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2201.

ベンゾジアゼピン処方、長時間型は大幅に減少

 ベンゾジアゼピン系薬(BZD)やベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(Z薬)の長期投与は、潜在的に生理的および精神的依存性や、その他の有害事象と関連している。デンマークのSophie Isabel Eriksen氏らは、同国における過去10年間の、BZDの処方の変化を調べた。その結果、長時間型は短時間型と比べて減少幅が大きかったことを報告した。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2014年11月10日号の掲載報告。 研究グループは、デンマークにおける過去10年間の、長時間型BZD(半減期10時間超)の処方について短時間型BZDと比較して分析した。デンマーク医薬品統計レジスターから、2003~2013年のプライマリヘルスケア分野における、個人に対する全BZDとZ薬の全販売データを記述的に分析した。処方箋データは、国内すべての地域薬局および病院薬剤部を対象としたものであった。 主な結果は以下のとおり。・長時間型BZDの処方は、住民1,000人当たりで2003年の25.8 DDD(defined daily dose:1日投与量)から、2013年は8.8 DDDへと減少していた(相対的減少66%)。・短時間型BZDの処方は、同26.1 DDDから16.4 DDDに減少していた(相対的減少37%)。・本調査の処方データは、治療開始にあたっての適応に関する情報が不明であった。また、コンプライアンス問題のために、処方薬は実際には処方通りに服用されていなかった可能性がある。・処方の減少は、依存性薬物に関する国のガイドライン新規導入に伴ってみられたが、今回の調査はその関連性を検出するようにデザインされておらず、因果関係は不明であった。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは  担当者へのご意見箱はこちら

2202.

小児てんかんの死亡率を低下させるために

 米国疾病予防管理センター(CDC)のAnbesaw W. Selassie氏らは、2000~2011年までのサウスカロライナ州における小児てんかんの死亡率、ならびにチーム医療がアウトカムに及ぼした影響などについて調査を行った。その結果、小児てんかんの全死亡率は8.8/1,000人年で、死亡の年間リスクは0.84%であることを報告した。そのうえで、チーム医療介入がアウトカムを改善すること、とくに併存症(co-occurring conditions)を有する患者への適切かつタイムリーな介入が早期死亡リスクを減少させうるとした。Morbidity and Mortality Weekly Report 2014年11月7日号の掲載報告。 てんかんは小児期における一般的な神経系疾患で、米国の2007年における0~17歳のてんかん児は推定45万人。そのうち特別な治療を必要とするてんかん児のおよそ53%が併存症を有しているが、包括的なケアを受けているのは3分の1にとどまっているという。これまでに、てんかん児と一般集団とを比較した死亡リスクの検討において、併存症を有するてんかん児ではよりリスクが高い一方で、併存症を有していないてんかん児の死亡リスクは一般集団と同程度であることが示されていた。しかしながら、検討された試験は少なく、実施された試験もサンプル数が少なく、比較が限定的で代表的なデータとはいえないことから、研究グループは、「超過死亡をより正しく把握するためには、てんかん児の死亡率に関する広範なサーベイランスの必要性が示唆される」として本検討を行った。 検討は、2000~2011年までのサウスカロライナ州におけるてんかん児の死亡率について、人口動態的特性および死因の側面から行った。 主な結果は以下のとおり。・てんかん児の全死亡率は8.8/1,000人年で、年間死亡リスクは0.84%であった。・てんかん児の主な死因は、病状進行、心血管障害、外傷であった。・医療および医療以外のシステムとの協同によるチーム医療によりアウトカムの改善が可能であり、特別な医療サービスを必要とする小児におけるコスト軽減につながると思われた。ただし、いずれもさらなる検討が求められる。・てんかん児、とくに併存症を有する患児には、適切かつタイムリーな医療・ソーシャルサービスの投入が、早期死亡リスクを減少させる可能性があった。・「チームケア」が、てんかん児のアウトカムを改善するか否かの評価にあたっては、医療従事者、ソーシャルサービス提供者、支援団体などが協働することが望ましい。関連医療ニュース 小児てんかんの予後予測、診断初期で可能 小児てんかん患者、最大の死因とは 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

2203.

精神科病棟への長期入院の予測因子は

 老年精神科の病床数は限られている。カナダ・カルガリー大学のZahinoor Ismail氏らは、高齢者の精神科病院の入院期間の予測因子を明らかにするため検討を行った。その結果、入院期間は概して入院時の臨床特性により予測されることが明らかになった。長期入院の予測因子は、無能力、陽性症状が認められることであり、認知症は長期入院の予測因子ではなかったという。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年10月21日号の掲載報告。 研究グループは、2005~2010年における大都市の精神科病院の入院および退院データをレトロスペクティブに分析した。人口統計学的および臨床情報(入院72時間以内)を集約し、resident assessment instrument - mental health(RAI-MH)を用いて評価し、認知症と非認知症の高齢患者の比較を行った。なお入院期間の予測因子は、一連の一般線形モデルを用いて確認した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、認知症高齢患者169例、非認知症高齢患者308例であった。・本検討集団において、認知症の診断は長期入院の予測因子ではなかった。・内科併存疾患が複数あることは、入院期間と逆相関の関連性を示した。すなわち、併存疾患が多いほど入院期間は短く、また非認知症高齢者よりも認知症高齢者のほうが短かった。・認知症の有無にかかわらず、無能力および陽性症状は、長期入院の予測因子であった。・一方、入院時の疼痛は、短期入院の予測因子であった。関連医療ニュース 入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上  担当者へのご意見箱はこちら

2204.

