救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:88

ICU患者のせん妄に、抗精神病薬は効果なし/NEJM

 急性呼吸不全またはショックでICUに入室する、低活動型あるいは過活動型せん妄が認められる患者に対し、ハロペリドールまたはziprasidoneを投与しても、せん妄の発症期間を短縮する効果はないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のTimothy D. Girard氏らが、約570例を対象に行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、これまで、せん妄が認められるICU入室患者に対する抗精神病薬の効果について、一貫したデータは存在していなかった。NEJM誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。

日本の頭部外傷の現状は?/脳神経外科学会

 日本頭部外傷データバンクは、日本脳神経外傷学会のプロジェクトである。日本の頭部外傷診療の現状の把握を目的に、1996年に日本頭部外傷データバンク検討会が設立され、1998年より重症頭部外傷患者を対象とした間欠的に2年間の疫学研究を開始。現在まで、Project1998、2004、2009が行われ、このたび、Project2015の解析が開始された。その概要について、日本脳神経外科学会 第77回学術総会において、山口大学 脳神経外科 末廣 栄一氏が発表した。

AIによる頭部CT読影の精度を検証/Lancet

 ディープラーニング(深層学習)アルゴリズムによる頭部CTスキャン検査データの読影は、頭蓋内出血や頭頂部骨折、正中偏位などを高い精度で検出可能なことが明らかにされた。インド・Qure.ai社のSasank Chilamkurthy氏らが、約29万例のデータを基に検出アルゴリズムを開発し、2万例超のデータで検証した結果で、Lancet誌オンライン版2018年10月11日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「頭部CTスキャン検査の読影にアルゴリズムを活用した、自動トリアージシステム実現の可能性が出てきた」とまとめている。

どないしたらええの? 心原性ショック伴う多枝病変AMI患者へのランダマイズ試験(中川義久 氏)-938

心原性ショックを伴う急性心筋梗塞患者への梗塞責任病変への急性期PCIの有用性を疑うものはいない。一方で、心原性ショックを伴う多枝病変急性心筋梗塞患者への非責任梗塞冠動脈病変へのPCI介入のタイミング判断は難しい。CULPRIT-SHOCK試験は、責任病変と同時に70%以上の冠動脈狭窄を伴うすべての病変にもPCIを行う群と、責任病変のみにPCIを施行する群を比較した多施設ランダマイズ試験である。30日以内の死亡または腎代替療法を要する重症腎不全と定義される主要評価項目は、責任病変のみのPCIが優ることが2017年にすでに報告されている。今回、その1年時のデータが報告された。事前に設定された本試験の2次評価項目である、全死亡・再心筋梗塞には差がなく、心不全入院・再血行再建率は非責任病変にもPCIを施行する多枝PCI群が優っていたという。

ポリミキシンB、重症敗血症性ショックの予後を改善せず/JAMA

 エンドトキシン活性が高い敗血症性ショックの患者において、ポリミキシンBによる血液灌流法(PMX-DHP)を標準治療に加えても、標準治療と比較して28日死亡率は低下しないことが、米国・Cooper University HospitalのR. Phillip Delinder氏らによる、多施設共同無作為化試験「EUPHRATES試験」の結果、示された。PMX-DHPは、敗血症における血中エンドトキシン濃度を低下させることが知られており、敗血症性ショックでエンドトキシン活性が高い患者に対するPMX-DHPを用いた治療は、臨床転帰を改善する可能性があると考えられていた。JAMA誌2018年10月9日号掲載の報告。

日本の高齢ドライバーの自動車事故死亡率

 近年、先進国では高齢ドライバーによる自動車事故が大幅に増加している。わが国の高齢ドライバーの自動車事故の傾向を京都府立大学の松山 匡氏らが日本外傷データバンク(Japan Trauma Data Bank: JTDB)を用いて調べたところ、65歳以上のドライバーによる自動車事故の割合は年々増加しており、75歳以上で院内死亡率が最も高いことがわかった。Medicine誌2018年9月号に掲載。

急性心筋梗塞、発症後早期のウエアラブル除細動器の効果/NEJM

 心筋梗塞(MI)を発症してから間もない駆出分画率35%以下の患者において、着用型自動除細動器(wearable cardioverter-defibrillator:WCD)の使用は、非使用者と比較して主要評価項目の90日時点の不整脈死リスクは有意に低下しなかった。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJeffrey E. Olgin氏らが、2,302例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年9月27日号で発表した。駆出分画率が低下したMI後の患者において突然死は高率に認められるが、植込み型除細動器は、発症後40~90日間は禁忌とされている。研究グループは、このハイリスク期間中の突然死発生をWCDが低減するのか検討した。

合成カンナビノイド関連凝固障害が米国で集団発生/NEJM

 2018年3~4月に、米国イリノイ州で合成カンナビノイドの使用に関連する凝固障害の患者が集団発生した。予備検査で抗凝固薬の混入の可能性が示されたため、確認検査を行い、患者データを再検討したところ、数種のスーパーワルファリンの混入が確かめられた。多くの患者は、ビタミンK1補充療法で症状が抑制されたが、合成カンナビノイド化合物の詳細は判明していないという。米国・University of Illinois College of Medicine at PeoriaのAmar H Kelkar氏らが、NEJM誌2018年9月27日号で報告した。