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座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか

 座りきりの生活(TV視聴、インターネット利用、読書)すべてが必ずしも、精神衛生に悪影響をもたらすわけではないことが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMark Hamer氏らによる調査の結果、報告された。また、TV視聴時間が長いと認知機能低下との関連がみられたが、ネット利用者では認知機能が高いこととの関連がみられたという。Medicine & Science in Sports & Exercise誌2014年4月号の掲載報告。 現代人のライフスタイルは、かなりの長時間を椅子に座って活動することで特徴づけられる。そのこと自体、健康に対してリスクをもたらす可能性はあるが、精神衛生に対する影響についてはほとんどわかっていない。  研究グループは、一般的な座りきり行動(TV視聴、インターネット利用、読書)といくつかの異なる精神衛生面との関連について調べた。具体的には、地域に住む高齢者コホートを対象とした研究「English Longitudinal Study of Ageing」から、男女6,359例について2年間追跡調査を行った。TV視聴時間、読書、インターネットの利用については、試験開始時の自己申告に基づき評価した。精神衛生については、Centre of Epidemiological Studies Depression尺度の8項目を用いて抑うつ症状を評価した。また、認知機能を評価するために記憶とことばの流暢さを神経心理学検査で測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者6,359例は、64.9±9.1歳であった。・TV視聴時間(6時間以上vs. 2時間未満・/日)は、抑うつ症状がより高いことと関連していた(係数:0.49、95%信頼区間[CI]:0.35~0.63)。また、全体的な認知機能が低いこととも関連していた(同:-1.16、-1.31~-1.00)。・対照的に、インターネット利用者は、抑うつ症状が低く(同:-0.58、-0.66~-0.50)、認知機能は高かった(同:1.27、1.18~1.37)。・試験開始時のすべてのタイプの座りきり行動が、追跡期間中の精神衛生面の測定値の変化と関連しているわけではなかった。・また、スコア差は持続したが、時間とともに増大することはなかった。・以上のように、座りきり行動すべてではなく、そのいくつかが精神衛生に悪影響をもたらすことが示された。・これらの関連は、対照的な環境や社会的コンテクストによって引き起こされていると考えられた。関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与  担当者へのご意見箱はこちら

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線維筋痛症患者、自殺念慮を3割超が有する

 線維筋痛症は、経過とともに自殺を図る患者の割合が増加することが知られている。スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のYolanda Trinanes氏らによる検討の結果、線維筋痛症患者の自殺念虜は、うつや不安、日常生活への支障と密接に関連していることが明らかにされた。Pain Practice誌オンライン版2014年4月1日号の掲載報告。自殺念虜を有している線維筋痛症患者の割合は32.5% 研究グループは、線維筋痛症における自殺念虜と、さまざまな社会人口統計学的、臨床的および心理的変数との関連を分析する目的で、線維筋痛症の女性患者117例を対象に調査を行った。 評価項目は、睡眠障害(ピッツバーグ睡眠質問票)、うつ(ベックうつ病調査票:BDI)、健康関連QOL(SF-36および線維筋痛症質問票:FIQ)、疼痛(視覚的アナログ尺度)などであった。BDIの9番目の項目で自殺念慮を評価し、すべての変数について自殺念虜のある患者とない患者を比較した。 線維筋痛症における自殺念虜を調査した主な結果は以下のとおり。・自殺念虜を有している線維筋痛症患者の割合は、32.5%だった。・自殺念虜の有無でさまざまなうつ病の指標に有意差が認められた。・また、自殺念虜を有している線維筋痛症患者では、不安レベルが高く、眠気のため日中の機能が障害され、感情的および身体的問題のため限界を感じていた。・BDIにおける自己非難のクラスターでわかるような、認知的抑うつ症状が自殺念慮と密接に関連していた。

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無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与

 加糖飲料やコーヒー、紅茶は最も消費されているノンアルコール飲料であり、健康に対し重大な影響を及ぼす。米国Westat社のXuguang Guo氏らは、さまざまな飲料の消費量とうつ病との関連を検討した。PloS one誌オンライン版2014年4月17日号の報告。 対象はNIH-AARP Diet and Health Study(食事・健康調査)に参加した26万3,923人。1995~1996年に摂取したさまざまな種類の飲料を評価し、2000年以降に自己申告によるうつ病診断を実施した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、多変量ロジスティック回帰分析から導いた。 主な結果は以下のとおり。・1日当たり4缶または4杯以上摂取している場合とまったく摂取しない場合とを比較したORは、ソフトドリンク1.30(95%CI:1.17~1.44)、フルーツドリンク1.38(1.15~1.65)、コーヒー0.91(0.84~0.98)であった(すべてのp for trend<0.0001)。・アイスティーとホットティーでは関連はなかった。・主にダイエット飲料を飲む人 vs 通常の飲料を飲む人による層別解析でのORは、ソフトドリンクで1.31(1.16~1.47) vs 1.22(1.03~1.45)、フルーツドリンクで1.51(1.18~1.92) vs 1.08(0.79~1.46)、加糖アイスティーで1.25(1.10~1.41) vs 0.94(0.83~1.08)であった。・飲料の非摂取者と比較し、無糖のコーヒーや紅茶を飲んでいた人では、うつ病のリスク低下と関連していた。一方、砂糖や蜂蜜ではない人工甘味料を添加していた人では、リスク上昇と関連していた。・加糖飲料(とくにダイエット飲料)の頻繁な消費が高齢者のうつ病リスクを高める一方で、コーヒーはリスクを軽減させる可能性があることが示唆された。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は