統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学

 抗精神病薬は、統合失調症の治療の柱であり、その効果は数百件の無作為化臨床試験によって確立されたものである。しかしながら、ベースライン時の症状の重症度を問わず有効なのか、どれぐらい効果があるのかは解明されていない。京都大学の古川 壽亮氏らは、統合失調症の初期重症度と抗精神病薬の有効性についてメタ解析にて検討した。その結果、抗精神病薬の効果は、急性期およびより陰性症状が主体となっている統合失調症の、全スペクトラムにおいて期待できるとの示唆が得られたことを報告した。所見を踏まえて著者は、「医師は、スペクトラムで軽症に向かっている患者については、症状改善の効果が減少している一方で有害作用のリスクが高まっていることに気付かなくてはならない。同時に、寛解期の患者の再発予防を見据えた抗精神病薬の使用に配慮する必要があり、この点が本検討の主眼であった」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号掲載の報告より。 研究グループは、統合失調症のベースライン時の重症度の違いにより抗精神病薬の効果が異なるのかを調べた。検討は、3件の急性期統合失調症患者が参加した試験(611例)と3件の陰性症状が主体となっている統合失調症患者が参加した試験(475例)の患者データをメタ解析し行われた。治療介入は、オランザピンまたはリスペリドンvs.プラセボ、アミスルピリドvs.プラセボであった。主要評価項目は、試験開始から6週時点までの、陽性陰性症状評価尺度(PANSS、スコア範囲:30~210)と、陰性症状評価尺度(SANS、スコア範囲:0~125)のスコアの変化であった。試験薬群およびプラセボ群の、ベースライン時からのスコア変化の関連性を8つの競合ミックス効果モデルで反復評価した。 主な結果は以下のとおり。・最適モデルでは、両タイプの患者において、ベースライン時の症状重症度と治療の相互作用は統計的に有意であった(p<0.01)。・ベースライン時の症状が重症であるほど、実薬群とプラセボ群の群間差は大きかった。・急性期の治療において、PANSSスコア変化の差の平均値は、ベースライン時の精神疾患が軽度の患者では9.5ポイント(ベースライン時のPANSSスコア58)、中等度では13.7ポイント(同75)、顕著では18.8ポイント(同95)、重度では24.0ポイント(同116)であった。・陰性症状が主体となっている患者の治療では、SANSスコア変化の差の平均値は、ベースライン時の精神疾患が中等度の患者では1.7(ベースライン時のSANSスコア55)、中等度では5.7(同70)、重度では9.7(同85)であった。関連医療ニュース 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 アリピプラゾール経口剤⇒注射剤への切り替え、その安全性は  担当者へのご意見箱はこちら

2205.

抗精神病薬の皮質線条体系への影響を検証

 統合失調症初回エピソード患者における、第二世代抗精神病薬による治療と大脳にある線条体の機能的結合性との関連について、米国・ジャッカー・ヒルサイド病院のDeepak K. Sarpal氏らが検討を行った。その結果、治療による精神症状改善に伴い、前頭葉部位との機能的結合性が増大する正の関連性や、頭頂葉内での機能的結合性が低下するといった負の関連性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。 研究グループは、前向き無作為化試験の手法にて、統合失調症の初回エピソード患者24例と健常対照(年齢、性別、教育、利き手で適合)24例を対象に検討を行った。治療薬(リスペリドンまたはアリピプラゾール)は二重盲検無作為化の手法を用いて投与した。患者群について、ベースライン時と治療12週間投与後に画像検査を行い、また症状について、簡易精神症状評価尺度(BPRS)を用いた評価が行われた。健常対照群には、12週間間隔で2回の画像検査が行われた。主要評価項目は、機能的MRIで評価した線条体の機能的結合性で、その変化についてBPRS評価の低下と比較し検討した。 主な結果は以下のとおり。・患者群24例は、画像検査前に抗精神病薬治療を中央値1日(平均4.5[SD 6.1]日)受けていた。・患者群のうち11例がアリピプラゾールを、13例がリスペリドンによる治療を受けた。・症状の改善に伴い、線条体と前帯状束、背外側前頭前皮質、また海馬や前島などの辺縁系部位との機能的結合性の増大が観察された(多重比較調整後p<0.05)。・一方で、負の関連性として、精神症状の改善に伴い、頭頂葉内での線条体の機能的結合性の低下が観察された(多重比較調整後p<0.05)。・以上のように、精神疾患における皮質線条体系の機能的結合性の異常は、症状依存性であることが示された。 結果を踏まえて、著者らは「前頭葉前部や辺縁系部位との、線条体の機能的結合性の増大は、抗精神病薬治療に関連した症状改善のバイオマーカーとなりうる」とまとめている。関連医療ニュース 遅発型統合失調症、脳の変化に違い:産業医大 抗精神病薬が脳容積の減少に関与か 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学  担当者へのご意見箱はこちら

2206.

レビー小体病を画像診断で層別解析

 パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)は、レビー小体病(LBD)と総称される。神経症状を欠く一次性レビー小体病(pure psychiatric presentation:PPP)は、明らかなパーキンソン症候がなく、長年にわたり認知障害が続くという精神症状において、第四のサブタイプといえるかもしれない。石川県・粟津神経サナトリウムの小林 克治氏らは、60例のmeta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィー検査の解析を行い、層別解析結果を報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 本研究では、心筋MIBG検査で低集積がみられる被験者が、PPPを有するかを検討することが目的であった。心筋MIBGを受けた60例(女性28例、男性32例)を、精神医学的な画像診断に基づき、うつ病群(D群、27例)、単独幻視群(V群16例)、精神病群(P群17例)の3群に層別化した。56例については、脳SPECT検査も行われ、37例で血流低下が認められ、19例で異常所見はみられなかった。それらに基づき最終的な診断(PD、PDD、DLB、PPP)を、DSM-IV、統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、Mini-mental state examination(MMSE)を用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・D群(うつ病)患者のうち、40%はパーキンソン症候を伴わないうつ病と診断された。しかし、約50%は典型的なパーキンソン症候が認められた。・P群(精神病)患者の大半は、PDDまたはDLBの病像を呈した。・統計的分析により、「V-DLB後頭葉血流低下群」「SPECT異常なしD-PD群」「側頭葉血流低下P-PDD群」「SPECT異常なしD-PPP群」の4つの組み合わせが示された。・PPPは大うつ病性障害を特徴とし、LBD予備群、PDのうつの前駆症状の可能性がある。PDDを特徴付けるにあたり、精神病と認知症は質的に同等であった。関連医療ニュース レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

2207.

