循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:261

発症年齢、HbA1c、CKDが2型糖尿病患者の生命予後を規定する(解説:住谷 哲 氏)-453

2型糖尿病患者の生命予後を改善するためのアプローチとしては、(1)2型糖尿病発症予防、(2)多因子介入、(3)診断直後からの介入が有用と考えられてきた。スウェーデンにおけるコホート研究である本論文は、これらのアプローチが正しかったことを支持すると同時に、その限界をも明らかにした点で重要である。

駆出率保持の心不全へのニトロ投与、逆効果/NEJM

 駆出率が保たれた心不全患者に対し、一硝酸イソソルビド(商品名:アイトロールほか)を投与しても、プラセボを投与した場合と比べて日常生活動作レベルやQOL(生活の質)の向上はみられず、逆に1日の活動時間が減少し、日常生活動作レベルにも低下傾向が認められたという。米国・メイヨークリニックのMargaret M. Redfield氏らが、110例を対象に行った多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験の結果、明らかにした。同患者へのニトロ処方は運動耐性を十分なものとするために一般的に行われているが、日常生活動作に対する効果の検証はこれまで不十分であった。NEJM誌オンライン版2015年11月8日号掲載の報告より。

僧帽弁の形成術 vs.置換術、2年後のアウトカムは?/NEJM

 重度虚血性僧帽弁逆流症に対する僧帽弁の形成術と置換術では、2年後の死亡率や左室収縮終期容積係数(LVESVI)は同等だが、中等度~重度逆流症の再発率は形成術群が大幅に高率であったことが報告された。心不全関連の重度有害事象や心血管関連の再入院も、形成術群で高率だった。米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のD. Goldstein氏らが行った無作為化比較試験の結果、示された。同試験については術後1年における結果がすでに発表されており、LVESVI、生存率、有害イベント発生率のいずれも両群で同等だった。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号で発表した。

肺動脈ワイヤレス・モニタリングの長期有効性を確認/Lancet

 埋込式圧センサーで肺動脈圧をモニタリングする「CardioMEMS」システムについて、NYHA心機能分類III患者を対象とした無作為化試験CHAMPIONの延長フォローアップ試験の結果が発表された。通常ケアのみと比べて心不全による入院発生は有意に低く、長期的ベネフィットが確認されたという。米国・オハイオ州立大学のWilliam T Abraham氏ら試験グループが報告した。同試験については6ヵ月時点で、通常ケアと比較して心不全入院発生の有意な低下が確認されていた。研究グループはシステムの長期有効性を調べるため、モニタリング群を18ヵ月時点で評価する延長試験を、また対照群について圧情報アクセスをオープンとしてその臨床的効果を調べるため13ヵ月間の追加試験を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月6日号掲載の報告より。

厳格降圧のベネフィットは高リスク患者ほど大きい/Lancet

 中国・北京大学第一病院のXinfang Xie氏らは高血圧治療に関する最新のシステマティックレビューとメタ解析を行い、厳格降圧療法は標準降圧療法と比べて血管保護効果が大きいことを報告した。最近改訂された現行の高血圧ガイドラインは、心血管疾患や腎疾患、糖尿病などを有する高リスク患者の降圧目標について、以前とは推奨を逆転させている。検討グループは、このガイドラインの変化が厳格降圧療法戦略に対する疑念を提示したものとして、厳格降圧療法の有効性と安全性を評価するため本検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月7日号の掲載報告より。

SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)-450

最近の各国の高血圧ガイドラインにおいては欧米のそれを中心に、従来の降圧目標値を上方修正する傾向にある。今回の解析対象には含まれていないが、より心血管疾患のリスクの高い糖尿病合併例においては、ACCORD-BP試験の結果から、わが国以外ではおしなべて降圧目標値を上方修正した経緯がある。米国では2016年秋に改訂ガイドラインが公表される予定だが、このSPRINT試験はその傾向に再考を促す結果となり、大なり小なりこの試験の結果を包含した内容になると考えられる。

降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

心筋梗塞のNSAIDsに関連した上部消化管出血に対するPPIの役割(解説:上村 直実 氏)-449

日本とは異なり欧米では、心筋梗塞(MI)の再発予防のために抗血栓薬を内服している患者の中で、心血管リスクを伴うにもかかわらず、関節痛などの疼痛緩和目的で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を併用しているものが非常に多い。抗血栓薬とNSAIDsの併用は、消化管とくに上部消化管出血のリスクが増大することが知られており、消化管出血のハイリスク患者に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用が推奨されているが、リスクが不明な通常患者に対するPPIの有用性は明らかになっていない。

安全かつ有効な冠動脈ステント内再狭窄の治療法は?/BMJ

 冠動脈ステント内再狭窄の治療は、薬剤被膜バルーンと薬剤溶出ステントが臨床的および血管造影アウトカムに優れ、有効性は同程度であることが報告された。イタリア・カターニア大学フェラロット病院のDaniele Giacoppo氏らが、無作為化試験24件・患者4,880例を包含したシステマティックレビューと階層的ベイジアンネットワークメタ解析の結果、示した。ステント内再狭窄の治療については、過去20年間でさまざまな戦略が提案されてきたが、それらを比較した無作為化試験の結果は混合しており、断定的なものはない。研究グループは最も安全かつ有効な介入治療を明らかにすることを目的に今回の検討を行った。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。