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1.

低用量アスピリン併用は統合失調症や双極症治療の切り札となるか

 精神疾患の病態生理学的メカニズムに、炎症が関与している可能性を示唆する膨大なデータが存在する。低用量アスピリンが向精神薬の治療効果を高める可能性が示唆されている。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのLior Stern氏らは、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、向精神薬と低用量アスピリンの併用レジメンの安定性およびその他の治療効果と関連しているかどうかを検討した。Pharmaceuticals誌2026年3月8日号の報告。 本レトロスペクティブ研究では、イスラエルのClalit Health Services' Southern Districtのデータベースより、2017〜19年に治療を行った1,924例の患者データを分析した。低用量アスピリンと向精神薬の併用療法で治療されたLDA群、向精神薬のみで治療された対照群での比較を行った。研究アウトカムは、自殺企図および薬物療法に関連する有害事象(向精神薬の増量、増強、変更)とした。 主な結果は以下のとおり。・LDA群は137例(男性の割合:55%、年齢:63.3±12.3歳)、対照群は1,787例(男性の割合:60%、年齢:47±16.9歳)。・ほぼすべてのアウトカムにおいて、統計学的に有意な差が認められ、LDA群において良好な結果が示された。・LDA群は、薬剤投与量の増加率が低く(40例[29%]vs.726例[40.5%]、p=0.01)、向精神薬の変更および/または追加も少なかった(37例[26.9%]vs.778例[43.5%]、p<0.001)。また、有意差は認められなかったものの、自殺企図率も低かった(0例[0%]vs.16例[0.9%]、p=0.53)。 著者らは「全体として、低用量アスピリン併用療法は、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、より良好な臨床転帰と関連していた。向精神薬と低用量アスピリンの併用療法の治療効果を検証するためには、大規模な疫学調査およびプロスペクティブランダム化臨床試験によるフォローアップ調査が求められる」としている。

2.

ADHD治療薬は将来の精神病リスクを上昇させない

 注意欠如・多動症(ADHD)の子どもに対しては、メチルフェニデートが処方されることが多い。ADHD患者は統合失調症などの精神病(精神病性障害)のリスクが高いことが知られているが、精神病の発症とメチルフェニデートとの長期的な関連は、これまで明確ではなかった。こうした中、新たな大規模研究で、メチルフェニデートは精神病リスクを上昇させず、むしろ小児期の同薬による治療は将来の非感情性精神病性障害に対して予防効果を有する可能性が示唆された。英エディンバラ大学児童・思春期精神医学分野のIan Kelleher氏らによるこの研究は、「JAMA Psychiatry」に3月25日掲載された。 Kelleher氏は、「幼少期のメチルフェニデートによる治療が長期的な精神病リスクの低下と関連していたという事実は、この薬剤が小児期の症状を管理するにとどまらず、重篤な精神疾患に対して長期的な保護効果を持つ可能性を示唆している」とニュースリリースで述べている。 この研究でKelleher氏らは、フィンランドの全国データを用いて、1987年から1997年の間に出生した人を対象に、子どもおよび思春期の若者に対するメチルフェニデートによる治療が将来の非感情性精神病性障害リスクに与える影響を検討した。同期間に出生したのは69万7,289人であった。このうち3,956人(男子80.41%)が、フィンランドでメチルフェニデートが使用されるようになった2003年1月1日以降に、18歳未満でADHDと診断されており、2,728人(68.96%)がメチルフェニデートの処方を1回以上受けていた。 222人(5.7%)が非感情性精神病性障害の診断を受けており、診断時の平均年齢は22.16歳だった。解析の結果、メチルフェニデート(30mg/日)による長期治療と非感情性精神病性障害リスクの間に有意な関連は認められなかった。さらに二次解析では、13歳未満でADHDと診断されメチルフェニデートを処方された人では、成人期における非感情性精神病性障害の発症リスクが低い傾向が示された。思春期にADHDと診断された人では、十分な評価を行うことができなかった。 研究グループは、「これらの結果は、ADHD治療で使われる中枢神経系刺激薬が将来的に精神病リスクを高めるのではないかという、近年の保護者や医師、政策担当者の懸念を和らげる一助となる可能性がある」と述べている。 Kelleher氏はさらに、「ADHDの子どもを成人期まで追跡すると、ごく一部ではあるが一定数が統合失調症などの精神病性障害を発症することが知られている。重要な疑問は、ADHD治療薬がそのリスクを引き起こしているのか、それとも相関関係はあっても因果関係はないのかという点であった。今回の研究結果は、そのリスクを高めている要因が薬剤そのものではないことを示唆している」と話している。 論文の筆頭著者である英ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのColm Healy氏は、「小児の脳と、思春期あるいは成人の脳との間には重要な発達上の違いが存在する。そのため、中枢神経系刺激薬の効果が全ての発達段階で同じであると仮定することはできない。成人におけるADHD治療が急増している現状を踏まえると、こうした違いの理解は喫緊の課題である」と述べている。(HealthDay News 2026年3月26日)

3.

早期発症統合失調症に対するブレクスピプラゾールの有効性~第III相試験事後解析

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、早期発症統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性を評価するため、第III相試験の事後解析の結果を報告した。Psychiatry Research誌2026年6月号の報告。 統合失調症患者を対象とした4件の6週間ランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータを統合した。18~65歳の成人を対象とした試験が3件(NCT01396421、NCT01393613、NCT01810380)、13~17歳の青年を対象とした試験が1件(NCT03198078)であった。早期発症の基準は、年齢が13~35歳、罹病期間が5年以内とした。ブレクスピプラゾール2~4mg/日投与群(ブレクスピプラゾール群)またはプラセボ投与群(プラセボ群)にランダムに割り付けられた患者データを統合した。有効性の評価は、主に陽性・陰性症状評価尺度(PANSS:すべての試験の主要エンドポイント)を用いた。機能の変化は、成人では個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)、青年ではChild Global Assessment Scale(CGAS)を用いて測定した。また、安全性も評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は476例(ブレクスピプラゾール群:289例、プラセボ群:187例)。・ベースラインから6週目までのPANSS総スコア(最小二乗平均差[LSMean]:-3.6、95%信頼区間[CI]:-7.0~-0.1、p=0.04、Cohen's d:0.19)およびPSP/CGAS複合機能スコア(LSMean:2.3、95%CI:0.1~4.5、p=0.04、Cohen's d:0.19)の変化は、ブレクスピプラゾール群のほうがプラセボ群よりも大きかった。・治療中に発現した有害事象(TEAE)の発現率は、ブレクスピプラゾール群で50.7%、プラセボ群で46.3%であった。・ブレクスピプラゾール群で最も多くみられたTEAEは、不眠(ブレクスピプラゾール群:9.2%、プラセボ群:9.5%)およびアカシジア(ブレクスピプラゾール群:6.5%、プラセボ群:2.1%)であった。 著者らは「本解析により、統合失調症の初期段階の患者におけるブレクスピプラゾールの有効性が示され、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのエビデンスが拡充された。また、ブレクスピプラゾールの安全性プロファイルは、これまでの臨床試験の結果と一致していた」としている。

4.