うつ病+認知障害への有効な治療介入は

 うつ病と認知障害を有する高齢者に対しては、抗うつ薬の効果は限定的である。また、心理社会的介入の効果はこれまで十分に検討されていなかった。このような患者に対し、問題適応療法(problem adaptation therapy:PATH)が、認知障害支持療法(ST-CI)よりも、病状の低減に有効であることが、米国・ウェイル・コーネル・メディカル大学のDimitris N. Kiosses氏らによる無作為化試験の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。 試験は同大研究所で2006年4月~2011年9月に行われた。被験者は、大うつ病、中等度認知症レベルの認知障害を有している65歳以上の74例で、無作為にPATH群とST-CI群に割り付けられ、週1回12週間にわたる介入を自宅で受けた。検討ではミックス効果モデルを用いて、12週間介入の両群の効果を比較した(途中離脱者は14.8%)。主要アウトカムは、うつ病(モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度[MADRS]で評価)および障害(World Health Organization Disability Assessment Schedule II[WHODAS 2.0]で評価)の改善であった。 PATHは、代替戦略、環境適応、介護者支援を統合した問題解決アプローチで、患者の感情調節を図る。一方のST-CIは、情動、理解、共感の表出にフォーカスを当てた介入の方法である。 主な結果は以下のとおり。・12週間介入において、PATH群のほうがST-CI群よりも、うつ病(Cohen d:0.60、95%信頼区間[CI]:0.13~1.06、治療×期間 F1,179=8.03、p=0.005)、障害(同:0.67、0.20~1.14、F1,169=14.86、p=0.001)ともに有意に大きく改善した。・さらに副次アウトカムのうつ病寛解率も、PATH群のほうがST-CI群よりも有意に高値であった(37.84% vs. 13.51%、χ2=5.74、p=0.02、NNT=4.11)。 今回の結果を踏まえて、著者らは「PATHは、うつ病と認知障害を有する、治療選択肢がほとんどない高齢者の大規模集団に好影響をもたらす可能性がある」とまとめている。関連医療ニュース 認知症の精神症状、さらなる評価が必要 高齢者への向精神薬投与、認知症発症リスクと強く関連 若年双極性障害への治療効果を高めるには  担当者へのご意見箱はこちら

2208.

コーヒーをよく飲む糖尿病者はうつが少ない

 糖尿病患者では、非糖尿病者よりもうつ病の頻度が高いとの報告がある。うつ病と糖尿病には因果関係や双方向の関連性がみられるが、これまで糖尿病患者の食品摂取頻度が抑うつ症状に及ぼす影響について、十分に検討されていなかった。長崎県立大学の大曲 勝久氏らは、糖尿病患者における食品摂取頻度を調査し、コーヒー摂取が非抑うつ状態の独立した予測因子であることを明らかにした。Journal of clinical biochemistry and nutrition誌2014年9月号(オンライン版7月31日号)の掲載報告。 本検討は日本人2型糖尿病患者89例(年齢62.8±7.8歳)を対象とした横断研究。自記式質問票を用いて、食品摂取頻度、糖尿病の変数、身体活動、抑うつ状態(HADSの抑うつ・不安項目)を調査した。抑うつ状態は、HADSの総スコアが10超の場合を うつ病“definite”(確実)例、8~10を“probable”(ほぼ確実)例と定義した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病“definite”例(以下、うつ病群)は、16.9%であった。・うつ病群と非うつ病群において、糖尿病罹患期間、HbA1c値、糖尿病性細血管合併症、身体活動レベルは同程度であった。・うつ病群の患者は、非うつ病群と比べて、総脂質量、n-6系多価不飽和脂肪酸、脂質エネルギー比率が有意に低く、炭水化物エネルギー比率は有意に高かった。・コーヒー摂取は抑うつ症状と逆相関の関係にあったが、紅茶や緑茶と抑うつ症状との間に有意な関連は認められなかった。・ロジスティック回帰分析の結果、糖尿病患者において、コーヒー摂取は非抑うつ状態の独立した予測因子であった。これは、コーヒーに含まれるカフェイン以外の生物活性化合物の働きによると考えられる。

2209.

抗てんかん薬、ペットのてんかんにも有効か

 イヌの特発性てんかん(IE)の治療には、さまざまな抗てんかん薬(AED)が使用されているが、それらの臨床的有効性に関する情報は限定的なものであった。英国ロンドン大学ロイヤル・ベタリナリー・カレッジのMarios Charalambous氏らは、従来エビデンスの評価を行うことを目的に、イヌのてんかん治療について系統的レビューを行った。BMC Veterinary Research誌2014年10月号の掲載報告。 系統的レビューは、PubMed、CAB Directをソースとして、発表期日や言語に制限を設けずに検索して行われた。カンファレンス議事録も検索対象とし、イヌIEへのAEDの有効性を客観的に記述しているピアレビュー完遂試験を包含した。試験は、Aグループ(盲検臨床試験[bRCT]、非盲検無作為化試験[nbRCT]、非無作為化試験[NRCT])とBグループ(非対照臨床試験[UCT]、症例シリーズ)に分類し検討した。個々の試験について、エビデンスの質(試験デザイン、試験群サイズ、被験者登録の質、全バイアスリスク)と、報告されていたアウトカム尺度(とくに発作の頻度が50%以上低下したイヌの割合)に基づき評価した。 主な結果は以下のとおり。・2件の議事録を含む26試験において、IE治療に使用したAEDの臨床的アウトカムが報告されていた。・試験デザインおよびアウトカム尺度の不均一性により、適切なメタ解析は行えなかった。・Aグループに分類できたのは、4件のbRCTsだけであった。それらは、質の高いエビデンスを提供するとみなされた。・経口フェノバルビタールおよびイメピトインの有効性は、レベルが良好のエビデンスにより裏付けられた。また、レベルがかなり高いエビデンスにより、経口臭化カリウムとレベチラセタムの有効性が裏付けられた。・残るAEDについては、有効性に関して良好な結果が報告されていた。しかし、bRCTが不足しており、使用を裏付けるエビデンスは不十分であった。関連医療ニュース どの尺度が最適か、てんかん患者のうつ病検出 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 暴力的なゲームが子供の心に与える影響は  担当者へのご意見箱はこちら

2210.

