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統合失調症に対するLAI抗精神病薬治療が入院率や再発率に及ぼす影響

 長期作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調スペクトラム症の長期治療マネジメントにおいて重要な治療選択肢である。新たなエビデンスは、入院および/または再発リスクといった長期治療アウトカムに有益な影響を与えることを示唆している。イタリア・University Magna Graecia of CatanzaroのRenato de Filippis氏らは、自然発生的な外来診療環境における統合失調スペクトラム症患者を対象に、LAI抗精神病薬治療開始前後3年間の再発率、入院率、入院日数を比較するため、3年間のフォローアップミラー観察デザイン研究を実施した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2026年2月11日号の報告。 統合失調スペクトラム症の外来患者において、経口薬からLAI抗精神病薬へ切り替えた患者を対象に、入院率と入院期間、LAI抗精神病薬治療開始前後3年間の臨床的な総再発数を比較するため、3年間のフォローアップ調査を行うミラーイメージデザインを用いた。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニング対象となった83例のうち、第1世代抗精神病薬(FGA)または第2世代抗精神病薬(SGA)のLAIによる治療を開始した統合失調スペクトラム症の成人患者56例(女性:20例[35.7%])を対象とした。・全体として、経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬への切り替えにより、治療順守患者の入院回数および入院期間(平均10.15日から0.18日へ)が有意に減少し、3年間のフォローアップ期間における総再発数も(平均1.85回から1.10回へ)減少した。・サブグループ解析では、SGA LAIおよびFGA LAIに切り替えた患者の両方において、3年間のフォローアップ期間中に入院回数が減少していたが、これはLAI抗精神病薬治療を6ヵ月超継続した場合のみに認められた。・この効果は、初めてLAI抗精神病薬に切り替えた患者においてのみ報告された。 著者らは「本研究結果は、統合失調スペクトラム症の維持療法としてのLAI抗精神病薬の有効性、とくにLAI抗精神病薬による治療期間が長い患者における有効性が確認された。今後の研究により、LAI抗精神病薬治療により最も効果が得られる可能性のある統合失調スペクトラム症患者の臨床的特徴がさらに明らかになることが望まれる」としている。

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バーンアウトについて学んでみる【非専門医のための緩和ケアTips】第120回

バーンアウトについて学んでみる緩和ケアに限らず、医療者として働き続けるうえで非常に重要な「バーンアウト(燃え尽き症候群)」に関する質問をいただきました。今回はバーンアウト全般について考えてみます。今日の質問緩和ケアやお看取りのケアはやりがいを感じる反面、精神的負担を感じるときがあります。知り合いの緩和ケア認定看護師が、うつ病で休職したという経験もあります。緩和ケアはバーンアウトしやすいのでしょうか?私も緩和ケアの仕事を始めた頃に、家族や知人に「亡くなる人ばかりを診ていると、うつ病になるのではないか」と心配されたことがありました。私自身は緩和ケアにやりがいを感じ、キャリアの中で関わることができたことは本当に良かったと思います。ただ確かに、周囲にはうつ病と診断されるかどうかはともかく、メンタル不調で休職が必要になったり、緩和ケアの仕事を続けられなくなったりする方もいました。私は精神科医ではなく、バーンアウトについて専門的に学んだ経験もありませんが、部門の管理者としてスタッフの健康管理をするうえでバーンアウトについて知っておくことは重要だと考えています。では、具体的にバーンアウトのどんな点を知っておく必要があるのでしょうか? 緩和ケア領域は、共感性の高いスタッフが集まりやすい分野だと感じます。緩和ケアを実践するスタッフは、患者はもちろん、家族や介護スタッフ、同僚に対しても思いやりをもつ方が多いと感じます。一方、懸命に取り組むスタッフであればあるほど、仕事において感情的な負担や葛藤を抱えることは多いとも感じます。懸命に取り組むだけに、患者さんの苦痛を緩和できなかったり、家族とのやり取りで負担を感じたりといった場面が続くと、より負担を感じやすくなります。そんな状況で、私たちにとって大切なことは、自分自身の状況に敏感であることです。バーンアウトの分野には「情緒的消耗感」や「脱人格化」という用語があります。「情緒的消耗感」は単なる疲弊だけでなく、情緒的な資源の枯渇を伴う状態です。そして「脱人格化」は他者への対応が思いやりのないものになったり、個別のケアに配慮できなかったりする状態を意味します。まずは自分自身のコンディションに意識を向け、こうした状態の兆候がないか、気を払うことが大切です。管理者目線では、スタッフがこうした状態に陥っていないかを注意する必要があります。また、自分自身に注意を払えるよう、バーンアウトをテーマとした研修を行うことも一手でしょう。いかがでしょうか? バーンアウトについて、皆さんの職場で、それぞれの立場で、考えるきっかけになれば幸いです。今日のTips今日のTipsバーンアウトについて理解すること、自身のコンディションに敏感になることが大切。

