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せん妄対策に「光療法」が有効!

入院患者においてしばしば問題となる「せん妄」。せん妄は、ほぼすべての診療科で遭遇する可能性のある精神症状である。一般的にせん妄の治療には、抗精神病薬が用いられるが、Yang氏らは抗精神病薬リスペリドン(RIS)投与に加えて補助療法として「光療法」を行い、せん妄治療への影響を検討した。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年6月18日付の報告。意識障害で精神科のコンサルテーションを受けた36例の せん妄患者を、RIS単独群16例とRIS+光療法群20例にランダムに割り付け、1~5日目の せん妄評価尺度(DRS)、せん妄の重症度評価尺度(MDAS)にて評価した(検査当日:ベースライン)。また、睡眠パラメータは睡眠ログにて測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・DRSとMDASの平均スコアは両治療群ともベースラインと比較し有意な改善を示した。・RIS+光療法群では、RIS群と比較し有意なDRSスコアの減少を示したが(F=2.87、p=0.025)、MDASスコアは両群間で同等であった。・RIS+光療法群では、RIS群と比較し総睡眠時間(F=2.07、p=0.037)および睡眠効率(F=2.79、p=0.029)が有意に改善した。・せん妄治療におけるRIS+光療法は有用な選択肢であることが示された。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース  ・ヨガ で精神症状とQOLが改善 ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは ・パリペリドンはリスペリドンより安全性プロファイルが良好

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脂質異常症になりやすい統合失調症患者、肥満や糖尿病だけじゃない

統合失調症患者では肥満や糖尿病の罹患率が高く、とくに抗精神病薬の使用でこれらの発生率 が上昇することが問題となっている。脂質異常症もまた、統合失調症患者によくみられる合併症のひとつである。Hsu氏らは台湾の統合失調症患者における脂質異常症の罹患率・発症率を調査し、Gen Hosp Psychiatry誌2012年7月号(オンライン版2012年3月27日号)で報告した。2005年、18歳以上の766,427人の被験者を無作為抽出し、統合失調症の診断を受けた患者、脂質異常症を有する患者または薬物治療を行っている患者 を特定したうえで、統合失調症患者の脂質異常症の罹患率および発症率を一般集団と比較検討した。主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者における脂質異常症の罹患率は一般集団より高かった(8.15% vs 8.10%、オッズ比:1.17、95%信頼区間:1.04~1.31)。・リスクファクターは、50歳以上、高保険料支払者、台湾北部または中部・都市部の生活者であり、青年期で非常に高い脂質異常症の罹患率であった。・2006年~2008年に第二世代抗精神病薬を使用していた統合失調症患者の脂質異常症平均年間発症率は、一般集団より高かった(1.57% vs 1.29%、オッズ比:1.31、95%信頼区間:1.11~1.55)。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・ケアネット 7月の特集「動脈硬化」 ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム発症要因は?

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“ヨガ”で精神症状とQOLが改善

Vancampfort氏らは統合失調症患者の精神症状(陽性症状、陰性症状)や健康に関連する生活の質(HRQL)に対し、ヨガセラピーを行うことが補助的治療として有用かを無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビュ―にて検討した。Acta Psychiatr Scand誌7月号(オンライン版2012年4 月6日号)報告。2人の評価者により、統合失調症患者に対するヨガセラピー介入のRCT研究を選定し、データの抽出、質の評価を行い、基準を満たした3件のRCTをもとに解析を行った。精神症状はPANSSトータルスコアおよびサブスケールスコア、HRQLは短縮版WHOQOL-BREFにて評価した。主な結果は以下のとおり。 ・精神症状の改善はエクササイズや待機コントロールと比較し、ヨガセラピー後に認められた。・身体的、心理的、社会的、環境的HRQLも同様に、ヨガセラピー後に、より有意な改善を示した。・いずれのRCTにおいても、有害事象は認められなかった。・統合失調症患者に対する抗精神病薬の補助的治療として、ヨガセラピーは有用であると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは

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双極性障害の再発予防に有効か?「Lam+Div療法」

双極性障害の治療では発現している躁症状やうつ症状を治療することだけでなく、予防することも重要である。現在わが国において「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」に適応を有する薬剤にラモトリギン(Lam)がある。Bowden氏らはLamとジバルプロエックス(バルプロ酸とバルプロ酸塩の1:1配合剤:Div)の併用が双極性障害のうつ病相予防に有用であるかを検討した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年6月18日付報告。大うつ病エピソードを有する双極性障害Ⅰ型およびⅡ型患者86例を対象に、Lam+プラセボ(Lam群)またはLam+Div群にランダムに割り付け、8ヵ月の二重盲検比較試験を実施した。なお、患者はオープンフェーズでうつ症状および躁症状がコントロールされていた。分析はカプランマイヤー生存曲線によるカイ二乗検定(Χ[2])を利用した。主な結果は以下のとおり。 ・うつ病エピソードまでの時間に有意差はなかった(Χ[2]=1.82、df=1、p=0.18)。・維持期におけるMADRSスコア15以上が少なくとも1項目認められた患者の割合は、Lam群67%(30/45)、Lam+Div群44%(18/41)であり、有意な差が示された(Χ[2]=4.51、p=0.03)。・とくに、双極性障害Ⅰ型患者においてMADRSスコア15以上が少なくとも1項目認められた患者の割合は、Lam群71.4%(25/35)、Lam+Div群36.7%(11/30)であり、有意な差が示された(Χ[2]=7.89、df=1、p=0.005)。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・「双極性障害に対する薬物療法レビュー」WPAでの報告 ・双極性障害患者の「うつ症状」は心血管イベントリスクを高める ・高齢者のてんかん患者が増加!