統合失調症に対する漢方薬と抗精神病薬の併用がMetSに及ぼす影響

 統合失調症患者における抗精神病薬と併用した中長期の漢方薬の使用が、メタボリックシンドローム(MetS)に及ぼす影響を評価し、これらの患者におけるMetSの有病率および関連する影響因子を明らかにするため、中国・Fujian Psychiatric CenterのJing-Shuang Zhang氏らは、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2026年3月17日号の報告。 2022~24年に統合失調症と診断され精神科病院に入院中の患者897例(平均年齢:47.68±14.67歳)を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。対象患者は18歳以上、服薬順守が良好で、入院期間が6ヵ月以上の患者とした。入院中の漢方薬使用状況に基づき、対象患者を漢方薬使用群と非使用群に分け、両群のアウトカム、とくにMetSの発症についてレトロスペクティブにフォローアップ調査を行った。単変量解析を用いて潜在的な交絡因子をスクリーニングした後、多変量ロジスティック回帰分析を行い、交絡因子の影響を調整した。最後に、曝露因子が研究結果に及ぼす影響を評価し、オッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・漢方薬使用群は897例中163例(18.17%)であった。また、MetSを発症した患者は247例(27.53%)であった。・漢方薬使用群におけるMetSの有病率は17.18%であったのに対し、非使用群では29.84%であった。・漢方薬使用群では、非使用群と比較し、中心性肥満(29.5% vs.39.8%)および高血糖(13.50% vs.21.8%)の有病率が低かった。・二項ロジスティック回帰分析の結果、MetSの発症と独立して関連していた因子は、学歴、漢方薬、クエチアピン、クロザピン、リスペリドン、アリピプラゾールの使用、BMIであった。・学歴の低い患者(9年以下)と比較し、学歴が高い患者(12年超)では、MetS発症リスクが低かった(OR:0.45、95%信頼区間[CI]:0.25~0.81、p<0.01)。・非使用群と比較し、中長期(6ヵ月以上)の漢方薬使用はMetS発症リスクを低下させることが示された(OR:0.50、95%CI:0.30~0.83、p<0.01)。・リスペリドン(OR:0.54、95%CI:0.36~0.83、p<0.01)およびアリピプラゾール(OR:0.39、95%CI:0.21~0.72、p<0.01)を使用している患者は、ほかの抗精神病薬を使用している患者と比較し、MetSの発症リスクが比較的低かった。・薬剤の種類により、MetS発症率の程度は異なっていた。・BMIが高いほど、MetS発症リスクが増加するという正の相関が認められた(OR:1.39、95%CI:1.32~1.46、p<0.001)。・クエチアピンまたはクロザピンを使用していない患者と比較し、クエチアピン(OR:1.86、95%CI:1.11~3.13、p<0.05)またはクロザピン(OR:1.74、95%CI:1.14~2.68、p<0.05)を使用している患者では、MetSの発症リスクが増加した。 著者らは「入院中の統合失調症患者では、一般的にMetSの発症が認められた。クエチアピン、クロザピンの使用およびBMIの増加は、MetSの有意なリスク因子であることが示唆された。一方、漢方薬、アリピプラゾール、リスペリドンの使用および高学歴は、MetSの発症に対する保護因子であった」とし「統合失調症患者においてMetSの発見と予防は不可欠である。長期的な漢方治療はMetSの発症率を低下させ、慢性期統合失調症患者にとってより良い治療選択肢と方向性に寄与する可能性がある」とまとめている。

5.

若年成人期の過敏性腸症候群のリスク因子を特定

 16歳時に過敏性腸症候群(IBS)を有することは、24歳時にIBSを有することを予測する最も強いリスク因子であり、16歳時にIBSであった人の33.6%は24歳時でも診断基準を満たすとする研究結果が、「Gastroenterology」に1月30日掲載された。 ヨーテボリ大学(スウェーデン)サールグレンスカアカデミーのJessica Sjölund氏らは、1990年代半ばに出生した4,089人を若年成人期まで追跡したスウェーデンのBAMSE出生コホートのデータを用い、24歳時のIBSの有無に関連する思春期のリスク因子、および16歳から24歳にかけてのIBSの持続に関連する因子を検討した。曝露因子の大半は16歳時に評価されていた。 対象者2,539人のデータを解析した結果、24歳時のIBS有病率は10.0%であり、女性であること、知覚ストレスの高値、アトピー性皮膚炎、片頭痛またはうつ病の既往、健康関連QOLの低値がIBSと関連していた。16歳時のIBSは、24歳時のIBSに対する最も強いリスク因子であった。また、機能性腹痛、自己評価による心理的苦痛および全般的な健康状態不良、食物過敏、短い睡眠時間も、成人期のIBSのオッズ上昇と関連していた。16歳時にIBSであった人のうち33.6%が、24歳時においてもIBSの診断基準を満たしていた。IBSの持続と強く関連していた因子は親のIBS症状であり、それ以外の因子は統計学的に有意ではなかった。 Sjölund氏は、「思春期のIBSは固定した状態ではないことが示された」と述べている。 なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

6.