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うつ病診療ガイドラインの効果的な使い方

 日本うつ病学会は、2025年12月25日に『うつ病診療ガイドライン2025』1)を公開した。そこで、本ガイドラインの改訂のポイントについて、作成ワーキンググループの代表・責任者を務める加藤 正樹氏(関西医科大学医学部精神神経科学講座)、統括を務める渡邊 衡一郎氏(杏林大学医学部精神神経科学教室)、馬場 元氏(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック)の3名に話を聞いた。「改訂の背景と概要、重症度別の治療」について取り上げた前編に続き、後編では「治療過程のフェーズ別の治療、サブタイプ・ライフステージ別の治療」について、紹介する。難治例の新たな概念「DTD」 これまで、標準的な抗うつ薬治療を行っても改善しない症例は「治療抵抗性うつ病(Treatment Resistant Depression:TRD)」と呼ばれてきた。TRDは主に「2剤以上の抗うつ薬に反応しない」という薬剤への反応性に焦点を当てた定義である。これに対し、本ガイドラインでは「難治性抑うつ(Difficult-to-Treat Depression:DTD)」という概念を導入した。DTDは、単なる薬剤抵抗性だけでなく、機能回復の遅れ、副作用による治療困難、再発頻度なども包括した、より広い臨床概念である。この概念の導入について、加藤氏は「こだわったポイントの1つ。従来のTRDよりも幅広く、社会機能が戻らない、副作用で薬が使いにくい、再燃を繰り返すといったケースも含めて対策を考えようというものである」と語った。 本ガイドラインでは、「初期治療」、初期治療で十分な効果が得られなかった場合の「後続治療」、「さらなる段階の治療」、寛解を維持するための「維持期治療」という縦軸を採用している。DTDには「後続治療」「さらなる段階の治療」の2つが含まれる。これは、従来のTRDとは異なり、再燃・再発が反復する不安定な経過を有する患者、抗うつ薬の忍容性に問題がある患者なども包含する。 後続治療について、渡邊氏は「1剤目が効かなかった場合に、治療の強化が注目されがちであるが、まずは効果や副作用、服薬アドヒアランスなどを確認してほしい」と指摘する。具体的な確認事項については「半年で約半数が服用しなくなるというデータもあるため、そもそも薬を服用していない可能性もある。また、初期用量からの増量が行われず、適切な用量に至っていない場合もあるため、用量の確認も必要だ」と述べる。このようなことをすべて確認したうえで、薬剤の増量や変更、薬剤の追加、精神療法の付加などを検討することが、後続治療の基本となる。ライフステージ別の治療戦略は? 今回の改訂において「児童・思春期」「周産期」「老年期」の各ライフステージについて独立した章が設けられた。その背景について、馬場氏は「それぞれのステージで配慮すべき事柄が多く、それぞれ大きく異なる。しかし、臨床試験ではこれらの集団は除外されていることが多い。そこで、一般成人と同じ治療戦略で良いのかという疑問に答える必要があった」と述べる。<児童・思春期> 児童思春期のうつ病は、成人のような抑うつ気分よりも「易怒性」として表現されることが多い。馬場氏は「これを知らないとそもそも診断に至らない」と指摘する。治療においては、環境調整や心理教育などの基礎的介入、精神療法が優先され、新規抗うつ薬の使用は「選択肢のひとつ」にとどまる。<周産期> 周産期のうつ病は、強い不安、幻覚・妄想といった精神症の症状など、特有な精神症状を伴うことがある。約10%が周産期に抑うつを経験するとされ、重要な集団といえる。治療については、中等度以上であれば抗うつ薬を「使用することを弱く推奨する」としている。授乳中についても、母乳への移行率が低い薬剤が多く、抗うつ薬を「使用することを提案する」としている。なお、本ガイドラインには、母乳への移行率を示す相対的乳児投与量をまとめた表が掲載されているため、参考にされたい。周産期の治療について、馬場氏は「胎児の奇形リスクや発達への影響はほとんど上昇せず、逆に治療しないリスクの方が高いというエビデンスがある。授乳中の服薬についても、母乳への移行が少ない薬剤が多く、使用を提案している」と述べた。<老年期> 高齢者では、身体疾患や脳器質性疾患による抑うつ状態、低活動性せん妄、アパシー(意欲低下)などがみられることがあり、鑑別が重要となる。また、高齢者の場合は薬物治療による有害事象も発現しやすいため注意が必要である。これについて、馬場氏は「高齢者の場合は、薬物治療を控えたほうが良いのではないかと考える方もいるかもしれないが、中等度以上の場合は、抗うつ薬治療を行うことが強く推奨されている」と述べ、有害事象に注意しながらも、適切な治療を検討することの重要性を指摘した。 ライフステージについて、馬場氏は「中等度以上のうつ病に対する薬物療法をみても、児童・思春期では『選択肢のひとつ』、周産期であれば『弱く推奨する』、老年期では『強く推奨する』と異なっており、ライフステージに対する配慮が必要である」と語った。ガイドラインの効果的な使い方 馬場氏は「ガイドラインは治療を決定するルールブックではなく、治療方針を患者と一緒に決めるために情報を共有するツールである」と強調する。たとえば、重症度が中等度で、ライフステージは老年期に該当し、不眠症状を伴う患者の例を考える。この場合は、中等度/重度に関するClinical Question(CQ)3、老年期に関するCQ6、不眠症状に関するCQ8が該当する。これらの情報を患者と共有して、SDMを行う。 実際に各CQをみると、CQ3では新規抗うつ薬による単剤治療が強く推奨され、ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬の併用療法を行わないことが弱く推奨されている。老年期に関するCQ6でも、新規抗うつ薬による単剤治療が強く推奨され、睡眠に関する記載はない。一方で、不眠症状に関するCQ8では、まずは睡眠衛生指導を行ったうえで、必要があれば抗うつ薬に睡眠薬を併用することが弱く推奨されている。これらの情報を患者と共有したうえでの治療方針の一例として、馬場氏は「新規抗うつ薬を使い、不眠に対しては睡眠衛生指導を実践してみよう。それでも不眠が改善しない場合は、ベンゾジアゼピン系以外の睡眠薬を併用しようといった選択が考えられるのではないか」と述べた。 本ガイドラインは膨大な情報を含むが、実臨床での使いやすさを重視して設計されている。各章にCQX-1(治療開始に際して考慮すべきこと)とCQX-2(治療概説)が配置され、ここを参照するだけで標準的な診療方針が把握できるようになっている。そのため馬場氏は、非専門医の先生方に向けた活用法として「まずは第1章を読んでうつ病診療の原則を理解していただきたい。そのうえで、実際の診療では該当する章の『CQX-1』と『CQX-2』だけでも見ていただければ、適切な診療方針が立てられる」と活用法を述べた。

4.