 持続勃起症(プリアピスム)は、性的刺激とは関係なく陰茎の勃起状態が、3時間以上続く状態であり、痛みを伴うことが多い。持続勃起症は泌尿器科的な緊急事態で重篤な合併症を引き起こす可能性がある。持続勃起症の発症の25~40%は薬物が原因で、抗うつ薬、降圧薬、抗凝固薬、交感神経α受容体遮断薬ほか精神を活性化する物質(アルコール、コカイン、大麻など)などが含まれるが、薬物関連の持続勃起症の約50%は抗精神病薬に起因するという。モロッコ・Ar-Razi大学精神科病院のJ. Doufik氏らは、抗精神病薬により誘発された持続勃起症とその対処について、症例報告を行った。Encephale誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。持続勃起症の症例には現状ではアミスルプリドのような薬剤が適している 研究グループは、とくに非安定性の精神疾患患者において、臨床医はこのまれな副作用とその処置の困難さを認知しておくべきであるとして本症例報告を行った。 抗精神病薬により誘発された持続勃起症の症例とその対処の概要は以下のとおり。・患者は22歳、統合失調症と診断されたモロッコ人男性。精神疾患エピソードの治療のため、精神科病院に初めて入院していた。・患者は、当初15mg/日のハロペリドール投与を受けていた。7日後、持続勃起症を発症した。・患者はただちに泌尿器科に紹介され、海綿体の吸引と洗浄を行うことが提案されたが、患者が拒否したため、実行できなかった。しかしその後10時間後に勃起は自然に萎縮した。・ハロペリドールの投与は中断され、4日後患者はオランザピン10mg/日投与に切り替えられた。・10日後、患者は2度目の持続勃起症を呈した。そのため、オランザピンも投与が中断された。・緊急処置として、海綿体の吸引と洗浄を行われ、陰茎の部分的萎縮に至った。・2日後、治療が行われていないにもかかわらず、患者は再び持続勃起症を呈した。・陰茎の血行再建術が提案されたが、また患者が拒否したため施行には至らなかった。・最終的に、患者はアミスルプリド(国内未発売)400mg/日が投与され、良好なアウトカムを得た。・持続勃起症は、1ヵ月後に消失したが、海綿体の線維化と部分的な勃起不全が残った。 上記を踏まえた著者らの論点は次のとおり。・持続勃起症の発生に関する、抗精神病薬の正確な寄与機序はほとんどわかっていないが、多様な要因が関わっていると思われた。・仮説として最も言及されているのは神経筋の関与である。すなわち、抗精神病薬の作用として類似してみられる、海綿体のα-1アドレナリン様作用受容体の活性を阻害するというものである。・精神疾患患者における持続勃起症の発症、とくに代謝不全の時期における発症は、医療スタッフにとって数多くの難題をもたらすことになる。・第一に、持続勃起症の副作用について患者が認識していないこと、それにより重篤な結果を招く可能性があること。・第二に、抗精神病薬治療の投与量および投与期間と、1つの持続勃起症の発現との関連、およびそれ以上の発症との関連が判明していておらず、予測が難しいこと。・第三に、そのほかの抗精神病薬の選択と開始がチャレンジなことである。・文献では、多くの持続勃起症例が、従来および非定型の両者の抗精神病薬について報告されている。しかしながら、報告者の多くはこうした患者に与えられるべき選択肢については触れていなかった。・そうした中で現状では、α-アドレナリン作用性がないアミスルプリドのような薬剤が、こうした持続勃起症の症例に適しているようであった。・持続勃起症は、抗精神病薬治療においてまれではあるが重篤な有害事象である。・持続勃起症のリスクについて患者に知らせることは、症状の早期報告とともに、勃起不全の回避に役立つと思われた。・そのほかの抗精神病薬に切り替える場合は、α-1阻害性を持たないものが、通常は推奨される。

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統合失調症の症状、インターロイキン-2の関与が明らかに

 統合失調症の患者における認知能力の衰退と陰性症状に、インターロイキン2(IL-2)が関与している可能性が、ブラジル・サンパウロ連邦大学のElson Asevedo氏らによる検討の結果、示唆された。これまで、統合失調症においてIL-2が関与している可能性が示唆されていたが、どのような症状と関連しているかを調べる検討は行われていなかった。Physiology & Behavior誌2014年4月号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者において、末梢IL-2値と症状および認知のパフォーマンスとの関連について調べ、末梢IL-2値について、統合失調症患者と健常対照者との比較も行った。パフォーマンスについては、DSM-IV基準で統合失調症と診断され治療を受けている外来患者と、健常対照者を対象に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、統合失調症に関するカルガリーうつ病評価尺度(CDSS)、臨床全般印象尺度(CGI)、全般機能評価尺度(GAF)にて評価して調べた。被験者の採血は、全員午前9~10時に、EDTA管を用いた静脈穿刺にて行われた。IL-2の血漿中濃度は、Cytometric Bead Array(CBA)法によって確定し、コンピュータによる神経心理学的検査で、言語学習能、ことばの流暢さ、作業記憶、変化に対する柔軟性(set shifting)、実行機能、抑制と知能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者29例と、健常対照者26例について検討が行われた。・統合失調症患者は、健常対照者よりIL-2値が低値であった(p<0.001)。・統合失調症患者群におけるIL-2値は、ディジットスパンテスト(rho=0.416、p=0.025)、知能評価(rho=0.464、p=0.011)のスコアとの間に明らかな相関を認めた。・また、IL-2値とPANSS陰性サブスケールの総スコアとの逆相関の関連性を認めた(rho=-0.447、p=0.015)。関連医療ニュース 双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与 治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善 統合失調症では自己免疫疾患リスクが1.53倍

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治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善

 多くの統合失調症女性は、現時点での最適な治療を受けているにもかかわらず症状が持続する。これについて先行研究では、エストロゲン療法の追加が効果的である可能性が示唆されていた。オーストラリア・モナシュ大学のJ Kulkarni氏らは、治療抵抗性の統合失調症女性に対するエストロゲン療法追加の有用性を検討する初の大規模臨床試験を行った。その結果、エストラジオール経皮投与は、プラセボと比較し陽性・陰性症状スコア(PANSS)をはじめとする症状スコアを有意に低下させ、とくに陽性症状に対して高い効果を示すことを報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2014年4月15日号の掲載報告。  本試験は、治療抵抗性の統合失調症女性を対象とした初めての大規模無作為化比較試験であり、8週間にわたる3群の二重盲検無作為化対照試験で、2006~2011年に実施された。対象は、18~45歳(平均35歳)で、統合失調症または統合失調症様の障害を有しPANSS スコア60超、抗精神病薬を4週間以上服用しているが症状を認める女性183例であった。平均罹病期間は10年以上であった。エストラジオール200 μgおよび100 μgの経皮投与、またはプラセボパッチを投与した。主要アウトカムはPANSSスコアとし、試験を完了した180例についてベースライン時、7、14、28および56日目に評価した。認識力はベースライン時と56日目に神経心理検査RBANS(Repeatable Battery of Neuropsychological Status)を用いて評価した。データは潜在曲線モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・エストラジオール100μg群、200 μg群とも、PANSS陽性スコア、全般スコアおよび総合症状スコアが、プラセボに比べて有意に低下した(p<0.01)。・その効果は、エストラジオール100μg群に比べ200 μg群のほうが大きかった。・エストラジオール200μg群では、PANSSのサブスケール陽性症状において最大の効果が認められた(エフェクトサイズ:0.44、p<0.01)。・以上のように本研究により、治療抵抗性の統合失調症女性、とくに陽性症状を呈する例において、エストラジオールは有効であり、臨床的意義のある追加治療であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに 妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全