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成人トゥレット症候群に対するアリピプラゾール治療成績(100例報告)

トゥレット症候群は1,000~2,000人に1人の割合で発症する神経精神疾患である。小児期で発症し、チック症状の軽快と増悪を繰り返しながら慢性に経過する。原因は明らかになっていないものの、脳内神経伝達物質であるドパミンの過剰活動によると考えられている。そのため、トゥレット症候群の治療では抗精神病薬(適応外)を使用することも少なくない。Wenzel氏らは抗精神病薬アリピプラゾールがトゥレット症候群に対し、有用であるかを検討した。J Clin Psychopharmacol 誌オンライン版2012年6月19日付報告。専門外来受診患者を含むトゥレット症候群患者100例(男:女=78:22、平均年齢27.1±11.5歳)を対象にアリピプラゾール5~45㎎/日(平均:17.0±9.6mg/日)を投与した際の、有効性および忍容性を後ろ向き検討にて実施した。対象患者のうち95例は1剤以上の神経抑制薬で効果不十分であった症例であった。主な結果は以下のとおり。 ・82例でチック重症度の著しい改善が認められた。・48例で治療効果を12ヵ月以上維持することが可能であった。・5例で抑うつや不安、攻撃性などが認められた。・31例で治療を中断した。中断理由は、効果不十分7例、副作用(眠気、興奮、体重増加、睡眠障害)15例、効果不十分かつ副作用4例、その他5例であった。・成人トゥレット症候群患者におけるアリピプラゾールによる治療は、これまでの報告同様、有効性と安全性が示された。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より- ・学習障害の有無によるメチルフェニデートの有用性を検証

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もっと知ってほしい、乾癬患者 心の苦しみと全身炎症による合併疾患のリスク 臨床医と患者が語る、乾癬の研究と治療の最新動向

 6月25日、アボット・ジャパン株式会社、エーザイ株式会社の主催でプレスセミナー「もっと知ってほしい、乾癬患者 心の苦しみと全身炎症による合併疾患のリスク」が開催された。聖母病院皮膚科 小林里実氏を講師に、乾癬患者さんをゲストに迎え、乾癬がおかれている現状と、乾癬に罹患した患者さんがどのような症状で苦しんでいるのかを紹介した。乾癬の現状 乾癬では、炎症による表皮細胞の増殖を伴う疾患である。炎症と増殖があるという点で、皮膚炎の中でも湿疹とは異なる。表皮細胞は増殖分化する細胞であり、表皮は常に新生を繰り返すこと(turn over)で外傷や炎症に対処している。乾癬では、炎症により通常は有棘層28日+角層14日のturn overサイクルが4~7日+2日にまで亢進しているため、表皮が厚くなるとともに角層が鱗屑としてどんどん落ちていく。 また、これらの炎症は皮膚表面で起こっているため、見た目にも非常に目立ち、感染症や特殊な皮膚病などと誤解されることが多い。 乾癬の皮膚症状は、境界明瞭な紅斑、銀白色雲母様の鱗屑、盛り上がって触れる浸潤が特徴的である。初発部位は頭部、次いで肘膝などが多いが、全身どこにでも出現する。尋常性乾癬が90%近くを占めるが、そのほかにも関節症性乾癬、滴状乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬がある。 膿疱性乾癬のうち、急性型は重症で治療に難渋する例が少なくない。また、乾癬性紅皮症は、正常な皮膚がほとんどない、紅皮症を呈する病型である。そして、関節症性乾癬は、非リウマチ性関節炎一つで、の不十分な治療により関節破壊や屈曲変形をきたす。しかしながら、症状に消長があるため、軽症と判断されたり、仙腸関節炎や脊椎炎も腰痛症などとして見逃されることも少なくない。 乾癬の罹患率は欧米で2%。本邦では0.1~0.2%とされているが、生活の欧米化により日本人での発症は増えている。発症年齢は、20歳と40~50歳代の二峰性といわれているが、実際には10代での発症も稀ではない。治療をあきらめて受診しない例のほか、きちんと診断されていない例、脂漏性湿疹などと誤診される例もあり、実際は乾癬として登録されるデータ以上の患者さんがいると予想される。 このような症状を示す乾癬では患者さんのQOLは著しく低い。鱗屑は軽く触れるだけで大量に落ちる。そのために温泉やプールに行けない。皮膚症状が手足にでるため、スカートがはけない、半袖のシャツが着られないなど日常生活での支障は多い。また、このような状態におかれた患者さんは人に見られることが大きな精神的ストレスとなる。ひどい場合は引きこもりとなったり、精神的に支障を来す例も少なくない。生物学的製剤が、より高い治療レベルを達成 乾癬の治療は、外用療法、光線療法、免疫抑制剤など進歩してきたが、近年の生物学的製剤の登場で治療は格段に向上した。これにより、重症の患者さんでも皮疹のない状態を保持する事が可能となってきたのである。PASI(Psoriasis Area Sensitivity Index)90、つまり皮疹の90%改善を達成すると、QOLは著明に改善する事が明らかになった。従来の治療では、皮疹が減り医療者が「良くなった」と思っても、患者さんにとっては満足できる状態ではなく、認識の乖離がみられることも少なくなかった。生物学的製剤によりPASI90を目指すことができるようになり、患者さんのQOLもDLQI 0~1と、日常生活にほとんど支障のない状態を実現することが可能となった。また、生物学的製剤の適応となる関節症性乾癬では、有効な治療を得たことにより医療者側の治療意欲の向上、知識の普及にもつながるなど、生物学的製剤は、乾癬治療を格段に進歩させた。乾癬の病態解明とメタボリックシンドローム 近年、乾癬はメカニズムが解明されて、Th17リンパ球、またその活性経路に関わるTNFα、IL12、IL23などのサイトカインが重要であることがわかってきた。そして、これらのサイトカインをブロックするターゲット療法として、生物学的製剤の登場へとつながった。 さらに、ここ1~2年で新たな知見が加わっている。乾癬に高血圧、脂質異常症、高血糖、高尿酸血症などの合併が多いことは以前から知られていたが、これらの疾患にもTNFαが強く関連することがわかったのである。その結果、乾癬によるTNFαの増加が、イ ンスリン抵抗性、動脈硬化、虚血性疾患のリスクを上昇させるという乾癬マーチの概念まで出てきている。 乾癬の治療目的とゴールは、皮疹の改善からQOLの改善へと変化している。そして、生物学的製剤の出現により、関節症性乾癬も有効に治療できるようになった。さらに、今後はメタボリックシンドロームと心血管イベントの低減までも視野に入れた治療へと変わっていく可能性がある。社会にもっと知ってほしい セミナーでは、3名の患者さんもゲストとして発言をした。そのなかで、患者B氏の事例を紹介する。 B氏は長年、関節症状で悩まされてきた患者さんである。初期は、ふけが出始めることから始まった。その後、背中のこわばり、足先の痛み、そして2ヵ月後に足親ゆびが曲がり始める。皮膚科医を受診し、乾癬と診断されるが、その際に不治の病であるといわれた。そのショックから、診療所、病院、鍼灸など数えきれないほどの医療機関を受診する。その経過の中で、免疫抑制剤で副作用が現れるなど多くの苦痛を経験した。 少し関節症状がよくなると皮膚症状が悪化し始めた。強いステロイド外用薬を大量に使い、ついには全身が赤くなり、やけどのように、少し触っただけで皮膚がむけてしまうようにもなった。服を脱ぐと砂糖を撒いたように皮膚が落ちたそうだ。 このような状態から、勤務先を解雇になり生活保護を余儀なくされる。精神的にも支障をきたし、うつ病と診断される。自暴自棄となりギャンブル依存症、ついに自殺寸前まで精神的に追い込まれたという。 しかしながら、昨年からの生物学的製剤治療が奏効し、現在は誰もBさんを見て病気だという人はいない。だが、関節症性乾癬の症状である脊椎炎が続いて定職につけず、ボランティア活動をしているという。Bさんは長年の経験を話し、「22年間病気を理解してくれる日がくる事を望んでいた。社会にもっと知って欲しい、メディアももっと取り上げてほしい」と訴えた。 最後に小林氏は、「医師は患者から得た乾癬の情報を研究し、新たな治療法の開発に努めている。患者さんや患者会は、患者間の情報共有、医師への疑問・要望の提供など素晴らしい活動をしている。しかし、それだけでは不十分であり、社会の理解とサポートが必要だ。メディアの今後の啓発活動に大いに期待したい」と語った。(ケアネット 細田 雅之)

