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1081.

早期発症統合失調症のアウトカム予測因子~10年間のフォローアップより

 早期発症統合失調症(EOS)のアウトカム不良の予測因子は、発症年齢の若さであると考えられているが、これを裏付ける疫学データは十分ではない。中国・北京大学のLingzi Xu氏らは、発症年齢に焦点を当て、EOS患者の長期的アウトカムと機能障害の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月14日号の報告。 2006年に入院したEOS患者118例(ベースライン時の平均年齢:13.3±2.3歳)を連続登録した。インタビューを完了した患者は、65例であった。ベースラインデータを、入院患者のカルテより収集し、フォローアップ調査を、主に患者家族への電話インタビューを通じて実施した。フォローアップ時の全体の機能測定には、WHODAS 2.0を用いた。アウトカムには、教育、雇用、婚姻、身体的健康、その後の診断と治療、患者機能を含めた。単変量および多変量回帰モデルを用いて、アウトカムの予測因子を評価し、機能的アウトカムに対する発症年齢の影響を分析する際の交絡調整には、傾向スコアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップデータを入手できた65例中3例は、フォローアップ時に死亡した。・治療中止は、5例(8%)であった。・診断の安定性は、76%であった。・フォローアップ時にクロザピンを使用した患者の割合は、24%であった。・過体重は、男性で61%、女性で55%に認められた。・肥満は、男性で29%、女性で32%に認められた。・経済的に自立していた患者は16例(26%)、仕事をしていなかった患者は34例(55%)であった。・結婚歴があった患者は、13例(21%)であった。・WHODASスコアの中央値は15(IQR:2~35)であり、標準値(population norms)の78パーセンタイルにほぼ相当していた。・より良い機能の予測因子は、外交的な性格(p=0.01)、疑い深い性格(p=0.02)、高い教育レベル(p=0.001)であった。・発症年齢は、いずれの機能とも関連が認められなかった(単変量モデル:p=0.24、多変量モデル:p=0.17、最終リスク因子モデル:p=0.11、または交絡因子を調整するために傾向スコアを用いた場合)。 著者らは「EOS患者の長期的な機能アウトカムは、一般的に考えられていたよりも影響が少なかった。統合失調症の発症年齢は、EOS患者の長期的な機能アウトカムを予測するものではない」としている。

1082.

視力と認知症との関係

 視力の低下と認知症リスクとの関連を調査した縦断的エビデンスの結果は一致していない。香港中文大学のAllen T. C. Lee氏らは、誤分類、逆因果関係、健康上の問題や行動による交絡因子に関連するバイアスとは無関係に、高齢者の大規模なコミュニティーコホートにおける視力低下と認知症発症率との関連を調査した。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2020年2月11日号の報告。中等度から重度の視覚障害は認知症の潜在的な予測因子である可能性 ベースライン時に認知症でない地域在住高齢者1万5,576例を対象に、認知症発症について6年間フォローアップを行った。認知症診断は、ICD-10または臨床的認知症尺度(CDR)1~3に従って実施した。ベースラインおよびフォローアップ時の視力評価には、スネレン視力表を用いた。人口統計(年齢、性別、教育、社会経済的地位)、身体的および精神医学的併存疾患(心血管リスク、眼科的状態、聴覚障害、運動不足、うつ病)、ライフスタイル(喫煙、食事、身体活動、知的活動、社会活動)についても評価した。 視力低下と認知症発症率との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・6万8,904人年以上のフォローアップ期間中に、1,349例が認知症を発症した。・ベースライン時の視力低下は、人口統計、健康上の問題、ライフスタイルで調整した後でも、また3年以内の認知症発症を除外した場合でも、6年後の認知症発症率の高さと関連が認められた。・正常な視力の高齢者と比較した、視力低下の重症度別の認知症ハザード比は、以下のとおりであった。 ●軽度視力低下の認知症ハザード比:1.19(p=0.31) ●中等度視力低下の認知症ハザード比:2.09(p<0.001) ●重度視力低下の認知症ハザード比:8.66(p<0.001) 著者らは「中等度から重度の視覚障害は、認知症の潜在的な予測因子およびリスク因子である可能性がある。臨床的な観点から、視力が低下している高齢者に対する認知症リスク評価のさらなる必要性が示唆された」としている。

1083.