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小児ADHDの薬物治療、不整脈リスクに注意を

 小児における注意欠陥・多動性障害(ADHD)薬の使用について、危険な不整脈のリスクがある子供では注意を払う必要があることを、ノルウェー・ベルゲン大学のAnsgar Berg氏らが文献レビューの結果、報告した。ADHDに対する薬物治療は、一般に安全であると考えられてきたが、今回の結果を踏まえて著者は、「心臓病や不整脈の既往、あるいは心臓病リスク因子を有する子供のADHD治療は、小児循環器の専門家との連携のうえで行われるべきである」とまとめている。Tidsskrift for Den norske legeforening誌2014年4月8日号の掲載報告。 ノルウェーでは、ADHD治療が開始される前の健康な小児または若者へのECGスクリーニングが一般的に行われているようである。しかし一方で、ECGは、リスクのある個人にのみ行われるべきだと推奨されている。 研究グループは、小児と若者のADHD薬物療法について、心血管リスク評価に関するガイドラインの位置づけを明確にすること、また実際的な勧告を提案することを目的としたレビューを行った。2013年10月1日時点でPubMedを介し、著者自身の臨床経験や、任意の評価に基づく論文を探索した。 主な結果は以下のとおり。 ・中枢神経刺激薬、アトモキセチンの使用は、わずかだが血圧、脈拍の上昇と関連しており、同様にわずかだがQT幅の変化と関連していた。・ADHD薬を使用している小児・若者の突然死の頻度は、非使用の小児・若者と比べて頻度は多いということはみられなかった。・その他の健常被験者の心血管系へのADHD薬の長期的な影響に関しては、ほとんどわからなかった。また、心臓病を有する小児・若者におけるADHD薬の使用に関連したリスクについてもほとんどわからなかった。・若干の不整脈がある場合、薬物は、突然死リスクを増大すると考えられる。したがって、不整脈が疑われる小児では、ADHDの使用には注意を払うべきであることが示唆された。・薬物療法を開始する前に、リスクを特定するために臨床検査と詳細な病歴調査が推奨された。また、健康な子供については、ADHD治療開始前にECG検査を行う必要はないことも示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 知的障害者の約半数が向精神薬多剤併用 小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

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電気けいれん療法での麻酔薬使用、残された課題は?

 うつ病は主たる精神疾患で世界中の何百万人もが罹患しており、WHOでは障害の主要な一因としている。重度のうつ病において電気けいれん療法(ECT)は確立された治療であるが、不快感とECTに誘発される強直間代けいれんという有害な副作用を最小限に抑えるため、静脈麻酔が使用される。しかし、麻酔薬の種類によるうつ症状軽減効果や有害作用への影響は明らかになっていない。中国・重慶大学附属病院のPeng Lihua氏らは、うつ病に対するECTにあたって使用される静注麻酔薬について、うつ症状軽減効果や有害作用への影響を比較検討するためレビューを行った。Cochrane Database Systematix Reviewsオンライン版2014年4月11日号の掲載報告。  研究グループは、ECT施行中の成人うつ病患者において、静注催眠・鎮静薬の相違が抗うつ効果、回復および発作期間に及ぼす影響を評価することを目的としたレビューを行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2012年の12号分)、MEDLINE via Ovid SP、およびEMBASE via Ovid SP(いずれも1966~2012年12月31日まで)を用いて検索した。関連記事は手作業で検索し、言語を制限することなく適用した。検索対象は、ECTに対して種類の異なる催眠・鎮静薬の有効性を評価している無作為化比較試験(RCTs)およびクロスオーバー試験とし、プラセボまたは吸入麻酔薬を使用している試験・研究および麻酔薬を使用していない試験は除外した。 2名のレビュワーが試験の質を独立して評価し、データを抽出した。可能な場合はデータを蓄積し、Cochrane Review Manager statistical package(RevMan)を用いて、リスク比(RR)と平均差(MD)をそれぞれ95%信頼区間(CI)と共にコンピュータで算出した。 主な結果は以下のとおり。・1994~2012年に報告された18件のRCT(599例)がレビューの対象となった。・大半がバイアスリスクの高い試験であった。・6種類の静脈麻酔薬を比較検討した結果を解析したほか、プロポフォールとメトヘキシタール(国内未承認)を比較した4件の試験、プロポフォールとチオペンタールを比較した3件の試験を併合して解析を行った。・プロポフォールとメトヘキシタールの比較において、うつスコアの軽減に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。ただし分析に含んだ4件の試験では、うつスコアの差を検出するデザインとされていなかった。・プロポフォール群はメトヘキシタール群と比較して、脳波(EEG)の発作持続時間ならびに運動発作の期間が短かった(エビデンスの質:低)。・プロポフォールとチオペンタールの比較において、EEG発作期間に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。・チオペンタール麻酔後の被験者は、プロポフォールに比べて回復までの時間(命令に従う)が長かった(エビデンスの質:低)。・その他の麻酔薬の比較に関しては、1件の試験または不十分なデータしかなかった。・検討対象とした試験において有害事象に関する報告は不十分であったが、麻酔薬に関連する死亡の報告はなかった。・今回、多くの試験でバイアスリスクが高く、エビデンスの質は概して低かったほか、臨床的に明らかなうつスコアの差を検出するようデザインされていなかった。著者は、「麻酔薬は有害事象プロファイル、すなわち発作の出現と発作期間に及ぼす影響に基づいて選択されるべきである」と指摘している。・十分に長期の発作を導き出すのが困難だとすれば、メトヘキシタールはプロポフォールに比べ優れている可能性があった(エビデンスの質:低)。・もし麻酔からの回復がゆっくりであれば、プロポフォールはチオペンタールに比べ命令に応じるまでの時間(回復までの時間)がより早い可能性があった(エビデンスの質:低)。・エトミデード(国内未承認)による副腎抑制は、いずれの試験でも臨床的な懸念事項として示されていなかった。・静脈催眠・鎮静薬の最適な用量はいまだ不明であった。有害事象を最小限に抑えつつ、うつスコアを最大限に改善する静注麻酔薬を明らかにするため、より大規模の十分にデザインされた無作為化試験が求められる。関連医療ニュース うつ病治療に対する、電気けいれん療法 vs 磁気けいれん療法 ECTが適応となる統合失調症患者は? 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ

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統合失調症の陰性症状改善へ、グリシン再取り込み阻害

 統合失調症において、陰性症状の重症度は長期障害の主要な予測因子である。一方、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介したシグナル欠乏は、統合失調症のとりわけ陰性症状に関連する多くの徴候や症状の背景要因であると推察されている。グリシンは、NMDA受容体のコアゴニストとして働くことから、Daniel Umbricht氏らは、NMDA受容体を介したシグナル伝達を増強するうえで、グリシントランスポータータイプ1の阻害は、グリシン再取り込み阻害によりシナプス間隙のグリシン濃度を上昇させるため有効な戦略であると仮定した。そして著者らは、陰性症状が優勢な統合失調症患者を対象とし、グリシン再取り込み阻害薬であるビトペルチン(RG1678)の有効性と安全性を検討した。JAMA誌オンライン版2014年4月2日号の掲載報告。 著者らは、抗精神病薬服用中で安定状態にある陰性症状が優勢な統合失調症における、同薬の有効性と安全性を明らかにする検討を行った。試験は、世界66の地域において、陰性症状が優勢な統合失調症患者323例を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相概念実証試験。ビトペルチン(10、30または60mg/日)またはプラセボを標準的な抗精神病治療に追加し、8週間投与した。アウトカムは、ベースラインからの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)陰性症状スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・per-protocol集団において、ビトペルチン10-mg/日の8週投与(陰性症状スコアの平均値[SE]減少率:-25%[2%]、p = 0.049)および30-mg/日の8週投与(同:-25%[2%]、p =0 .03)は陰性症状を有意に軽減し、10-mg/日群はプラセボ群と比較して有意に高い有効率と機能改善傾向を示した(同:-19%[2%])。・intent-to-treat集団では、傾向を認めた結果は有意に達した。・ビトペルチンは、グリシントランスポータータイプ1に低~中等度レベルで結合すると推察され、これが、患者における最適な有効性を導くものと推察された。またこの結果は前臨床試験の結果とも一致した。・以上により、ビトペルチンを介したグリシン再取り込み阻害は、統合失調症の陰性症状に対する新しい治療オプションとなる可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

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てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか

 オーストラリア・メルボルン大学のIngrid E. Scheffer氏は、てんかん遺伝学が臨床にもたらした影響に関するレビューを行った。てんかん遺伝学は、てんかんの原因遺伝子が発見されて以降の19年間で変革をもたらしてきた。その結果、実際に多くの患者が診断可能となり、共存症や予後、遺伝カウンセリングに対する医療者の理解を深めるなど、臨床診療に変化がもたらされたという。Neuropediatrics誌2014年4月号(オンライン版2014年3月10日号)の掲載報告。 Scheffer氏は、てんかん遺伝子の発見に関連した臨床分子アプローチ概要について検証した。概要には、家族研究や、より最新の多重遺伝子パネルを用いた次世代シーケンスやwhole exome sequencingなどを含んだ。 主な結果は以下のとおり。・最近の研究は、てんかん遺伝学が臨床にどのような変化をもたらしたかを報告していた。・とくに注目されている遺伝子は、DEPDC5であった。・同遺伝子は、非病変性焦点性てんかんに関する初の遺伝子で、小家族での特発性焦点性てんかん患者の発病に関与している可能性があった。対照的に、常染色体優性焦点性てんかんを有する大家族ではまれであった。・DEPDC5は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の陰性レギュレーターで、DEPDC5突然変異を有する一部の患者は、結節性硬化症で示唆された二重衝撃仮説(two hit hypothesis)と類似した、皮質の形成異常を有する可能性があった。・てんかん遺伝学の臨床レベルの最も大きな影響は、てんかん性脳症患者に対するもので、多くの新たな突然変異の原因遺伝子が発見されるに至っていた。・以上のように、てんかん遺伝学は多くの患者の診断を可能とし、医療者が共存症や予後、遺伝カウンセリングについて理解することに寄与しており、臨床に変化をもたらしていることが示された。・遺伝子の発見は、治療選択に影響を与える可能性があるという点で重大であった。・分子レベルでの新たな洞察は、新たな治療法の開発に結びつく可能性がある。また、非病変性てんかんと、皮質形成異常に関連したてんかんとを遺伝学的にまとめることにもなる可能性があった。関連医療ニュース てんかん患者の精神疾患有病率は健常人の8倍 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定

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パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか

 パロキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の中で最も強力な作用を有し、多くの無作為化比較試験(RCTs)で検討されてきた。しかし、これらの比較結果やRCTsのシステマティックレビューは、通常、SSRIsに分類される薬剤全体のエビデンスであり、パロキセチン単独に適用可能なものではない。そこで、イタリア・ヴェローナ大学のMarianna Purgato氏らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを、三環系抗うつ薬(TCAs)、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するシステマティックレビューを行った。その結果、治療1~4週の早期の治療効果において、パロキセチンはレボキセチン(国内未承認)よりも効果が高く、ミルタザピンより低いなど、いくつかのエビデンスは示されたものの、他の抗うつ薬との有効性の相違に関する明確なエビデンスは得られなかったことを報告した。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月3日号の掲載報告。パロキセチンとその他の抗うつ薬、従来の薬剤、非従来型の薬剤を比較検討 著者らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを TCAs、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するためシステマティックレビューを行った。具体的には、(1)大うつ病性障害の急性症状軽減効果、(2)治療の受容性、(3)有害事象発現状況、を比較検討した。2012年9月30日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialized Register(CCDANCTR)を検索した。同レジスターには、代表的な無作為化比較試験が含まれていた(The Cochrane Library:全年、EMBASE:1974年以降、MEDLINE:1950年以降、PsycINFO:1967年以降)。また、代表的な文献と過去のシステマティックレビューの参考リストを手作業で検索し、パロキセチン販売メーカーおよび同領域の専門家らに連絡を取り、補足データを収集した。 大うつ病患者を対象に、パロキセチンとその他の抗うつ薬(ADs)、従来の薬剤(TCAs、SSRIsなど)、新規または天然ハーブのヒペリカムのような非従来型の薬剤を比較検討した、すべての無作為化比較試験を検索対象とした。クロスオーバーデザインの試験については、最初の無作為化期間における結果のみを考慮に入れた。独立した2名のレビュワーが適格性をチェックし、試験、患者背景、介入の詳細、試験のセッティング、有効性、受容性、忍容性などの情報を抽出した。パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多い パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルの主な結果は以下のとおり。・115件の無作為化比較試験(2万6,134例)が選択された。内訳は、パロキセチンvs. 旧来ADs:54件、vs. その他SSRI:21件、vs. 新規または非従来型SSRI以外の抗うつ薬:40件であった。・主要アウトカム(治療反応性)において、パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多く(オッズ比[OR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87/ ベネフィットを得るための治療必要数(NNTb)=16、95%CI:10~50/ 1~4週時、3試験、1,375例、エビデンスの質:中等度)、ミルタザピンと比較して少なかった(OR:2.39、95%CI:1.42~4.02/ NNTb=8、95%CI:5~14/ 1~4週時、3試験、726例、エビデンスの質:中等度)。・パロキセチンは、治療反応性の改善においてシタロプラムと比較して効果が低かった (OR:1.54、95%CI:1.04~2.28/ NNTb=9、95%CI:5~102/ 6~12週時、1試験、406例、エビデンスの質:中等度)。・急性期(6~12週)、早期(1~4週時)または長期(4~6ヵ月)において、治療反応性の向上に関して、パロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して有効性が高い(または低い)という明らかなエビデンスは見出せなかった。・パロキセチンは、アミトリプチリン、イミプラミンおよび旧来ADsと比較して、有害事象の発現頻度が低かったが、アゴメラチン(国内未承認)およびヒペリカムと比べ忍容性は不良であった。・検討対象とした試験は、無作為化の詳細やアウトカムの評価が不明、アウトカムの報告が不十分なため、概してバイアスが不明確または高かった。・パロキセチンとその他のADsとの間に、臨床的に意味のある差がいくつかみられたが、これらから明確な結論を導くことはできなかった。反応性については、パロキセチンに比較してシタロプラムが急性期(6~12週)において有効というエビデンス(質:中等度)が示されたが、これは1件の試験データのみによるものであった。・早期の治療効果(1~4週時)に関しては、パロキセチンはレボキセチンよりも効果が高く、ミルタザピンより低いというエビデンス(質:中等度)が示されたが、各評価時点でパロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して反応性が良好または不良であることを示す明らかなエビデンスはなかった。・いくつかの差が認められたものの、本レビューは仮説の検証という以前の、あくまで仮説構築の域を超えないものであり、将来の試験で再現可能な結論を見出すために再検証すべきであることが示唆された。また、対象とした試験の大半はバイアスが不明または高く、メーカー主導であり、治療効果が過大評価された可能性がある点に留意する必要があった。

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統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン

 現在、抗精神病薬の社会的認知に及ぼす影響に関する研究は少なく、また社会的認知機能に対するアリピプラゾールの影響に関してもよくわかっていない。オランダ・ユトレヒト大学のArija Maat氏らは、アリピプラゾールおよびリスペリドンが統合失調症患者の社会認知、神経認知に及ぼす影響を検討した。European neuropsychopharmacology誌2014年4月号の報告。 DSM-IV-TRで統合失調症と診断された80例(年齢:16~50歳)を対象に、8週間の無作為化、非盲検、多施設共同研究を行った。対象患者のベースラインおよび8週時点で複数のコンピュータ・テストを行い、反応時間を含む社会認知および神経認知を測定した。社会的機能は、Social Functioning scale と Quality of Life scaleにより評価した。本研究は、2005年6月~2011年3月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・社会認知および神経認知テストのスコアは両群ともに改善した。また、反応時間も同様であった。・社会的認知テストのスコアは両群間でほとんど違いがみられなかった。・アリピプラゾール群は「symbol substitution」の項目でより良い(より正確な)結果であった(p=0.003)。・アリピプラゾール群はリスペリドン群と比較し、「emotional working memory」、「working memory」の反応時間が優れていた(各々、p=0.006、p=0.023)。・これらのテストでの改善は社会的機能と相関していた。・アリピプラゾール、リスペリドンはどちらも社会認知テストのスコアを改善させた。とくに、アリピプラゾール群はリスペリドン群と比較し、処理速度に好影響をもたらし、これが社会的機能の改善と関連していると考えられる。・アリピプラゾールの認知に及ぼす長期的な影響について、さらなる検討が必要である。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学