青緑色の吐物といえば…何中毒?その対処法は?【中毒診療の初期対応】第7回

<今回の症例>年齢・性別66歳・男性患者情報3ヵ月前に長年勤務していた職場を定年退職した。1ヵ月前よりうつ状態となり、数日前より不安・焦燥が著しく、じっとしていられない状態であった。搬送当日の早朝、グルホシネートアンモニウム塩18.5%を含有する除草剤(商品名:バスタ液剤)を200cc程服用し、青緑色の吐物を嘔吐しているところを妻に発見されて、救急医療施設に搬送された。経口摂取2時間後の初診時は、呼吸数12/分、SpO2 98%(室内気)、血圧126/82mmHg、心拍数76bpm、意識レベルJCS 0、瞳孔左右3.5mm同大、対光反射 迅速、体温36.6℃であった。嘔気以外の訴えはなかった。検査値末梢血では、WBC 6.20×103/mm3、Hb 14.2g/dL、Ht 43.4%、Plt 122×103/mm3、生化学検査では、TP 7.1g/dL、AST(GOT)32IU/L、ALT(GPT)36IU/L、LDH 296IU/L、CPK 72IU/L、AMY 178IU/L、Glu 98mg/dL、BUN 16mg/dL、Cr 0.8mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 99mEq/Lであった。動脈血ガス(室内気)では、pH 7.412、PaCO2 38.8Torr、PaO2 90.6Torr、HCO3- 23.8mmol/L、BE -0.4mmol/L、乳酸値 1.4mmol/Lであった。<問題1><解答はこちら>4.気管挿管および呼吸器管理を施行し、集中治療室に入院とするフェンタニルおよびプロポフォールの静脈内投与によって鎮静し、気管挿管および人工呼吸器管理を施行した。さらに、経鼻胃管を挿入し、300mLの微温湯で懸濁した活性炭50gを胃内に注入し、集中治療室に入院とした。経口摂取28時間後に自発呼吸が消失した。経口摂取50時間後より次第に自発呼吸を認め、摂取54時間後に鎮静薬を中止した。58時間後に離握手などの指示に従うことを確認して人工呼吸器を離脱し、気管チューブを抜管した。その後の経過は順調で、入院4日目にうつ病の治療目的で精神科病棟に転棟となった。後に、初診時(経口摂取2時間後)の血清より246µg/mLのグルホシネートが検出された。上條 吉人編. 臨床中毒学 第2版. 医学書院. 2023.小山 完二ほか. 日救急医会誌. 1997;8:617-618.

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第316回 米国でサイケデリック薬が超速優先審査に

毎年20人に1人以上もの米国成人が生きるのを辛くし、活動を妨げる深刻な精神不調を被ります。その治療を推進する取り組みの一環として、今月18日にドナルド・トランプ大統領がサイケデリック薬(psychedelic drug)の超速優先審査(Commissioner’s National Priority Vouchers:CNPV)を米国FDAに命じました1,2)。大統領からのその通知によると、1,400万例を超える米国成人が深刻な精神不調を患い、およそ800万例にそれらの治療薬が処方されています。精神疾患の最悪の帰結の自殺率は2000~18年に37%も上昇しましたが、トランプ大統領の1期目に精神疾患患者を助ける取り組みが進展し、2018~20年には幸いにも5%低下しました3)。しかし、トランプ大統領曰く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延とバイデン政権下での停滞のせいで進捗は止まり、自殺率は再び上昇して2022年には2018年と同じ最悪の水準に逆戻りしてしまいました。感じ方を変える(perception-altering)とFDAが説明4)するサイケデリック薬は、一通りの標準治療後も不調が続く深刻な精神疾患患者を対象とする試験で有望な成績を上げており、開発中のいくつかはすでに画期性優遇(Breakthrough Therapy)の指定を受けています。トランプ大統領は画期性優遇の指定を得ているサイケデリック薬の目ぼしいものにCNPV権利を付与することを18日に命じました。それを受けてFDA長官Marty Makary氏はLSDやマジックマッシュルームの活性成分のpsilocybinなどが属するセロトニン2A受容体作動薬の3つに権利を付与すると同日の記者会見で述べています5)。いわば大統領の「推し」となり、FDAの厚遇も約束されたサイケデリック薬への投資家の期待は当然ながら一気に膨らみ、AtaiBeckley、Compass Pathways、Enveric BioSciences、GH Research、Definium Therapeutics、Cybinなどのその界隈の会社の株価が軒並み上昇しています6)。そして、大統領命令からおよそ1週間後の先週金曜日24日に、FDAはサイケデリック薬を開発する3社に約束どおりCNPV権利を付与しました4,7)。FDAの発表では具体的な社名は明かされませんでしたが、大統領命令後に株価上昇の恩恵を得た一堂のうちの一社のCompass Pathwaysがその幸運に恵まれたことを明らかにしています8)。Compass社によるとCNPV権利を使うことで承認申請後の審査期間が超速の1~2ヵ月に短縮されます。Compass社はCOMP360という名称の人工のpsilocybinを開発しています。COMP360は治療抵抗性うつ病患者が参加した2つの第III相試験で目標の効果を示しており、先月の同社の発表によるとFDAへの承認申請が今年中に完了する見込みです9)。FDAがCNPV権利を付与したあとの2社の1つは大うつ病へのpsilocybin開発会社、もう1つは心的外傷後ストレス障害(PTSD)へのmethylone開発会社です。Usona InstituteとTranscend Therapeuticsがそれらの治療を開発しており、Reutersからの問い合わせに対してUsona Instituteは権利を得たと回答しています7)。一方、Transcend社はReutersに回答していません。Transcend社が開発しているmethyloneは植物成分のカチノンの類いです。カチノンはアンフェタミン様の作用を求めて使われているアラビア南部やアフリカ東部で育つ植物のカート(Catha edulis)の葉に含まれています10)。Transcend社はTSND-201という名称でmethyloneを開発しており、PTSD患者を対象とした第III相試験が進行中です11)。サイケデリック薬の時代の到来を予想していたのか、わが国の大塚製薬はほかでもないそのTranscend社の買収をつい先月末に発表しています12)。日本でサイケデリック薬が日の目を見ることもそう遠くないうちに実現するかもしれません。参考1)ACCELERATING MEDICAL TREATMENTS FOR SERIOUS MENTAL ILLNESS / THE WHITE HOUSE2)Trump orders FDA to fast-track reviews of psychedelic drugs after lobbying by podcaster / FierceBiotech3)Suicide Data and Statistics / CDC4)FDA Accelerates Action on Treatments for Serious Mental Illness Following Executive Order / FDA5)Trump orders FDA to fast-track reviews of psychedelic drugs after lobbying by podcaster. FierceBiotech.6)Psychedelic drug developers rally after Trump orders FDA to expedite reviews / Reuters7)US FDA moves to fast-track psychedelic drugs after Trump order / Reuters8)Compass Pathways Announces FDA Granted NDA Rolling Review Request and Awarded Commissioner's National Priority Voucher / BusinessWire9)Compass Pathways Announces Fourth Quarter and Full-Year 2025 Financial Results and Business Highlights / BusinessWire10)Effects of Synthetic Cathinones Contained in “Bath Salts” on Motor Behavior and a Functional Observational Battery in Mice NIH11)EMPOWER-1試験(ClinicalTrials.gov)12)大塚製薬のTranscend Therapeutics社買収について

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双極症患者の食事の質、うつ病患者や健康対照者との違いは?