東日本大震災プロスペクティブ研究:事前のソーシャルサポートと災害後のうつ病予防

 国立保健医療科学院の佐々木 由理氏らは、2011年の東日本大震災による高齢者の抑うつ症状を緩和するために、災害前のソーシャルサポートが有効であったかについて検討を行った。Scientific Reports誌2019年12月19日号の報告。 対象は、災害の7ヵ月前に日本老年学的評価研究の一環としてベースライン調査を完了した岩沼市在住の65歳以上の高齢者3,567例。フォローアップ調査は、災害から2.5年後に実施した。分析対象者2,293例の災害前のソーシャルサポート(emotional & instrumental help)の授受を4つの項目を用いて測定した。抑うつ症状は、GDS(カットオフ値4/5)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・災害前にソーシャルサポートの授受があった高齢者は、授受がなかった高齢者と比較し、災害後に抑うつ症状を発症する可能性が有意に低かった(ARR:0.70、95%CI:0.56~0.88)。・災害による被害を受けた高齢者における抑うつ症状の発症リスクは、ソーシャルサポートの授受があった高齢者で1.34(95%CI:1.03~1.74)、授受がなかった高齢者で1.70(95%CI:1.03~2.76)であった。 著者らは「災害からの心理的回復力を養うために、ソーシャルサポートの強化が役立つ可能性がある」としている。

1084.

MMP-9と統合失調症患者の認知機能との関連

 マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)は、シナプス可塑性を調節することが示唆されており、統合失調症の病態生理に影響を及ぼす可能性がある。国立精神・神経医療研究センターの工藤 紀子氏らは、統合失調症患者におけるMMP-9の末梢血中レベルおよびその認知機能との関連、統合失調症の病態生理、とくに認知機能低下におけるMMP-9の関与について調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月5日号の報告。MMP-9レベルの増加と認知機能障害との関連が示された 統合失調症患者(抗精神病薬が投与されていない患者を含む)249例および健常対照者257例を対象に、血漿MMP-9レベルを測定した。統合失調症患者と健常対照者における血漿MMP-9レベルと認知機能との関連を調査するため、ウェクスラー成人知能検査第3版(WAIS-III)、ウェクスラー記憶検査(WMS-R)、レイ聴覚性言語学習テスト(AVLT)を用いた。 MMP-9と認知機能との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者(抗精神病薬が投与されていない患者を含む)の血漿MMP-9レベルは、健常対照者と比較し有意に高かった。・健常対照者および統合失調症患者における血漿MMP-9レベルと認知機能との間に、有意な負の関連が認められた。 著者らは「これらのデータは統合失調症で起こりうる生物学的メカニズムを示唆しており、MMP-9レベルの増加と認知機能障害との関連が示された」としている。

1085.

急性増悪期統合失調症患者における抗精神病薬への反応

 早期発症統合失調症は、成人期発症とつながっているが、青年を対象とした抗精神病薬の投与と臨床反応との定量的な関係についての研究は、成人を対象とした調査と比較し、あまり行われていない。米国・メリーランド大学のShamir N. Kalaria氏らは、成人および青年の統合失調症患者における抗精神病薬への治療反応について調査を行った。Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2020年1月28日号の報告。 1993~2017年に米国FDAへ提出された利用可能な新薬申請書より、第2世代抗精神病薬開発プログラムの臨床効果データを収集した(成人:5,951例、12~17歳の青年:1,035例)。成人と青年の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの長期的な傾向を予測するため、ワイブルプラセボ反応、時間遅延薬物効果、ワイブル構造化ドロップアウトモデルを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・最大薬物治療効果は、両群間で類似しており、成人では5~11%、青年では5~7%の範囲であると推定された。・50%効果濃度(EC50)の推定値では、4種類の抗精神病薬のすべてにおいて、成人と青年における治療反応関係はが同様であった。・青年のデータと、成人のデータから推定した青年期のデータは一致していた。 著者らは「青年における抗精神病薬への治療反応は、成人と類似していることが確認された。今後、青年向けの第2世代抗精神病薬の開発を促進することができるであろう」としている。

1086.