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BDI-IIのカットオフ値で増加する青年期うつ病を早期発見

 近年、わが国におけるうつ病患者数は増加の一途をたどっている。とくに、青年期のうつ病が増えており、日本人の青年は諸外国と比較しうつ病になりやすいとも言われている。うつ病の評価尺度としてベック抑うつ評価尺度(BDI)が汎用されているが、青年期のうつ病の早期発見に有効かどうかは明らかになっていない。Pietsch氏らはBDI-Second Edition(BDI-II)やBDI -Fast Screen(BDI-FS)が青年期うつ病の早期発見に有効かどうかについて検討を行った。Psychother Psychosom Med Psycholオンライン版2012年6月21日付の報告。BDI-IIとBDI-FS(7項目)のカットオフ値を提示した 小児科および小児外科クリニックを受診している13~16歳の患者314例のうち5.7%が小児の心理状態診断検査(Kinder-DIPS )にて大うつ病であった。ROC曲線 により、ACUや最適なカットオフ値を算出した。 BDI-IIやBDI-FSが青年期のうつ病の早期発見に有効かどうか検討した主な結果は以下のとおり。・BDI-IIの有用性が示された(AUC=0.93、感受性:0.86、特異性:0.93、最適なカットオフ値:19以上)。・BDI-FSの有用性についてもBDI-IIと有意差は認められなかった (AUC=0.92、感受性:0.81、特異性:0.90)。・小児医療における青年期うつ病の早期発見のために、初めてドイツ版BDI-IIとBDI-FS(7項目)のカットオフ値を提示した。

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東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会”