うつ病診療ガイドライン、ゼロベースの改訂でどう変わったか

 日本うつ病学会は、2025年12月25日に『うつ病診療ガイドライン2025』1)を公開した。今回の改訂は、既存のガイドラインへの加筆修正ではなく、ゼロベースからの再構築となっている。そこで、本ガイドラインの改訂のポイントについて、作成ワーキンググループの代表・責任者を務める加藤 正樹氏(関西医科大学医学部精神神経科学講座)、統括を務める渡邊 衡一郎氏(杏林大学医学部精神神経科学教室)、馬場 元氏(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック)の3人に話を聞いた。改訂のポイントについて「改訂の背景と概要、重症度別の治療」と「治療過程のフェーズ別の治療、サブタイプ・ライフステージ別の治療」に分け、前編と後編の2回にわたって紹介する。ゼロベースで作成、実臨床に即したガイドラインに 今回の改訂では、国際的なガイドライン作成基準であるMindsに準拠し、科学的妥当性と透明性を担保する作成方法へと一新された。そのため、システマティックレビューに基づくエビデンス評価を基盤としながら作成されているが、実臨床での思考過程に焦点を当てた構成とするため、ナラティブな記載も織り交ぜられている。また、作成グループには薬剤師・看護師・心理師などのメディカルスタッフ、当事者やその家族も含まれる。 推奨の決定にあたっては、推奨決定会議において投票者の70%以上の合意形成を必須とするルールが採用され「強く推奨」「弱く推奨」という推奨度と、推奨までには至らない「提案」「選択肢のひとつ」が設定された。診療の「現在地」が把握できるマトリクス構造 本ガイドラインの特徴は、複雑化するうつ病診療を整理するために導入された「横軸」と「縦軸」によるマトリクス構造である。横軸:重症度(軽度、中等度・重度)、ライフステージ(児童・思春期、周産期、老年期)、サブタイプ(不眠症状を伴ううつ病、特定用語:不安性の苦痛、混合性の特徴など)縦軸:初期治療、後続治療、さらなる段階の治療、維持期治療 この構造について、加藤氏は「うつ病治療では、どの薬が良いか、目の前の患者にどうフィットさせるか悩みやすい。そこで、患者を横軸と縦軸に当てはめて読めるようにした」と意図を述べた。実際に、目の前の患者をガイドラインの項目に当てはめながら読めるようにするため、うつ病診療のアルゴリズムが掲載されている。 第1章「治療計画の策定」は、あえてナラティブな記載とし、臨床の原則を網羅している。さらに「診断基準を満たさない閾値下の抑うつエピソード」など、エビデンスを基に作成するのは難しいものの臨床上重要なテーマは、トピックスとして7テーマ取り上げている。 今回の改訂では、Clinical Question(CQ)の構成にも工夫が施されている。各章のCQX-1では「治療に際して何を考慮すべきか?」という臨床的視点からの問いかけが提示され、CQX-2では「システマティックレビューの概要など、治療の総論」がまとめられている。すなわち、CQX-1、X-2を読むことで、各章の治療方針の立て方がわかるような構成になっている。これについて、馬場氏は「すべて読むことが難しい場合は、まずは第1章を必須として読んでもらい、以降は診療する患者に該当する章のCQX-1、X-2を読んでほしい」と述べた。軽度うつ病の薬物療法は「選択肢のひとつ」 軽度うつ病への介入は、支持的な傾聴、生活における負担の軽減、心理教育などの基礎的介入が基本となる。本ガイドラインでは、これらを実施したうえで、新規抗うつ薬を使用することを「選択肢のひとつ」と位置付けている。 これについて、加藤氏は「軽度うつ病のみを対象とした無作為化比較試験、システマティックレビューおよびメタ解析は存在しなかった。そこで、本邦で実施された新規抗うつ薬の無作為化比較試験について、2,464例を対象とした個人データのメタ解析を実施したところ、重症度と抑うつ症状の改善には相互作用がなかった。つまり、重症度にかかわらず抗うつ薬は有効と考えることができる。また、軽度うつ病では症状の改善の余地が小さいため、プラセボとの差はみられにくいが、抗うつ薬によりいずれの試験でも症状が改善していた。これらを考慮して、安全性の高い新規抗うつ薬は『選択肢のひとつ』となると判断した」と根拠を述べた。 そのほか、認知行動療法、それを基盤とした集団プログラムやガイド付きのプログラム、集団あるいは指導下での運動療法も「選択肢のひとつ」となっている。中等度・重度うつ病への抗うつ薬は強く推奨 中等度・重度のうつ病に対しては、新規抗うつ薬による単剤治療を「行うことを強く推奨する」としている。一方、治療初期からの抗うつ薬とベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬の併用療法※については「行わないことを弱く推奨する」となっている。ただし、カタトニアを伴ううつ病の治療法に関するCQ7-6-2では、急性期の薬物療法としてベンゾジアゼピン系薬剤による補助療法は「提案する」とした。これについて、馬場氏は「全体としては、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の併用は勧められないが、使用すべき患者もいる。このようにサブタイプ別にも見ることで、より適切な治療を行うことができるというのが、本ガイドラインの特徴である」と述べた。 構造化された精神療法や電気けいれん療法(ECT)については、有用性に関するエビデンスがあるものの、推奨度は「提案する」にとどまっている。これについて、加藤氏は「エビデンスは存在するが、実施可能な施設が限られることなどから『提案する』にとどめる判断となった」と述べた。※:本ガイドラインでは、治療初期から同時に開始することを併用療法と定義している。どのように治療を使い分けるか? うつ病治療の基本は、共同意思決定(SDM)に基づいて患者自身が積極的に治療に関わるようにすることである。SDMでは、病状や各種治療選択肢、予想される経過などについて治療者が説明し、リスク・ベネフィットを共有したうえで、患者の意見や価値観も聞きながら治療を選択していくことが重要となる。 本ガイドラインでは、抗うつ薬の副作用に関するヒートマップや、薬物相互作用をまとめた表が掲載された。これらは、SDMを通じた抗うつ薬の使い分けにも、用いることが可能である。これらを用いた使い分けの例として、加藤氏は「会社に行きながら治療するのであれば、眠気の少ない薬を提案する。一方で、睡眠が十分に取れていない場合は、副作用として眠気が出てしまうかもしれないが、しっかりと睡眠が取れる薬を提案する。薬物相互作用については、高齢者や併用薬の多い患者には薬物相互作用の少ない薬剤を提案するといった使い分けができる」と説明した。治療の質を向上させる「MBC」 本ガイドラインでSDMと共に強調しているのが、測定に基づく診療(Measurement-Based Care:MBC)の実践である。MBCは、標準化された評価尺度を用いて治療反応を定期的に評価し、その結果を共有しながら治療を調整するアプローチである。MBCを実践することで、MBCを用いない標準治療と比較して寛解率が45%向上したという研究結果も存在する2)。 MBCの実践に当たっては「自己記入式の評価尺度を用いるのが良い。自己記入式の評価尺度は、患者の自己洞察や意思決定を促進するほか、症状の伝え漏れを防ぐことができる」と加藤氏は述べる。 評価の頻度と使用しやすい評価尺度について、渡邊氏は「最初に寛解を達成するまでは、できるだけ毎回、少なくとも2週間に1回は評価するのが良いのではないか。自己記入式の評価尺度としては、QIDSやPHQ-9が推奨される。これらは、うつ病の診断基準に合った9項目で構成されており、残遺症状のピックアップができるというメリットもある」と語った。(後編に続く)

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急性期統合失調症、24種の抗精神病薬をネットワークメタ解析/Lancet