統合失調症患者のミスマッチ陰性電位とドパミンとの関連

 ミスマッチ陰性電位(MMN)欠損は、統合失調症の最も確実で再現可能な所見の1つであり、主にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体システムの機能不全を反映している。ドパミン受容体は、短期的にMMNを調整しないことが知られているが、長期的な影響についてはよくわかっていない。福島県立医科大学の志賀 哲也氏らは、統合失調症患者のMMNとドパミンとの関連について、調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年1月28日号の報告。 陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)で精神医学的に評価された統合失調症患者18例におけるMMNと血漿ドパミンおよびセロトニン代謝産物レベルとの相関について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・MMNの振幅と血漿ドパミン代謝産物レベルとの間に、有意な負の相関が認められた。・血漿セロトニン代謝産物レベルとMMNとの相関は認められなかった。・PANSS合計スコアおよび陰性症状スコアは、MMNの振幅と負の相関が認められた。 著者らは「統合失調症患者では、治療下における強力なドパミン受容体の遮断が、長期にわたるMMNの低下を引き起こす可能性がある」としている。

1087.

初回エピソード統合失調症患者に対する抗うつ薬や気分安定薬の使用の現状

 統合失調症の第1選択薬は、抗精神病薬であるが、しばしば抗うつ薬や気分安定薬などによる補助療法が行われている。しかし、初回エピソード統合失調症患者に対する情報は限られている。フィンランド・東フィンランド大学のArto Puranen氏らは、初回エピソード統合失調症患者に対する抗うつ薬および気分安定薬の使用や関連する要因について調査を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2020年1月15日号の報告。 1996~2014年にフィンランドで統合失調症の入院治療を行い、初回入院治療時に抗うつ薬または気分安定薬を使用しなかった患者を特定するため、レセプトデータベースを用いた。対象患者は7,667例、平均年齢は40.2±18.2歳であった。1995~2017年の処方データは、National Prescription registerより取得し、PRE2DUP法でモデル化した。抗うつ薬および気分安定薬の使用開始は、初回統合失調症診断より3年間のフォローアップを行った。抗うつ薬または気分安定薬の使用に関連する要因は、Cox比例ハザードモデルを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソード統合失調症患者において、診断後3年以内に抗うつ薬を開始した患者は35.4%、気分安定薬の使用を開始した患者は14.1%であった。・抗うつ薬および気分安定薬の使用開始の高リスクと関連していた要因は、女性、若年、ベンゾジアゼピン使用であった。・過去の精神疾患数は、抗うつ薬の使用リスクの減少および気分安定薬の使用リスクの増加との関連が認められた。 著者らは「臨床ガイドラインでは、統合失調症の補助療法として、抗うつ薬や気分安定薬の使用を推奨することはほとんどないが、実際にはしばしば使用されている。これら薬剤の補助療法としてのリスクを評価するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

1088.

抗うつ薬治療後のうつ病患者における皮質厚の変化

 従来の抗うつ薬が遅効性であることを考慮すると、早期治療反応のバイオマーカーを特定することは、重要な課題である。うつ病の神経画像の研究では、皮質厚の減少が報告されているが、抗うつ薬がこの異常を改善させるかはよくわかっていない。米国・イェール大学のSamaneh Nemati氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療後の初期の皮質厚変化について、プラセボとの比較を行い調査した。Chronic Stress誌2020年1月~12月号の報告。 うつ病患者215例を対象とし、SSRI(セルトラリン)群またはプラセボ群に、ランダムに割り付けた。ベースライン時および治療1週間後に、構造的画像(structural MRI)スキャンを行った。治療反応は、8週間後のハミルトンうつ病評価尺度スコア50%以上の改善と定義した。治療効果、治療反応、治療×反応について調査するため、vertex-wise approachを用いた。 主な結果は以下のとおり。・多重比較の修正後、SSRI群は、プラセボ群と比較し、皮質厚が広範に増大しており、有意な治療効果が認められた。・皮質厚増加は、左内側前頭前野、右内側および外側前頭前野、右頭頂側頭葉内で認められた。・SSRI誘発性の皮質薄化は認められず、治療反応または治療×反応の相互作用も認められなかった。 著者らは「うつ病患者でみられる皮質厚の異常が、抗うつ薬で改善する可能性が示唆された。しかし、初期の皮質変化とその後の治療反応との関連は実証されていない。このような初期効果が8週間維持され、治療反応の向上と関連しているかを調査するためには、さらなる研究が求められる」としている。

1089.