2012年6月21、22の両日、埼玉県さいたま市にて、第27回日本老年精神医学会(大会長:埼玉医科大学総合医療センターメンタルクリニック 深津 亮氏)が開催された。本学会のテーマは「エイジズムを超えて希望ある高齢社会へ」である。昨年の東日本大震災では東北地方を中心に多くの方が犠牲者となり、なかには高齢者が多く含まれていた。急速な高齢化が進むわが国において、災害への対策について多くの課題が残されている。ここでは、本学会のプログラムから「東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして」と題して実施されたシンポジウムについて紹介する。仕組みづくりは重要、人づくりはもっと重要まずはじめに、岩手医科大学 大塚 耕太郎氏より「岩手県沿岸地域に暮らす高齢者の精神保健と地域連携」についての講演が行われた。岩手県沿岸地域での震災による被災により、多くの住民は心理社会的問題を抱えることとなった。正常なストレス反応でも精神的健康度の低下を招くが、災害体験や二次的生活の変化に伴い、急性ストレス性障害やPTSD、うつ病などの精神障害に至ることも少なくない。心のケアでは、ハイリスク者(精神疾患を有する患者)へのアプローチだけでなく、健常者についても必要である。震災後の仮設住宅における取り組みとして、仮設住宅に設置されている集会場でのサロン活動の実践を紹介した。サロン活動では、最終的に地域主体の取り組みとして実施できるよう、現在システムを構築し、包括支援センターや社会福祉協議会などへそのノウハウの提供を行っている。このようなシステム作りが重要であることはもちろんだが、活動を支援するボランティアの役割がより重要であり、精神保健として地域のボランティアを養成する取り組みが必要である。かかりつけ医や他地域・他県との連携体制構築を目指す次に、舞子浜病院 田子 久夫氏より「福島県沿岸地域の認知症中核医療機関と地域連携」について講演が行われた。震災後の福島県では、建造物の損壊は復旧が進み、住民の生活は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。しかしながら、福島原発事故による放射能汚染は今なお残存する大きな問題となっている。そのため、将来の不安などから、他県への移住を決意する方も多いのが現状である。とくに高齢者においては、住み慣れた地からの移動は肉体的かつ精神的に大きな影響を与える。中でも認知症患者ではその影響が顕著に現れる。ある高齢女性の認知症患者を例に挙げ、複数回の転居を繰り返すことで情緒不安定となり、5回目の転居で住み慣れた地域の比較的近隣へ移住し、ようやく症状が落ち着いたとの報告もされた。福島県沿岸部(浜通り地方)は北部、中央部、南部の3地区に大きく分けることができる。原発事故による立ち入り禁止地域は中央部に位置し、北部と南部は分断された状態にある。北部の精神科医療機関は現在1ヵ所のみの稼働であり、また病床も40床程度であるため、他地域や他県の協力が必要不可欠である。南部の中核施設の1つである舞子浜病院においても、入院の増加や外来が混み合っている状況であり、かかりつけ医とのより密接な連携が求められている。今後、避難区域の解除が進み、高齢者を中心に戻ってくる住民が増加した際、これら地域での介護や医療の施設および人材の不足も懸念され、施設や専門家の充足が急がれる。それぞれの地域に適した医療体制の構築が必要続いて、三峰病院 連記 成史氏から「宮城県沿岸地域の認知症疾患医療センターと地域連携」と題し、講演が行われた。三峰病院は震災から間もない6月より宮城県認知症疾患医療センターを立ち上げ、地域精神科医療の中核を担っている。3月11日震災時、津波により町は壊滅的ダメージを受けたが、三峰病院は立地が沿岸部から離れていたこと、高台にあったことが幸いし、被害はほぼ皆無であった。また、入院患者やスタッフにも被害がなく、すぐに稼働することができた。当時、内科、外科等の病院も多くが被災していたため、精神疾患患者のみならず、他診療科の患者の診療、紹介などの対応が必要であった。このような中、重要な役割を果たしたのが、知識や経験はもちろん、それまでに培ってきた地域の医療機関などとの人間関係、絆であった。連記氏は「各地域での医療体制は、それぞれの地域にあったものが必要」と述べる。画一的な医療体制ではなく、各地域の状況などを考慮し、その地域にあった体制を構築することが重要であるとした。ただし、医療や介護を担う人材の育成に地域差はなく、人材育成の必要性を訴えた。地域住民とともに認知症サポート体制の構築を最後に、東北福祉大学 加藤伸司氏より「認知症の人を支える地域づくりを目指して」と題し、講演が行われた。今回の被災地は、高齢化率の高い地域が多く、災害が若者たちが職場などへ出かけている日中に起こったことから、自宅に残された多くの高齢者が被害にあっており、とくにADLの低下した高齢者夫婦や独居高齢者や認知症患者などでは、自力で避難することが困難であったと考えられる。今回明らかになったのは、近隣住民が認知症患者を助けたケースがあるものの、家族が認知症であることを隠していたため、近隣住民が手を差し伸べられず犠牲になったケースである。このようなことから、地域住民に対する認知症の啓発活動は非常に重要であり、家族が認知症を近隣に隠さなくてもすむような地域づくりが必要であると考えられる。加藤氏は認知症の人を支える地域づくりのために必要な5つの要素をまとめた。(1)認知症サポーターの養成、(2)地域住民の把握(偏見のない地域づくり)、(3)住民の判断で行動できる体制、(4)地域組織の協力、(5)防災マップの有効活用改めて確認された地域医療連携の重要性本シンポジウムの最後では、座長の東京都健康長寿医療センター 粟田 主一氏、舞子浜病院 田子氏から、今回の震災の経験から、改めて医療連携の重要性が確認されたとし、今後は各地域でのかかりつけ医と専門医の連携だけでなく、他地域との連携および他県との連携を含め、体制を構築すべきであるとした。そして何より重要なのは、高齢者の医療、介護に携わる人材育成を通じ、地域で支える町づくり目指すことである。また、今回の震災経験を踏まえ、災害に対する具体的な備えについてまとめたうえで、日本のみならず世界へ情報発信することを望むとした。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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SUN(^_^)D「抗うつ薬の最適使用戦略を確立するための多施設共同無作為化試験」パイロットトライアルが発表

