TAVRの装着成功率、弁型で差/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/14

 

 ハイリスク重度大動脈弁狭窄への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)に関して、バルーン拡張型弁と自己拡張型弁を比較したところ、バルーン拡張型弁のほうが装着成功率が高く、その他のアウトカムも良好であることが示された。ドイツ・ゼーゲベルガークリニックのMohamed Abdel-Wahab氏らが、241例を対象に行った無作為化試験「CHOICE」の結果、報告した。TAVRは同患者に対する有効性が認められた治療選択肢だが、弁型式の違いによる検討はこれまで行われていなかった。JAMA誌オンライン版2014年3月30日号掲載の報告より。

被験者を2群に分け、バルーン拡張型弁と自己拡張型弁をそれぞれ装着
 研究グループは、2012年3月~2013年12月にかけて、ドイツ5ヵ所の医療機関で、ハイリスク重度大動脈弁狭窄症で、解剖学的にTAVRに適した患者を対象に試験を行った。

 被験者を無作為に2群に分け、一方の群(121例)にはバルーン拡張型弁を、もう一方の群(120例)には自己拡張型弁を装着した。

 主要エンドポイントは、血管アクセスの成功や装置の正しい留置などの装着成功率だった。副次エンドポイントは術後30日時点の、心血管死亡率、出血や血管合併症、術後ペースメーカー装着、および複合安全性エンドポイント(全死因死亡、重大脳卒中、その他重篤な合併症等)などだった。

装着成功率、自己拡張型弁群が78%に対しバルーン拡張型弁群は96%
 結果、装着が成功したのは、自己拡張型弁群では120例中93例(77.5%)だったのに対し、バルーン拡張型弁群は121例中116例(95.9%)と、有意に高率だった(相対リスク:1.24、95%信頼区間:1.12~1.37、p<0.001)。中程度以上の残存性大動脈弁逆流症の発症率は、それぞれ自己拡張型弁群18.3%とバルーン拡張型弁群4.1%(バルーン拡張型弁群の相対リスク:0.23、p<0.001)、2つ以上の弁装着が必要だった割合は、同5.8%と0.8%(p=0.03)と、いずれもバルーン拡張型弁群で有意に低率だった。

 30日心血管死亡率は、自己拡張型弁群が4.3%、バルーン拡張型弁群が4.1%で、同程度だった(p=0.99)。出血(重大出血p=0.36など)や血管合併症(全症例p=0.78など)も有意差は認められず、複合安全性エンドポイントは自己拡張型弁群23.1%、バルーン拡張型弁群18.2%で有意差は示されなかった(p=0.42)。また、術後新たに恒久性ペースメーカーを装着した人の割合は、自己拡張型弁群が37.6%に対し、バルーン拡張型弁群は17.3%と有意に低率だった(p=0.001)。

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員