統合失調症の世界的な現状~GBD 2017

 統合失調症は、世界で深刻な健康問題の1つである。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、統合失調症の世界的負担について、国や地域レベルで定量化するため、Global Burden of Disease Study 2017(GBD 2017)を用いて検討を行った。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌2020年1月13日号の報告。 1990~2017年のGBD 2017データを用いて、統合失調症の有病数、障害調整生存年数(DALYs)、年齢調整罹患率(ASIR)、DALYsの年齢調整率(ASDR)に関する詳細情報を収集した。統合失調症のASIRおよびASDRの時間的傾向を定量化するため、ASIRおよびASDRの推定年間変化率(EAPC)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・2017年の世界的な統合失調症有病数は113万件(95%不確定性区間[UI]:100万~128万)、1,266万DALYs(95%UI:948万~1,556万)であった。・1990~2017年の期間に、世界的なASIRはわずかに減少し(EAPC:-0.124、95%UI:-0.114~-0.135)、ASDRは変化が認められなかった。・有病数、DALYs、ASIR、ASDRは、女性よりも男性で高かった。・年齢別にみると、有病数は20~29歳で、DALYsの割合は30~54歳で最も高かった。・地域別にみると、2017年のASIR(19.66、95%UI:17.72~22.00)とASDR(205.23、95%UI:153.13~253.34)は、東アジアで最も高かった。・社会人口統計指標(SDI)別にみると、ASIRは高~中程度SDIの国で最も高く、ASDRは高度SDIの国で最も高かった。・ASDRのEAPCは、1990年のASDRと負の相関が認められた(p=0.001、ρ=-0.23)。 著者らは「統合失調症の世界的な負担は、依然として大きく、増加し続けており、医療システムの負担増大につながっている。本調査結果は、高齢社会における統合失調症患者の増加を考慮した、リソース配分と医療サービスの計画に役立つであろう」としている。

1090.

初回エピソード統合失調症に対する抗精神病薬の有効性比較

 抗精神病薬の有効性プロファイルの違いは、初回エピソード統合失調症患者に最適な治療選択肢を与え、長期的なアウトカムに影響を及ぼす重要なポイントとなる。スペイン・カンタブリア大学のMarcos Gomez-Revuelta氏らは、3年間のフォローアップにおける初回エピソード統合失調症患者に対する、オランザピン、リスペリドン、ハロペリドール、アリピプラゾール、ziprasidone、クエチアピンの有効性について比較検討を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2020年1月24日号の報告。 2001年2月~2011年1月まで、プロスペクティブランダム化オープンラベルのフェーズII試験を実施した。薬物治療未実施の初回エピソード統合失調症患者376例を、オランザピン群(55例)、リスペリドン群(63例)、ハロペリドール群(56例)、アリピプラゾール群(78例)、ziprasidone群(62例)、クエチアピン群(62例)にランダムに割り付け、3年間フォローアップを行った。主要評価項目は、すべての原因による治療中止とした。また、臨床的な有効性の分析にはITT解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・3年間の脱落率は、全体で20.75%であった。・治療中止率は、薬剤間で有意な差が認められた(χ2=79.86、p=0.000)。 ●オランザピン群:69.09% ●リスペリドン群:71.43% ●アリピプラゾール群:73.08% ●ziprasidone群:79.03% ●ハロペリドール群:89.28% ●クエチアピン群:95.53%・有効性、アドヒアランス、忍容性の欠如に関する有意な差によって、すべての原因による治療中止までの時間が決定することが、3年のフォローアップ期間中に薬剤間で観察された(Log Rank=92.240、p=0.000)。・薬剤間の有意な差は、眠気/鎮静、睡眠時間の延長、アキネジア、体重増加、射精機能障害、錐体外路症状、無月経で認められた。 著者らは「有効性の観点から、初回エピソード統合失調症患者に対する第1選択薬として、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾールの利点が示唆された。異なる中断パターンを特定することで、初回エピソード統合失調症患者に対する治療選択の最適化につながる可能性がある」としている。

1091.