わが国のうつ病診療はここ十数年の間に大きく変化した。さまざまな新規抗うつ薬が登場し、急増するうつ病患者に対しどのような治療指針で診療に取り組むべきか議論がなされている。このような中、京都大学 古川氏を主任研究者とする「抗うつ薬の最適使用戦略を確立するための多施設共同無作為化試験-SUN(^_^)D 」プロジェクトが実施されている。本研究の実現の可能性およびアドヒアランスを調査するためのパイロット調査の結果を共同主任研究者の一人である高知大学の下寺氏らがTrials誌オンライン版2012年6月8日付で発表した。2010年より実施されたSUN(^_^)Dプロジェクトは、単極性大うつ病 の急性期治療について、ファーストラインおよびセカンドラインでの抗うつ薬の最適治療戦略を確立することを目的とした25週間の多施設共同無作為化試験である。SUN(^_^)Dプロジェクトの目標症例は2,000例、主要評価項目はこころとからだの質問票(PHQ9)を用い評価する。今回の報告では、本研究を円滑に進めるため、実現性やアドヒアランスに関してパイロット調査にて検証を行った。2010年12月から2011年7月の間に受診した初診患者2,743例中、本研究への参加が適切であると判断された382例のうち、書面によるインフォームドコンセントに同意した軽症から非常に重症なうつ病患者100例を対象とした。主な結果は以下のとおり。 ・2011年7月末までに本研究開始後3週目に達した93例中、主要項目の評価が可能であった患者は90例(96.8%)であった。・本研究開始後9週目まで達した72例のうち、70例(97.2%)は十分な面談が可能であった。・最終25週目に到達した32例中、29例(90.5%)はフォローアップ可能であった。・主要評価項目の信頼性はほぼ問題なく、無作為化も確認された。・プロトコールの若干の変更と明確化が必要であると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か?

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現在開発中の4週間型パリペリドン持続性注射剤の実力は?

リスペリドンの活性代謝物であるパリペリドン。現在、日本で使用可能なパリペリドンは徐放錠のみだが、海外では経口剤のほかに、パリペリドンパルミチン酸エステル(パリペリドン持効性注射剤)も使用可能であり、幅広い統合失調症患者に使用されている。Nussbaum氏らはこのパリペリドン持効性注射剤の臨床効果を評価し、Cochrane Database Syst Revオンライン版 2012年6月13日に報告した。Cochrane Schizophrenia Group's Register(2009年11月)を検索し、無作為化試験(RCT)を含む参考文献をパリペリドン製造業社、FDA、当該試験の著者の協力のもとさらに詳しく調査した。参考文献は独自に選択し、批判的な評価を行い、データを抽出したうえでITT(intention-to-treat)解析により分析した。統計学的に有効性および安全性を評価可能なサンプル数をもとに、有益アウトカムおよび有害アウトカムにつながる治療必要数、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、連続データについては平均差(MD)を算出した。主な結果は以下のとおり。 ・パリペリドン持効性注射剤とプラセボを比較した5試験より、2,215例を抽出した。 ・パリペリドン持効性注射剤を投与した患者では初期の脱落が少なく(n=2,183、5RCTs、RR:0.76 [CI:0.07~0.84]、NNTB :9 [CI:7~14])、どの用量でも全体的な改善が認められない症例は有意に少なかった(n=1,696、4RCTs、RR:0.79 [CI:0.74~0.85]、NNTB:7 [CI:5~9])。 ・再発を調査した1試験において、パリペリドン持効性注射剤の再発リスクは低かった(n=312、1RCTs、RR:0.28 [CI:0.17~0.48]、NNTB:5 [CI:4~6])。また、再発を有害事象として扱ったほかの試験においても、再発リスクは低いと考えられる(n=1,837、4RCTs、RR:0.55 [CI:0.44~0.68]、NNTB:10 [CI:8~14])。 ・パリペリドン持効性注射剤は興奮または攻撃性との関連は低く(n=2,180、5RCTs、RR:0.65 [CI:0.46~0.91]、NNTB:39 [CI:25~150])、抗不安薬併用も少なかった(n=2,170、5RCTs、RR:0.89 [CI:0.83~0.96]、NNTB:16 [CI:11~44])。 ・パリペリドン持効性注射剤は男女ともに血清プロラクチン値の有意な上昇を認めた。 これら短期間の試験における性機能不全は認められなかった。 ・パリペリドン持効性注射剤を投与した患者ではプラセボ群と比較して有意な体重増加が認められた(n=2,052、5RCTs、MD:1.34 [CI:0.97~1.70])。 ・パリペリドン持効性注射剤とリスペリドン持効性注射剤をそれぞれフレキシブルドーズで使用し比較した2試験によると、パリペリドン持効性注射剤の平均用量は4週毎に73.3㎎と104.6mgであり、リスペリドン持効性注射剤はそれぞれ2週毎に35.3mgと31.7mgであった。両薬剤間で試験の早期中止に差はなく(n=1,969、2RCTs、RR:1.12 [CI:1.00~1.25])、精神症状の再発率にも統計学的に差はなかった(n=1,961、2RCTs、RR:1.23 [CI:0.98~1.53])。また、死亡率にも有意な差は認められなかった(n=1,967、2RCTs、RR:3.62 [CI:0.60~21.89])。 ・パリペリドン持効性注射剤投与患者では抗コリン薬との併用が有意に少なかった(n=1,587、2RCTs、RR:0.67 [CI:0.55~0.82]、NNTB:13 [CI:10~24])。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・パリペリドンはリスペリドンより安全性プロファイルが良好 ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者「社会復帰」へ ・「再発予防」がポイント! 精神疾患の治療目標を考える

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「EPDS(エディンバラ産後うつ病自己調査票)」の日本語版iPadアプリがリリース