若年双極性障害への治療効果を高めるには

 双極性障害の青少年・若年成人では、薬物療法の補助的療法として対人関係・社会リズム療法(interpersonal and socialrhythm therapy:IPSRT)と専門家支持療法(specialist supportive care:SSC)を用いることは、抑うつまたは躁病症状を抑制する効果、および社会的機能を改善する効果があることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のMaree L Inder氏らによる無作為化対照試験の結果、示された。著者は今回の成果を、「とくに抑うつ症状に対処する有効な治療の特定は、双極性障害の負荷を軽減するうえで重要となる」と強調している。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年10月24日号の掲載報告。 試験は、双極性障害で薬物治療を受けている若者におけるIPSRT vs. SSCの効果を調べることが目的であった。主要評価項目は、26~78週間の抑うつアウトカムで、そのほか社会的機能、躁病アウトカムについても評価した。被験者は、15~36歳で、双極I型障害、同II型、未分類のいずれかに属する患者であった。除外基準は最低限のものであった。 アウトカムの測定には、Longitudinal Interval Follow-up Evaluation(LIFE)scale、Social Adjustment Scale(SAS)が用いられ、対応サンプルのt検定にて、ベースラインからアウトカム測定期間までの変化の有意性を調べた。また、共分散分析法で、治療のインパクト、生涯および現有の共存症のインパクト、共存症と治療との相互作用、および試験登録時年齢のうつ病への影響を調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は100例で、IPSRT群に49例、SSC群に51例が無作為に割り付けられた。・被験者の大半は、双極I型障害(78%)、女性(76%)であり、共存症を有する割合は高値であった。・治療後、両群共に抑うつ症状、社会的機能、躁病症状は改善した。仮説とは対照的に、治療間に有意な差は認められなかった。・生涯または現有のAxis Iまたは試験登録時年齢の影響はなかった。・薬物乱用患者に対するSSCの影響は、相対的に認められた。関連医療ニュース 双極性障害に対する非定型抗精神病薬比較 双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか うつ病の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか

2211.

アルツハイマーに有用な生薬はコレ

 神経破壊性疾患の病因はいまだ解明されておらず、有効な新規薬剤の開発への挑戦が促されている。インド・Banaras Hindu大学のSadhu A氏らは、アルツハイマー型老人性認知症(SDAT)患者を対象に、新規漢方製剤とドネペジルの認知機能に対する有効性を比較検討した。その結果、オトメアゼナ、スナジグミおよびニガカシュウの抽出成分を含む漢方製剤は、ドネペジルと比較して認知機能を有意に改善すること、また炎症およびうつ病を軽減することを報告した。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2014年10月15日号の掲載報告。 本研究の目的は、健常高齢者とSDAT患者において、漢方試験製剤の認知機能、炎症マーカーおよび酸化ストレスに対する有効性を評価することであった。研究グループは、60~75歳の健常高齢者およびSDAT患者を対象に、無作為化二重盲検プラセボおよび実薬対照臨床試験を実施した。健常高齢者には漢方試験製剤またはプラセボ、SDAT患者にはオトメアゼナ(全草)、スナジグミ(葉と果実)およびニガカシュウ(むかご)のいずれかの抽出物を含む試験製剤を500mg、またはドネペジル10mgを1日2回、12ヵ月投与した。3ヵ月ごとにMMSEスコア、digital symbol substitution(DSS;Wechsler Adult Intelligence Scaleのサブセット改訂版)、言語記憶における即時再生と遅延再生(digital memory apparatus―Medicaid systems、チャンディーガル、インド)、注意持続期間(Attention Span Apparatus―Medicaid systems、チャンディーガル、インド)、機能活動調査票(FAQ)およびうつ病スコア(高齢者用うつ尺度)などを用いて認知機能を評価した。さらに、炎症マーカーと酸化ストレスの程度を、標準生化学検査で分析した。 主な結果は以下のとおり。・健常被験者109例、SDAT患者123例が登録され、それぞれ97例、104例が試験を完了した。・SDAT患者において、12ヵ月間の試験製剤服用はドネペジル服用と比較して、DSS(38.984±3.016 vs. 35.852±4.906、p=0.0001)、言語記憶における即時再生(3.594±1.003 vs. 2.794±0.593、p<0.0001)、注意持続期間(4.918±1.239 vs. 4.396±0.913、p=0.0208)スコアの評価において認知機能改善に有効であった。・また試験製剤群はドネペジル群に比較して、FAQ(11.873±2.751 vs. 9.801±1.458、p<0.0001)およびうつ病スコア(16.387±2.116 vs. 21.006±2.778、p<0.0001)においても有意な改善が認められた。・一方で試験製剤群とドネペジル群の間で、MMSEおよび言語記憶の遅延再生において、有意差は認められなかった。・SDAT患者の試験製剤群ではドネペジル群と比較して、炎症および酸化ストレスが著しく軽減し、各マーカー値から試験製剤の作用機序が示唆された。各マーカー値は、ホモシステイン:30.22±3.87 vs. 44.73±7.11nmol/L(p<0.0001)、CRP:4.751±1.149 vs. 5.887±1.049mg/L(p<0.0001)、TNF-α:1,139.45±198.87 vs. 1,598.77±298.52pg/mL(p<0.0001)、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD):1,145.92±228.75 vs. 1,296±225.72U/gHb(p=0.0013)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx):20.78±3.14 vs. 25.99±4.11U/gHb(p<0.0001)、グルタチオン(GSH):9.358±2.139 vs. 6.831±1.139U/gHb(p<0.0001)、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS):131.62±29.68 vs. 176.40±68.11nmol/gHb(p<0.0001)であった。・同様に、健常高齢者において12ヵ月間の試験製剤服用はプラセボ群と比較し、MMSE、DSS、言語記憶の遅延再生、注意持続期間、FAQおよびうつ病スコアにおいて、認知機能の有意な改善を示した(p<0.001)。・また、健常高齢者において12ヵ月間の試験製剤服用はプラセボ群と比較し、炎症(ホモシステイン、CRP、IL-6およびTNF-α値の低下)および酸化ストレス(SOD、GPxおよびTBARSの低下、ならびにGSHの増加)の軽減が観察された。・以上のように、漢方製剤が加齢に伴う認知機能低下の抑制に有効であることが示唆され、SDATのマネジメントと治療に新規漢方製剤の薬物療法としての可能性があると考えられた。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学 高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は  担当者へのご意見箱はこちら