SSRI治療抵抗性うつ病患者に対する第2選択治療

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)単独療法の2週間後に治療反応が不十分であったうつ病患者に対するノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)併用または切り替え療法の有効性について、中国・首都医科大学のLe Xiao氏らが、検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2020年1月14日号の報告。 中国の5つの病院より18~60歳の中等度以上のうつ病患者を募集し、二重盲検ランダム化プラセボ対照3アーム試験を実施した。対象患者には、2週間の非盲検期間にパロキセチンを投与し、改善が認められなかった患者をSSRI群(パロキセチン+プラセボ)、NaSSA群(ミルタザピン+プラセボ)、併用群(パロキセチン+ミルタザピン)にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、ランダム化6週間後のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)スコアの改善とした。 主な結果は以下のとおり。・SSRI単独療法の2週間後に治療反応が不十分であったうつ病患者204例は、3群にランダムに割り付けられた。アウトカム評価対象患者は、164例であった。・8週間後のHAMD-17スコアの最小二乗平均変化は、NaSSA群12.98点、SSRI群12.50点、併用群13.27点であり、3群間に有意な差は認められなかった。・SSRI群は、副作用発現の患者が最も少なかった。 著者らは「2週間の抗うつ薬治療後に治療反応を示さないうつ病患者に対する併用療法または抗うつ薬切り替え療法は、ルーチンな治療法として推奨されるものではない」としている。

1092.

ドパミン過感受性精神病における血漿モノアミンの変化

 初回エピソード統合失調症患者は、最初の抗精神病薬に良好な治療反応を示すことが多いが、再発患者の場合、治療反応率は約30%に低下する。この相違のメカニズムは明らかにされていないが、シナプス後のドパミンD2受容体のアップレギュレーションによるドパミン過感受性精神病の発症が、治療反応率の低下と関連している可能性がある。初回エピソード統合失調症患者とは対照的に、ドパミン過感受性精神病患者においてドパミン合成および放出の上昇が起こるのかはわかっていない。千葉大学の高瀬 正幸氏らは、ドパミン過感受性精神病における血漿モノアミンの変化について検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2020年1月21日号の報告。 初回エピソード統合失調症患者6例、ドパミン過感受性精神病による再発(18例)を含む再発患者23例を対象に調査を行った。治療開始後、ベースライン測定の2週間後と4週間後に、ホモバニリン酸(HVA)および3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール(MHPG)の血中濃度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソード統合失調症患者では、症状改善を伴ってHVAの減少傾向が認められた。・再発患者では、治療期間中にHVAまたはMHPGの変化が認められなかった。・これらの結果は、ドパミン過感受性精神病患者のみにおいて同様であった。 著者らは「初回エピソード統合失調症患者とは異なり、ドパミン過感受性精神病の再発患者では、シナプス前のドパミン放出の増加は認められなかった。これは、シナプス後のドパミンD2受容体の過感受性が、ドパミン過感受性精神病患者の再発と関連していることを間接的に示唆している」としている。

1093.

統合失調症患者の再入院減少のための長時間作用型持効性注射剤の実際の効果

 抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)と経口剤の有効性に関する比較は、さまざまな方法論的な問題により明確になっていない。韓国・健康保険審査評価院のHye Ok Kim氏らは、統合失調症患者の再入院に対するLAIと経口抗精神病薬との比較を実施した。Annals of General Psychiatry誌2020年1月14日号の報告。 2008~17年の統合失調症入院患者7万5,274例を対象に、LAIと経口抗精神病薬の再入院に対する予防効果を比較するため、被験者内分析を実施した。再入院率は、非薬物療法、経口剤単独療法、LAI療法で比較を行った。各入院エピソードについて、入院前の治療の状態に従って比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・13万2,028件の入院エピソードについて分析を行った。・総観測期間25万5,664患者年の間に発生したアウトカムイベントは、10万1,589件であった。・LAI療法と経口剤単独療法の比較において、LAI療法の再入院の発生率比(IRR)は0.71(0.64~0.78、p<0.001)であった。・LAI療法の初回入院のIRRは、0.74(0.65~0.86)であり、入院回数が2回目(IRR:0.65[0.53~0.79])、3回目(IRR:0.56[0.43~0.76])、4回目(IRR:0.42[0.31~0.56])と増えるにつれ、IRRの減少が認められた。 著者らは「実臨床におけるLAI療法は、経口剤単独療法と比較し、統合失調症患者の再入院率を29%低下させることが示唆された。さらに、入院を繰り返す患者において、再入院率を58%低下させた。LAIは経口抗精神病薬と比較し、再入院回数が多い統合失調症患者において、再入院リスクの低減により寄与する」としている。

1094.