 QLifeは25日、「EPDS(エディンバラ産後うつ病自己調査票)」の日本語版iPad向けアプリをリリースしたことを発表した。アプリは無料で利用できるが、別途QLMIDへの登録が必要になる。 EPDS(エディンバラ産後うつ病自己調査票)は、産後うつ病を発見するために開発されたもので、全部で10項目あり、質問に点数をつけ、その合計点数で産後うつ病かどうかを調べる目安にするものとなっている。EPDSの回答内容と点数は電子カルテに添付可能 EPDSアプリの主な機能は以下のとおり。・調査票は、画面に表示された選択肢をタップするだけで回答が完了。いちいち電卓片手に集計したり検算したり調査票を紙で管理する必要もなくなり省力化を図れると同時に、情報管理においても大幅な安全性向上を見込める。・EPDSの回答内容と点数は、そのまま画像としてメール送信でき、電子カルテに添付可能。訪問診療や訪問カウンセリングなどでも活用できる。・EPDSの集計結果は医療者のみが見られるようになっており、患者が自己完結することなく、最終的な診断を医師が行える。・EPDS日本語版の訳者でもある医学博士 宗田 聡 氏による監修を受けている。詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/3009.html

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厚労省も新制度義務化:精神疾患患者「社会復帰」へ

 「統合失調症」へ呼称変更されてから10年が経過した。この間を振り返り、「統合失調症呼称変更で何が変わったか?」との演題で、国立精神神経医療研究センター 高橋清久氏がヤンセンファーマメディアセミナーにて講演した(2012年6月14日)。社会復帰を目指した「統合失調症」への呼称変更 2002年、世界精神医学会(WPA)横浜大会と同時開催された日本精神神経学会総会において「精神分裂病」から「統合失調症」へ呼称が変更された。変更の背景には、精神分裂病という病名が「精神そのものの分裂」と誤解されることによる患者や家族の苦痛が、予後や社会復帰への悪影響につながっていることがあった。そのため、病名が患者や家族に不利益をもたらさないよう考慮し、さまざまな新病名案の中から「統合失調症」が選ばれ、これに改めることとした。さらなる「統合失調症」への理解を求める 本セミナーでは20代~60代の一般人男女500名を対象に、統合失調症に対する理解度やイメージに関する全国web調査の結果も報告された。精神疾患の病名に対する認知状況では、「うつ病」が92.4%と最も高い一方で、「統合失調症」は55.6%と約半数程度であった。さらに「精神分裂病」に対する認知度は64.6%と統合失調症よりも依然として高い結果であった。また、「統合失調症」の認知状況は、「あまり知らない」「全く知らない」と回答した割合が61%、「非常によく知っている」「よく知っている」と回答した割合が14%と大きな開きがあり、病名および疾患全般に関する理解が十分でないことを示す結果となった。統合失調症患者との触れ合いがポイント 統合失調症のイメージに関する調査では、多くの方が「実際よりも重い病状の病気である」との認識を持っている。そして、以前の調査よりは減少してはいるものの、「なるべく関わりたくない」と不安を抱いている割合が高かった。また、「統合失調症」に対する認知が高い(非常によく知っている/よく知っていると回答)人ほど統合失調症患者は差別されているというイメージを持っていることもわかった。 高橋氏は「統合失調症に対する誤ったイメージを是正する手段として、患者との触れ合いを体験することが重要である」と語る。看護学生を対象に、統合失調症患者への実習体験前後のイメージ調査の報告を紹介し、実習前は統合失調症に対し「怖い」「暗い」「コミュニケーションが取れない」と感じていたが、実習後は「怖くない」「やさしい」「普通」とイメージが変化することから、より多くの方々に触れ合い体験する機会を持ってほしいと述べた。統合失調症の治療ゴールは「社会復帰」 社会復帰を目指す上で、治療薬や治療ターゲットも変化している。入院主体の医療から外来移行、社会復帰を目指し、第二世代抗精神病薬を主体とした単剤治療や再発防止をターゲットとした治療が求められるようになってきた。最近では第二世代抗精神病薬の剤型も豊富になっており、「液剤」や「口腔内崩壊錠」「徐放錠」「持続性注射剤」など患者の希望や生活スタイルに合わせた剤型選択が可能となり、服薬アドヒアランスの向上および再発予防に寄与するものと考えられる。高橋氏は「持続性注射剤の使用は社会復帰やQOL向上などメリットが大きい」ということを具体的な事例を交えて強調した。統合失調症患者の「社会復帰」へ厚労省も動き出す 厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めた。障害者雇用促進法は、企業などに、全従業員に占める障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけている。これまで、障害者の範囲は「身体障害者」「知的障害者」に限られていたが、「統合失調症」や「うつ病」などの精神疾患患者を新たに加える。これにより、統合失調症患者の社会復帰がさらに進み、より多くの方々の統合失調症に対する認知向上と偏見の是正がもたらされることが期待される。関連医療ニュース 日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い―REAP調査― パリペリドンはリスペリドンより安全性プロファイルが良好 認知症の在宅支援強化へ、厚労省が新対策  担当者へのご意見箱はこちら

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うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

