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2301.

遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見

 遅発性ジスキネジア(TD)は遅延的かつ潜在的に不可逆的な運動合併症であり、抗精神病薬やメトクロプラミドなどの中枢ドパミンD2受容体拮抗薬を慢性的に投与された患者において発現することがある。TDにおける古典的なドパミンD2受容体過敏仮説は、げっ歯類の研究に端を発しており、ヒトにおける証明は不十分なままである。カナダ・モントリオール大学のSouha Mahmoudi氏らは、TDの神経科学的基礎調査を行うため、霊長類を用いた研究を行った。 Movement disorders誌オンライン版2014年5月16日号の報告。 オマキザルにハロペリドール(中央値:18.5ヵ月、n=11)またはクロザピン(同6ヵ月、n=6)を慢性的に投与した。また、非薬物治療群(n=6)を対照として用いた。線条体ドパミンD1、D2、D3受容体レベルの測定には受容体オートラジオグラフィーを用いた。また、線条体におけるD3受容体/プレプロタキキニンmRNAの共発現およびプレプロエンケファリンmRNAレベルの定量化を調べた。 主な結果は以下のとおり。・ハロペリドール群では5例で軽度のTDが認められた。・クロザピン群ではTDは認められなかった。・クロザピン群と異なり、ハロペリドール群では、前方尾状核被殻内のドパミンD3受容体を強く誘導した。とくに、TDを発現した群においては、結合レベルとTDの強度に正の相関が認められた。・D3受容体のアップレギュレーションは、黒質線条体系の神経細胞で観察された。・一方、D2受容体結合は対照群と同等であり、D1受容体結合は、前方被殻で減少した。・エンケファリンmRNAはどの群においても増加していたが、TDが発現していない群ではより広い範囲で増加していた。 以上の結果より、著者らは「霊長類において線条体D3受容体のアップレギュレーションとTDの相関が初めて示され、ドパミン受容体過敏仮説に新たな洞察が加わると考えられる。このことから、D3受容体は、TDの薬物介入における新規標的となりうることが示唆された」としている。関連医療ニュース 遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学 PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学

2302.

非定型うつ病は肥満になりやすい~前向きコホート研究

 うつ病と肥満の関連性はたびたび報告されているが、そのメカニズムや経時的な順序はよくわかっていない。スイス・ローザンヌ大学病院のAurelie M Lasserre氏らは、肥満の発症とBMI・ウエスト周囲径・体脂肪量の変化を調査し、うつ病におけるサブタイプ(メランコリー型、非定型、混合型、特定不能)が肥満発症の予測因子となるかどうかを検討した。その結果、非定型うつ病が肥満の強力な予測因子であることが示された。JAMA psychiatry誌オンライン版2014年6月4日号に掲載。 本研究は人口ベースの前向きコホート研究(CoLaus/PsyCoLaus)で、スイス・ローザンヌ市の住民から無作為に選ばれ、開始時の身体的・精神医学的評価と追跡時の身体的評価を受諾した参加者3,054人を5.5年間追跡した。参加者は2003年時点で35~66歳(平均49.7歳)で、女性の割合は53.1%であった。 本研究では、遺伝研究のための半構造化診断面接を用いて、開始時および追跡時の診断(DSM-IVによるうつ病のサブタイプ)を行い、社会人口学的特性、ライフスタイル(飲酒、喫煙、運動)、薬物療法についても聴取した。また、追跡期間中のBMI・ウエスト周囲径・体脂肪量の変化(開始時の値に対する変化率)や、開始時に肥満ではなかった参加者の追跡期間中の肥満発症率を検討した。体重・身長・ウエスト周囲径・体脂肪量(生体インピーダンス法)は開始時に測定され、訓練されたインタビュアーがフォローアップした。 主な結果は以下のとおり。・開始時に非定型うつ病であった参加者においてのみ、うつ病ではなかった参加者に比べて、追跡期間中に肥満が増加した。・非定型うつ病との関連性は、広範囲の潜在的交絡因子の調整後においても、BMI(β=3.19、95%CI:1.50~4.88)、肥満発症率(オッズ比3.75、95%CI:1.24~11.35)、ウエスト周囲径(β=2.44、95%CI:0.21~4.66)において男女とも有意であり、体脂肪量(β= 16.36、95%CI:4.81~27.92)においては男性で有意であった。 これらの結果から、著者らは「非定型うつ病は肥満の強力な予測因子である」と結論し、臨床および研究で本タイプを同定する必要性を強調している。また、「非定型の特徴を持つうつ病症状がみられるときは、食欲増進への影響が少ない治療方法が提唱される」としている。

2303.

鎮痛薬+不眠症治療薬の併用、鎮痛薬単独より腰痛+不眠を改善

 米国・デューク大学医療センターのHarold W. Goforth氏らによる、不眠症治療の有効性を検証する二重盲検プラセボ対照並行群間試験の結果、標準的な鎮痛薬と不眠症治療薬の併用は、慢性腰痛患者の疼痛、睡眠、抑うつ症状を有意に改善することが明らかにされた。不眠症は、慢性腰痛患者によくみられる症状だが、これまで長い間、特別治療する必要はないとみなされてきた。しかし最近の研究で疼痛治療に不眠症治療を加えることにより予後が改善することが示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「慢性腰痛患者の日常診療においては、睡眠と疼痛いずれもの治療が重要であることを意味している」と述べるとともに、さらに「睡眠障害の改善が疼痛を改善するというエビデンスが得られた」とまとめている。Sleep誌2014年6月1日号の掲載報告。 試験は、不眠症の診断基準を満たし3ヵ月以上腰痛が続いている慢性腰痛患者52例(平均年齢42.5歳、女性63%)を対象に行われた。 被験者を、エスゾピクロン(ESZ)3mg+ナプロキセン500mg1日2回投与群(ESZ群)とプラセボ+ナプロキセン500mg1日2回投与群(プラセボ群)に無作為に割り付け、1ヵ月間投与した。 主な結果は以下のとおり。・ESZ群はプラセボ群に比べ、主要評価項目とした総睡眠時間が有意に改善した(平均増加時間:ESZ群95分、プラセボ群9分)。・疼痛強度(視覚アナログスケール/ 平均減少量:ESZ群17mm、 プラセボ群2mm)、ならびに抑うつ症状(ハミルトンうつ病評価尺度/ 平均改善度:ESZ群3.8点、プラセボ群0.4点)も、プラセボ群に比べESZ群で有意に改善した。・疼痛強度の変化は、睡眠の変化と有意に相関していることが認められた。

2304.