 双極症患者は、心血管疾患を発症するリスクが高いことが知られている。欧米型の食生活は、双極症患者における心血管疾患リスクを上昇させるという仮説が立てられている。しかし、双極症患者における食習慣については、これまで十分に研究されていなかった。オランダ・Leiden University Medical CentreのMirjam A. Riedinger氏らは、双極症患者、単極性うつ病患者、寛解期の単極性うつ病患者、健康対照者における食事の質を評価するため、大規模コホートによる検討を行った。Bipolar Disorders誌2026年5月号の報告。 オランダうつ病不安研究(NESDA)から合計1,358例を対象に実施した。参加者の分類は、双極症患者(100例、男性の割合:48.0%、平均年齢:50.9歳)、単極性うつ病患者(199例、男性の割合:28.0%、平均年齢:52.4歳)、寛解期の単極性うつ病患者(722例、男性の割合:29.8%、平均年齢:52.4歳)、健康対照者(337例、男性の割合:40.7%、平均年齢:51.2歳)。食事の評価は、238項目の食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて、「地中海食スコア」(MDS)を算出した。食事スコアは、社会人口統計学的因子、身体活動、喫煙を調整した多変量回帰分析を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・双極症患者は、寛解期の単極性うつ病患者および健康対照者と比較し、MDSが有意に低かった(各々、p=0.01、p=0.02)。しかし、単極性うつ病患者との差は認められなかった。・エフェクトサイズは、双極症患者と寛解期の単極性うつ病患者で0.24、双極症患者と健康対照者で0.25であった。・さらに、双極症患者は健康対照者と比較し、平均ウエスト周囲径(p=0.03)およびBMI(p=0.02)が有意に高かった。 著者らは「双極症患者の平均的な食事の質は、寛解期の単極性うつ病患者および健康対照者と比較して低かった。このことが、双極症患者にみられるウエスト周囲径の増加およびBMIの上昇、そしてそれに伴う健康への悪影響の一因となっている可能性がある」と結論付けている。

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認知症の病理を叩く「表街道」、脳を育む「援護射撃」――Lancetの14の危険因子を読み解く(その3)【外来で役立つ!認知症Topics】第40回

前回、私はLancet誌の提唱する認知症の修正可能な14の危険因子1)を、「疾患・障害リスク」と「生活・環境リスク」とに分ける考え方を述べた。前者は従来のアミロイド仮説を軸に、そこから派生した慢性炎症や抗酸化などの病理から説明しやすいもので、糖尿病や高LDLコレステロール(LDL-C)が代表的だ。これはいわば、アルツハイマー病の病理進行をくい止めようという「表街道」の予防法である。一方、後者はアミロイド仮説とは異なり、脳内ネットワークや認知予備能といった考え方で説明される。健常な神経細胞を増やす、あるいは減少させないという、側面からの「援護射撃」ともいえる。この考え方をイラストに示した。以下に示す個々の危険因子について、それが「表街道」と「援護射撃」のどちらに属するかを述べていく。画像を拡大する筆者作成若年期の教育:脳の「控え選手」を育てる援護射撃若年期の危険因子だが、これは「教育」が中心となる。ここで作る大脳の基礎力が十分でなかったとしても、後年これを育み続けることが予防につながると考えればいい。この考え方の基本は、以前から知られる「認知予備能」に関連する。ざっくり言えば、人は生まれ持った脳細胞の一部しか使わないうちに一生を終える。これまで使ってこなかった「控え選手の神経細胞(予備能)」に働きかけるのである。具体的な方法としては、新たな社会交流が勧められる。とくにインターネットリテラシーが低い人こそ、ここで情報を得る習慣を持てば大きな成果が期待できる。教育は、まさに一生続く「援護射撃」なのである。中年期の危険因子:再発とうっかり事故を防ぐ表街道中年期の危険因子のトップは、第38回で述べたとおり難聴と高LDL-Cだが、続いて「うつ病」に触れたい。うつ病経験者は、そうでない者と比べ認知症の危険性が2倍とされる。背景には、神経炎症や、脳由来栄養因子を介した神経の可塑性障害、コルチゾール過剰分泌による海馬体積の減少説などがある。臨床的に大切なのは、うつ病は何度も繰り返しやすく、その再発自体が認知症発症の危険性を高める点だ。だからこそ再発予防が重要であり、主治医と共にフォローを欠かさないことが、病理を抑える「表街道」の対策となる。次に「頭部外傷」については、中等度のもので認知症リスクを2.3倍、重度で4~4.5倍にも増大させる2)。ボクシングなどによる頭部外傷が、50年以上も後にリスクとして現れる。なお高齢者では「転落が脳挫傷原因の3分の2以上」とされるだけに、住環境への配慮が重要になる。照明の改善、手すりやレールの設置、段差の除去や滑りにくい床への改善などが望ましい。身体機能面からは、運動機能の維持、視力や聴力の調整も重要となる。そして、単純ながら基本となるのが「適切な履物」の着用だ。屋内でスリッパなど履かないほうがよい人は多い。これもまた、脳への物理的ダメージを回避する「表街道」の予防といえる。運動不足:座りっぱなしを解消する援護射撃運動不足という危険因子は、従来からいわれてきた運動の予防効果の裏返しである。最近は、単に「たくさん運動すればよい」というより、「身体活動をしない者が運動すれば効果が生まれる」という考え方に変化してきた。最近、老年医学の分野では「座りがちな」という意味の英語で「sedentary」という言葉をよく見かける。そこですべき運動は、有酸素運動の一辺倒ではなく、レジスタンス運動やバランス運動を組み合わせることが重要だ。腰や膝の障害で運動が難しい人の場合でも、皿洗いや掃除、洗濯物干しなどの家事労働を長時間行えば、運動不足をかなり補える。こうした活動の積み重ねが、脳を支える「援護射撃」となる。糖尿病と高血圧:血管から病理を断つ表街道の王道糖尿病は認知症リスクを60%高めるとされるが、アルツハイマー病以上に、血管性認知症の危険性を高める。生物学的メカニズムとしては、直接的な血管障害や神経障害のほかにインスリン分解酵素(IDE)の影響が指摘されている。インスリンとアミロイドβ(Aβ)は同じIDEで分解されるため、高インスリン血症になるとAβの分解が滞り、蓄積していくと考えられる。なお低血糖発作は深刻な危険因子だと強調されている。食事による対応では、地中海食、そこに減塩を超えたダッシュ食、低炭水化物が推奨される。運動では、有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動を組み合わせた「表街道」の包括的な管理が求められる。そして、高血圧こそ認知症発症における最重要な修正可能リスクだろう。40~65歳の中年期の高血圧は、認知症リスクを61~69%増加させるが、降圧薬による治療により、認知症全体で12%、アルツハイマー病で16%のリスクを低減できるとされる3)。高血圧が認知症の危険因子となる理由として複数の説がある。まず脳血管損傷経路、また酸化ストレスと神経炎症経路、血液脳関門破壊経路、さらに脳構造変化と脳萎縮などである。これらをみると、アルツハイマー病の病理が形成されていくプロセスに関わる仮説の多くが高血圧と関連すると改めてわかる。治療面では、とくに血流の改善と脳構造の保護が重要である。わが国のガイドラインでは、年齢別、個人差を考慮した段階的な血圧管理を推奨している。また、いわゆる白衣高血圧の多さを考慮してか、最近では家庭用血圧計における継続的な測定結果が重視される。診察室での血圧よりも、自宅でリラックスして測定した値こそ「真の値」と考えるからだ。『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、全年齢の降圧目標が、「診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満」に定められている4)。なお言うまでもないが、血圧コントロールのみならず糖尿病や脂質異常症などの関連疾患の包括的な管理を通して、大きな予防効果が期待できる。これも「表街道」の予防法だ。認知症の修正可能な危険因子に関する今回の解説は以上である。14の危険因子のうちあと6つ、主にライフスタイルに関連するものが残っているが、これについては次回に述べることにしよう。参考文献・参考サイト1)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404:572-628.2)Gottlieb S. Head injury doubles the risk of Alzheimer's disease. BMJ. 2000;321:1100.3)Ding J, et al. Antihypertensive medications and risk for incident dementia and Alzheimer's disease: a meta-analysis of individual participant data from prospective cohort studies. Lancet Neurol. 2020;19:61-70.4)日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版; 2025.