抗うつ薬ミルタザピンはアドレナリンα2自己受容体とα2ヘテロ受容体に対し阻害作用を示し、ノルアドレナリン(NA)とセロトニン(5-HT)のモノアミントランスポーターを阻害することなく、NAおよび5-HTの神経伝達を増強する薬剤である。明治製菓薬品総合研究所の山内氏らはミルタザピンとSNRIの併用によるモノアミンの細胞外レベルへの影響を調査した。Neuropharmacology誌2012年6月号掲載。 ミルタザピンとSNRIであるミルナシプラン併用による薬理学的相乗作用が、ラットの脳においてモノアミンの細胞外レベルにどのような影響を与えるかを、マイクロダイアリシス法を用いて検討した。主な結果は以下のとおり。 ・ミルタザピンは背側海馬のNAと5-HTの細胞外レベルを上昇させた。・対照的に、前頭前野皮質では5-HTレベルを変動することなく、NAとドパミン(DA)のレベルを上昇させた。・ミルナシプランは両領域で重要なすべてのモノアミンレベルを上昇させ、その作用はミルタザピンとの併用により増強した。・α2受容体アンタゴニストであるイダゾキサンとミルナシプランの併用も前頭前野皮質でのすべてのモノアミンレベルを上昇させた。・5-HT2A受容体アンタゴニストであるケタンセリンとミルナシプランとの併用は効果を示さなかった。一方、5-HT2C受容体アンタゴニストであるSB242084とミルナシプランとの併用は前頭前野皮質の5-HTとDAレベルを上昇させた。・ミルタザピンによるα2受容体を介したNA、5-HT、DAの細胞外レベルでの増強作用は、ミルタザピン単独では領域に特異性を示し、ミルナシプラン併用時には領域特異性を示さなかった。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・「双極性障害に対する薬物療法レビュー」世界精神医学会(WPA)での報告

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認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか?

統合失調症治療において認知機能の改善・維持は重要であり、認知機能への作用を考慮した薬剤選択が求められている。産業医科大学の堀氏らは、日本人統合失調症患者の認知機能に対し、非定型抗精神病薬であるリスペリドン、オランザピン、アリピプラゾールの投与量および投与スケジュールが及ぼす影響を検討した。その結果、「アリピプラゾールでは投与量と認知機能との間に相関が認められない」として、J Psychiatr Res誌2012年6月号にて報告した。 対象は、少なくとも3ヵ月間リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾールのいずれかを一定用量で服用中の統合失調症患者101例。認知機能は統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用い断面調査を行った。主な結果は以下のとおり。 ・BACS-J総合スコアはリスペリドンおよびオランザピンの投与量と負の相関を示した。・対照的に、アリピプラゾールの投与量はBACS-J総合スコアおよび各項目の主なスコアとの間に相関は認められなかった。・リスペリドンの投与量と相関を示した患者では「言語性記憶と学習」「運動機能」「注意・情報処理速度」に関する項目のスコアが有意に低かった。・オランザピンの投与量と相関を示した患者では「言語性記憶と学習」「運動機能」に関する項目のスコアが有意に低かった。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

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電話によるうつ病の認知行動療法、対面療法よりも中断率は低いが……

うつ病性障害に対する、電話による認知行動療法は、対面による同療法と比較して、治療アドヒアランスは改善されることが示された。一方で、両群18週治療後のフォローアップ6ヵ月時点の効果は同等であった。米国・ノースウエスタン大学のDavid C. Mohr氏らが、300人超について行った前向き無作為化比較試験の結果、報告したもので、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。電話による認知行動療法の効果について、対面の場合との効果を比較した研究はほとんど行われていなかったという。18週間の認知行動療法、両群で終了率を比較Mohr氏らは、2007年11月~2010年12月にかけて、シカゴ周辺に住む大うつ病性障害325人について、無作為化比較試験を開始した。被験者は18歳以上で、ハミルトンうつ病評価尺度(Ham-D)は16以上だった。被験者を無作為に2群に分け、一方には対面による認知行動療法(対面CBT)を、もう一方の群には電話による認知行動療法(T-CBT)を行った。主要アウトカムは、治療開始18週時点の、CBTセッション18回の終了または中断だった。副次アウトカムは、Ham-Dと、9つのうつ病質問票(PHQ-9)によるうつ状態の自己評価だった。中断率は電話によるCBTが低率、効果は対面と同等結果、治療を中断した人の割合は、対面CBT 群が32.7%(53人)に対し、T-CBT群が20.9%(34人)と、有意に低率だった(p=0.02)。両群ともに、うつ状態には有意な改善が認められた(p

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日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは

統合失調症患者に対する抗精神病薬の大量投与や多剤併用は認知機能に影響を与えると考えられる。産業医科大学の堀氏らは、日本人統合失調症患者において抗精神病薬が認知機能に与える影響を検討した。Int J Psychiatry Clin Pract誌2012年6月号掲載。日本人慢性期統合失調症患者136例を対象に、第二世代抗精神病薬(SGA)のみを服用している患者(SGA単剤群)と2種類以上の抗精神病薬を服用している患者(多剤併用群)の認知機能を比較し、検証した。認知機能は統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価した。主な結果は以下のとおり。 ・全症例において、BACS-J総合スコアと抗精神病薬のクロルプロマジン換算量との間に有意な負の相関が認められた(r= -0.43、p

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統合失調症の病態にメラトニンが関与?!