他の精神科医は薬剤の選択基準をどこに置いているのか

 統合失調症患者に対する抗精神病薬治療のベネフィット・リスク評価にあたり、精神科医はどのように判断を定量化しているのだろうか。また、患者のアドヒアランスはこの判断にどのような影響を及ぼしているのか。米国のMichael A Markowitz氏らが、その答えを明らかにすべく検討を行った結果、精神科医は当然ながら治療法選択にあたって陽性症状の改善を最も重視しており、アドヒアランス低下時には剤形の選択がより重要となることが示された。Psychiatric services誌オンライン版2014年5月15日号の掲載報告。 精神科医にとっての統合失調症治療におけるリスクとベネフィット、代替薬処方に関する相対的重要性について、離散選択モデルを用いたWeb調査により評価した。米国と英国の精神科医は、剤形ごとにさまざまなレベルの改善(陽性症状、陰性症状、社会的機能、体重増加、錐体外路症状、高プロラクチン血症、高血糖)によって特徴づけられる選択肢より回答した。回答者の判断には、過去の患者アドヒアランスの影響を評価に含んだ。ランダムパラメータロジットおよび二変量プロビットモデルにより推定を行った。 主な結果は以下のとおり。・394名の精神科医から回答が集まった。・陽性症状が「改善なし」から「大いに改善」となるシナリオが最も好ましいという結果が得られ、相対的重要度スコアは10と割り当てられた。・その他、重要度の高い順に見ると、陰性症状[改善なし→大いに改善(相対的重要度5.2、95%CI:4.2~6.2)]、社会的機能["severe problems"→"mild problems"(4.6、CI:3.8~5.4)] 、高血糖なし(1.9、CI:1.5~2.4)、15%超の体重増加なし(1.5、CI:0.9~2.0)、高プロラクチン血症なし(1.3、CI:0.8~1.6)、錐体外路症状なし(1.1.CI:0.7~1.5)であった。・剤形については、若干の有効性の変化よりも、アドヒアランス低下例に重要であり、注射剤は毎日の経口剤より好まれた(p<0.05)。関連医療ニュース 抗精神病薬の用量決定時、精神科医が望むことは 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与  担当者へのご意見箱はこちら

2305.

統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か

 ガランタミンとメマンチンの組み合わせ治療は、統合失調症の認知機能改善に有効であることが米国・メリーランド大学のMaju Mathew Koola氏らによる検討プロジェクトの結果、示された。両薬の組み合わせが、いずれか一方の単独療法よりも認知機能を選択的に増強するためだという。今回の結果を踏まえて著者は、「将来的には、統合失調のような複雑な疾患の治療では、マルチターゲットの誘発リガンドが役に立つであろう」とまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月27日号の掲載報告。 プロジェクトは、統合失調症における認知機能改善のための調査と治療の研究(MATRICS)および神経認知と統合失調症研究のための治療ユニットプロジェクトで、統合失調症患者の認知機能改善を治療する新薬開発を促すようデザインされたものであった。 主な知見は以下のとおり。・MATRICSプロジェクトでは、ドーパミン作動性、コリン作動性、グルタミン酸作動性の3つの作用機序を有する薬剤を特定した。・統合失調症を有する人では中程度の認知障害がみられ、それが最も有力な長期アウトカムの予測因子であった。・しかし、現状ではこれら認知障害を有する患者に対する承認薬はなく、疾患関連の障害を改善するため新たな薬理学的アプローチの開発は重大である。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)とメマンチンの併用療法は、アルツハイマー型認知症の認知機能改善に、各単独療法よりも有効である。・ガランタミンは、単なるAChEIではなく、α4β2とα7のニコチン受容体の陽性アロステリックモジュレータでもある。・N-メチル-D-アスパラギン酸塩(NMDA)受容体は、統合失調症の認知症状の病態生理に関連しており、それゆえにメマンチンは認知機能にプラスの影響をもたらす可能性がある。・メマンチンは、tonic NMDA currentを減弱し、ガランタミンはシナプス後部のNMDA currentによる活性を増強すると思われる。このことがシグナル転写の増大に結びつき、両薬の併用時にはメマンチン単独よりも、より大きなシグナルノイズ比が発生する。・ガランタミンは、α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazol-propionate(AMPA)シグナルを改善することで神経保護を可能としており、また記憶コーディングを改善している可能性がある。・以上から、ガランタミンとメマンチンの併用は、いずれか単独よりも選択的に認知機能を増強し、統合失調症における特異的な効果を発揮する可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学  担当者へのご意見箱はこちら

2306.

