循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:45

降圧薬による湿疹性皮膚炎リスクの上昇

 湿疹性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)と診断される高齢者が増加しているが、多くの湿疹研究は小児および若年成人を対象としており、高齢者の湿疹の病態および治療法はよく知られていない。高齢者の湿疹の背景に薬物、とくに降圧薬が関与している可能性を示唆する研究結果が発表された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMorgan Ye氏らによる本研究は、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年5月22日号に掲載された。  本研究は縦断コホート研究であり、英国The Health Improvement Networkに参加するプライマリケア診療所における60歳以上の患者データを対象とした。1994年1月1日~2015年1月1日のデータを対象とし、解析は2020年1月6日~2024年2月6日に行われた。主要アウトカムは湿疹性皮膚炎の新規診断で、最も一般的な5つの湿疹コードのうち1つの初診日によって判断した。

同世代・同診療科の医師の年収は?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(金)に会員医師1,004人(男性:875人、女性:129人)を対象に、「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、80%の医師が昨年度の年収額は1,000万円以上と回答した。しかし、男女別にみると、男性では1,000万円以上が83%であったのに対し、女性は60%と男女差がみられた。  全体で最も多い年収帯は1,400~1,600万円であった(全体の14%)。年代別では、35歳以下は1,000~1,200万円(20%)、36~45歳は1,400~1,600万円(23%)が最も多かった。それ以降の世代では2,000~2,500万円が最も多く、46~55歳では16%、56~65歳および66歳以上はそれぞれ15%であった。

史上初の人工心臓植え込み手術+ブタ腎臓移植

 米国ニュージャージー州出身のLisa Pisanoさんは、人生の終わりを諦観していた。54歳の彼女は心不全と末期腎不全を患い、かつ、複数の慢性疾患があるため臓器移植の待機リストから外されていた。「リストに載らないことが分かった時には、自分に残された時間があまりないことを実感した」とPisanoさんは語っている。しかし彼女は、左室補助人工心臓(LVAD)の植え込みと遺伝子編集されたブタ腎臓の移植のおかげで、新たな命を手に入れた。  治療を担当した米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの外科医によると、このような大きく異なる二つの医療技術が1人の患者に対して用いられたのは、これが初めてのことであり、LVAD植え込み手術を受けた患者が、その後なんらかの臓器移植を受けた例は記録がないという。さらに、遺伝子編集されたブタ腎臓の移植成功例は、今年3月に米国で行われた症例に続き、今回が2例目とのことだ。NYU移植研究所のRobert Montgomery氏は、「Pisanoさんの命を救うことを可能にした科学的な進歩は驚異的であり、それを支えた人々の信念は計り知れないほどの大きさだ」と述べている。

学校健診でのLDL-C測定、親の疾患発見にも寄与/日本動脈硬化学会

 家族性高コレステロール血症(FH)は、約300人に1人の頻度で存在する常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。出生時よりLDL-C高値を示し、心筋梗塞などの冠動脈疾患発症率は一般人より10倍以上高い。診断基準が明確化されているものの、診断率が低い疾患の一つある。香川県では、FHの小児を早期診断することで親のFHの診断につなげる取り組みに力を入れており、今回、南野 哲男氏(香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科学 教授)が「小児生活習慣病予防健診により家族性高コレステロール血症(FH)のこどもと大人を守る」と題し、香川県で行われている小児生活習慣病予防健診事業3)や小児FHスクリーニングの全国展開への期待について話をした(主催:日本動脈硬化学会)。

モジュール式リードレスペーシング除細動システム、主要エンドポイント達成/NEJM

 皮下植込み型除細動器(S-ICD)と無線通信するリードレスペースメーカーは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカー関連主要合併症非発生率、リードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率、およびパルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合に関して、パフォーマンス目標を超えた。オランダ・アムステルダム大学医療センターのReinoud E. Knops氏らが、国際共同単群試験「Effectiveness of the EMPOWER Modular Pacing System and EMBLEM Subcutaneous ICD to Communicate Antitachycardia Pacing study:MODULAR ATP試験」の結果を報告した。S-ICDは、経静脈ICDよりリード関連合併症が少ないが、抗頻拍および徐脈ペーシングができない。リードレスペースメーカーとS-ICDの無線通信による抗頻拍および徐脈ペーシングを行うモジュール式ペーシング除細動システムの安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年5月18日号掲載の報告。