 急性期統合失調症の薬物療法では、抗精神病薬の有効性には各薬剤間で臨床的に意義のある小~中の違いが存在し、忍容性はドパミンパーシャルアゴニストが全般的に良好で、新たな薬剤クラスのムスカリン受容体作動薬xanomeline-trospium(ドパミン受容体を主な標的としない初めての抗精神病薬[2024年にFDA承認])はドパミン拮抗薬にみられる有害作用を伴わないものの、コリン作動性および抗コリン作動性の有害事象を引き起こすことが、ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らの調査で示された。研究の成果はLancet誌2026年2月28日号に掲載された。24種の抗精神病薬のネットワークメタ解析 研究グループは、急性期統合失調症に対する抗精神病薬の有効性と忍容性に関して、統計学的有意性だけでなく臨床的に重要な治療効果を重視した最新知見の提示を目的に、系統的レビューとネットワークメタ解析を実施した(ドイツ研究振興協会などの助成を受けた)。 対象とした抗精神病薬は、ドパミン受容体遮断薬を主とする23種と、ムスカリン受容体作動薬xanomeline-trospiumの24種の薬剤であった。医学関連データベースを用いて、2024年7月26日までに発表された、これらの薬剤に関する試験の論文を抽出した。適切な無作為化が行われた試験のみを解析に含めた。 主要アウトカムは、評価尺度で測定された統合失調症の全体的症状(有効性)とし、変量効果モデルを用いた頻度論的ネットワークメタ解析で分析した。副次アウトカムは、さらに32項目の有効性および忍容性のアウトカムで構成された。有効性はクロザピンが最も高い 438件の無作為化臨床試験を解析の対象とした。このうち388件(参加者7万8,193例[女性2万8,448例・36.4%、男性4万9,745例・63.6%]、年齢中央値37.28歳[四分位範囲:33.58~40.50]、二重盲検試験315件[81%])が、少なくとも1つのアウトカムについて使用可能なデータを提供した。5,117件の中国の試験が特定されたが、その多くで、著者が問い合わせに応答しなかったか、方法論上の懸念が報告されていたため、採用されたのは24件のみだった。 主要アウトカムに関して、256件の二重盲検試験(参加者5万8,948例)が使用可能なデータを提供した。 24種の抗精神病薬のすべてが、プラセボに比べ症状を軽減し、各薬剤の標準化平均差(SMD)は、クロザピンの-0.90(95%信頼区間[CI]:-1.03~-0.77)からlumateperoneの-0.23(95%CI:-0.39~-0.06)の範囲であった。 とくに、クロザピン、amisulpride(SMD:-0.68、95%CI:-0.81~-0.55)、オランザピン(-0.57、-0.62~-0.52)、リスペリドン(-0.53、-0.57~-0.48)は、他の3種以上の抗精神病薬より有効性が高かった。xanomeline-trospium(-0.57、-0.76~-0.37)の有効性は上位6番目だった。 また、23種の抗精神病薬のすべてが、プラセボに比べ陽性症状を軽減し(SMD:-0.90[95%CI:-1.06~-0.73]~-0.16[-0.67~0.34])、陰性症状も軽減した(-0.65[-0.95~-0.34]~-0.16[-0.27~-0.05])。体重増加が83%で 有害事象は、各薬剤で多岐にわたっていた。ドパミンパーシャルアゴニスト(アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazine)は、有効性では上位に含まれなかったが、全体としてドパミン拮抗薬よりも良好な忍容性を示した。 22種の抗精神病薬のうち12種(55%)で、コリン作動性有害事象のオッズがプラセボより高く、「非常に小さい」以上のオッズ比(OR)は、xanomeline-trospiumの4.11(95%CI:2.27~7.43)からスルピリドの1.27(0.40~4.02)の範囲であった。 また、24種の抗精神病薬のうち18種(75%)で、抗コリン作動性有害事象のオッズがプラセボより高く、ORはゾテピンの3.55(95%CI:1.31~9.66)からリスペリドンの1.28(1.03~1.59)の範囲であった。 プラセボと比較した体重増加は、23種の抗精神病薬のうち19種(83%)にみられ、平均差はゾテピンの3.21kg(95%CI:2.21~4.22)からペロスピロンの0.51kg(-1.36~2.39)の範囲だった。 著者は、「本研究で明らかとなった各種抗精神病薬の有効性の臨床的に意義のある違いについては、臨床ガイドラインにおいて、より強調し具体的に記述すべきであり、個別の薬剤選択の際には忍容性の重要な差異を考慮する必要がある」「今後の研究では、xanomeline-trospiumの有効性を確認するために、他の抗精神病薬との直接比較を行うべきである。また、統合失調症の初期段階におけるクロザピン使用に関する先進的な試験を実施し、アウトカムの改善や疾患の慢性化の予防効果を確立する必要がある」としている。

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日本における妊娠および授乳中のブレクスピプラゾール投与、その安全性を評価

 ブレクスピプラゾール(BPZ)は、本邦において2018年に承認された抗精神病薬であり、現在では統合失調症うつ病、アルツハイマー病に伴うアジテーションに対する適応を取得し、広く臨床応用されている薬剤である。しかし、BPZを使用している母親から生まれた乳児に対する授乳中の影響は、これまでよくわかっていなかった。東北大学の福田 朱理氏らは、授乳中の母親によるBPZ使用の安全性を評価した。Breastfeeding Medicine誌オンライン版2026年2月6日号の報告。 2018~23年、東北大学病院において3組の母子を評価した。各母親は、妊娠中および出産後1ヵ月以内の授乳期間中、BPZ単剤療法(1~2mg/日)を継続していた。母子の健康状態、ならびに新生児および乳児の離脱症状または有害事象に関するデータを診療記録から収集した。 主な結果は以下のとおり。・3例すべての新生児および乳児において、離脱症状および重篤な有害事象は認められなかった。・3例すべての新生児および乳児において、軽度の新生児黄疸および座瘡が認められたが、これらはBPZ使用とは無関係と判断された。・しかし、粉ミルクによる授乳が時折必要であったことから、BPZが乳汁分泌量を減少させた可能性が示唆された。 著者らは「授乳中のBPZ単剤療法(1~2mg/日)は、産後1ヵ月以内の新生児および乳児に離脱症状または重篤な有害事象を引き起こさないことが示唆された。この初期のエビデンスは、BPZ単剤療法を受けている母親の母乳育児に関する意思決定に役立つ可能性がある」と結論付けている。

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片頭痛に対するCGRP関連抗体薬、2年間の長期治療継続の有用性評価

 スペイン・バルセロナ自治大学のEdoardo Caronna氏らは、片頭痛におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体の長期的有効性と治療持続性および2年間の治療継続に関連するベースライン特性を明らかにするため、プロスペクティブコホート観察多施設レジストリ研究を実施した。Neurology誌2026年2月24日号の報告。 治療期間が24ヵ月に到達した群(ON群)における1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)の変化をベースラインと比較した。6、12、18、24ヵ月の4つの時点における治療反応パターンを解析した。持続的効果の定義は、4つの時点のうち3つ以上でMHDが50%以上減少した場合とした。ON群と、効果不十分のため中止した群(OFF群)のベースライン特性を比較した。 主な結果は以下のとおり。・ON群の患者は1,340例(年齢中央値:48.0歳[範囲:41.0〜55.0歳]、女性:81.7%)。・ベースラインにおけるMHD中央値は20.0(13.0〜28.0)日であった。・24ヵ月到達時点でMHDが50%以上減少した患者の割合は60.4%(1,340例中809例)。・24ヵ月到達時点で持続的効果が認められた患者の割合は53.8%(264例中142例)。・ON群(1,340例)と比較しOFF群(1,057例)は、ベースラインのMHD(20.0[13.0〜28.0]vs.25.0[16.0〜28.0])が統計学的に有意に高く、片頭痛の前兆(16.2%vs.22.9%)、うつ病(22.8%vs.37.9%)、肥満(7.2%vs.19.1%)を有する患者の割合が高かった(各々、p<0.001)。 著者らは「CGRP関連抗体によるMHDは、2年間で持続的に減少した。治療開始の遅延、片頭痛の前兆、うつ病、肥満は、治療継続に悪影響を及ぼす可能性がある」とまとめている。

8.