治療抵抗性うつ病のリスク因子~コホート研究

 治療抵抗性うつ病のリスク因子を明らかにすることは、メカニズムやリスクを有する患者を特定するために、役立つであろう。しかし、さまざまなリスク因子が治療抵抗性うつ病とどのように関連しているかは、よくわかっていない。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのFrederikke Hordam Gronemann氏らは、治療抵抗性うつ病と社会人口統計学的および臨床的なリスク因子との独立した関連性について、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年1月15日号の報告。 1996~2014年にデンマークの全国患者登録システム(DNPR)より抽出したうつ病患者19万4,074例を対象に、診断後12ヵ月間治療抵抗性うつ病のフォローアップを行った。社会人口統計学的および臨床的なリスク因子は、全国レジストリより抽出した。競合死亡リスクの分析には、Cox比例ハザード回帰モデルおよびFine-Grayモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・治療抵抗性うつ病の強いリスク因子は、以下のとおりであった。 ●再発性うつ病(調整ハザード比[aHR]:1.17、95%CI:1.14~1.20) ●うつ病重症度(aHR:2.01、95%CI:1.95~2.08) ●精神科病棟への入院(aHR:2.03、95%CI:1.96~2.10)・治療抵抗性うつ病の発生率との関連が認められたのは、以下のとおりであった。 ●65~84歳(aHR:1.96、95%CI:1.83~2.10) ●失業(aHR:1.12、95%CI:1.08~1.16) ●同居(aHR:1.27、95%CI:1.23~1.30) ●不安症合併(aHR:1.18、95%CI:1.10~1.27) ●不眠症合併(aHR:1.27、95%CI:1.06~1.51) ●片頭痛合併(aHR:1.42、95%CI:1.16~1.73) ●向精神薬の使用・本研究の限界として、入院中の薬物治療に関する情報が得られなかった点、症状の重症度や治療反応をより正確に評価するための評価尺度に関する情報が不足していた点があげられる。

1095.

オランザピン研究の最新レビュー

 多くのエビデンスによってオランザピンは、米国で発売されている抗精神病薬の中で、クロザピンを除き最も効果的な薬剤の1つであるといわれている。しかしオランザピンは、代謝関連の副作用(とくに体重増加)の問題が報告されている。誘発される体重増加をコントロールするための戦略を明らかにすることで、オランザピンの臨床的有用性を再評価できると考えられる。米国・コロンビア大学のAmir M. Meftah氏らは、2008年と2009年に行ったレビュー以降のオランザピンに関する最近のエビデンスをレビューし、統合失調症およびその他の疾患への使用、オランザピン20mg/日超の安全性について検討を行った。Postgraduate Medicine誌オンライン版2020年1月3日号の報告。 2008年~2019年7月までのオランザピンに関する英語文献をPubMedより検索した。最初の検索で見落とした可能性のある他のレポートについて、レビュー文献を調査した。研究の有効性、安全性のデータに基づき評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・オランザピンの使用は減少している可能性があるが、全体的には一般的に用いられている。・オランザピンは、有効性および体重増加や代謝関連の副作用の両方が報告され続けている。・最近の研究では、神経性食欲不振や化学療法誘発性悪心に対する治療にオランザピンが支持されている。・オランザピン20mg/日超の高用量に関するエビデンスは限られている。・食事のカウンセリングや運動などの非薬理学的介入は、抗精神病薬による体重増加への効果的な介入であると考えられる。・トピラマート、メトホルミン、オランザピンとsamidorphanの組み合わせも有用であると考えられる。 著者らは「オランザピンは、有用な抗精神病薬ではあるが、注意深くモニタリングする必要がある。オランザピンによる体重増加を緩和するための利用可能なさまざまなオプションを比較し、薬理学的治療と非薬理学的治療の相乗効果を評価するために、さらなる研究が必要とされる」としている。

1096.

