循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:78

OCTガイド下PCI、標的血管不全を低減せず/NEJM

 複雑な冠動脈病変などに対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、光干渉断層撮影(OCT)ガイド下の施行は血管造影ガイド下の施行と比較し、最小ステント面積は大きかったが、2年時点での標的血管不全が発生した患者の割合については両群間で差はみられなかった。米国・Cardiovascular Research FoundationのZiad A Ali氏らが、国際多施設共同にて2,487例を対象に行った前向き無作為化単盲検試験の結果を報告した。OCTガイド下でPCIを施行した後の臨床アウトカムに関するデータは、血管造影ガイド下のPCIと比べて限定的だった。NEJM誌オンライン版2023年8月27日号の報告。

心筋梗塞による心原性ショック、VA-ECMO vs.薬剤単独/Lancet

 梗塞関連心原性ショックの患者において、静脈動脈-体外式膜型人工肺(Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation:VA-ECMO)は薬物療法単独と比較して30日死亡率が低下せず、重大出血および血管合併症を増加することが、ドイツ・Institut fur HerzinfarktforschungのUwe Zeymer氏らによるメタ解析の結果で示された。VA-ECMOをめぐっては、無作為化試験による確たるエビデンスが不足しているにもかかわらず、心原性ショックの患者への使用が増加傾向にある。先行研究の3試験では、生存ベネフィットの検出力が不十分であった。今回示されたメタ解析の結果を踏まえて著者は、「梗塞関連心原性ショックの患者にVA-ECMOを適応するのか、慎重に検討すべきであることが確認された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月25日号掲載の報告。

CVD2次予防でのアスピリン、低所得国では不十分/JAMA

 アスピリンは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(CVD)のイベントを減少させ、CVD既往例の死亡率を改善する効果的で安価な選択肢とされる。米国・セントルイス・ワシントン大学のSang Gune K. Yoo氏らは、CVDの2次予防においてアスピリンは世界的に十分に使用されておらず、とくに低所得国での使用が少ないことを明らかにした。研究の成果は、JAMA誌2023年8月22・29日合併号で報告された。  研究グループは、51の低・中・高所得国で2013~20年に実施された全国的な健康調査から収集した個々の参加者のデータを用いて横断研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。

ASCVDリスク評価、タンパク質リスクスコアが有望/JAMA

 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク評価において、プロテオミクスに基づくタンパク質リスクスコア(protein risk score)は、1次および2次予防集団の双方で優れた予測能を示し、1次予防集団で臨床的リスク因子にタンパク質リスクスコアと多遺伝子リスクスコアを加えると、統計学的に有意ではあるもののわずかな改善が得られたことが、アイスランド・deCODE genetics/AmgenのHannes Helgason氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年8月22・29日合併号に掲載された。

病院機能評価「医療安全」への対策強化で「カルテレビュー」導入へ

 最近では紙カルテ(診療録)から電子カルテへの普及が進み、病院のみならずクリニックでの導入も多くみられるようになった。また、国が推進するマイナンバーカードによる健康保険証には、個人のカルテ情報の搭載も予定され、いつでも、どこでも自分のカルテが読める時代が期待されている。そんなカルテは、医療事故などが発生した場合、真っ先に調査が行われる患者や患者遺族、医療機関などにとって事故と結果の因果関係を証明する大切な資料となるが、カルテの中身の記載については個々の医師の判断に任されている。

DOAC内服AF患者の出血リスク、DOACスコアで回避可能か/ESC2023

 心房細動患者における出血リスクの評価には、HAS-BLEDスコアが多く用いられているが、このスコアはワルファリンを用いる患者を対象として開発されたものであり、その性能には限界がある。そこで、米国・ハーバード大学医学大学院のRahul Aggarwal氏らは直接経口抗凝固薬(DOAC)による出血リスクを予測する「DOACスコア」を開発・検証した。その結果、大出血リスクの判別能はDOACスコアがHAS-BLEDスコアよりも優れていた。本研究結果は、オランダ・アムステルダムで2023年8月25日~28日に開催されたEuropean Society of Cardiology 2023(ESC2023、欧州心臓病学会)で発表され、Circulation誌オンライン版2023年8月25日号に同時掲載された。

RNA干渉が切り開く、画期的な高血圧治療薬―zilebesiranの挑戦―(解説:石上友章氏)

核酸・DNAを鋳型にして、メッセンジャーRNAが転写される。4種類の塩基の組み合わせを暗号にして、20種類のアミノ酸に翻訳されることで、タンパク質の合成が行われる。人体は、さまざまなタンパク質から構成されており、染色体DNAは、人体の設計図である。RNA干渉(RNA interference)とは、2本鎖RNAが、いくつかのタンパク質と複合体を作り、相同な塩基配列を持つメッセンジャーRNAと特異的に対合し、切断することによって、遺伝子の発現を抑制する現象である。RNA干渉は、遺伝子の機能を人為的に抑制することに応用できるので、遺伝子機能解析のツールとして、実験室ではおなじみの技術であった。

がん患者の血栓症再発、エドキサバン12ヵ月投与が有効(ONCO DVT)/ESC2023

 京都大学の山下 侑吾氏らは、下腿限局型静脈血栓症(DVT)を有するがん患者に対してエドキサバンによる治療を行った場合、症候性の静脈血栓塞栓症(VTE)の再発またはVTE関連死の複合エンドポイントに関して、12ヵ月投与のほうが3ヵ月投与よりも優れていたことを明らかにした。本結果はオランダ・アムステルダムで8月25~28日に開催されたEuropean Society of Cardiology(ESC、欧州心臓学会)のHot Line Sessionで報告され、Circulation誌オンライン版2023年8月28日号に同時掲載された。

セファゾリンやダビガトラン、重大な副作用追加などで添付文書改訂/厚労省

 厚生労働省は8月29日、セファゾリンやダビガトランなど6つの医薬品の添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。  セファゾリンNa水和物(商品名:セファメジンα筋注用0.25g ほか)とセファゾリンNa(同:セファゾリンNa点滴静注用1gバッグ「オーツカ」 ほか)において、アレルギー反応に伴う急性冠症候群の国内症例(7例[死亡0例])を評価した結果、本剤とアレルギー反応に伴う急性冠症候群との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、副作用の項に『重大な副作用』を新設した。

PCI後のステント血栓症、P2Y12阻害薬+コルヒチンで減少~MACT Pilot Study

 PCI後の急性冠症候群(ACS)患者において、PCI翌日からアスピリンを中止、P2Y12阻害薬(チカグレロルまたはプラスグレル)に低用量コルヒチン(0.6mg/日)の併用が有効であることがMACT (Mono Antiplatelet and Colchicine Therapy) Pilot Studyより明らかになった。Journal of the American College of Cardiology Cardiovascular Interventions誌2023年8月14日号掲載の報告。  韓国・高麗大学九老病院のSeung-Yul Lee氏らは、ACS患者に対しPCI直後のチカグレロルまたはプラスグレルP2Y12阻害薬単独療法へのコルヒチン併用は実行可能性があるものなのかを調査するために本研究を行った。対象者は薬剤溶出性ステントで治療されたACS患者を含む200例。