統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学

 名古屋大学のChenyao Wang氏らは、神経新生などに重要な役割を担っているF-box protein 45(FBXO45)について、統合失調症の病因としての可能性を探るため、統合失調症患者を対象にFBXO45エクソン領域の変異スクリーニングを行った。その結果、新規のまれなミスセンス変異としてR108Cを同定し、FBXO45が統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子となる可能性を示唆した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月27日号の掲載報告。 ユビキチンリガーゼ群のFBXO45は、神経新生、神経細胞遊走およびシナプス伝達に重要である。まれな構造上の変異に関する研究で示されているように、FBXO45は統合失調症の有意なリスクとなる3q29微小欠失領域に存在する。このことから研究グループは、FBXO45を統合失調症の病因候補として有望視できると仮定した。本研究では、統合失調症感受性に寄与する可能性のある、FBXO45におけるまれだが有害な一塩基置換変異(SNVs)および小規模な挿入および欠失(INDELs)について検討を行った。 統合失調症患者337例を対象に、FBXO45エクソン領域の変異スクリーニングをサンガーシーケンシング法により行った。統合失調症患者601例と対照916例の独立したサンプル、変異の臨床結果への影響を評価した症例報告、発端者家族における変異の遺伝を検討した家系研究、変異がタンパク質構造および機能に及ぼす影響を評価するバイオインフォマティクス解析、FBXO45発現に影響を及ぼす変異転写を検討するmRNA発現解析などにおいて、新規のミスセンスまたはノンセンス変異を遺伝子関連解析によりフォローアップした。 主な結果は以下のとおり。・1例の統合失調症患者と彼の健常な母親において、ヘテロ接合性の新規のまれなミスセンス変異(R108C)を同定した。なお、同患者は20歳時に妄想型統合失調症と診断され、3q29欠失表現型を呈し、発病前にIQ低下を認めた。・遺伝子型判定のフォローアップにより、独立したサンプルの統合失調症患者(0/601例)または健常対照(0/916例)において、同変異は発見されなかった。・バイオインフォマティクス解析により、R108CがFBXO45タンパク質の構造と機能に影響している可能性が予測された。・SCZ例におけるR108C変異を伴うFBXO45の相対的な発現は、統合失調症患者50例および健常対照52例と比べた場合、きわめて低かった。・以上のように、FBXO45におけるR108C変異はまれであるが、FBXO45タンパク質の構造と機能を崩壊しうるリスクに少なからず影響を及ぼすことが示された。・FBXO45は統合失調症の病因に関連する、新たな興味深い候補遺伝子と思われた。関連医療ニュース 統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大 ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定  担当者へのご意見箱はこちら

2307.

職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

 職場におけるジョブコントロールとソーシャルサポートが、うつ病、燃え尽き症候群、不眠症に相乗効果をもたらすことが、旭川医科大学の西條 泰明氏らによる調査研究の結果、明らかにされた。またその効果は、仕事の要求度による層別化後、男女間で差があることも明らかになった。この結果を踏まえて著者は、「仕事の要求度およびコントロールだけでなく、仕事のコントロールとソーシャルサポートの相乗効果も考慮することが、仕事のストレスを評価するためには必要である」とまとめている。International Archives of Occupational and Environmental Health誌オンライン版2014年5月23日号の掲載報告。 調査は、旭川市の地方公務員2,121人を対象に行われた。職業性ストレス簡易調査票(Brief Job Stress Questionnaire)を用いて、仕事の要求度、ジョブコントロール、ソーシャルサポートについて評価した。また、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いてうつ病を、マスラック・バーンアウト尺度(MBI-GS)で燃え尽き症候群を、アテネ不眠尺度(AIS)を用いて不眠症に関する評価を行った。考えられる交絡因子で補正したロジスティック回帰分析にて、うつ病、燃え尽き症候群、不眠症に関するオッズ比を求め、職場でのジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果指数を評価した。 主な結果は以下のとおり。・相乗効果指数は、うつ病については男性2.08(80%信頼区間[CI]:1.01~4.27)、女性1.98(同:0.67~5.89)、燃え尽き症候群についてはそれぞれ1.79(同:1.28~2.51)、2.62(同:1.07~6.40)、不眠症は1.92(同:1.22~3.02)、2.77(同:0.43~18.01)であった。・仕事の要求度が高い男性は、要求度が低い男性と比べて、うつ病、燃え尽き症候群に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗的相互効果が高かった。・一方、女性は、仕事の要求度が低い場合に、要求度が高い女性と比べて、燃え尽き症候群、不眠症に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果が高かった。関連医療ニュース 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

2308.

患者とパートナーの仲は腰痛で変わる?

 慢性痛は患者と患者のパートナーとの関係性に、どのような影響を及ぼすのだろうか。英国・キール大学のArani Vivekanantham氏らによる慢性腰痛患者とそのパートナーを対象としたアンケート調査の結果、患者の痛みについて、患者のパートナーがとくにうつ病を有する場合に二人の関係性に質的な影響を及ぼす可能性があることが示唆された。著者は、「診察の際は患者の痛みの背後にある、社会的状況を考慮すべきである」とまとめている。Pain Medicine誌2014年5月号(オンライン版2014年1月21日号)の掲載報告。 本検討において研究グループは、関係性の質の重要な構成要素である「結束」(一緒に活動すること)、「合意」(愛情、性的関係)、「満足度」(葛藤、後悔)に関する患者のパートナーの評価と、患者の慢性腰痛の強度との関連を明らかにすることを目的とした。 患者とパートナーとの関係の質(パートナーが評価)、パートナーのうつ病(パートナーが評価)、患者とパートナーとの関係の長さと患者の疼痛強度(患者が評価)について、自己記入式アンケートにて調査した。 患者のパートナーは71人から回答が得られた。 主な結果は以下のとおり。・患者の疼痛強度と、患者のパートナーが評価する患者とパートナーとの関係性の質との間に、重大な結果は認められなかった。・しかし、パートナーが高度のうつ病の場合、関係性の質に関するパートナーの評価は低かった。・パートナーのうつ病の影響を調整して解析すると、パートナーの「合意」に関する評価と患者の疼痛強度のレベルは正の関係にあった(β=0.54、95%信頼区間[CI]:0.17~0.90、p<0.01)。

2309.

