸エチル(DHA)、またはプラセボ(オリーブ油)2.2g/dを含む濃縮魚油で26週間の介入を行う、二重盲検ランダム化比較試験を実施した。皮質厚の変化を評価するため、介入前後にMRIスキャンを行った。各対象者のT1強調画像は、FreeSurferを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・適切な品質のデータが得られた対象者は29例であった。・統合失調症への関連を示唆する機能不全である、左脳半球のブロードマン7野と19野の頭頂後頭領域において、群間に皮質厚減少の有意な差を認めた。・本結果は、高齢者および軽度認知障害を有する患者において実施されたこれまでの研究結果を支持し、とくに統合失調症のような神経変性疾患の初期段階にn-3PUFAが神経保護作用を有することが示唆された。 著者らは「本結果が再現されれば、n-3PUFAは、統合失調症の長期治療において抗精神病薬の有望な併用薬として、臨床医に推奨される可能性がある」としている。■関連記事統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大統合失調症患者の暴力行為が魚油摂取で改善初発統合失調症患者の脳変化を調査

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