2212.

強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は

 これまで、第二世代抗精神病薬(SGA)誘発の強迫症状(obsessive-compulsive symptoms:OCS)に関するレビューの大半は、記述的な症例報告に焦点が当てられ、実験的な所見への注目が限定的であった。カナダ・Center for Addiction and Mental Health(CAMH)のTrehani M. Fonseka氏らは、統合失調症患者の強迫症状の新規発症および増悪に関係している第二世代抗精神病薬について、実験に基づく文献のレビューを行った。その結果、とくにクロザピンまたはオランザピンを用いた治療中は強迫症状についてルーチンのモニタリングが必要である所見が得られたことを報告した。Current Psychiatry Reports誌2014年11月号の掲載報告。第二世代抗精神病薬の中でクロザピンは強迫性障害をもたらす症例も 症例報告研究において、第二世代抗精神病薬の中でクロザピン、オランザピン、リスペリドンは、強迫症状との関連が最も顕著な薬剤であることが示されている。OCSの共存は、治療効果、治療コンプライアンス、臨床予後を損ない回復を妨げる可能性がある。研究グループは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬の強迫症状への影響をレビューし、異なる治療(期間、用量、血清レベル)および薬理遺伝学的因子の役割を調べた。 第二世代抗精神病薬の強迫症状への影響をレビューした主な結果は以下のとおり。・レビューの結果、クロザピンが、統合失調症における強迫症状の最大リスクであることが示唆された。・クロザピン治療を受けていた患者のうち20~28%が新規強迫症状を発症し、10~18%が強迫症状の増悪を来していた。・また、クロザピンは、症例によっては強迫性障害(obsessive-compulsive disorder:OCD)をもたらしていた。・オランザピンは、強迫症状について2番目に高リスクな第二世代抗精神病薬であった。オランザピン治療を受けていた統合失調症患者のうち11~20%が強迫症状を来していた。・そのほかの第二世代抗精神病薬の強迫症状への影響を特徴付ける、実験的エビデンスは乏しかった。・薬物誘発OCSについて、より長期の治療期間や遺伝的因子の関与を支持する実験結果があったが、それらの関連を解明するにはより多くの試験が必要と思われた。・上記を踏まえて著者は、「統合失調症患者では、とくにクロザピンまたはオランザピンを用いたSGA治療期間中は、OCSに対する継続的なモニタリングをすべきである」とまとめている。

2213.

遅発型統合失調症、脳の変化に違い:産業医大

 統合失調症は、早期発症例と遅発例とでは臨床的特徴に違いがあることが明らかとなっている。しかし、これらの相違の根底にある神経メカニズムに関してはほとんどわかっていない。産業医科大学の江頭 一輝氏らは、早期発症例と遅発例の統合失調症患者における形態学的異常を比較した。その結果、今回得られた知見は統合失調症の病態生理学的な理解を改善し、早期発症例と遅発例の神経生物学的な基盤の相違や共通点を明らかにするものである、としている。Neuropsychobiology誌オンライン版2014年10月24日号の報告。 早期発症統合失調症患者24例、遅発性統合失調症患者22例、健常者41例を対象にMRI検査を実施した。脳画像は、SPM8においてVBM(voxel-based morphometry)のためDARTEL法にて前処理をし、分析を行った。全脳解析で診断の主要な影響を検討し、3群間の結果を比較した。また、局所容量と臨床的変数の相関分析も行った。 主な結果は以下のとおり。・遅発例では、早期発症例や健常者と比較して、左楔前部の灰白質容量が大きかった。・統合失調症患者では、健常者と比較して、右島、左上側頭回、左眼窩前頭回における灰白質容量の減少を示した。・早期発症例における罹病期間の長さは、側頭極の灰白質容積の減少と関連していた。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者、遅発例と早期発症例の特徴は:自治医大 抗精神病薬が脳容積の減少に関与か 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに  担当者へのご意見箱はこちら

