循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:255

“the lower, the better”だけならば、苦労はない(解説:石上 友章 氏)-477

降圧治療についての、Ettehad氏らのシステマティック・レビュー(SR)/メタ解析の論文は、米国心臓協会(AHA)学術会議での発表と同時にNew England Journal of Medicineに掲載された、“鳴り物入り”のSPRINT試験同様に、降圧治療における、いわゆる“the lower, the better”戦略の正当性を証明する重要な研究成果である。

大腸がんは肥満・高血圧・糖尿病と関連

 大腸新生物とアテローム性動脈硬化はどちらも内臓脂肪蓄積によって生じうる。しかし、進行期大腸がんと心血管/脳血管疾患との関連は不明である。東京大学の山地 裕氏らは、わが国における入院患者の全国データベースを用いて、肥満・代謝性疾患との関連からみた大腸がんと血管疾患との関連性を、非心臓性の胃がん患者(肥満・代謝性疾患に関連がないと考えられる)を基準として検討した。その結果、肥満と代謝性疾患は、胃がんと比べて大腸がんとの関連が強かったが、冠動脈疾患は大腸がんと逆相関していた。Digestive Diseases and Sciences誌オンライン版2016年2月1日号に掲載。

エベロリムス溶出ステント留置後のDAPT延長、主要心・脳血管イベントは減少せず

 薬剤溶出ステント留置後、アスピリン・チエノピリジン系薬剤を併用する抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を12ヵ月継続することが一般的に推奨されている。ところが、昨年発表されたDAPT試験では、薬剤溶出ステント(DES)留置後、DAPT 12ヵ月群に比べて、30ヵ月継続した群でステント血栓症および主要な心および脳血管イベントが減少し、出血リスクが上昇することが示された。12ヵ月を超えたDAPTによるこれまでの結果と異なり、物議を醸した。DESの安全性と有効性は種類間で異なる。エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントに比べて、ステント血栓症が少ないと報告され、使用頻度も高い。

生体吸収性スキャフォールドの1年転帰:4つのABSORBメタ解析/Lancet

 留置1年後における生体吸収性エベロリムス溶出スキャフォールド(BVS、Absorb)の有害事象の発現状況は、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES、Xience)とほぼ同等との研究結果が、米国・コロンビア大学のGregg W Stone氏らによってLancet誌オンライン版2016年1月26日号で報告された。BVSは、薬剤溶出金属製ステントに比べ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期的なアウトカムを改善する可能性が指摘されているが、これらのデバイスの1年後の安全性や有効性は知られていない。

心房細動患者の死亡リスク、女性のほうが高い/BMJ

 心房細動患者において、女性は男性に比べて全死因死亡リスクが約1.1倍、心血管死リスクは1.9倍、いずれも大きいという。英国・オックスフォード大学のConnor A. Emdin氏らが、30件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、明らかにした。これまでの研究結果から、心血管疾患リスクについては、そのリスク因子である糖尿病や喫煙などについて、男女差があることは知られていた。BMJ誌オンライン版2016年1月19日号掲載の報告。

心不全への遺伝子治療、AAV1/SERCA2aは予後を改善するか/Lancet

 アデノ随伴ウイルス1(AAV1)をベクターとして筋小胞体/小胞体Ca2+-ATPase(SERCA2a)を導入する遺伝子治療(AAV1/SERCA2a)は、試験用量では心不全患者の予後を改善しないことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のBarry Greenberg氏らが行ったCUPID 2試験で示された。SERCA2aは、心臓拡張期にサイトゾル由来のCa2+を筋小胞体内へ輸送することで心筋細胞の収縮と弛緩を調整している。心不全患者はSERCA2a活性が不足しており、遺伝子導入によってこの異常を是正することで心機能が改善する可能性が示唆されている。Lancet誌オンライン版2016年1月20日号掲載の報告。