10.

座っている時間が1日何時間以上でうつ病リスクが上昇するか

 これまでの研究では、1日の座位時間と抑うつ症状との関連性が検討されてきた。しかし、具体的な用量反応関係は依然として明らかになっていなかった。中国・Shenzhen Second People's HospitalのZhimao Cai氏らは、1日の座位時間と抑うつ症状との用量反応関係を調査した。Behavioural Neurology誌2026年号の報告。 本研究では、2007~18年に実施された米国国民健康栄養調査(NHANES)の参加者2万9,691例のデータを分析した。1日の座位時間とうつ病との非線形関連の可能性を探るため、平滑曲線フィッティングと閾値効果分析を用いた。1日の座位時間は、質問票を用いて収集し、うつ病の症状は、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・完全調整モデル3では、座位時間が1時間増加するごとに、抑うつ症状リスクが5%増加することが示された(95%信頼区間[CI]:1.02~1.07、p=0.0002)。・1日の座位時間で分類したところ、1日8時間以上座っている人は、すべてのモデルにおいてうつ病リスクが有意に高いことが示唆された。・モデル3では、1日8時間以上座っている人のオッズ比(OR)は、1日4時間未満の人と比較し、1.37(95%CI:1.12~1.69、p=0.0039)であった。・閾値効果分析では、7時間が変曲点であることが特定された。この閾値以下では、有意な相関は認められなかった。・一方、1日の座位時間が閾値を超えると、うつ病リスクの有意な増加が認められた(OR:1.07、95%CI:1.01~1.12、p=0.0184)。 著者らは「米国成人において、1日の座位時間とうつ病リスクの間に非線形な関連が認められた。これらの知見をさらに検証するためには、追加の研究が必要とされる」としている。

11.

1日1~2杯のお茶でうつ病リスクが低下?

 うつ病は、社会と健康の両方に大きな影響を及ぼす一般的な精神疾患である。お茶の摂取による潜在的な健康効果が示唆されているが、お茶の種類、摂取頻度、摂取量といった飲用パターンがうつ病のリスクと関連しているかどうかは不明であり、とくに異なる集団においては、これまでよくわかっていなかった。台湾・高雄医学大学のSi-Meng Chang氏らは、台湾バイオバンクの登録者2万7,119例のデータを用いて、自己申告による生涯うつ病歴の有病率とお茶の種類、摂取頻度、1日当たりの摂取量との関連性を評価した。Nutrients誌2026年3月5日号の報告。 お茶の種類(完全発酵茶、半発酵茶、非発酵茶)、摂取頻度、1日当たりの摂取量により分類した。自己申告による生涯うつ病歴のデータは、自己記入式質問票を用いて収集した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、お茶の摂取と自己申告による生涯うつ病歴との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、お茶の摂取量は、自己申告による生涯うつ病歴の有病率の低さとの有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:0.736)。・この関連性は、半発酵茶および非発酵茶で認められた(OR:0.674)。しかし、完全発酵茶では認められなかった。・1日1~2杯(350~700mL)のお茶の摂取は、自己申告による生涯うつ病歴の有病率の低さと有意に関連していたが、1日3杯以上の摂取では関連性が認められなかった。・さらに、お茶の摂取頻度に関して、毎日お茶を飲む人は自己申告による生涯うつ病歴の有病率の低さと有意に関連していたが、週に1回または月に1回しかお茶を飲まない人ではそのような関連が認められなかった。・サブグループ解析では、65歳以上の高齢者、糖尿病患者、喫煙者、飲酒者においては、お茶の摂取と自己申告による生涯うつ病歴の有病率低下との関連は認められなかった。・これは、健康状態や生活習慣が、お茶の摂取とうつ病との関連に影響を及ぼす可能性を示唆している。・ただし、交互作用分析では、有意な差は認められなかった。 著者らは「正式な交互作用検定において統計的に有意な差が認められなかったため、これらの結果は探索的なものと見なすべきである」としたうえで、「半発酵茶および非発酵茶を毎日1~2杯摂取することは、自己申告による生涯うつ病歴の有病率低下と関連していた。この関連性には、摂取量や摂取頻度が影響を及ぼすことが示唆された。さまざまな種類のお茶の生物学的メカニズムを解明し、高リスク集団に対する介入戦略を開発するためには、さらなる研究が求められる」としている。

12.

