統合失調症患者の死亡率は、一般人口に比べて有意に高く、平均余命が15~20年短縮するといわれている。ルーマニア・Transilvania University of BrasovのAndreea-Violeta Popa氏らは、ルーマニアの統合失調症患者コホートにおける10年間の全死亡率とその臨床的相関関係を、実際の臨床記録、病院記録、法医学記録を用いて調査した。Schizophrenia (Heidelberg, Germany)誌2025年8月29日号の報告。
2010〜13年に入院した統合失調症患者635例を対象に、10年間フォローアップ調査を実施した。死亡率、死因、リスク因子は、Cox回帰モデルおよび標準化死亡比(SMR)を用いて評価した。
主な内容は以下のとおり。
・フォローアップ期間中に死亡した患者は123例(19.37%)、1,000人年当たり21.3例であった。
・ルーマニアの一般人口と比較したSMRは1.58であり、統合失調症患者の死亡リスクが有意に高いことが示唆された。
・死因は、非暴力的な死因が優勢で、心血管疾患(27.64%)および感染症(17.07%)が最も多かった。
・自殺や事故を含む暴力的な死因は、全死亡率の17.07%を占めた。
・死亡時の平均年齢は58.97歳であり、平均寿命の17年短縮が認められた。
・年齢は死亡率の最も強い独立予測因子であった(ハザード比[HR]:1.07、p<0.001)。
・第2世代抗精神病薬の使用(HR:0.37、p<0.001)および入院頻度の低さ(HR:0.09、p<0.001)は、全死亡率および原因別死亡率の低下と有意な関連が認められた。
著者らは「統合失調症は、主に予防可能な身体疾患や暴力的な死因により、早期死亡率の有意な上昇と関連していることが示唆された。生存転帰を改善するためには、早期介入、持続的な治療順守、統合的な医療ケアが不可欠である」としている。
(鷹野 敦夫)