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統合失調症患者の突然死、その主な原因は

 統合失調症と突然死との関連は知られているが、剖検データが不足しており、死亡診断書や原因ルート評価を用いた先行研究では、大半の突然死について解明がなされていなかった。一方、住民ベースの突然の“自然死”の原因に関する事実分析データでは、最も共通した要因は冠動脈疾患(CAD)であることが明らかになっていた。ルーマニア・トランシルヴァニア大学のPetru Ifteni氏らは、精神科病院に入院中の統合失調症患者の突然死について、その発生率や原因を調べた。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。 研究グループは、1989~2013年の精神科教育病院に入院した連続患者を対象に検討を行い、統合失調症患者の突然死の原因について剖検所見により特定した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は、統合失調症連続入院患者7,189例であった。・医療記録をレビューした結果、57例(0.79%)の突然死を特定した。そのうち51例(89.5%、55.9±9.4歳、男性56.9%)の患者について剖検が行われていた。・剖検データに基づく分析の結果、突然死の原因は、ほとんどが心血管疾患(62.8%)であることが判明した。また特異的要因としては、心筋梗塞(52.9%)、肺炎(11.8%)、気道閉塞(7.8%)、心筋炎(5.9%)、拡張型心筋症、心膜血腫、肺塞栓症、出血性脳卒中、脳腫瘍(それぞれ2.0%)などであった。・突然死のうち6例(11.8%)は原因が不明であった。しかしそのうち3例は、剖検で冠動脈硬化症の所見がみられたことが記録されていた。・心筋梗塞の有無にかかわらず、患者の年齢、性別、喫煙歴、BMI、精神科治療は類似していた(p≧0.10)。 以上の結果より、統合失調症入院患者の突然死発生率は0.8%で一般住民における発生率よりもかなり多いことや、死因としては急性心筋梗塞が大半(52.9%)を占めていたことなどが明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「統合失調症成人患者について、CADに対する速やかな認識と治療を臨床的優先事項としなければならない」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況は

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非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状

 過去20年間における非定型抗精神病薬使用の増大は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を含む未承認適応での頻度が顕著に認められているという。米国・メリーランド大学のMehmet Burcu氏らは、非定型抗精神病薬の使用について、年齢群、メディケイド適格カテゴリー群、またADHDを有さない若者において特徴づける検討を行った。その結果、とくにフォスターケア(里親制度)の小児およびADHDと診断された小児において、長期的な効果、安全性、適切な心臓代謝モニタリングの監督に関するアウトカムについて、探求すべき根拠が認められたことを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2014年4月1日号の掲載報告。 2006年に米国中西部州のメディケイドプログラムに、連続的に登録された2~17歳26万6,590例の診療データを用いて、非定型抗精神病薬使用日数の中央値を二変量分析および多変量分位点回帰にて評価した。また、精神疾患合併の既往はなかったがADHDと診断された若者(非併存例のADHD)のサブ分析を行い、年齢特異的補正後オッズ比やメディケア適格カテゴリー別にみた非定型抗精神病薬の使用期間中央値を評価した。さらに非定型抗精神病薬療法の単剤投与の使用パターン、2剤併用のパターンを明らかにする評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・全体的に、非定型抗精神病薬の年間使用期間中央値は、180日(四分位範囲:69~298日)だった。・小児(2~12歳)における使用期間は中央値192日で、年長者(13~17歳)の同179日よりも長期間であった。・精神疾患合併はないがADHDと診断されたフォスターケアの若者の非定型抗精神病薬の使用に関する補正後オッズ比は、所得適格のメディケイドカテゴリー群に登録された若者における使用と比べて、3倍以上であった。・精神疾患合併はないがADHDと診断されたフォスターケアの若者のおよそ3分の1が、年齢に関係なく非定型抗精神病薬を使用していた。そのうち2~12歳における年間使用日数は、中央値250日超であった。・非定型抗精神病薬の併用療法では、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピンの頻度が最も高くみられた。関連医療ニュース 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

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プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

 1970年代以降、統合失調症患者への薬物治療の基本である抗精神病薬の一般的な有害事象として、高プロラクチン血症(HPRL)に対する認識が臨床医において浸透してきている。第二世代抗精神病薬(SGA)による治療中の血漿中プロラクチン(PRL)レベルは第一世代抗精神病薬使用時と比較して低いが、これらのPRLレベルに及ぼす詳細な影響は完全には明確にされていない。さらに、新規に承認された抗精神病薬[アセナピン、イロペロリドン、ルラシドン(いずれも国内未承認)]のPRLレベルに及ぼす影響に関するレビューは現時点においてない。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のJ. Peuskens氏らは、第二世代抗精神病薬および新規に承認された抗精神病薬のPRL上昇への影響を評価するため、MEDLINE文献検索によるレビューを行った。その結果、アセナピンとイロペロリドンはクロザピンと同程度の、ルラシドンはジプラシドン(国内未承認)およびオランザピンと同程度のプロラクチン上昇作用を有する所見が得られたことを報告した。CNS Drugs誌2014年3月号の掲載報告。 著者らは、PRLの生理学、PRLの測定、診断、原因、HPRLの機序と転帰、思春期および成人患者におけるSGAおよび新しく認可された抗精神病薬に伴うHPRL新規発症の発生経過、再診時に高値が維持されているPRLに関する疑問などについて言及することを目的に本レビューを行った。MEDLINEデータベース(1966年~2013年12月)を用いて文献検索を行い、HPRLの最新情報とSGAおよび新規承認抗精神病薬のPRL上昇に関する適用可能なエビデンスを概説している代表的な文献を特定した。 主な結果は以下のとおり。・HPRLは通常、正常上限値を超えるPRLレベルの持続と定義されているが、本検討における上限値は報告によりさまざまであるため、試験間の解釈や比較は困難であった。さらに多くの報告が、PRL測定に関する詳細なデータを十分に提供していなかった。・アミスルプリド(国内未承認)、リスペリドン、パリペリドンに関しては、HPRLが高頻度であるとの報告が一貫してなされていた。・一方、アリピプラゾールとクエチアピンは、PRLプロファイルに悪影響を及ぼさないことが示された。・すべてのSGAは、とくに治療開始時にPRL上昇を惹起しうること、HPRLの新規発症を引き起こす可能性があることなどが示された。・新規承認抗精神病薬によるPRL上昇作用から、アセナピンとイロペロリドンはクロザピンと、ルラシドンはジプラシドンとオランザピンと、同程度のPRLプロファイルを有していることが示唆された。・一般に、抗精神病薬によるPRL上昇は用量依存性であるが、PRL上昇のポテンシャルを有する抗精神病薬(アミスルプリド、リスペリドン、パリペリドンなど)は、低用量であってもPRLレベルに大きな影響を及ぼす可能性が示唆された。・一方、PRLレベルに及ぼす影響が小さい抗精神病薬は、ほとんどすべての用量でPRLレベルは不変(クエチアピン)または減少(アリピプラゾール)が認められた。・PRLを上昇させる抗精神病薬は、長期服用後も忍容性が示され、PRLレベルの低下も起こりうるが、大半は正常上限値を超えるレベルが維持された。・小児および思春期患者における抗精神病薬のPRLプロファイルは、成人と同様のようであった。・抗精神病薬によるプロラクチン上昇の影響は、多くの場合、下垂体前葉のプロラクチン産生細胞レベルにおけるドパミンD2受容体への親和性(および、その他の神経伝達メカニズム)、血液脳関門通過性と関連していた。・抗精神病薬は、HPRLを引き起こす最も一般的な薬物要因であるが、最近の研究では、初回エピソード精神病または精神状態がリスクにさらされている患者において、抗精神病薬の治療を受けていない状況でHPRLが存在する可能性が示されていた。関連医療ニュース 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は 初回エピソード統合失調症患者はプロラクチン値が高い