歯や口の困りごとがうつ病と関係?日本人成人1.5万人を追跡調査

 メンタルヘルス対策は精神症状そのものに焦点が当てられてきた一方で、日常生活に身近な身体的要因との関連は十分に検討されてこなかった。そうした中、日本人成人約1万5,000人を1年間追跡した縦断研究により、歯や口の困りごとによって口腔関連QoL(OHRQoL)が低い人ほど、その後にうつ病が発症しやすいことが示された。研究は、岡山大学学術研究院医療開発領域の竹内倫子氏、学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野の江國大輔氏、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の田淵貴大氏らによるもので、詳細は1月4日付で「Journal of Clinical Medicine」に掲載された。 うつ病は世界的に大きな疾病負担をもたらす精神疾患であり、その発症には年齢、社会的孤立、慢性疾患、生活習慣、QoLなど多様な要因が関与する。近年、歯の欠損や口腔痛、歯周病、OHRQoLとうつ病との関連も報告されているが、多くは横断研究にとどまり、因果関係は明らかでない。本研究は、うつ病のない成人を対象に、口腔の健康状態およびOHRQoLがその後のうつ病の発症と関連するかを縦断的に検討することを目的とした。 本研究では、2022年および2023年に実施された「Japan COVID-19 and Society Internet Survey(JACSIS調査)」のデータを用いて解析を行った。ベースライン時点でうつ病の自己申告がない20歳以上の参加者1万5,068人を解析対象とした。うつ病は、2回の調査間における自己申告に基づいて判定した。OHRQoLは、Oral Health Impact Profile(OHIP)の短縮版である日本語版OHIP-14を用いて評価した。口腔の健康状態については、歯の喪失、歯周病、口腔痛、過去1年間の歯科受診の状況により評価を行った。これらの要因とうつ病発症との関連について、社会人口学的要因および行動要因を調整したロジスティック回帰分析を用い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 追跡調査の結果、1年後に218人(1.45%)が「うつ病がある」と回答した。「うつ病がある」と回答した群と、「うつ病がない」と回答した群の背景因子を単変量で比較したところ、歯科受診状況やOHRQoL(OHIP-14)、年齢、性別、社会経済状況、生活習慣に加え、孤独感、社会的孤立、生活満足度、睡眠薬・抗不安薬の使用など、多くの心理社会的要因に差が認められた。 次にこれらの因子を独立変数、うつ病発症を従属変数として二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果、OHRQoLが低いほど、うつ病を発症するリスクが有意に高いことが示された(OR 1.02、95%CI 1.00~1.04、P=0.039)。このほか、年齢が若いこと(OR 0.97、95%CI 0.96~0.99、P<0.001)、趣味や文化活動への参加(あり:OR 2.22、95%CI 1.50~3.30、P<0.001)、睡眠薬または抗不安薬の常用(現在使用:OR 3.51、95%CI 2.27~5.44、P<0.001)、孤独感の増大(OR 1.22、95%CI 1.14~1.30、P<0.001)、生活満足度の低さ(OR 0.90、95%CI 0.84~0.97、P=0.005)、および自己評価による健康状態の不良(OR 2.92、95%CI 1.81~4.72、P<0.001)も、うつ病の発症と関連していた。 さらに構造方程式モデリングによる解析では、OHRQoLの低下が、その後のうつ病の発症と関連する過程において、孤独感や社会的孤立、生活満足度、主観的健康感といった心理社会的要因が重要な媒介役を果たしていることが示された。OHRQoLは、これらの要因を介した間接的な影響に加え、うつ病発症への直接的な影響も認められた。 著者らは、「うつ病を自己申告していなかった人を追跡した結果、口腔関連QoLが低い人ほど、その後にうつ病が発症しやすいことが示された。この関連は、年齢や生活習慣などの要因を考慮した後も認められ、さらに孤独感や社会的つながり、生活満足度といった心理社会的要因が、その関係の一部を仲介している可能性がある」と述べている。 なお、本研究は自己申告に基づくオンライン調査であり、未評価の交絡因子や追跡期間の短さといった制約があるため、うつ病の評価とOHRQoLとの関連については因果的解釈に注意が必要であるとしている。

9.

うつ病予防に有効な魚の摂取量は?

 韓国・慶熙大学のEunje Kim氏らは、魚類摂取とうつ病および妊娠関連うつ病のリスクとの関連性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Nutrients誌2025年12月18日号の報告。 2023年11月まで公表された論文をPubMed、Embaseよりシステマティックに検索した。抽出された5,074件の論文のうち、35件の観察研究をメタ解析に含めた。ランダム効果モデルを用いて、効果推定値を相対リスク(RR)と対応する95%信頼区間(CI)として統合した。さらに、用量反応解析および層別サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・魚類摂取とうつ病リスクの間に有意な逆相関が認められた(RR:0.79、95%CI:0.73~0.86)。・妊娠関連うつ病についても同様の関連が認められた(RR:0.78、95%CI:0.69~0.89)。・層別解析では、魚類摂取量が68.4g/日以上の研究においてのみ、うつ病リスクが統計的に有意に低下することが示された(RR:0.75、95%CI:0.67~0.84)。・一方、魚類摂取量が少ない研究(68.4g/日未満)では有意な関連は認められなかった(RR:0.83、95%CI:0.69~1.01)。これは、閾値効果の可能性を示唆している。・さらに、用量反応解析では、魚類摂取量が15g/日増加するごとにうつ病リスクが6%低下することが示唆された。 著者らは「魚類摂取がうつ病予防のための調整可能な因子であること、そして68.4g/日以上を閾値とする可能性が示された。本結果は、食事ガイドラインや公衆衛生戦略への示唆となりうるであろう」としている。

10.

コーヒーは片頭痛のリスク因子か?

 コーヒー摂取と頭痛との関連性については、依然として議論が続いている。カフェインは、鎮痛作用と血管収縮作用を有しているが、過剰摂取は頭痛の有病率上昇と関連しているといわれている。台湾・高雄医学大学のPin-Rong Chen氏らは、台湾の大規模コホートにおいて、コーヒー摂取と頭痛の関連性を調査するため、横断研究を実施した。International Journal of Medical Sciences誌2026年1月1日号の報告。 台湾バイオバンクより30〜70歳の2万7,109例の参加者からデータを取得した。頭痛の状態とコーヒー摂取パターン(種類、頻度、1日当たりの摂取量など)は、構造化質問票を用いて評価した。関連性の評価には、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な内容は以下のとおり。・参加者のうち、頭痛を訴えた例は19.7%であった。・コーヒーの摂取は、頭痛のオッズ比増加と有意な関連が認められた(オッズ比:1.21、95%信頼区間:1.14〜1.29、p<0.001)。・ブラックコーヒー、ノンデイリークリーマー入りコーヒー、ミルク入りコーヒーを含むすべての種類のコーヒーは、頭痛リスクの上昇と関連していた。・1日1杯、2杯、3杯以上のコーヒーの摂取も、頭痛のオッズ比増加と関連していた。・コーヒーの頻繁な摂取(毎日または毎週)は、頭痛のオッズ比増加と関連していたが、毎月の摂取は関連していなかった。・サブグループ解析では、65歳以上、糖尿病、高血圧、うつ病、アルコールや紅茶の摂取歴のある例において、コーヒーの摂取と頭痛の間に有意な関連は認められなかった。 著者らは「コーヒーの摂取量と頻度の両方が頭痛の発症率増加と関連していることが示唆された。とくに、頭痛を起こしやすい例にとっては、個別のカフェイン摂取の推奨が重要である」としている。

11.

日本における統合失調症、患者と介護者の負担は?