統合失調症治療に園芸療法は好影響をもたらすのか

 園芸療法は、習熟したセラピストまたは医療者による助けのもと、特別な治療目標の達成または単に健康改善のために、果物、野菜、花、木などを利用するプロセスである。同療法は認知、身体的、社会的、感情的およびレクリエーションなどにおけるベネフィットを期待して、治療またはリハビリテーションプログラムとして用いられており、身体的、心理的、精神的状態を改善させるとされている。 中国人民解放軍総医院のYan Liu氏らは、統合失調症患者の5~15%は、薬物療法にもかかわらず症状の持続が認められ、望ましくない有害事象が起こる可能性もあることから、園芸療法が有意義な可能性があるとして、統合失調症または統合失調症様疾患に対する園芸療法の効果を標準治療または他の心理社会的介入とを比較し評価するためシステマティックレビューを行った。しかし、検索されたのは1件の無作為化比較試験で、同試験では、園芸療法+標準治療群のDepression Anxiety Stress Scale(DASS21)スコアの変化は、標準治療単独群に比べ大きいことが示されていたが、試験のエビデンスレベルがきわめて低く明確な結論を導くことはできなかったと報告した。結果を踏まえて著者は、「園芸療法は確立された治療ではなく、質の高いエビデンスを集積するにも、より多くの大規模無作為化試験が必要である」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年5月19日号の掲載報告。 2013年1月にCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを検索し、代表的な試験の著者に問い合わせて補足を行い、参照リストの手作業による検索も行った。その結果、統合失調症患者に対する、園芸療法+標準治療と標準治療単独を比較する1件の無作為化比較試験(RCT)が選択された。試験の質を評価してデータを抽出し、連続アウトカムに対しては平均差(MD)、バイナリアウトカムに対してはリスク比(RR)を算出した(両者とも95%信頼区間[CI]も算出)。バイアスリスクを評価し、GRADE (Grades of Recommendation, Assessment, Development and Evaluation)アプローチを用いて、得られた成績のリストを作成した。 主な結果は以下のとおり。・1件の単盲検試験(合計24例)が選択された。・無作為化は適切であったが、試験のバイアスリスクは不明であった。・同試験では、1日1時間の園芸療法+標準治療を標準治療単独と比較していた。試験期間は長期ではなく2週間であった(連続10日間)。・レビューの結果、追跡不能は2例で、いずれも園芸療法群の症例であった(1 RCT、24例、RR:5.00、95%CI:0.27~94.34、エビデンスの質:きわめて低い)。・Personal Wellbeing Index(PWI-C)スコアの変化において、群間で明らかな差はみられなかったが、信頼区間は広かった(1 RCT、22例、MD:-0.90、95%CI:-10.35~8.55、エビデンスの質:きわめて低い)。・治療終了時における、園芸療法群のDASS21スコアの変化は、対照群に比べて大きかった(1 RCT、22例、MD:-23.70、95%CI:-35.37~-12.03、エビデンスの質:きわめて低い)。・介入に伴う有害事象の報告はなかった。・データの質がきわめて低いため、統合失調症患者に対する園芸療法のベネフィットまたは有害性に関する何らかの結論を下すには、エビデンスが不十分であった。関連医療ニュース 統合失調症に「サッカー療法」その効果は 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大  担当者へのご意見箱はこちら

2310.

双極性障害のミスマッチ陰性電位:九州大学

 九州大学の島野 聡美氏らは、双極性障害患者を対象とし、前注意の自動処理過程を反映すると考えられているミスマッチ陰性電位(MMN)の状況を健常対照と比較検討した。その結果、双極性障害患者では健常対照に比べMMNの減弱が認められ、前注意聴覚機能障害が周波数-MMNm反応の減弱として表れている可能性を示唆した。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 MMNおよびその磁気カウンターパート(MMNm)は、前注意の自動処理過程を反映すると考えられており、入力された刺激情報と先行する刺激の感覚記憶との相違を検出する。統合失調症患者において、MMN/MMNm の減弱が繰り返し報告されている。ヘシュル回 (HG)は、MMNの主要な発生器の1つであり、双極性障害患者ではHG の機能変化が報告されている。本研究では、whole-head 306-chの磁気図(MEG)を用いて、双極性障害患者における周波数-MMNmを検討した。双極性障害患者22例と健常対照22例を試験対象とした。被験者には連続して2種の聴覚刺激を各々2回施行した。標準刺激によるイベント関連脳反応(波形)と逸脱刺激によるイベント関連脳反応(波形)の差を算出して陰性電位を求めた。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者は健常対照と比べ、両側性のmagnetic global field power(mGFP)振幅(p=0.02)およびMMNmの双極子モーメント(p=0.04)において有意な減少を認めた。・入院歴のある患者はない患者に比べ、MMNmのmGFP振幅が有意に小さかった(p=0.004)。・さらに、より重症な躁症状を呈する患者は、MMNmのmGFP振幅がより小さかった(ρ=-0.50、p=0.05)。・双極性障害患者では、前注意聴覚機能障害が周波数-MMNm反応の減弱として表れている可能性が示唆される。また、周波数-MMNmは、双極性障害の全体的な重症度を反映するマーカーになる可能性がある。関連医療ニュース 双極性障害における神経回路異常が明らかに 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分  担当者へのご意見箱はこちら

2311.

がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには

 がん患者ではうつ病を併発することも少なくない。診療ガイドラインでは、がん患者のうつ病に対する認識の改善や迅速かつ適切な管理のために、体系的なスクリーニングを推奨している。台湾・E-Da HospitalのChun-Hsien Tu氏らは、構造化されたツールを使用して、がん入院患者のうつ病をスクリーニングし、その適用性を探索した。Psycho-oncology誌オンライン版2014年5月6日号の報告。 対象はがん入院患者。まず、Taiwanese Depression Questionnaire(TDQ)を使用し看護師によるスクリーニングを行った。その後、陽性患者に対し、精神科医による臨床評価と診断を任意で行った。この2段階の手順を完了した患者を分析サンプルとした。 主な結果は以下のとおり。・27ヵ月間で8,800例の患者をスクリーニングしたところ、1,087例が該当し、そのうち298例(27.4%)が精神科医の診断を完了した。・診断結果は、抑うつ障害群が62.1%(185例)であった。主な疾患は、適応障害23.8%、うつ病21.5%であった。・TDQスコアの結果と、うつ病の臨床診断結果から得られる曲線下面積は0.72であった。・うつ病の最適な診断精度のためのTDQカットオフ値は26以上であった。・この2段階うつ病診断スクリーニングおよび診断ストラテジーは、とくにがん患者のうつ病やその他の抑うつ障害の認識を改善し、包括的ながんケアシステムにおいて日常的に活用可能な方法であると考えられる。関連医療ニュース うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上 せん妄の早期発見が可能に がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…  担当者へのご意見箱はこちら

2312.

日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大

 最近の報告によると、統合失調症患者の約5%は生涯自殺リスクを有しているといわれている。この値は、一般集団の自殺リスクよりも有意に高く、統合失調症患者における自殺リスクの検出は臨床的に重要である。札幌医科大学の石井 貴男氏らは、統合失調症患者の自殺企図の特性を定義するため、自殺を企図した気分障害患者との比較検討を行った。PloS One誌オンライン版2014年5月8日号の報告。 すべての患者は、ICD-10の基準を用いて診断を行った。対象は、F2群(統合失調症統合失調症型障害および妄想性障害)65例とF3群(気分障害)94例。 主な結果は以下のとおり。・F2群は、平均年齢が有意に若く、「過去または現在、精神科治療を受けている」、「精神科治療を3ヵ月以上中断」の項目が有意に高かった。・対照的に、「身体疾患の併存」「自殺企図に際してアルコールを摂取」「遺書を残していた」の項目で、F3群が有意に高かった。・F2群ではより致死的な方法で自殺を試みた。・さらに、「幻覚・妄想」はF2群における最も一般的な動機であり、致死的な自殺企図の方法と有意な関連を示した唯一の要因であった(OR 3.36、95%CI:1.05~11.33)。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには  担当者へのご意見箱はこちら

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抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか

 持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬は統合失調症の治療アウトカムを改善するが、患者の注射への恐怖心や、アドヒアランスが得られないことから、しばしばその処方を見合わせるケースがある。複数の研究で、処方における文化や人種の差が示されている。米国・カリフォルニア大学のSteven G. Potkin氏らは、LAIの抗精神病薬に対する統合失調症患者の認識について、文化および人種差の観点から検討を行った。その結果、LAIに対して好意的な反応を示した患者は少なく、残りは「中立的/消極的」あるいは「不向き」との懸念を示した患者が同数を占めた。ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人それぞれ40例のデータを解析したが、サンプルサイズに限界があり文化や人種に特化した結論は得られなかった。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年5月20日号の掲載報告。 本パイロット研究では、患者のLAIに対する認識について、患者の文化および人種差を検討した。文化/人種サブグループの代表として選択されたLAI処方患者120例(ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人各40例)の会話を、諸外国語に精通した者が解析し、LAIに対する概念および心構えの類似性と相違を検討した。 主な結果は以下のとおり。・LAI未治療でLAIsを提示された患者35例のうち、好意的な反応を示した患者は9%(3例)、中立的/消極的が46%(16例)、不向きとの懸念を示した患者は46%(16例)であった。・好意的または中立的/消極的な反応を示したヨーロッパ系アメリカ人は50%(7/14例)、アフリカ系アメリカ人は63%(10/16例)、ラテン系アメリカ人では40%(2/5例)であった。・35例中20例(57%)と大半がLAI処方を受け入れた。当初、中立的/消極的または拒否した患者は53%(17/32例)であった(ヨーロッパ系アメリカ人42%[5/12例]、アフリカ系アメリカ人53%[8/15例]、ラテン系アメリカ人80%[4/5例])。・治療のゴールを示した患者は57%(68/120例)であった。・陽性/陰性症状のコントロールをゴールとした者は、LAIに対する前向きな心構えと関連していた。一方、不安および不眠症のコントロールをゴールとした者は、LAIに対する心構えがネガティブな傾向にあった。・治療のゴールを示したラテン系アメリカ人は、不快感のコントロールに焦点をあてる傾向にあった(67%[12/18例])。ヨーロッパ系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人のゴールの分布はより均等であった。・なお、サンプルサイズに限界があるため、文化/人種に特化した結論には至っていない。関連医療ニュース どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与 統合失調症への抗精神病薬、第一世代vs. 第二世代の注射製剤の効果は 長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与  担当者へのご意見箱はこちら

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マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに

 これまで、うつ病の一因としてマグネシウム(Mg2+)の1日摂取量の減少が示唆されており、前臨床試験において食事性マグネシウム摂取の制限(MgR)により、うつ病様行動を増強させることが実証されていた。オーストリア・ウィーン大学医学部のMaryam Ghafari氏らは、マウス実験の結果、MgRは脳内のGluN1を含むNMDA受容体複合体を変化させることを報告した。Brain Structure and Function誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 Mg2+はNMDA受容体の活性を抑制することが示されていたが、食事で摂取するMg2+が、脳内のNMDA受容体複合体に影響を及ぼすのかについては明らかになっていなかった。研究グループはマウスを用いて、食事性MgRが、脳内のNMDA受容体サブユニット構造体の変化を誘発し、NMDA受容体調節機能を変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・MgRは、GluN1を含むNMDA複合体の扁桃体-視床下部タンパク質量の減少と関連していることが示され、うつ病様行動強化を誘発したことが明らかになった。・食事で摂取するMg2+の減少によるGluN1 mRNA値の変化はみられず、転写後の変化は認められなかった。・タンパク質同士の相互作用の可能性を明らかにするために、GluN1の免疫沈降法およびPLA(proximity ligation assays)を行った。予想されたGluN1サブユニットとGluN2A、GluN2Bの関連が明らかになり、また既知の下流シグナルタンパク質に加えて新たにGluA1、GluA2との相互作用も明らかになった。・MgRマウスへのパロキセチン長期投与は、強化されたうつ病様行動を正常化したが、GluN1を含むNMDA受容体量は変化せず、NMDA受容体の下流にターゲットがあることが示された。・現時点のデータから、食事性MgRは脳のGluN1ほかGluN2A、GluN2B、AMPA受容体GluA1、GluA2といくつかのプロテインキナーゼなどを含むNMDA受容体複合体量を変化させたことが示された。・これらのデータは、食事性Mg2+摂取の調節が、MgRにより誘発・強化されたうつ病様行動との関与を示す受容体複合体の機能とシグナルを変化しうることを示すものであった。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 小児ADHD、食事パターンで予防可能か NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム  担当者へのご意見箱はこちら

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若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに

 10代の若年発症統合失調症患者では、神経学的ソフトサイン(neurological soft signs:NSS)の有病率およびスコアが高いことが明らかとなった。NSSは、中枢神経系の特定領域を限定せず、また特定の神経症症候群にも属さないわずかな脳の発達障害を示すサインである。一般的に統合失調症のような疾患症例で観察され、とくに18歳未満の若年発症における脳発達モデルの裏付けとなる。実際にNSSは、統合失調症患者における臨床的、認知的、電気生理学的および脳の障害を反映する神経解剖学的なマーカーに属しているという。検討を行ったチュニジア・Razi病院のS. Bourgou Gaha氏らは、「それらは脳の構造的な異常を示すもので、脳の発達障害に帰結し、脳の発達障害に関する病理学的な仮説を裏付けるものである」と述べている。Encephale誌オンライン版2014年5月19日号の掲載報告。 研究グループは、若年発症統合失調症と診断された思春期の患者におけるNSSの有病率、スコア、その後の経過について健常対照との比較を行った。検討では、NSSと人口統計学的・臨床的特性および治療特性との相互関係について調べた。試験は、同院の小児精神科部門で思春期患者12例を集めて行われた。患者はKiddie SAD PL補足版DSM-IVで統合失調症と診断されていた。また、年齢、教育レベルで適合させた、家族に精神疾患患者がおらず本人にも治療歴のない12例の健康対照と比較した。患者の臨床症状は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて評価を行った。NSSは、Krebs氏らが2000年に行った2群について検討したNeurological Soft Signs Examinationで評価した。尺度は23項目から構成され、運動協調性、運動統合機能、知覚統合、不随意運動と左右の機能分化の質などを調べた。 主な結果は以下のとおり。・調査対象者の平均年齢は、14.7歳であった。平均発病年齢は12.2歳で、男女比は1.4対1、教育を受けた期間(レベル)は7.4年であった。・PANSS平均総スコアは74.3点であった。・抗精神病薬の1日平均投与量(クロルプロマジン換算)は、523.9mg/日であった。4例の患者が、抗精神病薬の単独強化療法を受けていた一方で、その他の患者は2つの神経遮断薬の投与を受けていた。・NSSの有病率は100%(カットオフ値11)で、総スコアの平均値は29.3±4.1であった。スコアが最も高かったのは運動協調性であった(10.1)。・対照群では総スコアの平均値は7±1.3であった。・患者と対照では、すべてのNSSのサブスコアについて非常に有意な格差が認められた。・患者において、年齢とNSS総スコア(p=0.05、r=-0.57)、および知覚統合スコア(p=0.04、r=-0.58)との間にいずれも逆相関の関連がみられた。・また、NSS総スコアは、教育レベルが低いこととも関連していた(p=0.03、r=-0.61)。・NSSスコアとPANSSスコアまたは抗精神病薬の1日投与量との間には、相関性はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 双極性障害における神経回路異常が明らかに 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所  担当者へのご意見箱はこちら

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頭の万力がとれた【Dr. 中島の 新・徒然草】(019)

十九の段 頭の万力がとれたその患者さんは70代の男性。以前から頭痛があって通院しておられ、いろいろな薬を試していたのですが、なかなか症状が改善しません。中島「こうなったら最後の手段です。頭痛名人に頼みましょう」患者「頭痛名人?」中島「普通のクリニックの先生ですけど、難しい頭痛を治してくれるんですよ。ちょっとばかり遠いのと、やたら混んでいるのだけ我慢してください」患者「でも、私はここで治してもらいたいんです」中島「いやいや、私のほうとも縁が切れるわけではありません。これからも通院していただいて、状況をチェックすることにしましょう」患者「わかりました。そのクリニックはどこにあるのでしょうか?」というやり取りの後、頭痛名人に紹介いたしました。そして、1ヵ月後。患者「先生、頭の万力がとれました!」中島「ホンマですか?」患者「ウソみたいなホントの話です」中島「そうか、さすが頭痛名人!」患者さんは、これまで頭を締め付けていた万力がとれたみたいで晴れ晴れとした表情。実際に治療したのは頭痛名人ですが、正しく名人に紹介した私も嬉しい気分です。中島「ところでどんな薬を使ったのかな」患者「これですよ、これ」中島「アミトリプチリン(トリプタノール® 10mg錠)? これ、前に出したことありますよ。でも副作用が出たので、やめたんじゃなかったかな」患者「そうやったかな」アミトリプチリンなら、私も以前にこの患者さんに処方したことがあります。でも喉が渇くし、翌日まで眠いしで、御自分で中止してしまっていたのです。中島「名人の処方は『寝る前に半錠』か、これがコツかも!」患者「夜もよく眠れるようになりました」中島「ぬぬっ、一石二鳥か」私が出していたのは1錠だけだったのですが、それでも翌日の日中まで眠気が残っていたようです。半錠だけ出すのが頭痛治療のポイントなのかもしれません。緊張型頭痛は片頭痛に比べると診断も治療もわかりにくいところがあるように思います。でも、これからは頭痛名人を見習って「アミトリプチリンを寝る前に半錠」を試してみましょう。それにしても「万力がとれた」とは言い得て妙ですね。※ 錠剤を2つに割る方法として、スプーンの裏側の凸面に錠剤を置き、両手でおさえて「パキン!」とやると上手くいくので、患者さんにアドバイスすると喜ばれます。※アミトリプチリンは本来うつ病の薬であり、頭痛に使うのは適応外処方ですが、平成24年9月24日に厚生労働省保険局医療課長より「原則として、「アミトリプチリン塩酸塩【内服薬】」を「片頭痛」、「緊張型頭痛」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」と通達がありました。