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自殺リスクの高いパーキンソン病患者の特徴は

 トルコのパーキンソン病患者において、若年発症、罹病期間、うつ、衝動制御障害(ICD)が自殺念慮の高いリスクと関連していることが、トルコ・Erenkoy Mental Health and Neurology Training and Research病院のBetul Ozdilek氏らによって明らかとなった。Neuropsychiatric disease and treatment誌2014年3月26日号掲載の報告。 本研究は、トルコのパーキンソン病患者において、自殺念慮と自殺企図を予測する因子を調査することを目的とした。 120例のパーキンソン病患者を対象とした。臨床所見は統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を基に評価を行った。重症度はホーエン・ヤール(H&Y)分類、障害の程度はSchwab & England ADLスケールを用いて評価を行った。精神鑑定は、精神障害の診断・統計マニュアル(DSM-IV)第1軸障害に基づいた構造化面接を基準とし、一人の精神科医によって行われた。うつの重症度は、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて評価した。自殺念慮と自殺企図については、患者が生存期間中に経験した場合を「あり」とした。自殺リスクを評価するために、自殺確率尺度を用いた。データは、自殺念慮と自殺企図に関連する変数を識別するために、ロジスティック回帰モデルによって解析した。 主な結果は以下のとおり。・ロジスティック回帰分析の結果、教育レベル、病気の発症年齢、罹病期間、うつ病、および過去にICD行動が認められることが、自殺念慮の有意な予測因子であった。・とくに、うつ病および過去にICD行動を認めた患者では、自殺念慮リスクはそれぞれ5.92倍、4.97倍に増加した。・自殺企図患者は一人もいなかったが、パーキンソン病患者のうち11.6%(14/120例)の患者が生涯の間に自殺念慮を経験していた。

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膝OA痛や慢性腰痛へのデュロキセチン、治療効果の判断はいつ?

 疼痛治療戦略を変更する時期に関する研究は十分ではなく、慢性疼痛における差の1つとなっている。オーストラリア・メルボルン大学のOwen D Williamson氏らは、変形性膝関節症による痛み(膝OA痛)や慢性腰痛症に対するデュロキセチン治療について、その治療戦略を変更する判断時期を明らかにする検討を行った。結果、4週時点での疼痛改善が10%未満の場合は、12週間治療をしても疼痛改善効果の達成は限定的であることを報告した。Clinical Therapeutics誌オンライン版2014年3月17日号の掲載報告。 研究グループは、膝OA痛または慢性腰痛症を有する非うつ病患者を対象とした、デュロキセチン治療とプラセボを比較した試験から、疼痛重症度の変化の事後分析を利用して検討を行った。 分析に組み込むための試験選択は、試験デザインの類似性をベースとした。疼痛重症度は、数値的評価尺度(0:痛みなし~10:最も激しい痛み)を用いて測定し、患者日誌に毎日記録して、24時間平均値を求めてから週平均値を算出し、疾患状態別にプールした。疼痛重症度が、ベースラインから30%以上改善の場合は中等度改善と定義し、10%未満改善の場合は最小改善と定義した。 非改善または最小改善患者について、デュロキセチン治療3ヵ月間での最小改善達成の確率を、治療2、4、6週後にKaplan-Meier法を用いて推算した。同様に、最小改善(疼痛重症度改善30%未満)を達成しなかった全患者についても算出した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、デュロキセチン60または120mg/日投与に無作為に割り付けられた膝OA痛患者239例と慢性腰痛症患者541例であった。・治療2週後に最小改善であった患者が、3ヵ月後に中等度改善を達成する確率は40%未満であった。・治療4週後に最小改善であった患者の場合は、3ヵ月後の中等度改善達成率は膝OA痛で30%未満、慢性腰痛で25%未満であった。・治療2週後に中等度改善であった患者は、中等度改善達成率が膝OA痛62%、慢性腰痛52%であった。・治療4週後に中等度改善であった場合は、それぞれ50%未満および40%未満であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「膝OA痛または慢性腰痛患者でデュロキセチン治療を受けている患者について、4週後の疼痛改善が10%未満(最小改善)である場合は、最終的に12週(3ヵ月)後に最小改善さえ達成することが限定的である可能性が示唆された」とまとめた。

