DPP-4阻害薬は胆嚢炎発症リスクを増加させる(解説:住谷哲氏)
DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい安全な血糖降下薬として多くの患者に処方されている。しかしこれまでにDPP-4阻害薬投与と、心不全、水疱性類天疱瘡、急性膵炎、重症関節痛との関連が示唆されてきた。とりわけ初回治療薬として処方される血糖降下薬の約70%がDPP-4阻害薬とされるわが国では、まれな副作用についても注意が必要である。
GLP-1が胆嚢のmotilityに影響することは以前から知られており、血中GLP-1濃度を上昇させるDPP-4阻害薬が胆道・胆嚢疾患の発症リスクを増大させるのではないかとの懸念は以前からあった。GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが胆嚢・胆道疾患の発症と関連することはすでに報告されていたが、DPP-4阻害薬について報告がなかった。そこで著者らは、これまでに報告された82のRCTの結果を用いて、DPP-4阻害薬と胆道・胆嚢疾患発症との関連を検討した。