セマグルチド投与で心不全患者の利尿薬必要量が減少

 心不全患者の体内には水分がたまりやすいため、過剰な水分を排出する作用のあるループ利尿薬がしばしば処方される。こうした中、画期的な肥満症治療薬であるセマグルチド(商品名ウゴービ)によって利尿薬の必要性を減らせる可能性のあることが、肥満を伴う収縮機能が保たれた心不全(HFpEF)患者を対象とした臨床試験のデータの解析で示された。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部准教授のKavita Sharma氏らによるこの解析結果は、欧州心臓病学会(ESC)による欧州心不全学会(Heart failure 2024、5月11~14日、ポルトガル・リスボン)で発表され、「European Heart Journal」に5月13日掲載された。

小児期の運動不足が若年成人期の心肥大と関連

 子どもの頃の運動量と若年成人期の心臓の大きさとの間に有意な関連があり、運動不足だった子どもは成人後に心肥大が見られるとする研究結果が報告された。東フィンランド大学のAndrew Agbaje氏の研究によるもので、詳細は「European Journal of Preventive Cardiology」に5月7日掲載された。  心肥大とは心臓のサイズや重量が過度に増大した状態であり、成人の心肥大は心血管疾患や早期死亡といったイベントのリスクを高める。小児期にはそのようなイベントの発生は少ないものの、心肥大自体は後年のリスク上昇につながる可能性がある。一方、成人では適度な運動が心血管の健康増進に役立つことが広く認識されている。しかし、小児期の運動習慣が心臓の形態に与える影響についてはよく分かっていない。これらを背景としてAgbaje氏は、子どもの運動習慣が、その後の心臓の形態や機能に及ぼす影響について、縦断的に検討した。

CVDの1次予防にバイオマーカー追加は有用か/JAMA

 心血管イベントの1次予防において、5つの心血管バイオマーカーはいずれもアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発生と有意に関連するものの、その関連性は小さく、心不全と死亡率についてはより強力な関連を認めるが、確立された従来のリスク因子と心血管バイオマーカーを組み合わせてもアテローム性動脈硬化性心血管疾患のリスク予測能の改善はわずかであることが、ドイツ・University Heart and Vascular Center HamburgのJohannes Tobias Neumann氏らの検討で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。

第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血、アンデキサネットvs.通常治療/NEJM

 第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血患者において、アンデキサネット アルファ(以下、アンデキサネット)は通常治療と比較して優れた止血効果を示し血腫拡大を抑制したが、虚血性脳卒中を含む血栓イベントと関連していた。カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らANNEXA-I Investigatorsが報告した。第Xa因子阻害薬投与中の急性頭蓋内出血患者は、血腫が拡大するリスクを有している。アンデキサネットは第Xa因子阻害薬の抗凝固作用を中和する薬剤であるが、血腫拡大に対する効果は十分検討されていなかった。NEJM誌2024年5月16・23日号掲載の報告。

うっ血やLVEFの低下がある急性心筋梗塞では、SGLT2阻害薬の追加により心不全入院を予防できる可能性(解説:原田和昌氏)

心不全ステージBである急性心筋梗塞(MI)患者では心不全(HF)発症リスクが高く、とくにうっ血やLVEFの低下がある場合は予後不良とされる。SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、2型糖尿病、CKD、HF患者における心血管イベント抑制効果が示されており、MI後の心不全発症の予防も期待される。Butler氏らは、MI後のHF発症に対するエンパグリフロジン上乗せの有効性と安全性を検証する国際共同第III相多施設ランダム化並行群間プラセボ対照優越性試験EMPACT-MI試験を行った。急性心筋梗塞(STEMIまたはNSTEMI)発症後14日以内でLVEFが45%未満、またはうっ血が認められる18歳以上のHF高リスク患者6,522例が対象で、慢性HFの既往、1型糖尿病、eGFR 20mL/分/1.73m2未満などは除外した。2型糖尿病31.9%、心筋梗塞の既往13.0%、STEMI 74.3%、三枝病変31.0%、心房細動10.6%などであった。RAS阻害薬、β遮断薬、MRA、スタチン、抗血小板療法などの標準治療がなされ、血行再建術は89.3%に行われた。主要評価項目は複合イベント(HFによる初回入院または全死亡)の発生であった。