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統合失調症への抗精神病薬、第一世代vs. 第二世代の注射製剤の効果は

 長時間作用型注射製剤の抗精神病薬は、幅広い統合失調症疾患群で薬物治療のアドヒアランスおよび再発の低下を目的に用いられている。しかし、第二世代と第一世代の抗精神病薬について、長時間作用型注射製剤に関する相対的な有効性の評価は行われていなかった。米国ジョージア・リージェンツ大学のJoseph P. McEvoy氏らは、統合失調症または統合失調感情障害の成人患者を対象に、第二世代のパリペリドンパルミチン酸と第一世代のハロペリドールデカン酸の有効性を比較する多地域二重盲検無作為化試験を行った。その結果、パリペリドンパルミチン酸治療は、ハロペリドールデカン酸治療と比べて、治療不成功について統計的有意差は示されなかったことが明らかにされた。一方で、体重増加や血清プロラクチン値上昇との関連が認められたが、アカシジアとの関連はハロペリドールデカン酸でみられた。著者は、「それでも信頼区間(CI)値から、パリペリドンパルミチン酸には臨床上の有効性のアドバンテージがある可能性は排除できない」と述べている。JAMA誌2014年5月21日号の掲載報告。 試験は2011年3月~2013年7月に米国内22施設で行われた。無作為化を受けた被験者は、統合失調症または統合失調感情障害と診断された成人で、再発リスクがあり、長時間作用型注射製剤の抗精神病薬が有益だと考えられた成人の患者であった。主要評価項目は治療不成功で、精神科病院への入院、急性期症状で安定化を要した、外来通院頻度が大きく増大、担当医が長時間作用型注射製剤の投与開始後8週間以内に経口薬を中止できなかった、あるいは有益性が不十分であるとして注射製剤投与を中止した、により特定した。主要副次アウトカムは、抗精神病薬治療の一般的な有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・被験者は311例で、筋注で24ヵ月にわたり毎月1回、ハロペリドールデカン酸25~200mgもしくはパリペリドンパルミチン酸39~234mgの投与を受けた。・パリペリドンパルミチン酸の治療不成功率は、ハロペリドールデカン酸と比較して統計的有意差はみられなかった(補正後ハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.65~1.47)。・治療不成功の患者数は、パリペリドンパルミチン酸群49例(33.8%)、ハロペリドールデカン酸群は47例(32.4%)であった。・平均して、パリペリドンパルミチン酸群では体重増加が、ハロペリドールデカン酸群では体重減少がみられた。6ヵ月時点で、パリペリドンパルミチン酸群の患者の体重(最小二乗法で変化の平均値を算出)は2.17kg(95%CI:1.25~3.09)増加し、ハロペリドールデカン酸群では-0.96kg(同:-1.88~-0.04)低下した。・パリペリドンパルミチン酸投与患者は、血清プロラクチンの最大平均値が有意に高値だった。すなわち、男性では34.56μg/L(95%CI:29.75~39.37)vs. 15.41μg/L(同:10.73~20.08)であり、女性は75.19μg/L(同:63.03~87.36)vs 26.84g/L(同:13.29~40.40)であった(男女ともp<0.001)。・ハロペリドールデカン酸投与患者では、アカシジアの全体評価において有意な増大がみられた(0.73[95%CI:0.59~0.87] vs 0.45 [同:0.31~0.59]、p=0.006)。関連医療ニュース 月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか 第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は

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双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場