 統合失調症は重篤な精神疾患であり、臨床的、経済的、そして人道的に大きな影響を及ぼす。日本ベーリンガーインゲルハイムのFumiko Ono氏らは、日本における統合失調症患者と介護者への負担を評価するため、文献レビューを行った。Schizophrenia誌オンライン版2026年1月20日号の報告。 2013~23年のPubMed、医中誌、CiNii、J-STAGE、Cochraneデータベースおよび2018~23年の医師会、政府機関、患者団体からの補足資料から該当データを収集した。本レビューでは、統合失調症患者と介護者が経験する疫学、臨床管理、社会的、人道的、そして経済的負担に焦点を当てた。 主な内容は以下のとおり。・本レビューでは、156件の学術雑誌論文、73件の会議録、37件の追加データソースを特定した。・頻発する併存疾患として肥満、うつ病、2型糖尿病が注目されていた。・統合失調症における認知機能障害は、統合失調症簡易認知評価(BACS)によって評価され、zスコア-2.1で重度の機能障害を示した。・社会的孤立や退院後サポートの不足など、長期入院に関連する問題も報告されていた。・認知機能の改善、セルフケアの促進、地域社会との連携強化を目的とした介入が、早期再入院リスクを低下させる重要な因子として特定された。・介護者は、とくにプレゼンティーイズム(出勤しているが業務遂行能力が低下している状態)により、著しい生産性の低下を経験しており、年間約240万円の損失につながったと推定された。・さらに、統合失調症の包括的な負担に対処するための啓発キャンペーン、教育プログラム、多職種連携アプローチといった、関係者主導の取り組みが十分でないことが明らかとなった。 著者らは「日本における統合失調症の多面的な負担が明らかとなり、患者、介護者、医療従事者、政策立案者など多様な関係者が関与する、協調的かつエビデンスに基づいた対策の緊急の必要性が示唆された。統合失調症に伴う負担を軽減し、医療を改善するためには、必要な介入と関係者の関与とのギャップを埋めるためのさらなる研究が求められる」としている。

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中年日本人男性における就寝前の水分摂取が睡眠や抑うつ症状に及ぼす影響

 日中の適切な水分摂取はメンタルヘルスを向上させることが知られている。しかし、就寝中への影響はいまだ明らかになっていない。産業技術総合研究所の甲斐田 幸佐氏らは、就寝前の白湯摂取が睡眠パラメーターおよび抑うつ気分に及ぼす影響を明らかにするため、本研究を実施した。PLoS One誌2026年1月6日号の報告。 本研究は日本人2,000人を対象に、就寝前の水分摂取とうつ病自己評価尺度(CES-D)を用いて測定した抑うつ気分との関連を明らかにするため、質問票を用いて調査を行った(Study1)。また、就寝直前に280mLの白湯を摂取した場合と、就寝前2時間以上何も摂取しない場合の影響を比較した(Study2)。 主な内容は以下のとおり。・Study2の結果、就寝直前の白湯摂取は、翌朝の抑うつ気分を軽減し、レム睡眠潜時を延長させ、レム睡眠時間を短縮させることが示唆された。・しかし、白湯摂取は夜間頻尿の可能性を増加させた。 著者らは「メリットとデメリットのバランスを取ることは重要ではあるものの、就寝前に普通の水を飲む習慣は、主観的ウェルビーイングを高めるシンプルで効果的な手段である」としている。

13.

抗精神病薬誘発性体重増加に最も有効な介入は〜ネットワークメタ解析

 統合失調症は、思考、感情、行動に影響を及ぼす重篤な精神疾患であり、世界人口の0.32%が罹患していると報告されている。抗精神病薬による治療は統合失調症の症状管理に不可欠であるが、患者の約半数が体重増加を経験しており、治療アドヒアランスの低下やさらなる健康合併症につながる可能性がある。エジプト・Zagazig UniversityのMohamed Ezzat M. Mansour氏らは、抗精神病薬誘発性体重増加に対する薬理学的および非薬理学的介入の安全性および有効性を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年12月24日号の報告。 本研究は、PRISMAステートメントに基づき実施した。公表された研究をPubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryから2025年7月まで検索した。対象研究は、ランダム化プラセボ対照試験のみとした。身体測定値と安全性プロファイルに焦点を当て評価した。主要アウトカムは体重変化とし、副次的アウトカムはウエスト/ヒップ比、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径とした。 主な結果は以下のとおり。・55件(2,977例)の研究をメタ解析に含めた。・通常治療群と比較し、体重減少に最も効果的な治療法である可能性が高い上位3つの介入は、セマグルチド(平均差[MD]:-13.5、95%信頼区間[CI]:-17.3~-9.57)、メトホルミン+NutriEx(MD:-6.34、95%CI:-9.85~-2.9)、ニザチジン(MD:-5.46、95%CI:-7.77~-2.76)であった。・非薬理学的介入では、すべての介入において有意な体重減少が認められた(p<0.05)。 著者らは「体重増加とBMIの減少において、セマグルチドが最も効果的な治療法である可能性が高いことが明らかとなった。リラグルチドは、軽度の副作用との関連が認められた。非薬理学的アプローチにより焦点を当てた追加試験が今後求められる」としている。

14.

迷走神経刺激療法が治療抵抗性うつ病の症状を長期にわたり改善

 治療抵抗性うつ病は、埋め込み型デバイスによって脳と内臓を結ぶ迷走神経に電気刺激を送る迷走神経刺激療法(VNS)により改善する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。このデバイスによる治療で症状の改善が認められた患者の約80%が2年後もその状態を維持し、さらに20%以上は、2年後には抑うつ症状がほぼ消失していたという。米ワシントン大学セントルイス校治療抵抗性気分障害センター所長のCharles Conway氏らによるこの研究結果は、「International Journal of Neuropsychopharmacology」に1月13日掲載された。研究グループによると、VNSは以前からうつ病治療に有望とされており、米食品医薬品局(FDA)は、てんかんおよびうつ病の治療としてVNSを承認済みである。 Conway氏は、「2年後に5人に1人の患者が実質的に寛解状態であったことには、われわれも驚いた。うつ病のような複雑な疾患でこうした結果が得られたことから、この治療法の将来には大きな希望を感じている」とニュースリリースで語っている。さらに同氏は、「重度の治療抵抗性うつ病を対象とした研究では、効果が長期的に持続することは非常にまれであり、まして2年後まで続く例などなかったことを考えると、今回の結果は極めて異例だ。症状が改善した患者が、その状態を維持しているのだ」と付け加えている。 今回の研究では、4種類以上の抗うつ薬による治療に反応しなかった中等度から重度のうつ病を有する成人患者214人(平均年齢55.2歳)を対象に、補助療法としてのVNSの効果が検討された。患者は、英国のLivaNova USA社が製造した「VNS Therapy System」と呼ばれる埋め込み型デバイスを装着し、盲検下で12カ月間、さらにオープンラベル条件下で12カ月間、VNSを受けた。研究グループは、治療から12カ月時点で、抑うつ症状(3種類の指標で評価)、日常生活機能、生活の質(QOL)、これら3領域を統合した三領域複合指標、および全般的改善度(CGI-I)の改善が、18カ月時点および24カ月時点でも維持されているのかを評価した。 その結果、12カ月時点で意味のある改善(少なくとも30%改善)以上を達成した対象者の割合は、指標ごとに差があり、最も低かったのは抑うつ状態の評価尺度の1つであるモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)での43.6%、最も高かったのは三領域複合指標での80.0%であった。12カ月時点で意味のある改善を達成した対象者のうち、18カ月時点および24カ月時点でもその改善を維持していた割合は、18カ月時点で78.0〜89.2%、24カ月時点で79.2〜89.6%であった。7種類の指標を統合して見ると、12カ月時点で意味のある改善を達成した対象者のうち、その改善を維持していた割合の中央値は、18カ月時点で83.1%、24カ月時点で81.3%であった。 なお、研究グループによると、本研究の目的の一つは、米国メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が、将来的なVNSの保険適用を判断するためのエビデンスを提供することだという。VNSは、現状では治療費が非常に高額であり、多くの患者にとって利用が難しい。CMSがこの治療をカバーすれば、多くの民間保険会社も追随すると研究グループは見ている。 Conway氏は、「この試験で対象とされた治療抵抗性うつ病患者の重症度は、過去の臨床試験の対象患者と比べてはるかに重症だと思われる。こうした患者には、現状では他に治療選択肢がないため、有効な治療法が切実に求められている。慢性的で重度の障害を伴うこのような疾患では、たとえ部分的な改善であってもそれが人生を大きく変える。今回、VNSによりその改善効果が持続することが示された」と述べている。

15.