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抗炎症薬の抗うつ効果を検証

 これまでいくつかの試験で、抗炎症薬の抗うつ効果が報告されている。しかしながら、結果には一貫性がなく、使用を禁忌とする有害事象がある可能性もあった。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler氏らは、抗炎症薬による治療の抗うつ効果と有害事象の系統的レビューを行った。その結果、抗炎症薬による治療(とくに選択的COX-2阻害薬セレコキシブ)は、有害事象を増大することなく抑うつ症状を低減することが示された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年10月15日号の掲載報告。 検討は、Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、EMBASEなどで2013年12月31日以前に発表された試験を検索。無作為化プラセボ対照試験で、抑うつ症状を有する成人(うつ病基準を満たした人など)について抗炎症薬治療の薬理学的な有効性および有害事象を評価した試験を対象とした。2名の独立レビュワーがデータを抽出してプールし、標準平均差(SMD)、オッズ比(OR)を算出。主要評価項目は、治療後のうつ病スコアと有害事象であった。 主な結果は以下のとおり。・14試験に関する10件の報告(参加者6,262例)を解析に組み込んだ。・10試験(4,258例)は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用の評価を、4試験(2,004例)はサイトカイン阻害薬を調べたものであった。・プール推定効果は、プラセボと比較して抗炎症薬治療は抑うつ症状を低減することを示すものであった(SMD:-0.34、95%信頼区間[CI]:-0.57~-0.11、I2=90%)。・その効果は、うつ病患者を含む試験(SMD:-0.54、95%CI:-1.08~-0.01、I2=68%)、抑うつ症状患者を含む試験(同:-0.27、-0.53~-0.01、I2=68%)で観察された。・試験間の不均一性は、臨床的うつ病vs.抑うつ症状の包含や、NSAIDs使用vs. サイトカイン阻害薬使用といった違いによるものではなかった。・サブ解析により、セレコキシブの抗うつ特性が際立っていた(SMD:-0.29、95%CI:-0.49~-0.08、I2=73%)。寛解に関するORは7.89(95%CI:2.94~21.17、I2=0%)、奏効に関するORは6.59(同:2.24~19.42、0%)であった。・有害事象について報告していた6試験において、抗炎症薬治療6週後または12週後に、プラセボと比較して、胃腸または心血管イベントが増大したとのエビデンスはみつからなかった。・なおすべての試験が、潜在的な内的妥当性の減弱によるバイアスリスクとの関連性があった。 これらの結果より著者は「うつ病治療に抗炎症薬を使用するというコンセプトの根拠の裏づけとなる」と述べ、「ベネフィットが得られたサブグループの特定が根拠となるだろう」とまとめている。関連医療ニュース ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか 効果不十分なうつ病患者、次の一手のタイミングは うつ病患者、SSRI治療開始1年以内に約半数がセカンド治療に  担当者へのご意見箱はこちら

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16歳までの自傷経験者、18歳でうつが2~4倍/BMJ

 16歳の時点で自傷行為を行ったことのある人は、その後にメンタルヘルス面の問題やアルコールなどの物質の有害使用、および自傷行為のリスク増大と関連していることが明らかにされた。こうした関連は、とくに自殺念慮がある自傷行為経験者で強かったという。英国・ブリストル大学のBecky Mars氏らが、4,799例を対象とした追跡試験の結果、報告したもので、これまで青少年期の自傷行為と長期の臨床的・社会的アウトカムとの関連については明らかにされていなかった。BMJ誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。1991~1992年出生コホートのうち16歳時アンケート回答者4,799例を追跡 Mars氏らは、英国住民ベース出生コホート試験「The Avon Longitudinal Study of Parents and Children」(ALSPAC)を基に、約1万4,000人の1991~1992年出生コホートを対象とした試験を行った。同コホートのうち、16歳時点で自傷行為に関する詳細な質問票に回答した4,799例について追跡試験を行った。 主要評価項目は、18歳時に行われたコンピュータによるClinical Interview Schedule Revised(CIS-R)を用いた、うつ病性障害や不安障害などのメンタルヘルス面での問題の有無。合わせて、アルコールや大麻、喫煙などの使用に関する自己申告による調査結果だった。さらに学業成績(16歳と19歳時)、仕事上の成果(19歳時)、自傷行為(21歳時)に関する評価も行った。自殺念慮があり自傷行為をした16歳、18歳でうつ状態が約4倍に 結果、16歳の時点で、自殺念慮の有無にかかわらず自傷行為を行った人は、将来的なメンタルヘルス面での問題、自傷行為、薬物乱用のリスクが増大した。 その中でも、自殺念慮があり自傷行為を行った人では、そうした関連がより強く認められた。具体的には、16歳の時点で自殺念慮がなく自傷行為を行った人の自傷行為のない人に対する、18歳時点でのうつ状態オッズ比は、2.21(95%信頼区間:1.55~3.15)だったのに対し、自殺念慮があり自傷行為を行った人は、3.94(同:2.67~5.83)だった。 また、自殺念慮あり自傷行為は、学業や仕事の成果の低さとも関連していることが認められた。 著者は、「所見は、青少年期の自傷行為者を早期に見いだし、治療を行うことの必要性を強調するものだった」とまとめている。