 米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U Correll氏らは、双極性障害(BD)の症状に対する初めての特異的質問票であるBipolar Prodrome Symptom Interview and Scale-Prospective (BPSS-P)の有用度を検討した。その結果、内部整合性、評価者間信頼性、診断群間の識別能などにおいて「良好~優」であることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 本研究の目的は、BDの症状に対する初めての特異的質問票であるBPSS-Pの心理測定法の特徴を検討することであった。BPSS-Pが施行された12~23歳の若年者やその介護者(両方またはいずれか)、計205例を対象とした。対象者のうち、気分スペクトラム障害患者は129例で、内訳はうつスペクトラム障害が77例、他に分類されない気分障害(NOS)が27例、BD-NOSが14例、双極性障害Ⅰ型(BD-I)/双極性障害II型(BD-II)/循環気質が11例であった。このほか、非気分スペクトラム障害が34例、健常対照(HCs)が42例であった。 主な結果は以下のとおり。・BPSS-P Mania (Cronbach's α=0.87)、BPSS-P Depression(Cronbach's α=0.89)およびBPSS-P General Index(Cronbach's α=0.74)の内部整合性は「良好~非常に良好」であった。・BPSS-P総スコア(ICC=0.939)、 BPSS-P Mania(ICC=0.934)、BPSS-P Depression(ICC=0.985)、およびBPSS-P General Index(ICC=0.981)の評価者間信頼性は「高」であった。・以下のツール間で高い識別能が示された(ρ≧0.50)。  BPSS-P Mania IndexとYMRS、GBI-M-10、CHT  BPSS-P Depression IndexとMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)およびCHT  BPSS-P General IndexとGBI-M-10、CHT・BPSS-P Mania IndexとMADRS、BPSS-P Depression Index、YMRSとの間の収束的妥当性は、予想どおり小さかった(ρ=0.10~0.30未満)。・BPSS-Pとそのサブスケールにより、各患者群とHCsおよび非気分スペクトラム患者が識別された(BPSS-P General Indexを除き)。・BPSS-P総スコアは、BD-I/BD-II/循環気質とうつスペクトラム患者を識別し、BPSS-Mania Indexは双極スペクトラムグループの3つすべてを、うつスペクトラム患者と識別した。 ・以上より、BPSS-Pは「良好~優れた」心理測定法であると思われた。さまざまな局面での使用と予測妥当性についてはさらなる検討が求められる。関連医療ニュース 「笑い」でうつ病診断が可能に うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサイン

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帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ

 帯状疱疹リスクは、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、COPD、喘息などの疾患を有している人では増大し、概して年齢が若い人でリスクが大きいことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHarriet J Forbes氏らが、2000~2011年の同国で帯状疱疹と診断された14万4,959例を対象とした症例対照研究を行い明らかにした。英国では2013年より新たに、高齢者のみを対象とした帯状疱疹ワクチンの接種キャンペーンが始められたが、これまで帯状疱疹リスクを定量化した大規模な検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告より。英国14万4,959症例を、年齢別に疾患リスクとの関連を分析 最近の文献報告において、帯状疱疹のリスクが一部の疾患で増大すること、および若い人のリスクが高い可能性が示唆され、研究グループは、年齢別に影響があると思われる帯状疱疹のリスク因子の定量化を試みた。具体的には、英国プライマリ・ケアのデータベースであるClinical Practice Research Datalinkを活用して症例対照研究を行った。 2000~2011年に帯状疱疹と診断された14万4,959例と、年齢・性別・診療状況で適合した対照54万9,336例を特定し、年齢ごとの各リスク因子と帯状疱疹との関連の強さを、条件付きロジスティック回帰分析にて補正後オッズ比(OR)を求めて評価した。関節リウマチ患者は1.46倍、相対的に疾患のある若い人でリスクが高い 症例群と対照群の年齢中央値は、62歳であった。 分析の結果、帯状疱疹リスクの増大因子として、関節リウマチ(2.1%vs. 1.5%、補正後OR:1.46、99%信頼区間:1.38~1.55)、IBD(1.3%vs. 0.9%、同:1.36、1.26~1.46)、COPD(4.7%vs. 3.7%、同:1.32、1.27~1.37)、喘息(7.1%vs. 5.8%、同:1.21:1.17~1.25)、慢性腎臓病(6.0%vs. 5.4%、同:1.14、1.09~1.18)、うつ病(4.7%vs. 4.0%、1.15、1.10~1.20)が認められた。 糖尿病との関連は部分的で、1型では関連がみられたが(0.3%vs. 0.2%、同:1.27、1.07~1.50)、2型では関連はみられなかった(7.1%vs. 6.9%、同:1.01、0.98~1.04)。 また年齢別(50歳未満、50~59歳、60~69歳、70歳以上)でみると、若年の患者でリスクが高いことがみてとれた。たとえば、関節リウマチ患者の補正後ORは、50歳未満では1.69であったが、70歳以上では1.41となっていた。 帯状疱疹のリスクが最も高かったのは、帯状疱疹ワクチンの接種が非適格である重度の免疫抑制状態患者の患者で、リンパ腫患者の補正後ORは3.90(99%CI:3.21~4.74)、骨髄腫2.16(同:1.84~2.53)などとなっていた。 以上のように、疾患を有している人では帯状疱疹のリスクが増大することが判明した。また概して、リスクの増大は若年者でより高いことが明らかになった。 これらの結果を踏まえて著者は、「現在推奨されているワクチン接種は、帯状疱疹リスクが高い人には禁忌であることが明らかになった。まった、これらの人々にはリスクを抑制するための別の戦略が必要であることが明確になった」とまとめている。

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統合失調症患者への抗精神病薬、神経メカニズムへの影響は

 統合失調症患者の記憶を含む認知機能は、機能的転帰と強く相関している。長期増強(LTP)は、記憶のための生理学的基礎であると考えられる神経メカニズムのひとつである。抗精神病薬は、ドパミン作動性伝達を変化させることにより、このLTPや認知機能を損なう可能性がある。カナダ・トロント大学のRae Price氏らは、LTPに対する抗精神病薬とD2アンタゴニストとの関係を評価するために、系統的レビューを実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2014年5月10日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・LTPと抗精神病薬に関する大部分の研究によると、抗精神病薬の急性投与は、野生型動物のLTP障害と関連していた。・対照的に、統合失調症動物モデルでは抗精神病薬の連用および急性投与のどちらもLTP障害との関連は認められなかった。・クロザピンとオランザピンを除く定型および非定型抗精神病薬、およびその他のD2アンタゴニストでは、同様の結果であった。・クロザピンでは、強直誘発の独立した増強要因であった。また、オランザピンでは、破傷風誘発の増強を促進していた。・これらの研究は、モデル動物で実施されており、統合失調症患者に対する抗精神病薬の影響は限定的である。・慢性的に抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者でのさらなる研究は、これら薬剤の効果を理解するうえで重要であると考えられる。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 双極性障害における神経回路異常が明らかに

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