マバカムテン、青年期の閉塞性肥大型心筋症には?/NEJM

 青年期(12歳以上18歳未満)の閉塞性肥大型心筋症(HOCM)患者において、マバカムテンの投与はプラセボ投与と比較して、28週の試験期間にわたり、左室流出路閉塞を有意に大きく改善した。米国・フィラデルフィア小児病院のJoseph W. Rossano氏らSCOUT-HCM Investigatorsが、第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。肥大型心筋症の小児に対する承認薬はなく、左室流出路閉塞を認める患者では外科的介入が選択肢になる。マバカムテンは成人HOCMに対して承認されている選択的心筋ミオシン阻害薬で、有効性と良好な安全性プロファイルが確認されているが、小児患者に対する臨床的評価は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2026年3月29日号掲載の報告。マバカムテン群vs.プラセボ群で左室流出路圧較差の変化量を評価 研究グループは、NYHA心機能分類IIまたはIII度の症候性HOCMの青年期患者(12歳以上18歳未満)を対象に、マバカムテンの有効性と安全性を評価した。 被験者を、マバカムテン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。マバカムテン群では、ベースライン時点における体重45kg以上は1日1回5mg、35kg以上45kg未満は1日1回2.5mgで投与を開始し、バルサルバ法による左室流出路圧較差および左室駆出率(LVEF)に基づき、増量(5週目と9週目に1段階まで)または減量(12週目と24週目に1段階まで)が可能であった。 主要エンドポイントは、バルサルバ法による左室流出路圧較差の、ベースラインから28週時の変化量であった。28週時の変化量の群間差は-48.0mmHg 計44例が無作為化された。23例がマバカムテン群(女性8例[35%])、21例がプラセボ群(女性5例[24%])であった。平均(±SD)年齢はマバカムテン群14.7±1.7歳、プラセボ群14.6±1.7歳、ベースラインのバルサルバ左室流出路圧較差はそれぞれ78.4±34.1mmHg、80.8±47.4mmHgであり、両群で類似していた。 28週時点のバルサルバ左室流出路圧較差の最小二乗平均変化量は、マバカムテン群-48.5mmHg、プラセボ群-0.5mmHgであった(群間差:-48.0mmHg、95%信頼区間:-67.7~-28.3、p<0.001)。 有害事象の発現率は両群で同程度であった。重篤な有害事象は、各群2例で認められた。マバカムテン群では1例で失神エピソードを2回、もう1例で植込み型除細動器による不適切ショックが報告された。プラセボ群では1例で胸痛を、もう1例で自殺念慮を伴ううつ病が報告された。 LVEFが50%未満に低下した患者はいなかった。試験期間中の死亡の報告はなかった。

13.

初発精神疾患の女性に推奨される抗精神病薬に関する初の臨床診療ガイドライン

 抗精神病薬は、初回エピソード精神疾患の早期介入において主要な治療選択肢の1つであり、長期予後の重要なポイントとなる。女性患者における抗精神病薬治療は、副作用に対して特有の脆弱性を示すにもかかわらず、既存の臨床診療ガイドラインでは性別に応じた推奨事項が提供されていなかった。とくに高プロラクチン血症や心血管代謝系の副作用は、生殖年齢女性において著しい主観的な苦痛や長期の身体的健康リスクに影響を及ぼす可能性がある。アイルランド・St John of God University HospitalのCaroline Hynes-Ryan氏らは、初回エピソード精神疾患の女性患者に推奨される抗精神病薬に関する臨床診療ガイドラインの作成を目的に本検討を実施した。Schizophrenia Bulletin誌2026年3月7日号の報告。 経験豊富な専門家を含む国際的な多職種パネルにより、GRADE-ADOLOPMENTプロセスとAGREE IIフレームワークを用いて、成人および青年向けの既存の初回エピソード精神疾患ガイドラインを改訂した。主な健康上の疑問点については、関係者との協議および文献レビューを通じて策定した。なお、きわめて重要な患者アウトカムを優先し、副作用プロファイルに関するエビデンスを統合し、合意に基づく推奨事項を策定した。ガイドラインのアルゴリズムについては、現場での検証と専門家による外部レビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・女性における抗精神病薬の選択においては、プロラクチン上昇と心血管代謝系の副作用が優先的に考慮された。・高リスクの薬剤である第1世代抗精神病薬、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、パリペリドン、amisulprideは、第1選択薬としては推奨されない。・アリピプラゾールは、プロラクチン上昇および心血管代謝系プロファイルが一貫して良好である。そのため、第1選択薬として推奨される。・成人および青年に対しては、低または低~中程度リスクの代替薬が、共同意思決定ツールにより推奨された。 著者らは「本ガイドラインは、初回エピソード精神疾患を発症した女性に対する抗精神病薬の選択について取り上げた初の臨床診療ガイドラインである。本ガイドラインにより、きわめて重要な患者アウトカムと患者体験を優先することで、女性に対するより安全で性別に配慮した処方を支援し、精神病治療における治療受容性、アドヒアランス、公平性の向上につながる可能性がある」と結論付けている。

14.

帯状疱疹、50歳未満でも罹患リスクが高くなる6つの併存疾患

 50歳以上および免疫不全を有する成人では、帯状疱疹の罹患リスクが高いが、18~49歳の併存疾患を有する患者における帯状疱疹罹患リスクについてのエビデンスは不足している。グラクソ・スミスクラインのRachel A. Cohen氏らによる米国の医療保険請求データを用いた大規模後ろ向き研究の結果、特定の併存疾患を有する若年成人(30歳以上)では、50~59歳の併存疾患および免疫不全のない成人と比較して帯状疱疹の罹患リスクが高いことが示された。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2026年3月27日号掲載の報告。 本後ろ向きコホート研究では、2015~22年の米国におけるMerative MarketScan CommercialおよびMedicare Supplementalのデータが用いられた。併存疾患(喘息、慢性腎臓病[CKD]、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、うつ病、糖尿病、ストレス、および外傷)を有する免疫不全のない若年成人(18~49歳)における帯状疱疹罹患率(IR)を、併存疾患および免疫不全のない成人(50~59歳)と比較した。 併存疾患および免疫不全のない50~59歳と比較した調整罹患率比(aIRR)について、非劣性マージン(95%信頼区間[CI]の下限:0.62)があらかじめ設定された。aIRRは、同等(aIRRの95%CIの下限>0.62かつ≦1.0)、有意に高い(同>1.0)、または結論不能(それ以外の結果)に分類した。帯状疱疹罹患の定義は、診断コードに加え、±7日以内の経口抗ウイルス薬の処方とした。感度分析として、併存疾患の数(1、2、または3以上)別に帯状疱疹の罹患率を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象集団は、帯状疱疹罹患歴または帯状疱疹ワクチンの接種歴がなく18歳以上の2,067万3,677人。免疫不全症および自己免疫疾患を有する成人を除外後、併存疾患を有する成人は316万45人であった。・全体として、併存疾患を有する成人において3万1,995件の帯状疱疹発症が報告された。・帯状疱疹罹患率は、気管支喘息(aIRR:1.19[95%CI:1.10~1.29])、COPD(1.31[1.22~1.40])、うつ病(1.31[1.22~1.40])、糖尿病(1.18[1.06~1.32])、ストレス(1.28[1.11~1.47])、および外傷(1.25[1.17~1.34])を有する集団では30~39歳において、またCKD(1.50[1.28~1.77])を有する集団では50~59歳において、50~59歳の併存疾患および免疫不全のない成人と比較して有意に高かった(aIRRの95%CIの下限>1.0)。・感度分析の結果、帯状疱疹罹患率は併存疾患数の増加および年齢の上昇に伴って増加する傾向がみられた。