6種類のSSRIの安全性プロファイル比較

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、現在のうつ病の薬物治療において中心的な薬剤であるが、実臨床における安全性プロファイルの比較に関しては、依然として情報が不足している。エビデンス不足は、臨床の意思決定や患者アウトカムに深刻な影響を及ぼす。中国・Bayer PharmaceuticalsのAdrian Chin Yan Chan氏らは、主要な6つのSSRIに関する安全性を分析するため、グローバルファーマコビジランス分析を実施した。Cureus誌2025年12月8日号の報告。 WHOの個別症例安全性報告データベースであるVigiBaseを用いて、主要な6つのSSRI(セルトラリン、fluoxetine、パロキセチン、citalopram、エスシタロプラム、フルボキサミン)に関する34万2,000件超の報告を含む包括的なファーマコビジランス分析を実施した。臨床的に関連する7つの安全性ドメイン(抗コリン作用、性機能障害、代謝作用、錐体外路症状、睡眠障害、離脱症候群、心伝導異常)について、情報成分(IC)値を用いた不均衡解析を実施した。 主な内容は以下のとおり。・各SSRI間で安全性プロファイルに有意な異質性が認められた。また、薬力学的特性と有害事象パターンの間には明らかな相関が認められた。・パロキセチンは、抗コリン作用、性機能障害、体重増加、離脱症候群の発生率が最も高かった。これは、ムスカリン性M1受容体への高い結合親和性(Ki:108nM)と相関していた。・citalopramは、心伝導異常の増加を示した。・fluoxetineは、錐体外路症状の増加を示した。・SSRIの半減期と離脱症候群の報告数との間に強い逆相関が認められた。 著者らは「本解析により、SSRIはそれぞれ異なる安全性プロファイルを示しており、それが薬力学的特性と相関していることが明らかとなった。この結果は、同クラスのSSRIを均質な治療薬群としてみなす従来の考え方に疑問を投げかけるものであった。これらの知見は、個々の患者のリスク因子に基づいた精密な処方アプローチを支持するものであり、エビデンスに基づいたSSRI選択のためのメカニズムに関する知見となりうる」と結論付けている。

16.

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、不安レベルにより有効性に違いはあるか

 うつ病患者でよくみられる不安症状は、治療反応の低下と関連している。ブレクスピプラゾールの8週間第IV相オープンラベル試験「ENGAGE試験」において、抗うつ薬への治療反応が不十分なうつ病患者に対するブレクスピプラゾール0.5~2mg/日補助療法により、ライフ・エンゲージメント、抑うつ症状、不安症状の改善が認められた。大塚カナダファーマシューティカルのFrancois Therrien氏らは、臨床的に関連するサブグループにおけるブレクスピプラゾール補助療法の有用性を、ベースライン不安レベル別に明らかにするため、ENGAGE試験の事後解析を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2025年12月29日号の報告。 ベースラインの不安に関するサブグループは、7項目の全般性不安障害評価尺度(GAD-7)の総スコアに基づき、なし/軽度(10未満)、中等度(10~14)、重度(14超)に分類した。各サブグループにおいて、10項目の自己記入式うつ症状尺度(IDS-SR10)のライフ・エンゲージメントサブスケールスコア、IDS-SR総スコア、その他の有効性アウトカムの変化を評価した。安全性についても解析した。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾール補助療法を受けた患者120例のうち、ベースライン時点での不安症状が、なし/軽度は30例(25.0%)、中等度は43例(35.8%)、重度は47例(39.2%)であった。・IDS-SR10ライフ・エンゲージメントサブスケールスコアおよびIDS-SR総スコアは、ベースラインから8週目までの全サブグループにおいて改善が認められた(nominal p<0.001)。・その他の有効性エンドポイントについても改善が認められた(全サブグループでnominal p<0.05)。・治療下での有害事象の発現率は、76.7%(なし/軽度)、72.1%(中等度)、57.4%(重度)であった。・新たな安全性シグナルは認められなかった。 著者らは「ブレクスピプラゾール補助療法は、ベースラインの不安レベルにかかわらず、患者のライフ・エンゲージメントおよび抑うつ症状の8週間にわたる改善と関連していた。この観察結果は、不安症状の有無にかかわらず、うつ病患者の治療におけるブレクスピプラゾール補助療法の臨床的意思決定を支持している」としている。

17.

生成AIの使用頻度が高いほどうつや不安の重症度が高い

 生成AIの使用頻度が高いほどうつの重症度が高く、不安やイライラについても同様の傾向であったことが、米国成人における大規模インターネット調査でわかった。米国・マサチューセッツ総合病院のRoy H. Perlis氏らが生成AIの使用頻度と陰性感情症状との関連を調査した結果が、JAMA Network Open誌2026年1月2日号に掲載された。 本研究は、2025年4~5月に米国50州とコロンビア特別区で実施された18歳以上を対象としたインターネット調査のデータを使用した。参加者全員にAIの使用頻度を質問した(選択肢:「まったく使用しない」「1~2回」「月に1回程度」「週に1回程度」「週に複数回」「1日1回」「1日に複数回」)。陰性感情は、DSM-5の大うつ病性障害の個別の診断基準を含む9項目の患者健康質問票(PHQ-9)を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・2万847人が参加し、平均年齢は47.3歳(SD:17.1)、女性が1万327人(49.5%)、男性が1万386人(49.8%)、ノンバイナリーが134人(0.6%)だった。・「1日1回」以上を選択した参加者は2,152人(10.3%)で、「1日1回」は1,053人(5.1%)、「1日に複数回」は1,099人(5.3%)だった。・「1日1回」以上使用している参加者のうち、1,033人(48.0%)が仕事、246人(11.4%)が学校、1,875人(87.1%)が個人利用目的で使用していると回答した。・重み付け回帰モデルでは、「1日1回」以上使用している参加者は、男性、若年成人、高学歴・高収入者、都市部在住者で有意に多かった。・社会人口統計学的に調整された回帰モデルにおいて、生成AIの使用頻度が高いほどうつ症状の重症度が高く(「1日1回」:β=1.08、95%信頼区間[CI]:0.55~1.62、「1日に複数回」:β=0.86、95%CI:0.35~1.37)、毎日使用する人は非使用者と比べ、中等度以上のうつ症状を報告する可能性が高かった(オッズ比:1.29、95%CI:1.15~1.46)。不安やイライラについても同様の傾向が観察された。・年齢別では、25~44歳(β=1.22、95%CI:0.70~1.74)または45~64歳(β=1.38、95%CI:0.72~2.05)でAI使用がうつ症状の悪化と有意に関連していた。

18.

