循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:338

虚血性心筋症における幹細胞注入療法の安全性/JAMA

 慢性虚血性心筋症患者における自己間葉系幹細胞(MSC)と自己骨髄単核細胞(BMC)による経心内膜幹細胞注入療法は、安全と思われることが報告された。米国・マイアミ大学のAlan W. Heldman氏らが、65例の患者について行った第1相および第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。同患者への自己細胞培養による幹細胞注入療法の有効性と安全性については議論の的となっている。著者は、「今回の結果は、サンプルサイズと多重比較の点で限定的だが、より大規模な試験で、安全性の明確なエビデンスを得ること、また治療アプローチの有効性の評価を行うことを支持するものであった」と述べている。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

院外心停止に対する機械的心肺蘇生、予後は手動と同等/JAMA

 院外心停止患者に対する、除細動併用の機械的心肺蘇生(CPR)と手動CPRとを比較した結果、4時間生存率に有意差は認められなかったことが判明した。スウェーデン・ウプサラ大学のSten Rubertsson氏らが、英・オランダを含めた3ヵ国6施設で登録された2,589例の院外心停止患者を対象に行った多施設共同無作為化試験「LINC」の結果、報告した。院外心停止に対する機械的CPRは、予後を改善する可能性が示唆されていたが、これまで大規模試験は行われていなかった。なお、6ヵ月時点までの神経学的アウトカムについても報告されているが、両群間に有意差はなく生存患者の94~99%のアウトカムが良好であったという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告より。

ワルファリン投与量を遺伝子ガイドにより調整してみた/NEJM

 抗凝固療法コントロールについて、薬理遺伝学的ベースの遺伝子ガイドによりワルファリン投与量を調整して行っても、治療開始4週間の改善はみられなかったことが大規模無作為化試験の結果、示された。米国・ペンシルベニア大学のStephen E. Kimmel氏らが報告した。遺伝子ガイド(薬理遺伝学的をベースとした)によるワルファリン投与法は、これまで小規模臨床試験および観察試験で検討されたのみで、臨床における有用性は曖昧であった。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

糖尿病患者の腎保護作用を期待できる降圧薬は?(コメンテーター:浦 信行 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(157)より-

 まず、在来の臨床研究では尿蛋白低減効果をエンドポイントとしたものが多いが、このメタ解析のエンドポイントをハードエンドポイントである血清クレアチニン濃度の倍化、末期腎不全、死亡としたことに意義がある。われわれの最終目標は腎障害進展抑制、生命予後改善だからである。

LDLコレステロールを推算する新方程式/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)値推算法について、従来のFriedewald式よりも正確なガイドラインのリスク層別化に優れた新たな方程式が、米国・ジョンズ・ホプキンス大学チッカローネ心疾患予防センターのSeth S. Martin氏らにより開発された。Friedewald式は1972年に448例の患者のデータを分析して編み出された、LDL-C実測の手間とコストがかからない計算式であり、長年、研究や臨床の目標値として、また国際的ガイドライン等の主要目標として取り入れられてきた。新推算法は、従来式の「トリグリセリド(TG)/5」の5という固定係数の解消を図ったもので、135万人の脂質データを分析して新たに補正係数を作成し、それを用いた評価法を開発した。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

心房細動患者、減量も大事/JAMA

 心房細動患者の治療マネジメントにおいては、心血管代謝リスク因子のマネジメント強化とともに減量を指導することが、心房細動の症状および重症度の軽減に結びつき、また心臓リモデリングに有益であることが示された。オーストラリア・アデレード大学のHany S. Abed氏らが、単施設150例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。肥満は心房細動のリスク因子であることは知られているが、減量と心血管代謝リスク因子のマネジメントが、心房細動の症状を軽減するかについては不明であった。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

薬剤溶出性ステントの優劣は1年の短期成績によって決めてよいか?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(155)より-

 DUTCH PEERSは、臨床で使用される頻度が高い2つの第三世代ステントであるコバルトクロム製のゾタロリムス溶出ステント(米国メドトロニック社製「リゾリュートインテグリティ」)、あるいはプラチナクロム製のエベロリムス溶出ステント(米国ボストン・サイエンティフィック社製「プロマス・エレメント」)の留置を受けた全患者を対象に、安全性と有効性を評価することを目的とした無作為化単盲検多施設共同非劣性試験である。

冠動脈石灰化スコア、密度スコアを加えることでリスク予測能上昇/JAMA

 冠動脈石灰化(CAC)容積スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントリスクには正の関連が、またCAC密度スコアと同イベントリスクにはCAC容積値とは独立した有意な負の相関関係があることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael H. Criqui氏らが、約3,400例の観察試験被験者データを分析し明らかにした。CT測定のCACは、心血管疾患発生予測について高い適中率を有する。標準的なAgatstonスコアでは、カルシウム密度と正の相関があるとしているが、いくつかのデータにおいて、プラークのカルシウム密度上昇は心血管疾患に保護的に寄与する可能性があることが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

ENGAGE-TIMI48:負けない賭けは成功か?(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(154)より-

 新規経口抗凝固薬が相次いで開発された。非弁膜症性心房細動に対して、脳卒中予防に使うべきだという。過去のエビデンスがPT-INR 2-3を標的としたワルファリンの優れた効果を示しているので、新薬は「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」と比較して論じられる。ENGAGE-TIMI48では、日本の第一三共が開発したエドキサバンと「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」の有効性、安全性が検証された。しかし、莫大な開発費を投じて、万一認可承認を得られなければ会社は存続できない。ランダム化比較試験は企業にとって死活をかけた「賭け」である。