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「覚醒」から「睡眠」へ 新機序の不眠症治療薬

2014年9月26日、MSD株式会社は新規作用機序の不眠症治療薬スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠15mg、同20mg)の製造販売承認を取得した。本剤は、世界初のオレキシン受容体拮抗薬で、過剰な覚醒状態を抑制することにより、生理的なプロセスで眠りに導く。本剤の登場によって、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。本稿では、不眠症治療の現状および課題、新薬への期待について紹介する。不眠症とは不眠症は、入眠障害、中途覚醒などの夜間不眠の訴えがあり、その結果として日中の精神・身体機能に影響が生じる疾患である。不眠症の原因は多岐にわたるが、「睡眠」と「覚醒」のバランスが乱れて、体を「覚醒」させるという機能が「睡眠」を誘う機能よりも上回った場合に生じると考えられている。このバランスを乱す要因としては、ストレスなどの心理的要因、うつ病などの精神疾患、不適切な睡眠環境や生活習慣などの生理学的要因、アルコールなどの薬理学的要因、痛みなどの身体的要因などが挙げられる。近年、不眠症の患者ではうつ病の発症リスク、高血圧や糖尿病などの生活習慣病発症リスクが高まることも報告されており、睡眠習慣の改善や薬物による治療の必要性が高まっている。不眠症の治療診断基準(睡眠障害国際分類第2版[ICSD-2]など)により、不眠症を疑った場合には、まず身体・精神的疾患や薬物の影響が不眠症状の原因となっていないか確認を行う。  そのうえで睡眠環境や生活習慣の改善や薬物治療を行う。現在、不眠症治療薬としては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などのGABA受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬などが一般的に用いられている。それぞれの薬剤の特徴や作用時間などを考慮して治療薬が選択されるが、翌日への持ち越し効果や耐性・依存・離脱症状などの懸念、それらに対する患者側の心理的抵抗感が課題であった。世界初の作用機序の不眠症治療薬起きている状態を保つオレキシンオレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで、睡眠-覚醒システムのバランスを調整する脳内物質である。オレキシンが分泌されると、覚醒システムが活性化されて覚醒の維持に働いて、眠りにくくなる。逆に、眠りに誘われるときはオレキシンの分泌が減り、睡眠システムが優位になっている。なお、睡眠システムにはGABAが深く関わっている。スボレキサントの特徴不眠症の患者では、夜になっても脳の覚醒が亢進することによって不眠が生じると考えられるが、スボレキサントはオレキシンが受容体へ結合することをブロックし、過剰に働いている覚醒システムを抑制する。つまり、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させるという、体が本来持っている生理的なプロセスによって、本来の眠りをもたらす。用法・用量1日1回20mg(高齢者は15mg)を就寝前に服用する。入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、食事と同時または食直後の服用は避ける(食後投与では、投与直後の血漿中濃度が低下することがある)。なお、臨床試験では単剤で処方されていたため、他の不眠症治療薬と併用したときの有効性および安全性は確立されていないので注意が必要となる。※CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾール)を服用中の患者では、本剤の作用が増強されるおそれがあるため禁忌である。臨床成績・試験:日本人を含む国際共同プラセボ対照試験・対象:原発性不眠症患者638例(成人370例、高齢者268例)・方法:スボレキサント通常用量(成人:20mg、高齢者:15mg)またはプラセボを3ヵ月間、1日1回就寝前に投与・結果:主観的睡眠潜時(患者申告による入眠までの時間)および主観的総睡眠時間(患者申告による睡眠時間の合計)は、スボレキサント群において、1週時からプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。安全性上記試験において、6ヵ月間の副作用は53例(20.9%)に認められた。主な副作用は傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。スボレキサント投与による翌朝の認知機能テストへの影響や、投与中止による反跳性不眠はみられなかった。なお、オレキシンの受容体への結合を阻害して、オレキシンの作用を抑制するという作用機序からナルコレプシーが生じること懸念されるが、臨床試験では認められなかった。ナルコレプシーではオレキシン神経が脱落することが報告されている。一方で、スボレキサントはオレキシン受容体を阻害するものの一過性であるため、機序が異なると考えられる。日本が世界をリードするようなエビデンス構築をスボレキサントについて、MSD株式会社の製品担当者に話を聞いた。「本剤は、世界に先駆けて日本で発売される新規作用機序の薬剤なので、できるだけ慎重に使用していただきたい。まずは臨床試験で有効性・安全性が確認された、未治療またはウォッシュアウト期間のある原発性不眠症患者に使用していただき、スボレキサント本来の有効性・安全性を確認していただきたい」としたうえで、「スボレキサントは不眠症治療の標準薬の1つとなりうる薬剤だと考えている。日本が世界をリードするようなエビデンスや使い方を構築し、現在の不眠症治療の課題克服に貢献したい」と語った。本剤の登場によって、覚醒状態を抑制することで睡眠を導くという、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。これにより、症状に合わせた薬剤選択、体本来の生理的な睡眠を導く治療が可能になると期待される。

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若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方

 スペイン・バルセロナ大学病院のInmaculada Baeza氏らは、4~17歳の小児・青少年における抗精神病薬使用および変化について、精神科専門外来受診者259例を対象に1年間追跡調査した。結果、第二世代抗精神病薬が最も多く処方され、約93%は未承認の適応での使用であった。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2014年10月号の掲載報告。 追跡調査は、小児・青少年専門精神科部門4施設を受診した、抗精神病薬未治療または準未治療(抗精神病薬治療を始めてから30日未満)の、4~17歳の連続患者265例を対象に行われた。抗精神病薬の種類、用量、併用薬について、ベースライン時、治療開始後1、3、6、12ヵ月時点で記録した。 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン時の患者の平均年齢は14.4(2.9)歳、男性が145例(54.7%)であった。・抗精神病薬の処方頻度は多い順に、統合失調症スペクトラム障害(30.2%)、破壊的行動障害(DBD、18.9%)、双極性障害(14.3%)、抑うつ性障害(12.8%)、摂食障害(11.7%)であった。・全体で93.2%の患者が、未承認適応で抗精神病薬を使用していた。・リスペリドンは、全評価において最も頻度の高い処方薬であったが、診断によって抗精神病薬の種類に違いがみられた。・すなわち、リスペリドンはDBD患者で最も有意に処方頻度が高く、オランザピンは、摂食障害患者で最も処方頻度が高かった。・オランザピンとクエチアピンは、リスペリドン後に最も多く処方された第二世代抗精神病薬であり、ハロペリドールは最も処方数が多かった第一世代抗精神病薬であった。・追跡期間中、抗精神病薬多剤療法を受けていたのは最高8.3%の患者であった。・追跡期間中の抗精神病薬について変更があったのは約16%の患者であり、主として第二世代抗精神病薬1剤をほかのものに切り替えるケースであった。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は

