循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:46

歩く速度が不整脈リスクと関連

 歩行速度が速い人は不整脈リスクが低いという関連のあることが報告された。英グラスゴー大学のJill Pell氏らの研究によるもので、詳細は「Heart」に4月15日掲載された。歩行速度で3群に分けて比較すると、最大43%のリスク差が認められたという。  これまで、身体活動が不整脈リスクを抑制し得ることは知られていたが、歩行速度と不整脈リスクとの関連についての知見は限られていた。Pell氏らはこの点について、英国で行われている一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いて検討した。

ノータッチ静脈採取法、CABGの静脈グラフト閉塞を改善/BMJ

 冠動脈バイパス術(CABG)のグラフト採取において、従来法とは異なりノータッチ静脈採取法(no-touch vein harvesting technique)は、静脈の外膜と血管周囲組織を温存し、vasa vasorum(脈管の脈管)の完全性と内皮機能を保持する。そのため、内皮傷害が最小限に抑えられ、炎症反応が軽減されてグラフトの開存性が向上すると指摘されている。中国医学科学院・北京協和医学院のMeice Tian氏らは、「PATENCY試験」の3年間の追跡調査により、従来法と比較して大伏在静脈のノータッチ静脈採取法はCABGにおける静脈グラフトの閉塞を有意に軽減し、患者アウトカムを改善することを示した。研究の成果は、BMJ誌2025年4月30日号に掲載された。

3枝病変へのFFRガイド下PCIは有効か/Lancet(解説:山地杏平氏)

3枝冠動脈疾患(3VD)患者に対し、FFR(冠血流予備量比)を用いたガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)を無作為に比較したFAME 3試験の5年追跡結果が報告されました。主要複合エンドポイント(全死亡、脳卒中、心筋梗塞)の5年発生率は、PCI群で16%、CABG群で14%と、統計学的に有意な差は認められませんでした(ハザード比[HR]:1.16、95%信頼区間[CI]:0.89~1.52)。全死亡率は両群ともに7%で同等でしたが、心筋梗塞の発生率はPCI群が8%、CABG群が5%と、PCI群で有意に高く(HR:1.57、95%CI:1.04~2.36)、さらに再血行再建の必要性もPCI群で16%、CABG群で8%と、PCI群で有意に多い結果でした(HR:2.02、95%CI:1.46~2.79)。

チルゼパチド72週の投与で体重が5%以上減少/リリー・田辺三菱

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、4月11日に発売された持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド[皮下注アテオス])について、プレスセミナーを開催した。プレスセミナーでは、肥満症の基礎情報や肥満症の要因、社会的課題とともに、チルゼパチドの臨床試験であるSURMOUNT-J試験の概要が説明された。  「複合的な要因からなる慢性疾患『肥満症』のアンメットニーズ」をテーマに、脇 裕典氏(秋田大学大学院医学系研究科 代謝・内分泌内科学講座 教授)が、肥満症の病態や関係する諸課題について説明した。

中年患者へのスタチン使用、白内障リスク上昇

 近年、スタチンの使用が白内障の発症に影響を及ぼす可能性が示唆されている。そこで、日本人におけるスタチン使用と白内障の発症との関連性について、日本大学薬学部のKazuhiro Kawabe氏らが検討し、中年層でのスタチン使用が白内障リスクを約1.5倍高めることを明らかにした。Scientific Reports誌2025年4月19日号掲載の報告。  研究者らは、日本人の健康診断および保険請求データベースの2005年1月1日~2017年12月31日に記録されたデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施。健康診断データの脂質異常症117万8,560例のうち72万4,200例をスタチン非使用群とスタチン使用群(新規使用)に分類し、未調整/年齢・性別による調整/多変量調整のハザード比(HR)を算出してCox比例ハザード回帰分析を行った。主要評価項目はスタチンの使用と白内障リスクの関連性を評価。副次評価項目として、使用されたスタチンの力価や特徴、スタチンごとの白内障リスクを評価した。

起立性高血圧に厳格降圧治療は有効か?/BMJ(解説:桑島巖氏)