15.

初発うつ病患者の抑うつ/不安症状と血圧との関係

 抑うつ症状および不安症状は、うつ病患者によくみられる症状である。しかし、未治療うつ病患者におけるこれらの症状と血圧との関連は、これまで十分に解明されていなかった。中国・南京医科大学第二附属医院のQi Qian氏らは、初回発症・未治療のうつ病患者における抑うつ症状および不安症状と血圧との間の潜在的な関連を検討するため、本研究を実施した。Scientific Reports誌2026年2月10日号の報告。 対象は、初回発症・未治療のうつ病患者1,718例。抑うつ症状はハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)、不安症状はハミルトン不安尺度(HAMA)を用いて評価した。収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)をアウトカム変数とした。多重線形回帰分析を用いて、人口統計学的特性および臨床変数を調整したうえで、HAMD-17スコアおよびHAMAスコアと血圧との関係を評価した。 主な内容は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は34.87±12.43歳、女性の割合は65.77%であった。・HAMD-17平均スコアは30.30±2.94、HAMA平均スコアは20.80±3.47であった。・平均SBPは119.48±10.91mmHg、平均DBPは75.95±6.74mmHgであった。・両変数を同時に含めた完全調整モデルでは、HAMD-17スコアはSBP(β=0.80、95%信頼区間[CI]:0.63~0.98、p<0.001)およびDBP(β=0.36、95%CI:0.24~0.49、p<0.001)との有意な相関を示した。・HAMAスコアはSBPとの有意な関連は認められなかったが(β=0.13、95%CI:-0.02~0.28、p=0.079)、DBPとの有意な関連は認められた(β=0.15、95%CI:0.04~0.26、p=0.006)。 著者らは「初回発症・未治療のうつ病患者において、うつ症状はSBPおよびDBPと独立して相関していたが、不安症状はDBPとのみ有意な関連を示した。これらの研究結果は、うつ病患者において、抑うつ症状および不安症状は心血管系パラメーターとそれぞれ異なる関連性を有する可能性を示唆している」としている。

16.

脳ケアスコア「BCS」が高いほど脳卒中発症リスクが低い

 米マサチューセッツ総合病院のEvy M. Reinders氏らは、脳卒中リスクの地理的・人種的差異を探る前向きコホート研究(Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke;REGARDS)のデータを解析。修正可能な12項目の因子を評価する「脳ケアスコア(Brain Care Score;BCS)」が良好であるほど、脳卒中発症リスクが低いことを見いだした。詳細は「Neurology」に12月18日掲載された。 この研究では、REGARDS参加者のうち、ベースラインで脳卒中の既往がなく、BCSスコア算出に必要なデータに欠落のない1万861人(平均年齢63.2±8.4歳、女性57.4%、黒人30.6%)を解析対象とした。解析に際しては、米国では脳卒中リスクに人種差があることから、黒人と白人を層別化して比較検討した。 BCSスコアは、脳卒中や認知症、老年期うつ病のリスクに関連している、BMI、血圧、血糖値、コレステロール、喫煙・飲酒・食事・運動・睡眠習慣、ストレスなど、修正可能な12項目を評価する。スコア範囲は0~21点で、スコアが高いほど脳ケアが優れていることを意味する。本研究の解析対象者のベースライン値は14.4±2.4で、黒人(13.8±2.5)は白人(14.7±2.3)より低値だった(P<0.001)。 中央値15.9年の追跡で696件の脳卒中(虚血性、出血性、およびくも膜下出血)が発生した。カプランマイヤー解析での脳卒中累積発生率は全体で6.2%であり、人種別でも黒人・白人ともに6.2%であった。交絡因子(年齢、性別、収入、教育歴、医療保険、居住地域など)を調整した解析からは、黒人ではBCSスコアが5点高いごとに脳卒中リスクが53%低い(ハザード比〔HR〕0.47〔95%信頼区間0.36~0.61〕)という有意な関連が認められた。それに対して白人では25%のリスク低下にとどまり(HR0.75〔同0.62~0.92〕)、関連の強さに有意差があった(P=0.0045)。 脳卒中のタイプ別の解析では、虚血性脳卒中では全体解析と同様の傾向が観察された。一方、出血性脳卒中に関しては症例数が少ないため不確実性が大きく、統計学的に有意な関連が見られなかった。 Reinders氏は、「身体的要因、生活習慣要因、および社会心理学的要因を統合して脳の健康状態を測るBCSスコアを用いた検討により、特に黒人などの脳卒中リスクの高い集団で、生活習慣の改善がより大きなリスク抑制につながる可能性が示唆された」と総括している。 なお、1人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

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子どものこころの診療-小児科医が挑む子どものこころの臨床

「子どものこころ」の問題に小児科医、精神科医が連携して挑む「小児診療 Knowledge & Skill」第4巻「子どものこころ」の問題は社会状況の変化に伴い、年々その重要性が高まっている。小児科外来では「こころ」の健康に関する臨床機会が増加しているが、「こころ」の診療は専門性が高く多岐にわたる知識と技術が求められる。小児科、精神科の連携は必須であり、本書は「子どものこころ」の臨床に携わる小児科医と精神科医のエキスパートによる、それぞれの専門性を活かした最新の知見を詳解。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する子どものこころの診療-小児科医が挑む子どものこころの臨床定価8,800円(税込)判型B5判(並製)頁数320頁発行2026年3月総編集加藤 元博(東京大学)専門編集田中 恭子(順天堂大学)共同編集者岡田 俊(奈良県立医科大学)/金生 由紀子(全国療育相談センター)/石﨑 優子(関西医科大学)/永光 信一郎(福岡大学)ご購入はこちらご購入はこちら

18.