 スマートフォンのアプリケーションは、うつ病スクリーニングにおいて、セルフヘルプ的な介入として有益な可能性がある。しかし、それらの実行可能性と有効性、ならびにアプリユーザーの特徴に関する情報は限られていた。オーストラリア・シドニー大学のNasser F BinDhim氏らは、スマホアプリ版うつ病スクリーニングについて、ユーザーの利用理解度、利用状況および利用者特徴を検討するために横断研究を行った。その結果、ユーザーの4分の1がうつ病診断歴を有していたこと、またハイリスク例が6~8割程度含まれていたことなどを報告。多くの国でスマホアプリによるうつ病スクリーニングが実際に活用できる可能性を示唆した。Journal of American Medical Informatics Association誌オンライン版2014年10月17日号の掲載報告。 研究グループは、ボランティアを募り、利用理解度、利用状況、利用者の特徴を明らかにするため横断研究を行った。検討では、スマホアプリ版の無料うつ病スクリーニングを用いた。アプリには人口統計学的な質問、患者健康質問票(PHQ-9)、簡易不安検査、被験者の結果に基づく個別の推奨が含まれており、うつ病に関連するウェブサイトとリンクしていた。こうした無料アプリは、アップル社のApp Storeにて全世界で入手が可能である。2012年9月~2013年1月に登録された18歳以上の被験者に、アプリをダウンロードしてもらった。 主な結果は以下のとおり。 ・66ヵ国、8,241例がアプリをダウンロード、レスポンス率は73.9%であった。・被験者の4分の1がうつ病と診断されたことがあった。うつ病のハイリスクであるPHQ-9のカットオフ値11の被験者が82.5%、PHQ-9のカットオフ値15の被験者が66.8%を占めた。・多くの被験者が1つ以上の併存症および1回以上の自殺企図歴を有していた。・PHQ-9質問票への1回以上回答完了と関連していたのは、カットオフ値が11(OR:1.4、95%CI:1.2~1.6)、うつ病の診断歴(同:1.3、1.2~1.5)、大学院レベルの学歴(同:1.2、1.0~1.5)であった。・スマホアプリは多数の国で、うつ病のスクリーニングツールとして使用可能であった。・とくに若年成人において、疾患スクリーニング、セルフマネジメント、モニタリング、 保健教育に重要な役割を果たす可能性があった。関連医療ニュース 「笑い」でうつ病診断が可能に がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには 認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

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抗精神病薬の代謝への影響、男性でとくに注意

 統合失調症における一炭素代謝(OCM)の異常は、これまでに繰り返し報告されている。しかし、統合失調症に対する抗精神病薬によるOCMへの選択的な影響を検討した研究は不足しているうえに、得られた結果に一貫性がなかった。ポーランド・ヴロツワフ医科大学のBlazej Misiak氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象とし、第二世代抗精神病薬(SGA)が血清総ホモシステイン(tHcy)、葉酸、ビタミンB12、リポ蛋白および血糖値に及ぼす影響を検討した。その結果、SGA投与後、BMI、血清総コレステロール(TC)、LDLコレステロール(LDL-C)、トリグリセライド(TG)およびtHcy濃度は有意に高値を示し、葉酸とビタミンB12濃度は有意に低値を示すこと、とくに男性において注意が必要であることを報告した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2014年10月8日号の掲載報告。 本研究では、初回エピソード統合失調症患者39例を登録し、ベースライン時およびオランザピンやリスペリドンを単独で用いたSGA治療12週後の、血清tHcy、葉酸、ビタミンB12、リポ蛋白および血糖値を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療12週後、すべての患者でBMI、血清中TC、LDL-C、TGおよびtHcy濃度は有意に高値を示し、葉酸とビタミンB12値は有意に低値を示した。・SGA間の相違を解析したところ、オランザピン投与患者は全集団と同様の生化学的変動がみられたが、リスペリドン投与患者では血清中葉酸、ビタミンB12およびTG値に統計学的に有意な変化はみられなかった。・オランザピン投与患者はリスペリドン投与患者と比較して、BMI、TCが有意に高値を示した。・オランザピン投与患者はリスペリドン投与患者と比較して、ビタミンB12値が有意に低値を示した。・葉酸、ビタミンB12、tHcyおよびTC値の変動は、Bonferroni調整後、男性においてのみ有意であった。・多変量回帰解析により、tHcy値の変動は性別、ベースライン時の代謝パラメータ(BMI、血糖値、TC、LDLおよびHDL)に関連し、投与したSGAには関連しないことが明らかとなった。・とくに男性の初回エピソード統合失調症では、SGAがOCMに影響を及ぼす可能性があると考えられた。関連医療ニュース ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 どの向精神病薬で有害事象報告が多いのか  担当者へのご意見箱はこちら

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難治例へのクロザピン vs 多剤併用

 治療抵抗性統合失調症患者に対し、ともするとクロザピンの代替として、抗精神病薬の多剤併用療法などの推奨されない治療が行われている。米国テキサス大学のDawn I Velligan氏らは、クロザピン単独療法と抗精神病薬多剤併用による治療およびコストについて比較を行った。Psychiatric services誌オンライン版2014年10月15日号の報告。 検討にはMedicaid MarketScanのデータベースを用いた。対象は、18~64歳の統合失調症患者(ICD-9-CM診療コード295.XX)のうち、2006年7月~2009年1月の間に第二世代抗精神病薬の多剤併用またはクロザピン単独療法を開始し、治療前6ヵ月および治療後12ヵ月のデータを取得できた患者。研究アウトカムは、疾患特異的入院、すべての原因による入院、救急部門(ED)受診、コストとした。分析には、人口統計学的要因、対象期間以前の薬剤使用率、併存疾患によって調整したロジスティック回帰分析と一般化線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象症例はクロザピン単独療法群479例、抗精神病薬多剤併用群2,440例。クロザピン単独療法群では、抗精神病薬多剤併用群よりも「若年、併存疾患が少ない、対象期間前の薬剤使用率が低い、非白色人種、男性」などの特徴がみられた。・ベースラインの差をコントロール後の分析では、クロザピン単独療法において精神疾患関連のED受診(OR:0.75、95%CI:0.60~0.95)、統合失調症関連のED受診(OR:0.70、95%CI:0.54~0.90)のより低いオッズと関連していたが、入院やすべての原因によるED受診との関連は認められなかった。・総医療費はクロザピン単独療法のほうが多剤併用よりも有意に低かった(すべての原因による医療費:-2万1,315ドル、精神疾患関連:-1万7,457ドル、統合失調症関連:-1万582ドル)。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」 治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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