アリピプラゾールLAIへの切り替えは患者満足度を向上させるのか?

 統合失調症は、治療アドヒアランスの低さを特徴とする慢性精神疾患であり、再発や機能低下につながることが少なくない。アリピプラゾール月1回投与(AOM)などの長期作用型注射剤(LAI)は、アドヒアランスを改善し、再発率を低下させることで、潜在的な解決策となる可能性がある。イタリア・University of ChietiのGianluca Mancusi氏らは、6ヵ月かけて標準治療の経口非定型抗精神病薬からAOMに切り替えた統合失調症患者における臨床的有効性、安全性、忍容性、患者満足度を評価した。Frontiers in Psychiatry誌2025年12月3日号の報告。 本研究は、非盲検単群ミラーイメージ試験として実施した。対象は、経口抗精神病薬による治療で少なくとも2ヵ月間症状が安定していた統合失調症成人患者40例。6ヵ月間の経口抗精神病薬治療期間をレトロスペクティブに評価した後、AOMへの切り替え後6ヵ月間、プロスペクティブにフォローアップ調査を実施した。臨床評価には、Investigator's Assessment Questionnaire(IAQ)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)、治療満足度アンケート(TSQM 1.4)を用いた。副作用は、自己申告および医師による評価ツールを用いてモニタリングした。 主な結果は以下のとおり。・最初のフォローアップ診察を完了した患者は25例。・IAQスコアは、経時的に統計的に有意な改善が認められ、全般的な臨床効果の向上が示された(6ヵ月時点:p=0.010)。・CGI-Sスコアも有意な低下が認められ、疾患重症度の低下を示した(6ヵ月時点:p<0.001)。・TSQMで測定した患者満足度は、3ヵ月および6ヵ月時点で有意な増加が認められた(p<0.001)。・AOMは忍容性が良好であり、体重増加、錐体外路症状、プロラクチン値に軽微な変化がみられたが、統計学的に有意な差は認められなかった。・とくに、陰性症状スコアの統計的に有意な改善が認められた(p=0.032)。・有害事象を報告した患者は5例(18%)であり、その多くが中等度で、治療中止には至らなかった。 著者らは「統合失調症患者における経口抗精神病薬からAOMへの切り替えは、臨床転帰、症状の重症度、治療満足度の有意な改善と関連しており、良好な安全性および忍容性プロファイルを示した。これらの知見は、早期統合失調症におけるAOMの使用を支持しており、長期的な服薬順守と機能回復を促進する可能性を示唆している。これらのベネフィットの持続性、再発予防、生活の質への影響を評価するには、さらに長期にわたる研究が求められる」としている。

19.

双極症におけるベネフィットを最大化させるアリピプラゾールLAI使用のタイミングは?

 双極症I型(BP-I)は、慢性かつ再発性の精神疾患であり、躁/軽躁状態およびうつ状態の両極端の気分スペクトルを交互に呈する特徴を有している。2015年、米国におけるBP-Iの推定年間総コストは2,000億ドルを超え、一般人口の約2.5倍に達した。これは主に急性期医療サービスの利用増加によるものであった。アリピプラゾールなどの長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が開発されたことにより、経口剤と比較して、治療順守に関する患者の負担を大幅に軽減し、一貫した投与量および治療成績の向上が可能となった。これまでのリアルワールドエビデンス研究では、統合失調症患者において、アリピプラゾール月1回注射剤(AOM)を早期に開始することによるベネフィットが示されている。しかし、BP-I患者集団における早期AOM開始の有効性は、いまだ不明であった。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのShivanshu Awasthi氏らは、MarketScanメディケイドデータベースの請求データを用いたレトロスペクティブ解析により、リアルワールドにおけるBP-I成人患者に対するAOM 400mg(AOM 400)の有効性を診断後早期開始(180日未満)と遅延開始(365日超)の場合で比較した。Journal of Managed Care & Specialty Pharmacy誌2026年1月号の報告。 アウトカムは、1年間における救急外来、入院、外来、薬局の受診回数と関連コストとした。遅延開始者対照群として、早期、中期、遅延治療開始者における年間コストの比較には、一般化線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・BP-I患者866例(年齢中央値:36歳)のうち、早期開始群は161例、後期開始群は591例であった。・早期開始群は、後期開始群と比較し、救急外来受診(発症率比:0.76、95%信頼区間[CI]:0.61〜0.94)、外来薬局受診(発症率比:0.82、95%CI:0.73〜0.93)のリスクが有意に低かった。・早期開始群は、後期開始群と比較し、薬局受診コスト(1万8,787ドルvs.2万3,503ドル、p=0.03)および医療コスト(1万3,898ドルvs.1万8,277ドル、p=0.01)も低かった。・全体として、フォローアップ期間中の総医療コストは、早期開始群が後期開始群よりも大幅に低かった(3万1,086ドルvs.4万599ドル、p<0.001)。・早期開始群は、中期開始群と比較し、総医療コストが有意に低かった(3万1,086ドルvs.4万892ドル、p=0.01)。 著者らは「BP-I患者におけるAOM 400の早期開始は、後期開始と比較し、医療資源利用と関連コストの低減という大きなベネフィットをもたらす可能性がある」と結論付けている。

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うつ病予防に最適な睡眠時間が判明!

 睡眠時間とうつ病の関係は、公衆衛生上の重要な懸念事項である。中国・四川農業大学のHansen Li氏らは、米国成人における平日と週末の睡眠時間がうつ病の有病率とどのように関連しているかを調査した。International Journal of Behavioral Medicine誌オンライン版2025年12月19日号の報告。 対象は、パンデミック前の最新の米国国民健康栄養調査(NHANES)2017~20年3月より抽出された、20歳以上の成人4,089人。睡眠時間とうつ病指標との関連を調査するため、相関分析および非線形回帰分析を実施した。さらに、性別による差異の可能性を調査するため、性別ごとに層別化し、分析した。 主な結果は以下のとおり。・スピアマン相関係数および制限付き3次スプライン解析の結果、週末の睡眠時間はうつ病の有病率と相関していた。しかし、うつ病の総スコアやアノイアンスとは相関は認められなかった。・制限付き3次スプライン解析では、睡眠時間とうつ病の有病率、総スコア、アノイアンスとの間にU字型の関連が認められた。・うつ病の有病率の変曲点は、平日で約7.7時間、週末で約8.3時間であった。・睡眠時間中央値を基準とした期待オッズ比に基づくと、より良い睡眠時間は、平日7.5~7.8時間、週末8.0~8.7時間であると特定された。・この関連性には、男女差も認められた。 著者らは「本研究結果は、これまでの知見を裏付け、さらに発展させ、睡眠不足と睡眠過剰の両方がうつ病の有病率の上昇と関連していることを明らかにした。特定された睡眠時間は、性別によって若干の差異はあるものの、うつ病のリスク低減に役立つ可能性がある。また、今回の結果は、睡眠とメンタルヘルスの複雑な関係をさらに強調し、睡眠行動の週内変動にも注意を払う必要性があることを示唆している。これらの知見が、今後より洗練され、個別化されたメンタルヘルス促進戦略の開発に役立つ可能性がある」とまとめている。

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