日本のアルツハイマー病患者における介護者負担と神経精神症状との関係

 地域在住のアルツハイマー病患者を対象とした先行研究では、認知症における重度の神経精神症状(NPS)と介護負担との関連が報告されている。鹿児島県・あいらの森ホスピタルの永田 智行氏らは、日本における地域在住のアルツハイマー病患者の家族介護負担、認知症のNPS、介護サービスの利用状況の現状を調査した。Psychogeriatrics誌2026年3月号の報告。 地域在住のアルツハイマー病患者の同居家族介護者を対象に、2023年11月13~27日にウェブベースの質問票を用いて調査を実施した。パネルデータに登録された8,108人の参加者の中から、705人の家族介護者(年齢範囲:19~79歳)を抽出した。参加者は、神経精神医学的評価尺度(Neuropsychiatric Inventory-Brief Questionnaire)の日本語版に回答した。 主な結果は以下のとおり。・家族介護者の平均年齢は、54.6±11.5歳、男性の割合が56.9%であり、84.0%がアルツハイマー病の親または義理の親を介護していた。・アルツハイマー病患者の平均年齢は、84.2±8.8歳、男性の割合が26.2%であった。NPSを有する患者は90.6%、そのうち73.4%に多動性(焦燥、脱抑制、易刺激性、異常な運動行動)が認められた。・NPSを有する患者の介護者による週当たりの平均介護時間は、NPSのない患者の場合と比較し、長かった(24.1±22.1時間vs.17.6±14.0時間)。・NPSを有する患者の介護者では、NPSのない患者の介護者よりも、看護ケア支援サービスへの不満が高かった。・多動性のマネジメントのために、介護者の11.3%が投薬を行い、11.5%が患者を静かな環境に移動させた。一方、16.6%の介護者は対処方法がなかった。・多動性への対応として「投薬を行った」と回答した介護者のうち、32.1%が介護スタッフまたは医療従事者を呼んで経口薬を投与し、18.9%が患者を医療機関に連れて行き、注射または点滴治療を受けさせていた。 著者らは「NPSを有するアルツハイマー病患者の介護は、NPSのない患者と比較し、介護期間の延長、看護ケアサービスの利用率の高さ、看護ケア支援サービスへの不満との関連が認められた」としている。

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うつ病患者の死亡リスク低下に有効な食事パターンは?

 食事は、うつ病の発症に重要な役割を果たしている。しかし、食習慣がうつ病患者の死亡率に及ぼす影響は、これまで明らかになっていなかった。中国・中南大学のHonghui Yao氏らは、成人うつ病患者における6つの食習慣とすべての原因による死亡率および死因別死亡率との関連性を調査した。European Journal of Nutrition誌2026年2月12日号の報告。 対象は、英国バイオバンクの参加者のうち、うつ病と診断され、診断後24時間食習慣評価を1回以上受けた5,368例(2006~10年に登録)。食事データは、ベースライン時および4回のオンラインフォローアップ調査を通じて収集した。高血圧予防のための食事療法(DASH)、食事性炎症指数(DII)、健康的な食事に関する食品指数2019(HEFI-2019)、健康的な植物性食事指数(hPDI)、地中海式食事スコア(MDS)、世界がん研究基金/米国がん研究財団(WCRF/AICR)食品スコアの6つの食事スコアを算出した。Cox比例ハザード回帰分析を用いて、全死亡率、心血管疾患(CVD)、がんによる死亡率のハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中央値約4,370日の間に、342例が死亡した。そのうち57例がCVD、159例ががんによる死亡であった。・DASH(HR:0.92、95%CI:0.85~0.99)、HEFI-2019(HR:0.90、95%CI:0.83~0.97)、MDS(HR:0.90、95%CI:0.83~0.97)の各五分位増加は、全死亡率の低下と関連していた。・HEFI-2019はCVDによる死亡率の低下とも有意に関連が認められた(HR:0.79、95%CI:0.64~0.96)。・死亡率の低下は、主に魚の摂取量の増加および非全粒穀物、脂肪、遊離糖、ナトリウムの摂取量の減少と関連していた。 著者らは「うつ病患者において、MDSとHEFI-2019への順守率の高さは、死亡率の低下と関連していた。これらの知見は、健康的な食生活がうつ病患者の長期的な健康を支える役割を果たす可能性を示唆している」と結論付けている。

20.

日本人の全般性不安症患者が抱える満たされないニーズ判明

 ヴィアトリス製薬の野本 佳介氏らは、臨床試験に参加した日本人の全般性不安症(GAD)患者を対象に、本研究を実施した。疾患認識レベル、過去の医療を求める行動および診断歴、症状と日常生活への影響、診断および臨床評価に対する認識、そして試験参加後の変化を調査した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2026年2月24日号の報告。 本研究は、ウェブベースの質問票を用いた量的(記述的)研究として、2025年4月23日〜5月25日に実施した。対象患者は、DSM-5に基づきGADと診断され、セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬ベンラファキシンのB2411367臨床試験に登録歴のある患者。症状と疾患負担に関する患者の直接的な経験は、自由記述式回答によって収集した。 主な結果は以下のとおり。・98例の回答者のデータを分析した。・試験登録時に最も多く報告されたGADの症状は、過度の不安または心配(99.0%)、易疲労性(86.7%)、睡眠障害(82.7%)であった。・回答者の半数以上(53.1%)が、日常生活で最も影響を受けているのは仕事または勉強であると回答し、集中力の低下、効率の低下、身体的負担を訴えた。・疾患認知度に関しては、回答者の72.4%がGADについて聞いたことがなく、71.4%が不安の原因を性格に起因するものであると回答した。・試験参加前に医療機関を受診していた患者は、11.2%であった。その際、最も多かった診断はうつ病(36.4%)であり、GADと診断された患者は9.1%のみであった。 著者らは「多くのGAD患者は、試験参加前に病名を知らず、日常生活に影響を与える症状を抱えていた。患者の直接の体験談は、彼らの負担についてより深い洞察をもたらした。この調査結果は、臨床試験に参加した日本人GAD患者のアンメットニーズ、そして一般の疾患認知度の低さや臨床現場での認知度の低さを浮き彫りにしている。GADの認知度向上に向けた取り組みは、早期診断の促進と適切な治療へのアクセス拡大に役立つ可能性がある」としている。

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