統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識欠如との関係~メタ解析

 最近の研究では、統合失調症患者において、顔の感情認識の欠如が一般的に認められていると報告されているが、その理由についてはよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDavid Martin氏らは、統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月11日号の報告。統合失調症患者の顔の感情認識の欠如は発症前から認められる 統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連についての研究を、システマティックにレビューした。利用可能で十分なデータを有する研究のメタ解析を行い、それ以外の研究はナラティブレビューを行った。一般化および特定の顔の感情認識の欠如に対してメタ解析を実施した。 統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討した主な結果は以下のとおり。・34研究をレビューし、23研究のメタ解析を行った。・メタ解析では、統合失調症患者の第1度近親者は対照群と比較し、顔の感情認識の欠如が認められた(SMD:0.38、95%CI:0.26~0.51、p≦0.001)。・統合失調症患者の第1度近親者にはネガティブな表情認識の欠如が認められたが(SMD:0.19、95%CI:0.06~0.32、p=0.004)、ニュートラルおよびポジティブな表情認識では欠如が認められなかった。 著者らは「統合失調症患者の第1度近親者では、顔の感情認識の欠如が認められる。統合失調症患者の顔の感情認識の欠如は発症前から認められるが、この関連が因果関係なのか交絡因子であるかを特定することはできない。感情認識の欠如、とくにネガティブな感情は、統合失調症リスクの有用な予測因子となる可能性がある」としている。

1097.

最適な抗うつ薬投与量~システマティックレビュー

 固定用量で行われる抗うつ薬の試験では、承認された用量の中でも低用量で有効性と忍容性の最適なバランスが実現されている。副作用が許容される範囲内での抗うつ薬の増量がベネフィットをもたらすかについて、京都大学の古川 壽亮氏らが検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年12月31日号の報告。 急性期うつ病治療に対するSSRI、ベンラファキシン、ミルタザピンを検討したプラセボ対照ランダム化試験をシステマティックにレビューした。主要アウトカムは治療反応とし、うつ病重症度の50%以上減少と定義した。副次アウトカムは、有害事象による脱落および何らかの理由による脱落とした。抗うつ薬の承認最小用量を超える漸増をプラセボと比較した試験および固定用量とプラセボを比較した試験におけるオッズ比(ROR)を算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・公開および未公開のランダム化比較試験123件(2万9,420例)を解析した。・抗うつ薬の漸増に、固定低用量を超える有効性は認められなかった。 ●SSRI(ROR:0.96、95%CI:0.73~1.25) ●ベンラファキシン(ROR:1.24、95%CI:0.96~1.60) ●ミルタザピン(ROR:0.77、95%CI:0.33~1.78)・ベンラファキシンの75mg固定用量と比較し、75~150mgの漸増において優れた有効性が認められたが(ROR:1.30、95%CI:1.02~1.65)、それ以外では、忍容性またはサブグループ解析において、重要な差は認められなかった。 著者らは「有効性、忍容性や受容性の観点から、SSRIまたはミルタザピンの承認最小用量を超えた漸増の効果は認められなかった。ただし、ベンラファキシンでは、最大150mgまで増量することで効果が期待できることが示唆された」としている。

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治療抵抗性統合失調症を予測するための症状

 治療抵抗性統合失調症(TRS)を予測する症状を早期に発見することができれば、クロザピンなどによる治療の早期開始に役立つ可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のBruno B. Ortiz氏らは、TRSを予測する症状パターンを特定するため、探索/複製研究デザインを用いて、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月16日号の報告。 統合失調症入院患者のコホート研究より164例をフォローアップした。ロジスティック回帰を用いて、TRS患者のベースライン時の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の中で最も影響を及ぼす項目を特定した。特定された症状の複数の組み合わせ予測パターンをテストするため、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を用いた。同項目の組み合わせについて、統合失調症外来患者207例の独立した複製サンプルとのテストを行った。 主な結果は以下のとおり。・退院時のTRSを予測するベースライン時のPANSS項目の組み合わせは、概念の統合障害(P2)、抽象的思考の困難(N5)、不自然な思考内容(G9)の3つの合計スコアであった。・P2+N5+G9モデルは、AUCが0.881、感度が77.8%、特異性が83.3%であった。・外来患者サンプルにおけるP2+N5+G9モデルの予測精度は、AUCが0.756、感度が72.3%、特異性が74.4%であり、許容可能な範囲内であった。・P2+N5+G9モデルは、組織化されていない思考、具体的な思考、奇妙で特異な思考で構成される思考障害の構造と一致している。 著者らは「統合失調症患者の思考障害は、臨床診断において容易に識別可能であり、TRSを早期発見するうえで、実行可能な戦略であると考えられる。臨床的な有用性を検証するうえで、初回エピソード統合失調症患者を対象としたコホートでの検証が望まれる」としている。

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アリピプラゾール長時間作用型注射剤で治療された患者の臨床経過

 抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、統合失調症および関連疾患患者の治療を維持し、アドヒアランスを確保するうえで、効果的な治療オプションである。アリピプラゾールLAIは、治療アドヒアランスを改善し、再発を軽減することが可能な非定型抗精神病薬である。スペイン・Health Centre Los AngelesのJuan Carlos Garcia Alvarez氏らは、6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療による、精神症状や社会機能の改善、副作用の軽減、抗精神病薬併用の減少に対する効果について、評価を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年1月14日号の報告。 アリピプラゾールLAIを開始または切り替えを行った統合失調症スペクトラム障害患者53例を対象に、多施設共同プロスペクティブ研究を実施した。アリピプラゾールLAIの評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Udvalg for Kliniske Undersogelser scale for side effects、機能の全体的評価尺度(GAF)、臨床全般印象度-統合失調症(CGI-SCH)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールLAI治療は、PANSSのすべてのドメインを有意に改善した(p<0.05)。・6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療後、有害事象の重症度に有意な改善が認められた(p<0.05)。・ベースラインから6ヵ月目までの機能評価スコアに、有意な差が認められた(p=0.0002)。・アリピプラゾールLAI治療により、重症患者の割合が減少した(CGI-SCH)。・6ヵ月の治療後、プロラクチン濃度は、正常化された(43.0→14.7ng/mL)。・6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療後、精神病薬の併用は有意に減少した。 著者らは「6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療は、代謝プロファイルに影響を与えることなく、臨床症状を改善し、抗精神病薬の併用も減少させた。この研究結果は、アリピプラゾールの有効性、安全性に関するこれまでのデータを裏付けている。アリピプラゾールLAIは、統合失調症スペクトラム障害患者における治療アドヒアランスの最適化に役立つ可能性がある」としている。

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うつ病とその後の認知症診断との関連~コホート研究

 うつ病は、認知症リスクの増加に関連する疾患である。しかし、これまでの研究においてはフォローアップ期間の短さ、家族要因の調整不足が、うつ病と認知症との関連に影響を及ぼしていた可能性がある。スウェーデン・ウメオ大学のSofie Holmquist氏らは、家族要因を調整したうえで35年以上のフォローアップを実施し、うつ病とその後の認知症との関連を調査した。PLOS medicine誌2020年1月9日号の報告。 2005年12月31日の時点でスウェーデン在住であり50歳以上の334万1,010人より、2つのコホートを形成した。うつ病と認知症の診断を特定するため、1964~2016年のSwedish National Patient Registerのデータを検索した。コホート1では、うつ病患者11万9,386例と非うつ病対照群を1対1でマッチさせた集団一致コホート研究を実施した。コホート2では、うつ状態が異なる同性の兄弟5万644例を対象とし、兄弟コホートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・コホート1では、平均フォローアップ期間10.41年(範囲:0~35年)に、認知症と診断された患者は9,802例であった。・うつ病患者の5.5%、非うつ病対照群の2.6%で認知症が発症しており(調整オッズ比[aOR]:2.47、95%CI:2.35~2.58、p<0.001)、アルツハイマー病(aOR:1.79、95%CI:1.68~1.92、p<0.001)よりも、血管性認知症(aOR:2.68、95%CI:2.44~2.95、p<0.001)との関連が強かった。・認知症診断との関連は、うつ病診断後、最初の6ヵ月間で最も強かった(aOR:15.20、95%CI:11.85~19.50、p<0.001)。その後、急激に減少するものの、20年以上のフォローアップ期間にわたり持続していた(aOR:1.58、95%CI:1.27~1.98、p<0.001)。・コホート2においても同様に、認知症診断との関連はうつ病診断後、最初の6ヵ月間で最も強く(aOR:20.85、95%CI:9.63~45.12、p<0.001)、その後は急激に減少するものの、20年以上のフォローアップ期間にわたり持続していた(aOR:2.33、95%CI:1.32~4.11、p<0.001)。・調整モデルには、性別、ベースライン時の年齢、市民権、地位、世帯収入、ベースライン時の診断を含めた。・主要な研究方法論的制限は観測データであり、これらの関連性は因果関係を示すものではない。 著者らは「うつ病は、診断から20年以上経過しても認知症発症リスクの増加と関連しており、家族要因を調整してもなお、その関連性は残存している。認知症発症リスク低下に対し、うつ病の予防と治療の成功が有用であるか検証するためには、さらなる研究が求められる」としている。

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