糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:75

SGLT2阻害薬の手術前の休薬は3~4日、FDAが承認

 2020年3月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、2型糖尿病治療として使用されるすべてのSGLT2阻害薬において、術前休薬に関する添付文書の変更を承認した。  当局は、「カナグリフロジン(商品名:カナグル)、ダパグリフロジン(同:フォシーガ)、エンパグリフロジン(同:ジャディアンス)は少なくとも予定手術の3日前、エルツグリフロジン(国内未承認)は少なくとも4日前に休薬する必要がある」とプレスリリースを配信した。また、手術前のSGLT2阻害薬休薬後は血糖値を注意深く監視し、適切に管理すべき、と記している。

inclisiran、家族性高コレステロール血症でLDL-Cを50%低下/NEJM

 家族性高コレステロール血症(FH)ヘテロ接合体の成人患者の治療において、低分子干渉RNA製剤inclisiranの非頻回投与レジメンはプラセボに比べ、LDLコレステロール(LDL-C)値をほぼ半減させ、安全性プロファイルは許容範囲内であることが、南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のFrederick J. Raal氏らによる「ORION-9試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月18日号に掲載された。FHは、LDL-C値の上昇と、早発性のアテローム動脈硬化性心血管疾患のリスク増大を特徴とする。前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を標的とするモノクローナル抗体は、LDL-C値を50%以上低下させるが、2~4週ごとの投与を要する。一方、inclisiranは年2回の投与により、FHヘテロ接合体成人患者においてPCSK9の肝臓での合成を阻害すると報告されている。

inclisiran、LDLコレステロールが50%低下/NEJM

 肝臓でのPCSK9産生を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)製剤のinclisiranは、6ヵ月ごとの皮下投与によりLDLコレステロール値を約50%低下させることが認められた。ただし、プラセボと比較してinclisiranは穿刺部位の有害事象の発現が多かった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKausik K. Ray氏らが、inclisiranの2つの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の解析結果を報告した。これまでの研究で、inclisiranは少ない投与頻度でLDLコレステロール値を持続的に低下させることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2020年3月18日号掲載の報告。

糖代謝異常者の循環器病診療、2学会合同でステートメントを作成

 日本循環器学会(代表理事:小室 一成)と日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、合同で『糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント』を作成、発刊した。本ステートメントは、糖尿病と循環器病の密接な関連に鑑み、その病態、治療、予後に関する国内外の最新のエビデンスを踏襲し、双方の専門医が情報共有および相互理解のための指針、さらには両診療科間の紹介基準の提供といった幅広い臨床場面での利活用を想定している。

動脈硬化リスクの早期発見、見過ごしがちな値とは/日本動脈硬化学会

 動脈硬化と悪玉コレステロール増加の結びつきをよく知っている患者でも、TG(トリグリセライド、中性脂肪)値の増加は肥満者だけのものと捉えてはいないだろうかー。2020年2月21日、日本動脈硬化学会はプレスセミナー「食後高脂血症と動脈硬化」を開催。増田 大作氏(りんくうウェルネスケア研究センター センター長)が「食後高脂血症」について、矢作 直也氏(筑波大学医学医療系 准教授)が「糖尿病と動脈硬化」について講演した。

毎日1個の卵、アジア人は心血管疾患リスク低下の可能性/BMJ

 卵の中等度の消費(最大1日1個まで)は、心血管疾患全般のリスクを増加させず、アジア人ではむしろリスクを低下させる可能性があることが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のJean-Philippe Drouin-Chartier氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月4日号に掲載された。卵の消費と心血管疾患リスクの関連は、この10年間、激しい議論を呼ぶ主題となっているが、これまでに得られた知見では結論が出ていないという。  研究グループは、卵の摂取と心血管疾患リスクの関連を評価する目的で前向きコホート研究を行い、この研究結果を含めたアップデートメタ解析を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。

持続血糖測定器「FreeStyle リブレ」に新たな保険適用

 アボット ジャパン合同会社は、フラッシュグルコースモニタリングシステム 「FreeStyle リブレ」(以下「リブレ」)に、2020年4月1日より新たな保険が適用されると発表した。  リブレは、組織間質液中のグルコース値を記録するセンサーと、その測定値を読み取って表示するリーダーから構成され、500円玉大のセンサーを上腕後部に装着し、グルコース値を毎分測定する。センサーは防水性で、最長14日間装着でき、リーダーをセンサーにかざしスキャンするだけで、グルコース値を測定することができる持続血糖測定器。わが国では2017年9月1日より保険適用となっている。

インスリンポンプ療法に特化したQOL尺度を新規開発

 最近の1型糖尿病に対する先進的な糖尿病関連デバイスは、持続血糖モニタリング(CGM)や持続皮下インスリン注入療法(CSII)など、めざましい進歩を遂げている。  とくにインスリンポンプ療法は、毎回煩雑な手順を踏んで注射しなくてよいため、食事の際や高血糖時など、目標の血糖まで速やかに修正できるなどのメリットがある。一方、常に装着しておかなければならず、装着部位のかゆみや服の制約などのデメリットもある。

ロピナビル・リトナビルで治療したCOVID-19/日本感染症学会

 3月3日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特設ページの中で、宮下 馨氏(国際医療福祉大学熱海病院 糖尿病代謝内科)らによる「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告」を公開した。  症例報告は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船の70代・女性の症例。搬送時には無症状であったものの、のちに高熱と肺炎を生じ、抗HIV薬であるロピナビル・リトナビル配合剤(商品名:カレトラ)で治療を行ったもの。投与後は自覚症状の改善があり、入院後20日間でPCRの陰性化を確認し、退院に至った。

multimorbidity評価に利用可能な指標は?/BMJ

 慢性疾患が2つ以上併存する多疾患罹患(multimorbidity)の患者が一般的にみられるようになっているが、この多疾患罹患を評価する指標は、研究者と臨床医でさまざまに異なっている。英国・エディンバラ大学のLucy E. Stirland氏らは、システマティックレビューにて多疾患罹患を評価する指標の特定などを行った結果、異なる項目とアウトカムから構成される35の指標が利用可能であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「研究者と臨床医は、新たな指標を作成する前に、既存の指標の適合性を検証する必要があるだろう」と述べている。BMJ誌2020年2月18日号掲載の報告。