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てんかん患者の精神疾患有病率は健常人の8倍

 アイルランド・ボーモント病院のMaurice J Clancy氏らが行ったシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、てんかん患者において精神疾患を有する人は最大6%存在し、そのリスクは健常対照と比較して8倍高かったことが報告された。また、側頭葉てんかん患者で7%と、とくに高かったことも判明した。てんかんは、精神疾患のリスク因子であると思われてきたが、著者は、「今回明らかになった関連は、さらなる検討により、精神疾患の病因学的な手がかりが得られる可能性を示唆するものである」とまとめている。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年3月13日号の掲載報告。 リスクとしてのてんかんのエフェクトサイズについては、試験方法の違いやてんかんの診断基準の変化などもあり、試験間の所見にはばらつきがみられる。研究グループは、システマティックレビューとメタ解析にて、てんかん患者の精神疾患有病率、ならびに対照群と比較した推定リスクを評価する検討を行った。2010年9月時点でPubMed、OVIDMEDLINEなどの電子データベースをソースに文献検索を行った。検索キーは、有病率、発生率、割合、率、精神疾患、統合失調症、統合失調様障害、てんかん、発作、側頭葉てんかんであった。 主な結果は以下のとおり。・参考文献、文献参照リストも含めた検索の結果、215論文が特定された。そのうち58本(27%)がレビューに関連したデータを有していた。157本はさらなる詳細評価の結果、除外された。・レビュー包含試験のうち10%は、住民ベースの試験であった。・対照と比較した、てんかん患者の精神疾患リスクに関するプールオッズ比は、7.8であった。・てんかん患者における精神疾患のプール推定有病率は、5.6%(95%CI:4.8~6.4%)であった。・試験間の不均一性は大きかった。・側頭葉てんかん患者の精神疾患有病率は7%(同:4.9~9.1%)であった。てんかん患者の発作間欠期の精神疾患有病率は5.2%(同:3.3~7.2%)、発作後の精神疾患有病率は2%(同:1.2~2.8%)であった。関連医療ニュース 扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの特徴は:国立精神・神経医療研究センター てんかん患者の頭痛、その危険因子は?:山梨大学 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か

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うつ病患者、SSRI治療開始1年以内に約半数がセカンド治療に

 大うつ病性障害(MDD)患者において、ファーストライン治療でSSRI投与を受けた人のうち、約半数がセカンドライン治療を受けており、その多くがアドオン療法を受けていることが明らかになった。米国・イーライリリー社のSusan Ball氏らが診療報酬支払請求データベースを分析して報告した。ただしセカンドライン治療は、残存症状の寛解を目標としたものと思われ、著者らは「今回の分析結果は、寛解を達成するために、医師と患者がもっとよりよきパートナーとなり付加的介入を行う必要があることを示唆するものであった」とまとめている。Annals of General Psychiatry誌オンライン版2014年3月19日号の掲載報告。 本検討は、2010年にSSRI単独治療を開始したMDD患者の、治療パターン、治療コストとセカンドライン治療との関連を調べることを目的としたものであった。MDDの診断を受け、SSRI単独治療を受けており、初回処方日が特定できた患者の支払請求データベースを分析して行われた。被験者は、18歳以上で、初回処方特定日より1年前(pre-index)から同1年後(pro-index)の間の治療が保険でカバーされており、pre-index期間中に抗うつ薬の処方を受けていなかった患者であった。患者特性、SSRI開始薬、セカンド治療で最も処方頻度が高かった薬、および年間医療費を分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析には5,012例の患者が組み込まれた。女性が65.2%、平均年齢は41.9歳であった。・最も処方頻度が高かったSSRIは、シタロプロム(30.1%)、セルトラリン(27.5%)であった。・SSRI初回処方特定日後の1年間(pro-index)に、セカンドライン治療を受けた人は52.9%であった。・セカンドライン治療は、アドオン療法の頻度がスイッチ療法の2倍で、アドオン療法において最も多くみられた処方薬は、抗不安薬(40.2%)および抗うつ薬(37.1%)であった。・セカンドライン治療(アドオンまたはスイッチ)を受けた患者は、SSRI治療を継続した患者または治療を中断した患者と比較して、年間医療費が高かった。・なお本検討は、支払請求データベースを用いたもので、投薬量や臨床症状、有害事象、治療反応に関する情報はなく、限定的なものであった。関連医療ニュース 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か SSRI/SNRIへの増強療法、コストパフォーマンスが良いのは 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

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双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか

 双極性障害(BD)患者は大うつ病性障害(MDD)患者に比べて、自殺企図の頻度が高いことが示された。フィンランド国立健康福祉研究所のK Mikael Holma氏らが、BD患者とMDD患者における自殺企図の頻度と要因について調べた結果、自殺企図の要因として、混合性エピソードに代表されるハイリスク病期の期間が長いことが示唆されたという。これまで自殺企図のリスクが、BD患者とMDD患者で異なるのか否かは不明であった。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年3月17日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、BD患者とMDD患者における自殺企図の累積リスク差が、ハイリスク期の期間の違いによりみられるのか、あるいはハイリスク期における単位時間当たりの発生頻度によってみられるのか、あるいはその両方に起因するのかを検討した。Jorvi Bipolar Study(176例、18ヵ月)とVantaa Depression Study(249例、5年間)の2つのコホートを対象に、さまざまな病期における自殺企図発生頻度をプロスペクティブ生命表に基づいて比較した。リスク因子と診断との関連は、Cox比例ハザードモデルを用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・18ヵ月の間に自殺企図をした患者は、BDが19.9%、MDD が9.5%であった。・BD患者では混合性エピソード期は4.6%であったが、大うつ病性エピソード期は35%、閾値下うつ病期は39%であり、いずれもMDD患者(大うつ病性エピソード期:21%、閾値下うつ病期:31%)に比較して長かった。・自殺企図の合計発生頻度は、完全寛解期と比べて閾値下うつ病期は5倍、大うつ病性エピソード期は25倍、混合性エピソード期は65倍高かった。・症状が類似している期間において、コホート間で自殺企図の頻度に差はみられなかった。・Coxモデルにおいて、大うつ病性エピソード期および閾値下うつ病期、過去に自殺企図歴がある患者、女性患者、社会的サポートが乏しい患者、40歳未満の患者においてハザード比は上昇したが、BDの診断との関連はなかった。・以上のことから、BD患者はMDD患者に比べて自殺企図の累積頻度が高かった。これは主にハイリスク病期の期間が長かったことに起因し、ハイリスク病期中の発生頻度や双極性そのものによるものではないと考えられた。・混合性エピソード期は、短期間であるものの、きわめて高頻度の自殺企図と関連していることが示唆され、自殺企図を防止するには、ハイリスク期の期間を軽減することが重要であると考えられた。関連医療ニュース 双極性障害の自殺予防に求められるのは 眠れないと自殺リスクは高まるのか うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

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