降圧や脂質低下治療の無作為化試験での効果、その後どうなる? 降圧治療および脂質低下治療において、治療中止後も長期的ベネフィットが持続することが示唆されている。今回、シドニー大学の平川 洋一郎氏らが大規模無作為化試験の系統的レビューを行ったところ、全死亡率および心血管系死亡率における降圧および脂質低下によるベネフィットは、試験後も持続しているものの減衰が認められ、治療を継続することの重要性が示された。Journal of hypertension誌オンライン版2017年1月5日号に掲載。
米国で医療費が最も高い疾患は?/JAMA 米国の1996~2013年の医療費の推移について、病態ごとに調査し推定額を算出したところ、2013年に最も高額だったのは糖尿病の治療費で約1,014億ドル(うち57.6%が薬剤費、外来医療費は23.5%)で、2番目は虚血性心疾患で881億ドル、3番目は腰部・頸部痛876億ドルだった。一方で各年の医療費は、患者の状態や治療の種類で異なることも明らかになったという。米国・ワシントン大学のJoseph L Dieleman氏らが、政府予算や保険請求支払データなどを基に分析し報告した。米国の医療費は増大を続けており、現在米国経済の17%超を占める。しかし、病態ごとにどれほどの支出があるのか、年齢別や経時的な変化はほとんど明らかになっていなかった。著者は、「今回の調査結果は、米国の医療費の支出コントロールに効果的に用いられるであろう」と述べている。JAMA誌2016年12月27日号掲載の報告。
ネット購入可とした薬剤の安全性懸念にどう対処するか?(後藤 信哉 氏:解説)-633 英国の医療システムは、米国よりも日本に近い。日本では、健康保険システムの支払いを受けるために医療機関は医療経済データベースの構築に寄与せざるを得ない。レセプト電算化により医療経済データベースはさらに充実すると想定される。しかし、「厚生労働省英文発表課」などがないので、蓄積された情報が広く英文論文として発表される仕組みがない。日本の医療は均質、かつ自動的に質が高いデータベースが構築されるのに世界の診療ガイドラインに影響を及ぼすことがない。
増加する訪日外国人!対応に欠かせない医療通訳の真の役割とは 多言語遠隔医療通訳サービスを全国の医療機関に提供している一般社団法人JIGHは、2016年12月に都内で日本語・中国語医療通訳者向けの研修会を開催した。2016年に訪日外国人旅行者数は初めて年間2,000万人を突破したが、政府はこれを2020年に4,000万人、2030年に6,000万人に増やす目標を掲げている。それに伴い医療機関でも訪日外国人へ対応する機会が今後増えることが予想され、体制を整えることが求められている。
「前糖尿病」状態と心血管障害の関連(解説:小川 大輔 氏)-632 前糖尿病状態と心血管障害の関連の有無についてはこれまで議論があったが、最近161万例もの前糖尿病状態を含む前向きコホート研究のメタ解析が行われ、前糖尿病状態は心血管疾患リスクの増加と関連することが報告された。
アルツハイマーの認知機能低下、冠動脈疾患で加速 冠動脈疾患(CHD)がアルツハイマー病(AD)における認知機能低下を加速させるかどうかを、ドイツ・ボン大学のMarkus Bleckwenn氏らがプライマリケアでの前向き縦断的コホート研究で検討したところ、CHDは晩期発症型の高齢認知症患者における認知機能低下に有意に影響を及ぼすことが認められた。心血管疾患の予防が認知症の進行に影響するかもしれない。The British journal of general practice誌オンライン版2016年12月19日号に掲載。
飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸による置換は冠動脈疾患リスクを低下させる!(解説:島田 俊夫 氏)-631 私たちは、炭水化物、脂肪、タンパク質と少量のミネラル、ビタミンを摂取することによりエネルギーを獲得している。しかしながら、炭水化物の過剰摂取と運動不足が糖尿病・肥満の主要因になっている。糖質制限は治療上重要だが、適切な供給カロリーを維持するためには炭水化物以外の栄養素からエネルギーを獲得することが必要となる1)。1g当たりの産生カロリーは、炭水化物4kcal、脂肪9kcal、タンパク質4kcalのエネルギーを産生する。単純計算から、糖質制限食は代替エネルギーを脂肪またはタンパク質から取らざるを得ない。
RCTの先を行く?リアルワールドでのTAVR対象患者(解説:香坂 俊 氏)-630 “循環器内科といえば冠動脈インターベンション!”というわけでは現在すでになく、今は弁膜症に対してもさまざまなカテーテル手技が行われるようになってきています。
セント・ジュード・メディカル、FFR測定プレッシャーガイドワイヤーを日本で上市 セント・ジュード・メディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:ウィリアム・フィリップス)は2016年12月19日、新たな心筋血流予備量比(FFR)計測システムPressureWire X Guidewire の日本での上市を発表した。
PCI vs.CABG―左主冠動脈狭窄に対する効果と安全性 左主冠動脈狭窄に対する望ましい再灌流療法の戦略は、いまだに結論が出ていない。現在のガイドラインにおいて、プロテクトされていない左主冠動脈の狭窄に対しては、冠動脈バイパス術(CABG)が望ましいとされている。Monash Cardiovascular Research Centre(MCRC)のNerlekar氏らオーストラリアと英国の研究グループが、最近のランダム化比較試験を踏まえて、プロテクトされていない左主冠動脈に対し、経皮的冠動脈形成術(PCI)がCABGと同様の安全性と効果を得られるかをメタ解析を用いて評価した。Circulation:Cardiovascular Intervention誌2016年11月29日号の掲載。