「起立性低血圧」は臨床上よく耳にする疾患だが、「起立性高血圧」という言葉は、ほとんどの医師にはなじみがない言葉であろう。起立性低血圧を疑い、外来で座位と立位の血圧を測定する場合や、tilting test(傾斜テスト)を実施する医師にとっては、起立性高血圧はしばしば遭遇する現象である。この現象が身体に有害であるか否かは不明であるため、あえて“現象”という言葉で表現する。本論文は、その起立性高血圧現象が高血圧治療によって軽減するか否かをメタ解析し、厳格に高血圧治療を行っている群のほうが、非厳格治療群よりも起立性高血圧現象が少なかったという結論である。

糖尿病予防、メトホルミンも長期効果

 米国糖尿病予防プログラム(DPP)は、2型糖尿病の発症リスクが高い成人3,234人を対象とした3年間のランダム化臨床試験で、生活習慣介入(Intensive Lifestyle Intervention:ILS、食事・運動・体重管理への集中的介入)、メトホルミン投与、プラセボ投与の3群における、2型糖尿病発症率の違いを比較することを目的としていた。2002年に糖尿病発症率がILS群で58%、メトホルミン群で31%減少したことが報告されている。  DPP試験はプロトコル改訂を経て、DPPアウトカムズ研究(DPPOS試験)として継続された。参加者を長期(20年以上)追跡し、治療効果の長期的な影響を評価した。本試験の結果を米国・ジョージ・ワシントン大学のWilliam C. Knowler氏らが、The Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2025年4月28日号で報告した。

医療現場でのコミュニケーションの問題はインシデントの主因

 医療現場でのコミュニケーションの問題は、患者の安全に関わるインシデント(以下、インシデント)の主因であることが、新たな研究で明らかになった。インシデントとは、ニアミスなど患者に実害がなかったものも実害があったものも含めた、標準的な医療から逸脱した行為や事態のことを指す。本研究では、コミュニケーションの問題のみを原因として生じたインシデントは13.2%に上ることが示されたという。英レスター大学医学部のJeremy Howick氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に4月15日掲載された。

DapaTAVI試験―構造的心疾患に対するSGLT2阻害薬の効果(解説:加藤貴雄氏)

2025年ACCで発表されたDapaTAVI試験(Raposeiras-Roubin S, et al. N Engl J Med. 2025;392:1396-1405.)であるが、TAVI前に心不全および、中等度腎機能障害・糖尿病・左室駆出率低下のいずれかを持つ大動脈弁狭窄症患者が登録された試験である。左室駆出率<40%の患者は約18%で多くがHFmrEF/HFpEFの患者であり、平均年齢が82歳と高齢で、女性が約半数登録された。また、中等度~高度の左室肥大を伴う患者は約60%であった。結果は、主要評価項目(全死亡または心不全増悪の複合エンドポイント)は、ダパグリフロジン追加群で有意に低い結果で、全死亡では有意な差がなく心不全増悪の差が主に結果に影響していた。主要な2次評価項目でも、心不全入院・心不全の緊急受診においてダパグリフロジン追加群で有意に低い結果であった。

高齢の心不全患者が感染症で再入院にいたる因子とは

 心不全(HF)患者の再入院は、患者の死亡率上昇だけでなく、医療機関に大きな経済的負担をもたらす。高齢HF患者では、しばしば感染症による再入院がみられるが、この度、高齢のHF患者における感染症関連の再入院にフレイルと腎機能の低下が関連しているという研究結果が報告された。徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床薬学実務実習教育分野の川田敬氏らの研究によるもので、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に3月11日掲載された。  世界でも有数の高齢化社会を擁する日本では、高齢のHF患者が大幅に増加している。高齢者では免疫力が低下することから、高齢HF患者の感染症による再入院率も増加していくと考えられる。これまでの研究では60代や70代のHF患者に焦点が当てられてきたが、実臨床で増加している80代以上の高齢HF患者、特に感染症による再入院に関連する因子については調べられてこなかった。このような背景から、川田氏らは、高齢化が特に進む日本の高知県の急性肥大症性心不全レジストリ(Kochi YOSACOI Study)のデータを使用して、高齢HF患者の感染症による再入院に関連するリスク因子を特定した。