統合失調症におけるメラトニンの関与はこれまであまり議論されていない。Anderson氏らはメラトニンと統合失調症の罹患、神経免疫や酸化性病態生理、睡眠障害を含む特異的な症状、サーカディアンリズム、遅発性ジスキネジアやメタボリックシンドロームを含む抗精神病薬の副作用との関係をレビューした。Metab Brain Dis誌2012年6月号掲載(オンライン版2012年4月25日号)。電子データベース(PubMed、Scopus、Google Scholar)よりメラトニンと統合失調症、精神障害、遅発性ジスキネジア、抗精神病薬、メタボリックシンドローム、薬剤性副作用をキーワードとし、統合失調症の病因、経過、治療に関連した論文を抽出した。主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者ではメラトニン濃度とメラトニン・サーカディアンリズムが有意に減少する。・統合失調症患者に対するメラトニン補助療法は、抗炎症作用および抗酸化作用により抗精神病薬の効力を増強する可能性がある。・メラトニンは統合失調症患者の睡眠障害や抗精神病薬による副作用(遅発性ジスキネジア、メタボリックシンドローム、高血圧など)を改善する可能性がある。・メラトニンはストレス反応とコルチゾール分泌を介して、トリプトファン代謝経路に影響を与え、認知に関連する皮質(扁桃体反応、線条体の処理機能)へ影響を与える。・統合失調症ではメラトニンの分泌が減少しており、それが病因(病態や治療)と関与している。・メラトニンは統合失調症患者の平均寿命に影響を与える抗精神病薬の代謝系副作用に関与すると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い―REAP調査― ・精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム発症要因は? ・統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

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うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替

重症うつ病の治療において第2段階の治療戦略を比較した報告は少ない。第一選択薬として使用したSSRIで治療効果が不十分だった場合、増量するべきか、SNRIへの切り替えを行うべきか明らかになっておらず、それぞれの忍容性と有効性を評価する必要がある。Bose氏らはSSRIであるエスシタロプラム10㎎/日で効果不十分であった患者における次の治療選択として、エスシタロプラムの増量とSNRIであるデュロキセチンへ切り替えた場合について比較検討した。Clin Drug Investig誌2012年6月号掲載。本試験はエスシタロプラムまたはデュロキセチンによる8週間の無作為化実薬対照二重盲検比較試験として実施された。2週間のlead-in期間(単盲検 )でエスシタロプラム10㎎/日に対し治療効果不十分(MADRSの改善率50%未満)であった患者571例(外来患者、18~65歳、MADRS総スコア30以上)から抽出したうつ病患者474例が対象。エスシタロプラム増量群(20㎎/日)229例とデュロキセチン切り替え群(60㎎/日)245例に無作為に割り付け検討した。主要評価項目は理由に関わらず試験中止までの期間とした。主な結果は以下のとおり。 ・主要評価項目である試験中止までの期間は両群間で差がなかった(ハザード比 :0.95、95%信頼区間:0.64~1.41、p=0.727)。・エスシタロプラム増量群はデュロキセチン切り替え群と比較して8週後のMADRS総スコアの有意な改善が認められた(LSMD:-1.87、95%信頼区間:-3.60~-0.14、p=0.034、LOCF解析)。・8週間後の寛解率(MADRS総スコア10以下)はエスシタロプラム増量群で54%、デュロキセチン切り替え群で42%であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.013)。・有害事象は両群間で同等であった。・本試験では、エスシタロプラム10㎎/日投与で治療効果が不十分だった場合、エスシタロプラムを20㎎/日に増量する方が、デュロキセチン60㎎/日へ切り替えるよりもより有用である可能性が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・うつ病の血液検査法を開発-若者の将来的な診断に有用 ・職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か? ・双極性障害患者の「うつ症状」は心血管イベントリスクを高める

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日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い―REAP調査―

アジア各国の協力のもと、東アジアにおける向精神薬処方調査(REAP)が1999年より実施されている。今回、Xiang氏らはアジア各国における高齢の統合失調症入院患者における抗精神病薬の低用量(クロルプロマジン換算300mg/日以下)処方と人口統計学的および臨床的相関について検討し、報告を行った。Int Psychogeriatr誌2012年6月号(オンライン版2012年2月3日号)掲載。対象は2001~2009年のREAPデータベースより抽出した55歳以上の統合失調症入院患者1,452例。社会人口統計学的および臨床的な特性と抗精神病薬の処方箋を標準化されたプロトコールとデータ収集手法により集積した。本調査は中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾、インド、マレーシアの8ヵ国の参加により実施した。主な結果は以下のとおり。 ・抗精神病薬が低用量で処方されていた頻度 は40.9%であった 。・抗精神病薬が低用量処方されがちな患者は女性、高齢、罹病期間が短い、陽性症状が少ないことと相関があった (多重ロジステック回帰分析)。・2001~2009年のすべての調査に参加した6ヵ国のうち、日本では抗精神病薬の低用量処方がより少ない傾向があった。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か? ・抗精神病薬を処方された患者は本当に薬を服用しているのか? ・統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

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学習障害の有無によるメチルフェニデートの有用性を検証

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)児は学習障害(LD)を合併していることが少なくない。Williamson氏らは浸透圧を利用した薬剤放出制御システム(OROS)を用いたメチルフェニデート徐放製剤について、LDの有無からみたAD/HD治療反応性を検証した。J Atten Disord誌オンライン版2012年5月24日掲載の報告。2ヵ所の実験校において、メチルフェニデート徐放製剤による6週間プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験よりLDの有無に関わらず抽出された135例(9~12歳)を対象に認知および行動テストを行った。主な結果は以下のとおり。 ・メチルフェニデート徐放製剤群 ではLDの有無に関わらずAD/HD評価尺度スコアの改善が認められた。・認知スキル、学業、教室での行動においてメチルフェニデート徐放製剤はプラセボより有用であった。・メチルフェニデート徐放製剤はLDの有無に関わらずAD/HD児の行動やパフォーマンスを改善する。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ ・10代うつ病患者の治療はファンタジーゲームで? ・米国では自閉症は5歳まで診断されないケースが多い

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