循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:258

日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。

高血圧に関する川柳・標語を募集中【日本高血圧学会/日本高血圧協会 共同企画のご案内】

 日本高血圧学会と日本高血圧協会は2016年1月10日より、「高血圧」に関する川柳と標語の募集を開始した。本企画は、高血圧学会と高血圧協会と共同企画で、会員の意識を高めると同時に一般市民への啓発を図る目的で展開するもの。川柳・標語のお題はともに「高血圧」で、減塩・減量などの生活習慣、医師・患者関係、家族関係、社会風刺などユーモアやウイットに富んでインパクトのある、多くの人に親しまれる作品が集まることが期待される。

慢性心房細動に対する抗凝固療法中に消化管出血を来したとき~抗凝固療法を再開する?それとも中止?~(解説:西垣 和彦 氏)-465

心房細動に起因する心原性脳血栓塞栓症は、いったん発症するとほかのアテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞の予後とは比較にならないほど重症となり、20%が死亡、40%が要介護4度あるいは5度の寝たきりとなる悲惨な状態が待っている。これが、心原性脳血栓塞栓症を“ノック・アウト型脳梗塞”と評するゆえんである。したがって、心房細動に対する治療の最も重要なポイントは、心原性脳血栓塞栓症をいかに発症させないようにするかという予防的治療であり、その点において抗血栓療法の果たす役割は大きい。

TAVR導入で既存臨床はどう変わったか/NEJM

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)導入の臨床への影響を調べた結果、TAVRの施行増大に伴う外科的大動脈弁置換術(SAVR)の減少はわずかであった。また、TAVR患者はSAVR患者よりも高齢で手術リスクが高く、院内死亡率は両群ともに減少していたが、TAVRのほうが減少の程度が大きかったことなどが判明した。ドイツ・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのJochen Reinohl氏らが、同国における2007~13年の動向を調べ報告した。NEJM誌2015年12月17日号掲載の報告。

高齢者のSU薬とワルファリンの併用、低血糖リスク増大/BMJ

 高齢者のワルファリンとスルホニル尿素薬(SU薬)の同時服用は、SU薬単独服用時に比べ、低血糖による病院救急部門受診・入院リスクを約1.2倍に増大することが、また、転倒リスクも約1.5倍に増大することが明らかにされた。米国・南カリフォルニア大学のJohn A. Romley氏らが、65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者の保険請求データを基に後ろ向きコホート試験を行った結果、示されたという。著者は、「結果は、これら薬物間の重大な相互作用の可能性を示唆するものだ」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年12月7日号掲載の報告。

血栓吸引療法に引導は渡ったか?TOTAL試験1年追跡(解説:香坂 俊 氏)-463

このところ血栓吸引療法の旗色がよろしくない。(1)急性心筋梗塞では冠動脈内でプラークが破裂し、血栓を形成する。(2)その血栓はバルーンやステントを行う前に吸引しておいたほうが良さそうだ。(3)実際、小規模のランダム化試験ではうまくいった(TAPAS試験)。この三段論法で、とくに日本のカテーテルインターベンション(PCI)の現場では広く行われてきた。自分たちでもKiCSという関東一円の多施設共同PCIレジストリで集計してみたところ、ST上昇心筋梗塞症例に対するPCIの実に65.4%で血栓吸引が行われていた。

CHAMPION試験:いろいろな意味で残念な研究(解説:野間 重孝 氏)-461

現在、私たち循環器科医にとって、重症患者をCCU/ICUに収容しSGカテなどによって肺動脈圧を持続モニターしながら監理するという手法は、半ば常識化している。実際Forresterの分類などは、初期研修医の段階でも当たり前の知識となっている。そのため、外来通院している心不全患者の肺動脈圧を、何らかの方法で定期的にモニターすることができれば、それはきっと治療に資するところがあるに違いない、とつい抵抗なく考えてしまいそうになる。しかし、それは証明されることが必要なのである。実際、近年では多くの組織で、よほど重症な心不全患者でない限り、持続肺動脈圧モニターはむしろ行わない方向に向かっているのではないだろうか。

ACS発症の糖尿病におけるリキシセナチド、心血管転帰への影響は?/NEJM

 2型糖尿病で急性冠症候群(ACS)を発症した患者に対し、GLP-1受容体作動薬リキシセナチド(商品名:リキスミア)を追加投与しても通常治療のみの場合と比べて、主要心血管イベントやその他重篤有害事象の発生率について有意な変化はみられなかった。米国ハーバード・メディカル・スクールのMarc A. Pfeffer氏らによる6,068例を対象とした多施設共同無作為化プラセボ対照試験ELIXAの結果、報告された。リキシセナチドなどGLP-1受容体作動薬は多くの国で2型糖尿病患者への血糖降下薬として承認されているが、これまで大規模な心血管アウトカム試験の報告はなかった。NEJM誌2015年12月3日号掲載の報告。

睡眠時無呼吸症候群へのCPAP/MADの降圧効果/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者に対して、持続的気道陽圧(CPAP)または下顎前方誘導装置(mandibular advancement devices:MAD)のいずれの治療法によっても同等の降圧効果を得られることが、スイス・チューリッヒ大学病院のDaniel J. Bratton氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。ネットワークメタ解析の結果、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)ともに、治療間における降圧の統計的な有意差はみられなかったという。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告。