19.
双極症I型(BP-I)は、慢性かつ再発性の精神疾患であり、躁/軽躁状態およびうつ状態の両極端の気分スペクトルを交互に呈する特徴を有している。2015年、米国におけるBP-Iの推定年間総コストは2,000億ドルを超え、一般人口の約2.5倍に達した。これは主に急性期医療サービスの利用増加によるものであった。アリピプラゾールなどの長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が開発されたことにより、経口剤と比較して、治療順守に関する患者の負担を大幅に軽減し、一貫した投与量および治療成績の向上が可能となった。これまでのリアルワールドエビデンス研究では、統合失調症患者において、アリピプラゾール月1回注射剤(AOM)を早期に開始することによるベネフィットが示されている。しかし、BP-I患者集団における早期AOM開始の有効性は、いまだ不明であった。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのShivanshu Awasthi氏らは、MarketScanメディケイドデータベースの請求データを用いたレトロスペクティブ解析により、リアルワールドにおけるBP-I成人患者に対するAOM 400mg(AOM 400)の有効性を診断後早期開始(180日未満)と遅延開始(365日超)の場合で比較した。Journal of Managed Care & Specialty Pharmacy誌2026年1月号の報告。 アウトカムは、1年間における救急外来、入院、外来、薬局の受診回数と関連コストとした。遅延開始者対照群として、早期、中期、遅延治療開始者における年間コストの比較には、一般化線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・BP-I患者866例(年齢中央値:36歳)のうち、早期開始群は161例、後期開始群は591例であった。・早期開始群は、後期開始群と比較し、救急外来受診(発症率比:0.76、95%信頼区間[CI]:0.61〜0.94)、外来薬局受診(発症率比:0.82、95%CI:0.73〜0.93)のリスクが有意に低かった。・早期開始群は、後期開始群と比較し、薬局受診コスト(1万8,787ドルvs.2万3,503ドル、p=0.03)および医療コスト(1万3,898ドルvs.1万8,277ドル、p=0.01)も低かった。・全体として、フォローアップ期間中の総医療コストは、早期開始群が後期開始群よりも大幅に低かった(3万1,086ドルvs.4万599ドル、p<0.001)。・早期開始群は、中期開始群と比較し、総医療コストが有意に低かった(3万1,086ドルvs.4万892ドル、p=0.01)。 著者らは「BP-I患者におけるAOM 400の早期開始は、後期開始と比較し、医療資源利用と関連コストの低減という大きなベネフィットをもたらす可能性がある」と結論付けている。